JP2009003136A - 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、ポリエステル系樹脂(A)が、アルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、ポリエステル系樹脂(B)が、アルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂である画像形成装置である。
【選択図】図21
Description
前記課題を解決するため、静電潜像担持体を小径化し、静電潜像担持体周りに設置される各手段を小型化し、1つの画像形成要素を小さくすることにより対応している。その結果、画像形成装置の小型化のみならず材料費の低減という効果も生じ、全体としての低コスト化も多少進んだ。しかし、このような画像形成装置のコンパクト化及び小型化に伴って、画像形成要素に搭載される各手段を高性能化し、かつ安定性を大幅に上げなければならないという、新たな課題が生じている。
一般に、画像形成装置では、電子写真記録、静電記録、磁気記録等の画像形成プロセスにより、間接転写方式又は直接転写方式によって未定着トナー画像が、記録シート、印刷紙、感光紙、静電記録紙等の記録媒体上に形成される。このような未定着トナー画像を定着するための定着手段としては、例えば熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式が広く採用されている。
前記加熱体としては、例えば、耐熱性、絶縁性、良熱伝導性等の特性を有するアルミナや窒化アルミニウム等のセラミック基板上に抵抗層を備えたセラミックヒータなどが用いられる。このような定着手段では、定着フィルムとして薄膜で低熱容量のものを用いることができ、上記熱ローラ方式の定着手段よりも伝熱効率が高く、ウォームアップ時間の短縮が図れ、クイックスタート化や省エネルギー化が可能になる。
このような電磁誘導加熱方式の定着手段では、可視像を十分に包み込んで均一に加熱溶融するため、加熱体と記録媒体との間に表面にゴム弾性層を有するフィルムが配設されている。このゴム弾性層をシリコーンゴム等で形成すると熱伝導性が低いため、熱応答性が悪くなり、加熱体から加熱されるフィルムの内面と、トナーに接するフィルム外面との温度差が非常に大きくなってしまう。そして、トナーの付着量が多い場合にはベルト表面温度が急速に低下して、定着性能を十分に確保することができず、いわゆるコールドオフセットが発生してしまうことがある。
また、印刷時に受ける強いストレスに伴い、トナーの耐久性の不足や、内添剤の分散不良によるフィルミングの発生により、特に、高速連続印字での画像劣化が顕著となる。
また、低分子量樹脂と高分子量樹脂をブレンドする方法においては、高分子量成分の存在により樹脂製造工程における粉砕性や、該結着樹脂を使用した粉砕トナーの製造工程における粉砕性に劣るという欠点を有する。
更に、前記特許文献6及び特許文献7で用いられているロジンモノマーは低温定着性の向上には有効であるものの、臭気が発生しやすいという欠点も有している。
<1> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であることを特徴とする画像形成装置である。
<2> 帯電手段が、静電潜像担持体と非接触で帯電させる帯電手段である前記<1>に記載の画像形成装置である。
<3> 帯電手段が、静電潜像担持体と接触して帯電させる帯電手段である前記<1>に記載の画像形成装置である。
<4> 現像手段が、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有している前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<5> 現像手段が、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<6> 転写手段が、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に転写する転写手段である前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<7> 少なくとも静電潜像担持体、帯電手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列してなり、
前記転写手段は前記複数の画像形成要素の各静電潜像担持体との対向領域である転写位置を通過するように表面が移動する記録媒体に、順次、前記各静電潜像担持体上に形成された可視像を転写する転写手段である前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<8> 転写手段が、静電潜像担持体上に形成された可視像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<9> クリーニング手段を有し、かつ該クリーニング手段は、静電潜像担持体表面と当接するクリーニングブレードを有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<10> 現像手段が、静電潜像担持体表面に当接される現像剤担持体を有し、かつ前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収する前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<11> 定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<12> 定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である前記<1>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<13> ポリエステル系樹脂(A)中の(メタ)アクリル酸変性ロジンの(メタ)アクリル酸変性度が5〜105である前記<1>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<14> ポリエステル系樹脂(B)中のアルコール成分において、1,2−プロパンジオールと、1,3−プロパンジオールとのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)が、70/30〜99/1である前記<1>から<13>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<15> ポリエステル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の少なくともいずれかが、アルコール成分として3価以上の多価アルコール、及びカルボン酸成分として3価以上の多価カルボン酸化合物の少なくともいずれかを含有する前記<1>から<14>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<16> ポリエステル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の少なくともいずれかが、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合を、チタン化合物及びSn−C結合を有していない錫(II)化合物の少なくともいずれかの存在下で行う前記<1>から<15>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<17> 結着樹脂として、ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の2種の樹脂と共に、ハイブリッド樹脂を使用する前記<1>から<16>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<18> 静電潜像担持体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であることを特徴とする画像形成方法である。
<19> 帯電工程が、静電潜像担持体と非接触で帯電させる帯電手段を用いて行われる前記<18>に記載の画像形成方法である。
<20> 帯電工程が、静電潜像担持体と接触して帯電させる帯電手段を用いて行われる前記<18>に記載の画像形成方法である。
<21> 現像工程が、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転する現像剤担持体を用いる前記<18>から<20>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<22> 現像工程が、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材を用いる前記<18>から<20>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<23> 転写工程が、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に転写する転写工程である前記<18>から<22>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<24> 少なくとも静電潜像担持体、静電潜像形成手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列してなり、
前記転写手段は、前記複数の画像形成要素の各静電潜像担持体との対向領域である転写位置を通過するように表面が移動する記録媒体に、順次、各静電潜像担持体上に形成された可視像を転写する転写手段である前記<18>から<23>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<25> 転写工程が、静電潜像担持体上に形成された可視像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを用いる前記<18>から<22>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<26> クリーニング工程を含み、かつ該クリーニング工程は、静電潜像担持体表面と当接するクリーニングブレードを用いる前記<18>から<25>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<27> 現像工程が、静電潜像担持体上に当接される現像剤担持体を有し、静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収する前記<18>から<25>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<28> 定着工程がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面側から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着工程である前記<18>から<27>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<29> 定着工程がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面側から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着工程である前記<18>から<27>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<30> ポリエステル系樹脂(A)中の(メタ)アクリル酸変性ロジンの(メタ)アクリル酸変性度が5〜105である前記<18>から<29>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<31> ポリエステル系樹脂(B)中のアルコール成分において、1,2−プロパンジオールと、1,3−プロパンジオールとのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)が、70/30〜99/1である前記<18>から<30>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<32> ポリエステル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の少なくともいずれかが、アルコール成分として3価以上の多価アルコール、及びカルボン酸成分として3価以上の多価カルボン酸化合物の少なくともいずれかを含有する前記<18>から<31>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<33> ポリエステル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の少なくともいずれかが、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合を、チタン化合物及びSn−C結合を有していない錫(II)化合物の少なくともいずれかの存在下で行う前記<18>から<32>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<34> 結着樹脂として、ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の2種の樹脂と共に、ハイブリッド樹脂を使用する前記<18>から<33>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<35> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
本発明の画像形成装置においては、前記帯電手段が、前記静電潜像担持体表面を一様に帯電させる。前記露光手段が前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する。前記現像手段が、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写手段が、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記トナーとして結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であるトナーを用いているので、低温定着性、耐オフセット性、耐久性、粉砕性、及び保存性のいずれにも優れ、臭気の発生も低減でき、長期間の使用にわたり色調の変化が無く、また、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高品質な画像が形成できる。
本発明の画像形成方法においては、前記帯電工程において、前記静電潜像担持体表面を一様に帯電させる。前記露光工程において、前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する。前記現像工程において、前記静電潜像担持体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写工程において、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記トナーとして結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であるトナーを用いているので、低温定着性、耐オフセット性、耐久性、粉砕性、及び保存性のいずれにも優れ、臭気の発生も低減でき、長期間の使用にわたり色調の変化が無く、また、濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の見られない極めて高品質な画像が形成できる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、クリーニング手段、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。なお、帯電手段と、露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含んでなり、クリーニング工程、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。なお、帯電工程と、露光工程とを合わせて静電潜像形成工程と称することもある。
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、ドラム状、シート状、エンドレスベルト状などが挙げられる。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記画像形成装置の大きさや仕様等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン、CdS、ZnO等の無機感光体;ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。
前記単層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に単層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
前記積層構造の感光体は、支持体と、該支持体上に電荷発生層、及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を設けてなり、更に必要に応じて、保護層、中間層、その他の層を有してなる。
前記帯電工程は、静電潜像担持体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)静電潜像担持体と接触して帯電させる接触方式の帯電手段と、(2)静電潜像担持体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段とに大別される。
前記(1)の接触方式の帯電手段としては、例えば導電性又は半導電性の帯電ローラ、磁気ブラシ、ファーブラシ、フィルム、ゴムブレードなどが挙げられる。これらの中でも、前記帯電ローラは、コロナ放電に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、静電潜像担持体の繰り返し使用時における安定性に優れ、画質劣化防止に有効である。
前記磁気ブラシは、例えばZn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を支持する非磁性の導電スリーブと、該スリーブに内包されるマグネットロールとから構成される。前記ファーブラシは、例えばカーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物等により導電処理されたファーを金属又は導電処理された芯金に巻き付けたり、張り付けたりして形成される。
前記抵抗調整層312は、少なくとも熱可塑性樹脂及び高分子型イオン導電剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を、芯金311の周面に押出成形又は射出成形することにより形成される。
前記抵抗調整層312の体積固有抵抗値は、106〜109Ω・cmが好ましい。前記体積固有抵抗値が109Ω・cmを超えると、帯電量が不足し、感光体ドラムがムラのない画像を得るために十分な帯電電位を得ることができなくなることがあり、体積固有抵抗値が106Ω・cm未満であると、感光体ドラム全体へのリークが生じるおそれがある。
また、前記高分子型イオン導電剤として、4級アンモニウム塩基含有高分子化合物を用いることもできる。該4級アンモニウム塩基含有高分子化合物としては、例えば4級アンモニウム塩基含有ポリオレフィン等が挙げられる。前記抵抗調整層312の抵抗値を上記のような値にするため、その配合量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して10〜40質量部が好ましい。
前記(2)の非接触の帯電手段としては、例えばコロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;静電潜像担持体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は静電潜像担持体表面から1.0〜2.0mm離れた位置に設けられている。
前記帯電手段としては、非接触方式のコロナ帯電器311が設けられ、感光体ドラム321表面はコロナ帯電器311によって一様に帯電される。
図4では、微小ギャップHの維持方法として、帯電ローラ310の両端部にフィルム302を巻きつけてスペーサ部材としている。このスペーサ302は、静電潜像担持体の感光面に接触させ、帯電ローラと静電潜像担持体の画像領域にある一定の微小ギャップHが得られるようになっている。また、印加バイアスは、AC重畳タイプの電圧を印加して、帯電ローラと静電潜像担持体との微小ギャップHに生じる放電により、静電潜像担持体を帯電させる。なお、図4に示すように、帯電ローラの軸311をスプリング303で加圧することで、微小ギャップHの維持精度が向上する。
また、前記スペーサ部材としては、熱収縮チューブを用いてもよい。このような熱収縮チューブとしては、例えば105℃用のスミチューブ(商品名:F105℃、住友化学株式会社製)などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とディジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接静電潜像担持体上に投影する光学系であり、前記ディジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して静電潜像担持体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像手段を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記トナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有してなり、好ましくは離型剤、帯電制御剤、外添剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記結着樹脂は、ポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール中合わせて70モル%以上を含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂である。
軟化点Tm(A)及びTm(B)を上記範囲とすることで、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性を両立し、極めて良好な定着品質を得ることが可能となる。
前記Tm(A)とTm(B)との差〔ΔTm;Tm(B)−Tm(A)〕は、10℃以上であり、15〜55℃がより好ましく、20〜50℃が更に好ましい。10℃未満の場合、トナーの定着可能な温度範囲が狭くなり、コールドオフセットやホットオフセットが発生しやすくなる。
また、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性を両立するためのより好ましい条件としては、前記ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)と質量比〔((A)/(B))は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、30/70〜70/30が更に好ましい。
このような特性を備えた前記低軟化点のポリエステル系樹脂(A)は低温定着性の向上に、前記高軟化点のポリエステル系樹脂(B)は耐オフセット性の向上にそれぞれ寄与し、前記ポリエステル系樹脂(A)と、前記ポリエステル系樹脂(B)との併用は、低温定着性と耐オフセット性との両立に有効である。
前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分に用いられる炭素数3の分岐鎖型のアルコールである1,2−プロパンジオールは、炭素数2以下のアルコールと対比して耐オフセット性を維持したまま低温定着性を向上させるのに有効であり、炭素数4以上の分岐鎖型アルコールと対比してガラス転移温度の低下に伴う保存性の低下防止に有効であり、極めて低い温度での定着が可能となり、保存性が向上するという驚くべき効果が奏される。また、1,2−プロパンジオールをアルコール成分として含有するポリエステル系樹脂は、離型剤との相溶性に優れ、微分散しやすい。特に1,2−プロパンジオールの含有量が、2価のアルコール成分中、65モル%以上であるときは、優れた低温定着性と耐オフセット性を発揮する。
前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分としては、本発明の目的及び作用効果が損なわれない範囲で、1,2−プロパンジオール以外のアルコールが含有されていてもよいが、1,2−プロパンジオールの含有量は、2価のアルコール成分中65モル%以上であり、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上が更に好ましい。前記1,2−プロパンジオール以外の2価のアルコール成分としては、1,3−プロパンジオール、炭素数の異なるエチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の脂肪族ジアルコールなどが挙げられる。
前記2価のアルコール成分の含有量は、アルコール成分中60〜95モル%が好ましく、65〜90モル%がより好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分には、耐オフセット性の観点から、1,3−プロパンジオールが含有されていることが好ましい。前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分における1,2−プロパンジオールと1,3−プロパンジオールのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)は、99/1〜65/35が好ましく、95/5〜70/30がより好ましく、90/10〜75/25が更に好ましく、85/15〜77/23が更に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分には、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族アルコールが含有されていてもよいが、前記ポリエステル系樹脂(A)のアルコール成分は、実質的に脂肪族アルコールのみからなるものが好ましい。ここで、本願明細書において、「実質的に脂肪族アルコールのみからなるアルコール成分」とは、脂肪族アルコールの含有量が、アルコール成分中90モル%以上であることを意味する。
前記ポリエステル系樹脂(A)のような(メタ)アクリル酸変性ロジン含有樹脂は、極めて低い温度での定着が可能であり、保存性も向上する特徴を有する。また、(メタ)アクリル酸変性ロジンがポリエステルユニットの主鎖の一部として樹脂の分子量を上げる一方で、分子量500以下の低分子量成分、即ち、残存モノマー成分やオリゴマー成分が低減されるため、低温定着性と耐オフセット性及び保存性という相反する物性の両立が可能となる。特に、軟化点が低い樹脂は、低温定着性を向上させる反面、トナーの保存性に悪影響を与えるため、ポリエステル系樹脂(A)を(メタ)アクリル酸変性ロジン含有樹脂とすることによって、低温定着性と保存性の両立を達成した。なお、本明細書において、本発明における樹脂に関し、便宜上、(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂と表示したが、この「由来」とは、原料モノマーの少なくとも一つとしてとして(メタ)アクリル酸変性ロジンを使用していることを意味するものである。
前記(メタ)アクリル酸変性ロジンとは、(メタ)アクリル酸で変性されたロジンであり、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸、レポピマール酸等を主成分とするロジンに、(メタ)アクリル酸を付加反応させて得られるものであり、具体的には、ロジンの主成分の中で共役二重結合を有するレポピマール酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸と、(メタ)アクリル酸とによる加熱下でのディールス−アルダー(Diels−Alder)反応を経て得ることができる。
ここで、前記(メタ)アクリル酸変性度は、下記数式(1)により算出することができる。
前記SP値とは、後述する実施例で示すように環球式自動軟化点試験器で測定される軟化点を意味する。また、前記飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。前記数式(1)の分子(X1−Y)は、(メタ)アクリル酸で変性したロジンのSP値の上昇度を意味し、前記数式(1)で表される(メタ)アクリル酸変性度の値が大きいほど変性の度合いが高いことを示す。
更に、保存性及び臭気の観点から、上記3種類の物質に加えて、n−ヘキサナールと2−ペンチルフランが低減されていることが好ましい。n−ヘキサナールのピーク強度は、1.7×107以下が好ましく、1.6×107以下がより好ましく、1.5×107以下が更に好ましい。また、2−ペンチルフランのピーク強度は1.0×107以下が好ましく、0.9×107以下がより好ましく、0.8×107以下が更に好ましい。
変性前のロジンの酸価は、100〜200mgKOH/gが好ましく、130〜180mgKOH/gがより好ましく、150〜170mgKOH/gが更に好ましい。
前記ロジンの酸価は、例えばJIS K0070に記載の方法に基づき測定することができる。
更に、本発明におけるポリエステル系樹脂(B)は、上記1,2−プロパンジオールと共に、1,3−プロパンジオールを併用することで、高軟化点樹脂でありながら、ガラス転移温度の上昇を抑え、よりポリエステル系樹脂(A)との相溶性が良好な樹脂となる。
前記ポリエステル系樹脂(B)のアルコール成分における1,2−プロパンジオールと1,3−プロパンジオールのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)は、70/30〜99/1が好ましく、75/25〜90/10がより好ましく、85/15〜77/23が更に好ましい。
特に1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて、70モル%以上であるときは、本発明の効果を発揮することができる。より好ましくは80モル%以上であり、更に好ましくは90モル%以上である。
前記ポリエステル系樹脂(B)は、高軟化点樹脂であるため、前記ポリエステル系樹脂(A)に比べて樹脂の分子量が高い。分子量が高い樹脂は、トナー製造工程における溶融混練時において、分子鎖が切断されやすくなる。このような分子量が高い樹脂において、特に、主鎖骨格中にロジン骨格が存在する場合は分子鎖が切れやすい傾向が見られる。このため、ポリエステル系樹脂(B)に関してロジン骨格を導入する場合は、分子鎖の末端にロジン骨格を導入することで、分子鎖の切断を軽減することができる。従って、前記ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸成分中に精製ロジンを含有させることで、樹脂の分子鎖末端にロジンが導入されやすくなり、分子鎖の切断を軽減できる。また、分子鎖の切断を促進し、定着特性等に悪影響を与えない程度であれば、前記ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸成分中に、精製ロジンと共に(メタ)アクリル酸変性ロジン等の変性ロジンを含有させてもよい。
前記ポリエステル系樹脂(B)に用いられる精製ロジンの酸価は、100〜200mgKOH/gが好ましく、130〜180mgKOH/gがより好ましく、150〜170mgKOH/gが更に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(B)に用いられる精製ロジンの含有量は、前記カルボン酸成分中、2〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、10〜30モル%が更に好ましい。
前記炭素数2〜4の脂肪族ジカルボン酸の含有量は、低温定着性の向上及びガラス転移温度の低下抑制の観点から、前記カルボン酸成分中0.5〜20モル%が好ましく、1〜10モル%がより好ましい。このような芳香族環を有さない脂肪族カルボン酸化合物を1,2−プロパンジオール及び/又は1,3−プロパンジオールと縮重合させることにより得られるポリエステル系樹脂は、離型剤との相溶性が向上するため、離型剤との併用により、より一層耐フィルミング性を向上させることができる。
前記ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸成分には、本発明の効果が損なわれない範囲で、前記脂肪族カルボン酸化合物及びロジン以外のカルボン酸化合物が含まれていてもよく、ガラス転移温度の確保の観点から、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が含有されていることが好ましい。前記芳香族ジカルボン酸の含有量は、前記カルボン酸成分中、40〜95モル%が好ましく、50〜90モル%がより好ましく、60〜80モル%が更に好ましい。
前記ポリエステル系樹脂(B)は、架橋ポリエステル樹脂であることが好ましく、架橋剤として、3価以上の原料モノマーが前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の少なくともいずれかに含まれていることが好ましい。前記3価以上の原料モノマーの含有量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量中、0〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましい。
前記3価以上の原料モノマーにおいて、3価以上の多価カルボン酸化合物としては、例えばトリメリット酸又はその誘導体が好ましい。3価以上の多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。これらの中でも、架橋剤として作用するだけでなく低温定着性の向上にも有効であることから、グリセリンが特に好ましい。かかる観点から前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の少なくともいずれかのアルコール成分として、グリセリンを含有することが好ましい。該グリセリンの含有量は、アルコール成分中、5〜40モル%が好ましく、10〜35モル%がより好ましい。
前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との縮重合は、エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。前記エステル化触媒としては、p−トルエンスルホン酸等のルイス酸類、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は両者を併用して用いられる。これらの中でも、チタン化合物、Sn−C結合を有さない錫(II)化合物が特に好ましい。
前記チタン化合物としては、例えばチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C3H7O)2〕、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート〔Ti(C4H10O2N)2(C3H7O)2〕、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C5H11O)2〕、チタンジエチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C2H5O)2〕、チタンジヒドロキシオクチレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(OHC8H16O)2〕、チタンジステアレートビストリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)2(C18H37O)2〕、チタントリイソプロピレートトリエタノールアミネート〔Ti(C6H14O3N)1(C3H7O)3〕、チタンモノプロピレートトリス(トリエタノールアミネート)〔Ti(C6H14O3N)3(C3H7O)1〕などが挙げられる。これらの中でも、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート、チタンジイソプロピレートビスジエタノールアミネート、チタンジペンチレートビストリエタノールアミネートが特に好ましく、これらは、例えばマツモト交商株式会社製の市販品としても入手可能である。
前記チタン化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.7質量部がより好ましい。
前記Sn−O結合を有する錫(II)化合物としては、例えばシュウ酸錫(II)、ジ酢酸錫(II)、ジオクタン酸錫(II)、ジラウリル酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、ジオレイン酸錫(II)等の炭素数2〜28のカルボン酸基を有するカルボン酸錫(II);ジオクチロキシ錫(II)、ジラウロキシ錫(II)、ジステアロキシ錫(II)、ジオレイロキシ錫(II)等の炭素数2〜28のアルコキシ基を有するジアルコキシ錫(II);酸化錫(II);硫酸錫(II)などが挙げられる。
前記Sn−X(ただし、Xはハロゲン原子を示す)結合を有する化合物としては、例えば塩化錫(II)、臭化錫(II)等のハロゲン化錫(II)などが挙げられ、これらの中でも、帯電立ち上がり効果及び触媒能の点から、(R1COO)2Sn(ただし、R1は炭素数5〜19のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表される脂肪酸錫(II)、(R2O)2Sn(ただし、R2は炭素数6〜20のアルキル基又はアルケニル基を示す)で表されるジアルコキシ錫(II)、SnOで表される酸化錫(II)が好ましく、(R1COO)2Snで表される脂肪酸錫(II)、酸化錫(II)がより好ましく、ジオクタン酸錫(II)、ジステアリン酸錫(II)、酸化錫(II)が更に好ましい。
前記Sn−C結合を有していない錫(II)化合物の存在量は、前記アルコール成分及び前記カルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.7質量部がより好ましい。
前記アルコール成分と前記カルボン酸成分との縮重合は、例えば、前記エステル化触媒の存在下、不活性ガス雰囲気中にて、180℃〜250℃の温度で行うことができる。
本発明においてハイブリッド樹脂は、前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)と併用して用いることにより、トナーに優れた定着離型性と、機械的強度を良好に保つ働きがある。本発明におけるポリエステル系樹脂(A)及び(B)は、優れた低温定着性と耐オフセット性、耐熱保存性を持つ優れた樹脂であるが、実質的に脂肪族アルコールのみから構成されるために、機械的強度に劣る。また、離型剤を均一微分散できるが、離型剤が相溶しやすい為に、定着時に離型性がトナー表層に相分離しづらく、定着離型性が好ましくない。本発明においてハイブリッド樹脂は、ポリエステル系樹脂(A)及び(B)とへの離型剤の相溶を適度に抑制し、優れた定着離型性を発揮させる。また、トナーに機械的強度を付与することができ、その際に低温定着性や耐熱保存性を損なうことがない。
2価のアルコール成分としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
この中でも、水素添加ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなど、ビスフェノールA骨格を有するアルコール成分は、樹脂に耐熱保存性や機械的強度を付与するので好適に用いることができる。
カルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
この中でも、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸化合物が、樹脂の耐熱保存性、機械的強度の観点から好適に用いられる。
また、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐熱保存性を両立すると同時に、離型剤を最適な分散させるためのより好ましい条件としては、前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)と前記ハイブリッド樹脂の質量比(ハイブリッド樹脂の質量/ポリエステル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の総質量)は、3/97〜20/80が好ましく、5/95〜15/85がより好ましく、8/92〜13/87が更に好ましい。
前記ハイブリッド樹脂の軟化点Tmとしては、90〜130℃であることが好ましく、より好ましくは100〜120℃である。90℃より低い場合は、耐熱保存性、耐オフセット性が悪化し、130℃より高い場合は、低温定着性を悪化させる。また、前記ハイブリッド樹脂のガラス転移温度は、定着性、保存性及び耐久性の観点から、45〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましく、53℃〜65℃が更に好ましい。前記ハイブリッド樹脂の酸価は、帯電性と環境安定性の観点から、5〜80mgKOH/gが好ましく、15〜40mgKOH/gがより好ましい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
マゼンタ用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
シアン用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36などが挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36などが挙げられる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、カルボニル基含有ワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等のワックス類が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが好ましい。
前記ポリオレフィンワッックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
前記長鎖炭化水素としては、例えば、パラフィンワッックス、サゾールワックス等が挙げられる。
前記離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点として求めることができる。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1,000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、前記マスターバッチと共に溶融混練させた後、溶解乃至分散させてもよく、前記トナーの各成分と共に前記有機溶剤に直接、溶解乃至分散させる際に添加してもよく、あるいはトナー粒子製造後にトナー表面に固定させてもよい。
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア粒子、疎水化されたチタニア微粒子、が好適に挙げられる。
前記疎水化処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し0.1〜5質量%が好ましく、0.3〜3質量%がより好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好適である。
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、従来公知のトナーの製造方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、混練・粉砕法、重合法、溶解懸濁法、噴霧造粒法等が挙げられる。
前記混練・粉砕法は、例えば、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー材料を溶融混練し、得られた混練物を粉砕し、分級することにより、前記トナーの母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、該混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。該溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイシーケイ社製二軸押出機、池貝鉄工所製PCM型二軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。この溶融混練は、結着樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが好ましい。具体的には、溶融混練温度は、結着樹脂の軟化点を参考にして行われ、該軟化点より高温過ぎると切断が激しく、低温すぎると分散が進まないことがある。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
前記重合法によるトナーの製造方法としては、例えば、有機溶媒中に少なくともウレア又はウレタン結合し得る変性されたポリエステル系樹脂と着色剤を含むトナー材料溶解乃至分散させる。そして、この溶解乃至分散物を水系媒体中に分散し、重付加反応させ、この分散液の溶媒を除去し、洗浄して得られる。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。
前記2価アミン化合物(B1)としては、例えば芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。
前記3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えばエタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えばアミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えばアミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)の中でも、B1及びB1と少量のB2の混合物が特に好ましい。
〔トナーの質量平均粒径〕
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:100μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB=13.6)5質量%電解液
・分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、更に超音波分散機にて1分間分散させる。
・測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から質量平均粒径を求める。
前記現像剤は、前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像剤担持体としての現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部が好ましい。
前記現像手段に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
前記一成分現像手段としては、例えばトナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材とを有する一成分現像装置が好適に用いられる。
前記ゴム材料としては、例えばシリコーンゴム、ブタジエンゴム、NBRゴム、ヒドリンゴム、EPDMゴムなどが挙げられる。また、現像ローラ402の表面に、特に経時品質を安定化させるためにコート層を被覆することが好ましい。前記コート層の材料としては、例えばシリコーン系材料、テフロン(登録商標)系材料などが挙げられる。前記シリコーン系材料はトナー帯電性に優れ、前記テフロン(登録商標)系材料は離型性に優れている。なお、導電性を得るために適宜カーボンブラック等の導電性材料を含有させることもできる。前記コ−ト層の厚みは5〜50μmが好ましい。この範囲を外れると、割れ易い等の不具合が発生しやすくなることがある。
前記規制ブレードの材料としては、SUS304等の金属が好ましく、厚みは0.1〜0.15mmである。前記金属以外にも厚み1〜2mmのポリウレタンゴム等のゴム材料やシリコーン樹脂等の比較的硬度の高い樹脂材料が使用可能である。なお、金属以外でもカ−ボンンブラック等を混ぜ込むことにより低抵抗化できるので、バイアス電源を接続して現像ローラ402との間に電界を形成することも可能である。
前記規制ブレード413の当接圧は0.049〜2.45N/cmの範囲が好ましい。前記当接圧が2.45N/cmを超えると、現像ローラ402上のトナー付着量が減少し、かつトナー帯電量が増加し過ぎるので、現像量が減少して画像濃度が低くなることがあり、0.049N/cm未満であると、薄層が均一に形成されずにトナーの固まりが規制ブレードを通過することがあり、画像品質が著しく低下することがある。本実施形態にでは、現像ローラ402のJIS−A硬度が30゜のものを、規制ブレード413は厚み0.1mmのSUS板を使用し、その当接圧は60gf/cmに設定した。このとき、目標の現像ローラ上のトナー付着量を得ることができた。
前記二成分現像手段としては、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する二成分現像装置が好適である。
前記現像ギャップは、現像剤粒径の5〜30倍程度が好ましく、現像剤粒径が50μmであれば0.5〜1.5mmに設定することが好適である。これより現像ギャップ広くすると、望ましい画像濃度がでにくくなることがある。
また、前記ドクターギャップは、現像ギャップと同程度か、あるいはやや大きくすることが好ましい。感光体ドラム1のドラム径やドラム線速、現像スリーブ442のスリーブ径やスリーブ線速は、複写速度や装置の大きさ等の制約によって決まる。ドラム線速に対するスリーブ線速の比は、必要な画像濃度を得るために1.1以上にすることが好ましい。なお、現像後の位置にセンサを設置し、光学的反射率からトナー付着量を検出してプロセス条件を制御することもできる。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であり、転写手段を用いて行われる。前記転写手段としては。静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に直接転写する転写手段と、又は中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する二次転写手段とに大別される。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト、転写ローラなどが好適に挙げられる。
前記中間転写体の静止摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.3〜0.5がより好ましい。前記中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上103Ωcm以下であることが好ましい。このように中間転写体の体積抵抗を数Ωcm以上103Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易にすることができる。
(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたものであり、例えばPC(ポリカーボネート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)とPAT(ポリアルキレンテレフタレート)とのブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)とPCとのブレンド材料、ETFEとPATとのブレンド材料、PCとPATとのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミドなどが挙げられる。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にリブズレが生じにくいという利点を有している。
(2)上記(1)のヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層又は中間層を形成した2〜3層構成のベルトであり、このような2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因して発生するライン画像の中抜けを防止しうる性能を有している。
(3)樹脂、ゴム又はエラストマーを用いたヤング率の比較的低い弾性ベルトであり、このような弾性ベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じないという利点を有している。また、弾性ベルトの幅を駆動ロール及び張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止できるので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
これらの中でも、前記(3)の弾性ベルトが特に好ましい。
前記弾性ベルトは、転写部においてトナー層、平滑性の悪い記録媒体に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、トナー層に対して過度に転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ、文字の中抜けが無く、平面性の悪い記録媒体に対しても均一性の優れた転写画像が得られる。
前記弾性ベルトに用いるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレア熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記伸びを防止する材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、綿、絹等の天然繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維、銅繊維等の金属繊維などが挙げられ、これら材料を織布状又は糸状としたものが好適に用いられる。
前記被覆層の厚みは、該被覆層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂が発生しやすくなる。また、伸縮量が大きくなって画像の伸びや縮みが大きくなることから厚すぎる(約1mm以上)ことは好ましくない。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着画像を転写可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記タンデム型画像形成装置は、少なくとも静電潜像担持体、帯電手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列したものである。このタンデム型画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の4つの画像形成要素を搭載し、各々の可視像を4つの画像形成要素で並列に作成し、記録媒体又は中間転写体上で重ね合わせることから、より高速にフルカラー画像を形成できる。
また、前記(1)の直接転写方式では、記録媒体の搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成部Tに接近して配置することとなる。そのため、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、記録媒体Sの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚い記録媒体で顕著となる)や、定着装置7を通過するときの記録媒体の搬送速度と、転写搬送ベルトによる記録媒体の搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい。これに対し、前記(2)の間接転写方式は、記録媒体Sがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるので、定着装置7はほとんど画像形成に影響を及ぼさない。
以上のようなことから、最近では、特に間接転写方式のものが注目されている。このようなカラー画像形成装置では、図8に示すように、一次転写後に静電潜像担持体1上に残留する転写残トナーを、クリーニング手段としてのクリーニング装置8で除去して静電潜像担持体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。また、二次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程である。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有する定着装置が好適に用いられる。
前記定着部材としては、互いに当接してニップ部を形成可能であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、無端状ベルトとローラとの組合せや誘導加熱などによる前記定着部材の表面からの加熱方法を用いるのが好ましい。
前記定着部材としては、例えば、公知の加熱加圧手段(加熱手段と加圧手段との組合せ)が挙げられる。前記加熱加圧手段としては、前記無端状ベルトと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せが挙げられ、前記ローラと前記ローラとの組合せの場合には、例えば、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、などが挙げられる。
また、前記定着工程は、各色のトナーに対し、前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記ニップ部の面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5N/cm2以上が好ましく、7〜100N/cm2がより好ましく、10〜60N/cm2が更に好ましい。該ニップ部の面圧が高すぎると、ローラの耐久性が低下する場合がある。一方、前記ニップ部の面圧が5N/cm2未満であると、定着性が不充分となることがある。
前記(1)の内部加熱方式の定着手段としては、例えば、前記定着部材それ自体が内部に加熱手段を有するものが挙げられる。このような加熱手段としては、例えばヒーター、ハロゲンランプ等の熱源が挙げられる。
前記電磁誘導加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁場を発生する手段と、電磁誘導により発熱する手段とを有するものなどが好適である。
前記電磁誘導加熱手段としては、例えば、前記定着部材(例えば、加熱ローラ)へ近接するように配置される誘導コイルと、この誘導コイルが設けられている遮蔽層と、この遮蔽層の誘導コイルが設けられている面の反対側に設けられている絶縁層とからなるものが好ましい。このとき、前記加熱ローラは、磁性体からなる態様、ヒートパイプである態様などが好ましい。
前記誘導コイルは、前記加熱ローラの、前記加熱ローラと前記定着部材(例えば、加圧ローラ、無端状ベルトなど)との接触部位の反対側において、少なくとも半円筒部分を包む状態にて配置されるのが好ましい。
図9は、内部加熱方式の定着手段の一例を示すベルト式定着装置である。この図9のベルト式定着装置510は、加熱ローラ511と、定着ローラ512と、定着ベルト513と、加圧ローラ514とを備えている。
定着ベルト513は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ511と定着ローラ512とによって張架され、加熱ローラ511により所定の温度に加熱されている。加熱ローラ511は、内部には加熱源515が内蔵されており、加熱ローラ511の近傍に取り付けられた温度センサ517により温度調節可能に設計されている。定着ローラ512は、定着ベルト513の内側に、かつ定着ベルト513の内面に当接しながら回転可能に配置されている。加圧ローラ514は、定着ベルト513の外側に、かつ定着ベルト513の外面に、定着ローラ512を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。また、定着ベルト513の表面硬度は、加圧ローラ514の表面硬度よりも低く、定着ローラ512及び加圧ローラ514間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、定着ローラ512側に位置する。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ512及び加圧ローラ514間を通過し、定着ベルト513から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ514側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト513への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト513はクリーニングローラ516で清浄化される。
加熱ローラ520は、中空の金属シリンダー521を有し、その表面がオフセット防止層522で被覆されて形成されており、内部に加熱ランプ523が配設されている。また、加圧ローラ530は、金属シリンダー531を有し、その表面がオフセット防止層532で被覆されて形成されている。なお、加圧ローラ530は、金属シリンダー531が中空形状を有し、その内部に加熱ランプ533が配設されていてもよい。
加熱ローラ520と加圧ローラ530とは、バネ(不図示)により付勢されることにより、圧接された状態にて、回転可能に設けられ、ニップ部Nを形成する。また、加熱ローラ520におけるオフセット防止層522の表面硬度は、加圧ローラ530におけるオフセット防止層532の表面硬度よりも低く、加熱ローラ520及び加圧ローラ530間に形成されたニップ部Nにおいては、記録媒体Sの導入側端及び排出側端の間に位置する中間領域が、前記導入側端及び前記排出側端よりも、加熱ローラ520側に位置する。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、加熱ローラ520及び加圧ローラ530間を通過し、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ530側に向けて排出され、記録媒体Sの加圧ローラ530への巻き付きが防止される。なお、加熱ローラ520は、クリーニングローラ(不図示)で清浄化される。
図11は、外部加熱方式の定着手段の一例を示す電磁誘導加熱式定着装置570である。この電磁誘導加熱式定着装置570は、加熱ローラ566と、定着ローラ580と、定着ベルト567と、加圧ローラ590と、電磁誘導加熱手段560とを備えている。
定着ベルト567は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ566と定着ローラ580とによって張架され、加熱ローラ566により所定の温度に加熱されている。
加熱ローラ566は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材を有し、例えば、外径が20〜40mm、肉厚が0.3〜1.0mmに設けられ、低熱容量で昇温の速い構成となっている。
定着ローラ580は、例えば、ステンレススチール等の金属製の芯金581を有し、その表面が耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状又は発泡状にした弾性層582で被覆されて形成されており、定着ベルト567の内側に、かつ定着ベルト567の内面に当接しながら回転可能に配置されている。定着ローラ580は、加圧ローラ590からの押圧力により、加圧ローラ590と定着ローラ580との間に所定幅のニップ部Nを形成するために、外径を20〜40mm程度に設け、加熱ローラ566よりも大きくしている。弾性層582は、その肉厚を4〜6mm程度とし、加熱ローラ566の熱容量が定着ローラ580の熱容量よりも小さくなるように形成され、加熱ローラ566のウォームアップ時間の短縮化を図っている。
加圧ローラ590は、例えば、銅、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金591を有し、その表面を耐熱性及びトナー離型性の高い弾性層592で被覆されて形成されており、定着ベルト567の外側に、かつ定着ベルト567の外面に、定着ローラ580を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。なお、芯金591には上記金属以外にSUSを使用してもよい。
電磁誘導加熱手段560は、加熱ローラ566の近傍であって、加熱ローラ566の軸方向にわたって配設されている。電磁誘導加熱手段560は、磁界発生手段である励磁コイル561と、この励磁コイル561が巻き回されたコイルガイド板562とを有している。コイルガイド板562は加熱ローラ566の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル561は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板562に沿って加熱ローラ566の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル561は、発振回路が周波数可変の駆動電源(不図示)に接続されている。励磁コイル561の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア563が、励磁コイルコア支持部材564に固定されて励磁コイル561に近接配置されている。
次いで、トナー画像Tが定着された記録媒体Sは、定着ローラ580及び加圧ローラ590間を通過し、定着ベルト567から剥離され、トレイ(不図示)に搬送される。このとき、記録媒体Sが、加圧ローラ590側に向けて排出され、記録媒体Sの定着ベルト567への巻き付きが防止される。なお、定着ベルト567がクリーニングローラ(不図示)で清浄化される。
定着ローラ520は、芯金521を有し、その表面は断熱弾性層522、発熱層523、及び離型層524がこの順に被覆されて形成されている。また、加圧ローラ530は、芯金531を有し、その表面は断熱弾性層532、発熱層533、及び離型層534がこの順に被覆されて形成されている。なお、離型層524及び離型層534は、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)で形成されている。
定着ローラ520と加圧ローラ530とは、バネ(不図示)により付勢されることにより、圧接された状態にて、回転可能に設けられ、ニップ部Nを形成する。
電磁誘導加熱源540は、定着ローラ520及び加圧ローラ530の近傍にそれぞれ配設され、発熱層523及び発熱層533を電磁誘導により加熱する。
図12に示す定着装置においては、電磁誘導加熱源540により、定着ローラ520及び加圧ローラ530が均一かつ効率よく予熱される。また、ローラとローラとの組合せであるため、ニップ部Nの高面圧化を容易に実現することができる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留するトナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
また、前記現像手段が、静電潜像担持体表面に当接される現像剤担持体を有し、かつ前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収することによって、クリーニング手段を設けることなくクリーニングを行うことができる(クリーニングレス方式)。
前記クリーニングブレードに用いられるゴムブレードの材質としては、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、等が挙げられ、これらの中でも、ウレタンゴムが特に好ましい。
図14は、現像手段がクリーニング手段を兼ねたクリーニングレス方式の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図14において、1は静電潜像担持体としての感光体ドラム、620は接触帯電手段としてのブラシ帯電装置、603は露光手段としての露光装置、604は現像手段としての現像装置、640は給紙カセット、650はローラ転写手段、Pは記録媒体を示す。
ここで、現像手段604がクリーニング手段を兼ねるとは、転写後に感光体ドラム1上に若干残留したトナーを現像バイアス(現像剤担持体631に印加する直流電圧と感光体ドラム1の表面電位間の電位差)によって回収する方法を意味する。
このような現像手段がクリーニング手段を兼ねたクリーニングレス方式の画像形成装置では、転写残トナーは現像装置604に回収され、次工程以後用いられるため、廃トナーをなくし、メンテナンスフリーとなり、かつクリーナーレスシステムになるため、スペース面での利点も際だって大きく、画像形成装置を大幅に小型化することが可能となる。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図15を参照しながら説明する。図15に示す画像形成装置100は、静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、帯電手段としての帯電ローラ20と、露光手段としての露光装置による露光30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニングブレード60と、除電手段としての除電ランプ70とを備えている。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図17を参照しながら説明する。図17に示すタンデム型画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。このタンデム型カラー画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
なお、二次転写手段22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
前記トナー入り容器は、前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
前記トナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、トナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂である。
前記ポリエステル系樹脂(A)及び(B)としては、上述した画像形成装置及び画像形成方法で説明したものと同様なものを用いることができる。
また、前記帯電手段、露光手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段としては、上述した画像形成装置と同様なものを適宜選択して用いることができる。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置、ファクシミリ、プリンターに着脱可能に備えさせることができ、本発明の前記画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが特に好ましい。
次に、図19に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、試料として1gの樹脂を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(1)試料の調製
ロジン10gを、170℃にて2時間ホットプレートで溶融した。その後、開封状態で温度25℃、相対湿度50%の環境下で1時間自然冷却させ、コーヒーミル(National MK−61M)で10秒間粉砕し、試料を調製した。
(2)測定
フローテスター(島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
示差走査熱量計(セイコー電子工業株式会社製、DSC210)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミニウムパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
JIS K0070に記載の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
JIS K0070に記載の方法に基づき測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量分布を測定した。トナー30mgにテトラヒドロフラン10mlを加え、ボールミルで1時間混合後、ポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(FP−200、住友電気工業株式会社製)を用いて濾過して不溶成分を除き、試料溶液を調製した。
溶離液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させ、試料溶液100μlを注入して測定を行った。なお、分析カラムには「GMHLX+G3000HXL」、東ソー株式会社製)を使用し、分子量の検量線は数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成した。
分子量が500以下の低分子量成分の含有量(%)は、RI(屈折率)検出器により得られたチャート面積における該当領域の面積の、全チャート面積に対する割合(該当領域の面積/全チャート面積)として算出した。
溶融した状態の試料2.1gを所定のリングに流し込んだ後、室温まで冷却した後、JIS B7410に基づき、下記の条件で測定を行った。
・測定機:環球式自動軟化点試験器(ASP−MGK2、株式会社メイテック製)
・昇温速度:5℃/min
・昇温開始温度:40℃
・測定溶剤:グリセリン
前記ロジンの(メタ)アクリル酸変性度は、下記数式(1)により算出した。
飽和SP値とは、(メタ)アクリル酸とロジンの反応を、得られる(メタ)アクリル酸変性ロジンのSP値が飽和値に達するまで反応させたときのSP値を意味する。なお、ロジン1モルの分子量は、酸価をx(mgKOH/g)とすると、ロジン1gに対して水酸化カリウム(分子量:56.1)がxmg(x×10−3g)反応していることになるから、次式、分子量=(56100÷x)で算出することができる。
ワックスの最大吸熱ピークは、DSC測定機器として示差走査熱量計(島津製作所製、TA−60WS、及びDSC−60)を用い、測定したDSC曲線から求めた。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行った。なお、DSC曲線は、1回昇温、降温させて前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いた。
−ロジンの精製−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した2,000mL容の蒸留フラスコに1,000gのトールロジンを加え、1kPaの減圧下で蒸留を行い、195℃〜250℃での留出分を主留分として採取した。以下、精製に供したトールロジンを未精製ロジン、主留分として採取したロジンを精製ロジンとする。
A.ヘッドスペースサンプラー(Agilent社製、HP7694)
・サンプル温度:200℃
・ループ温度:200℃
・トランスファーライン温度:200℃
・サンプル加熱平衡時間:30min
・バイアル加圧ガス:ヘリウム(He)
・バイアル加圧時間:0.3min
・ループ充填時間:0.03min
・ループ平衡時間:0.3min
・注入時間:1min
・分析カラム:DB−1(60m−320μm−5μm)
・キャリア:ヘリウム(He)
・流量条件:1mL/min
・注入口温度:210℃
・カラムヘッド圧:34.2kPa
・注入モード:split
・スプリット比:10:1
・オーブン温度条件:45℃(3min)−10℃/min−280℃(15min)
・イオン化法:EI(電子イオン化)法
・インターフェイス温度:280℃
・イオン源温度:230℃
・四重極温度:150℃
・検出モード:Scan 29〜350m/s
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した1,000mL容のフラスコ内に、未精製ロジン(SP値=77.0℃)332g(1モル)、及びアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、230℃、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち未精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.1℃であった。
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した1,000mL容のフラスコ内に、精製ロジン(SP値=76.8℃)338g(1モル)、及びアクリル酸72g(1モル)を加え、160℃から230℃に8時間かけて昇温し、230℃にてSP値が上がらなくなったことを確認した後に、230℃、5.3kPaの減圧下で未反応のアクリル酸及び低沸点物の留去を行い、アクリル酸変性ロジンを得た。得られたアクリル酸変性ロジンのSP値、即ち精製ロジンを使用したアクリル酸変性ロジンの飽和SP値は110.4℃であった。
−アクリル酸変性ロジンAの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容のフラスコ内に、精製ロジン(SP値=76.8℃)6,084g(18モル)、及びアクリル酸907.9g(12.6モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、更に220℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンAを得た。得られたアクリル酸変性ロジンAのSP値は110.4℃、ガラス転移温度は57.1℃、アクリル酸変性度は100であった。
−アクリル酸変性ロジンBの合成−
分留管、還流冷却器、及び受器を装備した10L容のフラスコ内に、精製ロジン(SP値=76.8℃)6,084g(18モル)、及びアクリル酸648.5g(9.0モル)を加え、160℃から220℃に8時間かけて昇温し、220℃にて2時間反応させた後、更に220℃、5.3kPaの減圧下で蒸留を行い、アクリル酸変性ロジンBを得た。得られたアクリル酸変性ロジンBのSP値は99.1℃、ガラス転移温度は53.2℃、アクリル酸変性度は66であった。
表2及び表3に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分、及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で10時間縮重合反応させた後、230℃、8kPaにて1時間反応を行った。220℃まで冷却した後、表2及び表3に示す無水トリメリット酸を投入し、常圧(101kPa)下で1時間反応させた後に、220℃、20kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行ってポリエステル樹脂L1〜L7、及びポリエステル樹脂H1〜H7を合成した。
縮重合系モノマーである、テレフタル酸748g、無水トリメリット酸144g、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド1808g、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド712g、エステル化触媒としてジブチル錫オキシド17gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器、滴下ロート、及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコ内に入れ、付加重合系モノマーである、スチレン937g、アクリル酸32g、2−エチルヘキシルアクリレート193g、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド58gを滴下ロートに入れた。窒素雰囲気下、135℃で撹拌を行いながら、付加重合系モノマーの混合物を5時間かけて滴下し、135℃で6時間反応を行った。210℃まで3時間かけて昇温を行い、210℃、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、ハイブリッド樹脂(HB1)を合成した。
得られたハイブリッド樹脂(HB1)の軟化点は115.0℃、ガラス転移温度は57.7℃、酸価は18.1mgKOH/gであった。
−マスターバッチ1の作製−
下記の組成の顔料、ポリエステル樹脂L1、及び純水を1:1:0.5(質量比)の割合で、混合して、2本ロールにより混練した。混練を70℃で行い、その後、ロール温度を120℃まで上げて、水を蒸発させて、シアンマスターバッチ1(MB−C1)、マゼンタマスターバッチ1(MB−M1)、イエローマスターバッチ1(MB−Y1)、及びブラックマスターバッチ1(MB−K1)からなるマスターバッチ1(MB−1)を作製した。
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・マゼンタ顔料(C.I.Pigment red 122)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・イエロー顔料(C.I.Pigment yellow 180)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
・ポリエステル樹脂L1・・・100質量部
・ブラック顔料(カーボンブラック)・・・100質量部
・純水・・・50質量部
−マスターバッチ2の作製−
製造例1において、ポリエステル樹脂L1をポリエステル樹脂L2に変えた以外は、製造例1と同様にして、シアンマスターバッチ2(MB−C2)、マゼンタマスターバッチ2(MB−M2)、イエローマスターバッチ2(MB−Y2)、及びブラックマスターバッチ2(MB−K2)からなるマスターバッチ2(MB−2)を作製した。
−マスターバッチ3の作製−
製造例1において、ポリエステル樹脂L1をポリエステル樹脂L3に変えた以外は、製造例1と同様にして、シアンマスターバッチ3(MB−C3)、マゼンタマスターバッチ3(MB−M3)、イエローマスターバッチ3(MB−Y3)、及びブラックマスターバッチ3(MB−K3)からなるマスターバッチ3(MB−3)を作製した。
−マスターバッチ4の作製−
製造例1において、ポリエステル樹脂L1をポリエステル樹脂L4に変えた以外は、製造例1と同様にして、シアンマスターバッチ4(MB−C4)、マゼンタマスターバッチ4(MB−M4)、イエローマスターバッチ4(MB−Y4)、及びブラックマスターバッチ4(MB−K4)からなるマスターバッチ4(MB−4)を作製した。
−マスターバッチ5の作製−
製造例1において、ポリエステル樹脂L1をポリエステル樹脂L5に変えた以外は、製造例1と同様にして、シアンマスターバッチ5(MB−C5)、マゼンタマスターバッチ5(MB−M5)、イエローマスターバッチ5(MB−Y5)、及びブラックマスターバッチ5(MB−K5)からなるマスターバッチ5(MB−5)を作製した。
−マスターバッチ6の作製−
製造例1において、ポリエステル樹脂L1をポリエステル樹脂L6に変えた以外は、製造例1と同様にして、シアンマスターバッチ6(MB−C6)、マゼンタマスターバッチ6(MB−M6)、イエローマスターバッチ6(MB−Y6)、及びブラックマスターバッチ6(MB−K6)からなるマスターバッチ6(MB−6)を作製した。
−マスターバッチ7の作製−
製造例1において、ポリエステル樹脂L1をポリエステル樹脂L7に変えた以外は、製造例1と同様にして、シアンマスターバッチ7(MB−C7)、マゼンタマスターバッチ7(MB−M7)、イエローマスターバッチ7(MB−Y7)、及びブラックマスターバッチ7(MB−K7)からなるマスターバッチ7(MB−7)を作製した。
<トナー1の製造>
以下のようにして、シアントナー1、マゼンタトナー1、イエロートナー1、及びブラックトナー1からなるトナー1を製造した。
表4に示すトナー1の使用原料である結着樹脂、離型剤、及びマスターバッチ4色の内シアンマスターバッチを、表4に示される各々の処方量で、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で100〜130℃の温度で溶融、混練した。得られた混練物は室温まで冷却後、ハンマーミルにて200〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、質量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、質量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級し、トナー母体粒子を得た。次いで、トナー母体粒子100質量部に対し、添加剤(HDK−2000、クラリアント株式会社製)1.0質量部をヘンシェルミキサーで撹拌混合し、シアントナー1を製造した。また、得られたトナーに使用したポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の各軟化点であるTm(A)、Tm(B)の差〔ΔTm〕を表4に示した。
シアントナー1の製造方法において、表4に示すトナー1の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、マゼンタマスターバッチを、表4に示す処方量で使用したこと以外は、シアントナー1の製造方法と同様にして、マゼンタトナー1を製造した。
シアントナー1の製造方法において、表4に示すトナー1の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、イエローマスターバッチを、表4に示す処方量で使用したこと以外は、シアントナー1の製造方法と同様にして、イエロートナー1を製造した。
シアントナー1の製造方法において、表4に示すトナー1の使用原料であるマスターバッチの内シアンマスターバッチの代わりに、ブラックマスターバッチを、表4に示す処方量で使用したこと以外は、シアントナー1の製造方法と同様にして、ブラックトナー1を製造した。
<トナー2〜14の製造>
上記トナー1の製造例と同様にして、シアントナー2〜14、マゼンタトナー2〜14、イエロートナー2〜14、及びブラックトナー2〜14からなるトナー2〜14を、表4に示される原料の組合せ及び処方量でそれぞれ製造した。
*表4に記載されている離型剤のW1はパラフィンワックス(HNP−9PD、日本精蝋株式会社製、融点76.1℃)、W2は脱遊離脂肪酸カルナウバワックス(WA−03、東亞化成株式会社製、融点82.8℃)である。
次に、得られたトナー1〜14について、以下のようにして、粉砕性、耐熱保存性、及び臭気を評価した。結果を表5に示す。
実施例及び比較例において結着樹脂として使用した表4に示す組み合わせの樹脂の溶融混練物をハンマーミルにて粒径200〜300μmに粗粉砕したものを10.00g精秤し、ミル&ミキサー MM−I型(株式会社日立リビングサプライ製)にて30秒間粉砕後、30メッシュ(目開き:500μm)の篩いにかけ、通過しない樹脂の質量(A)gを精秤し、下記数式(i)により、残存率を求め、この操作を3回行い、平均した残存率の平均値を粉砕性の指標とし、下記の評価基準に従って粉砕性を評価した。残存率の平均値が小さいほど粉砕性に優れる。
(数式(i))
残存率=〔(A)/粉砕前の樹脂質量(10.00g)〕×100
〔評価基準〕
◎:残存率が5%未満
○:残存率が5%以上10%未満
△:残存率が10%以上15%未満
×:残存率が15%以上20%未満
××:残存率が20%以上
耐熱保存性は、針入度試験器(日科エンジニアリング株式会社製)を用いて測定した。具体的には、各トナーを10g計量し、温度20〜25℃、40〜60%RHの環境下で30mlのガラス容器(スクリューバイアル)に入れ、蓋を閉めた。トナーを入れたガラス容器を100回タッピングした後、温度を50℃にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度試験器で針入度を測定し、下記の評価基準により耐熱保存性を評価した。針入度の値が大きいほど、耐熱保存性に優れる。なお、トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:針入度が30mm以上
○:針入度が20mm〜29mm
△:針入度が15mm〜19mm
×:針入度が8mm〜14mm
××:針入度が7mm以下
トナー20gをアルミホイルカップ(株式会社テラオカ製、FM−409(本体))に測り取り、150℃に加熱したホットプレートの上に30分間静置し、トナーから発生する臭気を以下の評価基準に従って評価した。
〔評価基準〕
◎:臭気は全く感じられない。
○:臭気はほとんど感じられない。
△:臭気が若干感じられるが、実用上問題ない。
×:臭気が強く感じられる。
−画像形成及び評価−
以上作製したトナー1〜5及び7〜14について、図20に示す画像形成装置Aに装填して、画像形成を行い、以下のようにして、各種性能評価を行った。結果を表6に示す。
図20に示す画像形成装置Aは、接触帯電方式、一成分現像方式、直接転写方式、クリーナーレス方式、及び内部加熱のベルト定着方式を採用した直接転写方式のタンデム型画像形成装置である。
この図20に示す画像形成装置Aにおいて、帯電手段310として図1に示すような接触方式の帯電ローラを用いている。現像手段324として図5に示すような一成分現像装置を用いており、この現像装置が残留トナーを回収できるクリーナーレス方式を採用している。定着手段327として図9に示すようなベルト式定着装置を採用しており、この定着装置は、加熱ローラの熱源としてハロゲンランプを用いている。なお、図20中、330は搬送ベルトである。
図20に示す画像形成装置Aにおける画像形成要素341は、感光体ドラム321の周辺に帯電手段310、露光手段323、現像手段324、転写手段325が配設されている。画像形成要素341における感光体ドラム321は、回転しながら、帯電手段310による帯電、露光手段323による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段324でイエロートナーにより現像され、感光体ドラム321上にイエロートナーによる可視像が形成される。この可視像は転写手段325により記録媒体326上に転写され、その後、現像手段324によって感光体ドラム321上に残ったトナーが回収される。同様にして、各画像形成要素342、343、344によって、記録媒体326上にマゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーによる可視像が重ね合わされ、記録媒体326上に形成されたカラー画像が定着手段327によって定着される。
−低温定着性−
前記評価機Aを用い、厚紙の転写紙(株式会社NBSリコー製、複写印刷用紙<135>)に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色で、トナー付着量0.85±0.1mg/cm2の単色ベタ画像を作成し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器(AD−401、上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とし、下記基準により低温定着性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。また、トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が120℃以下
○:定着下限温度が121℃以上130℃以下
△:定着下限温度が131℃以上145℃以下
×:定着下限温度が146℃以上155℃以下
××:定着下限温度が156℃以上
前記評価機Aを用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色で、トナー付着量0.85±0.1mg/cm2の単色ベタ画像を作成し、定着ベルトの温度を変化させて定着試験を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度を定着上限温度とし、下記基準で耐ホットオフセット性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。また、トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果を評価値とした。
〔評価基準〕
◎:定着上限温度が230℃以上
○:定着上限温度が210℃以上230℃未満
△:定着上限温度が190℃以上210℃未満
×:定着上限温度が180℃以上190℃未満
××:定着上限温度が180℃未満
初期の画像品質は、前記評価機Aを用いて、画像評価チャートをフルカラーモードで出力し、色調(色合い)変化、カブリ、画像濃度、及びカスレなどの有無について評価した。異常の有無、及び画質のランク評価を目視評価し以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:原画と比較するとごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが、実用上問題なく良好である。
△:色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
前記評価機Aを用い、フルカラーモードで80%画像面積(各色20%画像面積)の画像チャートを50,000枚ランニング出力した後、前記初期画質評価と同様の評価を行い、初期画像との比較を行って、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:初期画像と比較すると、ごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが通常温湿度の環境下では問題無いレベルである。
△:初期画像と比較すると、色調(色合い)、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:初期画像と比較すると、色調変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
−キャリアの製造−
下記組成のコート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製し、このコート液と、芯材(Cu−Znフェライト粒子、質量平均径=35μm)5,000質量部を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成して、キャリアを作製した。
〔コート材組成〕
・トルエン・・・450質量部
・シリコーン樹脂(SR2400、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、不揮発分50質量%)・・・450質量部
・アミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)・・・10質量部
・カーボンブラック・・・10質量部
作製したトナー2、トナー4、及びトナー6を各5質量%と、上記作製したキャリア95質量%からなる二成分現像剤を常法により調製した。
図21に示す画像形成装置Bに装填して、画像形成を行い、上記実施例1〜5及び比較例1〜8と同様にして、定着性、耐久性及び画質の評価を行った。また、以下のようにして、キャリア汚染性についての評価を行った。結果を表6に示す。
図21に示す画像形成装置Bは、非接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式のタンデム型画像形成装置である。
図21に示す画像形成装置Bにおいて、帯電手段311として図3に示すような非接触のコロナ帯電器を採用している。現像手段324として図6に示すような二成分現像装置を採用している。クリーニング手段330として図10に示すようなクリーニングブレードを採用している。定着手段327として図12に示すような電磁誘導加熱方式のローラ式定着装置を採用している。
図21に示す画像形成装置Bにおける画像形成要素351は、感光体ドラム321の周辺に帯電手段311、露光手段323、現像手段324、一次転写手段325、クリーニング手段330が配設されている。画像形成要素351における感光体ドラム321は、回転しながら、帯電手段310による帯電、露光手段323による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段324でイエロートナーにより現像され、感光体ドラム321上にイエロートナーによる可視像が形成される。この可視像が一次転写手段325によって中間転写ベルト355上に転写され、クリーニング手段330によって感光体ドラム321上に残ったイエロートナーが除去される。同様にして、各画像形成要素352、353、354によって、中間転写ベルト355上にマゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーによる可視像が形成される。そして中間転写ベルト355上のカラー画像は、転写器356によって記録媒体326上に転写され、中間転写ベルトクリーニング手段358によって中間転写ベルト355上に残ったトナーが除去される。記録媒体326上に形成されたカラー画像は定着手段327によって定着される。
キャリア汚染性は、トナーのキャリア汚染の指標となる特性であり、トナーの機械的強度が高い程、キャリア汚染が少ない。
評価法として具体的には、上記画像形成装置Bを用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを100枚ランニング出力した後と30,000枚ランニング出力した後の現像剤を抜き取り、現像剤を目開き32μmのメッシュが張られたゲージ内に適量入れ、エアブローを行い、トナーとキャリアを分離した。得られたキャリア1.0gを50mlガラス瓶に入れ、クロロホルム10mlを加えて、50回手振りして、10分間静置させた。その後、上澄みのクロロホルム溶液をガラスセルに入れ、濁度計を用いてクロロホルム溶液の透過率を測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:透過率が95%以上
○:透過率が90%以上94%以下
△:透過率が80%以上89%以下
×:透過率が70%以上79%以下
××:透過率が69%以下
2 転写手段(一次転写手段)
3 搬送ベルト
4 中間転写体
5 二次転写手段
6 給紙装置
7 定着装置
8 クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング手段
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像手段
45Y イエロー用現像手段
45M マゼンタ用現像手段
45C シアン用現像手段
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング手段
61 現像装置
62 転写帯電器
63 クリーニング装置
64 除電装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録媒体
100 画像形成装置
101 静電潜像担持体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像手段
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
302 フィルム
303 スプリング
311 芯金
312 抵抗調整層
313 保護層
310 帯電ローラ
321 静電潜像担持体
323 露光手段
324 現像手段
325 転写手段
326 記録媒体
327 定着手段
330 クリーニング手段
331 除電装置
400 原稿自動搬送装置(ADF)
401 ケーシング
402 現像ローラ
411 アジテータ
412 供給ローラ
413 規制ブレード
510 ベルト式定着装置
511 加熱ローラ
512 定着ローラ
513 定着ベルト
514 加圧ローラ
515 熱ロール式定着装置
525 ロール式定着装置
570 電磁誘導加熱式定着装置
613 クリーニングブレード
S 記録媒体
P 記録媒体
Claims (19)
- 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であることを特徴とする画像形成装置。 - 帯電手段が、静電潜像担持体と非接触で帯電させる帯電手段である請求項1に記載の画像形成装置。
- 帯電手段が、静電潜像担持体と接触して帯電させる帯電手段である請求項1に記載の画像形成装置。
- 現像手段が、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有している請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 現像手段が、トナーが供給される現像剤担持体と、該現像剤担持体表面にトナーの薄層を形成する層厚規制部材を有する請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 転写手段が、静電潜像担持体上の可視像を記録媒体に転写する転写手段である請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 少なくとも静電潜像担持体、帯電手段、現像手段、及び転写手段を含む画像形成要素を複数配列してなり、
前記転写手段は前記複数の画像形成要素の各静電潜像担持体との対向領域である転写位置を通過するように表面が移動する記録媒体に、順次、前記各静電潜像担持体上に形成された可視像を転写する転写手段である請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。 - 転写手段が、静電潜像担持体上に形成された可視像が一次転写される中間転写体と、該中間転写体上に担持された可視像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを有する請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
- クリーニング手段を有し、かつ該クリーニング手段は、静電潜像担持体表面と当接するクリーニングブレードを有する請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
- 現像手段が、静電潜像担持体表面に当接される現像剤担持体を有し、かつ前記静電潜像担持体に形成された静電潜像を現像すると共に該静電潜像担持体上の残留トナーを回収する請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
- 定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接しない面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
- 定着手段がローラ及びベルトの少なくともいずれかを有し、トナーと接する面から加熱し、記録媒体上に転写された転写像を加熱及び加圧して定着する定着手段である請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
- ポリエステル系樹脂(A)中の(メタ)アクリル酸変性ロジンの(メタ)アクリル酸変性度が5〜105である請求項1から12のいずれかに記載の画像形成装置。
- ポリエステル系樹脂(B)中のアルコール成分において、1,2−プロパンジオールと、1,3−プロパンジオールとのモル比(1,2−プロパンジオール/1,3−プロパンジオール)が、70/30〜99/1である請求項1から13のいずれかに記載の画像形成装置。
- ポリエステル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の少なくともいずれかが、アルコール成分として3価以上の多価アルコール、及びカルボン酸成分として3価以上の多価カルボン酸化合物の少なくともいずれかを含有する請求項1から14のいずれかに記載の画像形成装置。
- ポリエステル系樹脂(A)及びポリエステル系樹脂(B)の少なくともいずれかが、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合を、チタン化合物及びSn−C結合を有していない錫(II)化合物の少なくともいずれかの存在下で行う請求項1から15のいずれかに記載の画像形成装置。
- 結着樹脂として、ポリエステル系樹脂(A)及び(B)の2種の樹脂と共に、ハイブリッド樹脂を使用する請求項1から16のいずれかに記載の画像形成装置。
- 静電潜像担持体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であることを特徴とする画像形成方法。 - 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記トナーが、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、かつ前記結着樹脂がポリエステル系樹脂(A)及び該ポリエステル系樹脂(A)より軟化点が10℃以上高いポリエステル系樹脂(B)を含有してなり、
前記ポリエステル系樹脂(A)が、1,2−プロパンジオールを2価のアルコール成分中65モル%以上含有するアルコール成分と、(メタ)アクリル酸変性ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する(メタ)アクリル酸変性ロジン由来の樹脂であり、
前記ポリエステル系樹脂(B)が、1,2−プロパンジオール及び1,3−プロパンジオールを2価のアルコール成分中合わせて70モル%以上含有するアルコール成分と、精製ロジンを含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルユニットを有する精製ロジン由来の樹脂であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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