図1に、本発明を適用した印刷装置としての感熱デジタル製版一体型の孔版印刷装置の概略を示す。この孔版印刷装置100は、装置本体67の上部に、原稿画像を読取るための原稿読み取り部としての原稿読み取り手段であるイメージスキャナ61を備えている。このイメージスキャナ61は、コンタクトガラス62上にセットされた原稿を照明するためのランプ63を備えたキャリッジ60、その他、複数のミラー64、結像レンズ65及び1次元アレイ状のCCD66等により構成されている。
孔版印刷装置100は、イメージスキャナ61の下部に、回転自在に支持された版胴68を中心とする印刷部69と、感熱孔版原紙からなる未使用のマスタ70をロール状としたマスタロール70aを交換可能に内蔵し、マスタロール70aから引き出されたマスタ70を穿孔し製版済みのマスタ70を版胴68に供給する製版部としての製版手段である製版装置71とを備えている。
孔版印刷装置100はまた、版胴68の外周に、給紙される印刷媒体である用紙としての印刷用紙Pを版胴68に向けて押圧するための押圧体としてのプレスローラ20と、版胴68から印刷用紙Pを剥離する進退自在な剥離爪75と、印刷工程の前に版胴68に巻き付けられた使用済みのマスタ70を剥離する排版手段である排版装置76とを備えている。
孔版印刷装置100はまた、印刷部69に向けて印刷用紙Pを供給する給紙手段である給紙装置52と、剥離爪75によって版胴68から剥離された印刷用紙Pを搬送する用紙搬送装置84と、用紙搬送装置84によって搬送されてきた印刷済みの印刷用紙Pを積載する排紙トレイとしての排紙台85と、主に版胴68の内部に位置するインキ供給装置10と、版胴駆動手段である駆動モータとしてのメインモータ11とを備えている。
孔版印刷装置100はまた、プレスローラ20を版胴68に向けて変位させたり版胴68から離間した位置に位置保持したりする押圧体変位手段22と、ユーザ等のオペレータすなわち操作者が孔版印刷装置100の操作を行うための図2に示す操作パネル91と、孔版印刷装置100の動作等の全般を制御する図2に示す制御手段としての制御部90とを備えている。
版胴68は、その外周の一部に配設された、製版済みのマスタ70の端部を把持するクランプ装置73と、図示しない開口部と非開口部とを備えた図示しない多孔性支持円筒体と、この多孔性支持円筒体の外周を覆う樹脂あるいは金属網体である図示しない複数層のメッシュスクリーンと、多孔性支持円筒体の両端に固定された図示しないドラムフランジとを有し、図示しないギヤ列を介してメインモータ11に連結されている。
多孔性支持円筒体の開口部は、インキ供給装置10によって供給されるインキを透過させるための小さな孔が多数形成された部分であり、透過したインキが、メッシュスクリーンから滲み出るように構成されている。
各ドラムフランジは、インキ供給軸であるインキ供給パイプとしての図1に示すドラム軸25に回転自在に支持されている。ドラム軸25は、装置本体67の図示しない本体側板に支持されている。よって、版胴68は、ドラムフランジにてドラム軸25により回転自在に支持されている。
図1に示すように、版胴68は、ドラム軸25を回転中心とするギヤ12と一体化されている。メインモータ11は、ステッピングモータであって、本体側板に固定されており、ギヤ12と噛み合うギヤ13を有している。よって版胴68はメインモータ11により回転駆動されるようになっている。版胴68は図1において時計回り方向に回転駆動される。
クランプ装置73は、版胴68の母線の1つに沿って多孔性支持円筒体のメッシュスクリーン以外の非開口部に配設された、磁性体で構成されたステージ14と、ステージ14に対して開閉する、マグネット等が貼着された、ステージ14との間でマスタ70の先端を挟持するクランパ42とを有している。
クランプ装置73はまた、ステージ14と平行に、図1における紙面垂直方向に配設され、クランパ42の回転中心をなす、本体側板に回転自在に支持されたクランパ軸43と、クランパ42を、所定位置において、ステージ14に対して開閉させる、図示しない開閉装置とを有している。
インキ供給装置10は、版胴68の内周面に対向して配設され版胴68にインキ15を供給するインキローラ16と、インキローラ16に対向しインキローラ16に僅かに隙間を設けて配設されインキローラ16との間で楔状空間を形成しこの楔状空間にインキ溜り17を形成するドクタローラ18と、インキ溜り17にインキ15を滴下して供給するドラム軸25と、版胴68内部に対向配設されインキローラ16及びドクタローラ18をその間に回転自在に支持した一対の図示しないインキローラ側板とを有している。
インキ供給装置10はまた、図示を省略するが、ドラム軸25の一端に接続された、版胴68の外部に位置するインキパックと、インキパック内のインキをドラム軸25に向けて供給する、版胴68の外部に位置するインキポンプと、インキ溜り17のインキ量を検知するインキセンサと、メインモータ11の駆動力をインキローラ16及びドクタローラ18に伝達し、インキローラ16及びドクタローラ18を版胴68と同期して版胴68と同じ方向に回転駆動する、ギヤ、ベルト等によって構成された駆動力伝達機構とを有している。
ドラム軸25は、その軸方向にインキ滴下孔である供給穴としての複数の孔25aが形成されており、インキ供給パイプの機能を有している。ドラム軸25は、インキローラ側板を、その両端部に固設されている。
インキローラ16は、その回転中心をなすインキローラ軸21を有しており、インキローラ軸21はその両端部をインキローラ側板に回転自在に支持されている。ドクタローラ18もインキローラ16と同様にしてインキローラ側板に回転自在に支持されている。
よって、インキローラ16とドクタローラ18とが回転することでインキ溜り17のインキ15を混練して伸ばし、インキ溜り17のインキ15が、インキローラ16とドクタローラ18との間からインキローラ16の外表面を経て、版胴68の内周面に供給されるようになっている。
版胴68の内周面に供給されたインキ15は、多孔性支持円筒体、複数層のメッシュスクリーンを介して版胴68の外周面に滲み出る。
インキ15が消費されインキ溜り17のインキ量がインキセンサによって低減したことが検知されると、インキパック内のインキがインキポンプにより吸引され、ドラム軸25に形成された複数の孔から、インキ溜り17に供給される。
プレスローラ20は、版胴68の下方に位置している。プレスローラ20は、芯金と、円筒形状に成形され芯金の周囲に装着された弾性体としてのニトリルゴムまたはクロロプレンゴムとを有している。
プレスローラ20は、押圧体変位手段22により所定のタイミングで版胴68に向けて変位し、版胴68との対向部であるニップ部Nにおいて、印刷用紙Pを版胴68に向けて押圧することで版胴68に巻装されたマスタ70に押し付け、マスタ70から滲み出てくるインキを印刷用紙Pに付着させて印刷を行うものである。
排版装置76は、版胴68からマスタ70を剥ぎ取って搬送するマスタ剥離装置53と、マスタ剥離装置53によって版胴68から剥ぎ取られ搬送されてきた使用済みのマスタ70を収納する排版ボックス54とを有している。
給紙装置52は、昇降自在に設けられた印刷用紙Pを積載する給紙台81と、給紙台81の上方に配設された給紙ローラ82と、版胴68の回転運動に同期して駆動され、給紙ローラ82により繰り出された印刷用紙Pを印刷部69に給送するレジストローラ対83と、給紙ローラ82により繰り出された印刷用紙Pをレジストローラ対83に案内するとともに、レジストローラ対83から印刷部69に向けて給送された印刷用紙Pをニップ部Nに案内するガイド板40、41と、図示しない用紙検出装置とを有している。
給紙ローラ82は、給紙台81上に積載された印刷用紙Pのうち最上位の印刷用紙Pを繰り出すものであって、定位置において回転されるようになっている。給紙台81は、最上位の印刷用紙Pが給紙ローラ82に当接するよう、印刷用紙Pの枚数、厚さに応じて上昇、下降が制御される。レジストローラ対83は、マスタ70の画像領域がニップ部Nに進入する所定のタイミングで印刷用紙Pをニップ部Nに給送する。
用紙搬送装置84は、駆動ローラ55及び従動ローラ56と、駆動ローラ55及び従動ローラ56に巻き掛けられた排紙ベルトとしての搬送ベルト58と、搬送ベルト58に印刷用紙Pを吸着させるための吸着ファン57とを有している。
排紙台85は、印刷部69で印刷後の印刷用紙Pが排出され、この印刷用紙Pを積層保持するものである。
製版装置71に使用可能なマスタ70は、厚みがおよそ1〜3μmの熱可塑性樹脂フィルムに、多孔質支持体の支持シートである和紙繊維、合成繊維又は和紙繊維と合成繊維を混抄したものを張り合わせたラミネート構造をなしている。
製版装置71は、マスタロール70aを回転自在に保持するとともにマスタロール70aから繰り出されるマスタ70の搬送をガイドするホルダ手段としてのマスタフランジ88と、マスタロール70aからマスタ70を引き出すローラ対89と、ローラ対89によって引き出されたマスタ70をさらに搬送するプラテンローラ77と、プラテンローラ77に対向配置された製版ヘッドとしての穿孔部材であるサーマルヘッド78とを有している。
製版装置71はまた、製版済みのマスタ70を所定長さに切断するカッタ80と、サーマルヘッド78によって穿孔され作成された製版済みのマスタ70を版胴68に向けて搬送するローラ対79と、製版済みのマスタ70を版胴68に向けて案内するガイド板74とを有している。
製版装置71はまた、プラテンローラ77をサーマルヘッド78に接離する方向に駆動するためのソレノイドである押圧部材駆動手段としてのプラテンローラ変位駆動手段33と、マスタロール70aを構成しているマスタ70の残量が少なくなったことを検知する終了検知手段としてのマスタエンドセンサ34とを有している。
製版装置71はまた、図2に示すように、プラテンローラ77を図1において時計回り方向に回転駆動するステッピングモータであるプラテンローラ回転駆動手段としてのプラテンローラ回転駆動モータ31と、ローラ対89、79を回転駆動するステッピングモータであるマスタ搬送駆動手段としてのマスタ搬送駆動モータ32と、マスタフランジ88と一体に配設され、マスタロール70aの交換を検知する交換検知手段35とを有している。
製版装置71はまた、図示しないが、プラテンローラ77をその間に回転自在に支持した図示しない一対の製版部側板と、プラテンローラ77をサーマルヘッド78から離間する方向に付勢しサーマルヘッド78に接離可能に離間させている図示しないスプリングとを有している。
マスタロール70aは、巻き付け部材としての巻き芯であるロール芯37に、マスタ70を巻き付けてロール状としたものであって、マスタフランジ88は、ロール芯37を着脱自在且つ回転自在に保持することで、マスタロール70aを、着脱自在且つ、ロール芯37を中心に回転自在に保持している。
サーマルヘッド78は、マスタ70の幅方向である図1の紙面に垂直な方向に沿って、無数の発熱素子によって構成された発熱部を有している。マスタ70の熱可塑性樹脂フィルムがサーマルヘッド78側に位置しており、サーマルヘッド78は、発熱部により、ローラ対89、79、プラテンローラ77によって搬送されるマスタ70の熱可塑性樹脂フィルム部分を溶融穿孔するようになっている。発熱部を構成する各発熱素子は、通電により発熱するようになっており、各発熱素子への通電制御は、制御部90によって行われるようになっている。
ローラ対89、79は製版部側板間に、互いに圧接した状態で回転自在に支持されている。マスタ搬送駆動モータ32は、通電によりローラ対89、79を回転駆動するようになっており、マスタ搬送駆動モータ32への通電制御は、制御部90によって行われる。
プラテンローラ77は、スプリングによりサーマルヘッド78から離間する向きに付勢されているが、プラテンローラ変位駆動手段33に通電が行われると、スプリングの付勢力に抗してサーマルヘッド78に圧接する方向に変位する。プラテンローラ変位駆動手段33への通電制御は、制御部90によって行われる。
プラテンローラ77は、マスタ70を発熱部に押圧するための押圧部材として機能するものであって、プラテンローラ変位駆動手段33への通電が行われているときには、プラテンローラ77は、スプリングの付勢力に抗して、マスタ70を発熱部に押圧する押圧位置を占め、また、プラテンローラ変位駆動手段33への通電が行われていないときには、スプリングの付勢力によって、押圧位置よりも発熱部から離間した離間位置を占める。
このように、プラテンローラ変位駆動手段33は、プラテンローラ77を押圧位置と離間位置との間で駆動するものである。なお、プラテンローラ77が離間位置を占めるときにマスタ70が発熱部から離間するように、ローラ対89、79の配設位置が調整されている。
プラテンローラ回転駆動モータ31は、通電によりプラテンローラ77を回転駆動するようになっており、プラテンローラ回転駆動モータ31への通電制御は、制御部90によって行われる。
ローラ対79によるマスタ70の搬送速度は、プラテンローラ77によるマスタ70の搬送速度より速く設定されており、マスタ70との間で滑りを生じながら、マスタ70に所定の張力を付与するようになっている。カッタ80は、本形態においてはギロチンタイプの上下刃を備えたものであるが、その他回転刃移動タイプのロータリータイプ等であっても良い。ガイド板74は、製版部側板間に固設されている。
サーマルヘッド78は、イメージスキャナ61にて読み取った原稿に基づく画像データその他パーソナルコンピュータ等の外部装置から入力された画像データに基づいて発熱素子が発熱しマスタ70の穿孔を行う。
交換検知手段35は、ロール芯37の着脱を検知するプッシュスイッチであり、ロール芯37が取り外された後に装着されると、マスタロール70aが交換された旨の信号を制御部90に送信する。
図3に、マスタ70が残り少なくなった状態のマスタロール70aを示す。同図に示すように、残り少ないロール芯37近傍のマスタ70には、マスタ70の終了を表す有色、本形態では黒色の塗料23が塗布されている。塗料23の塗布位置は、同図(b)の上下方向に対応する、マスタ70の幅方向における一方の端部の近傍とされている。塗料は、マスタ70がロール芯37に接着されている巻き付けの開始位置から、マスタ70の長さにおいて1000mmにわたって塗布されている。
同図において一点鎖線は、マスタロール70aからのマスタ70の繰り出し位置を示している。塗料23は、マスタ70をロール芯37に巻装してマスタロール70aを形成するにあたってマスタ70にしわなどの不具合が生じないように、薄く塗布されている。そのため、同図に示されているように、マスタロール70aから繰り出されたマスタ70上の塗料23は薄く見え、マスタロール70aから繰り出される前の、ロール芯37に幾重にも巻き付けられた部分の塗料23は濃く見えている。
塗料23には、これがサーマルヘッド78に付着し発熱部の熱によって溶融すると、サーマルヘッド78を腐食等させ劣化させる可能性のある成分が含まれていることがある。溶融した塗料23がサーマルヘッド78に付着することによるサーマルヘッドの腐食が進行すると、サーマルヘッド78が破壊に至る可能性がある。
マスタエンドセンサ34は、マスタ70の幅方向における塗料23の配設位置に対応して配設されているとともに、図1に示すように、マスタ70の、マスタロール70aから繰り出される前の部分に対向するように配設されている。
マスタエンドセンサ34は、光を射出する射出部と、射出部から射出された光のうちマスタ70によって反射された光を受ける受光部とを備えた反射型のセンサである。よって、マスタ70が残り少なくなり、マスタ70の、塗料23が塗布された部分が露出すると、マスタエンドセンサ34の受光量が少なくなり、これによって、マスタ70の残量が後約1000mmであることが検知される。その旨の検知信号は、制御部90に送信され、制御部90においてマスタ70の残り量が少なくなったことが認識される。
マスタローラ70a上におけるマスタエンドセンサ34による検知位置から、発熱部によるマスタ70の穿孔位置までの長さは、マスタ70の長さにおいて300mmとなっている。よって、マスタエンドセンサ34によってマスタ70の残量が少なくなったことが検知されたときにおけるマスタ70の残量は、1000mmに300mmを加えた1300mmとなっている。
操作パネル91は、孔版印刷装置100による印刷に際して必要な操作を行うための操作キー87と、孔版印刷装置100の状態などを操作者に報知するための表示を行う表示部96とを備えている。
表示部96は、タッチパネル式の液晶表示パネルであって、孔版印刷装置100の状態、例えばマスタロール70aを交換すべき状態となっていることなどを操作者に報知するための表示を行うようになっているとともに、その他、操作キー87のように、孔版印刷装置100に対する所定の操作を行うことができるようになっている。
操作キー87は、製版装置71における製版を開始させる製版開始命令信号を入力する製版スタートキー92と、印刷枚数等の数字を入力するテンキー93と、印刷速度を設定する印刷速度設定手段としての印刷速度設定キー94とを含んでいる。
制御部90は、CPU97と、孔版印刷装置100の動作プログラム及びこの動作プログラムの動作に必要な各種データを記憶した第1の記憶手段としてのROM98と、イメージスキャナ61にて読み取った画像データなど孔版印刷装置100の動作に必要なデータを記憶する第2の記憶手段としてのRAM99等を備えた構成となっている。
制御部90は、マスタ70の残量が少ないことをマスタエンドセンサ34が通知してきたことを条件として、マスタ搬送駆動モータ32への通電のパルス数により、マスタ70の搬送量言い換えると搬送長さを監視している。なおマスタ70の搬送量は、これに換えて、又はこれとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31への通電のパルス数によって監視しても良い。ここに、制御部90は、マスタ70の搬送量を検知する搬送量検知手段として機能する。
ROM98には、マスタ70の残量が少ないことをマスタエンドセンサ34が通知してきてからの、マスタローラ70a上におけるマスタエンドセンサ34による検知位置までにマスタ70がロール芯37に巻き付けられている長さが1000mmであること、及び、マスタローラ70a上におけるマスタエンドセンサ34による検知位置から発熱部によるマスタ70の穿孔位置までの距離に相当するマスタ70の搬送長さが300mmであることが記憶されている。
ただし、実際には、ROM98には、これらの長さが、マスタ搬送駆動モータ32ないしプラテンローラ回転駆動モータ31への通電のパルス数に換算された状態で記憶されている。例えば、マスタ搬送駆動モータ32への通電の1パルスあたりのマスタ70の送り量が0.1mmであるとすると、長さ1000mmは10000パルスに相当し、長さ300mmは3000パルスに相当し、また長さ1300mmは13000パルスに相当するものであり、これらがROM98に記憶されている。ここに、ROM98は、マスタエンドセンサ34がマスタ70の残量が少ないことを検知した時点における初期のマスタ70の残量を記憶した初期残量記憶手段として機能する。マスタ70の残量が少ないことをマスタエンドセンサ34が通知した時点で残っているマスタ70の長さ1300mmは、孔版印刷装置100において印刷可能な最大サイズの用紙Pに対応した1版分のマスタ70の長さよりも長いものである。
CPU97は、かかるパルス数から、実際に行った通電のパルス数を減算する。ここに、CPU97は、残量算出手段として機能する。CPU97は、算出したパルス数をRAM99に送信する。
RAM99は、CPU97で算出され送信されてきたパルス数を記憶する。このパルス数は、マスタ70の残量を意味する値である。ただし、マスタエンドセンサ34によってマスタ70の残量が少ないことが検知されるまでは、RAM99には、マスタ残量が1版分の製版を行うのに十分な量である旨のデータが記憶されている。
RAM99は、かかるパルス数を記憶した後、交換検知手段35によって、マスタロール70aが交換された旨の信号を制御部90で受けると、かかるパルス数に換えて、マスタ残量が1版分の製版を行うのに十分な量である旨のデータを記憶する。ここに、RAM99は、残量記憶手段として機能する。
ROM98又はRAM99には、マスタ70の幅方向における塗料23の塗布位置が記憶されている。なお、制御部90は、製版装置71を制御するときには、製版装置71としての機能を果たすため製版装置71の一部として備えられているに等しいものであって、製版装置71を構成するものである。
このような孔版印刷装置100全体の一連の印刷動作について説明する。この説明の後に、製版装置71等の動作をさらに具体的に説明する。
操作者が、イメージスキャナ61に原稿をセットし、製版スタートキー92を押下すること等により、製版開始命令信号が発せられると、イメージスキャナ61で原稿の読み取りが開始されるとともに、メインモータ11によって版胴68が図1における時計方向に回転駆動され、この過程で図示しない使用済みのマスタが排版装置76によって版胴68から剥離され、廃棄される。
版胴68はさらに回転駆動され、その後クランプ装置73が図1における略右端位置を占めたところで停止する。版胴68が停止すると開閉装置によりクランパ42が解放され、給版待機状態となる。
一方イメージスキャナ61で読み取った画像情報に応じて製版装置71にてマスタ70への製版が行われる。なお、マスタ70の製版は、外部装置から入力された画像データに基づいて行うこともある。
マスタ70の製版は、プラテンローラ77及びローラ対89、79が回転しマスタ70を副走査方向に1ライン分搬送する度に、画像データによって構成されている画像情報に応じてサーマルヘッド78の特定の抵抗発熱素子に電圧がパルス状に印加され、マスタ70を構成する熱可塑性樹脂フィルムを加熱穿孔し、主走査方向へのドット形成による製版を行うことによって実行される。
このようにして製版された製版済みのマスタ70は、ローラ対79により版胴68に向けて送り出され、ガイド板74に案内されて、その先端がステージ14とクランパ42との間に進入する。マスタ搬送駆動モータ32のパルス数により、マスタ70の先端がステージ14に届いたことが判断されると、開閉装置によりクランパ42が閉じられて、マスタ70の先端がクランプ装置73によって挟持される。
クランパ42を閉じると版胴68の回転駆動を再開する。版胴68の回転速度はマスタ70の搬送速度と同速である。版胴68の回転により、製版済みのマスタ70が版胴68に備えられた多孔性支持円筒体の開口部を覆うようにして版胴68の外周面に巻き付けられていく。
マスタ搬送モータ32のパルス数により製版が終了したと判断されると、カッタ80が作動してマスタ70を切断し、プラテンローラ78及びローラ対89、79の回転駆動が停止され、切断されたマスタ70は版胴68の回転に伴って版胴68に引き出され、版胴68への巻着が完了する。
この後に印刷処理が実行される。給紙台81の最上位の印刷用紙Pを給紙ローラ82により給紙し、印刷用紙Pの先端が停止状態のレジストローラ対83のニップ部に当接してその先端縁が揃えられる。
版胴68の回転に同期させてレジストローラ対83を駆動し、印刷用紙Pの先端が版胴68とプレスローラ20とのニップ部Nの近傍に至ったことが用紙検出装置によって検知されたことを条件として、押圧体変位手段22によりプレスローラ20が上方に変位され、このプレスローラ20で版胴68上のマスタ70に印刷用紙Pを連続的に押し付けることにより、版胴68内のインキがマスタ70の穿孔部分から滲み出し、版胴68に巻着されたマスタ70が版胴68に密着するとともに印刷用紙Pに転写され、印刷が行われる。
印刷後の印刷用紙Pは、剥離爪75により版胴68から剥離され、版胴68の回転にともなって用紙搬送装置84に案内され、用紙搬送装置84より排紙台85に排紙され、積載される。
このような印刷動作を繰り返すことで、マスタ70が消費され、マスタエンドセンサ34によってマスタ70の残量が少ないことが検知される。この時点では、上述のように1300mmのマスタ70が残っているため、マスタ70の無駄をなくすためには、かかる検知後もできるだけ製版に使用することが望ましいが、塗料23には、溶融した場合にサーマルヘッド78を腐食等させる可能性のある成分が含まれているため、溶融した塗料23がサーマルヘッド78に付着することは避ける必要がある。
そこで、製版装置71では、制御部90により、マスタエンドセンサ34が塗料23を検知してもマスタ70の搬送を継続する搬送継続制御を行うとともに、塗料23がサーマルヘッド78に溶融した状態で付着することを防止する付着防止制御を行うようになっている。ここに、制御部90は、かかる搬送継続制御を行う搬送継続制御手段として機能するとともに、かかる搬送継続制御及び付着防止制御を行う溶融塗料付着防止制御手段として機能する。
制御部90は、溶融塗料付着防止手段として機能するにあたり、サーマルヘッド78の発熱部に備えられている抵抗発熱素子のうち、マスタ70の幅方向における塗料23の塗布位置に対応する部分の抵抗発熱素子の発熱を停止することで、かかる付着防止制御を行う。
これにより、例えば、印刷画像が、「東」という文字を表すものである場合であって、図4(a)、(b)に示すように、マスタ70の幅方向において、かかる文字に対応する穿孔位置24が、塗料23の塗布位置と重なる場合には、同図(c)に示しているように、同方向において塗料23の塗布位置を縁取る幅で抵抗発熱素子の発熱を停止し、非穿孔エリア26を形成する。
かかる発熱の停止は、制御部90において、マスタ70の幅方向における画像データに基づく穿孔位置と塗料23の塗布位置とが比較され、これらの位置が重複している場合に行われる。
よって、塗料23が発熱部に至っても、図5(a)、(b)に示すように、マスタ70の幅方向における塗料23の塗布位置に、穿孔位置24がない場合には、もともとその部分の抵抗発熱素子の発熱は行われないので、図5(c)に示すように、非穿孔にすべきエリア27とは無関係に通常の穿孔が行われることとなる。ただし、制御の簡素化のため、マスタ70の幅方向における、塗料23の塗布位置と穿孔位置24との重複の有無にかかわらず、マスタ70の幅方向において塗料23の塗布位置に対応する部分の抵抗発熱素子の発熱を停止するように構成しても良い。
付着防止制御を行うタイミングは、マスタエンドセンサ34によってマスタ70の残量が少ないことが検知された後、塗料23が発熱部に至るタイミングで行う。これにより、通常の穿孔が最大限行われ、通常は、塗料23の検知から数版の製版が行われる。
塗料23が発熱部に至るタイミングは、搬送量検知手段としての制御部90によって検知したマスタ70の搬送量に基づいて計る。すなわち具体的には、かかるタイミングは、制御部90において、上述の長さ300mmに対応するマスタ搬送駆動モータ32への通電のパルス数から、マスタエンドセンサ34によってマスタ70の残量が少ないことが検知されてからマスタ搬送駆動モータ32に実際に通電したパルス数を減算し、その結果が0となったタイミングとされる。
制御部90は、溶融塗料付着防止手段として機能したときには、表示部96に、マスタロール70aを交換して新たなマスタロール70aとすべき旨の警告表示を行い、この旨を操作者に報知する。これにより、操作者にマスタロール70aの交換を促す。
このような制御による一連の動作を図6を参照しながら説明すると次の通りである。
制御部90は、製版スタートキー92が押下されると(図6(S1))、マスタエンドセンサ34が塗料23を検知しオンとなっているかどうかをチェックし(図6(S2))、オンとなっている場合には、RAM99からマスタ70の残量を読み出す(図6(S3))とともに、読み出されたマスタ70の残量が、製版に足る量であるかどうかを判断する(図6(S4))。なお、図6のステップS2においてオンとなっている場合には、すでに、制御部90において、前回以前の製版時にマスタ70の搬送量のカウントが開始されている(図6(S17、S18)参照)。
読み出されたマスタ70の残量が、製版に足る量であるかどうかの判断は、例えば、1版の製版長すなわちマスタ70の長さが450mmである場合には、これをプラテンローラ回転駆動モータ31等への通電のパルス数に換算すると4500パルスであるから、読み出されたマスタ70の残量を示すパルス数が4500パルス以上であれば、製版に足る量であると判断する。
制御部90は、マスタ70の残量が製版に足る量であると判断した場合には、プラテンローラ変位駆動手段33に通電してプラテンローラ77を押圧位置としてマスタ70を発熱部に当接させて押圧し、また、マスタ搬送駆動モータ32に通電してローラ対89、79を回転駆動するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31に通電しオンとして(図6(S5))、マスタ70の搬送を開始する。
制御部90は、塗料23の先端部がサーマルヘッド78の発熱部に到達したか否かを判断し(図6(S6))、到達していないときにはサーマルヘッド78を画像データにそのまま従って駆動する通常駆動を行って穿孔を行い(図6(S7))、製版が終了したかどうかをチェックする(図6(S8))。塗料23の先端部がサーマルヘッド78の発熱部に到達しなければ、製版の終了までかかる通常駆動が行われる。
制御部90は、図6のステップS6において、塗料23の先端部がサーマルヘッド78の発熱部に到達したと判断すると、図4又は図5を参照してすでに説明した、サーマルヘッド78の調整駆動(図6(S9))を、製版終了まで行う(図6(S10))。
製版部90は、製版が終了すると、プラテンローラ変位駆動手段33の通電を停止してプラテンローラ77を離間位置としてマスタ70を発熱部から離間させ、また、マスタ搬送駆動モータ32の通電を停止してローラ対89、79の回転駆動を停止するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31の通電を停止しオフとして(図6(11))、マスタ70の搬送を停止する。
制御部90は、CPU97で計算したマスタ70の残量をRAM99に記憶し(図6(S12))、表示部96に警告表示を行い(図6(S13))、制御を終了する。なお、このときの警告表示は、マスタ70の残量が少なくなっており、製版に足りなくなる時期が迫っていることを理由に、マスタロール70aを交換すべき旨を表示する。
一方、図6のステップS4において、読み出されたマスタ70の残量が、製版に足る量でないと判断した場合には、表示部96に警告表示を行って(図6(S14))、製版を行うことなく終了する。この場合には、マスタ70の残量が、すでに製版に足りないことを理由に、マスタロール70aを交換すべき旨を表示する。
なお図6のステップS13でこの旨の表示をしないのは、次の製版に必要なマスタ70の長さが分からないためであるが、マスタ70の残量が、孔版印刷装置100で印刷可能な最小サイズに対応するマスタ70の長さより短いか否かを判断し、短い場合には図6のステップS14と同じ表示をしてもよい。
図6のステップS2において、マスタエンドセンサ34が塗料23を検知せずオフである場合には、制御部90は、プラテンローラ変位駆動手段33に通電してプラテンローラ77を押圧位置としてマスタ70を発熱部に押圧し、また、マスタ搬送駆動モータ32に通電してローラ対89、79を回転駆動するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31に通電しオンとして(図6(S15))、マスタ70の搬送を開始するとともに、サーマルヘッド78を通常駆動し(図6(S16))、マスタエンドセンサ34が塗料23を検知しオンとなったかをチェックする(図6(S17))。
図6のステップS17でマスタエンドセンサ34がオンとなった場合には、制御部90は、マスタ70の搬送量のカウントを開始してから(図6(S18))、図6のステップS6からステップ13に示してすでに述べた制御・動作を行う。
すなわち、塗料23の先端部がサーマルヘッド78の発熱部に到達したか否か(図6(S6))に応じてサーマルヘッド7を通常駆動する(図6(S7))か調整駆動する(図6(S8))かを決定しながら製版を行い(図6(S8、S10))、マスタ残量の記憶を行うとともに(図6(S12))、所定の警告表示を行って(図6(S13))から、製版を終了する。
図6のステップS17でマスタエンドセンサ34がオフである場合には、制御部90は、サーマルヘッド78の通常駆動(図6(S16))を製版終了まで継続し(図6(S19))、製版が終了すると、プラテンローラ変位駆動手段33の通電を停止してプラテンローラ77を離間位置としてマスタ70を発熱部から離間させ、また、マスタ搬送駆動モータ32の通電を停止してローラ対89、79の回転駆動を停止するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31の通電を停止しオフとして(図6(S11))、マスタ70の搬送を停止し、警告表示を行うことなく制御を終了する。
このように、図6に示した付着防止制御では、発熱部の駆動を調整することで、塗料23がサーマルヘッド78に溶融した状態で付着することを防止しているが、付着防止制御の別の態様として、塗料23言い換えるとマスタ70がサーマルヘッド78に当接することを回避することで塗料23がサーマルヘッド78に付着することそのものを防止し、これにより塗料23がサーマルヘッド78に溶融した状態で付着することを防止する態様で行っても良い。
塗料23が発熱部を通過しているときに加熱され溶融しなければ、サーマルヘッド78の劣化等は起こりにくい傾向にあるが、このような態様で制御することで、サーマルヘッド78の劣化等がより確実に防止されることとなる。そのために、制御部90は、プラテンローラ77を離間位置に適時に位置決めする制御を行う。
このような制御による一連の動作を図7を参照しながら説明すると次の通りである。
制御部90は、製版スタートキー92が押下されると(図7(S1))、マスタエンドセンサ34が塗料23を検知しオンとなっているかどうかをチェックし(図7(S2))、オンとなっている場合には、RAM99からマスタ70の残量を読み出す(図7(S3))とともに、読み出されたマスタ70の残量が、製版に足る量であるかどうかを判断する(図7(S4))。なお、図7のステップS2においてオンとなっている場合には、すでに、制御部90において、前回以前の製版時にマスタ70の搬送量のカウントが開始されている(図7(S9、S10)参照)。
読み出されたマスタ70の残量が製版に足る量であるかどうかの判断は、すでに述べたものと同様に行う。
制御部90は、マスタ70の残量が製版に足る量であると判断した場合には、マスタ搬送駆動モータ32に通電してローラ対89、79を回転駆動するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31に通電しオンとして(図7(S5))、マスタ70の搬送を開始し、次いでプラテンローラ変位駆動手段33に通電してプラテンローラ77を押圧位置としてマスタ70を発熱部に押圧して(図7(S6))から、サーマルヘッド78を画像データに従って駆動する(図7(S7))。
図7のステップS2において、マスタエンドセンサ34が塗料23を検知せずオフである場合には、制御部90は、図7のステップS3及びステップ4を飛ばしてステップS5を行う。これは、マスタエンドセンサ34がオフであるときには、マスタ70の残量が孔版印刷装置1で印刷可能な最大サイズの用紙Pに対応したマスタ70の1版分の最大長さよりも長いため、残量の判断を行う必要がないからである。
制御部90は、製版が終了したかどうかをチェックして(図7(S8))、製版が終了していないときにはマスタエンドセンサ34が塗料23を検知してオンとなったかどうかをチェックする(図7(S9))。マスタエンドセンサ34がオンとなっていないときは製版が終了したかどうかを再びチェックする(図7(S8))。マスタエンドセンサ34がオンとならないかぎり製版が継続される。
制御部90は、図7のステップS8において、製版が終了したと判断すると、プラテンローラ変位駆動手段33の通電を停止してプラテンローラ77を離間位置としてマスタ70を発熱部から離間させ(図7(S10))、これによってプラテンローラ77によるサーマルヘッド78へのマスタ70の押圧を解除し、また、マスタ搬送駆動モータ32の通電を停止してローラ対89、79の回転駆動を停止するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31の通電を停止しオフとして(図7(S11))、マスタ70の搬送を停止し、制御を終了する。このときは後述する警告表示を行うことなく制御を終了する。
制御部90は、図7のステップS9において、マスタエンドセンサ34が塗料23を検知してオンになると、マスタ70の搬送量のカウントを開始してから(図7(S12))、再度、製版が終了したかどうかをチェックして(図7(S13))、製版が終了していないときには塗料23の先端部がサーマルヘッド78に到達したかどうかをチェックする(図7(S14))。塗料23の先端部がサーマルヘッド78に到達していないときは製版が終了したかどうかを再びチェックする(図7(S13))。塗料23の先端部がサーマルヘッド78に到達しないかぎり製版が継続される。
制御部90は、図7のステップ12において、塗料23の先端部がサーマルヘッド78に到達すると、サーマルヘッド78の駆動を停止する(図7(S15))とともに、塗料23がサーマルヘッド78に付着することを防止すべく、プラテンローラ変位駆動手段33の通電を停止してプラテンローラ77を離間位置としてマスタ70をプラテンローラ77から離間させ(図7(S16))、これによってプラテンローラ77によるサーマルヘッド78へのマスタ70の押圧を解除する。
制御部90は、プラテンローラ77を離間位置としてマスタ70をプラテンローラ77から離間させた状態で、製版終了まで製版が終了したかどうかをチェックして(図7(S17))、製版が終了したときには、マスタ搬送駆動モータ32の通電を停止してローラ対89、79の回転駆動を停止するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31の通電を停止しオフとして(図7(S18))、マスタ70の搬送を停止する。なお、ここでの製版終了は、マスタ70の搬送量によって判断される。
次いで、制御部90は、表示部96に警告表示を行って(図7(S19))、制御を終了する。このときの警告表示は、マスタ70の残量が、すでに製版に足りないことを理由に、マスタロール70aを交換すべき旨を表示する。これは、かりに、マスタ70の残量が次の1版分の製版に足る長さであるとしても、マスタ70をサーマルヘッド78から離間した状態で搬送するため、実質的に製版が行われないためである。
一方、図7のステップS4において、読み出されたマスタ70の残量が、製版に足る量でないと判断した場合には、表示部96に警告表示を行って(図7(S19))、製版を行うことなく終了する。この場合の警告表示も、マスタ70の残量が、すでに製版に足りないことを理由に、マスタロール70aを交換すべき旨を表示するものである。
図7のステップ13において、製版が終了したと判断すると、製版部90は、プラテンローラ変位駆動手段33の通電を停止してプラテンローラ77を離間位置としてマスタ70を発熱部から離間させ(図7(S20))、これによってプラテンローラ77によるサーマルヘッド78へのマスタ70の押圧を解除し、また、マスタ搬送駆動モータ32の通電を停止してローラ対89、79の回転駆動を停止するとともに、プラテンローラ回転駆動モータ31の通電を停止しオフとして(図7(S21))、マスタ70の搬送を停止する。
制御部90は、CPU97で計算したマスタ70の残量をRAM99に記憶し(図7(S22))、表示部96に警告表示を行い(図7(S23))、制御を終了する。このときの警告表示は、マスタ70の残量が少なくなっており、製版に足りなくなる時期が迫っていることを理由に、マスタロール70aを交換すべき旨を表示する。
なお、プラテンローラ77が離間位置を占めるとマスタ70がサーマルヘッド78から離間するため、図7のステップS15を省き、サーマルヘッド78の駆動は継続して行うようにしても良いが、サーマルヘッド78の駆動を停止することで、溶融した塗料23がサーマルヘッド78に付着することによるサーマルヘッド78の劣化等がより確実に防止される。
また、ローラ対89、79の配設位置は、プラテンローラ77が離間位置を占めるときでもマスタ70が発熱部に摺擦するなど、必ずしもマスタ70が発熱部から離間しないようにしてもよいが、この場合には、サーマルヘッド78の駆動停止は必ず行う。この場合、プラテンローラ77がマスタ70を発熱部に押圧する作用が解除されることで、塗料23がサーマルヘッド78に付着しにくくなり、これにより溶融した塗料23がサーマルヘッド78に付着することによるサーマルヘッド78の劣化等が防止ないし抑制される。
以上の図6、図7に示した付着防止制御を行うと、図6に示した付着防止制御では、発熱部の一部の駆動が行われず、画像データに基づいて製版すべき部分を製版しない未製版の部分が生じ得るとともに、図7に示した付着防止制御では、サーマルヘッド78の駆動が停止され、またマスタ70がサーマルヘッド78から離間することで、画像データに基づいて製版すべき部分を製版しない未製版の部分が生じ得る。したがって、サーマルヘッド78の保護は行われるものの、操作者にとっては意図しない製版及びこれに基づく印刷が行われ得ることとなり、得られた印刷物では操作者が満足しないことがあり得る。この場合、操作者は、同じ画像データを用いて製版及び印刷を行うことが予想される。
そこで、制御部90は、画像データに基づいてマスタ70の溶融穿孔を行うべき部分に、付着防止制御を行うことによって非穿孔となる部分があるか否かを判断する非穿孔部有無判断手段として機能するようになっており、かかる非穿孔となる部分があると判断した場合には、再度の製版に備えて、付着防止制御を行ったときに用いられている、発熱部を発熱させるための画像データをRAM99に記憶する。ここに、RAM99は、画像データ記憶手段として機能する。
制御部90は、非穿孔部有無判断手段として機能するにあたり、図6に示した場合では、画像データに基づけば駆動されるべき抵抗発熱素子の中に付着防止制御を行うことで駆動されなかったものがあるかどうかを判断し、図7に示した場合では、抵抗発熱素子の駆動を停止したために穿孔が行われなかった部分、あるいはマスタ70がサーマルヘッド78から離間したために穿孔が行われなかった部分があるかどうかを判断する。
そして、付着防止制御を行ったために穿孔すべき部分が非穿孔となると判断した場合には、操作者が同じ画像データを用いて製版・印刷を行うことを希望する蓋然性が高いことに鑑み、制御部90は、交換検知手段35がマスタロール70aの交換を検知した場合には、画像データ記憶手段としてのRAM99に記憶した画像データを用いて穿孔を行い印刷を行う。これにより、画像データ記憶手段としてのRAM99に記憶した画像データを、発熱部を発熱させ穿孔を行い印刷を行うのに優先的に用いることとしている。したがって再度の読み取りを行う手間や、再度の製版開始操作を行う手間が省かれる。
ただし、このように無条件に製版・印刷を開始するのではなく、交換検知手段35がマスタロール70aの交換を検知した場合に、表示部96に、再度同じ画像データを用いて製版あるいは印刷を行うか否かの確認メッセージおよび/または同じ画像データを用いた製版を開始する製版再開キー等の表示を行うことで、画像データ記憶手段としてのRAM99に記憶した画像データを、発熱部を発熱させ穿孔を行い印刷を行うのに優先的に用いることとしてもよい。
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図6に示した制御を行う場合の印刷装置、製版装置は、発熱部の調整制御によって付着防止制御を行うのでローラ対89は必ずしも必要でなく、また同じ理由でプラテンローラ77の接離を行うための構成、制御は必ずしも必要でない。
図7に示した制御を行う場合の印刷装置、製版装置は、プラテンローラ77は、付着防止制御のために離間位置を占め、離間位置を占めたとき、マスタ70の搬送作用は期待できないため、プラテンローラ77を回転駆動する構成、制御は必ずしも必要でない。
終了検知手段は、上述の反射型のセンサでなく、他の方法で塗料を検知するものであってもよい。
画像データ記憶手段は、制御部90の外部の、例えばイメージスキャナに備えられていても良い。
印刷装置は、版胴を複数備えているものであっても良く、また例えば複数の版胴を用いてカラー印刷を行うものであっても良い。印刷装置は、印刷用紙を反転させる機構を備えることなどにより両面印刷を行うものであっても良い。押圧体はプレスローラでなく圧胴であっても良い。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。