JP5034048B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents

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Description

本発明は、製版装置を備えた孔版印刷装置に関する。
簡便な印刷方式としてデジタル式の感熱製版装置を搭載したデジタル式の感熱孔版印刷装置(以下、「孔版印刷装置」という)が知られている。その製版装置では、主走査方向に配列された複数の発熱素子、発熱抵抗体等とも呼ばれる複数の発熱体を具備したサーマルヘッドとプラテンローラとで、熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう)を有する感熱性孔版マスタ(以下、単に「マスタ」という)を押し付けながら、主走査方向と直交する副走査方向にプラテンローラの回転を介してマスタを相対的に移動させつつ、画像信号に応じたサーマルヘッドの各発熱体の加熱により、ドット状の穿孔・製版画像(穿孔パターン)をマスタに形成するものである。
一般的な孔版印刷装置では、製版装置によって上述のように穿孔・製版画像が形成された製版済みのマスタを版胴の外周に巻き付けた後に、版胴を回転させ、版胴の回転運動に同期させて所定のタイミングをもって被印刷媒体である印刷用紙(以下、単に「用紙」ともいう)を版胴とプレスローラや圧胴等からなる押圧部材との間に搬送し、押圧部材により用紙を版胴上の製版済みのマスタに圧接し、版胴内に供給したインキを版胴の開孔部、図示しないメッシュスクリーンおよびマスタの穿孔部分から滲み出させて用紙に転移・転写することにより印刷物を得るようになっている。
製版画像が転写された印刷物はその後、排紙台に向けて排出され該排紙台に順次積載されていく。一般の孔版印刷装置で使用されるインキは、エマルションインキ(以下、「エマルジョンインキ」ともいう)であり、用紙への転写後、そのインキは直ぐには定着しない。印刷物の乾燥は、通常、時間経過に伴うインキの用紙への吸収、すなわち自然乾燥に頼っている。つまり、孔版印刷を実行するに際して、通常の印刷インキを使用すると、インキは浸透乾燥されるために裏移りや沁み通しが生じるので、一般的に良好な両面印刷物等は得難く、また表面が光沢を有するアート紙やコート紙では容易に乾燥しないので、片面印刷であっても良好な印刷物を得難かった。
そこで、活性エネルギー線硬化型インキである光(紫外線)硬化型インキと活性エネルギー線照射手段である光(紫外線)照射手段を使用して、孔版による両面印刷や、アート紙、コート紙に孔版印刷する装置が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
特開2004−136672号公報 特開2006−281658号公報
しかしながら、一般的な孔版印刷装置では、活性エネルギー線硬化型インキの使用やコート紙印刷などは考慮されていなく、活性エネルギー線硬化型インキとコート紙との組合せの印刷では、製版済みのマスタの浮きによる白スジ状の画像不良となる印刷シワやマスタの寄りが発生してしまうという問題があった。
そこで、本願出願人は、上記印刷シワやマスタの寄りの発生を防止するために、「特殊製版」もしくは「特殊製版モード」に係る新規な技術を既に提案している。すなわち、「特殊製版」とは、サーマルヘッドに配列されている各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビット、および該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によってマスタのフィルムに形成される穿孔が主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によってマスタのフィルムに形成される各穿孔が主走査方向の同じ一列上に隣り合わないように、サーマルヘッドの個々の発熱体を制御する製版方式である。特殊製版によって得られたマスタに形成された穿孔パターンが亀の甲羅に似ている点から、特殊製版は俗に「亀甲製版」とも呼んでいる。
けれども、上述の新規な特殊製版に係る技術をもってしても、製版済みのマスタの浮きによる印刷シワ(白スジ状の画像不良)やマスタの寄りを完全に抑えることはできなかった。
また、亀甲製版では、図13(b)に示すように、図13(a)に示す通常製版と比べて穿孔率(ある所定の面積範囲A1内における穿孔100,100’の数をいう)は変わらないが、亀甲製版のドットとなる穿孔100間の距離Lbが通常製版の穿孔100’間の距離Laよりも長くなる(Lb>La)ため、インキの埋まりが悪くなり、通常製版による印刷物と比べて印刷画像濃度が低くなってしまうという不具合があった。
図13(a),(b)において、一点鎖線で示す円は、通常製版および亀甲製版による製版済みのマスタ12,12’を使用してコート紙に印刷した場合のインキの拡がり範囲32を模式的に示している。マスタ12とマスタ12’とは、同じ仕様のものであり、同様に穿孔100と穿孔100’とは、同じ大きさのものである。これらの相違は何らなく、本発明による特殊製版と従来の通常製版とを区別するために各符号12,100に「’」を付加したに過ぎないことを付記しておく(以下、同様)。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、活性エネルギー線硬化型インキ使用の孔版印刷装置で用いる被印刷媒体が孔版上質紙等の非コート紙もしくはコート紙の場合であっても、製版済みのマスタの浮きによる印刷シワ(白スジ状の画像不良)やマスタの寄りが発生せず、さらには従来の通常製版と同じ穿孔率でも印刷画像濃度(以下、単に「画像濃度」ともいう)を同等もしくは近づけることが可能となり最適な印刷画像品質が得られる孔版印刷装置を実現し提供することを主な目的とする。請求項毎の目的を挙げれば、以下のようになる。
本発明は、上述した課題を解決して上記目的を達成するために、請求項ごとの発明においては以下の構成を採っていることを特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内部に設けられ該印刷ドラムの内周面にインキを供給するインキ供給部材および該インキ供給部材に近接して設けられ該インキ供給部材上のインキ量を計量するインキ計量部材により上記印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を少なくともコート紙を含む被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能である孔版印刷装置において、上記インキ供給部材と上記インキ計量部材との間のギャップを変えるインキ計量部材ギャップ可変手段と、コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と、を有し、上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、上記インキ計量部材ギャップ可変手段により、上記ギャップが0.2〜0.3mmに設定される特殊印刷モード、および上記インキ計量部材ギャップ可変手段により、上記ギャップが上記特殊印刷モードのそれと比べて小さく設定される通常印刷モードが実行可能であり、上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする。
請求項記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内部に設けられ該印刷ドラムの内周面にインキを供給するインキ供給部材により上記印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を少なくともコート紙を含む被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能である孔版印刷装置において、上記印刷ドラムの内周面と上記インキ供給部材とのギャップを変えるインキ供給部材ギャップ可変手段と、コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と、を有し、上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、上記インキ供給部材ギャップ可変手段により、上記ギャップがゼロに設定される特殊印刷モード、および上記インキ供給部材ギャップ可変手段により、上記ギャップが上記特殊印刷モードのそれと比べて大きく設定される通常印刷モードが実行可能であり、上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする。
請求項記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内部に設けられ該印刷ドラムの内周面にインキを供給するインキ供給部材により上記印刷ドラムの内周側からインキを供給しながら、上記インキ供給部材と対向して設けられた押圧部材により上記印刷ドラム上の製版済みのマスタに少なくともコート紙を含む被印刷媒体を相対的に押し付けることで、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を上記被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能である孔版印刷装置において、上記押圧部材の中心に対する上記インキ供給部材の中心のズレ量であるオフセットを変えるオフセット可変手段と、コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と、を有し、上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、上記オフセット可変手段により、上記オフセットが相対的に大きくなるように設定される特殊印刷モード、および上記オフセットが相対的に小さくなるように設定される通常印刷モードが実行可能であり、上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする。
請求項記載の発明は、熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を少なくともコート紙を含む被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能であり、上記印刷ドラム上の製版済みのマスタから上記被印刷媒体を剥離させる送風手段を具備する孔版印刷装置において、上記送風手段の風量を変える風量可変手段と、コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と、を有し、上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、上記風量可変手段により、上記送風手段の風量が相対的に強くなるように設定される特殊印刷モード、および上記送風手段の風量が相対的に弱くなるように設定される通常印刷モードが実行可能であり、上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の孔版印刷装置において、上記マスタは、上記熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体との2層からなり、両者の接着強度が、6N/m以上であることを特徴とする。
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の孔版印刷装置において、上記マスタは、上記熱可塑性樹脂フィルムと少なくとも1層の多孔性樹脂膜と多孔性支持体との少なくとも3層からなり、上記多孔性樹脂膜と上記多孔性支持体との接着強度が、6N/m以上であることを特徴とする。
本発明によれば、上述した従来の問題点を解決して新規な孔版印刷装置を実現し提供することができる。すなわち、本発明によれば、上記構成により、コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段でコート紙か非コート紙かを選択するだけで、被印刷媒体の種類に適合した製版動作および印刷動作が実行されるので、使用者が製版、印刷動作の条件等を細かく設定をする必要がなく簡便な操作で活性エネルギー線硬化型インキを使用した際の印刷シワ(白スジ状の画像不良)やマスタの寄りを抑制し、かつ、最適な画像濃度の印刷画像を得ることができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態および実施例を含む本発明の一実施形態を説明する。実施形態や変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素をそのまま引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、実施形態等のそれと区別するものとする。
なお、「発明を実施するための最良の形態」欄において、変形例1を「参考例」と、変形例2を「変形例1」と、変形例3を「変形例2」と、変形例4を「変形例3」と、それぞれ読み替えることとする。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデジタル感熱式の孔版印刷装置の全体構成を模式的に示し、図2は、図1における主としてデジタル感熱式の孔版印刷装置本体の全体構成を示している。
本実施形態では、活性エネルギー線硬化型インキの使用が可能であるため、その活性エネルギー線硬化型のインキを硬化させるための活性エネルギー線硬化定着装置201が図1の孔版印刷装置の排紙側に併設されている。活性エネルギー線硬化型インキとしては、その一例として紫外線硬化型インキが用いられ、活性エネルギー線硬化定着装置としては、その一例として紫外線硬化定着装置が用いられる。
図1において、200は、図2に詳しく示す孔版印刷装置本体であり、孔版印刷装置本体200の右側には給紙部202が設けられている。上記したように、孔版印刷装置本体200の排紙側に、活性エネルギー線硬化定着装置201が併設されている。この活性エネルギー線硬化定着装置201内には、活性エネルギー線ランプや用紙を搬送するモータやベルト、吸着ファン等が組み込まれている。そして、活性エネルギー線硬化定着装置201内で活性エネルギー線硬化型インキを用紙上に定着させ、ベルト・吸着搬送で排紙台204へ印刷・定着済み用紙を排紙させるように構成されている。図1において、給紙部202は、図2に示す孔版印刷装置本体200側の給紙側に配設されている給紙部110(図1では括弧を付して示す)と実質的に同一の構成であり、給紙部202の給紙台203と給紙部110の給紙台51(図1では括弧を付して示す)とは、同一のものであることを表している。同様に、排紙台204と排紙台52(図1では括弧を付して示す)とは、同一のものであることを表している。
活性エネルギー線硬化定着装置201の内部構成は、例えば本願出願人が提案した特開2006−281658号公報の図1に示されている紫外線照射装置としてのUV照射装置(2)と同様である。これとの関連で、図2に示す孔版印刷装置本体200側には、特許文献2に係る特開2006−281658号公報の図4等に記載されている孔版印刷制御装置(55)と同様の構成が配設されている。
まず、図2を参照して、孔版印刷装置本体200側の全体構成について説明する。図2において、50は、孔版印刷装置本体200側の骨組みをなす装置本体を示す。同図に示すように、装置本体50の上部にある、80で示す部分は原稿読取装置としての原稿読取部を、その下方の1で示す部分はデジタル感熱孔版式の製版装置としての製版部を、製版部1の左側に109で示す部分は多孔性円筒状の版胴21を外周部に備えた印刷ドラム20が後述するようにユニット化されて配置された印刷ドラム装置としての印刷ドラム部を、印刷ドラム20の下方の120で示す部分は印圧装置としての印圧部を、印刷ドラム20の左側に70で示す部分は排版装置としての排版部を、製版部1の下方の110で示す部分は給紙装置としての給紙部を、印圧装置120の左側であって排版装置70の下方の130で示す部分は排紙装置としての排紙部を、それぞれ示している。このように、図2に示す孔版印刷装置には、製版部1が装置本体50内に一体的に装備されている。
原稿読取部80は、図示しない原稿載置台上から移送される原稿60の表面の画像を読み取る機能を、製版部1は、ロール状に巻かれたマスタ12を製版し給版搬送する機能を、印刷ドラム部109は、製版済みのマスタ12を版胴21の外周面に巻装し印刷ドラム20(版胴21外周面)上の製版済みのマスタ12にインキを供給する機能を、印圧部120は、後述する押圧手段により印刷ドラム20に対して被印刷媒体としての用紙62を押し付けて用紙62上に印刷画像を形成する機能を、排版部70は、印刷ドラム20の外周面から使用済みのマスタ12を剥ぎ取りこれを排版ボックス74内に排出・排版する機能を、給紙部110は、給紙台51上に積載された用紙62を印刷ドラム20と印圧部120との間に給送する機能を、排紙部130は、印刷ドラム20と印圧部120にて印刷された用紙62を排紙台52に排出する機能を、それぞれ有する。
図2〜図4を参照して、従来と同様の後述する通常製版モード設定時の孔版印刷装置の基本的な動作について説明する。本実施形態に特有の特殊製版モードに関する構成および通常製版モード設定時の動作と相違する点の動作は、この説明の後で詳述する。
先ず、使用者が、原稿読取部80の上部に配置された図示しない原稿載置台に印刷すべき画像を持った原稿60を載置・セットし、図3に示す操作パネル90の製版スタートキー91を押す。この製版スタートキー91の押下に伴い、製版スタート信号が生成されこれがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ドラム20の外周面に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ12が装着されたまま残っている。印刷ドラム20は、図示しない駆動機構を介して印刷ドラム駆動手段(図示せず、例えばメインモータ等)に連結されていて、印刷ドラム駆動手段によって回転駆動される。
印刷ドラム20が図中矢印方向Aと反対方向に回転し、印刷ドラム20の外周面に装着されていた使用済みのマスタ12の後端部が排版部70の排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、同ローラ対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ71bで使用済みのマスタ12の後端部をすくい上げ、排版剥離ローラ対71a,71bの左方に配設された排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け渡された排版搬送ベルト対72a,72bで構成される排版剥離搬送装置により、使用済みのマスタ12は印刷ドラム20の外周面から漸次剥され矢印方向Y1へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出されていわゆる排版工程が終了する。この時、印刷ドラム20は反時計回り方向への回転を続けている。排出された使用済みのマスタ12は、その後、圧縮板75によって排版ボックス74の内部で圧縮される。
排版工程と並行して、原稿読取部80が作動して原稿読み取りが行われる。すなわち、上記原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印Y2からY3方向(以下、「原稿搬送方向Y2」という)に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。
上側の後原稿搬送ローラ83aは、例えばステッピングモータからなる原稿搬送モータ(図示せず)によって回転駆動される。上側の前原稿搬送ローラ82aは、上側の搬送ローラ83aと搬送ローラ82aとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)を介して上記原稿搬送モータによって回転駆動され、各ローラ82b,83bはそれぞれ従動回転する。この際、図4に示すその他制御手段7に含まれている副走査方向送り速度制御手段からの指令により、上記原稿搬送モータは、原稿60の副走査送りピッチを副走査方向の解像度(ドット/インチ)に対応した所定の副走査送りピッチに変えるように制御される。また、これに限ったことではなく、所定の副走査送りピッチで読み込み、画像記憶手段としての原稿メモリに一度格納し、処理しても構わない。
原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、CCD(電荷結合素子等の光電変換素子)からなる画像センサ89に入射させることにより行われる。その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。
原稿読取部80には、多色重ね刷り印刷に必要な色分解のための諸機能を有する構成、例えば特開昭64−18682号公報記載の複数の色フィルターを切換可能に制御できるフィルターユニットと同様の機能および構成を有するものが、ミラー87とレンズ88との間の光路上に配設されている。
図2および図4において、原稿60の光学情報(画像データ)は画像センサ89で光電変換され、そのアナログの電気信号はアナログ/デジタル(A/D)変換部に入力されデジタルの画像信号に変換される。このデジタルの画像信号は図4に示す制御部2内の画像処理部4で孔版用に画像処理を施され、こうして画像処理を施された2値の黒画素および白画素に関するデジタル画像信号は、図4に示すサーマルヘッド駆動制御部5に入力される。サーマルヘッド駆動制御部5は、主としてサーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介して図2および図4に示すサーマルヘッド10の個々の発熱体9を制御するものであり、図4に示すマイクロコンピュータ周辺回路3からの指令を受けて制御動作を行う。
以下、サーマルヘッド駆動制御部5内に具備されている製版方法選択手段によって、従来から周知の通常製版が初期設定され実行されるものとして説明する。「通常製版」とは、デジタル画像信号に応じて、サーマルヘッド10の個々の発熱体9の発熱駆動によってマスタ12の熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔がサーマルヘッド10の主走査方向の同一の一列上に形成される周知の製版方法を意味する。サーマルヘッド駆動制御部5内には、後で詳細に説明する本実施形態に特有の特殊製版モードを実行させる第1の制御手段の他に、上記製版方法選択手段からの信号に基づき、通常製版モードを実行するようにサーマルヘッド10の個々の発熱体9を制御する第2の制御手段が配設されている。
なお、上記A/D変換部へ入力される光学情報(画像データ)は上記CCDで読み取ったものに限らず、例えば密着イメージセンサ(CIS)等からのものでも構わない。また、制御部2内のサーマルヘッド駆動制御部5に入力されるデジタル画像データは、パソコン等のコンピュータから送信されるデジタル画像信号であっても構わない。
制御部2内のサーマルヘッド駆動制御部5に入力したデジタル画像信号は、上記特殊製版を行うための印加エネルギー変更手段および通電タイミング変更手段を除く公知の各種制御、すなわち制御部2に配設された熱履歴制御手段による熱履歴制御、コモンドロップ補正制御手段によるコモンドロップ補正制御等を適宜施されて、またその他制御手段7により種々の制御等を適宜施されて、サーマルヘッド駆動用の信号としてデジタル画像データ信号(以下、単に「データ信号」もしくは「DATA信号」とも略記する)、クロック信号(以下、「CLK信号」とも略記する)、ラッチ信号(以下、「LATCH信号」とも略記する)、通電信号(以下、「ストローブ信号」もしくは「STB信号」とも略記する)等を生成されて、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介してサーマルヘッド10に送信される。
一方、このような原稿走査および画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報(デジタル画像信号)に基づき製版および給版工程が行われる。すなわち、上記製版スタート信号がトリガとなって、例えばステッピングモータからなるマスタ送りモータ11が回転駆動されることにより、図示しないマスタ支持部材を介してマスタ12を繰り出し可能にセットされ、芯管12aの周りにロール状に巻かれて形成されたマスタロール12Aからマスタ12が引き出される。この時、マスタ12は、マスタ12を介してサーマルヘッド10に押し付けられているマスタ搬送手段としてのプラテンローラ14およびテンションローラ対15a,15bの一定速度の回転により、図中矢印Yで示す副走査方向Y(以下、「マスタ搬送方向Y」ともいう)の下流側に搬送される。
この際、図4に示したその他制御手段7内の副走査方向送り速度制御手段からの指令により、マスタ送りモータ11は、マスタ12の副走査送りピッチを副走査方向Yの解像度に対応した所定の副走査送りピッチに変えるように制御される。
搬送されるマスタ12に対して、サーマルヘッド10の主走査方向にライン状に並んで配列された多数の微小な発熱体9が、制御部2内のサーマルヘッド駆動制御部5から送られてくるデジタル画像データ信号に応じて各々位置選択的に発熱し、発熱した発熱体9に接触しているマスタ12のフィルム部分が加熱溶融穿孔される。このようにして、画像情報に応じたマスタ12の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとしてマスタ12に書き込まれる。
プラテンローラ14は、タイミングベルトおよびギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ送りモータ11に連結されていて、マスタ送りモータ11により回転される。マスタ送りモータ11は、例えばステッピングモータからなる。マスタ送りモータ11の回転駆動力は、ギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して、テンションローラ対15a,15bおよび電磁クラッチ(図示せず)を介して上下一対の反転ローラ17a,17bに伝達されるようになっている。
なお、上記電磁クラッチに代えて、反転ローラ17a,17bの駆動ローラを回転させるマスタ送りモータ11とは別のステッピングモータを配設した装置もある。
画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ12の先端は、反転ローラ対17a,17bにより印刷ドラム20の外周部側へ向かって送り出され、さらに給版ガイド板18により進行方向を下方へ変えられ、図2に二点鎖線で示す給版位置状態にある印刷ドラム20の拡開したマスタクランパ22へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム20は、排版工程により使用済みのマスタ12を既に除去されている。
そして、装置本体50側に配設されマスタクランパ22を開閉する図示しない開閉装置の作動により、製版済みのマスタ12の先端が一定のタイミングでマスタクランパ22によってクランプ・保持されると、印刷ドラム20は図中矢印A方向(時計回り方向)に回転しつつ版胴21の外周面に製版済みのマスタ12を徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ12の後端部は、製版完了後にカッタ13により一定の長さに切断されて、1版の製版済みのマスタ12が版胴21の外周面に完全に巻装された段階で製版および給版工程が終了する。
その後、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15bおよび反転ローラ対17a,17bの回転により、切断された上流側の残りのマスタ12の先端が反転ローラ対17a,17bのニップ部に向けて搬送される。こうして搬送されたマスタ12の先端が図示しないマスタ先端検知センサによって検知され、マスタ12の先端が初期位置を占めたと判断されると、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15bおよび反転ローラ対17a,17bの回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。マスタ12の初期位置は、例えば、反転ローラ対17a,17bのニップ部で挟持された位置から少し前方にはみ出た位置に予め設定されている。
なお、プラテンローラ14、テンションローラ対15a,15b、反転ローラ対17a,17bおよびマスタ送りモータ11は、マスタ12を搬送する手段を構成しており、図4においてこれらを総称してマスタ搬送手段19とする。
次いで、印刷工程が開始される。先ず、給紙台51上に積載された用紙62のうちの最上位の1枚が、給紙コロ111により引き出され、さらに分離コロ対112a,112bの協働作用により1枚に分離されてレジストローラ対113a,113bに向けて矢印Y4方向(以下、「用紙搬送方向Y4」という)に給送され、さらにレジストローラ対113a,113bにより印刷ドラム20の回転と同期した所定のタイミングで印圧部120における印刷ドラム20とプレスローラ23との間に給送される。このプレスローラ23は、図示しない公知のプレスローラ変位手段により印刷ドラム20の外周面に接離自在になされており、外周面に製版済みのマスタ12が巻装された印刷ドラム20に対して給送されてきた用紙62を押し付けて印刷画像を用紙62上に形成する押圧手段として機能する。そして、給送されてきた用紙62が、印刷ドラム20とプレスローラ23との間に挿入されてくると、印刷ドラム20の外周面下方に離間していたプレスローラ23が揺動・上昇されることにより、印刷ドラム20の版胴21外周面に巻装されている製版済みのマスタ12に押し付けられる。こうして、版胴21の多孔部から滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ12が版胴21の外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ12の穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが用紙62の表面に転移されて、印刷画像が形成される。
この時、印刷ドラム20の内周側では、支軸24を兼ねるインキ供給管24からインキローラ25とドクターローラ26との間に形成されるインキ溜まり27にインキが供給され、印刷ドラム20の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム20の回転速度と同期して回転しながら版胴21の内周面に転接するインキローラ25により、インキが印刷ドラム20における版胴21の内周面に供給される。
なお、押圧手段は、プレスローラ23に限らず、印刷ドラム(版胴)21の直径とほぼ同径の圧胴等も用いられ、このような圧胴方式の孔版印刷装置でも無論、本発明は適用される。
インキ供給管24、インキローラ25およびドクターローラ26は、印刷ドラム20上の製版済みのマスタ12にインキを供給するインキ供給手段を構成する。インキローラ25は、版胴21の内周面にインキを塗布・供給するインキ供給部材として機能する。ドクターローラ26は、インキローラ25に近接して平行に、かつ、インキローラ25との間に僅かなギャップ(隙間・間隙)33(以下、「ドクターローラギャップ33」という)を形成するように配置され、ドクターローラギャップ33より回転方向Aの下流側のインキローラ25の外周面に所定の厚さのインキ層を形成するように、すなわちインキを計量してインキローラ25の外周面に付与するインキ計量部材として機能する。
従来の普通紙や上質紙等を印刷する孔版印刷機や、本実施形態での通常製版モード実行時のドクターローラギャップ33は、例えば0.07〜0.1mm程度に設定されている。
従来の通常製版モード設定時であって、普通紙や上質紙等への非コート紙に印刷する場合に使用するインキとしては、例えばW/O型のエマルジョンインキが好ましく用いられていたが、本実施形態(本発明)では、上述したように用紙62への完全定着をするために活性エネルギー線硬化型インキとして例えば紫外線硬化型インキを用いている。以下、特に断らない限り、活性エネルギー線硬化型インキを単に「インキ」ともいう。
印圧部120において印刷画像が形成された用紙62は、排紙部130におけるエアーナイフ125からの送風により、また一点鎖線で示す剥離位置とこの剥離位置から離間する実線で示す離間位置とを選択的に占める排紙剥離爪114による機械的な分離作用によって、版胴21外周面上の製版済みのマスタ12から剥がされ、吸引用ファン118に吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された多孔性の搬送ベルト117に吸着され、この搬送ベルト117の反時計回り方向の回転により、矢印方向Y5(以下、「排紙方向」ともいう)のように排紙台52へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにしていわゆる版付け印刷が終了する。なお、版付け印刷時の印刷速度は、例えば16〜20枚/min(分)というような低速度に設定される。
版付け印刷終了後、プレスローラ23は印刷ドラム20から離間し、印刷ドラム20は図2においてマスタクランパ22が略真上となる初期位置(ホームポジション)に復帰して、印刷待機状態となる。
次に、図3に示す操作パネル90に配置されている図示しない印刷速度設定キーを押下することにより、所望する印刷速度値を設定し、これに前後して操作パネル90のテンキー93で印刷枚数をセットし、印刷スタートキー92を押すと上記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定された印刷速度でセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
以下、第1の実施形態に特有の構成、特殊製版モードおよびこれに関連する要部構成について、マスタ12の構成およびその接着強度、製版部1、操作パネル90、印刷ドラム部109等の詳細を説明する。
本実施形態の図1および図2に示した孔版印刷装置で使用されるマスタ12としては、熱可塑性樹脂フィルムと、和紙繊維とか合成繊維あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体とを貼り合わせた2層のラミネート構造のもの、および特開平10−147075号公報に記載されていると同様のマスタ、すなわち熱可塑性樹脂フィルムと少なくとも一層の多孔性樹脂膜と多孔性支持体とを有するマスタ、換言すれば熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に樹脂からなる多孔性樹脂膜を設け、さらにその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜からなる多孔質支持体を積層してなるものが挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のものが用いられる。マスタ12の厚みとしては、20〜60μmの範囲のものであり、そのうちの熱可塑性樹脂フィルムの厚みとしては、1.0〜3.5μmの範囲のものである。
マスタ12を構成している多孔性支持体は、伸びにくく、版胴21の外周表面にインキの粘着・付着力で貼り付いているが、表面側となる熱可塑性樹脂フィルムは伸びやすい。それ故に、表面側の熱可塑性樹脂フィルムは印刷時にコート紙などに貼り付いて引っ張られると、接着されている多孔性支持体や多孔性樹脂膜の塗布層から引き剥がされてしまい、シワが発生してしまう。このため、本実施形態では、コート紙印刷時に、熱可塑性樹脂フィルムが多孔性支持体や多孔性樹脂膜の塗布層から引き剥がされない接着強度として、実験の結果より6N/m以上あれば良いことが分かっており、本発明ではこの値をマスタの曲げ強度をアップするものとして推奨している。なお、従来使用のマスタでは、上記接着強度が4〜5N/mの範囲である。後述の実施例1および2等では、6N/m以上の3層構成のマスタ12を使用した。
サーマルヘッド10は、上記したように画像センサ89、図示しないA/D変換部、画像処理部4等を経由して、あるいは図示しないパソコン等からのデジタル画像信号を受信するための図示しないパソコン・コントローラやインターフェース装置、データ展開部等を経由して画像処理部を介して、それぞれ制御部2のサーマルヘッド駆動制御部5で処理されて送出されるデジタル画像データ信号を含むサーマルヘッド駆動用の信号に基づいて、多数の発熱体を位置選択的に加熱することにより、マスタ12を位置選択的に加熱溶融穿孔し製版する製版手段としての機能を有する。サーマルヘッド10は、図示しない周知の接離手段により、マスタ12を介してプラテンローラ14に接離自在となっている。
製版部1は、装置本体50に対して周知の着脱手段を介して着脱自在な製版ユニットを構成している。
この孔版印刷装置では、サーマルヘッド10としては、一般的に薄膜式サーマルヘッドのうちで平面型サーマルヘッドと呼ばれているものを用いているが、これに限らず、主走査方向に配列された複数(多数)の発熱体を具備したものであれば、公知の全ての形式・タイプのものを含む。すなわち、サーマルヘッド10としては、平面型サーマルヘッド、端面型サーマルヘッド、リアルエッジ型サーマルヘッドまたはコーナーエッジ型サーマルヘッドであってもよい。
また、サーマルヘッド10の発熱体9としては、通常、その平面視形状が矩形型のものを用いているが、熱集中型でもよい。
上述したとおり、製版部1は、サーマルヘッド10の主走査方向に配列された多数の発熱体9の部分をマスタ12のフィルムに接触させ、主走査方向と直交する副走査方向にマスタ12を所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データ(画像信号)に応じての個々の発熱体9の位置選択的な加熱によりマスタ12のフィルムを溶融穿孔して画像信号に応じたドット状の穿孔・製版画像(穿孔パターン)をマスタ12に形成する装置である。
本実施形態の製版部1では、副走査方向Yにマスタ12を相対的に移動させる際の副走査方向Yの解像度が、サーマルヘッド10の解像度と同じ解像度となるように予め設定されている。マスタ12を副走査方向Yに搬送する送り動作は、上記例のように所定の送りピッチで間欠的に移動するものに限らず、連続的に送るようにしてもよい。また、原稿読取部80に限らず、原稿60をコンタクトガラス上に載置・固定し、蛍光灯およびミラー等を具備した走査光学系を駆動モータにより移動させつつ原稿の読み取りを行うスキャナ移動方式を採用してもよい。この場合、上記走査光学系の移動速度を、副走査方向Yの解像度に対応した所定の送りピッチに変えるように上記駆動モータを制御すればよい。
操作パネル90は、原稿読取部80の上部の一側部に配置されている。操作パネル90には、図3に示すように、製版スタートキー91、印刷スタートキー92、テンキー93、試し刷りキー94、エンターキー95、モードクリアキー96、タッチパネル98および表示器99等が配設されている。また、操作パネル90には、図4に示すように、報知手段およびコート紙/非コート紙設定手段として機能するものも配設されている。これらについては、後述する。
製版スタートキー91は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー93は、印刷枚数等を入力・設定する機能を、印刷スタートキー92は、テンキー93で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、試し刷りキー94は、試し刷り印刷動作を起動する機能を、それぞれ有する。エンターキー95は、各種設定時に数値等を確定・設定する機能を、モードクリアキー96は、各種モード設定状態を消去・クリアする機能を有し、それぞれそれらの機能を発揮させたい場合等に押下される。
タッチパネル98は、図示しないタッチパネル駆動回路を含むLCD(液晶表示装置)駆動回路により駆動され、周知のタッチパネル方式で画面表示された各種モードや種々の選択設定手段(上述のコート紙/非コート紙設定手段)を白黒反転表示させて選択設定できるように構成されている。
コート紙/非コート紙設定手段は、用紙として、コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段としての機能を有し、具体的にはタッチパネル98に設けられたコート紙設定キー30、非コート紙設定キー31で構成されている。
報知手段、コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段は、タッチパネル98に表示されるものに限らず、例えば単なるLCD表示やLED表示、音声による報知や、操作パネル90等に配設されたブザー97による警告音あるいはLEDの7セグメントを使用したコード表記でもよいし、あるいはそれらを適宜組合せたものでもよいし、また専用のキーを設けたり、LCDで階層表示させながら複数の選択設定キーで設定するものでもよい。タッチパネル98に配設された表示手段ないしは報知手段は、LCD画面からなる。
また、本実施形態の印刷ドラム部109に特有の構成として、図15に示すように、ドクターローラギャップ33を変えるインキ計量部材ギャップ可変手段としてのドクターローラギャップ可変機構212を有する。ドクターローラギャップ可変機構212は、例えば特開平9−174992号公報の図2に開示されているドクターローラ移動手段(12)と同様の構成であるが、本実施形態ではドクターローラギャップ33を可変機構にして、印刷モードを変更できるようにしたものである。ドクターローラ移動手段(12)は周知の構成であるため、上記公報のドクターローラ移動手段(12)およびその構成部品に符号200を加えた符号を付して説明する。
ドクターローラギャップ可変機構212は、図15に示すように、カムギヤ220、モータ221、ウォーム222等から主に構成されている。同図において217は、インキ供給管24の両端部に固設された一対の側板を示す。インキローラ25は、その両端部の回転軸25aが側板217,217間に矢印方向Aに回転自在に支持されている。ドクターローラ26は、その支軸26aの両端を一対のアーム18,18の一端部に回転自在に支持されており、側板217に取り付けられた図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される。アーム218,218の他端部は、側板217,217間に回転自在に支持された支軸218aに固着されている。一方のアーム218には、その一端が側板217に係止された引張バネ219の他端が係止されており、アーム218には支点軸218aを中心に引張バネ219による反時計回り方向の揺動付勢力が付与されている。アーム218の一端がカムギヤ220のカム部220cと当接することにより、ドクターローラ26は、その外周面とインキローラ25の外周面との間にドクターローラギャップ33が生じる位置に配設されており、インキローラ25の外周面の近接部において、楔状のインキ溜まり27を形成している。
上記構成のとおり、ドクターローラ26は、支点軸218aを中心に回転する一対のアーム218,218で回転自在に支持されており、引張バネ219によってアーム218とカムギヤ220とが当接するように付勢されている。カムギヤ220は、その軸220aが側板217に回転自在に支持されていて、その外周にはギヤ部220bと、3段階の段部220d,220e,220fを備えたカム部220cとが一体形成されている。アーム218の一端がカム部220cの段部220d,220e,220fとこの順に当接することにより、ドクターローラギャップ33がそれぞれ0.07〜0.1mm、0.2〜0.22mm、0.23〜0.3mmとなるようにカムギヤ220のカム部220c輪郭周面形状が設定されている。カムギヤ220には、カム部220cの何れの段部がアーム218の一端に当接しているかを把握するための、位置検出手段としてのポテンショメータが取り付けられている。このポテンショメータからの出力信号は、図4に示す制御部2のマイクロコンピュータ周辺回路3に送信・入力される。カムギヤ220の近傍には、その出力軸221aにギヤ部220bと噛み合うウォーム222が固着された正逆転可能なモータ221が配設されている。モータ221は、図4に示す制御部2のドクターローラギャップ可変制御手段7により制御される。
このようなドクターローラギャップ可変機構212を設けることで、例えば、「マスタと密着しにくく、インキが浸透するのでインキの量は少なくても良い普通紙への印刷時にはドクターローラギャップ33を狭め、その逆のコート紙への印刷時にはドクター口―ラギャップ33を広くする」といったように、印刷条件に応じて印刷モードを変更することができるようになる。
インキローラ25は、印刷時にはその外周面を版胴21の内周面に接触している。インキ供給管24から滴下されインキ溜まり27を形成したインキは、ドクターローラギャップを通る際に所定の厚さのインキ層をインキローラ25の外周面に付着形成すべく規制ないし計量され、次いで、外周面に所定の厚さのインキを付着したインキローラ25が印刷ドラム20の回転速度と同期して回転しながら版胴21の内周面にインキを塗布・供給することとなる。つまり、ドクターローラギャップ33が広ければ広いほど、多量のインキが版胴21から製版済みのマスタ12へ供給されることになる。
図14(a)、(b)を参照して、上述の内容をさらに具体的に説明する。図14(a)は、製版済みのマスタ12とコート紙等の用紙62との間にインキ34が少ない状態で、両者が強く密着している状態を示しており、図14(b)は、製版済みのマスタ12とコート紙等の用紙62との間にインキ34が多くある状態で、インキ34が同図の上下方向に伸びやすく、両者の密着力が弱い状態を示している。このように用紙62と製版済みのマスタ12との密着力を低減できるので、印刷時に製版済みのマスタ12が用紙62に貼りついて浮き、製版済みのマスタ12がシワになるのを抑制できる。また、インキ34を多量に供給できるので、製版済みのマスタ12の穿孔は小さくて済み、マスタ12の強度を保つことができる。
本実施形態の印刷ドラム部109に特有の構成として、上述した印刷ドラム20内のドクターローラギャップ33の設定値が挙げられる。後述の実施例2で詳述するが、ドクターローラギャップ33は、実験の結果から0.2〜0.3mm、より好ましくは0.2〜0.22mmに設定されている範囲が良好な画像濃度の印刷画像品質が得られることが分かっている。
本実施形態では、図8および図9に示す一連の動作を説明する都合上からドクターローラギャップ可変機構212を有するものとして説明したが、これに限らず、本実施形態に特有の特殊製版モードで得られた製版済みのマスタのみを用いてコート紙にのみ印刷し完全定着するような孔版印刷装置・形態の場合には、ドクターローラギャップ可変機構212は必須の構成ではなく、ドクターローラギャップ33を可変にせず固定した構成にして、ドクターローラギャップ33を0.2〜0.3mm、より好ましくは0.2〜0.22mmに設定してもよい。
図4を参照して、孔版印刷装置の主として製版部1、操作パネル90、ドクターローラギャップ可変機構212を制御するための制御構成周りを説明する。同図に示すように、制御部2内のマイクロコンピュータ周辺回路3は、CPU、ROM、RAM、内部タイマ、I/OポートやA/D変換器、各種カウンタ等を備えたマイクロコンピュータ等を具備して構成されている。
マイクロコンピュータ周辺回路3のCPUは、演算および制御機能を有し、それぞれ後述する画像処理部4、サーマルヘッド駆動制御部5、ドクターローラギャップ可変制御手段6、その他制御手段7を統括的に制御している。マイクロコンピュータ周辺回路3のROMには、マイクロコンピュータ周辺回路3の上記機能を発揮するための動作プログラムおよび関係データ等が予め記憶されている。マイクロコンピュータ周辺回路3のRAMは、各種センサからのデータやマイクロコンピュータ周辺回路3の演算結果を一時的に記憶する。
マイクロコンピュータ周辺回路3およびサーマルヘッド駆動制御部5の通電タイミング変更手段および製版方法選択手段は、画像処理部4から順次送信されてくる黒画素のデータ信号に応じて、サーマルヘッド10の各発熱体9の奇数番目に当たる奇数ビット、および各発熱体9の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によってフィルムに形成される穿孔が主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によってフィルムに形成される各穿孔が主走査方向の同じ一列上に隣り合わないように、サーマルヘッド10の個々の発熱体9を制御することによって、マスタを製版する特殊製版モードを実行させる第1の制御手段として機能する。
画像処理部4から順次送信されてくる黒画素や白画素のデータ信号は、サーマルヘッド10の主走査方向の一端部より他端部に向けて順に一列に配列された発熱体9に対応して1対1に予め割り当てられているため、黒画素や白画素のデータ信号に対応してサーマルヘッド10の奇数ビット(奇数番目の発熱体9)と偶数ビット(偶数番目の発熱体9)は一義的に定まることとなる。
サーマルヘッド駆動制御部5の通電タイミング変更手段は、サーマルヘッド10の奇数ビットと偶数ビットとに対する通電タイミングを異ならせる機能を有する。
サーマルヘッド駆動制御部5の印加エネルギー変更手段は、サーマルヘッド10の奇数ビットと偶数ビットとに対して印加する印加エネルギーを異ならせる機能を有する。
ドクターローラギャップ可変制御手段6は、マイクロコンピュータ周辺回路3を介して送信されてくるコート紙設定キー30または非コート紙設定キー31からの信号およびポテンショメータ(図示せず)からの信号に基づいて、ドクターローラギャップ可変機構212のモータ221を制御するインキ計量部材ギャップ量制御手段としての機能を有する。
なお、図4に示した制御構成はあくまでも本実施形態の一例に過ぎず、例えばマイクロコンピュータ周辺回路3をサーマルヘッド駆動制御部5内に組み込んで一体化したような制御構成でもよいし、サーマルヘッド駆動制御部5内の各手段をマイクロコンピュータおよび制御回路等で構成しても構わない。
次に、図5(a)、(b)を参照して、本実施形態における孔版印刷装置のサーマルヘッド10でマスタ12のフィルムに溶融穿孔される穿孔パターンに関して説明する。図5(a)は、本実施形態(本発明)の第1の制御手段による特殊製版モード実行時にマスタ12のフィルムに形成される概略的な穿孔パターンであり、図5(b)は、本実施形態(比較例)の第2の制御手段による通常製版モード実行時にマスタ12’のフィルムに形成される概略的な穿孔パターンであり、共にベタ部での状態を抜粋したものである。
両穿孔パターンは共に次の仕様のサーマルヘッド10、製版部1の副走査送り解像度条件で穿孔・製版されるものである。両モード実行時、マスタは同一の仕様のものを使用し、環境条件の温湿度等も同一である。
サーマルヘッド仕様:600dpi(薄膜式かつ平面型で発熱体が矩形状)
副走査送り解像度(送りピッチ):600dpi
画像パターン(穿孔パターン):ベタ
図5(a)において、100は、サーマルヘッド10でマスタ12のフィルムを溶融穿孔した穿孔箇所を示している。同図において、101はサーマルヘッド10の奇数ビットでの発熱体9で溶融穿孔されるラインを、102は、サーマルヘッド10の偶数ビットでの発熱体9で溶融穿孔されるラインを、それぞれ示している。105は、使用するサーマルヘッド10の主走査方向Sの解像度ピッチである。103は、サーマルヘッド10の奇数ビットでの発熱体9で溶融穿孔されるライン101の副走査方向Yのピッチを、104は、サーマルヘッド10の奇数ビットと偶数ビットの発熱体9で溶融穿孔させた場合の副走査方向Yのピッチ差を、それぞれ示している。
図5(a)の穿孔状態に特徴的なこととしては、大きく見ると、穿孔パターンの配置として亀の甲羅のようになっていて、規則正しく配置されていることであり、これは特殊製版(もしくは亀甲製版)モード実行時に特有のものである。図5(a)では、サーマルヘッド10での発熱体9で溶融穿孔された状態として、発熱体9での奇数ビットおよび偶数ビットとの副走査方向Y(マスタ搬送方向Y)のピッチ差104が、サーマルヘッド10の主走査方向Sの解像度ピッチ105の1/2となっている。
次に、図5(b)に示した比較例としての従来の穿孔状態について説明する。図5(b)において、100’,103’,105’は、図5(a)での100,103,105に各々対応している。図5(a)、(b)において、破線で囲んで示す矩形枠の一つ一つは、1画素を示している(以下、同様)。
図5(a)および図5(b)に示す穿孔状態としては、各穿孔100間および各穿孔100’間には離間部が形成されていて、互いに独立穿孔されている。また、図5(a)に示す穿孔状態としては、そのフィルムの互いに隣る穿孔100間の残存幅寸法が熱可塑性樹脂フィルムの厚みよりも広いことが特徴である。ちなみに、使用したマスタ12の熱可塑性樹脂フィルムの厚みが1.8μmのとき、その熱可塑性樹脂フィルムの溶融穿孔した際の残存幅寸法は副走査方向Yで隣り合う一番狭い幅の箇所において、1.8μmよりも広い幅寸法となっている。
次に、図6を参照してサーマルヘッド10の各発熱体9で溶融穿孔させる駆動方法に関して説明する。同図は、サーマルヘッド10における各発熱体9での奇数ビットおよび偶数ビットとの通電タイミングの概略を図示したものである。基本的には、サーマルヘッド駆動制御部5の通電タイミング変更手段によって、奇数ビットと偶数ビットで異なったタイミングで通電させている。上述したように、サーマルヘッド10を駆動させる際には、サーマルヘッドに印字させる際のDATA信号、このDATA信号をサーマルヘッド10内に具備されているドライバICへ転送させるためのCLK信号、ドライバICに転送されたDATA信号をラッチさせるLATCH信号、サーマルヘッド10に通電させるためのSTB信号の4つの信号が基本的に必要となる。
図6では分かりやすくするため、その信号を奇数ビット用のodd、偶数ビット用のevenで切り分けて記載している。同図に特徴的なこととしては、奇数ビットと偶数ビットとの通電タイミングが異なっている点である。実際には、サーマルヘッド10内は数ブロックに分割されて発熱駆動される場合が多く、その際にはブロック毎の制御に拘らず、ブロックに分かれていても奇数ビットおよび偶数ビット別に制御してやること等が考えられ、他には、ブロック内で奇数ビットおよび偶数ビット毎に制御しても構わなく、また、サーマルヘッド10内のドライバIC自身が奇数ビットと偶数ビットに分かれていて実施しても構わない。本発明で重要なこととしては、奇数ビットと偶数ビットが主走査方向S上に一列に並ぶことがないようにすることである。サーマルヘッド10の駆動分割内における穿孔状態としても、発熱体9での奇数ビットおよび偶数ビットとの副走査方向Y(マスタ搬送方向Y)のピッチ差104が、サーマルヘッド10の主走査方向Sの解像度ピッチ105の1/2となることは無論である。
図7を参照して、本実施形態で形成可能な穿孔パターンに関して説明する。同図は、サーマルヘッド10の各発熱体9で溶融穿孔させる駆動方法として、各発熱体9での奇数ビットおよび偶数ビットを駆動させる際の通電エネルギーを異ならせ、すなわち図4に示したサーマルヘッド駆動制御部5の印加エネルギー変更手段によって、偶数ビットの発熱体9に付与する印加エネルギーとしての通電エネルギー(例えば通電パルス幅)を奇数ビットのそれよりも小さくすることで、穿孔状態としても異なっている、つまり偶数ビットによる穿孔106の大きさ(径)を奇数ビットによる穿孔100の大きさ(径)よりも小さく形成したものを図示したものである。このような穿孔状態を得ることによって、細線時の印刷状態が滑らかになる効果が得られる。
なお、印加エネルギー(穿孔エネルギー)の調整・変更は、特許第2756219号公報に記載されているように、画像信号に応じてサーマルヘッド10の個々の発熱素子9に流す電流値もしくは発熱素子9に印加する電圧値の変化により行うようにしてもよいが、本実施形態においては、上記サーマルヘッド駆動回路を介してサーマルヘッド10の各発熱素子9へ供給する通電パルス幅の変化により行うのが一般的である。
次に図8および図9のフローチャートを参照して、図4に示した制御部2のマイクロコンピュータ周辺回路3のCPUの指令の下に実行される本実施形態の動作を説明する。この動作説明では、本発明に関わる箇所のみを説明することにし、それ以外に関しては周知であるため省略する。
先ず、図8に示すステップS1において、製版動作か印刷動作かを判断する。製版動作を実行する場合、ステップS2に進み、使用する用紙に関して上述で説明したコート紙/非コート紙設定手段(コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択手段)のコート紙設定キー30または非コート紙設定キー31をタッチして設定する。非コート紙設定キー31で非コート紙を設定したときには、ステップS3に進み、コート紙設定キー30でコート紙を設定したときには、ステップS4に進む。
ステップS3およびステップS4において、選択されるモードは2種類あり、以下のように製版設定が大別される。すなわち、
通常製版モード:非コート紙に好適な製版方法が設定される場合であり、第2の制御手段によって従来と同様の通常製版(従来の製版)方法で穿孔・製版動作が実行されるモードである(ステップS3)。
特殊製版モード:コート紙に好適な製版方法が設定される場合であり、本発明での穿孔状態、すなわち第1の制御手段によってサーマルヘッド10における各発熱体9の奇数ビットおよび偶数ビットの発熱駆動によって穿孔が主走査方向Sの互いに異なる一列上に形成され、かつ、隣接する奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって各穿孔が主走査方向Sの同じ一列上に隣り合わない穿孔パターンとなる穿孔状態が得られるモードである(ステップS4)。
ここで、上記2種類のモード設定は、本実施形態(本発明)における初期設定であり変更可能である。また、上記2種類の製版モード設定は、図4に示したサーマルヘッド駆動制御部5の製版方法選択手段によりなされる。
次いで、ステップS5において、通常製版モードまたは特殊製版モード内容で設定された製版方法で製版され、その製版が完了したか否かが判断される。(ステップS6)。製版が完了した場合には、図9に示す印刷動作に移行する。
すなわち、図9に示す印刷動作を実行する場合、ステップS7に進み、使用する用紙に関してコート紙および非コート紙のうちの何れが設定されたのかが判断される。非コート紙を設定したときには、ステップS8に進み、コート紙を設定したときには、ステップS9に進む。
ステップS8およびステップS9において、選択されるモードは図8に示した各製版モードに対応して2種類あり、以下のように印刷動作設定が分別される。すなわち、
通常印刷モード:非コート紙に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、本実施形態例では図4に示したドクターローラギャップ可変制御手段6によってドクターローラギャップ可変機構212のモータ221が制御されることで、ドクターローラギャップ33が0.07〜0.1mmに設定される(ステップS8)。
特殊印刷モード:コート紙設定に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、本実施形態例では図4に示したドクターローラギャップ可変制御手段6によってドクターローラギャップ可変機構212のモータ221が制御されることで、ドクターローラギャップ33が0.2〜0.3mm、より好ましくは0.2〜0.22mmに設定される(ステップS9)。
このとき、大きく用紙を区別して非コート紙、コート紙別でも構わないが、非コート紙、コート紙のさらなる区分けで細かく設定しても構わない(以下、同様)。
次いで、ステップS10に進み、通常印刷モードまたは特殊印刷モード内容で設定された各用紙に好適なマシン条件で印刷され、その印刷が完了したか否かが判断されることとなる(ステップS11)。
このように、第1の実施形態によれば、主として被印刷媒体の種類(以下、「用紙種類」ともいう)等による印刷条件に応じて印刷モードを変更することができるようになる。
次に、図10を参照して、第1の制御手段による特殊製版モードで、第2の制御手段による従来の通常製版モードでそれぞれ実行した製版・印刷に関する実施例1について説明する。本実施例では、従来の通常製版モードの実行により得られた穿孔状態(穿孔パターン)およびコ一ト紙に印刷した場合の印刷状態と、本実施形態(本発明)の特殊製版モードの実行により得られた穿孔状態およびコート紙に印刷した場合の印刷状態とを比較し、活性エネルギー線硬化性インキとコート紙との組合せで印刷中に発生する使用済みのマスタの浮きによる印刷シワに関して述べる。
図10に示す写真は、33×33mmのベタ画像を穿孔製版させた際の穿孔状態(穿孔パターン)と、コ一ト紙に印刷した場合の印刷状態とを示している。同図の左側に示す写真は、従来の通常製版モードでコート紙と活性エネルギー線硬化型インキとの組合せで得られた穿孔状態(穿孔パターン)およびコート紙に印刷した印刷物であって、図1に示した活性エネルギー線硬化定着装置201を使用し、完全定着させた印刷物を示している。一方、同図の右側に示す写真は、本実施形態(本発明)の特殊製版モードでコート紙と活性エネルギー線硬化型インキとの組合せで得られた穿孔状態(穿孔パターン)およびコート紙に印刷した印刷物であって、同じく活性エネルギー線硬化定着装置201を使用し、完全定着させた印刷物を示している。活性エネルギー線硬化定着装置201は、具体的には紫外線照射定着装置を用いている。
上記製版・印刷を実施した共通の製版・印刷条件の概要を以下に示す。両者とも、図4に示したドクターローラギャップ可変制御手段6によるドクターローラギャップ33の設定・制御を実施していない。
環境条件:温度23℃、湿度41%RH
製版解像度:サーマルヘッドの解像度…600dpi、マスタの副走査方向の解像度ピッチ(送りピッチ)…600dpi
画像パターン(穿孔パターン):ベタ
使用マスタ:株式会社リコー製の「TypeIマスタ」…特開平10−147075号公報に記載されている熱可塑性樹脂フィルムと少なくとも一層の多孔性樹脂膜と多孔性支持体とを有するマスタである。
使用インキ:今回実験用に試作した孔版印刷用活性エネルギー線硬化型インキであって、紫外線硬化型インキを用いた。
印刷用紙:三菱製紙製パールコート紙68k
孔版印刷装置:株式会社リコー製の「サテリオA650改造品」
上記条件下にて印刷した図10の左側は、従来の通常製版モードで上記コート紙と上記活性エネルギー線硬化型インキとの組合せで得られた穿孔状態の製版済みのマスタを用いて上記コート紙に印刷した印刷物であって、活性エネルギー線硬化定着装置201を使用し、完全定着させた印刷物であるため、問題となるベタ画像でベタの横方向に白スジ状の画像不良が発生してしまっているのに対して、図10の右側は、本実施形態(本発明)の特殊製版モードで上記コート紙と上記活性エネルギー線硬化型インキとの組合せで得られた穿孔状態の製版済みのマスタを用いて上記コート紙に印刷した印刷物であって、同じく活性エネルギー線硬化定着装置201を使用し、完全定着させた印刷物であるため、ベタ画像において問題の無い画像が得られていることが分かる。
白スジ状の画像不良となる印刷シワが発生する理由としては、第1にコート紙は非コート紙に比べ平滑度が高いため用紙とマスタの密着力が高いこと、第2に活性エネルギー線硬化性インキは一般的に上述のエマルジョンインキよりもインキの凝集力、タック値が高いため用紙とマスタの密着力が高くなることが挙げられる。そのため印刷している際にベタ部が徐々に製版済みのマスタの搬送後方側、すなわち印刷画像の排出後方側へ引っ張られて最初は製版済みのマスタの浮きによる曲げが発生し、徐々に製版済みのマスタが伸びてたるみ、ひだ状になってマスタの浮きによる印刷シワ(白スジ状の画像)が発生してしまう現象が実験によって確認された。このような印刷シワは孔版印刷装置では重大な問題であり、また許されない不具合でもある。
しかしながら、本実施形態(本発明)でのサーマルヘッドの各発熱体で溶融穿孔させる穿孔パターンとしては、サーマルヘッドの各発熱体の奇数ビットおよび偶数ビットの発熱駆動によってフィルムに形成される穿孔が主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成され、かつ、隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によってフィルムに形成される各穿孔が主走査方向の同じ一列上に隣り合わないことを特徴としている。従って、図11に示すように従来の通常製版モードによって得られた製版済みのマスタ12’と比較して、図12に示すように本実施形態(本発明)の特殊製版モードによって得られた製版済みのマスタ12では、穿孔100形成部を除くフィルム残存部面積(非製版画像部の面積)が主走査方向Sで広くとれるため主走査方向Sへの曲げ、折れ等には剛性的に強くなっており、また太い破線で示すラインで考えると、穿孔されている数が少なくなり、前述したように用紙とマスタの密着力も弱まり、結果的にベタ部での印刷シワに対して発生防止効果が得られる。
上述した実施例1と同様の製版・印刷条件で実施例1と同様の孔版印刷装置を使用し、特殊製版モードの実行で得られた製版済みのマスタを用いてコート紙に印刷するときのドクターローラギャップを種々の範囲に変えて実験を実施した実施例2について説明する。この実験の結果、ドクターローラギャップの各範囲で印刷画像濃度(以下、表1を含めて「画像濃度」ともいう)が異なる結果が得られたほか、用紙とマスタとの密着力およびその他不具合に関する結果が得られた。これら複数回の実験の結果をまとめると、下表1のようになった。なお、画像濃度の判定は、印刷画像に関する評価・検査を行う複数人の目視・官能評価によった。表1中、「適当」と記載されているドクターローラギャップの範囲が孔版印刷装置での実用範囲である。
Figure 0005034048
表1の実験の結果から、ドクターローラギャップは0.2〜0.3mm、より好ましくは0.2〜0.22mmに設定されている範囲が良好な画像濃度の印刷画像品質が得られる面から適当であることが分かった。ドクターローラギャップがより好ましい0.2〜0.22mmの設定範囲は、インキの使用量、すなわち省資源とコストの両面を併せ考えた場合の範囲である。
上記実験の結果から画像濃度に関してまとめると、次のとおりである。すなわち、ドクターローラギャップが0.07〜0.1の範囲では、インキ不足となり、ベタ等の埋まりが悪く画像濃度が薄くなった。逆にドクターローラギャップが0.4を超えると、インキ供給が過多となり、画像濃度が濃くなってしまった。
上記実験の結果から用紙とマスタとの密着力に関してまとめると、次のとおりである。すなわち、ドクターローラギャップが0.07〜0.1の範囲では、インキ不足となり、用紙とマスタとの密着力が大きくなり、マスタの浮きによる印刷シワを発生させてしまった。ドクターローラギャップが0.2以上であれば、インキ供給量は十分であり、用紙とマスタとの密着力は低下した。
上記実験の結果からその他の不具合に関してまとめると、次のとおりである。すなわち、ドクターローラギャップが不適切で発生する不具合としては、インキ不足による濃度不足の他に、インキの過多によるインキ尻漏れがある。必要以上に版胴上の製版済みのマスタにインキを供給してしまうと、印刷中にマスタの穿孔部以外、特にはマスタの尻側や画像後端側の部位からインキが染み出し、印刷画像を汚してしまう。特にインキが浸透しないコート紙などでは、このインキ尻漏れが発生しやすいことも分かった。上述したように、ドクターローラギャップを従来よりも広く設定することで、マスタと用紙との間のインキを増加させ、両者を剥離しやすくできるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、特殊製版モードの実行によってマスタの曲げ強度がアップすると共に、インキローラ25外周面とドクターローラ26外周面との間のドクターローラギャップ33が0.2〜0.3mmに設定されていることにより画像濃度を高くすることが可能となるので、マスタとコート紙等の被印刷媒体との貼り付き・浮きによる印刷シワやマスタの寄りを抑制することができると共に、従来の通常製版によるマスタを用いて印刷した場合と画像濃度を同等もしくは近づけることが可能となり最適な印刷画像品質を得ることができる。また、モード選択設定手段としてのコート紙設定キー30もしくは非コート紙設定キー31によって特殊製版モードおよび通常製版モードの何れか一方を選択的に設定可能で、さらにドクターローラギャップ可変機構212によってインキローラ25外周面とドクターローラ26外周面との間のドクターローラギャップ33を変えることができるので、上記効果に加えて、被印刷媒体の種類(用紙種類)等の条件に合わせて製版・印刷モードを変更することもできる。すなわち、上述した効果の欄に記載した効果を本実施形態でも奏するものである。
(変形例1)
図16を参照して、第1の実施形態の変形例1を説明する。変形例1は、第1の実施形態の図2および図15等に示したドクターローラギャップ可変機構212を除去しこれに代えて、版胴21の内周面とインキローラ25の外周面とのギャップ(隙間:以下、「インキローラギャップ」ともいう)に関して、印刷時に、インキローラ25が版胴21の内周面に接触するように配設された構成(インキローラギャップが「0」)である点が主に相違する。
印刷ドラム20内の版胴21の近傍には、インキローラ25が設けられている。インキローラギャップは、一般に、普通紙や上質紙等の非コート紙を印刷するための従来の孔版印刷装置では0.1〜0.5mmに設定されている。このような従来の孔版印刷装置では、図16に示すように、印刷時に、プレスローラ23が用紙と製版済みのマスタ(共に図示せず)を介して印刷ドラム20の版胴21を押圧すると、版胴21は内側に変形する。この変形した版胴21の内周面が、定位置で回転するインキローラ25の外周面に接触し、版胴21の内周面にインキを供給する。
本変形例では、このインキローラギャップは、印刷時に0mmに設定、すなわち印刷時にインキローラ25の外周面が版胴21の内周面に接触するように設定されている。図16において、インキローラ25およびドクターローラ26は、版胴21内に配置された図示しない不動部材に固着されたインキ側板39に回転自在に軸支されている。このようにインキローラギャップを0mmを設定することで、版胴21を変形させるまでプレスローラ23を押圧する必要がなくなるので、弱い力で容易にインキを用紙に転写できるようになる。また、プレスローラ23の押圧時(印刷時)に版胴21が変形しなくなり、これにより版胴21の外周面に巻かれているマスタが不用意に曲げられるのを防止できるので、マスタヘのストレスを低減でき、マスタシワを抑制できる。さらに、版胴21の変形でマスタと用紙の接触面積が増加することもなくなることにより、用紙とマスタの密着力を低減できるので、印刷時にマスタが用紙に貼りついて浮き、マスタがシワになるのを抑制できる。
(変形例2)
図17〜図19を参照して、図16に示した変形例1の別の変形例2を説明する。変形例2は、図16に示した変形例1における印刷時のインキローラギャップが「0」である構成に代えて、図17〜図19に示すようにインキローラギャップを変えるインキ供給部材ギャップ可変手段としてのインキローラギャップ可変機構36を用いている点、図4に示した制御構成に代えて、図19に示す制御構成を用いて印刷モードを変更できるようにした点が主に相違する。
インキローラギャップ可変機構36は、図17および図18に示すように、インキ供給管24に固着された固定側板37と、固定側板37に所定の角度範囲で回動自在に支持された回転軸38にその一端が固着されたインキ側板39と、インキ側板39の他端にその一端が係止され、他端が版胴21内の図示しない不動部材に係止されインキ側板39の他端を回転軸38を中心として常に時計回り方向に揺動する向きに付勢する引張バネ40と、インキ側板39の一端と他端との間のインキ側板39の一側上面に対向し接触可能に配設された偏心カム41と、偏心カム41の軸41aにギヤ等の図示しない駆動力伝達部材を介して連結されたカム駆動モータ42と、偏心カム41のホームポジションである大径部または小径部の回転位置(位相)を検知するための軸41aに固着された遮光板(図示せず)およびこの遮光板と選択的に係合することで透過型フォトセンサからなるホームポジション検知手段としてのホームポジション(図示せず)とから主に構成されている。インキローラギャップ可変機構36は、印刷ドラム20内部に配設されている。
インキローラギャップ可変機構36は、これに限らず、例えば特許第3806463号公報の図3および図4に開示されているものであってもよい。
図19に示す制御構成は、図4に示した制御構成と比較して、ドクターローラギャップ可変制御手段6に代えて、インキローラギャップ可変制御手段43を用いる点、モータ221に代えてカム駆動モータ42を用いる点のみが相違する。
インキローラギャップ可変制御手段43は、マイクロコンピュータ周辺回路3を介して送信されてくるコート紙設定キー30または非コート紙設定キー31からの信号およびホームポジションセンサ(図示せず)からの信号に基づいて、インキローラギャップ可変機構36のカム駆動モータ42を制御するインキ供給部材ギャップ量可変制御手段としての機能を有する。
次に、図9に基づいて、第1の実施形態と相違する動作のみを説明する。以下に説明する動作以外は、第1の実施形態と同様である。
図9に示したステップS8の通常印刷モード実行時では、非コート紙に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、すなわち本変形例では図19に示したインキローラギャップ可変制御手段43によって、マスタと密着しにくく、インキが浸透するためインキの量は少なくても良い普通紙や上質等への印刷時には、インキローラギャップ35を大きくするよう図17に示す偏心カム41の小径部がインキローラ側板39の一端上面と対向・接触する位置を占めるように、カム駆動モータ42が制御される。
一方、ステップS9の特殊印刷モード実行時では、コート紙設定に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、すなわち本変形例では図19に示したインキローラギャップ可変制御手段43によって、マスタと密着しやすく、インキが浸透しないためインキの量が多く必要とするコート紙等への印刷時には、インキローラギャップ35を小さく、「0」に近づけるかもしくは「0」にするよう図18に示す偏心カム41の大径部がインキローラ側板39の一端上面と対向・接触する位置を占めるように、カム駆動モータ42が制御される。
このように、変形例2によれば、主として用紙種類等による印刷条件に応じて印刷モードを変更することができるようになる。
(変形例3)
図20〜図22を参照して、第1の実施形態の変形例3を説明する。変形例3は、第1の実施形態の図2および図15等に示したドクターローラギャップ可変機構212を除去しこれに代えて、図20〜図22に示すように、オフセット44を変えるオフセット可変手段としてのオフセット可変機構45を用いる点、図4に示した制御構成に代えて、図22に示す制御構成を用いて印刷モードを変更できるようにした点が主に相違する。
本変形例で言うオフセット44とは、図20(a)、(b)に示すように、プレスローラ23の中心に対するインキローラ25の中心のズレ量を指している。図20(b)に示すようにオフセット44の量を大きくすると、図20(a)に示すようにオフセット44の量が比較的小さい場合と比べて、排紙方向Y5が同図でより下方向になることにより、版胴21外周面とプレスローラ23外周面とのニップ部を通る接線と排紙方向とのなす角度θが大きくなり、用紙が版胴21の外周表面上のマスタから離れやすくなるので、用紙とマスタの密着力を低減することができる。それ故に、印刷時にマスタが用紙に貼りついて浮き、マスタがシワになるのを抑制できる。
特にコート紙とマスタとは密着しやすいので、オフセット44の量は普通紙や上質紙等の非コート紙の場合よりも大きく設定しておくことが望ましい。そこで、本変形例では、オフセット可変機構45を採用して、印刷モードを変更できるようになっている。
オフセット可変機構45は、図21に示すように、例えば特許第2960857号公報の図1に開示されているインキローラ移動手段(80)とほぼ同様の構成であるため、インキローラ移動手段(80)を構成する段落「0022」〜「0033」に記載されている特有の構成部品の符号に「300」を加えた符号を付して、細部の説明を省略する。
オフセット可変機構45は、上記インキローラ移動手段(80)と比較して、ソレノイド310、プランジャ310pおよび戻しスプリング311の配置を左右反対にした点が主に相違し、これによってソレノイド310をオンした際にインキ供給手段390を構成するインキローラ25およびドクターローラ26をプレスローラ23に対して図21の左側に偏倚させる点が異なる。
図21において、21Cは版胴軸線、23Cはプレスローラ23の軸線25Cはインキローラ25の軸線をそれぞれ示す。オフセット可変機構45は、概略的に説明すると、インキ供給手段390を構成するインキローラ25およびドクターローラ26が移動側板306a,306bに回転自在に支持され、かつ、一体的にユニット化されていて、移動側板306a,306bおよび固定側板307a,307bに形成された移動側板長穴306s,306sおよび固定側板長穴307s,307sに緩く嵌入され連結リンク309に固設されている移動軸308を介して、連結リンク309に連結されたプランジャ310pを備えたソレノイド310のオン/オフによって、版胴軸線21Cを中心に移動側板306a,306bと共にインキローラ25およびドクターローラ26が揺動変位することで、オフセットが可変される構成である。オフセット可変機構45は、印刷ドラム20の内部に配設されている。
図22に示す制御構成は、図4に示した制御構成と比較して、ドクターローラギャップ可変制御手段6に代えて、オフセット可変制御手段46を用いる点、モータ221に代えてソレノイド310を用いる点のみが相違する。
オフセット可変制御手段46は、マイクロコンピュータ周辺回路3を介して送信されてくるコート紙設定キー30または非コート紙設定キー31からの信号に基づいて、オフセット可変機構45のソレノイド310をオン/オフ制御する機能を有する。
次に、図9に基づいて、第1の実施形態と相違する動作のみを説明する。以下に説明する動作以外は、第1の実施形態と同様である。
図9に示したステップS8の通常印刷モード実行時では、非コート紙に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、すなわち本変形例では図22に示したオフセット可変制御手段46によって、マスタと密着しにくい普通紙や上質等への印刷時にはオフセット44を小さくするように、ソレノイド310がオフ制御される(図20(a)参照)。
一方、ステップS8の特殊印刷モード実行時では、コート紙設定に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、すなわち本変形例ではオフセット可変制御手段46によって、マスタと密着しやすいコート紙等への印刷時にはオフセット44を大きくするように、ソレノイド310がオン制御される(図20(b)参照)。
このように、変形例3によれば、主として用紙種類等による印刷条件に応じて印刷モードを変更することができるようになる。
(変形例4)
図1および図23を参照して、第1の実施形態の変形例4を説明する。変形例4は、第1の実施形態の図2および図15等に示したドクターローラギャップ可変機構212を除去しこれに代えて、図1および図23に示すように、エアーナイフ125の風量を変える風量可変手段としてのエアーナイフ風量可変手段を用いる点、図4に示した制御構成に代えて、図23に示す制御構成を用いて印刷モードを変更できるようにした点が主に相違する。
図1に示すように、エアーナイフ125は、空気取入口125a、空気吹出口125b、ファンモータ126を内蔵しこれにより回転駆動されるファン125cから主に構成されている。印刷時には、ファンモータ126の回転駆動によりファン125cを回転させることによって、版胴21とプレスローラ23のニップヘ向かって送風され、版胴上の製版済みのマスタから用紙の剥離をアシストする。エアーナイフ125は、特開平9−240128号公報の図1等に開示されているエアーナイフ(23)と同様のものである。
図23に示す制御構成は、図4に示した制御構成と比較して、ドクターローラギャップ可変制御手段6に代えて、エアーナイフ風量可変制御手段47を用いる点、モータ221に代えてファンモータ126を用いる点のみが相違する。
エアーナイフ風量可変制御手段47は、マイクロコンピュータ周辺回路3を介して送信されてくるコート紙設定キー30または非コート紙設定キー31からの信号に基づいて、エアーナイフ風量可変手段として機能するファンモータ126の回転数を制御する送風量可変制御手段としての機能を有する。エアーナイフ風量可変制御手段47は、例えば電圧変更で、ファンモータ126の回転数を制御し、風量を変更するものである。
次に、図9に基づいて、第1の実施形態と相違する動作のみを説明する。以下に説明する動作以外は、第1の実施形態と同様である。
図9に示したステップS8の通常印刷モード実行時では、非コート紙に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、すなわち本変形例では図22に示したエアーナイフ風量可変制御手段47によって、マスタと密着しにくい普通紙や上質等への印刷時にはエアーナイフ125の風量が弱くなるように、ファンモータ126の回転数を減少する制御がされる。
一方、ステップS8の特殊印刷モード実行時では、コート紙設定に好適なマシン条件が設定される印刷モードに見合った各種設定、すなわち本変形例ではエアーナイフ風量可変制御手段47によって、マスタと密着しやすいコート紙等への印刷時にはエアーナイフ125の風量が強くなるように、ファンモータ126の回転数を増加する制御がされる。
このように、変形例4によれば、主として用紙種類等による印刷条件に応じて印刷モードを変更することができるようになる。
図9のステップS8およびステップS9において、印刷モードに見合った各種設定としては、第1の実施形態、変形例2〜4に個別に記載したドクターローラギャップ可変機構212、インキローラギャップ可変機構36、オフセット可変機構45、エアーナイフ風量可変手段47に限らず、これらの少なくとも2つ以上を組合わせて配設し、これに併せて各可変制御手段6、43、46、47を適宜配設し、木目細かく制御するようにしてもよい。
以上述べたように、本発明の実施形態や各変形例では、孔版印刷装置で使用する用紙が非コート紙(上質紙等)もしくはコート紙の場合であっても、「特殊(亀甲)穿孔パターン採用」、「ドクターローラギャップ等のマシン設定」、「強接着強度のマスタを使用」をすることにより、マスタの印刷シワや寄りが発生せず、最適な印刷画像品質が得られる孔版印刷装置実現しを提供することが可能となる。
上述した「被印刷媒体」とは、狭義にはコート紙の他に、上質紙、普通紙やハガキ等を包含する非コート紙を含むことは無論のこと、広義には樹脂製のフィルムシートや、金属製のシート、ガラス製のシートなども含まれる。
コート紙/非コート紙設定手段(コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択手段)は、これに限らず、例えば反射型のフォトセンサを用いて反射光量の差異を検出し所定の閾値と比較することにより、コート紙および非コート紙を検知する被印刷媒体種類検知手段であってもよい。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術内容は、上述した実施形態等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明の第1の実施形態を示す孔版印刷装置の模式的な正面図である。 図1の孔版印刷装置本体の全体構成を示す正面図である。 図2の孔版印刷装置本体に用いられる操作パネルの平面図である。 第1の実施形態の要部の制御構成を示すブロック図である。 (a)は、第1の実施形態(本発明)の特殊製版モードによって得られた製版済みのマスタの穿孔状態を説明する平面図、(b)は、従来の通常製版モードによって得られた製版済みのマスタの穿孔状態を説明する平面図である。 本実施形態のサーマルヘッドに送信される各信号のタイミングチャートである。 第1の実施形態の特殊製版モードによって形成可能な穿孔パターンに関して、通電エネルギーを異ならせた場合に得られた製版済みのマスタの穿孔状態を説明する平面図である。 第1の実施形態の製版動作を表すフローチャートである。 図8に続く第1の実施形態の印刷動作を表すフローチャートである。 実施例1を示す写真であって、図において左側に示すものは、従来の通常製版モードによって得られたマスタの穿孔状態およびこれを用いてコート紙に印刷したときの印刷状態を、右側に示すものは、実施例1(本発明)の特殊製版モードによって得られたマスタの穿孔状態およびこれを用いてコート紙に印刷したときの印刷状態を、それぞれ示す写真である。 従来の通常製版モードによって得られた製版済みのマスタを曲げたときの、主走査方向の互いに隣る穿孔間の残存幅(非画像部)の面積を説明する図である。 第1の実施形態(本発明)の特殊製版モードによって得られた製版済みのマスタの穿孔状態を曲げたときの、主走査方向の互いに隣る穿孔間の残存幅(非画像部)の面積を説明する図である。 (a)は、通常製版モードによって得られた製版済みのマスタの穿孔率、各穿孔間の距離等を説明する平面図、(b)は、特殊製版モードによって得られた製版済みのマスタの穿孔率、各穿孔間の距離等を説明する平面図である。 (a)は、製版済みのマスタとコート紙等の用紙との間にインキが少ない状態で、両者が強く密着している状態を説明する説明図、(b)は、製版済みのマスタとコート紙等の用紙との間にインキが多くある状態で、インキが同図の上下方向に伸びやすく、両者の密着力が弱い状態を説明する説明図である。 第1の実施形態のドクターローラギャップ可変機構の要部の断面図である。 参考例を説明するための、従来のインキローラギャップの設定構造を示す要部の断面図である。 変形例1のインキローラギャップ可変機構の構成および動作を示す要部の断面図である。 変形例1のインキローラギャップ可変機構の構成および動作を示す要部の断面図である。 変形例1の要部の制御構成を示すブロック図である。 変形例2のオフセット可変機構の構成および動作を示す要部の断面図である。 変形例2のオフセット可変機構の構成を示す要部の断面図である。 変形例2の要部の制御構成を示すブロック図である。 変形例3の要部の制御構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 製版部(製版装置)
2 制御部
3 マイクロコンピュータ周辺回路(第1、第2の制御手段を構成)
4 画像処理部
5 サーマルヘッド駆動制御部(第1、第2の制御手段を構成)
6 ドクターローラギャップ可変制御手段
7 その他制御手段(報知制御手段)
9 発熱体(発熱素子)
10 サーマルヘッド(製版手段)
11 マスタ送りモータ
12 マスタ
14 プラテンローラ
20 印刷ドラム
21 版胴
23 プレスローラ(押圧手段)
25 インキローラ(インキ供給部材)
26 ドクターローラ(インキ計量部材)
30 コート紙設定キー(コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段
31 非コート紙設定キー(コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段
33 ドクターローラギャップ(インキ供給部材とインキ計量部材との間のギャップ)
35 インキローラギャップ(印刷ドラムの内周面とインキ供給部材との間のギャップ)
36 インキローラギャップ可変機構(インキ供給部材ギャップ可変手段)
43 インキローラギャップ可変制御手段(インキ供給部材ギャップ可変制御手段)
45 オフセット可変機構(オフセット可変手段)
46 オフセット可変制御手段
47 エアーナイフ風量可変制御手段(送風量可変制御手段)
62 用紙(被印刷媒体、シート状記録媒体)
90 操作パネル
98 タッチパネル
100、100’、106 マスタのフィルムに形成された穿孔
101 サーマルヘッドの奇数ビットで穿孔されるライン
102 サーマルヘッドの偶数ビットで穿孔されるライン
103 サーマルヘッドの奇数ビットで穿孔されるラインの副走査方向ピッチ
104 サーマルヘッドの奇数ビットと偶数ビットで穿孔させた場合の副走査方向のピッチ差
105 サーマルヘッドの主走査方向の解像度ピッチ
125 エアーナイフ(送風手段)
126 ファンモータ(風量可変手段)
200 孔版印刷装置
201 活性エネルギー線硬化定着装置
202 給紙部
203 給紙台
204 排紙台
212 ドクターローラギャップ可変機構(インキ計量部材ギャップ可変手段)
S 主走査方向
Y 副走査方向・マスタ搬送方向

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内部に設けられ該印刷ドラムの内周面にインキを供給するインキ供給部材および該インキ供給部材に近接して設けられ該インキ供給部材上のインキ量を計量するインキ計量部材により上記印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を少なくともコート紙を含む被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能である孔版印刷装置において、
    上記インキ供給部材と上記インキ計量部材との間のギャップを変えるインキ計量部材ギャップ可変手段と、
    コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と
    を有し、
    上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、
    上記インキ計量部材ギャップ可変手段により、上記ギャップが0.2〜0.3mmに設定される特殊印刷モード、および上記インキ計量部材ギャップ可変手段により、上記ギャップが上記特殊印刷モードのそれと比べて小さく設定される通常印刷モードが実行可能であり、
    上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、
    上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内部に設けられ該印刷ドラムの内周面にインキを供給するインキ供給部材により上記印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を少なくともコート紙を含む被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能である孔版印刷装置において、
    上記印刷ドラムの内周面と上記インキ供給部材とのギャップを変えるインキ供給部材ギャップ可変手段と、
    コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と
    を有し、
    上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、
    上記インキ供給部材ギャップ可変手段により、上記ギャップがゼロに設定される特殊印刷モード、および上記インキ供給部材ギャップ可変手段により、上記ギャップが上記特殊印刷モードのそれと比べて大きく設定される通常印刷モードが実行可能であり、
    上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、
    上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする孔版印刷装置。
  3. 熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内部に設けられ該印刷ドラムの内周面にインキを供給するインキ供給部材により上記印刷ドラムの内周側からインキを供給しながら、上記インキ供給部材と対向して設けられた押圧部材により上記印刷ドラム上の製版済みのマスタに少なくともコート紙を含む被印刷媒体を相対的に押し付けることで、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を上記被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能である孔版印刷装置において、
    上記押圧部材の中心に対する上記インキ供給部材の中心のズレ量であるオフセットを変えるオフセット可変手段と、
    コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と
    を有し、
    上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、
    上記オフセット可変手段により、上記オフセットが相対的に大きくなるように設定される特殊印刷モード、および上記オフセットが相対的に小さくなるように設定される通常印刷モードが実行可能であり、
    上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、
    上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする孔版印刷装置。
  4. 熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタの該熱可塑性樹脂フィルム側に、主走査方向に配列された多数の発熱体を備えたサーマルヘッドを直接的に接触させると共に、上記主走査方向と直交する副走査方向にマスタ搬送手段により上記マスタを移動させながら、画像信号に応じた上記各発熱体の位置選択的な発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔させて上記画像信号に応じた穿孔パターンを得、この穿孔パターンが形成された製版済みのマスタを印刷ドラムの外周面に巻装し、上記印刷ドラムの内周側からインキを供給し、上記穿孔パターンを介して滲み出たインキにより上記画像信号に応じたインキ画像を少なくともコート紙を含む被印刷媒体上に形成し、上記インキとして活性エネルギー線硬化型インキを使用することにより上記被印刷媒体への完全定着が可能であり、上記印刷ドラム上の製版済みのマスタから上記被印刷媒体を剥離させる送風手段を具備する孔版印刷装置において、
    上記送風手段の風量を変える風量可変手段と、
    コート紙および非コート紙にそれぞれ対応した製版および印刷動作を実行する製版・印刷モードを選択設定することが可能なコート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段と
    を有し、
    上記各発熱体の奇数番目に当たる奇数ビットおよび該各発熱体の偶数番目に当たる偶数ビットの発熱駆動によって、上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の互いに異なる一列上にそれぞれ形成されるように、かつ、隣接した上記奇数ビットと上記偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に隣り合わないようにマスタを製版する特殊製版モード、および上記各発熱体の発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される穿孔が上記主走査方向の同じ一列上に形成されるようにマスタを製版する通常製版モードが実行可能であり、
    上記風量可変手段により、上記送風手段の風量が相対的に強くなるように設定される特殊印刷モード、および上記送風手段の風量が相対的に弱くなるように設定される通常印刷モードが実行可能であり、
    上記特殊製版モードは、上記隣接した奇数ビットと偶数ビットとの発熱駆動によって上記熱可塑性樹脂フィルムに形成される各穿孔間の距離が上記通常製版モードのそれと比べて長くなる製版モードであり、
    上記コート紙/非コート紙別製版・印刷モード選択設定手段により、コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記特殊製版モードおよび上記特殊印刷モードに設定すると共に、非コート紙製版・印刷モードが選択された場合には上記通常製版モードおよび上記通常印刷モードに設定することを特徴とする孔版印刷装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
    上記マスタは、上記熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体との2層からなり、両者の接着強度が、6N/m以上であることを特徴とする孔版印刷装置。
  6. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の孔版印刷装置において、
    上記マスタは、上記熱可塑性樹脂フィルムと少なくとも1層の多孔性樹脂膜と多孔性支持体との少なくとも3層からなり、上記多孔性樹脂膜と上記多孔性支持体との接着強度が、6N/m以上であることを特徴とする孔版印刷装置。
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