JP2023049255A - 特定の波長域を有する人工光を照射して栽培したアルテアの抽出物を含有する皮膚外用剤及び内用剤 - Google Patents

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Abstract

【目的】特定の波長域を有する人工光を照射して栽培したアルテアの抽出物を含有する皮膚外用剤や内用剤を提供する。【構成】本発明のアルテアは、特定の波長域を有する人工光を照射して栽培したものであり、この抽出物は、優れたメラニン生成抑制効果、コラーゲン産生促進効果、MMP阻害効果、ヒアルロン酸産生促進効果、細胞増殖促進効果及び抗酸化効果を示し、これらを含有する皮膚外用剤又は内用剤は特に有効である。【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の波長域を有する人工光を照射して栽培したアルテアの抽出物を含有する皮膚外用剤及び内用剤に関する。
一般に、シミ、ソバカス、日焼け等に見られる皮膚の色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激により、皮膚内に存在するメラニン色素生成細胞がメラニン色素を過剰に生成し、これが皮膚内に沈着することが原因と考えられている。このような色素沈着を防ぐ方法の一つに、メラニンの過剰な生成を抑制する方法が知られている。従来、色素沈着の治療には、内用や外用において、アスコルビン酸(ビタミンC)等が美白剤として用いられてきた(特許文献1)。
真皮には線維芽細胞やコラーゲンが存在し、I型コラーゲンが全体の80%を占める。I型コラーゲンの他には、III、V、XII及びXIV型コラーゲンの存在が知られている。シワやたるみの原因の一つとして、I型コラーゲンの減少が挙げられる。従って、I型コラーゲンの産生を促進させることがシワ・たるみの予防・改善に有効であると考えられる。また、I型コラーゲンの産生促進は皮膚の創傷治癒の改善にも有効である。
また、皮膚は紫外線の他、乾燥、寒冷、熱、薬物等の様々な物理的及び化学的ストレスに日々曝されている。その結果、皮膚の機能低下が引き起こされ、様々な皮膚の老化現象が顕在化する。皮膚の老化現象の一つにシワがある。シワには、表皮性のシワと、真皮性のシワの2種類が存在することが知られている。表皮性のシワは小ジワと呼ばれ、皮膚の乾燥により、表皮角質中の水分量が低下することによって一時的に生じるシワである。一方、真皮性のシワは、太陽光線に含まれる紫外線や加齢によって形成されるシワである。その形成メカニズムとしては、紫外線や加齢による真皮線維芽細胞におけるコラーゲン合成能の低下や、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の増加によるコラーゲンの分解促進が挙げられる。
乾燥に起因する表皮性のシワと真皮性のシワでは、組織学的形態、発症メカニズム、治療方法が異なり、紫外線や加齢により生じる真皮性のシワは、保湿効果を有する化粧品の使用によって改善することは困難である。
これまでに、紫外線によって生じる真皮性のシワを改善することを目的として、加水分解アーモンドを有効成分とする皮膚のシワ形成防止・改善剤(特許文献2)、ジョチョウケイ、テンキシ及びキセンソウの抽出物を有効成分とする紫外線照射に起因するシワの改善剤(特許文献3)が報告されている。
また、コラーゲンは、哺乳動物組織の約1/3を占める主要な構造タンパク質であり、軟骨、骨、腱及び皮膚等の、多くのマトリックス組織の必須な成分である。MMPに属するコラゲナーゼ(MMP1)により一箇所を切断されると、通常の組織内では安定なコラーゲン分子は、変性して一本鎖のゼラチンとなり、他の様々なプロテアーゼにより分解されるようになる。その結果、マトリックス組織の構造の完全性が失われてしまう。
コラゲナーゼの阻害活性を有する素材として、例えば、カカオ豆皮であるカカオハスク抽出物(特許文献4)、バラ科オニイチゴ抽出物(特許文献5)、ラクトフェリン(特許文献6)等が提案されている。皮膚老化や口腔衛生にますます関心が高まっている状況下で、副作用がなく、安全性が高い、コラゲナーゼ活性阻害作用の優れた素材を見出すことが求められている。
MMPに属するゼラチナーゼ(MMP2)は、線維芽細胞や内皮細胞、ガン細胞等が産生する酵素であり、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン(動脈、腱、皮膚等の弾性組織の特殊成分をなす構造タンパク質)等の基質を分解する。従って、ゼラチナーゼに対して阻害活性を有する物質は、ガン組織における血管新生やガンの転移を抑制する効果が期待され、ガン疾患の予防、治療に有用であると考えられる。さらにMMPの阻害はガン疾患のみならず、潰瘍形成、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防、治療及び改善に有用である。
また、線維芽細胞はコラーゲン等のタンパク質及びヒアルロン酸等のグリコサミノグリカンを産生して真皮結合組織を形成し、皮膚のハリを保っている。この結合組織が収縮力を失い、さらに弾性力を失う結果として、皮膚のシワやたるみが発生すると考えられている。
特にヒアルロン酸は結合組織に広く分布する高分子多糖体として知られており、真皮中でゲル状の形態を呈し、肌の弾力を維持している。従って、ヒアルロン酸の変質や減少が皮膚老化において重要であると考えられている。また、ヒアルロン酸は高分子であるため、それを含有した化粧料を皮膚に直接塗布しても吸収されにくいという問題があった。そこで、これまで、線維芽細胞を活性化することで、細胞自らのコラーゲンやヒアルロン酸の産生を促進させることができる皮膚外用剤が模索されてきた(特許文献7)。
また、ヒアルロン酸は関節にも存在しており、関節の荷重の衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしたりする機能を果たしていることが知られている。正常人間関節液中のヒアルロン酸濃度は約2.3mg/mLであるが、慢性関節リウマチの場合、関節液中のヒアルロン酸濃度は約1.2mg/mLと低下し、同時に関節液の粘度も著しく低下する(非特許文献1)。また、化膿性関節炎や痛風性関節炎等でも、慢性関節リウマチの場合と同様、ヒアルロン酸含量の低下が起こることが知られている(非特許文献2)。上記疾患において、潤滑機能の改善、関節軟骨の被覆・保護、疼痛抑制及び病的関節液の改善のために、関節液中のヒアルロン酸量を増加させることが考えられる。例えば、慢性関節リウマチの患者にヒアルロン酸ナトリウムの関節注入法を行うと、上記の症状の改善が認められることが知られている(非特許文献3)。しかしながら、上記疾患の治療は長期に渡る。従って、日常生活の中で手軽に予防や治療等ができるように、ヒアルロン酸産生促進剤を含有させた皮膚外用剤や食品、医薬品が望まれている。
飛蚊症とは、視界内に糸くずや蚊のように見える薄い影が現れる症状で、目の内部を満たす硝子体内の混濁が網膜上に影を落とすことで発生する。飛蚊症は大きく2種類に分けることができ、加齢や紫外線、活性酸素等の影響で発症する生理的飛蚊症と、網膜剥離、網膜裂孔、硝子体出血、ぶどう膜炎等の疾患の一症状として現れる病的飛蚊症がある。生理的飛蚊症は、硝子体の主要成分であるヒアルロン酸の減少による液状化と、それに伴うコラーゲン線維の分解で硝子体内が混濁することで生じる。治療法として、硝子体切除手術やレーザー治療があるが、これらの施術は安全性の観点から日本ではあまり行われていないという実情があり、海外で治療を行うには多額の費用が必要となる。そのため、生理的飛蚊症を予防改善するためには日常的に利用可能なヒアルロン酸産生促進剤を含有させた食品や医薬品が望まれている。
一般に、加齢と共に表皮細胞の増殖・分裂能は低下し、表皮層自体は薄くなる(非特許文献4)。生体因子であるEpidermal Growth Factor(EGF/上皮細胞成長因子)や女性ホルモン(エストロゲン)は皮膚の表皮細胞増殖に働きかけるが、加齢と共にその分泌は低下する。このような加齢による表皮細胞代謝機能の低下は皮膚のターンオーバー速度を遅らせ、肌荒れや皮膚の老化の原因となる。また、角層表面から剥がれ落ちる角層細胞が滞留することで、表皮内のメラニンの排泄がスムーズに行われなくなり、色素沈着や肌のくすみの原因となる。さらに表皮の創傷治癒が遅くなること等も知られている。これらの現象の進行を防止あるいは改善するために、表皮細胞の増殖を促進させる成分の探索や、皮膚外用剤の提案が多くなされてきた。
また、皮膚は生体の最外層に位置し、紫外線等の影響により活性酸素が発生しやすい臓器であり、絶えずその酸素ストレスに曝されている。一方、皮膚細胞内には活性酸素消去酵素が存在しており、その能力を超える活性酸素が発生しない限り活性酸素の傷害から皮膚細胞を防衛している。ところが、皮膚細胞内の活性酸素消去酵素の活性は加齢と共に低下することが知られており、活性酸素による傷害がその防御反応を凌駕したとき、皮膚は酸化され、細胞機能が劣化して老化が進行すると考えられる。また、皮膚以外の臓器においても、その活性酸素消去能を超える活性酸素に曝されたとき、機能低下が起こり老化したり、ガンや心筋梗塞等様々な生活習慣病が発症したりすると考えられる。そこで、活性酸素による傷害からの防御を目的として活性酸素消去剤や抗酸化剤が検討され、SODやカタラーゼ等の活性酸素消去酵素、SOD様活性物質等の活性酸素消去剤や抗酸化剤を含有した食品、化粧品、医薬部外品及び医薬品等が開発されている(特許文献8、9)。
アルテア(学名:Althaea officinalis)は、アオイ科ビロードアオイ属に属する多年生植物である。アルテアの公知文献としては、美白効果(特許文献10)及び抗炎症効果(特許文献11)等が知られている。
一方で、植物の栽培方法によって植物の薬効を高める方法として、植物体内のビタミンやポリフェノール、ルチン等の機能性物質を特徴的に増加させる方法は、既に特許文献で報告されている。特許文献12には、大豆もやしに近紫外~青色領域波長の光を照射することにより、含有ビタミンA、ビタミンEを増量させる方法が開示されており、特許文献13には、小松菜に対して、人工紫外線照射を1日5分間行うことで、機能性物質であるα-トコフェロールやビタミンCを増加させる栽培方法が開示され、特許文献14には、人工光の青色光、赤色光及び遠赤色光の強度を調整することにより、小松菜、レタスのビタミンCやビタミンAを増加させる方法が開示されている。
特開平5-229931号公報 特開2000-119125号公報 特開2006-199611号公報 特開平3-44331号公報 特開2003-137801号公報 特開平5-186368号公報 特開2007-1924号公報 特開平9-118630号公報 特開平9-208484号公報 特開昭60-104005広報 特開2007-22923広報 特開平11-103680号公報 特開2004-305040号公報 特開平8-205677号公報
"Arthritis Rheumatism",vol.10,pp 357,1967 「結合組成」、金原出版、481項、1984年 「炎症」、日本炎症学会、11巻、16項、1991年 Varani J et al., J Invest Dermatol, Vol.3,pp 57-60,1998
本発明は、安全で安定性に優れ、メラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用、MMP阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、細胞増殖促進作用及び抗酸化作用に優れた新規な皮膚外用剤又は内用剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、この問題点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定の波長域を有する1種又は2種の人工光を同時に照射して栽培したアルテアの抽出物の、メラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用、MMP阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、細胞増殖促進作用及び抗酸化作用が優れていることを発見し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の(1)~(8)からなる。
(1)同一でない、それぞれの波長域を有する人工光を2種組み合わせて照射して栽培したアルテアの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(2)波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培したアルテアの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(3)波長域570~730nmと400~515nmとの光合成光量子束密度(PPFD)比が、8:1~1:1であることを特徴とする、(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)波長域570~730nmと400~515nmとの光合成光量子束密度(PPFD)比が、4:1~2:1であることを特徴とする、(2)に記載の皮膚外用剤。
(5)波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培することによって、太陽光で栽培したアルテアと比較して、メラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用、MMP阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、細胞増殖促進作用及び抗酸化作用から選ばれる1種又は2種以上の効果を高めることを特徴とするアルテア又はその栽培方法。
(6)波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培することによって、太陽光で栽培したアルテアと比較して、メラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用、MMP阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、細胞増殖促進作用及び抗酸化作用から選ばれる1種又は2種以上の効果を高めたアルテア又はその抽出物を含有することを特徴とする医薬品。
(7)波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培することによって、太陽光で栽培したアルテアと比較して、メラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用、MMP阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、細胞増殖促進作用及び抗酸化作用から選ばれる1種又は2種以上の効果を高めたアルテア又はその抽出物を含有することを特徴とする内用剤。
(8)波長域570~730nm又は400~515nmの人工光を照射して栽培したアルテアの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
本発明のアルテア又はその抽出物は、優れたメラニン生成抑制効果(美白効果)、コラーゲン産生促進効果、MMP阻害効果、ヒアルロン酸産生促進効果、細胞増殖促進効果及び抗酸化効果を有しており、医薬品、医薬部外品、化粧品及び食品の分野において貢献できるものである。
本発明に用いるアルテア(学名:Althaea officinalis)は、アオイ科ビロードアオイ属に属する多年生植物であり、別名ビロードアオイ、マーシュマロウ等と呼ばれる。低温耐性があり、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアにかけて広く生息する。葉は緑色で鋸歯を持つ卵心状型で厚く、星状毛がある。本発明において、アルテアの抽出物は、その花、種子、葉、茎、根等の植物体の一部又は植物体全体(全草)、あるいはそれらの混合物の抽出物をいうが、本発明において抽出原料として使用する部位は、根及び葉が好ましい。また、抽出には、植物体をそのまま使用しても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行っても良い。
栽培方法としては、土を用いた栽培や水耕栽培で行うことができる。水耕栽培で行う場合には、種子を播種後、出根した状態で、水耕栽培に供することができる。栽培は、温度、光、二酸化炭素濃度が制御された施設で栽培することが好ましい。栽培温度は、15~30℃、好ましくは20~25℃である。栽培期間は、照射する条件によって異なるが、概ね10~30日で収穫できる。これ以上の期間で栽培することも可能である。
光源は、植物の栽培施設で用いる光源等を使用することができ、中でもLED等の人工光が最も好ましい。人工光は、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード等の光半導体素子が挙げられるが、特定の範囲の波長域が選択的に照射できる光源であれば良い。
アルテアの栽培において、照射する波長としては、波長域400~515nmの青色光、570~730nmの赤色光であることが好ましく、波長域430~460nm、630~680nmの光がさらに好ましい。これらの光は、同時に照射することが最も好ましい。このときの波長は、照射スペクトルの極大波長(ピーク波長)のことをいう。このような波長のピークを有する光源であれば、独自に作製したものや市販のものを使用することもできる。また、上記波長を選択的に照射できるように、光学フィルタを用いても良い。上記の2種の範囲の光に加え、太陽光や蛍光灯等の光源も使用することもできる。
照射する光量としては、光合成有効光量子束密度(PPFD)として表される。発光体を2種組み合わせて照射する場合には、その合計の光量を意味する。その光量は、発芽後は10~300μmol・m-2-1が好ましく、50~200μmol・m-2-1がさらに好ましい。この範囲外の光強度の場合は、生育障害、生育不良になる場合がある。照射は、アルテアの上部10~50cmの位置から照射することが好ましい。照射時間は、植物の特性や目的に応じて適宜変更できるが、1日当たり6時間以上が好ましく、12~24時間がより好ましい。
赤色と青色の光量比においては、それぞれのPPFDの比を意味しており、収量や有効性等目的に応じて選択が可能である。
中でも、植物体の収量を高めるには、赤色と青色の光量比が8:1~2:1が好ましく、その中でも特に、赤色と青色の光量比が4:1~2:1に高い収量が得られた。
メラニン生成抑制作用においては、赤色と青色の光量比が8:1~1:1が効果の面で好ましい。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1が最も好ましい。
I型コラーゲン(COL1A)発現促進作用においては、赤色と青色の光量比が4:1~1:1が効果の面で好ましい。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1が最も好ましい。
MMP1 mRNA発現抑制作用においては、赤色と青色の光量比が8:1~1:1が効果の面で好ましい。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1が最も好ましい。
MMP2 mRNA発現抑制作用においては、赤色と青色の光量比が8:1~1:1が効果の面で好ましい。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1が最も好ましい。
ヒアルロン酸合成酵素2(HAS2)発現促進作用においては、赤色と青色の光量比が8:1~1:1が効果の面で好ましい。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1が最も好ましい。
細胞増殖促進作用においては、赤色と青色の光量比が8:1~2:1が効果の面で好ましい。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1が最も好ましい。
活性酸素消去作用(フリーラジカル捕捉除去作用)においては、赤色と青色の光量比が8:1~1:1が効果の面で好ましい。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1及び3:1が最も好ましい。
以上のことを総じていえば、赤色と青色の光量比が8:1~1:1が好ましく、4:1~2:1が最も好ましい。
抽出方法は、特に限定されないが、水もしくは熱水、又は水と有機溶媒の混合溶媒を用い、撹拌又はカラム抽出する方法等により行うことができる。抽出溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等)、液状多価アルコール類(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いても良い。特に好ましい抽出溶媒としては、水、水-エタノールの混合極性溶媒又は水-1,3-ブチレングリコールの混合極性溶媒が挙げられる。溶媒の使用量については、特に限定はなく、例えばアルテアの根及び葉(乾燥重量)に対し、10倍以上、好ましくは20倍以上であれば良いが、抽出後に濃縮を行ったり、単離したりする場合の操作の便宜上100倍以下であることが好ましい。また、抽出温度や時間は、用いる溶媒の種類や抽出時の圧力等によって適宜選択できる。
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良いが、必要に応じて、本発明の効果を奏する範囲で、濃縮(減圧濃縮、膜濃縮等による濃縮)、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノール沈殿等の処理を行ってから用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
本発明は、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分が含有されていても良い。
本発明は、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、錠菓、チョコレート、ガム、飴、飲料、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液等が挙げられる。
外用の場合、本発明に用いる上記抽出物の含有量は、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001~10重量%がより好ましい。さらに、0.01~5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を超えると、効果の増強は認められにくく不経済である。
内用の場合、摂取量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なる。通常、成人1人当たりの1日の摂取量としては、5mg以上が好ましく、10mg~5gがより好ましい。さらに、20mg~2gが最も好ましい。
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、実験例及び処方例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。製造例に示す%とは重量%を、処方例に示す含有量の%とは重量%を示す。
(1)実験材料及び生育条件
水分を含んだバーミキュライトにアルテアの種子を播種し、温度22~25℃・暗所で発芽させ、22~26℃で蛍光灯下で栽培し、育苗した。その後、幼芽をスポンジに包み、水耕栽培装置を用いて、室温21~25℃で24時間、植物の真上30cmの位置から、赤色LED(ピーク波長660nm)及び青色LED(ピーク波長450nm)を同時に照射し、赤色と青色LEDの合計光合成有効光量子束密度100μmol・m-2-1となるように、赤色と青色の光量比を1:0~0:1にして、栽培を行った。尚、栽培中は光量比を変えなかった。また、比較例として太陽光下で栽培を行った。いずれも4週間栽培した後、収穫し、約60℃で温風乾燥させることで、アルテアの乾燥物を得た(表1)。
Figure 2023049255000001
(2)アルテアの抽出物の製造例
アルテアの抽出物を以下の通り製造した。製造例1A~4Aにおいて、抽出材料には赤色:青色=2:1の比で栽培したアルテアの根及び葉を用いた。
(製造例1A)アルテアの熱水抽出物の調製
アルテアの乾燥物10gに200mLの水を加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してアルテアの熱水抽出物を2.3g得た。
(製造例2A)アルテアの50%エタノール抽出物の調製
アルテアの乾燥物10gを200mLの50%エタノール水溶液に室温で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してアルテアの50%エタノール抽出物を1.2g得た。
(製造例3A)アルテアのエタノール抽出物の調製
アルテアの乾燥物10gを200mLのエタノールに室温で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレーターで濃縮乾固してアルテアのエタノール抽出物を0.3g得た。
(製造例4A)アルテアの1,3-ブチレングリコール抽出物の調製
アルテアの乾燥物10gを200mLの1,3-ブチレングリコールに室温で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過して、アルテアの1,3-ブチレングリコール抽出物を195g得た。
上記と同様に、赤色と青色LEDの合計光合成有効光量子束密度100μmol・m-2-1となるように、赤色と青色の光量比を変化させて栽培したアルテア又は比較例として太陽光で栽培したアルテアを用い、上記の製造例1A~4Aと同様に抽出し、製造例1B~4C、比較製造例1~4とした(表2)。
Figure 2023049255000002
(処方例1) 化粧水
処方 含有量(%)
1.アルテアの熱水抽出物(製造例1A) 2.0
2.1,3-ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~6及び11と、成分7~10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
(比較処方例1) 従来の化粧水
処方例1において、アルテアの熱水抽出物(製造例1A)をアルテアの熱水抽出物(比較製造例1)に置き換えたものを、従来の化粧水とした。
(処方例2) クリーム
処方 含有量(%)
1.アルテアの50%エタノール抽出物(製造例2B) 1.0
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.1,3-ブチレングリコール 8.5
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
(比較処方例2) 従来のクリーム
処方例2において、アルテアの50%エタノール抽出物(製造例2B)をアルテアの50%エタノール抽出物(比較製造例2)に置き換えたものを、従来のクリームとした。
(処方例3) 乳液
処方 含有量(%)
1.アルテアのエタノール抽出物(製造例3C) 0.01
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分10~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
(処方例4) ゲル剤
処方 含有量(%)
1.アルテアの1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例4A) 1.0
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3-ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~5と、成分1及び6~11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
(処方例5) パック
処方 含有量(%)
1.アルテアの熱水抽出物(製造例1C) 1.0
2.アルテアの1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例4B) 5.0
3.ポリビニルアルコール 12.0
4.エタノール 5.0
5.1,3-ブチレングリコール 8.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
8.クエン酸 0.1
9.クエン酸ナトリウム 0.3
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~11を均一に溶解し製品とする。
(処方例6) ファンデーション
処方 含有量(%)
1.アルテアの50%エタノール抽出物(製造例2C) 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
10.ベントナイト 0.5
11.プロピレングリコール 4.0
12.トリエタノールアミン 1.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.二酸化チタン 8.0
15.タルク 4.0
16.ベンガラ 1.0
17.黄酸化鉄 2.0
18.香料 適量
19.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9をよく膨潤させ、続いて、成分1及び10~13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14~17を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。油相に水相をかき混ぜながら加え、乳化する。その後、冷却し、45℃で成分18を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
(処方例7) 浴用剤
処方 含有量(%)
1.アルテアのエタノール抽出物(製造例3A) 1.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 適量
4.香料 適量
5.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1~5を均一に混合し製品とする。
(処方例8) 軟膏
処方 含有量(%)
1.アルテアの熱水抽出物(製造例1B) 5.0
2.アルテアの1,3-ブチレングリコール抽出物(製造例4C) 1.0
3.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
4.モノステアリン酸グリセリン 10.0
5.流動パラフィン 5.0
6.セタノール 6.0
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8.プロピレングリコール 10.0
9.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分3~6を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、2及び7~9を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
(処方例9) 散剤
処方 含有量(%)
1.アルテアの熱水抽出物(製造例1C) 1.0
2.乾燥コーンスターチ 39.0
3.微結晶セルロース 60.0
[製造方法]成分1~3を混合し、散剤とする。
(処方例10) 錠剤
処方 含有量(%)
1.アルテアのエタノール抽出物(製造例3B) 5.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1~4を混合し、次いで成分5の水溶液を結合剤として加えて顆粒成型する。成型した顆粒に成分6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
(処方例11) 錠菓
処方 含有量(%)
1.アルテアのエタノール抽出物(製造例3A) 2.0
2.乾燥コーンスターチ 49.8
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 0.1
7.精製水 0.1
[製造方法]成分1~4及び7を混合し、顆粒成型する。成型した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.0gとする。
(処方例12) 飲料
処方 含有量(%)
1.アルテアの熱水抽出物(製造例1B) 0.05
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~3を少量の水に溶解する。次いで、成分4及び5を加えて混合する。
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
(実験例1) B16マウスメラノーマを用いたメラニン生成抑制試験
B16マウスメラノーマ細胞をφ60mm dishに3×10個播種し、各試料を最終濃度1μg/mLとなるように添加した10%FBSを含むMEM培養液にて、37℃、5%CO条件下にて5日間培養した。培養後、細胞の剥離を行い、遠心操作をして得られたペレットを超音波破砕操作によりPBS(-)に溶解させた。タンパク質定量は、Lowry法(J.Biol.Chem.,193,265-275,1951)を用いて行った。また、メラニン量を測定する場合、タンパク質定量用に取った残りの細胞破砕液に4N NaOHを加え、60℃にて2時間加温した後、分光光度計(島津製作所)を用いて475nmにおける吸光度を測定し、検量線からメラニン量を求め、タンパク質1mg当たりのメラニン量を算出した。メラニン生成抑制率は、コントロール(試料未添加)群に対する試料添加群のメラニン量の減少量の割合から算出した。
これらの実験結果を表3に示した。その結果、本発明のアルテアの抽出物は、優れたメラニン生成抑制作用を有していることが認められた。特に、赤色と青色の光量比が2:1に高い効果が認められた。尚、他の抽出方法で得られた本発明のアルテアの抽出物(製造例1A~4C)にも同等の効果が認められた。
Figure 2023049255000003
(実験例2) I型コラーゲン(COL1A1)、MMP1、MMP2及びヒアルロン酸合成酵素2(HAS2) mRNA発現量の測定
COL1A1、MMP1、MMP2及びHAS2 mRNA発現量の測定を行った。ヒト皮膚線維芽細胞をφ60mm dishに1×10個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO条件下で培養した。コンフルエントな状態になったところで、各試料を最終濃度1、10及び100μg/mLとなるように添加したDMEM(-)培養液にて24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出はRNAiso Plus(タカラバイオ)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(Nanodrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT-PCR法により行った。リアルタイムRT-PCR法には、High Capacity RNA-to-cDNA Kit(Applied Biosystems)及びSYBR Select Master Mix(Applied Biosystems)を用いた。即ち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:60秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、COL1A1、MMP1、MMP2及びHAS2 mRNAの発現量を、内部標準であるβ-actin mRNAの発現量に対する割合として求めた。COL1A1発現促進率は、コントロール(試料未添加)群のCOL1A1 mRNAの発現量に対する試料添加群のCOL1A1 mRNAの発現量の比率として算出した。MMP1発現抑制率、MMP2発現抑制率及びHAS2発現促進率についても、同様に算出した。尚、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマーは次の通りである。
COL1A1用のプライマーセット
AGGACAAGAGGCATGTCTGGTT(配列番号1)
TTGCAGTGGTAGGTGATGTTCTG(配列番号2)
MMP1用のプライマーセット
GGGAGATCATCGGGACAACTC(配列番号3)
TGAGCATCCCCTCCAATACC(配列番号4)
MMP2用のプライマーセット
CCGTCGCCCATCATCAA(配列番号5)
CTTCTGCATCTTCTTTAGTGTGTCCTT(配列番号6)
HAS2用のプライマーセット
TGGATGACCTACGAAGCGATTA(配列番号7)
GCTGGATTACTGTGGCAATGAG(配列番号8)
β-actin用のプライマーセット
CACTCTTCCAGCCTTCCTTCC(配列番号9)
GTGTTGGCGTACAGGTCTTTG(配列番号10)
これらの実験結果を表4~7に示した。その結果、本発明のアルテアの抽出物には、優れたCOL1A1発現促進効果(コラーゲン産生促進作用)、MMP1発現抑制効果(MMP1阻害作用)、MMP2発現抑制効果(MMP2阻害作用)及びHAS2発現促進効果(ヒアルロン酸産生促進作用)が認められた。特に赤色と青色の光量比が8:1~1:1に高い効果が認められた。その中でも特に、赤色と青色の光量比が2:1に高い効果が認められた。尚、他の抽出方法で得られた本発明のアルテアの抽出物(製造例1A~4C)にも同等の効果が認められた。
Figure 2023049255000004
Figure 2023049255000005
Figure 2023049255000006
Figure 2023049255000007
(実験例3) 細胞増殖促進試験
ヒト由来ケラチノサイトを、0.1%FBSを含むDMEM培養液にて、96wellプレートに1well当たり1×10個播種し、各試料を最終濃度が0.01、0.1、1及び10μg/mLとなるように添加した後、37℃、5%CO条件下にて5日間培養した。細胞数の測定は、染色法により行った。即ち、培養終了後、培養液を除き、メタノールを用いて細胞を固定した。続いて、0.1%メチレンブルーを加え、1時間細胞の染色を行った。乾燥させた後、0.1N HClを各wellに100μLずつ加えてよく撹拌させ、マイクロプレートリーダーを用いて650nmにおける吸光度を測定した。細胞増殖率は、コントロール(試料未添加)群の細胞量に対する試料添加群の細胞量の比率として算出した。
これらの実験結果を表8に示した。その結果、本発明のアルテアの抽出物は優れた細胞増殖促進作用を示した。特に、赤色と青色の光量比が2:1に高い効果が認められた。尚、他の抽出方法で得られた本発明のアルテアの抽出物(製造例1A~4C)にも同等の効果が認められた。
Figure 2023049255000008
(実験例4) 活性酸素消去作用
フリーラジカル捕捉除去作用の評価を行った。フリーラジカルのモデルとしては、安定なフリーラジカルであるα,α-ジフェニル-β-ピクリルヒドラジル(以下DPPHとする)を用い、試料と一定の割合で一定時間反応させ、減少するラジカルの量を517nmの吸光度の減少量から測定した。
フリーラジカル捕捉除去作用の測定方法
各試料を、終濃度10~500μg/mLとなるように加えた1.0M酢酸緩衝液(pH5.5)2mLにエタノール2mL及び0.5mM DPPHエタノール溶液1mLを加えて反応液とした。また、油溶性の試料の場合は、エタノール2mLに試料を加えて反応液とした。その後、37℃で30分間反応させ、水を対照として517nmの吸光度(A)を測定した。また、ブランクとして試料の代わりに精製水を用いて吸光度(B)を測定した。フリーラジカルの捕捉除去率は、以下に示す式より算出した。
フリーラジカル捕捉除去率(%)=(1-A/B)×100
これらの試験結果を、表9に示した。本発明のアルテア抽出物は、安定で優れたフリーラジカル捕捉除去作用(抗酸化作用)を有していることが認められた。特に、赤色と青色の光量比が8:1~1:1に高い効果が認められた。その中でも特に、赤色と青色の光量比が3:1~2:1に高い効果が認められた。尚、他の抽出方法で得られた本発明のアルテアの抽出物(製造例1A~4C)にも同等の効果が認められた。
Figure 2023049255000009
(実験例5) 使用試験
処方例2のクリーム及び比較処方例2の従来のクリームを用いて、シワ、たるみがある5人(25~66歳)を対象に1ヶ月間の使用試験を行った。使用後、シワ、たるみの程度をアンケートにより判定した。
その結果、本発明の抽出物を含有するクリームにより、シワ、たるみが軽減した。尚、試験期間中、皮膚トラブルは1人もなく、安全性においても問題なかった。また、処方成分の劣化についても問題なかった。
また、処方例1の化粧水及び比較処方例1の従来の化粧水を用い、同様に使用試験を行った。その結果、本発明の抽出物を含有する化粧水により、シワ、たるみの軽減が認められた。
以上のことから、本発明のアルテアの抽出物は、優れたメラニン生成抑制作用、コラーゲン産生促進作用、MMP阻害作用、ヒアルロン酸産生促進作用、細胞増殖促進作用及び抗酸化作用を有し、安定性にも優れていた。よって、本発明のアルテアの抽出物は、皮膚の老化といった美容分野だけではなく、老化による機能低下の抑制、ガンの予防、治療等といった医療分野にも利用でき、化粧品、食品、医薬部外品及び医薬品への応用が期待される。

Claims (8)

  1. 同一でない、それぞれの波長域を有する人工光を2種組み合わせて照射して栽培したアルテアの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
  2. 波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培したアルテアの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
  3. 波長域570~730nmと400~515nmとの光合成光量子束密度(PPFD)比が、8:1~1:1であることを特徴とする請求項2に記載の皮膚外用剤。
  4. 波長域570~730nmと400~515nmとの光合成光量子束密度(PPFD)比が、4:1~2:1であることを特徴とする請求項2に記載の皮膚外用剤。
  5. 波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培することによって、太陽光で栽培したアルテアと比較して、メラニン生成抑制効果、コラーゲン産生促進効果、MMP阻害効果、ヒアルロン酸産生促進効果、細胞増殖促進効果及び抗酸化効果から選ばれる1種又は2種以上の効果を高めることを特徴とするアルテア又はその栽培方法。
  6. 波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培することによって、太陽光で栽培したアルテアと比較して、メラニン生成抑制効果、コラーゲン産生促進効果、MMP阻害効果、ヒアルロン酸産生促進効果、細胞増殖促進効果及び抗酸化効果から選ばれる1種又は2種以上の効果を高めたアルテア又はその抽出物を含有することを特徴とする医薬品。
  7. 波長域570~730nm及び400~515nmの人工光を照射して栽培することによって、太陽光で栽培したアルテアと比較して、メラニン生成抑制効果、コラーゲン産生促進効果、MMP阻害効果、ヒアルロン酸産生促進効果、細胞増殖促進効果及び抗酸化効果から選ばれる1種又は2種以上の効果を高めたアルテア又はその抽出物を含有することを特徴とする内用剤。
  8. 波長域570~730nm又は400~515nmの人工光を照射して栽培したアルテアの抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
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