JPH11140635A - 電子ビーム蒸着方法及び電子ビーム蒸着装置 - Google Patents

電子ビーム蒸着方法及び電子ビーム蒸着装置

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JPH11140635A
JPH11140635A JP32373097A JP32373097A JPH11140635A JP H11140635 A JPH11140635 A JP H11140635A JP 32373097 A JP32373097 A JP 32373097A JP 32373097 A JP32373097 A JP 32373097A JP H11140635 A JPH11140635 A JP H11140635A
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electron beam
disk
evaporation
molded product
shaped molded
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JP32373097A
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English (en)
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Kazuyoshi Koide
和佳 小出
Tsutomu Aoyanagi
力 青柳
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Toyo Metallizing Co Ltd
Original Assignee
Toyo Metallizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】均一かつ安定で実用上十分な量の蒸発材料の蒸
発を可能にする電子ビーム蒸着方法及び電子ビーム蒸着
装置を提供すること。 【解決手段】真空中で電子ビームを材料に照射し、生じ
た蒸発物を基材上に付着させるいわゆる電子ビーム蒸着
方法において、蒸発材料が円盤状成型品であること、
該円盤状成型品の円形面が基材に対し傾斜しているこ
と、該円盤状成型品の円形面に電子ビームを照射する
こと、該円盤状成型品を円形面に沿って回転させるこ
とを特徴とする電子ビーム蒸着方法、および蒸発材料か
らなる円盤状成型品を該円盤状成型品の円形面が基材の
蒸着面に対し傾斜しており、かつ該円盤状成型品をその
円形面に沿って回転させる機構と、回転している円盤状
成型品の円形面に電子ビームを照射させる電子銃を有す
る電子ビーム蒸着装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は選択光線透過膜、反
射防止膜などの光学膜あるいは透明導電膜など高精度を
要求される蒸着に好適な電子ビーム蒸着方法及び電子ビ
ーム蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から光学膜、透明導電膜はSiO2、Ti
O2、ZrO2、In2O3・SnO2などの酸化物、TiNなどの窒化
物、MgF2などのハロゲン化物を電子ビーム蒸着機で真空
中で基材に蒸着させる方式がスパッタ方式と並んで一般
に行われている。
【0003】電子ビーム蒸着方式では、蒸発材料が少量
の場合は、固定坩堝に入れた顆粒状の材料に電子ビーム
を照射する方法が一般的である。蒸発材料を大量に使用
する場合は、回転もしくは平行移動する皿状容器に顆粒
を充満させ、これを電子ビーム照射領域を移動させるこ
とにより長時間の蒸発を行う方法も広く実施されてい
る。さらに大量の蒸発を行う場合は、この皿状容器に顆
粒を追加する方法がとられている。
【0004】一方蒸発の安定性を高度に保持するため
に、顆粒の代わりに成型した材料を上記皿状容器に装着
し、これに電子ビームを照射することにより、顆粒特有
の充填率が変化することによる蒸発変動を最小限にする
方法も多く試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】光学膜など精密な特性
を要求される用途用に蒸着による膜形成を行う場合、も
っとも重要なことは膜厚の均一性と膜厚みの精度であ
る。このためには蒸発の経時的な変化のないこと、及び
空間的な広がりが均一であることが重要であることは論
を待たない。特にロール状に巻かれたフイルム又はシー
トを連続的に走行させながら蒸着する場合は、回転ドー
ムに貼付け蒸着分布の均一化がはかれる枚葉蒸着方式と
は異なり、蒸着膜の形成は一過性で平均化されないの
で、蒸発そのものが空間的にも時間的にも均一でなけれ
ばならない。また幅方向に複数個の蒸発源がある場合は
特に空間的な均一性が重要となる。
【0006】このような時間的、空間的な蒸発の均一
性、安定性という見地から従来技術を見た場合、いずれ
の方法も次に示すような重大な欠陥があることがわかっ
た。
【0007】まず固定坩堝に顆粒を入れて蒸発する場合
は、蒸発の進行とともに蒸発面の高さ、形状が変化し、
到底安定した蒸発は得られない。
【0008】次に、移動する皿状容器に顆粒を供給しな
がら蒸発させる方式では、固定坩堝に見られる経時変化
はなく長時間をとれば安定しているが、顆粒使用に伴う
充填率のバラツキによる変動、及びSiO2のように半溶融
して蒸発する材料では溶融時の粒面(即ち蒸発面)の変
動により、短時間的には不安定な蒸発となる。
【0009】この顆粒による短時間変動を解消するた
め、水平に回転する皿状容器に円盤状成型品を装着し、
円形面に電子ビームを照射し蒸発させる方式がとられて
いるが、この場合顆粒による不安定性は解消できるが、
蒸発面が斜めになり蒸発方向が斜めになるため蒸着膜厚
が幅方向に不均一となる。この不均一性を許容範囲にと
どめるためには蒸発面の傾斜を25°以下、好ましくは
15°以下にする必要がある。このため、蒸発による円
盤厚みの減少量をある値以下に制限する必要がある。し
かし成型円盤の場合は、顆粒と異なり運転中の追加補給
ができないので、厚み減少量を制限すれば、1個の円盤
状成型品からの蒸発可能量は少量に制限される。
【0010】以上のとおり従来の方法では、蒸発量の均
一性、安定性に問題あるか、もしくは蒸発の均一性は良
好だが蒸発量が制限されるかのいずれかであった。
【0011】本発明の目的は、これらの問題を解決し、
均一かつ安定で実用上十分な量の蒸発材料の蒸発を可能
にする電子ビーム蒸着方法及び電子ビーム蒸着装置を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成を有する本発明によって工業的に有利に達成さ
れた。
【0013】[1]真空中で電子ビームを材料に照射
し、生じた蒸発物を基材上に付着させるいわゆる電子ビ
ーム蒸着方法において、蒸発材料が円盤状成型品であ
ること、該円盤状成型品の円形面が基材に対し傾斜し
ていること、該円盤状成型品の円形面に電子ビームを
照射すること、該円盤状成型品を円形面に沿って回転
させることを特徴とする電子ビーム蒸着方法。
【0014】[2]円盤状成型品の円形面と基材表面と
の傾斜角が5度以上、60度以下であることを特徴とす
る上記[1]記載の電子ビーム蒸着方法。
【0015】[3]円盤状成型品の傾斜軸の近傍で、円
盤状成型品の回転により該円盤状成型品の円形面が基材
面に近づく側の円形面に電子ビームを照射することを特
徴とする上記[1]または[2]記載の電子ビーム蒸着
方法。
【0016】[4]基材が平面状の物体である上記
[1]〜[3]のいずれかに記載の電子ビーム蒸着方
法。
【0017】[5]基材がロール状に巻かれており、連
続的に走行させながら蒸着するフイルム又はシートであ
ることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記
載の電子ビーム蒸着方法。
【0018】[6]蒸発物が酸化物、窒化物、ハロゲン
化物であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいず
れかに記載の電子ビーム蒸着方法。
【0019】[7]蒸発物が酸化珪素であることを特徴
とする上記[6]記載の電子ビーム蒸着方法。
【0020】[8]蒸発材料からなる円盤状成型品を該
円盤状成型品の円形面が基材の蒸着面に対し傾斜してお
り、かつ該円盤状成型品をその円形面に沿って回転させ
る機構と、回転している円盤状成型品の円形面に電子ビ
ームを照射させる電子銃を有する電子ビーム蒸着装置。
【0021】[9]電子ビームの照射位置が、円盤状成
型品の傾斜軸の近傍で、円盤状成型品の回転により該円
盤状成型品の円形面が基材面に近づく側の円形面である
ことを特徴とする上記[8]記載の電子ビーム蒸着装
置。
【0022】本発明の最大の特徴は、蒸発材料が円盤状
成型品で基材面に対し傾斜して回転し、その円盤の円形
面に電子ビームを照射させることにあり、それにより均
一かつ安定で実用上十分な蒸発材料の蒸発を可能にした
点にある。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、上記[1]〜[9]の各
項の内容について詳しく説明する。
【0024】図1に本発明の1例として、基材面が水平
な場合の円盤状成型品の傾斜回転装置と電子銃の例を示
す。また、図2に比較例として従来からある円盤状成型
品の水平回転装置と電子銃の例を示す。図1(a)は蒸
発開始直後のドーナツ形円盤状成型品と電子銃の模式
図、(b)は蒸発がおよそ半周進んだ状態にあるドーナ
ツ形円盤状成型品と電子銃の模式図である。図1及び図
2において、1は円盤状成型品、2は電子銃、3は電子
ビームの想定中心軌跡(以下、電子ビームと称する)、
4は円盤状成型品1の円形面、5は蒸発面、Oは円形面
4の中心点、6はOを通って円形面4に垂直な円盤状成
型品1の想定回転軸、7は円形面4の中心点Oを通る想
定鉛直線、8は円形面4の中心を通り、基材面(図示せ
ず)に平行な想定線であって円盤状成型品1の傾斜軸に
相当する想定線(以下、傾斜軸と称する)、θは想定鉛
直線7に対する回転軸6の傾きを示す。想定回転軸6は
円形面4い垂直であるから、円盤状成型品1は円形面4
に沿って回転することになる。このθは円形面4の水平
面に対する傾斜角に等しい。電子銃2は想定傾斜軸8の
ほぼ延長線上にあって、傾斜回転している円盤状成型品
1の円形面4が基材面に向かう側の想定傾斜軸8の近傍
に電子ビーム3が照射されるように配置される。
【0025】このように配置することにより、蒸発の初
期にあっては図1(a)に示すように、蒸発面5は円形
面4とほぼ同じ傾きであるが、蒸発が進むにつれて蒸発
面5の傾きは徐々に減少し、ある時点以降は一定の傾斜
角を保つようになる。この安定角は蒸発速度(具体的に
は電子ビームの照射強度)と円盤状成型品の回転速度で
ほぼ決まる。本発明の特徴は、この蒸発面の傾斜を制御
し、蒸発方向と蒸発量を調整するものである。
【0026】なお、ここで、基材がクーリングロールに
沿って走行するフイルムやシートの様に基材面が平面で
なく、垂直な想定垂線7が特定し難い場合は、クーリン
グロールの回転軸に垂直で蒸着開口部のほぼ中央を通
り、円形面4の中心点Oを通る直線を想定垂線7とする
ことができる。また、傾斜軸8は、この想定垂線7に垂
直となるように設定される。
【0027】図2に比較例として、従来からある円盤状
成型品の水平回転装置と電子銃の例を示す。
【0028】本発明の特徴は、蒸発材料が円盤状成型
品1であること、該円盤状成型品の円形面4が基材面
に対し傾斜していること、該円盤状成型品の円形面を
円形面に沿って回転させること、および該円盤状成型
品の円形面に電子ビーム3を照射することにあり、特に
従来全く予期し得ない円盤状成型品の円形面4を基材面
に対し傾斜させて回転すること、即ち上記とにあ
る。本発明に於いて、上記との特徴を備えた方式お
よび装置を傾斜回転方式および傾斜回転装置と略称す
る。また、図2に示す従来方式および装置を水平回転方
式および水平回転装置と略称する。
【0029】本発明者等は、電子ビーム蒸着の膜厚の均
一性、膜厚の精度向上を深く検討し、これらが蒸発面の
状態によって決まり、蒸発面を安定化させ、かつ蒸発面
と基材となす角(一般に基材は水平なので、普通には水
平となす角)を小さくすることにより達成できることを
見いだして、上記の方法に到達した。蒸発面と基材とな
す角は25°以下、好ましくは15°以下、最も好まし
くは実質的に傾斜が無い状態がよい。
【0030】この結果、従来の水平回転方式に比し、蒸
発面、言い換えると蒸発方向の安定性を向上させた上
に、大幅な総蒸発量の増加、即ち同一真空下で長尺フイ
ルムあるいはシートの蒸着を可能にさせることができた
のである。真空蒸着においては、真空に排気する時間が
長いので、同一真空下での蒸着量が生産性の大きな要件
となっており、生産性向上への上記の効果の寄与は大き
い。
【0031】総蒸発量は電子ビームによって蒸発する材
料の厚み(以下蒸発深さという)と材料の総蒸発面積の
積で決まる。蒸発深さは材料の移動速度(回転する円盤
状成型品の場合は、蒸発面5の部分の回転線速度)と蒸
発速度(言い換えると電子ビームの照射強度)で決ま
る。
【0032】また蒸発面5と水平との角(基材の蒸着面
が水平より傾いている場合は、基材の蒸着面との角)
は、電子線の照射幅と蒸発深さによって決まる。
【0033】この状況を図を用いて更に詳しく説明す
る。
【0034】図3の(イ)及び(ロ)に、図1に模式図
を示した本発明の傾斜回転装置の蒸発面の模式図を、図
3の(ハ)に、図2に模式図を示した比較例の水平回転
装置の蒸発面の模式図を示した。図3において1は円盤
状成型品、4は円形面、5は蒸発面、9は水平を表す想
定水平面、aは電子ビームの照射幅、αは蒸発面5の水
平面9に対する傾斜角、θは円形面4の水平面9に対す
る傾斜角、d1、d2、d3はそれぞれ蒸発深さを示す。
【0035】比較例の水平回転装置を示す図3(ハ)に
於いては、蒸発面5は水平面9に対してαだけ傾斜して
おり、そのため蒸発方向も傾斜するので基材面への蒸着
膜の厚みの分布が歪むという問題がある。この歪みを実
用範囲内に止めようとすると蒸発深さd3は小さい値に
限定され、従って総蒸発量も小さい値に限定される。
【0036】本発明の1例を示す図3(イ)は、蒸発面
5が水平面9と一致するように円形面4の角度を水平面
9に対してθだけ傾斜させたものである。この場合、蒸
発深さd1を深くしても蒸発面5が水平を保つように円
形面4の傾斜角θを変更することにより、蒸発方向を真
上とし、かつ、総蒸発量も比較実施例の水平回転法より
大きな数値とすることができる。
【0037】本発明の1例を示す図3(ロ)は、円形面
4の水平面9に対する傾斜θに加えて、実用の範囲内で
蒸発面の傾斜αを許容したものである。この場合、d2
は更に深くすることができ、比較実施例の水平回転法に
比べ総蒸発量を大幅に増加することができる。
【0038】なお、図1、図2及び図3において、蒸発
面5は模式的に平面で表したが、現実的には多少の凹凸
やビーム幅エッジ部の掘れ込み現象などが発生するのが
通常である。この場合の蒸発面の傾斜は、蒸発面内の主
たる近似平面の傾斜で代表することができる。また、近
似平面が見出せない場合は、蒸発面の幅(図3における
a)と、蒸発深さ(図3におけるd1、d2、d3)から
求めた平均傾斜角で、蒸発面の傾斜角を表すこともでき
る。
【0039】今、本発明の実施例の1つを示す図1及び
比較実施例を示す図2に示したドーナツ形の円盤状成型
品1の外径を16cm、中央の穴の内径を10cmと
し、図3に示した電子ビームの照射幅aを2cmとする
と、本発明の実施例の1つを示す図3(イ)に於いて円
形面4の傾斜角θを30度、水平面9に対する蒸発面5
の傾斜角αを0度とした場合の蒸発深さd1は約1c
m、1回転の理論的総蒸発量は約122ccとなる。ま
た、本発明の他の実施例の1つを示す図3(ロ)に於い
て円形面4の傾斜角θを30度、蒸発面の傾斜角αを1
5度とした場合の蒸発深さd2は1.10cm、1回転
の理論的総蒸発量は179ccとなる。
【0040】これに比べ、比較例を示す図3(ハ)に於
いて水平に対する蒸発面の傾斜角αを15度とした場合
の蒸発深さd3は0.54cm、1回転の理論的総蒸発
量は66ccとなる。
【0041】このように、本実施例の傾斜回転装置で
は、同じ電子ビーム幅、同じ蒸発面の傾斜角でも、比較
例の水平回転装置の場合に比べ極めて多量の蒸発量が得
られることが分かる。これにより、同一真空内で蒸着で
きるフイルムあるいはシートの長さを格段に長くするこ
とが可能となった。
【0042】本発明における円盤状成型品の傾斜角は5
度以上、60度以下が好ましい。5度未満では本発明の
効果の一つである蒸発可能量の増大効果が少なく。ま
た、60度を越えると蒸発した蒸気が傾斜した円盤状成
型品に遮られて、蒸着される基材の面積が狭いものに制
限されてしまう他に、蒸発物が円盤状成型品の上部に堆
積し、それが剥がれ落ちて蒸発の安定性を阻害するとい
う恐れがある。
【0043】本発明における蒸発材料には、特に制限は
ないが、蒸発時の加熱により容易に流れない高い溶融粘
度を有するのとき本発明の電子ビーム蒸着方法及び電子
ビーム蒸着装置の効果がより大きく発揮される。この意
味で、酸化物、窒化物、ハロゲン化物などが好ましい蒸
発材料となる。本発明の効果をもっとも発揮する対象材
料は二酸化珪素のように高い粘度で溶融後蒸発する材料
である。
【0044】本発明の方法は反射防止膜、光線選択透過
膜、高輝度反射膜などの光学膜、あるいは透明導電膜の
製造に有効に使用できる。この場合、単層の場合もある
が、一般には複数の層で形成されることが多い。このた
め、本発明の傾斜回転装置は、例えば移動可能な台(図
示せず)上に設置されるのが好ましい。また、蒸発材料
の特性、又は蒸発精度の点で水平回転装置を一部併用し
ても差し支えない。
【0045】本発明の電子ビーム蒸着方法および電子ビ
ーム蒸着装置はその被蒸着基材を選ばないが、特に平板
状の基材が好ましく、中でもロール状に巻かれたフイル
ムあるいはシート基材を連続的に走行させながら蒸着す
る場合もっとも効果を発揮する。また幅方向に複数個の
蒸発源がある場合も特に有効である。これらの場合、特
に蒸発の精度、安定性、及び総蒸発量の大きなことが要
求されるためである。
【0046】以上の説明は、基材面が水平である場合の
実施例について説明したものであるが、本発明は当然こ
れに限定されるものではない。基材面が傾斜している場
合は、上記の説明において「水平面」を「基材面と平行
な面」に読み替えることによって説明される。
【0047】
【実施例】以下に本発明の様態を実施例を以て説明する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0048】[実施例1]幅40cmの長尺フイルム上
に二酸化珪素を連続的に蒸着するため、水平に走行する
フイルム面の下部に、図1に示した傾斜回転装置と電子
銃を配置し、直経16cm、中央の穴の内径10cm、
厚さ3cmの二酸化珪素の円盤状成型品を30度傾斜さ
せて設置した。フイルムは傾斜軸8と平行に電子銃2か
ら円盤状成型品1の方向に走行させた。傾斜した円盤状
二酸化珪素の円形面に電子ビームを幅2cm、奥行き3
cm全幅に渡って照射し、蒸発面がほぼ水平となるよう
に電子ビーム強度を調節しながら円盤状成型品を1周8
時間の回転速度で回転した。
【0049】この結果、7時間にわたって非常に安定し
た蒸着が行われ、1050m長のフイルムに約1000
オングストローム厚の蒸着ができた。蒸着膜厚は左端部
で850オングストローム、中央部で1010オングス
トローム、右端部で810オングストロームとわずかな
膜厚補正板によって容易に修正可能なレベルであった。
蒸着後、蒸発深さをチェックしたところ、約1cmであ
った。
【0050】[実施例2]実施例1と同一の装置を用
い、円盤状成型品の傾斜角を30度とした。円盤状二酸
化珪素の傾斜面に電子ビームを幅2cm、奥行き3cm
全幅に渡って照射し、蒸発面の傾斜(図3(ロ)におけ
るα)がほぼ15度となるように電子ビーム強度を調節
しながら円盤状成型品を1周11時間30分の回転速度
で回転した。
【0051】この結果、10時間にわたって非常に安定
した蒸着が行われ、1450m長のフイルムに約100
0オングストローム厚の蒸着ができた。蒸着膜厚は左端
部で910オングストローム、中央部で980オングス
トローム、右端部で600オングストロームとやや右側
に傾いた分布を示したが、十分膜厚補正板で修正可能で
あった。蒸着後、蒸発面をチェックしたところ、蒸発深
さはおよそ1.5cmであった。
【0052】[比較例1]実施例1と同一の目的で同一
の蒸着機を用い、水平に走行するフイルム面の下部に、
外径16cm、中央の穴の内径10cm、厚さ3cmの
二酸化珪素の成型円盤を図2に示したように水平に回転
する装置を設置し、円盤状成型品の円形面に幅2cmの
電子ビームを奥行き3cm全幅にわたって照射した。円
盤を1周4時間の速度で回転させ、蒸着面の傾きがおよ
そ15°となるよう電子ビームの強さを調節した。蒸着
の安定性は経時変化の点では良好であったが、膜厚分布
は、ひだり端部で930オングストローム、中央部で1
020オングストローム、右端部で580オングストロ
ームと極端に左側に傾いた分布を示た。この膜厚分布は
膜厚補正板で十分修正が不可能であった。この時の蒸着
可能長さは約560mと極めて短かく、生産性の劣るも
のであった。
【0053】[比較例2]比較例1と同様の装置を用
い、円盤の回転速度のみを1周8時間に変え、その他の
条件をそのままにして蒸着した。蒸着長さは約1000
オングストロームの膜厚さで1100mと長くなった
が、膜厚分布は左端部が870オングストローム、中央
部が930オングストローム、右端部が420オングス
トロームと極端に左に傾いた分布を示し、膜厚補正板で
の修正は困難であった。この時の水平面に対する蒸発面
の傾きはおよそ30°であった。
【0054】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明の電子ビ
ーム蒸着方法及び電子ビーム蒸着装置によれば、基材、
特にロール状に巻かれたフィルム又はシートに、SiO2
TiO2、ZrO2、In2O3・SnO2などの酸化物、TiNなどの窒化
物、MgF2などハロゲン化物を、長尺にわたって蒸着が可
能である。また、フィルム又はシートの幅方向及び長さ
方向とも均質で安定した蒸着膜厚みが容易に得られる。
これにより、高性能で高品質な光学膜、あるいは透明導
電膜を安定して大量に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の1例を示す模式図
【図2】比較例である水平回転型の蒸着装置の1例を示
す模式図
【図3】本発明及び比較例の蒸発面の状態を示す模式図
【符号の説明】
1:蒸発材の円盤状成型品 2:電子銃 3:電子ビームの想定中心軌跡 4:成形円盤の円形面 5:蒸発面 6:円盤状成型品の想定回転軸 7:基材面に垂直な想定垂直線 8:円盤状成型品の想定傾斜軸 9:想定水平面 a:電子ビームの照射幅 d:蒸発深さ α:水平に対する蒸発面の傾斜角 θ:円盤状成型品の円形面の水平に対する傾斜角

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空中で電子ビームを材料に照射し、生じ
    た蒸発物を基材上に付着させるいわゆる電子ビーム蒸着
    方法において、蒸発材料が円盤状成型品であること、
    該円盤状成型品の円形面が基材に対し傾斜しているこ
    と、該円盤状成型品の円形面に電子ビームを照射する
    こと、該円盤状成型品を円形面に沿って回転させるこ
    とを特徴とする電子ビーム蒸着方法。
  2. 【請求項2】円盤状成型品の円形面と基材表面との傾斜
    角が5度以上、60度以下であることを特徴とする請求
    項1記載の電子ビーム蒸着方法。
  3. 【請求項3】円盤状成型品の傾斜軸の近傍で、円盤状成
    型品の回転により該円盤状成型品の円形面が基材面に近
    づく側の円形面に電子ビームを照射することを特徴とす
    る請求項1または2記載の電子ビーム蒸着方法。
  4. 【請求項4】基材が平面状の物体であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の電子ビーム蒸着方
    法。
  5. 【請求項5】基材がロール状に巻かれており、連続的に
    走行させながら蒸着するフイルム又はシートであること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子ビー
    ム蒸着方法。
  6. 【請求項6】蒸発物が酸化物、窒化物、ハロゲン化物で
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    電子ビーム蒸着方法。
  7. 【請求項7】蒸発物が酸化珪素であることを特徴とする
    請求項6記載の電子ビーム蒸着方法。
  8. 【請求項8】蒸発材料からなる円盤状成型品を該円盤状
    成型品の円形面が基材の蒸着面に対し傾斜しており、か
    つ該円盤状成型品をその円形面に沿って回転させる機構
    と、回転している円盤状成型品の円形面に電子ビームを
    照射させる電子銃を有する電子ビーム蒸着装置。
  9. 【請求項9】電子ビームの照射位置が、円盤状成型品の
    傾斜軸の近傍で、円盤状成型品の回転により該円盤状成
    型品の円形面が基材面に近づく側の円形面であることを
    特徴とする請求項8記載の電子ビーム蒸着装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008138250A (ja) * 2006-12-01 2008-06-19 Toppan Printing Co Ltd 真空蒸着装置および真空蒸着方法
JP2008255481A (ja) * 2007-03-09 2008-10-23 Mitsubishi Materials Corp 蒸着材

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