JP2006054069A - プラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 現像が過剰になされた場合であっても、レジストパターンの密着性に優れる隔壁形成材料並びに該隔壁形成材料を用いてサンドブラスト処理を行うプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】 (1)ガラス基板の上に少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)とを含有する隔壁形成材料層を形成する工程、(2)隔壁形成材料層の上に感光性樹脂層を形成する工程、(3)感光性樹脂層をパターンを有するマスクを通して露光する工程、(4)感光性樹脂層を現像する工程、(5)サンドブラスト処理によって硬化した感光性樹脂層で覆われていない隔壁形成材料層の少なくとも一部を除去する工程、(6)硬化した感光性樹脂層を剥離する工程を含み、プラズマディスプレイパネルの背面板を製造する。
【選択図】 なし

Description

本発明は新規なプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法とそれに用いる材料に関し、更に詳しくは現像が過剰になされた場合であっても、レジストパターンの密着性に優れる隔壁形成材料並びに該隔壁形成材料を用いてサンドブラスト処理を行うプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
近年フォトリソグラフィー技術及びサンドブラスト技術の進歩に伴い、ガラスやセラミックを微細なパターンに加工することが可能になってきた。特に低融点ガラス等のガラス基材をサンドブラストで加工して、格子状やストライプ状、又はワッフル形状に隔壁を形成することが必要なプラズマディスプレイパネルの背面板(以下、単にパネルともいう。)の製造においては、画素ピッチの狭幅化に伴い、最近150μmピッチ以下のパターン形成が要求されるようになってきた。
このような微細な隔壁パターンを歩留り良く製造する為に、支持体となるフィルム上に感光性樹脂層を積層し、更に必要に応じ保護層を積層したサンドブラスト用感光性樹脂積層体が用いられている。
サンドブラスト用感光性樹脂積層体を用いて、プラズマディスプレイパネルの背面板の隔壁を形成する方法を説明する。(I)感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながら、ガラス基板上にガラス組成物を含む隔壁形成材料層を形成したもの(以下単純に基板と略記する。)上にホットロールラミネーターを用いて支持体に積層された感光性樹脂層を密着させるラミネート工程、(II)所望の微細パターンを有するフォトマスクを支持体上に密着させた状態で、或いは数十〜数百μm離した状態で、活性光線源を用いて露光を施す露光工程、(III)支持体を剥離した後アルカリ現像液を用いて感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去し、微細なレジストパターンを基板上に形成する現像工程、(IV)形成されたレジストパターン上からブラスト材を基板に吹き付け、基板を目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、(V)レジストパターンをアルカリ剥離液を用いて基板から除去する剥離工程、の各工程を経て、プラズマディスプレイパネルの背面板の隔壁を形成することができる。
最近、プラズマディスプレイパネルの需要が急速に拡大していることに伴い、パネルの生産性を向上させる為に、1枚の大型の基板に2〜3枚又はそれ以上のパネルを同時に一括製造し、その後で個々のパネルに切り分ける、いわゆるパネルの多面取りが進んでいる。現状、1m幅で1.5m長さ程度の大型の基板を使用し、42インチサイズのパネルを3面取りするところもある。
このような大型の基板上に、上記のようなサンドブラスト用の感光性樹脂積層体を用いてレジストパターンを形成する場合に、現像工程において大きな課題がある。
ひとつ目の課題は、大型の基板の中央部と周辺部において、感光性樹脂層の未露光部分の現像液に対する溶解速度は中央部が遅く周辺部が速くなることである。すなわち、中央部のレジストパターンが正常に形成するような現像時間に設定してパネルを作成しようとすると、基板の周辺部においてはレジストパターンが正常に形成する現像時間より長い時間現像(過剰現像)されることになる。レジストパターンは現像される時間が長くなれば長くなるほど膨潤し、その膨潤による応力がレジストパターンを基材から引き剥がす力となって作用する為、密着性を確保するのが非常に困難になる。
またふたつ目の課題として、最近の世界的な環境に対する取り組みの中から鉛フリーの材料に対する要望が強くなってきた。プラズマディスプレイパネルの背面板に好適に使用される低融点ガラスには通常鉛が含有されており、鉛フリーの低融点ガラスに転換するべく開発が進められている。鉛を含有させずに低融点を達成する一つの方法としては、アルカリガラスを低融点ガラスの構成成分に加えることが知られている。
ところが、このようなアルカリ成分を多量に含む低融点ガラス基板上に、従来の感光性樹脂積層体を用いてレジストパターンを形成する場合には、現像工程においてレジストパターンが基板に充分に密着せずに剥がれてしまう傾向がある(特許文献1参照)。特に、現像工程における現像時間や、その後につづく水洗時間が増大(過剰水洗)すると、その傾向がさらに顕著となる。
上述したように、レジストパターンの密着性が低下する場合には、パネルの量産において、プロセスマージンが極めて狭くなり、生産性や生産歩留まりの点で好ましくない。従って、現像時間や水洗時間が過剰に行われた場合でも、レジストパターンが基材に正常に密着していることが求められている。
これまで、サンドブラスト用の感光性樹脂組成物や感光性樹脂積層体が多数開示されている。例えば、二つの感光性樹脂層を積層してなる感光性樹脂積層体(特許文献2、特許文献3参照)、特定の構造単位を含有する感光性樹脂積層体(特許文献4参照)などが開示されている。しかしながら、これらの感光性樹脂組成物や感光性樹脂積層体を用いた場合でも、前述したプラズマディスプレイパネル大型化や鉛フリー化に伴う要望には十分に応えられていないのが現状である。
特開2002−326839号公報 特開平10−138142号公報 特開2003−50463号公報 特開2000−66391号公報
本発明は、上記問題点を克服し、現像が過剰になされた場合であっても、レジストパターンの密着性に優れる隔壁形成材料並びに該隔壁形成材料を用いてサンドブラスト処理を行うプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的は、本発明の次の構成によって達成することができる。
[1] (1)ガラス基板の上に少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)とを含有する隔壁形成材料層を形成する工程、(2)隔壁形成材料層の上に感光性樹脂層を形成する工程、(3)感光性樹脂層をパターンを有するマスクを通して露光する工程、(4)感光性樹脂層を現像する工程、(5)サンドブラスト処理によって硬化した感光性樹脂層で覆われていない隔壁形成材料層の少なくとも一部を除去する工程、(6)硬化した感光性樹脂層を剥離する工程、を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
[2] (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマーとを含有するガラスペーストを塗布乾燥する工程であることを特徴とする[1] 記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
[3] (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末を含有するガラスペーストを塗布乾燥する工程と、塗布乾燥後のガラスペーストにエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を塗布する工程よりなることを特徴とする[1] 記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
[4] (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマーとを含有するグリーンシートを積層する工程であることを特徴とする[1] 記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
[5] (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末を含有するグリーンシートを積層する工程と、積層後のグリーンシートにエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を塗布する工程よりなることを特徴とする[1] 記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
[6] [2] 記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法に使用する、少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)とを含有することを特徴とするガラスペースト。
[7] [4] 記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法に使用する、少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)とを含有することを特徴とするグリーンシート。
[8] 感光性樹脂層が、(i)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマー(a)と、ポリイソシアネート(b)と、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物(c)より得られるポリウレタンプレポリマー10〜70質量%と、(ii)アルカリ可溶性高分子10〜70質量%と、(iii)光重合開始剤0.01〜20質量%と、(iv)エチレン性不飽和付加重合性モノマー5〜40質量%を含有することを特徴とする、[1] 〜[5] のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。)
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、現像が過剰になされた場合であってもレジストパターンの密着性に優れるという効果を有する。プラズマディスプレイパネル、特に大型の基板に適用する場合により顕著な効果を発揮する。
以下、本願発明について具体的に説明する。
エチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)は、特に制限は無いが、例えばアクリル酸及びその誘導体、並びにメタクリル酸及びその誘導体が挙げられる。
そのような化合物の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、及びマレイン酸半エステル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピルフタレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ノナプロピレングリコール、ビス(テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(トリエチレングリコール(メタ)アクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(ジエチレングリコールアクリレート)ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA系(メタ)アクリル酸エステルモノマーの分子中にエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖の双方を含む化合物などが挙げられる。
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの多価イソシアネート化合物と、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアクリレート化合物とのウレタン化化合物も用いることができる。これらのエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における隔壁形成材料層を作成するには、通常ガラス粉末とセラミック粉末を混合した組成物を用いる。
この隔壁形成材料には、ガラス基板の変形を防止するために、600℃以下で焼成できることが必要であり、それゆえガラス粉末には、軟化点を低くする成分として通常PbOが含有されている。
ガラス粉末の組成としては、例えばPbO、B2 3 、SiO2 、ZnO、Bi2 3 、BaO、CaOなどが用いられる。
また、最近の世界的な環境に対する取り組みの中から鉛フリーの材料に対する要望が強く、鉛を含まないガラス粉末を用いる場合もある。このようなガラス粉末としては、例えばB2 3 −ZnO系のガラス粉末に、軟化点を下げる為にLi2 O、Na2 O、K2 Oなどのアルカリ金属成分や、ガラスを安定化させる為にBaOやSiO2 を添加する。
セラミック粉末の組成としては、アルミナ、コージエライト、ムライト、ジルコニア、シリカ、ジルコン、チタニア、ウイレマイト、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられ、これらを1種または2種以上を組み合わせて使用する。
本発明における隔壁形成材料層は、例えばペーストやグリーンシートなどの形態の組成物から作成される。
ペーストの形態で使用される場合、上述したガラス粉末及びセラミック粉末に、熱可塑性樹脂、溶剤及び可塑剤等が添加される。また、必要に応じて界面活性剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
ペースト中のガラス粉末およびセラミック粉末の合計含有量は、通常40質量%以上90質量%以下である。焼成の際に隔壁の形状を維持する為に40質量%以上であり、ペーストの粘度が大きくなることにより印刷性を悪化させない為に90質量%以下である。
熱可塑性樹脂は、乾燥後のペーストの強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、ペースト中に0.1質量%以上20質量%以下含有することが好ましい。上記効果が期待する為に0.1質量%以上であり、焼成の際に有機成分の焼け残りを少なくし、隔壁を黒化させにくくする為に20質量%以下である。熱可塑性樹脂としてはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、メチルセルロース、エチルセルロース等を単独または混合して使用することができる。
溶剤は、隔壁形成材料を作成するための組成物をペースト化するために用いられ、ペースト中に9質量%以上30質量%以下含有することが好ましい。ペーストの粘度が大きくなることによる印刷性の悪化を抑えるために9質量%以上であり、ペーストの粘度が小さくなることによりガラス粉末もしくはセラミック粉末が沈降しにくくする為に30質量%以下である。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥後のペーストに柔軟性を与える成分であり、ペースト中に0質量%以上10質量%以下含有することが好ましい。乾燥後のペーストがもろくなりにくくする為に10質量%以下である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等を単独または混合して使用することができる。
界面活性剤は、ペーストが溶剤層とガラス粉末層に分離することを防止するために、また酸化防止剤は粘度低下や樹脂の劣化等を未然に防止するためにそれぞれ用いられ、それぞれ0質量%以上3質量%以下の添加が可能である。
ペーストの粘度は、20Pa・s以上150Pa・s以下が好ましい。ペーストを構成するガラス粉末やセラミックフィラー粉末が沈降しにくくする為に20Pa・s以上であり、微細で精密に印刷する為に150Pa・s以下である。なお、本発明における粘度とは23℃、ずり速度5.7/秒の条件で測定したときの値である。
ペーストは、上述したガラス粉末、セラミック粉末、熱可塑性樹脂、及び溶剤等を用意し、これらを上記した所定の割合で混錬することにより作製される。
このように作製したペーストを用いて隔壁を形成する方法を説明する。まず、ペーストを例えばスクリーン印刷法や一括コート法を用いて所定の厚さの塗布し、乾燥させる。ついで感光性樹脂積層体を積層し、マスクを介して露光し、現像する。最後にサンドブラスト処理して不要な部分を除去した後に、焼成し隔壁が形成される。
また、本発明における隔壁形成材料層を、グリーンシートの形態を用いて作成する場合、上記ガラス粉末やセラミック粉末とともに、熱可塑性樹脂、可塑剤等を使用する。
グリーンシート中のガラス粉末及びセラミック粉末の合計含有量は、60質量%以上80質量%以下の範囲であると好ましい。
熱可塑性樹脂及び可塑剤は、上記ペーストの調整で用いられるのと同様のものを用いることができ、熱可塑性樹脂の含有量は、5質量%以上30質量%以下の範囲であると好ましく、可塑剤の含有量は、0質量%以上15質量%以下の範囲であると好ましい。
グリーンシートを作製する一般的な方法としては、上記ガラス粉末やセラミック粉末と、熱可塑性樹脂及び可塑剤を用意し、これらにトルエン等の主溶媒や、イソプロピルアルコール等の補助溶媒を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムの上にシート形成する。シート形成後、乾燥させることによって溶媒や溶剤を除去し、グリーンシートとすることができる。
以上のようにして得られたグリーンシートを用いて隔壁を形成する場合には、該グリーンシートを背面ガラス基板に熱圧着した後に、上述のペーストの場合と同様に、感光性樹脂積層体を積層し、マスクを介して露光し、現像する。最後にサンドブラストすることによって所定の隔壁の形状に加工する。
本発明における隔壁形成材料層にエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を含有させる方法としては、次の2つがある。
一つ目は、上記隔壁形成材料層を作成するための組成物のペーストやグリーンシート作製用のスラリーに含有させる方法である。すなわち、ガラス粉末、セラミック粉末、熱可塑性樹脂、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、溶媒等と共に混ぜ合わせる方法である。
二つ目は、少なくともガラス粉末を含有する隔壁形成材料層を作成するための組成物(ペースト、又はグリーンシート)をガラス基板等の基材上に塗布乾燥、又は積層した後でかつ、感光性樹脂層を積層する前に、エチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を隔壁形成材料層の表面に塗布する方法である。エチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)そのものや必要に応じて溶剤を加えて適度に粘度を調整した液体とした後、スプレー噴霧、塗布などの方法により被加工基材上に設けることができる。塗布の方法はバーコーター、ロールコーターなどを用いた公知の方法が実施できる。塗布後は必要により乾燥させても良い。
プラズマディスプレイパネルの背面板の製造工程がより簡略化できる点で、上記一つ目の方法がより好ましい。
エチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)の含有量は、該モノマー(A)を含有すべき隔壁形成材料層を100質量部とした場合に0.1質量部以上20質量部以下である。過剰現像時のレジストパターンの密着性を確保する為に0.1質量部以上であり、ペーストやスラリーの粘度を適正に維持する為に20質量部以下である。より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。
本発明の感光性樹脂層は、露光した感光性樹脂部分がアルカリ現像液に不溶または難溶となり、一方未露光の感光性樹脂部分がアルカリ現像液に分散または溶解することにより除去可能な層である。アルカリ現像液としては、通常炭酸ナトリウム水溶液や界面活性剤水溶液等が用いられる。
感光性樹脂層は、サンドブラスト用のマスク材としての耐性を必要とする為、(i)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマー(a)と、ポリイソシアネート(b)と、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物(c)より得られるポリウレタンプレポリマーを含有することが好ましい。
本発明の(i)成分のポリウレタンプレポリマーは、末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマー(a)とポリイソシアネート(b)の付加重合により得られるポリウレタンの末端イソシアネート基に対して、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物(c)を反応させることによって好適に得ることができる。
本発明で用いられる、末端に水酸基を有するポリマーとしては、ポリエチレングリコールアジペート、ポリプロピレングリコールアジペート、ポリ(1,4―ブタンジオール)アジペートなどのポリエステルポリオールや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールや、ポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールなどのラクトンジオールや、ポリカーボネートジオールや、末端水酸基を有する1,4−ポリブタジエン、水添もしくは非水添1,2−ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、またはブタジエン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
末端に水酸基を有するモノマーとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類等が挙げられる。本発明のポリウレタンプレポリマーにカルボン酸を導入する場合には、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等の、分子内にカルボキシル基を有するジオール等を用いることもできる。
本発明で用いられる、ポリイソシアネート(b)としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、α,α’−ジメチル−o−キシリレンジイソシアネート、α,α’−ジメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α,α’−ジメチル−p−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’−トリメチル−o−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’−トリメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’−トリメチル−p−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−o−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−p−キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。ジイソシアネート化合物の芳香環を水添化した化合物、例えばm−キシリレンジイソシアネートの水添化物(三井武田ケミカル製タケネート600)なども挙げられる。
本発明で用いられる、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物(c)の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オリゴテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(i)成分のポリウレタンプレポリマーのエチレン性不飽和結合濃度は、2×10-4mol/g以上10-2mol/g以下が好ましい。十分に架橋させて耐サンドブラスト性を確保する点から2×10-4mol/g以上が好ましく、硬化膜を柔らかく保ち耐サンドブラスト性を確保する点から10-2mol/g以下が好ましい。
(i)成分のポリウレタンプレポリマーの重量平均分子量は1,500以上50,000以下が好ましい。耐サンドブラスト性を維持する点から1,500以上が好ましく、現像性を維持する点から50,000以下が好ましい。より好ましくは5,000以上30,000以下である。更に好ましくは9,000以上25,000以下である。ここでいう重量平均分子量とはGPC法(カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン)によるポリスチレン換算重量平均分子量のことである
(i)成分のポリウレタンプレポリマーの骨格にカルボン酸を導入する場合には、ポリウレタンプレポリマーの酸価が0〜10mgKOH/gであることがレジストパターンの密着性を向上させる点で好ましい。より好ましくは0〜7mgKOH/gである。酸価とは、試料1gに含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。
酸価を測定する方法の一例を下記する。5g程度の試料を精密に秤量し、アセトンとメタノールを50質量部づつ混合した溶液20mlに溶解する。指示薬としてフェノールフタレインのメタノール溶液を数滴加えた後、1/10規定の水酸化カリウム水溶液で中和滴定して、中和に必要な水酸化カリウムのミリグラム数を求める。
(i)成分のポリウレタンプレポリマーの含有量は感光性樹脂組成物の全質量基準で10質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以上65質量%以下、更に好ましくは25質量%以上60質量%以下である。十分な耐サンドブラスト性を確保する点から10質量%以上であり、現像性を確保する点から70質量%以下が好ましい。
(i)成分のポリウレタンプレポリマーはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)成分のポリウレタンプレポリマーは、例えば特開平11−188631号公報の実施例に開示されている方法で作成することができる。
(ii)成分のアルカリ可溶性高分子としてはカルボン酸含有ビニル共重合体やカルボン酸含有セルロース等が挙げられる。
カルボン酸含有ビニル共重合体とは、α,β−不飽和カルボン酸の中から選ばれる少なくとも1種の第1単量体と、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドとその窒素上の水素をアルキル基またはアルコキシ基に置換した化合物、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリル酸グリシジルの中から選ばれる少なくとも1種の第2単量体をビニル共重合して得られる化合物である。 カルボン酸含有ビニル共重合体に用いられる第1単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、及びマレイン酸半エステル等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせてもよい。カルボン酸含有ビニル共重合体における第1単量体の割合は、15質量%以上40質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以上35質量%以下が好ましい。アルカリ現像性を保持させる為、15質量%以上が好ましく、カルボン酸含有ビニル共重合体の溶解度の観点から40質量%以下が好ましい。
カルボン酸含有ビニル共重合体に用いられる好適な第2単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられ、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カルボン酸含有ビニル共重合体における第2単量体の割合は、60質量%以上85質量%以下が好ましく、より好ましくは65質量%以上80質量%以下である。
カルボン酸含有ビニル共重合体の重量平均分子量は、2万以上30万以上が好ましく、より好ましくは3万以上15万以下である。この場合の重量平均分子量とはGPC法によるポリスチレン換算重量平均分子量のことである。硬化膜の強度を維持する為2万以上が好ましく、感光性樹脂組成物を積層して感光性樹脂層を形成する際の安定性の観点から、30万以下であることが好ましい。
カルボン酸含有セルロースとしては、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシエチル・カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子の含有量は感光性樹脂組成物の全質量基準で10質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以上65質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上60質量%以下である。アルカリ現像液に対する分散性を維持する点から10質量%以上が好ましい。十分な耐サンドブラスト性を得る点から70質量%以下が好ましい。
(iii)成分の、光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジプロピルケタール、ベンジルジフェニルケタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−フルオロチオキサントン、4−フルオロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどの芳香族ケトン類、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、α、α−ジメトキシ−α−モルホリノ−メチルチオフェニルアセトフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルグリシン、N−フェニルグリシンさらに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、2,3−ジオキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル−2−(O−ベンゾイルカルボニル)−オキシム等のオキシムエステル類、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸及びp−ジイソプロピルアミノ安息香酸並びにこれらのアルコールとのエステル化物、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール類、テトラゾール類が挙げられる。その中でも特に2−(o−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾリル二量体とミヒラーズケトン若しくは4,4’−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの組み合わせが好ましい。
(iii)成分の光重合開始剤の含有量は感光性樹脂組成物の全質量基準で0.01質量%以上20質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。十分な感度を得る点から0.01質量%以上が好ましく、感光性樹脂層の底の部分を十分に硬化させる為に、20質量%以下であることが好ましい。
(iv)成分のエチレン性不飽和付加重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルオキシ)プロピルフタレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ノナプロピレングリコール、ビス(テトラエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(トリエチレングリコールメタクリレート)ポリプロピレングリコール、ビス(ジエチレングリコールアクリレート)ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA系(メタ)アクリル酸エステルモノマーの分子中にエチレンオキシド鎖とプロピレンオキシド鎖の双方を含む化合物などが挙げられる。
また、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの多価イソシアネート化合物と、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアクリレート化合物とのウレタン化化合物も用いることができる。この場合のウレタン化化合物はGPCによるポリスチレン換算数平均分子量で1,500未満のものである。これらのエチレン性不飽和付加重合性モノマーはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(iv)成分のエチレン性不飽和付加重合性モノマーの含有量は感光性樹脂組成物の全質量基準で5質量%以上40質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上35質量%以下である。十分に架橋させ耐サンドブラスト性を発揮するため5質量%以上が好ましい。硬化膜を柔らかく保ち耐サンドブラスト性を発揮する為に40質量%以下が好ましい。
感光性樹脂樹脂層の熱安定性、保存安定性を向上させる為に本発明の感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましい。このようなラジカル重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、t−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂層には染料、顔料等の着色物質が含有されていてもよい。このような着色物質としては、例えばフクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、
カルコキシドグリーンS、パラマジェンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン、ベイシックブルー20、及びダイヤモンドグリーン等が挙げられる。
また、感光性樹脂層に光照射により発色する発色系染料を含有させてもよい。このような発色系染料としては、ロイコ染料とハロゲン化合物の組み合わせが良く知られている。ロイコ染料としては、例えばトリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、及びトリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。一方ハロゲン化合物としては臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン等が挙げられる。
さらに本発明の感光性樹脂層には、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させてもよい。このような添加剤としては、例えばジエチルフタレート等のフタル酸エステル類、
o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、アセチルクエン酸トリ−n−ブチル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。
感光性樹脂層のエチレン性不飽和結合濃度は5.0×10-4mol/g以上3.0×10-3mol/g以下が好ましい。十分な解像度を得る点から5.0×10-4mol/g以上が好ましく、硬化膜を柔らかく保ち耐サンドブラスト性を発揮する為に3.0×10-3mol/g以下が好ましい。より好ましいエチレン性不飽和結合濃度の範囲は8.0×10-4mol/g以上2.5×10-3mol/g以下である。この場合のエチレン性不飽和結合濃度は、感光性樹脂組成物中のエチレン性不飽和付加重合性モノマー及びポリウレタンプレポリマーが含有する不飽和結合数を感光性樹脂組成物の総質量で除することにより算出できる。また、エチレン性不飽和結合濃度は下記の方法により定量することもできる。すなわち、感光性樹脂組成物を溶剤に溶解し、過剰のウイス試薬を加えてエチレン性不飽和結合を臭素化する。未反応のウイス試薬にヨウ化カリウムを加え遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウムを用いて滴定することにより、エチレン性不飽和結合濃度を求めることができる。
感光性樹脂層の厚さは、サンドブラスト処理工程におけるレジストとしての耐性を保持する為にできる限り厚いことが好ましく、良好な解像性を発揮する為にはできる限り薄いことが好ましい。上記レジスト耐性と解像性を両立する点から10μm以上100μm以下がより好ましい。さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。
支持体は、本発明の感光性樹脂層を支持する為のフィルムであり、活性光線を透過させる透明な基材フィルムからなるものが好ましい。このような基材フィルムとしては10μm 以上100μm 以下の厚みのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、通常適度な可とう性と強度を有するポリエチレンテレフタレート製の基材フィルムが好ましく用いられる。また、感光性樹脂層からの剥離性を向上させる為に、活性光線を透過させる透明な基材フィルムの片方の表面または両方の表面に剥離剤を形成したものを用いることもできる。ここでいう剥離剤は、基材フィルムを感光性樹脂層から容易に剥離させる性能を有する化合物であり、公知のものを使用することができるが、シリコーンを含有する剥離剤やアルキッド樹脂などが挙げられる。
感光性樹脂積層体には必要に応じて保護層を積層する。支持体と感光性樹脂層との密着力よりも、感光性樹脂層と保護層の密着力が充分小さいことがこの保護層に必要な特性であり、これにより保護層が容易に剥離できる。このようなフィルムとしては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムおよび、それらの表面に離型剤処理を施したフィルム等がある。 支持体、感光性樹脂層、及び保護層を順次積層して感光性樹脂積層体を作成する方法は、従来知られている方法で行うことができる。例えば感光性樹脂層に用いる樹脂組成物を、これらを溶解する溶剤と混ぜ合わせ均一な溶液にしておき、まず支持体の表面上に、バーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥し感光性樹脂層を形成する。次に、感光性樹脂層上に保護層をラミネートすることにより感光性樹脂積層体を作成することができる。
前記感光性樹脂積層体の感光性樹脂層の365nmにおける光透過率は2%以上30%以下であることが好ましい。感光性樹脂層の底の部分を十分に硬化させる為に2%以上が好ましく、十分な解像度を得る点から30%以下が好ましい。より好ましい光透過率の範囲は3%以上25%以下である。光透過率は365nmに吸収波長を有する化合物、例えば光重合開始剤、染料、顔料、色素、紫外線吸収剤等を配合し、その配合量を変化させることにより制御することができる。光透過率は可視紫外分光光度計を用いて容易に測定することができる。
次に、感光性樹脂積層体を用いて隔壁形成材料層に微細なパターンを加工する方法の1例について説明する。感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながら隔壁形成材料層の上にホットロールラミネーターを用いて密着させるラミネート工程、所望の微細パターンを有するフォトマスクを支持体上に密着させ活性光線源を用いて露光を施す露光工程、支持体を剥離した後アルカリ現像液を用いて、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去、微細なレジストパターンを隔壁形成材料層の上に形成する現像工程、形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付け隔壁形成材料層を目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、隔壁形成材料層の上に残存した樹脂部分をアルカリ剥離液等で被加工基材から除去する剥離工程を経て、隔壁形成材料層に微細なパターンを加工することができる。
前記露光工程において用いられる活性光線源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプなどが挙げられる。得られるレジストパターンの解像性、密着性を向上させる為に、露光工程の後に熱処理を加える露光後ベーク工程を設けることもできる。
また、より微細なレジストパターンを得るためには平行光光源を用いるのがより好ましい。ゴミや異物の影響を極力少なくしたい場合には、フォトマスクを支持体上から数十−数百μm浮かせた状態で露光(プロキシミティー露光)する場合もある。
前記現像工程において用いられるアルカリ現像液としては通常炭酸ナトリウム水溶液や界面活性剤水溶液等が用いられる。炭酸ナトリウム水溶液の濃度は通常0.2〜1.0質量%であり、アルカリ現像液の温度は通常20〜35℃である。得られるレジストパターンの密着性を向上させる為に、露光工程の後に熱処理を加える現像後ベーク工程を設けることもできる。
前記サンドブラスト処理工程に用いるブラスト材は公知のものが用いられ、例えばSiC,SiO2 、Al2 3 、CaCO3 、ZrO、ガラス、ステンレス等の2−100μm 程度の微粒子が用いられる。
記剥離工程に用いる剥離液としては通常水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのアルカリ性水溶液等が用いられる。なお、剥離工程の代わりに、液体による溶解により被加工基材上に残存した樹脂部分を除去する工程を設けたり、高温で被加工基材に残存した樹脂部分を焼き飛ばす工程を設けることも可能である。
次に、実施例および参考例によって本発明を説明する。
以下に、実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について示す。
1.評価用サンプルの作製
実施例及び比較例における感光性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
表1に示す組成の感光性樹脂組成物の溶液を厚さ19μmのポリエチレンテレフタレートフィルムにバーコーターを用いて均一に塗布し、90℃の乾燥機中で4分間乾燥して40μm厚みのアルカリ現像可能な感光性樹脂層を形成した。更に感光性樹脂層上に30μm厚みのポリエチレンフィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
なお、表1及び表2に示す組成の略号は、以下に示すものである。
P−1:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸n−ブチル(重量比が25/65/10)の組成を有し重量平均分子量が8万である共重合体の35%メチルエチルケトン溶液。
M−1:トリエトキシトリメチロールプロパントリアクリレート
M−2:ヘキサメチレンジイソシアネートとトリプロピレングリコールモノメ タクリレートとのウレタン化物
I−1:ベンジルジメチルケタール
I−2:ベンゾフェノン
I−3:2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量 体
I−4:4,4’−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
D−1:ロイコクリスタルバイオレット
D−2:ダイヤモンドグリーン
U−1:ウレタンプレポリマーA
(ウレタンプレポリマーAの製造)
ポリ(1,4−ブタンジオールアジペート)ジオール(水酸基価112.2)200質量部と触媒としてジブチル錫ジラウレート(以下BTLと略記する)0.01質量部を反応容器に入れよく混合した。そこにイソホロンジイソシアネート51.4質量部を添加し、良く撹拌してから外温を40℃から80℃に昇温し、そのまま約5時間反応させた後2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)を8質量部添加しよく撹拌した。約2時間反応させたところで反応を止め、ウレタンプレポリマーAを得た。ウレタンプレポリマーAの数平均分子量は15,000であった。
K−1:ノナエチレングリコールジアクリレート
<エチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を含有した隔壁形成材料層を形成した「基板α」の準備(1)>
プラズマディスプレイパネル用ガラスペースト(日本電気硝子(株)製 PLS−3553)に、エチレン性不飽和付加重合性モノマー(K−1:ノナエチレングリコールジアクリレート)(NKエステル A−400 新中村化学工業(株)製)を3本ロールミルにて混錬した。モノマーK−1の添加量はガラスペーストPLS−3553の固形分100質量部に対し、5質量部となるように調整した。次に得られた混錬済みのペーストをスクリーン印刷法を用いて、ガラスペーストの乾燥後の厚みが150μmとなるようにソーダガラス上に塗布、乾燥し基板を作製した。
<エチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を含有した隔壁形成材料層を形成した「基板β」の準備(2)>
プラズマディスプレイパネル用ガラスペースト(日本電気硝子(株)製 PLS−3553)を、スクリーン印刷法を用いて、ガラスペーストの乾燥後の厚みが150μmとなるようにソーダガラス上に塗布、乾燥し基板を作製した。次に、エチレン性不飽和付加重合性モノマー(K−1:ノナエチレングリコールジアクリレート)(NKエステル A−400 新中村化学工業(株)製)を上記作製済み基板上に均一にスプレーした。スプレーした量は、ガラスペーストPLS−3553の固形分100質量部に対し5質量部となるように調整した。
<エチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を含有しない隔壁形成材料層を形成した「基板γ」の準備(3)>
プラズマディスプレイパネル用ガラスペースト(日本電気硝子(株)製 PLS−3553)を、スクリーン印刷法を用いて、ガラスペーストの乾燥後の厚みが150μmとなるようにソーダガラス上に塗布、乾燥し基板を作製した。
<ラミネート>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、上記基板αとβとγの上にホットロールラミネーター(旭化成エンジニアリング(株)製「AL−70」)により105℃でラミネートした。エア圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.0m/minとした。
<露光>
支持体越しに感光性樹脂層にフォトマスク無しあるいは評価に必要なフォトマスクを通して、超高圧水銀ランプ(オーク製作所製HMW−801)により200mJ/cm2 で露光した。
<現像>
支持体を剥離した後、30℃の0.4%炭酸ナトリウム水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。
<サンドブラスト>
隔壁形成材料層上に形成されたレジストパターンに対し、Xハイパーブラスト装置HCH−3X7BBART−411M(不二製作所(株)製)を用いて、サンドブラスト加工を施した。研磨剤にS9#1200(不二製作所(株)製)を使用し、ホース内圧0.08MPa、ガン移動速度20m/min.、コンベア移動速度100mm/min.、研磨剤噴射量500g/min.とした。
<レジストパターン剥離>
サンドブラスト後、隔壁形成材料層上に残存したレジストパターンを、1.0%NaOH水溶液に浸漬しレジストパターンを隔壁形成材料層から剥離した。実施例1、2、比較例1、いずれも、残渣無く剥離された。
2.評価方法
(1)最小現像時間
上記<露光>操作をし、支持体を剥離した後、30℃の0.4%炭酸ナトリウム水溶液をスプレーし、未露光のアルカリ現像可能な感光性樹脂層が溶解するのに要する時間を測定し、これを最小現像時間とした。
(2)レジストライン密着性(通常現像)
上記<露光>の際に、露光部と未露光部の幅が1:100の比率のラインパターンを有するフォトマスクを通して、露光した。最小現像時間の1.5倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが欠けたり剥がれたり蛇行したりせず正常に形成されている最小マスク幅をレジストライン密着性の値とした。この密着性により次の様にランク分けした。なお表2中のランク横の数値は密着性の値である。以下(3)〜(5)についても同様である。
70μm以下:○
70μmを越え100μm以下:△
100μmを越える:×
(3)レジストライン密着性(過剰現像)
上記<露光>の際に、露光部と未露光部の幅が1:100の比率のラインパターンを有するフォトマスクを通して、露光した。最小現像時間の3.0倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが欠けたり剥がれたり蛇行したりせず正常に形成されている最小マスク幅をレジストライン密着性の値とした。この密着性により次の様にランク分けした。
70μm以下:○
70μmを越え100μm以下:△
100μmを越える:×
(4)レジストライン解像性
上記<露光>の際に、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンを有するフォトマスクを通して、露光した。最小現像時間の1.5倍の現像時間で現像し、硬化レジストラインが欠けたり剥がれたり蛇行したり、ラインパターンの間に未露光のレジストが残存せすに正常に形成されている最小マスク幅をレジストライン密着性の値とした。この密着性により次の様にランク分けした。
70μm以下:○
70μmを越え100μm以下:△
100μmを越える:×
(5)耐サンドブラスト密着性
上記<露光>の際に、露光部と未露光部の幅が1:2の比率のラインパターンを有するフォトマスクを通して、露光し、最小現像時間の1.5倍の現像時間で現像した。次いで、サンドブラスト加工を行い、硬化レジストラインが欠けたり剥がれたりせずに正常に形成されている最小マスク幅を耐サンドブラスト密着性の値とした。この耐サンドブラスト密着性により次の様にランク分けした。
80μm以下:○
80μmを越え100μm以下:△
100μmを越える:×
3.評価結果
実施例及び比較例の評価結果を表2に示す。
Figure 2006054069
Figure 2006054069
本発明は新規なプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法に関し、更に詳しくは更に詳しくは現像が過剰になされた場合であっても、レジストパターンの密着性に優れる隔壁形成材料並びに該隔壁形成材料を用いてサンドブラスト処理を行うプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法として好適である。

Claims (8)

  1. (1)ガラス基板の上に少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)とを含有する隔壁形成材料層を形成する工程、(2)隔壁形成材料層の上に感光性樹脂層を形成する工程、(3)感光性樹脂層をパターンを有するマスクを通して露光する工程、(4)感光性樹脂層を現像する工程、(5)サンドブラスト処理によって硬化した感光性樹脂層で覆われていない隔壁形成材料層の少なくとも一部を除去する工程、(6)硬化した感光性樹脂層を剥離する工程、を含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
  2. (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマーとを含有するガラスペーストを塗布乾燥する工程であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
  3. (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末を含有するガラスペーストを塗布乾燥する工程と、塗布乾燥後のガラスペーストにエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を塗布する工程よりなることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
  4. (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマーとを含有するグリーンシートを積層する工程であることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
  5. (1)隔壁形成材料層を形成する工程が、ガラス基板の上に少なくともガラス粉末を含有するグリーンシートを積層する工程と、積層後のグリーンシートにエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)を塗布する工程よりなることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
  6. 請求項2記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法に使用する、少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)とを含有することを特徴とするガラスペースト。
  7. 請求項4記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法に使用する、少なくともガラス粉末とエチレン性不飽和付加重合性モノマー(A)とを含有することを特徴とするグリーンシート。
  8. 感光性樹脂層が、(i)末端に水酸基を有するポリマーまたはモノマー(a)と、ポリイソシアネート(b)と、活性水素を有する官能基とエチレン性不飽和結合を分子内に共に有する化合物(c)より得られるポリウレタンプレポリマー10〜70質量%と、(ii)アルカリ可溶性高分子10〜70質量%と、(iii)光重合開始剤0.01〜20質量%と、(iv)エチレン性不飽和付加重合性モノマー5〜40質量%を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの背面板の製造方法。
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