JP5015577B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、製版装置を備えた孔版印刷装置に関する。
簡便な印刷方式としてデジタル式の感熱製版装置を搭載したデジタル式の感熱孔版印刷装置(以下、「孔版印刷装置」という)が知られている。その製版装置では、主走査方向に配列された複数の発熱素子、発熱抵抗体等とも呼ばれる複数の発熱体を具備したサーマルヘッドとプラテンローラとで、熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう)を有する感熱性孔版マスタ(以下、単に「マスタ」という)を押し付けながら、主走査方向と直交する副走査方向にプラテンローラの回転を介してマスタを相対的に移動させつつ、画像信号に応じたサーマルヘッドの各発熱体の加熱により、ドット状の穿孔・製版画像(穿孔パターン)をマスタに形成するものである。
サーマルヘッドを用いた穿孔製版において、連続穿孔不良の低減および穿孔の高精細化を達成するために、例えば特開2001−62985号公報では、次のような製版装置に係る技術が開示されている。すなわち、同公報記載の製版装置では、サーマルヘッド制御回路は、副走査制御回路と、タイミング発生回路と、履歴制御回路とを備えており、各発熱素子の発熱動作を制御して、副走査方向で奇数番目の穿孔の孔径が偶数番目の穿孔の孔径よりも小さな孔径となるようにする。これにより、一般的な孔径の穿孔を連続して設ける場合よりも確実に大きな幅の離間部を副走査方向に残存させるというものである。
また、同公報の段落「0009」および「0010」には、発明が解決しようとする課題に関して以下の記載がある。すなわち、「「0009」従来の厚膜式サーマルヘッドは、薄膜式サーマルヘッドでは実質的に極めて困難な大判化対応も可能であり、しかも製造プロセスが簡易で製造コストの低廉化を図ることが可能であるという大きな利点を有しているものの、孔版原紙を製版する際に連続穿孔不良が発生し、これを防ぐことは極めて困難であるという問題があった。またそのような連続穿孔不良の発生に伴なって、紙滓や樹脂滓の残留が発生しやすく、それがさらに穿孔不良や印字不良を発生させる原因となるという問題があった。「0010」本発明は、このような問題に鑑みて成されたもので、孔版原紙の製版における連続穿孔不良を解消して、裏抜けや裏移りなどの印刷不良の発生を防ぐと共に連続穿孔不良に起因して発生していた紙滓や樹脂滓の発生を防ぎつつ、製造工程の簡素化および製造コストや材料コストのさらなる低廉化を達成し得た製版用サーマルヘッドの制御方法および製版装置を実現せんとするものである。」という記載がある。
特開2001−62985号公報
しかしながら、上記公報記載の技術には、省資源化の要求が強く求められる今日、消費するインキの量を低減させる(以下、「省インキ」と呼ぶ)ことや、製版の速度を高速にする等の考えは一切ない。
また、上記公報記載の技術では、例えば、環境温度、サーマルヘッド温度、インキ温度の主要な製版・印刷条件(パラメータ)によっても穿孔パターンや穿孔状態が変わってくることに着目しておらず、穿孔の離間部を残存させることのみに着目していることから、如何なる製版・印刷条件下においても最適な穿孔状態を得ることは困難である。
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、如何なる条件下(環境温度、サーマルヘッド温度、インキ温度等)においても、最適な穿孔状態を得ることができ、また確実にインキ消費量の低減を実施することが可能で、かつ、印刷画像品質の多大なる劣悪化を招くこと無くそれを達成することが可能であり、また製版速度を確実に高速化することが可能である孔版印刷装置を実現し提供することを主な目的とする。
本発明は、上述した課題を解決して前記目的を達成するために、請求項ごとの発明においては以下の構成を採っていることを特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された複数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタを相対的に移動させつつ画像情報に応じた上記各発熱体の選択的な加熱により上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させ、上記主走査方向および上記副走査方向の両方向に配列され、通常の大きさの穿孔で形成される第1の穿孔パターンよりも小さな穿孔を含んで形成される第2の穿孔パターンを生成する穿孔パターン可変手段を具備し、製版済みのマスタを給版する製版装置を備え、製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し該印刷ドラムの内周側よりインキを供給し製版済みのマスタの穿孔パターン部からインキを滲出させて用紙上に転移させることにより印刷画像を形成する孔版印刷装置において、環境温度を検出する環境温度検出手段、サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段およびインキの温度を検出するインキ温度検出手段のうちの少なくとも1つの温度検出手段と、上記少なくとも1つの温度検出手段からの温度情報に基づいて、第2の穿孔パターンに含まれる全ての穿孔の大きさに関して、上記温度情報が相対的に高い場合に小さく、上記温度情報が相対的に低い場合に大きくなるように、第1の穿孔パターンおよび第2の穿孔パターンのうちの少なくとも第2の穿孔パターンの上記全ての穿孔の大きさを変える穿孔状態可変手段と、上記少なくとも1つの温度検出手段からの温度情報に基づいて、第2の穿孔パターンにおける上記小さな穿孔の割合に関して、上記温度情報が相対的に高い場合に多く、上記温度情報が相対的に低い場合に少なくなるように、第2の穿孔パターンにおける上記小さな穿孔の割合を変える穿孔パターン調整手段とを有することを特徴とする。
ここで、「通常の大きさの穿孔」とは、従来実施されてきた所定の孔径の穿孔を意味し、「小さな穿孔」とは、従来実施されてきた所定の孔径の穿孔よりも小さな孔径の穿孔を意味する(以下、同様)。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、第1の穿孔パターンと第2の穿孔パターンとを複数設定することが可能な穿孔パターン選択設定手段を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、通常の製版動作を実行する通常製版モードと省インキが可能な製版動作を実行する省インキ製版モードとを設定することが可能な通常/省インキ製版モード設定手段を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の孔版印刷装置において、上記通常/省インキ製版モード設定手段により上記省インキ製版モードが設定されたとき、複数の省インキレベルを設定することが可能な省インキレベル設定手段を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の孔版印刷装置において、通常の製版動作を実行する通常製版モードと通常の製版動作よりも高速で製版動作を実行する高速製版モードとを設定することが可能な通常/高速製版モード設定手段を有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項記載の孔版印刷装置において、上記副走査方向のマスタの送り速度を制御する副走査方向送り速度制御手段と、上記サーマルヘッドの個々の発熱体の駆動周期を制御するサーマルヘッド製版速度制御手段と、上記通常/高速製版モード設定手段により上記高速製版モードが設定されたとき、上記副走査方向送り速度制御手段をして上記マスタの送り速度を高速にし、かつ、上記サーマルヘッド製版速度制御手段をして上記駆動周期を高速にし、なおかつ、上記副走査方向の穿孔に対して第2の穿孔パターンにおける上記小さな穿孔の含有が多くなるように変える高速製版時穿孔パターン作成制御手段とを有することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の孔版印刷装置において、マスタに形成されるベタ部を検出するベタ部検出手段と、上記穿孔状態可変手段は、上記通常製版モード以外の少なくとも1つの製版モードが設定されたとき、上記ベタ部検出手段からの信号に基づいて、上記ベタ部として検出されるマスタに穿孔される部位のみ、第2の穿孔パターンを形成させることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項ないしの何れか一つに記載の孔版印刷装置において、上記通常/高速製版モード設定手段により上記高速製版モードが設定されたとき、製版周期が1.5ms/line以下であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の孔版印刷装置において、マスタにおける上記熱可塑性樹脂フィルム表面の平滑度が、5000秒以上であることを特徴とする。
本発明によれば、上述した従来の問題点を解決して新規な孔版印刷装置を実現し提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば以下のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、穿孔状態可変手段は、環境温度を検出する環境温度検出手段、サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段およびインキの温度を検出するインキ温度検出手段のうちの少なくとも1つの温度検出手段からの温度情報に基づいて、第2の穿孔パターンに含まれる全ての穿孔の大きさに関して、上記温度情報が相対的に高い場合に小さく、上記温度情報が相対的に低い場合に大きくなるように、第1の穿孔パターンおよび第2の穿孔パターンのうちの少なくとも第2の穿孔パターンの全ての穿孔の大きさを変えると共に、穿孔パターン調整手段は、上記少なくとも1つの温度検出手段からの温度情報に基づいて、第2の穿孔パターンにおける小さな穿孔の割合に関して、上記温度情報が相対的に高い場合に多く、上記温度情報が相対的に低い場合に少なくなるように、第2の穿孔パターンにおける小さな穿孔の割合を変えるので、如何なる使用条件下においても、好適な穿孔状態を得ることができ、また狙いとしたインキ消費量、裏移りレベル、印刷画像品質等を得ることが可能となり、特にはマスタにおける多孔性支持体の繊維部分(例えば和紙や合成繊維等の密度)が高い箇所におけるフィルム穿孔確率としても単純に穿孔状態を小径にした場合と比較して高くなり、印刷画像品質としても良好なものが得ることが可能となる。また、サーマルヘッドに印加するトータル的なエネルギーも穿孔の大きさを変えることが可能であるため、小径もしくは中間的な大きさの穿孔を混合させることにより、トータル的なエネルギーも小さくすることが可能となる。さらに、第2の穿孔パターンにおいて、通常の大きさの穿孔はそのままもしくは極力小さくせずに、小さな穿孔の割合を変えることができるため、通常の大きさの穿孔により画像の再現性(連続性)を確保しつつ、小さな穿孔の割合を変えて濃度を調整することも可能となる。
請求項2記載の発明によれば、第1の穿孔パターンと第2の穿孔パターンとを複数設定することが可能な穿孔パターン選択設定手段を有することにより、ユーザもしくはサービス担当者が任意に各穿孔パターンを選択し、その穿孔パターンによって異なるインキ消費量、裏移りレベル、印刷画像品質等を選択することが可能となる。
請求項記載の発明によれば、通常の製版動作を実行する通常製版モードと省インキが可能な製版動作を実行する省インキ製版モードとを設定することが可能な通常/省インキ製版モード設定手段を有することにより、ユーザが任意に通常製版モードと省インキ製版モードとの選択をすることが可能となる。
請求項記載の発明によれば、通常/省インキ製版モード設定手段により省インキ製版モードが設定されたとき、複数の省インキレベルを設定することが可能な省インキレベル設定手段を有することにより、省インキのレベル、すなわちインキ消費量の低減率をユーザが任意に設定可能となる。
請求項記載の発明によれば、通常の製版動作を実行する通常製版モードと通常の製版動作よりも高速で製版動作を実行する高速製版モードとを設定することが可能な通常/高速製版モード設定手段を有することにより、ユーザが用途に合わせて、通常製版モードと高速製版モードとを選択することが可能となる。
請求項記載の発明によれば、高速製版時穿孔パターン作成制御手段は、通常/高速製版モード設定手段により高速製版モードが設定されたとき、副走査方向送り速度制御手段をしてマスタの送り速度を高速にし、かつ、サーマルヘッド製版速度制御手段をして駆動周期を高速にし、なおかつ、副走査方向の穿孔に対して第2の穿孔パターンにおける小さな穿孔の含有が多くなるように変えるので、高速製版モードで高速製版を実施する際には、サーマルヘッドの蓄熱作用が低減でき、さらなる高速化が容易になる。
請求項記載の発明によれば、穿孔状態可変手段は、通常製版モード以外の少なくとも1つの製版モードが設定されたとき、ベタ部検出手段からの信号に基づいて、ベタ部として検出されるマスタに穿孔される部位のみ、第2の穿孔パターンを形成させるので、細字や文字部の印刷画像品質の低下を低減することが可能となり、省インキおよび製版の高速化等を図ることが可能となる。
請求項記載の発明によれば、通常/高速製版モード設定手段により高速製版モードが設定されたとき、製版周期が1.5ms/line以下であることにより、ユーザの製版時間の待ち時間を少なくすることが可能となる。
請求項記載の発明によれば、マスタにおける熱可塑性樹脂フィルム表面の平滑度が、5000秒以上であることにより、通常の穿孔状態よりも小径なものを得る際に発生する穿孔不良を低減することが可能となり、良質な印刷画像品質を得ることが可能となる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態および実施例を含む本発明の一実施形態を説明する。実施形態や変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素をそのまま引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、実施形態等のそれと区別するものとする。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置の概略的な全体構成について簡単に説明する。図1において、50は、孔版印刷装置の骨組みをなす装置本体を示す。同図に示すように、装置本体50の上部にある、80で示す部分は原稿読取装置を、その下方の1で示す部分はデジタル式の感熱孔版製版装置(以下、「製版装置」という)を、製版装置1の左側に100で示す部分は多孔性円筒状の版胴を外周部に備えた印刷ドラム101が配置された印刷ドラム装置を、印刷ドラム101の下方の120で示す部分は印圧装置120を、印刷ドラム101の左側に70で示す部分は排版装置を、製版装置1の下方の110で示す部分は給紙装置を、印圧装置120の左側であって排版装置70の下方の130で示す部分は排紙装置を、それぞれ示している。このように、図1に示す孔版印刷装置には、製版装置1が装置本体50内に一体的に装備されている。
原稿読取装置80は、図示しない原稿載置台上から移送される原稿60の表面の画像を読み取る機能を、製版装置1は、ロール状に巻かれたマスタ12を製版し給版搬送する機能を、印刷ドラム装置100は、製版済みのマスタ12をその外周面に巻装し印刷ドラム101上の製版済みのマスタ12にインキを供給する機能を、印圧装置120は、後述する押圧手段により印刷ドラム101に対して被印刷媒体としての用紙62を押し付けて用紙62上に印刷画像を形成する機能を、排版装置70は、印刷ドラム101の外周面から使用済みのマスタ12を剥ぎ取りこれを排版ボックス74内に排出・排版する機能を、給紙装置110は、給紙台51上に積載された用紙62を印刷ドラム装置100と印圧装置120との間に給送する機能を、排紙装置130は、印刷ドラム装置100と印圧装置120にて印刷された用紙62を排紙台52に排出する機能を、それぞれ有する。
次に、この孔版印刷装置の基本的な動作について、図1および図2を参照して説明する。まず、使用者が、原稿読取装置80の上部に配置された図示しない原稿載置台に印刷すべき画像を持った原稿60を載置・セットし、図2に示す操作パネル90の製版スタートキー91を押す。この製版スタートキー91の押下に伴い、製版スタート信号が生成されこれがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ドラム101の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ12が装着されたまま残っている。印刷ドラム101は、図示しない駆動機構を介して印刷ドラム駆動手段(図示せず、例えばメインモータ等)に連結されていて、印刷ドラム駆動手段によって回転駆動される。
印刷ドラム101が図中矢印方向Aと反対方向に回転し、印刷ドラム101の外周面に装着されていた使用済みのマスタ12の後端部が排版装置70の排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、同ローラ対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ71bで使用済みのマスタ12の後端部をすくい上げ、排版剥離ローラ対71a,71bの左方に配設された排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け渡された排版搬送ベルト対72a,72bで構成される排版剥離搬送装置により、使用済みのマスタ12は印刷ドラム101の外周面から漸次剥され矢印方向Y1方向へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出されていわゆる排版工程が終了する。この時印刷ドラム101は反時計回り方向への回転を続けている。排出された使用済みのマスタ12は、その後、圧縮板75によって排版ボックス74の内部で圧縮される。
排版工程と並行して、原稿読取装置80が作動して原稿読み取りが行われる。すなわち、前記原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印Y2からY3方向(以下、「原稿搬送方向Y2」という)に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。
上側の後原稿搬送ローラ83aは、例えばステッピングモータからなる原稿搬送モータ(図示せず)によって回転駆動される。上側の前原稿搬送ローラ82aは、上側の搬送ローラ83aと搬送ローラ82aとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)を介して上記原稿搬送モータによって回転駆動され、各ローラ82b,83bはそれぞれ従動回転する。この際、図3に示す副走査方向送り速度制御手段235からの指令により、上記原稿搬送モータは、原稿60の副走査送りピッチを副走査方向の解像度(ドット/インチ)に対応した所定の副走査送りピッチに変えるように制御される。また、これに限ったことではなく、所定の副走査送りピッチで読み込み、原稿メモリに一度格納し、処理しても構わない。
原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、CCD(電荷結合素子等の光電変換素子)からなる画像センサ89に入射させることにより行われる。その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。
原稿読取装置80には、多色重ね刷り印刷に必要な色分解のための諸機能を有する構成、例えば特開昭64−18682号公報記載の複数の色フィルターを切換可能に制御できるフィルターユニットと同様の機能および構成を有するものが、ミラー87とレンズ88との間の光路上に配設されている。
図1および図3に示すように、原稿60の光学情報(画像データ)は画像センサ89で光電変換され、そのアナログの電気信号は図示しないアナログ/デジタル(A/D)変換部に入力されデジタルの画像信号に変換される。このデジタルの画像信号は図3に示す本体制御部200内の画像処理部で孔版用に画像処理を施され、こうして画像処理を施された2値の黒画素および白画素に関するデジタル画像信号は、製版制御部に入力される。本体制御部200内の製版制御部は、主としてサーマルヘッド駆動回路を介して図1に示す製版装置1のサーマルヘッド10を制御するものであり、図3に示すマイクロプロセッサ220からの指令を受けて制御動作を行う。
なお、上記A/D変換部へ入力される光学情報(画像データ)は前記CCDで読み取ったものに限らず、例えば密着イメージセンサ(CIS)等からのものでも構わない。また、本体制御部200内の製版制御部に入力されるデジタル画像データは、パソコン等から送信される画像信号であっても構わない。
本体制御部200内の製版制御部に入力したデジタル画像信号は、公知の各種制御、すなわち図3に示す本体制御部200に配設されたその他の制御手段222に含まれる熱履歴制御手段による熱履歴制御、コモンドロップ補正制御手段によるコモンドロップ補正制御等を適宜施されて、サーマルヘッド駆動用の信号として通電信号、ラッチ信号、クロック信号、デジタル画像データ信号等を生成されて、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介してサーマルヘッド10に送信される。
一方、このような原稿走査および画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報(デジタル画像信号)に基づき製版および給版工程が行われる。すなわち、前記製版スタート信号がトリガとなって、例えばステッピングモータからなるマスタ送りモータ11が回転駆動されることにより、図示しないマスタ支持部材を介してマスタ12を繰り出し可能にセットされ、芯管12aの周りにロール状に巻かれて形成されたマスタロール12Aからマスタ12が引き出される。この時、マスタ12は、マスタ12を介してサーマルヘッド10に押し付けられているマスタ搬送手段としてのプラテンローラ14およびテンションローラ対15a,15bの一定速度の回転により、図中矢印Yで示す副走査方向Y(以下、「マスタ搬送方向Y」ともいう)の下流側に搬送される。
この際、図3に示す副走査方向送り速度制御手段235からの指令により、マスタ送りモータ11は、マスタ12の副走査送りピッチを副走査方向Yの解像度に対応した所定の副走査送りピッチに変えるように制御される。
搬送されるマスタ12に対して、サーマルヘッド10の主走査方向にライン状に並んで配列された多数の微小な発熱体9が、本体制御部200内の製版制御部から送られてくるデジタルの画像データ信号に応じて各々選択的に発熱し、発熱した発熱体9に接触しているマスタ12のフィルム部分が加熱溶融穿孔される。このようにして、画像情報に応じたマスタ12の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとしてマスタ12に書き込まれる。
プラテンローラ14は、タイミングベルトおよびギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ送りモータ11に連結されていて、マスタ送りモータ11により回転される。マスタ送りモータ11は、例えばステッピングモータからなる。マスタ送りモータ11の回転駆動力は、ギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して、テンションローラ対15a,15bおよび電磁クラッチ(図示せず)を介して上下一対の反転ローラ17a,17bに伝達されるようになっている。
なお、前記電磁クラッチに代えて、反転ローラ17a,17bの駆動ローラを回転させるマスタ送りモータ11とは別のステッピングモータを配設した装置もある。
画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ12の先端は、反転ローラ対17a,17bにより印刷ドラム101の外周部側へ向かって送り出され、さらに給版ガイド板18により進行方向を下方へ変えられ、図1に二点鎖線で示す給版位置状態にある印刷ドラム101の拡開したマスタクランパ102へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム101は、排版工程により使用済みのマスタ12を既に除去されている。
そして、装置本体50側に配設されマスタクランパ102を開閉する図示しない開閉装置の作動により、製版済みのマスタ12の先端が一定のタイミングでマスタクランパ102によってクランプ・保持されると、印刷ドラム101は図中矢印A方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ12を徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ12の後端部は、製版完了後にカッタ13により一定の長さに切断されて、1版の製版済みのマスタ12が印刷ドラム101の外周面に完全に巻装された段階で製版および給版工程が終了する。
その後、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15bおよび反転ローラ対17a,17bの回転により、切断された上流側の残りのマスタ12の先端が反転ローラ対17a,17bのニップ部に向けて搬送される。こうして搬送されたマスタ12の先端が図示しないマスタ先端検知センサによって検知され、マスタ12の先端が初期位置を占めたと判断されると、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15bおよび反転ローラ対17a,17bの回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。マスタ12の初期位置は、例えば、反転ローラ対17a,17bのニップ部で挟持された位置から少し前方にはみ出た位置に予め設定されている。
次いで、印刷工程が開始される。先ず、給紙台51上に積載された用紙62のうちの最上位の1枚が、給紙コロ111により引き出され、さらに分離コロ対112a,112bの協働作用により1枚に分離されてレジストローラ対113a,113bに向けて矢印Y4方向(以下、「用紙搬送方向Y4」という)に給送され、さらにレジストローラ対113a,113bにより印刷ドラム101の回転と同期した所定のタイミングで印圧装置120における印刷ドラム101とプレスローラ103との間に給送される。このプレスローラ103は、図示しない公知のプレスローラ変位手段により印刷ドラム101の外周面に接離自在になされており、外周面に製版済みのマスタ12が巻装された印刷ドラム101に対して給送されてきた用紙62を押し付けて印刷画像を用紙62上に形成する押圧手段としての機能を有する。そして、給送されてきた用紙62が、印刷ドラム101とプレスローラ103との間に挿入されてくると、印刷ドラム101の外周面下方に離間していたプレスローラ103が揺動・上昇されることにより、印刷ドラム101の外周面に巻装されている製版済みのマスタ12に押し付けられる。こうして、印刷ドラム101の多孔部から滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ12が印刷ドラム101の外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ12の穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが用紙62の表面に転移されて、印刷画像が形成される。
この時、印刷ドラム101の内周側では、支軸104を兼ねるインキ供給管104からインキローラ105とドクターローラ106との間に形成されるインキ溜まり107にインキが供給され、印刷ドラム101の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム101の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ105により、インキが印刷ドラム101の内周側に供給される。
なお、インキ供給管104、インキローラ105およびドクターローラ106は、印刷ドラム101上の製版済みのマスタ12にインキを供給するインキ供給手段を構成する。インキとしては、例えばW/O型のエマルションインキが好ましく用いられる。押圧手段は、プレスローラ103に限らず、印刷ドラム(版胴)101の直径とほぼ同径の圧胴等も用いられ、このような圧胴方式の孔版印刷装置でも無論、本発明は適用される。
印圧装置120において印刷画像が形成された用紙62は、排紙装置130における排紙剥離爪114により印刷ドラム101から剥がされ、吸引用ファン118に吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された多孔性の搬送ベルト117に吸着され、この搬送ベルト117の反時計回り方向の回転により、矢印Y5のように排紙台52へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにしていわゆる版付け印刷が終了する。なお、版付け印刷時の印刷速度は、例えば16〜20枚/min(分)というような低速度に設定される。
版付け印刷終了後、プレスローラ103は印刷ドラム101から離間し、印刷ドラム101は図1においてマスタクランパ102が略真上となる初期位置(ホームポジション)に復帰して、印刷待機状態となる。
次に、図2に示す操作パネル90に配置されている図示しない印刷速度設定キーを押下することにより、所望する印刷速度値を設定し、これに前後して操作パネル90のテンキー93で印刷枚数をセットし、印刷スタートキー92を押すと前記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定された印刷速度でセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
以下、操作パネル90、マスタ12、各種温度センサおよび製版装置1周りの構成について補足説明をする。
図1に示した孔版印刷装置で現在使用されているマスタ12としては、例えば熱可塑性樹脂フィルムと、和紙繊維とか合成繊維あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造のものが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のものが用いられる。なお、マスタ12としては、公知の全てのマスタ、すなわち一般的に、孔版印刷装置で使用されるマスタ12の厚みとしては、20〜60μmの範囲のものであり、そのうちの熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、1.0〜2.5μmの範囲のものである。
マスタ12は、上記した物に限らず、マスタ12の多孔質支持体の厚さを薄くしたマスタであってもよく、例えば特開平11−77949号公報に記載されているような合成繊維ベースマスタ(2)でもよいし、また特開平10−147075号公報に記載されている合成樹脂フィルムに溶融した樹脂を塗布して合成樹脂フィルムに樹脂膜を一体的に形成したようなマスタ、あるいは実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタも使用することができる。
本実施形態で使用されるマスタ12の熱可塑性樹脂フィルム表面の平滑度としては、5000秒以上が要求されるが、これについては後でまとめて詳述する。
操作パネル90は、原稿読取装置80の上部の一側部に配置されている。操作パネル90には、図2に示すように、製版スタートキー91、印刷スタートキー92、テンキー93、試し刷りキー94、エンターキー95、モードクリアキー96、LCD(液晶表示装置)からなる表示部98および表示器99等が配設されている。
また、操作パネル90には、図3に示すように、本実施形態に特有の穿孔パターン選択設定手段212、通常/省インキ製版モード設定手段213、省インキレベル設定手段214、通常/高速製版モード設定手段215も配設されている。これらの設定手段に関しては後述する。
製版スタートキー91は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー93は、印刷枚数等を入力・設定する機能を、印刷スタートキー92は、テンキー93で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、試し刷りキー94は、試し刷り印刷動作を起動する機能を、それぞれ有する。エンターキー95は、各種設定時に数値等を確定・設定する機能を、モードクリアキー96は、各種モード設定状態を消去・クリアする機能を有し、それぞれそれらの機能を発揮させたい場合等に押下される。
表示部98は、図示しないLCD駆動回路を介して駆動され、周知のタッチパネル方式で表示画面に表示された各種モードや種々の選択設定手段(上述の穿孔パターン選択設定手段212、通常/省インキ製版モード設定手段213、省インキレベル設定手段214、通常/高速製版モード設定手段215)を白黒反転表示させて選択設定できるように構成されている。
テンキー93、エンターキー95およびモードクリアキー96等を含むキーの組み合わせは、後述するサービス担当者あるいは必要に応じてユーザに対して、上述の穿孔パターン選択設定手段212、通常/省インキ製版モード設定手段213、省インキレベル設定手段214、通常/高速製版モード設定手段215や、各種モード等の選択設定を可能とする設定手段として機能する。
装置本体50内における排版装置70の上方近傍には、環境温度を検出する環境温度検出手段としての環境温度センサ210が配設されている。印刷ドラム101の内部には、インキ供給手段のインキ溜まり107形成部に配置されインキの温度を検出するインキ温度検出手段としてのインキ温度センサ211が配設されている。
また、製版装置1内には、サーマルヘッド10の温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段としてのサーマルヘッド温度センサ241が配設されている。サーマルヘッド温度センサ241の配置個所としては、特開2006−82358号公報の図4に示されていると同様の部位、すなわち、発熱体9の表面部分、例えば電極に囲まれた発熱体9中央の表面部分に近い部位であることが望ましいが、現時点における技術ではその部分での検出は不可に近いので、ここではサーマルヘッド10に搭載されている回路基板上であるサーマルヘッド基板上でサーマルヘッド10本体の温度検出を行う。これに限らず、サーマルヘッド10を構成するアルミ放熱板とも呼ばれるアルミ放熱支持体の内部に設けてもよい。
環境温度センサ210、インキ温度センサ211およびサーマルヘッド温度センサ241としては、所望する感度・信頼性を備え、かつ、比較的小型で安価なサーミスタが好ましく使用される。上記ほどの利点を望まなくても良いのであれば、他の温度検出手段でも構わない。
サーマルヘッド10は、前記したように画像センサ89、図示しないA/D変換部、画像処理部等を経由して、あるいは図示しないパソコン等からのデジタルの画像信号を受信するための図示しないパソコン・コントローラやインターフェース装置、データ展開部等を経由して画像処理部(図示せず)を介して、それぞれ本体制御部200の製版制御部で処理されて送出されるデジタルの画像データ信号を含むサーマルヘッド駆動用の信号に基づいて、多数の発熱体を位置選択的に加熱することにより、マスタ12を位置選択的に加熱溶融穿孔し製版する製版手段としての機能を有する。サーマルヘッド10は、図示しない周知の接離手段により、マスタ12を介してプラテンローラ14に接離自在となっている。
製版装置1は、装置本体50に対して周知の着脱手段を介して着脱自在な製版ユニットを構成している。
この孔版印刷装置では、サーマルヘッド10としては、一般的に薄膜式サーマルヘッドのうちで平面型サーマルヘッドと呼ばれているものを用いているが、これに限らず、主走査方向に配列された複数の発熱体を具備したものであれば、公知の全ての形式・タイプのものを含む。すなわち、サーマルヘッド10としては、平面型サーマルヘッド、端面型サーマルヘッド、リアルエッジ型サーマルヘッドまたはコーナーエッジ型サーマルヘッドであってもよい。また、厚膜式サーマルヘッドを用いた場合にも本発明を適用可能なことは無論である。
また、サーマルヘッド10の発熱体9としては、通常、その平面視形状が矩形型のものを用いているが、熱集中型でもよい。また、1つの画素パターンにおいて、主走査方向に対して複数の発熱体を具備したものでも構わない。
上述したとおり、製版装置1は、サーマルヘッド10の主走査方向Sに配列された複数の発熱体9の部分をマスタ12のフィルムに接触させ、主走査方向Sと直交する副走査方向Yにマスタ12を所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応じての個々の発熱体9の位置選択的な加熱によりマスタ12のフィルムを溶融穿孔してドット状の穿孔・製版画像をマスタ12に形成する装置である。
本実施形態の製版装置1では、副走査方向Yにマスタ12を相対的に移動させる際の副走査方向Yの解像度が、サーマルヘッド10の解像度と同じ解像度となるように予め設定されている。マスタ12を副走査方向Yに搬送する送り動作は、前記例のように所定の送りピッチで間欠的に移動するものに限らず、連続的に送るようにしてもよい。また、原稿読取装置80に限らず、原稿60をコンタクトガラス上に載置・固定し、蛍光灯及びミラー等を具備した走査光学系を駆動モータにより移動させつつ原稿の読み取りを行うスキャナ移動方式を採用してもよい。この場合、前記走査光学系の移動速度を、副走査方向Yの解像度に対応した所定の送りピッチに変えるように前記駆動モータを制御すればよい。
図3を参照して、孔版印刷装置の主として製版装置1を制御するための制御構成周りを説明する。同図に示すように、本体制御部200には、CPUを備えたマイクロプロセッサ220、ROMやRAM等を具備して構成される記憶手段としてのメモリ等221が設けられており、また図示はしていないが、各種カウンタやI/Oポート等を備えていて、マイクロコンピュータ等が具備されている。
マイクロプロセッサ220は、演算および制御機能を有し、それぞれ後述する穿孔パターン可変手段232、穿孔状態可変手段233、穿孔パターン調整手段234、副走査方向送り速度制御手段235、サーマルヘッド製版速度制御手段236、高速製版時穿孔パターン作成制御手段237、その他制御手段222を統括的に制御している。メモリ等221のROMには、マイクロプロセッサ220の上記機能を発揮するための動作プログラムおよび関係データ等が予め記憶されている。メモリ等221のRAMは、各種センサからのデータやマイクロプロセッサ220の演算結果を一時的に記憶する。
また本体制御部200には、環境温度センサ210から出力される環境温度に係る検知データ信号(環境温度検知情報)から環境温度を検出することが可能な環境温度検出部230、サーマルヘッド温度センサ241から出力されるサーマルヘッド温度に係る検知データ信号(サーマルヘッド温度検知情報)からサーマルヘッド温度を検出することが可能なサーマルヘッド温度検出部239、インキ温度センサ211から出力されるインキ温度に係る検知データ信号(インキ温度検知情報)からインキ温度を検出することが可能なインキ温度検出部231が設けられている。
環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231の各種検出部は、A/D変換等を用いて各種温度を検出することが可能に構成されている。
本体制御部200に配設されている穿孔パターン可変手段232に関して説明する。穿孔パターン可変手段232とは、サーマルヘッド10の多数の発熱体9が配列された主走査方向Sおよび副走査方向Yの少なくとも一方の方向に対して、通常の大きさの穿孔(通常の所定の孔径の穿孔)で形成される第1の穿孔パターン(以下、「通常穿孔パターン」ともいう)よりも小さな穿孔(小さな孔径の穿孔)を含んで形成される第2の穿孔パターン(以下、「小径混合穿孔パターン」ともいう)を生成する手段を意味する。
図4および図5を参照して、通常穿孔パターンおよび小径混合穿孔パターンの一例について説明するが、両穿孔パターンは共に次の仕様のサーマルヘッド10、製版装置1の副走査送り解像度および穿孔用エネルギー条件で穿孔・製版されるものである。これは、後述の図6、図8、図9に示す各穿孔パターンにおいても同様である。
サーマルヘッド仕様:400dpi(薄膜式かつ平面型で発熱体が矩形状)
副走査送り解像度:400dpi
画像パターン(穿孔パターン):全ベタ
1画素当たりの穿孔用投入パワー:0.090W/dot
図4は、従来の孔版印刷装置によりマスタ12に形成される通常穿孔パターンとしての穿孔状態を示したものであり、全て通常の所定の孔径の穿孔状態、すなわち通常の大きさの穿孔20で形成されている。これに対して、本実施形態における穿孔パターン可変手段232を具備した孔版印刷装置によりマスタ12に形成される小径混合穿孔パターンとしての穿孔状態としては、一例に過ぎないが、図5(a)、(b)、(c)、(d)のように主走査方向Sおよび副走査方向Yの少なくとも一方の方向に対して、通常穿孔パターンにける通常の大きさの穿孔20よりも小さな孔径の穿孔状態、すなわち小さな穿孔21を含んで形成されている。各穿孔20,21間には離間部が形成されていて独立穿孔を達成していることは無論のことである(以下、同様)。なお、両図において、破線で囲んで示す矩形枠の一つ一つは、1画素を示している(以下、同様)。
穿孔パターン可変手段232の具体例としては、特開2001−62985号公報の図1、図5、図6および段落「0035」〜「0040」に記載されている手段を採用してもよい。
穿孔状態可変手段233とは、上述した穿孔パターン可変手段232により生成された小径混合穿孔パターンにおいて、環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231等からの少なくとも1つの温度検出データ(温度情報)に基づいて、穿孔状態を変える、すなわち小径混合穿孔パターンの穿孔20,21の大きさを変えることを可能にした手段である。その穿孔20,21の大小は使用するマスタの種類、インキの種類および印刷方式等によってどの程度まで変えるかは異なってくるが、図5(a)〜(d)に示した小径混合穿孔パターンで例示すると、環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231等からの温度検出データ(温度情報)が低いときには穿孔20,21を図示しているよりも大きめな穿孔とし、逆に高いときには穿孔20,21を図示しているよりも小さめな穿孔として形成させるようになっている。
本実施形態では、穿孔パターン選択設定手段212を操作パネル90に有している。穿孔パターン選択設定手段212は、小径混合穿孔パターンを複数(少なくとも2つ以上)設定するとともに、そのうちの何れか一つを選択設定することを可能とする手段である。それ故に、穿孔パターン選択設定手段212を操作することにより、ユーザもしくはサービス担当者等が図5(a)〜(d)等に示した複数(この例では4つ)の小径混合穿孔パターンの何れか一つを任意に選択設定することが可能であり、その小径混合穿孔パターンによって異なる狙いのインキ消費量、裏移りレベル、印刷画像品質等を選択することが可能となる。
穿孔パターン選択設定手段212の具体例・選択設定方法は、操作パネル90に配設されている単純なキーまたは各種キーの組み合わせで選択設定可能に構成するようにしても構わないが、LCD等で表示して選択設定可能に構成してもよく、図2に示したタッチパネル方式の表示部98に表示して選択設定可能に構成しても構わない。また、選択すべき複数の小径混合穿孔パターンの内容とともにその効果を表示して選択設定するようにしても構わない。
なお、穿孔パターン選択設定手段212を操作・作動させない場合には、例えば図4に示した従来の通常穿孔パターンが自動的に選択設定されるが、穿孔パターン選択設定手段212により選択設定する穿孔パターンとしては通常穿孔パターンを含めて選択設定できるように構成してもよい。
穿孔パターン調整手段234とは、環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231等からの少なくとも1つの温度検出データ(温度情報)に基づいて、穿孔状態可変手段233により生成された小径混合穿孔パターンの小さな穿孔21(図5(a)〜(d)参照)の割合(もしくは面密度)を変えることが可能な手段である。その穿孔パターンとしてはマスタの種類、インキの種類、印刷方式等によって異なるが、図5(a)〜(d)に示した小径混合穿孔パターンで例示すると、その環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231等からの温度検出データ(温度情報)が低いときには同図に示しているよりも小さな穿孔21の割合を少なくする方向もしくは小さな穿孔21を無くし、逆に高いときには図示しているよりも小さな穿孔21の割合を多くなるようにする。
また、本実施形態では、通常製版モードと省インキ製版モードとを設定することが可能な通常/省インキ製版モード設定手段213を操作パネル90に有している。通常製版モードとは、通常の製版動作を通常の製版速度で実行するモードであり、省インキ製版モードとは、通常製版モード時よりも省インキが可能な製版動作を実行するモードである。
通常/省インキ製版モード設定手段213の具体例・選択設定方法は、上述したように操作パネル90に配設されている単純なキーまたは各種キーの組み合わせで選択設定するようにしても構わないが、LCD等で表示して選択設定可能に構成してもよく、図2に示したタッチパネル方式の表示部98に表示して選択設定可能に構成しても構わない。また、選択すべき小径混合穿孔パターンの内容とともにその効果を表示して選択設定するようにしても構わない。
通常/省インキ製版モード設定手段213により通常製版モードが選択設定された際には、図4に示したような全て同一の通常の大きさの穿孔20から形成される通常穿孔パターン例となるように製版する。一方、省インキ製版モードが選択された際には、図5(a)〜(d)に示したような複数の小径混合穿孔パターン例の何れか一つになるようにすることで、インキ消費量の低減や孔版印刷装置特有の裏移りを抑制することが可能となり、ユーザもしくはサービス担当者がその2つのモードを印刷用途に合わせて選択することが可能となる。
なお、通常製版モードが選択された際には、図4に示したような通常穿孔パターン例となるように製版すると上述したが、これに限らず、図5(a)〜(d)に示したような小径混合穿孔パターン例になるようにし、省インキ製版モードが選択された際には、通常製版モードでの通常穿孔パターンで図4に示した穿孔20の大きさを小さくしてもよく、また、図5(a)〜(d)に示したような各小径混合穿孔パターンを変えて小さな穿孔21の割合を多くして省インキを実現しても構わない。
上述した省インキ製版モード設定時においては、複数(少なくとも2つ以上)の省インキレベルを設定することが可能な省インキレベル設定手段214を操作パネル90に有している。インキの消費を少なくするには、図4に示した通常の穿孔状態である通常穿孔パターン例よりも穿孔20の大きさを小さくして達成することが可能であり、また、図5(a)〜(d)に示したような4つの小径混合穿孔パターン例において、同図に示されているよりも小さな穿孔21の数を増やしその割合を多くして達成することも可能である。そのような手段により省インキのレベル、すなわちインキ消費量の低減率(裏移りの抑制レベル等も含む)をユーザもしくはサービス担当者が任意に設定できることが可能となる。
省インキレベル設定手段214の具体例・選択設定方法は、上述したように操作パネル90に配設されている単純なキーまたは各種キーの組み合わせで選択設定可能に構成しても構わないし、LCD等で表示して選択設定可能に構成してもよく、図2に示したタッチパネル方式の表示部98に表示して選択設定可能に構成しても構わない。また、2つ以上の省インキレベルの内容とともにその効果を表示して選択設定するようにしても構わない。
また、本実施形態では、通常製版モードと高速製版モードとを設定することが可能な通常/高速製版モード設定手段215を操作パネル90に有しているとともに、副走査方向送り速度制御手段235、サーマルヘッド製版速度制御手段236および高速製版時穿孔パターン作成制御手段237を有している。
通常製版モードとは、通常の製版動作を通常の製版速度で実行するモードであり、高速製版モードとは、通常製版モード時の製版速度よりも高速で製版動作を実行するモードである。
通常/高速製版モード設定手段215の具体例・選択設定方法は、上述したように操作パネル90に配設されている単純なキーまたは各種キーの組み合わせで選択設定可能に構成しても構わないし、LCD等で表示して選択設定可能に構成してもよく、図2に示したタッチパネル方式の表示部98に表示して選択設定可能に構成しても構わない。また、各製版モードの内容とともにその効果を表示して選択設定するようにしても構わない。
副走査方向送り速度制御手段235は、製版装置1内の各種モータ242に含まれているマスタ送りモータ11を制御することによって副走査方向Yのマスタ12の送り速度を制御する手段である。サーマルヘッド製版速度制御手段236は、サーマルヘッド10の駆動制御回路を制御することによってサーマルヘッド10の個々の発熱体9の駆動周期を制御する手段である。
高速製版時穿孔パターン作成制御手段237は、通常/高速製版モード設定手段215により高速製版モードが設定されたとき、副走査方向送り速度制御手段235をしてマスタ12の送り速度を高速にし、かつ、サーマルヘッド製版速度制御手段236をして上記駆動周期を高速にし、副走査方向Yの穿孔に対して小さな穿孔からなる小径混合穿孔パターンに変える手段である。
換言すれば、高速製版時穿孔パターン作成制御手段237は、通常/高速製版モード設定手段215により高速製版モードが設定された際には、副走査方向送り速度制御手段235によって、マスタ送りモータ11でのマスタ12の送り速度を製版周期および副走査方向Yの解像度(副走査方向Yのマスタ送りピッチ)に見合った速度で高速にし、サーマルヘッド10の駆動制御回路もサーマルヘッド製版速度制御手段236で高速周期モードとし、強制的に、副走査方向Yの穿孔に対して通常穿孔パターンよりも小さな穿孔が含有されるように制御するものである。
上述したように、強制的に、副走査方向Yの穿孔に対して通常穿孔パターンよりも小さな穿孔21が含有されている小径混合穿孔パターンを図6(a)、(b)に示す。図6(a)は、副走査方向Yに対して、1ラインおきに通常の大きさの穿孔20よりも小さな穿孔21が含有されている例であって、図6(b)は、2ラインおきに通常の大きさの穿孔20よりも小さな穿孔21が含有されている例である。
副走査方向Yに対して上述した小径混合穿孔パターンにすることによって、何故高速製版が可能になるかについて、図7(a)、(b)を参照して説明する。図7(a)は、通常製版モード時で通常穿孔パターン(図4で示した通常穿孔パターン)を製版する際のサーマルヘッド10に具備されている発熱体9のピーク温度推移を実験により求め、この結果を線図としてまとめたものである。図7(b)は、図6(b)に示した小径混合穿孔パターンを製版した際のサーマルヘッド10に具備されている発熱体9のピーク温度推移を実験により求め、この結果を線図としてまとめたものである。図7(a)、(b)において、横軸には時間を、縦軸にはサーマルヘッド温度をそれぞれ取って示している。両者を比較すると、図7(a)のサーマルヘッド10に具備されている発熱体9のピーク温度推移よりも図7(b)のサーマルヘッド10に具備されている発熱体9のピーク温度推移の方が、破線の矢印に示したようにサーマルヘッド10内に蓄熱される量が低減でき、かつ、ピーク温度自身が抑制できていることが判る。
このことは、蓄熱作用を抑制することによって、今まで困難とされていた製版周期が1.5ms/line以下の場合にも穿孔状態としては独立し、なおかつ、裏移り等の抑制が可能で、また独立穿孔を維持することが可能なことから、孔版印刷装置での長所である印刷枚数が多いほどランニングコスト低減が可能となる多数枚印刷の耐刷に関しても問題無く印刷が可能となることを示している。また、サーマルヘッドを使用する装置においてサーマルヘッドの個々の発熱体へ供給する印加エネルギーとしては、孔版印刷装置は例えばファクシミリ等の他の装置と比較してもかなり高く印加しなければならず、サーマルヘッドの高速周期化に伴いサーマルヘッドに具備されている発熱体でのピーク温度が蓄熱作用によって高くなることから寿命低下を招いてしまっていた。これに対し、本実施形態によれば、サーマルヘッドの高速周期化に伴うサーマルヘッドに具備されている発熱体でのピーク温度が蓄熱作用によって高くなることを抑制できて、寿命に関しても問題無く使用することが可能となった。
さらに、本実施形態では、図3に示すようにマスタに形成されるベタ部を検出するベタ部検出手段238を有し、穿孔状態可変手段233によって、以下の制御を実行することが可能となっている。すなわち、穿孔状態可変手段233は、通常製版モード以外の少なくとも1つの製版モードが設定されたとき、ベタ部検出手段238からの信号に基づいて、ベタ部として検出されマスタ12に穿孔される部位のみ、小径混合穿孔パターンを形成させることである。
ベタ部検出手段238とは、マスタ12に形成されるベタ部が認識できるように画像データをマトリクス上に組み、予め設定された条件以上の黒データ(黒画素)すなわち穿孔実施部の場合に上述した内容の穿孔処理を実施する。この効果としては、穿孔のパターンを変えてしまう方策であるので細字や文字部がマスタの種類、インキの種類、印刷方式にもよるが、ギザギザに見えてしまうことがあるため、そのような際に細字や文宇部の印刷画像品質の低下を低減することが可能となり、かつ、省インキおよび製版の高速化等を図ることも可能となる。
本実施形態で使用するマスタとして、マスタに具備されている熱可塑性樹脂フィルム表面の平滑度として5000秒以上としていることが、一つの特徴となっている。このことは、上述してきたように穿孔パターンとして、図5(a)〜(d)、図6(a)、(b)に示したように穿孔状態として大きいもの(通常の大きさの穿孔20)と小さな穿孔21とを組み合わせて実現していることから必要となることである。図1に示すように、マスタの穿孔は、サーマルヘッド10とプラテンローラ14との間にマスタ12を挟み込み押圧し、サーマルヘッド10の個々の発熱体9へ穿孔させるためのエネルギーを印加させることで実現している。穿孔状態として小さな穿孔のものでは、マスタ12のフィルム表面の平滑度として5000秒以下のものを使用すると、未穿孔状態や穿孔不良が多数発生してしまい、印刷画像品質は劣悪化してしまう。そこで、マスタ12のフィルム表面の平滑度の悪さを補うためにプラテンローラ14の押付力を増大することも考えられるが、この方策では限界があり、またプラテンローラ14の押付力を増大し過ぎるとサーマルヘッド10に具備されている保護膜が剥がれてしまい、これに伴いリード電極や発熱抵抗体等が酸化し、最悪はその発熱抵抗体に通電できなくなって白スジ状の異常画像が発生してしまうため、多数回の実験結果を踏まえて、マスタとしてフィルム表面の平滑度の値を限定し、その値としては5000秒以上とした。なお、この平滑度の測定としては、旭精工株式会杜製の王研式平滑度試験機(型式:KB1)を使用し上記測定値を得た。
以上説明した内容で、穿孔状態(小径混合穿孔パターン)における小さな穿孔の大きさおよび穿孔状態(小径混合穿孔パターン)における小さな穿孔の割合に関してまとめると、環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231等からの少なくとも1つの温度情報と、穿孔状態における小さな穿孔の大きさおよび穿孔状態における小さな穿孔の割合との関係は以下の表1、表2のようになる。
Figure 0005015577
Figure 0005015577
上記表1、表2のような傾向で制御するのだが、この場合の穿孔状態における小さな穿孔の大きさ、小さな穿孔の割合等に関しては、印刷方式を含む孔版印刷装置、使用するインキの種類およびマスタの種類等によっても当然異なる。孔版印刷装置、使用するインキの種類およびマスタの種類を一定にした場合の穿孔状態(小径混合穿孔パターン)の一例として、図8に示す。
図8(a)〜(d)は、環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231等の少なくとも1つからの温度情報で温度が低いときの一例であり、通常の大きさの穿孔20と小さな穿孔21とが共に大きめに形成され、かつ、規則性をもった穿孔パターンをなしており、逆に温度が高い時は図8(a’)〜(d’)のような穿孔状態(小径混合穿孔パターン)、すなわち通常の大きさの穿孔20’と小さな穿孔21’とが共に小さめに形成され、かつ、規則性をもった穿孔パターンをなしている。
上述までの記載内容は2種類の穿孔の大きさのみからなる小径混合穿孔パターンとなっていたが、中間の大きさの穿孔を含む小径混合穿孔パターンでの実施も可能であり、より精度の高い制御が可能となる。
その一例を図9に示す。図9(c)は、環境温度検出部230、サーマルヘッド温度検出部239、インキ温度検出部231等の少なくとも1つからの温度情報で温度が低いときの穿孔状態の一例であり(図8(c)と同じ)、図9(c’)は上述したように逆に温度が高いときの穿孔状態の一例である(図8(c’)と同じ)。そこで、より精度の高い制御が可能である中間の小径混合穿孔パターンの一例が図9(c’’)である。図9(c’’)において、当然その際のそれぞれの穿孔20’,21’,21’’の大きさ、小さな穿孔21’の割合、小さな穿孔であって中間のおおきさの穿孔21’’の割合等に関しては、孔版印刷装置、使用するインキの種類、およびマスタの種類によって異なることは無論である。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置の概略的な正面図である。 図1に示した孔版印刷装置に用いられる操作パネルの平面図である。 図1に示した孔版印刷装置の要部の制御構成を示すブロック図である。 従来の孔版印刷装置によりマスタに形成される通常穿孔パターンとしての穿孔状態を示す概略的な平面図である。 (a)、(b)、(c)、(d)は、穿孔パターン可変手段を具備した孔版印刷装置によりマスタに形成される小径混合穿孔パターンとしての穿孔状態例を示す概略的な平面図である。 (a)、(b)は、高速製版時穿孔パターン作成制御手段によりマスタに強制的に形成される小径混合穿孔パターンとしての穿孔状態例を示す概略的な平面図である。 (a)は、通常製版モード時で通常穿孔パターンを製版する際のサーマルヘッドの発熱体近傍のピーク温度推移を、(b)は、図6(b)に示した小径混合穿孔パターンを製版した際のサーマルヘッドの発熱体近傍のピーク温度推移をそれぞれ示す線図である。 (a)〜(d)は、少なくとも1つの温度情報で温度が低いときの小径混合穿孔パターンとしての穿孔状態例を、(a’)〜(d’)は、少なくとも1つの温度情報で温度が高いときの小径混合穿孔パターンとしての穿孔状態例をそれぞれ示す概略的な平面図である。 (c)は、図8(c)と同じ穿孔状態を、(c’)は、図8(c’)と同じ穿孔状態を、(c’’)は、中間の小径混合穿孔パターンとしての穿孔状態例をそれぞれ示す概略的な平面図である。
符号の説明
1 製版装置
9 発熱体(発熱素子)
10 サーマルヘッド
11 マスタ送りモータ
12 マスタ
14 プラテンローラ
20 通常の大きさの穿孔
21 小さな穿孔
60 原稿
62 用紙(被印刷媒体)
90 操作パネル
101 印刷ドラム
103 押圧手段としてのプレスローラ
200 本体制御部
210 環境温度センサ(環境温度検出手段)
211 インキ温度センサ(インキ温度検出手段)
212 穿孔パターン選択設定手段
213 通常/省インキ製版モード設定手段
214 省インキレベル設定手段
215 通常/高速製版製版モード設定手段
220 マイクロプロセッサ
221 メモリ等(記憶手段)
232 穿孔パターン可変手段
233 穿孔状態可変手段
234 穿孔パターン調整手段
235 副走査方向送り速度制御手段
236 サーマルヘッド製版速度制御手段
237 高速製版時穿孔パターン作成制御手段
238 ベタ部検出手段
241 サーマルヘッド温度センサ(サーマルヘッド温度検出手段)
S 主走査方向
Y 副走査方向

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された複数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタを相対的に移動させつつ画像情報に応じた上記各発熱体の選択的な加熱により上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させ、上記主走査方向および上記副走査方向の両方向に配列され、通常の大きさの穿孔で形成される第1の穿孔パターンよりも小さな穿孔を含んで形成される第2の穿孔パターンを生成する穿孔パターン可変手段を具備し、製版済みのマスタを給版する製版装置を備え、製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し該印刷ドラムの内周側よりインキを供給し製版済みのマスタの穿孔パターン部からインキを滲出させて用紙上に転移させることにより印刷画像を形成する孔版印刷装置において、
    環境温度を検出する環境温度検出手段、サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段およびインキの温度を検出するインキ温度検出手段のうちの少なくとも1つの温度検出手段と、
    上記少なくとも1つの温度検出手段からの温度情報に基づいて、第2の穿孔パターンに含まれる全ての穿孔の大きさに関して、上記温度情報が相対的に高い場合に小さく、上記温度情報が相対的に低い場合に大きくなるように、第1の穿孔パターンおよび第2の穿孔パターンのうちの少なくとも第2の穿孔パターンの上記全ての穿孔の大きさを変える穿孔状態可変手段と、
    上記少なくとも1つの温度検出手段からの温度情報に基づいて、第2の穿孔パターンにおける上記小さな穿孔の割合に関して、上記温度情報が相対的に高い場合に多く、上記温度情報が相対的に低い場合に少なくなるように、第2の穿孔パターンにおける上記小さな穿孔の割合を変える穿孔パターン調整手段と、
    を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 請求項1記載の孔版印刷装置において、
    第1の穿孔パターンと第2の穿孔パターンとを複数設定することが可能な穿孔パターン選択設定手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
    通常の製版動作を実行する通常製版モードと省インキが可能な製版動作を実行する省インキ製版モードとを設定することが可能な通常/省インキ製版モード設定手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  4. 請求項記載の孔版印刷装置において、
    上記通常/省インキ製版モード設定手段により上記省インキ製版モードが設定されたとき、複数の省インキレベルを設定することが可能な省インキレベル設定手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  5. 請求項1または2記載の孔版印刷装置において、
    通常の製版動作を実行する通常製版モードと通常の製版動作よりも高速で製版動作を実行する高速製版モードとを設定することが可能な通常/高速製版モード設定手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  6. 請求項記載の孔版印刷装置において、
    上記副走査方向のマスタの送り速度を制御する副走査方向送り速度制御手段と、
    上記サーマルヘッドの個々の発熱体の駆動周期を制御するサーマルヘッド製版速度制御手段と、
    上記通常/高速製版モード設定手段により上記高速製版モードが設定されたとき、上記副走査方向送り速度制御手段をして上記マスタの送り速度を高速にし、かつ、上記サーマルヘッド製版速度制御手段をして上記駆動周期を高速にし、なおかつ、上記副走査方向の穿孔に対して第2の穿孔パターンにおける上記小さな穿孔の含有が多くなるように変える高速製版時穿孔パターン作成制御手段と、
    を有することを特徴とする孔版印刷装置。
  7. 請求項1ないし6の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
    マスタに形成されるベタ部を検出するベタ部検出手段と、
    上記穿孔状態可変手段は、上記通常製版モード以外の少なくとも1つの製版モードが設定されたとき、上記ベタ部検出手段からの信号に基づいて、上記ベタ部として検出されるマスタに穿孔される部位のみ、第2の穿孔パターンを形成させることを特徴とする孔版印刷装置。
  8. 請求項ないしの何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
    上記通常/高速製版モード設定手段により上記高速製版モードが設定されたとき、製版周期が1.5ms/line以下であることを特徴とする孔版印刷装置。
  9. 請求項ないし8の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
    マスタにおける上記熱可塑性樹脂フィルム表面の平滑度が、5000秒以上であることを特徴とする孔版印刷装置。
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