JPH08142299A - 感熱孔版印刷装置 - Google Patents

感熱孔版印刷装置

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Publication number
JPH08142299A
JPH08142299A JP27815594A JP27815594A JPH08142299A JP H08142299 A JPH08142299 A JP H08142299A JP 27815594 A JP27815594 A JP 27815594A JP 27815594 A JP27815594 A JP 27815594A JP H08142299 A JPH08142299 A JP H08142299A
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JP
Japan
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ink
thermal head
heat
sensitive stencil
perforation
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Pending
Application number
JP27815594A
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English (en)
Inventor
Hajime Kato
肇 加藤
Yasumitsu Yokoyama
保光 横山
Yoshiyuki Shishido
善幸 宍戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 主走査方向に隣接する発熱体部の間に電極層
を放熱部として残すことにより、感熱性孔版マスタにお
ける主走査方向の穿孔径の広がりを断面構造上から抑え
ると共に、上記放熱部における放熱性を向上することに
より隣接する発熱体部間の熱干渉を抑制し、主走査方向
に隣接する穿孔同士が繋がることなく独立し、主走査方
向の解像度に対応して最適な穿孔状態が得られると共に
裏移りの発生を防止した感熱孔版印刷装置を提供する。 【構成】 主走査方向Sに配列された複数の発熱体部3
3a,33b,33cを具備したサーマルヘッド30を
有する感熱孔版印刷装置において、主走査方向Sにおけ
る相隣る発熱体部33a,33b,33c間に放熱部3
8b,38cを設けたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、感熱孔版印刷装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】印刷すべき原稿の画像に応じた穿孔パタ
ーンが形成された感熱性孔版マスタを印刷ドラムの外周
面に巻装し、印刷ドラムの内周側からインキを供給し、
上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより穿孔パ
ターンに応じたインキ画像を印刷用紙上に形成する孔版
印刷装置が良く知られている。このような孔版印刷装置
においては、サーマルヘッドにおける主走査方向に一列
に配列された個々の発熱体部に一定の発熱作動時間間隔
(以下、「印字周期」もしくは「ライン周期」というと
きがある)をもって通電し、その電気エネルギーを発熱
体部で熱エネルギーに変換し、すなわちジュール熱を発
生させて上記感熱性孔版マスタを穿孔している。
【0003】ところで、そうした孔版印刷装置において
印刷を行い、その印刷済用紙を順次排紙台へ排紙・積載
したとき、先に排紙された印刷済用紙表面のインキが、
次に排紙された印刷済用紙の裏面へ転移してその印刷済
用紙の裏面を汚損してしまう、いわゆる裏移りという不
具合が発生する。そこで、そうした裏移り不具合を解消
するために、例えば特開平2−67133号公報、特開
平4−71847号公報、あるいは特開平4−2657
59号公報に記載されている技術のように、主走査方向
及びこれと直交する副走査方向において独立穿孔するこ
とにより、インキ転移量を抑制することが提案されてい
る。
【0004】また例えば、特開昭64−69363号公
報に記載されている技術のように、端面型サーマルヘッ
ドなどを構成する際、隣接するドット状発熱体間の熱影
響を除去するとともに発熱体周囲の放熱効果を高め、印
字品位を容易に向上させることを可能としたサーマルヘ
ッドを提供するために、各発熱体間を熱的に分離する溝
を、絶縁基体に形成したものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】感熱孔版印刷装置にお
いては、図28及び図29に示すように、主走査方向S
に一列に配列された微小かつ多数の、例えば発熱体部3
3a,33b,33cを具備したサーマルヘッド300
に対して感熱性孔版マスタ61を直接接触させ、各発熱
体部33a,33b,33cに通電する時間を制御する
ことにより、主走査方向Sと直交する副走査方向Fにつ
いて送り線密度に対応した穿孔hの大きさ(以下、「穿
孔径」というときがある)を制御し、相隣る穿孔h同士
が繋がらないように、すなわち穿孔h同士の分離性を向
上することが本件出願人により提案されている(例え
ば、特願平5−109341号)。主走査方向Sについ
ては、主走査線密度に対応した発熱体部33a,33
b,33cの寸法にすることで穿孔径を制御していた。
このため、主走査方向Sに隣接する各発熱体部33a,
33b,33cに同時に通電した場合は、隣接する各発
熱体部33a,33b,33cの熱干渉を受けてしま
い、発熱体部33a,33b,33cにおける主走査方
向Sの寸法(以下、単に「主走査方向長Ls」と略記
し、また発熱体部33a,33b,33cにおける副走
査方向Fの寸法を単に「副走査方向長Lf」と略記す
る)以上の穿孔径となってしまう。なお、上記サーマル
ヘッド300には、通常、826〜7168個の発熱体
部が備えられているが、説明の簡明化及びその位置の明
確化を図るため、サーマルヘッド300から同一仕様の
上記3個の発熱体部33a,33b,33cのみを抽出
してこれらに別々の符号を付して説明する。また単に発
熱体部を説明するときには符号33を付した図面を用い
ることとする。各発熱体部33a,33b,33cの両
端には、電流を流すための、発熱体部33aを挾んで設
けられた一対の電極34a,34aが、発熱体部33b
を挾んで設けられた一対の電極34b,34bが、発熱
体部33cを挾んで設けられた一対の電極34c,34
cが配設されている。
【0006】感熱性孔版マスタ61は、例えば和紙等か
らなる多孔性の支持体61wとポリエステル等からなる
厚さ2μmの熱可塑性樹脂フィルム61fとを貼り合わ
せた厚さ40〜60μmものが用いられている。
【0007】上記現象を図27〜図30を参照して説明
する。図27は従来のサーマルヘッド300の発熱体部
33廻りの平面及び断面構造を、図28及び図29は或
る製版条件で製版したときの穿孔状態を、図30はサー
マルヘッド300の個々の発熱体部33に供給する穿孔
用エネルギーとこれに対応して形成される主走査方向S
及び副走査方向Fの穿孔hの大きさとの関係をそれぞれ
表わしている。
【0008】図27において、符号31はアルミナ等で
できた基材、符号32は電気及び熱絶縁性のガラス等で
できたグレーズ層、符号34はタンタル(Ta)又はア
ルミニウム等の金属材料でできた電極層(以下、単に
「電極」というときがある)、符号35はその下部に形
成された二酸化珪素(SiO2)等からなる耐酸化層
と、この耐酸化層の上部に積層形成された、熱可塑性樹
脂フィルム等との接触による摩耗から電極34及び発熱
体部33を保護する五酸化タンタル(Ta25)等の耐
摩耗層とからなる保護膜層をそれぞれ示す。抵抗体層3
3Rは、通常、例えばタンタルシリコン(TaSi)又
は窒化タンタル(Ta2N)等の高電気抵抗材料ででき
ていて、電流を流すとジュール熱を発生する発熱体部3
3a,33b,33cを備えている。このように、サー
マルヘッド300の断面構造は、基材31の上部に発熱
体部33で発生したジュール熱を蓄えるグレーズ層3
2、発熱体部33、発熱体部33に電流を供給する電極
34及び保護膜層35が、この順に積層されて形成され
ている。符号36はコモン電極を示す。なお、保護膜層
35は、各断面図中においては梨地模様で示し、各平面
図中においてはこれを省略して示す。
【0009】このサーマルヘッド300の発熱体部33
の製造方法は、通常、電極層34をエッチングにより選
択的に取り除くことで発熱体部33の副走査方向長Lf
を、電極層34及び上記抵抗体層33Rをエッチングに
より選択的に取り除くことで発熱体部33の主走査方向
長Lsを形成している。つまり、副走査方向Fには電極
層34により段差gfがあり、主走査方向Sには段差g
fが無い断面構造となっている。
【0010】図29(a)及び図28(a)に示すよう
に、例えば、主走査方向Sに300DPI(ドット/イ
ンチ)の解像度を持つ感熱孔版印刷装置の場合、それに
使用されるサーマルヘッド300の発熱体部33の寸法
として、主走査方向長Ls=45μm、副走査方向長L
f=55μmのもので、発熱体部間ピッチPs=84.
7μmであるものを用いたとする。さて、各発熱体部3
3a,33b,33cに穿孔用エネルギーとしての電気
エネルギーを供給すると、各発熱体部33a,33b,
33cがジュール熱を発生する。このとき、発生したジ
ュール熱は、各発熱体部33a,33b,33cの中心
から同心円を描くようにその外周縁へと広がっていく
が、副走査方向Fについては、伝熱しやすい各々の一対
の電極34a,34a、34b,34b、34c,34
cに到達することにより放熱される。しかし、主走査方
向Sについては、放熱効果のある部材は存在せず、隣接
する発熱体部33a,33b,33cにて発生したジュ
ール熱の影響を受け、図29(b)に示すような温度分
布曲線を示す。ここで、図29(b)及び(c)におい
て主走査方向Sの温度分布曲線Tαs及び副走査方向F
の温度分布曲線Tαf(共に図中破線で示す)は、穿孔
用エネルギーが大きいときの温度分布を示し、主走査方
向Sの温度分布曲線Tβs及び副走査方向Fの温度分布
曲線Tβf(共に図中実線で示す)は、穿孔用エネルギ
ーが小さいときの温度分布を示す。符号Dは、感熱性孔
版マスタ61におけるポリエステル等でできた熱可塑性
樹脂フィルムが溶融穿孔される「しきい値温度」を示し
ている。サーマルヘッド300を発熱駆動させ、感熱性
孔版マスタ61を副走査方向Fに搬送せずに、これらの
穿孔用エネルギーで感熱性孔版マスタ61に溶融穿孔・
製版した場合は、図29(d)、(e)の様な穿孔状態
となる。すなわち、図29(d)においては、穿孔用エ
ネルギーが小さいときの温度分布曲線Tβs及び温度分
布曲線Tβfに対応して、主走査方向Sの穿孔径m1
副走査方向Fの穿孔径l1の大きさの穿孔hが感熱性孔
版マスタ61に形成される。一方、図29(e)におい
ては、穿孔用エネルギーが大きいときの温度分布曲線T
αs及び温度分布曲線Tαfに対応して、主走査方向S
の穿孔径m2、副走査方向Fの穿孔径l2の大きさの穿孔
hが感熱性孔版マスタ61に独立すること無く繋がって
形成される。
【0011】これらの図から分かるように、各発熱体部
33a,33b,33cの寸法は副走査方向Fに長い長
方形であるにもかかわらず、主走査方向Sの穿孔径
1,m2は、主走査方向Sに隣接する各発熱体部33
a,33b,33cの熱干渉を受けるために、小さい穿
孔用エネルギーでも「しきい値温度」に到達する範囲が
広く、主走査方向Sに長い楕円形となっている。また大
きい穿孔用エネルギーが各発熱体部33a,33b,3
3cに供給されたときには、主走査方向Sの穿孔径m2
は、主走査方向Sに隣接する各発熱体部33a,33
b,33cの熱干渉を前者の状態よりも大きく広い範囲
で受けるために、主走査方向Sに長い楕円形となってし
まい、隣接する穿孔h同士が繋がってしまうのである。
【0012】また図28(b),(c)に示すように、
サーマルヘッド300の各発熱体部33a,33b,3
3cの断面構造において、副走査方向Fには電極層34
a,34b,34cにより段差gfがあり、主走査方向
Sにはそのような段差gfが無い。このため副走査方向
Fにおいては、各電極34a,34b,34cがある程
度、各発熱体部33a,33b,33cで発生したジュ
ール熱を放熱する役目を果たすために、穿孔用エネルギ
ーの大小に対応して「しきい値温度」を超える領域が変
化する。すなわち、各発熱体部33a,33b,33c
で発生したジュール熱は、副走査方向Fについては各電
極層34a,34b,34cへの放熱によりジュール熱
の拡散が防止されると共に、感熱性孔版マスタ61に形
成された溶融穿孔しつつある穿孔hのマスタ溶融だれh
fが、電極層34a,34b,34cの段差gfにぶつ
かり副走査方向Fの穿孔径l1,l2の成長が阻害され、
ジュール熱の広がりが止まるが、主走査方向Sについて
は段差gfに相当する障壁がないためにジュール熱の影
響が続く限り広がってしまう。つまり、図30に示すよ
うに、穿孔用エネルギーの大きさに対応して副走査方向
Fの穿孔径l1,l2が決まり、主走査方向Sの穿孔径m
1,m2は、穿孔径l1,l2の成長に比べてより急激に広
がる。この結果、印刷用紙へのインキの転移量は、副走
査方向Fでは最適な画像品質が得られる程度に抑制され
るものの、主走査方向Sでは過度のインキが転移される
こととなる。なお、図30において、符号l,mは、穿
孔用エネルギーの供給によりジュール熱に対応して生成
される、「しきい値温度」以上の主走査方向Sにおける
穿孔径の大きさと穿孔用エネルギーとの分布曲線、及び
副走査方向Fにおける穿孔径の大きさと穿孔用エネルギ
ーとの分布曲線をそれぞれ示している。
【0013】以上述べた2つのことから、従来の感熱孔
版印刷装置においては、主走査方向Sに隣接する穿孔h
同士が繋がってしまい、主走査方向Sでの印刷用紙への
インキ転移量が過度となり前述した裏移りという問題と
なる。また、ここで、発熱体部33a,33b,33c
で発生するジュール熱を低くすることにより隣接する穿
孔h同士が繋がるのを防止しようとしても、主走査方向
Sの穿孔径が短くなり始めるときには、発熱体部33
a,33b,33cの発熱温度が低すぎて任意に選択さ
れた位置に穿孔することができなくなって所謂「白抜
け」が発生し、画像品質が劣化する問題となる。
【0014】また、各発熱体間を熱的に分離する溝を絶
縁基体に形成した後者の技術においても、上述した内容
と略同様の現象及び問題点を生じる。さらに絶縁基体に
溝を形成しているのでサーマルヘッドの強度が低下する
という問題点もある。
【0015】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、主走査方向に隣接する発熱体部の間に電極層を放
熱部として残すことにより、感熱性孔版マスタにおける
主走査方向の穿孔径の広がりを断面構造上から抑えると
共に、上記放熱部における放熱性を向上することにより
隣接する発熱体部間の熱干渉を抑制し、主走査方向に隣
接する穿孔同士が繋がることなく独立し、主走査方向の
解像度に対応して最適な穿孔状態が得られる感熱孔版印
刷装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ために、請求項1記載の発明は、主走査方向に配列され
た複数の発熱体部を具備したサーマルヘッドに対して、
少なくとも熱可塑性樹脂フィルムを有する感熱性孔版マ
スタを接触させ、画像信号に応じて上記サーマルヘッド
の微小な発熱体部を発熱させて上記熱可塑性樹脂フィル
ムを位置選択的に溶融穿孔して上記画像信号に応じた穿
孔パターンを得、この感熱性孔版マスタを印刷ドラムの
外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内周側からインキを
供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキによ
り上記画像信号に応じたインキ画像を印刷用紙上に形成
する感熱孔版印刷装置において、主走査方向における相
隣る上記発熱体部間に放熱部を設けたことを特徴として
いる。
【0017】請求項2記載の発明は、請求項1記載の感
熱孔版印刷装置において、上記発熱体部に電流を供給す
るための電極層が設けられており、上記放熱部の高さ
が、上記電極層の高さと略同等であることを特徴として
いる請求項3記載の発明は、請求項2記載の感熱孔版印
刷装置において、上記放熱部が、上記電極層の一部をな
し、主走査方向と直交する副走査方向に延出して形成さ
れていることを特徴としている。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の感熱孔版印刷装置において、上記インキの温度
を検出するインキ温度検出手段と、上記サーマルヘッド
の個々の発熱体部に供給する穿孔用エネルギーを、上記
インキ温度検出手段で検出されたインキ温度に応じて所
定のエネルギーに調整する穿孔エネルギー調整手段とを
有することを特徴としている。
【0019】請求項5記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の感熱孔版印刷装置において、上記サーマルヘッ
ドの温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段と、上
記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿孔用エ
ネルギーを、上記サーマルヘッド温度検出手段で検出さ
れたサーマルヘッド温度に応じて所定のエネルギーに調
整する穿孔エネルギー調整手段とを有することを特徴と
している。
【0020】請求項6記載の発明は、請求項4記載の感
熱孔版印刷装置において、上記サーマルヘッドの温度を
検出するサーマルヘッド温度検出手段を有し、上記穿孔
エネルギー調整手段は、上記インキ温度検出手段で検出
されたインキ温度と上記サーマルヘッド温度検出手段で
検出されたサーマルヘッド温度とに応じて上記穿孔用エ
ネルギーの調整を行うことを特徴としている。
【0021】請求項7記載の発明は、請求項1,2又は
3記載の感熱孔版印刷装置において、上記インキ画像の
印刷濃度を設定するための印刷濃度設定手段と、上記サ
ーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿孔用エネル
ギーを、上記印刷濃度設定手段で設定された印刷濃度に
応じて所定のエネルギーに調整する穿孔エネルギー調整
手段とを有し、上記印刷濃度が可変であることを特徴と
している。
【0022】請求項8記載の発明は、請求項4記載の感
熱孔版印刷装置において、上記インキ画像の印刷濃度を
設定するための印刷濃度設定手段を有し、上記穿孔エネ
ルギー調整手段は、上記印刷濃度設定手段により設定さ
れた印刷濃度と上記インキ温度検出手段で検出されたイ
ンキ温度とに応じて上記穿孔用エネルギーの調整を行
い、上記印刷濃度が可変であることを特徴としている。
【0023】請求項9記載の発明は、請求項5記載の感
熱孔版印刷装置において、上記インキ画像の印刷濃度を
設定するための印刷濃度設定手段を有し、上記穿孔エネ
ルギー調整手段は、上記印刷濃度設定手段により設定さ
れた印刷濃度と上記サーマルヘッド温度検出手段で検出
されたサーマルヘッド温度とに応じて上記穿孔用エネル
ギーの調整を行い、上記印刷濃度が可変であることを特
徴としている。
【0024】請求項10記載の発明は、請求項4記載の
感熱孔版印刷装置において、上記サーマルヘッドの温度
を検出するサーマルヘッド温度検出手段と、上記インキ
画像の印刷濃度を設定するための印刷濃度設定手段とを
有し、上記穿孔エネルギー調整手段は、上記印刷濃度設
定手段により設定された印刷濃度と上記インキ温度検出
手段で検出されたインキ温度と上記サーマルヘッド温度
検出手段で検出されたサーマルヘッド温度とに応じて上
記穿孔用エネルギーの調整を行い、上記印刷濃度が可変
であることを特徴としている。
【0025】請求項11記載の発明は、請求項1,2又
は3記載の感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラム
の内のインキの種類を検出する印刷ドラム内インキ種類
検出手段と、上記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供
給する穿孔用エネルギーを、上記印刷ドラム内インキ種
類検出手段で検出された印刷ドラム内インキ種類に応じ
て所定のエネルギーに調整する穿孔エネルギー調整手段
とを有することを特徴としている。
【0026】請求項12記載の発明は、請求項4記載の
感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラムの内のイン
キの種類を検出する印刷ドラム内インキ種類検出手段を
有し、上記穿孔エネルギー調整手段は、上記インキ温度
検出手段で検出されたインキ温度と上記印刷ドラム内イ
ンキ種類検出手段で検出された印刷ドラム内インキ種類
とに応じて上記穿孔用エネルギーの調整を行うことを特
徴としている。
【0027】請求項13記載の発明は、請求項5記載の
感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラムの内のイン
キの種類を検出する印刷ドラム内インキ種類検出手段を
有し、上記穿孔エネルギー調整手段は、上記サーマルヘ
ッド温度検出手段で検出されたサーマルヘッド温度と上
記印刷ドラム内インキ種類検出手段で検出された印刷ド
ラム内インキ種類とに応じて上記穿孔用エネルギーの調
整を行うことを特徴としている。
【0028】請求項14記載の発明は、請求項4記載の
感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラムの内のイン
キの種類を検出する印刷ドラム内インキ種類検出手段
と、上記サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッ
ド温度検出手段とを有し、上記穿孔エネルギー調整手段
は、上記インキ温度検出手段で検出されたインキ温度と
上記サーマルヘッド温度検出手段で検出されたサーマル
ヘッド温度と上記印刷ドラム内インキ種類検出手段で検
出された印刷ドラム内インキ種類とに応じて上記穿孔用
エネルギーの調整を行うことを特徴としている。
【0029】請求項15記載の発明は、請求項1,2又
は3記載の感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラム
の内のインキの種類を設定する印刷ドラム内インキ種類
設定手段と、上記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供
給する穿孔用エネルギーを、上記印刷ドラム内インキ種
類設定手段で設定された印刷ドラム内インキ種類に応じ
て所定のエネルギーに調整する穿孔エネルギー調整手段
とを有することを特徴としている。
【0030】請求項16記載の発明は、請求項4記載の
感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラムの内のイン
キの種類を設定する印刷ドラム内インキ種類設定手段を
有し、上記穿孔エネルギー調整手段は、上記インキ温度
検出手段で検出されたインキ温度と上記印刷ドラム内イ
ンキ種類設定手段で設定された印刷ドラム内インキ種類
とに応じて上記穿孔エネルギーの調整を行うことを特徴
としている。
【0031】請求項17記載の発明は、請求項5記載の
感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラムの内のイン
キの種類を設定する印刷ドラム内インキ種類設定手段を
有し、上記穿孔エネルギー調整手段は、上記サーマルヘ
ッド温度検出手段で検出されたサーマルヘッド温度と上
記印刷ドラム内インキ種類設定手段で設定された印刷ド
ラム内インキ種類とに応じて上記穿孔用エネルギーの調
整を行うことを特徴としている。
【0032】請求項18記載の発明は、請求項4記載の
感熱孔版印刷装置において、上記印刷ドラムの内のイン
キの種類を設定する印刷ドラム内インキ種類設定手段
と、上記サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッ
ド温度検出手段とを有し、上記穿孔エネルギー調整手段
は、上記インキ温度検出手段で検出されたインキ温度と
上記サーマルヘッド温度検出手段で検出されたサーマル
ヘッド温度と上記印刷ドラム内インキ種類設定手段で設
定された印刷ドラム内インキ種類とに応じて上記穿孔用
エネルギーの調整を行うことを特徴としている。
【0033】請求項19記載の発明は、請求項1乃至1
8の何れか1つに記載の感熱孔版印刷装置において、上
記サーマルヘッドにはグレーズ層が設けられており、上
記グレーズ層の厚さが、60μm以下であることを特徴
としている。
【0034】請求項20記載の発明は、請求項19記載
の感熱孔版印刷装置において、上記発熱体部における主
走査方向の寸法が、主走査方向における相隣る上記発熱
体部間ピッチの30〜95%の範囲にあり、かつ、上記
発熱体部における副走査方向の寸法が、相隣る上記発熱
体部間ピッチの30〜95%の範囲にあることを特徴と
している。
【0035】請求項21記載の発明は、請求項19又は
20記載の感熱孔版印刷装置において、上記サーマルヘ
ッドの個々の発熱体部を熱履歴制御するための熱履歴制
御手段と、上記熱履歴制御手段により上記サーマルヘッ
ドの個々の発熱体部が熱履歴制御を伴って駆動されると
き、熱履歴制御用の少なくとも第2パルスが、第1パル
スの40〜95%の印加エネルギーを持って上記サーマ
ルヘッドの個々の発熱体部に供給されるように、上記サ
ーマルヘッドの個々の発熱体部を制御するエネルギー調
整手段とを有することを特徴としている。
【0036】請求項22記載の発明は、請求項1乃至2
1の何れか1つに記載の感熱孔版印刷装置において、上
記感熱性孔版マスタが、実質的に熱可塑性樹脂フィルム
のみから成ることを特徴としている。
【0037】なお、請求項22記載の発明において、
「実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみから成る」感熱性
孔版マスタとは、熱可塑性樹脂フィルムのみから成るも
のの他、熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止剤等の微量成
分を含有させて成るもの、さらには熱可塑性樹脂フィル
ムの両主面、すなわち表面及び裏面のうち少なくとも一
方にオーバーコート層等の薄膜層を1層又は複数層形成
して成るものを含む。
【0038】
【作用】請求項1記載の発明によれば、主走査方向にお
ける相隣る発熱体部間に、放熱部を有するサーマルヘッ
ドを搭載しているので、主走査方向に相隣る発熱体部同
士からそれぞれ発生するジュール熱が、上記放熱部に放
熱されることにより上記ジュール熱同士による熱干渉が
抑制される。
【0039】請求項2記載の発明によれば、さらに、感
熱性孔版マスタにおける主走査方向への穿孔の急激な広
がりが、電極層の高さと略同等の高さの放熱部にその溶
融穿孔部分がぶつかることにより抑制されると共に、相
隣る発熱体部同士からそれぞれ発生するジュール熱が電
極層の高さと略同等の高さの放熱部に吸熱される。
【0040】請求項3記載の発明によれば、放熱部が、
電極層の一部をなし、主走査方向と直交する副走査方向
に延出して形成されているので、その放熱部をエッチン
グにより容易に形成することができる。
【0041】
【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて述べる。なお、従来の技術例で説明したものと同
じ構成及び機能を有する構成要素等については、同一の
符号を付すに止めその説明を省略する。
【0042】図1は、本発明の一実施例である感熱孔版
印刷装置を示している。まず、同図を参照してこの感熱
孔版印刷装置の全体構成と孔版印刷のプロセスを簡単に
説明する。
【0043】同図において、符号50は装置本体キャビ
ネットを示す。装置本体キャビネット50の上部にあ
る、符号80で示す部分は原稿読取部を構成し、その下
方の符号90で示す部分は製版給版部、その左側に符号
100で示す部分は多孔性の印刷ドラム101が配置さ
れた印刷ドラム部、その左の符号70で示す部分は排版
部、製版給版部90の下方の符号110で示す部分は給
紙部、印刷ドラム101の下方の符号120で示す部分
は印圧部、装置本体キャビネット50の左下方の符号1
30で示す部分は排紙部をそれぞれ示している。
【0044】次に、この感熱孔版印刷装置の動作につい
てその細部構成を含めて以下に説明する。
【0045】先ず、原稿読取部80の上部に配置された
原稿積載台(図示せず)に、印刷すべき画像を持った原
稿60を載置し、図示しない製版スタートキーを押下す
る。この製版スタートキー押下に伴い、先ず、排版工程
が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ド
ラム部100の印刷ドラム101の外周面に前回の印刷
で使用された使用済感熱性孔版マスタ61bが装着され
たまま残っている。
【0046】先ず、印刷ドラム101が反時計回り方向
に回転し、印刷ドラム101の外周面に装着されていた
使用済感熱性孔版マスタ61bの後端部が排版部70の
排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、同ローラ
対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ7
1bで使用済感熱性孔版マスタ61bの後端部をすくい
上げ、排版剥離ローラ対71a,71bの左方に配設さ
れた排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71
a,71bとの間に掛け渡された排版搬送ベルト対72
a,72bで構成される排版剥離搬送部により、使用済
感熱性孔版マスタ61bは印刷ドラム101の外周面か
ら漸次剥され、矢印Y1方向へ搬送されつつ排版ボック
ス74内へ排出されていわゆる排版が終了する。このと
き印刷ドラム101は反時計回り方向への回転を続けて
いる。排出された使用済感熱性孔版マスタ61bは、そ
の後、圧縮板75により排版ボックス74の内部で圧縮
される。
【0047】排版工程と並行して、原稿読取部80では
原稿読み取りが行われる。すなわち、上記原稿載置台に
載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ロ
ーラ対82a,82b及び後原稿搬送ローラ対83a,
83bのそれぞれの回転により矢印Y2から矢印Y3方
向に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、
原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用
でその最下部の原稿のみが搬送される。なお、後原稿搬
送ローラ83aは、原稿搬送ローラ用モータ83Aによ
って回転駆動されると共に、前原稿搬送ローラ82aは
後原稿搬送ローラ83aと前原稿搬送ローラ82aとの
間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)を介し
て回転駆動され、前原稿搬送ローラ82b及び後原稿搬
送ローラ83bはそれぞれ従動回転する。原稿60の画
像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送させつ
つ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの
反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、
CCD(光電変換素子)等から成る画像センサ89に入
射させることにより行われる。すなわち、原稿60の読
み取りは、公知の「縮小式の原稿読取方式」で行なわ
れ、その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80
A上に排出される。画像センサ89で光電変換された電
気信号は、装置本体キャビネット50内の図示しないア
ナログ/デジタル(A/D)変換基板に入力されデジタ
ル画像信号に変換される。
【0048】一方、この画像読み取り動作と並行して、
デジタル信号化された画像情報に基づき製版及び給版工
程が行われる。芯管61sの周りにロール状に巻かれた
マスタロール61Rの芯管61sが、製版給版部90の
所定部位に配設された図示しない回転支持部材により回
転自在に支持されていて、感熱性孔版マスタ61がマス
タロール61Rから引き出され、サーマルヘッド30に
感熱性孔版マスタ61を介して押圧しているプラテンロ
ーラ92、及び送りローラ対93a,93bの回転によ
り、間欠的にマスタ搬送路の下流側に搬送される。この
ように搬送される感熱性孔版マスタ61に対して、サー
マルヘッド30の主走査方向Sに一列に配列された多数
の微小な発熱体部33が、上記A/D変換基板及びその
後の図示しない製版制御基板で各種処理を施されて送ら
れてくるデジタル画像信号に応じて各々選択的に発熱
し、発熱した発熱体部33に接触している感熱性孔版マ
スタ61の熱可塑性樹脂フィルムが溶融穿孔される。こ
のようにして、画像情報に応じた感熱性孔版マスタ61
の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パター
ンとして書き込まれる。なお、プラテンローラ92は、
図示しないタイミングベルトを介して駆動手段としての
マスタ送りモータ92Aに連結されている。マスタ送り
モータ92Aは、ステッピングモータからなり、間欠的
又は連続的に回転駆動される。故に、感熱性孔版マスタ
61は、上記マスタ送りモータ92Aによりプラテンロ
ーラ92を介して所定の送りピッチをもって上記主走査
方向Sと直交する副走査方向Fに移動される。
【0049】画像情報が書き込まれた製版済感熱性孔版
マスタ61aの先端は、給版ローラ対94a,94bに
より印刷ドラム101の外周面側へ向かって送り出さ
れ、図示しないガイド部材により進行方向を下方へ変え
られ、図示の給版位置状態にある印刷ドラム101の拡
開したマスタークランパ102(仮想線で示す)へ向か
って垂れ下がる。このとき印刷ドラム101は、排版工
程により使用済感熱性孔版マスタ61bを既に除去され
ている。
【0050】そして、製版済感熱性孔版マスタ61aの
先端が、一定のタイミングでマスタークランパ102に
よりクランプされると、印刷ドラム101は図中矢印A
方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済感熱
性孔版マスタ61aを徐々に巻き付けていく。製版済感
熱性孔版マスタ61aの後端部は、製版終了後にカッタ
95により一定の長さに切断される。
【0051】一版の製版済感熱性孔版マスタ61aが印
刷ドラム101の外周面に完全に巻装されると製版及び
給版が終了し、印刷工程が開始される。先ず、給紙台5
1上に積載された印刷用紙62の内の最上位の1枚が、
給紙コロ111及び分離コロ対112a,112bによ
りレジストローラ対113a,113bに向けて矢印Y
4方向に送り出され、さらにレジストローラ対113
a,113bにより印刷ドラム101の回転と同期した
所定のタイミングで印圧部120に送られる。こうして
送り出された印刷用紙62が、印刷ドラム101とプレ
スローラ103との間にくると、印刷ドラム101の外
周面下方に離間していたプレスローラ103が上方に移
動されることにより、印刷ドラム101の外周面に巻装
された製版済感熱性孔版マスタ61aに押圧される。こ
うして、印刷ドラム101の多孔部及び製版済感熱性孔
版マスタ61aの穿孔パターン部(共に図示せず)から
インキが滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙62
の表面に転移されて、印刷画像としてのインキ画像が形
成される。
【0052】このとき、印刷ドラム101の内周側で
は、それぞれインキ供給手段を構成する、インキ供給管
104からインキローラ105とドクターローラ106
との間に形成されたインキ溜り107にインキが供給さ
れ、印刷ドラム101の回転方向と同一方向に、かつ、
印刷ドラム101の回転速度と同期して回転しながら内
周面に転接するインキローラ105により、インキが印
刷ドラム101の内周面に供給される。なお、インキは
W/O型のエマルジョンインキである。
【0053】印圧部120において印刷画像が形成され
た印刷用紙62は、それぞれ排紙部130を構成する、
排紙剥離爪114により印刷ドラム101から剥がさ
れ、吸着用ファン118により吸引されつつ、吸着排紙
入口ローラ115及び吸着排紙出口ローラ116に掛け
渡された搬送ベルト117の反時計回り方向の回転によ
り、矢印Y5方向へ搬送され、排紙台52上に落下して
順次排出積載される。このようにして所謂試し刷りが終
了する。
【0054】次に、図示しないテンキーで印刷枚数をセ
ットし、図示しない印刷スタートキーを押下すると上記
試し刷りと同様の工程で、給紙、印刷及び排紙の各工程
がセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の
全工程が終了する。
【0055】なお、感熱性孔版マスタ61は、多孔性の
支持体61wである和紙上に厚さ:1.6μmの熱可塑
性樹脂フィルム61fを貼り合わせた厚さ:40μmの
ものを用いている(図2参照)。
【0056】(実施例1)図2乃至図4を参照して、請
求項1乃至3記載の発明に係る実施例1について説明す
る。
【0057】図2は本発明の実施をしたサーマルヘッド
30の発熱体部33廻りの平面及び断面構造を、図3は
或る製版条件で製版したときの穿孔状態を、図4はサー
マルヘッド30の個々の発熱体部33に供給する穿孔用
エネルギーとこれに対応して形成される主走査方向S及
び副走査方向Fの穿孔hの大きさとの関係をそれぞれ表
わしている。なお、図2乃至図4において、発熱体部3
3a,33b,33c、後述する放熱部38a,38
b,38c,38d等の各構成要素の寸法、及び感熱性
孔版マスタ61を構成する部分の厚さ等はその特徴を明
確にするために誇張して描かれている。
【0058】本発明の特徴である新規なサーマルヘッド
30には、図2(a),(b)及び図3(a),(b)
に示すように、主走査方向Sにおける相隣る発熱体部3
3a,33b,33cの間に放熱部38a,38b,3
8c,38dが副走査方向Fに延出して設けられてい
る。これらの放熱部38a,38b,38c,38d
は、各発熱体部33a,33b,33c及び各電極34
a,34b,34cを形成する際に、抵抗体層33R、
電極層34をエッチングせずに残して設けたものであ
る。すなわち、各放熱部38a,38b,38c,38
dは、抵抗体層33R、電極層34及び保護膜層35か
らなり、そのグレーズ層32の上面から保護膜層35の
上面までの高さh38が、各発熱体部33a,33b,
33cの両端部における各電極34a,34b,34c
のグレーズ層32の上面から保護膜層35の上面までの
高さh33と略同一に形成されている。
【0059】各放熱部38a,38b,38c,38d
の寸法は、コモン電極36における各放熱部38a,3
8b,38c,38dの基端38Aから各発熱体部33
a,33b,33cの一端33Aまでの長さLa以上に
副走査方向Fに延出していれば放熱効果は得られるが、
より放熱効果をあげるためには、一端33Aに相対する
各発熱体部33a,33b,33cの他端33Bまでの
長さ以上にした方が良い。この実施例においては、長さ
La=500μm、各発熱体部33a,33b,33c
の副走査方向長Lf=55μm(各発熱体部33a,3
3b,33cの主走査方向長Ls=45μm)、各発熱
体部33a,33b,33c及び各放熱部38a,38
b,38c,38dを形成するときの製造条件、すなわ
ち露光やエッチング時のばらつきを考慮して他端33B
から各放熱部38a,38b,38c,38dの先端3
8Bまでの長さLb=50μmの寸法をとっている。そ
れ故に、この実施例においては、各放熱部38a,38
b,38c,38dの長さを605μmとしている。ま
た、各放熱部38a,38b,38c,38dの主走査
方向Sの幅Ls38は、エッチング時のばらつきを考慮
して12μmとしている。
【0060】なお、サーマルヘッド30の仕様は、上記
特徴点を除き、従来の技術で説明したと同様のもの、す
なわちその解像度が主走査方向Sに300DPI(発熱
体部間ピッチPs=84.7μm)であり、発熱体部3
3の寸法として、主走査方向長Ls=45μm、副走査
方向長Lf=55μmであるものを用いている。
【0061】次に、サーマルヘッド30の発熱時の動作
について説明する。
【0062】各発熱体部33a,33b,33cに穿孔
用エネルギーとしての電気エネルギーを供給すると、図
3(b),(c),(d)に示すように、各発熱体部3
3a,33b,33cで発生したジュール熱は、各発熱
体部33a,33b,33cの中心から同心円状にその
外周縁へと広がり、副走査方向Fについては、上述した
従来例と同様に一対の各電極34a,34a、34b,
34b、34c,34cに伝熱することにより放熱され
る。一方、主走査方向Sについての上記ジュール熱は、
相隣る各発熱体部33a,33b,33cの各放熱部3
8a,38b,38c,38dまで広がって、各放熱部
38a,38b,38c,38dにより吸収されると共
に、その吸熱された上記ジュール熱の大部分がコモン電
極36に伝熱されコモン電極36で放熱される。これに
より、図3(c)に示すように、穿孔用エネルギーが大
きいときの温度分布を示す主走査方向Sの温度分布曲線
Tαs’(図中破線で示す)及び穿孔用エネルギーが小
さいときの温度分布を示す主走査方向Sの温度分布曲線
Tβs’(図中実線で示す)において、しきい値温度D
以上の温度における相隣る各発熱体部33a,33b,
33cの温度分布は、互いに交差すること無く、独立し
た山形状をなしている。
【0063】この実施例のサーマルヘッド30による穿
孔状態は、図3(e),(f)に示すようになる。すな
わち、図3(e)においては、穿孔用エネルギーが小さ
いときの温度分布曲線Tβs’及び温度分布曲線Tβ
f’に対応して、主走査方向Sの穿孔径m3、副走査方
向Fの穿孔径l3の大きさの穿孔hが感熱性孔版マスタ
61に形成される。一方、図3(f)においては、穿孔
用エネルギーが大きいときの温度分布曲線Tαs’及び
温度分布曲線Tαf’に対応して、主走査方向Sの穿孔
径m4、副走査方向Fの穿孔径l4の大きさの穿孔hが主
走査方向Sにおける相隣る穿孔hと繋がることなく、感
熱性孔版マスタ61に独立して形成される。
【0064】これらの結果から、従来のサーマルヘッド
300による穿孔状態を示す図29(d),(e)とこ
の実施例の穿孔状態を示す図3(e),(f)とを比較
すると、この実施例においては、各放熱部38a,38
b,38c,38dによる上記放熱効果で隣接する各発
熱体部33a,33b,33cの熱干渉が特に主走査方
向Sにおいて軽減されていることがよく分かる。またこ
の理由に伴い、この実施例においては、図4に示すよう
に、所定の穿孔用エネルギーEに対応した値:E4,E3
における差:E4−E3に対しての、主走査方向Sの穿孔
径の差(m4−m3)の変化率:(m4−m3)/(E4
3)が、副走査方向Fの穿孔径の差(l4−l3)の変
化率:(l4−l3)/(E4−E3)に近づくことが分か
る((l4−l3)/(E4−E3)≒(m4−m3)/(E
4−E3))。つまり、従来例の変化率、すなわち所定の
穿孔用エネルギーEの値:E2,E1において、副走査方
向Fの穿孔径の差(l2−l1)の変化率に対する主走査
方向Sの穿孔径の差(m2−m1)の変化率が著しく小さ
い((l2−l1)/(E2−E1)>(m2−m1)/(E
2−E1))のに比べ、この実施例によれば、穿孔用エネ
ルギーEの値E4,E3に対応した主走査方向Sの穿孔径
4,m3の変化率:(m4−m3)/(E4−E3)と、副
走査方向Fの穿孔径l4,l3の変化率:(l4−l3)/
(E4−E3)との差が小さくなるのである((l4
3)/(E4−E3)≒(m4−m3)/(E4
3))。
【0065】また図2(b),(c)に示すように、サ
ーマルヘッド30の各発熱体部33a,33b,33c
は、各電極層34a,34b,34cがエッチングによ
り選択的に取り除き形成されるため凹状態になってい
る。すなわち、各放熱部38a,38b,38c,38
dにおける保護膜層35を含めた電極層34の上面の高
さは、各発熱体部33a,33b,33cにおける保護
膜層35の上面よりも高くなっていて、主走査方向Sに
おける段差gsが形成されている。このように各放熱部
38a,38b,38c,38dは、グレーズ層32の
表面から突出して形成され、本実施例においては、各放
熱部38a,38b,38c,38dの上面の高さが各
発熱体部33a,33b,33cの上面の高さより高く
なっている。製版時においては、感熱性孔版マスタ61
は、サーマルヘッド30上で上述したプラテンローラ9
2に押し付けられていて、感熱性孔版マスタ61を構成
している熱可塑性樹脂フィルム61fが各発熱体部33
a,33b,33cで発生したジュール熱により溶融穿
孔され収縮しながら広がっていくときに、上述した副走
査方向Fにおける段差gfには溶融した熱可塑性樹脂フ
ィルム61fのマスタ溶融だれhfが、及び主走査方向
Sにおける段差gsには溶融した熱可塑性樹脂フィルム
61fのマスタ溶融だれhsがそれぞれぶつかることに
より、穿孔径l3,l4及び穿孔径m3,m4の成長が阻害
され、穿孔hの大きさが急激に広がるのが抑えられる。
この結果、副走査方向Fのみならず主走査方向Sでの穿
孔hの分離性が向上する。すなわち、主走査方向Sにお
いても、印刷用紙への過度のインキ転移を抑制すること
ができ、裏移りの少ない最適な印刷画像としてのインキ
画像が得られる。
【0066】したがって、この実施例1によれば、隣接
する各発熱体部33a,33b,33cの熱干渉を抑制
し、かつ、感熱性孔版マスタ61が溶融穿孔したとき
に、感熱性孔版マスタにおける主走査方向への穿孔の急
激な広がりは、電極層の高さと略同等の高さの放熱部に
その溶融穿孔部分がぶつかることにより抑制されるの
で、特に主走査方向Sに穿孔hを広がりにくくする利点
がある。また各放熱部38a,38b,38c,38d
は、各発熱体部33a,33b,33c及び各電極34
a,34b,34cを形成する際に、抵抗体層33R、
電極層34をエッチングせずに残して設けたことによ
り、容易に形成することができると共に、信頼性があ
り、かつ、コスト的にも有利である。
【0067】従来のサーマルヘッド300と本実施例の
サーマルヘッド30とにおいて、同一の製版条件(ライ
ン周期:5msec/line、通電パルス幅:500
μsec、印加電力:0.18W)において製版し印刷
した結果、サーマルヘッド30での印刷物は、従来サー
マルヘッド300のそれに比べ裏移りの少ない原稿に忠
実な印刷画像が得られた。
【0068】なお、放熱部の材料は、上記した電極層3
4及び抵抗体層33Rの材料に限らず、例えば、タング
ステン、モリブデン、あるいはこれらの合金、さらには
タングステンシリサイド、モリブデンシリサイド等の金
属であってもよい。また放熱部の形成は、上記の各放熱
部38a,38b,38c,38dの製法に限らず、製
造上の困難さ及びコストアップになるが、例えばスクリ
ーン印刷法、真空蒸着法、スパッタリング法等により、
グレーズ層32上に貼着又は一体的に設けてもよい。
【0069】従来使用されている感熱性孔版マスタは、
上述したように、非常に薄いポリエステル等の熱可塑性
樹脂フィルムと、多孔性の支持体として和紙繊維とか合
成繊維、あるいは和紙繊維と合成繊維とを混抄したもの
とを貼り合わせたラミネート構造となっていて、サーマ
ルヘッド等の発熱体部によって上記熱可塑性樹脂フィル
ムの部分に溶融穿孔・製版を行うのであるが、感熱性孔
版マスタの上記支持体繊維が複雑に絡み合って塊となっ
ている部分がある場合や、上記支持体繊維の太い繊維が
横切っている場合に、インキの通過が阻害されインキが
正しく印刷用紙に転移されずに、ベタ部が抜けたり、文
字とか細線が切れたりかすれたりしてしまう、俗に繊維
目と呼ばれる現象が発生し、画質が悪化してしまう不具
合があった。そこで、繊維目を発生させる上記支持体を
除去したり、あるいは上記支持体を薄くしたりして繊維
目を低減させる試みがされている。
【0070】実施例1の感熱孔版印刷装置には実質的に
熱可塑性樹脂フィルムのみから成る感熱性孔版マスタを
使用することが可能であって、例えば、その熱可塑性樹
脂フィルムの厚さが1.6μmのものを用いて、穿孔を
行ったところ、実施例1と同様に、所望する最適で良好
な印刷画像品質のもので、かつ、裏移りによる印刷用紙
への汚損の無いものが得られた。またこの効能に加え
て、上記したようないわゆる繊維目のない良好な印刷画
像を得ることができた。
【0071】また、実施例1によれば、穿孔用エネルギ
ーの大きさを制御することによって、主走査方向におけ
る開口面積の制御が可能となるので、対応可能なインキ
温度、及びサーマルヘッド本体の温度範囲も広がる。さ
らに、放熱部に感熱性孔版マスタの溶融穿孔部分がぶつ
かることにより、その主走査方向Sにおける穿孔の急激
な広がりはより一層抑制される。
【0072】また、実施例1のサーマルヘッド30によ
れば、各放熱部38a,38b,38c,38dはグレ
ーズ層32の上面から突出して形成されているので、基
材31に発熱体部33間を熱的に分離する溝を形成した
ものに比べ、サーマルヘッド30の強度を大きくするこ
とができる。
【0073】(実施例2)孔版印刷装置に用いられるイ
ンキは温度によりその流動性が変化する。すなわち、一
般に、インキの温度が低いとインキは所謂「硬い」状態
にあって流動性が低く、インキ温度が高くなるほどイン
キは「柔らかく」なって流動性を増す。
【0074】孔版印刷では、感熱性孔版マスタの表面側
を印刷用紙に接触させ、孔版マスタの裏面側からインキ
を供給し、孔版マスタの穿孔部分から滲み出したインキ
を印刷用紙に転移・付着させて印刷画像(インキ画像)
を形成するが、温度が低く「硬く」て流動性の低い状態
のインキは感熱性孔版マスタの穿孔部分を通りにくく、
このようなインキで印刷を行うと印刷画像の濃度不足が
生じやすい。逆に「柔らかく」て流動性の高いインキで
印刷を行うと、画像濃度が不必要に高くなり、印刷画像
の解像力が低下すると共に、裏移りの発生が多くなるこ
とがある。
【0075】そこで、インキ温度及びサーマルヘッド温
度に拘らず、常に良好な印刷画像を得ると共に、裏移り
の発生を防止することのできる感熱孔版印刷装置を得る
目的で、請求項6記載の発明に係る実施例2を発明し
た。
【0076】孔版印刷装置において、印刷画像の画像濃
度は感熱性孔版マスタから滲み出るインキの量により決
定される。感熱性孔版マスタから滲み出るインキ量は、
感熱性孔版マスタに形成された穿孔パターンを構成する
個々の微小な穿孔hの開口面積に比例的であり、さらに
インキの流動性に比例的である。
【0077】したがって、インキが「硬く」流動性が低
い状態にあるときは、穿孔パターンを形成する個々の穿
孔hの大きさを大きくすることにより、インキの流動性
が低いことに起因する滲み出し量の低下を、穿孔hの開
口面積の拡大により補って良好な画像濃度の印刷画像を
得ることができる。逆に、インキが「柔らかく」て流動
性が高いときには、穿孔パターンにおける個々の穿孔h
の大きさを小さくすることにより、インキの流動性が高
いことに起因する滲み出し量の増大を、穿孔hの開口面
積の縮小により抑制して良好な画像濃度の印刷画像を得
ることができる。 換言すれば、インキの流動性に拘ら
ず良好な印刷画像を得るには、インキの流動性に適した
大きさの穿孔hで穿孔パターンを形成すればよい。イン
キの流動性はインキの温度により決まるから、インキ温
度の一々に応じて、適最な印刷画像を得るための穿孔パ
ターンの穿孔hの大きさが定まる。
【0078】まず、図5を参照して、サーマルヘッド3
0の個々の発熱体部33に供給する穿孔用エネルギーの
調整内容を説明するために、穿孔用エネルギーと穿孔パ
ターンの穿孔hの大きさとの間の関連作用について説明
する。さて、図5(a−3)、(b−3)を参照する
と、これらの図は上述したように、サーマルヘッド30
における微小な発熱体部33の構造を断面図で示してい
る。
【0079】電極34間に電圧が印加されると電極34
間の発熱体部33に電流が流れ、ジュール熱により通電
部分の発熱体部33が発熱する。サーマルヘッド30に
おいては、このような微小な発熱体部33が図5(a−
3)、(b−3)の紙面に直交する方向、すなわち主走
査方向Sへ一定のピッチで近接して配列されており、感
熱性孔版マスタ61は、これらの図5(a−3)、(b
−3)の左右方向、すなわち副走査方向Fへ搬送されつ
つ溶融穿孔により穿孔パターンが形成される。
【0080】サーマルヘッド30は、上述したように、
300DPI(ドット/インチ)の解像度を有し、その
主走査方向Sに配列される微小な発熱体部33には、所
謂矩形型の発熱体部33が用いられており、サーマルヘ
ッド30の発熱体部における副走査方向長Lfは、副走
査方向解像度の300DPIに対応する送りピッチ8
4.7μm/line(ライン)の長さ以下に設定され
ている。
【0081】なお、サーマルヘッドの発熱体部は、上記
のものの他、熱集中型(発熱体部33Aの中央部分が細
幅に形成され、この部分で電流密度が高くなり発熱がこ
の部分に集中する)であっても良く、この場合には、図
5(a−5)に示すように、例えば副走査方向Fにおけ
る発熱体部全長が90μm、同方向における発熱集中部
分の長さが10μm、主走査方向Sにおける発熱体部分
全幅が50μm、同方向における発熱集中部分の幅が1
5μmという寸法になっている。
【0082】発熱体部33に電気エネルギーという形で
穿孔用エネルギーが供給されると、このエネルギーは発
熱体部33により熱エネルギーに変換され、保護膜層3
5に接触している感熱性孔版マスタ61の温度が上昇す
る。このときの温度分布は、図5(a−2)に示す曲線
Tα、図5(b−2)に示す曲線Tβのような山形状分
布となる。容易に理解されるように、図5(a−2)は
発熱体部33に供給された穿孔用エネルギーが相対的に
小さい場合であり、図5(b−2)は穿孔用エネルギー
が相対的に大きい場合である。
【0083】感熱性孔版マスタ61には、発熱体部33
に供給された穿孔用エネルギーの大小に応じて、図5
(a−1)に示すような小さい穿孔h、或は図5(b−
1)に示すような大きな穿孔hが溶融穿孔される。この
ようにして、サーマルヘッド30の個々の発熱体部33
に供給する穿孔用エネルギーにより感熱性孔版マスタ6
1に形成される穿孔パターンの1単位としての穿孔hの
大きさを制御できる。この事情は、発熱体部が矩形型で
も熱集中型でも同様である。
【0084】上述の如く、インキ温度の一々に応じて、
最適な印刷画像を得るための穿孔パターンの穿孔hの大
きさが定まり、一方において穿孔hの大きさは穿孔用エ
ネルギーにより定まるから、適正な印刷画像を得るため
のインキ温度と穿孔用エネルギーとの対応関係が存在
し、この対応関係は実験的に決定することができる。
【0085】この実施例2では、予め実験的に決定され
た上記インキ温度と穿孔用エネルギーとの対応関係に基
づき、インキ温度に応じて適正な印刷画像を実現できる
と共に裏移りの発生を防止するような大きさの穿孔hの
穿孔パターンが形成されるように、穿孔用エネルギーを
調整するのである。
【0086】なお、サーマルヘッド30において発熱体
部33において発熱した熱は、その多くが感熱性孔版マ
スタ61の溶融・穿孔に消費されるが、発熱した熱の一
部はサーマルヘッド30本体にも伝熱してサーマルヘッ
ド30本体の温度を上昇させる。サーマルヘッド30本
体の上記温度上昇は、一般的にはさほど大きくはない
が、サーマルヘッド30が長時間連続動作したような場
合には、ある程度の温度上昇は避けられない。このよう
な場合には、上記のようにインキ温度だけにより穿孔用
エネルギーを調整すると、穿孔用エネルギーによる熱に
サーマルヘッド30本体の蓄熱作用に基づく熱が加わっ
て、実際に必要な大きさよりも大きめの穿孔hが形成さ
れることがある。それ故に、このサーマルヘッド30の
昇温が画像濃度に及ぼす影響を重要視する場合には、こ
れを自動補償することが必要となってくる。
【0087】次に、図5乃至図7を参照して、請求項6
記載の発明に係る実施例2の構成について説明する。こ
の実施例2は、サーマルヘッド30を用いた実施例1
に、インキの温度を検出するインキ温度検出手段と、サ
ーマルヘッド30の温度を検出するサーマルヘッド温度
検出手段とを有し、サーマルヘッド30の個々の発熱体
部33に供給する穿孔用エネルギーを、インキ温度検出
手段で検出されたインキ温度とサーマルヘッド温度検出
手段で検出されたサーマルヘッド温度とに応じて所定の
エネルギーに調整する穿孔エネルギー調整手段を付設し
たことが主に相違する。
【0088】インキ温度検出手段としては、サーミスタ
200が用いられ、インキ溜り107におけるインキの
温度を検出する。なお、インキ温度の検出個所は、この
ように印刷部分に近い部位である、印刷ドラム内部のイ
ンキ供給部等であることが望ましい。
【0089】サーマルヘッド温度検出手段としては、サ
ーミスタ201が用いられる。サーミスタ201は、図
7に示すように、サーマルヘッド30を搭載した回路基
板であるサーマルヘッド基板30S上に配置されてい
て、サーマルヘッド30本体の温度の検出を行う。同図
において、符号30Aはサーマルヘッド30の発熱体部
収容部を、符号30Hはアルミ放熱体をそれぞれ示す。
なお、サーマルヘッド30の温度の検出箇所は、発熱体
部表面部分、例えば、電極に囲まれた発熱体部中央の表
面部分に近い部位等であることが望ましいが、現時点に
おける技術では、その部分での検出は不可に近いので、
ここではサーマルヘッドを搭載した回路基板上であるサ
ーマルヘッド基板30S上でサーマルヘッド30本体の
温度検出を行う。またサーミスタ201の配置箇所は、
サーマルヘッド基板30S上に限らず、例えばアルミ放
熱体30Hの内部に設けてもよい。
【0090】符号400は電源を示し、この電源400
はサーマルヘッド30に感熱性孔版マスタ61を溶融穿
孔するための穿孔用エネルギーに対応する電気エネルギ
ーを供給する。
【0091】穿孔エネルギー調整手段としては、マイク
ロコンピュータやマイクロプロセッサが用いられるが、
この実施例2ではマイクロプロセッサ305を用いる。
【0092】これらサーミスタ200,201の出力は
穿孔エネルギー調整手段としてのマイクロプロセッサ3
05のI/O(入出力)ポートに入力される。
【0093】マイクロプロセッサ305のROMには
「穿孔用エネルギー調整のためのプログラム」と、適正
な印刷画像を得るための「インキ温度及びサーマルヘッ
ド温度と、これら温度に応じた最適径の穿孔hを穿孔す
るための穿孔用エネルギーとの関係」が予め実験的に定
められて記憶されている。
【0094】穿孔用エネルギーの調整は上述のように、
画像信号に応じて個々の発熱体部33に流す電流値もし
くは発熱体部33に印加する電圧値の変化により行うよ
うにしてもよいが、この実施例2においては「サーマル
ヘッド30の発熱体部33への通電パルス幅の変化」に
より行う。すなわち、マイクロプロセッサ305はサー
ミスタ200,201からの入力によりインキ温度とサ
ーマルヘッド温度とを検知し、適正な大きさの穿孔hを
穿孔することができる通電パルス幅を設定してサーマル
ヘッド30を制御する。サーマルヘッド30は画像信号
に従い、電源400からの電力供給を受けて、上記設定
されたパルス幅に従って発熱体部33を発熱させる。
【0095】感熱性孔版マスタ61としては、上記実施
例1と同一仕様のものを用いた。サーマルヘッド温度と
インキ温度とに応じて、サーマルヘッド30の発熱体部
33への通電パルス幅を変化させて穿孔を行い、サーマ
ルヘッド温度及びインキ温度に係り無く常に良好な印刷
画像が得られると共に裏移りの発生を防止することがで
きた。
【0096】以上述べたように、この実施例2によれ
ば、実施例1の上記利点、すなわち副走査方向Fの穿孔
径lのみならず、主走査方向Sの穿孔径mについても最
適な大きさの穿孔hが得ることができることに加えて、
さらに、サーマルヘッド30を用い、サーマルヘッド3
0の個々の発熱体部33に供給する穿孔用エネルギー
(印加エネルギー)を可変することで、副走査方向のみ
ならず、主走査方向でのマスタ穿孔径をより確実にコン
トロールすることが可能となると共に、イサーマルヘッ
ドの温度変化やインキ温度の変化に伴うインキ流動性の
変化に拘らず、常に良好な印刷画像を実現できると共に
裏移りの発生を防止することができるようになる。実施
例2においては、インキ温度とサーマルヘッド温度とに
応じて、感熱性孔版マスタ61に形成する穿孔パターン
の穿孔hの大きさを、サーマルヘッド30の個々の発熱
体部33に供給する穿孔用エネルギーで調整するので、
従来の、印圧部における感熱性孔版マスタと印刷用紙と
の圧接力を機械的に調整する方法(例えば特開平2−1
51473号公報)や、印刷速度を調整する方法(例え
ば特開平2−245371号公報)のように、装置の機
械的条件やシーケンス条件を変える必要が無く、容易か
つ確実に印刷画像の濃度を安定化することができる。な
お、感熱孔版印刷装置の装置内部の温度が安定していれ
ば、インキ温度は装置内温度に略等しく、したがってイ
ンキ温度を検出するかわりに装置内温度を検出して、穿
孔パターンの穿孔hの大きさを調整しても、上記と同様
の利点を得ることができるが、一般には印刷装置内温度
は使用状態に応じて変化し、インキ温度と装置内温度に
はずれがあるので、上記実施例によるほどの画像品質、
すなわち画像濃度の安定化を実現するのは困難である。
【0097】(実施例3)インキ画像の印刷濃度を可変
する装置として、例えば特開平2−151473号公報
に示されているように、感熱性孔版マスタと印刷用紙と
の圧接力を機械的に調整する技術が提案されている。ま
た、例えば特開平2−245371号公報に示されてい
るように、印刷速度、すなわち印圧部を通過する印刷用
紙の搬送速度を調整する技術が提案されている。しか
し、前者においては、上記圧接力を機械的に微妙に調整
するのは必ずしも容易ではない。また後者においては、
搬送速度を機械的に変化させるために印刷装置全体のシ
ーケンスを調整する必要があり、実際上の実施は面倒で
ある。
【0098】そこで、この実施例3は、かかる問題点を
解決するために、感熱性孔版マスタと印刷用紙との圧接
力或いは印圧部を通過する印刷用紙の搬送速度を調整す
ることなく、設定した印刷画像の画像濃度を得ることが
できると共に裏移りの発生を防止した感熱孔版印刷装置
を提供することを目的とする。
【0099】ところで、実施例2でも述べたように、孔
版印刷装置において、印刷画像の画像濃度は感熱性孔版
マスタから滲み出るインキの量により決定される。感熱
性孔版マスタから滲みでるインキ量は、感熱性孔版マス
タに形成された穿孔パターンを構成する個々の微小な穿
孔の開口面積に比例的である。
【0100】したがって、画像濃度の濃い印刷画像は、
穿孔パターンを形成する個々の穿孔を大きくすることに
より得られ、逆に画像濃度の薄い印刷画像は、穿孔パタ
ーンを形成する個々の穿孔を小さくすることにより得ら
れる。
【0101】換言すれば、所望する印刷画像の画像濃度
の一々に応じてサーマルヘッドの個々の発熱体部に供給
する穿孔用エネルギー、すなわち最適な印刷画像を得る
ための穿孔パターンの穿孔の大きさを定めることができ
る。
【0102】上述のとおり、印刷画像の画像濃度の一々
に応じて穿孔パターンの穿孔の大きさが定まり、一方に
おいて穿孔の大きさは穿孔用エネルギーにより定まるか
ら、印刷画像の画像濃度と穿孔用エネルギーとの対応関
係が存在し、この対応関係は実験的に決定することがで
きる。
【0103】したがって、このような点を考慮して、請
求項9記載の発明に係る実施例3を発明した。
【0104】次に、図8乃至図11を参照して、本発明
のサーマルヘッド30を用いた実施例3の構成及び印刷
濃度を可変させるプロセスを説明する。なお、図10に
おいて、符号2の下に括弧内丸付き数字乃至で記載
した内容は、説明の便宜上付したものである。実施例1
及び2と同一の構成及び機能を有する構成要素には同一
の符号を付すに止め、その説明を省略する。この実施例
3は、実施例1に、サーマルヘッド30の温度を検出す
るサーマルヘッド温度検出手段としてのサーミスタ20
1と、インキ画像の印刷濃度を設定するための印刷濃度
設定手段と、サーマルヘッド30の個々の発熱体部33
に供給する穿孔用エネルギーを、印刷濃度設定手段によ
り設定された印刷濃度とサーミスタ201で検出された
サーマルヘッド温度とに応じて所定のエネルギーに調整
する穿孔エネルギー調整手段としてのマイクロプロセッ
サ301とを付設したことが主に相違する。
【0105】図8において、符号1は、印刷濃度設定手
段としての印刷濃度設定キーを示す。印刷濃度設定キー
1は、図10に示すように、図示しない操作パネルの所
定部位に2個のキーで印刷濃度を設定できるように配置
されている。印刷濃度設定キー1により設定された印刷
濃度設定値の出力は、印刷濃度の薄いから順に標準濃
度の及び印刷濃度の濃いの5段階に図示しない操作
パネルの所定部位に配置されたLED2(発光ダイオー
ド)に表示される。符号301は、穿孔エネルギー調整
手段としてのマイクロプロセッサを示す。マイクロプロ
セッサ301は、CPU(中央演算処理装置)、I/O
(入出力)ポート及びROM(読み出し専用メモリ)等
を備えた周知の構成を有する。
【0106】これら印刷濃度設定キー1及びサーミスタ
201の各出力は、マイクロプロセッサ301の入力ポ
ートに入力される。マイクロプロセッサ301のROM
には「穿孔用エネルギー調整のためのプログラム」と、
設定した印刷濃度を得るための「印刷濃度とサーマルヘ
ッドの温度に応じた最適径の穿孔を形成するための穿孔
用エネルギーとの関係」が予め実験的に定められて記憶
されている。
【0107】穿孔用エネルギーの調整は上述のように、
画像信号に応じて個々の発熱体部33に流す電流値もし
くは発熱体部33に印加する電圧値の変化により行うよ
うにしてもよいが、この実施例においてはサーマルヘッ
ド30の発熱体部33への通電パルス幅の変化により行
う。すなわち、マイクロプロセッサ301は、印刷濃度
設定キー1及びサーミスタ201からの各入力により印
刷濃度設定値とサーマルヘッド温度とを検知し、適正な
大きさの穿孔hを形成できる通電パルス幅を設定してサ
ーマルヘッド30を制御する。サーマルヘッド30は画
像信号に従い、電源400からの電力供給を受けて、マ
イクロプロセッサ301で設定された通電パルス幅に従
って発熱体部33を発熱させる。
【0108】次に、図9及び図11を参照して、サーマ
ルヘッド30に通電させるための通電パルス幅決定方法
について述べる。図9に示すように、先ず、ステップS
10において、印刷濃度設定キー1の5段階の中から所
望する印刷濃度設定値を選定し設定する。ステップS1
1において、サーミスタ201でサーマルヘッド30の
温度を検知する。そしてステップS12において、サー
ミスタ201で検出されたサーマルヘッド30の温度に
おける標準パルス幅を決定する。次に、ステップS13
において、印刷濃度設定キー1により設定された印刷濃
度設定値とステップS12で得られた標準パルス幅とに
応じて、マイクロプロセッサ301で計算し、サーマル
ヘッド30に印加する通電パルス幅を決定する。
【0109】次に、図11を参照して、例えばサーマル
ヘッド30の或る温度(A℃)及び(B℃)において、
A℃<B℃の場合についてサーマルヘッド30に印加す
る通電パルス幅を説明する。サーマルヘッド30の或る
温度(A℃)における標準パルス幅をtpAとし、印刷
濃度設定値を標準とした場合は、標準パルス幅のtpA
が通電される。そして、印刷濃度設定値を薄くと指定し
た場合は、tpA−t1と標準より短いパルス幅が通電さ
れ、逆に印刷濃度設定値を濃くと指定した場合は、tp
A+t2と標準より長いパルス幅が通電される。また、サ
ーマルヘッド30の或る温度(B℃)における標準パル
ス幅をtpBとし、印刷濃度設定値を標準とした場合
は、上記と同じ要領で標準パルス幅のtpBが通電され
る。そして、印刷濃度設定値を薄くと指定した場合は、
tpB−t3と標準より短いパルス幅が通電され、逆に印
刷濃度設定値を濃くと指定した場合は、tpB+t4と標
準より長いパルス幅が通電される。なお、標準パルス
幅:tpA,tpB、印刷濃度設定値に応じて補正するパ
ルス幅:t1,t2,t3,t4等は、数多くの実験を繰り
返して求めたデータである。
【0110】このようにして、感熱性孔版マスタ61と
して、多孔性の支持体である和紙上に厚さ:1.6μm
の熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせた厚さ:40μm
のものを用いて、サーマルヘッド温度と印刷濃度設定値
とに応じて、サーマルヘッド30の発熱体部33への通
電パルス幅を変化させて穿孔を行ったところ、所望する
印刷濃度の良好な印刷画像が得られると共に裏移りの発
生を防止することができた。
【0111】また、この感熱孔版印刷装置は、実質的に
熱可塑性樹脂フィルムのみから成る感熱性孔版マスタを
使用することが可能であって、例えばその厚さが1.6
μmのものを用いて、サーマルヘッド温度と印刷濃度設
定値とに応じて、サーマルヘッド30の発熱体部33へ
の通電パルス幅を変化させて穿孔を行ったところ、上記
実施例3と同様に、所望する印刷濃度の良好な印刷画像
品質のもので、かつ、裏移りによる印刷用紙への汚損の
無いものが得られた。またこの効能に加えて、上記した
ようないわゆる繊維目のない良好な印刷画像を得ること
ができた。
【0112】以上述べたように、この実施例3によれ
ば、実施例1の上記利点、すなわち副走査方向Fの穿孔
径lのみならず、主走査方向Sの穿孔径mについても最
適な大きさの穿孔hが得ることができることに加えて、
さらに、サーマルヘッド30を用い、サーマルヘッド3
0の個々の発熱体部33に供給する穿孔用エネルギー
(印加エネルギー)を可変することで、副走査方向Fの
みならず、主走査方向Sでの穿孔径をより確実にコント
ロールすることが可能となると共に、従来の、印圧部に
おける感熱性孔版マスタと印刷用紙との圧接力を機械的
に調整する技術や、印刷速度を調整する技術のように、
装置の機械的条件やシーケンス条件を変える必要がな
く、容易かつ確実にインキ画像の印刷濃度を変更するこ
とができる利点がある。
【0113】また、この実施例3によれば、適正な印刷
に必要な最低量のインキを用いるようにすることができ
るので、インキ消費量を抑制し印刷コストの低減化を図
ることもできる。
【0114】なお、実施例3は、これに限らず、その目
的及び用途に応じて精度が高く木目細かい穿孔用エネル
ギーの調整が必要でない場合、あるいは実施例3に係る
感熱孔版印刷装置が略一定の環境温度下にて使用される
場合には、上記実施例3の感熱孔版印刷装置からサーマ
ルヘッド温度検出手段としてのサーミスタ201のみを
除去した構成の感熱孔版印刷装置(請求項7記載の発明
に係る実施例)であってもよい。あるいは、上記とは反
対に、その目的及び用途に応じて精度が高く木目細かい
穿孔用エネルギーの調整が必要である場合、あるいは実
施例3に係る感熱孔版印刷装置が変動する環境温度下に
て使用される場合には、上記実施例3の感熱孔版印刷装
置にインキ温度検出手段としてのサーミスタ200(図
6参照)を付設した構成の感熱孔版印刷装置(請求項1
0記載の発明に係る実施例)であってもよいし、あるい
は上記実施例3の感熱孔版印刷装置からサーマルヘッド
温度検出手段としてのサーミスタ201を除去すると共
に、これに代えてインキ温度検出手段としてのサーミス
タ200を付設した構成の感熱孔版印刷装置(請求項8
記載の発明に係る実施例)であってもよい。
【0115】(実施例4)孔版印刷装置で、印刷ドラム
内のインキの種類を変えた場合においても最適な印刷画
像を得るためには、例えば、特開平2−151473
号、特開平6−155881号あるいは特開平6−19
9028号公報等に示されているように、感熱性孔版マ
スタと印刷用紙との圧接力を機械的に調整する各技術が
提案されていて、これらの技術を利用することができ
る。
【0116】また、印刷ドラム内のインキの種類を検知
する技術としては、例えば、特開昭64−18682号
や特開昭64−18683号公報等に示されているもの
が、印刷ドラム内のインキの温度及びサーマルヘッドの
温度を検出する技術としては、例えば、同一出願人によ
り既に提案されている特願平5−109341号に示さ
れているものがそれぞれ利用できる。
【0117】しかしながら、少なくとも熱可塑性樹脂フ
ィルムを有する感熱性孔版マスタにサーマルヘッドを接
触させ、画像信号に応じて上記サーマルヘッドの微小な
発熱体部を発熱させて、上記熱可塑性樹脂フィルムを位
置選択的に溶融穿孔して上記画像信号に応じた穿孔パタ
ーンを得、この感熱性孔版マスタを印刷ドラムの外周面
に巻装し、上記印刷ドラムの内周側からインキを供給
し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上
記画像信号に応じたインキ画像を印刷用紙上に形成する
感熱孔版印刷装置において、印刷ドラム内のインキの種
類の異なったものを同一感熱孔版印刷装置で印刷させる
際には、上記インキの種類の違いに基づくそのインキの
流動性(粘性)等を加味して印刷を行わないと、感熱孔
版印刷装置の印刷画像としては、最適で良好なものを得
ることができないと共に裏移りの発生を防止することが
できない。すなわち、周知のように、印刷用の多くのイ
ンキは、顔料、樹脂、溶剤、界面活性剤、水等の組成物
が所定の比率で配合されたエマルジョンインキであっ
て、粘性流体の中でも非ニュートン性の擬似塑性の性質
を有する。上記組成物の配合成分の相違や、その配合比
率の違いにより、またインキの色ごとにその顔料の種
類、粒子径が異なることにより、各々のインキの流動性
が異なり、ある特定のインキ温度のもとにおいてインキ
の種類ごとに固有の流動性の値(もしくは粘度)をもっ
ている。インキの流動性は、上記インキの種類のうちで
も、特にその色の違いにより大きく異なる。したがっ
て、上記各従来技術により、インキの種類の違いに基づ
くインキの流動性(粘性)等を加味して最適かつ良好な
印刷を行うには、上記圧接力を機械的に微妙に調整する
のは必ずしも容易ではないので、決して望ましいもので
はない。
【0118】そこで、請求項14記載の発明に係る実施
例4は、かかる問題点を解決するために、印刷ドラム内
のインキの種類が如何なるものにおいても、感熱性孔版
マスタと印刷用紙との圧接力を調整することなく、最適
で良好な印刷画像が得られると共に、孔版印刷機特有の
裏移り現象を無くすことのできる感熱孔版印刷装置を提
供することを目的とする。
【0119】図12乃至図19を参照して、請求項14
記載の発明に係る実施例4について説明する。実施例
1,2及び3と同一の構成及び機能を有する構成要素に
は同一の符号を付すに止め、その説明を省略する。
【0120】まず、この実施例4の特徴的な作用につい
て説明する。図12には、縦軸にインキの流動性が、横
軸にインキ温度がそれぞれとられていて、印刷ドラム内
のインキの種類をパラメータとした、後述する実施例4
で用いた3種類のインキAk,Bk,Ckについての特
性線図が示されている。同図から明らかなように、各イ
ンキAk,Bk,Ckは、各々固有のインキの流動性の
値(後述するフロー値)をもっている。そのインキの流
動性の大きさは、インキCk>インキAk>インキBk
という順になっている。それ故に、感熱性孔版マスタ6
1から滲み出るインキ量は、穿孔hの大きさ及びそのイ
ンキの種類ごとのインキの流動性に略比例的(インキの
粘度に対しては略反比例的)であるといえる。
【0121】この実施例4においては、印刷ドラム内イ
ンキ種類検出手段により印刷ドラム内のインキの種類を
検出することで、印刷ドラム内の如何なるインキの種類
に対しても、均一で最適な印刷画像を得、裏移り現象を
無くすために、インキの種類ごとのインキの流動性等の
固有特性に応じて、すなわち上記穿孔パターンを介して
印刷ドラムから滲み出るインキの出易さに応じて感熱性
孔版マスタ61に溶融穿孔する穿孔径をコントロールす
る。さて、図13(a)には、縦軸にサーマルヘッド3
0の個々の発熱体部33に印加すべき通電パルス幅が、
横軸にインキの温度がそれぞれとられていて、印刷ドラ
ム内のインキの種類をパラメータとした、各インキA
k,Bk,Ckについての特性線図が示されている。図
13(b),(c)には、各インキAk,Bk,Ckの
内で例えばインキAkに注目して、そのインキの流動性
が小さい場合と大きい場合とに対応した印加すべき通電
パルス幅の長短により、感熱性孔版マスタ61に形成さ
れる穿孔径h’の大きさをモデル的に示した。
【0122】この穿孔径h’のコントロール、つまり穿
孔径h’の大きさの設定としては、インキは、そのイン
キの流動性が大きい状態、つまり柔らかい程印刷ドラム
を介して上記穿孔パターンから出易くなるので、この様
にインキが出易い場合には、感熱性孔版マスタ61の穿
孔径h’を小さくするように、サーマルヘッド30の発
熱体部33に加える穿孔用エネルギーを減少させるよう
にコントロールすることで、溶融穿孔・製版された感熱
性孔版マスタ61から印刷用紙62へのインキの過剰な
付着を抑え、裏移り現象を無くすると共に最適な印刷画
像を得る。逆に、インキは、そのインキの流動性が小さ
い状態、つまり硬い程、印刷ドラムを介して上記穿孔パ
ターンから出にくくなるので、この様にインキが出にく
い場合には、感熱性孔版マスタ61の穿孔径h’を大き
くするように、すなわちサーマルヘッド30の発熱体部
33に加える穿孔用エネルギーを増加させるようにコン
トロールすることで、溶融穿孔・製版された感熱性孔版
マスタ61から印刷用紙62へのインキの付着を増大
し、印刷画像のかすれ等を無くすると共に最適な印刷画
像を得る(図5参照)。このことを具体的に図13
(a),(b),(c)で説明すると、インキの流動性
の大なるインキCk>インキAk>インキBkという順
に、サーマルヘッド30の個々の発熱体部33に印加す
べき通電パルス幅を短くし感熱性孔版マスタ61の穿孔
径h’を小さくコントロールすべきことを表わしてい
る。
【0123】換言すれば、印刷ドラム内のインキの種類
に拘らず、サーマルヘッド30の温度とインキの温度と
印刷ドラム内のインキの種類とに応じた穿孔用エネルギ
ー、すなわち、最適な印刷画像を得ると共に裏移り現象
を無くすることが可能な感熱性孔版マスタ61の穿孔パ
ターンの穿孔hの大きさを定めることができる。
【0124】上述のとおり、印刷ドラム内のインキの種
類に応じて最適な穿孔パターンの穿孔hの大きさが定ま
り、一方において穿孔hの大きさは穿孔用エネルギーに
より定まるから、印刷ドラム内のインキの種類に応じた
最適な穿孔パターンの穿孔hの大きさと穿孔用エネルギ
ーとの対応関係が存在し、この対応関係は実験的に決定
することができる。
【0125】この実施例4は、サーマルヘッド30を用
いた実施例1に、印刷ドラムの内のインキの種類を検出
する印刷ドラム内インキ種類検出手段と、インキの温度
を検出するインキ温度検出手段としてのサーミスタ20
0と、サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド
温度検出手段としてのサーミスタ201と、サーミスタ
200で検出されたインキ温度とサーミスタ201で検
出されたサーマルヘッド温度と印刷ドラム内インキ種類
検出手段で検出された印刷ドラム内インキ種類とに応じ
て、サーマルヘッド30の個々の発熱体部33に供給す
る穿孔用エネルギーを所定のエネルギーに調整する穿孔
エネルギー調整手段としてのマイクロプロセッサ302
とを付設したことが主に相違する。
【0126】また、実施例4の感熱孔版印刷装置は、黒
色、赤色、青色及び黄色等の多色重ね刷り印刷が可能で
あって、各色ごとの色替えがドラムユニットの交換によ
り容易に行えるようになっている。説明の簡明化のため
に、3種類のインキ:インキAk(赤色),Bk(青
色),Ck(黒色)について色替えを行い、多色印刷を
行うものとする。インキAk(赤色),Bk(青色),
Ck(黒色)は、上述したように、そのインキの含有成
分である顔料の組成及び量により各々流動性が異なる。
これら印刷ドラムの内の3種類のインキAk(赤色),
Bk(青色),Ck(黒色)のインキの流動性を、直接
的に各種の粘度計であるいは各種のインキの流動性計測
法を駆使して計測することは、現在の技術ではその計測
装置が大型化して実用的ではない。したがって、この実
施例4では以下に述べるような印刷ドラム内インキ種類
検出手段による間接的計測手段を用いる。
【0127】図15を参照して、印刷ドラム内インキ種
類検出手段について説明する。黒色のインキCkによる
印刷は、ドラムユニット140を用いることでなされ
る。すなわち、ドラムユニット140は、黒色のインキ
Ckを供給するインキ供給手段がその内部に配設された
印刷ドラム101と、印刷ドラム101を回転自在に支
持するインキ供給管104と、長板状の把持フレーム1
01Hに両端部にそれぞれ垂設され、インキ供給管10
4を介して印刷ドラム101を回転自在に支持する後フ
レーム101A及び前フレーム101Bと、後フレーム
101Aの外側の所定位置に取り付けられた、印刷ドラ
ム内インキ種類検出手段を構成する小さなマグネット2
4と、前フレーム101Bの外側に固設されインキ供給
管104へ黒色のインキCkを送出する図示しないイン
キポンプ装置等とを有する。
【0128】同様に、赤色のインキAkによる印刷はド
ラムユニット141を、青色のインキBkによる印刷は
ドラムユニット142をそれぞれ用いることでなされ
る。
【0129】すなわち、ドラムユニット141は、赤色
のインキAkを供給するインキ供給手段がその内部に配
設された印刷ドラム101mと、後フレーム101Aの
外側の所定位置に取り付けられた、印刷ドラム内インキ
種類検出手段を構成する小さなマグネット25と、前フ
レーム101Bの外側に固設されインキ供給管104へ
赤色のインキAkを送出する図示しないインキポンプ装
置等とを有し、その他についてはドラムユニット140
と同様の構成を有する。
【0130】ドラムユニット142は、青色のインキB
kを供給するインキ供給手段がその内部に配設された印
刷ドラム101nと、後フレーム101Aの外側の所定
位置に取り付けられた、印刷ドラム内インキ種類検出手
段を構成する小さなマグネット26と、前フレーム10
1Bの外側に固設されインキ供給管104へ青色のイン
キBkを送出する図示しないインキポンプ装置等とを有
し、その他についてはドラムユニット140と同様の構
成を有する。なお、ドラムユニット着脱機構の詳細は、
例えば特開平5−229243号公報に記載されている
構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0131】感熱孔版印刷装置本体側には、機体部14
5が配設されている。機体部145には、各ドラムユニ
ット140,141,142の、インキ供給管104を
着脱自在に支持する軸受支持部146及び把持フレーム
101Hを着脱自在に保持する図示しない保持手段がそ
れぞれ設けられている。機体部145の内壁には、各ド
ラムユニット140,141,142がこの機体部14
5に装着されたときに、各マグネット24.25,26
と相対向する位置にそれぞれ取り付けられた、3個のホ
ール素子センサ21,22,23からなるホール素子セ
ンサ群20が配設されている。3個のホール素子センサ
21,22,23は、図示しない電子回路を介して穿孔
エネルギー調整手段302に接続されている。3個のホ
ール素子センサ21,22,23からなるホール素子セ
ンサ群20は、印刷ドラム内インキ種類検出手段を構成
する。
【0132】このような印刷ドラム内インキ種類検出手
段を有することで、例えば、黒色インキCkのドラムユ
ニット140が機体部145に装着されたときには、マ
グネット24が機体部145のホール素子センサ23と
相対向してホール素子センサ23がオンすることで、黒
色インキCkのドラムユニット140が装着されている
ことが検知される。同様にして、赤色インキAkのドラ
ムユニット141が機体部145に装着されたときに
は、マグネット25が機体部145のホール素子センサ
21と相対向してホール素子センサ21がオンすること
で、青色インキBkのドラムユニット142が機体部1
45に装着されたときには、マグネット26が機体部1
45のホール素子センサ22と相対向してホール素子セ
ンサ22がオンすることで、それぞれ赤色インキAkの
ドラムユニット141、青色インキBkのドラムユニッ
ト142が装着されていることが検知される。このよう
に、色替え印刷時において、ドラムユニットに配設され
ているインキの種類の数(この実施例ではインキの色の
数)によって、マグネットの位置や個数を異なるように
配置し、かつ、それらに相対向する機体部145の所定
位置にホール素子センサを適宜配置することで、より多
数のドラム内のインキの種類を検出することができる。
【0133】次に、この感熱孔版印刷装置の動作につい
て上記実施例1に対して相違する箇所のみ以下に説明す
る。
【0134】原稿読取において、原稿読取部80には、
多色重ね刷り印刷に必要な色分解のための諸機能を有す
る構成、例えば特開昭64−18682号公報記載の複
数の色フィルターを切換可能に制御できるフィルターユ
ニットと同様の機能及び構成を有するものが、ミラー8
7とレンズ88との間の光路上に配設されていて、同公
報記載と同様の自動製版・給版等の動作を行うようにな
っており、その詳しい説明は省略する。
【0135】また製版及び給版終了と同時に行われる印
刷工程においては、実施例1と同様の動作後、印刷ドラ
ム101の多孔部及び製版済感熱性孔版マスタ61aの
穿孔パターン部(共に図示せず)から黒色インキCkが
滲み出し、この滲み出た黒色インキCkが印刷用紙62
の表面に転移されて、印刷画像としての黒色のインキ画
像が形成され試し刷りが行われる。次いで、図示しない
テンキーで印刷枚数をセットし、図示しない印刷スター
トキーをオンすると上記試し刷りと同様の工程で、給
紙、印刷及び排紙の各工程がセットした印刷枚数分繰り
返して行われ、黒色インキCkの孔版印刷工程が終了す
る。
【0136】次に、上記特開昭64−18682号公報
記載と同様の構成に基づく同様の動作により、ドラム交
換を適宜行い、赤色インキAk、青色インキBkによる
孔版印刷が、上記と同様の製版・給版、給紙、印刷及び
排紙の各工程を得て行われ、所望の3色印刷物が得られ
る。
【0137】次に、図14を参照して、印刷ドラム内の
インキの種類を識別・検知して穿孔用エネルギーを調整
する制御構成、プロセスについて説明する。
【0138】同図において、符号302は穿孔エネルギ
ー調整手段としてのマイクロプロセッサを示す。マイク
ロプロセッサ302は、CPU(中央演算処理装置)、
I/0(入出力)ポート、ROM(読み出し専用メモ
リ)及びRAM(読み書き可能なメモリ)等を備えた周
知の構成を有する。マイクロプロセッサ302は、ホー
ル素子センサ群20と、後述する、図示しないサーマル
ヘッド駆動回路を介して接続されているサーマルヘッド
30と、サーミスタ201と、サーミスタ200との間
で、指令信号及びデータ信号を送受信し、サーマルヘッ
ド30の温度及びインキ溜り107の温度を検知すると
共に印刷ドラム内のインキの種類を識別・検知して穿孔
用エネルギーを調整するシステム全体をコントロールし
ている。
【0139】マイクロプロセッサ302は、後述するよ
うに、サーミスタ201が検出したサーマルヘッド温度
とサーミスタ200が検出したインキ温度と上記印刷ド
ラム内インキ種類検出手段が検出した印刷ドラム内イン
キ種類とに応じて穿孔用エネルギーの調整を行う機能を
有する。このために、マイクロプロセッサ302の上記
ROMには「穿孔用エネルギー調整のためのプログラ
ム」と、識別・検知した印刷ドラム内のインキの種類に
基づいて、最適な印刷画像を得、裏移り現象を無くすた
めの「印刷ドラム内インキ種類とサーマルヘッド温度と
インキ温度とに応じて、感熱性孔版マスタ61に最適径
の穿孔を行うための穿孔用エネルギーとの関係」が予め
実験的に定められて記憶されている。
【0140】サーミスタ200は、上記各インキ供給手
段のインキ色ごとに形成されているインキ溜り107に
おけるインキ温度を検出する。
【0141】穿孔用エネルギーの調整は上述のように、
画像信号に応じて個々の発熱体部33に流す電流値もし
くは発熱体部33に印加する電圧値の変化により行うよ
うにしてもよいが、この実施例においては、サーマルヘ
ッド30の発熱体部33への通電パルス幅の変化により
行う。すなわち、マイクロプロセッサ302は、ホール
素子センサ群20から出力される印刷ドラム内インキ種
類信号、及びサーミスタ201から出力されるサーマル
ヘッド温度データ信号、サーミスタ200から出力され
る各インキ溜り107のインキ温度データ信号を上記I
/O(入出力)ポートを介して取り込む。そしてマイク
ロプロセッサ302は、これらの印刷ドラム内インキ種
類信号、サーマルヘッド温度データ信号及びインキ温度
データ信号を適宜上記ROMで照合しつつ上記CPUで
計算し、適宜上記RAMにストアしながら、感熱性孔版
マスタ61に適切な大きさの穿孔を行える通電パルス幅
を設定してサーマルヘッド30を制御する。サーマルヘ
ッド30は、デジタル画像信号にしたがい、電源400
からの電力供給を受けて、マイクロプロセッサ302で
設定された通電パルス幅に従って発熱体部33を発熱さ
せる。
【0142】次に、図16及び図17を参照して、サー
マルヘッド30に通電させる通電パルス幅決定方法につ
いて述べる。図16に示すように、先ず、ステップS1
0’において、印刷ドラム内のインキの種類を識別し検
知する。ステップS11’において、サーミスタ201
でサーマルヘッド30の温度を検知する。ステップS1
2’において、サーミスタ200でインキ温度を検知す
る。そして、ステップ13’において、サーマルヘッド
30の温度(ステップS11’)とインキ温度(ステッ
プS12’)とにおける標準パルス幅を決定する。次
に、ステップS14’において、ステップS10’で印
刷ドラム内インキの種類を識別し検知したものと、ステ
ップS13’で得られた標準パルス幅とに応じて、マイ
クロプロセッサ302で計算し、サーマルヘッド30に
印加する通電パルス幅を決定する。
【0143】図17を参照して、例えば、サーマルヘッ
ド温度及びインキ温度の或温度A℃及びB℃において、
A℃<B℃の場合についてサーマルヘッド30に印加す
る通電パルス幅の設定方法を説明する。サーマルヘッド
温度及びインキ温度の或温度A℃における標準パルス幅
をtpAとし、標準の印刷ドラム内インキ種類とした場
合には、標準パルス幅のtpAが通電される。そして、
印刷ドラム内のインキの種類で印刷ドラムからインキが
出易いものを使用する際にはtpA−t1と標準より短い
パルス幅が通電され、逆に、印刷ドラム内のインキ種類
で印刷ドラムからインキが出にくいものを使用する際に
はtpA+t2と標準より長いパルス幅が通電される。サ
ーマルヘッド温度及びインキ温度の或温度B℃における
標準パルス幅をtpBとし、標準の印刷ドラム内インキ
種類とした場合には、標準パルス幅のtpBが通電され
る。そして、印刷ドラム内のインキの種類で印刷ドラム
からインキが出易いものを使用する際にはtpB−t3
標準より短いパルス幅が通電され、逆に、印刷ドラム内
のインキの種類で印刷ドラムからインキが出にくいもの
を使用する際にはtpB+t4と標準より長いパルス幅が
通電される。尚、標準パルス幅:tpA、tpB、印刷ド
ラム内インキ種類とサーマルヘッド温度及びインキ温度
に応じて補正するパルス幅:t1,t2,t3,t4等は、
数多くの実験を繰り返して求めたデータである。
【0144】このようにして、感熱性孔版マスタ61と
して、多孔性の支持体である和紙上に厚さ:1.6μm
の熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせた厚さ:40μm
のものを用いて、サーマルヘッド温度とインキ温度と印
刷ドラム内インキ種類とに応じて、サーマルヘッド30
の発熱体部33への通電パルス幅を変化して製版・印刷
を行ったところ、ある特定の通電パルス幅において所望
する良好な印刷画像で、かつ、裏移り不具合の無いもの
が得られた。
【0145】(実施例5)図18及び図19に請求項1
8記載の発明に係る実施例5を示す。
【0146】この実施例5は、上記実施例4の感熱孔版
印刷装置に対して、ドラム内インキ種類検出手段として
のホール素子センサ群20及びマグネット24,25,
26を除去し、これに代えて、印刷ドラム内のインキの
種類を設定するための印刷ドラム内インキ種類設定手段
としてのインキ種類設定キー41を有することが主に相
違する。インキ種類設定キー41は、ユーザ等が印刷ド
ラムの内のインキの種類を予め知っていてそのインキの
種類を設定するためのものである。
【0147】マイクロプロセッサ302は、サーマルヘ
ッド30の個々の発熱体部33に供給する穿孔用エネル
ギーを、インキ種類設定キー41で入力された印刷ドラ
ム内インキ種類に応じて所定のエネルギーに調整する。
【0148】図19に示すように、装置本体キャビネッ
ト上部には、この感熱孔版印刷装置を操作するための操
作パネル40が配置されている。操作パネル40には、
インキ種類設定キー41と、印刷枚数等を入力するテン
キー42と、このテンキー42の押下(オン)により設
定された印刷枚数等を表示する7セグメントのLED
(発光ダイオード)表示部43と、原稿画像の画像読み
取りから試し刷りに至る各動作の起動を入力する製版ス
タートキー44と、テンキー42で入力された印刷枚数
の印刷動作起動を行う印刷スタートキー45と、インキ
種類設定キー41で選択的に設定された印刷ドラム内イ
ンキ種類を表示するための印刷ドラム内インキ種類表示
用のLEDランプ群46等とが配置されている。
【0149】LEDランプ群46は、流動性の値が異な
る3種類の黒色インキ:黒1、黒2、黒3に対応するド
ラムユニットが選択されていることをそれぞれ表示する
LEDランプ46a,46b,46c、赤色インキに対
応するドラムユニットが選択されていることを表示する
LEDランプ46d、青色インキに対応するドラムユニ
ットが選択されていることを表示するLEDランプ46
e及び黄色インキに対応するドラムユニットが選択され
ていることを表示するLEDランプ46fからなる。イ
ンキ種類設定キー41を1回押下するとLEDランプ4
6aが点灯し、インキ種類設定キー41を2回押下する
とLEDランプ46bが点灯するというように、インキ
種類設定キー41を1回押下するごとに順次LEDラン
プの点灯が切り替わり、ユーザが設定した印刷ドラム内
インキ種類に対応するドラムユニットが選択されている
ことを表示するようになっている。
【0150】この実施例5における印刷ドラム内のイン
キの種類を識別・検知して穿孔用エネルギーを調整する
プロセスは、下記の初期動作内容以外は上記実施例4と
同様のためその説明を省略する。すなわち、ユーザが、
予め知っていて所望する印刷ドラム内インキ種類をイン
キ種類設定キー41で設定すると、その印刷ドラム内イ
ンキ種類信号がマイクロプロセッサ302に入力される
と共に、その印刷ドラム内インキ種類に対応したLED
ランプが点灯する。
【0151】この実施例5によっても、感熱性孔版マス
タ61として、多孔性の支持体である和紙上に厚さ:
1.6μmの熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせた厚
さ:40μmのものを用いて、サーマルヘッド温度とイ
ンキ温度と印刷ドラム内インキ種類とに応じて、サーマ
ルヘッド30の発熱体部33への通電パルス幅を変化し
て製版・印刷を行ったところ、ある特定の通電パルス幅
において所望する良好な印刷画像で、かつ、裏移り不具
合の無い印刷物が得られた。
【0152】なお、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみ
から成る感熱性孔版マスタ、例えば、その熱可塑性樹脂
フィルムの厚さが1.6μmのものを用いて、インキ温
度とサーマルヘッド温度と印刷ドラム内インキ種類とに
応じて、サーマルヘッド30の発熱体部33への通電パ
ルス幅を変化させて穿孔を行ったところ、実施例4と同
様に、所望する最適で良好な印刷画像品質のもので、か
つ、裏移りによる印刷用紙への汚損の無いものが得られ
た。またこの効能に加えて、上記したようないわゆる繊
維目のない良好な印刷画像を得ることができた。
【0153】なお、実施例4における印刷ドラム内イン
キ種類検出手段は、上記のものに限らず、例えば、印刷
ドラム内部のインキ供給手段のインキ溜り等に、L形粘
度計等の粘度計やインキの流動性を測定するスプレッド
メータ等の計測器を配設し、これらにより検出された計
測データ信号を、電気、光、電波あるいは磁気信号等に
変換して送信する送信部をドラムユニット側に、これら
の信号を受信する受信部を感熱孔版印刷装置本体側にそ
れぞれ設けたようなものでもよい。
【0154】また、印刷ドラム内インキ種類検出手段
は、例えば、特開平6−199028号公報の図3及び
図4等に記載されているディップスイッチ133,13
5や、バーコード等の符号読み取り検出装置、印刷ドラ
ムに配設された色識別形状部の光電センサによる識別、
あるいは印刷ドラムに供給されるインキの色自体を直接
的に検出する色検出センサ等を設けて、使用する印刷ド
ラム内のインキの種類を検出するものであってもよい。
【0155】また、感熱孔版印刷装置の装置内部の温度
及び/又は装置外部の環境温度を検知し、この温度と印
刷ドラム内インキ種類検出手段が検出した印刷ドラム内
インキ種類又は印刷ドラム内インキ種類設定手段で設定
した印刷ドラム内インキ種類とに応じて穿孔用エネルギ
ーの調整を行うようにしてもよい。
【0156】なお、感熱孔版印刷装置の装置内部の温度
が安定していれば、インキ温度は装置内温度に略等し
く、したがってインキ温度を検出するかわりに装置内温
度を検出して、穿孔パターンの穿孔hの大きさを調整し
ても、上記と同様の効果を得ることができるが、一般に
は印刷装置内温度は使用状態に応じて変化し、インキ温
度と装置内温度にはずれがあるので、上記実施例による
ほどの濃度安定化を実現するのは困難である。
【0157】なお、実施例4及び5においては、多色重
ね刷り印刷を行う場合について説明したが、これに限ら
ず、黒色、赤色、青色及び黄色等の異なる色のインキを
用いて、それぞれ単色で印刷用紙に印刷を行う場合にも
本発明の感熱孔版印刷装置を適用できることは勿論であ
る。
【0158】なお、本発明の実施例は、実施例4及び実
施例5に限らず、その目的及び用途に応じて精度が高く
木目細かい穿孔用エネルギーの調整が必要でない場合、
あるいは実施例4及び実施例5に係る感熱孔版印刷装置
が略一定の環境温度下にて使用される場合には、実施例
4又は実施例5の感熱孔版印刷装置からサーマルヘッド
温度検出手段としてのサーミスタ201のみを除去した
構成の感熱孔版印刷装置(請求項12又は16記載の発
明に係る実施例)、あるいは実施例4又は実施例5の感
熱孔版印刷装置からインキ温度検出手段としてのサーミ
スタ200のみを除去した構成の感熱孔版印刷装置(請
求項13又は17記載の発明に係る実施例)、あるいは
実施例4又は実施例5の感熱孔版印刷装置からサーミス
タ201及びサーミスタ200のみを除去した構成の感
熱孔版印刷装置(請求項11又は15記載の発明に係る
実施例)であってもよい。
【0159】以上述べたように、請求項11乃至18記
載の発明に係る実施例によれば、実施例1の上記利点、
すなわち副走査方向Fの穿孔径lのみならず、主走査方
向Sの穿孔径mについても最適な大きさの穿孔hが得る
ことができることに加えて、さらに、サーマルヘッド3
0を用い、サーマルヘッド30の個々の発熱体部33に
供給する穿孔用エネルギー(印加エネルギー)を可変す
ることで、副走査方向Fのみならず、主走査方向Sでの
穿孔径をより確実にコントロールすることが可能となる
と共に、印刷ドラム内インキ種類、サーマルヘッド温度
及び/又はインキ温度の変化が印刷画像濃度に影響を与
える度合いによって、穿孔エネルギー調整手段により穿
孔用エネルギーが、印刷ドラム内インキ種類、あるいは
印刷ドラム内インキ種類、サーマルヘッド温度及び/又
はインキ温度に応じて所定のエネルギーに補正され調整
されるので、従来の印圧部における感熱性孔版マスタと
印刷用紙との圧接力を機械的に調整する技術等のように
機械的条件を変える必要がなく、印刷ドラム内のインキ
の種類が異なっても容易かつ確実に最適で良好な印刷画
像が得られ、孔版印刷装置特有の裏移り不具合のない印
刷物を得ることができる。
【0160】(実施例6)図20乃至図25を参照し
て、請求項19記載の発明に係る実施例6について説明
する。
【0161】始めに、感熱孔版印刷装置に用いられるサ
ーマルヘッドとしては、いわゆる薄膜型のものが多用さ
れているので、従来の技術例で説明したタイプを含めた
一般的な構造等について説明する。
【0162】サーマルヘッド30Xは、グレーズ構造上
大きく分けて二種類のものがある。その1つのサーマル
ヘッド30Xは、図20(a)に示すように、基材31
の上面に全面的にグレーズ層32がある全面グレーズ型
であり、もう1つのサーマルヘッド30Xは、図20
(b)に示すように、基材31の上面で発熱体部33の
下方に部分的にグレーズ層32がある部分グレーズ型で
ある。両者共に、グレーズ層32の上部に抵抗体層33
R、電極層34、保護膜層35がこの順に積層形成され
ている。基材31はアルミナで、グレーズ層32は電気
及び熱絶縁性のガラス、エポキシ樹脂(EP)等ででき
ている。
【0163】サーマルヘッド30Xには微小かつ多数の
発熱体部33が主走査方向Sへ一定のピッチで近接して
配列されており、感熱性孔版マスタ61は、図5(A)
(a−4),(B)(b−4)を借りて説明すると、図
5(A)(a−4),(B)(b−4)における左右の
マスタ搬送方向、すなわち副走査方向Fへ搬送されつつ
保護膜層35を介して発熱体部33に直接接触する。こ
の状態で電極34の間に電圧が印加されると、電極34
の間の発熱体部33に電流が流れ、ジュール熱により通
電部分の発熱体部33が発熱し、保護膜層35を介して
発熱体部33に直接接触している感熱性孔版マスタ61
が溶融穿孔され、感熱性孔版マスタ61に穿孔パターン
が形成される。
【0164】このような孔版印刷装置においては、サー
マルヘッドの解像度に応じた好適な穿孔画像を感熱性孔
版マスタ61に形成し、いかなる原稿画像に対しても忠
実な印刷画像(インキ画像)を感熱性孔版マスタ61に
再現し、同時に印刷用紙の裏面に発生する裏移り現象を
防止するために、感熱性孔版マスタ61の溶融穿孔した
穿孔パターンの個々の穿孔hの大きさ(以下「穿孔径」
というときがある)を微細化させると共に、独立穿孔さ
せて印刷用紙へのインキの転移量を少なくしなければな
らない。このような課題を解決するものとして、例えば
特開平4−265759号公報に示されているように、
サーマルヘッドの発熱体部寸法について、主走査方向長
の主走査ピッチ(主走査方向における相隣る発熱体部間
ピッチ)及び副走査方向長の副走査ピッチ(副走査方向
における相隣る発熱体部間ピッチ)に対する比率をそれ
ぞれ規定するという技術が提案されている。
【0165】しかしながら、穿孔径は明らかに発熱体部
の寸法に依存するため、穿孔径を小さくしようとした場
合、サーマルヘッドの発熱体部寸法について、主走査方
向長の主走査ピッチ及び副走査方向長の副走査ピッチに
対する比率をそれぞれ規定するという上記の技術では、
その比率をより小さくしてサーマルヘッドの発熱体部寸
法の微細化を実施しなければならないことになる。それ
故に、その副作用として、サーマルヘッドの発熱体部に
おいて同一のピーク温度を得ようとした場合、サーマル
ヘッドの電極への熱の逃げ等により、サーマルヘッドの
発熱体部が小さくなるほど発熱体部単位面積当たりの必
要エネルギーは大きくなり、この結果サーマルヘッドの
発熱体部の寿命は、その発熱体部寸法が小さくなるほど
短くなってしまう。
【0166】そして、その発熱体部33に設けられたグ
レーズ層32の厚さtgが、60μmを超えるサーマル
ヘッドにおいては、連続印字時の蓄熱作用がより大きい
ので、発熱体部33のピーク温度が蓄熱しない場合のピ
ーク温度よりもかなり高くなり、発熱体部33の単位面
積当たりの印加エネルギーがオーバー気味になって熱応
力等がかかると共に、発熱体部33の酸化等が促進され
て電気抵抗値変化が生じやすくなるため、サーマルヘッ
ド30Xの発熱体部33の寿命が短くなってしまう問題
点がある。
【0167】また、溶融穿孔・製版された感熱性孔版マ
スタにおいて、独立穿孔したものが得られなくなってし
まう問題点もある。
【0168】さらに、孔版印刷装置の製版時間(サーマ
ルヘッドの発熱体部の発熱作動時間間隔、印字周期もし
くはライン周期ともいう)を例えば2.5msec/l
ine以下にするというような、近年における製版時間
の高速化により、サーマルヘッドの蓄熱作用がさらに増
大し、これに伴いサーマルヘッドの寿命もさらに短くな
り、溶融穿孔・製版された感熱性孔版マスタにおいて独
立穿孔したものを得ることが非常に困難になってきた。
【0169】そこで、請求項19記載の発明に係るこの
実施例6は、かかる問題点を解決するために、サーマル
ヘッドの発熱体部の寸法をあまり小さくせずに、サーマ
ルヘッドの発熱体部の高寿命化を成し遂げることがで
き、溶融穿孔・製版された感熱性孔版マスタの穿孔の大
きさが微細で、かつ、各穿孔が互いに独立穿孔したもの
が得られ、主走査方向及び副走査方向の解像度に応じた
好適な穿孔画像を形成して如何なる原稿画像に対しても
忠実な印刷画像を形成することができ、同時に裏移り不
具合の発生を防止することができると共に、製版時間の
高速化(印字周期:例えば2.5msec/line以
下)という点においても上記各目的のものが得られる感
熱孔版印刷装置を提供することを目的とする。
【0170】この実施例6は、実施例1に対して、その
サーマルヘッド30に代えて、サーマルヘッド30の構
成に、グレーズ層の厚さが、60μm以下である構成を
付設したサーマルヘッド30Xを有することが主に相違
する。
【0171】次に、図21を参照して、サーマルヘッド
30Xの温度を検出するサーマルヘッド温度検出手段、
サーマルヘッド温度検出手段で検出されたサーマルヘッ
ド温度に応じて、サーマルヘッド30Xの個々の発熱体
部33に供給する穿孔用エネルギーを所定のエネルギー
に調整する穿孔エネルギー調整手段及びこれらの制御構
成に基づく制御プロセス、並びにサーマルヘッド30X
のグレーズ層の厚さを60μm以下にしたときの実施例
を述べる。
【0172】図21において、符号303は穿孔エネル
ギー調整手段としてのマイクロプロセッサを示す。マイ
クロプロセッサ303は、CPU(中央演算処理装
置)、I/0(入出力)ポート、ROM(読み出し専用
メモリ)及びRAM(読み書き可能なメモリ)等を備え
た周知の構成を有する。マイクロプロセッサ303は、
サーミスタ201及びサーマルヘッド30Xの間で、指
令信号及びデータ信号を送受信し、サーマルヘッド30
Xの温度を検知して穿孔用エネルギーを調整するシステ
ム全体をコントロールしている。サーミスタ201のサ
ーマルヘッド温度に係る信号は、上記I/O(入出力)
ポートに入力される。
【0173】マイクロプロセッサ303は、サーミスタ
201が検出したサーマルヘッド温度に応じて穿孔用エ
ネルギーの調整を行う機能を有する。このために、マイ
クロプロセッサ303の上記ROMには「サーマルヘッ
ド温度の変化に応じた、穿孔用エネルギー調整のための
発熱体部33へ通電する通電時間に係るプログラム」が
予め実験的に定められて記憶されている。
【0174】穿孔用エネルギーの調整は上述のように、
画像信号に応じて個々の発熱体部33に流す電流値もし
くは発熱体部33に印加する電圧値の変化により行うよ
うにしてもよいが、この実施例6においては、サーマル
ヘッド30Xの発熱体部33への通電パルス幅の変化に
より行う。すなわち、マイクロプロセッサ303は、サ
ーミスタ201から出力されるサーマルヘッド温度デー
タ信号を上記I/O(入出力)ポートを介して取り込
む。そしてマイクロプロセッサ303は、このサーマル
ヘッド温度データ信号を適宜上記ROMで照合しつつ上
記CPUで計算し、適宜上記RAMにストアしながら、
感熱性孔版マスタ61に適切な大きさの穿孔を行える通
電パルス幅を設定してサーマルヘッド30Xを制御す
る。サーマルヘッド30Xは、デジタル画像信号にした
がい、電源400からの電力供給を受けて、マイクロプ
ロセッサ303で設定された通電パルス幅にしたがって
発熱体部33を発熱させる。
【0175】次に、図22乃至図25を参照して、実施
例6の特徴的な作用を明確にするために、グレーズ層3
2の厚さtgが、従来のサーマルヘッドの諸特性に及ぼ
す内容について説明する。
【0176】図22(a)は、従来のサーマルヘッドの
グレーズ層32の厚さtgをパラメータとした場合にお
ける従来のサーマルヘッドのピーク温度と印加パルス数
とに関する特性を表わしている。同特性線図より、印加
パルス数が多い程従来のサーマルヘッドに対する蓄熱は
大きくなり、あるパルス数まで印加すると従来のサーマ
ルヘッドのピーク温度が殆ど変化しないことから、その
蓄熱が飽和することが分かる。またグレーズ層32の厚
さtgが小さい(薄い)程上記蓄熱が小さくなり、グレ
ーズ層32の厚さtgが大きい(厚い)程上記蓄熱が大
きくなることを示している。図22(b)は、従来のサ
ーマルヘッドのグレーズ層32の厚さtgをパラメータ
とした場合における従来のサーマルヘッドのピーク温度
と印字周期とに関する特性を表わしている。この特性は
印加パルス数が200パルス目の時のものであり、同特
性線図より、印字周期が短ければ短い程上記蓄熱は大き
くなり、グレーズ層32の厚さtgが小さい程上記蓄熱
が小さくなることを示している。
【0177】したがって、図22(a),(b)から、
印加パルス数及び印字周期を加味すると、グレーズ層3
2の厚さtgが小さい程上記蓄熱は小さくなるというこ
とが分かる。
【0178】次に、図23を参照して、グレーズ層32
の厚さtgが従来のサーマルヘッドの発熱体部33の表
面温度分布に及ぼす内容について説明する。図23
(a)は、従来のサーマルヘッドの発熱体部33が一対
の電極34,34に挾まれて、主走査方向Sにおける相
隣る発熱体部間ピッチPsで主走査方向Sに一列に配列
されていて、発熱体部33における主走査方向Sの寸法
Ls及び発熱体部33における副走査方向Fの寸法Lf
がそれぞれ所定の寸法に設定されていることを示す。図
23(b)は、従来のサーマルヘッドのグレーズ層32
の厚さtgをパラメータとした、従来のサーマルヘッド
の主走査方向Sにおける発熱体部10の表面温度分布を
示し、図23(c)は、従来のサーマルヘッドのグレー
ズ層32の厚さtgをパラメータとした、従来のサーマ
ルヘッドの副走査方向Fにおける発熱体部33の表面温
度分布をそれぞれ示している。また図23(d)は、図
23(b)での従来のサーマルヘッドの表面温度分布曲
線上に形成される、感熱孔版印刷装置で用いる感熱性孔
版マスタ61の熱可塑性樹脂フィルムが溶融穿孔して広
がるある温度、すなわち「しきい値温度」Z℃における
感熱性孔版マスタ61の穿孔パターンの穿孔状態を示
す。図23(d)から、グレーズ層32の厚さtgの大
小により、主走査方向Sにおける発熱体部33の表面温
度の広がりの違いも大きくなり、感熱性孔版マスタ61
の溶融穿孔した穿孔hの大きさにも差が生じ、グレーズ
層32の厚さtgの大きいもの、例えば65μmのもの
に関しては隣接する穿孔h同士がつながって独立した穿
孔パターンの穿孔hが得られなくなってしまう。図23
(a),(b),(c),(d)から容易に、従来のサ
ーマルヘッドの個々の発熱体部33に供給する穿孔用エ
ネルギーが同一である条件下においては、グレーズ層3
2の厚さtgが小さい方が感熱性孔版マスタ61に溶融
穿孔された穿孔パターンの穿孔hの微細化が可能である
ことが分かる。また、図23(b),(c)において、
連続印字時における従来のサーマルヘッドの発熱体部3
3のピーク温度は、グレーズ層32の厚さtgの違いに
より図22(a)で述べたように差が生じグレーズ層3
2の厚さtgの大きい方が高くなる。また図22(b)
で述べたように印字周期を高速化(短い)にした際にも
同様なことが言え、その蓄熱作用で上昇した温度分が従
来のサーマルヘッドの発熱体部33へのオーバー温度
(オーバーパワー)となり、発熱体部33の寿命を短く
している原因となっている。
【0179】また図24(a1),(a2),(a3)
はグレーズ層32の厚さtgが大きい場合において、ま
た図24(b1),(b2),(b3)はグレーズ層3
2の厚さtgが小さい場合において、最初のパルス印加
時及び200パルス印加後の、サーマルヘッドの主走査
方向Sにける発熱体部33の表面温度分布と穿孔状態と
の関係をそれぞれ表わしている。これらの各発熱体部3
3の表面温度分布からも分かるように、グレーズ層32
の厚さtgの大小により、主走査方向Sにおける発熱体
部33の表面温度の広がりの違いも大きくなり、感熱性
孔版マスタ61に溶融穿孔された穿孔hの大きさにも差
が生じ、グレーズ層32の厚さtgの大きいものに関し
ては、200パルス印加後等最悪の場合、隣接する穿孔
h同士がつながって独立した穿孔パターンの穿孔hが得
られなくなってしまう。これは副走査方向Fにおいても
同様である。
【0180】感熱孔版印刷装置において、印刷画像(イ
ンキ画像)は、感熱性孔版マスタ61の穿孔パターンか
ら滲み出るインキによって形成され、その滲み出たイン
キが印刷用紙に転移した量の程度により、孔版印刷装置
特有の裏移り現象という汚れに影響を与えており、イン
キ転移量が多い程その汚れがひどくなる。そこで穿孔パ
ターンの穿孔hは独立したものにし、印刷用紙へのイン
キの転移量を制御しなければ裏移り現象は抑制できな
い。したがって、穿孔パターンの穿孔hは、独立したも
のであって、その大きさがより微細の方が裏移り現象は
無くなる方向になる。従来のサーマルヘッドを使用した
ファクシミリ等においては、本発明とは反する使用方法
で従来のサーマルヘッドの発熱体部33で発生する熱が
下に逃げないように、グレーズ層32を、断熱層として
使用していてその厚さを65μm程度に厚くしている。
逆にいえば、グレーズ層32の蓄熱作用をある程度利用
しているのである。この理由により、相隣る発熱ドット
パターンがつながっていた方がベタ部濃度が上がり印字
物としては望ましいものが得られる、従来のサーマルヘ
ッドを用いたファクシミリ等と異なり、感熱孔版印刷装
置では前述のように感熱性孔版マスタ61の溶融穿孔し
た穿孔パターンの穿孔hが独立したものではなく、つな
がってしまっているとインキ転移量の増大を招き裏移り
現象が悪化するため、穿孔パターンの穿孔hの大きさは
より微細で独立したものの方が望ましく、これに対して
グレーズ層32の薄層化が非常に効果的なのである。
【0181】上述したとおり、実施例6によれば、グレ
ーズ層の厚さを、60μm以下に薄層化したことによ
り、溶融穿孔・製版された感熱性孔版マスタ61の穿孔
径を小さくすることができる。また、上記蓄熱が程好く
抑えられることで、連続印字時におけるサーマルヘッド
30Xの発熱体部33にかかる熱応力等が小さくなり、
発熱体部33の寿命が向上すると共に穿孔径もあまり大
きくならない。
【0182】溶融穿孔・製版された感熱性孔版マスタ6
1から滲み出るインキ量は、感熱性孔版マスタ61に形
成された穿孔パターンを構成する個々の微小な穿孔hの
開口面積、すなわち穿孔hの大きさに比例的であり、一
方において穿孔hの大きさは、サーマルヘッド30Xの
個々の発熱体部33に供給する穿孔用エネルギーの大小
に応じて決まる。それ故に、感熱性孔版マスタ61に形
成される穿孔パターンの1単位としての穿孔hの大きさ
を制御できる。
【0183】また、図25に示すように、サーマルヘッ
ド30Xの個々の発熱体部33に供給する穿孔用エネル
ギーが同一の印加エネルギーである場合には、そのサー
マルヘッドの発熱体部33のピーク温度は、サーマルヘ
ッド温度検出手段で検出されたサーマルヘッド温度が高
い程昇温する。例えば、図25(a1)において、サー
マルヘッド温度T1である条件下で通電パルス幅t1(t
1>t2)の印加エネルギーをサーマルヘッド30Xの発
熱体部33に供給した場合と、サーマルヘッド温度T2
に昇温した条件下で同一の印加エネルギー(通電パルス
幅t1)をサーマルヘッドの発熱体部に供給した場合と
を比較すると、サーマルヘッド30Xの発熱体部33の
ピーク温度はサーマルヘッド温度T2の条件下の方が大
きく、このときに感熱性孔版マスタ61に形成される穿
孔hの大きさ、すなわち図25(b2)に示されている
穿孔hは、図25(b1)のそれよりも大きいことが分
かる。したがって、このような場合には、図25(a
2)に示すように、サーマルヘッド温度T2の条件下で
通電パルス幅t1よりも短い通電パルス幅t2(t1
2)の印加エネルギーをサーマルヘッド30Xの発熱
体部33に供給するようにサーマルヘッド30Xを制御
することにより、穿孔hの大きさを、図25(b1)に
示したと同様の適正な大きさの穿孔hにするのである
(図25(b3)参照)。
【0184】すなわち、サーマルヘッド30Xの発熱体
部33において発熱した熱は、その多くが感熱性孔版マ
スタ61の溶融穿孔に消費されるが、発熱した熱の一部
はサーマルヘッド本体にも伝熱してサーマルヘッド本体
の温度を上昇させる。サーマルヘッド本体の上記温度上
昇は、一般的にはさほど大きくはないが、サーマルヘッ
ド30Xが長時間連続動作したような場合には、ある程
度の温度上昇は避けられない。このような場合には、穿
孔用エネルギーによる熱にサーマルヘッド本体の蓄熱作
用に基づく熱が加わって、印刷画像の画像濃度に対応す
る穿孔の大きさよりも大きめの穿孔hが形成され、その
穿孔の大きさはサーマルヘッド温度が高い程大きくな
り、所望する穿孔hが得られなくなってしまう。それ故
に、このサーマルヘッド温度の昇温が画像濃度に及ぼす
影響を重要視する場合には、これを自動補償することが
必要となってくる。そこで、サーマルヘッド温度に拘ら
ず最適な穿孔径を得るためには、サーマルヘッド温度検
出手段でサーマルヘッド温度を検出し、サーマルヘッド
温度が高いときには通電パルス幅を短くし、その温度が
低いときには長く通電するようにサーマルヘッドを制御
すればよい。これにより、サーマルヘッド温度に拘らず
サーマルヘッド30Xの発熱体部33のピーク温度は一
定となり、その穿孔径は一定となる。したがって、サー
マルヘッド温度に応じて穿孔パターンの穿孔の大きさが
定まり、一方において穿孔の大きさは穿孔用エネルギー
により定まるから、サーマルヘッド温度に応じて最適な
穿孔パターンの穿孔の大きさと穿孔用エネルギーとの対
応関係が存在し、この対応関係は実験的に決定すること
ができる。
【0185】なお、実施例6において、インキ温度検出
手段を付設し、インキ温度検出手段によって検出された
インキ温度とサーマルヘッド温度検出手段によって検出
されたサーマルヘッド温度とに応じて穿孔用エネルギー
を調整するようにしてもよい。
【0186】(実施例7)図26に、実施例7を示す。
発熱体部33に通電させる際には一般的になされている
熱履歴制御等を加味してもよい。この熱履歴制御として
は、例えば特開昭57−80078号公報に記載の記録
パルス制御方式としての熱履歴制御手段(図示せず)を
利用することができる。
【0187】この実施例7は、実施例6に対して、サー
マルヘッド30Xの個々の発熱体部33を熱履歴制御す
るための上記熱履歴制御手段と、この熱履歴制御手段に
よりサーマルヘッド30Xの個々の発熱体部33が熱履
歴制御を伴って駆動されるとき、熱履歴制御用の第2パ
ルス幅thを有する第2パルスが、第1パルス幅tpを
有する第1パルスの40〜95%の印加エネルギーを持
ってサーマルヘッド30Xの個々の発熱体部33に供給
されるように、サーマルヘッド30Xの個々の発熱体部
33を制御するエネルギー調整手段としてのマイクロプ
ロセッサ303’(図21に括弧を付して示す)とを有
することのみ相違する。
【0188】マイクロプロセッサ303’には、上述し
たマイクロプロセッサ303が有する機能にさらに上記
の機能が付加されている。このために、マイクロプロセ
ッサ303’の上記ROMには「サーマルヘッド温度の
変化に応じた、穿孔用エネルギー調整のための発熱体部
33へ通電する通電時間に係るプログラム」の他に、さ
らに「熱履歴制御用の第2パルス幅thを有する第2パ
ルスが、第1パルス幅tpを有する第1パルスの40〜
95%の印加エネルギーを持ってサーマルヘッド30X
の個々の発熱体部33に供給・通電する通電時間に係る
プログラム」が予め実験的に定められて記憶されてい
る。
【0189】図26(a),(b1)に示すように、今
印字させようとしている発熱体部の前のラインの発熱体
部33に印字した際には、印字して発熱した発熱体部3
3の下方のグレーズ層32の部分は蓄熱されているの
で、この時は発熱体部33に流す電流値もしくは発熱体
部33に印加する電圧値の変化により又は通電パルス幅
の変化によって、印加エネルギーを小さくしないと、感
熱性孔版マスタ61の穿孔パターンの穿孔hが大きくな
り独立せずにつながってしまう。したがって、前のライ
ンで印字をせず発熱していない際には、第1パルス幅t
pの印加エネルギーを有する第1パルスをサーマルヘッ
ド30Xの発熱体部33に印加し、そうではない際には
前述のようなことが生じるので感熱性孔版マスタ61の
穿孔パターンの穿孔hを独立させるために、第1パルス
の例えば約70%の印加エネルギーを持った第2パルス
幅thを有する第2パルスをサーマルヘッド30Xの個
々の発熱体部33に印加するという重要で効果的な制御
を行うのである(図26(a),(b2))。なお、図
26(a)において、熱履歴制御に係る部分を破線で示
す。またこの実施例では、第2パルス以下の通電パルス
幅を第2パルス幅thとしているものである。
【0190】また第2パルス幅thの第1パルス幅tp
に対する印加エネルギー比は、特に40〜95%である
と感熱性孔版マスタ61における穿孔パターンの穿孔の
独立に対してより好ましく効果的である。第2パルス幅
thの第1パルス幅tpに対する印加エネルギー比が、
40%未満である場合には、穿孔径が小さすぎて印刷画
像としてベタ埋まりが悪化するという点から、その比が
95%を超えた場合には、逆に穿孔径が大きすぎてイン
キの印刷用紙への転移量増大により裏移りが悪化すると
いう点から好ましくない。
【0191】また、第2パルス幅thのみでなく、第
3、第4といったように木目細かい制御をすればより効
果的である。
【0192】なお、実施例6及び実施例7のようなサー
マルヘッド温度の変化による自動補償を考慮した通電パ
ルス幅の制御及び熱履歴制御は、サーマルヘッド温度の
変化が無い場合、サーマルヘッド30Xの本体への蓄熱
が無い、すなわち印字周期が遅い場合、又は画像劣化が
許容できる場合等においては、サーマルヘッド30Xの
グレーズ層32の厚さtgを60μm以下とすることで
上述したように独立穿孔を図ることができるため、サー
マルヘッド温度検出手段としてのサーミスタ201及び
穿孔エネルギー調整手段としてのマイクロプロセッサ3
03、あるいはエネルギー調整手段としてのマイクロプ
ロセッサ303’等の構成は不要とするものであって、
無くともよい。
【0193】次に、各実施例6及び7に使用しているサ
ーマルヘッド30Xの仕様及び駆動条件を述べる(図2
0〜図26の符号参照)。
【0194】サーマルヘッド30Xは、薄膜型かつ矩形
型のもので、そのグレーズ層32の型は全面グレーズ型
のもので、グレーズ材質としてはガラスを使用してい
る。サーマルヘッド30Xの解像度は400dpi(ド
ット/インチ)であり、その発熱体部33における主走
査方向Sの寸法Ls=30μm、発熱体部33における
副走査方向Fの寸法Lf=40μmとし、グレーズ層3
2の厚さtg=40μm、印字周期は2.25msec
/lineで、サーマルヘッド温度が23℃において通
電パルス幅を第1パルス幅tp=468μsec,第2
パルス幅th=359μsecで、かつ、印加パワーを
0.115w(ワット)とした。また感熱性孔版マスタ
61としては、多孔性支持体である和紙上に厚さ1.6
μmの熱可塑性樹脂フィルムを貼合わせた厚み40μm
のものを用いた。
【0195】このような製版条件において、サーマルヘ
ッド30Xを発熱駆動させ感熱性孔版マスタ61を溶融
穿孔・製版させたところ、実施例1の利点、すなわち副
走査方向Fの穿孔径のみならず、主走査方向Sの穿孔径
についても最適な大きさの穿孔hが得ることができるよ
うになり、副走査方向Fのみならず、主走査方向Sでの
穿孔径をより確実にコントロールすることが可能とな
り、独立しかつ適切な大きさの穿孔hを得ることがで
き、所望する印刷画像を形成し裏移りの無い印刷物が得
られると共に、サーマルヘッド30Xの発熱体部33の
高寿命化を達成することができた。
【0196】しかしながら、サーマルヘッド30Xでグ
レーズ層32の厚さtgを65μmに変えたものを使用
し、他の製版条件は上記条件と同一の下で上記感熱性孔
版マスタ61を溶融・穿孔製版したところ、独立穿孔し
かつ適正な大きさの穿孔hを得ることはできず、所望す
る印刷画像が得られなかったと共に、裏移りはかなり悪
いものとなり、サーマルヘッド30Xの発熱体部33の
寿命も上記グレーズ層32の厚さtg=40μmのもの
より短くなった。
【0197】一方、グレーズ層32の厚さtgが60μ
mのもので確認したところ、若干の上記各効果はあった
がまだ若干不十分であり、5μm未満のものでも前述の
ような効果としては大きいと推測されるが、現時点にお
ける製造技術水準での困難性、及びグレーズ層32を介
在して抵抗体層33Rを形成する基材31の平滑性を確
保する点からその下限値を考慮し、また連続印字時にお
いて感熱性孔版マスタ61に形成される各穿孔が独立分
離した実験結果が得られたことからその上限値を考慮す
ると、グレーズ層32の厚さtgが5〜50μmの範囲
であるものが、特に好ましい。
【0198】また、この感熱孔版印刷装置は、実質的に
熱可塑性樹脂フィルムのみから成る感熱性孔版マスタを
使用することが可能であって、例えばその厚さが1.6
μmのものを用いて、サーマルヘッド温度に応じてサー
マルヘッド30Xの発熱体部33への通電パルス幅を変
化させて穿孔を行ったところ、実施例6及び7と同様に
サーマルヘッド30Xのグレーズ層32の厚さtgが4
0μmの際には独立した適切な大きさの穿孔を得ること
ができ、所望する印刷画像を形成し裏移りの無い印刷物
が得られると共に、サーマルヘッド30Xの発熱体部3
3の高寿命化を達成することができた。
【0199】しかし、実質的に熱可塑性樹脂フィルムの
みから成る同一の厚さの感熱性孔版マスタを用い、か
つ、グレーズ層32の厚さtgが65μmのものを使用
し、同一印加エネルギー条件(同一の、印加パワー及び
通電パルス幅)で上記感熱性孔版マスタを溶融穿孔・製
版したところ、独立した穿孔(穿孔径)を得ることはで
きず、所望する印刷画像は得られず、裏移りはかなり悪
いものとなり、サーマルヘッド30Xの発熱体部33の
寿命も上記グレーズ層32の厚さtgが40μmのもの
より短くなった。また、グレーズ層厚が60μmのもの
で確認したところ若干の上記各効果はあったがまだ不十
分であり、5μm未満でも上記各効果としては大きいと
推測されるが、上述のような理由から、グレーズ層32
の厚さtgの特に好ましい範囲は、5〜50μmであ
る。
【0200】また、発熱体部33の寸法について言及す
ると、穿孔パターンの穿孔hが大きくなり独立せずつな
がってしまい裏移り劣化の点から、発熱体部33におけ
る主走査方向Sの寸法Lsを、主走査方向Sにおける相
隣る発熱体部間ピッチPs(上記実施例の場合63.5
μm)以下とし、かつ、発熱体部33における副走査方
向Fの寸法Lfを、相隣る発熱体部間ピッチPs以下と
すれば、感熱性孔版マスタ61の穿孔パターンの穿孔の
微細化及び独立穿孔化は可能である。
【0201】また好ましくは、発熱体部33における主
走査方向Sの寸法Lsを、主走査方向Sにおける相隣る
発熱体部間ピッチPs(上記実施例の場合63.5μ
m)の95%以下とし、かつ、発熱体部33における副
走査方向Fの寸法Lfを、相隣る発熱体部間ピッチPs
の95%以下とすれば、感熱性孔版マスタ61の穿孔パ
ターンの穿孔の微細化及び独立穿孔化が、より効果的に
可能となる。さらに特に好ましくは、発熱体部33にお
ける主走査方向Sの寸法Lsを、主走査方向Sにおける
相隣る発熱体部間ピッチPsの30〜95%の範囲と
し、かつ、発熱体部33における副走査方向Fの寸法L
fを、相隣る発熱体部間ピッチPsの30〜95%の範
囲とすれば、感熱性孔版マスタ61の穿孔パターンの穿
孔の微細化及び独立穿孔化が、より一層効果的に可能と
なる。この場合において、発熱体部33における主走査
方向S(副走査方向F)の寸法Ls(Lf)が、主走査
方向S(副走査方向F)における相隣る発熱体部間ピッ
チPsの30%未満であるときは穿孔した穿孔hの大き
さが小さすぎて印刷画像としてのベタ埋まりが悪化する
という点から、また発熱体部33における主走査方向S
(副走査方向F)の寸法Ls(Lf)が、相隣る発熱体
部間ピッチPsの95%を超えるときは、逆に穿孔した
穿孔hの大きさが大きすぎて最悪独立した穿孔hが得ら
れなくなり、インキの印刷用紙への転移量増大で裏移り
が悪化するという点から好ましくない(請求項20記載
の発明)。
【0202】以上述べたように、実施例6によれば、実
施例1の利点、すなわちインキの温度及び/又はサーマ
ルヘッドの温度に応じた穿孔用エネルギーを加えること
により、副走査方向Fの穿孔径のみならず、主走査方向
Sの穿孔径についても最適な大きさの穿孔hが得ること
ができるようになると共に、サーマルヘッドへの印加エ
ネルギーを可変することで、副走査方向Fのみならず、
主走査方向Sでの穿孔径をより確実にコントロールする
ことがより一層効果的に可能となる。また、サーマルヘ
ッド30Xの発熱体部寸法をあまり小さくすることな
く、使用するサーマルヘッド30Xの発熱体部33の高
寿命化を成し遂げることができ、溶融穿孔・製版された
感熱性孔版マスタ61の穿孔hが微細で独立したものが
得られ、主走査方向S及び副走査方向Fの解像度に応じ
た好適な穿孔画像を形成し、如何なる原稿画像に対して
も忠実な印刷画像を形成することができ、かつ同時に印
刷用紙の裏面に発生する裏移り現象を防止することがで
きて、なおかつ製版時間の高速化(印字周期:例えば
2.5ms/line以下)においても、上記各効果が
得られる。
【0203】実施例7によれば、実施例6における各効
果よりもさらに大きい効果が得られる。
【0204】また、実施例6及び実施例7によれば、実
質的に熱可塑性樹脂フィルムのみから成る感熱性孔版マ
スタを用いることで、印刷画像の高画質化を図ることが
できると共に、この感熱性孔版マスタを使用する際の特
有の問題点である耐刷性の確保を図ることができる。
【0205】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、主走査方向における相隣る発熱体部間に放
熱部を有することにより、主走査方向に隣接する発熱体
部同士の熱干渉が抑制されることで、感熱性孔版マスタ
における主走査方向における穿孔の急激な広がりが抑制
されると共に、最適な大きさの穿孔が容易に形成できる
こととなり、裏移りも少なく、原稿に忠実な印刷画像を
得ることができる。
【0206】請求項2記載の発明によれば、主走査方向
における相隣る発熱体部間に、電極層の高さと略同等の
高さの放熱部を有するので、主走査方向に相隣る発熱体
部同士からそれぞれ発生するジュール熱が、上記放熱部
に放熱されることにより上記ジュール熱同士による熱干
渉が抑制されると共に、感熱性孔版マスタにおける主走
査方向への穿孔の急激な広がりは、電極層の高さと略同
等の高さの放熱部にその溶融穿孔部分がぶつかることに
より、確実に抑制されるので、請求項1記載の発明の効
果がより一層精度高く確実に得られる。
【0207】請求項3記載の発明によれば、放熱部が、
電極層の一部をなし、主走査方向と直交する副走査方向
に延出して形成されていることにより、その放熱部を容
易に形成することができるので、信頼性があり、かつ、
コスト的に有利である。
【0208】請求項4乃至21記載の発明によれば、さ
らに印刷用紙への裏移りの発生を効果的に防止すること
ができる。
【0209】請求項22記載の発明によれば、さらに繊
維目のない良質な印刷画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例が適用された感熱孔版印刷装
置を示す構成図である。
【図2】実施例1におけるサーマルヘッドの発熱体部廻
りの構成を示す図であって、図2(a)は発熱体部の平
面図、図2(b)は図2(a)のSecb−Secbに
おける断面図、図2(c)は図2(a)のSecc−S
eccにおける断面図である。
【図3】実施例1における発熱体部の温度分布曲線及び
或る製版条件で製版したときの穿孔状態を示す図であ
る。
【図4】サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿
孔用エネルギーとこれに対応して形成される主走査方向
及び副走査方向の穿孔の大きさとの関係を表わす線図で
ある。
【図5】実施例2の作用を示す図である。
【図6】実施例2の制御構成を示すブロック図である。
【図7】サーマルヘッドの温度を検出するサーミスタの
配置箇所を示す側面図である。
【図8】実施例3の制御構成を示すブロック図である。
【図9】実施例3の動作を説明するためのフローチャー
トである。
【図10】実施例3の印刷濃度設定キーの構成を示す平
面図である。
【図11】実施例3におけるサーマルヘッドに通電する
ための通電パルス幅決定方法を説明する図である。
【図12】実施例4における作用を説明するための図で
あって、印刷ドラム内のインキの種類をパラメータとし
た、インキの流動性とインキ温度とに関する特性線図で
ある。
【図13】実施例4における作用を説明するための図で
あって、図13(a)は印刷ドラム内のインキの種類を
パラメータとした、サーマルヘッド通電パルス幅とイン
キの温度とに関する特性線図であり、図13(b),
(c)は通電パルス幅の長短に基づく感熱性孔版マスタ
の穿孔状態をそれぞれ説明する平面図である。
【図14】実施例4の制御構成を示すブロック図であ
る。
【図15】実施例4の印刷ドラム内インキ種類検出手段
の一例を示す構成図である。
【図16】実施例4におけるサーマルヘッドに印加する
通電パルス幅を決定するためのフローチャートである。
【図17】実施例4における、サーマルヘッド温度及び
インキ温度の或温度A℃及びB℃(A℃<B℃)におい
て、サーマルヘッドに印加する通電パルス幅の設定方法
を説明するための図である。
【図18】実施例5の制御構成を示すブロック図であ
る。
【図19】実施例5の感熱孔版印刷装置に配設された操
作パネルの構成を示す平面図である。
【図20】サーマルヘッドのグレーズ層周辺の断面構造
を誇張して示すものであって、図20(a)は全面グレ
ーズ型、図20(b)は部分グレーズ型の断面図であ
る。
【図21】実施例6の制御構成を示すブロック図であ
る。
【図22】図22(a)はサーマルヘッドのグレーズ層
の厚さをパラメータとした、サーマルヘッドのピーク温
度と印加パルス数とに関する特性線図、図22(b)は
サーマルヘッドのグレーズ層の厚さをパラメータとし
た、サーマルヘッドのピーク温度と印字周期とに関する
特性線図である。
【図23】図23(a)はサーマルヘッドの発熱体部周
辺の平面図、図23(b)はサーマルヘッドのグレーズ
層の厚さをパラメータとした、サーマルヘッドの主走査
方向における発熱体部の表面温度分布を、図23(c)
はサーマルヘッドのグレーズ層の厚さをパラメータとし
た、サーマルヘッドの副走査方向における発熱体部の表
面温度分布をそれぞれ示す特性線図であり、図23
(d)は図23(b)の特性線図におけるZ℃に対応し
て感熱性孔版マスタに形成される穿孔の状態を示す平面
図である。
【図24】図24(a1),(b1)はサーマルヘッド
のグレーズ層の大小を説明する発熱体部周辺の平面図、
図24(a2),(b2)は図24(a1),(b1)
において最初のパルス及び200パルス印加後の、サー
マルヘッドの主走査方向における発熱体部の表面温度分
布を表わす特性線図、図24(a3),(b3)は図2
4(a2),(b2)における特性線図のC点に対応し
て感熱性孔版マスタにそれぞれ形成される、最初のパル
ス及び200パルス印加後の穿孔の状態を示す平面図で
ある。
【図25】図25(a1),(a2)はサーマルヘッド
温度の相違に基づく発熱体部のピーク温度の推移を表わ
す特性線図、図25(b1),(b2),(b3)は図
25(a1),(a2)において感熱性孔版マスタにそ
れぞれ形成される穿孔の状態を示す平面図である。
【図26】図26(a)は熱履歴制御の有無における作
用を説明する線図、図26(b1),(b2)は熱履歴
制御の有無において感熱性孔版マスタにそれぞれ形成さ
れる穿孔の状態を示す平面図である。
【図27】従来のサーマルヘッドの発熱体部の形状を示
す図であって、図27(a)は平面図、図27(b)は
断面図である。
【図28】従来のサーマルヘッドにおける発熱体部廻り
の構成を示す図であって、図28(a)は発熱体部の平
面図、図28(b)は図28(a)のSecb−Sec
bにおける断面図、図28(c)は図28(a)のSe
cc−Seccにおける断面図である。
【図29】従来の技術例における発熱体部の温度分布曲
線及び或る製版条件で製版したときの穿孔状態を示す図
である。
【図30】従来の技術例におけるサーマルヘッドの個々
の発熱体部に供給する穿孔用エネルギーとこれに対応し
て形成される主走査方向及び副走査方向の穿孔の大きさ
との関係を表わす線図である。
【符号の説明】
1 印刷濃度設定手段としての印刷濃度設定キー 20 印刷ドラム内インキ種類検出手段を構成する
ホール素子センサ群 30,30X サーマルヘッド 33,33a,33b,33c 発熱体部 34,34a,34b,34c 電極層 38a,38b,38c,38d 放熱部 41 印刷ドラム内インキ種類設定手段としてのイ
ンキ種類設定キー 61 感熱性孔版マスタ 101 印刷ドラム 107 インキ溜り 140,141,142 ドラムユニット 200 インキ温度検出手段として
のサーミスタ 201 サーマルヘッド温度検出手
段としてのサーミスタ 301,302,303,305 穿孔エネルギー調
整手段としてのマイクロプロセッサ 303’ エネルギー調整手
段を具備したマイクロプロセッサ Ak,Bk,Ck 印刷ドラムの内のインキの
種類 F 副走査方向 h38 放熱部の高さ S 主走査方向
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例が適用された感熱孔版印刷装
置を示す構成図である。
【図2】実施例1におけるサーマルヘッドの発熱体部廻
りの構成を示す図であって、図2(a)は発熱体部の平
面図、図2(b)は図2(a)のSecb−Secbに
おける断面図、図2(c)は図2(a)のSecc−S
eccにおける断面図である。
【図3】実施例1における発熱体部の温度分布曲線及び
或る製版条件で製版したときの穿孔状態を示す図であ
る。
【図4】サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿
孔用エネルギーとこれに対応して形成される主走査方向
及び副走査方向の穿孔の大きさとの関係を表わす線図で
ある。
【図5】実施例2の作用を示す図である。
【図6】実施例2の制御構成を示すブロック図である。
【図7】サーマルヘッドの温度を検出するサーミスタの
配置箇所を示す側面図である。
【図8】実施例3の制御構成を示すブロック図である。
【図9】実施例3の動作を説明するためのフローチャー
トである。
【図10】実施例3の印刷濃度設定キーの構成を示す平
面図である。
【図11】実施例3におけるサーマルヘッドに通電する
ための通電パルス幅決定方法を説明する図である。
【図12】実施例4における作用を説明するための図で
あって、印刷ドラム内のインキの種類をパラメータとし
た、インキの流動性とインキ温度とに関する特性線図で
ある。
【図13】実施例4における作用を説明するための図で
あって、図13(a)は印刷ドラム内のインキの種類を
パラメータとした、サーマルヘッド通電パルス幅とイン
キの温度とに関する特性線図であり、図13(b),
(c)は通電パルス幅の長短に基づく感熱性孔版マスタ
の穿孔状態をそれぞれ説明する平面図である。
【図14】実施例4の制御構成を示すブロック図であ
る。
【図15】実施例4の印刷ドラム内インキ種類検出手段
の一例を示す構成図である。
【図16】実施例4におけるサーマルヘッドに印加する
通電パルス幅を決定するためのフローチャートである。
【図17】実施例4における、サーマルヘッド温度及び
インキ温度の或温度A℃及びB℃(A℃<B℃)におい
て、サーマルヘッドに印加する通電パルス幅の設定方法
を説明するための図である。
【図18】実施例5の制御構成を示すブロック図であ
る。
【図19】実施例5の感熱孔版印刷装置に配設された操
作パネルの構成を示す平面図である。
【図20】サーマルヘッドのグレーズ層周辺の断面構造
を誇張して示すものであって、図20(a)は全面グレ
ーズ型、図20(b)は部分グレーズ型の断面図であ
る。
【図21】実施例6の制御構成を示すブロック図であ
る。
【図22】図22(a)はサーマルヘッドのグレーズ層
の厚さをパラメータとした、サーマルヘッドのピーク温
度と印加パルス数とに関する特性線図、図22(b)は
サーマルヘッドのグレーズ層の厚さをパラメータとし
た、サーマルヘッドのピーク温度と印字周期とに関する
特性線図である。
【図23】図23(a)はサーマルヘッドの発熱体部周
辺の平面図、図23(b)はサーマルヘッドのグレーズ
層の厚さをパラメータとした、サーマルヘッドの主走査
方向における発熱体部の表面温度分布を、図23(c)
はサーマルヘッドのグレーズ層の厚さをパラメータとし
た、サーマルヘッドの副走査方向における発熱体部の表
面温度分布をそれぞれ示す特性線図であり、図23
(d)は図23(b)の特性線図におけるZ℃に対応し
て感熱性孔版マスタに形成される穿孔の状態を示す平面
図である。
【図24】サーマルヘッドにおける発熱体部周辺のグレ
ーズ層の大小を説明する図であって、最初のパルス及び
200パルス印加後におけるサーマルヘッドの主走査方
向の発熱体部の表面温度分布を表わす特性線図、及び前
記状態における特性線図のC点に対応して感熱性孔版マ
スタにそれぞれ形成される穿孔の状態を示す。
【図25】図25(a1),(a2)はサーマルヘッド
温度の相違に基づく発熱体部のピーク温度の推移を表わ
す特性線図、図25(b1),(b2),(b3)は図
25(a1),(a2)において感熱性孔版マスタにそ
れぞれ形成される穿孔の状態を示す平面図である。
【図26】図26(a)は熱履歴制御の有無における作
用を説明する線図、図26(b1),(b2)は熱履歴
制御の有無において感熱性孔版マスタにそれぞれ形成さ
れる穿孔の状態を示す平面図である。
【図27】従来のサーマルヘッドの発熱体部の形状を示
す図であって、図27(a)は平面図、図27(b)は
断面図である。
【図28】従来のサーマルヘッドにおける発熱体部廻り
の構成を示す図であって、図28(a)は発熱体部の平
面図、図28(b)は図28(a)のSecb−Sec
bにおける断面図、図28(c)は図28(a)のSe
cc−Seccにおける断面図である。
【図29】従来の技術例における発熱体部の温度分布曲
線及び或る製版条件で製版したときの穿孔状態を示す図
である。
【図30】従来の技術例におけるサーマルヘッドの個々
の発熱体部に供給する穿孔用エネルギーとこれに対応し
て形成される主走査方向及び副走査方向の穿孔の大きさ
との関係を表わす線図である。
【符号の説明】 1 印刷濃度設定手段としての印刷濃度設定キー 20 印刷ドラム内インキ種類検出手段を構成する
ホール素子センサ群 30,30X サーマルヘッド 33,33a,33b,33c 発熱体部 34,34a,34b,34c 電極層 38a,38b,38c,38d 放熱部 41 印刷ドラム内インキ種類設定手段としてのイ
ンキ種類設定キー 61 感熱性孔版マスタ 101 印刷ドラム 107 インキ溜り 140,141,142 ドラムユニット 200 インキ温度検出手段として
のサーミスタ 201 サーマルヘッド温度検出手
段としてのサーミスタ 301,302,303,305 穿孔エネルギー調
整手段としてのマイクロプロセッサ 303’ エネルギー調整手
段を具備したマイクロプロセッサ Ak,Bk,Ck 印刷ドラムの内のインキの
種類 F 副走査方向 h38 放熱部の高さ S 主走査方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41L 13/18 M

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主走査方向に配列された複数の発熱体部を
    具備したサーマルヘッドに対して、少なくとも熱可塑性
    樹脂フィルムを有する感熱性孔版マスタを接触させ、画
    像信号に応じて上記サーマルヘッドの微小な発熱体部を
    発熱させて上記熱可塑性樹脂フィルムを位置選択的に溶
    融穿孔して上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、こ
    の感熱性孔版マスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上
    記印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パ
    ターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応
    じたインキ画像を印刷用紙上に形成する感熱孔版印刷装
    置において、 主走査方向における相隣る上記発熱体部間に放熱部を設
    けたことを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記発熱体部に電流を供給するための電極層が設けられ
    ており、上記放熱部の高さが、上記電極層の高さと略同
    等であることを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記放熱部が、上記電極層の一部をなし、主走査方向と
    直交する副走査方向に延出して形成されていることを特
    徴とする感熱孔版印刷装置。
  4. 【請求項4】請求項1,2又は3記載の感熱孔版印刷装
    置において、 上記インキの温度を検出するインキ温度検出手段と、 上記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿孔用
    エネルギーを、上記インキ温度検出手段で検出されたイ
    ンキ温度に応じて所定のエネルギーに調整する穿孔エネ
    ルギー調整手段と、 を有することを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  5. 【請求項5】請求項1,2又は3記載の感熱孔版印刷装
    置において、 上記サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温
    度検出手段と、 上記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿孔用
    エネルギーを、上記サーマルヘッド温度検出手段で検出
    されたサーマルヘッド温度に応じて所定のエネルギーに
    調整する穿孔エネルギー調整手段と、 を有することを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  6. 【請求項6】請求項4記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温
    度検出手段を有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記インキ温度検出手
    段で検出されたインキ温度と上記サーマルヘッド温度検
    出手段で検出されたサーマルヘッド温度とに応じて上記
    穿孔用エネルギーの調整を行うことを特徴とする感熱孔
    版印刷装置。
  7. 【請求項7】請求項1,2又は3記載の感熱孔版印刷装
    置において、 上記インキ画像の印刷濃度を設定するための印刷濃度設
    定手段と、 上記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿孔用
    エネルギーを、上記印刷濃度設定手段で設定された印刷
    濃度に応じて所定のエネルギーに調整する穿孔エネルギ
    ー調整手段とを有し、 上記印刷濃度が可変であることを特徴とする感熱孔版印
    刷装置。
  8. 【請求項8】請求項4記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記インキ画像の印刷濃度を設定するための印刷濃度設
    定手段を有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記印刷濃度設定手段
    により設定された印刷濃度と上記インキ温度検出手段で
    検出されたインキ温度とに応じて上記穿孔用エネルギー
    の調整を行い、上記印刷濃度が可変であることを特徴と
    する感熱孔版印刷装置。
  9. 【請求項9】請求項5記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記インキ画像の印刷濃度を設定するための印刷濃度設
    定手段を有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記印刷濃度設定手段
    により設定された印刷濃度と上記サーマルヘッド温度検
    出手段で検出されたサーマルヘッド温度とに応じて上記
    穿孔用エネルギーの調整を行い、上記印刷濃度が可変で
    あることを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  10. 【請求項10】請求項4記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温
    度検出手段と、 上記インキ画像の印刷濃度を設定するための印刷濃度設
    定手段とを有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記印刷濃度設定手段
    により設定された印刷濃度と上記インキ温度検出手段で
    検出されたインキ温度と上記サーマルヘッド温度検出手
    段で検出されたサーマルヘッド温度とに応じて上記穿孔
    用エネルギーの調整を行い、上記印刷濃度が可変である
    ことを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  11. 【請求項11】請求項1,2又は3記載の感熱孔版印刷
    装置において、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を検出する印刷ドラ
    ム内インキ種類検出手段と、 上記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿孔用
    エネルギーを、上記印刷ドラム内インキ種類検出手段で
    検出された印刷ドラム内インキ種類に応じて所定のエネ
    ルギーに調整する穿孔エネルギー調整手段と、 を有することを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  12. 【請求項12】請求項4記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を検出する印刷ドラ
    ム内インキ種類検出手段を有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記インキ温度検出手
    段で検出されたインキ温度と上記印刷ドラム内インキ種
    類検出手段で検出された印刷ドラム内インキ種類とに応
    じて上記穿孔用エネルギーの調整を行うことを特徴とす
    る感熱孔版印刷装置。
  13. 【請求項13】請求項5記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を検出する印刷ドラ
    ム内インキ種類検出手段を有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記サーマルヘッド温
    度検出手段で検出されたサーマルヘッド温度と上記印刷
    ドラム内インキ種類検出手段で検出された印刷ドラム内
    インキ種類とに応じて上記穿孔用エネルギーの調整を行
    うことを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  14. 【請求項14】請求項4記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を検出する印刷ドラ
    ム内インキ種類検出手段と、 上記サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温
    度検出手段とを有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記インキ温度検出手
    段で検出されたインキ温度と上記サーマルヘッド温度検
    出手段で検出されたサーマルヘッド温度と上記印刷ドラ
    ム内インキ種類検出手段で検出された印刷ドラム内イン
    キ種類とに応じて上記穿孔用エネルギーの調整を行うこ
    とを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  15. 【請求項15】請求項1,2又は3記載の感熱孔版印刷
    装置において、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を設定する印刷ドラ
    ム内インキ種類設定手段と、 上記サーマルヘッドの個々の発熱体部に供給する穿孔用
    エネルギーを、上記印刷ドラム内インキ種類設定手段で
    設定された印刷ドラム内インキ種類に応じて所定のエネ
    ルギーに調整する穿孔エネルギー調整手段と、 を有することを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  16. 【請求項16】請求項4記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を設定する印刷ドラ
    ム内インキ種類設定手段を有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記インキ温度検出手
    段で検出されたインキ温度と上記印刷ドラム内インキ種
    類設定手段で設定された印刷ドラム内インキ種類とに応
    じて上記穿孔エネルギーの調整を行うことを特徴とする
    感熱孔版印刷装置。
  17. 【請求項17】請求項5記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を設定する印刷ドラ
    ム内インキ種類設定手段を有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記サーマルヘッド温
    度検出手段で検出されたサーマルヘッド温度と上記印刷
    ドラム内インキ種類設定手段で設定された印刷ドラム内
    インキ種類とに応じて上記穿孔用エネルギーの調整を行
    うことを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  18. 【請求項18】請求項4記載の感熱孔版印刷装置におい
    て、 上記印刷ドラムの内のインキの種類を設定する印刷ドラ
    ム内インキ種類設定手段と、 上記サーマルヘッドの温度を検出するサーマルヘッド温
    度検出手段とを有し、 上記穿孔エネルギー調整手段は、上記インキ温度検出手
    段で検出されたインキ温度と上記サーマルヘッド温度検
    出手段で検出されたサーマルヘッド温度と上記印刷ドラ
    ム内インキ種類設定手段で設定された印刷ドラム内イン
    キ種類とに応じて上記穿孔用エネルギーの調整を行うこ
    とを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  19. 【請求項19】請求項1乃至18の何れか1つに記載の
    感熱孔版印刷装置において、 上記サーマルヘッドにはグレーズ層が設けられており、 上記グレーズ層の厚さが、60μm以下であることを特
    徴とする感熱孔版印刷装置。
  20. 【請求項20】請求項19記載の感熱孔版印刷装置にお
    いて、 上記発熱体部における主走査方向の寸法が、主走査方向
    における相隣る上記発熱体部間ピッチの30〜95%の
    範囲にあり、かつ、上記発熱体部における副走査方向の
    寸法が、相隣る上記発熱体部間ピッチの30〜95%の
    範囲にあることを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  21. 【請求項21】請求項19又は20記載の感熱孔版印刷
    装置において、 上記サーマルヘッドの個々の発熱体部を熱履歴制御する
    ための熱履歴制御手段と、 上記熱履歴制御手段により上記サーマルヘッドの個々の
    発熱体部が熱履歴制御を伴って駆動されるとき、熱履歴
    制御用の少なくとも第2パルスが、第1パルスの40〜
    95%の印加エネルギーを持って上記サーマルヘッドの
    個々の発熱体部に供給されるように、上記サーマルヘッ
    ドの個々の発熱体部を制御するエネルギー調整手段と、 を有することを特徴とする感熱孔版印刷装置。
  22. 【請求項22】請求項1乃至21の何れか1つに記載の
    感熱孔版印刷装置において、 上記感熱性孔版マスタが、実質的に熱可塑性樹脂フィル
    ムのみから成ることを特徴とする感熱孔版印刷装置。
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