JP2009008781A - 感光性樹脂組成物及びその積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)カルボン酸を含有し、酸当量が100〜600であり、重量平均分子量が5,000〜500,000のアルカリ可溶性高分子:20〜80質量%、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマー:5〜60質量%、(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%、及び(d)ロイコ染料:0.1〜3質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマーとして特定の化合物を含有し、(c)光重合開始剤として特定の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性樹脂積層体を用いる。
【選択図】なし
Description
上記のフォトリソグラフィー法においては、感光性樹脂組成物を基板上に塗布するにあたって、フォトレジスト溶液を基板に塗布して乾燥させる方法、または支持体、感光性樹脂組成物からなる層(以下、「感光性樹脂層」ともいう。)、及び必要によっては保護層、を順次積層した感光性樹脂積層体(以下、「ドライフィルムレジスト」という。)を基板に積層する方法のいずれかが使用される。そして、プリント配線板の製造においては、後者のドライフィルムレジストが使用されることが多い。
まずドライフィルムレジストが保護層、例えば、ポリエチレンフィルムを有する場合には、感光性樹脂層からこれを剥離する。次いでラミネーターを用いて基板、例えば、銅張積層板の上に、該基板、感光性樹脂層、支持体の順序になるように感光性樹脂層及び支持体を積層する。次いで配線パターンを有するフォトマスクを介して、該感光性樹脂層を超高圧水銀灯が発するi線(365nm)等の紫外線で露光することによって、露光部分を重合硬化させる。次いで支持体、例えばポリエチレンテレフタレートを剥離する。次いで現像液、例えば、弱アルカリ性を有する水溶液により感光性樹脂層の未露光部分を溶解又は分散除去して、基板上にレジストパターンを形成させる。
エッチングにより金属部分を除去する方法では、基板の貫通孔(スルーホール)や層間接続のためのビアホールに対して、硬化レジスト膜で覆うことにより孔内の金属がエッチングされないようにする。この工法はテンティング法と呼ばれる。エッチング工程には、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、又は銅アンモニア錯体溶液が用いられる。
また一方、プリント配線板製造技術において、レーザーによる直接描画、つまり、フォトマスクを不要とするマスクレス露光が近年急激な広がりを見せている。マスクレス露光の光源としては波長350〜410nmの光、特にi線又はh線(405nm)が用いられる場合が多い。マスクレス露光では、露光時に基板の位置合わせのためにアライメントマークを必要とする。このアライメントマークは、パターン露光の前に、アライメントマークのみを事前に露光することによって作成する。このため、露光「直後」に感光性樹脂層が良好な露光後コントラストを有さなければ、パターン露光までのタクトタイムが長くなり、時間あたりの生産量が悪くなる。よって、露光「直後」の感光性樹脂層が極めて良好な露光後コントラストを有することが要求されているのが現状である。
なお、特許文献4には、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、または2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸を含有する感光性樹脂組成物の開示があるが、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体との組み合わせについては開示が無い。
(1)(a)カルボン酸を含有し、酸当量が100〜600であり、重量平均分子量が5,000〜500,000のアルカリ可溶性高分子:20〜80質量%、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマー:5〜60質量%、(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%、及び(d)ロイコ染料:0.1〜10質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマーとして下記一般式(I)で表される化合物を含有し、(c)光重合開始剤として下記一般式(II)で表される2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
(5)(4)記載の感光性樹脂積層体を用いて、基板上に感光性樹脂層を積層し、露光し、現像する工程を含むレジストパターン形成方法。
(6)上記露光工程において、直接描画することを特徴とする(5)に記載のレジストパターン形成方法。
(7)基板としてガラスリブペーストを塗布したガラス基板を用い、(5)又は(6)に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板を、サンドブラスト工法によって加工し、レジストパターンを剥離することを特徴とする凹凸パターンを有する基材の製造方法。
(9)基板として金属被覆絶縁板を用い、(5)又は(6)に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板をエッチング、またはめっきし、レジストパターンを剥離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
(10)基板として金属板を用い、(5)又は(6)に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板を、エッチングし、レジストパターンを剥離することを特徴とするリードフレームの製造方法。
(11)基板としてLSIとしての回路形成が終了したウェハを用い、(5)又は(6)に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板を、めっきし、レジストパターンを剥離することを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
<感光性樹脂組成物>
(a)アルカリ可溶性高分子
本発明の感光性樹脂組成物における(a)アルカリ可溶性高分子とは、カルボン酸を含有し、酸当量が100〜600であり、重量平均分子量が5,000〜500,000のアルカリ可溶性高分子である。
アルカリ可溶性高分子のカルボキシル基は、感光性樹脂組成物がアルカリ水溶液からなる現像液や剥離液に対して、現像性や剥離性を有するために必要である。酸当量は100〜600が好ましく、より好ましくは250〜450である。溶媒、または組成物中の他の成分、特に後述する(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマーとの相溶性を確保するという観点から100以上であり、また現像性や剥離性を維持するという観点から600以下である。ここで酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有するアルカリ可溶性高分子の質量(グラム)をいう。なお酸当量の測定は、平沼レポーティングタイトレーター(COM−555)を用い、0.1mol/LのNaOH水溶液で電位差滴定法により行われる。
示差屈折率計:RI−1530
ポンプ:PU−1580
デガッサー:DG−9−80−50
カラムオーブン:CO−1560
カラム:順にKF−802.5、KF−806M×2、KF−807
溶離液:THF
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸又は酸無水物である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステルが挙げられる。中でも、特に(メタ)アクリル酸が好ましい。
ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/又はメタクリルを示す。以下同様である。
(a)アルカリ可溶性高分子の、感光性樹脂組成物の総和に対する割合は、20〜80質量%の範囲であり、好ましくは30〜70質量%である。露光、現像によって形成されるレジストパターンが、レジストとしての特性、例えば、テンティング、エッチング及び各種めっき工程において十分な耐性を有するという観点から20質量%以上80質量%以下が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマーには、下記一般式(I)、で表される化合物を含む。
上記一般式(I)で表される化合物としては、R1がCH3であり、AがC2H4でa=1、b=0である2−メタアクリロイルオキシエチルフタル酸(CB−1(新中村化学工業(株)製)として市販)、及び、R1がHであり、AがC3H6でa=1、b=0である2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ビスコート#2100(大阪有機化学工業(株)製)として市販)が挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物の、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる量は、感光性樹脂組成物中に1〜40質量%含まれることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。この量は、露光後の良好なコントラスト性を有するという観点から1質量%以上が好ましく、また、解像性及び密着性の低下を抑えるという観点から40質量%以下が好ましい。
本発明に用いられる(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマーの感光性樹脂組成物の総和に対する割合は、5〜60質量%の範囲であり、好ましくは10〜50質量%である。感度、解像度、密着性が向上する観点から5質量%以上が好ましく、エッジフューズが抑制される観点から60質量%以下が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において(c)光重合開始剤としては、下記一般式(II)で表される2,4,5−トリアリ−ルイミダゾ−ル二量体を必須成分として含む。
2,4,5−トリアリ−ルイミダゾ−ル二量体には、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾ−ル二量体、2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体があるが、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体が好ましい。
2,4,5−トリアリ−ルイミダゾ−ル二量体の含有量は、感光性樹脂組成物中に0.1〜20質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.2〜15質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。この量は、感度が向上するという観点から0.1質量%以上であり、また、解像度が向上するという観点から20質量%以下である。
本発明に用いられる(c)光重合開始剤としては、前記した一般式(II)で表される2,4,5−トリアリ−ルイミダゾ−ル二量体とp−アミノフェニルケトンを併用する系が好ましい。p−アミノフェニルケトンとしては、例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノンがあげられる。
他の光重合開始剤としては、ピラゾリン類、例えば、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、キノン類、例えば、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、芳香族ケトン類、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アクリジン化合物、例えば、9−フェニルアクリジン、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジルジエチルケタ−ルがある。
また他の光重合開始剤としては、オキシムエステル類、例えば、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムがある。また、N−アリ−ル−α−アミノ酸化合物も他の光重合開始剤として用いることも可能であり、これらの中ではN−フェニルグリシンが特に好ましい。
(c)光重合開始剤の割合は、0.1質量%〜20質量%である。この割合が0.1質量%未満であると十分な感度が得られない。また、この割合が20質量%を超えると、露光時にフォトマスクを通した光の回折によるかぶりが発生しやすくなり、その結果として解像性が悪化する。含有量は、0.1〜15質量%がより好ましく、0.1〜10質量%は更に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中には、(d)ロイコ染料を0.1〜10質量%含有する。このようなロイコ染料としては、ロイコクリスタルバイオレット、フルオラン染料が挙げられる。中でも、ロイコクリスタルバイオレットを用いた場合、コントラストが良好であり好ましい。フルオラン染料としては、例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−ブロモ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオランが挙げられる。
感光性樹脂組成物中に、(d)ロイコ染料とハロゲン化合物を組み合わせて用いることは、密着性及びコントラストの観点から、本発明の好ましい実施形態である。
ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、ハロゲン化トリアジン化合物が挙げられる。
ハロゲン化合物を含有する場合、感光性樹脂組成物中のハロゲン化合物の含有量は、0.01〜10質量%が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物においては、下記に挙げる(e)ウレタンプレポリマーを含有することは、好ましい実施形態である。(e)ウレタンプレポリマーを含有することで、耐サンドブラスト性に優れるという効果を有する。
本発明の組成物の(e)成分のウレタンプレポリマーは、(A)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、(B)ポリイソシアネートの付加重合により得られるポリウレタンの末端イソシアネート基に対して(C)活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物を反応させることによって得られる。
本発明で用いられる、(e)ウレタンプレポリマーを得るための、(A)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーとしては、下記一般式(III)及び(IV)で示される化合物からなる群より選ばれる1種類以上の化合物を含有することが必須である。
上記一般式(IV)で示される化合物は、PTMGの末端水酸基を利用してラクトンを開環重合させたポリオール化合物である。上記一般式(IV)において、iは1以上が好ましく、レジストパターンの密着性向上の観点から10以下が好ましい。jは、レジストパターンの密着性向上の観点から4以上が好ましく現像性維持の観点から70以下が好ましい。kは1以上が好ましく、レジストパターンの密着性向上観点から10以下が好ましい。好ましい構造には、下記一般式(VIII)で代表されるような、ポリテトラメチレングリコールの両末端をポリカプロラクトンで変性したグリコール化合物も挙げられる。
上記一般式(III)、または(IV)で示される化合物の水酸基価は、22〜380mgKOH/gが好ましい。レジストパターンの密着性を向上させる点から380mgKOH/g以下が好ましく、良好な現像性を維持する点から22mgKOH/g以上が好ましい。より好ましくは28〜230mgKOH/gである。更に好ましくは32〜115mgKOH/gである。極めて好ましくは32〜78mgKOH/gである。
(水酸基価)=A/(1−0.00075A)−B
水酸基価を測定する方法の一例を下記する。3g程度の試料を精密に秤量し、無水酢酸とピリジンとNMP(N−メチルピロリドン)をそれぞれ1質量部、4質量部、15質量部の割合で混合した溶液20mlに溶解する。得られた溶液を100℃のオイルバスで5時間攪拌し、更に5g程度の精製水を加え更に1時間100℃で攪拌する。溶液を室温にまで冷却した後、指示薬としてフェノールフタレインのメタノール溶液を数滴添加し、1/2規定の水酸化カリウム水溶液で中和滴定しアセチル化後のケン化価を測定する。アセチル化前のケン化価は上記において、試料を含有しない溶液について同様の処理と中和滴定を行い求める。
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコールアジペート、ポリプロピレングリコールアジペート、ポリ(1,4―ブタンジオール)アジペートに代表されるポリエステルポリオールや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールに代表されるポリエーテルポリオールや、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールに代表されるラクトンジオールや、ポリカーボネートジオールや、末端水酸基を有する1,4−ポリブタジエン、水添、または非水添1,2−ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。
そのようなモノマーとしては、グリコール類、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが挙げられる。本発明のウレタンプレポリマーにカルボン酸を導入する場合には、分子内にカルボキシル基を有するジオール、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸を用いることもできる。
(e)成分のウレタンプレポリマーの重量平均分子量は1,500以上50,000以下が好ましい。耐サンドブラスト性を維持する点から1,500以上が好ましく、現像性を維持する点から50,000以下が好ましい。より好ましくは5,000以上30,000以下である。更に好ましくは9,000以上25,000以下である。ここでいう重量平均分子量とはGPC法(カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン)によるポリスチレン換算重量平均分子量のことである。
酸価を測定する方法の一例を下記する。5g程度の試料を精密に秤量し、アセトンとメタノールを50質量部づつ混合した溶液20mlに溶解する。指示薬としてフェノールフタレインのメタノール溶液を数滴加えた後、1/10規定の水酸化カリウム水溶液で中和滴定して、中和に必要な水酸化カリウムのミリグラム数を求める。
(e)ウレタンプレポリマーの含有量は感光性樹脂組成物の全質量に対して10質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以上65質量%以下、更に好ましくは25質量%以上60質量%以下である。十分な耐サンドブラスト性を確保する点から10質量%以上であり、現像性を確保する点から70質量%以下が好ましい。
(e)ウレタンプレポリマーは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記着色物質を含有する場合の添加量は、感光性樹脂組成物中に0.001〜1質量%含むことが好ましい。0.001質量%以上の含量では、取扱い性向上という効果があり、1質量%以下の含量では、保存安定性を維持するという効果がある。
上記安定剤を含有する場合の添加量は、感光性樹脂組成物中に0.01〜3質量%含むことが好ましく、より好ましくは0.05〜1質量%である。0.01質量%以上の含量では、感光性樹脂組成物に保存安定性を付与するという効果があり、3質量%以下の含量では、感度を維持するという効果がある。
本発明の感光性樹脂積層体は、感光性樹脂層とその層を支持する基材フィルムからなる支持体からなるが、必要により感光性樹脂層の支持体と反対側の表面に保護層を有しても良い。ここで用いられる基材フィルムとしては、露光光源から放射される光を透過する透明なものが望ましい。このような基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルムが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用可能である。ヘーズは5以下のものが好ましい。フィルムの厚みは、薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から10〜30μmのものが好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚みは、用途において異なるが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは7〜60μmであり、薄いほど解像度は向上し、また厚いほど膜強度が向上する。
上記溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)に代表されるケトン類、並びにメタノール、エタノール及びイソプロパノールに代表されるアルコール類が挙げられる。支持体上に塗布する感光性樹脂組成物の溶液の粘度が、25℃で500〜4000mPa・sとなるように感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
本発明の感光性樹脂積層体を用いたレジストパターンは、積層工程、露光工程、及び現像工程を含む工程によって形成することができる。具体的な方法の一例を示す。
基板としては、プリント配線板製造目的の場合には銅張積層板が、また凹凸基材の製造目的にはガラスリブペーストを塗布したガラス基板、例えば、プラズマディスプレイパネル用基板や表面電解ディスプレイ基板、有機EL封止キャップ用基板や、貫通孔を形成したシリコーンウエハー及びセラミック基板が挙げられる。プラズマディスプレイ用基板とは、ガラス上に電極を形成後、誘電体層を塗布し、次いで隔壁用ガラスペーストを塗布し、隔壁用ガラスペースト部分にサンドブラスト加工を施し隔壁を形成した基板である。これら基板についてサンドブラスト工程を経たものが、凹凸基材となる。
まずラミネーターを用いて積層工程を行う。感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着し積層する。この場合、感光性樹脂層は基板表面の片面だけに積層しても良いし、両面に積層しても良い。この時の加熱温度は一般的に40〜160℃である。また該加熱圧着は二回以上行うことにより密着性及び耐薬品性が向上する。この時、圧着は二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用しても良いし、何回か繰り返してロールに通し圧着しても良い。
上述の工程によってレジストパターンが得られるが、場合によっては、さらに100〜300℃の加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、更なる耐薬品性向上が可能となる。加熱には熱風、赤外線、遠赤外線の方式の加熱炉を用いる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、基板として銅張積層板やフレキシブル基板を用いた上述のレジストパターン形成方法に続いて、以下の工程を経ることで行われる。
まず現像により露出した基板の銅面をエッチング法、またはめっき法といった既知の方法を用いて導体パターンを形成する。
その後、レジストパターンを現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離して所望のプリント配線板を得る。剥離用のアルカリ水溶液(以下、「剥離液」ともいう。)についても特に制限はないが、濃度2〜5質量%、温度40〜70℃のNaOH、KOHの水溶液が一般的に用いられる。剥離液にも、少量の水溶性溶媒を加える事は可能である。
本発明のリードフレームの製造方法は、基板として金属板、例えば、銅、銅合金、鉄系合金を用いた上述のレジストパターンの形成方法に続いて、以下の工程を経ることで行われる。
まず現像により露出した基板をエッチングして導体パターンを形成する。その後、レジストパターンを上述のプリント配線板の製造方法と同様の方法で剥離して、所望のリードフレームを得る。
本発明の半導体パッケージの製造方法は、基板としてLSIとしての回路形成が終了したウェハを用いた上述のレジストパターンの形成方法に続いて、以下の工程を経ることで行われる。
まず、現像により露出した開口部に、銅やはんだによる柱状のめっきを施して、導体パターンを形成する。 その後、レジストパターンを上述のプリント配線板の製造方法と同様の方法で剥離し、更に、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去することで所望の半導体パッケージを得る。
本発明の感光性樹脂積層体をドライフィルムレジストとして用いてサンドブラスト工法により基板に加工を施す場合には、基板としてガラスリブペーストを塗布したガラス基板を用い、基板上に前記した方法と同様な方法で、感光性樹脂積層体をラミネートし、露光、現像を施す。更に形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付け、目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、基材上に残存した樹脂部分をアルカリ剥離液で基材から除去する剥離工程を経て、基材上に微細な凹凸パターンを加工することができる。前記サンドブラスト処理工程に用いるブラスト材は公知のものが用いられ、例えば、SiO,SiO2、Al2O3、CaCO3、ZrO、ガラス、ステンレスを材質とした、2〜100μm程度の微粒子が用いられる。
以下、実施例により本発明の実施形態の例を詳しく説明する。
実施例、及び比較例における感光性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
表1に示す化合物を用意し、表2に示す組成割合の感光性樹脂組成物をよく攪拌、混合し、支持体として19μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥して感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは40μmであった。
次いで、感光性樹脂層のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層していない表面上に、保護層として23μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
なお表2におけるP−1、P−2、U−1の質量部は、メチルエチルケトンを含んだ値である。
基板は、以下の方法で作製したガラスリブペーストを塗布したソーダガラス基板を用いた。3mm厚みのソーダガラス基板上に、プラズマディスプレイ用ガラスリブペーストをガラスリブペーストの乾燥後の厚みが150μmとなるようにソーダガラス上にスクリーン印刷法で塗布、乾燥し、ガラスリブペースト塗工済みソーダガラス基板を作製した。
35μm圧延銅箔を積層した1.6mm厚の銅張積層板を用い、表面を湿式バフロール研磨(スリーエム(株)製、スコッチブライト(登録商標)HD#600、2回通し)した。
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、60℃に予熱した基板、銅張積層板にホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−70)により、ロール温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.5m/minとした。
感光性樹脂層の評価に必要なマスクフィルムを、サンドブラスト用基板にラミネートした感光性樹脂積層体の支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルム上におき、超高圧水銀ランプ(オーク製作所製、HMW−801)により160mJ/cm2の露光量で露光した。
銅張積層板にラミネートした感光性樹脂積層体を、直接描画式露光装置(日立ビアメカニクス(株)製、DI露光機DE−1AH、光源:GaN青紫ダイオード、主波長407±3nm)により80mJ/cm2の露光量で露光した。
ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、アルカリ現像機(フジ機工製、ドライフィルム用現像機)を用いて30℃の1質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を最小現像時間の2倍の時間で溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。
サンドブラスト用基板上に形成されたレジストパターンに対し、Xハイパーブラスト装置HCH−3X7BBART−411M(不二製作所(株)製)を用いて、サンドブラスト加工を施した。研磨剤にS9#1200(不二製作所(株)製)を使用し、ホース内圧0.08MPa、ガン移動速度20m/min.、コンベア移動速度100m/min.、研磨剤噴射量500g/min.とした。
(1)露光直後のコントラスト評価法
感光性樹脂層を露光してから30秒後に未露光部と露光部の感光性樹脂層を測色色差計(日本電色株式会社製Σ80)により色差ΔEを測定した。
露光直後のコントラストは、以下のようにランク分けした。
○ :ΔEが60以上
× :ΔEが60未満
○ :ΔEが2以上
× :ΔEが2未満
上記<露光>の際に、露光部と未露光部の幅が1:2の比率のラインパターンを有するフォトマスクを通して、上記方法により露光し、現像した。次いで、サンドブラスト加工を行い、硬化レジストラインが欠けたり剥がれたりせずに正常に形成されている最小マスク幅を耐サンドブラスト密着性の値とした。この耐サンドブラスト密着性により次の様にランク分けした。
○ :80μm以下
△ :80μmを越え100μm以下
× :100μmを越える
Claims (11)
- (a)カルボン酸を含有し、酸当量が100〜600であり、重量平均分子量が5,000〜500,000のアルカリ可溶性高分子:20〜80質量%、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマー:5〜60質量%、(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%、及び(d)ロイコ染料:0.1〜10質量%を含有する感光性樹脂組成物であって、(b)エチレン性不飽和付加重合性モノマーとして下記一般式(I)で表される化合物を含有し、(c)光重合開始剤として下記一般式(II)で表される2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 更に、 (e)ウレタンプレポリマーとして、(A)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーと、(B)ポリイソシアネートとの付加重合により得られるポリウレタンの末端イソシアネート基に対して(C)活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーであって、前記(A)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーが、下記一般式(III)及び(IV)で示される化合物からなる群より選ばれる1種類以上の化合物であるウレタンプレポリマー:10〜70質量%を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 前記(A)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマーが、下記一般式(V)〜(VIII)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
- 基材フィルムからなる支持体上に、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる層を積層した感光性樹脂積層体。
- 請求項4記載の感光性樹脂積層体を用いて、基板上に感光性樹脂層を積層し、露光し、現像する工程を含むレジストパターン形成方法。
- 上記露光工程において、直接描画することを特徴とする請求項5に記載のレジストパターン形成方法。
- 基板としてガラスリブペーストを塗布したガラス基板を用い、請求項5又は6に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板を、サンドブラスト工法によって加工し、レジストパターンを剥離することを特徴とする凹凸パターンを有する基材の製造方法。
- 基板として金属板又は金属被膜絶縁板を用い、請求項5又は6に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板をエッチング、またはめっきすることを特徴とする導体パターンの製造方法。
- 基板として金属被覆絶縁板を用い、請求項5又は6に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板をエッチング、またはめっきし、レジストパターンを剥離することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
- 基板として金属板を用い、請求項5又は6に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板を、エッチングし、レジストパターンを剥離することを特徴とするリードフレームの製造方法。
- 基板としてLSIとしての回路形成が終了したウェハを用い、請求項5又は6に記載の方法によってレジストパターンを形成した基板を、めっきし、レジストパターンを剥離することを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
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