JP5127142B2 - 飼料用吸着油脂とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、家畜,家禽類,魚介類等を対象とした、飼料用吸着油脂とその製造方法とに関し、さらに詳しくは機能性油脂を高濃度に含有しており、酸化安定性が良く、しかもハンドリング性に優れた飼料用吸着油脂とその製造方法とに関するものである。
人が食品を摂取して得られる効果としては、エネルギーの摂取や嗜好充足の外に、食品の第三次機能とも称される人体の生理調節機能の獲得にあることが認識されてから久しい。食品成分のうち、ミネラルやビタミン類と並び、糖質やたんぱく質や脂質もそれぞれにこの食品の第三次機能を有するものが明らかにされてきている。
なかでも油脂は、動物の細胞膜の主要な構成成分であって、生理調節機能との関わりが大きく、古くから研究の対象とされてきた。
例えば、油脂の構成脂肪酸の一つであるα−リノレン酸(n−3系多価不飽和脂肪酸)は、体内で代謝されてEPAやDHAを経由してエイコサノイドと称されるホルモン様物質群に変わり生理機能を司る。このような生理活性を有する油脂は、一般に「機能性油脂」と称されているが、本発明においても同様に、これらの油脂を「機能性油脂」と称している。
アメリカやヨーロッパ民族と同様、現在、日本人の食生活においてもこの機能性油脂の一つであるα−リノレン酸の摂取が不足しており、アレルギー体質などの遠因と考えられ、厚生労働省では食生活の改善を呼びかけている。
しかしながら、これら機能性油脂は、分子中に化学反応性に富む活性基を含み、酸化に対する抵抗性や熱安定性に劣り、この油脂を単独又は食品調理に用いて意図的に摂取することは、料理形態が限定されたり、嗜好上油っぽさを感じさせたり、保存性が悪いなど、問題が多く、できれば日常食の中に自然の形で高濃度に含まれておれば好都合である。
そこで、これらの機能性油脂を家畜,家禽類,魚介類等の飼料に配合投与してこれら動物の肉類や卵のなかに蓄積させて、人がこれを食品として間接的に摂取することが昨今着目されてきている。
例えば、α−リノレン酸を高濃度に含むエゴマ種子やアマニ種子を養豚飼料に配合して肉質を改善しようとする研究がある(例えば、非特許文献1参照)。また、同様の目的でα−リノレン酸を鶏卵に蓄積させるため家禽類飼料にアマニ油脂脂酸カルシウムを添加した報告がある(例えば、非特許文献2参照)。更に、魚油中に含まれるEPAやDHAのカルシウム塩を牛のルーメンバイパス飼料として投与し、これらの機能性油脂を含む牛乳を生産するものがある(例えば、非特許文献3参照)。
また、上記の報告とはやや異なるが、シクロプロペン酸を豚肉に含有させることによって肉質の軟化を防止する目的で、シクロプロペン酸を含むカポック油を飼料に配合投与するものがある(例えば、特許文献1参照)。
これら飼料に配合し、最終的には人に生理機能の健全性を賦与したり、食用肉質のテクスチャーを改善したりするために用いられる機能性油脂は、いずれも常温で液体であることと、その構成脂肪酸は多価不飽和脂肪酸やシクロプロペン酸のような酸化安定性に欠けるという特徴を持っている。
従って、これらの機能性油脂を基礎飼料に大量に配合して長期の酸化安定性を得ることは極めて難しく、従来はこれらの機能性油脂を含む種子そのものを投与したり、酸化劣化は無視したまま飼料バルクに吸着させるなどして用いられてきた。
即ち、液状の機能性油脂を基礎飼料となる大豆粕,ふすまのような植物性バルク物質や、ビール酵母などの動物質素材などに大量に配合する場合には、機能性油脂の吸着性そのものが低く、油ニジミやダマが発生して均質性が損なわれ、ハンドリング性が著しく劣るものとなる。また、バルク表面に付着しベトツキの状態にある機能性油脂は、空気との接触面積が大きく、酸化が著しくなり、長期保存に耐えられない。
山田未知ほか、日本養豚学会誌、Vol.38、No.1、25(2001) 山崎俊雄ほか、福井県畜産試験場報告(平成13年度) 神奈川県畜産研究所報告(平成10年) 特開昭57−208957号公報
本発明は、これらの諸問題を解決して、機能性油脂を高濃度に含有しており、酸化安定性が良く、しかもハンドリング性に優れた飼料用吸着油脂とその製造方法とを提供することを目的とするものである。
即ち、本発明は、機能性油脂を高濃度に含有しており、しかも固形であり、油脂単体と同様の飼料素材として扱え、酸化安定性の優れた、ハンドリング性の良い飼料用吸着油脂とその製造方法とを提供することを目的とするものである。
本発明によれば、6ヶ月以上の室温保存安定性を有する飼料用吸着油脂とその製造方法とが提供される。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、機能性油脂の吸着担体に無機性の二酸化珪素粉体を選定し、さらに油脂抗酸化剤を添加したものについて、吸着操作を減圧下で行うことにより、機能性油脂を高濃度に含有し、酸化安定性が良く、しかもハンドリング性に優れた飼料用吸着油脂が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
請求項1に係る本発明は、平均粒子径が3.0〜12.0μmの範囲内であって、見掛比重が0.12〜0.22g/mlの範囲内にある無晶形二酸化珪素粉末からなる担体であって、油脂吸着量が油脂200g/100g担体以上であるものに、機能性油脂と抗酸化剤とを500〜700パスカルの範囲内の減圧下に吸着させることを特徴とする飼料用吸着油脂の製造方法を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、請求項1に記載の飼料用吸着油脂の製造方法において、前記機能性油脂は、α‐リノレン酸を含有するエゴマの種子油或いはアマニの種子油、又は、シクロプロペン酸を含有するカポック油であることを特徴とするものである。
請求項3に係る本発明は、請求項1又は2に記載の方法により得られる飼料用吸着油脂を提供するものである。
請求項4に係る本発明は、請求項3に記載の飼料用吸着油脂を配合してなる飼料を提供するものである。
本発明によれば、機能性油脂を高濃度に含有し、しかも固形であり、油脂単体と同様の飼料素材として扱え、酸化安定性に優れ、ハンドリング性の良い飼料用吸着油脂が提供される。
本発明によれば、6ヶ月以上の室温保存安定性を有する飼料用吸着油脂が提供される。
請求項1に係る本発明は、飼料用吸着油脂の製造方法に関し、無晶形二酸化珪素粉末からなる担体に、機能性油脂と抗酸化剤とを減圧下に吸着させることを特徴とするものである。
ここで飼料用吸着油脂とは、専ら飼料用に用いる素材であって、油脂、特に機能性油脂を吸着させたものを指す。
飼料としては、家畜,家禽類,魚介類等を対象としたものである。
機能性油脂とは、前述したように、生理活性を有する油脂を指しており、具体的には例えば、リノール酸を大量に含むサフラワーなどの種子油;α−リノレン酸を大量に含むエゴマ、アマニなどの種子油;EPAやDHAを大量に含む魚油;シクロプロペン酸を大量に含むカポック油などを挙げることができる。
このような機能性油脂は、液状のものである。
請求項1に係る本発明においては、無晶形二酸化珪素を粉砕して粉末化した、無晶形二酸化珪素粉末からなる担体を用いる。
無晶形(無定形)二酸化珪素は、その製法から、沈降性シリカと称されるものとゲル型に大別される。
請求項1に係る本発明においては、無晶形二酸化珪素粉末として、上記両者とも油脂の担体として使用可能である。
無晶形二酸化珪素粉末は白色の粉末であり、油脂吸着量が多いものほど良く、担体100gあたり油脂を200ml以上吸着できるもの(油脂200g/100g担体以上のもの)が、飼料の基礎配合を大幅に変化する必要がないことから好ましい。一般的には、220〜250ml/担体100gの範囲のものが用いられるが、これに限定されるものではない。
次に、無晶形二酸化珪素粉末としては、平均粒子径が3.0〜12.0μm、特に5.0〜10.0μmのものが好ましい。
また、無晶形二酸化珪素粉末としては、見掛比重が0.12〜0.22g/ml、特に0.15〜0.20g/mlのものが好ましい。
さらに、無晶形二酸化珪素粉末としては、pHが5.3〜6.5、特に5.5〜6.3のものが好ましい。
請求項1に係る本発明においては、担体として無晶形二酸化珪素粉末を用いることが必要である。
このような無晶形二酸化珪素粉末ではなく、基礎飼料となる大豆粕,ふすまのような植物性バルク物質や、ビール酵母などの動物質素材などに、液状である機能性油脂を配合しても、油脂の粘性が高いこと及び飼料バルクの機能性油脂の吸着機能が低いことのために、油ニジミやダマが発生して均質性が損なわれ、ハンドリング性が著しく劣るものとなる。また、バルク表面に付着しベトツキの状態にある機能性油脂は、空気との接触面積が大きく、酸化が著しくなり、長期保存に耐えられない。
機能性油脂を基礎飼料に配合するためには、基礎飼料となる穀類や豆類或いは脱脂粕類からなる植物性バルク、酒類発酵酵母残渣や魚粉などからなる動物性バルク、などに機能性油脂を5〜10%、或いは必要によりそれ以上混合して全体を均質化する必要がある。
しかしながら、液状である機能性油脂を飼料バルクなどに添加すると、油脂の粘性が高いこと及び飼料バルクの機能性油脂の吸着機能が低いことのために、しばしばダマが発生したり、油ニジミが生じて均質性が損なわれ、ハンドリング性(取扱い性)が著しく劣るものとなる。
これら欠点を克服するためには油脂の吸着担体としては、吸着量が大きく吸着後の形態が固形粉末状であることが望ましい。また同時に、飼料としての安全性が確保されるものでなければならない。
これらの要件を満たすものとして様々な油脂吸着担体を検討した結果、本発明者らは、飼料バルクのような有機物は吸着量が低くダマが出来やすいため不適であり、無機質である無晶形二酸化珪素粉末が適していることを見出したものである。
無晶形二酸化珪素粉末からなる担体に液状の機能性油脂を配合することにより、ダマや油ニジミの問題が解消される。このため、飼料に機能性油脂を大量に配合させることが可能となる。
請求項1に係る本発明は、上記の如く平均粒子径が3.0〜12.0μmの範囲内であって、見掛比重が0.12〜0.22g/mlの範囲内にある無晶形二酸化珪素粉末からなる担体であって、油脂吸着量が油脂200g/100g担体以上であるものに、機能性油脂と抗酸化剤とを500〜700パスカルの範囲内の減圧下に吸着させることを特徴とするものである。
無晶形二酸化珪素粉末からなる担体に機能性油脂を吸着させたものは、長時間攪拌混合すればダマや油ニジミの問題がなく、サラサラとした粉末状で物性上の問題はない。
しかしながら、無晶形二酸化珪素粉末からなる担体に吸着された機能性油脂は表面積が拡大されており、これに起因して著しく酸化安定性に欠けるものであることが分かった。
請求項1に係る本発明においては、平均粒子径が3.0〜12.0μmの範囲内であって、見掛比重が0.12〜0.22g/mlの範囲内にある無晶形二酸化珪素粉末からなる担体であって、油脂吸着量が油脂200g/100g担体以上であるものに、機能性油脂と抗酸化剤とを500〜700パスカルの範囲内の減圧下に吸着させることにより、上記無晶形二酸化珪素粉末からなる担体を用いたことにより得られる優れた均質性を保持しつつ、酸化安定性を著しく改善したものである。
前述したように機能性油脂は化学反応性が著しく高く、酸化に対する安定性が極めて低い。この機能性油脂を無晶形二酸化珪素粉末に吸着させたものは表面積も大きくなり、いっそう酸化が促進される環境にあり、容易に劣化する。
そのために、請求項1に係る本発明においては、機能性油脂と共に抗酸化剤を用いている。
ここで抗酸化剤としては、例えば、食品添加物として認可されているトコフェロールやアスコルビン酸パルミテートのような油溶性抗酸化剤のほか、肥料に添加が認められているエトキシキンなどの抗酸化剤を用いることができる。
後述する実施例、比較例に示されるように、エゴマ油を吸着させたもので抗酸化剤無添加のものは室温保存をした場合、100日後に油脂の過酸化物価が170程度と大きく劣化したが、抗酸化剤を添加したものは、その種類と添加量にもよるが、30〜70程度まで改善されていた。
しかしながら、飼料の流通実態から見て、消費に至るまでの期間は更に長期になることが予想され、油脂の酸化安定性の更なる改善が望まれている。
そのために請求項1に係る本発明においては、上記の如く平均粒子径が3.0〜12.0μmの範囲内であって、見掛比重が0.12〜0.22g/mlの範囲内にある無晶形二酸化珪素粉末からなる担体であって、油脂吸着量が油脂200g/100g担体以上であるものに、機能性油脂と抗酸化剤とを「500〜700パスカルの範囲内の減圧下に」吸着させている。
本発明者らは、油脂の吸着操作から消費に至る各過程で酸化劣化の要因となる空気との接触度合いを詳細に調べた結果、油脂の吸着工程における攪拌が最も空気吸収が大きく、しかも攪拌時間の延長とともに、保存劣化が著しく進展することを見出した。
その対策として、攪拌時間を短縮するとダマが生じて均質性が失われる。また、吸着工程において油脂の酸化劣化を促進する空気は二酸化珪素表面に大量に存在することも、その比重が非常に低いことからも予測され、この空気を除去することが、吸着油の酸化安定性を確保する上で重要であると考えた。
そこで吸着素材を加圧圧縮したり、減圧したりして空気を出来るだけ除去することを試みた結果、減圧することにより空気量の減少がもたらされる事は当然ながら、減圧度を500〜700パスカル程度の範囲にすることにより、無晶形二酸化珪素表面に付着していた空気量の減少により、吸着操作そのものが迅速に進み、ダマが存在しなくなるまでの均質化に要する攪拌時間が極端に短縮され、吸着油の安定性が大幅に改善されることを見出した。
ここで必要な減圧度は高ければ高いほど良いが、工業装置と運転の経済性からみて、300〜1000パスカル程度の範囲の減圧度が好ましく、実用上からみると500〜700パスカル程度の減圧度がより好ましい。
このような吸着する際の減圧操作と抗酸化剤の併用は、吸着させた機能性油脂の酸化安定性を飛躍的に改善することが分かった。
請求項1に係る本発明においては、(1)無晶形二酸化珪素粉末からなる担体を用いること、(2)これに、機能性油脂と抗酸化剤とを吸着させること、(3)吸着は減圧下に行うこと、のいずれもが必要であって、いずれか一を欠いたとしても、本発明の目的を達成することはできない。
なお、吸着操作は、通常、攪拌しながら行うが、これに限定されるものではない。攪拌しながら吸着操作を行うときの攪拌条件は特に制限されない。
このようにして機能性油脂を高濃度に含有しており、酸化安定性が良く、しかもハンドリング性に優れた飼料用吸着油脂を製造することができる。
そのような飼料用吸着油脂を提供するのが、請求項2に係る本発明である。
即ち、請求項2に係る本発明は、請求項1記載の方法により得られる飼料用吸着油脂である。
このような請求項2に係る本発明の飼料用吸着油脂は、飼料に配合されて用いられる。
そのような飼料を提供するのが、請求項3に係る本発明である。
即ち、請求項3に係る本発明は、請求項2記載の飼料用吸着油脂を配合してなる飼料である。
飼料としては、家畜,家禽類,魚介類等を対象として一般に使用されている飼料であり、トウモロコシ、フスマ、大豆粕、魚粉、ビタミン・ミネラル類などを配合したものである。
対象となる家畜としては、例えば牛、豚、馬、山羊などが挙げられる。次に、家禽類としては、例えば鶏、七面鳥、アヒルなどが挙げられる。さらに、魚介類としては、例えばハマチ、マダイ、サケ、ニジマス、アワビ、サザエなどが挙げられる。
飼料への請求項2記載の飼料用吸着油脂の配合量は、特に限定されない。
また、請求項2記載の飼料用吸着油脂を配合した飼料の投与期間は特に限定されない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
実施例1
市販の無晶形二酸化珪素粉末(平均粒径5.2μm、見掛比重0.178g/ml、pH5.5)40gを1リットル容のガラス製攪拌機付減圧可能な丸底フラスコに秤取し、表1に記した所定の圧力に設定し、この状態で5分間常温にて攪拌した後、エゴマ精製油に表1に示す酸化防止剤を所定量添加して100gとしたものを加えて、所定時間攪拌したのち、得られた吸着油の品質を評価した。
製造条件と結果を表1に示す。
なお、吸着油の品質は、ダマの発生度合と保存安定性を評価した。
ダマの発生度合は、目視で3段階の基準(○:なし、△:少量発生、×:大量に発生)で評価した。
保存安定性は、吸着油をプラスチックフィルム袋に脱気した状態で詰め、常温暗所で100日間及び200日間保存した後の過酸化物価(POV)を基準油脂分析試験法に従って求め評価した。
Figure 0005127142
[表1の脚注]
*1:無晶形二酸化珪素粉末100gに対する油脂の吸着量(ml)。
*2:油脂に対する酸化防止剤の添加量(ppm)。
*3:吸着操作時の絶対圧(パスカル)。
*4:常温攪拌時間(分)。
表1の結果から、以下のことが分かる。
即ち、例1、例2に示すように、酸化防止剤を用いず、しかも常圧で吸着操作を行った場合には、100日間保存後のPOVが170を超えるものとなり、不適当であることが分かる。
次に、例3、例4に示すように、酸化防止剤を用いたが、常圧で吸着操作を行った場合には、例1、例2と比べて保存安定性は改善されてはいるものの、200日間保存後のPOVが50を超えるものとなり、やはり不適当であることが分かる。
また、例5、例6に示すように、減圧下で吸着操作を行ったものの、酸化防止剤を用いなかった場合には、例1、例2と比べて保存安定性は改善されてはいるものの、200日間保存後のPOVが50前後となり、やはり不適当であることが分かる。
これに対して、例7、例8に示すように、酸化防止剤を用い、かつ、減圧下で吸着操作を行った場合(本発明の場合)には、吸着油の保存安定性が著しく良くなっているばかりか、攪拌時間が著しく短縮されているにもかかわらず、ダマの発生がなく、攪拌作業が迅速化されることが分かる。
実施例2
実施例1で用いたと同じ無晶形二酸化珪素粉末40gをフラスコに秤取して、500パスカルの減圧下、カポック油を100g(酸化防止剤としてのエトキシキン150ppmを含む)加え、5分間攪拌して吸着油脂を得た。
この吸着油脂は、実施例1と同様にして常温暗所に100日間保存した後のPOVは10と優れたものであった。
比較例1、2
実施例2において、吸着操作を常圧で行ったこと以外は実施例2と同様にして行って得た吸着油はダマが発生した上、常温暗所に100日間保存した後のPOVは120であった(比較例1)。
また、比較例1において、酸化防止剤であるエトキシキンを添加しなかった場合には、常温暗所に100日間保存した後のPOVは241であった(比較例2)。
本発明によれば、家畜,家禽類,魚介類等を対象とした、機能性油脂を高濃度に含有させた、酸化安定性の良い、ハンドリング製に優れ、取り扱いに簡便な飼料用吸着油脂を製造することができる。
しかも、この機能性油脂が配合された飼料を家畜,家禽類,魚介類等に投与してこれら動物の肉類や卵のなかに機能性油脂に由来する成分を蓄積させて、人がこれを食品として間接的に摂取することが可能となる。
従って、本発明は、飼料産業等において有効に用いることができる。

Claims (4)

  1. 平均粒子径が3.0〜12.0μmの範囲内であって、見掛比重が0.12〜0.22g/mlの範囲内にある無晶形二酸化珪素粉末からなる担体であって、油脂吸着量が油脂200g/100g担体以上であるものに、機能性油脂と抗酸化剤とを500〜700パスカルの範囲内の減圧下に吸着させることを特徴とする飼料用吸着油脂の製造方法。
  2. 前記機能性油脂は、α‐リノレン酸を含有するエゴマの種子油或いはアマニの種子油、又は、シクロプロペン酸を含有するカポック油であることを特徴とする請求項1に記載の飼料用吸着油脂の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法により得られる飼料用吸着油脂。
  4. 請求項3に記載の飼料用吸着油脂を配合してなる飼料。
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