JP2008226734A - 薄膜型電子放出材料の形成用組成物、薄膜型電子放出材料、その製造方法及び電界放出型素子 - Google Patents

薄膜型電子放出材料の形成用組成物、薄膜型電子放出材料、その製造方法及び電界放出型素子 Download PDF

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Abstract

【課題】特殊な材料や特殊な操作を必要とすることなく、電子放出能の高い薄膜型電子放出材料を形成するための組成物、前記薄膜型電子放出材料、その製造方法等を提供する。
【解決手段】(1)有機高分子バインダーと、有機溶媒と、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ等を含む薄膜型電子放出材料の形成用組成物、(2)有機高分子マトリックス又は有機高分子の炭化物マトリックスと、導電材と、前記カーボンナノチューブ等の凝集体とを含む薄膜型電子放出材料、(3)前記組成物を導電性基板上に塗布したのち、加熱処理し、又はさらに焼成処理することにより、前記薄膜型電子放出材料を製造する方法、(4)前記薄膜型電子放出材料を用いて作製されてなる電界放出型素子、及び(5)前記電界放出型素子を搭載してなる電界放出型ディスプレイである。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子放出能の高い薄膜型電子放出材料を形成するための組成物、前記薄膜型電子放出材料、その製造方法、該薄膜型電子放出材料を用いて作製された電界放出型素子、及びその電界放出型素子を搭載してなる電界放出型ディスプレイに関する。
近年、画像表示装置の薄型化、及びその画像の高輝度化、高コントラスト化、広視野角化に対する要請がますます強まってきている。これに伴い、ディスプレイ用の電子源として、ミクロンサイズの微小電子放出素子の開発が盛んである。
従来、電子放出素子としては、高温に加熱されたタングステン等の材料に高電圧を印加して電子を放出させる「熱放出型」のものが用いられていたが、近年では、高温に加熱する必要がなく、低電圧でも電子を放出することが可能である「冷陰極型」の電子放出素子が注目され、特に電界放出型(FE型)が盛んに研究開発されている。
電界放出型電子放出素子としてはスピント(Spindt)型と呼ばれる円錐形状のエミッターを具備したものが知られている。この電子放出素子は通常支持体表面の電極層上に設けたSiO2などの絶縁層に直径1〜2μm程度のピンホールをあけ、MoやNiなどの金属材料の蒸着材料を支持体を回転させながら垂直方向から真空蒸着する回転蒸着法によってエミッタを形成する。しかしながらMoやNiなどの金属材料エミッター用蒸着材料は水素などのガスが吸着すると仕事関数が変化して、経時的に放出電流が変動するという欠点を有する。
一方、カーボンナノチューブは、熱伝導率が金属よりも高く、電気伝導性が良好又は適度(良導体又は半導体)で、表面が化学的に安定し、軽量にもかかわらず、強度がダイヤモンド並みなど、その特異な電気的、化学的及び機械的性質により、電界放出電子源、ナノスケール電子デバイス、化学的貯蔵システム、機械的補強材などといった将来のナノテクノロジーに応用できる可能性が高く、様々な分野で、その応用が検討されている。
このカーボンナノチューブは、化学的気相成長法(CVD法)やアーク放電法等によって生成され、炭素原子が六角形状に規則正しく並んだグラフェンシートが、円筒形に丸まったものであり、前記したように特異な性質を有している。
なお、グラフェンシートの筒が一重のものを単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と称し、その直径は1〜数nm、長さは1〜数μm程度である。一方、グラフェンシートの筒が同心状に何重も重なっているものを多層カーボンナノチューブ(MWCNT)と称し、その直径は数nm〜百数十nmである。また、グラフェンシートが略円錐状に丸まったものをカーボンナノホーンと称し、単層カーボンナノホーン(SWCNH)及び多層カーボンナノホーン(MWCNH)がある。本発明においては、これらをカーボンナノチューブ(以下「CNT」ということがある)と総称する。
ところで、電界放出型ディスプレイ(FED)には、良好な電子放出材料が必要であり、この材料又は素子として、CNT又はナノカーボン系材料が検討されている。
例えば、特許文献1には、有機溶剤と樹脂と金属セッケンを含有する接着剤と、分散されたCNTを含む導電性ペーストを、基板上に印刷してペースト膜を形成する第1ステップと、該ペースト膜を乾燥及び焼成する第2ステップとを備えた電子放出源の製造方法が開示されている。
一方、特許文献2には、CNTと、磁性粒子と、結合剤との混合物を基板表面に塗布する第1工程と、塗付された混合物に磁場を印加し、CNTを基板表面に対してほぼ垂直に配向させる第2工程とを有するCNT配列材料の製造方法が開示されている。
特開2006−140110号公報 特開2004−234865号公報
特許文献1においては、導電性ペーストの良好な印刷性を確保する目的で、CNTのサイズを小さくするために、転動ボールミルなどを用いて粉砕処理が行われている。しかしながら、このような導電性ペーストを用いる方法では、CNTが基板面とほとんど平行に近い(寝た)状態でペースト材料の中に埋め込まれているため、高い電子放出特性を得ることは本質的に困難である。
特許文献2によれば、CNTと磁性粒子と結合剤との混合物を基板面に塗布した後に外部から磁場を印加し、磁場によって配向された磁性粒子から受ける力によってCNTを配向させることができ、CNTが垂直に配向された混合物の表面を処理することにより、CNTを均一な高さで露出させることが可能とされている。しかしながら、磁性粒子の使用や、磁場印加などの特殊な操作が必要であり、生産性や経済性などの面で満足し得るものではない。
本発明は、このような状況下で、特殊な材料や操作を必要とすることがなく、電子放出能の高い薄膜型電子放出材料を形成するための組成物、前記薄膜型電子放出材料、その製造方法、該薄膜型電子放出材料を用いて作製された電界放出型素子、及びその電界放出型素子を搭載してなる電界放出型ディスプレイを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定構成の組成物を用い、この組成物を、導電性基板上に塗布したのち、加熱処理して有機溶媒を除去することにより、又は、前記加熱処理後にさらに焼成処理することにより、目的の薄膜型電子放出材料が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(7)を提供するものである。
(1)有機高分子バインダーと、有機溶媒と、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維とを含むことを特徴とする薄膜型電子放出材料の形成用組成物。
(2)有機高分子マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含むことを特徴とする薄膜型電子放出材料。
(3)有機高分子の炭化物マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含むことを特徴とする薄膜型電子放出材料。
(4)上記(1)の薄膜型電子放出材料の形成用組成物を、導電性基板上に塗布したのち、加熱処理して有機溶媒を除去することにより、有機高分子マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜を形成させることを特徴とする薄膜型電子放出材料の製造方法。
(5)上記(1)の薄膜型電子放出材料の形成用組成物を、導電性基板上に塗布したのち、加熱処理して有機溶媒を除去し、次いで焼成処理することにより、有機高分子の炭化物マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜を形成させることを特徴とする薄膜型電子放出材料の製造方法。
(6)上記(2)又は(3)の薄膜型電子放出材料を用いて作製されてなる電界放出型素子。
(7)上記(6)の電界放出型素子を搭載してなる電界放出型ディスプレイ。
本発明によれば、特殊な材料や操作を必要とすることがなく、電子放出能の高い薄膜型電子放出材料を形成するための組成物、前記薄膜型電子放出材料、その製造方法、該薄膜型電子放出材料を用いて作製された電界放出型素子、及びその電界放出型素子を搭載してなる電界放出型ディスプレイを提供することができる。
本発明の薄膜型電子放出材料の形成用組成物(以下単に「組成物」ということがある)は、有機高分子バインダーと、有機溶媒と、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのCNT及びカーボンナノファイバー(以下「CNF」と略記することがある)から選ばれる1種以上の炭素繊維とを含むことを特徴とする。
[有機高分子バインダー]
本発明の組成物において用いる有機高分子バインダーは、CNTやCNF、導電材のバインダーとしての機能を有するものであればよく、特に制限されず、熱可塑性合成樹脂、熱硬化性合成樹脂、天然樹脂、天然物誘導体など、いずれも用いることができる。
このような有機高分子バインダーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加ポリイソプレン、水素添加ポリブタジエン、エチルセルロースやニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリエステルアクリレートやエポキシアクリレートやウレタンアクリレートなどのアクリル系樹脂、さらにはポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテルなどのポリグリシジルエーテル化合物や、その硬化物などを例示することができる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記有機高分子バインダーの中では、ポリカーボネート、ポリビニルアルコールなどが好ましい。
なお、後述する有機高分子の炭化物をマトリックスとする薄膜型電子放出材料を作製する際には、前記の有機高分子バインダーを焼成処理し、炭化させる工程が施される。この場合、当該有機高分子バインダーとしては、CNTやCNFの消失を抑制する観点から、200〜400℃程度、好ましくは300〜400℃の温度で炭化が可能であり、かつ炭化率の高いものを、前記例示化合物の中から、適宜1種又は2種以上選択して用いることが望ましい。
[有機溶媒]
本発明の組成物において用いる有機溶媒は、前記有機高分子バインダーを容易に溶解し得ると共に、200〜400℃程度の温度で蒸発するものであればよく、特に制限はない。このような有機溶媒としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ系;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシプロピルアセテートなどのエーテルアセテート系;3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル系;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系;エタノール、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系;1−p−メンテン−8−オール(テルピネオール)、p−メンタン−1,8−ジオールアセテートなどのテルペン系;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環式エーテル系;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系等を例示することができる。
これらの中では、3−エトキシプロピオン酸メチルなどのエステル系、1−p−メンテン−8−オールなどのテルペン系溶媒、テトラヒドロフランなどの環式エーテル系などが好ましい。
これらの有機溶媒は使用する有機高分子バインダーの種類に応じて、適宜1種又は2種以上を選択して用いることが望ましい。
[導電材]
本発明の組成物において用いる導電材は、後述の有機高分子をマトリックスとする薄膜型電子放出材料、又は有機高分子の炭化物をマトリックスとする薄膜型電子放出材料において、より高い導電性を付与するために用いられるものである。
導電材の種類に特に制限はなく、種々のものを使用することができるが、薄膜型電子放出材料の作製において焼成工程を必要とする場合には、特に酸化に対する耐性の大きなものが要求される。この観点から、導電材としては、例えば金、白金、銀、銅などの金属系材料、又はグラファイト粒子やカーボンブラックなどの炭素質材料が好ましく用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、導電性、酸化耐性などの観点から、金が特に好適である。
当該導電材の平均粒径は、金属系材料及びグラファイト粒子においては、通常1〜10nm程度、好ましくは3〜7nmである。金粒子の平均粒径は、通常2〜8nm程度であり、カーボンブラックの平均粒径は、通常10〜50nm程度である。
本発明の組成物における当該導電材の含有量は、その種類にもよるが、有機高分子バインダー100質量部に対して、通常0.1〜10質量部程度、好ましくは0.5〜5質量部、より好ましくは1〜3質量部の範囲で選定される。
なお、当該導電材は、取扱い性及び組成物における均質分散性などの観点から、ペーストの形態で用いるのが有利である。この導電材ペーストは、公知の方法により調製することができるし、市販品を用いることもできる。
[CNT及びCNFから選ばれる1種以上の炭素繊維]
本発明の組成物において用いられる平均繊維径が5〜180nmのCNTやCNFは、気相成長法で作製されたCNTやCNF(以下「気相成長炭素繊維」ということがある)である。
気相成長炭素繊維は、直線状の繊維形態を有し、屈曲指数の平均値が5〜15の剛直な繊維であることが好ましい。屈曲指数は、気相成長炭素繊維の剛直性を示すものであって、顕微鏡などで撮影した多数の気相成長炭素繊維の屈曲していない直線部分の長さLxと直径Dとを測定したとき、屈曲指数はLx/Dで定義される。したがって、屈曲指数が小さい気相成長炭素繊維は短い間隔で折れ曲がることを示し、屈曲指数が大きい気相成長炭素繊維は直線部分が長く、屈曲していないことを示す。
気相成長炭素繊維としては、電子放出特性の観点から、平均繊維径が5〜180nm、好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは15〜50nmであり、かつ平均繊維長さが、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜30μmである。また、炭素六角網面のグラファイトの1枚面(グラフェンシート)を巻いて筒状にした形状を有する多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の中でも特に欠陥(屈曲部分)の少ない剛直なマルチウォール気相成長炭素繊維を用いることが好ましい。かかる気相成長炭素繊維としては、昭和電工株式会社製の「VGCF」「VGNT」(登録商標)が好ましい。
このような剛直な気相成長炭素繊維は、各種気相成長法により製造することができる。気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、気相成長炭素繊維を合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。気相成長炭素繊維は、例えばベンゼン、トルエン、天然ガス等の有機化合物を原料に、フェロセン等の遷移金属触媒の存在下で、水素ガスとともに800〜1300℃程度で熱分解反応させることによって得ることができる。
本発明に用いられる気相成長炭素繊維は、本発明の組成物に含有させる前に、不活性ガス雰囲気下で2,000℃以上で予め加熱処理することにより、黒鉛構造を発達させたものとすることができ、かかる気相成長炭素繊維を用いると電子放出材料としての導電性や耐久性が改善されるため好ましい。
また、気相成長炭素繊維は、本発明の組成物に含有させる前に、予め表面処理、例えばイオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、有機高分子バインダーとの接着性などを改善することもできる。
本発明の組成物における気相成長炭素繊維の含有量は、優れた電子放出特性を得る観点から、組成物中の固形分全量に基づき、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲で選定される。
[任意添加成分]
本発明の組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種の添加成分、例えばシランカップリング剤や金属セッケンなどを含有させることができる。
シランカップリング剤は、基板としてITO(錫ドープ酸化インジウム)などの導電膜が表面に設けられたガラス基板などを用いる場合に、該基板と本発明の組成物を塗布して得られる薄膜との接着性を向上させる機能を有している。
このシランカップリング剤としては、例えばトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの含有量は、組成物中の固形分100質量部に対して、通常0.001〜10質量部程度である。
一方、金属セッケンは、CNTやCNFの基板に対する接着剤としての機能を有している。この金属セッケンは分子の末端に金属原子をもつために、それを含有する組成物からなる薄膜を焼成すると金属やその酸化物が残留する。そして、残留する金属やその酸化物は極細サイズであるため、接着剤としての作用点を極めて有効に確保できる。
金属セッケンの有機成分としては、オクチル酸、ナフテン酸、デカン酸、ネオデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、乳酸、2−エチルヘキサン酸、サリチル酸、ラウリン酸、フタル酸、パルミチン酸、テレフタル酸、酒石酸、こはく酸、グルコン酸、クエン酸、安息香酸などが挙げられ、金属成分としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ビスマス、アルミニウム、銅、亜鉛、すず、カドミウム、鉛などが挙げられる。
金属セッケンの含有量は、その中に含まれる金属として、組成物中のCNTやCNFに対して、通常0.1〜100質量%程度、好ましくは0.1〜10質量%である。
本発明の組成物における固形分濃度及び粘度については、塗布可能な範囲であればよく、特に制限はない。後述するように、本発明においては、塗布方法として、スプレー法を採用することが望ましいため、スプレーガンを使用し、圧縮空気などの圧縮気体の噴流で、当該組成物を霧化して塗布できる濃度及び粘度であればよい。このような固形分濃度及び粘度を有する組成物の形態は、通常ペースト状となる。
[薄膜型電子放出材料]
本発明の薄膜型電子放出材料には、2つの態様がある。
第1の態様は、有機高分子マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜型電子放出材料(以下「薄膜型電子放出材料I」ということがある)である。また、第2の態様は、有機高分子の炭化物マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜型電子放出材料(以下「薄膜型電子放出材料II」ということがある)である。
薄膜型電子放出材料Iにおける有機高分子マトリックスは、前述の有機高分子バインダーの説明において示したとおりである。一方、薄膜型電子放出材料IIにおける有機高分子の炭化物マトリックスは、薄膜型電子放出材料Iを焼成することにより、有機高分子マトリックスが炭化して形成されたものである。
薄膜型電子放出材料I及びIIにおける導電材は、前述の導電材の説明において示したとおりである。
この凝集体は、CNTやCNFの成長過程で、繊維が絡み合いながら、凝集して形成されることが多い。気相成長法はその生産性、得られるCNTやCNFの純度が優れているだけでなく、凝集体を形成させやすいという観点からも好ましい製造方法である。
また、薄膜型電子放出材料I及びIIにおいては、気相成長法で作製されたCNT及びはCNFから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体を含むが、この凝集体は、有機高分子マトリックスの乾燥時又は焼成時にファンデルワールス引力により凝集して形成される。この際、気相成長炭素繊維の少なくとも一部が凝集体を形成していればよいが、凝集体が多い方が電子放出が多くなるため好ましい。
気相成長炭素繊維としては、前記のマルチウォール気相成長炭素繊維を用いることが好ましく、平均繊維径は5〜180nm、好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは15〜50nmであり、かつ平均繊維長さが、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜30μmである。
気相成長炭素繊維の凝集体の径は、電子放出特性の観点から、10〜150μm程度が好ましく、30〜100μmがより好ましい。また、当該凝集体は、電子放出特性の観点から、全気相成長炭素繊維の30%以上を占めていることが好ましく、60%以上占めていることがより好ましい。その上限に特に制限はないが、通常50%程度である。
薄膜型電子放出材料I及びIIにおいては、電子放出特性の観点から、薄膜表面から、気相成長炭素繊維の凝集体の少なくとも一部の先端部分が突出していることが好ましい。
図3は、薄膜型電子放出材料Iの薄膜断面のイメージ図であり、実施例1で得られたものである。図3から明らかなように、薄膜表面から、気相成長炭素繊維の凝集体における先端部分が突出しており、駆動電圧が印加されると、薄膜型電子放出材料Iの表面に強い電場がかかり、その先端部分から電子(e-)が放出されることになる。
薄膜型電子放出材料Iにおいては、前述した成分以外に、前記のシランカップリング剤や金属セッケンなどを含有することができる。
また、薄膜型電子放出材料IIにおいては、前述した成分以外に、シランカップリング剤の焼成により生じる珪素やその酸化物、金属セッケンの焼成により生じる各種金属やその酸化物などを含有することができる。
薄膜型電子放出材料Iにおける薄膜の厚さは、当該凝集体の少なくとも一部の先端部分を膜表面から突出させる関係上、1〜5μm程度が好ましく、1〜2μmがより好ましい。
また、薄膜型電子放出材料IIにおける薄膜の厚さは、薄膜型電子放出材料Iを焼成処理し、薄膜中の有機高分子マトリックスを炭化して炭化物マトリックスを形成させることにより作製する関係上、薄膜型電子放出材料Iより若干薄くなる。
このような性状を有する薄膜型電子放出材料I及びIIは、優れた電子放出特性を有している。
例えば、薄膜型電子放出材料Iにおいては、以下に示す結果が得られている。
カーボンナノチューブとして、気相成長法で作製した平均繊維径約40nm、平均繊維長さ約10μmのマルチウォールCNTを使用し、ポリカーボネートマトリックスと、導電材としての金と、前記マルチウォールCNTの凝集体を含み、かつ前記図3で示すような前記凝集体の少なくとも一部の先端部分が、厚さ約1μmの薄膜の表面から突出してなる薄膜型電子放出材料について、電界電圧と電流密度との関係を調べた結果、しきい値電圧(電子を放出し始める電圧)は5V/μmであり、10V/μmの電圧印加時の電流密度は、1.4mA/cm2であることが確認されている。
[薄膜型電子放出材料の製造方法]
薄膜型電子放出材料Iは、本発明の組成物を導電性基板上に塗布したのち、加熱処理して有機溶媒を除去し、薄膜を形成させることにより、製造することができる(以下「製造方法I」ということがある)。
また、薄膜型電子放出材料IIは、上記製造方法Iで形成された薄膜を焼成処理することにより、製造することができる(以下「製造方法II」ということがある)。
[導電性基板]
製造方法I及びIIにおいて用いる導電性基板については特に制限はなく、FEDにおけるカソード電極(陰極)用として知られている公知の導電性基板の中から、任意のものを適宜選択することができる。例えば、絶縁性基板に導電膜を被覆したもの、又は基板全体が導通性を有するものなどを挙げることができる。
具体的には、ガラス基板や、石英、シリコン、アルミナ、その他のセラミックスからなる基板上に、ITO(錫ドープ酸化インジウム)の他、モリブデン、金、銀、アルミニウムやその合金、クロム、チタン、タングステン、導電性シリコンなどの導電膜を被覆したもの、ベークライトなどの樹脂板上に、銅薄膜などの導電膜を接着したものなどが挙げられる。また、基板全体が導通性を有する導電性基板としては、鉄、銅、ニッケル、ステンレス鋼、インコネル、ハステロイなどの通常用いられる金属板などが挙げられる。
[塗布方法]
前記導電性基板上に本発明の組成物を塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スピンコート法、インクジェット法、スプレー法などの様々な方法が採用できる。本発明の製造方法Iにおいては、電子放出特性の観点から、薄膜中のCNTやCNFの凝集体は、できるだけ基板に対して垂直方向に位置し、かつその少なくとも一部の先端部分が、該薄膜表面から突出することが望ましい。したがって、塗布方法としては、CNTやCNFの凝集体をこのような状態になす塗布方法を選択することが肝要であり、それにはスプレー法が最も適している。
スプレー法による塗布方法には、スプレーガンを使用し、圧縮気体の噴流で、本発明の組成物(通常ペースト状である)を霧化して塗布するエアスプレー方式と、スプレーガンに高圧ポンプで本発明の組成物を送り込み、括約したノズルから、該組成物を放出して微粒化させ、塗布するエアレススプレー方式とがある。本発明においては、前記いずれの方式も用いることができるが、CNTやCNFの凝集体を前記の状態にするには、エアスプレー方式が好ましい。
製造方法Iにおいては、前記のようにして、導電性基板上に本発明の組成物を塗布したのち、加熱処理して有機溶媒を除去することにより薄膜を形成させる。この際、加熱処理温度としては、使用する有機溶媒の種類にもよるが、通常200〜400℃程度、好ましくは200〜300℃である。
このようにして、図3に示すような、本発明の薄膜型電子放出材料I、すなわち、有機高分子マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜型電子放出材料を得ることができる。
製造方法IIにおいては、前記の製造方法Iにおいて、導電性基板上に形成された薄膜を焼成処理することにより、該薄膜中の有機高分子マトリックスを炭化して、有機高分子の炭化物マトリックスとする。この際、焼成処理温度としては、本発明の組成物の調製に用いた有機高分子バインダーの種類にもよるが、前記有機高分子の炭化促進及びCNTやCNFの消失抑制などの観点から、通常200〜500℃程度、好ましくは200〜300℃である。
このようにして、薄膜型電子放出材料II、すなわち、有機高分子の炭化物マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜型電子放出材料を得ることができる。
前記方法で得られた薄膜型電子放出材料I及びIIは、優れた電子放出特性を有すると共に、本発明の組成物の調製の際に、シランカップリング剤や金属セッケンを添加することにより、導電性基板と薄膜との接着性が良好であるものにすることができる。
[電界放出型素子]
本発明の電界放出型素子は、前述した薄膜型電子放出材料(I、II)を用いて作製された素子である。この電界放出型素子としては、例えば当該薄膜型電子放出材料を有する陰極と、該陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極又はゲート電極とを備え、前記陽極又はゲート電極と陰極との間に電圧を印加することで、前記薄膜型電子放出材料から電子を放出する構造の素子を挙げることができる。
図6は、本発明の電界放出型素子の一態様を示す断面図である。
電界放出型素子10は、ガラス基板などの基板11と、ITO膜などからなるカソード電極12と、珪素酸化膜などからなる絶縁膜13及び14と、ゲート電極15と、電子放出源となる薄膜型電子放出材料II 17とを備えている。
基板11上にはカソード電極12が形成されており、このカソード電極12を覆うように絶縁膜13及び14が形成されており、絶縁膜14上にはゲート電極15が形成されている。そしてゲート電極15及び絶縁膜14、13には孔部16が形成されており、この孔部16の底部には薄膜型電子放出材料II 17が形成されている。
電界放出型素子10においては、カソード電極12とゲート電極15との間に駆動電圧が印加される(ゲート電極15側に正の電位を与える)と、薄膜型電子放出材料II17の表面に強い電場がかかり、該電子放出材料II 17に存在するCNTやCNFの先端から、電子が放出する。
図7は、前記図6で示される電界型放出素子の製造方法における一態様を示す工程図である。
まず、基板11上にカソード電極12を形成し、このカソード電極12上に所定の形状を有する絶縁膜13をパターニングする[(a)図]。
次いで、本発明の薄膜型電子放出材料の形成用組成物を、絶縁膜13を覆うように、スプレー法により塗布する。その後、加熱処理して、該組成物中の溶媒を除去して、薄膜17aを形成する[(b)図]。
続いて、研磨テープ処理やサンドブラストなどの方法を用いて、絶縁膜13の上面が露出する程度まで前記薄膜17aを研磨する。その後、酸素雰囲気下、該薄膜17aを焼成処理し、薄膜17a中の有機高分子を炭化し、薄膜型電子放出材料II 17を、カソード電極12上に固着させる[(c)図]。
次に、絶縁膜13及び薄膜型電子放出材料II 17を覆うように絶縁膜14aを形成し、この絶縁膜14a上にゲート電極用材料15aを形成する[(d)図]。次いで、ゲート電極用材料15a及び絶縁膜14aをエッチング処理し、薄膜型電子放出材料II 17に達する孔部16を形成することにより、電界型放出素子10が得られる[図6]。
[本発明の電界型放出素子を備えてなるFED]
FEDの電極構造としては、2極型、3極型及び4極型が知られている。図8に、FEDにおける各種電極構造のイメージ図を示す。図8において、(a)は2極型、(b)は3極型及び(c)は4極型である。
図8において、1はカソード電極上に形成された電子放出源、2はアノード電極(陽極)、3はゲート電極、4は収束電極である。
図8において、(a)は2極構造型である。このパネル構造は、前記3種の中で最も簡単である利点を有するが、アノード電圧がエミッション引き出し電界になるため、高電圧アノードスイッチングが必要である上、電子の方向性が弱いと、アノード−カソード間ギャップが広いため、高密度化に制限がある。
(b)は3極構造型である。このパネル構造は4極構造型に比べて簡単であり、高電圧型の場合、CRT(陰極線管)用蛍光体が使用でき、高輝度化が可能である利点を有するが、低電圧型の場合、電子の収束系をもたないため、アノードとカソードのギャップが大きくとれず、印加するアノード電圧、すなわち輝度に制限ある。
(c)は4極構造型であって、アノード電極に高電圧が印加でき、CRT用のカラー蛍光体を用いて高輝度化を図ることができる利点を有するが、パネル構造が複雑である上、板状収束電極の場合、精度の高い組立て生産技術と放電対策が必要である。
本発明の電界放出型素子は、前記の2極構造型、3極構造型及び4極構造型のいずれにも適用することができる。
図9は、本発明の電界放出型素子を備えてなる3極構造型FEDの説明図である。
図9において、符号10〜15及び17は、図6の符号の意味と同じである。符号18はガラス基板などの基板、19はアノード電極、20は蛍光体、21はゲート電圧、22はアノード電圧である。
本発明の電界放出型素子10におけるカソード電極12とゲート電極15との間に駆動電圧が印加されると、薄膜型電子放出材料II17の表面に強い電場がかかり、該電子放出材料II17に存在するCNTやCNFの先端から電子(e-)が放出され、アノード電極19に向かって進行し、蛍光体20に当たることによって発光が生じ、この発光を利用して、像を表示することができる。
このようなFEDにおいては、側面部全体を枠部材(図示せず)で囲い、内部を真空状態にして封止される。
本発明の薄膜型電子放出材料及び電界型放出素子は、FEDの他、各種用途に用いることができる。例えば、液晶ディスプレイ用バックライト、投射型ディスプレイ用平面型光源等の電子線応用機器、発光効率の高い蛍光表示管、小型で低消費電力のX線管用電子源、サージ吸収器用電子エミッター、自由電子レーザー用電子源、高耐圧の小型高電圧電力用遮断器、小型で即動性に優れる進行波管用電子源、マイクロ波発生用電子管などに用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)気相成長マルチウォール炭素繊維の凝集体の径、及び当該凝集体の全気相成長炭素繊維に対する割合
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡「S−4500形」を用いた写真観察(倍率20〜500,000倍)により測定して求めた。
(2)電子放出特性
4×10-4Paの真空中、室温(25℃)にて電界を印加して流れる電流を測定することにより、電流密度(I)−電界電圧(V)曲線を求めると共に、電界電圧10V/μmにおける電流密度(μA/cm2)、及びしきい値電圧(電子が放出し始める電界電圧、すなわち、電界電圧10V/μmにおける電流密度の1%に達する電流密度が得られる電界電圧)を測定した。
なお、電極間距離はマイクロメータヘッドで制御し約50μmとし、電流は指針微小形電流計で測定した。測定面積は5μm×5μmである。
実施例1
(1)組成物の調製
有機溶媒としてテトラヒドロフラン88.9質量部に、気相成長CNTとして平均繊維径約40nm、平均繊維長さ約10μmの気相成長マルチウォール炭素繊維[昭和電工株式会社製、登録商標「VGNT」]0.1質量部を加え、室温にて、24時間超音波による分散処理を行った。
次いで、この分散液に、導電材としてAuペースト[アルバック株式会社製、商品名「Auナノメタルインク」、Au含有量29.6質量%]1.0質量部と、有機高分子バインダーとしてポリカーボネート[帝人株式会社製、商品名「パンライト」]10質量部を加え、70℃で30分間攪拌を行い、気相成長マルチウォール炭素繊維が分散したペースト状組成物を調製した。
(2)薄膜型電子放出材料Iの作製
次に、前記ペースト状組成物をハンドスプレーガンに充填し、0.1MPaの圧縮窒素ガスを用い、導電性基板として400℃に加熱された10mm×20mmサイズの表面にITO膜を有するガラス基板上に、1分間のスプレー塗布を繰り返し行った。なお、スプレーガンのノズルと基板との距離は200mmであった。
次いで、塗膜を400℃で30分間加熱処理し、溶媒のテトラヒドロフランを除去することにより、薄膜型電子放出材料Iを作製した。
図1及び図2に、前記薄膜型電子放出材料Iの走査型電子顕微鏡(SEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、「S−4500形」による写真図(倍率100倍)を示す。図2は、図1を約30倍に拡大した写真図である。この図1及び図2で分かるように、薄膜型電子放出材料Iにおいては、薄膜における気相成長マルチウォール炭素繊維の少なくとも一部は凝集体を形成している。この凝集体の径は約30〜100μmで、凝集体と凝集体との間隔は約40〜150μmであり、全炭素繊維に占める凝集体の割合は約60%であった。
なお、図1において、(i)は炭素繊維の凝集体、(ii)は有機高分子マトリックス、(iii)はITO基板の表面であり、孤立した炭素繊維はほとんど見られない。
また、この薄膜型電子放出材料Iにおいては、薄膜表面から炭素繊維の凝集体の少なくとも一部の先端部分が突出している。
図3は、前記薄膜断面のイメージ図であり、薄膜表面から、炭素繊維の凝集体の先端部分が突出している状態を示す。
図4に、前記薄膜型電子放出材料Iの電流密度(I)−電界電圧(V)曲線を示す。しきい値電圧は6V/μmであり、電界電圧10V/μmにおける電流密度は1400μA/cm2(1.4mA/cm2)であり、優れた電子放出特性を示した。
実施例2
実施例1で得られた薄膜型電子放出材料Iの薄膜を400℃の温度にて30分間焼成処理して、有機高分子マトリックスを炭化することにより、薄膜の厚さ2μmの薄膜型電子放出材料IIを作製した。
この薄膜型電子放出材料IIは、しきい値電圧が5V/μmであり、電界電圧10V/μmにおける電流密度は1400μA/cm2(1.4mA/cm2)であり、優れた電子放出特性を示した。
比較例1
気相成長CNTとして、平均繊維径約40nm、平均繊維長さ約10μmの気相成長マルチウォール炭素繊維[昭和電工株式会社製、登録商標「VGNT」]を、中央化工機株式会社、MB−1型振動ミルにより粉砕し、平均繊維径約40nm、平均繊維長さ約3μmの気相成長マルチウォール炭素繊維を得た。このマルチウォール炭素繊維0.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして組成物を調製し、さらに薄膜型電子放出材料を作製した。
この薄膜型電子放出材料について、SEMで観察したところ、凝集体は形成されていなかった。そして、薄膜内に、ストレートな炭素繊維が孤立して埋め込まれており、該薄膜表面から、前記ストレートな炭素繊維の二、三の先端が突出しているにすぎなかった。
図5は、当該薄膜断面のイメージ図であり、ストレートな炭素繊維のほとんどが、孤立した状態で薄膜内に埋め込まれている状態を示す。
図4に、前記薄膜型電子放出材料の電流密度(I)−電界電圧(V)曲線を示す。しきい値は6V/μmであり、電界電圧10V/μmにおける電流密度は80μA/cm2(0.08mA/cm2)であり、電子放出特性の劣るものであった。
本発明の薄膜型電子放出材料は、特殊な材料や特殊な操作を必要とせずに得られたものであって、優れた電子放出特性を有しており、それから作製された電界放出型素子は、FEDを始め、様々な用途に好適に用いられる。
実施例1で得られた薄膜型電子放出材料のSEM写真図である。 実施例1で得られた薄膜型電子放出材料のSEM写真図である。 実施例1で得られた薄膜型電子放出材料における薄膜断面のイメージ図である。 実施例1及び比較例1で得られた薄膜型電子放出材料における、電流密度(I)−電界電圧(V)曲線である。 比較例1で得られた薄膜型電子放出材料における薄膜断面のイメージ図である。 本発明の電界放出型素子の一態様を示す断面図である。 前記図6で示される電界放出型素子の製造方法における一態様を示す工程図である。 FEDにおける各種電極構造を示すイメージ図である。 本発明の電界放出型素子を備えてなる3極構造型FEDの説明図である。
符号の説明
1:カソード電極上に形成された電子放出源
2、19:アノード電極
3、15:ゲート電極
4:収束電極
10:電界放出型素子
11、18:基板
12:カソード電極
13、14、14a:絶縁膜
15a:ゲート電極用材料
16:孔部
17:薄膜型電子放出材料II
17a:薄膜
20:蛍光体
21:ゲート電圧
22:アノード電圧

Claims (15)

  1. 有機高分子バインダーと、有機溶媒と、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維とを含むことを特徴とする薄膜型電子放出材料の形成用組成物。
  2. 炭素繊維が、マルチウォールカーボンナノチューブ及びマルチウォールカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維であり、平均繊維長さが5〜30μmである請求項1に記載の薄膜型電子放出材料の形成用組成物。
  3. 導電材が、金、白金、銀、銅、グラファイト粒子及びカーボンブラックの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の薄膜型電子放出材料の形成用組成物。
  4. 有機高分子マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含むことを特徴とする薄膜型電子放出材料。
  5. 有機高分子の炭化物マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含むことを特徴とする薄膜型電子放出材料。
  6. 炭素繊維が、マルチウォールカーボンナノチューブ及びマルチウォールカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維であり、平均繊維長さが5〜30μmである請求項4又は5に記載の薄膜型電子放出材料。
  7. 導電材が、金、白金、銀、銅、グラファイト粒子及びカーボンブラックの中から選ばれる少なくとも1種である請求項4〜6のいずれかに記載の薄膜型電子放出材料。
  8. 炭素繊維の凝集体の径が10〜150μmである請求項4〜7のいずれかに記載の薄膜型電子放出材料。
  9. 薄膜表面から、炭素繊維の凝集体の少なくとも一部の先端部分が突出してなる、請求項4〜8のいずれかに記載の薄膜型電子放出材料。
  10. 請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜型電子放出材料の形成用組成物を、導電性基板上に塗布したのち、加熱処理して有機溶媒を除去することにより、有機高分子マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜を形成させることを特徴とする薄膜型電子放出材料の製造方法。
  11. 請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜型電子放出材料の形成用組成物を、導電性基板上に塗布したのち、加熱処理して有機溶媒を除去し、次いで焼成処理することにより、有機高分子の炭化物マトリックスと、導電材と、気相成長法で作製された平均繊維径5〜180nmのカーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーから選ばれる1種以上の炭素繊維の凝集体とを含む薄膜を形成させることを特徴とする薄膜型電子放出材料の製造方法。
  12. 薄膜型電子放出材料の形成用組成物を、スプレー法で導電性基板上に塗布する、請求項10又は11に記載の薄膜型電子放出材料の製造方法。
  13. 請求項4〜9のいずれかに記載の薄膜型電子放出材料を用いて作製されてなる電界放出型素子。
  14. 請求項4〜9のいずれかに記載の薄膜型電子放出材料を有する陰極と、該陰極から所定の間隔をあけて配置された陽極又はゲート電極とを備え、前記陽極又はゲート電極と陰極との間に電圧を印加することで、前記薄膜型電子放出材料から電子を放出する、請求項13に記載の電界放出型素子。
  15. 請求項13又は14に記載の電界放出型素子を搭載してなる電界放出型ディスプレイ。
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