JP2008526956A6 - クロマメノキの抽出物を含有する皮膚美白及びシワ改善用の組成物とその製造方法 - Google Patents

クロマメノキの抽出物を含有する皮膚美白及びシワ改善用の組成物とその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、天然抽出物であるクロマメノキの抽出物を有効成分として含む皮膚状態改善用の組成物に関する。クロマメノキの抽出物は、皮膚に紫外線が照射されるに伴い皮膚組織内において生成される活性酸素を抑制及び消去させ、チロシナーゼ活性を有効に阻害してメラニン細胞におけるメラニンの生成を抑制させ、ケラチノサイトにおけるサイトカイン分泌を阻害させ、プロコラーゲンの生成を促進してコラーゲンの分解を抑制させるなどの作用を有することから、紫外線による皮膚の光老化の防止、皮膚美白状態及びシワ状態の改善に有効に使用可能である。また、本発明によるクロマメノキの抽出物は、皮膚に塗布したり飲用しても皮膚シワの改善効能が得られることから、化粧料、健康機能食品、薬剤の皮膚シワの改善のための成分として用いて好適である。

Description

本発明は、クロマメノキ(Vaccinium uliginosum:黒豆の木)の抽出物を含有する皮膚状態改善用の組成物に係り、さらに詳しくは、皮膚のニキビ、そばかす、色素沈着などを予防・改善して皮膚美白に役立ち、皮膚シワを予防・改善するだけではなく、皮膚の弾力を増強可能な皮膚状態(皮膚の老化)改善用の組成物に関する。本発明による皮膚状態改善用の組成物は、抽出液若しくは乾燥された抽出粉体状に容易に製造することができ、皮膚状態の改善のための用途の化粧料、健康機能性食品及び薬剤などの一成分として使用可能である。
近年、平均寿命の延長に伴う老人人口の増加とあいまって、医学、生化学、食品学分野において老化に関する研究が占める比重は次第に高まりつつある一方である。あらゆる生命体は、年を取るにつれて老化されるものであるが、老化とは、環境の変化に適応する生物体の能力が経時的に次第に低下することを言う。
皮膚も同様である。皮膚にシワができ、皮膚に色素沈着が起こり、しかも、弾力が低下するなど皮膚の状態が悪化することは皮膚老化による主たる現象であって、内外部の原因に起因する種々の因子により、様々な構造的な変化を通じて皮膚は老化過程を経ることになる。しかしながら、現代人は、皮膚をさらにきれいにし、かつ、美しく保つことを希望しており、皮膚状態を改善(皮膚老化を防止)する方法及び材料に関する様々な研究と実験も次第に活発化している。
皮膚状態を悪化させる主な現象である皮膚老化の原因は、大きく内因性老化と外因性老化とに分けられる。すなわち、年を取るにつれて発生することが内因性老化(intrinsic aging)であり、紫外線などの外部因子により発生する老化を外因性老化(extrinsic aging)という。特に、外因性老化は、主に紫外線により老化が進むことから、光老化(photo aging)と呼ばれる。
内因性の皮膚老化の過程においては、特定の臨床皮膚の所見によれば、微細なシワ、真皮の収縮、そして皮下脂肪層の減少などが見られる。外因性老化の最も大きな比重を占める太陽光線中の紫外線による光老化過程においては、紫外線により皮膚の表皮において活性酸素種(ROS)が過度に生成されるが、このような活性酸素種は、メラニンの増大による色素沈着が観察され、皮膚組織におけるコラーゲンとエラスチンとの生合成を阻害して分解の促進を引き起こしてシワの形成が見られる。特に、本発明は、光老化過程を経る皮膚状態を改善(皮膚美白及びシワなど)することと関連する。
光老化の作用機序は明らかではないが、紫外線は核酸とたんぱく質などの変形及び脂質の酸化を引き起こして細胞の染色体変形と細胞膜損傷を引き起こしたり、あるいは、活性酸素種を介して細胞の変形を引き起こしたりするということは種々の研究により判明されている。また、太陽による紫外線照射は紅斑、浮腫などの炎症性反応と皮膚黒化、真皮細胞間物質の変性など様々な臨床的な変化を引き起こす。さらに、かような多くの反応のどれが皮膚のシワ、弾力性などと深い関連性があるかを明らかにするための研究が進行中である。
紫外線による光老化、自然老化などの理由で皮膚の状態が悪くなるに伴い生じうる代表的な現象としては、皮膚の色が黒みがかかってくるような現象がある。皮膚の色に預かる色素としては、メラニン、メラゾイド、カロチン、酸化型ヘモグロビン、還元型ヘモグロビンなどがあるが、これらのうち最も重要なのはメラニンである。メラニンは自己保護のための偽装手段として働き、紫外線を吸収したり散乱させることにより皮膚内の細胞や組織が紫外線により損なわれることを防ぐ。メラニンは格別な最大吸収波長がなく、全領域の光を吸収し、しかも、皮膚内において過酸化陰イオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素などの活性酸素種を消去する機能に優れている。
しかしながら、皮膚組織中にメラニンが過剰に存在している場合、メラニンそのものが活性酸素を発生することもあり、メラニン構造内のカテコールやキノンにより他の物質を還元若しくは酸化させることもある。なお、メラニンそのものが自由ラジカルの性質を示して人体にニキビ、そばかすなどを形成して皮膚の色を黒くし、皮膚老化を促進し、しかも、皮膚癌の誘発に預かることが知られている。
メラニン生成経路としては、周知のごとく、チロシンからチロシナーゼによりドパ(DOPA)、ドパキノン(DOPA−quinone)を経てメラニンが生成される化学的な経路、あるいは、メラニン細胞からケラチン細胞へと移動してメラニンを生成する経路などがある。
メラニン生成抑制を通じての皮膚美白の方法としては、紫外線を遮断する方法、チロシナーゼの活性のために必要となるコア炭水化物の合成を阻害する方法、メラニン形成と関連する酵素であるチロシナーゼの活性を抑える方法、メラニン細胞に特異的な毒性を有する物質を用いてメラニン細胞の分裂を妨げる方法、ビタミンC誘導体と胎盤抽出物を用いる方法などが知られている。
特開平06−192062号には、美白物質としてヒドロキノンが開示されているが、ヒドロキノンの美白効果は抜群であるが、発癌物質であり、化粧料などの材料として用いるには不向きである。特開昭56−7710号には美白物質としてコウジ酸が開示されているが、コウジ酸はチロシナーゼの阻害能に優れていて美白効果に優れているが、コウジ酸の毒性に関する問題がもたげられているため、化粧料、食品などの材料として用いるには不適切であるという不都合がある。特開平4−9315号には、美白物質として、天然植物であって高山地帯に棲息するコケモモから抽出したり合成したりして得られるアルブチンが開示されているが、皮膚刺激による問題点が指摘されている。また、昔から皮膚美白と関連して、ハトムギ、キュウリなどの天然物が皮膚美白の目的で使用されているが、かような天然物はメラニンの過剰生成とは無関係なものであった。
皮膚の色が黒みがかかってくる現象に加えて、皮膚表皮が損なわれ、且つシワができる現象は、光老化などにより皮膚状態が悪くなるに伴い発生する代表的な現象である。光老化においては、大体真皮の変化が目立つため、シワ発生も真皮の変化に起因することが知られている。特に、皮膚真皮層の顕著な変化は、外側の真皮に無定形の弾力組織が過度に蓄積されることと、真皮のコラーゲン繊維が減少することである。
シワの発生過程は現在のところ判明されてはいないが、真皮のコラーゲンの合成低下または分解活性の増加、表皮基底膜の損傷、表皮代謝活性の低下などシワ発生と関連する多数の結果が報告されている。また、皮膚シワの発生は紫外線に起因する様々な生化学的、臨床的な変化の総合的な影響によるものであると理解できる。
皮膚シワの問題を解決するために、従来には、コラーゲンを化粧品に配合して製品にした場合があったが、コラーゲンを化粧品にして皮膚の表面に塗布する場合、高分子となるコラーゲンの経皮吸収が困難になってその機能を十分に期待できないという不都合があった。また、皮膚の真皮に直接的にコラーゲンを注入する方法もあるが、この方法もまた副作用により皮膚シワを改善する解決策とはなっていない。
コラーゲン合成を促進する物質として、レチノ酸と、動物胎盤由来のたんぱく質(特開平8−231370号)などが知られている。レチノ酸は剤型技術が複雑であり、しかも、皮膚に刺激となるなど安全性の側面から使用に限界があり、動物胎盤由来のたんぱく質は狂牛病にかかったウシの摘出物を使用することがあるという致命的な短所があった。また、人体への効能が確認されているα−ヒドロキシ酸(alpha-hydroxy acid、AHA)と各種のビタミンA誘導体(レチノイド類)が開発されて化粧品などに使用されている。しかしながら、これまで臨床的に確実な効能があると立証されたのは、前記の物質や紫外線遮断剤にとどまっている。既にヨーロッパにおいては、1990頃より化粧品にシワ改善効果を表記して広報しており、1993年頃にはセラミド、AHA、レチノールなどの皮膚状態改善成分の化粧品の導入と機能性化粧品という用語が新たに造語されている。
ほとんどの化粧品会社は皮膚美白やシワを改善するための化粧品を開発してきたが、化粧品に限られており、摂取を通じて皮膚シワ改善の効果が得られないものであった。また、「塗布する化粧品」よりも「食べる化粧品」の方が早くきくということに鑑みてみるとき、「食べる皮膚状態改善用の化粧品」のみならず、「皮膚状態を改善する機能性食品」に関する研究開発も至急望まれるのが現状である。
摂取を通じて皮膚状態を改善する効能がある原料として学界に報告されているものとしては、ビタミンC、ビタミンE、グアバ抽出物などの皮膚美白原料があり、その種類が極めて少ない。塗布する化粧品原料についても、ヒドロキノンとこの前駆体として考えられるアルブチン、コウジ酸、ビタミンCを安定化させた誘導体、天然物(メラニン合成と関連するサイトカインの調節)などに留まっている。塗布する化粧品の場合、このような化合物は種々の試験管内(in vitro)実験を経て効能が検証されているが、その他のシワ改善及び補湿製品に対して感じる満足よりも高い満足を与えられないことから、現在にも数多くの誘導体が合成されており、新規な天然物に対する皮膚状態の改善効能が検討されているが、経口投与などを通じての新製品の開発まではまだまだ遠いのが現状である。
一方、本発明において、皮膚シワの改善のための成分として最初に使用するクロマメノキは、大韓民国のハンラ山、グムガン山、ベクテゥ山などにおいて自生するツツジの花と落葉灌木植物であって、6〜7月に開花して8月に実を結ぶ植物である。クロマメノキの含有成分としては、糖分(8〜11.8%)、果物酸(2〜2.25%)、タンニン(0.15〜0.25%)、繊維素などが挙げられる。
これまで知られているクロマメノキの公知の薬理作用としては、血管保護、痢疾、抗潰瘍、抗癌、糖尿病性網膜疾患の治療、老人性疾患の予防、産後回復、精血作用、利尿作用、リウマチ関節炎の治療などが挙げられる。しかしながら、クロマメノキの皮膚シワ、皮膚美白改善効果と関連して知られていることはない。
[発明の詳細な説明]
[技術的課題]
本発明は、クロマメノキの抽出物を有効成分として含み、皮膚美白及びシワを改善する皮膚状態改善用の組成物とその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、クロマメノキの抽出物を含む皮膚美白及びシワ改善用の化粧料組成物、食品学的組成物及び薬学的組成物と共に、皮膚状態改善剤としての用途を提供することを目的とする。
[技術的解決方法]
本発明は、クロマメノキの抽出物が光老化の重要な原因となる活性酸素種(Reactive oxygen species)の生成を抑制若しくは除去する抗酸化効能を有するということに着目して完成されたものである。皮膚が紫外線にさらされる場合、ケラチノサイトにはスーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素ラジカルなどの活性酸素種が高濃度にて生成されるが、本発明によるクロマメノキの抽出物を紫外線にされた皮膚組織に投与する場合、前記活性酸素種の生成量が有意的に低減することが確認されている。
また、本発明者らは、クロマメノキの抽出物がメラニン合成を媒介するチロシナーゼ活性を阻害することにより、実質的にメラニンの生成を抑制する作用を示すという点、及び皮膚繊維芽細胞におけるコラーゲンの合成を増加させるとともにコラーゲンの分解を抑制し、ケラチノサイトにおけるサイトカイン分泌を抑制するなどの作用を示すという点を新規に見出し、これらの点に着目して皮膚美白とシワを改善するクロマメノキの抽出物の新規な用途を提案するに至った。
本発明において、皮膚改善剤として採っている天然材料のクロマメノキの抽出物は、特に副作用がないことから、皮膚シワを防止・改善して皮膚の弾力を増強させるような用途として用いて好適である。さらに、クロマメノキの抽出物は、皮膚に塗布したり服用するだけで、皮膚美白とシワなどの皮膚の状態を改善する効能を得るに足りない。
本発明によるクロマメノキの抽出物を含む皮膚美白及びシワ改善用の組成物は、皮膚に紫外線が照射されるに伴い、皮膚組織内において生成される活性酸素を抑制及び消去させ、チロシナーゼ活性を有効に阻害してメラニン細胞におけるメラニンの生成を抑制させ、ケラチノサイトにおけるサイトカイン分泌を阻害させ、プロコラーゲンの生成を促進してコラーゲンの分解を抑制するなどの作用を有するため、紫外線による皮膚の光老化防止、皮膚美白状態及びシワ状態の改善に有用である。
以下、本発明による皮膚状態改善用の組成物及びその製造方法と、その具体的な使用態様について詳述する。
本発明による皮膚美白及びシワ改善用の組成物は、有効成分としてクロマメノキの抽出物を含有する。前記組成物は、クロマメノキの抽出物成分の他にも、必要な剤型に応じて、種々の添加剤、安定剤などをさらに含んでいてもよい。前記クロマメノキの抽出物は、クロマメノキの実、葉若しくは樹皮などから抽出されるものであって、抽出溶媒としては、水、アルコールなどが好適である。
本発明の主な成分であるクロマメノキの抽出物の製造方法に特に限定はないが、本発明に供されるクロマメノキの抽出物の好適な製造方法は、下記の通りである。
まず、クロマメノキの実、葉を洗浄した後、水を溶媒としてクロマメノキの抽出原液を得る(第1段階)。具体的に、クロマメノキの実100gに対する水の量は800〜1200mlであることが好ましく、40〜100℃の恒温水槽中において10〜15時間重湯させることが好ましい。
次いで、前記第1段階において得られたクロマメノキの抽出液をろ過して上澄み液をとる(第2段階)。例えば、複数重のガーゼで前記クロマメノキの抽出液をろ過させて異物の取られた上澄み液を得ることが好ましい。
前記第1段階若しくは第2段階において得られたクロマメノキの抽出液だけでも本発明による皮膚状態の改善効能を十分に得られるが、クロマメノキの抽出物をより効率よく用いるためには、下記のステップをさらに含むことが好ましい。
次いで、前記第2段階において得られた上澄み液に含まれている溶媒を蒸発させてクロマメノキの抽出液を濃縮させることにより、高濃縮されたクロマメノキの抽出物を得る(第3段階)。好ましくは、前記第1段階と第2段階を3回繰り返し行って得た上澄み液を取り合わせ、回転式エパポレータを用いて減圧下で水を完全に蒸発させることにより、クロマメノキの抽出物を濃縮させることが好ましい。
さらに、前記第3段階に続けて、濃縮されたクロマメノキの抽出物を少量の蒸留水に溶解させた後、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥させることにより粉体状にしたクロマメノキの抽出物を用いてもよい。
前記第1段階において、クロマメノキから抽出物を抽出するための溶媒としては、水の他に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコールも採用してもよい。この場合、クロマメノキの実若しくは葉をアルコールに入れて20〜90℃の温度下で抽出しても、消音波処理しても、常温若しくは4℃の温度下で冷浸して抽出してもよい。
本発明によるクロマメノキの抽出物の具体的な使用態様としては、クロマメノキの抽出物を含有する皮膚美白及びシワ改善用の化粧料組成物、食品または健康機能食品、薬学的組成物があり、以下、これらを詳述する。
まず、本発明によるクロマメノキの抽出物は、既存の化粧料に皮膚美白とシワの改善剤として添加して用いることができ、化粧料の剤型に特に制限はない。クロマメノキの抽出物を用いて化粧料を製造する場合、クロマメノキの抽出物の他に化粧料に通常用いられる成分、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料、香料などの通常の補助剤と担体成分を併用してもよい。化粧料の剤型の例としては、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、含界面活性剤クレンジング、オイル、粉体パウンデーション、乳濁液パウンデーション及びスプレイなどがあり、通常の当業者であれば、剤型に応じた担体を容易に採択して用いることができる。
好ましくは、前記化粧料組成物は、アルブチン、コウジ酸、コウゾ抽出物、3−エトキシアスコルビン酸、甘草抽出物及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか1種以上の成分をさらに含有することが、美白効果の側面からなお一層好ましい。さらに、添加剤としてレチノール、レチノールパルミテート、ポリエトキシル化レチンアミド、アデノシン、カイネチン、蚕繭抽出物、イソフラボン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか1以上の成分をさらに含めて用いてもよい。
クロマメノキの抽出物の(乾燥)含量は、化粧料組成物の総重量に対して0.0001〜10重量%であることが好ましいが、クロマメノキの抽出物の含量が0.0001重量%未満である場合には、シワ改善の効果があまりなく、10重量%を超える場合には、溶解し難いという不都合があり、クロマメノキの抽出物成分の追加によるチロシナーゼ活性を抑制させることや、コラーゲンの合成を増加させることなどにより促される効果が得られず、しかも、コスト上昇の面から好ましくないという不都合がある。
クロマメノキの抽出物の他の使用態様として、本発明は、クロマメノキの抽出物と食品添加剤を含む皮膚美白及びシワ改善用の食品を提供する。
本発明における前記皮膚美白及びシワ改善用の食品は、一般食品はもとより、「健康補助食品」または「健康機能食品」を含む概念として用いる。特に、「健康機能食品」は、人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて錠剤、カプセル、粉体、顆粒、液状、丸剤などの剤型に製造及び加工した食品(大韓民国法律第7428号の健康機能食品に関する法律の第3条第1号)を満たすものである。ここで、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的な作用などの保健用途に有用な効果を得たりすることを言う。すなわち、健常人または反健康人の保健用途に有効に使用可能なことを意味する。
含クロマメノキの抽出物食品を摂取したり皮膚に塗布するだけでも、十分に皮膚状態の改善の効能を得られるが、服用のし易さのために、錠剤、糖衣錠、カプセル、ドリンクなどの剤型を有する機能性食品として用いることが好ましい。
前記皮膚状態改善用の食品のさらなる態様としては、飲み物、酒、キムチ、ヨーグルト、牛乳、アイスクリーム、パン、餅及びそばなどがある。
前記「食品添加剤」とは、食品を製造、加工または保存するに際して、食品に添加、混合、浸潤などの方法により用いられる添加剤を意味する。
本発明のさらに他の一態様として、本発明は、クロマメノキの抽出物と薬剤学的に許容される担体をさらに含む皮膚美白及びシワ改善用の薬学組成物を提供する。クロマメノキの抽出物は、抗酸化機能を有し、プロコラーゲンの合成を促進させるとともにコラーゲンの分解を抑制させるなど紫外線による皮膚シワを改善し、チロシナーゼの活性を抑制する作用を有するということは後述する実施例から明らかになるであろう。
前記薬学的組成物の好適な剤型としては、錠剤、糖衣錠、軽質若しくは軟質のカプセル剤、溶液剤、懸濁剤、乳化液剤、注射剤、座薬剤などがあるが、これに限定されるものではない。担体の種類は、薬剤の剤型に応じて当業者が容易に選択することができ、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、バインダー、崩壊剤などとして働きうる成分を1またはそれ以上含んでいてもよい。
クロマメノキの抽出物を含有するコラーゲン合成促進用の薬剤の服用量は、患者が必要とする程度、患部の具合、そして、使用すべき化合物の種類によるが、過量を服用しても副作用の問題はない。通常、患者の体重1Kg当たりのクロマメノキの抽出物の含量は、乾燥粉体を基準として0.001〜0.10gを服用(1回分)することが好ましい。
以下、本発明において採用したクロマメノキの抽出物が有する皮膚状態の改善作用と関連して、まず、皮膚美白とシワが形成される過程についてそれぞれ述べた後、クロマメノキの抽出物を用いたときに皮膚シワと関連する因子にいかなる変化があるかについて後述する実施例と実験例を挙げて述べる。
皮膚老化の主な原因である太陽光線からの紫外線が皮膚に達すると、皮膚の表皮組織に活性酸素種(ROS)ができる。こうしてできた活性酸素種は、表皮細胞に障害を与え、しかも、表皮組織にあるケラチノサイトを刺激してしまい、IL−1α、IL−1β、IL−6などのインターロイキンをはじめとして、コロニ刺激因子(colony stimulating factor)とTNF(tumor necrosis factor)−αなどのサイトカインの分泌が促され、このときに分泌されたインターロイキンやサイトカインは皮膚細胞に影響して複雑な炎症反応と免疫反応を引き起こす。そして、活性酸素種は、メラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの移送を増大させ、メラノサイトにおけるメラニン生成を増大させ、真皮において繊維芽細胞におけるコラーゲン合成を阻害するといった現象を引き起こすが、これは、光老化経路における極めて重要な現象である。
外部から紫外線などの刺激を受けたとき、ケラチノサイトは炎症性サイトカインなどを分泌してメラノサイトの増殖とメラニンとの生合成を促すことにより、メラノサイトの生長、形成及びメラニンの分泌と分化における種々の因子を調節する。また、皮膚組織内まで照射される紫外線は皮膚内のメラノサイトを刺激してIL−1αを分泌させ、分泌されたIL−1αはメラノサイトをさらに刺激してET(endothelin)−1を分泌させる。ET−1は、プロテインキナーゼ(protein kinase)Cとアデニラートシクラーゼ(adenylate cyclase)系を活性化させてメラノサイトを増殖させ、チロシナーゼの活性を促すことにより、結果として色素沈着が起こるのである。
さらに、ケラチノサイトから生産、分泌される上述のインターロイキンはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)−1(コラゲナーゼ)、MMP−3(ストロメチシン-1)、MMP−9(92−kd ゼラチナーゼ)などの基質分解酵素(matrix-degrading enzyme)の遺伝子発現を刺激してMMPの生成量を増大させる作用をし、プロコラーゲン遺伝子発現を阻害するためにプロコラーゲンの生合成量を低減させる。MMP−1は、コラーゲン分解酵素であって、タイプIプロコラーゲンから変換されたコラーゲンの分解を促進する作用をする。すなわち、皮膚に紫外線が達すると、タイプIプロコラーゲンの生成の減少と生成されたコラーゲンの分解が起こり、皮膚におけるコラーゲンの量が低減することになる。このような過程を経て皮膚にシワが形成されるのである。
上述した皮膚美白とシワにあずかる因子と関連して、クロマメノキの抽出物を投与することによる影響については、後述する実験例を挙げて述べる。
図1は、クロマメノキの抽出物のDPPHラジカル消去能を示すグラフである。
図2は、キサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。
図3は、NADH/PMS系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。
図4は、クロマメノキの抽出物のヒドロキシルラジカル消去能を示すグラフである。
図5は、クロマメノキの抽出物の一重項酸素消去能を示すグラフである。
図6は、ケラチノサイトにおけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル生成阻害能を示すグラフである。
図7は、ケラチノサイトにおけるヒドロキシラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するヒドロキシラジカル生成阻害能を示すグラフである。
図8は、ケラチノサイトにおける過酸化水素に対して、クロマメノキの抽出物が有する過酸化水素生成阻害能を示すグラフである。
図9は、ケラチノサイトにおける一重項酸素に対して、クロマメノキの抽出物が有する一重項酸素生成阻害能を示すグラフである。
図10は、ケラチノサイトにおけるIL−1βに対して、クロマメノキの抽出物が有するIL−1β分泌抑制能を示すグラフである。
図11は、ケラチノサイトにおけるIL−6に対して、クロマメノキの抽出物が有する分泌抑制能を示すグラフである。
図12は、IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるプロコラーゲン型Iの生成量を示すものである。
図13は、IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるMMP−1の生成量を示すものである。
図14は、無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における皮膚写真である。
図15の(a)から(d)は、無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における測定H_R値を示すものである。
図16は、クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。
図17は、皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。
[発明を実施するための形態]
[製造例1:クロマメノキの抽出物の製造]
北朝鮮産のクロマメノキの実100gを80%水500mlと一緒に50℃の恒温水槽中において12時間をかけて温湯してクロマメノキの抽出液を得、前記クロマメノキの抽出液を複数種のガーゼでろ過して上澄み液を取った。このような抽出及びろ過過程を3回繰り返し行って得た上澄み液を取り合わせ、回転式エバポレータを用いて減圧下で水を完全に蒸発させ、濃縮されたクロマメノキ熱水抽出液を得た。
[製造例2:クロマメノキの抽出物粉体の製造]
前記濃縮されたクロマメノキの抽出物を蒸留水に溶解させた後、吹き付け乾燥して、粉状の最終的なクロマメノキの抽出物を製造した。
[製造例3:クロマメノキの抽出物の製造]
クロマメノキの実100gを80%メタノール(メタノール:水=4:1)500mlに入れて、常温下で5時間ずつ4回超音波処理して抽出した後、ガーゼでろ過し、上澄み液を取った。前記上澄み液を取る過程を3回繰り返し行って得られる上澄み液を取り合わせ、回転式蒸発装置を用いて減圧下でメタノールを蒸発させ、次いで、これを少量の蒸留水に溶解させてクロマメノキアルコール抽出液を得た。
[実施例1:皮膚状態改善用の柔軟化粧水(スキンローション)の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物(液状)を用いて、柔軟化粧水を通常の方法により製造した。柔軟化粧水の構成成分とその使用量は、下記の通りである。
[実施例2:皮膚状態改善用の栄養化粧水の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物(液状)を用いて、柔軟化粧水を通常の方法により製造した。柔軟化粧水の構成成分と使用量は、下記の通りである。
[実施例3:皮膚状態改善用の機能性食品(錠剤)の製造]
前記製造例2の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物(粉体)5mg、ラクトースBP150mg、澱粉BP30mg及び全ゼラチン化トウモロコシ澱粉BP15mgと混合した後、精製水を適量添加して粉体に顆粒化させた。前記顆粒を乾燥させた後、ステアリン酸マグネシウム1mgと混合し、圧着して錠剤を得た。
[実施例4:皮膚状態改善用の機能性食品(飲み物)の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物2mg、食用色素5mg、オーレンジエッセンス5mg、果糖700mg、クエン酸10mg、ビタミン5mgを含む機能性飲料ベースを添加した組成物を製造した後、精製水を添加して飲料水を製造した。
[実施例5:皮膚状態改善用の健康機能食品(シロップ剤)の製造]
精製水(500ml)に白糖(637.5g)を溶解させ、別の容器に別途にカルボキシメチルセルロースナトリウム(2.0g)は精製水400mlに溶解させた後、前記白糖を溶解させた溶液と混合し、メチルパラベン(0.28g)とプロピルパラベン(0.12g)を加えて溶解させた後、エタノール(20ml)を加え、精製水を全体溶液の容量が1000mlになるようにした。これを篩体にかけて得た製造例1のクロマメノキの抽出物を懸濁させてシロップ剤を得た。
[実施例6:軟膏剤の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物5g、セチルパルミテート20g、セタノール40g、ステアリルアルコール40g、ミリスタンイソプロピル80g、モノステアリン酸ソルビタン20g、ポリソルベート60g、パラオキシ安息香酸プロピル1g、パラオキシ安息香酸メチル1gと精製水を適量添加して軟膏剤を製造した。
[実施例7:機能性酒の製造]
脱水精製された40重量%のアルコールを蒸留水で希釈し、希釈されたアルコール蒸留水100重量部に対して製造例3に従い得たクロマメノキの抽出物0.05重量部添加し、残量のステビオサイド、高果糖、アミノ酸、クエン酸、塩を添加して含クロマメノキの抽出物の機能性酒を製造した。
[実験例1:活性酸素種(ROS)の消去能]
1.DPPHラジカル消去能の測定
エチルアルコールに溶かした1mMのDPPH(2、2−ジフェニルl−1−ピクリルヒドラジル)溶液0.8mlと製造例1のクロマメノキの抽出物溶液0.2mLを入れて37℃の温度下で30分間放置させた後、517nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、アスコルビン酸(ビタミンC)を使用し、その結果を未処理試料群に対する百分率にて示す。
実験の結果、図1に示すように、クロマメノキの抽出物のDPPHラジカル消去能は10mg/mLの濃度においてビタミンC100μMの3倍程度と高く、1mg/mLの濃度においてビタミンC100μMの2倍程度高かった。 図1は、製造例1のクロマメノキの抽出物が有するDPPHラジカルスカベンジャー活性を示すグラフである。上部におけるアルファベット文字は、ダンカンの多重検定法(Duncan’s multiple range test)による場合、有意レベルp<0.05の範囲において有意に異なる値を示すものである。
2.スーパーオキシドラジカル消去能の測定
2−1.酵素系(Xanthine-Xanthine oxidase system)
24ウェルプレートに0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)600μl、各濃度別に調製したクロマメノキの抽出物溶液50μlとキサンチン酸化酵素(0.068μg/mL)50μlを混合して25℃の温度下で30分間放置させた後、1MHCL100μlを加えて反応を止め、次いで、295nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、キサンチン酸化酵素抑制作用のある薬物として知られているアルプリノールを使用し、その結果を未処理試料群に対する百分率にて示す。図2を参照すると、酵素的なスーパーオキシドラジカル生成系であるキサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキシド消去能は、クロマメノキの抽出物0.01mg/mLにおいてビタミンA10μMと同様であり、アルプリノール1μMと10μMとの中間レベルの消去能を示している。
2−2.非酵素系(NADH−PMS system)
24ウェルプレートに、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)溶液に NADH、フェナジンメトサルファートとNBTのそれぞれの濃度をそれぞれ73μM、15μM及び50μM NBTになるように調節して1.8mLの溶液を用意した。前記溶液に製造例1のクロマメノキの抽出物0.2mLを濃度を異ならせて入れ、37℃の温度下で20分間放置させた後、560nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、アスコルビン酸(qビタミンC)を使用し、その結果は、未処理試料群に対する百分率にて示す。図3を参照すると、非酵素的なスーパーオキシドラジカル生成系であるNADH/PMS系におけるスーパーオキシドラジカル消去能は、クロマメノキの抽出物0.1mg/mLにおいてビタミンC100μMと同様であった。
3.ヒドロキシルラジカル消去能の測定
24ウェルプレートに、2.5mMβ−カロチンエタノール溶液0.2mLに5.94mMのH2O20.8mL及びFeSO426.4mMの濃度を有するエタノール溶液0.8mLを混合し、ここに製造例1のクロマメノキの抽出物0.2mLを添加した後、436nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、アスコルビン酸(ビタミンC)を使用し、その結果は、未処理試料群に対する百分率にて示す。実験の結果、クロマメノキの抽出物のヒドロキシルラジカル消去能は、クロマメノキの実抽出の濃度が0.05mg/mLであるときにビタミンC100μMとほぼ同様であった(図4参照)。
4.一重項酸素消去能の測定
45mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.1)に10mMヒスチジン、10mMNaOCl、10mMH2O2、50mMN、N−ジメチル−p−ニトロソアニリンが混合された混合溶液1.9mLに、クロマメノキの抽出物0.1mLを濃度別に異ならせて添加し、30℃の温度下で40分間放置した後、440nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、α−トコフェロール(ビタミンE)を使用し、その結果は、未処理試料群に対する百分率にて示す。実験の結果、一重項酸素ラジカル消去能は、クロマメノキの抽出物0.1mg/mLと0.01mg/mLにおいて大差なかったし、効能はビタミンE100μMと同様であった(図5参照)。
[実験例2:ケラチノサイトにおけるROS生成抑制能]
ヒトケラチノサイトの培養
ヒトのケラチノサイトは、13歳男子の皮膚組織から生検したものであり、修正されたMCDB153培地成分が根幹となるケラチノサイト基礎培地に組換えヒト上皮細胞成長因子(100ng/mL)、ウシ腦下垂体抽出物(70mg/mL)、ヒドロコルチソーン(0.5mg/mL)、インシュリン(5mg/mL)、ゲンタマイシン(0.3mg/mL)、アンフォテリシン−B(2.5mg/mL)を添加した培地において37℃、5.0%CO2条件のCO2インキュベーターにおいて培養させた。実験に供されたケラチノサイトは、3次継代培養した細胞であった。
ケラチノサイトにおけるラジカル生成阻害能の測定
皮膚が紫外線により刺激を受けたとき、ケラチノサイトにおいて生成されるROSを測定するために、ケラチノサイトを24ウェルプレートに105セル/ウェルずつ接種して17時間放置してセルの付着を確かめた後、培地を取り除き、各濃度別に培地に溶かして製造したクロマメノキの抽出物を各ウェルに2mLずつ分注して24時間放置した。放置が終わると、培地を取り除き、PBS(リン酸緩衝液)を400μlずつ分注した後、紫外線(UV)B照射光源により45mJ/cm2にて照射した後、60分まで10分おきに生成されるROS量を測定した。
1.スーパーオキシドラジカル生成阻害能の測定
24ウェルプレートに、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に73μMNADH、15μMフェナジンメトサルファート及び50μMNBTを混合させた溶液1.8mLを用意した後、製造例1のクロマメノキの抽出物を0.2mL入れた。そして、時間別に上澄み液を0.2mLずつ取り除いた後、これを37℃の温度下で20分間放置させた後、560nmにおける吸光度を測定した。
測定の結果、ケラチノサイトにおいて紫外線を照射した後に生成されるスーパーオキシドラジカルに対するクロマメノキの抽出物のラジカル生成量は、10、20、30、40、50、60分において、2mg/mL処理群において対照群に比べて31、55、42、37、45、65%の生成量を示し、0.2mg/mL処理群においては、79、86、87、89、94、94%の生成量を示している。10分から40分までは統計的な有意性があるように濃度依存的に減少し、その後の時間においては、クロマメノキの抽出物2mg/mLを処理した群において有意性のある減少を示している(図6参照)。
2.ヒドロキシルラジカル生成阻害能の測定
24ウェルプレートに、2.5mMβ−ケラチンエタノール溶液0.2mLに5.94mMH2O20.8mLと26.4mMFeSO4の濃度になるように溶かしたエタノール溶液0.8mL、各時間別に取り除いた上澄み液0.2mLを混ぜた後、436nmにおける吸光度を測定した。
測定の結果、ケラチノサイトにおいて紫外線Bを照射した後に生成されるヒドロキシルラジカルに対して10分から50分までクロマメノキの抽出物2mg/mLを処理したケラチノサイトにおける生成量が低減されており、対照群に対する生成量の比率は10、20、30、40、50分において46、46、42、24、37%であった(図7参照)。
3.過酸化水素生成阻害能の測定
3×10−6Mスコポレチン1mLと10−2Mアジト化ナトリウム400μlと各時間別に取り除いた上澄み液0.5mLを混ぜて5分間放置した後、150U/mLの濃度に調製されたHPO(西洋ワサビペルオキシダーゼ )100μl、KRP(クレブスリンガーリン酸)緩衝液600μlを入れ、蛍光強度計を用いて励起360nm、放出450nm、1波長における蛍光度を測定した。図8を参照すると、ケラチノサイトにおいて紫外線を照射した後に生成される過酸化水素の生成量は、クロマメノキの抽出物(2mg/mL)を処理した場合、未処理対照群に比べて有意的な減少を示していたが、対照群に対する生成量の比率は、20、30、40、50分において61、61、39、62%であった。
4.一重項酸素生成阻害能の測定
45mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.1)に10mMヒスチジン、10mMNaOCl、10mMH2O2、50mMN、N−ジメチル−p−ニトロソアニリンを溶かした溶液1.8mLに各時間別に上澄み液を0.2mL混ぜて30℃において40分間放置した後、440nmにおける吸光度を測定し、その結果を図9に示す。ケラチノサイトにおいて紫外線を照射した後に生成される一重項酸素ラジカルに対して20分からそれ以降の時間帯においてクロマメノキの抽出物を処理したケラチノサイトにおいてラジカルの生成量が濃度依存的に減少している。対照群(UV−C)と比較してみるとき、2mg/mL処理群(V2)においては20分において98%、30分において96%、40分から60分までは93%の生成量を示し、0.2mg/mL処理群(V0.2)においては99%の生成量を示している。
[実験例3:ケラチノサイトにおけるサイトカイン分泌阻害能]
皮膚が紫外線により刺激を受けたとき、ケラチノサイトにおいて生成されるサイトカインを測定するために、ケラチノサイトを24ウェル平板に105セル/ウェルずつ接種して17時間放置した後、細胞の付着を確かめて培地を取り除き、次いで、各濃度別に培地に溶かして調製したクロマメノキの抽出物溶液を各ウェルに2mLずつ分注した後、24時間放置した。放置が終わると、培地を取り除き、PBS(リン酸緩衝液)を400μlずつ分注し、UVB照射光源により40mJ/cm2にて照射した後、24時間までそれぞれにおいて生成されたサイトカインの量を測定した。
1.IL−1β分泌阻害能の測定
ケラチノサイトにUVBを40mJ/cm2にて照射し、0時間、30分、1時間、3時間、6時間、24時間後に上澄み液を取り除き、ELISAアッセイキットを用いてIL−1βの量を測定した。実験の結果、クロマメノキの抽出物2mg/mLを処理したケラチノサイトにおけるIL−1βの生成量は、対照群に比べて有意的な減少を示し、生成量の比率は、1、3、6、24時間においてそれぞれ37、28、29、26%程度であり、0.2mg/mL処理群においては85、88、89、73%程度の比率を示している(図10参照)。
2.IL−6分泌阻害能の測定
ケラチノサイトにUVBを40mJ/cm2にて照射し、0時間、1時間、3時間、6時間、24時間後に上澄み液を取り除き、IL−6の量をIL−6ELISAアッセイキットを用いて測定した。実験の結果、クロマメノキの抽出物2mg/mLを処理したケラチノサイトにおけるIL−6の生成量は、3時間後から有意的に減少され、対照群に対する生成量の比率は3、6、24時間においてそれぞれ43、61、33%であった。クロマメノキの抽出物0.2mg/mLを処理した群においては、6時間において有意的な減少を示し、対照群に対する生成量の比率は81%程度であった(図11参照)。
[実験例4:シワ改善効果の実験]
ヒト繊維芽細胞の培養
ヒトの繊維芽細胞は、13歳男子の皮膚組織において生検したものであり、10%ウシ胎児血清とペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)を含有するDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)溶液において37℃、5.0%二酸化炭素インキュベーターにおいて培養した。
シワ改善効果の実験
ヒトの繊維芽細胞を24ウェルに1ウェル当たりに104細胞ずつ接種し、17時間後に細胞の付着を確かめた後、培地を取り除き、各濃度別に培地に溶かし、製造例1に従い製造したクロマメノキの抽出物を各ウェルにつき2mlずつ分注した。48時間中にCO2培養器において培養した後、培地を取り除いて繊維芽細胞におけるシワ形成因子(タイプIプロコラゲン、MMP−1))を測定した。
1.ヒトの繊維芽細胞におけるプロコラーゲンのタイプIの生成促進
各濃度別にクロマメノキの抽出物溶液を処理した後に生成されるタイプIプロコラーゲンの量を試料を処理してから48時間後にクロマメノキの抽出物をフィブロブラストに処理し、48時間後に上澄み液を救い上げた後、プロコラーゲンタイプIC−ペプチド(PIP)EIAキットを用いてヒト繊維芽細胞において生成されるタイプIプロコラーゲンの量を測定した。
1)Mean±S.D.
前記実験の結果、薬物を投与しなかった対照群と比較したとき、対照群の生成量(149.6ng/mL)よりも0.005mg/mLにおいて155.1ng/mL(103%)、0.01mg/mLにおいて179.2ng/mL(119%)と濃度依存的に増加する傾向にあった。コラーゲン繊維は、繊維母細胞において前駆物質であるプロコラーゲンが合成されて細胞外に分泌されて酵素の作用、繊維形成及び交差連結などにより完成された。このため、クロマメノキの抽出物がコラーゲンの前駆物質であるプロコラーゲンの量を増加させることにより、皮膚弾力の増強及びシワ改善に効果が得られることが確認できた。
2.マトリックスメタロプロテナーゼ−1(MMP−1)の活性抑制
ヒト繊維芽細胞に、下記表4に示すように、各濃度別にクロマメノキの抽出物溶液を処理した後、48時間経過後に上澄み液を取り除き、MMP−1EIAキットを用いて、繊維芽細胞において生成されるマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)−1の量を測定した。
1)Mean±S.D.
前記実験の結果、試料を投与しなかった対照群の生合成量が37.2mg/mLであるのに対し、クロマメノキの抽出物の濃度0.01mg/mLにおいて25.5ng/mL(68%)と示されるなど、MMP−1の合成量は濃度依存的に減少する傾向にあることが確認できた。MMP−1は、紫外線の繰り返し露出により角質形成細胞と繊維母細胞において発現され、これは、コラーゲンを分解する酵素であることが知られている。このため、クロマメノキの抽出物は、MMP−1の活性を抑制することにより、皮膚のコラーゲン分解を抑制させて皮膚弾力の増強及びシワ改善に効果が得られることが確認できた。
3.ヒトの繊維芽細胞にIL−1βを加えるときにおけるプロコラーゲンタイプI生成量の変化
ヒトの繊維芽細胞にインターロイキン(IL)−1βを加えたときに生成されるプロコラーゲンタイプIの量は、IL−1βを加えなかったときに生成される量よりも低く、特に、IL−1βに対して濃度依存的に減少する傾向にあることが分かる。しかしながら、クロマメノキの抽出物を添加する場合、クロマメノキの抽出物の添加濃度に依存してプロコラーゲンタイプIの生成量が増加することが確認できた。図12は、ヒトの繊維芽細胞における、IL−1β(10ng/mL、20ng/mL)とクロマメノキの抽出物の濃度(0.2mg/mL、2mg/mL)によるプロコラーゲンタイプIの生成量を示すものである。
4.ヒトの繊維芽細胞にIL−1βを加えた場合におけるMMP−1の生成量の変化
図13を参照すると、ヒトの繊維芽細胞にインターロイキン(IL)−1βを加えたときに生成されるMMP−1の量は、IL−1βを加えなかったときに生成される量よりも高く、MMP−1の量は、IL−1β濃度依存的に増加する傾向にあることが分かる。しかしながら、この場合にも、クロマメノキの抽出物を添加する場合、クロマメノキの抽出物の添加濃度に依存してMMP−1の濃度が減少することが確認できる。
[実験例5:インビボシワ形成抑制能の実験]
無毛マウス、紫外線照射及び試料の投与
6週齢のメス無毛マウス(Skh−1)を使用し、実験室に到着後3日間の適応期間を経た後に実験を始めた。餌と水は自律で食べるようにし、24±2℃の温度に50±10%の湿度、12時間おきの昼間/夜間サイクル条件下において飼育した。動物群は、「紫外線照射群」、「紫外線非照射群」、「紫外線照射+試料投与群」に分け、「紫外線照射+試料投与群」はクロマメノキの抽出物をそれぞれ10、20、40mg/kgと異ならせて投与した。
紫外線の照射は、最小紅斑量(MED)60mJ/cm2にして1週間に3回ずつマウスの背部に照射し、1週目には1MED(60mJ/cm2)、2週目と3週目には2MED(120mJ/cm2)、4週目から6週目までは3MED(180mJ/cm2)、7週目から4MED(240mJ/cm2)に照射して合計で18週に亘って照射した。試料としてのクロマメノキの抽出物は、10、20、40mg/kgの濃度になるようにクロマメノキの抽出物を蒸留水に溶かして毎日定まった時間に投与した。
皮膚模似板の製作
マウスの試料投与によるシワ改善の推移を測定するために、3週単位にペントバルビタル溶液50mg/kgにて腹腔注射して麻酔させ、口径8mmの模似板枠を背部に貼り付けた。そして、Silfloの構成成分であるシリコン液、シーナー、触媒を適切に配合し、枠内によく塗布して乾くまで待った後、これを取り外して模似板を製作した。コンピュータ映像分析器を通じて前記模似板に光を一定の角度から照射し、これにより生成される陰影の面積からシワの深さや数を定量してシワの付き具合を測定した。
皮膚模似板分析の結果
紫外線照射後に目視にて観察したところ、正常群(N)に比べてUV対照群(C)の皮膚シワの増加ははっきりと現れた。しかしながら、クロマメノキの抽出物を投与した皮膚の場合、9週目には太いシワが低減されていることがはっきりと現れた(図14参照)。
投与後3週目にクロマメノキの抽出物が20mg/kg(V20)と40mg/kg(V40)である群においては、UV対照群(C)に比べてH_R1、4、5値が有意的に減少していた。投与後6週目にはクロマメノキの抽出物20mg/kg投与群においてH_R2、3値が減少する傾向を示す他、全ての投与群の全体値がUV対照群に比べて有意的に減少していた。また、投与後9週目には、クロマメノキの抽出物の投与群においてH_R値がいずれも有意的に減少していた。
図15の(a)〜15(d)は、紫外線照射後0週目、3週目、6週目、9週目のH_R値を示すものであり、ここで、Hは水平を意味し、R1は最も高い個所と最も低い個所との距離を示し、R2は、最大距離を有する5つの値のうち最大値を示し、R3は最大距離を有する5つのR1値の平均を示し、R4はスムードネス深さを示し、R5は、平均粗さを示す。図15において、上部に書いてあるアルファベット文字は、ダンカンの多重検定法による場合、有意レベルp<0.05の範囲において有意に異なる値を示すものである。
[実験例6:チロシナーゼ活性抑制効果]
96ウェルプレート(製造元:米国コーニング)に0.1MPBS(pH6.5)220μlと各濃度別に調製したクロマメノキの抽出物溶液20μl、そして2、000U/mLチロシナーゼ溶液20μlをこの順に入れ、この溶液に1.5mMチロシン溶液40μlを入れた後、37℃において10分間放置させ、次いで、酵素結合免疫吸収分析(ELISA)読取装置(製造元:米国バイオテック)を用いて490nmにおける吸光度を測定した。供試料液として0.1MPBS(pH6.5)20μlを入れて実験を行い、対照群としてはコウジ酸を処理した群を使用した。チロシナーゼの活性阻害率を求める公式は、下記の通りである。
チロシナーゼ活性阻害率(%)=[100-{(b-b’)/(a-a’)}]×100
(a:供試料液の反応後の吸光度、b:試料液の反応後の吸光度
a’、b’:各試料液の反応において、チロシナーゼに代えて緩衝液を用いて測定した吸光度)。
実験の結果、クロマメノキの抽出物はチロシナーゼ活性に対してIC50が0.41mg/mL程度であり、コウジ酸の場合には10μM程度の濃度においてIC50を示していた。クロマメノキの抽出物は、1mg/mLの濃度において72.8%のチロシナーゼ活性に対して阻害をしており、これは、コウジ酸の10μMにおける50.8%と100μMにおける84.8%の阻害率との中間レベル程度の効果であると見られる。また、低濃度においては、クロマメノキの抽出物0.1mg/mLにおける阻害率が11.4%であり、コウジ酸1μMの阻害率(14.4%)とほぼ同じ阻害率を示している(表5参照)。
前記実験の結果、両物質の濃度が異なって比較はできないが、0.5mg/mlのクロマメノキの抽出物は、コウジ酸10μMを処理した対照群よりも活性阻害率が高く、クロマメノキの抽出物がチロシナーゼの活性を格段に抑制することが分かる。チロシナーゼは、アミノ酸の一種であるチロシンを酸化させてメラニンを生成する役割を果たすが、クロマメノキの抽出物がチロシナーゼの活性を阻害する上記の実験を通じて、クロマメノキの抽出物成分は皮膚の美白状態を改善できることが確認できた。
[実験例7:B16メラノマF10セルを用いたメラニン生成量の低下効果の実験]
B16メラノマF10の培養
B16メラノマF10細胞は、10%ウシ胎児血清とペニシリン100IU/mL、ストレプトマイシン50μg/mLを含有するDMEM溶液において37℃、5.0%CO2条件のCO2インキュベーターにおいて培養した。
メラニン生成抑制効果に対する実験
B16メラノマF10セルを24ウェルに1ウェル当たりに104セルずつ培養した。17時間後に細胞の付着を確かめた後、培地を取り除き、製造例1に従い製造されたクロマメノキの抽出物溶液を各濃度別に各ウェルに2mLずつ分注した。72時間中にCO2培養器において培養した後、培地を取り除き、NaOHを1ウェル当たりに2mLずつ入れ、60℃において30分間放置した後、セル破砕溶液に対する450nmにおける吸光度を測定した。メラニンの濃度は、メラニン標準曲線と対比して計算した。
実験の結果、B16メラノマF10セルにクロマメノキの抽出物を処理したときのメラニン生成量の総量は0.01mg/mLから0.5mg/mLの濃度まで濃度依存的に有意的な減少を示していた。また、クロマメノキの抽出物0.05mg/mLの濃度においてメラニン生成量は16.66μM/mLであり、コウジ酸10μMの生成量である16.54μg/mLと比較したときにクロマメノキの抽出物0.05mg/mLにおけるメラニン生成抑制効果がコウジ酸10μMの効果と同様であった。さらに、クロマメノキの抽出物0.5mg/mLにおけるメラニン生成量はコウジ酸100μMの生成量よりも少ない傾向にあった(図16参照)。図16において、Vはクロマメノキの抽出物が処理された実験群を意味し、Kは、コウジ酸が処理された実験群を意味するものである。
紫外線照射時における総メラニン生成量低下効果に対する実験
紫外線照射により照射しなかった細胞に比べてメラニン生成量が有意的に増加していたB16メラノマF10セルに対して、クロマメノキの抽出物を0.2mg/mLと2mg/mLの濃度にて処理した群におけるメラニン生成量は、それぞれ20.80μg/mL、17.47μg/mLであり、対照群(27.96μg/mL)に比べて少量であり、メラニンの生成量はクロマメノキの抽出物の濃度に依存して減少していた。なお、コウジ酸を処理した群と比較したとき、クロマメノキの抽出物0.2mg/mLはコウジ酸0.2μM(22.72μg/mL)の場合よりもメラニン生成量がなお一層減少され、クロマメノキの抽出物2mg/mLはコウジ酸2μM(19.22μg/mL)の場合よりも生成量が減少していた(図17参照)。図17において、Cは紫外線を照射しない実験群を意味し、UV−Cは紫外線が照射された対照群を意味し、VとKはそれぞれクロマメノキの抽出物とコウジ酸が処理された実験群を意味する。
前記実験の結果、メラニン量においては、試料を投与しなかった対照群と比較してみたとき、コウジ酸とクロマメノキの抽出物ともに減少する傾向を示していた。ニキビ、そばかすなど皮膚にできる色素沈着は表皮内におけるメラニン色素の異常増加に起因する。クロマメノキの抽出物とコウジ酸ともに有意的に減少していたが、コウジ酸は毒性が問題となるという点を考慮するとき、クロマメノキの抽出物はコウジ酸に代えうる物質として有用であることが確認できる。
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、上述の技術的な思想を逸脱しない範囲内における様々な変形が可能であるため、本発明の保護範囲が上述の実施例と実験例に限定されない。このように様々に変形された実施形態もまた、特許請求の範囲により定まる本発明の保護範囲に属するものとして理解すべきである。
本発明による皮膚状態改善用の組成物は、抽出液または乾燥された抽出粉体の形状に容易に製造することができ、皮膚美白の増進、シワの除去、シワ予防及び弾力増強のための用途として使用でき、天然抽出物を用いたものであって、産業上の活用範囲に特に制限はない。また、クロマメノキの抽出物を皮膚に塗布したり飲用しても、皮膚の状態を改善させる効能が得られるので、化粧料、食品、薬剤の皮膚シワ改善のための成分として用い易い。
クロマメノキの抽出物のDPPHラジカル消去能を示すグラフである。 キサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。 NADH/PMS系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。 クロマメノキの抽出物のヒドロキシルラジカル消去能を示すグラフである。 クロマメノキの抽出物の一重項酸素消去能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるヒドロキシラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するヒドロキシラジカル生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおける過酸化水素に対して、クロマメノキの抽出物が有する過酸化水素生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおける一重項酸素に対して、クロマメノキの抽出物が有する一重項酸素生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるIL−1βに対して、クロマメノキの抽出物が有するIL−1β分泌抑制能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるIL−6に対して、クロマメノキの抽出物が有する分泌抑制能を示すグラフである。 IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるプロコラーゲン型Iの生成量を示すものである。 IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるMMP−1の生成量を示すものである。 無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における皮膚写真である。 (a)から(d)は、無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における測定H_R値を示すものである。 クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。 皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。
本発明は、クロマメノキ(Vaccinium uliginosum:黒豆の木)の抽出物を含有する皮膚美白及びシワ状態改善用の組成物に係り、さらに詳しくは、皮膚のニキビ、そばかす、色素沈着などを予防・改善して皮膚美白に役立ち、皮膚シワを予防・改善するだけではなく、皮膚の弾力を増強可能な皮膚状態(皮膚の老化)改善用の組成物に関する。本発明による皮膚状態改善用の組成物は、抽出液若しくは乾燥された抽出粉体状に容易に製造することができ、皮膚状態の改善のための用途の化粧料、健康機能性食品及び薬剤などの一成分として使用可能である。
近年、平均寿命の延長に伴う老人人口の増加とあいまって、医学、生化学、食品学分野において老化に関する研究が占める比重は次第に高まりつつある一方である。あらゆる生命体は、年を取るにつれて老化されるものであるが、老化とは、環境の変化に適応する生物体の能力が経時的に次第に低下することを言う。
皮膚も同様である。皮膚にシワができ、皮膚に色素沈着が起こり、しかも、弾力が低下するなど皮膚の状態が悪化することは皮膚老化による主たる現象であって、内外部の原因に起因する種々の因子により、様々な構造的な変化を通じて皮膚は老化過程を経ることになる。しかしながら、現代人は、皮膚をさらにきれいにし、かつ、美しく保つことを希望しており、皮膚状態を改善(皮膚老化を防止)する方法及び材料に関する様々な研究と実験も次第に活発化している。
皮膚状態を悪化させる主な現象である皮膚老化の原因は、大きく内因性老化と外因性老化とに分けられる。すなわち、年を取るにつれて発生することが内因性老化(intrinsic aging)であり、紫外線などの外部因子により発生する老化を外因性老化(extrinsic aging)という。特に、外因性老化は、主に紫外線により老化が進むことから、光老化(photo aging)と呼ばれる。
内因性の皮膚老化の過程においては、特定の臨床皮膚の所見によれば、微細なシワ、真皮の収縮、そして皮下脂肪層の減少などが見られる。外因性老化の最も大きな比重を占める太陽光線中の紫外線による光老化過程においては、紫外線により皮膚の表皮において活性酸素種(ROS)が過度に生成されるが、このような活性酸素種は、メラニンの増大による色素沈着が観察され、皮膚組織におけるコラーゲンとエラスチンとの生合成を阻害して分解の促進を引き起こしてシワの形成が見られる。特に、本発明は、光老化過程を経る皮膚状態を改善(皮膚美白及びシワなど)することと関連する。
光老化の作用機序は明らかではないが、紫外線は核酸とたんぱく質などの変形及び脂質の酸化を引き起こして細胞の染色体変形と細胞膜損傷を引き起こしたり、あるいは、活性酸素種を介して細胞の変形を引き起こしたりするということは種々の研究により判明されている。また、太陽による紫外線照射は紅斑、浮腫などの炎症性反応と皮膚黒化、真皮細胞間物質の変性など様々な臨床的な変化を引き起こす。さらに、かような多くの反応のどれが皮膚のシワ、弾力性などと深い関連性があるかを明らかにするための研究が進行中である。
紫外線による光老化、自然老化などの理由で皮膚の状態が悪くなるに伴い生じうる代表的な現象としては、皮膚の色が黒みがかかってくるような現象がある。皮膚の色に預かる色素としては、メラニン、メラゾイド、カロチン、酸化型ヘモグロビン、還元型ヘモグロビンなどがあるが、これらのうち最も重要なのはメラニンである。メラニンは自己保護のための偽装手段として働き、紫外線を吸収したり散乱させることにより皮膚内の細胞や組織が紫外線により損なわれることを防ぐ。メラニンは格別な最大吸収波長がなく、全領域の光を吸収し、しかも、皮膚内において過酸化陰イオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素などの活性酸素種を消去する機能に優れている。
しかしながら、皮膚組織中にメラニンが過剰に存在している場合、メラニンそのものが活性酸素を発生することもあり、メラニン構造内のカテコールやキノンにより他の物質を還元若しくは酸化させることもある。なお、メラニンそのものが自由ラジカルの性質を示して人体にニキビ、そばかすなどを形成して皮膚の色を黒くし、皮膚老化を促進し、しかも、皮膚癌の誘発に預かることが知られている。
メラニン生成経路としては、周知のごとく、チロシンからチロシナーゼによりドパ(DOPA)、ドパキノン(DOPA−quinone)を経てメラニンが生成される化学的な経路、あるいは、メラニン細胞からケラチン細胞へと移動してメラニンを生成する経路などがある。
メラニン生成抑制を通じての皮膚美白の方法としては、紫外線を遮断する方法、チロシナーゼの活性のために必要となるコア炭水化物の合成を阻害する方法、メラニン形成と関連する酵素であるチロシナーゼの活性を抑える方法、メラニン細胞に特異的な毒性を有する物質を用いてメラニン細胞の分裂を妨げる方法、ビタミンC誘導体と胎盤抽出物を用いる方法などが知られている。
特開平06−192062号には、美白物質としてヒドロキノンが開示されているが、ヒドロキノンの美白効果は抜群であるが、発癌物質であり、化粧料などの材料として用いるには不向きである。特開昭56−7710号には美白物質としてコウジ酸が開示されているが、コウジ酸はチロシナーゼの阻害能に優れていて美白効果に優れているが、コウジ酸の毒性に関する問題がもたげられているため、化粧料、食品などの材料として用いるには不適切であるという不都合がある。特開平4−9315号には、美白物質として、天然植物であって高山地帯に棲息するコケモモから抽出したり合成したりして得られるアルブチンが開示されているが、皮膚刺激による問題点が指摘されている。また、昔から皮膚美白と関連して、ハトムギ、キュウリなどの天然物が皮膚美白の目的で使用されているが、かような天然物はメラニンの過剰生成とは無関係なものであった。
皮膚の色が黒みがかかってくる現象に加えて、皮膚表皮が損なわれ、且つシワができる現象は、光老化などにより皮膚状態が悪くなるに伴い発生する代表的な現象である。光老化においては、大体真皮の変化が目立つため、シワ発生も真皮の変化に起因することが知られている。特に、皮膚真皮層の顕著な変化は、外側の真皮に無定形の弾力組織が過度に蓄積されることと、真皮のコラーゲン繊維が減少することである。
シワの発生過程は現在のところ判明されてはいないが、真皮のコラーゲンの合成低下または分解活性の増加、表皮基底膜の損傷、表皮代謝活性の低下などシワ発生と関連する多数の結果が報告されている。また、皮膚シワの発生は紫外線に起因する様々な生化学的、臨床的な変化の総合的な影響によるものであると理解できる。
皮膚シワの問題を解決するために、従来には、コラーゲンを化粧品に配合して製品にした場合があったが、コラーゲンを化粧品にして皮膚の表面に塗布する場合、高分子となるコラーゲンの経皮吸収が困難になってその機能を十分に期待できないという不都合があった。また、皮膚の真皮に直接的にコラーゲンを注入する方法もあるが、この方法もまた副作用により皮膚シワを改善する解決策とはなっていない。
コラーゲン合成を促進する物質として、レチノ酸と、動物胎盤由来のたんぱく質(特開平8−231370号)などが知られている。レチノ酸は剤型技術が複雑であり、しかも、皮膚に刺激となるなど安全性の側面から使用に限界があり、動物胎盤由来のたんぱく質は狂牛病にかかったウシの摘出物を使用することがあるという致命的な短所があった。また、人体への効能が確認されているα−ヒドロキシ酸(alpha-hydroxy acid、AHA)と各種のビタミンA誘導体(レチノイド類)が開発されて化粧品などに使用されている。しかしながら、これまで臨床的に確実な効能があると立証されたのは、前記の物質や紫外線遮断剤にとどまっている。既にヨーロッパにおいては、1990頃より化粧品にシワ改善効果を表記して広報しており、1993年頃にはセラミド、AHA、レチノールなどの皮膚状態改善成分の化粧品の導入と機能性化粧品という用語が新たに造語されている。
ほとんどの化粧品会社は皮膚美白やシワを改善するための化粧品を開発してきたが、化粧品に限られており、摂取を通じて皮膚シワ改善の効果が得られないものであった。また、「塗布する化粧品」よりも「食べる化粧品」の方が早くきくということに鑑みてみるとき、「食べる皮膚状態改善用の化粧品」のみならず、「皮膚状態を改善する機能性食品」に関する研究開発も至急望まれるのが現状である。
摂取を通じて皮膚状態を改善する効能がある原料として学界に報告されているものとしては、ビタミンC、ビタミンE、グアバ抽出物などの皮膚美白原料があり、その種類が極めて少ない。塗布する化粧品原料についても、ヒドロキノンとこの前駆体として考えられるアルブチン、コウジ酸、ビタミンCを安定化させた誘導体、天然物(メラニン合成と関連するサイトカインの調節)などに留まっている。塗布する化粧品の場合、このような化合物は種々の試験管内(in vitro)実験を経て効能が検証されているが、その他のシワ改善及び補湿製品に対して感じる満足よりも高い満足を与えられないことから、現在にも数多くの誘導体が合成されており、新規な天然物に対する皮膚状態の改善効能が検討されているが、経口投与などを通じての新製品の開発まではまだまだ遠いのが現状である。
一方、本発明において、皮膚シワの改善のための成分として最初に使用するクロマメノキは、大韓民国のハンラ山、グムガン山、ベクテゥ山などにおいて自生するツツジの花と落葉灌木植物であって、6〜7月に開花して8月に実を結ぶ植物である。クロマメノキの含有成分としては、糖分(8〜11.8%)、果物酸(2〜2.25%)、タンニン(0.15〜0.25%)、繊維素などが挙げられる。
これまで知られているクロマメノキの公知の薬理作用としては、血管保護、痢疾、抗潰瘍、抗癌、糖尿病性網膜疾患の治療、老人性疾患の予防、産後回復、精血作用、利尿作用、リウマチ関節炎の治療などが挙げられる。しかしながら、クロマメノキの皮膚シワ、皮膚美白改善効果と関連して知られていることはない。
[発明の詳細な説明]
[技術的課題]
本発明は、クロマメノキの抽出物を有効成分として含み、紫外線に起因する活性酸素種を消去/抑制する皮膚美白及びシワ改善用の組成物とその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、クロマメノキの抽出物を含む皮膚美白及びシワ改善用の化粧料組成物、食品学的組成物及び薬学的組成物と共に、皮膚の美白及びシワ改善剤としてのクロマメノキの抽出物の新規な用途を提供することを目的とする。
[技術的解決方法]
本発明は、クロマメノキの抽出物が光老化の重要な原因となる活性酸素種(Reactive oxygen species)の生成を抑制若しくは除去する抗酸化効能を有するということに着目して完成されたものである。皮膚が紫外線にさらされる場合、ケラチノサイトにはスーパーオキシドラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素ラジカルなどの活性酸素種が高濃度にて生成されるが、本発明によるクロマメノキの抽出物を紫外線にされた皮膚組織に投与する場合、前記活性酸素種の生成量が有意的に低減することが確認されている。
また、本発明者らは、クロマメノキの抽出物がメラニン合成を媒介するチロシナーゼ活性を阻害することにより、実質的にメラニンの生成を抑制する作用を示すという点、及び皮膚繊維芽細胞におけるコラーゲンの合成を増加させるとともにコラーゲンの分解を抑制し、ケラチノサイトにおけるサイトカイン分泌を抑制するなどの作用を示すという点を新規に見出し、これらの点に着目して皮膚美白とシワを改善するクロマメノキの抽出物の新規な用途を提案するに至った。
本発明において、皮膚美白及びシワ改善剤として採っている天然材料のクロマメノキの抽出物は、特に副作用がないことから、皮膚シワを防止・改善して皮膚の弾力を増強させるような用途として用いて好適である。さらに、クロマメノキの抽出物は、皮膚に塗布したり服用するだけで、皮膚美白とシワなどの皮膚の状態を改善する効能を得るに足りない。
本発明によるクロマメノキの抽出物を含む皮膚美白及びシワ改善用の組成物は、皮膚に紫外線が照射されるに伴い、皮膚組織内において生成される活性酸素を抑制及び消去させ、チロシナーゼ活性を有効に阻害してメラニン細胞におけるメラニンの生成を抑制させ、ケラチノサイトにおけるサイトカイン分泌を阻害させ、プロコラーゲンの生成を促進してコラーゲンの分解を抑制するなどの作用を有するため、紫外線による皮膚の光老化防止、皮膚美白状態及びシワ状態の改善に有用である。
以下、本発明による皮膚状態改善用の組成物及びその製造方法と、その具体的な使用態様について詳述する。
本発明による皮膚美白及びシワ改善用の組成物は、有効成分としてクロマメノキの抽出物を含有する。前記組成物は、クロマメノキの抽出物成分の他にも、必要な剤型に応じて、種々の添加剤、安定剤などをさらに含んでいてもよい。前記クロマメノキの抽出物は、クロマメノキの実、葉若しくは樹皮などから抽出されるものであって、抽出溶媒としては、水、アルコールなどが好適である。
本発明の主な成分であるクロマメノキの抽出物の製造方法に特に限定はないが、本発明に供されるクロマメノキの抽出物の好適な製造方法は、下記の通りである。
まず、クロマメノキの実、葉を洗浄した後、水を溶媒としてクロマメノキの抽出原液を得る(aステップ)。具体的に、クロマメノキの実100gに対する水の量は800〜1200mlであることが好ましく、40〜100℃の恒温水槽中において10〜15時間重湯させることが好ましい。
次いで、前記aステップにおいて得られたクロマメノキの抽出液をろ過して上澄み液をとる(bステップ)。例えば、複数重のガーゼで前記クロマメノキの抽出液をろ過させて異物の取られた上澄み液を得ることが好ましい。
前記aステップ若しくはbステップにおいて得られたクロマメノキの抽出液だけでも本発明による皮膚状態の改善効能を十分に得られるが、クロマメノキの抽出物をより効率よく用いるためには、下記のステップをさらに含むことが好ましい。
次いで、前記bステップにおいて得られた上澄み液に含まれている溶媒を蒸発させてクロマメノキの抽出液を濃縮させることにより、高濃縮されたクロマメノキの抽出物を得る(cステップ)。好ましくは、前記aステップbステップを3回繰り返し行って得た上澄み液を取り合わせ、回転式エパポレータを用いて減圧下で水を完全に蒸発させることにより、クロマメノキの抽出物を濃縮させることが好ましい。
さらに、前記cステップに続けて、濃縮されたクロマメノキの抽出物を少量の蒸留水に溶解させた後、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥させることにより粉体状にしたクロマメノキの抽出物を用いてもよい。
前記aステップにおいて、クロマメノキから抽出物を抽出するための溶媒としては、水の他に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコールも採用してもよい。この場合、クロマメノキの実若しくは葉をアルコールに入れて20〜90℃の温度下で抽出しても、消音波処理しても、常温若しくは4℃の温度下で冷浸して抽出してもよい。
本発明によるクロマメノキの抽出物の具体的な使用態様としては、クロマメノキの抽出物を含有する皮膚美白及びシワ改善用の化粧料組成物、食品または健康機能食品、薬学的組成物があり、以下、これらを詳述する。
まず、本発明によるクロマメノキの抽出物は、既存の化粧料に皮膚美白とシワの改善剤として添加して用いることができ、化粧料の剤型に特に制限はない。クロマメノキの抽出物を用いて化粧料を製造する場合、クロマメノキの抽出物の他に化粧料に通常用いられる成分、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料、香料などの通常の補助剤と担体成分を併用してもよい。化粧料の剤型の例としては、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、含界面活性剤クレンジング、オイル、粉体パウンデーション、乳濁液パウンデーション及びスプレイなどがあり、通常の当業者であれば、剤型に応じた担体を容易に採択して用いることができる。
好ましくは、前記化粧料組成物は、アルブチン、コウジ酸、コウゾ抽出物、3−エトキシアスコルビン酸、甘草抽出物及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか1種以上の成分をさらに含有することが、美白効果の側面からなお一層好ましい。さらに、添加剤としてレチノール、レチノールパルミテート、ポリエトキシル化レチンアミド、アデノシン、カイネチン、蚕繭抽出物、イソフラボン及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか1以上の成分をさらに含めて用いてもよい。
クロマメノキの抽出物の(乾燥)含量は、化粧料組成物の総重量に対して0.0001〜10重量%であることが好ましいが、クロマメノキの抽出物の含量が0.0001重量%未満である場合には、シワ改善の効果があまりなく、10重量%を超える場合には、溶解し難いという不都合があり、クロマメノキの抽出物成分の追加によるチロシナーゼ活性を抑制させることや、コラーゲンの合成を増加させることなどにより促される効果が得られず、しかも、コスト上昇の面から好ましくないという不都合がある。
クロマメノキの抽出物の他の使用態様として、本発明は、クロマメノキの抽出物と食品添加剤を含む皮膚美白及びシワ改善用の食品を提供する。
本発明における前記皮膚美白及びシワ改善用の食品は、一般食品はもとより、「健康補助食品」または「健康機能食品」を含む概念として用いる。特に、「健康機能食品」は、人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて錠剤、カプセル、粉体、顆粒、液状、丸剤などの剤型に製造及び加工した食品(大韓民国法律第7428号の健康機能食品に関する法律の第3条第1号)を満たすものである。ここで、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的な作用などの保健用途に有用な効果を得たりすることを言う。すなわち、健常人または反健康人の保健用途に有効に使用可能なことを意味する。
含クロマメノキの抽出物食品を摂取したり皮膚に塗布するだけでも、十分に皮膚状態の改善の効能を得られるが、服用のし易さのために、錠剤、糖衣錠、カプセル、ドリンクなどの剤型を有する機能性食品として用いることが好ましい。
前記皮膚状態改善用の食品のさらなる態様としては、飲み物、酒、キムチ、ヨーグルト、牛乳、アイスクリーム、パン、餅及びそばなどがある。
前記「食品添加剤」とは、食品を製造、加工または保存するに際して、食品に添加、混合、浸潤などの方法により用いられる添加剤を意味する。
本発明のさらに他の一態様として、本発明は、クロマメノキの抽出物と薬剤学的に許容される担体をさらに含む皮膚美白及びシワ改善用の薬学組成物を提供する。クロマメノキの抽出物は、抗酸化機能を有し、プロコラーゲンの合成を促進させるとともにコラーゲンの分解を抑制させるなど紫外線による皮膚シワを改善し、チロシナーゼの活性を抑制する作用を有するということは後述する実施例から明らかになるであろう。
前記薬学的組成物の好適な剤型としては、錠剤、糖衣錠、軽質若しくは軟質のカプセル剤、溶液剤、懸濁剤、乳化液剤、注射剤、座薬剤などがあるが、これに限定されるものではない。担体の種類は、薬剤の剤型に応じて当業者が容易に選択することができ、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、バインダー、崩壊剤などとして働きうる成分を1またはそれ以上含んでいてもよい。
クロマメノキの抽出物を含有するコラーゲン合成促進用の薬剤の服用量は、患者が必要とする程度、患部の具合、そして、使用すべき化合物の種類によるが、過量を服用しても副作用の問題はない。通常、患者の体重1Kg当たりのクロマメノキの抽出物の含量は、乾燥粉体を基準として0.001〜0.10gを服用(1回分)することが好ましい。
以下、本発明において採用したクロマメノキの抽出物が有する皮膚状態の改善作用と関連して、まず、皮膚美白とシワが形成される過程についてそれぞれ述べた後、クロマメノキの抽出物を用いたときに皮膚シワと関連する因子にいかなる変化があるかについて後述する実施例と実験例を挙げて述べる。
皮膚老化の主な原因である太陽光線からの紫外線が皮膚に達すると、皮膚の表皮組織に活性酸素種(ROS)ができる。こうしてできた活性酸素種は、表皮細胞に障害を与え、しかも、表皮組織にあるケラチノサイトを刺激してしまい、IL−1α、IL−1β、IL−6などのインターロイキンをはじめとして、コロニ刺激因子(colony stimulating factor)とTNF(tumor necrosis factor)−αなどのサイトカインの分泌が促され、このときに分泌されたインターロイキンやサイトカインは皮膚細胞に影響して複雑な炎症反応と免疫反応を引き起こす。そして、活性酸素種は、メラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの移送を増大させ、メラノサイトにおけるメラニン生成を増大させ、真皮において繊維芽細胞におけるコラーゲン合成を阻害するといった現象を引き起こすが、これは、光老化経路における極めて重要な現象である。
外部から紫外線などの刺激を受けたとき、ケラチノサイトは炎症性サイトカインなどを分泌してメラノサイトの増殖とメラニンとの生合成を促すことにより、メラノサイトの生長、形成及びメラニンの分泌と分化における種々の因子を調節する。また、皮膚組織内まで照射される紫外線は皮膚内のメラノサイトを刺激してIL−1αを分泌させ、分泌されたIL−1αはメラノサイトをさらに刺激してET(endothelin)−1を分泌させる。ET−1は、プロテインキナーゼ(protein kinase)Cとアデニラートシクラーゼ(adenylate cyclase)系を活性化させてメラノサイトを増殖させ、チロシナーゼの活性を促すことにより、結果として色素沈着が起こるのである。
さらに、ケラチノサイトから生産、分泌される上述のインターロイキンはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)−1(コラゲナーゼ)、MMP−3(ストロメチシン-1)、MMP−9(92−kd ゼラチナーゼ)などの基質分解酵素(matrix-degrading enzyme)の遺伝子発現を刺激してMMPの生成量を増大させる作用をし、プロコラーゲン遺伝子発現を阻害するためにプロコラーゲンの生合成量を低減させる。MMP−1は、コラーゲン分解酵素であって、タイプIプロコラーゲンから変換されたコラーゲンの分解を促進する作用をする。すなわち、皮膚に紫外線が達すると、タイプIプロコラーゲンの生成の減少と生成されたコラーゲンの分解が起こり、皮膚におけるコラーゲンの量が低減することになる。このような過程を経て皮膚にシワが形成されるのである。
上述した皮膚美白とシワにあずかる因子と関連して、クロマメノキの抽出物を投与することによる影響については、後述する実験例を挙げて述べる。
図1は、クロマメノキの抽出物のDPPHラジカル消去能を示すグラフである。
図2は、キサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。
図3は、NADH/PMS系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。
図4は、クロマメノキの抽出物のヒドロキシルラジカル消去能を示すグラフである。
図5は、クロマメノキの抽出物の一重項酸素消去能を示すグラフである。
図6は、ケラチノサイトにおけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル生成阻害能を示すグラフである。
図7は、ケラチノサイトにおけるヒドロキシラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するヒドロキシラジカル生成阻害能を示すグラフである。
図8は、ケラチノサイトにおける過酸化水素に対して、クロマメノキの抽出物が有する過酸化水素生成阻害能を示すグラフである。
図9は、ケラチノサイトにおける一重項酸素に対して、クロマメノキの抽出物が有する一重項酸素生成阻害能を示すグラフである。
図10は、ケラチノサイトにおけるIL−1βに対して、クロマメノキの抽出物が有するIL−1β分泌抑制能を示すグラフである。
図11は、ケラチノサイトにおけるIL−6に対して、クロマメノキの抽出物が有する分泌抑制能を示すグラフである。
図12は、IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるプロコラーゲン型Iの生成量を示すものである。
図13は、IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるMMP−1の生成量を示すものである。
図14は、無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における皮膚写真である。
図15の(a)から(d)は、無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における測定H_R値を示すものである。
図16は、クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。
図17は、皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。
[発明を実施するための形態]
[製造例1:クロマメノキの抽出物の製造]
北朝鮮産のクロマメノキの実100gを80%水500mlと一緒に50℃の恒温水槽中において12時間をかけて温湯してクロマメノキの抽出液を得、前記クロマメノキの抽出液を複数種のガーゼでろ過して上澄み液を取った。このような抽出及びろ過過程を3回繰り返し行って得た上澄み液を取り合わせ、回転式エバポレータを用いて減圧下で水を完全に蒸発させ、濃縮されたクロマメノキ熱水抽出液を得た。
[製造例2:クロマメノキの抽出物粉体の製造]
前記濃縮されたクロマメノキの抽出物を蒸留水に溶解させた後、吹き付け乾燥して、粉状の最終的なクロマメノキの抽出物を製造した。
[製造例3:クロマメノキの抽出物の製造]
クロマメノキの実100gを80%メタノール(メタノール:水=4:1)500mlに入れて、常温下で5時間ずつ4回超音波処理して抽出した後、ガーゼでろ過し、上澄み液を取った。前記上澄み液を取る過程を3回繰り返し行って得られる上澄み液を取り合わせ、回転式蒸発装置を用いて減圧下でメタノールを蒸発させ、次いで、これを少量の蒸留水に溶解させてクロマメノキアルコール抽出液を得た。
[実施例1:皮膚美白及びシワ改善用の柔軟化粧水(スキンローション)の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物(液状)を用いて、柔軟化粧水を通常の方法により製造した。柔軟化粧水の構成成分とその使用量は、下記の通りである。
[実施例2:皮膚美白及びシワ改善用の栄養化粧水の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物(液状)を用いて、柔軟化粧水を通常の方法により製造した。柔軟化粧水の構成成分と使用量は、下記の通りである。
[実施例3:皮膚美白及びシワ改善用の機能性食品(錠剤)の製造]
前記製造例2の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物(粉体)5mg、ラクトースBP150mg、澱粉BP30mg及び全ゼラチン化トウモロコシ澱粉BP15mgと混合した後、精製水を適量添加して粉体に顆粒化させた。前記顆粒を乾燥させた後、ステアリン酸マグネシウム1mgと混合し、圧着して錠剤を得た。
[実施例4:皮膚美白及びシワ改善用の機能性食品(飲み物)の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物2mg、食用色素5mg、オーレンジエッセンス5mg、果糖700mg、クエン酸10mg、ビタミン5mgを含む機能性飲料ベースを添加した組成物を製造した後、精製水を添加して飲料水を製造した。
[実施例5:皮膚美白及びシワ改善用の健康機能食品(シロップ剤)の製造]
精製水(500ml)に白糖(637.5g)を溶解させ、別の容器に別途にカルボキシメチルセルロースナトリウム(2.0g)は精製水400mlに溶解させた後、前記白糖を溶解させた溶液と混合し、メチルパラベン(0.28g)とプロピルパラベン(0.12g)を加えて溶解させた後、エタノール(20ml)を加え、精製水を全体溶液の容量が1000mlになるようにした。これを篩体にかけて得た製造例1のクロマメノキの抽出物を懸濁させてシロップ剤を得た。
[実施例6:軟膏剤の製造]
前記製造例1の方法に従い製造されたクロマメノキの抽出物5g、セチルパルミテート20g、セタノール40g、ステアリルアルコール40g、ミリスタンイソプロピル80g、モノステアリン酸ソルビタン20g、ポリソルベート60g、パラオキシ安息香酸プロピル1g、パラオキシ安息香酸メチル1gと精製水を適量添加して軟膏剤を製造した。
[実施例7:機能性酒の製造]
脱水精製された40重量%のアルコールを蒸留水で希釈し、希釈されたアルコール蒸留水100重量部に対して製造例3に従い得たクロマメノキの抽出物0.05重量部添加し、残量のステビオサイド、高果糖、アミノ酸、クエン酸、塩を添加して含クロマメノキの抽出物の機能性酒を製造した。
[実験例1:活性酸素種(ROS)の消去能]
1.DPPHラジカル消去能の測定
エチルアルコールに溶かした1mMのDPPH(2、2−ジフェニルl−1−ピクリルヒドラジル)溶液0.8mlと製造例1のクロマメノキの抽出物溶液0.2mLを入れて37℃の温度下で30分間放置させた後、517nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、アスコルビン酸(ビタミンC)を使用し、その結果を未処理試料群に対する百分率にて示す。
実験の結果、図1に示すように、クロマメノキの抽出物のDPPHラジカル消去能は10mg/mLの濃度においてビタミンC100μMの3倍程度と高く、1mg/mLの濃度においてビタミンC100μMの2倍程度高かった。 図1は、製造例1のクロマメノキの抽出物が有するDPPHラジカルスカベンジャー活性を示すグラフである。上部におけるアルファベット文字は、ダンカンの多重検定法(Duncan’s multiple range test)による場合、有意レベルp<0.05の範囲において有意に異なる値を示すものである。
2.スーパーオキシドラジカル消去能の測定
2−1.酵素系(Xanthine-Xanthine oxidase system)
24ウェルプレートに0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)600μl、各濃度別に調製したクロマメノキの抽出物溶液50μlとキサンチン酸化酵素(0.068μg/mL)50μlを混合して25℃の温度下で30分間放置させた後、1MHCL100μlを加えて反応を止め、次いで、295nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、キサンチン酸化酵素抑制作用のある薬物として知られているアルプリノールを使用し、その結果を未処理試料群に対する百分率にて示す。図2を参照すると、酵素的なスーパーオキシドラジカル生成系であるキサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキシド消去能は、クロマメノキの抽出物0.01mg/mLにおいてビタミンA10μMと同様であり、アルプリノール1μMと10μMとの中間レベルの消去能を示している。
2−2.非酵素系(NADH−PMS system)
24ウェルプレートに、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)溶液に NADH、フェナジンメトサルファートとNBTのそれぞれの濃度をそれぞれ73μM、15μM及び50μM NBTになるように調節して1.8mLの溶液を用意した。前記溶液に製造例1のクロマメノキの抽出物0.2mLを濃度を異ならせて入れ、37℃の温度下で20分間放置させた後、560nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、アスコルビン酸(qビタミンC)を使用し、その結果は、未処理試料群に対する百分率にて示す。図3を参照すると、非酵素的なスーパーオキシドラジカル生成系であるNADH/PMS系におけるスーパーオキシドラジカル消去能は、クロマメノキの抽出物0.1mg/mLにおいてビタミンC100μMと同様であった。
3.ヒドロキシルラジカル消去能の測定
24ウェルプレートに、2.5mMβ−カロチンエタノール溶液0.2mLに5.94mMのH2O20.8mL及びFeSO426.4mMの濃度を有するエタノール溶液0.8mLを混合し、ここに製造例1のクロマメノキの抽出物0.2mLを添加した後、436nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、アスコルビン酸(ビタミンC)を使用し、その結果は、未処理試料群に対する百分率にて示す。実験の結果、クロマメノキの抽出物のヒドロキシルラジカル消去能は、クロマメノキの実抽出の濃度が0.05mg/mLであるときにビタミンC100μMとほぼ同様であった(図4参照)。
4.一重項酸素消去能の測定
45mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.1)に10mMヒスチジン、10mMNaOCl、10mMH22、50mMN、N−ジメチル−p−ニトロソアニリンが混合された混合溶液1.9mLに、クロマメノキの抽出物0.1mLを濃度別に異ならせて添加し、30℃の温度下で40分間放置した後、440nmにおける吸光度を測定した。対照薬物としては、α−トコフェロール(ビタミンE)を使用し、その結果は、未処理試料群に対する百分率にて示す。実験の結果、一重項酸素ラジカル消去能は、クロマメノキの抽出物0.1mg/mLと0.01mg/mLにおいて大差なかったし、効能はビタミンE100μMと同様であった(図5参照)。
[実験例2:ケラチノサイトにおけるROS生成抑制能]
ヒトケラチノサイトの培養
ヒトのケラチノサイトは、13歳男子の皮膚組織から生検したものであり、修正されたMCDB153培地成分が根幹となるケラチノサイト基礎培地に組換えヒト上皮細胞成長因子(100ng/mL)、ウシ腦下垂体抽出物(70mg/mL)、ヒドロコルチソーン(0.5mg/mL)、インシュリン(5mg/mL)、ゲンタマイシン(0.3mg/mL)、アンフォテリシン−B(2.5mg/mL)を添加した培地において37℃、5.0%CO2条件のCO2インキュベーターにおいて培養させた。実験に供されたケラチノサイトは、3次継代培養した細胞であった。
ケラチノサイトにおけるラジカル生成阻害能の測定
皮膚が紫外線により刺激を受けたとき、ケラチノサイトにおいて生成されるROSを測定するために、ケラチノサイトを24ウェルプレートに105セル/ウェルずつ接種して17時間放置してセルの付着を確かめた後、培地を取り除き、各濃度別に培地に溶かして製造したクロマメノキの抽出物を各ウェルに2mLずつ分注して24時間放置した。放置が終わると、培地を取り除き、PBS(リン酸緩衝液)を400μlずつ分注した後、紫外線(UV)B照射光源により45mJ/cm2にて照射した後、60分まで10分おきに生成されるROS量を測定した。
1.スーパーオキシドラジカル生成阻害能の測定
24ウェルプレートに、20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)に73μMNADH、15μMフェナジンメトサルファート及び50μMNBTを混合させた溶液1.8mLを用意した後、製造例1のクロマメノキの抽出物を0.2mL入れた。そして、時間別に上澄み液を0.2mLずつ取り除いた後、これを37℃の温度下で20分間放置させた後、560nmにおける吸光度を測定した。
測定の結果、ケラチノサイトにおいて紫外線を照射した後に生成されるスーパーオキシドラジカルに対するクロマメノキの抽出物のラジカル生成量は、10、20、30、40、50、60分において、2mg/mL処理群において対照群に比べて31、55、42、37、45、65%の生成量を示し、0.2mg/mL処理群においては、79、86、87、89、94、94%の生成量を示している。10分から40分までは統計的な有意性があるように濃度依存的に減少し、その後の時間においては、クロマメノキの抽出物2mg/mLを処理した群において有意性のある減少を示している(図6参照)。
2.ヒドロキシルラジカル生成阻害能の測定
24ウェルプレートに、2.5mMβ−ケラチンエタノール溶液0.2mLに5.94mMH220.8mLと26.4mMFeSO4の濃度になるように溶かしたエタノール溶液0.8mL、各時間別に取り除いた上澄み液0.2mLを混ぜた後、436nmにおける吸光度を測定した。
測定の結果、ケラチノサイトにおいて紫外線Bを照射した後に生成されるヒドロキシルラジカルに対して10分から50分までクロマメノキの抽出物2mg/mLを処理したケラチノサイトにおける生成量が低減されており、対照群に対する生成量の比率は10、20、30、40、50分において46、46、42、24、37%であった(図7参照)。
3.過酸化水素生成阻害能の測定
3×10-6Mスコポレチン1mLと10-2Mアジト化ナトリウム400μlと各時間別に取り除いた上澄み液0.5mLを混ぜて5分間放置した後、150U/mLの濃度に調製されたHPO(西洋ワサビペルオキシダーゼ )100μl、KRP(クレブスリンガーリン酸)緩衝液600μlを入れ、蛍光強度計を用いて励起360nm、放出450nm、1波長における蛍光度を測定した。図8を参照すると、ケラチノサイトにおいて紫外線を照射した後に生成される過酸化水素の生成量は、クロマメノキの抽出物(2mg/mL)を処理した場合、未処理対照群に比べて有意的な減少を示していたが、対照群に対する生成量の比率は、20、30、40、50分において61、61、39、62%であった。
4.一重項酸素生成阻害能の測定
45mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.1)に10mMヒスチジン、10mMNaOCl、10mMH22、50mMN、N−ジメチル−p−ニトロソアニリンを溶かした溶液1.8mLに各時間別に上澄み液を0.2mL混ぜて30℃において40分間放置した後、440nmにおける吸光度を測定し、その結果を図9に示す。ケラチノサイトにおいて紫外線を照射した後に生成される一重項酸素ラジカルに対して20分からそれ以降の時間帯においてクロマメノキの抽出物を処理したケラチノサイトにおいてラジカルの生成量が濃度依存的に減少している。対照群(UV−C)と比較してみるとき、2mg/mL処理群(V2)においては20分において98%、30分において96%、40分から60分までは93%の生成量を示し、0.2mg/mL処理群(V0.2)においては99%の生成量を示している。
[実験例3:ケラチノサイトにおけるサイトカイン分泌阻害能]
皮膚が紫外線により刺激を受けたとき、ケラチノサイトにおいて生成されるサイトカインを測定するために、ケラチノサイトを24ウェル平板に105セル/ウェルずつ接種して17時間放置した後、細胞の付着を確かめて培地を取り除き、次いで、各濃度別に培地に溶かして調製したクロマメノキの抽出物溶液を各ウェルに2mLずつ分注した後、24時間放置した。放置が終わると、培地を取り除き、PBS(リン酸緩衝液)を400μlずつ分注し、UVB照射光源により40mJ/cm2にて照射した後、24時間までそれぞれにおいて生成されたサイトカインの量を測定した。
1.IL−1β分泌阻害能の測定
ケラチノサイトにUVBを40mJ/cm2にて照射し、0時間、30分、1時間、3時間、6時間、24時間後に上澄み液を取り除き、ELISAアッセイキットを用いてIL−1βの量を測定した。実験の結果、クロマメノキの抽出物2mg/mLを処理したケラチノサイトにおけるIL−1βの生成量は、対照群に比べて有意的な減少を示し、生成量の比率は、1、3、6、24時間においてそれぞれ37、28、29、26%程度であり、0.2mg/mL処理群においては85、88、89、73%程度の比率を示している(図10参照)。
2.IL−6分泌阻害能の測定
ケラチノサイトにUVBを40mJ/cm2にて照射し、0時間、1時間、3時間、6時間、24時間後に上澄み液を取り除き、IL−6の量をIL−6ELISAアッセイキットを用いて測定した。実験の結果、クロマメノキの抽出物2mg/mLを処理したケラチノサイトにおけるIL−6の生成量は、3時間後から有意的に減少され、対照群に対する生成量の比率は3、6、24時間においてそれぞれ43、61、33%であった。クロマメノキの抽出物0.2mg/mLを処理した群においては、6時間において有意的な減少を示し、対照群に対する生成量の比率は81%程度であった(図11参照)。
[実験例4:シワ改善効果の実験]
ヒト繊維芽細胞の培養
ヒトの繊維芽細胞は、13歳男子の皮膚組織において生検したものであり、10%ウシ胎児血清とペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)を含有するDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium)溶液において37℃、5.0%二酸化炭素インキュベーターにおいて培養した。
シワ改善効果の実験
ヒトの繊維芽細胞を24ウェルに1ウェル当たりに104細胞ずつ接種し、17時間後に細胞の付着を確かめた後、培地を取り除き、各濃度別に培地に溶かし、製造例1に従い製造したクロマメノキの抽出物を各ウェルにつき2mlずつ分注した。48時間中にCO2培養器において培養した後、培地を取り除いて繊維芽細胞におけるシワ形成因子(タイプIプロコラゲン、MMP−1))を測定した。
1.ヒトの繊維芽細胞におけるプロコラーゲンのタイプIの生成促進
各濃度別にクロマメノキの抽出物溶液を処理した後に生成されるタイプIプロコラーゲンの量を試料を処理してから48時間後にクロマメノキの抽出物をフィブロブラストに処理し、48時間後に上澄み液を救い上げた後、プロコラーゲンタイプIC−ペプチド(PIP)EIAキットを用いてヒト繊維芽細胞において生成されるタイプIプロコラーゲンの量を測定した。
1)Mean±S.D.
前記実験の結果、薬物を投与しなかった対照群と比較したとき、対照群の生成量(149.6ng/mL)よりも0.005mg/mLにおいて155.1ng/mL(103%)、0.01mg/mLにおいて179.2ng/mL(119%)と濃度依存的に増加する傾向にあった。コラーゲン繊維は、繊維母細胞において前駆物質であるプロコラーゲンが合成されて細胞外に分泌されて酵素の作用、繊維形成及び交差連結などにより完成された。このため、クロマメノキの抽出物がコラーゲンの前駆物質であるプロコラーゲンの量を増加させることにより、皮膚弾力の増強及びシワ改善に効果が得られることが確認できた。
2.マトリックスメタロプロテナーゼ−1(MMP−1)の活性抑制
ヒト繊維芽細胞に、下記表4に示すように、各濃度別にクロマメノキの抽出物溶液を処理した後、48時間経過後に上澄み液を取り除き、MMP−1EIAキットを用いて、繊維芽細胞において生成されるマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)−1の量を測定した。
1)Mean±S.D.
前記実験の結果、試料を投与しなかった対照群の生合成量が37.2mg/mLであるのに対し、クロマメノキの抽出物の濃度0.01mg/mLにおいて25.5ng/mL(68%)と示されるなど、MMP−1の合成量は濃度依存的に減少する傾向にあることが確認できた。MMP−1は、紫外線の繰り返し露出により角質形成細胞と繊維母細胞において発現され、これは、コラーゲンを分解する酵素であることが知られている。このため、クロマメノキの抽出物は、MMP−1の活性を抑制することにより、皮膚のコラーゲン分解を抑制させて皮膚弾力の増強及びシワ改善に効果が得られることが確認できた。
3.ヒトの繊維芽細胞にIL−1βを加えるときにおけるプロコラーゲンタイプI生成量の変化
ヒトの繊維芽細胞にインターロイキン(IL)−1βを加えたときに生成されるプロコラーゲンタイプIの量は、IL−1βを加えなかったときに生成される量よりも低く、特に、IL−1βに対して濃度依存的に減少する傾向にあることが分かる。しかしながら、クロマメノキの抽出物を添加する場合、クロマメノキの抽出物の添加濃度に依存してプロコラーゲンタイプIの生成量が増加することが確認できた。図12は、ヒトの繊維芽細胞における、IL−1β(10ng/mL、20ng/mL)とクロマメノキの抽出物の濃度(0.2mg/mL、2mg/mL)によるプロコラーゲンタイプIの生成量を示すものである。
4.ヒトの繊維芽細胞にIL−1βを加えた場合におけるMMP−1の生成量の変化
図13を参照すると、ヒトの繊維芽細胞にインターロイキン(IL)−1βを加えたときに生成されるMMP−1の量は、IL−1βを加えなかったときに生成される量よりも高く、MMP−1の量は、IL−1β濃度依存的に増加する傾向にあることが分かる。しかしながら、この場合にも、クロマメノキの抽出物を添加する場合、クロマメノキの抽出物の添加濃度に依存してMMP−1の濃度が減少することが確認できる。
[実験例5:インビボシワ形成抑制能の実験]
無毛マウス、紫外線照射及び試料の投与
6週齢のメス無毛マウス(Skh−1)を使用し、実験室に到着後3日間の適応期間を経た後に実験を始めた。餌と水は自律で食べるようにし、24±2℃の温度に50±10%の湿度、12時間おきの昼間/夜間サイクル条件下において飼育した。動物群は、「紫外線照射群」、「紫外線非照射群」、「紫外線照射+試料投与群」に分け、「紫外線照射+試料投与群」はクロマメノキの抽出物をそれぞれ10、20、40mg/kgと異ならせて投与した。
紫外線の照射は、最小紅斑量(MED)60mJ/cm2にして1週間に3回ずつマウスの背部に照射し、1週目には1MED(60mJ/cm2)、2週目と3週目には2MED(120mJ/cm2)、4週目から6週目までは3MED(180mJ/cm2)、7週目から4MED(240mJ/cm2)に照射して合計で18週に亘って照射した。試料としてのクロマメノキの抽出物は、10、20、40mg/kgの濃度になるようにクロマメノキの抽出物を蒸留水に溶かして毎日定まった時間に投与した。
皮膚模似板の製作
マウスの試料投与によるシワ改善の推移を測定するために、3週単位にペントバルビタル溶液50mg/kgにて腹腔注射して麻酔させ、口径8mmの模似板枠を背部に貼り付けた。そして、Silfloの構成成分であるシリコン液、シーナー、触媒を適切に配合し、枠内によく塗布して乾くまで待った後、これを取り外して模似板を製作した。コンピュータ映像分析器を通じて前記模似板に光を一定の角度から照射し、これにより生成される陰影の面積からシワの深さや数を定量してシワの付き具合を測定した。
皮膚模似板分析の結果
紫外線照射後に目視にて観察したところ、正常群(N)に比べてUV対照群(C)の皮膚シワの増加ははっきりと現れた。しかしながら、クロマメノキの抽出物を投与した皮膚の場合、9週目には太いシワが低減されていることがはっきりと現れた(図14参照)。
投与後3週目にクロマメノキの抽出物が20mg/kg(V20)と40mg/kg(V40)である群においては、UV対照群(C)に比べてH_R1、4、5値が有意的に減少していた。投与後6週目にはクロマメノキの抽出物20mg/kg投与群においてH_R2、3値が減少する傾向を示す他、全ての投与群の全体値がUV対照群に比べて有意的に減少していた。また、投与後9週目には、クロマメノキの抽出物の投与群においてH_R値がいずれも有意的に減少していた。
図15の(a)〜15(d)は、紫外線照射後0週目、3週目、6週目、9週目のH_R値を示すものであり、ここで、Hは水平を意味し、R1は最も高い個所と最も低い個所との距離を示し、R2は、最大距離を有する5つの値のうち最大値を示し、R3は最大距離を有する5つのR1値の平均を示し、R4はスムードネス深さを示し、R5は、平均粗さを示す。図15において、上部に書いてあるアルファベット文字は、ダンカンの多重検定法による場合、有意レベルp<0.05の範囲において有意に異なる値を示すものである。
[実験例6:チロシナーゼ活性抑制効果]
96ウェルプレート(製造元:米国コーニング)に0.1MPBS(pH6.5)220μlと各濃度別に調製したクロマメノキの抽出物溶液20μl、そして2、000U/mLチロシナーゼ溶液20μlをこの順に入れ、この溶液に1.5mMチロシン溶液40μlを入れた後、37℃において10分間放置させ、次いで、酵素結合免疫吸収分析(ELISA)読取装置(製造元:米国バイオテック)を用いて490nmにおける吸光度を測定した。供試料液として0.1MPBS(pH6.5)20μlを入れて実験を行い、対照群としてはコウジ酸を処理した群を使用した。チロシナーゼの活性阻害率を求める公式は、下記の通りである。
チロシナーゼ活性阻害率(%)=[100-{(b-b’)/(a-a’)}]×100
(a:供試料液の反応後の吸光度、b:試料液の反応後の吸光度
a’、b’:各試料液の反応において、チロシナーゼに代えて緩衝液を用いて測定した吸光度)。
実験の結果、クロマメノキの抽出物はチロシナーゼ活性に対してIC50が0.41mg/mL程度であり、コウジ酸の場合には10μM程度の濃度においてIC50を示していた。クロマメノキの抽出物は、1mg/mLの濃度において72.8%のチロシナーゼ活性に対して阻害をしており、これは、コウジ酸の10μMにおける50.8%と100μMにおける84.8%の阻害率との中間レベル程度の効果であると見られる。また、低濃度においては、クロマメノキの抽出物0.1mg/mLにおける阻害率が11.4%であり、コウジ酸1μMの阻害率(14.4%)とほぼ同じ阻害率を示している(表5参照)。
前記実験の結果、両物質の濃度が異なって比較はできないが、0.5mg/mlのクロマメノキの抽出物は、コウジ酸10μMを処理した対照群よりも活性阻害率が高く、クロマメノキの抽出物がチロシナーゼの活性を格段に抑制することが分かる。チロシナーゼは、アミノ酸の一種であるチロシンを酸化させてメラニンを生成する役割を果たすが、クロマメノキの抽出物がチロシナーゼの活性を阻害する上記の実験を通じて、クロマメノキの抽出物成分は皮膚の美白状態を改善できることが確認できた。
[実験例7:B16メラノマF10セルを用いたメラニン生成量の低下効果の実験]
B16メラノマF10の培養
B16メラノマF10細胞は、10%ウシ胎児血清とペニシリン100IU/mL、ストレプトマイシン50μg/mLを含有するDMEM溶液において37℃、5.0%CO2条件のCO2インキュベーターにおいて培養した。
メラニン生成抑制効果に対する実験
B16メラノマF10セルを24ウェルに1ウェル当たりに104セルずつ培養した。17時間後に細胞の付着を確かめた後、培地を取り除き、製造例1に従い製造されたクロマメノキの抽出物溶液を各濃度別に各ウェルに2mLずつ分注した。72時間中にCO2培養器において培養した後、培地を取り除き、NaOHを1ウェル当たりに2mLずつ入れ、60℃において30分間放置した後、セル破砕溶液に対する450nmにおける吸光度を測定した。メラニンの濃度は、メラニン標準曲線と対比して計算した。
実験の結果、B16メラノマF10セルにクロマメノキの抽出物を処理したときのメラニン生成量の総量は0.01mg/mLから0.5mg/mLの濃度まで濃度依存的に有意的な減少を示していた。また、クロマメノキの抽出物0.05mg/mLの濃度においてメラニン生成量は16.66μM/mLであり、コウジ酸10μMの生成量である16.54μg/mLと比較したときにクロマメノキの抽出物0.05mg/mLにおけるメラニン生成抑制効果がコウジ酸10μMの効果と同様であった。さらに、クロマメノキの抽出物0.5mg/mLにおけるメラニン生成量はコウジ酸100μMの生成量よりも少ない傾向にあった(図16参照)。図16において、Vはクロマメノキの抽出物が処理された実験群を意味し、Kは、コウジ酸が処理された実験群を意味するものである。
紫外線照射時における総メラニン生成量低下効果に対する実験
紫外線照射により照射しなかった細胞に比べてメラニン生成量が有意的に増加していたB16メラノマF10セルに対して、クロマメノキの抽出物を0.2mg/mLと2mg/mLの濃度にて処理した群におけるメラニン生成量は、それぞれ20.80μg/mL、17.47μg/mLであり、対照群(27.96μg/mL)に比べて少量であり、メラニンの生成量はクロマメノキの抽出物の濃度に依存して減少していた。なお、コウジ酸を処理した群と比較したとき、クロマメノキの抽出物0.2mg/mLはコウジ酸0.2μM(22.72μg/mL)の場合よりもメラニン生成量がなお一層減少され、クロマメノキの抽出物2mg/mLはコウジ酸2μM(19.22μg/mL)の場合よりも生成量が減少していた(図17参照)。図17において、Cは紫外線を照射しない実験群を意味し、UV−Cは紫外線が照射された対照群を意味し、VとKはそれぞれクロマメノキの抽出物とコウジ酸が処理された実験群を意味する。
前記実験の結果、メラニン量においては、試料を投与しなかった対照群と比較してみたとき、コウジ酸とクロマメノキの抽出物ともに減少する傾向を示していた。ニキビ、そばかすなど皮膚にできる色素沈着は表皮内におけるメラニン色素の異常増加に起因する。クロマメノキの抽出物とコウジ酸ともに有意的に減少していたが、コウジ酸は毒性が問題となるという点を考慮するとき、クロマメノキの抽出物はコウジ酸に代えうる物質として有用であることが確認できる。
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、上述の技術的な思想を逸脱しない範囲内における様々な変形が可能であるため、本発明の保護範囲が上述の実施例と実験例に限定されない。このように様々に変形された実施形態もまた、特許請求の範囲により定まる本発明の保護範囲に属するものとして理解すべきである。
本発明による皮膚美白及びシワ改善用の組成物は、抽出液または乾燥された抽出粉体の形状に容易に製造することができ、皮膚美白の増進、シワの除去、シワ予防及び弾力増強のための用途として使用でき、天然抽出物を用いたものであって、産業上の活用範囲に特に制限はない。また、クロマメノキの抽出物を皮膚に塗布したり飲用しても、皮膚の状態を改善させる効能が得られるので、化粧料、食品、薬剤の皮膚シワ改善のための成分として用い易い。
クロマメノキの抽出物のDPPHラジカル消去能を示すグラフである。 キサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。 NADH/PMS系におけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル消去能を示すグラフである。 クロマメノキの抽出物のヒドロキシルラジカル消去能を示すグラフである。 クロマメノキの抽出物の一重項酸素消去能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるスーパーオキシドラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するスーパーオキシドラジカル生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるヒドロキシラジカルに対して、クロマメノキの抽出物が有するヒドロキシラジカル生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおける過酸化水素に対して、クロマメノキの抽出物が有する過酸化水素生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおける一重項酸素に対して、クロマメノキの抽出物が有する一重項酸素生成阻害能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるIL−1βに対して、クロマメノキの抽出物が有するIL−1β分泌抑制能を示すグラフである。 ケラチノサイトにおけるIL−6に対して、クロマメノキの抽出物が有する分泌抑制能を示すグラフである。 IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるプロコラーゲン型Iの生成量を示すものである。 IL−1βとクロマメノキの抽出物の濃度によるMMP−1の生成量を示すものである。 無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における皮膚写真である。 (a)から(d)は、無毛マウスの皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物を投与した場合における測定H_R値を示すものである。 クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。 皮膚に紫外線を照射し、クロマメノキの抽出物とコウジ酸を投与した場合における皮膚組織の単位細胞当たりのメラニンの量を示すものである。

Claims (11)

  1. クロマメノキ(Vaccinium uliginosum)の抽出物を有効成分として含有し、紫外線に起因する活性酸素種を消去/抑制する皮膚美白及びシワを改善する皮膚状態改善用の組成物。
  2. 前記クロマメノキの抽出物は、クロマメノキの実若しくは葉に抽出溶媒としての水若しくはアルコールを加えて抽出されたものであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚状態改善用の組成物。
  3. 前記クロマメノキの抽出物は、クロマメノキの実若しくは葉を40〜100℃の恒温水槽中において温湯して得られる熱水抽出物をろ過し、ろ過された熱水抽出物から上澄み液を分離した後、分離された上澄み液を減圧濃縮することにより得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚状態改善用の組成物。
  4. 前記クロマメノキの抽出物は、クロマメノキの実若しくは葉をアルコールに入れて20〜90℃の温度下で得られる抽出物をろ過し、前記ろ過された抽出物から上澄み液を分離した後、分離された上澄み液を減圧濃縮することにより得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚状態改善用の組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の皮膚状態改善用の組成物と化粧料添加剤成分を含み、皮膚美白及びシワを改善する皮膚状態改善用の化粧料組成物。
  6. 前記クロマメノキの抽出物の含量は、前記化粧料組成物の全体の重量に対して乾燥重量換算で0.0001〜10重量%であることを特徴とする請求項5に記載の皮膚状態改善用の化粧料組成物。
  7. 前記化粧料組成物は、アルブチン(arbutin)、コウジ酸(Kojic acid)、コウゾ抽出物、3−エトキシアスコルビン酸(3-ethoxyascorbicacid)、甘草抽出物及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか1種以上の成分をさらに含有することを特徴とする請求項5に記載の皮膚状態改善用の化粧料組成物。
  8. 請求項1から4のいずれかに記載の皮膚状態改善用の組成物と食品学的に許容される食品添加剤とをさらに含む食品学的組成物。
  9. 請求項1から4のいずれかに記載の皮膚状態改善用の組成物と薬剤学的に許容される担体とをさらに含み、コラーゲンの合成を増進させると共にチロシナーゼ活性を抑制する薬学的組成物。
  10. クロマメノキの実若しくは葉に溶媒としての水若しくはアルコールを加えてクロマメノキの抽出液を得る第1段階と、前記第1段階において得られたクロマメノキの抽出液をろ過して上澄み液を分離する第2段階と、前記第2段階において得られたクロマメノキの抽出液を濃縮させる第3段階と、を含む皮膚状態改善用のクロマメノキの抽出物の製造方法。
  11. 前記第3段階に後続して、濃縮されたクロマメノキの抽出物を少量の蒸留水に溶解した後、凍結乾燥あるいは粉末乾燥して粉体状のクロマメノキの抽出物を得る第4段階をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の皮膚状態改善用のクロマメノキの抽出物の製造方法。
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