JP2005007717A - 製版印刷装置 - Google Patents

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Atsuyuki Kitamura
敬幸 北村
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Abstract

【課題】再製版動作を含む版替え動作を自動で行うために、マスタの耐刷枚数を予め決めて印刷画像の状態によらず再製版処理を行っていたことにより、再製版処理を行わないとするならば、ユーザが目視で印刷画像の異常有無を判断しなければならないという問題点等を解決する。
【解決手段】制御装置100は、マスタ22の所定の耐刷枚数未満の多量の印刷を行う場合等において、CPU101で計算し求められた比率がROM103に予め設定されている設定適合値(例えば原画像に対し排紙部の原稿の画像の比率が120%)以上のとき、印刷動作が停止するように給紙駆動部46、版胴駆動部16および排紙駆動部67の各駆動対象手段を制御する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置等を含む製版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より簡便な印刷方式として、製版印刷装置の一例である製版・印刷一体型の孔版印刷装置を使用し、所定の耐刷枚数を有する版(以下、代表例として「マスタ」という)または所定の耐刷枚数を有する製版済みのマスタを版胴上に巻き付けて所定の耐刷枚数を超える大量の印刷を行う場合に、その所定の耐刷枚数に達したときまたは達する前に自動的に版替え動作を行う印刷方法および印刷装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
一般的な孔版印刷装置における各工程・動作は、例えば特開2000−334919号公報(特許文献1)や特開2001−58458号公報(特許文献2)の段落番号「0002」〜「0006」に記載されている通りであるためその説明を省略する。
【0003】
特開2000−334919号公報および特開2001−58458号公報記載の各技術では、マスタの所定の耐刷枚数を超える総印刷枚数の印刷を行う場合であって、マスタの所定の耐刷枚数に達したとき、版胴上の使用済みのマスタを排版すると共に、該使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタに形成し、製版された別のマスタを版胴に巻き付けるという「版替え動作」を自動的に行うことが開示されている。
【0004】
孔版印刷装置等の印刷装置で使用されるマスタの耐刷枚数については、特開2000−334919号公報に開示されているように、定数として決まっているか、せいぜいユーザがその耐刷枚数を耐刷枚数設定手段で設定できる程度のものであった。また、特開2001−58458号公報に開示されているように、マスタの耐刷枚数が製版・印刷条件等(原稿画像の種類、印刷速度の遅速、環境温度の高低によるインキの粘度の変化、厚紙であるか薄紙であるか等の印刷用紙の種類あるいはその用紙サイズ等)により変動的なものであることに着目して、印刷すべき必要な総印刷枚数と、これに印刷するために使用される版の版替え枚数とを容易に知ることができて、版替え動作を自動的に行うことができる印刷装置を提供するものであった。
上記各公報に開示されているように、「マスタの耐刷枚数」とは、製版された同一のマスタにより実質的に画像品質を損なうことなく印刷用紙に印刷を行うことのできる印刷用紙枚数をいう。マスタの耐刷枚数を、以下、単に「耐刷」というときがある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−334919号公報
【特許文献2】
特開2001−58458号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2000−334919号公報や特開2001−58458号公報記載の各技術では、上記「版替え動作」を自動的に行うことができることにより、これに含まれる「再製版処理」ないしは「再製版動作」を自動で行えるという機能を有するものであるが、カタログスペックやユーザの経験等を元にマスタの耐刷枚数を決めてその再製版動作を行っていたため、印刷画像の状態によってはその耐刷枚数以前に印刷画像に何らかの好ましくない変化、例えば特開2001−58458号公報で開示されているように、画像伸びが徐々に発生し成長したり、俗に「砂目」と呼ばれる画像不良が発生したりする。また、印刷画像の状態によっては、例えば印刷画像の黒画像部(黒ドット)の密度が比較的低いことなどによりその耐刷枚数以上の印刷が可能な場合もある。
【0007】
つまり、従来では、再製版動作を含む版替え動作を自動で行うために、マスタの耐刷枚数を予め決めて印刷画像の状態によらず再製版処理を行っていたわけであり、上記のような再製版処理を行わないとするならば、ユーザが目視で印刷画像の異常有無を判断しなければならないという問題点があった。
【0008】
そこで、この発明では、マスタの耐刷枚数に影響を与える要因(パラメータ)系である例えば細線等からなる文字画像かベタ画像かによる原稿画像の種類、印刷速度の遅速、環境温度の高低によるインキの粘度の変化、厚紙であるか薄紙であるか等の印刷用紙の種類や用紙サイズ等をいわばブラックボックスとして捉え、多量印刷中の途中結果としての印刷画像の状態、特に印刷画像の伸びに着目して、これを基準となる印刷画像データ間距離と比較することを介して、印刷画像の状態を印刷装置に自動的にチエックさせた上でそのチエック結果をユーザが適宜判断することで、再製版動作を含む版替え動作のタイミングを印刷画像の状態を判断して行えるようにすることを第1の目的としている。
また、マスタの所定の耐刷枚数を考慮した再製版動作を含む版替え動作のタイミングを印刷画像の状態を判断して行えるようにすることを第2の目的としている。このほか、後述する請求項ごとの効果を奏することもその目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の問題点を解決して上述の目的を達成するために、請求項ごとの発明においては以下の構成を採っていることを特徴とするものである。
請求項1記載の発明は、製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴上の使用済みのマスタを排版する排版部と、マスタを製版しその製版済みのマスタを上記版胴に供給する製版給版部と、上記版胴上のマスタに印刷用紙を相対的に押し付け該印刷用紙に印刷を行う印刷部とを具備する製版印刷装置において、製版に用いられる印刷画像データを記憶する画像データ記憶手段と、多数枚の印刷用紙への印刷動作中に、その印刷された印刷用紙上の印刷画像を読み取ることが可能な画像読取手段と、上記画像データ記憶手段に記憶されている上記印刷画像データにおける予め設定された印刷画像データ間の距離を基準として、上記画像読取手段により読み取られ上記印刷画像データ間の距離に対応した比較用印刷画像データ間の距離を比較してその比率を求める画像検証を行う比較手段と、上記比率が予め設定されている設定適合値以上のとき、印刷動作が停止するように上記印刷部の駆動対象手段を制御する第1の制御手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の製版印刷装置において、ユーザに情報を報知する報知手段を有し、第1の制御手段は、上記版胴上の使用済みのマスタを排版すると共に、該使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタに形成し、その製版された別のマスタを上記版胴に巻き付ける版替え動作を行うか、あるいは印刷された印刷用紙上の印刷画像を上記画像読取手段に読み取らせた後、上記画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、上記報知手段が報知するように上記報知手段の駆動対象手段を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、所定の耐刷枚数を有する製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴上の使用済みのマスタを排版する排版部と、マスタを製版しその製版済みのマスタを上記版胴に供給する製版給版部と、上記版胴上のマスタに印刷用紙を相対的に押し付け該印刷用紙に印刷を行う印刷部と、上記所定の耐刷枚数を記憶する耐刷枚数記憶手段とを具備する製版印刷装置において、上記版胴上の同一のマスタで印刷された印刷物の印刷枚数を計数する印刷枚数計数手段と、製版に用いられる印刷画像データを記憶する画像データ記憶手段と、多数枚の印刷用紙への印刷動作中に、その印刷された印刷用紙の印刷画像を読み取ることが可能な画像読取手段と、上記画像データ記憶手段に記憶されている上記印刷画像データにおける予め設定された印刷画像データ間の距離を基準として、上記画像読取手段により読み取られ上記印刷画像データ間の距離に対応した比較用印刷画像データ間の距離を比較してその比率を求める画像検証を行う比較手段と、ユーザに情報を報知する報知手段と、上記耐刷枚数記憶手段および上記印刷枚数計数手段からの各信号に基づいて、上記印刷枚数が上記所定の耐刷枚数を超える印刷を行う場合であって、該所定の耐刷枚数に達したとき、印刷動作を停止させた後、上記版胴上の使用済みのマスタを排版すると共に、該使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタに形成し、その製版された別のマスタを上記版胴に巻き付ける版替え動作を自動的に行うか、あるいは印刷された印刷用紙の印刷画像を上記画像読取手段に読み取らせた後、上記画像検証を行うかをユーザが選択可能となるように、上記報知手段が報知するように上記報知手段の駆動対象手段を制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の製版印刷装置において、第2の制御手段は、上記画像検証を行う動作が選択された場合であって、上記比率が予め設定されている設定適合値以上のとき、上記版替え動作を自動的に行うように、上記排版部、上記製版給版部および上記印刷部の各駆動対象手段をそれぞれ制御することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の製版印刷装置において、第2の制御手段は、上記画像検証を再度行う動作が選択された場合であって、上記比率が予め設定されている設定適合値未満のとき、予め設定された印刷枚数の何枚後に上記画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、上記報知手段が報知するように上記報知手段の駆動対象手段を制御することを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載の製版印刷装置において、上記画像読取手段および上記比較手段を起動する信号を生成する起動設定手段を有することを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項2ないし6の何れか一つに記載の製版印刷装置において、上記版替え動作および上記画像検証のうちの何れか一方の動作を選択・設定する動作設定手段を有することを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項2ないし6の何れか一つに記載の製版印刷装置において、第1の制御手段または第2の制御手段は、上記版替え動作が選択されたとき、上記画像データ記憶手段に記憶されている上記印刷画像データに基づいて再び製版を行い、かつ、その製版済みのマスタを上記版胴に巻き付けるように上記製版給版部の駆動対象手段を制御することを特徴とする。
【0017】
請求項2および3における「使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像」とは、ユーザやオペレータ(以下、単に「ユーザ」という)が許容できる印刷画像が得られる上での製版画像を意味する。例えば、製版画像の位置が、ユーザが許容できる範囲内で前版の製版画像と若干その画像位置がズレているような場合も含まれる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。各実施形態や変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等を引用して構成や動作例等を説明する場合には、引用した構成要素等の符号に括弧を付して区別することとする。
図1において、符号1は、印刷装置の一例としての孔版印刷装置を、符号100は、孔版印刷装置1の全体の動作を制御する制御装置を、符号1Fは孔版印刷装置1の骨組みをなす孔版印刷装置本体としての本体フレームをそれぞれ示す。
以下、図1ないし図3を参照して、孔版印刷装置1の構成を説明する。
孔版印刷装置1は、本願出願人が提案した特開平10−181177号公報に記載されているものと略同様の構成を具備していることにより、版胴2の回転量を減らすと共に、スタートキーを押してから後述する一連の動作を経て最初の印刷物が排出されるまでの時間であるファースト・プリント・タイム(以下、「FPT」と略記する)を短縮化できる利点を有するものである。孔版印刷装置1は、特開平10−181177号公報に記載されている構成と比較すると、図1に示す製版部20、給紙部40および排紙部60周りの構成、図2に示す制御装置100周りの構成、図3に示す操作パネル90が主に相違する。
【0019】
孔版印刷装置1は、上記利点を望まなくてもよいのであれば、これに限らず、操作パネル90および制御装置100における後述する本発明に特有の構成を除き、図1に示す画像読取部70、製版部20、印刷部15、給紙部40、排紙部60および排版部50に代えて、少なくとも画像読取部、製版部、印刷部および排版部を具備していて後述する再製版動作を含む版替え動作が可能であれば、如何なる構成の孔版印刷装置に適用したり、あるいは類似の直刷りのオフセット印刷機等にも準用したりすることができる。
【0020】
孔版印刷装置1は、図1および図3に示すように、本体フレーム1Fの上方に配設され原稿(図示せず)を載置するコンタクトガラス74、原稿載置台72上に載置された1枚もしくは複数枚の原稿73を後述するスキャナ部76の定位置へ順次自動移送するADF(自動原稿送り装置)部71およびコンタクトガラス74の下方に配置されADF部71から移送される原稿73の画像を読み取るスキャナ部76を備えた画像読取部70と、この画像読取部70の下方の本体フレーム1Fの一側部に配置されマスタ22がロール状に巻かれたマスタロール22Aから繰り出されるマスタ22を穿孔製版する製版部20と、本体フレーム1Fの略中央部に配置され穿孔製版された製版済みのマスタ22を外周面に巻装する版胴2、およびこの版胴2の下方に配置され給送されて来た印刷用紙Sの先端部を挾持・保持する保持手段としての紙くわえクランパ12を備え、版胴2の外周面上のマスタ22に印刷用紙Sを押し付ける圧胴9を有する印刷部15と、製版部20の下方に配置され給紙トレイ41上に積載された印刷用紙Sを印刷部15へ送出する給紙部40と、この給紙部40に対向する本体フレーム1Fの下方に配置され印刷部15で印刷された印刷済みの印刷用紙Sを排紙トレイ61に排出する排紙部60と、この排紙部60と画像読取部70との間に配置され版胴2の外周面上から使用済みのマスタ22を剥ぎ取り排版ボックス54内へ排出する排版部50と、孔版印刷装置1の上記各部・装置に所定の動作指示を与えたり動作状態を確認したりするための操作パネル90と、製版部20と給紙部40との間に配置され孔版印刷装置1による各動作を後述するフローチャート、動作図およびタイミングチャートに従って動作するように制御する制御装置100とを具備している。
以下、画像読取部70、製版部20、印刷部15、給紙部40、排紙部60、排版部50および操作パネル90について順次説明する。
【0021】
図1において、画像読取部70におけるADF部71は、原稿載置台72および原稿排紙台75を備え、コンタクトガラス74に対して開閉可能に配設されている。ADF部71の原稿自動送り装置は、例えば特公平7−97813号公報の図1等に記載されている構成と同様の周知のものである。スキャナ部76は、原稿73の表面から結像レンズを介して結像された反射光に対応して光電変換を行なう画像センサ77等を備えた周知の原稿走査用光学系を有する。画像センサ77は、例えばCCD(電荷結合素子)からなり、光電変換して得られた画像信号を本体フレーム1F内の図3に示すアナログ/デジタル(以下「A/D」と略記する)変換装置81から製版制御基板(図示せず)に入力されるようになっている。上記製版制御基板は、制御装置100に電気的に接続されている。スキャナ部76は、例えば特開平4−189544号公報の第2図等に記載されている構成と同様の周知のものである。
画像読取部70には、原稿載置台72上に載置・セットされた原稿73の有無や、後述するように多数枚の印刷用紙Sへの印刷動作中に、その印刷された印刷用紙S(以下、排紙部60に排紙されたという意味合いから「排紙部の原稿」という)の原稿載置台72上への載置・セット有無を検知する原稿有無検知手段としての原稿センサ79aが配設されている。また、コンタクトガラス74の下方近傍にも、コンタクトガラス74上に載置・セットされた原稿73の有無や、排紙部の原稿のコンタクトガラス74上への載置・セット有無を検知する原稿有無検知手段としての原稿センサ79bが配設されている。各原稿センサ79a,79bは、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサである。
【0022】
ADF部71における各ローラを動作させる駆動モータ等(図示せず)の各駆動対象手段およびスキャナ部76における上記原稿走査用光学系を動作させる駆動モータ等(図示せず)の各駆動対象手段をまとめて図3のブロック図において画像読取駆動部78とする。画像読取部70は、後述するように多数枚の印刷用紙Sへの印刷動作中に、原稿載置台72またはコンタクトガラス74上に載置・セットされた排紙部の原稿の印刷画像を読み取ることが可能な画像読取手段としての機能・構成も有する。
【0023】
製版部20は、マスタロール22Aからマスタ22を繰り出し可能に貯容するマスタ支持部材23と、マスタ搬送路MRにおけるマスタ支持部材23の下流側に配設され、マスタロール22Aから繰り出されるマスタ22を印刷画像データ信号に応じて選択的に加熱製版する製版手段としてのサーマルヘッド26と、このサーマルヘッド26によりマスタ22を押圧されながら回転し搬送するプラテンローラ27と、マスタ搬送路MRにおけるプラテンローラ27の下流側に配設され、製版済みのマスタ22または未製版のマスタ22を切断するカッタ36と、プラテンローラ27とカッタ36との間のマスタ搬送路MRに配設された第1ガイド板28と、マスタ搬送路MRにおけるカッタ36の下流側に配設されたテンションローラ対37および反転ローラ対38と、テンションローラ対37と反転ローラ対38との間のマスタ搬送路MRの下方に配設された撓みボックス32およびガイド搬送板33等を備えたマスタストック手段31と、マスタ搬送路MRにおける反転ローラ対38の下流側に配設された第2ガイド板29とを具備している。
【0024】
マスタロール22Aの中心部には、マスタロール22Aの両端面から突出したパイプ状の芯管22Bが設けられていて、マスタロール22Aは、芯管22Bの周りにマスタ22を巻き付けられて形成されている。マスタロール22Aには、例えば250〜300版に相当するシート状のマスタ22が巻装されていて、マスタロール22Aは複数版のマスタ22を供給してその製版を可能とすべく設けられている。マスタ22は、例えばポリエステル等からなる1〜2μm程度の薄い熱可塑性樹脂フィルムに対して和紙繊維あるいは合成繊維、もしくはこれら両材料を混抄したものからなる多孔性支持体を貼り付けてラミネート構造としたものが用いられ、サーマルヘッド26の発熱素子によって熱可塑性樹脂フィルム部分が加熱穿孔されるものである。
【0025】
この孔版印刷装置1では、その耐刷枚数が予め設定されていないマスタ22ないしは不明なマスタ22と、所定の耐刷枚数を有するマスタ22との両方を使用することができるように構成されている。以下、マスタ22としては、例えば、トータルの厚さ30〜50μmのものを使用していて、通常の耐刷枚数(普通紙)である2000枚で説明する。
【0026】
マスタ支持部材23は、芯管22Bの両端部を着脱自在、かつ、回転可能に支持するように図示しない製版側板に設けられている。
【0027】
サーマルヘッド26は、プラテンローラ27の軸方向に相当する主走査方向に沿って配列された多数の発熱素子を有し、図3に示すA/D変換装置81、画像信号処理装置82等で処理されて送出される製版に用いられるデジタルの印刷画像データ信号に基づき、その発熱素子に対する選択的な通電制御によって発熱素子を選択的に発熱させることにより発熱位置に対応するマスタ22の熱可塑性樹脂フィルム箇所を加熱溶融させて穿孔する周知の機能を有する。サーマルヘッド26は、図示しない接離手段によりプラテンローラ27に対して接離可能に設けられている。
【0028】
プラテンローラ27は、図示しないローラ軸の外周部に一体的に形成されていて、上記ローラ軸を介して上記製版側板に回転自在に支持されている。プラテンローラ27は、上記ローラ軸に配設されたプーリおよびタイミングベルト(共に図示せず)等を介して連結されたプロッタモータ24で回転され、マスタ22をサーマルヘッド26に押圧しつつマスタ搬送路MRの下流側へ搬送する。プロッタモータ24は、ステッピングモータからなる。
【0029】
カッタ36は、カッタモータ25にワイヤ及びワイヤプーリ等を介して連結され、カッタモータ25の回転駆動によってマスタ22の幅方向に回転移動される周知の回転刃で構成されている。第1ガイド板28は、そのマスタ搬送路MRの下流端がカッタ36の固定刃となっている。カッタ36は、その非作動時において、マスタ22の搬送に支障を与えないようにマスタ搬送路MRの片側端に待機している。
カッタ36は、これに限らず、例えば特開2000−6510号公報に開示されている上下回転刃タイプや、特公平7−84086号公報に開示されているようにな可動上刃と固定下刃とを有していて可動上刃が固定下刃に対してマスタ22の幅方向に回転しつつ移動するタイプ等であってもよい
テンションローラ対37は、その上部のローラが駆動ローラ、下部のローラが従動ローラでそれぞれ構成されていて、上記上部の駆動ローラはプーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介してプロッタモータ24に連結されている。
反転ローラ対38は、その上部のローラが駆動ローラ、下部のローラが従動ローラでそれぞれ構成されていて、上記上部の駆動ローラはプーリおよび無端ベルト(共に図示せず)等の回転伝達手段を介して、プロッタモータ24とは独立した給版モータ30に連結されていて、給版モータ30によって回転駆動される。給版モータ30は、ステッピングモータからなる。
【0030】
マスタストック手段31は、撓みボックス32、ガイド搬送板33、ガイド搬送板33駆動用のソレノイド34、電動モータを内蔵した吸引ファン35から主に構成されている。マスタストック手段31は、製版済みのマスタ22に撓みを形成すると共に、その撓みを一時的に貯留する機能を有する。
撓みボックス32は、マスタ搬送路MRの下流側に略L字型に折り曲げられて形成されている。撓みボックス32は、撓みが形成されている製版済みのマスタ22を順次貯留する機能を有する。ガイド搬送板33は、マスタ搬送路MRの直下方に位置する図1に示すガイド搬送位置と、このガイド搬送位置から可動して下側の反転ローラ対38の図において右寄り下方に直立して位置する撓み形成位置との間で開閉・揺動自在となっている。ガイド搬送板33が撓み形成位置を占めた時、撓みボックス31の上方が開放されて、撓みボックス31の上方には、製版済みのマスタ22を導入するための開口32aが形成される。
【0031】
ガイド搬送板33の駆動機構は、例えば特開平10−202996号公報の図12に示されているガイド板駆動機構(130)と同様の構成のものを用いていて、同公報の図12に示されているソレノイド(131)と同様のソレノイド34により駆動される。
ガイド搬送板33は、製版動作終了後のマスタ切断後に、ソレノイド34が通電励磁(オン)されることにより、同公報の詳細動作を介して、ガイド搬送板33が撓み形成位置から上昇してガイド搬送位置を占めることとなり、これによって、マスタ22の先端を開口32aから撓みボックス32内へと落ち込ませることなく、マスタ22の先端が図1に示す給版待機位置(反転ローラ対38のニップ部から少しはみ出た位置)まで搬送されるようにガイドするようになっている。また、マスタ22の先端が反転ローラ対38のニップ部で挾持され上記給版待機位置に達した後、ガイド搬送板33は、ソレノイド34への通電がオフされることにより、ガイド搬送板33の自重および同公報の詳細動作を介して、ガイド搬送板33は下降して撓み形成位置を再び占めるようになっている。
【0032】
撓みボックス32におけるマスタ搬送路MRの下流側には、スリットや網目状の小孔等からなる吸引口32bおよび排気口32cが設けられている。これらの吸引口32bと排気口32cとの間の撓みボックス32端部には、吸引ファン35が配置されている。この吸引ファン35の回転により、図において左側から右側へと流れる空気流が生じ、製版済みのマスタ22に徐々に撓みが形成されるようになっている。
マスタストック手段31の動作は、以下簡単に述べるに留めると共に、後述するタイミングチャートにおいて全て省略されている。
【0033】
第2ガイド板29は、マスタ22の先端の向きを変えて図において略鉛直下方にマスタ22を案内する機能を有する。反転ローラ対38によるマスタ搬送速度は、プラテンローラ27によるマスタ搬送速度よりもわずかに速くなるように予め設定されている。
上記した製版部20、図3に示すサーマルヘッド駆動制御部84、版胴2の後述するマスタクランパ4およびクランパ開閉モータ等を備えた開閉装置は、マスタ22を製版し版胴2の外周面に巻き付ける製版給版部を構成している。この製版給版部の駆動対象手段としては、プロッタモータ24、カッタモータ25、給版モータ30、ソレノイド34、吸引ファン35等および上記クランパ開閉モータ等があるが、図および説明の簡明化を図るため、上記した各駆動対象手段をまとめて、図3のブロック図において符号39で示す製版給版駆動部とする。
【0034】
印刷部15は、版胴2、圧胴9および版胴2の内部に配設され版胴2上のマスタ22にインキを供給するインキ供給装置5等を有する。
版胴2は、多孔構造の支持円筒体とその外周面に巻装された複数層のメッシュスクリーン(図示せず)とを有し、支軸3の周りに回転可能に支持されている。版胴2は、複数の印刷速度に対応してその回転速度を変えることが可能なように図示しないギヤ列およびベルト伝動装置等を介して連結されたメインモータ17を含む駆動系を介して回転される。このメインモータ17は、制御用モータであるDCモータからなり、後述するように給紙駆動系に駆動力を伝達しないようになされているので従来のメインモータよりも小型化されている。メインモータ17の出力軸には、図示しないエンコーダが取り付けられている。該エンコーダ近傍の本体フレーム1F側には、上記エンコーダを所定の間隔をもって挾み付ける発光部および受光部を具備した透過型の光学センサからなるエンコーダセンサが配設されていて、メインモータ17の回転駆動による上記エンコーダの回転動作に協働して発生された所定のパルスを上記エンコーダセンサで検出することにより、版胴2の回転速度が検出されるようになっている。これにより、メインモータ17を介して版胴2の回転速度の制御がなされるようになっている。
【0035】
版胴2には、マスタ22の先端部を係止するマスタクランパ4が版胴2の外周部の一母線に沿って配設されている。マスタクランパ4は、軸4aをもって版胴2の外周部に枢着され、開閉・揺動自在となっている。マスタクランパ4は、ゴム磁石を有していて、版胴2が後述する排版位置または給版位置を占めたときに、本体フレーム1F側に配設された開閉手段(図示せず)により版胴2の外周部に設けられた強磁性体からなるステージ部(図示せず)に対して開閉される。上記開閉手段は、マスタクランパ4に選択的に係合する開閉部材(図示せず)およびこの開閉部材を駆動する図示しないクランパモータ等を備えており、例えば特開平6−247031号公報の図1ないし図3と同様の構成を有する。
【0036】
版胴2の一方の端板に対向した本体フレーム1F側の所定位置には、版胴2がそのマスタクランパ4を版胴2の右側方に位置させる給版位置を占めたときに、その給版位置を検知するための図3に示す給版位置検知センサ13と、版胴2がそのマスタクランパ4を図1に示すように版胴2の真下に位置させるホームポジションを占めたときに、そのホームポジションを検知するための図3に示すホームポジション検知センサ14とが配置されている。給版位置検知センサ13およびホームポジション検知センサ14は、透過形光学センサからなる。排版位置は、版胴2がそのマスタクランパ4を排版剥離ローラ51および排版ローラ53における版胴2の回転方向の下流側寄りに対向させた位置である。この排版位置を検知する検知手段は、ホームポジション検知センサ14を兼用・利用しており、上記排版位置は、版胴2がホームポジションを占めたときにホームポジション検知センサ14からのオン信号出力時を起点として、メインモータ17に付属して設けられた上記エンコーダ等により版胴2の回転量(回転角度)を検出することにより検知されるようになっている。
【0037】
版胴2の内部には、インキ供給装置5が配設されている。インキ供給装置5は、版胴2の内周面にインキを供給するインキローラ6と、インキローラ6と微小間隙を置いて平行に配置されていて、インキローラ6との間にインキ溜まり8を形成するドクターローラ7と、支軸3を兼ねると共にインキ溜まり8へインキを供給するインキ供給管3とから構成されている。
インキローラ6、ドクターローラ7は、ギヤやベルト等の回転伝達手段を介して上記駆動系のメインモータ17に連結されていて、メインモータ17により駆動される。インキ溜まり8からインキローラ6の外周面に供給されたインキは、版胴2とインキローラ6の外周面とに僅かに隙間を設けているために、版胴2の内周面に供給される。インキは、適宜の位置に配置されたインキパックからインキポンプ(共に図示せず)により圧送され、インキ供給管3の供給穴よりインキ溜まり8へ供給される。
【0038】
圧胴9は、版胴2の下方近傍に配設され、給紙部40から給送されてくる印刷用紙Sの先端部を紙くわえクランパ12によりくわえながら版胴2の外周面に押圧する周知の押圧手段としての構成・機能を有すると共に、版胴2の周速度と同じ周速度で、かつ、版胴2と所定の同期をとって回転される。圧胴9は、版胴2と同径の外周部を有し、その外周部の一部には版胴2のマスタクランパ4の部分との干渉を避けるための凹部11が形成されている。紙くわえクランパ12は、本体フレーム1F側に設けられたカム(図示せず)との当接により開閉されるようになっている。
【0039】
圧胴9は、圧胴9の中心部に設けられた圧胴軸10を揺動させて版胴2の外周面に選択的に押圧するためのカム駆動機構および版胴2の外周面から離間させた状態で回転可能に保持する保持アーム、バネ等の付勢手段およびソレノイド(共に図示せず)等からなる保持手段を備えた周知の圧胴接離手段(共に図示せず)により、版胴2に対して接離自在に構成されている。上記したメインモータ17を備えた駆動系および上記圧胴接離手段等の詳細構成は、例えば特開平9−216448号公報の図1ないし図5等に示されているものと同様である。
なお、上記圧胴接離手段としては、例えば特開平5−201115号公報の図1等に開示されている偏心軸を用いたものも用いられる。また、上記押圧手段としては、版胴の外径よりも小さい外径を有する周知のプレスローラや、例えば特開平1−204781号や、特開平3−197078号あるいは特開平3−254984号公報等に開示されているような金属製スクリーンからなる版胴を内側から外側に向けて膨出させる、いわゆる中押しローラ方式(インキローラを兼ねるものも含む)のものも用いられる。
【0040】
版胴2および圧胴9を回転させると共にインキ供給装置5を駆動するメインモータ17を含め、上記駆動系の駆動対象手段および上記圧胴接離手段の駆動対象手段等の版胴2周りの各駆動対象手段をまとめて、図3のブロック図において符号16で示す版胴駆動部とする。
【0041】
給紙部40は、給紙台としての給紙トレイ41を備えたLCT給紙装置47、給紙ローラ42、分離ローラ43、分離コロ43a、ガイド板対45a,45b、レジストローラ対44およびトレイ昇降モータ(図示せず)から主に構成されている。
LCT給紙装置47は、本願出願人が例えば特開平8−259008号や特開平8−259009号公報等で提案した画像形成装置における給紙装置と略同様の構成を有していて、上記各公報記載の給紙装置における可動フレーム(18)、サイドフェンス対(20a,20b)、枠体(28)、ばね(114)およびトレイ昇降駆動装置(10)等の形状や強度上の改良を加えることにより、上記各公報記載の給紙装置よりもさらに多量の印刷用紙S、例えば普通紙A3サイズで5000〜6000枚程度を給紙トレイ41上に積載して昇降可能に構成されているものである。
【0042】
給紙トレイ41は、5000〜6000枚程度の印刷用紙Sを一度に積載可能な構造を有していて、多量の印刷用紙Sを積載可能なLCT(大容量給紙テーブル)となっている。すなわち、LCT給紙装置47は、LCTを搭載して昇降可能な構造を有する、いわゆるLCTユニット(大容量給紙ユニット)となっている。本実施形態では、図および説明の簡明化を図るため給紙トレイ41を除き、LCT給紙装置47を構成する部材や構成部品等の図示を省略している。給紙トレイ41は、本体フレーム1Fに対して上下動自在に支持されていて、印刷用紙Sの増減と連動して図示しないトレイ昇降モータにより上下動される。
【0043】
給紙ローラ42は、最上位の印刷用紙Sと当接して印刷用紙Pを送り出すものであり、分離ローラ43および分離コロ43aは、給紙ローラ42により送り出された印刷用紙Sを1枚ずつ分離して給送する周知の機能を有する。給紙ローラ42、分離ローラ43および分離コロ43aは、印刷用紙Sを1枚ずつ分離して給送する給紙手段を構成している。
【0044】
給紙ローラ42および分離ローラ43は、図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介して給紙モータ48に連結されており、給紙モータ48により回転駆動される。給紙モータ48は、ステッピングモータからなる。上記各プーリと各ローラ42,43の軸との間には、図示しないワンウェイクラッチが介装されていて、給紙モータ48のオフ時には印刷用紙Sの繰り出し方向に回転自在なフリー状態となる。これにより、後述するレジストモータ49のみがオンしているときには、各ローラ42,43は印刷用紙Sの繰り出し方向に連れ回りされる。
【0045】
分離ローラ43の印刷用紙搬送方向の下流側には、レジストローラ対44が配設されている。レジストローラ対44は、上記給紙手段により分離・給送されてくる1枚の印刷用紙Sの先端をそのニップ部直前の部位に突き当てて、回転している版胴2上の製版済みのマスタ22の画像書込み開始位置に同期させつつ、拡開している紙くわえクランパ12にタイミングをとって搬送する用紙搬送同期手段としての機能を有する。レジストローラ対44は、上側のローラが従動ローラ、下側のローラが駆動ローラであり、下側の駆動ローラが図示しないプーリおよび無端ベルト等を備えた回転伝達手段を介してレジストモータ49に連結されており、レジストモータ49により回転駆動される。レジストモータ49は、ステッピングモータからなる。
【0046】
ガイド板対45a,45bは、本体フレーム1Fの給紙側板(図示せず)に固設されており、給送される印刷用紙Sを案内する。紙くわえクランパ12が無い圧胴や周知のプレスローラを用いた場合には、回転している版胴2上の製版済みのマスタ22の画像書込み開始位置(製版開始位置)に同期させて、版胴2の外周面と上記圧胴との間や、版胴2の外周面と上記プレスローラとの間に搬送させるようにすればよい。なお、レジストローラ対44の回転駆動手段は、レジストモータ49に代えて、機械式のカム駆動手段も用いられる。
【0047】
上述した構成のとおり、給紙部40は、マスタ22の所定の耐刷枚数である2000枚を超える総印刷枚数に応じた印刷用紙Sを積載して給紙が可能となっている。
給紙部40における給紙モータ48、レジストモータ49および上記トレイ昇降モータ等の各駆動対象手段をまとめて、図3のブロック図において符号46で示す給紙駆動部とする。
【0048】
排紙部60は、排紙台としての排紙トレイ61、排紙爪62、吸着排紙入口ローラ63、吸着排紙出口ローラ64、搬送ベルト65、電動モータを内蔵した吸引ファン66および排紙駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。
排紙爪62は、圧胴9の上部寄りの外周面近傍に配設され、紙くわえクランパ12の開放動作により紙くわえクランパ12から開放された印刷済みの印刷用紙Sを剥離し案内する。吸着排紙入口ローラ63と吸着排紙出口ローラ64とは排紙部60の排紙側板(図示せず)に回転自在に支持されており、各ローラ63,64間には、表面に複数の開孔を有する搬送ベルト65が掛け渡されている。吸着排紙出口ローラ64は、上記排紙駆動モータで回転駆動され、この回転力は搬送ベルト65を介して吸着排紙入口ローラ63に伝達される。各ローラ63,64の間であって上記排紙側板の下部には、吸引ファン66が配設されている。吸引ファン66は、その回転により図において下向きの空気流を発生させ、搬送ベルト65の表面に印刷済みの印刷用紙Sを吸引する。排紙部60の動作は、後述するタイミングチャートでは省略されている。
紙くわえクランパ12での印刷用紙Sの先端部の排紙ミス時における版胴2上への用紙巻き上がりを確実に防止する目的で、排紙爪62に加えて、版胴2の外周面近傍に近接自在に配設され、版胴2から印刷済みの印刷用紙Sを剥離する剥離爪(図示せず)と、版胴2上の製版済みのマスタ22と印刷用紙Sとの間に送風して版胴2から印刷用紙Sを剥離する剥離ファン(図示せず)とを設けてもよい。
【0049】
排紙トレイ61は、最大の用紙サイズA3を5000枚以上積載可能な大容量排紙台としての強度・構造を有する。排紙トレイ61上には、排紙されてくる印刷用紙Sの両側端部を揃えるための図1の紙面手前側および奥側に印刷用紙サイズに応じて移動可能に配設された一対の排紙サイドフェンス68a,68bと、排紙されてくる印刷用紙Sの先端部を揃えるための印刷用紙サイズに応じて移動可能に配設された排紙エンドフェンス69とを有する。
【0050】
マスタ22の耐刷枚数を超える印刷を行う場合であって、排紙トレイ61から印刷済みの印刷用紙Sを取り除く作業性の向上を図りたいのであれば、例えばタンデム給紙装置に類似する機構を備えたいわゆるタンデム排紙機構や、特開平7−81202号公報で開示されているように、複数の排紙トレイを備え、第1の排紙トレイへの第1の排紙位置と第2の排紙トレイへの第2の排紙位置との間で揺動可能な排紙吸着切換手段およびその排紙吸着切換手段を第1の排紙位置と第2の排紙位置とに選択的に移動させる吸着切換移動手段を具備しているような多段排紙トレイであってもよい。
上述したようなタンデム給紙装置に類似する機構を備えたいわゆるタンデム排紙機構は、例えば、本実施形態における紙面奥側の排紙サイドフェンス68bを排紙エンドフェンス69よりも排紙前方に移動可能に構成すると共に、排紙トレイを排紙幅方向に拡大し、その排紙トレイの紙面手前側に排紙積載された排紙束を紙面奥側の排紙トレイ上に一括して移送可能な排紙移送部材およびこれを駆動する駆動モータを備えた排紙移送部材駆動機構を有する構成を挙げることができる。
【0051】
上述した構成のとおり、排紙部60は、マスタ22の所定の耐刷枚数である2000枚を超える総印刷枚数に応じて印刷された印刷用紙Sを積載して排紙が可能となっている。
排紙部60における上記排紙駆動モータおよび吸引ファン66等の各駆動対象手段をまとめて、図3のブロック図に符号67で示す排紙駆動部とする。
【0052】
排版部50は、排版ボックス54、排版剥離ローラ51、排版ローラ53、排版モータ52、圧縮板(図示せず)および圧縮板駆動モータ(図示せず)から主に構成されている。
排版剥離ローラ51は、排版ローラ53と圧接し合っており、排版モータ52により回転される。排版剥離ローラ51は、揺動アームを備えた移動手段を介して、版胴2の外周面に圧接する剥離位置とこの剥離位置から離間した離間位置との間に変位自在となっている。上記移動手段は、排版剥離ローラ51が離間位置にあるときに、図示しない係止手段により係止され保持されるようになっている。これらの要部の構成は、例えば実公平2−274号公報の第1図ないし第5図に示されているものと同様の構成を有する。上記圧縮板は、図示しない昇降機構を介して排版ボックス54内に上下動自在に収納されており、上記圧縮板駆動モータの回転駆動により上記圧縮板が排版ボックス54内を上下動されるようになっている。
排版部50における排版モータ52および上記圧縮板駆動モータ等を含む各駆動対象手段をまとめて、図3のブロック図において符号56で示す排版駆動部とする。
【0053】
図1において、符号110は、パーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という)を示す。パソコン110は、通信ケーブル111および図3に示す外部入出力I/F(インターフェース)112を介して孔版印刷装置1の制御装置100に通信可能に接続されている。外部入出力I/F112は、パソコン110等へのデータ送受信部である。パソコン110は、孔版印刷装置1駆動用のプリンタドライバ(図示せず)を有していて、該プリンタドライバで作成された製版に用いられる印刷画像データ(ラスタイメージデータ)を外部入出力I/F112を介して図3に示す制御装置100のCPU101に送信し入力するようになっている。パソコン110に限らず、例えばホストコンピュータやワークステーション等のコンピュータに孔版印刷装置1の制御装置100を通信可能に接続しても勿論構わない。
【0054】
操作パネル90は、画像読取部70の上部の一側部に配設されている。操作パネル90には、図2に示すように、スタートキー91、テンキー93、プリントキー92、試しプリントキー94、画像比較スタートキー95と、版替えキー96、画像検証キー97、LCD(液晶表示装置)表示部98および印刷枚数表示器99等が配置されている。
【0055】
スタートキー91は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー93は、印刷枚数等を入力・設定する機能を、プリントキー92は、テンキー93で置数(入力・設定)された総印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、試しプリントキー94は、試し刷り印刷動作を起動する機能を、それぞれ有する。試しプリントキー94は、1回押すと1枚通紙されて試し刷り印刷され、押し続けるとその枚数分通紙されて試し刷り印刷される。
【0056】
画像比較スタートキー95は、多数枚の印刷用紙Sへの印刷動作中に原稿載置台72またはコンタクトガラス74上に載置・セットされた排紙部の原稿の印刷画像を読み取るように、画像読取部70の画像読取駆動部78を起動する信号を生成すると共に、図3を参照して後述するような比率を求める画像検証を行うように、比較手段(CPU101)を起動する信号を生成する起動設定手段としての機能を有する。画像比較スタートキー95を押下すると、画像比較スタートキー95の内部に配設されている図示しないLED(発光ダイオード)が点灯することで、上記信号が生成されたことが視認できるようになっている。
【0057】
版替えキー96は、版胴2上の使用済みのマスタ22を排版すると共に、該使用済みのマスタ22に形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタ22に形成し、その製版された別のマスタ22を版胴2に巻き付ける版替え動作を起動する信号を生成する版替え動作起動手段としての機能を有する。版替えキー96を押下すると、版替えキー96の内部に配設されている図示しないLEDが点灯することで、上記信号が生成されたことが視認できるようになっている。
画像検証キー97は、上記画像検証を再度行う動作または後述の動作例2におけるように上記画像検証を行う動作や上記画像検証を再度行う動作を起動する信号を生成する画像検証動作起動手段としての機能を有する。画像検証キー97を押下すると、画像検証キー97の内部に配設されている図示しないLEDが点灯することで、上記信号が生成されたことが視認できるようになっている。
版替えキー96および画像検証キー97は、上記版替え動作および上記画像検証のうちの何れか一方の動作(操作を一部含む)を選択・設定する動作設定手段としての機能を有する。
【0058】
画像比較スタートキー95は、これに限らず、例えば画像比較スタートキーの押下による上記信号の生成を表示するLEDを該キーから独立して設けたような構成のキーやボタン等でもよい。これは、版替えキー96や画像検証キー97についても同様である。版替えキー96や画像検証キー97については、これらを1つのキーやボタンで構成し、1回押下するごとに版替えキー96による上記信号の生成と画像検証キー97による上記信号の生成とを切り替えたり、その信号の生成表示を行ったりするような構成のものでも構わない。
【0059】
LCD表示部98は、図示しないLCD駆動回路を介して駆動され、操作の状態や警告等のメッセージあるいは選択されている機能等の表示をしたり、その機能を選択・設定するための操作内容を随時表示したりする、つまりユーザに情報を報知する報知手段ないしは表示手段としての機能を有する。報知手段としては、LCD表示部98に限らず、例えば音で警告情報等を報知するブザーや、LED駆動回路を介して駆動制御されるLEDによる点灯・点滅表示等も含まれ、あるいはこれらを適宜組み合わせたものも含まれる。
印刷枚数表示器96は、図示しないLED駆動回路を介して総印刷枚数および印刷動作中の残印刷枚数等を表示する機能を有する。印刷枚数表示器96は、4つの7セグメントのLEDからなり、0枚から9999枚までの総印刷枚数あるいはマスタ22の所定の耐刷枚数を超える印刷時以外の通常印刷時の印刷すべき印刷枚数の数値を表示できるようになっている。
なお、操作パネル90には、特開平10−181177号公報の図3等に記載されているモード選択キー99およびモード表示ランプ群99Gと同様のものが配設されているが、図および説明の簡明化を図るため省略している。本実施形態を含め、以下、特開平10−181177号公報記載の高速1モードが予め設定されている前提で説明することとする。ちなみに、高速1モードとは、図示しないモード選択キーを押すことなく自動的に初期設定されるモードであって、排版動作の途中で、版胴2が、製版動作により作製された製版済みのマスタ22の先端部を版胴2に係止する給版待機状態を占めた時点で、排版動作を一時中断し、製版済みのマスタ22の先端部が版胴2に係止された後、製版済みのマスタ22を版胴2の外周面に巻装する給版動作を行いながら、再度排版動作を行うと同時に、版胴2上の製版済みのマスタ22にインキを供給して印刷画像を印刷用紙S上に形成する印刷動作を行うモードである。
【0060】
次に、図3を参照して孔版印刷装置1の主な制御構成について説明する。
制御装置100は、CPU(中央演算処理装置)101、I/O(入出力)ポート(図示せず)およびROM(読み出し専用記憶装置)102、RAM(読み書き可能な記憶装置)103、タイマ(図示せず)等を備え、信号バス(図示せず)によって接続されたマイクロコンピュータを具備している。制御装置100のCPU101は、後述する制御機能および演算機能を有する。
【0061】
CPU101は、上記入力ポートや上記出力ポート等を介して、給版位置検知センサ13およびホームポジション検知センサ14と、各原稿有無センサ79a,79bと、後述する印刷枚数計数センサ85と、画像信号処理装置82と、画像読取駆動部78と、上記した各種キーおよびLCD表示部98および印刷枚数表示器99等を備えた操作パネル90と、製版給版駆動部39と、排版駆動部56と、版胴駆動部16と、給紙駆動部46と、排紙駆動部67と、後述するストレージデバイス113との間で、指令信号やオン/オフ信号あるいは種々のデータ信号を送受信し、孔版印刷装置1の上記各部・装置における駆動対象手段の起動、停止およびタイミング等の動作全体に係るシステムを制御している。
CPU101は、外部入出力I/F112、上記入力ポートや上記出力ポート等を介して、図1に示すパソコン110との間で、指令信号やオン/オフ信号あるいは孔版印刷装置1での製版に用いられる印刷画像データ等のデータ信号を送受信し、孔版印刷装置1の上記各部・装置における駆動対象手段の起動、停止およびタイミング等の動作全体に係るシステムを制御している。
【0062】
図3に示すように、画像読取部70において、原稿の画像を原稿反射の光学情報として読み取り、画像センサ77で読み取られ変換されたアナログの原稿の印刷画像データ信号は、本体フレーム1Fの図示しない制御基板に設けられたA/D(アナログ/デジタル)変換装置81に送信される。A/D変換装置81は、上記アナログの印刷画像データ信号を受けデジタルの印刷画像データ信号に変換する機能を有する。A/D変換装置81で変換されたデジタルの印刷画像データ信号(以下、単に「印刷画像データ信号」というときがある)は、図示しない制御基板に設けられた画像信号処理装置82でラスタイメージデータに展開処理された後、画像メモリ83に送信され、製版に用いられる印刷画像データ(ラスタイメージデータ、以下省略)として記憶される。
画像メモリ83は、製版に用いられる1版分の製版画像に対応した印刷画像データを記憶する画像データ記憶手段としての構成・機能を有し、例えば好ましくはSDRAM(同期DRAM)や、バックアップ電源によってバックアップされたRAMや、DRAM等からなる。
【0063】
画像信号処理装置82は、制御装置100と相互にシリアル通信を行い、製版給版駆動部39やサーマルヘッド駆動制御部84等の制御に必要な信号を送信する機能を有する。また、画像信号処理装置82は、A/D変換装置81からのデジタルの印刷画像データ信号を受け、1版分の製版画像に対応した印刷画像データ信号として画像メモリ83に出力し、かつ、画像メモリ83に一度記憶された1版分の製版画像に対応した印刷画像データ信号を順次呼び出しながら、マスタ22に形成すべき1版分の製版画像の画像量を検知・認識し、サーマルヘッド駆動制御部84を制御する機能を有する。サーマルヘッド駆動制御部84は、画像信号処理装置82からの指令により、サーマルヘッド26を制御する機能を有する。
【0064】
印刷枚数計数センサ85は、印刷に供された印刷用紙Sの印刷枚数を計数する印刷枚数計数手段としての機能・構成を有する。印刷枚数計数センサ85は、上記入力ポートを介して制御装置100に接続されていて、印刷枚数に係る信号を制御装置100に送信する。印刷枚数計数センサ85は、排紙部60の搬送ベルト65近傍に配置された排紙センサ(図示せず)のオン/オフ回数により印刷枚数を計数するものである。
【0065】
ストレージデバイス113は、画像読取部70、画像信号処理装置82およびCPU101を介して送信される原稿の画像読取りデータに係る印刷画像データ(ラスタイメージデータ)、パソコン110等から出力・送信されてくる印刷画像データ(ラスタイメージデータ)、あるいはストレージデバイス113に予め蓄積・記憶されている内部蓄積文書に係る印刷画像データ(ラスタイメージデータ)を任意の期間に亘り蓄積・記憶保存する記憶装置である。ストレージデバイス113としては、例えばHDD(ハードディスク・ドライブ)や、SDカード、フラッシュメモリ等が使用される。ストレージデバイス113も、画像メモリ83と同様に、製版に用いられる1版ないし複数版分の製版画像に対応した印刷画像データを記憶する画像データ記憶手段としての構成・機能を有する。
【0066】
ROM102は、マスタ22の所定の耐刷枚数を記憶するための耐刷枚数記憶手段の機能を有し、マスタ種類等に対応してそのマスタの所定の耐刷枚数が予め記憶されている。ROM102には、図4や図5に示すフローチャートや図14に示すタイミングチャート等により孔版印刷装置1の動作を実行するためのプログラムやデータ等が予め記憶されている。上記プログラムやデータ等の設定は、ROM102へ予めデータで与えたり、あるいはROMチップの交換等で行なわれる。また、ROM102には、版付け印刷や試し刷り印刷で得られた印刷済みの印刷用紙Sを正規の印刷物としてカウントしないようにするためのプログラムが設定されている。RAM103は、CPU101の計算・演算結果を一時記憶したり、上記各センサや各種キー等から入力されたオン/オフ信号やデータ信号を随時記憶する。
【0067】
制御装置100のCPU101(以下、説明の簡明化を図るため、単に「制御装置100」というときがある)は、以下の諸機能を有する。
第1に、制御装置100は、画像メモリ83やストレージデバイス113に記憶されている印刷画像データ(ラスタイメージデータ)における予め設定された印刷画像データ間の距離、すなわち印刷画像データ記憶領域における主走査および副走査方向のそれぞれの最初と最後の黒画像部間の距離を基準として、画像読取部70の画像センサ77により読み取られ画像信号処理装置82でラスタイメージデータ処理された排紙部の原稿の画像に係る比較用印刷画像データ間の距離、すなわち画像信号処理装置82で画像処理された主走査および副走査方向のそれぞれの最初と最後の黒画像部間の距離を比較してその比率を求める画像検証を行う比較手段としての機能を有する。
【0068】
第2に、制御装置100は、原稿有無センサ79aまたは原稿有無センサ79bからの信号および画像比較スタートキー95からの信号に基づいて、多数枚の印刷用紙Sへの印刷動作中に原稿載置台72またはコンタクトガラス74上に排紙部の原稿が載置・セットされたとき、画像読取部70が排紙部の原稿の印刷画像を読み取るように画像読取駆動部78を制御すると共に、CPU101をして上記画像検証を行わせる第1、第2の制御手段としての機能を有する。
【0069】
第3に、制御装置100は、マスタ22の所定の耐刷枚数未満の多量の印刷を行う場合か、あるいはマスタ22の耐刷枚数が不明であって多量の印刷を行う場合、CPU101で計算し求められた上記比率がROM103に予め設定されている設定適合値(例えば原画像に対し排紙部の原稿の画像の比率が120%)以上のとき、印刷動作が停止するように給紙駆動部46、版胴駆動部16および排紙駆動部67の上記各駆動対象手段を制御する第1の制御手段としての機能を有する。
【0070】
第4に、制御装置100は、第3の制御装置100の機能において、CPU101で計算し求められた上記比率がROM103に予め設定されている設定適合値以上のとき、版胴2上の使用済みのマスタ22を排版すると共に、該使用済みのマスタ22に形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタ22に形成し、その製版された別のマスタ22を版胴2に巻き付ける版替え動作を行うか、あるいは印刷された印刷用紙S(排紙部の原稿)上の印刷画像を画像読取部70をして読み取らせた後、CPU101による画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、LCD表示部98が表示・報知するように図示しないLCD駆動回路を制御する第1の制御手段としての機能を有する。
【0071】
第5に、制御装置100は、ROM102からのマスタ22の所定の耐刷枚数(上記したように例えば普通紙で2000枚)に係るデータ信号および印刷枚数計数センサ85からの印刷枚数に係るデータ信号に基づいて、印刷枚数計数センサ85からの印刷枚数がマスタ22の所定の耐刷枚数を超えた場合、すなわちマスタ22の所定の耐刷枚数以上の多量の印刷を行う場合、印刷動作が停止するように給紙駆動部46、版胴駆動部16および排紙駆動部67の上記各駆動対象手段を制御した後、版胴2上の使用済みのマスタ22を排版すると共に、該使用済みのマスタ22に形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタ22に形成し、その製版された別のマスタ22を版胴2に巻き付ける版替え動作を行うか、あるいは印刷された印刷用紙S(排紙部の原稿)上の印刷画像を画像読取部70をして読み取らせた後、CPU101による画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、LCD表示部98が表示・報知するように図示しないLCD駆動回路を制御する第2の制御手段としての機能を有する。
【0072】
第6に、制御装置100は、第5の制御装置100の機能において、画像検証キー97からの信号に基づいて、すなわちユーザによって上記画像検証を再度行う動作が選択された場合であって、CPU101で計算し求められた上記比率がROM103に予め設定されている設定適合値(例えば原画像に対し排紙部の原稿の画像の比率が120%)以上のとき、版替え動作を自動的に行うように、排版駆動部56、製版給版駆動部39、給紙駆動部46、版胴駆動部16および排紙駆動部67の上記各駆動対象手段を制御する第2の制御手段としての機能を有する。
【0073】
第7に、制御装置100は、第5の制御装置100の機能において、画像検証キー97からの信号に基づいて、すなわちユーザによって上記画像検証を再度行う動作が選択された場合であって、CPU101で計算し求められた上記比率がROM103に予め設定されている設定適合値未満のとき、RAM103に予め設定された印刷枚数の何枚後に上記画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、LCD表示部98が表示・報知するように図示しないLCD駆動回路を制御する第2の制御手段としての機能を有する。
【0074】
第8に、制御装置100は、版替えキー96からの信号に基づいて、すなわちユーザによって版替え動作が選択されたとき、画像メモリ83やストレージデバイス113に記憶されている印刷画像データを呼び出してこれに基づいて、再び製版を行い、かつ、その製版済みのマスタ22を版胴2に巻き付けるように、画像信号処理装置82および製版給版駆動部39の上記各駆動対象手段を制御する第1および第2の制御手段の機能を有する。
【0075】
次に、図1〜図15を参照して動作を説明する。
以下の各動作例では、制御装置100と各駆動対象手段および各種キーや各種センサとの各種信号の送受信の内容は、図3に示したブロック図等から容易に理解・実施できるので、説明の簡明化を図るためこれらの一々の説明を随時省略する。また、以下の各動作例では、高速1モードで一連の動作が行われるが、勿論、特開平10−181177号公報に記載されている高速2モードや高速3モードあるいは低速モードにおいても本発明を同様に適用できる。
(動作例1)
図4のフローチャートには、本発明の孔版印刷装置1に係る特有の動作例1が示されている。始めに、孔版印刷装置1が図4のフローチャートに従って動作する前に、ユーザにより行われる操作および給紙部40の給紙トレイ41の状態を述べる。
ここでは、マスタ22の所定の耐刷枚数未満の多量の印刷を行う場合か、あるいはマスタ22の耐刷枚数が不明であって多量の印刷を行う場合について説明する。具体的には、耐刷枚数が例えば普通紙で2000枚であるマスタ22を使用し、一つの原稿について、用紙サイズA4の印刷用紙S(普通紙)を用いて総印刷枚数1500枚の印刷を行うものとする。このような条件の下で行う動作を動作例1とする。動作例1では、制御装置100の上記した第1〜第4および第8の機能が主に使用される。
【0076】
図4のフローチャートや図14のタイミングチャートは、孔版印刷装置1による動作を理解・実施できる程度に概略的に示したものであって、その細部は上述したように適宜省略されていたり幾分誇張されたりしているので、必要に応じて補充説明する。上記タイミングチャート等における上記各駆動対象手段の動作を説明するに際して、後述する動作例2を含め、上記各駆動対象手段が駆動するときを「オン」と、その駆動を停止するときを「オフ」と言い替えることがある。また、上記各駆動対象手段による上記オン/オフの動作を一度説明した後では、重複説明を避け簡明化を図る点から同駆動対象手段による上記オン/オフの動作説明を省略することがある。
【0077】
孔版印刷装置1の初期状態を図1に示す。図1に示すように、製版部20では、マスタロール22Aから繰り出されたマスタ22の先端は反転ローラ対38のニップ部に挾持されている製版待機位置を、版胴2はホームポジションをそれぞれ占めている。図1の初期状態において、先ず、ユーザが孔版印刷装置1の制御装置100および上記各駆動対象手段に電力を供給して起動可能状態あるいは起動準備状態にするための電源スイッチ(図示せず)をオンすると、高速1モードが初期設定される。図1において、ユーザは画像読取部70の原稿載置台72上に複数枚の原稿73を載置・セットすると共に、給紙トレイ41上の印刷用紙Sが足りない場合や無い場合には印刷用紙Sを補充・セットする。
【0078】
上記操作に前後して、ユーザはテンキー93で総印刷枚数1500枚の入力を行うと、印刷枚数表示器99に「1500」が表示される。ここで、CPU101は、ROM102からのマスタ22の耐刷枚数Nに係るデータ信号(耐刷枚数N=2000(枚))およびテンキー93で入力された総印刷枚数に係るデータ信号(総印刷枚数A=1500(枚))に基づいて、マスタ22の所定の耐刷枚数未満の多量の印刷を行うものと認識する。
【0079】
次に、製版・印刷開始のための操作が行われる。すなわち、図14のタイミングチャートの時間T1において、ユーザがスタートキー91を押す(オン)と、製版スタート信号が制御装置100に送信・入力される。これにより、排版、原稿73の画像読み取り、製版、給版、版付け印刷に亘る一連の動作が行われる。
【0080】
図1および図6に示すように、先ず、その外周面に前版の使用済みのマスタ22を巻装していて、ホームポジションを占めていた版胴2は、メインモータ17がオンすることにより時計回り方向に回転を開始する。これにより、ホームポジション検知センサ14ではオフ信号が生成され、このオフ信号が制御装置100に送信される。制御装置100は、ホームポジション検知センサ14からのオフ信号に基づき、版胴2が排版位置で停止するようにメインモータ17を駆動制御する。排版および給版動作時において、版胴駆動部16における上記保持手段の上記ソレノイドはオフ状態となっていて、版胴2は、圧胴9の外周面から離間した状態で回転移動される。
【0081】
時間T2において、図7および図15にも示すように、メインモータ17がオフすることにより、版胴2は排版位置に停止される。これと同時的に図8にも示すように、上記クランパモータがオンすることにより、直ちに排版動作の準備のため同図中実線で示すようにマスタクランパ4が拡開される。上記係止手段による上記移動手段の係止状態が解除されて、排版剥離ローラ51が図8に実線で示すように剥離位置を占めると同時に、排版モータ52がオンする。これにより、排版剥離ローラ51は回転されつつ、マスタクランパ4で係止されていた使用済みのマスタ22の先端部に対応する版胴2の外周面に押し付けられることで、使用済みのマスタの先端部22が排版剥離ローラ51により版胴2の外周面からすくい上げられて剥離される。この直後、排版剥離ローラ51は上記移動手段により同図中に仮想線で示すように再び元の離間位置に戻され、排版ローラ53と共に回転自在に保持される。排版剥離ローラ51が離間位置に戻された直後の時間T3において、上記クランパモータがオフすることにより、マスタクランパ4が閉じられ、メインモータ17がオンされ、版胴2が時計回り方向に回転されることで実質的な排版動作が始まる。
剥離された使用済みのマスタ22は、排版剥離ローラ51および排版ローラ53のニップ部に挾持されながらの回転・搬送動作によって、版胴2の外周面より剥離されつつ搬送され、排版ボックス54の内部に廃棄されていく。
【0082】
説明が前後するが、時間T1においては、版胴2の排版位置への移動および排版動作と並行して、画像読取部70および製版部20で原稿73の画像読み取り動作および製版動作が開始する。画像読取駆動部78が駆動されることで、原稿載置台72上にセットされた複数枚の原稿73の内の最下位の原稿73がコンタクトガラス74上の所定の読取位置に自動搬送され、原稿73の画像が上記原稿走査用光学系で読み取られ、画像センサ77により光電変換されたアナログの印刷画像データ信号がA/D変換装置81に入力される。画像が読み取られた原稿73は、原稿排紙台75上へ排出される。
A/D変換装置81に入力されたアナログの印刷画像データ信号は、A/D変換装置81によりデジタルの印刷画像データ信号に変換され、そのデジタルの印刷画像データ信号は画像信号処理装置82を経由して画像メモリ83に送信され、製版すべき1版分のデジタルの原稿73の印刷画像データ信号として画像メモリ83に一時的に記憶されると共に、画像メモリ83に一時的に記憶されたと同様の印刷画像データ信号が画像信号処理装置82およびCPU101を経由してストレージデバイス113に任意の期間記憶・保存される。
なお、製版に用いる印刷画像データとしては、上述した画像読取部70での原稿73の画像読み取り動作を介して生成されるものに限らず、ストレージデバイス113に記憶されている上記各印刷画像データ(ラスタイメージデータ)であってもよく、その印刷画像データに基づく製版動作等は、上述した内容から当業者であれば容易に実施できるものであるためその説明を省略する。
【0083】
一方、原稿73の画像読み取り動作と並行して、制御装置100からの指令により製版給版駆動部39、画像信号処理装置82からのデジタルの印刷画像データ信号等を受けてのサーマルヘッド駆動制御部84によるサーマルヘッド26の制御および排版駆動部56が制御されつつ、製版動作および排版動作が自動的に並行して進行する。
デジタルの印刷画像データ信号に応じて、サーマルヘッド26の発熱素子が選択的に発熱され、プラテンローラ27に対してサーマルヘッド26で押圧されるマスタ22の熱可塑性樹脂フィルムの部分が選択的に加熱溶融されて穿孔されつつ、プロッタモータ24がオンされ、図7に示すようにプラテンローラ27およびテンションローラ対37がそれぞれ図中矢印方向に回転されることにより、穿孔製版された製版済みのマスタ22が、第1ガイド板28で案内されつつマスタ搬送路MRの下流側へ搬送される。一方、給版モータ30は、オフされたままであり、反転ローラ対38は停止したままである。
【0084】
これと同時に、吸引ファン35がオンして回転することにより、製版済みのマスタ22は、吸引ファン35の回転により撓みボックス32の形状に沿って生じる図において右向きの空気流によって、撓みを形成されながら開口32aから垂れ下がるようにして、撓みボックス32内へと導かれる。こうして、撓みボックス32内には、製版済みのマスタ22が貯留されていく。製版動作が進行し、プロッタモータ24のステップ数により、1版分の製版済みのマスタ22が製版されたと制御装置100で判断されると、制御装置100からの指令により、時間T8において、プロッタモータ24および吸引ファン35がそれぞれオフされる。これにより、プラテンローラ27、テンションローラ対37および吸引ファン35の回転がそれぞれ停止され、製版動作が終了する。これと同時的に、カッタモータ25がオンすることにより、カッタ36が製版済みのマスタ22の幅方向に回転されながら移動して製版済みのマスタ22の後端が切断される。時間T9において、カッタモータ25がオフし、カッタ36の作動が停止される。
【0085】
説明が前後するが、時間T3において、図9に示すように、版胴2は時計回りに回転され、時間T5において、版胴2は給版位置で停止される。この時間T3から時間T5に至る間、排版部50では排版剥離ローラ51および排版ローラ53等の作動による排版動作が継続されており、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ22が剥離され排版ボックス54へ廃棄・排版される。時間T3から時間T5に至る間、製版部20では、プロッタモータ24が回転駆動されており、マスタストック手段31で製版済みのマスタ22に撓みを形成しながらの製版動作が継続されている。
【0086】
一方、製版動作中であって、版胴2が給版位置へ回転移動中である時間T4において、給紙部40では、給紙モータ48がオンして給紙ローラ42および分離ローラ対43が回転されることにより、給紙トレイ41の最上位の1枚の印刷用紙Sが給送され、その印刷用紙Sの先端がレジストローラ対44のニップ部直前の部位に突き当てされる。時間T5において、給紙モータ48がオフして給紙ローラ42および分離ローラ対43の回転が停止されることにより、印刷用紙Sの先端がレジストローラ対44のニップ部に当接・保持されると共に、印刷用紙Sの後端部が給紙ローラ42および分離ローラ対43に当接・保持される。
【0087】
図10に示すように、版胴2が給版位置に停止された時間T5において、マスタクランパ4が拡開され、版胴2は給版待機状態となる。この時、給版モータ30がオンして、反転ローラ対38が回転されることによって、製版済みのマスタ22の先端部は、第2ガイド板29に案内されつつ拡開されたマスタクランパ4へと搬送される。プロッタモータ24の所定ステップ数のオン作動により、製版済みのマスタ22の先端部がマスタクランパ4へ届いたと判断された時点の時間T6で、給版モータ30がオフされて、反転ローラ対38の作動が停止される。
【0088】
図10に示すように、版胴2が給版待機状態にある時間T5ないし時間T7に至る間、排版部50での排版剥離ローラ51および排版ローラ53等の作動による排版動作は、一時中断されている。時間T7において、上記クランパモータがオフして、マスタクランパ4が閉じられることにより、製版済みのマスタ22の先端部がマスタクランパ4で係止される。
【0089】
これと同時に時間T7において、図11に示すように、給版動作が行われる。メインモータ17がオンすることにより、版胴2が時計回り方向に回転移動されると共に、この版胴2の回転力により反転ローラ対38が連れ回りされ、撓みボックス32内に貯留されていた製版済みのマスタ22が引き出されつつ、版胴2の外周面上に巻装されていく。この時、版胴2の外周面に供給される製版済みのマスタ22には、反転ローラ対38の連れ回りによる負荷が与えられるので、所定の張力が作用することとなり、シワ等を発生させることなく版胴2の外周面上に巻き付けられていく。またこの時、版胴2の周速度vは、製版部20におけるプラテンローラ27によるマスタ搬送速度v’よりも十分大きくなるように(v>v’)、制御装置100によりメインモータ17およびプロッタモータ24の回転速度が制御されるようになっている。
【0090】
一方、上記給版動作が行われると同時に、排版部50では、排版モータ52がオンして排版動作が再度開始され、版胴2の回転量に対応した分の使用済みのマスタ22が排版剥離ローラ51および排版ローラ53の作動により版胴2の外周面から剥離・搬送されて、排版ボックス54へ廃棄・排版されていく。
【0091】
製版動作が進行し、プロッタモータ24のステップ数により、1版分の製版済みのマスタ22が製版されたと制御装置100で判断されると、制御装置100からの指令により、時間T8において、プロッタモータ24および吸引ファン35がそれぞれオフされる。これにより、プラテンローラ27、テンションローラ対37および吸引ファン35の回転がそれぞれ停止され、製版動作が終了する(図12参照)。この時、図11ないし図12に示すように、マスタストック手段31における製版済みのマスタ22の撓み量は徐々に小さくなっており、マスタ22の撓み量が最小となる時間T8において、カッタモータ25がオンすることにより、カッタ36が製版済みのマスタ22の幅方向に回転されながら移動して製版済みのマスタ22の後端が切断される。時間T9において、カッタモータ25がオフし、カッタ36の作動が停止される。
【0092】
図11ないし図12に示すように、時間T9付近において、印刷部15では、版胴2がホームポジションを占める回転移動動作に同期して、給紙動作が開始される。レジストモータ49がオンすることにより、印刷用紙Sは、レジストローラ対44により版胴2の回転と同期した所定のタイミングをとられた後給送され、これとタイミングを合わせて紙くわえクランパ12が拡開され、印刷用紙Sをくわえた後、紙くわえクランパ12が閉じられ、圧胴9の外周面に印刷用紙Sが保持されたまま圧胴9が回転され、版胴2と圧胴9との間のニップ部に印刷用紙Sが送り込まれる。このタイミングに合わせて、版胴駆動部16における上記保持手段の上記ソレノイドがオンすることにより、上記カム駆動機構が作動し、圧胴9の外周面が版胴2の外周面に接離可能な状態となる。印刷動作後、上記保持手段の上記ソレノイドがオフすることにより、上記カム駆動機構が作動し、圧胴9の外周面が版胴2の外周面から離間された状態となる。版胴2と圧胴9との上記ニップ部は、上記圧胴接離手段に具備されている緊縮性の印圧バネ(図示せず)の付勢力によって加圧されており、これにより印刷用紙Sは版胴2の外周面上に巻装されている製版済みのマスタ22に押圧される。この押圧の際に、インキローラ6により版胴2の内周面に供給されたインキは、製版画像が形成された製版済みのマスタ22の穿孔部分を通過して滲み出し、この滲み出たインキが印刷用紙Sの表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0093】
印刷画像が形成された印刷済みの印刷用紙Sは、圧胴9が回転して排紙爪62の手前で紙くわえクランパ12が開くことにより、排紙爪62に乗り上げて剥離され、排紙駆動部67の作動を介して、吸引ファン66により吸引されつつ、下方に位置する搬送ベルト65上に排出される。搬送ベルト65上の印刷済みの印刷用紙Sは、吸引ファン66で搬送ベルト65上に吸引されつつ吸着排紙出口ローラ64の回転によって搬送され、排紙トレイ61上に排出されていわゆる版付け印刷が終了する。この版付け印刷により排出された印刷物は正規の印刷物としてカウントされない。すなわち、制御装置100は、版付け印刷の場合、印刷枚数計数センサ85(上記排紙センサ)からの計数信号を無効とし取り込まないようになっている。
【0094】
版付け印刷終了後、ユーザは排出された印刷物(印刷用紙S)を適宜目視して、通常の印刷動作を行ってもよいかどうかを適宜判断し、版付け印刷直後を含め通常印刷動作中において随時、画像濃度や画像鮮明度等の画像品質の確認あるいは画像位置(以下、これらを総称して「画質」という)の確認等を行うために、試し刷り印刷を行う必要があるか否かを判断する。試し刷り印刷を行う場合には、ユーザは図示しないプリントスピードキーを押下して、試し刷りを行いたい印刷速度を適宜設定した後、試しプリントキー94を押下すればよい。試しプリントキー94を押下すると、上記した版付け印刷と同様にして自動的に試し刷り印刷が行われる。試し刷り印刷で得られた印刷物も正規の印刷物としてカウントされないようになっている。
【0095】
説明が前後するが、図11、図12および図15に示すように、時間T7ないし時間T10において、排版部50では、版胴2が再度排版位置に回転移動するまで、排版動作が継続されている。時間T10において、版胴2が再度排版位置を占める付近で、版胴2の外周面上より前版の使用済みのマスタ22が全て剥離され、使用済みのマスタ22が全て排版ボックス54内へ廃棄・排版されると、排版モータ52がオフし、排版動作が終了する。この排版動作終了時点において、印刷部15では印刷動作および排紙動作が上記したように行われている。
【0096】
印刷動作および排紙動作が上記したように行われ、図15に示すように、版胴2が給版位置を占めた付近では、版胴2への1版分の製版済みのマスタ22の巻き付けが完了して給版動作が終了する(時間T11ないし時間T12)。次いで、時間T12ないし時間T13において、印刷済みの印刷用紙Sが排紙トレイ61上に排出されて試し刷り(版付け印刷)が終了する。この後時間T14において、版胴2はホームポジションまで回転移動され、ホームポジションで停止される。
【0097】
一方、時間T13において、レジストモータ49がオフすることにより、レジストローラ対44の動作が停止され、印刷動作が終了する。一方、これと同時の時間T13において、製版部20では、ガイド搬送板33が撓み形成位置から可動してガイド搬送位置を占める。これと同時に、プロッタモータ24がオンすることにより、プラテンローラ27およびテンションローラ対37が回転されると共に、給版モータ30がオンして反転ローラ対38が回転されることによって、カッタ36により切断された次版のマスタ22の先端部がテンションローラ対37および反転ローラ対38の回転作動で搬送されつつガイド搬送板33および第2ガイド板29に案内されながら、マスタ搬送路MRの下流側へと搬送される。そして、プロッタモータ24の所定ステップ数の作動により、次版のマスタ22の先端部が図1に示す製版待機位置を占めたと判断された時点の時間T14で、プロッタモータ24がオフすることにより、図13に示すように、プラテンローラ27、テンションローラ対37および反転ローラ対38の回転がそれぞれ停止される。
【0098】
こうして、画質の確認等を適宜行い、これらがオーケーであれば、ユーザはプリントキー92を押すと、通常印刷時の1枚目の印刷用紙Sを給紙して印刷すべく、上記したと同様の給紙動作、通常印刷動作および排紙動作が行われる。
通常印刷時において給紙された1枚目の印刷用紙Sは、上記プリントスピードキーで設定された印刷速度で上記版付け印刷と同様にして通常印刷動作および排紙動作が行われるが、排紙動作時において、今度は制御装置100は印刷枚数計数センサ85からの計数信号を取り込みこれに基づいて、総印刷枚数=1500をデクリメントする計算を行い(1500−1=1499)、印刷枚数表示器99に「1499」の表示をさせる。この印刷枚数表示器99に対する減算表示は、印刷用紙Sへの1枚の印刷ごとに順次なされる。
【0099】
以下、上記したと同様の給紙、通常印刷および排紙の各動作が順次行われている多数枚の印刷用紙Sへの印刷動作中に、ユーザは画質状態を監視しており、これを客観的にチエックして把握するために、次の特有の操作ないし動作が行われる。すなわち、例えば印刷枚数表示器99に残枚数として「500」の表示がなされた頃にあるいは適宜、ユーザは画質状態を客観的に把握するために排紙トレイ61上に排紙・積載された1000枚目付近の印刷済みの印刷用紙S(印刷物:排紙部の原稿)を素早く取り出し、ADF部71を開放させて排紙部の原稿をその印刷画像面を下にした状態で画像読取部70におけるコンタクトガラス74の所定の読取位置に載置・セットする。排紙部の原稿がコンタクトガラス74の読取位置にセットされると、原稿有無センサ79bによって排紙部の原稿の有り状態が検知され、その信号がCPU101に送信・入力される(ステップS1参照)。
【0100】
次いで、ステップS2において、ユーザが画像比較スタートキー95を押下すると、同キー95のLEDが点灯すると共に、画像比較スタート信号が生成されてその信号がCPU101に送信・入力されると、原稿有無センサ79bからの排紙部の原稿の有り信号および画像比較スタートキー95からの画像比較スタート信号に基づいて、CPU101は比較手段としての自身の計算機能を作動させて画像検証動作を行う。
すなわち、画像読取部70の画像読取駆動部78が駆動されることで、コンタクトガラス74上にセットされた排紙部の原稿の画像が上記原稿走査用光学系で読み取られ、画像センサ77により光電変換されたアナログの印刷画像データ信号はA/D変換装置81に入力されてデジタルの印刷画像データ信号に変換され、そのデジタルの印刷画像データ信号は画像信号処理装置82に送信されて、ここで比較用印刷画像データ(ラスタイメージデータ)に展開処理される。画像が読み取られた排紙部の原稿は、原稿排紙台75上へ排出される。
【0101】
一方、画像メモリ83には上記製版に用いられた原稿73の印刷画像データと同様のデータがコピーされて残っている。CPU101は、原稿73の印刷画像データを画像信号処理装置82に呼び出し、その原稿73の印刷画像データ(ラスタイメージデータ)の印刷画像データ記憶領域における主走査および副走査方向のそれぞれの最初と最後の黒画像部間の距離を基準として、排紙部の原稿の画像に係る比較用印刷画像データにおける主走査および副走査方向のそれぞれの最初と最後の黒画像部間の距離を比較してその比率を求める計算を行う(ステップS3参照)。
【0102】
次いで、ステップS4に進み、CPU101は、計算した比率がROM103に予め設定されている設定適合値(例えば原画像に対し排紙部の原稿の画像の比率が120%)以上のノーのとき、印刷動作が停止するように給紙駆動部46、版胴駆動部16および排紙駆動部67の上記各駆動対象手段を制御することにより、印刷動作が停止する。これと同時に、CPU101は、画像検証の結果に基づき、排紙部の原稿に係る比較用印刷画像データが許容範囲内の画像伸びの程度を超えていると判断して、例えば「排紙部の原稿に係る比較用印刷画像データが異常値を示しています。再製版をするか再度画像検証をするかを選択して下さい」というメッセージを上記LCD駆動回路を制御することにより、LCD表示部98に表示させる(ステップS5参照)。
【0103】
次いで、ステップS6において、ユーザはLCD表示部98に表示されたメッセージに基づき、再製版をするか再度画像検証をするかを選択することとなる。すなわち、ユーザがCPU101による画像検証の結果に基づいて、あるいは自らその排紙部の原稿の画質を確認することにより、これ以上画質を落として印刷を継続することができないと判断したような場合、再製版動作を含む版替え動作を選択すべく版替えキー96を押下すると、同キー96のLEDが点灯すると共に、再製版スタート信号が生成される。この信号がCPU101に送信・入力されると、CPU101からの指令によって、版胴2上の使用済みのマスタ22を排版すると共に、該使用済みのマスタ22に形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタ22に形成し、その製版された別のマスタ22を版胴2に巻き付ける版替え動作が自動的に実行される。
【0104】
すなわち、上記と同様の排版動作が自動的に実行され、これと並行して2版目の製版動作が自動的に行われるが、この動作は1版目のような原稿画像の読み取りを伴う製版動作と一部相違する。すなわち、2版目の製版動作は、制御装置100からの指令により、版替え動作を行うとき、画像信号処理装置82を介してストレージデバイス113または画像メモリ83から1版分の印刷画像データを呼び出して、使用済みのマスタ22に形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタ22に形成すべく画像信号処理装置82および製版給版駆動部39を制御することで行われる。
そして、1版目と同様の給版動作、給紙動作、版付け印刷動作および排紙動作終了後、2版目の通常印刷動作が1版目と同様に行われる。2版目の通常印刷時において給紙された1枚目の印刷用紙Sは、排紙時において、印刷枚数計数センサ85で検知・計数されることで、制御装置100により残りの印刷すべき印刷枚数=500をデクリメントする計算が行われながら、残りの印刷が上記したと同様の給紙、通常印刷および排紙の各動作が行われる(ステップS7参照)。
【0105】
一方、ステップS4において、CPU101は、計算した比率がROM103に予め設定されている設定適合値(例えば原画像に対し排紙部の原稿の画像の比率が120%)未満のイエスのとき、印刷動作を継続するように給紙駆動部46、版胴駆動部16および排紙駆動部67の上記各駆動対象手段を制御することにより、残りの印刷枚数分の印刷動作が継続されることとなる(ステップS8参照)。
【0106】
ステップS6において、再製版をするか再度画像検証をするかの選択の場合、例えばユーザ自らがその排紙部の原稿の画質を確認した結果に基づいて、画像検証を再度行いたいと望むような場合、画像検証キー97を押下すると、同キー97のLEDが点灯すると共に、画像検証スタート信号が生成される。そこで、ユーザは印刷動作が停止している状態のステップS1において、再び画質状態を客観的に把握するために排紙トレイ61上に排紙・積載された例えば1000枚目付近の印刷済みの印刷用紙S(印刷物:排紙部の原稿)を取り出し、上述したと同様に画像読取部70におけるコンタクトガラス74の所定の読取位置に載置・セットした後、上述したと同様のステップS2〜ステップS8の操作および動作が実行される。
(動作例2)
図5のフローチャートには、本発明の孔版印刷装置1に係る特有の動作例2が示されていて、その動作フローはステップS10から始まる。以下、動作例1と相違する操作および動作を中心に説明する。ここでは、マスタ22の所定の耐刷枚数、すなわちマスタ22の規定耐刷枚数を超える多量の孔版印刷を行う場合について説明する。具体的には、耐刷枚数が例えば普通紙で2000枚であるマスタ22を使用し、一つの原稿について、用紙サイズA4の印刷用紙S(普通紙)を用いて総印刷枚数4000枚の印刷を行うものとする。このような条件の下で行う動作を動作例2とする。動作例2では、制御装置100の上記した第1、第5〜第8の機能が主に使用される。
【0107】
孔版印刷装置1が図5のフローチャートに従って動作する前に、ユーザにより行われる操作および給紙部40の給紙トレイ41の状態および孔版印刷装置1の初期状態は、動作例2と同様である。また、上記電源スイッチのオン後において、ユーザはテンキー93で総印刷枚数4000枚の入力を行うと、印刷枚数表示器99に「4000」が表示される。ここで、CPU101は、ROM102からのマスタ22の耐刷枚数Nに係るデータ信号(耐刷枚数N=2000(枚))およびテンキー93で入力された総印刷枚数に係るデータ信号(総印刷枚数A=4000(枚))に基づいて、マスタ22の規定耐刷枚数を超える多量の印刷を行うものと認識する。
【0108】
以下、動作例1と同様の操作および動作が図6〜図15を参照して説明したと同様に実行され、通常印刷時においてマスタ22の規定耐刷枚数である2000枚の印刷物が排紙トレイ61に排紙された段階で、すなわちCPU101は、ROM102からのマスタ22の所定の耐刷枚数(例えば普通紙で2000枚)に係るデータ信号および印刷枚数計数センサ85からの印刷枚数に係るデータ信号(2000枚)に基づいて、印刷枚数計数センサ85からの総印刷枚数がマスタ22の所定の耐刷枚数に到達したとき、印刷動作が停止するように給紙駆動部46、版胴駆動部16および排紙駆動部67の上記各駆動対象手段を制御することにより、印刷動作が停止する(ステップS10参照)。
【0109】
次いで、ステップS11に進み、CPU101は、例えば「再製版をするか画像検証をするかを選択して下さい」というメッセージをLCD表示部98に表示させるので、ユーザは上記メッセージに基づき、再製版をするか画像検証をするかを選択することとなる。ここで、ユーザは、例えば総印刷枚数がマスタ22の規定耐刷枚数に到達したが、自らその排紙部の原稿の画質を確認することなどにより、まだ同一のマスタ22を使用して印刷できそうだが客観的な裏付けデータ等を得るために、排紙トレイ61の最上位に排紙・積載された2000枚目もしくはその付近の印刷物(排紙部の原稿)を取り出して、以下、動作例1のステップS1と同様の操作を行う(ステップS12参照)。
【0110】
すなわち、ステップS13において、ユーザが動作例1のステップS2と同様に画像比較スタートキー95を押下すると、動作例1のステップS3と同様の画像検証動作が自動的に実行される。
すなわち、画像読取部70の画像読取駆動部78が駆動されることで、コンタクトガラス74上にセットされた排紙部の原稿の画像が上記原稿走査用光学系で読み取られ、画像センサ77により光電変換されたアナログの印刷画像データ信号はA/D変換装置81に入力されてデジタルの印刷画像データ信号に変換され、そのデジタルの印刷画像データ信号は画像信号処理装置82に送信されて、ここで比較用印刷画像データ(ラスタイメージデータ)に展開処理される。画像が読み取られた排紙部の原稿は、原稿排紙台75上へ排出される。
【0111】
画像メモリ83には上記製版に用いられた原稿73の印刷画像データと同様のデータがコピーされて残っている。CPU101は、原稿73の印刷画像データを画像信号処理装置82に呼び出し、その原稿73の印刷画像データ(ラスタイメージデータ)の印刷画像データ記憶領域における主走査および副走査方向のそれぞれの最初と最後の黒画像部間の距離を基準として、排紙部の原稿の画像に係る比較用印刷画像データにおける主走査および副走査方向のそれぞれの最初と最後の黒画像部間の距離を比較してその比率を求める計算を行う(ステップS14参照)。
【0112】
次いで、ステップS15に進み、CPU101によって計算された比率がROM103に予め設定されている設定適合値(例えば原画像に対し排紙部の原稿の画像の比率が120%)以上のノーのとき、動作例1のステップS7と同様に再製版しての印刷が継続される(ステップS16参照)。
ここで、CPU101によって計算された比率がROM103に予め設定されている設定適合値(例えば原画像に対し排紙部の原稿の画像の比率が120%)未満のイエスのとき、CPU101は、RAM103に予め設定された印刷枚数の何枚後(1から最大値として例えば100(枚)まで)に画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、例えば「印刷枚数の何枚後(1から最大値として例えば100(枚)まで)に再度画像検証をするか選択して下さい」というメッセージをLCD表示部98に表示させるので、ユーザは上記メッセージに基づき、テンキー93により例えば50(枚)を置数・設定すると、その設定された印刷枚数に係る信号がCPU101に入力されることにより、その設定された印刷枚数になるまで印刷が継続されることとなる(ステップS17、ステップS18参照)。次いで、ステップS11に戻り、再度、ユーザが再製版をするか画像検証をするかを選択することとなる。
【0113】
一方、ステップS11において、ユーザは自らその排紙部の原稿の画質を確認することにより、これ以上画質を落として印刷を継続することができないと判断したような場合、再製版動作を含む版替え動作を選択すべく版替えキー96を押下することにより、動作例1のステップS6およびステップS7と同様の版替え動作が自動的に実行されながら、残りの印刷枚数についての上記したと同様の給紙、通常印刷および排紙の各動作が行われる。
【0114】
動作例2では、マスタ22の所定の耐刷枚数(例えば普通紙で2000枚)を考慮した1回の版替え動作を行う例であったが、複数回の版替え動作を行うような場合、例えば耐刷が同じで総印刷枚数6000枚の多量の印刷を行うような場合(2回の版替え動作が行われる)には、ステップS16での「再製版し印刷継続動作」では再度ステップS10からの動作フローが繰り返されるものとする。動作例2は、これに限らず、例えばステップS17での再度の画像検証が2回以上実行されるような場合、ユーザは印刷画像の伸びの程度が許容される画質の限界値に限りなく近付きつつあることを考慮して、上記例の50枚よりもさらに少ない、テンキー93により例えば30(枚)を置数・設定するようなことも可能となる。
【0115】
上記実施形態では、比較手段としての機能をCPU101に持たせたが、これに限らず、例えば画像信号処理装置82に持たせることも可能である。
【0116】
動作例1および2では、排紙部の原稿をコンタクトガラス74の所定の読取位置にセットしてその印刷画像を読み取ることにより原画像に対して比較するために用いる比較用印刷画像データを得たが、これに限らず、次のようにしてもよい。すなわち、ADF71の原稿載置台72上に1枚の原稿をセットしてその原画像を読み取るような場合では、その原画像の読取り後には原稿載置台72上にその原稿が無くなるから、その原稿載置台72上に排紙部の原稿をセットして原稿有無センサ79aをオンさせた後、画像比較スタートキー95を押下することで同排紙部の原稿を自動搬送し、スキャナ部76でその印刷画像を読み取ることにより、比較用印刷画像データを得てもよい。
【0117】
製版部20は、これに限らず、例えば特開2001−58458号公報記載の製版部(20)でも製版部20と実質的に同様の製版給版動作を行うことができる。
プリントキー92は、版替え前のマスタ22を使用して所定の耐刷枚数の印刷を行った後、版替え後の別のマスタ22を使用して印刷を行う版替え動作を起動する印刷起動手段としての機能も併せもつということで、上記実施形態で使用したが、これに限らず、版付け動作を不要とすることができる印刷装置にあってはこれを除去して、本発明の上記版替え動作待ちにおいてプリントキー92を押すことなく連続自動的に動作を実行することもできる。
LCT給紙装置47は、これに限らず、例えば複数の給紙部として従来の技術で説明したようなバンク給紙部を配設し、1つの給紙部で印刷用紙Sを使い切った際には別の給紙部から同じ用紙サイズの印刷用紙Sを、印刷動作を中断することなく連続自動的に給紙するというように制御して給紙を行うことも勿論可能である。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や動作例あるいはこれらに包含されている実施例等について説明したが、本発明の実施形態は、上述したものに限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて、あるいは単独で構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および目的・用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な製版印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1および6記載の発明によれば、第1の制御手段は、比較手段によって求められた比率が予め設定されている設定適合値以上のとき、印刷動作が停止するように印刷部の駆動対象手段を制御するので、版替え動作のタイミングを印刷画像の状態を監視・判断しながら行うことが可能になる。
【0119】
請求項2および7記載の発明によれば、第1の制御手段は、版胴上の使用済みのマスタを排版すると共に、使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタに形成し、その製版された別のマスタを版胴に巻き付ける版替え動作を行うか、あるいは印刷された印刷用紙上の印刷画像を画像読取手段に読み取らせた後、画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、報知手段が報知するように報知手段の駆動対象手段を制御するので、版替え動作のタイミングを印刷画像の状態を監視し判断しながら行うことができる。
【0120】
請求項3、6および7記載の発明によれば、第2の制御手段は、耐刷枚数記憶手段および印刷枚数計数手段からの各信号に基づいて、印刷枚数が所定の耐刷枚数を超える印刷を行う場合であって、所定の耐刷枚数に達したとき、印刷動作を停止させた後、版胴上の使用済みのマスタを排版すると共に、使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタに形成し、その製版された別のマスタを版胴に巻き付ける版替え動作を自動的に行うか、あるいは印刷された印刷用紙の印刷画像を画像読取手段に読み取らせた後、画像検証を行うかをユーザが選択可能となるように、報知手段が報知するように報知手段の駆動対象手段を制御するので、マスタの耐刷枚数を考慮した版替え動作のタイミングを印刷画像の状態を監視し判断しながら行うことができる。
【0121】
請求項4記載の発明によれば、第2の制御手段は、画像検証を行う動作が選択された場合であって、比較手段によって求められた比率が予め設定されている設定適合値以上のとき、版替え動作を自動的に行うように、排版部、製版給版部および印刷部の各駆動対象手段をそれぞれ制御することにより、請求項3記載の発明の効果に加えて、マスタの所定の耐刷枚数を超える多量の印刷の後で、印刷画像の伸びが客観的な判断基準である設定適合値以上のときには必ず版替え動作を自動的に行うので、印刷画像の伸びや例えば砂目と呼ばれる印刷画像不良、ひいてはマスタ破れや印刷画像のつぶれ等の印刷画像の劣化を未然に防止して、常に良好な印刷物を得ることができる。
【0122】
請求項5記載の発明によれば、第2の制御手段は、画像検証を再度行う動作が選択された場合であって、比較手段によって求められた比率が予め設定されている設定適合値未満のとき、予め設定された印刷枚数の何枚後に画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、報知手段が報知するように報知手段の駆動対象手段を制御することにより、請求項3記載の発明の効果に加えて、ユーザの許容範囲内の画質の印刷物をマスタを無駄にすることなく得られると共に、印刷画像の伸びや例えば砂目と呼ばれる印刷画像不良を未然に防止して、常に良好な印刷物を得ることが可能になる。
【0123】
請求項8記載の発明によれば、第1の制御手段または第2の制御手段は、版替え動作が選択されたとき、画像データ記憶手段に記憶されている印刷画像データに基づいて再び製版を行い、かつ、その製版済みのマスタを版胴に巻き付けるように製版給版部の駆動対象手段を制御することにより、請求項2ないし6の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、版替え時において、製版画像の位置ズレ等を生じることがなくなるので、印刷画像の位置ズレ等を生じることなく先のマスタによるものと同じ印刷画像を得られると共に、例えば同じ原稿を原稿載置台に再セットするというような面倒で煩わしい操作をすることがなくなり、また総印刷時間の短縮化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す孔版印刷装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】図1における孔版印刷装置の操作パネルの要部構成を示す平面図である。
【図3】図1における孔版印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】マスタの耐刷枚数未満の多量印刷を行う場合等の、孔版印刷装置での動作例1の動作フローを表すフローチャートである。
【図5】マスタの耐刷枚数を超える多量印刷を行う場合の、孔版印刷装置での動作例2の動作フローを表すフローチャートである。
【図6】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、孔版印刷装置の初期状態を示す要部の正面図である。
【図7】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、版胴が排版位置に回転移動する動作状態を示す要部の正面図である。
【図8】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、版胴が排版位置に停止し、製版動作と並行して排版動作の準備が行われている動作状態を示す要部の正面図である。
【図9】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、製版動作と並行して排版動作および給紙動作の準備が行われている動作状態を示す要部の正面図である。
【図10】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、排版動作を一時中断し、製版動作と並行して給版動作の準備が行われている給版待機状態を示す要部の正面図である。
【図11】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、製版動作および排版動作と並行して給版動作並びにこれらの動作に並行して給紙動作が行われている動作状態を示す要部の正面図である。
【図12】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、給版動作と並行して印刷動作が行われている動作状態を示す要部の正面図である。
【図13】図1における孔版印刷装置の動作例1および2を表す図であって、孔版印刷の版付け刷り印刷動作を終了し、版胴がホームポジションに停止している動作状態を示す要部の正面図である。
【図14】動作例1および2のタイミングチャートである。
【図15】動作例1および2における版胴の回転移動動作およびその停止に対応した各動作状態および回転数を説明するための図である。
【符号の説明】
1 製版印刷装置としての孔版印刷装置
2 版胴
15 印刷部
16 版胴駆動部
20 製版部
22 マスタ
24 プロッタモータ
26 サーマルヘッド
27 プラテンローラ
30 給版モータ
31 マスタストック手段
39 製版給版駆動部
40 給紙部
46 給紙駆動部
50 排版部
56 排版駆動部
60 排紙部
67 排紙駆動部
70 画像読取手段としての画像読取部
78 画像読取駆動部
83 画像データ記憶手段としての画像メモリ
90 操作パネル
91 スタートキー
93 テンキー
95 起動設定手段としての画像比較スタートキー95
96 動作設定手段としての版替えキー
97 動作設定手段としての画像検証キー
98 報知手段としてのLCD表示部
100 第1の制御手段、第2の制御手段を有する制御装置
101 比較手段、第1および第2の制御手段としてのCPU
102 耐刷枚数記憶手段としてのROM
113 画像データ記憶手段としてのストレージデバイス
S 印刷用紙

Claims (8)

  1. 製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴上の使用済みのマスタを排版する排版部と、マスタを製版しその製版済みのマスタを上記版胴に供給する製版給版部と、上記版胴上のマスタに印刷用紙を相対的に押し付け該印刷用紙に印刷を行う印刷部とを具備する製版印刷装置において、
    製版に用いられる印刷画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
    多数枚の印刷用紙への印刷動作中に、その印刷された印刷用紙上の印刷画像を読み取ることが可能な画像読取手段と、
    上記画像データ記憶手段に記憶されている上記印刷画像データにおける予め設定された印刷画像データ間の距離を基準として、上記画像読取手段により読み取られ上記印刷画像データ間の距離に対応した比較用印刷画像データ間の距離を比較してその比率を求める画像検証を行う比較手段と、
    上記比率が予め設定されている設定適合値以上のとき、印刷動作が停止するように上記印刷部の駆動対象手段を制御する第1の制御手段と、
    を有することを特徴とする製版印刷装置。
  2. 請求項1記載の製版印刷装置において、
    ユーザに情報を報知する報知手段を有し、
    第1の制御手段は、上記版胴上の使用済みのマスタを排版すると共に、該使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタに形成し、その製版された別のマスタを上記版胴に巻き付ける版替え動作を行うか、あるいは印刷された印刷用紙上の印刷画像を上記画像読取手段に読み取らせた後、上記画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、上記報知手段が報知するように上記報知手段の駆動対象手段を制御することを特徴とする製版印刷装置。
  3. 所定の耐刷枚数を有する製版済みのマスタを巻き付ける版胴と、該版胴上の使用済みのマスタを排版する排版部と、マスタを製版しその製版済みのマスタを上記版胴に供給する製版給版部と、上記版胴上のマスタに印刷用紙を相対的に押し付け該印刷用紙に印刷を行う印刷部と、上記所定の耐刷枚数を記憶する耐刷枚数記憶手段とを具備する製版印刷装置において、
    上記版胴上の同一のマスタで印刷された印刷物の印刷枚数を計数する印刷枚数計数手段と、
    製版に用いられる印刷画像データを記憶する画像データ記憶手段と、
    多数枚の印刷用紙への印刷動作中に、その印刷された印刷用紙の印刷画像を読み取ることが可能な画像読取手段と、
    上記画像データ記憶手段に記憶されている上記印刷画像データにおける予め設定された印刷画像データ間の距離を基準として、上記画像読取手段により読み取られ上記印刷画像データ間の距離に対応した比較用印刷画像データ間の距離を比較してその比率を求める画像検証を行う比較手段と、
    ユーザに情報を報知する報知手段と、
    上記耐刷枚数記憶手段および上記印刷枚数計数手段からの各信号に基づいて、上記印刷枚数が上記所定の耐刷枚数を超える印刷を行う場合であって、該所定の耐刷枚数に達したとき、印刷動作を停止させた後、上記版胴上の使用済みのマスタを排版すると共に、該使用済みのマスタに形成されている製版画像と実質的に同一の製版画像を別のマスタに形成し、その製版された別のマスタを上記版胴に巻き付ける版替え動作を自動的に行うか、あるいは印刷された印刷用紙の印刷画像を上記画像読取手段に読み取らせた後、上記画像検証を行うかをユーザが選択可能となるように、上記報知手段が報知するように上記報知手段の駆動対象手段を制御する第2の制御手段と、
    を有することを特徴とする製版印刷装置。
  4. 請求項3記載の製版印刷装置において、
    第2の制御手段は、上記画像検証を行う動作が選択された場合であって、上記比率が予め設定されている設定適合値以上のとき、上記版替え動作を自動的に行うように、上記排版部、上記製版給版部および上記印刷部の各駆動対象手段をそれぞれ制御することを特徴とする製版印刷装置。
  5. 請求項3記載の製版印刷装置において、
    第2の制御手段は、上記画像検証を再度行う動作が選択された場合であって、上記比率が予め設定されている設定適合値未満のとき、予め設定された印刷枚数の何枚後に上記画像検証を再度行うかをユーザが選択可能となるように、上記報知手段が報知するように上記報知手段の駆動対象手段を制御することを特徴とする製版印刷装置。
  6. 請求項1ないし5の何れか一つに記載の製版印刷装置において、
    上記画像読取手段および上記比較手段を起動する信号を生成する起動設定手段を有することを特徴とする製版印刷装置。
  7. 請求項2ないし6の何れか一つに記載の製版印刷装置において、
    上記版替え動作および上記画像検証のうちの何れか一方の動作を選択・設定する動作設定手段を有することを特徴とする製版印刷装置。
  8. 請求項2ないし6の何れか一つに記載の製版印刷装置において、
    第1の制御手段または第2の制御手段は、上記版替え動作が選択されたとき、上記画像データ記憶手段に記憶されている上記印刷画像データに基づいて再び製版を行い、かつ、その製版済みのマスタを上記版胴に巻き付けるように上記製版給版部の駆動対象手段を制御することを特徴とする製版印刷装置。
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CN102991177A (zh) * 2012-12-01 2013-03-27 刘华礼 一种再生ps印刷版的制造方法

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