JP2004236592A - 養魚飼料およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液油を10重量%以上含むドライペレットであって、下記(a)及び(b)から選ばれる脂肪酸エステルを1種以上含む養魚飼料。
(a)グリセリン又はポリグリセリンとベヘン酸とのエステル
(b)平均重合度が2〜6のポリグリセリンとステアリン酸とのエステル
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、養魚飼料およびその製造方法に関し、詳しくは、多量に液油を含有しても成形保形性に優れ、かつ離油が極めて少ない養魚飼料(ドライペレット)及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
養魚用飼料としては、イワシ、アジ、サバ等の生餌、生餌とマッシュを配合したモイストペレット、または、魚粉、グルテン、デンプンを中心にエクストルーダで造粒したドライペレット等がある。ところが、生餌はミンチ化して投餌した時に魚場の汚染源となる欠点があり、モイストペレットは生餌とマッシュを混練後造粒するための冷凍設備や造粒機などを要し、また、長時間保存ができない、多くの人手が必要などの問題があり、近年は、ドライペレットが主流となっている。
【0003】
ドライペレット(以下、単に「ペレット」と略称する場合がある。)は、一般に、魚粉、殻粉、油脂、ビタミン、ミネラル類などの配合原料に水を加えて、一軸または多軸のエクストルーダを使用し、造粒し、乾燥して製造される。得られるペレットは、通常、空隙を有する多孔性円柱状を呈している。ペレットの大きさは、対象とする養魚の種類、成長の度合いによって使い分けられる。また、養魚の成長期には、早く成長させる目的で、栄養バランスの面から油の含有量を高める必要がある。
【0004】
ペレットに配合する油は、タラ肝油、スケソウダラ肝油、イワシ油、牛脂、豚脂、大豆油、綿実油などであり、一般には魚油が使用される。しかしながら、魚油などは常温で液体であることから、これを魚粉などに混ぜてペレットを造粒すると、保形性が損なわれてしまう。従って、魚粉に混ぜる油は、通常10重量%程度以下となる。
【0005】
ペレット中の液油(以下、単に「油」と略称する場合がある。)の量を更に増大させるために、一般的に、造粒したドライペレットに油を染み込ませる方法が採用されている。具体的には、例えば、減圧下で油脂を含浸させる方法(例えば特許文献1〜3参照)、加熱した魚油中に一定時間浸漬する方法(例えば特許文献4参照)等が提案されている。
【0006】
一方、油の含有率が上がると、含浸させた油がペレットから染み出してくるという問題が起きる。油の漏れを低減させる方法として、魚油と高融点の調質ナタネ油やモノグリセリド等の混合物を加熱して液体状態にし、多孔質ペレットに添加した後、冷却することにより、ペレットの孔内に形成された結晶構造内に魚油を保持する方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平2−138944号公報
【特許文献2】
特開平9−182561号公報
【特許文献3】
特開平11−341952号公報
【特許文献4】
特開平11−225687号公報
【特許文献5】
特表平9−502101号公報
【0008】
油の染みだしは、栄養価の減少、環境の汚染、給餌装置の機能不全などの問題を生じるが、ペレットの流通・保管においても問題となる。具体的には、油を含浸させて製造したペレットは、フレコンバッグ等に入れられて山積みされる。この際、過重によりペレットから油が染み出す。特に、夏場の外気温が高いときに問題となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、その目的は、多量に液油を含有し、且つ成形保形性に優れ、油の染み出しが極めて少ない養魚飼料(ドライペレット)及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第一の要旨は、液油を10重量%以上含むドライペレットであって、下記(a)及び(b)から選ばれる脂肪酸エステルを1種以上含むことを特徴とする養魚飼料に存し、本発明の第二の要旨は、下記(a)及び(b)から選ばれる脂肪酸エステルを1種以上含む液油をドライペレットに含有させることを特徴とする養魚飼料の製造方法に存する。
(a)グリセリンまたはポリグリセリンとベヘン酸とのエステル
(b)平均重合度が2〜6のポリグリセリンとステアリン酸とのエステル
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の養魚飼料は、液油を10重量%以上と上記の脂肪酸エステルを含有するドライペレットであれば、特に限定はなく、常法によって製造したものでよい。液油の含有量は、通常10〜45重量%、好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは20〜35重量%である。しかしながら、液油が10重量%以上のペレットを直接造粒すると、保形性が損なわれてしまうことが多く、本発明の第二の要旨である、液油の含有量が10重量%未満のドライペレットを使用し、これに上記の脂肪酸エステルを含む液油を含有させる方法によることが好ましい。
【0012】
ドライペレットは、通常、一軸エクストルーダ又は二軸もしくは三軸の多軸エクストルーダを使用し、これに魚粉、デンプン、ビタミン類、ミネラル類、油脂、水などを供給し、造粒、乾燥して製造される多孔質のドライペレットを使用する。一般的なドライペレットの成分は、魚粉、肉粉、脱脂粉乳、オキアミミール、イカミール等のたんぱく質、油粕、穀類、デンプン、グルテンミール等の植物原料、ビタミン類、ミネラル類などの粉末状成分である。割合としては、一般に、動物性原料、植物性原料が主成分で約70重量%とされ、その他穀類、動物性油脂などが配合される場合が多い。
【0013】
本発明の養魚飼料に含まれる液油の含有量は、10重量%以上であるが、上記の製造方法に使用するドライペレットの油の含有量は、通常10重量%未満、好ましくは5重量%以下である。液油としては、常温(25℃)で流動性がある油であれば特に限定はなく、養魚用ペレットに一般に使用されている液油、例えば、タラ肝油、スケソウダラ肝油、イワシ油、ニシン油、大豆油、綿実油、ナタネ油などが使用できる。中でも、養殖魚の成長期に、早く成長させる目的で使用される、魚油由来の油が好適である。
【0014】
ペレットの形状については、特に限定はないが、エクストルーダで製造される円柱状のものが一般的である。また、ペレットの大きさについても、特に限定はなく、対象とする養魚の種類、成長の度合いによって、直径2〜4mmの小さいものから、直径20〜25mmの大きいもの迄、任意に選択できる。上記のドライペレットを使用する養魚飼料の製造方法においては、上記の脂肪酸エステルを含む液油をドライペレットに含有させる。ペレットとしては、市販されている通常の円柱状のものが好適に使用できる。
【0015】
グリセリン又はポリグリセリンとベヘン酸とのエステルは、グリセリン又はポリグリセリンにベヘン酸をエステル化して得られる。ポリグリセリンは平均重合度2〜10のポリグリセリンが好ましく、また、ベヘン酸をエステル化度20%以上にエステル化したものが好ましい。グリセリンの平均重合度が大きくなるに従い、エステル化度も大きい方が好ましく、デカグリセリン脂肪酸エステルでは、50〜100%であるものが好ましい。一方、ポリグリセリンとステアリン酸とのエステルとしては、平均重合度が2〜6のポリグリセリンとステアリン酸とのエステルを使用する。ポリグリセリンとしては、特に平均重合度4のテトラグリセリンが好適である。また、エステル化度は、通常20%以上、好ましくは40〜90%である。これらの脂肪酸エステルは、単独でもよく、また併用することも出来る。
【0016】
養魚飼料中の脂肪酸エステルと液油の割合は、これらの合計量に対する脂肪酸エステルの量として、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。ペレットを使用する方法においては、予め上記濃度の脂肪酸エステルを含む液油を調製して使用する。調製は、通常50℃以上に加温した油に脂肪酸エステルを添加して溶解する。溶解する温度は、添加する脂肪酸エステルの融点以上の温度とするのが好ましい。脂肪酸エステルの添加量が少ない場合は、保存期間中、特に夏場の高温時において、油の染み出しを防止することが出来ず、油の含有量を維持することが出来ない。多すぎると、油への溶解性が悪くなり、ペレットへの油の染み込みが損なわれる。
【0017】
脂肪酸エステルを含む液油をペレットに含有させる方法としては、通常、常圧または減圧下で、液油にドライペレットを浸漬する方法、または、減圧下に置かれたペレットに液油をスプレーする方法などが挙げられる。前者は、油槽タンク、油の回収設備が必要となるので、後者の方法が一般的に使用される。
【0018】
油を染み込ませる際の温度は、油が液状となる温度以上であればよいが、通常20℃以上、好ましくは50℃以上である。圧力は常圧でもよいが、油の含有量を増やす場合は減圧条件下が好ましい。減圧度は−500mmHg以下であればよいが、好ましくは−100mmHg以下である。減圧→常圧→減圧→常圧を繰り返して油を染み込ませる方法も採用することが出来る。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において使用した脂肪酸エステルを表1に示す。
【0020】
【表1】
<使用した脂肪酸エステル>
(1)B−100D;テカグリセリンデカベヘン酸エステル(三菱化学フーズ社製品「リョートーポリグリエステル B−100D」)
(2)B−70D;テカグリセリンヘプタベヘン酸エステル(三菱化学フーズ社製品「リョートーポリグリエステル B−70D」)
(3)TS4;テトラグリセリンステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製品「リョートーポリグリエステル TS4」)
(4)B−100;グリセリンモノベヘン酸エステル(理研ビタミン社製品「エマルジー B−100」)
(5)OL;デカグリセリンモノオレイン酸エステル(理研ビタミン社製品「エマルジー OL」)
(6)O−50D;デカグリセリンペンタオレイン酸エステル(三菱化学フーズ社製品「リョートーポリグリエステル O−50D」)
【0021】
実施例1〜5及び比較例1〜3
市販の円柱状ドライペレット(直径4mm、高さ4〜5mm、油含有量3重量%以下)10gをナス型フラスコに入れ、60℃、減圧条件下とし、これに表2に示す脂肪酸エステルを含む魚油精製油100gを加え、100mmHg以下の減圧条件下で90分間静置し、ペレットに魚油を含浸させた。得られた養魚飼料を取り出し、ステンレス金網上で液切り後、表面の油を軽くふき取り、45℃の恒温槽中で、濾紙(No.5A)の上に静置し、5日間保存した。油の染み出し防止効果は、次に示す方法で評価した。その結果を表2に示す。
【0022】
<油の染み出し防止効果の評価>
使用したペレット並びに魚油を含浸させた養魚飼料の製造直後および静置後の重量を測定し、得られた養魚飼料の油の含有率(%)及び残存率(%)を次式により算出した。
【0023】
【数1】
油含有率(重量%)=100×(養魚飼料の重量−ペレット重量)/(養魚飼料の重量)
【0024】
【数2】
油残存率(%)=100×(静置後の油含有率)/(直後の油含有率)
【0025】
【表2】
【0026】
表2から明らかな様に、本発明により得られる養魚飼料は、45℃という夏場の過酷な温度(屋外に山積み)より少し高い温度においても、含浸した油の染み出しをより少なく抑えることが 出来る。
【0027】
【発明の効果】
本発明により、多量に液油を含有し、且つ成形保形性に優れ、油の染み出しが極めて少ない養魚飼料(ドライペレット)が提供される。
Claims (7)
- 液油を10重量%以上含むドライペレットであって、下記(a)及び(b)から選ばれる脂肪酸エステルを1種以上含むことを特徴とする養魚飼料。
(a)グリセリン又はポリグリセリンとベヘン酸とのエステル
(b)平均重合度が2〜6のポリグリセリンとステアリン酸とのエステル - 養魚飼料中の液油の含有量が10〜45重量%である請求項1に記載の養魚飼料。
- 脂肪酸エステルの量が液油との合計量に対して0.1〜20重量%である請求項1又は2に記載の養魚飼料。
- 下記(a)及び(b)から選ばれる脂肪酸エステルを1種以上含む液油をドライペレットに含有させることを特徴とする養魚飼料の製造方法。
(a)グリセリン又はポリグリセリンとベヘン酸とのエステル
(b)平均重合度が2〜6のポリグリセリンとステアリン酸とのエステル - 液油中の脂肪酸エステルの含有量が0.1〜20重量%である請求項4記載の方法。
- ドライペレット中の液油の含有量が5重量%以下である請求項4又は5に記載の方法。
- 養魚飼料中に含有される液油の量が全体で10〜45重量%である請求項4〜6の何れかに記載の方法。
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JP2009189244A (ja) * | 2008-02-08 | 2009-08-27 | Mitsubishi-Kagaku Foods Corp | 養魚用固形飼料 |
JP2022166792A (ja) * | 2021-04-21 | 2022-11-02 | 陽太郎 金田 | 乳酸菌付着飼料用籾米の微粉砕の長期保存とコストダウン |
JP7453101B2 (ja) | 2020-09-04 | 2024-03-19 | 株式会社ニッスイ | 飼料補給補助具及び養魚用給餌装置 |
-
2003
- 2003-02-06 JP JP2003029650A patent/JP2004236592A/ja active Pending
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