JPH1118693A

JPH1118693A - モイストペレット状養魚飼料用乳化剤、及びこれを用いたモイストペレット状養魚飼料の沈降速度制御方法

Info

Publication number: JPH1118693A
Application number: JP9183684A
Authority: JP
Inventors: Keiichi Sato; 恵一佐藤; Yoshiya Nishimura; 佳哉西村
Original assignee: Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Current assignee: DKS Co Ltd
Priority date: 1997-07-09
Filing date: 1997-07-09
Publication date: 1999-01-26

Abstract

(57)【要約】【課題】モイストペレット状養魚飼料の浮遊性と沈降
性のバランスを制御（調整）することのできる乳化剤を
提供すること。【解決手段】ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステルをモイストペレッ
ト状養魚飼料に配合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、モイストペレット
状養魚飼料用乳化剤、及びこれを用いたモイストペレッ
ト状養魚飼料の沈降速度制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来の海
水魚、淡水魚の養殖において、モイストペレット状の養
魚飼料が開発された。モイストペレットとは、一般的に
いって、イワシ、サバ、イカナゴ等の生餌（冷凍品も含
む）と、マッシュ（魚粉、植物性油粕類、穀類、ビタミ
ン、ミネラル、粘結剤、他）からなる配合飼料とを混合
しペレット状に仕上げたものである。生餌のみを粗砕し
たものから配合飼料のみ（生餌を含まない）のものまで
もモイストペレットとして含めるが、ペレットを水中へ
投餌したときのくずれを防止するための粘結剤が不可欠
である。粘結剤としては、ＣＭＣ（カルボキシメチルセ
ルロース）、ポリアクリル酸ソーダ、グアガム等が使用
されている。

【０００３】しかしながら、このような従来のモイスト
ペレット状養魚飼料にあっては、近年、生餌の主魚であ
るイワシの漁獲高が急激に減少してきていることから、
安定した生餌の確保が難しくなり、飼料の配合比率の変
更を余儀無くされた。すなわち、例えば、生餌マッシュ配合ではマッシュの配合比率を多くした
り、さらには、マッシュの主成分である魚粉も、もとを正せばイワシ
であり、魚粉量の不足に鑑み、植物蛋白の配合比率を増
加させるなどの対応策が採られた。

【０００４】このように、モイストペレットの配合比率
を変更（工夫）しながら飼料を製造しているが、配合比
率を変えたことにより、あるいは魚粉不足からくる品質
低下によると思われる比重変動により、モイストペレッ
ト状養魚飼料は、作成されるたびに浮遊性と沈降性のバ
ランスが異なってしまい、時には、投餌した飼料が完全
に浮いてしまってイケスの外側に流出したり、あるいは
その逆に、受餌されないまま投餌後直ぐに沈んでしまう
といった飼料利用効率の低下の問題が発生した。

【０００５】［発明の目的］本発明は上記の実情に鑑み
てなされたものであり、その目的は、モイストペレット
状養魚飼料の浮遊性と沈降性のバランスを制御（調整）
することのできる乳化剤、及びこれを用いたモイストペ
レット状養魚飼料の沈降速度制御方法を提供するところ
にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のモイストペレッ
ト状養魚飼料用乳化剤は、ソルビタン脂肪酸エステル又
はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを主成
分とする。

【０００７】本発明のモイストペレット状養魚飼料の沈
降速度制御方法は、モイストペレット状養魚飼料にソル
ビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステルを含ませて水中での当該モイストペレ
ット状養魚飼料の沈降速度を制御する方法であって、沈
降速度を遅らせる場合には、ソルビタン脂肪酸エステル
の配合割合を５．０重量％を上限に増量するか、あるい
はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの配合
割合を０．１重量％を下限に減量し、沈降速度を速める
場合には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ルの配合割合を５．０重量％を上限に増量するか、ある
いはソルビタン脂肪酸エステルの配合割合を０．１重量
％を下限に減量することを特徴とする方法である。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明において、投餌時のモイス
トペレット状養魚飼料の浮遊性、沈降性を調整するため
に、ソルビタン脂肪酸エステルあるいはポリオキシエチ
レンソルビタン脂肪酸エステルが添加混合される。本品
は乳化剤であり、その性質は親水性か親油性かによって
大きく変わる。なお、ショ糖脂肪酸エステル等の他の乳
化剤を併用することも本発明を妨げるものではない。こ
の場合、前記他の乳化剤の１種類を用いてもよいし、２
種類以上を併用して用いることもできる。

【０００９】本発明でいうモイストペレット状養魚飼料
とは、生餌（冷凍品であってもよい）のみを粗砕し、ペレッ
ト化したもの粗砕した生餌に配合飼料を加えてペレット化したもの配合飼料のみを粗砕し、ペレット化したものが挙げられ、いずれの場合も、保形性と、海水への投餌
時のチリ（散らばり）防止のため、粘結剤が使用され
る。

【００１０】上記、で用いる配合飼料の具体例とし
ては、魚粉、肉粉、骨粉、血粉、オキアミミール、イカ
ミール、油粕、大豆粉、大豆粕、小麦粉、脱脂米糠、グ
ルテンミール、ビタミン類、ミネラル類等が挙げられ
る。

【００１１】また粘結剤は、通常、エーテル化度が０．
５〜１．５であって、１％水溶液の粘度が１，０００〜
１５，０００ｍｐａ・ｓであるＣＭＣが用いられる。エ
ーテル化度が０．５未満で粘度が１，０００未満では充
分な粘結力（粘着力）が得られず、エーテル化度が１．
５を超える場合は、ＣＭＣ原料の薬剤量を多量に使用し
てコスト高となり、また粘着力が強すぎてモイストペレ
ット状養魚飼料同士が付着するという問題が生じる。前
記ＣＭＣを、生餌単独物、生餌と配合飼料の混合物、あ
るいは配合飼料単独物に対して０．２〜５重量％添加す
る。なお、ポリアクリル酸ソーダ、グアガム、アルギン
酸ソーダ等のＣＭＣ以外の粘結剤を併用することに何ら
問題は生じない。

【００１２】カロリー補給のため、油脂を添加すること
もできる。この場合の油脂原料としては、タラ肝油、ス
ケソウダラ肝油、イワシ油、牛脂、豚脂、大豆油などが
挙げられる。

【００１３】上記は、通称、単独型モイストペレット
（シングルモイストペレット）であり、水を必要とする
が、この水は、真水、海水、氷であっても支障はない。

【００１４】モイストペレット状養魚用飼料に沈降性を
付与させるには、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステルを用いる。これにより、モイストペレット状養
魚用飼料の吸水性が増し、水中に投餌されたとき吸水し
て沈降速度が増す。

【００１５】ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テルは、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキサイ
ドを付加させたものである。ポリオールにはソルビタン
に限らず、ソルバイト等のソルビット脱水生成物も使用
可能である。

【００１６】前記脂肪酸としては、炭素数８〜２２のも
のが好ましいが、炭素数１２〜１８のものがさらに好ま
しい。これらは飽和であっても不飽和であってもよい。

【００１７】ソルビタン脂肪酸のエステル化度の好まし
い範囲は１〜４である。

【００１８】エチレンオキサイドの付加モル数は１〜１
００のものがあげられるが、好ましい範囲は５〜３０で
ある。

【００１９】ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テルは、モイストペレット状養魚用飼料を調製すべく複
数の飼料原料を混合する際に添加し、均一に混合する。
添加量は、求めようとする（得ようとする）沈降度によ
って変わるので一概にはいえないが、およそのところ、
生餌、配合飼料に対して０．１〜５重量％の範囲で配合
される。０．１重量％未満の場合でも、５重量％を超え
る場合でも、沈降性（沈降速度）を調節することが困難
となる。

【００２０】モイストペレット状養魚用飼料に浮遊性を
付与させるには、ソルビタン脂肪酸エステルを用いる。
これにより、モイストペレット状養魚用飼料の吸水性が
低下し、水中に投餌したとき水をはじき、浮遊性が与え
られる（沈降速度が低下する）。

【００２１】ソルビタン脂肪酸エステルのポリオールに
はソルビタンに限らず、ソルバイト等のソルビット脱水
生成物も使用可能である。

【００２２】前記脂肪酸としては、炭素数８〜２２のも
のが好ましいが、炭素数１２〜１８のものがさらに好ま
しい。これらは飽和であっても不飽和であってもよい。

【００２３】ソルビタン脂肪酸のエステル化度の好まし
い範囲は１〜４であり、さらに好ましい範囲は１〜２で
ある。

【００２４】ソルビタン脂肪酸エステルは、モイストペ
レット状養魚用飼料を調製すべく複数の飼料原料を混合
する際に添加し、均一に混合する。添加量は、求めよう
とする（得ようとする）浮遊度によって変わるので一概
にはいえないが、およそのところ、生餌、配合飼料に対
して０．１〜５重量％の範囲で配合される。０．１重量
％未満の場合でも、５重量％を超える場合でも、浮遊性
（沈降速度）を調節することが困難となる。

【００２５】

【実施例】以下に本発明の一実施例を示すが、本発明は
これによって限定されるものではない。

【００２６】実施例１〜８、及び比較例１１．モイストペレット状養魚用飼料の作成（１）生餌のみよりなる場合ミートチョッパー（飯塚工業社製）により粗砕した冷凍
イワシ１，０００ｇにＣＭＣ（エーテル化度：０．８
５、１％水溶液の粘度：１０５００ｍｐａ・ｓ、商品
名：セロゲンＦ−ＥＰＨ、第一工業製薬株式会社製）２
０ｇを添加し、これとともにポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステルまたはソルビタン脂肪酸エステルを
所定量（０．１％、０．５％、１％、５％）添加して１
軸リボンブレンダー（佐竹製作所株式会社製）で１０分
間撹拌した。のち、ダイ口径８ｍｍにセットしたミート
チョッパーでペレット化した。

【００２７】（２）生餌と配合飼料よりなる場合ミートチョッパーによって粗砕した冷凍イワシ５００ｇ
と下記［表１］に記載した組成よりなる配合飼料５００
ｇとの混合物にＣＭＣ（同上）２０ｇを配合し、さら
に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまた
はソルビタン脂肪酸エステルを所定量添加して１軸リボ
ンブレンダーで１０分間撹拌した。のち、ダイ口径８ｍ
ｍにセットしたミートチョッパーでペレット化した。

【００２８】

【表１】

【００２９】（３）配合飼料のみよりなる場合下記［表２］に記載した組成よりなる配合飼料１，００
０ｇにＣＭＣ（同上）２０ｇを添加し均一に混合した。
のち、この混合物に対し、スケソーダラ肝油２００ｇ、
水４００ｇ、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テルまたはソルビタン脂肪酸エステルを所定量添加して
１軸リボンブレンダーで１０分間撹拌した。のち、ダイ
口径８ｍｍにセットしたミートチョッパーでペレット化
した。

【００３０】

【表２】

【００３１】２．浮遊性、沈降性の評価方法人工海水を水槽に、深さ１００ｃｍとなるまで注ぎ入れ
た。そして、作成したモイストペレット状養魚用飼料を
水面上に静かに落とし、底部に到達するまでの時間
（秒）を測定した。同じ操作を５回行ない、その平均値
を下記［表３］に示した。なお、比較対照のため、ソル
ビタン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステルを含有しないモイストペレット状養魚
用飼料（比較例１）についても同じ測定を行なった。

【００３２】

【表３】

【００３３】実施例９〜１６、及び比較例１上記実施例１〜８においてポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステルとしてポリオキシエチレンソルビタン
モノラウレートを使用し、またソルビタン脂肪酸エステ
ルとしてソルビタンモノステアレートを用いたが、これ
に代えて、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ルとしてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート
を使用し、またソルビタン脂肪酸エステルとしてソルビ
タンモノオレエートを使用し、上記と同様の実験を行な
った。結果を下記［表４］に併記する。

【００３４】

【表４】

【００３５】

【発明の効果】本発明によれば、ソルビタン脂肪酸エス
テル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
を配合することにより、モイストペレット状養魚飼料の
浮遊性と沈降性のバランスを制御（調整）することがで
きる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステルを主成分とするモイ
ストペレット状養魚飼料用乳化剤。
【請求項２】モイストペレット状養魚飼料にソルビタン
脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪
酸エステルを含ませて水中での当該モイストペレット状
養魚飼料の沈降速度を制御する方法であって、沈降速度を遅らせる場合には、ソルビタン脂肪酸エステ
ルの配合割合を５．０重量％を上限に増量するか、ある
いはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの配
合割合を０．１重量％を下限に減量し、沈降速度を速める場合には、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステルの配合割合を５．０重量％を上限に
増量するか、あるいはソルビタン脂肪酸エステルの配合
割合を０．１重量％を下限に減量することを特徴とする
モイストペレット状養魚飼料の沈降速度制御方法。