JP5385422B2 - リクライニング装置 - Google Patents
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本発明は、外周面には外歯が形成され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの一方の側の部材に設けられる外歯歯車と、該外歯歯車の外歯に噛み合い、前記外歯よりも歯数が多い内歯が刻設され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの他方の側の部材に設けられる内歯歯車とを有し、前記外歯歯車の回転軸、前記内歯歯車の回転軸のうちの一方の回転軸が、他方の回転軸の回りを公転するリクライニング装置に関する。
無段階の調整が可能なリクライニング装置として、外周面には外歯が形成され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの一方の側の部材に設けられる外歯歯車と、該外歯歯車の外歯に噛み合い、前記外歯よりも歯数が多い内歯が刻設され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの他方の側の部材に設けられる内歯歯車とを有し、前記外歯歯車の回転軸、前記内歯歯車の回転軸のうちの一方の回転軸が、他方の回転軸の回りを公転するリクライニング装置がある。
そして、このようなリクライニング装置に用いられる外歯車の外歯の形状、内歯車の内歯の形状は、図13に示すようにインボリュート歯である。即ち、図において、範囲B部分の外歯歯車1の外歯3の内歯歯車5の内歯7と噛み合う面は、内歯7方向に突出した凸面である。又、範囲A部分の内歯歯車5の内歯7の外歯歯車1の外歯3と噛み合う面は、外歯3から離れる方向にへこんだ凹面である(例えば、特許文献1参照)。
このようなリクライニング装置の内歯歯車、外歯歯車の製造は、厚い鋼板をプレス加工によって、厚さ方向に押し込むようにして成形することによってなされている。このため、内歯歯車の内歯が外歯と噛み合う面、外歯歯車の外歯が内歯と噛み合う面には、0.01mm程度の表面粗さ(凹凸)が発生する。そして、外歯と内歯とが噛み合っている場合、外歯の内歯と噛み合う面と、内歯の外歯と噛み合う面との間隔が、表面粗さ(例えば、0.01mm)以下である範囲は、図13において範囲C部分となる。
外歯の内歯と噛み合う部分あるいはその近傍、または、内歯の外歯と噛み合う部分あるいはその近傍に、表面粗さによる凸部があると、外歯と内歯とが噛み合う際に、凸部が相手の歯に当たり、外歯歯車の公転軌道がずれ、操作力が重くなる現象が発生する。
また、表面粗さによる凸部があると、内歯と外歯とは、範囲C部分の内のどこかで噛み合う。範囲C部分が広いと、噛み合う箇所が、内歯歯車、外歯歯車の半径方向に大きくばらつき、操作力が変動する問題点がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、操作力が軽く、操作力の変動が少ないリクライニング装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、外周面には外歯が形成され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの一方の側の部材に設けられる外歯歯車と、該外歯歯車の外歯に噛み合い、前記外歯よりも歯数が多い内歯が刻設され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの他方の側の部材に設けられる内歯歯車とを有し、前記外歯歯車の回転軸、前記内歯歯車の回転軸のうちの一方の回転軸が、他方の回転軸の回りを公転するリクライニング装置において、前記外歯歯車の回転軸、前記内歯歯車の回転軸のうちの一方の回転軸が、他方の回転軸の回りを公転するのをロックする機構を設け、前記外歯の前記内歯と噛み合う面を凸面、前記内歯の前記外歯と噛み合う面を平面としたことを特徴とするリクライニング装置である。
外周面には外歯が形成され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの一方の側の部材に設けられる外歯歯車と、該外歯歯車の外歯に噛み合い、前記外歯よりも歯数が多い内歯が刻設され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの他方の側の部材に設けられる内歯歯車とのうちの一方の歯車が回転すると、前記外歯歯車の回転軸、前記内歯歯車の回転軸のうちの一方の回転軸が、他方の回転軸の回りを公転し、シートバックとシートクッションとの間の角度が変化する。
請求項2に係る発明は、前記外歯は、インボリュート歯であることを特徴とする請求項1記載のリクライニング装置である。
請求項1−2に係る発明によれば、前記外歯の前記内歯と噛み合う面を凸面、前記内歯の前記外歯と噛み合う面を平面であることにより、従来の両方ともインボリュート歯(凸面と、凸面から離れる方向にへこんだ凹面)の場合に比べて、外歯の内歯と噛み合う面と内歯の外歯と噛み合う面との間隔の広がり方が急である。
よって、噛み合う部分から同じ距離だけ離れた箇所に表面粗さによる同じ高さの凸部があった場合、本発明の方が、従来に比べて、凸部による外歯の公転軌道のずれが小さくなり、操作力が軽くなる。
又に、外歯と内歯とが噛み合う際、外歯の内歯と噛み合う面と内歯の外歯と噛み合う面との間隔が表面粗さ以下である範囲が、従来よりも狭いことにより、内歯と外歯とが噛み合う箇所の内歯歯車、外歯歯車の半径方向でのばらつきが小さくなり、操作力の変動が少なくなる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。図2〜図6において、ロアアーム20は、シートクッション側の部材であり、図6に示すように、このロアアーム20における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、複数(6個)の嵌合穴21が同一円周上に位置するよう穿設されている。
アッパアーム10は、シートバック側の部材であり、図6に示すように、このアッパアーム10における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、複数(6個)の嵌合穴11が同一円周上に位置するように穿設されている。
歯車機構30は、特に図2に示すように、アッパアーム10とロアアーム20との間に装着され、アッパアーム10の傾斜角を調整するもので、この歯車機構30内の外歯歯車31と内歯歯車32に、アッパアーム10の嵌合穴11とロアアーム20の嵌合穴21とに嵌合する複数の円柱状突起31a,32aが設けられている。
外歯歯車31は、図7に示すように略円板状をしており、外周面には外歯31bが形成され、中央には、内歯歯車32方向に延びる円筒部31fが形成されている。そして、外歯歯車31は、側面に形成された複数(6個)の突起31aをアッパアーム10の嵌合穴
11に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、アッパアーム10に溶接される。
11に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、アッパアーム10に溶接される。
内歯歯車32も、図8に示すように略円板状をしている。内歯歯車32には、外歯歯車31の外歯31bよりも歯数が少なくとも一つ多く形成された、外歯31bと内接する内歯32bが刻設されている。又、内歯歯車32の中央には、円形の貫通穴32fが穿設されている。この貫通穴32fに、外歯歯車31の円筒部31fが挿通している。内歯歯車32は、側面の複数(6個)の円柱状突起32aをロアアーム20の嵌合穴21に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、ロアアーム20に溶接される。
外歯歯車31と内歯歯車32の対向面の内、外歯歯車31の対向面には、略円弧状の空間が生じるように凹部31cが形成され、内歯歯車32の対向面には、凹部31c内に突出した凸部32cが形成されている。歯車機構30内の内歯歯車32は、シートバックの傾斜角を調整するものであるから、当然、外歯歯車31に対して回動するが、その回動範囲を一定範囲内に規制する必要もある。この回動規制用ストッパとして機能するものが、上記凹部31cと凸部32cであり、凹部31cの側壁31dに凸部32cを当接させることで、外歯歯車31の回動を一定範囲内に規制している。
外歯歯車31の円筒部31fには、図9に示すようなフランジ付きの回転シャフト33の首部33aが回転自在に嵌入されている。回転シャフト33はフランジ部(ストライカ)33b、首部33a、首部33aに形成された環状溝33d、図2に示すギア100が取り付けられる第1セレーション部33i、他方の側のリクライニング装置の回転シャフトに回転を伝達する連結ロッド(図示せず)が取り付けられる第2セレーション部33jが形成されている。フランジ部33bには、円弧状の切り欠き部33cが形成されている。回転シャフト33は、シートバックの傾斜角の調整時に回転駆動されるものである。
又、内歯歯車32の貫通穴32fには、耐摩耗性に優れた円筒部形のブッシュ34が嵌め込まれ、固定されている。更に、ブッシュ34の内周面と外歯歯車31の円筒部31fの外周面との間には、両者に接触するように、一対の楔状部材(第1の楔状部材)35、楔状部材(第2の楔状部材)36が挿入されている。
楔状部材35、36は面対称の形状を有するもので、楔状部材35の形状を図5、図10に示した。楔状部材35、楔状部材36の内周面35a、内周面36aは、外歯歯車31の円筒部31f外周面と略同一の内径を有し、楔状部材35、楔状部材36の外周面35b、外周面36bは、ブッシュ34の内径と略同一の外径を有している。楔状部材35、楔状部材36の内周面35a、内周面36aと外周面35b、外周面36bは、その中心軸が一致していないことにより、肉厚が楔状に変化している。
さらに、楔状部材35、楔状部材36には、外歯歯車31の円筒部31fの先端面に当接可能なひれ部35e、ひれ部36eが形成されている。
本実施の形態例では、楔状部材35、楔状部材36の内周面35a、内周面36aと対向する外歯歯車31の円筒部31fの外周面と、楔状部材35、楔状部材36の外周面35b、外周面36bと対向するブッシュ34の外周面(内歯歯車32の貫通穴32fの内周面)とが、回転シャフト33の軸方向で略同じ位置にあるようにした。
図3に示すように楔状部材35の薄肉側の側端面35cと、楔状部材36の薄肉側の側端面36cとの空間内に、回転シャフト33に一体的に形成されたストライカとしてのフランジ部33bが張り出している。このため、回転シャフト33が図3において反時計方向に回転すると、回転シャフト33の切り欠き部33cの側壁33gが、楔状部材35の側端面35cに当接し、逆に、回転シャフト33が図3において時計方向に回転すると、回転シャフト33の切り欠き部33cの側壁33hが、反対側の楔状部材36の側端面36cに当接するようになっている。
楔状部材35、楔状部材36は、厚肉側が対向するように、ブッシュ34の内周面と外歯歯車31の円筒部31fの外周面との間に配置され、外歯歯車31に対して内歯歯車32を偏心させ、外歯31bに内歯32bを噛合させるものである。この楔状部材35、楔状部材36により、回転シャフト33は、後述のように、内歯32bと外歯31bを噛み合わせ、外歯歯車31及び内歯歯車32の何れか一方を他方の歯車軸を中心に公転させることができる。楔状部材35、36は、図11に示すような付勢手段としてのスプリング37から互い離反する方向の付勢力を受けている。
このスプリング37は、中間部が1ターンの環状部分37aと、この環状部分37aから立ち上がった端部37b,37cからなり、環状部分37aは、内歯歯車32と外歯歯車31との間の空間以外の部分、本実施の形態例では、内歯歯車32とロアアーム20との間で、回転シャフト33を巻回するように配置されている。又、端部37bは、楔状部材35の厚肉側の側端面に形成された溝部35dに係止され、端部37cは、楔状部材36の厚肉側の側端面に形成された溝部36dに係止されている。更に、ロアアーム20は、内歯歯車32を覆うような形状に設定されている。
円筒部状の押さえ部材38は、内歯歯車32の外周面に嵌合しており、且つ、その両端部は中心軸側に突出され、外歯歯車31と内歯歯車32を挟んでいる。これにより、外歯歯車31と内歯歯車32とが軸方向に離れることを規制できる。尚、回転シャフト33の環状溝33dには、抜け止め用のリング39が係止されている。
そして、本形態例では、図1に示すように、範囲A’部分の内歯歯車32の内歯32bの外歯歯車31の外歯31bと噛み合う面を平面とし、範囲B’部分の外歯歯車31の外歯31bの内歯歯車32の内歯32bと噛み合う面を内歯32bの平面方向に突出した凸面を形成するインボリュート歯とした。
次の、上記実施の形態例の作動を説明する。回転シャフト33に外部から回転操作力を加えない状態では、スプリング37は、楔状部材35、36を離反する方向に付勢し、両楔状部材35、36に楔を打ち込む方向の力を与えている。このため、内歯歯車32と回転シャフト33との相対運動は禁止され、歯車機構30は、外歯歯車31の外歯31bと内歯歯車32の内歯32bとが噛み合うロック状態にあり、シートバックはその位置にロックされている。
このロック状態において、回転シャフト33を例えば図3における時計方向に回すと、回転シャフト33の側壁33hから楔状部材36の側端面36cに楔状部材36を隙間から引き抜く方向の力が働き、回転シャフト33及び楔状部材36は、内歯歯車32に対して時計方向に回転する。この結果、楔状部材36と周辺部材との間に隙間が発生し、内歯歯車32が移動可能になる。すると、スプリング37の付勢力を受けている楔状部材35がこの隙間を埋めるべく、時計方向に回転する。
この連動動作により、楔状部材36、35は回転シャフト33と共に時計方向に回転す
ることになる。反時計方向の回転についても同様である。よって、内歯歯車32は、内歯32bが外歯31bに噛み合う偏心位置で回転シャフト33に支持されることになり、外歯歯車31,内歯歯車32及び回転シャフト33は、歯車機構を構成していることになる。
ることになる。反時計方向の回転についても同様である。よって、内歯歯車32は、内歯32bが外歯31bに噛み合う偏心位置で回転シャフト33に支持されることになり、外歯歯車31,内歯歯車32及び回転シャフト33は、歯車機構を構成していることになる。
このように、回転シャフト(フランジ部33b)33を回転させることにより、外歯歯車31の外歯31bと内歯歯車32の内歯32bとの噛み合い位置が変わり、アッパアーム10をロアアーム20に対して傾動させ、シートバックの傾斜角を調整することができる。
本形態例によれば、内歯歯車32の内歯32bの外歯歯車31の外歯31bと噛み合う面を平面とし、外歯歯車31の外歯31bの内歯歯車32の内歯32bと噛み合う面を内歯32bの平面方向に突出した凸面を形成するインボリュート歯としたことにより、従来の両方ともインボリュート歯(凸面と、凸面から離れる方向にへこんだ凹面)の場合に比べて、外歯31bの内歯32bと噛み合う面と内歯32bの外歯31bと噛み合う面との間隔の広がり方が急である。よって、噛み合う部分から同じ距離だけ離れた箇所に表面粗さによる同じ高さの凸部があった場合、本形態例の方が、従来に比べて、凸部による外歯31bの公転軌道のずれが小さくなり、操作力が軽くなる。
また、内歯歯車32の内歯32bの外歯歯車31の外歯31bと噛み合う面を平面とし、外歯歯車31の外歯31bの内歯歯車32の内歯32bと噛み合う面を内歯32bの平面方向に突出した凸面を形成するインボリュート歯とした。よって、外歯31bの内歯32bと噛み合う面と、内歯32bの外歯31bと噛み合う面との間隔が、表面粗さである0.01mm以下である範囲(図1における範囲C’部分)が、内歯、外歯ともインボリュート歯の場合(図13参照)より、狭くなる。よって、内歯32bと外歯31bとが噛み合う箇所の内歯歯車32、外歯歯車31の半径方向でのばらつきが小さくなり、操作力の変動が少なくなる。
尚、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではない。例えば、上記形態例では、外歯の内歯と噛み合う面を凸面、内歯の外歯と噛み合う面を平面としたが、逆に、外歯の内歯と噛み合う面を平面、内歯の外歯と噛み合う面を凸面としてもよい。
また、凸面を形成する歯の形状として、インボリュート歯に限定するものではない。例えば、サイクロイド歯等であってもよい。
更に、上記実施の形態例では、外歯歯車31をアッパアーム10に取り付け、内歯歯車32をロアアーム20に取り付けたが、この逆であってもよい。
本願発明者は、図2−図11に示す構成のリクライニング装置で、内歯32bが、形態例のように平面である場合のほうが、従来のリクライニング装置のようにインボリュート歯である場合より、操作力が小さくなることを実験により確認した。
具体的には、モータを用いて回転シャフト33を駆動したときの、モータの電流値を計測した。図において、縦軸がモータの電流値、横軸がシートバックのリクライニング角度である。
実験は、最前傾位置にあるシートバックを最後倒位置まで傾動させ、引き続き、最後倒位置から最前傾位置まで前傾させ、電流値を測定した。
内歯32bが平面であるリクライニング装置では、シートバック側に30kgの負荷を加えた場合と、無負荷の場合とで測定を行った。
又、内歯32bがインボリュート歯であるリクライニング装置でも、シートバック側に30kgの負荷を加えた場合と、無負荷の場合とで測定を行った。
図に示すように、内歯32bが平面であるリクライニング装置の方が、内歯32bがインボリュート歯であるリクライニング装置よりも、シートバック側に30kgの負荷を加えた場合、無負荷の場合いずれの場合においても、電流値が小さく、操作力が軽いことが確認できた。
31 外歯歯車
31b 外歯
32 内歯歯車
32b 内歯
31b 外歯
32 内歯歯車
32b 内歯
Claims (2)
- 外周面には外歯が形成され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの一方の側の部材に設けられる外歯歯車と、
該外歯歯車の外歯に噛み合い、前記外歯よりも歯数が多い内歯が刻設され、シートクッション側の部材、シートバック側の部材のうちの他方の側の部材に設けられる内歯歯車とを有し、前記外歯歯車の回転軸、前記内歯歯車の回転軸のうちの一方の回転軸が、他方の回転軸の回りを公転するリクライニング装置において、
前記外歯歯車の回転軸、前記内歯歯車の回転軸のうちの一方の回転軸が、他方の回転軸の回りを公転するのをロックする機構を設け、
前記外歯の前記内歯と噛み合う面を凸面、
前記内歯の前記外歯と噛み合う面を平面としたことを特徴とするリクライニング装置。 - 前記外歯は、インボリュート歯であることを特徴とする請求項1記載のリクライニング装置。
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