JP2008532542A - 水産養殖種用飼料の製造プロセス - Google Patents

水産養殖種用飼料の製造プロセス Download PDF

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Abstract

本発明は、魚粉、大豆粉、菜種粉、羽毛粉などのようなタンパク質、コムギ、デンプン含有供給源などのような結合剤、海産及び/又は植物起源である脂質に由来し、且つ少なくとも1つのミネラル、ビタミン、酵素、及びアスタキサンチンのような色素のような従来の添加物を含む飼料及び飼料生成物の生成プロセスを含む。タンパク質材料と結合剤、場合によりミネラルとを混合し、次いで、押し出し成形し、ペレット化し、顆粒化し、輸送又は保存に適切な多孔質ペレットを形成して、保存安定性の中間生成物を製造する。真空槽への導入前にビタミン及び場合によっては色素及び酵素をゲル又はエマルジョンと混合し、水及び脂質を含むゲル又は水及び脂質を含むエマルジョンを真空槽で孔に導入させることによってこの中間生成物をさらに処理して、それから真空槽の真空を解除し、それにより、生成された飼料を中間貯蔵庫に移すか又は消費場所(養魚場など)に直接移す。飼料生成物の新規の特徴は、水及び脂質の大部分がタンパク質、ミネラル、並びに少量の水及び脂質を含む中間生成物の孔中においてゲル又はエマルジョンの形態で存在することである。

Description

本発明は、魚粉、大豆粉、菜種粉、羽毛粉などのようなタンパク質、コムギ、デンプン含有供給源(starch containing source)などのような結合剤、海産及び/又は植物起源である脂質由来の水産養殖種のための飼料の製造プロセスに関する。ミネラル、ビタミン、酵素、及びアスタキサンチンのような色素を製造中に添加することができる。本発明はまた、新規のプロセスから生じる生成物を含む。
サケ飼料のような魚飼料の最も一般的なプロセスは、水、ビタミン、色素、及びミネラルを添加したタンパク質原料の押し出し成形を含む。押し出し成形前にいくつかの脂質も添加することができる。次いで、押し出し成形したペレットを真空に曝露し、脂質を孔に吸着させる。これらの工程を全て、魚飼料プラントで行い、ここで最終産物を乾燥させ、その後の養魚場への輸送のために包装する。何年にもわたるこの生成プロセスは最適化及び改良されているにもかかわらず、経済に関わるいくつかの非常に深刻な問題を本質的に含んでいる。
押し出し成形プロセス中に、ビタミン及び色素(着色料)が部分的に分解するので、最終生成物中で所望の量となるようにこれらの成分を過剰に添加している。したがって、高価な押し出し成形安定性原料を使用することがある。高い油又は脂質吸着能力をさらに得るために、押し出し成形物を、4〜6重量%の含水率まで乾燥させる。低含水率は、長期保存期間を得る(すなわち、長期間保存することができる安定な生成物を得る)ためにも必要である。しかし、魚類の消化工程に関しては、飼料の含水率が高いことが有利であろう。しかし、含水率が非常に高い場合、カビ発生問題の原因となる。高含水率はまた、保存中のビタミン活性の低下の原因となり得る。大量の油を含む魚飼料によって起こる別の問題は、油の漏出である。この問題を軽減する1つの方法は、飼料ペレットを融点の高い脂質でさらにコーティングすることであるが、これにより、費用が増加し、飼料の栄養的価値が低下し得る。
漏出問題に取り組んだ1つの方法は、最大55重量%の脂質を含む魚飼料ペレットに関する特許出願WO2004080201号に記載されている。周囲温度で液体である脂質の大部分は、飽和するまで押し出し成形したペレットに吸着される。次いで、ペレットを冷却し、小さな(minor)部分(総脂質含有率の0.5〜1.5重量%)でペレットをコーティングする。このコーティングは、100〜17重量%のa)グリセリン、b)脂肪酸、c)粗ヤシ油、又はa)、b)、及びc)の混合物から成り、成分a)、b)、及びc)は全て融点が高く、0〜83重量%の脂質が周囲温度で液体である。このプロセスの主な問題は、余剰の冷却及びコーティング工程が必要であり、脂質が主な脂質源と異なることである。これにより、飼料の費用が増加し、栄養価も低下する。さらに、欧州特許第0980213号から、油含有率の高いペレットを得るプロセスが既知である。基本成分の混合物を押し出し成形し、周囲条件下で固体である添加物と共に魚飼料ペレットを多孔質ペレットのマトリックスを成形する。添加物は、脂質又は脂肪酸である。次いで、油を多孔質ペレットに吸着させる。添加物は、動物又は植物供給源由来の硬化油又は脂質乳化剤(モノグリセリド、ジグリセリド、又はトリグリセリドなど)のいずれかであることが好ましい。保存中及び使用時のこれらのペレットの油漏れはほとんどないことを主張しているが、含水率、ビタミン、及び色素に関する上記問題は変わらない。ノルウェー特許第307021号では、押し出し成形工程中に起こるビタミン及び色素喪失を減少させる方法が記載されている。この減少を得るために、ビタミン及び色素、さらに酵素、タンパク質、及び抗酸化剤を、押し出し成形工程後の液体相に添加してペレットに吸着させ、真空乾燥させ、それから添加物を含む油をペレットに吸着させる。別のノルウェー特許第316013号は、高含水率の魚飼料を主張したプロセスを記載している。タンパク質及び脂肪を含む従来の飼料ペレットをペレットが水を吸うことができるように真空状態を保持する貯水槽に入れることによって高含水率の魚飼料が得られる。養魚場でこのプロセスを行い、水性スラリー中でペレットを檻(pen)に供給する。ビタミン、色素、及びミネラルを、貯水槽に添加することができる。この貯水槽で海水を使用することもできる。どのようにして添加物が正確に投与されるのか、及びどのようにして魚類が正確な量のこれらの添加物を摂取するのかということを調査することは困難である。
米国特許第4,935,250号明細書から、油含量が高く、ペレットに特別なコーティングを行うことによって保存中の乾燥を防止したペレットがさらに既知である。このコーティングは、弾力性を示し、且つ柔軟であり、これは、ゲルを形成するアルギン酸塩又はグアーガム及び塩化カルシウム溶液の使用によって得られる。しかし、これは、ペレットの孔に配置されるゲル形態での水及び油の混合を意味しない。
本発明の主な目的は、水及び油の含有率が比較的高いと同時に、押し出し成形工程及び保存中に起こるビタミン、酵素、及び色素の喪失を最小にした水産養殖種のための飼料を生成することができる柔軟なプロセスに到達することであった。
別の目的は、漏出問題を起こさない脂質含有率の高い飼料を得ることである。
さらなる目的は、飼料の生成に必要なプロセス工程及び装置の数を減少させることによって従来のものより簡潔なプロセスに到達することである。
従来のプロセスで起こるビタミン及び色素の分解及び喪失の問題が研究されてきたが、本発明者らは、一連のプロセスにどれだけ遅くこれらの成分を添加できるかを調査した。そして、驚いたことに、飼料生成を基本的に2つの工程に分けることによって上記の全ての問題を解決することができることが見出された。第1の工程は、魚粉、大豆粉、菜種粉、羽毛粉などのようなタンパク質原料をコムギ、デンプンなどのような結合剤及び水と簡潔に混合し、この混合物を多孔質ペレットに押し出し成形又は凝集させる。これらのペレットは、実質的に添加される脂質並びに添加されるビタミン及び色素を含まず、したがって、いかなる品質も変化することなくバッグ又はサイロ中に長期間保存することができる。この飼料中間体の生成を、巨大な飼料工場で行うことができる。次いで、第2の工程では、好ましくはこの養魚場で、ビタミン、色素、及び脂質を中間体に添加することができる。ミネラルを、第1又は第2の工程のいずれかで添加することができる。最終飼料中にビタミン及び色素を均一に分散させるために、これらの成分を、水及び脂質成分に溶解するか又は混合することによって、中間体が得られる。したがって極めて重大な問題は、どのようにして中間体に大量の水及び脂質の両方を保持させ、最終飼料のさらなる取り扱い/保存時に脂質の漏出を依然として回避することであった。次いで、ビタミン及び色素、場合によってはミネラルを含む所望の比率での水と脂質との混合物の作製を試みた。問題は、中間体の孔に吸着され得る安定で且つ硬さが均一の混合物を得ることであった。デンプンのようなマトリックス形成剤(matrix forming agent)を添加して、成分を撹拌してそのうちに硬化するペースト又はマヨネーズ様生成物としてこの混合物を得ることが可能であることが見出された。このペーストの粘度を、ペーストの加熱によって低下させることができる。次いで、中間生成物を、ペーストを添加した真空容器に入れ、孔に吸着させた。従来の方法で吸着プロセスを行い、最終飼料ペレットを周囲温度に冷却し、養魚用の檻又は貯蔵庫に直接輸送するよう準備した。
ペーストの混合工程前に、水溶性ビタミンを水成分に添加し、油溶性ビタミンを脂質成分に添加することができる。サケ用飼料では、アスタキサンチンのような色素を、脂質及び/又は水成分に添加することができる。マトリックス剤(matrix agent)の添加及び撹拌前にビタミン及び色素を完全に溶解する必要はなかった。いくつかの場合、飼料に酵素を添加することが有利でもあり得る。この添加を、例えば、水成分への酵素の添加によってプロセスの非常に遅い工程で行うことができる。
類似のアプローチは、ビタミン、酵素、及び色素、場合によってはミネラルのような添加物を含む水及び脂質のエマルジョンを作製することであった。しかし、保存中にミネラルが変質するので、中間生成物にミネラルを添加することが最も実践的であると考えられた。次いで、このエマルジョンを、中間生成物のペレットに吸着させることができる。次いで、最終飼料生成物の水及び脂質含有率は、エマルジョンの水:油比及び使用した乳化剤の種類に応じて変化させることができる。場合により、エマルジョンの最終剛性を、吸着工程前のエマルジョンへのデンプンのようなマトリックス形成剤の添加によってさらに増加させることができる。油漏出を回避するために、エマルジョンがペレットの孔中に留まることが不可欠である。
次いで、飼料粒子への水及び油の吸着の試験に関する研究を開始し、乳化剤及びデンプンのようなゲル化剤の使用によって水及び油を混合し、吸着可能性の研究を試みた。適切な乳化剤又はゲル化剤を添加した水と油との混合物は脂肪吸着が増加し、さらに、飼料粒子が水を吸着すると仮定した。
本発明の主な特徴は、魚粉、大豆粉、菜種粉、羽毛粉などのようなタンパク質、コムギ、デンプン含有供給源などのような結合剤、海産及び/又は植物起源である脂質及びミネラル、ビタミン、及びアスタキサンチンのような色素のような従来の添加物由来の水生種の飼料の生成プロセスであって、タンパク質材料を結合剤、場合によりミネラルと混合し、次いで、押し出し成形し、ペレット化/顆粒化し、輸送又は保存に適切な多孔質ペレットを形成して、保存安定性中間性生物の製造を含む。この中間生成物を水及び脂質を含むゲル又は水及び脂質を含むエマルジョンを真空槽で孔に吸着させることによって、さらに処理し、ここで真空槽への導入前にビタミン、及び色素をゲル又はエマルジョンと混合し、それから真空槽の真空を解除し、そのようにして生成された飼料を貯蔵庫に移すか又は消費場所に直接移す。
本発明の別の特徴は、ゲルが20〜80重量%の水及び80〜20重量%の脂質の範囲の比率の水及び脂質をデンプン又はゼラチンと共に混合することによって形成されることである。
本発明によれば、エマルジョンは、水及び脂質を液体の0.1〜2%の量の乳化剤と共に混合することによって形成され、水及び/又は脂質はビタミン及び色素を含む。
好ましくは、エマルジョンが20〜80℃の温度で混合を行うことによって作製される。
最も好ましくは、ポリリシノレイン酸ポリグリセロールが水中油型乳化剤として使用される。
中間生成物が、30〜80℃に加熱され、真空槽中で0.1〜0.3Barの真空に曝露されて、これに予熱したゲル又はエマルジョンを導入し、ペレットと混合して、真空をゆっくりと解除する。
本発明は、水及び脂質の大部分がタンパク質、ミネラル、並びに少量の水及び脂質を含む中間生成物の孔中においてゲル又はエマルジョンの形態で存在する。
ゲル又はエマルジョンの液体画分が、20〜80重量%の水及び80〜20重量%の脂質を含み得る。最終飼料中の水及び脂質の総量はそれぞれ10〜40重量%及び10〜40重量%であり得る。
本発明の具体的な特徴は、ビタミン、酵素及び色素が中間体ペレットの孔中のゲル又はエマルジョン中に存在し得る。
本発明を、さらに、以下の実施例並びに従来のプロセスを示すフローシート及び本発明のプロセスを示すフローシートの記載によってさらに説明及び予想する。
図1に示す従来のプロセスでは、適切なバッチのために魚粉、植物性タンパク質、及びコムギの秤量から開始する。次いで、これらの原材料を、所望の粒度に磨砕し、所望の量のビタミン、ミネラル、及び色素を添加した混合工程に移す。押し出し成形に適切な質塊を得るための必要量の水/蒸気を、押し出し成形前及び押し出し成形中に添加する。この塊を押し出し成形し、粒子にペレット化し、4〜6%の含水率まで乾燥させ、それにより、多孔質ペレットが形成される。これらのペレットを真空槽に直接移し、ここで油/脂質がペレットの孔に吸着され、それにより、所望の量の油でコーティングされる。次いで、コーティングされたペレットを保存温度に冷却し、種々の養魚場に輸送するために包装する。
図2は、第1の工程で純粋なタンパク質中間生成物が生成される本発明のプロセスを示す。魚粉、植物性タンパク質、コムギ、及びミネラルを、適切なバッチ中で秤量し、所望の粒度に磨砕する。次いで、原材料を混合し、押し出し成形及びその後のペレット化に適切な質塊の形成のために、水/蒸気を添加する。ペレットを乾燥させ、保存温度に冷却する。このようにして、生成されたペレットを、長期間保存することができる。ビタミン、色素、及び脂質を含まないこの中間生成物をさらに処理して適切な飼料生成物を得るべきである。この処理を、中間生成物と同一の場所で行うことができるが、飼料を消費する場所(例えば、養魚場)でこのプロセスを行うことがより有利である。ここで、中間生成物のバッチを、所望の量のゲル又はエマルジョンを添加する真空槽に供給する。水溶性ビタミン及び色素を水に溶解し、脂溶性ビタミン及び色素を油/脂質に溶解する。次いで、ゲル又はエマルジョンを、この水溶液及び油性溶液から形成させる。次いで、ゲル又はエマルジョンを、真空槽中の中間生成物の孔に吸着させる。このように、水及び油の両方の含有率が高いペレットが形成される。真空の解除後、最終ペレットを、中間体の保存に適切な容器に移し、そこからペレットを消費場所(例えば、養魚場)に移すことができる。
フィターゼ、プロテアーゼ、及び炭水化物を分解する酵素のような飼料の酵素を、動物飼料に首尾よく添加する。酵素は、高い水レベル及び至適温度によって腸で作用する。水性飼料中の飼料酵素の効果は、ほとんどの種において低温に制限される。例としては、20℃未満の冷水条件で養殖されているサケ及びマスである。ノルウェーのような主な養殖地域での平均海温度は8〜10℃である。飼料酵素に最適な温度は、35〜45℃である。したがって、低温は、魚飼料中の飼料酵素の使用のための制限因子である。しかし、本発明の技術の使用による処理温度は、約40℃である。さらに、ペレット中の水レベルを増加させる。
したがって、この技術は、供給前の酵素による首尾のよい処理の門戸を開く。酵素を、エマルジョンの水相に添加し、飼料ペレットに吸着させることができる。次いで、飼料を、供給前に中間体保存のための保持タンクに移す。タンク中の保存期間を、飼料酵素の効果を最適にするために調整することができる。異なる飼料酵素の最適条件は、生成物の定義から既知である。
(実施例1)
本実施例は、油/水/デンプン混合物の調製を示す。中間タンパク質生成物は、実施例2及び3で使用したものと同一であった。水及びAquatex Cuit8071(24%タンパク質及び50%α化デンプンを含む押し出し成形された小粒である)由来のデンプンと共にヒマワリ油を使用した。この混合物では、80℃の水に溶解した3%デンプンを使用した。均一な生成物に到達した後、油を添加してマヨネーズ様生成物が得られ、これは20℃未満の温度で液体のままである。この混合物は、3gのデンプン、50gの水、及び45gの油を含んでいた。次いで、上記ペレットを、200mBarの絶対圧力に設定した真空容器に入れ、液体油/水/デンプン混合物をペレットと混合した。この混合工程中に、圧力を20秒間で1000mBarの絶対圧力に戻し、液体をペレットの孔に押し込んだ。ペレットを鋭利なナイフで切断した場合、ペレット内のマトリックスが水を吸着しているが、ペレット構造が維持されることが認められた。これらの実験由来の数値及び最終生成物のさらなる目視評価を、表4、表5、及び表6に示す。
ゲル形成剤としての押し出し成形エンドウ由来のデンプンの有用な代替物は、トウモロコシ又はジャガイモ由来のデンプン又はゼラチンであることがさらに見出された。ゲル中の含水量が20〜80重量%であり、油の量は80〜20重量%であり得ることも見出された。
(実施例2)
本実施例は、水及び油のエマルジョンの多孔質ペレットへの吸着を示す。飼料I及び飼料IIと呼ばれる2つの飼料生成物を、エマルジョンで処理すべき中間生成物として適用した。飼料Iは、主に植物起源に基づいた高レベルの炭水化物及び低レベルのタンパク質を含むコイ飼料であった。飼料IIは、主にタンパク質レベルが高い魚飼料に基づいたマス飼料であった。飼料は、中程度の粒子サイズであるが、密度は異なっていた。飼料Iはわずか334g/Lであり、非常にフワフワしており、浮遊飼料(floating feed:浮動飼料)となるように作製した。飼料IIは、より重くあまり拡散しなかった。この飼料は、脂肪含有率が非常に低い沈降飼料(sinking feed)となるように作製した。これに反して、高エネルギー食の生成のための十分に拡散されたサケ飼料は、400g/Lと450g/Lとの間である。飼料I及び飼料IIの栄養分及び物理的分析を、表1及び表2に示す。
Figure 2008532542
Figure 2008532542
(実施例3)
以下の手法を適用して、2つの市販の飼料へのエマルジョンの吸着について多数の実験を行った。
油:ダイズ油、ヒマワリ油などを含む植物油混合物であるが、最後の実験ではタラの肝油を使用した。
乳化剤:水中油型(O−i−w)乳化剤:Grinsted PGPR90、ポリリシノレイン酸ポリグリセロール、ヒマシ油由来の重縮合脂肪酸のプロピレングリコールエステル。投与量:0.5〜1.0%のエマルジョンの液体含有率。油中水型(w−i−o)乳化剤:RadiamulsSorb 2157、ポリエトキシル化(20モル)ソルビタンモノオレエート80%。投与量:0.5〜1.0%。
真空塗装機(coater):真空塗装機は、必要な真空レベルを得ることができる真空ポンプに接続した7Lの槽であった。弁を介して真空をゆっくり解除することができる。全ユニットを移動させて、飼料を真空条件に曝露した後に弁を介して添加したエマルジョンと飼料を混合することができる。
手法:第1の実験(1〜20)を20℃、20秒の真空解除時間で行う一方で、残りの実験を40℃、40秒の真空解除時間で行った。40℃へ液体の加熱によってエマルジョンを作製し、それからエマルジョンを油に添加し、混合し、水を添加した。第1の実験では、液体/エマルジョンを40℃に加熱する一方で、飼料ペレットは周囲温度であった。飼料及び液体の混合後、真空槽に添加し、真空レベルは200mBarであり、20秒間解除し、その間に混合した。最後の実験(21〜30)では、ペレット及びエマルジョンの両方を40℃に加熱し、飼料を真空槽に添加後、エマルジョンと混合した。真空は0.2mBarであり、解除時間は40秒であった。400gの飼料ペレットを、全実験で使用した。いくつかの実験を0.5%のエマルジョンで行い、他のいくつかの実験を1%エマルジョンで行った。
最終ペレットをナイフで切断して、耐性を測定し、その一貫性を視覚的に評価した。飼料を、104℃で4時間乾燥させる標準的な方法によって水に関して分析し、AOAC法に従ってHCl処理後のエーテル抽出を使用して油を脂肪について分析した。
任意のエマルジョン、水、及び油の試験前に水及び油の吸着の潜在性を個別に試験するために、最大吸着まで水及び油をコーティングした(表3)。より高い拡大のために、飼料Iは、より大量の水を吸着することができた。最大値は飼料400gに対して水600gであり、この生成物で60%を超える水レベルが得られた。飼料IIは、総水レベルが45%になるまで水を吸着することができた。油吸着は、分析によれば、飼料Iペレットにおいて20.7%、及び飼料IIペレットについては23.7%であった。飼料生成物は、脂肪よりも水をはるかに大量に吸着することができた。新規の一連の実験では、最大レベルを再試験して、飼料Iについては計算値25%及び分析値22.8%であり、飼料IIについては計算値25.9%及び分析値23.4%であった(表5)。水及び脂肪の最大吸着を、表3に示す。
Figure 2008532542
これらの実験の間で、最良の生成物を見出すために種々のエマルジョンを試験した。乳化剤の量は、液体の0.5%であった。ほとんどの実験では、わずかに過多の水及び油を添加したが、吸着可能なレベルに終わった(表4)。しかし、油のみを使用した実験と比較して油レベルが低いのは残念であった(表3)。最も重要な所見は、o−i−w乳化剤が液体を親水性にすることであった。親水性の液体は、疎水性脂質液よりも簡単に吸着すると予想される。o−i−w乳化剤又はw−i−o乳化剤を使用して同量の水及び油を添加した実験19及び実験20を示した。吸着の相違は視覚的に明らかであり、o−i−w乳化剤が好ましいという結論に至った。表4は、種々の乳化剤及びゲル(押し出し成形したエンドウ由来のデンプン)の試験結果を示す。表は、分析にしたがって添加した水及び油並びに吸着した水及び油を示す。
Figure 2008532542
(実施例4)
上記の最初の試験に基づいて、最後の実験を以下のように行った。飼料ペレットを加熱した後に真空塗装機に導入し、真空へ曝露後、エマルジョンを添加した。よりゆっくりした真空解除時間も適用させた。最大油レベルを繰り返して、これが最大レベルであることを確認した(表5及び表6)。
最大吸着までエマルジョンがコーティングされるように60%油と40%水との混合物である液体の1%のo−i−w乳化剤を添加した(表5)。これを行うと、油自体の使用よりもエマルジョンの使用によってペレット上により多くの油(乾燥材料(DM)の%)をコーティングすることができた。表5及び表6はまた、水及び脂肪のペレットへの吸着についてゲルの概念をエマルジョンの概念と比較するために、ゲル(3%の押し出し成形エンドウ由来のデンプン)を使用した実験を含む。ゲル及びエマルジョンの組合せも試験したが、これは全く作用せず、この考えを破棄した。
Figure 2008532542
Figure 2008532542
表5及び表6にまとめた上記実験から、飼料Iについて、乾燥材料の%としての油レベルは、油のみの添加による25.3%からエマルジョンの使用による30.6%まで増加したが、同時に、水レベルは、9.9%から19.9%に増加したことが認められた。飼料IIについて、油レベルは、油のみの使用による25.2%からエマルジョン使用による29.7%に増加する一方で、含水率は7.4%から17%に増加した。したがって、結果は、油のみの使用よりも60%油及び40%水を含むエマルジョンとして魚飼料ペレットにより多くの油を添加することが可能であることを証明する。魚飼料ペレットが親水性であり、水に類似する親水性エマルジョンの使用によって吸着が非常に増加し、エマルジョンを介して吸着された油量が純粋な油の吸着量を超えるということが理由であり得る。魚飼料ペレット中の水吸着能力は、油よりもはるかに高かった(表3)。エマルジョンの使用により、魚飼料ペレットの水吸着能力が利用される。さらに、ゲル(デンプン)の適用による油及び水の添加によって実際に吸着するが、エマルジョンを適用した場合に飼料I及び飼料IIの両方から得た結果に及ばないことが上記表5及び表6から見ることができる。最後の実験では、エマルジョン中の植物油を高品質のタラの肝油に置換した。タラの肝油エマルジョンの吸着は、植物油混合物の吸着に類似しているか又は外見上さらに良好であった。
上記実験で使用したエマルジョン以外のいくつかの他のエマルジョンを、評価及び試験した。乳化剤の主な要件は、これらが飼料での使用について当局によって承認されることである。有用な乳化剤のうち、以下を言及することができる:Grinsted PGE20Veg、ポリグリセロールエステル、ダイズ又は他由来のポリグリセロールエステル(ポリグリセロール部分は、主に、ジグリセロール、トリグリセロール、及びテトラグリセロールである)、Panodan AB 100 veg(食用ダイズ油から作製したモノ−ジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)、及びGinsted CitremLR10Extrak(食用ヒマワリ油由来のモノグリセリドのクエン酸エステル)。乳化剤の量は、乳化剤の液体の0.2〜1%の範囲であるべきである。o−i−w及びw−i−o乳化剤の両方が、この目的に有用であることが見出されたが、o−i−w乳化剤が好ましい。
エマルジョンの油:水比は、どれだけの油及び水がペレット中に吸着されるのが望ましいのかということに応じて広い範囲内で変化し得る。最終ペレット中の高エネルギーレベルの油が重要である場合、エマルジョン中の油の量は、水の量より多いことが好ましい。上記方法により、ペレット中の水及び油の総量は、それぞれ10〜30%及び10〜40%であってよく、ほとんどの水及び油がエマルジョンとしてペレット孔中に存在する。
(実施例5)
本実施例は、カビの成長可能性の試験に関する。以下の4つのサンプルを作製した:サンプル1:166gのエマルジョン(100g油及び67g水)を含む400gの飼料I、166gのエマルジョン(100g油及び67g水)を含む400gの飼料II、サンプル3:サンプル1と同量の水を含む飼料I、サンプル4:サンプル2と同量の水を含む飼料I。4つのサンプルを、15℃で10日間保存し、視覚的に調査した。結果を、表7に示す。
Figure 2008532542
実施例5は、ペレットへの同量の水の直接導入と比較してエマルジョンへの水の導入によりカビの成長が低減することを示す。ペレットが15%を超える水を含む場合でさえも、保存10日後にカビは認められなかった。
(実施例6)
本実施例は、海水及び淡水におけるエマルジョンの安定性を試験した。1重量%のGrinstead PGPR90乳化剤を使用して、40℃にて植物油(60重量%)及び水(40重量%)からエマルジョンを作製し、約20℃に冷却した。10gのエマルジョンを、100g水に入れ、10gのエマルジョンを、3.2重量%海塩を含む100g海水に入れた。間もなく水からエマルジョンの層が分離され、エマルジョンの真下に透明な水相が現れ、これは18時間静置時に水の上に層として残存する。このことは、海水中でさえもエマルジョンが安定であり、分解しないことを証明した。
(実施例7)
本実施例は、コイ飼料(本明細書中で飼料IIIと命名する)のペレットの孔中に存在するエマルジョン中の添加物の海水中及び淡水中での漏出可能性を試験した。この飼料の比重量は、444g/lであった。最初に、1重量%のGrinsted PGPR90乳化剤を使用して植物油及び水からエマルジョンを作製した。実施例6のようにエマルジョンを作製するが、この場合、乳化前に水性部分にアスタキサンチン及びチアミンを添加した。ペレット中に50PPMの量が得られるアスタキサンチンを添加した。エマルジョンは、透明な桃色を呈した。測定ツールを、アスタキサンチンの希釈によって確立した。この桃色は、水中で0.04PPMの濃度に減少することを目視で読み取ることが可能であった。
桃色のエマルジョンを、真空容器中の飼料IIIに添加し、これに関する手法は、実施例6と同一であった。ペレットがエマルジョンの添加前と同色なるような程度で、エマルジョンは、ペレットの孔に完全に吸着された。次いで、これらのペレット1gを、100gの海水又は100gの淡水にそれぞれ入れた。次いで、2つのサンプルの色を、数分後及び18時間後に読み取った。ペレットからのアスタキサンチンのいかなる遊離も見ることができなかった。塩水が淡水よりも飼料にストレスを与えるわずかな傾向が認められた。系になおさらなるストレスを与えるために、50PPMのアスタキサンチンを含む10gの飼料を100gの塩水及び淡水に添加した。1分後では漏出は認められないが、5分後に、水中でアスタキサンチンのいくつかの徴候が認められた。上記希釈物と比較して、アスタキサンチン濃度は0.1PPMと推定され、これは、飼料ペレットからの添加アスタキサンチンの2%の漏出を意味するが、この漏出は、サンプルを数時間静置した場合には増加しなかった。
本発明者らは、本発明によって、新規の柔軟なプロセスを首尾よく設計しており、それにより、従来のプロセスに関する上記の問題を克服している。新規で且つ改良された水性飼料を、新規のプロセスによって生成することができる。この生成物は、保存中にいかなる漏出もなく比較的大量の油を含むことができる。別の驚くべき結果は、大量の水(>15%)を含む新規の生成物をいかなるカビの成長もなく数日間保存することができることである。新規のプロセスは、水生飼料においてでさえも酵素使用に門戸を開く。
魚飼料生成の従来のプロセスの簡略化したフローシートを示す図である。 本発明のプロセスの簡略化したフローシートを示す図である。

Claims (9)

  1. 魚粉、大豆粉、菜種粉、羽毛粉などのようなタンパク質、コムギ、デンプン含有供給源などのような結合剤、海産及び/又は植物起源である脂質に由来し、且つ少なくとも1つのミネラル、酵素、ビタミン、及びアスタキサンチンのような色素のような従来の添加物を含む水生種の飼料の生成プロセスであって、真空下で脂質を吸着することができる多孔質ペレットの形成のために押し出し成形してペレット化することを含み、
    該プロセスは、タンパク質材料を結合剤、場合により該ミネラルと混合し、次いで、押し出し成形し、ペレット化し、顆粒化し、多孔質ペレットを形成し、次いで、冷却して輸送又は保存に適切にすることによる、保存安定性中間生成物を最初に生成すること、並びに、
    水及び脂質を含むゲル又は水及び脂質を含むエマルジョンを真空槽で該孔に吸着させることによって、該中間生成物をさらに処理して、水及び脂質の両方の含有率が高いペレットを得ることであって、真空槽の導入前にビタミン、酵素、及び色素を該ゲル又は該エマルジョンと混合し、それから該真空槽の真空を解除し、そのようにして生成された飼料を中間貯蔵庫に移すか又は消費場所に直接移す、
    ことによる2つの工程で実施することを特徴とする、プロセス。
  2. 前記ゲルが、20〜80重量%の水及び80〜20重量%の脂質の範囲の比率の水及び脂質をデンプン又はゼラチンと共に混合することによって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記エマルジョンが、水及び脂質を液体の0.1〜2%の量の乳化剤と共に混合することによって形成されること、並びに該水及び/又は脂質がビタミン及び色素を含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
  4. 前記エマルジョンが、20〜80℃の温度で混合を行うことによって作製されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
  5. ポリリシノレイン酸ポリグリセロールが乳化剤として使用されることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
  6. 前記中間生成物が、20〜80℃に加熱され、真空槽中で0.1〜0.3Barの真空に曝露されて、これに前記予熱したゲル又はエマルジョンを導入し、前記ペレットと混合して、その後真空をゆっくりと解除することを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
  7. タンパク質、脂質、ミネラル、水、ビタミン、色素、及び場合によって酵素を含む飼料ペレットであって、水及び脂質の大部分が該タンパク質、ミネラル、並びに少量の水及び脂質を含む中間生成物の孔中においてゲル又はエマルジョンの形態で存在することを特徴とする、飼料ペレット。
  8. 前記ゲル又はエマルジョンの液体画分が、20〜80重量%の水及び80〜20重量%の脂質を含むこと、及び前記最終飼料中の水及び脂質の総量がそれぞれ10〜40重量%及び10〜40重量%であることを特徴とする、請求項7に記載の魚飼料ペレット。
  9. 前記ビタミン及び色素は、前記中間体ペレットの孔中においてゲル又はエマルジョン中に存在することを特徴とする、請求項7に記載の魚飼料ペレット。
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