JP2009006857A - 自動車用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空調ケース22内部に、エバポレータ26を経由する冷風通路28と、ヒータコア30を経由する温風通路29と、各吹出し口に連通する複数の排出通路系32,33と、を含む空気通路が形成されると共に、エアミックスドア71,72のドア開度により分配される冷風と温風は、冷風と温風の合流域を経由して各排出通路系に空気が流れるように構成された自動車用空調装置A1において、冷風と温風の合流域Jに、進出位置にてドア隔壁31bにより合流域Jから下流側への空気の通流を遮る回動式のフットドア31を設け、このフットドア31と冷風側エアミックスドア71は、進出位置にあるフットドア31のドア隔壁31b内側のドア空間内を、冷風側エアミックスドア71の開閉動作空間として用いるオーバーラップレイアウトによるドア位置設定とした。
【選択図】図2
Description
前記冷風と温風の合流域に、進出位置にてドア隔壁により合流域から下流側への空気の通流を遮る回動式のロータリドアを設け、
前記ロータリドアと前記エアミックスドアは、進出位置にあるロータリドアのドア隔壁内側のドア空間内を、エアミックスドアの開閉動作空間として用いるオーバーラップレイアウトによるドア位置設定としたことを特徴とする。
この温調風の吹き出し時、ロータリドアが進出位置にある場合、ロータリドアのドア隔壁によって合流域から下流側への空気の通流が遮られることで、合流域に流れ込んだ冷風通路からの冷風と温風通路からの温風との混合が促進させられる。
また、ロータリドアとエアミックスドアのドア位置設定は、進出位置にあるロータリドアのドア隔壁内側のドア空間内を、エアミックスドアの開閉動作空間として用いるオーバーラップレイアウトである。このため、空調ケースを設計するに際し、2つのドアのレイアウト制限が緩和され、2つのドア軸の軸間距離を近接距離に設定できるし、ロータリドアのドア空間を空気通路として利用することができる。
この結果、冷風と温風のエアミックス性の向上を達成しながら、空調ケースの小型コンパクト化要求に応えることができる。
図1は実施例1の自動車用空調装置においてセンターベント吹出し口とサイドベント吹出し口から空気を吹き出すベントモードを示す縦断側面図である。図2は実施例1の自動車用空調装置においてベント吹出し口とフット吹出し口の双方から空気を吹き出すバイレベルモードを示す縦断側面図である。図3は実施例1の自動車用空調装置においてサイドベント吹出し口とフット吹出し口の双方から空気を吹き出すフットモードを示す縦断側面図である。図4は実施例1の自動車用空調装置においてデフ吹出し口とフット吹出し口の双方から空気を吹き出すデフ・フットモードを示す縦断側面図である。図5は実施例1の自動車用空調装置においてデフ吹出し口のみから空気を吹き出すデフモードを示す縦断側面図である。
ここで、フィルタ25とエバポレータ26は、ブロワ23の下側位置に縦方向並列配置されていて、上下垂直位置から上側を下流側に少しずらし、下側を上流側に少しずらした傾斜縦方向設定とされている。この傾斜縦方向設定により、導入通路24からの送風を取り込み易く、また、エバポレータ26の下部に余裕スペースを形成することができる。
ここで、ヒータコア30は、画壁22aを一端側の支持ケース部とし、水平方向に配置されている。このヒータコア30の水平方向設定により、エバポレータ26からの空気は空調ケース22の底内面を回り込み、下から上に向かってヒータコア30に流れ込む。これによって、温風通路29も下から上に向かって温風が流れる通路となる。
実施例1の温風通路遮蔽プレート41は、図1〜図5に示すように、フットドア31に一体に形成している。詳しくは、図6及び図7に示すように、フットドア31の進出方向手前側のドア隔壁31bと一対のドア側壁31c,31cにより三方向が囲まれる温風通路領域の一部を覆う位置に設定している。
以下、実施例1の自動車用空調装置1Aにおける作用を、「各吹き出しモードにおける空気の流れ作用」、「冷風と温風のエアミックス作用」、「空調ケースの小型コンパクト化作用」、「フットドアの回転角度拡大作用」、「フルクール時のヒートピックアップ改善作用」に分けて説明する。
・ベントモード選択時(図1)
図1に示すフルクールでのベントモードの選択状態では、冷風側エアミックスドア71はドア開であり、温風側エアミックスドア72はドア閉である。フットドア31は、フット吹出し口を閉じる位置(31B)にあり、デフドア35はデフ吹出し口を閉じる位置(35B)にある。そして、ドア軸341aを中心として空調ケース22に回動可能に支持されるセンターベントドア341がセンターベント吹出し口(C−VENT)を開く位置341Aにあり、サイドベントドア342がサイドベント吹出し口(S−VENT)を開く位置342Aにある。
図2に示すバイレベルモードの選択状態では、冷風側エアミックスドア71はドア開側であり、温風側エアミックスドア72はドア開側である。フットドア31は、フット吹出し口を開く進出位置(31A)にあり、デフドア35はデフ吹出し口を閉じる位置(35B)にある。そして、ドア軸341aを中心として空調ケース22に回動可能に支持されるセンターベントドア341がセンターベント吹出し口(C−VENT)を開く位置341Aにあり、サイドベントドア342がサイドベント吹出し口(S−VENT)を開く位置342Aにある。
図3に示すフットモードの選択状態では、冷風側エアミックスドア71はドア閉であり、温風側エアミックスドア72はドア開である。フットドア31は、フット吹出し口を開く進出位置(31A)にあり、デフドア35はデフ吹出し口を閉じる位置(35B)にある。そして、センターベントドア341はセンターベント吹出し口(C−VENT)を閉じる位置341Bにあり、サイドベントドア342はサイドベント吹出し口(S−VENT)を閉じる位置342B(完全に閉じるのではなく一部洩らす位置)にある。
図4に示すデフ/フットモードの選択状態では、冷風側エアミックスドア71はドア閉であり、温風側エアミックスドア72はドア開である。フットドア31は、フット吹出し口を開く進出位置(31A)にあり、ドア軸35aを中心として空調ケース22に回動可能に支持されるデフドア35はデフ吹出し口を開く位置(35A)にある。そして、センターベントドア341はセンターベント吹出し口(C−VENT)を閉じる位置341Bにあり、サイドベントドア342はサイドベント吹出し口(S−VENT)を閉じる位置342B(完全に閉じるのではなく一部洩らす位置)にある。
図5に示すデフモードの選択状態では、冷風側エアミックスドア71はドア閉であり、温風側エアミックスドア72はドア開である。フットドア31は、フット吹出し口を閉じる退出位置(31B)にあり、ドア軸35aを中心として空調ケース22に回動可能に支持されるデフドア35はデフ吹出し口を開く位置(35A)にある。そして、センターベントドア341はセンターベント吹出し口(C−VENT)を閉じる位置341Bにあり、サイドベントドア342はサイドベント吹出し口(S−VENT)を閉じる位置342B(完全に閉じるのではなく一部洩らす位置)にある。
フットドア31は、図2に示すように、フット吹出し口の開時(進出位置にある時)に冷風と温風がぶつかり合うエアミックスチャンバー40にせり出すため、温風と混ざり合うことなく、冷風が空調ケース22の上部にあるベント吹出し口やデフ吹出し口に抜けてしまうのを防ぐ。つまり、フット吹出し口の開時に、フットドア31によりエアミックスチャンバー40を形成する。加えて、フットドア31に温風通路遮蔽プレート41を追加することで、この温風通路遮蔽プレート41が冷風を温風サイドに導くガイド作用を示し、エアミックス性を向上させる。
空調ケースは、インストルメントパネル内に配置されるが、インストルメントパネルの占有スペースを抑えて車室内スペースを確保したいという要求や、インストルメントパネルの占有スペースはそのままでパネル内部により多くのデバイスを搭載したいという要求がある。この要求に応えるには、最もスペース占有率が高い空調ケースを小型コンパクト化することが必須となる。しかも、本来の空調性能を低下させることなく、空調ケースを小型コンパクト化することが強く要求されている。
また、従来のロータリドアは、ドア空間を空気通路として利用するものではない。したがって、エアミック性を確保するために必要な空気通路のスペースを、ロータリドアとは別に空調ケース内に確保する必要がある。
この結果、空調性能を低下させないで空調ケースの小型コンパクト化を達成したいという要求があっても、前記レイアウト制限と空気通路のスペース確保により限界があり、この要求に応えることができない。
このため、空調ケース22を設計するに際し、2つのドア31,71のレイアウト制限が緩和され、2つのドア軸31a,71aの軸間距離を近接距離に設定できるし、フットドア31のドア空間を冷風通路28として利用することができる。
この結果、空調性能(特に、エアミックス性能)を低下させないで、空調ケース22の小型コンパクト化を達成したいという要求に応えることができる。
ロータリドアにおいて、開口部のシール性を確保しながら、回動を可能とするためには、ドア軸からのシール面距離を、扇形のドア側壁の下側で短く、ドア側壁の上側で長くする必要がある。しかし、ロータリドアのシール性は、ドア隔壁だけでなく、ドア隔壁から両側に延びるドア側壁のシール性も確保する必要(三方向シール)がある。このため、扇形のドア側壁の下側で短く上側で長くするだけの設定の場合、ロータリドアの回動角度としては、第2フット開口シール面を超えない角度に制限される。
フルクールでのベントモード選択時には、退出位置のフットドア31によりフット吹出し口の上流側が閉鎖され、しかも、フットドア31が冷風通路28にせり出さない構造とされる。つまり、したがって、フット排出通路33およびフット排出口161を塞ぐドアを別途設けた場合に比べて部品点数を減らして、装置構成の小型化や製造コストの抑制を図ることができる。また、フットドア31が冷風通路28にせり出さないため、ベントモード選択時に通風抵抗を低く抑えることができる。
実験状況は、エバポレータ直後温度=0℃、ヒータコア直後温度82℃、ファン送風量10L/min、外気温度=約25℃である。
この実験により、ヒータコア30の出口通路面積を温風通路遮蔽プレート41により塞いだことにより、ヒータコア30の出口通路面積を全開にしたときに比べ、0.6℃(=3.13−2.53)の改善効果を得ることができた。
この実験により、ヒータコア30の出口通路面積を温風通路遮蔽プレート41により塞いだことにより、ヒータコア30の出口通路面積を全開にしたときに比べ、0.5℃(=3.61−3.11)の改善効果を得ることができた。
実施例1の自動車用空調装置1Aにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
図11は実施例2の自動車用空調装置においてセンターベント吹出し口とサイドベント吹出し口から空気を吹き出すベントモードを示す縦断側面図である。図12は実施例2の自動車用空調装置においてベント吹出し口とフット吹出し口の双方から空気を吹き出すバイレベルモードを示す縦断側面図である。
実施例2においても、実施例1と同様に、フルクールでのベントモード選択時、ヒートピックアップ現象を、別ドアや温水弁等なしで改善できる。
すなわち、実施例2では、空調ケース22と一体に温風通路の一部を塞ぐ温風通路遮蔽プレート42を形成している。このため、図11の破線矢印に示すように、ヒータコア30の周囲に停留している暖かい空気のうち、一部はフットドア31の開口部から冷風通路28へと引き込まれるが、残りの暖かい空気は温風通路遮蔽プレート42により冷風通路28への引き込みが遮断され、ヒータコア30の上部に滞留したままとなる。
なお、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2の自動車用空調装置1Bにあっては、実施例1の(1)〜(4)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
図13は実施例3の自動車用空調装置においてセンターベント吹出し口とサイドベント吹出し口から空気を吹き出すベントモードを示す縦断側面図である。
実施例3においては、フルクールでのベントモード選択時、温風通路遮蔽プレート41と温風通路遮蔽ドア43を併用することで、ヒートピックアップ現象を大幅に改善できる。
実験状況は、エバポレータ直後温度=0℃、ヒータコア直後温度82℃、ファン送風量10L/min、外気温度=約25℃である。
この実験により、ヒータコア30の出口通路面積を温風通路遮蔽プレート41と温風通路遮蔽ドア43により塞いだことにより、ヒータコア30の出口通路面積を温風通路遮蔽プレート41のみで塞いだ場合に比べ、さらに0.68℃(=2.53−1.85)の改善効果を得ることができた。そして、ヒータコア30の出口通路面積を全開にしたときに比べ、1.28℃(=0.6+0.68)の改善効果を得ることができた。
この実験により、ヒータコア30の出口通路面積を温風通路遮蔽プレート41と温風通路遮蔽ドア43により塞いだことにより、ヒータコア30の出口通路面積を温風通路遮蔽プレート41のみで塞いだ場合に比べ、さらに0.61℃(=3.11−2.5)の改善効果を得ることができた。そして、ヒータコア30の出口通路面積を全開にしたときに比べ、1.11℃(=0.5+0.61)の改善効果を得ることができた。
実施例3の自動車用空調装置1Cにあっては、実施例1の(1)〜(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
22 空調ケース
26 エバポレータ
28 冷風通路
29 温風通路
30 ヒータコア
31 フットドア(ロータリドア)
31A 進出位置
31B 退出位置
31b ドア隔壁
32,33 排出通路
71 冷風側エアミックスドア(エアミックスドア)
72 温風側エアミックスドア(エアミックスドア)
DEF デフ吹出し口
C−VENT センターベント吹出し口
S−VENT サイドベント吹出し口
F−FOOT フロント側のフット吹出し口
R−FOOT リヤ側のフット吹出し口
J 合流域
40 エアミックスチャンバー
41 温風通路遮蔽プレート(フットドア側)
42 温風通路遮蔽プレート(空調ケース側)
43 温風通路遮蔽ドア
Claims (9)
- 空調ケース内部に、エバポレータを経由する冷風通路と、ヒータコアを経由する温風通路と、各吹出し口に連通する複数の排出通路系と、を含む空気通路が形成されると共に、エアミックスドアのドア開度により分配される冷風と温風は、冷風と温風の合流域を経由して各排出通路系に空気が流れるように構成された自動車用空調装置において、
前記冷風と温風の合流域に、進出位置にてドア隔壁により合流域から下流側への空気の通流を遮る回動式のロータリドアを設け、
前記ロータリドアと前記エアミックスドアは、進出位置にあるロータリドアのドア隔壁内側のドア空間内を、エアミックスドアの開閉動作空間として用いるオーバーラップレイアウトによるドア位置設定としたことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項1に記載の自動車用空調装置において、
前記ロータリドアは、退出位置ではドア隔壁によりフット排出通路系を塞ぎ、進出位置ではドア隔壁により合流域から下流側への空気の通流を遮ると共にドア空間内を冷風や温風の通路として使うフットドアであり、
前記エアミックスドアは、前記エバポレータを経由する冷風通路の通路開口面積を制御する冷風側エアミックスドアであり、
前記フットドアと前記冷風側エアミックスドアは、進出位置にあるフットドアのドア軸と一対のドア側壁とドア隔壁で囲まれて形成されるドア空間内に、開放側ドア開度による前記冷風側エアミックスドアの一部が重なり合う配置としたことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項1または請求項2に記載の自動車用空調装置において、
前記ロータリドアは、進出方向手前側の周方向端部におけるドア軸からのシール面距離を、進出方向先側の周方向端部におけるドア軸からのシール面距離より短く設定すると共に、進出方向手前側の周方向端部におけるシール面横幅を、進出方向先側の周方向端部におけるシール面横幅より短く設定したことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の自動車用空調装置において、
前記ヒータコアの下流位置に、少なくともロータリドアが退出位置にある状態で、温風通路の一部を塞ぐ温風通路遮蔽プレートを設けたことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項4に記載の自動車用空調装置において、
前記温風通路遮蔽プレートは、前記ロータリドアに一体に形成したことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項5に記載の自動車用空調装置において、
前記ロータリドアは、相互に平行な一対の略扇形のドア側壁と、この一対のドア側壁の外周縁間を繋ぐドア隔壁と、ドア側壁の略扇形の要となる位置に設定したドア軸を備え、空調ケースに回動可能に枢支される前記ドア軸を中心として回動する構成とされ、
前記温風通路遮蔽プレートは、前記ロータリドアの進出方向手前側のドア隔壁と一対のドア側壁により三方向が囲まれる温風通路領域の一部を覆う位置に設定したことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項4に記載の自動車用空調装置において、
前記温風通路遮蔽プレートは、前記空調ケースに一体に形成したことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項7に記載の自動車用空調装置において、
前記温風通路遮蔽プレートは、前記ロータリドアの進出方向手前側の周方向端部におけるシール面が接触する空調ケースの第1フット開口シール面の端部から一体に延長して形成したことを特徴とする自動車用空調装置。 - 請求項6に記載の自動車用空調装置において、
前記ロータリドアのドア軸を同心二重軸とし、
前記同心二重軸のうち一方の軸に、ドア閉時に前記温風通路遮蔽プレートによって遮蔽されない温風通路の開放空間部を塞ぎ、ドア開時に温風通路の開放空間部を開く温風通路遮蔽ドアを設けたことを特徴とする自動車用空調装置。
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