JP2009089943A - リクライニング装置の製造方法 - Google Patents

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友宏 榎嶋
Toshiharu Ito
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Abstract

【課題】シートバックの無段階の角度調整を可能としたタウメル式のリクライニング装置において、外歯歯車と内歯歯車の間への楔状部材の組み付けを容易にさせ、かつ製造コストの低減にも寄与するリクライニング装置の製造方法を提供する。
【解決手段】シートクッションとシートバックの一方と他方に外歯歯車と内歯歯車を備え、この外歯歯車と内歯歯車の一方と他方にそれぞれの軸を中心として設けられた大径の円形穴と小径の円筒部を形成し、円形穴の内面と円筒部の外面の間に挿入した一対の楔状部材に回転力を付与することによって、外歯歯車と内歯歯車を噛合部位を変えながら相対的に揺動回転させるリクライニング装置の製造方法において、一対の楔状部材における円形穴の内面及び円筒部の外面との接触域の形状を組み付け前に測定するステップと、該測定値に基づき円筒部外面と円形穴内面の少なくとも一方の径サイズを決定して加工するステップとを有すること。
【選択図】図12

Description

本発明は、車両等において用いられるリクライニング装置の製造方法に関し、更に詳しくは、シートバックの傾斜角を無段階に調整するタウメル式リクライニング装置の製造方法に関する。
いわゆるタウメル式のリクライニング装置は、特許文献1のように、シートクッションに固定されるロアアームとシートバックに固定されるアッパアームの枢軸部分の一方と他方に、外歯歯車と、この外歯歯車の外歯よりも歯数の多い内歯を有する内歯歯車を固定し、この外歯歯車または内歯歯車に同軸に回転自在に嵌合させた回転シャフトによって、該外歯歯車と内歯歯車を噛合部位を変えながら相対的に揺動回転させることで、シートバックの無段階の角度調整を可能としている。
より詳細には、外歯歯車と内歯歯車のいずれか一方の軸部には円形穴が形成され、他方の軸部には、該円形穴より小径の外面を有する円筒部が設けられており、外歯歯車と内歯歯車が噛合する状態では、円形穴の中心に対して円筒部の中心が偏心して位置される。そして、この円形穴と円筒部の間の偏心軸空間に一対の楔状部材が挿入される。一対の楔状部材は、円形穴と円筒部の間に楔を打ち込む方向に付勢されており、常時は外歯歯車と内歯歯車の相対運動が禁止される。一方、付勢力に抗して、楔を引き抜く方向に楔状部材を移動させると、外歯歯車と内歯歯車の相対運動が許され、ロアアームに対するアッパアームの角度変更が可能になる。
特開2006-334284号公報
以上のようなタウメル式のリクライニング装置では、外歯歯車と内歯歯車の中心部に位置する円形穴、円筒部、楔状部材の間で精度が正しく出ていないと、径方向に隙間ができてガタを生じたり、あるいは逆に径方向のスペースが小さすぎて部品の組み込みができなくなってしまう。その対策として従来は、サイズ違いの複数の楔状部材を予め準備しておき、組立工程において好適な大きさの楔状部材を選択して嵌め込むことによって、製品ごとに精度を整えていた。しかし、複数種の楔状部材を準備することは製造コストや部品管理の面で不利であり、また組立工程での作業性が良くないといった問題があった。
従って本発明は、外歯歯車と内歯歯車の間への楔状部材の組み付けを容易にさせ、かつ製造コストの低減にも寄与するリクライニング装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、シートクッションとシートバックのいずれか一方に、該シートバックの傾動中心部に位置させて固定される外歯歯車と、該外歯歯車の外歯に噛み合う該外歯よりも歯数が多い内歯が形成され、シートクッションとシートバックの他方に固定される内歯歯車と、外歯歯車と内歯歯車の一方と他方にそれぞれの軸を中心として設けられた大径の円形穴と該円形穴より小径の円筒部と、円形穴の内面と円筒部の外面の間に挿入されていて、常時は外歯歯車と内歯歯車の相対運動を規制し、正逆方向の回転力を付与することによって、外歯歯車と内歯歯車の噛合部位を変えながら相対的に揺動回転させる一対の楔状部材とを備えたリクライニング装置の製造方法において、一対の楔状部材における円形穴の内面及び円筒部の外面との接触域の形状を組み付け前に測定するステップと、該測定値に基づき円筒部外面と円形穴内面の少なくとも一方の径サイズを決定して加工するステップとを有することを特徴としている。
円筒部外面と円形穴内面の少なくとも一方を加工するステップでは、切削刃物に対して外歯歯車と内歯歯車の少なくとも一方を相対回転させて、該切削刃物による切削加工によって円筒部外面と円形穴内面の形状を整えることが好ましい。
以上の本発明のリクライニング装置の製造方法によれば、サイズ違いの複数の楔状部材を準備する必要がなくなるため、製造コストを抑えつつ、外歯歯車と内歯歯車の間への楔状部材の組み付けを容易にすることができる。
図1から図5について、本発明の対象とするタウメル式両リクライニング装置の概略構成を説明する。図1に一部断面を示すロアアーム10は、シートクッションのフレーム(図示せず)にボルト等により固定される。このロアアーム10における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、6個(図1にはこのうち2個が表れている)の嵌合穴11が同一円周上に位置するよう穿設されている。
アッパアーム20は、シートバックのフレーム(図示せず)にボルト等により固定される。このアッパアーム20における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、6個(図1にはこのうち2個が表れている)の嵌合穴21が同一円周上に位置するように穿設されている。
歯車機構30は、ロアアーム10とアッパアーム20との間に装着され、アッパアーム20の傾斜角を調整するもので、この歯車機構30内の外歯歯車31と内歯歯車32に、ロアアーム10の嵌合穴11とアッパアーム20の嵌合穴21とに嵌合する複数の固定突起31a、32aが設けられている。
外歯歯車31は、図4に示すように略円板状をしており、外周面には外歯31bが形成され、中央には、円筒部31cが形成されている。円筒部31cの周囲には環状の凹部31dが形成されている。この外歯歯車31は、側面に形成された6個の固定突起31aをロアアーム10の嵌合穴11に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、ロアアーム10に溶接される。
内歯歯車32も、図5に示すように略円板状をしている。内歯歯車32には、外歯歯車31の外歯31bよりも歯数が少なくとも一つ多く形成された、外歯31bと内接する内歯32bが刻設されている。又、内歯歯車32の中央には、円形の貫通穴(円形穴)32cが穿設されている。貫通穴32cは、円筒リブ状部32fの内側に形成されており、円筒リブ状部32fと内歯32bの間の領域には環状の凹部32dが形成されている。内歯歯車32は、側面の6個の固定突起32aをアッパアーム20の嵌合穴21に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、アッパアーム20に溶接される。
外歯歯車31の円筒部31cには、図3に示すフランジ付きの円筒形回転シャフト33の円筒部33aが回転自在に嵌入されている。この回転シャフト33のフランジ部33bには、円弧状の切り欠き部33cが形成されている。円筒部33aの内筒面には、連結用のセレーション33gが切られている。
内歯歯車32の貫通穴32cの内面(内筒面)と外歯歯車31の円筒部31cの外面(外筒面)との間には、両者に接触するように、一対の楔状部材35、36が挿入されている。
楔状部材35、36は面対称の形状を有するもので、楔状部材35、36の内筒面35a、36aはそれぞれ、外歯歯車31の円筒部31cの外径と略同一の内径を有し、楔状部材35、36の外筒面35b、36bはそれぞれ、貫通穴32cの内径と略同一の外径を有している。楔状部材35の内筒面35aと外筒面35bは、その中心軸が一致していないことにより、肉厚が楔状に変化している。同様に、楔状部材36の内筒面36aと外筒面36bは、その中心軸が一致していないことにより、肉厚が楔状に変化している。
楔状部材35、36の薄肉側エリアの端面には段差状の凹み35c、36cが形成されており、この空間内に、回転シャフト33のフランジ部33bが張り出している。このため、回転シャフト33が図2において反時計方向に回転すると、回転シャフト33の切り欠き部33cの側壁33eが、楔状部材35の凹み35cの側壁35eに当接し、逆に、回転シャフト33が図2において時計方向に回転すると、回転シャフト33の切り欠き部33cの側壁33fが、反対側の楔状部材36の凹み36cの側壁36eに当接する。
楔状部材35、36は、厚肉側が対向するように、内歯歯車32の貫通穴32cの内面と外歯歯車31の円筒部31cの外面との間に配置され、外歯歯車31に対して内歯歯車32を偏心させ、外歯31bに内歯32bを噛合させるものである。この楔状部材35、36により、回転シャフト33は、内歯32bと外歯31bを噛み合わせ、外歯歯車31と内歯歯車32を噛合部位を変えながら相対的に揺動回転させることができる。楔状部材35、36は、弾性部材としてのスプリング37から互いに離反する方向の付勢力を受けている。
このスプリング37は、1ターンの環状部分37aと、この環状部分37aから立ち上がったばね端部37b、37cからなり、環状部分37aは、内歯歯車32の円筒リブ状部32fによって形成された環状の段部内に支持されている。ばね端部37b、37cは、環状部分37aからロアアーム10に接近する方向(図1の右方向)に向けて突出されており、ばね端部37bは、楔状部材35の厚肉側の側端面に形成された溝部35dに係止され、ばね端部37cは、楔状部材36の厚肉側の側端面に形成された溝部36dに係止されている。
円筒状の押さえ部材38は、内歯歯車32の外周面に嵌合しており、かつ、その両端部は中心軸側に突出され、外歯歯車31と内歯歯車32を挟んでいる(図1参照)。これにより、外歯歯車31と内歯歯車32とが軸方向に離れることを規制できる。なお、回転シャフト33の先端部には、環状溝33dが切られ、ここに抜け止め用のリング39が係止されている。
以上のリクライニング装置は、各シートの両側に対称形に一対が配置され、その左右の回転シャフト33は、筒状部33aのセレーション部33gの間に挿入固定した連結軸13(図1)を介して連結されている。連結軸13及び回転シャフト33は、シートバックの傾斜角の調整時に回転駆動される。
以上のリクライニング装置は、連結軸13(回転シャフト33)に外部から回転操作力を加えない状態では、スプリング37は、楔状部材35、36を離反する方向に付勢し、両楔状部材35、36に楔を打ち込む方向の力を与えている。このため、内歯歯車32と回転シャフト33との相対運動は禁止され、歯車機構30はロック状態にあり、シートバックはその位置にロックされている。
このロック状態において、回転シャフト33を例えば図2における反時計方向に回すと、回転シャフト33の側壁33eから楔状部材35の側壁35eに楔状部材35を隙間から引き抜く方向の力が働き、回転シャフト33及び楔状部材35は、内歯歯車32に対して反時計方向に回転する。この結果、楔状部材35と周辺部材との間に隙間が発生し、内歯歯車32が移動可能になる。すると、スプリング37の付勢力を受けている楔状部材36がこの隙間を埋めるべく、反時計方向に回転する。
この連動動作により、楔状部材35、36は回転シャフト33と共に反時計方向に回転することになる。時計方向の回転についても同様である。よって、内歯歯車32は、内歯32bが外歯31bに噛み合う偏心位置で回転シャフト33に支持されることになり、外歯歯車31、内歯歯車32及び回転シャフト33は、歯車機構を構成していることになる。このように、回転シャフト33を回転させることにより、歯車機構30がロック状態からアンロック状態になり、内歯歯車32を外歯歯車31の軸を中心に噛合部位を変えながら相対的に揺動回転させ、アッパアーム20をロアアーム10に対して傾動させ、シートバックの傾斜角を調整することができる。
歯車機構30には、ロアアーム10に対するアッパアーム20の最大傾動角を規制するために、外歯歯車31と内歯歯車32にストッパ突起31e、32eが設けられている。外歯歯車31のストッパ突起31eは、外歯31bの内周部から円筒部31c側へ向けて凹部31d内に突出されており、内歯歯車32のストッパ突起32eは、円筒リブ状部32fの外周部から内歯32b側へ向けて凹部32d内に突出されている。外歯歯車31と内歯歯車32の間に所定量の相対回転が発生すると、ストッパ突起31e、32eの互いの側面が当接して回転動作が規制され、シートバックのそれ以上の角度変化が制限される。
以上のように構成されるリクライニング装置では、外歯歯車31の円筒部31cの外面と、内歯歯車32の貫通穴32cの内面とがそれぞれ、楔状部材35、36の内筒面35a、36aや外筒面35b、36bと接する軸受面として機能する。そのため、外歯31bと内歯32bが噛合する状態において楔状部材35、36との間にガタや緩みを生じないようにするには、円筒部31cの外面や貫通穴32cの内面が高精度に形成されている必要がある。そして本実施形態の外歯歯車31と内歯歯車32はそれぞれ、外歯31bや内歯32bの歯先円ではなく、ギヤ噛合時の実際の接触部位である外歯31bや内歯32bの側面部を基準として円筒部31cや貫通穴32cの校正加工を行うことで、高い精度を得ている。
具体的には、外歯歯車31の円筒部31cの外面を校正するときには、図6に示すクランプ治具40を用いる。クランプ治具40は、本体部41から突出する円筒状のチャック42を有している。チャック42は、回転軸42xを中心として回転可能であり、空隙45によって回転方向に分割された3つの部分環状体の拡縮部(分割部)43で構成され、中央には空隙45に連通する円形状の中央開口部44が形成されている。それぞれの拡縮部43は、空隙45の間隔を大小させる態様で、中央開口部44を中心とする回転半径方向へ移動可能に支持されており、本体部41内に設けた不図示のアクチュエータによって3つの拡縮部43が回転半径方向へ拡縮移動される。3つの拡縮部43はそれぞれ、回転軸42xを中心とした同一円周上に位置する環状フランジ43aを有し、環状フランジ43aの内側には環状の凹部43bが形成されている。各環状フランジ43aのうち凹部43bに臨む内周面には、中央開口部44側に向けて保持歯43cが突設されている。個々の拡縮部43において保持歯43cは一つ設けられており、計3つの保持歯43cは、中央開口部44を中心とする周方向において、概ね等間隔で配置されている。保持歯43cは、内歯歯車32の内歯32bの一つと同形状に形成されており、外歯歯車31の外歯31bに対して噛合することができる。
円筒部31cの外面を加工するときには、外歯31bが形成された状態の外歯歯車31を、凹部31dが外側(チャック42と反対側)を向くようにしてチャック42の凹部43b内に嵌め込み(図6参照)、3つの拡縮部43を縮径方向に移動させる。すると、図8に示すように、拡縮部43に設けた3つの保持歯43cがそれぞれ外歯31bに対して噛合し、チャック42に対して外歯歯車31が周方向の異なる3位置の噛合部で保持される。こうしてクランプ治具40に外歯歯車31をセットした状態で、回転軸42xを中心としてチャック42を回転駆動させ、カッター(切削刃物)46による切削加工で円筒部31cの外面が校正される。
チャック42による外歯歯車31の保持状態を拡大した図9から分かるように、保持歯43cの両側面が、隣接する2つの外歯31bの側面部に当接している一方で、保持歯43cの先端部は外歯31bの谷部には接触しておらず、また環状フランジ43aの内周面も外歯31bの歯先から離間している。すなわち、チャック42は、外歯31bにおける側部噛合面を位置基準面として外歯歯車31を保持している。そして、保持歯43cによる外歯31bの保持が周方向の異なる3つの位置で行われているため、チャック42に対する外歯歯車31の軸位置が決定される。このとき、外歯31bの歯先円などを基準にする場合とは異なり、外歯31bが内歯32bに対して噛合するときの実際の使用状態と同じ軸位置が得られるから、この軸位置を中心として外歯歯車31を回転させて切削を行うことにより、歯車機構30を組み上げたときにガタや緩みが生じない高い精度で円筒部31cの外面を校正することができる。
内歯歯車32の貫通穴32cの校正作業を行うときには、図7に示すクランプ治具50を用いる。クランプ治具50は、本体部51から突出する円筒状のチャック52を有している。チャック52は、回転軸52xを中心として回転可能であり、空隙55によって回転方向に分割された3つの拡縮部(分割部)53で構成され、中央には空隙55に連通する円形状の中央開口部54が形成されている。それぞれの拡縮部53は、空隙55の間隔を大小させる態様で、中央開口部54を中心とする回転半径方向へ移動可能に支持されており、本体部51内に設けた不図示のアクチュエータによって3つの拡縮部53が回転半径方向へ拡縮移動される。3つの拡縮部53はそれぞれ、回転軸52xを中心とした同一円周上に位置する部分環状体からなり、各拡縮部53の外周面には、中央開口部54と反対側の外径方向に向けて保持歯53aが突設されている。個々の拡縮部53において保持歯53aは一つ設けられており、計3つの保持歯53aは、中央開口部54を中心とする周方向において、概ね等間隔で配置されている。保持歯53aは、外歯歯車31の外歯31bの一つと同形状に形成されており、内歯歯車32の内歯32bに対して噛合することができる。
貫通穴32cの内面を加工するときには、内歯32bが形成された状態の内歯歯車32を、凹部32dが拡縮部53の端面側を向くようにしてチャック52に嵌め込み(図7参照)、3つの拡縮部53を拡径方向に移動させる。すると、図10に示すように、拡縮部53に設けた3つの保持歯53aがそれぞれ内歯32bに対して噛合し、チャック52に対して内歯歯車32が周方向の異なる3位置の噛合部で支持される。こうしてクランプ治具50に内歯歯車32をセットした状態で、回転軸52xを中心としてチャック52を回転駆動させ、カッター(切削刃物)56による切削加工で貫通穴32cの内面が校正される。
チャック52による内歯歯車32の保持状態を拡大した図11から分かるように、保持歯53aの両側面が、隣接する2つの内歯32bの側面部に当接している一方で、保持歯53aの先端部は内歯32bの谷部には接触しておらず、また拡縮部53の外周面も内歯32bの歯先から離間している。すなわち、チャック52は、内歯32bにおける側部噛合面を位置基準面として内歯歯車32を保持している。そして、保持歯53aによる内歯32bの保持が周方向の異なる3つの位置で行われているため、チャック52に対する内歯歯車32の軸位置が決定される。このとき、内歯32bの歯先円などを基準にする場合とは異なり、内歯32bが外歯31bに対して噛合するときの実際の使用状態と同じ軸位置が得られるから、この軸位置を中心として内歯歯車32を回転させて切削を行うことにより、歯車機構30を組み上げたときにガタや緩みが生じない高い精度で貫通穴32cの内面を校正することができる。
なお、理論的には、周方向(回転方向)において少なくとも3つの位置で外歯31bや内歯32bが保持されていれば、保持対象である外歯歯車31や内歯歯車32の二次元的な軸位置が定まるので、図示実施形態のクランプ治具40とクランプ治具50ではいずれも、周方向に位置を異ならせて3つの保持歯43c、53aを備えている。但し、個々の保持歯やギヤ歯の精度誤差を考慮した場合、周方向での保持位置が多いほど、最大公約数的に軸位置の精度を高めることができるので、クランプ治具40やクランプ治具50には、周方向位置の異なる4つ以上の任意の数の保持歯43c、53aを設けてもよい。
外歯歯車31の円筒部31cは、バーリング加工によって概略形状を形成した上で、前述のようにクランプ治具40とカッター46を用いた切削によってその外面の仕上げ加工(校正)を行う。また、内歯歯車32では、円筒リブ状部32fの中央部に形成された貫通穴32cに対して、前述のクランプ治具50とカッター56を用いた切削によって該貫通穴32cの内面の仕上げ加工(校正)を行う。このとき、円筒部31cと貫通穴32cの間に挿入される楔状部材35、36が適正に楔の機能を果たすように、すなわち楔状部材35、36との間に適正な嵌合クリアランスが得られるように、該楔状部材35、36の形状(内筒面35a、36aと外筒面35b、36bの間の幅寸法や、内筒面35a、36aと外筒面35b、36bにおける径サイズや曲率)に対応させて、円筒部31cの外径サイズ(切削加工量)と貫通穴32cの内径サイズ(切削加工量)が調整される。
図12は、貫通穴32cにおける切削加工量の調整の概念を示している。貫通穴32cは、切削加工を施していない初期段階では、図12に一点鎖線N1で示す内径サイズを有している。そして、貫通穴32cの設計上の内径サイズを同図の実線N2とする。楔状部材35、36の形状、特に外筒面35b、36bの外径サイズや曲率が設計値通りであれば、貫通穴32cの内面をN2位置まで切削することにより、楔状部材35、36を組み付けた状態で外筒面35b、36bと貫通穴32cの内面をガタなくフィットさせることができる。
楔状部材の嵌合クリアランスが設計値よりも大きくなっている比較例として図14を示す。図14では、円筒部31c′の外面と貫通穴32c′の内面について楔との係合精度調整のための加工はなされておらず、それぞれの径サイズは一定である。二点鎖線で示す回転シャフト33′は、一対の楔状部材35′、36′の一方と他方に対して回転力を伝達する側壁33e′、33f′を有している。楔状部材36′では、円筒部31c′の外面に対する内筒面36a′のクリアランスと、貫通穴32c′の内面に対する外筒面36b′のクリアランスが設計値通りに形成されていて、不図示のスプリングで溝部36d′を回転方向に押圧することにより、図示の楔打ち込み位置に保持される。このとき、楔状部材36′は、周方向の一方の側端壁36e′を回転シャフト33′の側壁33f′に対向させているが、該側壁33f′との当接関係ではなく、円筒部31c′の外面と貫通穴32c′の内面に対する内筒面36a′と外筒面36b′の接触関係によって保持されている。一方、楔状部材35′では、円筒部31c′の外面と内筒面35a′の間や、貫通穴32c′の内面と外筒面35b′の間のクリアランスが設計値よりも大きくなっており、不図示のスプリングで溝部35d′を回転方向に押圧したとき、図14に示すように、適正な圧入位置よりも楔打ち込み方向に余分に進もうとする。すなわち、図14では回転シャフト33′を仮想的に示しているが、実際に回転シャフト33′が取り付けられた状態では、楔状部材35′は、円筒部31c′の外面と貫通穴32c′の内面の間に十分に圧入されない状態で周方向の一方の側端壁35e′が回転シャフト33′の側壁33e′に当て付いてしまう。すると、楔状部材35′は、外歯歯車31と内歯歯車32の相対回転を規制する楔の役割を果たさなくなってしまう。これとは逆に、円筒部31c′と貫通穴32c′に対する楔状部材35′、36′の嵌合クリアランスが小さすぎて、楔状部材35′、36′の挿入が難しくなったり、場合によっては挿入すること自体ができなくなったりする可能性もある。
本実施形態において、図14の楔状部材35′のように、楔状部材35や楔状部材36が嵌合クリアランスを設計値よりも大きくさせてしまう形状をしている場合、図12の二点鎖線N3のように初期開口径N1からの切削量を小さくして貫通穴32cの内径サイズを設計値N2よりも小さくさせることで、貫通穴32cの内面と円筒部31cの外面の間のスペースを狭くさせて、適正な嵌合クリアランスを得る。逆に、楔状部材35、36が嵌合クリアランスを設計値よりも小さくさせてしまう形状をしている場合は、図12の二点鎖線N4のように切削量を大きくして貫通穴32cの内径サイズを設計値N2よりも大きくさせることで、貫通穴32cの内面と円筒部31cの外面の間のスペースを広くさせて、適正な嵌合クリアランスを得る。
同様の概念による切削加工量の調整を外歯歯車31の円筒部31cの外面に対して行う態様を示したのが図13である。円筒部31cは、バーリング加工直後の段階では、図13に一点鎖線M1で示す外径サイズを有している。そして、円筒部31cの設計上の外径サイズを同図の実線M2とする。楔状部材35、36(特に内筒面35a、36a)が設計値通りの嵌合クリアランスに対応した形状であれば、円筒部31cの外面をM2位置まで切削することにより、楔状部材35、36を組み付けた状態で内筒面35a、36aと円筒部31cの外面をガタなくフィットさせることができる。楔状部材35、36が設計値よりも嵌合クリアランスを大きくする形状であれば、図13の二点鎖線M3のように初期外径M1からの円筒部31cの外面の切削量を小さくさせて円筒部31cの外径サイズを設計値M2よりも大きくさせることで、貫通穴32cの内面と円筒部31cの外面の間のスペースを狭くさせて、適正な嵌合クリアランスを得る。逆に、楔状部材35、36が設計値よりも嵌合クリアランスを小さくする形状であれば、図13の二点鎖線M4のように初期外径M1からの円筒部31cの外面の切削量を大きくして円筒部31cの外径サイズを設計値M2よりも小さくさせることで、貫通穴32cの内面と円筒部31cの外面の間のスペースを広くさせて、適正な嵌合クリアランスを得る。
つまり、いずれの場合も、実際の楔状部材35、36の形状に対応するように、円筒部31cや貫通穴32cの側での切削加工によって径サイズが調整される。具体的な作業工程としては、まず楔状部材35、36の形状、厳密には内筒面35a、36aにおける円筒部31c内面との接触域と外筒面35b、36bにおける貫通穴32c内面との接触域の幅寸法や、内筒面35a、36a及び外筒面35b、36bにおける該接触域での径サイズや曲率を測定する。そして、得られた測定値に応じて、円筒部31cの外径サイズや貫通穴32cの内径サイズ、すなわち切削加工量が決定される。その後、前述したカッター46、56を用いた切削加工が行われて、決定された径サイズに整えられる。理想的には、楔状部材35、36について個別の製品ごとに形状を測定して、それに対応した円筒部31cや貫通穴32cの切削加工量を設定することが望ましいが、一般的に、部品精度は製造ロットごとに概ね似た傾向になるので、形状測定や切削量の設定は、製造ロット単位で行うのが手間やコストの観点から現実的である。
以上のような楔状部材35、36の形状を加味した切削加工量の調整は、円筒部31c側と貫通穴32c側の両方で行うと精度を高めることができるが、楔状部材35、36を楔として確実に機能させることができれば、円筒部31cと貫通穴32cのいずれか一方だけを調整することとしてもよい。なお、円筒部31cについては、その内面側が回転シャフト33の軸受部として機能する関係上、切削量をあまり大きくせずに適度な肉厚を残すことが好ましい。
このように円筒部31cや貫通穴32cの径サイズ(切削加工量)の変化によって楔状部材35、36に対する軸受面位置を調整することによって、サイズや形状を異ならせた複数種の楔状部材35、36を予め準備しておくこと、そして個別の歯車機構30の組み立ての都度、適切なサイズの楔状部材35、36に差し替えること、はいずれも不要となる。その結果、製造コストを抑えることができ、また部品の管理も容易になる。
以上、図示実施形態に基づいて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、発明の要点を逸脱しない限りにおいて異なる構成にすることが可能である。例えば、実施形態では、外歯歯車31に円筒部31cを設け、この円筒部31cが挿入される貫通穴32cを内歯歯車32に形成しているが、この関係を逆にすることもできる。
本発明による外歯歯車と内歯歯車を備えたタウメル式リクライニング装置の一例を示す縦断面図である。 図1のリクライニング装置を、アッパアームとロアアームを除いて示した左側面図である。 図1のリクライニング装置の主要部の分解斜視図である。 外歯歯車を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。 内歯歯車を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)のB-B断面図である。 外歯歯車を保持するクランプ治具と、外歯歯車の円筒部外面を切削加工するカッターを示す斜視図である。 内歯歯車を保持するクランプ治具と、内歯歯車の貫通穴内面を切削加工するカッターを示す斜視図である。 クランプ治具によって外歯歯車を保持した状態を、チャックの拡縮部先端側から見た図である。 図8の保持状態におけるクランプ治具側の保持歯と外歯歯車の外歯の噛合部分を拡大して示した図である。 クランプ治具によって内歯歯車を保持した状態を、チャックの拡縮部を断面としてクランプ治具の本体部側から見た図である。 図10の保持状態におけるクランプ治具側の保持歯と内歯歯車の内歯の噛合部分を拡大して示した図である。 内歯歯車の貫通穴の内面に対する切削加工量の変化を示した図である。 外歯歯車の中心円筒部の外面に対する切削加工量の変化を示した図である。 楔状部材の嵌合クリアランスが設計値よりも大きくなっている場合の外歯歯車と内歯歯車の軸部付近を示す比較図である。
符号の説明
10 ロアアーム
11 嵌合穴
13 連結軸
20 アッパアーム
21 嵌合穴
30 歯車機構
31 外歯歯車
31a 固定突起
31b 外歯
31c 円筒部
31d 凹部
31e ストッパ突起
32 内歯歯車
32a 固定突起
32b 内歯
32c 貫通穴(円形穴)
32d 凹部
32e ストッパ突起
32f 円筒リブ状部
33 回転シャフト
35 36 楔状部材
35a 36a 内筒面
35b 36b 外筒面
37 スプリング
38 押さえ部材
40 クランプ治具(保持手段)
41 本体部
42 チャック
43 拡縮部(分割部)
43a 環状フランジ
43b 凹部
43c 保持歯
44 中央開口部
45 空隙
46 カッター(切削刃物)
50 クランプ治具(保持手段)
51 本体部
52 チャック
53 拡縮部(分割部)
53a 保持歯
54 中央開口部
55 空隙
56 カッター(切削刃物)

Claims (2)

  1. シートクッションとシートバックのいずれか一方に、該シートバックの傾動中心部に位置させて固定される外歯歯車;
    該外歯歯車の外歯に噛み合う該外歯よりも歯数が多い内歯が形成され、シートクッションとシートバックの他方に固定される内歯歯車;
    外歯歯車と内歯歯車の一方と他方にそれぞれの軸を中心として設けられた大径の円形穴と該円形穴より小径の円筒部;及び
    上記円形穴の内面と円筒部の外面の間に挿入されていて、常時は外歯歯車と内歯歯車の相対運動を規制し、正逆方向の回転力を付与することによって、外歯歯車と内歯歯車を噛合部位を変えながら相対的に揺動回転させる一対の楔状部材;
    を備えたリクライニング装置において、
    上記一対の楔状部材における上記円形穴の内面及び円筒部の外面との接触域の形状を組み付け前に測定するステップと、
    該測定値に基づき上記円筒部外面と円形穴内面の少なくとも一方の径サイズを決定して加工するステップと
    を有することを特徴とするリクライニング装置の製造方法。
  2. 請求項1記載のリクライニング装置の製造方法において、上記円筒部外面と円形穴内面の少なくとも一方を加工するステップでは、切削刃物に対して外歯歯車と内歯歯車の少なくとも一方を相対回転させて、該切削刃物による切削加工を行うリクライニング装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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