JP3958535B2 - 製版方法および装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドを用いて感熱孔版原紙に穿孔を形成して製版を行なう方法および装置に関し、より詳細には、穿孔品質の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、孔版印刷に用いられる製版装置としては、多数の発熱素子が配列されてなるサーマルヘッドと感熱孔版原紙(以下単に孔版原紙ともいう)の熱可塑性樹脂フィルム(以下単にフィルムともいう)側とを圧接させた状態で、各発熱素子に画像情報に基づいて穿孔用電力を供給して該発熱素子を発熱駆動するとともに、前記発熱素子の配列方向を主走査方向とし該主走査方向と直交する副走査方向にサーマルヘッドと孔版原紙とを相対移動させて1枚分の画像情報を担持する穿孔を孔版原紙に形成するものが知られている。
【0003】
このような製版装置において1画素分を穿孔する際には、サーマルヘッドを構成する全発熱素子の平均抵抗値と目標パワーとから算出した一定の印加電圧を一定時間に亘って連続的に発熱素子に印加するのが一般的であり、この際目標パワーとなるように電源供給回路から出力される印加電圧を設定しているのが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、予め定めた目標パワーとなるように印加電圧を設定しても、穿孔される孔版原紙の表面に凹凸があるなど表面状態が悪化・変質していると穿孔径がバラ付いて穿孔性能が低下し、結果として印刷物に白点などの画像不良が発生する。
【0005】
また、孔版原紙はフィルムと支持体(主に和紙)を接着剤で張り付けて製造しているが、前記接着剤の塗布量が多すぎる場合や塗布量にバラ付きがある場合にも穿孔径がバラ付いて穿孔性能が低下する。
【0006】
つまり、予め定めた目標パワーとなるように印加電圧を設定しても、孔版原紙の表面の凹凸すなわち表面状態の品質(フィルム表面の平滑性)や前記接着剤の塗布量など、孔版原紙の品質を左右する要因に応じて穿孔径がバラ付いてしまうという問題がある。
【0007】
さらに、目標パワーが一定すなわち総発熱エネルギ量が一定の場合であっても、孔版原紙の品質状態それぞれにおいては穿孔径にバラ付きがないものの低品質時と高品質時とでは穿孔径に差が生じ、結果として、印字性能に差が生じるという場合もある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、孔版原紙の品質に拘わらず、ほぼ同等の品質で穿孔を施すことができる製版方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明者の調査によれば、穿孔用電力と該穿孔用電力の供給時間との積である総発熱エネルギ量が略同じでも、製版速度を高速にするすなわち各主走査ごとに1画素分の穿孔に際して各発熱素子への穿孔用電力の供給時間を短くすると穿孔径にバラ付きが生じ易くなる一方、逆に製版速度を低速にするすなわち前記穿孔用電力の供給時間を長くすると穿孔径のバラ付きが生じ難くなる、換言すれば製版速度を低速にすればするほど穿孔S/N比を向上させることができ、凹凸があるなど低品質の孔版原紙であっても、製版速度を低速にして前記穿孔用電力の供給時間を長くするとほぼ一定の穿孔径を形成することができるということが判った。本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち本発明の製版方法は、それぞれが画素に対応する多数の発熱素子が主走査方向に配列されてなるサーマルヘッドの各発熱素子に各主走査ごとに穿孔用電力を所定時間だけ供給し、孔版原紙をサーマルヘッドに圧接させた状態で孔版原紙を主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させることにより孔版原紙に穿孔を施して製版を行なう製版方法において、
孔版原紙の品質に応じて、穿孔用電力の大きさおよび該穿孔用電力の供給時間のうちの少なくとも一方を調整することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の製版方法においては、孔版原紙の表面状態の品質に応じて前記調整を行なう、あるいは穿孔品質が均質化される方向に前記調整を行なうことが望ましい。
【0012】
「孔版原紙の表面状態の品質に応じて」とあるが、孔版原紙の表面状態の品質に関する情報は、例えばユーザが孔版原紙のフィルム側表面を目視で判断したり所定の検査器を用いて品質検査を行なうなどして取得してもよいし、試し刷りなどを行なった印刷結果から間接的に孔版原紙の表面状態の品質を判断することにより取得してもよい。
【0013】
あるいは、孔版原紙の表面状態の品質すなわちフィルム側表面の平滑性(凹凸具合)をフォトセンサなどを用いて光学的に検知して取得してもよい。
【0014】
また、孔版原紙の光透過率をフォトセンサなどを用いて検知すれば、接着剤の塗布量の多少など「表面状態の品質」以外の孔版原紙の品質についても光学的に検知することができる。
【0015】
なお、穿孔品質が均質化される方向に前記調整を行なうに際しては、穿孔用電力の大きさおよび該穿孔用電力の供給時間の両方を調整した方が好ましい。これは、製版時間に拘わらず穿孔用電力の大きさと該穿孔用電力の供給時間との積である総発熱エネルギ量を略一定とすることにより、製版速度に拘わらず同じ穿孔径を形成することができるようにするためである。
【0016】
なお、孔版原紙の品質が低い場合の方が穿孔用電力を小さくして供給時間を長くすることにより穿孔品質を向上させる低速製版の効果が大きく、品質が高い孔版原紙を使用する場合には、低速製版とすることのメリットは少なく、逆に製版により多くの時間を費やすことのデメリットの方が大きくなり、また品質の高い孔版原紙であれば高速製版を行なってもある程度の製版品質を維持できるので、低品質時にのみ低速製版とし、高品質時には高速製版を行なった方が好ましい。
【0017】
したがって、本発明の製版方法においては、孔版原紙の表面状態の品質が低いときには高いときに比して穿孔用電力を小さくするとともに供給時間を長くし、孔版原紙の表面状態の品質が高いときには低いときに比して穿孔用電力を大きくするとともに供給時間を短くすることが望ましい。
【0018】
なお、穿孔用電力の供給時間の調整に拘わらず穿孔径の真円度を維持するために、穿孔用電力の供給時間を長くするときには孔版原紙の副走査方向の搬送速度を小さくし、逆に供給時間を短くするときには前記搬送速度を大きくするなど、穿孔用電力の供給時間に応じて孔版原紙の搬送速度を調整することが望ましい。
【0019】
一方、総発熱エネルギ量が一定の場合であって、孔版原紙が低品質のときには高品質のときに比して穿孔径が小さくなり孔版原紙が高品質のときには低品質のときに比して穿孔径が大きくなる、つまり品質状態それぞれにおいては穿孔径にバラ付きがないものの低品質時と高品質時とでは穿孔径に差が生じ、結果として、印字性能に差が生じるという場合もある。このような場合には、穿孔用電力の大きさおよび該穿孔用電力の少なくとも一方を調整して、孔版原紙が低品質のときには総発熱エネルギ量を大きくして穿孔径がより大きくなるようにし、孔版原紙が高品質のときには総発熱エネルギ量を小さくして穿孔径がより小さくなるようにしてもよい。
【0020】
さらに、孔版原紙の品質が低いときは高いときに比して、副走査方向のライン周期を長くしてもよい。
【0021】
本発明の製版装置は上記製版方法を実施する装置、すなわち、それぞれが画素に対応する多数の発熱素子が主走査方向に配列されてなるサーマルヘッドと、各主走査ごとに穿孔用電力を所定時間だけ各発熱素子に供給するエネルギ供給手段と、孔版原紙をサーマルヘッドに圧接させた状態で孔版原紙を主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させる副走査手段とを備え、孔版原紙に穿孔を施して製版を行なう製版装置において、
前記孔版原紙の品質に応じて、穿孔用電力の大きさおよび該穿孔用電力の供給時間のうちの少なくとも一方を調整する調整手段を備えたことを特徴とするものである。
【0022】
本発明の製版装置においては、調整手段を、孔版原紙の表面状態の品質に応じて前記調整を行なうものとすることが望ましい。
【0023】
また本発明の製版装置においては、調整手段を、穿孔品質が均質化される方向に前記調整を行なうものとすることが望ましい。
【0024】
また本発明の製版装置においては、調整手段を、孔版原紙の品質が低いときには高いときに比して穿孔用電力を小さくするとともに供給時間を長くし、孔版原紙の品質が高いときには低いときに比して穿孔用電力を大きくするとともに供給時間を短くするものとすることが望ましい。
【0025】
なお、孔版原紙の品質に関する情報を取得するための手段は、ユーザによる孔版原紙の品質の判断結果を入力するものであってもよいし、孔版原紙の品質(例えば表面の凹凸具合や接着剤の塗布量)を自動的に検出するものであってもよい。後者の場合、孔版原紙の品質に関する情報を光学的に自動検出する検出手段を有するものとすることが望ましい。
【0026】
さらに、上記調整手段は、孔版原紙の品質が低いときは高いときに比して、副走査方向のライン周期を長くするものであってもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明の製版方法および装置によれば、孔版原紙の表面の凹凸や接着剤の塗布量などの孔版原紙の品質に応じて穿孔用電力の大きさおよび該穿孔用電力の供給時間のうちの少なくとも一方を調整するようにしたので、孔版原紙の品質に影響されることなく穿孔径を略一定にして穿孔不良の発生を抑えた製版を行なうことができる。すなわち常に高い穿孔品質を確保することができ、印刷物に白点などの画像不良を生じる虞れがなくなる。
【0028】
また、孔版原紙の品質が低いときには高いときに比して穿孔用電力を小さくして供給時間を長くし、逆に高いときには低いときに比して穿孔用電力を大きくして供給時間を短くするようにすれば、孔版原紙の品質が低いときには低速製版として所定の穿孔品質を維持する効果を享受する一方、品質が高いときには所定の穿孔品質を維持しつつ高速製版を行なうことができ、いずれの品質でもバラ付きのない略均一な穿孔径にすることができ、表面状態が高品質時に穿孔時間がかかるという問題も生じない、実用的な製版方法および装置とすることができる。
【0029】
また、孔版原紙の品質が低いときは高いときに比して、副走査方向のライン周期を長くするようにすれば、各ラインの穿孔を行う間に、サーマルヘッドの放熱時間を十分に確保することができ、穿孔の品質が向上する。
【0030】
また、孔版原紙の品質に関する情報を光学的に自動検出するようにすれば、ユーザの手を煩わせることなく、本発明を実施することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の製版装置の一実施形態を適用した孔版印刷装置の側断面図、図2はこの孔版印刷装置の上面に設けられた操作パネルの概要を示した平面図である。
【0032】
この孔版印刷装置は、製版用の出力ヘッドとしてサーマルヘッド21を使用しており、製版読取部10、本発明の製版装置としての製版書込部20、カッタ部30、および印刷部40から構成されている。
【0033】
製版読取部10は、被複写物である原稿13をセットする原稿セット台12と、原稿セット台12上にセットされた原稿13を検知する原稿センサ17と、原稿センサ17の検知信号を受けた読取モータ18により回転駆動される原稿搬送ローラ対14と、搬送されてきた原稿13の画像を光学的に読み取り電気信号に変換する密着型のラインイメージセンサ11と、該ラインイメージセンサ11で読み取られた原稿13を原稿排紙トレー19に排出するためのステッピングモータなどからなる読取モータ18により回転駆動される原稿排出ローラ対15とから構成されている。なお、原稿搬送ローラ対14の後流部には、搬送されてきた原稿13を検知することで後述する製版書込部20の処理のスタートを決定する原稿INセンサ16が設けられている。
【0034】
製版書込部20は、それぞれが複数の発熱素子21Zを有する4つのヘッドブロック21a〜21dからなるサーマルヘッド21(図3参照)と、孔版原紙ロール22から送り出される孔版原紙(マスタ)23のフィルム面側をサーマルヘッド21に押し当てながら搬送するステッピングモータなどからなる書込モータ25により回転駆動されるプラテンローラ24と、サーマルヘッド21によって製版された孔版原紙23を後述するドラム(版胴)33のクランプ部32に向けて搬送する書込モータ25により回転駆動される原紙搬送ローラ対26とから構成されている。プラテンローラ24、書込モータ25、および原紙搬送ローラ対26により本発明の副走査手段が構成される。
【0035】
製版書込部20の孔版原紙ロール22とプラテンローラ24(サーマルヘッド21)との間には孔版原紙23のフィルム面側の表面状態を光学的に自動検知する原紙情報取得手段としてのマスタ表面センサ300が設けられている。
【0036】
カッタ部30は、サーマルヘッド21によって製版された孔版原紙23がドラム33に巻装された所定量の長さになったときに、その孔版原紙23を切断するカッタ31を備えている。
【0037】
印刷部40は、ドクタローラ46とスキージローラ47間に形成されたインキ溜り48により一定量のインキをその内面に供給するインキ供給部を内蔵するドラム33と、給紙台44上に積載された印刷用紙積層体から1枚づつ印刷用紙43をピックアップして搬送するピックアップローラ46と、ピックアップローラ46から搬送されてきた印刷用紙43を所定のタイミングで送り出すタイミングローラ42と、タイミングローラ42より搬送路41に送り出されてきた印刷用紙43をドラム33の外周面に押し付けるプレスローラ35と、印刷された印刷用紙43をドラム33より剥ぎ取るための分離爪39と、ドラム33より剥ぎ取られた印刷用紙43を排紙積載する排紙台49とから構成されている。
【0038】
ドラム33の外周面にはサーマルヘッド21により製版され搬送されてきた孔版原紙23の先端部をクランプするクランプ部32が設けられており、クランプ終了後に製版済の孔版原紙は23はドラム33をメインモータ34により回転させることによりその外周面に巻装される。
【0039】
なお、この孔版印刷装置の上面には、図2に示すように、LCDなどからなる表示パネル401と操作キー群402とを有する操作パネル400が設けられており、ユーザが表示パネル401の画面に表示される種々の情報を参照しながら操作キー群302のいずれかのキーを操作できるように構成されている。
【0040】
操作キー群402は、製版スタートキー、印刷スタートキー、印刷モード設定キー、印刷枚数を入力するためなどに用いられるテンキー402a、リセットキー、ジョブ緊急停止キーなど、通常の孔版印刷装置に設けられている操作キーを備えている。
【0041】
図3はサーマルヘッド21の詳細を示す回路図、図4は上記構成による孔版印刷装置の製版書込部20の制御回路系を中心とした概要を示したブロック図、図5はサーマルヘッド21の1ブロック分を発熱駆動するタイミングを示したタイミングチャート、図6はサーマルヘッドの全体(全ブロック)を発熱駆動するタイミングを示したタイミングチャートである。
【0042】
サーマルヘッド21は、図3に示すように、4096個の発熱素子21Zを有しており、消費電力を抑えるために、1024個の発熱素子21Zごとに4つのブロック(21a〜21d)に分割されて、ヘッド制御回路100により各ブロックが時分割に発熱駆動されるようになっている(図3中1〜4096は画素に対応する発熱素子番号)。
【0043】
図4に示すように、サーマルヘッド21を用いて孔版原紙23に製版を行なう制御回路系には、装置全体をコントロールするとともに本発明の調整手段として機能するシステム制御マイコン410が設けられ、該マイコン410には、電源供給回路140、ヘッド制御信号生成回路160、および印字データ生成回路170からなり、本発明のエネルギ供給手段として機能するヘッド制御回路100と、操作パネル400と、製版読取部10と、書込モータ25を回転駆動するモータコントローラ28と、マスタ表面センサ300とが接続されている。システム制御マイコン410からは前記電源供給回路140などを制御するための指令信号C1,…,C6が出力される。
【0044】
原稿13を原稿台12にセットし、その先端を原稿搬送ローラ対14に突き当てると、原稿センサ17が原稿13を検知し製版動作が可能であることが表示パネル401上に表示さる。
【0045】
所定サイズの印刷用紙43が給紙台44にセットされている状態で製版スタートキーを押し下げると、図示しない被複写物サイズ検出手段によって印刷用紙43のサイズが検出されるとともに表示パネル401上にその情報が表示され、原稿搬送ローラ対14が読取モータ18の駆動により回転され原稿送り開始が行なわれる。続いて原稿INセンサ16が原稿13が搬送されてきたことを検知し、次いで所定長さ分だけ原稿13を送ると孔版原紙23がプラテンローラ24の駆動によって搬送され孔版原紙送り開始が行なわれる。
【0046】
この原紙送り開始と同時に、製版読取部10のラインイメージセンサ11により原稿13によって所定サイズの原稿13の画像が光学的に読み取られる。この原稿13を読み取って得た多値データは図示しない画像処理回路に入力され2値データに変換された後ヘッド制御回路100の印字データ生成回路170に入力され、マイコン410の指令に基づいて、サーマルヘッド21の各ブロック21a〜21dに出力されるシリアル形式の印字データ DAT1〜4がサーマルヘッド21に向けて出力される。
【0047】
この画像読取りに並行して、ヘッド制御信号生成回路160においては、マイコン410の指令に基づいて、印字データ DAT1〜4を各発熱素子21Zに出力するためのクロック CLK1〜4、シリアル形式の印字データDAT1〜4 をパラレル信号に変換し保持するためのラッチ信号/LAT1〜4、サーマルヘッド21の各ブロックの各発熱素子21Zに印加される発熱信号(イネーブル信号、ストローブ信号/STB)/ENL1〜4を作成し、サーマルヘッド21にこれら各種制御信号を出力する。
【0048】
サーマルヘッド21には、図3に示すように出力回路72が設けられている。出力回路72は、ヘッド制御回路100から入力された印字データDAT1〜4 、ラッチ信号/LAT 1〜4 、イネーブル信号/ENL1〜4、クロックCLK1〜4 という4つの信号を使用して、サーマルヘッド21の分割された各ブロックそれぞれの発熱素子21Zを時分割に発熱駆動する。
【0049】
すなわち、サーマルヘッド21に入力されたシリアル形式の印字データDAT1〜4 は1024ビットのシリアル入力シフトレジスタ75によりパラレルデータに変換され、所定のタイミングで発せられるラッチ信号/LAT1〜4によりラッチ76に保持される。各発熱素子21Zの一端には電源供給回路140から供給される所定の印加電圧Vhが印加され、入力されたイネーブル信号/ENL1〜4とラッチ76に保持されたデータとの論理積の結果が発熱素子21Zの他端に入力されることによって所望のタイミングで発熱素子21Zが発熱駆動される。
【0050】
以上のようにして、原稿13を読み取って得たデータに基づいて、孔版原紙23への穿孔画像の形成すなわち製版が行なわれ、その後所定のプラテン送り量分が送られると孔版原紙送り停止が行なわれ、その後に原稿13が排出されると原稿送り停止が行なわれ、また製版済みの孔版原紙23は原稿搬送ローラ対26によって一定量搬送され、その一端部がクランプ部32において固定された後、孔版原紙23はドラム33が回転されることによってドラム33外周面に巻装され所定量巻装された後カッタ31で切断される。これによりドラム33の外周面には孔版原紙23が完全に巻装された状態となり、印刷動作待機状態となる。
【0051】
次にテンキー402aにより印刷枚数を入力すると表示パネル401上にそのデータが表示される。この状態で印刷スタートキーが押下げられると印刷用紙43はピックアップローラ46により1枚づつタイミングローラ42へ搬送され、一次待機した後にドラム33の回転のある所定のタイミングでタイミングローラ42が駆動されて搬送路41に送り込まれる。搬送路41に送り込まれた印刷用紙43は、プレスローラ35によりドラム33の外周面に押し当てられ孔版原紙23に形成された穿孔画像を通過たインキが転写されて印刷が行なわれる。印刷が行われた印刷用紙43は、分離爪39によってドラム33の外周面から剥ぎ取られ矢印Z方向に搬送されて排紙台49へ排出される。
【0052】
ここで、本実施形態の発熱駆動に際しては、例えば特開昭 60-161163号や特開平2-8065号などに記載のように、発熱素子21Zの発熱履歴に起因した画質劣化を解消するため、各発熱素子21Zあるいはその周辺部の発熱素子21Zの過去の発熱履歴をRAMなどのラインメモリに記憶し、この発熱履歴に基づいて現ラインの当該発熱素子21Zの適切な印加エネルギを算出して、当該発熱素子21Zの発熱量を制御して画像を均一化する、いわゆる「熱履歴制御」という補正方法を用いるように構成されている。ここでは現ラインの生データと区別して、熱履歴制御用の印字データを特に履歴データといい、生データと履歴データとを纏めて印字データという。
【0053】
この熱履歴制御用の印字データである履歴データの生成方法としては種々の生成方法があるが、例えば前ラインデータを反転したデータと現ラインの生データとの論理積をとることにより得られる。
【0054】
そして図5(A)に示すように、各ライン(主走査)ごとに、先ず生成された履歴データが出力回路72に入力される。出力回路72はヘッド制御信号生成回路160からのラッチ信号などの各種制御信号に基づいて、出力回路72に接続されている発熱素子21Zを各ブロックごと(21a〜21d)に時分割で発熱駆動する。この履歴データに応じた発熱駆動が終了すると、出力回路72には、引き続き印字データ生成回路170から現ラインの生データが入力され、該生データに応じて発熱素子21Zが発熱駆動される。そして、図6に示すように、このような動作が時分割で各ブロックごとに同様に行なわれる。なお、図5(B)に示すように、先に現ラインの生データに基づいて発熱駆動し、その後履歴データに基づいて発熱駆動するようにしてもよい。
【0055】
これにより、現ラインの生データが発熱有りである場合に、主走査方向の画素位置が同位置である前ラインの発熱があった場合には履歴データに基づく発熱駆動が行なわれず、逆に前ラインの発熱が無かった場合には履歴データに基づく発熱駆動が行なわれるので、現ラインの生データに基づく発熱と合わせると、結局前ラインの発熱があった場合には発熱時間が短くなり、逆に前ラインの発熱が無かった場合には発熱時間が長くなる。すなわち、この装置の熱履歴制御としては、1ライン中に出力回路72に履歴データと現ラインの生データを順次転送して、発熱素子21Zを2回とも発熱させれば発熱時間が長くなり、1回だけ発熱させれば発熱時間が短くなるというような制御が行なわれる。なお2回とも発熱駆動しなければ、その部分は非印字画素になる。以下熱履歴制御により2回とも発熱させる時間を長STB、1回だけ発熱させる時間を短STBという。
【0056】
図7は、製版速度と穿孔S/N比との関係を示している。なお穿孔S/N比は、平均開孔面積X、開孔面積標準偏差Yとしたとき、「穿孔S/N比=10log(X2/Y2)で規定することとする。
【0057】
図示するように、発熱素子21Z両端の印加電圧および該発熱素子21Zの抵抗で規定される穿孔用電力と、該穿孔用電力の供給時間との積である総発熱エネルギがほぼ等しいときには、孔版原紙23の品質に拘わらず、製版速度が遅くなるに連れて穿孔S/N比が大きくなることが判った。
【0058】
上記構成の装置においては、このような特性に基づいて、孔版原紙23の表面状態が比較的低品質のときには穿孔用電力換言すれば印加電圧を比較的小さくするとともにこの穿孔用電力(印加電圧)の供給時間を比較的長くし、逆に孔版原紙23の表面状態が比較的高品質のときには穿孔用電力(印加電圧)を比較的大きくするとともにこの穿孔用電力(印加電圧)の供給時間を比較的短くするようにする。以下具体的に説明する。
【0059】
孔版原紙23の表面状態を光学的に自動検知するために、上述のように、製版書込部20の孔版原紙ロール22とプラテンローラ24との間には、発光素子301と受光素子302からなる反射型のホトセンサであるマスタ表面センサ300が設けられている。
【0060】
発光素子301はマイコン410からの指令信号C6により所定の波長の光Lを孔版原紙23に向けて発する。この光Lは孔版原紙23のフィルム面で反射し、受光素子302に入射する。受光素子302に入射する光の強度は、孔版原紙23の表面(フィルム)の平滑性を示す光沢度換言すれば反射率に応じたものとなる。
【0061】
上記孔版印刷装置においては、値段の異なる幾つかの種類の孔版原紙を装着することができるようになっている。ここで、穿孔径のバラ付き原因の1つである原紙表面の凹凸具合(フィルム表面の平滑性)を悪化させる要因を調べたところ以下のことが判った。
【0062】
第1に、孔版原紙はフィルムと和紙などの支持体とを接着剤で張り合わせて製造するが、皺が発生しないようお互い一定の張力をかけて張り合わせる。このとき、双方の弾性率が同じであれば表面の平滑性が高い(良好な)原紙をつくることができるが、逆に弾性率が異なれば表面の平滑性が低くなる。
【0063】
第2、張り合わせて原紙を巻き取ってロール状にするが、ロール状に巻き取られることでフィルム面の上に和紙がある圧力で重なる。これによって和紙の凹凸がフィルム面に反映され、フィルム面の表面の平滑性が全体的に低くなる。またこのときの平滑性の程度は和紙の密度や素材などによっても異なる。
【0064】
例えば、フィルムは1種類で和紙は数種類のものを使用するものとすれば、和紙の弾性率、密度、素材の差に応じて表面状態の良い(平滑性の良好な)原紙や悪い原紙が出来上がる。現実的には前記弾性率、密度、素材の3つの要素が全て良い和紙または悪い和紙というのものはないが、トータル的に光沢度(反射率)が高いすなわち平滑性の良好な原紙は高品質で値段が高く、光沢度の低いものは低品質で値段が安いと言える。
【0065】
一方、孔版原紙の表面の平滑性が低下すると、サーマルヘッドに孔版原紙を一定の圧力で押し当てても、ミクロ的にみるとサーマルヘッドの1発熱素子(抵抗体)と原紙のフイルム面との密着性が悪い部分がでてくるため、この部分では発熱素子の発熱エネルギが原紙のフィルム面に届き難くなり穿孔品質が低下することになる。
【0066】
また通常画質を重んじるユーザは、値段が高い高品質の孔版原紙すなわち光沢度(反射率)の高い孔版原紙を使用すると考えてよく、この場合製版速度が高速であってもある程度以上の穿孔品質を維持することができる。これに対して、値段が安い低品質の孔版原紙すなわち光沢度(反射率)の低い孔版原紙を使用した場合には、図7に示す特性から判るように、製版速度が高速のときには穿孔品質が低下するので、ある程度以上の穿孔品質を維持するには製版速度を遅くする必要が生じる。
【0067】
以上のことから、孔版原紙23の光沢度(反射率)を検出して得た受光素子302の信号値(A/D変換後のデータでもよい)を予め定められた基準値と比較し、画質優先で製版するか、速度優先で製版するかを決めるとよいことが判る。
【0068】
そこで本実施形態においては、図8に示すようなフローチャートに基づいて穿孔用電力と供給時間を調整するとよい。すなわち、先ずマスタ表面センサ300により孔版原紙23の光沢度(反射率)を検出する。この検出により得た受光素子302の信号値S1(A/D変換後のデータでもよい)を予め定められた基準値と比較し、孔版原紙23の反射率が基準値より高い場合には孔版原紙23が高品質であるとし、逆に反射率が基準値より低い場合には低品質であるとする(ST11)。
【0069】
そして、孔版原紙23の反射率が高い高品質時には、自動的に速度優先モードに設定して、製版速度を高速に設定しつつ穿孔品質をある程度以上に維持する(ST12−速度優先モード、ST13)。これに対して、孔版原紙23の反射率が低い低品質時には、自動的に画質優先モードに設定して製版速度を遅くするようにする(ST12−画質優先モード、ST14)。そして、それぞれ設定された製版モードで製版を行なってその後印刷を行なう(ST15)。
【0070】
さらに次の原稿13があるときにはステップ11(ST11)に戻り上記同様の処理を施す一方(ST16−YES)、次の原稿13がなければ処理を終了させる(ST16−NO)。
【0071】
なお穿孔品質を向上させるために製版速度を低速にするということは、図9に示すように、1主走査分の製版時間であるライン周期LSTや長STB、短STBを延長して各発熱素子21Zの発熱時間を延長することを意味するが、単純に発熱時間を延長する(製版速度を低速にする)と、総発熱エネルギも大きくなり、必ずしも好ましい穿孔品質になるとは限らない。そこで、発熱時間を延長してもトータルの発熱エネルギが大きくならないように発熱素子21Zへの印加電圧が小さくなるようにするなど、発熱時間を変更(製版速度を変更)しても総発熱量に変化が生じないようにマイコン410からの指令信号C1により電源供給回路140から出力される印加電圧Vhを調整する。つまり、速度優先モードを設定したときにはステップ13(ST13)において、印加電圧に対応する穿孔用電力が比較的大きく供給時間が比較的短い高電圧短時間穿孔とし、画質優先モードを設定したときにはステップ14(ST14)において、穿孔用電力が比較的小さく供給時間が比較的長い低電圧長時間穿孔とする。
【0072】
また、孔版原紙23の副走査方向Yの搬送速度を一定としたままで穿孔用電力の供給時間を調整すると、主走査方向の穿孔幅と副走査方向の穿孔幅が同じにならず穿孔径の真円度を維持することが難しくなる。また、副走査方向の穿孔解像度が前記供給時間に応じて異なってくる。したがって、穿孔用電力の供給時間の調整に拘わらず穿孔径の真円度を維持するとともに副走査方向の穿孔解像度を一定にするために、穿孔用電力の供給時間を長くするときには孔版原紙23の副走査方向Yの搬送速度Vを小さく、逆に供給時間を短くするときには搬送速度Vを大きくするなど、穿孔用電力の供給時間に応じて孔版原紙23の搬送速度Vを調整する。この調整は、搬送速度Vと穿孔用電力の供給時間に対応するライン周期LSTとの積が一定となるように、マイコン410からの指令信号C4によりモータコントローラ28を制御して書込モータ25の回転駆動を制御し、これによりプラテンローラ24と原紙搬送ローラ対26の回転速度を制御することにより実現される。
【0073】
上記構成の孔版印刷装置において製版を行なった結果(穿孔状態)と従来例を図10に示す。図10(A)に示すように、従来例においては、ライン周期LSTを2.0msec、長STBを500μsec、穿孔用電力を0.068Wとした状態で、通常の孔版原紙(高品質原紙)にベタ画像を穿孔したときにはほぼ均一の穿孔径が形成されるが、同一製版条件のままで劣化した孔版原紙(低品質原紙)にベタ画像を穿孔したときには穿孔径にムラが生じ印刷結果に白点などが生じる。
【0074】
これに対して、同じサーマルヘッドを使用し、図10(B)に示すように、製版条件をライン周期LSTが3.0msec、長STBが750μsec、穿孔用電力を0.058Wとなるように変更して、劣化した孔版原紙(低品質原紙)にベタ画像を穿孔すると、通常の孔版原紙の場合と同様に、ほぼ均一の穿孔径を形成することができる。またライン周期LSTの調整に合わせて孔版原紙23の搬送速度Vを調整することで穿孔径をほぼ真円に維持するとともに副走査方向の穿孔解像度を一定にすることができる。
【0075】
このように、上記構成の装置によれば、孔版原紙23の表面状態をセンサ300により自動検知して製版モードを自動設定すれば、孔版原紙23の表面状態に関わらずある程度の穿孔品質を維持することができる。この結果、例えば穿孔発熱時間を長く且つ印加電力を低くすることで表面凹凸の激しい劣化した孔版原紙23に対しても発熱エネルギを十分に伝達することができるので、高品質の孔版原紙を用いた場合と同様の穿孔サイズで白点などの少ない画像不良を極力減らすことのできる製版を行なうことができる。
【0076】
また、画質優先モードが設定された際には、速度優先モードが設定された場合に比して、ライン周期を長くしたため、各ラインの穿孔を行う間に、サーマルヘッドの放熱時間を十分に確保することができ、より穿孔の品質を向上することができる。
【0077】
なお上記実施形態では、孔版原紙23の表面状態をマスタ表面センサ300により自動検知して製版モードを自動設定するようにしていたが、ユーザによるマニュアル設定を行なうこともできる。例えば自動検知用のセンサが設けられていない場合には、ユーザが孔版原紙23の表面状態を判断して製版モードを設定するようにしてもよい。
【0078】
なお、孔版原紙23の表面劣化は印刷画像の画質低下に直接影響するので、ユーザがマニュアル設定を行なう場合には、印刷物を確認することで間接的に孔版原紙23の表面状態の品質を判断してもよい。
【0079】
図11は、孔版原紙23の表面状態をユーザの判断に基づいて行なうこととした場合の動作を示すフローチャートである。図8との違いは、マスタ表面センサ300による製版モードの自動設定を行なうステップ11(ST11)の代わりに、ユーザーによるマニュアル入力を行うステップ11’(ST11’)が設けられている点のみである。なお、このようなマニュアル設定を行う場合には、図2に示す操作キー群402の中に、穿孔品質優先または製版速度優先のいずれかをマニュアルで選択可能な製版モード設定キーを設ければよい。
【0080】
また上記実施形態では、原稿13が供給される都度孔版原紙23の表面状態をマスタ表面センサ300により検出するようにしているが、孔版原紙23の種類に応じた品質の違いを検知するという点においては孔版原紙ロール22単位で検知する、すなわち孔版原紙ロール22の最初の製版時にのみその表面状態を検知し、その結果をその後の製版に適用してもよい。
【0081】
また、ロール状に巻き上げられた孔版原紙は、巻きはじめのときには強くテンションをかけないとうまく巻き取れないため、該原紙の巻き芯付近なればなるほど巻き圧力が高くなり、原紙の巻き芯付近ほど表面の平滑性が悪くなってくる。つまり、原紙の種類が異なるだけでなく、原紙1本分の中でも平滑性は変化する、換言すれば、ロール状に巻き上げられた孔版原紙は、経時的に表面の平滑性が劣化することになる。この場合、原稿13が供給される都度孔版原紙23の表面状態をマスタ表面センサ300により検出するようにすれば、原紙1本分における表面品質の経時変化に対応することもできる。
【0082】
この場合、穿孔の各主走査ごとに表面状態を検出するようにすれば、原稿1枚分の穿孔過程における孔版原紙の平滑性の変化にも対応することができる。
【0083】
さらに上記実施形態では、孔版原紙23の表面の平滑度に対応するマスタ表面センサ300により検知した孔版原紙23の光沢度(反射率)を表す受光素子302の信号値S1を基準値と比較して、反射率が高い場合は孔版原紙23の表面状態が高品質であり、反射率が低い場合は低品質であると判断し、その結果に応じて製版モードを切り替える2段階の調整としていたが、これに限らず、孔版原紙23の光沢度を表す受光素子302の信号値S1の大きさに応じて、無段階(連続的)あるいは多数の段階で、穿孔用電力の大きさと該穿孔用電力の供給時間を調整するようにしてもよい。これにより、より精度よく(細かに)穿孔品質を均質化することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、孔版原紙の品質の一態様としてのフィルム表面の平滑度、換言すれば凹凸を問題としていたが、穿孔径のバラ付き発生原因となる孔版原紙の品質を左右する要因は必ずしもフィルム表面の平滑度に限らない。例えば、上述のように、孔版原紙の製造工程ではフィルムと支持体とを接着剤で張り合わせるが、接着剤の塗布量に応じて穿孔径にバラ付きが発生することもある。接着剤の塗布量の変化には、和紙の密度(種類)によるものと製造工程で発生するものとがある。塗布量は少なければ少ないほど穿孔品質には有利つまり穿孔径のバラ付きが少なくなり、塗布量が多ければ孔が開き難くなって穿孔径のバラ付きが多くなる。また塗布量自体にバラ付きがあれば、当然それで穿孔径のバラ付きが発生する。一方、孔版原紙の品質の一態様である接着剤の塗布量の増減に応じて孔版原紙の光透過率が変化する。したがって、この光透過率をフォトセンサなどの光学的な検出手段を用いて検出して、この検出結果に応じて上述同様の制御を行なうことで、穿孔品質を均質化することもできる。
【0085】
また、上記実施形態では、総発熱エネルギ量を一定としつつ穿孔径を均質化する(バラ付きが生じない)ようにしていたが、孔版原紙の品質と穿孔品質との間には、原紙の品質状態それぞれにおいては穿孔径にバラ付きがないものの低品質時と高品質時とでは穿孔径に差が生じ、結果として、印字性能に差が生じるという場合もある。このような場合には、穿孔用電力の大きさおよび該穿孔用電力の供給時間の少なくとも一方を調整して、孔版原紙が低品質のときには総発熱エネルギ量を大きくして穿孔径が従来よりも(本発明を適用しない場合よりも)大きくなるようにし、孔版原紙が高品質のときには総発熱エネルギ量を従来よりも小さくして穿孔径がより小さくなるようにしてもよい。これにより、孔版原紙の品質に拘わらず穿孔品質や印字品質を一定に維持することができる。
【0086】
従来の製版方法および装置においては、サーマルヘッドを構成する全発熱素子の平均抵抗値と目標パワー並びに予め想定された孔版原紙の品質に応じて総発熱エネルギ量を決定しており、孔版原紙の品質が当初想定したものと異なる場合には総発熱エネルギ量を制御することができないのに対して、本実施の形態は孔版原紙の品質に応じて総発熱エネルギ量を制御して穿孔径を調整することで孔版原紙の品質に拘わらず穿孔品質や印字品質を一定に維持するができるので本実施の形態の果たす効果は大きい。
【0087】
なお、本発明の他の実施の形態として、画質優先モードが設定された際に、低電圧長時間穿孔を行なうのではなく、速度優先モードの際に印加される穿孔用電力と同じ電力を、速度優先モードの際の印加時間より長い時間印加するものも考えられる。このような孔版印刷装置において、実施の形態と同じサーマルヘッドを用いて製版を行なった結果(穿孔状態)を図12(A)に示す。
【0088】
図12(A)に示すように、製版条件をライン周期LSTが3.0msec、長STBが600μsec、穿孔用電力を0.068Wとした状態で、劣化した孔版原紙(低品質原紙)にベタ画像を穿孔すると、通常の孔版原紙を用いた時のように、比較的均一な穿孔径を形成することができる。図12(A)に示される穿孔の品質は、図10(B)に示される穿孔の品質に比べ、若干低下するものの、速度優先モードと画質優先モードを切り換える際に、穿孔用電力の値を変更する必要がないため、孔版印刷装置の回路構成を簡易化することができる。
【0089】
本発明のさらに他の実施形態として、画質優先モードが設定された際に、低電圧長時間穿孔を行なうのではなく、速度優先モードの際に印加される穿孔用電力より大きい電力を、速度優先モードの際の印加時間と同じ時間印加するものも考えられる。図12(B)に示すように、製版条件をライン周期LSTが3.0msec、長STBが500μsec、穿孔用電力を0.075Wとした状態で、劣化した孔版原紙(低品質原紙)にベタ画像を穿孔すると、通常の孔版原紙を用いた時のように、比較的均一な穿孔径を形成することができる。図12(B)に示される穿孔の品質も、図10(B)に示される穿孔の品質に比べ、若干低下するものの、速度優先モードと画質優先モードを切り換える際に、印加時間(長STB)を変更する必要がないため、孔版印刷装置の回路構成を簡易化することができる。なお、上記2つの他の実施の形態においても、ライン周期LSTの調整に合わせて孔版原紙23の搬送速度Vを調整することで穿孔径をほぼ真円に維持するとともに副走査方向の穿孔解像度を一定にすることができる。
【0090】
このように本発明における「孔版原紙の品質」は孔版原紙に穿孔を施して製版を行なうに際して穿孔径に影響を与えるもの全てを含み、穿孔径に影響を与える「孔版原紙の品質」の程度に応じて穿孔用電力の大きさおよび該穿孔用電力の供給時間のうちの少なくとも一方を調整するものは全て本発明に含まれる。
【0091】
また、「孔版原紙の品質」の程度を検出するのは、孔版原紙1ロールごと、原稿1枚ごと、あるいは穿孔の1主走査ごとのいずれのタイミングに行なってもよい。「孔版原紙の品質」の検出の機会が多いほど穿孔品質や印字品質をきめ細やかに調整できるのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製版装置の一実施形態を適用した孔版印刷装置の側断面図
【図2】図1に示す孔版印刷装置の上面に設けられた操作パネルの概要を示した平面図
【図3】サーマルヘッドの詳細を示す回路図
【図4】図1に示す孔版印刷装置の製版書込部の制御回路系を中心とした概要を示したブロック図
【図5】図3に示すサーマルヘッドの1ブロック分を発熱駆動するタイミングを示したタイミングチャート
【図6】図3に示すサーマルヘッドの全体を発熱駆動するタイミングを示したタイミングチャート
【図7】製版速度と穿孔S/N比との関係を示した図
【図8】図1に示す孔版印刷装置の動作を示すフローチャート
【図9】穿孔用電力の供給時間の調整方法を説明するタイミングチャート
【図10】従来例の製版結果(A)と本発明の製版結果(B)を示す図
【図11】孔版原紙の表面状態をユーザの判断に基づいて行なうこととした場合の動作を示すフローチャート
【図12】製版結果を示す図
【符号の説明】
10 製版読取部
13 原稿
20 製版書込部
21 サーマルヘッド
21Z 発熱素子
23 孔版原紙
24 プラテンローラ
25 書込ローラ
26 原紙搬送ローラ対
28 モータコントローラ
30 カッタ部
40 印刷部
100 ヘッド制御回路
140 電源供給回路
160 ヘッド制御信号生成回路
170 印字データ生成回路
300 センサ表面センサ
301 発光素子
302 受光素子
400 操作パネル
410 システム制御マイコン

Claims (8)

  1. それぞれが画素に対応する多数の発熱素子が主走査方向に配列されてなるサーマルヘッドの前記各発熱素子に各主走査ごとに穿孔用電力を所定時間だけ供給し、孔版原紙を前記サーマルヘッドに圧接させた状態で前記孔版原紙を前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させることにより前記孔版原紙に穿孔を施して製版を行なう製版方法において、
    前記孔版原紙の表面の平滑度を検出し、
    前記平滑度が所定値以上であった場合には、製版速度を優先する速度優先モードを選択し、前記平滑度が前記所定値より低い場合には、画質を優先する画質優先モードを選択し、
    前記画質優先モードが選択された場合には、前記速度優先モードが選択された場合に比して、前記各発熱素子に供給する穿孔用電力を小さくするとともに該穿孔用電力の供給時間を長くすることを特徴とする製版方法。
  2. 前記孔版原紙の表面の平滑度として、前記孔版原紙の光反射率を検出することを特徴とする請求項1記載の製版方法。
  3. 前記画質優先モードが選択された場合には、前記速度優先モードが選択された場合に比して、前記副走査方向のライン周期を長くするものであることを特徴とする請求項1または2記載の製版方法。
  4. 前記画質優先モードが選択された場合に前記各発熱素子へ供給されるエネルギと、前記速度優先モードが選択された場合に前記各発熱素子へ供給されるエネルギが略同一であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の製版方法。
  5. それぞれが画素に対応する多数の発熱素子が主走査方向に配列されてなるサーマルヘッドと、各主走査ごとに穿孔用電力を所定時間だけ前記各発熱素子に供給するエネルギ供給手段と、孔版原紙を前記サーマルヘッドに圧接させた状態で前記孔版原紙を前記主走査方向と略直交する副走査方向に相対移動させる副走査手段とを備え、前記孔版原紙に穿孔を施して製版を行なう製版装置において、
    前記孔版原紙の表面の平滑度を検出して出力する平滑度検出手段と、
    該平滑度検出手段から出力された前記平滑度が所定値以上であった場合には、製版速度を優先する前記速度優先モードを選択し、前記平滑度が前記所定値より低い場合には、画質を優先する画質優先モードを選択する選択手段と、
    前記画質優先モードが選択された場合には、前記速度優先モードが選択された場合に比して、前記エネルギ供給手段から前記各発熱素子に供給する穿孔用電力を小さくするとともに該穿孔用電力の供給時間を長くする調整手段を備えたことを特徴とする製版装置。
  6. 前記平滑度検出手段が、前記孔版原紙の表面の平滑度として、該孔版原紙の表面の光反射率を検出するものであることを特徴とする請求項5記載の製版装置。
  7. 前記調整手段が、前記画質優先モードが選択された場合には、前記速度優先モードが選択された場合に比して、前記副走査方向のライン周期を長くするものであることを特徴とする請求項5または6記載の製版装置。
  8. 前記画質優先モードが選択された場合に前記各発熱素子へ供給されるエネルギと、前記速度優先モードが選択された場合に前記各発熱素子へ供給されるエネルギが略同一であることを特徴とする請求項5から7いずれか1項記載の製版装置。
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