JP2008530000A - 糖尿病患者用飲料水及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

本発明は糖尿病患者用飲料水及びその製造方法に関する。本発明を実現するために、厳選したアジアイネを発芽器内、１８〜２０℃で４〜５日間発芽させてスプラウトを生長させる。かかるスプラウトの高さは約１〜５ｃｍである。次いで、ウラルカンゾウ０．０１〜０．０５質量％を含む９３〜９７質量％の水を１００℃で６０〜８０分間加熱する。次に、０．０４〜０．０７質量％の生姜を加え、２０〜３０分間加熱し、２．５〜５質量％の発芽したアジアイネを加え、６０〜８０分間加熱、抽出する。

Description

本発明は飲料水、更に具体的には製造の容易な糖尿病患者用飲料水及びその製造方法に関する。該飲料水は、第一に４乃至５日間発芽させたアジアイネ、第二に生姜及びウラルカンゾウを含む。かかる飲料水は、糖尿病を患った老齢で体力の弱った人が効率よく飲むための独特の味及び香りを有する。

大韓民国では、食生活パターンが肉指向の欧米流の食生活様式、即ち、フライドチキン、ローストポーク又は牛肉、及び肉からなる即席料理による食べ物（ファストフード）を食べることにより菜食が減少し、運動不足であり、抗生剤及び農薬を含む脂肪分の多い料理を食べる近頃の傾向に、またローストした食べ物及び加工食品を食べる近代的な食習慣に変化しているため、以前には存在しなかった成人病及び不治の病が発生している。

成人病の中で、重篤であり且つ慢性の病気の一つである糖尿病が若年層の子供に発生し、また、近年、糖尿病への関心が高まっているため、食物の質が体と心の健康に関連する重要な一つの要因として認識されている。

環境に優しい農作物の必要性が加速度的に増大し、また菜食の重要性が理解されているため、化学物質を含まない食品が健康を維持するための主題と見なされている。

化学物質を含まない食品の中で、栄養素を豊富に含み且つ農薬や化学肥料で実質的に汚染されていないもやしは、今、新しい健康食品として認識されている。

スプラウト（Sprout）は芽又は苗条を指す。植物の成長において、芽は生命力に満ちている。つまり、生命を維持するために必要な栄養素が発芽期に集中し、栄養素が芽として現れるので、発芽期の植物は、完全に成長した植物よりもビタミン及びミネラルのような有効成分を４倍以上有していることがよく知られている。

発芽期の植物を胴枯れ病や有害な昆虫による損害が発生する前に収穫するので、もちろん、農薬や細菌に関する心配がない。

植物の芽にある酵素は、発芽した種子と発芽していない種子を区別する物質である。芽の中の酵素は、でんぷんをでんぷん糖に、タンパク質をアミノ酸に、また脂肪を脂肪酸に転換し、また、消化器官内で食物を消化して容易に利用できる滋養分にする働きをする。

（技術的な問題）
しかし、かかる酵素が一般に調理済みの食品又は加工食品には存在しておらず、また近ごろの食習慣が新鮮な野菜又は発芽した植物よりもむしろローストした食べ物又はインスタント食品に変化してきているので、酵素の不足が深刻化している。

これらの理由により、ヒトは糖尿病、ガン及び変性疾患を被る。

従って、糖尿病を治療及び予防できる機能性食品が大いに必要とされており、植物の芽は、生命維持に必須の全ての栄養素を有し、胴枯れ病や有害な昆虫による損傷により生じるストレスがなく、化学物質を含まない最も理想的な食品である。

本発明の目的は、容易に製造できる糖尿病患者用飲料水及びその製造方法を提供することであり、かかる飲料水は、栄養素を豊富に含み、汚染されておらず、飲料水に用いるアジアイネの芽から製造した組成物を提供することによって、アジアイネの芽に含まれる有効成分により非常に自然な方法で糖尿病を治療及び予防することが可能である。

かかる目的を達成するため、本発明による糖尿病患者用飲料水は、水９３〜９７質量％、発芽したアジアイネ２．５〜５質量％、生姜０．０４〜０．０７質量％及びウラルカンゾウ０．０１〜０．０５質量％を備える。

本発明による飲料水の製造方法は、糖尿病に有効な成分を豊富に提供し得るステップをアジアイネの発芽により行い；９３〜９７質量％の水をウラルカンゾウ０．０１〜０．０５質量％と共に１００℃で６０〜８０分間加熱し；０．０４〜０．０７質量％の生姜を加え、２０〜３０分間加熱し；２．５〜５質量％の発芽したアジアイネを加え、６０〜８０分間加熱、抽出し；加熱及び抽出した固形物を濾過し、濾液を容器内に収容する工程とを備える。

本発明の好ましい実施態様は、この後に詳細に記載する。

一般に、市場における糖尿病患者用の典型的な食物は低カロリー甘味料である。糖尿病に有効な食品について幾つかの研究報告がある。例えば、キム フイ セオン（ＫＩＭ，Hui Seon）著、軽食用栄養ドリンク、大韓民国栄養学会誌、第２７巻８号、１９９４年、ｐ．８０５−８１８；リー エン ギェオン（LEE, Yeon Gyeong）著、食物繊維を用いる薬物療法用補助食品、大韓民国栄養学会誌、第２５巻５号、１９９６年、ｐ．８４６−８５４；及びリム スク ジャ（LIM, Suk Ja）著、アマドコロの摂食による糖尿病に対する効果、大韓民国栄養学会誌、第２８巻８号、１９９５年、ｐ．７２７−７３６は、糖尿病に有効な食物を開示している。

血糖を減少させる食物中の因子に関する研究、及び糖尿病患者が必要とする食物の開発が活発に進められているが、糖尿病患者用のあらゆる飲料水について開発も使用もされていない。

他方では、糖尿病に有効なオオムギの芽を用いた研究が活発に進められており（日本食品工業学会誌、第３５巻９号、１９９２年、ｐ．３０−３３）、芽を用いることによる生体機能制御に関する関心が高まっている。しかしながら、オオムギの芽を用いることにより糖尿病を和らげる又は治療するための研究はほとんど進んでいない。

既知のデータによると、アジアイネは脂肪、線維性物質、石灰粉、リン、カリウム、ビタミンＢ１及びナイアシンのような成分を有する。これら成分の含有量は精米のほぼ２倍である。

特に、精米していないコメは多くの線維性物質及び芽を有するか、又はコメの油はオリザノールを有するので、コメはインスリン機能を高めることが可能であり、糖尿病の治療に効果的である。

オリザノールは、異常脂質血症や血糖を改善し、且つ血清、トリグリセリド及び総コレステロール濃度を減少させる顕著な効果を有することが知られている。また、オリザノールは、脂肪及び総コレステロールの排出量を増加させ、自律神経を沈静化し、且つ脳卒中及び認知症を予防する効果を持つように脳細胞を活性化することができる。

従って、体重過多又は肥満による糖尿病になる可能性の高い成人が研いでいない穀類を食べれば、インスリンの感受性が高まり糖尿病になる可能性が低くなる。

ここで、感受性という用語は、食後の血中で形成されるブドウ糖を人体内の細胞中に蓄えるホルモンの一種であるインスリンに対する人体の反応性を指す。該細胞はブドウ糖をエネルギー源として利用する。

他方、成人の糖尿病患者はインスリンに対して感受性がなく、ブドウ糖が人体の細胞中に蓄えられず血糖が増加する。

インスリンが少量分泌されると、人体へのインスリンの感受性が高まる一方、インスリンが過剰に分泌されると、人体へのインスリンの感受性が低下する。従って、糖尿病患者には、精白パン、ロールパン、シリアル及び精米のような精製した穀類を研いでいない穀類と置き換えることが好ましい。

本発明によるアジアイネは繊維性物質を豊富に有しており、血中へのブドウ糖の放出速度を減少させて血糖レベルを低く維持し、インスリンの必要性がより減少する。

従って、精米を得るためにアジアイネを研ぐ過程でアジアイネの外殻を除去すると、健康に役立つ線維性物質やミネラルがなくなるため、本発明では研いでいないアジアイネ（未加工のコメ）を使用する。

本発明の実験では、ＢＭＩが２７で普段殆ど運動をしない成人１１人が、研いでいない穀類（例えば玄米やオオムギ）と総カロリーの５５％である精製炭水化物を二者択一的に６週間食べる。その結果、精製炭水化物よりもむしろ研いでいない穀類を食べる場合、インスリンの分泌量が１０％低下し、血糖レベルも下がる。

これらの結果からよく分かるように、本発明は、インスリンの分泌量を低下させる効果を有する研いでいない穀類、好ましくはアジアイネ（未加工のコメ）の酵素又は線維性材料及び血糖を減少させるために有効なその他の成分、より好ましくはアジアイネ（未加工のコメ）の芽を主成分として用いることにより血糖を効果的に減少し得る飲料水を提供する。

更に、本発明を完全にするために、生姜及びウラルカンゾウのような漢方薬を主成分に加えることができる。

本発明に用いるウラルカンゾウは、漢方薬の苦味を和らげるだけでなく、７２種類の石薬を１２００種類の薬草と調和させて薬効を高める働きがある。

ドンガイボガン（DONGUIBOGAM）に開示されているように、ウラルカンゾウは五臓六腑の冷えや発熱を制御し、目、鼻、口、耳並びに尿及び糞便の生理機能を正常化し、血流を円滑にし、筋肉及び骨を増強し、栄養状態を強化し、あらゆる薬物の毒性を中和する。とりわけ、ウラルカンゾウは生姜及びナツメと組み合わせて様々な種類の毒に対して優れた効果を有することが知られている。

食中毒、薬物中毒及び坑潰瘍解毒療法を中和するのにウラルカンゾウに比するものはない。また、ウラルカンゾウは、種々の毒薬に対して拮抗作用を有するので毒物によって生じる薬物中毒を治癒し、また細菌による毒に対して中和作用を示す。

上記の通り、ウラルカンゾウはあらゆる薬剤に由来する毒性を中和するので、ウラルカンゾウは東洋の伝統薬において不可欠の特効薬である。ウラルカンゾウは、筋肉の緊張又は神経の緊張に起因する痛みを和らげる副腎皮質ホルモン様の調整作用、及び胃潰瘍及び十二指腸潰瘍に対する顕著な効果を有する。

更に、ウラルカンゾウはコレステロールを除去して動脈硬化を予防する作用、及び毒素を中和して肝機能を強化する作用を有する。加えて、ウラルカンゾウは、下垂体機能低下症、アディソン病、伝染性肝炎、気管支ぜんそく、皮膚炎、マラリア、霜焼けなどの種々の病気に対して明白な効果を有することが既知である。

生姜は伝統的な漢方薬の半数程度に使用される。シノンボン チョギョン（SHINONGBON CHOGYEONG）に開示されているように、生姜を継続して食べると、高い生気を引き出ため人体に有益である。近代医学により血中コレステロールの上昇を強力に抑制する生姜の効能が明らかにされた。生姜は、殺菌及び抗菌作用、並びに消化液の分泌を促進し胃腸の動きを活発にして食欲を高め、且つ消化を助ける成分を有する。生姜の甘い香りと辛み成分は血行を良くして体温を上昇させることが知られており、発熱の治療、及び血行障害や風邪の薬として使用される。

そのため、本発明による飲料水はアジアイネ（未加工のコメ）の酵素及び線維性物質を使用して、生姜とウラルカンゾウとの相乗作用により、糖尿病患者のインスリン機能を促進し血糖レベルを下げるのみならず老齢で体力の弱った人の活力を増進する。

以下に本発明による飲料水の製造方法を詳細に説明する。

厳選したアジアイネ（未処理の米）を１５〜１７℃のきれいな地下水で洗い、発芽に必要な十分な水分（好ましくは含水量６０〜７０％）を吸収させるために水中に完全に沈める。

４−５時間おきに９−１０回新しい水と交換して外殻の農薬を除去する。

アジアイネを十分に浸した後、アジアイネから水を除去する。次に、アジアイネを発芽器（バイオマックス社、ミャングン（MUANGUN）、又はクワンウォン（Kwangwon）農機社、キンジェ市）内に置き、１８−２０℃で４−５日間発芽させてスプラウトを成長させた。このとき、スプラウトの高さは約１−５ｃｍである。

発芽後、アジアイネを乾燥機に移し、日光、熱風又は電熱を作用させて乾燥する。

清潔な地下水及び滅菌水で洗浄した生姜とウラルカンゾウを準備する。

（発芽した）アジアイネ、生姜及びウラルカンゾウからなる混合物が１００質量％であると仮定した場合、（発芽した）アジアイネは９８質量％、生姜は１．５質量％及びウラルカンゾウは０．５質量％である。この時、ア（発芽した）ジアイネ、生姜及びウラルカンゾウからなる混合物を水と１：２０の割合で混合する。

かかる割合を質量換算した場合、水は２０ｋｇ、（発芽した）アジアイネは０．９８ｋｇ、生姜は０．０１５ｋｇ、ウラルカンゾウは０．００５ｋｇである。

まず、０．００５ｋｇのウラルカンゾウを水に入れて１００℃で６０−８０分間加熱する。次に、０．０１５ｋｇの生姜を加え６０−８０分間加熱する。最後に、（発芽した）アジアイネを加え２０−４０分間加熱、抽出する。

更に、得られた抽出物を細かいフィルターで濾過し、容器内に収容する。

他方、ウラルカンゾウは非常に硬いため、まず初めにウラルカンゾウを水に入れ、生姜とウラルカンゾウを混合し、それから最後に（発芽した）アジアイネを水に入れて糖尿病に対する有効成分の破壊を防ぐことに留意すべきである。

得られた糖尿病用飲料水の効果を確認するために、血糖レベルが３００ｍｇ／□超である１０人の糖尿病患者は、かかる飲料水を毎日０．５ｌずつ４−５ヶ月間飲んだ。その結果、血糖レベルが正常なレベルに近づいた。

アジアイネ及びスプラウトのそれぞれについてのα−グルコシダーゼを表１に示す。表１は、スプラウトの抑制作用が高いことを示す。

アジアイネとスプラウトのそれぞれについてのヘキサンに関するＨＰＬＣの分析結果によれば、表２及び３に示すように、スプラウトの場合には更なる物質が形成されていた。

［表２］アジアイネのＨＰＬＣ

［表３］スプラウトのＨＰＬＣ

糖の透析に対する遅延効果の分析によれば、表４に示すように、かかる遅延効果はスプラウトの方が高い。

［表４］アジアイネ及びスプラウトのそれぞれにおける糖の透析の遅延効果

本発明による飲料水は、アジアイネ（未加工のコメ）の酵素及び線維性物質を使用し、生姜とウラルカンゾウの相乗作用によって、糖尿病患者のインスリン機能を促進し血糖レベルを下げるだけでなく、老齢で体力の弱った人の活力も増進する。

Claims (5)

1. 水９３〜９７質量％、発芽したアジアイネ２．５〜５質量％、生姜０．０４〜０．０７質量％及びウラルカンゾウ０．０１〜０．０５質量％を備える糖尿病患者用飲料水。
2. アジアイネを発芽させる工程と、
   ウラルカンゾウ０．０１〜０．０５質量％を含む９３〜９７質量％の水を１００℃で６０〜８０分間加熱する工程と、
   ０．０４〜０．０７質量％の生姜を加え、２０〜３０分間加熱する工程と、
   ２．５〜５質量％の発芽したアジアイネを加え、６０〜８０分間加熱、抽出する工程と、
   加熱及び抽出した固形物を濾過し、濾液を容器内に収容する工程とを備えることを特徴とする飲料水の製造方法。
3. 発芽工程において、アジアイネを１５〜１７℃の清浄水で洗浄し、該水中に完全に沈めて十分な水分を吸収させ、該アジアイネを発芽器内で１８〜２０℃で４〜５日間発芽させて高さが約１〜５ｃｍになるスプラウトを成長させる請求項２記載の製造方法。
4. 水を４−５時間おきに９−１０回交換する請求項２記載の製造方法。
5. アジアイネ（発芽した）、生姜及びウラルカンゾウからなる混合物を水と１：２０の割合で混合してなる請求項１記載の製造方法。