JP2017186655A - 酸化インジウム−酸化亜鉛系(izo)スパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents

酸化インジウム−酸化亜鉛系(izo)スパッタリングターゲット及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スパッタリングの際にアーキング(異常放電)の発生を抑制することができる、スパッタ面内のバルク抵抗率の差が小さい、酸化インジウム−酸化亜鉛酸化物(IZO)焼結体スパッタリングターゲットの製造方法の提供。
【解決手段】原料粉末をプレス成形した成形体を室温から焼結温度まで昇温する工程において、途中保持温度を600〜800℃とし、1〜10時間保持する工程、途中保持温度から、焼結温度まで0.2〜2.0℃/minで昇温する工程、焼結温度を1350〜1500℃とし,1〜100時間で焼結する工程からなるIZO焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化インジウム−酸化亜鉛系(IZO)スパッタリングターゲット及びその製造方法に関し、特には、ターゲットのスパッタ面内におけるバルク抵抗率の差が小さく、膜の形成に好適なスパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
いくつかの金属複合酸化物からなる透明導電膜は、高導電性と可視光透過性を有しているので、液晶表示装置、薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置、有機EL、放射性検出装置、端末機器の透明タブレット、窓ガラスの結露防止用発熱膜、帯電防止膜あるいは太陽光集熱器用選択透過膜、タッチパネルの電極などの多岐に亘る用途に使用されている。このような金属複合酸化物からなる透明導電膜の中でも最も普及しているものはITOと呼ばれている酸化インジウム−酸化錫からなる透明導電膜である。
一方、ITO膜よりもエッチング速度が大きいインジウム及び亜鉛の複合酸化物(「IZO」と称する)を主成分とする透明導電膜の需要が増加しつつある。IZO膜を製造する際には、焼結体スパッタリングターゲットが使用されるが、このIZO焼結体は、焼結過程で反りが発生するという問題があった。反りが発生したターゲットは、製品形状を整えるために、その両面を、平面になるよう研削する必要があるが、研削処理によってターゲット面内のバルク抵抗率が大きく変動し、スパッタリングの際、異常放電等が生じるという問題があった。
次に、IZO焼結体スパッタリングに関する先行技術について説明する。特許文献1には、酸化インジウムと酸化亜鉛とを混合し、これをコールドプレス及び静水圧冷間圧縮により成形した後、酸素雰囲気中又は大気中で1300〜1500℃で加熱焼結することが開示されている。また、特許文献2には、InとZnOの粉末を混合するに先立ちZnO粉末のみを仮焼することが開示されている。
特許文献3には、酸化インジウム粉末と酸化亜鉛粉末とを特定の性状にすることが記載されている。また、特許文献4には、IZOを焼結する際、1200℃に達するまで、酸素濃度21%容量以上とし、1200〜1450℃では、酸素濃度21%容量未満の雰囲気で焼結することが記載されている。特許文献5には、原料粉末を微細に粉砕することでターゲットにおける結晶粒径を制御することが記載されている。
しかしながら、これら従来の製造工程の下では、焼結時の加熱による熱膨張、熱収縮に伴い、作製した焼結体に反りが発生していた。反りの大きな焼結体はターゲット形状に加工する際、ターゲットのスパッタ面における抵抗率の差が大きくなることがあった。このような、ターゲット面内の抵抗率のばらつきはスパッタ時にアーキング(異常放電)等を引き起こし、製品の製造歩留まりを低下させる問題があった。特に、近年のスパッタリングターゲットの大面積化に伴い、上記のような問題は顕著になっていた。
特開2001−131736号公報 特開平9−111444号公報 特開2007−8780号公報 特開2007−8772号公報 国際公開第2001/038599号
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、スパッタリングの際にアーキング(異常放電)の発生を抑制することができる、スパッタ面内のバルク抵抗率の差が小さい、スパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを課題とする。特に、大面積であっても、バルク抵抗率の面内の差が小さいスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、IZOの収縮が開始する或いは開始したところで一旦温度を保持して、焼結体内の温度分布を小さくし、これにより、焼結体の反り量を大幅に抑制することができることを見出した。その結果、ターゲット形状に整えるため、その両面を平面になるように研削等しても、面内のバルク抵抗率の差が小さいスパッタリングターゲットを得ることができるとの知見が得られた。
このような知見に基づき、本願は、以下の発明を提供する。
1)In、Zn、Oからなるスパッタリングターゲットであって、ZnとInの原子比が0.05≦Zn/(In+Zn)≦0.30を満たし、該ターゲットのスパッタ面におけるバルク抵抗率の標準偏差が1.0mΩ・cm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
2)バルク抵抗率が1.0〜10mΩ・cmであることを特徴とする上記1)記載のスパッタリングターゲット。
3)相対密度が98%以上であることを特徴とする上記1)又は2)記載のスパッタリングターゲット。
4)スパッタ面の面積が60000mm〜400000mmであることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
5)In、Zn、Oからなる焼結体であって、ZnとInの原子比が0.05≦Zn/(In+Zn)≦0.30を満たし、反り量が2.0mm以内であることを特徴とするIZO焼結体。
6)原料粉末をプレス成形した成形体を焼結して製造される、IZO焼結体からなるスパッタリングターゲットの製造方法であって、室温から焼結温度まで昇温する工程において、途中保持温度を600〜800℃とし、1〜10時間保持する工程、当該途中保持温度から焼結温度まで0.2〜2.0℃/minで昇温する工程、焼結温度を1350〜1500℃とし、焼結保持時間を1〜100時間で焼結する工程からなることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
7)焼結温度を1380〜1420℃とすることを特徴とする上記6)記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
8)焼結保持時間を5〜30時間で焼結することを特徴とする上記6)又は7)記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
9)1.0〜5.0℃/minで降温することを特徴とする上記6)〜8)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
のスパッタリングターゲットの製造方法。
10)途中保持温度から焼結温度まで0.5〜1.5℃/minで昇温することを特徴とする上記6)〜9)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
本発明は、酸化インジウム−酸化亜鉛系酸化物(IZO)焼結体の製造方法において、従来と異なる製造条件、すなわち、焼結条件のうち、特定の温度で保持することが反りの低減に有効であることを見出し、スパッタ面内におけるバルク抵抗率差の小さいターゲットを作製することができ、その結果、アーキングなどの発生が少なく良好なスパッタリングを可能とし、形成した膜の特性を向上させることができるという優れた効果を有する。本発明は、特に大面積のIZOスパッタリングターゲットにおいて有効である。
本発明のスパッタリングターゲット(角型)のバルク抵抗率の測定箇所を示す図である。 本発明のスパッタリングターゲット(円盤型)のバルク抵抗率の測定箇所を示す図である。 本発明のスパッタリングターゲットの反り量の測定を示す模式図である。
本発明のスパッタリングターゲットの成分組成は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、酸素(O)からなり、ZnとInとの原子比が0.05≦Zn/(In+Zn)≦0.30の条件を満たすものである。本発明のターゲットは、主としてインジウムと亜鉛の複合酸化物から構成されているが、酸化インジウムや酸化亜鉛の単独の酸化物を含んでもよい。また、本発明の特性を損なわない範囲で他の元素を含んでもよい。上記Znの原子比はターゲットを用いて形成される膜の導電性等の観点から決定されるものであり、この範囲を超えると所望の特性が得られない。
本発明は、前記スパッタリングターゲットのスパッタ面におけるバルク抵抗率の標準偏差が1.0mΩ・cm以下であることを特徴とする。焼結体の反りが大きい場合、ターゲットのスパッタ面のバルク抵抗率のばらつきが大きくなるため、形成した膜特性(特に膜抵抗)の均一性を阻害する問題があった。本発明では、焼結条件を調整することで焼結体の反りを著しく低減し、これにより、スパッタ面内のバルク抵抗率の標準偏差を1.0mΩ・cm以下まで低減することを可能としている。なお、スパッタ面とは、焼結体を研削し、スパッタリングターゲットに加工した結果、スパッタ装置にてスパッタされる面のことを意味する。
本発明のバルク抵抗率は、1.0mΩ・cm以上、10mΩ・cm以下であることが好ましい。バルク抵抗率が高い場合、スパッタ放電を不安定にすることがある。本発明のバルク抵抗率は、四探針法により、ターゲットのスパッタ面を等間隔に16点以上(角型ターゲットの場合)又は9点以上(円盤型ターゲットの場合)を測定し、その平均値及び標準偏差を算出する。例えば、図1、2に示すように、ターゲット端から20mm以上内側の部分を50mm〜60mmの等間隔で15mm角の部位を3回測定し、その平均をその部位のバルク抵抗率とする。但し、ターゲットの面積が小さい場合は、測定間隔を狭めることで、測定点数を9点以上又は16点以上確保する。なお、ターゲットのバルク抵抗率を測定する際は、必要に応じて研削しても良い。
一般に、焼結体の面積が大きくなるほど、反り量も大きくなる。本発明は、大面積の焼結体であっても、その反り量を2.0mm以内に抑制することができることを特徴とするものである。本発明は、特に、ターゲットのスパッタ面における面積が60000mm〜400000mmと大面積であっても、スパッタ面内の抵抗率差を上記範囲に抑えることができる点で優れたものである。ここで、反りの測定には、レーザー式変位センサーを用い、そのレーザーをプローブとして焼結体の大きさに合わせて、図2に示すように焼結体のいずれか一方の面をレーザーで走査しながら、その高さを測定する。そして、面内における最大の高さと最小の高さの差異を最大反り量とする。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、相対密度が98%以上と高密度であることを特徴とするものである。高密度ターゲットは、スパッタリングの際のパーティクル等を低減することができ、良好な特性を備えた膜を形成することが可能となる。相対密度は、(アルキメデス法で測定した焼結体の実際の密度)/(酸化物の組成から計算した理論密度)×100=相対密度(%)で示したものである。ここで、酸化物の組成から計算した理論密度とは、原料を構成する元素から算出した理論的な密度のことであり、例えば酸化インジウム(In)粉、酸化亜鉛(ZnO)粉を原料とし、酸化インジウム:酸化亜鉛の重量比を90wt%:10wt%とした場合、酸化物の組成から計算した理論密度=(酸化インジウムの理論密度×90+酸化亜鉛の理論密度×10)/100(g/cm)として算出する。
本発明の酸化インジウム−酸化亜鉛系酸化物(IZO)焼結体ターゲットは、以下、原料の混合、粉砕、成型、焼結の各プロセスを経て作製することができる。
(原料の混合、粉砕、造粒、成型の条件)
原料粉として、酸化インジウム(In)粉、酸化亜鉛(ZnO)粉を準備する。原料粉は、比表面積が約5m/gのものを使用するのが好ましい。
具体的には、酸化インジウム粉は、かさ密度:0.5〜0.7g/cm、メジアン径(D50):1.0〜2.1μm、比表面積:4.0〜5.7m/g、酸化亜鉛粉:かさ密度:0.2〜0.6g/cm、メジアン径(D50):1.0〜2.5μm、比表面積:3.0〜6.0m/gを使用する。
次に、各原料粉を所望の組成比となるように秤量後、混合粉砕を行う。粉砕方法には求める粒度、被粉砕物質に応じて様々な方法があるが、ビーズミル等の湿式媒体攪拌ミルが適している。これは、粉体を水に分散させたスラリーを、硬度の高い材料であるジルコニア、アルミナ等の粉砕媒体と共に強制的に攪拌するものであり、高効率で粉砕粉を得ることが出来る。しかし、この際に粉砕媒体も磨耗するために、粉砕粉に粉砕媒体自身が不純物として混入するので、長時間の処理は好ましくない。
粉砕量を粉砕前後の比表面積の差で定義すれば、湿式媒体攪拌ミルでは粉砕量は粉体に対する投入エネルギーにほぼ比例する。従って、粉砕を行う際には、湿式媒体攪拌ミルは積算電力を管理することが重要である。粉砕前後の比表面積の差(ΔBET)は、0.5〜3.0m/g、粉砕後のメジアン径(D50)は、1.0μm以下とする。
次に、微粉砕したスラリーの造粒を行う。これは、造粒により粉体の流動性を向上させることで、次工程のプレス成型時に粉体を均一に金型へ充填し、均質な成形体を得るためである。造粒には様々な方式があるが、プレス成型に適した造粒粉を得る方法の一つに、噴霧式乾燥装置(スプレードライヤー)を用いる方法がある。これは粉体をスラリーとして、熱風中に液滴として分散させ、瞬間的に乾燥させる方法であり、10〜500μmの球状の造粒粉が連続的に得ることが出来る。
スプレードライヤーによる乾燥では、熱風の入口温度、および出口温度の管理が重要である。入口と出口との温度差が大きければ単位時間当たりの乾燥量が増加し生産性が向上するが、入口温度が高すぎる場合には粉体、および添加したバインダーが熱により変質し、望まれる特性が得られない場合がある。また、出口温度が低すぎる場合は造粒粉が十分に乾燥されない場合がある。
また、スラリー中にポリビニルアルコール(PVA)等のバインダーを添加し造粒粉中に含有させることで、成形体強度を向上させることが出来る。PVAの添加量は、PVA6wt.%含有水溶液を原料粉に対して50〜250cc/kg添加する。さらに、バインダーに適した可塑剤も添加することで、プレス成型時の造粒粉の圧壊強度を調節することも出来る。また、得られた造粒粉に、少量の水を添加し湿潤させることで成形体強度を向上する方法もある。
次に、プレス成型を行う。造粒粉を金型に充填し、400〜1000kgf/cmの圧力を、1〜3分間保持して成形する。圧力400kgf/cm未満であると、充分な強度と密度の成形体を得ることができず、また圧力1000kgf/cm以上では、成形体を金型から取り出す際に、成形体自身が圧力から解放されることによる変形のため破壊する場合があり、生産上好ましくない。
(焼結工程)
電気炉を使用し、酸素雰囲気中で成形体を焼結し、焼結体を得る。焼結温度1350〜1500℃まで昇温する。昇温途中で、焼結体内の温度分布を小さくするために保持工程を導入する。途中保持温度は、反応が始まる前の温度帯で焼結体内の温度分布を小さくするため、600〜800℃の温度で導入すると良い。600℃未満では温度が低温過ぎて効果がみられず、900℃より高温の場合は、すでにある程度反応が進んでいるため、反り低減の効果が得られない。途中保持時間は1〜10時間、好ましくは4〜6時間、とする。保持時間が短すぎると、反応の進行を十分に抑制できず、一方、保持時間が長すぎると生産性が低下するため好ましくない。
そして、途中保持温度から焼結温度まで0.2〜2.0℃/minで昇温する。途中保持温度から焼結温度まで昇温速度が0.2℃/minより小さいと、所定温度になるまでに不必要に時間を要してしまうことと、密度が上がらないことがあり、昇温速度が2.0℃/minより大きいと、焼結体内の温度分布が小さくならずに、むらが生じたり、焼結体が割れてしまったりする。好ましくは、0.5〜1.5℃/minである。
焼結温度は1350〜1500℃として、1〜100時間ほど保持し、その後、炉冷または降温速度1.0〜5.0℃/minで降温する。焼結温度が1350℃より低いと、高密度の焼結体を得ることが出来ない。また、1500℃以上の焼結温度では、酸化亜鉛の揮発により、焼結密度の低下や組成ずれが生じ、また炉ヒーター寿命が低下してしまうというコスト的問題もあるので、上限は1500℃とすることが望ましい。好ましくは、1380〜1420℃である。また焼結温度における保持時間が1時間より短いと、焼結が充分進まず、焼結体の密度が充分高くならなかったり、焼結体が反ってしまったりする。保持時間が100時間を越えても、不必要なエネルギーと時間を要する無駄が生じて生産上好ましくない。好ましくは、5〜30時間である。
次に、本発明の実施例について説明する。実施例、比較例では、酸化インジウム−酸化亜鉛系酸化物(IZO)焼結体の原料粉末をプレス成形した成形体を作製する工程は、前記段落0020〜0026に記載する条件で実施し、さらに焼結工程は、段落0027〜段落0029に記載する条件の範囲で適宜設定して実施した。それぞれの焼結体の組成は表1に示す通りである。
実施例等におけるアーキング試験は、シンクロン製マグネトロンスパッタ装置(型番:BSC7011)を使用し、DCパワー密度:2.3W/cm、ガス圧:0.6Pa、ガス流量300sccmの条件で、アルゴン雰囲気中、35時間連続してスパッタを行い、アーキングの発生状態を調べた。アーキングの検出は、ランドマークテクノロジー製マイクロアークモニター(MAM genesis)を用い、アーキング(マイクロアーク)発生回数(回)を測定した。アーキング判定基準は、検出電圧100V以上、放出エネルギー(アーク放電が発生しているときのスパッタ電圧×スパッタ電流×発生時間)が20mJ以下のアーキングをカウントし、10回以下であれば〇、それを超える場合は×とした。
(実施例1)
実施例1では、最高焼結温度を1400℃、焼結保持時間を10時間、途中保持温度を800℃、とした。その結果、焼結体の密度は98.41%で、最大反り値は1.39mmとなった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率は、2.43mΩ・cm、その標準偏差は0.78mΩ・cmであった。実施例1では、このように焼結体の反り量が少なく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが小さくという良好な結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生はほとんど見られなかった。以上の結果を、表1に示す。
(実施例2−15)
実施例2−15では、焼結体の組成、最高焼結温度、焼結保持時間、途中保持温度、途中保持時間、途中保持温度から焼結保持温度までの昇温速度、焼結体の面積、の各条件をそれぞれ変化させた。その結果、表1に示す通り、いずれの焼結体も密度が98%以上であり、最大反り値は2.0mm以内であった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、いずれのターゲットのバルク抵抗率は、1.0〜10.0mΩ・cmであり、その標準偏差は1.0mΩ・cm以内であった。実施例2−15では、このように焼結体の反り量が少なく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが小さくという良好な結果が得られた。また、これらのターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生はほとんど見られなかった。
(比較例1)
比較例1では、最高焼結温度を1400℃、焼結保持時間を10時間とし、途中保持は行わなかった。その結果、焼結体の最大反り値は2.30mmとなった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.40mΩ・cmであった。比較例1では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
(比較例2)
比較例2では、最高焼結温度を1400℃、焼結保持時間を10時間とし、途中保持温度を500℃と低くした。その結果、焼結体の最大反り値は2.06mmとなった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.18mΩ・cmであった。比較例2では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
(比較例3)
比較例3では、最高焼結温度を1400℃、焼結保持時間を10時間とし、途中保持温度を900℃と高くした。その結果、焼結体の最大反り値は2.14mmとなった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.24mΩ・cmであった。比較例3では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
(比較例4)
比較例4では、最高焼結温度を1400℃、焼結保持時間を10時間とし、途中保持温度を1100℃と高くした。その結果、焼結体の最大反り値は2.11mmとなった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.11mΩ・cmであった。比較例4では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
(比較例5)
比較例5では、最高焼結温度を1400℃、焼結保持時間を10時間、途中保持温度を800℃とし、途中保持温度から最高焼結温度までの昇温速度を5℃/minと速くした。その結果、焼結体の最大反り値は2.23mmとなった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.26mΩ・cmであった。比較例5では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
(比較例6)
比較例6では、最高焼結温度を1400℃、焼結保持時間を10時間、途中保持温度を800℃とし、途中保持時間を1時間と短くした。その結果、焼結体の最大反り値は2.31mmとなった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.31mΩ・cmであった。比較例6では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
(比較例7)
比較例7では、途中保持温度を800℃とし、最高焼結温度を1600℃と高くした。その結果、焼結体の最大反り量は2.33mmであり、相対密度が97.5%であった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.42mΩ・cmであった。比較例7では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
(比較例8)
比較例8では、途中保持温度を800℃とし、最高焼結温度を1500℃と高くした。その結果、焼結体の最大反り量は2.37mmであった。また、焼結体をターゲット形状に整えるために、その両面を平面になるように研削したところ、ターゲットのバルク抵抗率の標準偏差は1.53mΩ・cmであった。比較例8では、このように焼結体の反り量が大きく、ターゲットのバルク抵抗率のばらつきが大きいという結果が得られた。また、このようにして作製したターゲットをスパッタしたところ、アーキングの発生が多かった。
上記の通り、本発明は、従来と異なる焼結条件により、反りが小さい焼結体を歩留まりよく作製することができ、これにより、生産性を著しく向上させることができるという優れた効果を有する。また、本発明は、焼結体の反りを低減することで、該焼結体を加工した後のターゲットのスパッタ面のバルク抵抗率のばらつきが小さくことができ、特性が均一な膜を形成することができるという優れた効果を有する。本発明のスパッタリングターゲットは、液晶表示装置、薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置、有機ELなどに使用される透明導電膜の形成に有用である。

Claims (10)

  1. In、Zn、Oからなるスパッタリングターゲットであって、ZnとInの原子比が0.05≦Zn/(In+Zn)≦0.30を満たし、該ターゲットのスパッタ面におけるバルク抵抗率の標準偏差が1.0mΩ・cm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. バルク抵抗率が1.0〜10mΩ・cmであることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
  3. 相対密度が98%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタリングターゲット。
  4. スパッタ面の面積が60000mm〜400000mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. In、Zn、Oからなる焼結体であって、ZnとInの原子比が0.05≦Zn/(In+Zn)≦0.30を満たし、反り量が2.0mm以内であることを特徴とするIZO焼結体。
  6. 原料粉末をプレス成形した成形体を焼結して製造されるIZO焼結体からなるスパッタリングターゲットの製造方法であって、室温から焼結温度まで昇温する工程において、途中保持温度を600〜800℃とし、1〜10時間保持する工程、当該途中保持温度から焼結温度まで0.2〜2.0℃/minで昇温する工程、焼結温度を1350〜1500℃とし、焼結保持時間を1〜100時間で焼結する工程からなることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  7. 焼結温度を1380〜1420℃とすることを特徴とする請求項6記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  8. 焼結保持時間を5〜30時間で焼結することを特徴とする請求項6又は7記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  9. 1.0〜5.0℃/minで降温することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  10. 途中保持温度から焼結温度まで0.5〜1.5℃/minで昇温することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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