JPH0975013A

JPH0975013A - 養魚用飼料ペレットの濁り防止剤

Info

Publication number: JPH0975013A
Application number: JP7236387A
Authority: JP
Inventors: Takashi Kasuya; 隆粕谷
Original assignee: Daicel Chemical Industries Ltd
Current assignee: Daicel Corp
Priority date: 1995-09-14
Filing date: 1995-09-14
Publication date: 1997-03-25
Also published as: KR970014585A

Abstract

(57)【要約】【課題】生餌使用量を極端に減らし、或いは全く使用
せず、配合飼料のみに、水とフィードオイルを添加して
混練成形した餌料の給餌に際し、海面汚濁及び餌料の散
逸を防止する。【解決手段】カルボキシメチルセルロース30〜60重量
％、ポリアクリル酸ナトリウム10〜40重量％、及びアル
ギン酸ナトリウム10〜30重量％の３成分から構成される
養魚用飼料ペレットの濁り防止剤、又はカルボキシメチ
ルセルロース30〜60重量％、ポリアクリル酸ナトリウム
10〜30重量％、アルギン酸ナトリウム５〜30重量％、及
びグァーガム５〜50重量％の４成分から構成される養魚
用飼料ペレットの濁り防止剤、かかる濁り防止剤を基礎
飼料に対して 0.5〜10重量％添加することを特徴とする
養魚用飼料ペレットの製造法、及びかかる製造法によっ
て得られる養魚用飼料ペレット。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は養魚用飼料ペレット
の濁り防止剤に関する。更に詳しくは、魚の補食率の向
上、給餌による自家汚染防止等に優れた養魚用飼料ペレ
ットの製造法、および養魚用飼料ペレットに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、我が国の漁業は、経済水域設定等
の国際的な制約によって漁場は著しく狭められている。

【０００３】このため、タイ、ハマチ、ヒラメ、アジ、
トラフグ、ギンザケ等の海面養殖による養魚が盛んにな
っている。しかし現在、海面養殖の飼料としては、多獲
魚であるイワシ、サバ、サンマ、アミエビ等をミンチ状
で、そのままの形状で、もしくは切断して投与している
ために、水溶性栄養成分の溶出が多く、かつミンチ等は
水中での散逸が多いため、魚の補食率が低い。

【０００４】また、最近は、魚粉、油粕、穀類、糠類、
栄養剤（ビタミン類、ミネラル類）及び、その他の養魚
用飼料原料に粘結剤を混合した配合飼料と、生餌破砕物
を混合攪拌した後、造粒機でペレット状に成型した養魚
飼料（モイストペレット又はオレゴンペレットと称す
る）が急速に普及してきたが、各養殖業者の製造方法が
まちまちであり、成型した餌料ペレットも海面に投与す
ると崩れ易く餌の逸脱もあり、また浮遊性がないので魚
に摂餌されない餌料ペレットが沈下し、養殖海面を汚染
するので自家汚染防止も限界にある。

【０００５】また、近年、生餌（特にマイワシ）の漁獲
が急激に低減し価格の高騰が著しい。一方、チリ、アン
ゼンチン等では餌料用のフィッシュミールの製造が安定
し、高品質なものが容易に入手可能になった。

【０００６】従って、生餌の価格高及び供給不足が顕著
になった現状では、養殖業者の経営自衛手段として、生
餌使用量を極端に減らす、或いは全く使用せずに、魚粉
に小麦末粉、大豆油粕、米糠、コーングルテンミール等
の植物蛋白質或いは澱粉質を混合した配合飼料のみに、
水、フィードオイルを適当量添加し混練した後、モイス
トペレッター等で成形した餌料（以下、単独餌料と称す
る）を給餌することが研究されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法によ
る養魚用餌料の給餌に関して、現状のモイストペレット
では冷凍生餌の影響で、混練時間が長時間となり作業性
が悪く、また成形したペレットは氷結状態のため、解凍
によるペレットの崩壊が起こり易く餌料の散逸及び海面
の汚染が著しいことが欠点である。また、このものを冷
凍保存後に給餌すると、ペレットが海水面に浮遊し、生
簀外に流出してしまうため、餌料の損失となる。

【０００８】また、生餌使用量を低減した或いは不使用
の成形餌料は多量の水とフィードオイルを添加するの
で、混練時間が短時間となり作業性は良好であるが、現
在使用されているモイストペレット用粘結材及び添加比
率では、給餌に際し、ペレットの崩壊性が高く餌料が散
逸し易いという欠点を有する。

【０００９】従って、本発明は、生餌使用量を極端に減
らし、或いは全く使用せず、配合飼料のみに、水とフィ
ードオイルを添加して混練成形した餌料の給餌に際し、
海面汚濁（以下、濁りと称する）及び餌料の散逸（以
下、散りと称する）を防止することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結
果、カルボキシメチルセルロース（以下、ＣＭＣと称す
る）、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等を適
当な比率に配合したものを適当量基礎飼料に添加するこ
とにより、上記の課題を解決できることを見出した。

【００１１】すなわち、本発明は、カルボキシメチルセ
ルロース30〜60重量％、ポリアクリル酸ナトリウム10〜
40重量％、及びアルギン酸ナトリウム10〜30重量％の３
成分から構成される養魚用飼料ペレットの濁り防止剤に
関する。

【００１２】また、本発明は、カルボキシメチルセルロ
ース30〜60重量％、ポリアクリル酸ナトリウム10〜30重
量％、アルギン酸ナトリウム５〜30重量％、及びグァー
ガム５〜50重量％の４成分から構成される養魚用飼料ペ
レットの濁り防止剤に関する。

【００１３】さらに、本発明は、上記の濁り防止剤を基
礎飼料に対して 0.5〜10重量％添加することを特徴とす
る養魚用飼料ペレットの製造法、及びかかる製造法によ
って得られる養魚用飼料ペレットに関する。

【００１４】配合飼料を使用して餌料ペレットを製造す
る場合、通常のモイストペレットの場合は冷凍生餌の凍
結水が解凍し、配合飼料に含まれる濁り防止剤を溶解し
粘性発現を行うが、単独餌料或いは低生餌配合の飼料ペ
レットの場合は、水添加と油添加が必要である。遊離の
油を添加するのでペレットの崩壊が起こり易く、濁り・
散りが発生し易いが、本発明の濁り防止剤を使用するこ
とにより顕著な改善が見られる。

【００１５】

【発明の実施の形態】本発明の対象となる多含水及び多
含油の成形ペレットに使用する配合飼料の原料（基礎飼
料）は、従来のモイストペレットに使用される原料と同
様に、魚粉、肉粉、骨粉、フェザーミール、血粉、脱脂
粉乳、南極オキアミミール、イカミール等の動物蛋白
質、また、植物性原料としては、油粕、穀類、糟糠類、
大豆粕及び大豆粉、澱粉類、グルテンミール等が使用さ
れる。その他、ビタミン、ミネラル等及びタラ肝油、ス
ケソウダラ肝油、イワシ油、動物油脂類（牛脂、豚脂
等）、大豆油、綿実油等の油脂類、また、合成アミノ酸
類を配合したものが使用される。

【００１６】これらの基礎飼料は、その対象とする魚種
（シマアジ、ハマチ、タイ、アジ等の養殖魚）とその体
長或いは季節により任意に配合される。

【００１７】本発明の濁り防止剤を構成するＣＭＣは置
換度0.80〜2.5 、粘度1500cps 以上のものが好ましく、
ポリアクリル酸ソーダは粘度500cps以上のものが好まし
い。また、同時に配合されるアルギン酸ソーダは粘度10
0cps以上あれば良い。グァーガムは一般に養魚用として
使用されている粘度4000cps 程度のものが容易に入手で
きるが、これ以外でも粘度1000cps 以上あれば市販品よ
り自由に選択できる。

【００１８】本発明の濁り防止剤の餌料ペレットへの添
加量は、水添加量、油添加量、及び生餌配合量により相
違するが、基礎飼料に対して 0.5〜10重量％である。こ
の範囲外では効果が低下する。

【００１９】すなわち、 0.5重量％未満では、目的のペ
レットが得られず、また、目的とする濁り防止の効果が
低下する。また、10重量％を超えると、コスト面で実用
性がなく、また、より大量の水添加を必要とするので作
業性が困難になる。また、10重量％を超えて使用した場
合に、通常の添加水量（対飼料比：約50％程度）でも成
形ペレットは完全に成形でき問題はないが、目的とする
濁り防止の効果が低減し好ましくない。

【００２０】本発明の濁り防止剤の配合品の作用として
は、ＣＭＣは吸水力、潤滑性及び成形性が良好であり、
ポリアクリル酸ソーダは粘結性及び皮膜形成性に優れ、
アルギン酸ソーダは結着性及び保形性に優れる。また、
グァーガムは粘結性に優れている。そこで、これらの機
能を最も効果的に発現させるための配合比率が下記の配
合比率である。

【００２１】 1) カルボキシメチルセルロース 30〜60重量％ポリアクリル酸ソーダ 10〜40重量％アルギン酸ソーダ 10〜30重量％ ──────────────────────────── 合計 100重量％ 2) カルボキシメチルセルロース 30〜60重量％ポリアクリル酸ソーダ 10〜30重量％アルギン酸ソーダ５〜30重量％グァーガム５〜50重量％ ──────────────────────────── 合計 100重量％尚、グァーガムについては、飼料原料として配合飼料に
既に配合されている場合が多い。

【００２２】本発明の濁り防止剤に使用した各原料の作
用が、上記の配合比率により、より相乗効果を発揮し、
現場での給餌に際し、極端なまでに濁り、散りを効果的
に防止するという効果を発揮する。また、本発明の濁り
防止剤は事前に各防止剤原料を上記の比率に混合したも
のであって、このプレミックスを単一防止剤として飼料
原料に添加するものである。

【００２３】本発明においては、上記の本発明の濁り防
止剤を基礎飼料に対して 0.5〜10重量％含有する配合飼
料を成形機により成形してペレット状餌料を得る。

【００２４】

【実施例】以下に比較例及び実施例を掲げて本発明を説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。尚、以下の例における「％」は「重量
％」を表す。

【００２５】実施例及び比較例は以下の造粒法によって
造粒し、成形ペレットは直ちに以下の試験方法によって
濁度、硬さ、造粒性を評価した。

【００２６】1. 試験造粒法配合飼料（基礎飼料及び濁り防止剤）を計量し、攪拌し
ながら配合飼料量の50％相当の水を添加する。水添加後
３分間混練し、フィードオイル15％相当を添加する。そ
の後、２分間混練し造粒する。使用した造粒機及びプレ
ートは下記の通りである。 1) 造粒機；サンコーテクノ製モイストペレッター試
験機 2) プレート；９mm孔径 2. 試験方法 1) 濁度評価養殖現場での生簀給餌時には、摂餌する魚の浮上による
湧流により、餌料ペレットが崩壊或いは変形することに
より、海面が黄色に濁る現象が一般的であり、また、現
状ではあるレベルまでしか抑制できない。本発明は、こ
の濁る現象を極限まで低減或いは防止することを目的と
している。また、この現象は、単に濁るだけではなく、
本来、餌料として魚が補食するものを湧流により生簀外
に流出してしまうため、餌料損失となる。この現象を定
量化するために下記の評価法を採用した。成形直後の餌
料ペレットの５ケを直ちに採り、ビーカーに計量した20
0 mlの合成海水中に投入し、マグネチックスターラーに
て10分間攪拌し、ペレットの崩壊或いは濁り原因物の溶
出を行う。直ちに、飼料ペレットを引き上げ、試験液の
合成海水 200mlの全量を 300メッシュの金網で濾過す
る。この濾液を濁度計（東京電色（株）製ＴＤ-2000
）によって濁度を測定する。冷凍後の測定値は、成形
直後に採取した餌料ペレットを直ちに−20℃の冷凍庫に
保存し、24時間後に、造粒直後の採取品と同様に処理
し、濁度を測定する。

【００２７】2) 硬さ評価生タイプの成形ペレットは、僅かな時間に環境の影響を
受けるのて、成形直後に採取したペレットを直ちに硬度
計（シンポ工業（株）製ＨＤ-2000 ）で硬さを測定す
る。

【００２８】3) 造粒性評価造粒時及び造粒直後の成形ペレットの状態を観察或いは
感触により良否を決定する。

【００２９】実施例１〜４及び比較例１〜３下記の基礎飼料と表１の濁り防止剤を使用して成形ペレ
ットを製造し、評価を行った。結果を表１に示す。

【００３０】

【００３１】

【表１】

【００３２】注）比較例１〜３は、以下に示す市販のＣ
ＭＣを使用した。比較例１：第一工業製薬（株）、品番ＭＰ−60 比較例２：第一工業製薬（株）、品番ＭＰ−120 比較例３：日本製紙（株）、品番Ｆ−330ＭII さらに、粘度は25℃、１％水溶液において測定し、使用
したポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、グァー
ガムの粘度は全て以下の通りである（以下の実施例及び
比較例においても同様）。ポリアクリル酸ソーダ：2700cps アルギン酸ソーダ：500cps グァーガム：3600cps 本発明の三成分配合濁り防止剤を使用した場合と現在多
用されている養魚用養魚用ＣＭＣを使用した場合とを比
較すると、濁度の差は顕著であり、本発明品の効果は明
白である。

【００３３】実施例５〜10及び比較例４下記の基礎飼料と表２の濁り防止剤を使用して成形ペレ
ットを製造し、評価を行った。結果を表２に示す。

【００３４】

【００３５】

【表２】

【００３６】現在のモイストペレット製造時の標準的な
濁り防止粘結材処方を比較例４とし、また、本発明の三
成分配合によるものと、本発明の四成分配合によるもの
との「濁度」比較であるが、本発明品の濁り防止効果は
顕著である。特に、冷凍後の成形ペレットは、現状のモ
イストペレットを冷凍保管し給餌した場合は必ず「濁
り」が発生し易いが、本発明のペレットは、むしろ冷凍
保管したものの方が、より「濁り」を防止する効果があ
る。これは、今後ますます省力化を要求される養殖業界
にとって大きなメリットとなる。

【００３７】実施例11〜15及び比較例５〜６下記の基礎飼料と表３の濁り防止剤を使用して成形ペレ
ットを製造し、評価を行った。結果を表３に示す。

【００３８】

【００３９】

【表３】

【００４０】現在のモイストペレット製造時の標準的な
濁り防止剤処方を比較例５及び比較例６に示す。また、
現在のモイストペレット製造時の標準的な濁り防止剤処
方とは、配合飼料製造時に、濁り防止剤を各個別に基礎
飼料に混合して製造することを指すが、本発明の濁り防
止剤は事前に各防止剤原料を提示の比率に混合したもの
であって、このプレミックスを単一防止剤として飼料原
料に添加するものである。魚粉配合比率が高くなるにつ
れ、濁り・散りの防止は困難になるのが一般的な傾向で
あるが、本発明品を添加することにより、顕著な濁り防
止効果を発揮する。また、冷凍後のものは殆ど濁りを発
生しない。

【００４１】実施例16〜18及び比較例７〜10 下記の基礎飼料と表４の濁り防止剤を使用して成形ペレ
ットを製造し、評価を行った。結果を表４に示す。

【００４２】

【００４３】

【表４】

【００４４】現在のモイストペレット製造時の一般的な
濁り防止剤処方を比較例７及び比較例８に示す。また、
良好な造粒性を持つモイストペレット製造のための濁り
防止剤処方を比較例９及び比較例10に示す。通常、生餌
を極力低減する、或いは配合飼料単独で成形する飼料ペ
レットの場合、濁り発生を抑制することができないが、
本発明の濁り防止剤を使用した場合は、顕著な濁り防止
効果を発揮した。

【００４５】実施例19〜22及び比較例11 下記の基礎飼料と表５の濁り防止剤を使用して成形ペレ
ットを製造し、評価を行った。結果を表５に示す。

【００４６】

【００４７】

【表５】

【００４８】生餌配合の飼料ペレットにおいても、本発
明の濁り防止剤を使用することにより顕著な濁り濁り防
止効果を発揮した。尚、生餌を使用した場合、生餌中の
水分とオイル分と固形分とを考慮して、表中に記載した
ように水とフィードオイルを添加した。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】カルボキシメチルセルロース30〜60重量
％、ポリアクリル酸ナトリウム10〜40重量％、及びアル
ギン酸ナトリウム10〜30重量％の３成分から構成される
養魚用飼料ペレットの濁り防止剤。
【請求項２】カルボキシメチルセルロース30〜60重量
％、ポリアクリル酸ナトリウム10〜30重量％、アルギン
酸ナトリウム５〜30重量％、及びグァーガム５〜50重量
％の４成分から構成される養魚用飼料ペレットの濁り防
止剤。
【請求項３】請求項１又は２記載の濁り防止剤を基礎
飼料に対して 0.5〜10重量％添加することを特徴とする
養魚用飼料ペレットの製造法。
【請求項４】請求項３記載の製造法によって得られる
養魚用飼料ペレット。