JP2008255481A - 蒸着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】蒸着材の加熱時に熱歪みの逃げ場がなく発生する蒸着材中の熱応力により蒸着材にクラックが生じ、このクラックを起点に蒸着材の一部が破損して破損微粒子が飛び散り、スプラッシュが発生する。該スプラッシュの発生しない蒸着材を提供する。
【解決手段】多孔質焼結体からなる円板状のZnO蒸着材10で、この蒸着材10には、中央に断面円形の貫通孔が形成される。この貫通孔11の直径は蒸着材10の外径の10〜50%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、AC型のプラズマディスプレイパネルに用いられる膜や、透明導電膜の成膜等に好適な蒸着材に関するものである。
従来、液晶(Liquid Crystal Display : LCD)をはじめとして、各種の平面ディスプレイの研究開発と実用化はめざましく、その生産も急増している。カラープラズマディスプレイパネル(PDP)についても、その開発と実用化の動きが最近活発になっている。PDPは、電極構造の点で金属電極がガラス誘電体層で覆われるAC型と、放電空間に金属電極が露出しているDC型とに分類されるが、AC型が主流である。
このAC型PDPでは、イオン衝撃のスパッタリングによりガラス誘電体層の表面が変質して放電開始電圧が上昇しないように、ガラス誘電体層表面に高い昇華熱を持つ保護膜をコーティングする必要がある。この保護膜は直接放電空間と接しているため、耐スパッタリング性の他に複数の重要な役割を担っている。即ち、保護膜に求められる特性は、放電時の耐スパッタリング性、高い二次電子放出能、絶縁性及び光透過率などである。これらの条件を満たす材料として、一般的にMgOが挙げられ、このMgOを蒸着材として電子ビーム蒸着法又はイオンプレーティング法により成膜されたMgO膜が使用されている。
そして、このMgO膜を成膜するための蒸着材として、MgO純度が99.5%以上かつ相対密度が97%以上の多結晶MgOの焼結体ペレットからなる多結晶MgO蒸着材(例えば、特許文献1参照)が知られている。この特許文献1に記載された多結晶MgO蒸着材では、高純度かつ高密度の多結晶MgO蒸着材を用いてAC型PDP等のMgO膜を成膜すると、スプラッシュが極めて少なく高速で安定した成膜ができるとともに、膜厚分布を向上できるので、略均一な膜質を有するMgO膜を得られるとしている。
一方、太陽電池などの光電変換装置などを製造する場合には、透明導電膜が不可欠である。従来の透明導電膜としては、ITO膜(錫をドープしたインジウム酸化物膜)が知られている。ITO膜は、透明性に優れ、低抵抗であるという利点を有する。ここで、太陽電池や液晶表示装置等にあっては、その低コスト化が求められている。しかし、インジウムが高価なことから、ITO膜を透明導電膜として用いると、その太陽電池等も必然的に高価なものになってしまう難点があった。
この点を解消するために、一層安価に作製することのできるAl、B、Siなどの導電活性元素をドープした酸化亜鉛系膜を太陽電池等の透明導電膜として使用することが提案され、この酸化亜鉛系膜を電子ビーム蒸着法や、イオンプレーティング法などでの真空蒸着により形成するための酸化亜鉛系ターゲットが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この酸化亜鉛系ターゲットによると、上記導電活性元素を亜鉛に対して所定量含有させることにより極めて低抵抗な酸化亜鉛系焼結体が得られ、この焼結体は、原料粉末が微細で高分散性を有するほど焼結密度が向上し導電性が向上するとされている。
特開平10−291854号公報(請求項1、段落番号[0009]) 特開平6−2130号公報(特許請求の範囲の請求項2,請求項3及び請求項4)
しかし、上記特許文献に示されたそれぞれの蒸着材は、円板状の形状を有していることから、MgO膜又はZnO膜を成膜するためにその蒸着材を加熱すると蒸着材の内部に熱歪みが発生し、この熱歪みの逃げ場がなく蒸着材に大きな熱応力が発生する。このため上記熱応力により蒸着材にクラックが生じ、このクラックを起点に蒸着材の一部が破損して破損微粒子が飛び散り、スプラッシュが発生する不具合があった。
本発明の目的は、膜の成膜時にスプラッシュの発生を防止することができる蒸着材を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、多孔質焼結体からなる円板状のZnO蒸着材10の改良である。
その特徴ある構成は、中央に断面円形の貫通孔が形成されたところにある。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、貫通孔11の直径が蒸着材の外径の10〜50%であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、成膜が、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマ蒸着法又はレーザ蒸着法のいずれかの方法で行われることを特徴とする。
この請求項1〜請求項3に記載された蒸着材10では、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマ蒸着法又はレーザ蒸着法のいずれかの方法で膜を成膜するときに蒸着材10を加熱すると、蒸着材10内部に熱歪みが発生するけれども、この熱歪みが貫通孔11で吸収されて蒸着材10自体に熱応力が殆ど発生しない。このため蒸着材10が破損することがないので、スプラッシュの発生を防止できるとともに、膜の成膜速度の経時変化を無くすことができる。
本発明の蒸着材では、中央に断面円形の貫通孔を形成するので、膜を成膜するときに蒸着材を加熱すると、蒸着材内部に熱歪みが発生するけれども、この熱歪みが貫通孔で吸収されて蒸着材自体に熱応力が殆ど発生しない。このため蒸着材が破損することがないので、スプラッシュの発生を防止できるとともに、膜の成膜速度の経時変化を無くすことができる。
次に、本発明における実施の形態を詳しく説明する。
図1に示すように、本発明の蒸着材10は、多孔質焼結体からなり、円板状に形成される。この実施の形態では、多結晶ZnOの焼結体ペレットからなる蒸着材10を示す。そして、この多結晶ZnOの焼結体ペレットの気孔率は3〜50%、又は、5〜30%、更に好ましくは10〜30%、又は20〜30%である。この円板状である蒸着材10の外径Dは5〜40mm、好ましくは10〜30mmであって、高さHが1〜20mm、好ましくは2〜10mmに形成される。この外径Dを5〜40mmに限定し、高さHを1〜20mmに限定したのは、外径Dが5mm未満又は高さHが1mm未満では小さすぎてスプラッシュの発生原因となり、外径Dが40mmを越えるか又は高さHが20mmを越えると実際の製造工程において取り扱いが困難となるからである。
また、この焼結体ペレットの平均結晶粒径は1〜500μmであり、焼結体からなる多結晶ペレットの結晶粒内には平均気孔径0.1〜500μm程度の丸みを帯びた気孔を有する多孔質焼結体とされる。更に、本実施形態のZnO蒸着材10は、ZnO純度が99.0%以上、更に好ましくは99.5%以上、99.9%以上の多結晶ZnOの焼結体ペレットからなる。ここで、気孔率が3%未満である場合には、蒸発速度が所望の速度に維持できないため好ましくなく、また、気孔率が50%を越えた場合には、蒸着材10の強度が低くなり、スプラッシュの発生が多くなってしまうため好ましくない。
また、本実施形態のZnO蒸着材10においては、気孔率を5〜40%とすることができる。ここで、気孔率が5%未満の多孔質焼結体の場合、蒸発速度向上の効果が小さいため好ましくない。また気孔率が40%を越えた多孔質焼結体の場合、十分な機械強度を得ることが難しいため好ましくない。
更に、気孔率が30%を越えた場合には、蒸着材10強度が不十分なため好ましくなく、気孔率が5%未満である場合には、電子ビーム蒸着法や、イオンプレーティング法などでの成膜時に、蒸着材10の蒸発速度が上がらず、その結果、成膜時速度が低下し、結果的に製造コストが増大してしまうため好ましくない。また、気孔率を10〜30%とすることによって、蒸発速度の大幅な向上を得ることができる。更に、気孔率が30%を越えると、2.0〜3.0倍の蒸発速度を有する蒸着材10を得ることが可能となる。
本発明では、気孔の平均気孔径が0.1〜500μmであり、かつ上記の気孔率とされることによって、蒸発速度を高くすることが可能となる。更に、気孔の平均気孔径が0.1〜250μmの範囲にあること、又は、気孔の平均気孔径が0.1〜100μmの範囲にあることにより、より一層蒸発速度を高めることが可能となる。ここで、気孔径が0.1μm未満である場合には、気孔を有するメリットがないため好ましくなく、気孔径が500μmを越えた場合には、焼結体の強度が低下するため、EB(電子ビーム)照射による破損、即ちスプラッシュの原因となるため好ましくない。
なお、気孔の形状は、丸みを帯びたものが好ましく、気孔の表面に更に細かい気孔が形成されている方が蒸発速度向上のためには好ましい。また、気孔の評価方法として、表面積測定において、5〜40m2/g であることが、細孔分布の測定においては、1〜100μmの範囲に少なくとも一つの細孔分布のピークを持つことが好ましい。
また、気孔以外の部分(骨部分)はほぼ焼結している状態とされ、例えば、多孔質焼結体の骨部分の密度は98%以上であることが好ましく、更に、ZnOの焼結体からなる多結晶ペレットの平均結晶粒径が1〜500μmであって、焼結体ペレット内に0.1〜500μm程度の丸みを帯びた気孔を有することができる。このZnO蒸着材10では、多結晶ZnOの焼結体ペレットが微細な結晶構造を有し、かつその結晶粒界に欠陥が生じるのを低減できるため、成膜されたZnO膜は、ZnOの膜密度、膜厚分布、屈折率、耐スパッタ性、放電特性(放電電圧、放電応答性等)、絶縁性等の膜特性が優れたものとなる。ここで、平均結晶粒径が1μm未満であると成膜速度を低下させる不具合があり、その平均結晶粒径が500μmを越えると添加元素の蒸着率が不均一になる不具合がある。そしてこの平均結晶粒径は5〜40μmの範囲にあることが好ましく、10〜30μmの範囲にあることが更に好ましい。
そして、ZnOの多孔質焼結体からなる円板状のZnO蒸着材10には、その中央に断面円形の貫通孔11が形成される。このような貫通孔11が形成されたZnO蒸着材10では、ZnO膜を成膜するときに蒸着材10を加熱すると、蒸着材10内部に熱歪みが発生するけれども、この熱歪みが貫通孔11で吸収されて蒸着材10自体に熱応力が殆ど発生しない。このため蒸着材10が破損することがないので、スプラッシュの発生を防止できるとともに、ZnO膜の成膜速度の経時変化を無くすことができる。
ここで、図1に示す貫通孔11は、その直径dが蒸着材10の外径Dの10〜50%である。その貫通孔11の直径dが蒸着材10の外径Dの10%未満であると、蒸着材10内部に生じる熱歪みを十分に吸収することができず、その貫通孔11の直径dが蒸着材10の外径Dの50%を超えると、単位面積当たりの蒸着材10の量が小さく成りすぎてその機械的強度が低下する不具合がある。
次に、このように構成されたZnO蒸着材10の製造方法を説明する。
まず、純度が99.0%以上のZnO粉末とバインダと有機溶媒と添加剤とを混合して、濃度が45〜75重量%のスラリーを調製する。スラリーの濃度を45〜75重量%に限定したのは、75重量%を越えると上記スラリーが非水系であるため、安定した造粒が難しい問題点があり、45重量%未満では均一な組織を有する緻密なZnO焼結体が得られないからである。即ち、スラリー濃度を上記範囲に限定すると、スラリーの粘度が200〜1000cpsとなり、スプレードライヤによる粉末の造粒を安定して行うことができ、更には成形体の密度が高くなって緻密な焼結体の製造が可能になる。
添加剤として、溶媒に溶解するものとしてはブチラール、アルコール系溶媒に可溶な系として、セルロース系、ポリビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系等が考えられ、また、アルコール系溶媒に溶解しないものとしては平均粒径が数μm〜500μm程度のスターチ系、ポリスチレン系を用いることができる。ここで、スラリーに20重量%程度のブチラールを混入するか、又は、スラリーに20重量%程度のスターチを混入することが好ましい。
このような添加剤を添加した場合には、成形時に存在している添加剤が焼結時に揮発・分解することで気孔が形成されるため、この添加剤により形成される気孔の気孔径及び形状を容易に制御することが可能である。
ここで、添加剤をブチラール系とした場合には、0.1μm〜10μmオーダーの気孔径を有する気孔を形成することができる。また、添加剤をスターチとした場合には、スターチの粒径と同程度の気孔径及び形状を有する気孔を形成することができるため、スターチは、形成される気孔の気孔径及び形状をより一層容易に制御することが可能である。
また、ZnO粉末の平均粒径は0.1〜10μmの範囲内にあることが好ましい。ZnO粉末の平均粒径を0.1〜10μmと限定したのは、0.1μm未満では、粉末が細かすぎて凝集するため、粉末のハンドリングが悪くなり、45重量%以上の高濃度スラリーを調製することが困難となるためであり、10μmを越えると、微細構造の制御が難しく、緻密な焼結体ペレットが得られないからである。またZnO粉末の平均粒径を上記範囲に限定すると、焼結助剤を用いなくても所望の焼結体ペレットが得られる利点もある。バインダとしてはポリエチレングリコールやポリビニールブチラール等を、有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用いることが好ましい。バインダは0.2〜2.5重量%添加することが好ましい。ここで、バインダと添加剤とが共通のブチラール系である場合、バインダを別に添加する必要がなくなる。
また、ZnO粉末とバインダと有機溶媒との湿式混合、特にZnO粉末と分散媒である有機溶媒との湿式混合は、湿式ボールミル又は撹拌ミルにより行われる。湿式ボールミルでは、ZrO2 製ボールを用いる場合には、外径D5〜10mmの多数のZrO2 製ボールを用いて8〜24時間、好ましくは20〜24時間湿式混合される。ZrO2 製ボールの外径Dを5〜10mmと限定したのは、5mm未満では混合が不十分となることからであり、10mmを越えると不純物が増大する不具合があるからである。また混合時間が最長24時間と長いのは、長時間連続混合しても不純物の発生が少ないからである。一方、湿式ボールミルにおいて、鉄芯入りの樹脂製ボールを用いる場合には、外径D10〜15mmのボールを用いることが好ましい。
撹拌ミルでは、外径D1〜3mmのZrO2 製ボールを用いて0.5〜1時間湿式混合される。ZrO2 製ボールの外径Dを1〜3mmと限定したのは、1mm未満では混合が不十分となることからであり、3mmを越えると不純物が増える不具合があるからである。また、混合時間が最長1時間と短いのは、1時間を越えると原料の混合のみならず粉砕の仕事をするため、不純物の発生の原因となり、また1時間もあれば十分に混合できるからである。更に、粉末と添加剤の混合/造粒は、一般的な転動造粒法で行ってもよい。この場合、工程後のボール等との分離作業が必要なく、工程が簡略化される利点がある。
次に上記スラリーを噴霧乾燥して平均粒径が50〜1000μmの造粒粉末を得る。ここで、平均粒径を50〜300μmと限定したのは、50μm未満では後工程で行われる成形工程において成形性が悪い不具合があり、300μmを越えると成形体密度が低く強度も低い不具合があるからである。上記噴霧乾燥はスプレードライヤを用いて行われることが好ましい。
その後、得られた造粒粉末を所定の型に入れて所定の圧力で成形する。所定の型は一軸プレス装置又は冷間静水圧成形装置(CIP(Cold Isostatic Press)成形装置)が用いられる。そしてこれら装置における成形型に貫通孔11を形成するための細工が施され、この成形時に貫通孔11に相当するものが同時に形成された成形体を得る。ここで、一軸プレス装置では、造粒粉末を10〜200kgf/cm2 (0.98〜19.6MPa)、好ましくは10〜100kgf/cm2 (0.98〜9.8MPa)の圧力で一軸加圧成形し、CIP成形装置では、造粒粉末を10〜200kgf/cm2(0.98〜19.6MPa) 、好ましくは10〜100kgf/cm2 (0.98〜9.8MPa)の圧力でCIP成形することが好ましい。圧力を上記範囲に限定したのは、成形体の密度を高めるとともに焼結後の変形を防止し、後加工を不要にするためである。
次に得られた成形体を焼結する。焼結する前に成形体を350〜620℃の温度で脱脂処理することが好ましい。この脱脂処理は成形体の焼結後の色むらを防止するために行われ、時間をかけて十分に行うことが好ましい。焼結は1000〜1400℃の温度で1〜5時間行うことが好ましい。そして、成形体の内部に存在している添加剤は、この焼結時に揮発・分解し、その内部に気孔を形成させる。このため、この添加剤により形成される気孔の気孔径及び形状を容易に制御することが可能である。このように成形体を焼結することにより中央に貫通孔11が形成された円板状のZnO蒸着材10が得られる。
なお、上述した実施の形態では、造粒粉末の成形時に貫通孔11に相当するものを形成し、その成形体を焼結することにより貫通孔11が形成された円板状のZnO蒸着材10を得たけれども、この貫通孔11は成形後焼結以前に機械加工又はレーザ加工により成形体に形成しても良く、焼結した後の円板状の焼結体に機械加工又はレーザ加工を施して貫通孔11を形成しても良い。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、ZnO粉末と、バインダと、有機溶媒とを湿式ボールミルを用い、湿式混合してスラリーを調製した。調製したスラリーを噴霧乾燥し、得られた混合造粒粉末を金型に充填して10MPaの圧力で加圧成形した後、1300℃の温度で焼結し、中央に断面円形の貫通孔が形成された円板状のZnO蒸着材を作製した。得られたZnO蒸着材は、気孔率が3%の多孔質焼結体からなり、そのペレットからなるZnO蒸着材の直径及び厚さはそれぞれ10mm及び3mmであり、かつ中央の断面円形の貫通孔の直径は1mmであった。即ち、貫通孔の直径が蒸着材の外径の10%である蒸着材を得た。
次に、ガラス基板(無アルカリガラス)上に、上記ZnO蒸着材を用いて電子ビーム蒸着法により、膜厚200nmのZnO膜を成膜した。具体的には、直径50mm、深さ25mmの電子ビーム蒸着装置のハースに仕込まれた上記ZnO蒸着材に、到達真空度2.66×10-4Pa、酸素分圧1.33×10-2の雰囲気において、加速電圧10kV、ビームスキャンエリア約40mmφの電子ビームを照射、加熱することにより行った。
<実施例2>
実施例1と同一の条件及び手続きにより実施例1と同一のスラリーを得た。この調製したスラリーを実施例1と同様に噴霧乾燥して得られた混合造粒粉末を実施例1とは異なる金型に充填して実施例1と同様の条件、即ち10MPaの圧力で加圧成形した後、1300℃の温度で焼結し、中央の貫通孔の直径が実施例1と異なる円板状のZnO蒸着材を作製した。得られたZnO蒸着材は、気孔率が3%の多孔質焼結体からなり、そのペレットからなるZnO蒸着材の直径及び厚さはそれぞれ10mm及び3mmであり、かつ中央の断面円形の貫通孔の直径は2mmであった。即ち、貫通孔の直径が蒸着材の外径の20%である蒸着材を得た。そして、このZnO蒸着材を用いて、実施例1と同様の条件及び手続きにより、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。
<実施例3>
実施例1と同一の条件及び手続きにより実施例1と同一のスラリーを得た。この調製したスラリーを実施例1と同様に噴霧乾燥して得られた混合造粒粉末を実施例1とは異なる金型に充填して実施例1と同様の条件、即ち10MPaの圧力で加圧成形した後、1300℃の温度で焼結し、中央の貫通孔の直径が実施例1及び2のいずれとも異なる円板状のZnO蒸着材を作製した。得られたZnO蒸着材は、気孔率が3%の多孔質焼結体からなり、そのペレットからなるZnO蒸着材の直径及び厚さはそれぞれ10mm及び3mmであり、かつ中央の断面円形の貫通孔の直径は5mmであった。即ち、貫通孔の直径が蒸着材の外径の50%である蒸着材を得た。そして、このZnO蒸着材を用いて、実施例1と同様の条件及び手続きにより、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。
<比較例1>
実施例1と同一の条件及び手続きにより実施例1と同一のスラリーを得た。この調製したスラリーを実施例1と同様に噴霧乾燥して得られた混合造粒粉末を実施例1とは異なる金型に充填して実施例1と同様の条件、即ち10MPaの圧力で加圧成形した後、1300℃の温度で焼結し、中央の貫通孔が存在しない円板状のZnO蒸着材を作製した。得られたZnO蒸着材は、気孔率が3%の多孔質焼結体からなり、そのペレットからなるZnO蒸着材の直径及び厚さはそれぞれ10mm及び3mmであった。即ち、貫通孔は存在しないので、その貫通孔の直径が蒸着材の外径の0%である蒸着材を得た。そして、このZnO蒸着材を用いて、実施例1と同様の条件及び手続きにより、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。
<比較例2>
実施例1と同一の条件及び手続きにより実施例1と同一のスラリーを得た。この調製したスラリーを実施例1と同様に噴霧乾燥して得られた混合造粒粉末を実施例1とは異なる金型に充填して実施例1と同様の条件、即ち10MPaの圧力で加圧成形した後、1300℃の温度で焼結し、中央の貫通孔の直径が実施例1〜3のいずれとも異なる円板状のZnO蒸着材を作製した。得られたZnO蒸着材は、気孔率が3%の多孔質焼結体からなり、そのペレットからなるZnO蒸着材の直径及び厚さはそれぞれ10mm及び3mmであり、かつ中央の断面円形の貫通孔の直径は60mmであった。即ち、貫通孔の直径が蒸着材の外径の60%である蒸着材を得た。そして、このZnO蒸着材を用いて、実施例1と同様の条件及び手続きにより、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。
<比較例3>
実施例1と同一の条件及び手続きにより実施例1と同一のスラリーを得た。この調製したスラリーを実施例1と同様に噴霧乾燥して得られた混合造粒粉末を実施例1とは異なる金型に充填して実施例1と同様の条件、即ち10MPaの圧力で加圧成形した後、1300℃の温度で焼結し、中央の貫通孔の直径が実施例1〜3のいずれとも異なる円板状のZnO蒸着材を作製した。得られたZnO蒸着材は、気孔率が3%の多孔質焼結体からなり、そのペレットからなるZnO蒸着材の直径及び厚さはそれぞれ10mm及び3mmであり、かつ中央の断面円形の貫通孔の直径は80mmであった。即ち、貫通孔の直径が蒸着材の外径の80%である蒸着材を得た。そして、このZnO蒸着材を用いて、実施例1と同様の条件及び手続きにより、ガラス基板上にZnO膜を成膜した。
<比較試験及び評価>
実施例1〜3及び比較例1〜3で成膜したZnO膜について、電子ビーム蒸着装置のハースより飛び出したスプラッシュの数を測定した。このスプラッシュ数の測定は、電子ビームを照射したときに飛散する蒸着材の数をデジタルビデオで撮影して数えた。なお、スプラッシュの測定は1回当たり10分間行い、5回ずつ実施し、数値は平均値とした。その結果、実施例1では2.6、実施例2では0.8、実施例3では2.2、比較例1では6.6、比較例2では5.8であった。しかし、比較例3ではスプラッシュ以前に成膜ができていないことが判明した。これらの結果をペレットの形状とともに以下の表1に示す。
Figure 2008255481
表1から明らかなように、実施例1〜3と比較例1〜3を比較すると、実施例1〜3のZnO蒸着材を用いた場合のスプラッシュは2.6以下と比較的低い値を示した。これは、中央に貫通孔を形成したので、成膜するときに蒸着材を加熱すると、蒸着材内部に熱歪みが発生するけれども、この熱歪みが貫通孔で吸収されて蒸着材自体に熱応力が殆ど発生しなかったことによるものと考えられる。
しかし、貫通孔を有しない比較例1及びその貫通孔の直径が蒸着材の外径の50%を越える比較例2のZnO蒸着材を用いた場合のスプラッシュは5.8を越える高いものとなった。また、貫通孔の直径が蒸着材の外径の80%をしめる比較例3のZnO蒸着材を用いた場合には成膜ができなかった。これは、貫通孔を形成しないと蒸着材内部に生じる熱歪みを十分に吸収することができなかったことによるものと考えられ、その貫通孔の直径が蒸着材の外径の50%を超えると、単位面積当たりの蒸着材の量が小さく成りすぎてその機械的強度が低下したことのよるものと考えられる。特に比較例3の成膜速度の低下は、ペレットのハースへの充填率が低下したためと考えられる。また実施例3では開口度が大きいため、蒸着材であるペレットの強度が低下し成膜時にペレットが分割・粉砕されたためとも考えられる。
以上のことから、本発明のZnO蒸着材が効果的であることが確認された。
本発明実施形態の貫通孔を有するZnO蒸着材の斜視図である。
符号の説明
10 ZnO蒸着材
11 貫通孔
D 蒸着材の外径
H 蒸着材の高さ
d 貫通孔の直径

Claims (3)

  1. 多孔質焼結体からなる円板状の蒸着材において、
    中央に断面円形の貫通孔が形成されたことを特徴とする蒸着材。
  2. 貫通孔の直径が蒸着材の外径の10〜50%である請求項1記載の蒸着材。
  3. 成膜が、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマ蒸着法又はレーザ蒸着法のいずれかの方法で行われる請求項1又は2記載の蒸着材。
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