JP2007026711A - 微小電子源装置及びその製造方法、平面型発光装置並びに平面型表示装置 - Google Patents

微小電子源装置及びその製造方法、平面型発光装置並びに平面型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】均一で良好なフィールドエミッション特性を安定して得ることができる微小電子源装置及びその製造方法を提供し、該微小電子源装置を用いた平面型発光装置並びに平面型表示装置を提供する。
【解決手段】基板10上にカソード電極11、抵抗層Iが積層され、一端が炭素材料粒子の凝集物12bを介して抵抗層Iに固定され、該抵抗層I上に直立したカーボンナノチューブ12aを電子放出源として備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、微小電子源装置及びその製造方法、平面型発光装置並びに平面型表示装置に関するものである。
テレビジョン受像機や情報端末機器等の表示措置は、薄型化、軽量化、大画面化、高精細表示化の要求に答えるため、重量や厚みに限界のあるCRTから平面型表示装置(フラットパネル表示装置)への移行する開発が盛んに行われている。情報端末機器のフラットパネル表示装置としては液晶パネルが広く普及しているが、高輝度化、大型化が困難なために家庭用テレビジョン受像器は開発段階に留まっている。
一方、フィールドエミッションディスプレー(以下、FEDと略す)は、少ない電力消耗で高解像度・高輝度のカラー表示が行えるというメリットから有力な大型のフラットパネル表示装置用賭して開発が進んでいる。FEDは電子放出を行うチップ型カソードとカソードから放出された電子が衝突することにより蛍光体を励起発光させて所望のパターン、文字、記号を表示する装置である。
公知のFEDの構成は複数本の行配線につながったカソードと複数本の列配線につながったゲートからなるエミッタアレイパネルと蛍光体を塗布されたアノードパネルを絶縁性のスペーサを挟んで積層するものである(例えば、特許文献1,2参照。)。
また、エミッタアレイパネルはガラス等の誘電体板もしくはSi板上にCVD法、エッチング法、真空蒸着法もしくはスパッタ法及び光リソグラフィー法により所望の画素数に応じたマトリックスをなす行配線・列配線と1画素当り複数のカソードチップ及びカソードチップと誘電体で絶縁されたカソードチップに対応した穴を開口したゲート電極を形成して作成する。
アノードパネルはガラス等の誘電体板にITO等の透明電極を堆積させた上に各1画素に対応した赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の蛍光体についてそれぞれ遮光格子を介して縞状に塗布して作成する。
従来の電界放出型ディスプレイでは、電子放射エミッタを2次元的に配列し、これに引き出し電極とカソード電圧用配線をマトリックス状に配置し、カソード先端から強電界によって放射されてきた電子により蛍光体を光らせる手法が用いられている。
従来のWを始めとする金属製のエミッタが用いられてきたが、近年になってエミッタ材料の仕事関数を下げることにより低しきい値でのエミッションを可能にする材料としてDLC(ダイヤモンド状カーボン)を始めとするカーボン材料が注目されている。
また、従来の様にエミッタ構造を作ることなく平面から電子放出させる試みが開示されおり(例えば、非特許文献1参照。)、特にカーボンナノチューブと呼ばれる微細構造を有する炭素系構造体は、その良好な電子放出特性を有することから注目を集めている(例えば、非特許文献2参照。)。さらに、これらのカーボンナノチューブの特徴を生かして導電性材料と混合して電子放出源を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
米国特許第4908539号明細書 特開昭61−221783号公報 特開2003−229044号公報 第60回応用物理学会学術講演会 講演予稿集p.631(講演番号2P-H-6) 第60回応用物理学会学術講演会 講演予稿集p.632(講演番号2P-H-11)
しかしながら、前記のようなカーボンナノチューブを利用した微小電子源装置において、均一で良好なフィールドエミッション特性を安定して得ることが困難であった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、均一で良好なフィールドエミッション特性を安定して得ることができる微小電子源装置及びその製造方法を提供し、該微小電子源装置を用いた平面型発光装置並びに平面型表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、一端が炭素材料粒子の凝集物を介して電極に固定され、該電極上に直立したカーボンナノチューブを電子放出源として備えることを特徴とする微小電子源装置である(請求項1)。
ここで、前記電極は、支持基板上に設けられたカソード電極であることを特徴する(請求項2)。
また、請求項2の発明において、前記カーボンナノチューブは、前記支持基板上にカソード電極、層間絶縁膜、ゲート電極が順に積層されてなり、前記ゲート電極及び層間絶縁膜に形成されたゲートホールの底部である前記カソード電極上に固定されていてもよい(請求項3)。
また、前記電極は、支持基板上にカソード電極、抵抗層が順に積層されたものであることを特徴する(請求項4)。
また、請求項4の発明において、前記カーボンナノチューブは、前記支持基板上にカソード電極、抵抗層、層間絶縁膜、ゲート電極が順に積層されてなり、前記ゲート電極及び層間絶縁膜に形成されたゲートホールの底部である前記抵抗層上に固定されていてもよい(請求項5)。
また、前記課題を解決するために提供する本発明は、支持基板に形成された電極上にカーボンナノチューブと炭素材料粒子と結合剤と溶媒とからなるカーボンナノチューブ分散液を塗布する工程と、前記カーボンナノチューブ分散液の塗膜を焼成することにより、前記結合剤からなるマトリクス中に一端が前記炭素材料粒子の凝集物を介して電極に固定された前記カーボンナノチューブを含む複合層を形成する工程と、前記複合層のマトリクスを除去することにより、前記電極上にカーボンナノチューブを露出させる工程と、前記カーボンナノチューブを電極上で直立させる起毛処理を施す工程とを有することを特徴とする微小電子源装置の製造方法である(請求項6)。
ここで、前記電極は、カソード電極であることを特徴する(請求項7)。
また、前記電極は、カソード電極、抵抗層が順に積層されたものであることを特徴する(請求項8)。
また、前記結合剤は、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する熱分解性有機金属化合物を含むことが好ましい(請求項9)。
また、前記課題を解決するために提供する本発明は、請求項2または4に記載の微小電子源装置が平面上に複数形成されたカソードパネルと、前記微小電子源装置に対向する蛍光体層とアノード電極を有するアノードパネルとを備えることを特徴とする平面型発光装置である(請求項10)。
また、前記課題を解決するために提供する本発明は、請求項3または5に記載の微小電子源装置が平面上に複数形成されたカソードパネルと、前記微小電子源装置に対向する蛍光体層とアノード電極を有するアノードパネルとを備えることを特徴とする平面型表示装置である(請求項11)。
本発明の微小電子源装置によれば、電極上で直立したカーボンナノチューブが増加するため、エミッションサイトが増えて非エミッション領域がなくなり、良好で均一なフィールドエミッション特性を得ることができる。また、この微小電子源装置を用いれば、均一で高輝度の平面型発光装置並びに平面型表示装置を提供することができる。
また、本発明の微小電子源装置の製造方法によれば、起毛処理前の複合層のマトリクスを除去するエッチング処理時間をシビアに管理する必要がなくなり、良好で安定したフィールドエミッション特性を簡便に得ることができる。さらに、従来不要物とされてきた長さの短いカーボンナノチューブを本発明において炭素材料粒子として使用できるため、該カーボンナノチューブの有効活用を図ることができる。
図1に、従来の微小電子源装置の概略構成を示す。
従来の微小電子源装置は、基板90と、この基板90上に積層状態で順に形成されたカソード電極91、抵抗層Iと、微小電子源層92とによって構成されている。また、微小電子源層92は、カーボンナノチューブ92aとバインダ材料(マトリックス)92mとを含む複合層が加工されてなるものであり、前記カーボンナノチューブ92aが導電性のマトリクス92m中に埋め込まれ、該カーボンナノチューブ92aの一端が前記マトリクス92mから突出した状態となっている。
この微小電子源装置では、フィールドエミッション特性が基板90上の全領域のうち一部に良好でない領域があり有効面内で不均一であることがあった。また、有効面内において均一で良好なフィールドエミッション特性であったとしてもその特性を安定して得ることが困難であった。発明者はこの原因を調査したところ、該微小電子源装置の製造方法に起因していることを把握した。
この微小電子源装置は、例えば図2に示す工程で作製される。
まず、基板90に積層されたカソード電極91、抵抗層Iの上に、複数のカーボンナノチューブ92aと、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する有機金属化合物を含む結合剤と、溶媒とを所定量混合して調製されたカーボンナノチューブ分散液を塗布した後、焼成して複合層92Lを形成する(図2(a))。複合層92Lは、この段階では結合剤からなる導電性のマトリクス92m中に前記カーボンナノチューブ92aが分散して埋め込まれた状態である。
つぎに、複合層92Lの上層部のマトリックス92mを選択的に除去することにより、表面にカーボンナノチューブ92aの一部を露出させる(図2(b))。複合層92Lの上層部でマトリクスを除去する際の手法としては、ウェットエッチングやドライエッチングなどのエッチング法(ハーフエッチング)を好ましく用いることができる。ここで、マトリクス92mのエッチングされなかった部分がカーボンナノチューブ92aのアンカーとなるため、複合層92Lに含まれるカーボンナノチューブの一部が表面に露出している。
その後、エッチングされた複合層92Lについて、複合層92Lから遊離したマトリクス92m(遊離マトリクス)を除去するとともに各々のカーボンナノチューブ92aが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの起毛処理を行う。具体的には、例えばエッチングされた複合層92L上に粘着テープを貼り付けた後、粘着テープを引き剥がすことにより、粘着テープに付着した遊離マトリクスを複合層92L表面から取り除き、基板90に対してカーボンナノチューブ92aの長手方向をほぼ垂直に配向させるようにして微小電子源装置を完成する。
ここで、複合層92Lのエッチング量にはマトリクス92mの構成材料の組成ごとに最適値があり、エッチング量が少なすぎても多すぎても、エミッションサイト量が減少していることが分かった。すなわち、エッチング不足となると、遊離マトリクスが減少するとともに露出するカーボンナノチューブが減少するため、直立するカーボンナノチューブの数が減ることになりエミッションサイト量が減少していた。一方、エッチング過剰になると、残留するマトリクス92mが剥ぎ取れやすくなり、起毛処理で残留しているマトリクス92mまでもが取り除かれてカーボンナノチューブ92aを抵抗層上に固定する役目を果たさなくなってしまうため、殆どのカーボンナノチューブ92aが起毛処理により剥ぎ取られ直立するカーボンナノチューブが無くなりエミッションサイト量が減少していた。
また、このような不良が発生しないようにエッチング時間をシビアに管理する必要があるが、大面積の複合層92Lを均一にエッチングすることは困難であった。
本発明はこの問題を解決するものである。
以下に、本発明に係る微小電子源装置の第1の実施の形態の構成について説明する。
図3は、本発明に係る微小電子源装置の第1の実施の形態における構成を示す断面図である。
図3に示すように、本発明の微小電子源装置は、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10と、この基板10上に積層状態で順に形成されたカソード電極11、抵抗層Iとを備え、一端が炭素材料粒子の凝集物(炭素凝集物)12bを介して該抵抗層Iに固定され、抵抗層I上に直立したカーボンナノチューブ12aを電子放出源として備えることを特徴としている。また、炭素凝集物12bで固定され直立したカーボンナノチューブ12aは抵抗層I表面に均一に分散して存在している。
カソード電極11は、導電材料からなる導電膜である。例えばスパッタリング法により形成される厚み0.2μm程度のクロム(Cr)層である。
抵抗層Iは、例えばスパッタリング法により形成される膜厚0.2μmのアモルファスSi,SiCN等からなる薄膜であり、カソード電極11からカーボンナノチューブ12aへの供給電流を安定化させる役目を果たす。これにより、当該微小電子源装置を後述の平面型発光装置あるいは平面型表示装置に組み込んだ場合の画面表示の輝度のバラツキを低減することができる。
カーボンナノチューブ12aは、細長いチューブ構造(繊維状)を有するものである。電子放出源としては長さが2μm以上であることが好ましい。あるいは、長さ2μm以上のカーボンナノファイバーであってもよい。
炭素凝集物12bは、炭素材料粒子が凝集してなるものであり、抵抗層Iに固着してカーボンナノチューブ12aを該抵抗層Iに固定するものである。炭素凝集物12bを構成する材料としては、後述するカーボンナノチューブ分散液中に含有でき、該分散液が塗布、焼成される段階で凝集する炭素材料の微粒子がよく、例えば、長さ1μm以下のカーボンナノチューブを用いることができる。
なお、本実施の形態のバリエーションとして、図3の構成において、抵抗層Iがないものでもよい。すなわち、本発明の微小電子源装置は、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10と、この基板10上にカソード電極11を備え、一端が炭素材料粒子の凝集物(炭素凝集物)12bを介して該カソード電極11に固定され、カソード電極11上に直立したカーボンナノチューブ12aを電子放出源として備えるものである。
ここで、本発明の微小電子源装置は、つぎのようにして作製すればよい。図4を参照しながら説明する。
(S11)基板10上にCr等からなるカソード電極11を形成した後、カソード電極11及び基板10上に抵抗層Iを形成する。
ここで、基板10は、平面型発光装置においてカソードパネル1Aのベースとなるガラスなどからなる絶縁性の基板である。
また、カソード電極11は、導電材料からなる導電膜である。例えばスパッタリング法により形成される厚み0.2μm程度のクロム(Cr)層である。
また、抵抗層Iは、例えばスパッタリング法により形成される膜厚0.2μmのアモルファスSiまたはSiCNの薄膜である。
(S12)つぎに、抵抗層Iの所望の領域に電子エミッタ材料としてカーボンナノチューブ分散液を塗布する。塗布はスプレー噴霧、スピンコートなどいずれの方法でもよい。
カーボンナノチューブ分散液は、長さ2μm以上のカーボンナノチューブと、炭素材料粒子(例えば、長さ1μm以下のカーボンナノチューブ)と、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する有機金属化合物を含む結合剤と、揮発性溶媒(例えば、酢酸ブチル)とを所定量混合して調製されたものである。このとき、カーボンナノチューブの分散性を向上させるために、分散剤(例えば、ドデチル硫酸ナトリウム)を添加してもよい。
なお、カーボンナノチューブ分散液の塗布量は、後述の焼成後の複合層12Lの膜厚が0.3μm程度になるようすればよい。
また、カーボンナノチューブ分散液におけるカーボンナノチューブと炭素材料粒子との混合比率は、重量比率として3:7〜9:1であることが好ましい。このうち、混合比率7:3が最も好ましい。炭素材料粒子の添加量を少なくして、カーボンナノチューブ12aと炭素材料粒子との混合比率を9:1より大きくすると、アンカーとして機能する炭素凝集物12bの量が減少するため、抵抗層Iに固定されるカーボンナノチューブ12aの割合が減少し、エミッションサイトが減少してしまう。また、カーボンナノチューブの添加量を少なくして、前記混合比率を3:7より小さくすると、カーボンナノチューブ12aの数が不足するため、抵抗層Iに固定されるカーボンナノチューブ12aが減少し、エミッションサイトが減少してしまうことになる。
(S13)前記カーボンナノチューブ分散液の塗膜について、焼成を行う。この焼成は前記結合剤を金属酸化物として結晶化させるための熱処理条件でよい。例えば、つぎのような2段階で行うとよい。
(第1の焼成)
・雰囲気:大気
・温度:350℃
・時間:30分
(第2の焼成)
・雰囲気:窒素
・温度:500℃
・時間:30分
前記焼成により、前記カーボンナノチューブ分散液の塗膜では、炭素材料粒子が抵抗層I上でカーボンナノチューブ12aの一端を含みつつ凝集して凝集物12bとなって抵抗層Iに固着し、該凝集物12bがアンカーとなってカーボンナノチューブ12aの一端を抵抗層Iに固定するようになる。また同時に、塗膜から揮発性溶媒が抜けて前記結合剤がマトリクス12mとなる。このようにして、マトリクス12m中に、一端が前記炭素凝集物12bにより抵抗層Iに固定されたカーボンナノチューブ12aを含む複合層12Lが形成される(図4(a))。
(S14)つぎに、エッチング処理により複合層12Lのマトリックス12mのみを選択的に除去して、表面にカーボンナノチューブ12aを露出させる(図4(b))。複合層12Lのマトリクス12mを除去する際の手法としては、マトリクス12mを構成する材料のエッチング液として従来公知のもの(例えば、マトリクス12mが酸化錫−インジウム化合物(ITO)であれば、ITOエッチャント(塩酸と過塩素酸の混合液、商品名ITO−06N))を用いたウェットエッチングにより行えばよい。エッチングの程度はエッチング液への浸漬時間によりコントロールすることができ、例えば前記ITOエッチャントであれば10分間でITOからなるマトリクス12mを完全にエッチングすることができる。なおこのとき、必ずしもマトリクス12mが完全に除去されるまでのエッチングの必要はないが、少なくとも炭素凝集物12bが露出する程度にエッチングすると本発明の効果が十分得られるので好ましい。
このエッチングにより、抵抗層I上に多数のカーボンナノチューブ12aを露出させることができる(図4(b))。
(S15)その後、抵抗層I上で各々のカーボンナノチューブ12aが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの起毛処理を行う。具体的には、例えば基板10上で図示しないアクリル樹脂からなるフィルムをカーボンナノチューブ12aの上から貼り付けた後、UV照射して該フィルムを硬化させ、ついで硬化したフィルムを引き剥がすことにより、基板10に対してカーボンナノチューブの長手方向をほぼ垂直に配向させることを行う。このとき、抵抗層Iの表面に前記エッチング処理により遊離したマトリクス12mの破片が残存している場合もあるが、フィルムの貼り付け及び引き剥がしを行うことにより、カーボンナノチューブ12aの配向と同時に除去することができる。
以上の工程を経て、基板10上に積層状態で順に形成されたカソード電極11、抵抗層Iとを備え、一端が炭素材料粒子の凝集物(炭素凝集物)12bを介して該抵抗層Iに固定され、抵抗層I上に直立したカーボンナノチューブ12aを電子放出源として備える微小電子源装置が完成する(図4(c))。ここで、炭素凝集物12bが抵抗層Iに固定させるアンカーとなるため、カーボンナノチューブ12aを剥離させることがなく、複合層12Lに含まれたすべてのカーボンナノチューブを直立させて有効なエミッションサイトとして機能させることができる。
なお、本発明の第1の実施の形態のバリエーションとして提示した、図3の構成において抵抗層Iがない微小電子源装置については、前記製造工程において抵抗層Iを省略した手順でよい。すなわち、つぎのようにすればよい。このとき、詳細な条件は前記製造工程で示した条件と同じでよい。
(S11´)基板10上にCr等からなるカソード電極11を形成する。
(S12´)つぎに、カソード電極11の所望の領域に電子エミッタ材料としてカーボンナノチューブ分散液を塗布する。
(S13´)前記カーボンナノチューブ分散液の塗膜について、焼成を行う。前記焼成により、マトリクス12m中に、一端が前記炭素凝集物12bによりカソード電極11に固定されたカーボンナノチューブ12aを含む複合層12Lが形成される。
(S14´)つぎに、エッチング処理により複合層12Lのマトリックス12mのみを選択的に除去して、カソード電極11表面にカーボンナノチューブ12aを露出させる。
(S15´)その後、カソード電極11上で各々のカーボンナノチューブ12aが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの起毛処理を行う。
つぎに、本発明に係る微小電子源装置の第2の実施の形態の構成について説明する。
図5は、本発明に係る微小電子源装置の第2の実施の形態における構成を示す断面図である。
図5に示すように、本発明の微小電子源装置は、平面型表示装置においてカソードパネル1Bのベースとなる絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10と、この基板10上に積層状態で順に形成されたカソード電極11、抵抗層I、絶縁層13及びゲート電極14と、ゲート電極14及び絶縁層13に形成された開口部(ゲートホール)15とを備え、一端が炭素材料粒子の凝集物(炭素凝集物)12bを介してこの開口部15の底部の抵抗層Iに固定され、抵抗層I上に直立したカーボンナノチューブ12aを電子放出源として備えることを特徴としている。また、炭素凝集物12bで固定され直立したカーボンナノチューブ12aは開口部15の底部の抵抗層I表面に均一に分散して存在している。
ここで、基板10、カソード電極11、抵抗層I、カーボンナノチューブ12a、炭素凝集物12bは、第1の実施の形態で示したものと同じである。
ゲート電極14は、導電材料からなる導電膜であり、例えばカソード電極11と同じようにスパッタリング法により形成される厚み0.2μm程度のクロム(Cr)層である。
絶縁層13は、例えばシリコン酸化物(SiO)からなる層間絶縁膜である。
開口部15は、ゲート電極14に形成された第1の開口部15Aと、この第1の開口部15Aに連通する状態で絶縁層13に形成された第2の開口部15Bとから構成されている。
なお、本実施の形態のバリエーションとして、図5の構成において、抵抗層Iがないものでもよい。すなわち、本発明の微小電子源装置は、絶縁性の基板(例えば、ガラス基板)10と、この基板10上に積層状態で順に形成されたカソード電極11、絶縁層13及びゲート電極14と、ゲート電極14及び絶縁層13に形成された開口部(ゲートホール)15とを備え、この開口部15の底部のカソード電極11に一端が炭素材料粒子の凝集物(炭素凝集物)12bにより固定され、カソード電極11上に直立したカーボンナノチューブ12aを電子放出源として備えるものである。
ここで、本発明の微小電子源装置は、つぎのようにして作製すればよい。図6,図7を参照しながら説明する。
(S21)基板10上にCr等からなるカソード電極形成用の導電膜11Lを形成した後、導電膜11Lの所定の位置に常法のフォトリソグラフィによりレジスト層R1を形成する(図6(a))。ついで、反応性イオンエッチング(RIE)により導電膜11Lをエッチング加工してストライプ状のカソード電極11とする。この時点で基板10上には複数本のカソードラインが形成される。
(S22)カソード電極11及び基板10上に膜厚0.2μmのアモルファスSiまたはSiCNからなる抵抗層Iを形成する(図6(b))。
(S23)長さ2μm以上のカーボンナノチューブ12aと、炭素材料粒子(例えば、長さ1μm以下のカーボンナノチューブ)と、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する有機金属化合物を含む結合剤と、揮発性溶媒(例えば、酢酸ブチル)とを所定量混合して調製されたカーボンナノチューブ分散液を抵抗層I上に塗布した後、焼成して複合層12Lを形成する。この焼成は第1の実施の形態における製造工程ステップS13で行われる焼成と同様のものであり、複合層12Lは、マトリクス12m中に、一端が前記炭素凝集物12bにより抵抗層Iに固定されたカーボンナノチューブ12aを含む状態となる。
(S24)ついで、常法のフォトリソグラフィによりカソード電極11上の複合層12L表面のみにレジスト層を形成し、ウェットエッチングにより抵抗層I及び複合層12Lをエッチング加工してカソード電極11上の抵抗層I及び複合層12Lだけを残す。これにより基板10上にカソード電極11、抵抗層I、複合層12Lの積層部が形成される。
(S25)つぎに、基板10上において、カソード電極11/抵抗層I/複合層12Lの積層部を覆うように層間絶縁膜13Lを形成し、さらに該層間絶縁膜13L上にゲート電極形成用の導電膜14Lを形成する(図6(c))。
層間絶縁膜13Lは、例えばシリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、シリコン窒化膜、炭化水素膜(有機膜)、ポリイミド膜(有機膜)、窒化硼素膜、ポリエーテル膜(有機膜)等が挙げられる。シリコン酸化物(SiO)は、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとして使用するCVD法により、基板10の全面に厚さ約1μmのSiO膜として形成すればよい。
また、導電膜14Lは導電膜11Lと同様にスパッタリング法によってCr膜を形成すればよい。
(S26)導電膜14L上にレジストマスク層R2を形成する(図7(d))。
ついで、このレジストマスク層R2を用いて導電層14Lの所定部位をエッチング加工することにより、層間絶縁膜13L上でストライプ形状のゲート電極14とするとともに、このゲート電極14を貫通する第1の開口部15Aを形成する。このとき、ゲート電極14は層間絶縁膜13L上でカソード電極11と略直交する状態のストライプ形状に加工されている。すなわち、上記カソードラインに直交する複数本のゲートラインが形成される。
(S27)つぎに、ゲート電極14の第1の開口部15Aを通して、層間絶縁膜13Lについて反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチング加工を行って絶縁層13とし、複合層12Lが露出するように第2の開口部15Bを形成する(図7(e))。これにより、第1,第2の開口部15A,15Bからなるゲートホール15が得られる。ゲートホール15は、例えば直径20μmの円形に形成されており、1画素当たり複数個(例えば、数十個)形成される。
(S28)つぎに、ゲートホール15を通して複合層12Lのマトリックスを選択的に除去するエッチング処理を施すことにより、表面にカーボンナノチューブ12aを露出させる。このエッチング処理は、第1の実施の形態における製造工程ステップS14で行われるエッチング処理と同じである。
(S29)その後、抵抗層I上で各々のカーボンナノチューブ12aが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの起毛処理を行う。具体的には、例えば基板10上で図示しないアクリル樹脂からなるフィルムをゲート電極14の上から貼り付けた後、UV照射して該フィルムを硬化させ、ついで硬化したフィルムを引き剥がすことにより、基板10に対してカーボンナノチューブの長手方向をほぼ垂直に配向させることを行う。このとき、抵抗層Iの表面に前記エッチング処理により遊離したマトリクス12mの破片が残存している場合もあるが、フィルムの貼り付け及び引き剥がしを行うことにより、カーボンナノチューブ12aの配向と同時に除去することができる。
以上の工程を経て、基板10上に積層状態で順に形成されたカソード電極11、抵抗層I、絶縁層13及びゲート電極14と、ゲート電極14及び絶縁層13に形成された開口部(ゲートホール)15とを備え、一端が炭素材料粒子の凝集物(炭素凝集物)12bを介してこの開口部15の底部の抵抗層Iに固定され、抵抗層I上に直立したカーボンナノチューブ12aを電子放出源として備える微小電子源装置が完成する(図5)。
なお、本発明の第2の実施の形態のバリエーションとして提示した、図5の構成において抵抗層Iがない微小電子源装置については、前記製造工程において抵抗層Iを省略した手順でよい。すなわち、つぎのようにすればよい。このとき、詳細な条件は前記製造工程で示した条件と同じでよい。
(S21´)基板10上にCr等からなるカソード電極形成用の導電膜11Lを形成した後、導電膜11Lの所定の位置に常法のフォトリソグラフィによりレジスト層R1を形成する(図6(a))。
(S22´)ついで、反応性イオンエッチング(RIE)により導電膜11Lをエッチング加工してストライプ状のカソード電極11とする。
(S23´)長さ2μm以上のカーボンナノチューブ12aと、炭素材料粒子(例えば、長さ1μm以下のカーボンナノチューブ)と、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する有機金属化合物を含む結合剤と、揮発性溶媒(例えば、酢酸ブチル)とを所定量混合して調製されたカーボンナノチューブ分散液をカソード電極11上に塗布した後、焼成して複合層12Lを形成する。
(S24´)ついで、常法のフォトリソグラフィによりカソード電極11上の複合層12L表面のみにレジスト層を形成し、ウェットエッチングにより複合層12Lをエッチング加工してカソード電極11上の複合層12Lだけを残し、カソード電極11、抵抗層I、複合層12Lの積層部を形成する。
(S25´)つぎに、基板10上において、カソード電極11/複合層12Lの積層部を覆うように層間絶縁膜13Lを形成し、さらに該層間絶縁膜13L上にゲート電極形成用の導電膜14Lを形成する。
(S26´)導電膜14L上にレジストマスク層R2を形成する。
(S27´)つぎに、ゲート電極14の第1の開口部15Aを通して、層間絶縁膜13Lについて反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチング加工を行って絶縁層13とし、複合層12Lが露出するように第2の開口部15Bを形成する。
(S28´)つぎに、ゲートホール15を通して複合層12Lのマトリックスを選択的に除去するエッチング処理を施すことにより、カソード電極11上にカーボンナノチューブ12aを露出させる。
(S29´)その後、カソード電極11上で各々のカーボンナノチューブ12aが一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブの起毛処理を行い、微小電子源装置を完成させる。
つぎに、本発明に係る平面型発光装置について説明する。
本発明の平面型発光装置は、本発明の微小電子源装置の第1の実施の形態のものを用いて作製される。具体的には、図3の構成の微小電子源装置を有するカソードパネル1Aと蛍光体層22aを有するアノードパネル2Aとを、該微小電子源装置と蛍光体層22aとが対向するように配置し、アノードパネル2Aとカソードパネル1A(より具体的には、基板21と基板10)とを、枠体3を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、枠体3とアノードパネル2Aとの接合部位、及び枠体3とカソードパネル1Aとの接合部位にフリットガラスを塗布し、アノードパネル2Aとカソードパネル1Aと枠体3とを貼り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、約450℃で10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネル2Aとカソードパネル1Aと枠体3とフリットガラスとによって囲まれた空間を、貫通孔及びチップ管を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネル2Aとカソードパネル1Aと枠体3とに囲まれた空間を真空にすることができる。その後、必要な外部回路との配線を行い、図8に示す平面型発光装置を完成させる。
図8は本発明に係る平面型発光装置のパネル構造の一例を示す断面図である。
図8に示すように、カソードパネル(カソード基板)1Aとアノードパネル(アノード基板)2Aとを所定の間隙を介して対向状態に配置するとともに、それらのパネル1A,2Aを枠体3によって一体的に組み付けることにより、発光のための一つのパネル構体(発光パネル)が構成されている。
カソードパネル1A上には本発明の第1の実施の形態の微小電子源装置が形成されている。この微小電子源装置は、カソードパネル1Aの有効領域(実際に発光部分として機能する領域)の全面に均一に形成されている。
一方、アノードパネル2Aは、ベースとなる透明基板21と、この透明基板21上に形成された蛍光体層22a及びブラックマトリックス23と、これら蛍光体層22及びブラックマトリックス23を覆う状態で透明基板21上に形成されたアノード電極24とを備えて構成されている。アノード電極24は、カソードパネル1Aの微小電子源装置と対向するように、アノードパネル2Aの有効領域の全域に積層状態で形成されている。
上記構成のパネル構造を有する発光装置においては、カソード電極11に負電圧がカソード電極制御回路18Aから印加され、アノード電極24には正電圧がアノード電極制御回路20Aから印加される。カソード電極11とアノード電極24との間の電位差により、微小電子源装置のカーボンナノチューブ12aの先端部から電子が引き出されアノードパネル2A側に移動し、透明基板21上の蛍光体層22aに衝突する。その結果、蛍光体層22aが電子の衝突により励起されて発光し、この光を透明基板21を通して利用することができる。ここで、抵抗層Iは、カーボンナノチューブ12aへの供給電流を安定化させる役目を果たし電子放出特性の均一性、輝度バラツキ、安定性及び寿命の改善が見込める。
つぎに、本発明に係る平面型表示装置について説明する。
本発明の平面型表示装置は、本発明の微小電子源装置の第2の実施の形態のものを用いて作製される。具体的には、図5の微小電子源装置を有するカソードパネル1Bと蛍光体層22Bを有するアノードパネル2Bとを、該微小電子源装置と蛍光体層22bとが対向するように配置し、アノードパネル2Bとカソードパネル1B(より具体的には、基板21と基板10)とを、枠体3を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、枠体3とアノードパネル2Bとの接合部位、及び枠体3とカソードパネル1Bとの接合部位にフリットガラスを塗布し、アノードパネル2Bとカソードパネル1Bと枠体3とを貼り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、約450℃で10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネル2Bとカソードパネル1Bと枠体3とフリットガラスとによって囲まれた空間を、貫通孔及びチップ管を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネル2Bとカソードパネル1Bと枠体3とに囲まれた空間を真空にすることができる。その後、必要な外部回路との配線を行い、図9に示す平面型表示装置を完成させる。
図9は本発明に係る平面型表示装置のパネル構造の一例を示す断面図である。
図9に示すように、カソードパネル(カソード基板)1Bとアノードパネル(アノード基板)2Bとを所定の間隙を介して対向状態に配置するとともに、それらのパネル1B,2Bを枠体3によって一体的に組み付けることにより、画像表示のための一つのパネル構体(表示パネル)が構成されている。
カソードパネル1B上には本発明の第2の実施の形態の微小電子源装置が複数形成されている。これら複数の微小電子源装置は、カソードパネル1Bの有効領域(実際に表示部分として機能する領域)に2次元マトリックス状に多数形成されている。
図10に示すように、カソード電極11は、複数のカソードラインを形成するようにストライプ状に形成されている。ゲート電極14は、各々のカソードラインと交差(直交)する複数のゲートラインを形成するようにストライプ状に形成されている。
一方、アノードパネル2Bは、ベースとなる透明基板21と、この透明基板21上に形成された蛍光体層22b及びブラックマトリックス23と、これら蛍光体層22b及びブラックマトリックス23を覆う状態で透明基板21上に形成されたアノード電極24とを備えて構成されている。蛍光体層22bは、赤色発光用の蛍光体層22Rと、緑色発光用の蛍光体層22Gと、青色発光用の蛍光体層22Bとから構成されている。ブラックマトリックス23は、各色発光用の蛍光体層22R,22G,22Bの間に形成されている。アノード電極24は、カソードパネル1Bの電子放出素子と対向するように、アノードパネル2Bの有効領域の全域に積層状態で形成されている。
これらのカソードパネル1Bとアノードパネル2Bとは、それぞれの外周部(周縁部)で枠体3を介して接合されている。また、カソードパネル1Bの無効領域(有効領域の外側の領域で、実際に表示部分として機能しない領域)には真空排気用の貫通孔16が設けられている。貫通孔16には、真空排気後に封じ切られるチップ管17が接続されている。ただし、図9は表示装置の組み立て完了状態を示しているため、チップ管17は既に封じ切られた状態となっている。また、図9,図10においては、各々のパネル1B,2B間のギャップ部分に介装される耐圧用の基板(スペーサ)の表示を省略している。
上記構成のパネル構造を有する表示装置においては、カソード電極11に相対的な負電圧がカソード電極制御回路18Bから印加され、ゲート電極14には相対的な正電圧がゲート電極制御回路19から印加され、アノード電極24にはゲート電極11よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路20Bから印加される。かかる表示装置において、実際に画像の表示を行う場合は、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路18Bから走査信号を入力し、ゲート電極14にゲート電極制御回路19からビデオ信号を入力する。あるいは又、カソード電極11にカソード電極制御回路18Bからビデオ信号を入力し、ゲート電極14にゲート電極制御回路19から走査信号を入力する。
これにより、カソード電極11とゲート電極14との間に電圧が印加され、これによって微小電子源装置のカーボンナノチューブ12aの先端部に電界が集中することにより、量子トンネル効果によって電子がエネルギー障壁を突き抜けてカーボンナノチューブ12aから真空中へと放出される。こうして放出された電子はアノード電極24に引き付けられてアノードパネル2B側に移動し、透明基板21上の蛍光体層22b(22R,22G,22B)に衝突する。その結果、蛍光体層22bが電子の衝突により励起されて発光するため、この発光位置を画素単位で制御することにより、表示パネル上に所望の画像を表示することができる。ここで、抵抗層Iは、カーボンナノチューブ12aへの供給電流を安定化させる役目を果たし電子放出特性の均一性、輝度バラツキ、安定性及び寿命の改善が見込める。
本発明の実施例を以下に示す。なお、本実施例は例示であり、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
つぎの手順で図3に示す微小電子源装置を作製した。
(S31)ガラスからなる基板10上にCrからなるカソード電極11を形成した後、窒素含有炭化珪素からなる抵抗層Iをスパッタリング法により形成した。
(S32)つぎに、抵抗層I上にスプレー噴霧によりカーボンナノチューブ分散液を焼成後の膜厚が0.3μmとなるように塗布した。ここで、カーボンナノチューブ分散液の成分として、カーボンナノチューブとして長さ2μmのもの、炭素材料粒子として長さ1μm以下のカーボンナノチューブ、結合剤として有機錫化合物及び有機インジウム化合物、揮発性溶媒として酢酸ブチルを用い、それぞれを混合してカーボンナノチューブ分散液とした。なお、カーボンナノチューブと炭素材料粒子との混合比率は7:3とした。
(S33)前記カーボンナノチューブ分散液の塗膜について、つぎの条件で焼成を行い複合層12Lとした。
(第1の焼成)
・雰囲気:大気
・温度:350℃
・時間:30分
(第2の焼成)
・雰囲気:窒素
・温度:500℃
・時間:30分
(S34)つぎに、サンプルをITOエッチャント(商品名ITO−06N)に10分間浸漬し複合層12Lについてマトリックス12mのみを選択的に除去するウェットエッチングを行った。これにより、ITOからなるマトリクス12mは完全にエッチングされていた。
(S35)その後、サンプル上にアクリル樹脂からなるフィルムを貼り付けた後、UV照射して該フィルムを硬化させ、ついで硬化したフィルムを引き剥がすことにより、カーボンナノチューブ12aの起毛処理を行った。
(比較例1)
実施例1において、カーボンナノチューブ分散液として、長さ2μmのカーボンナノチューブ、有機錫化合物及び有機インジウム化合物(結合剤)、酢酸ブチル(揮発性溶媒)を混合したものを用い、ステップS34において複合層12Lの表層のマトリクス12mのみがエッチングされるようにエッチング時間を調整し、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製した。
得られたサンプル表面のカーボンナノチューブの状態を観察した結果を図11、図12に示す。
図11に示す実施例1のサンプルでは、炭素凝集物12bがアンカーとなりカーボンナノチューブ12aが抵抗層I上に固定され直立している状態が観察された。これに対して、図12に示す比較例1のサンプルでは、カーボンナノチューブ92aのみがマトリクス92m上に直立している状態が観察された。
(実施例2)
実施例1において、ステップS34のエッチング時間(浸漬時間)を比較例1で実施した時間とし、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製した。また、比較例1で実施したエッチング時間を基準として、エッチング時間をその2倍、6.7倍と変化させ、それ以外は実施例1と同じ条件でサンプルを作製した。
(比較例2)
比較例1において、ステップS34のエッチング時間(浸漬時間)を比較例1で実施したエッチング時間を基準として、その2倍、3倍と変化させ、それ以外は比較例1と同じ条件でサンプルを作製した。
以上の得られたサンプル表面の所定面積内を観察し、直立しているカーボンナノチューブの数をカウントした。その結果を図13に示す。なお、図中カーボンナノチューブ数を比較例1の当該カーボンナノチューブの数を基準とした相対値として表示している。
エッチング時間が1(比較例1で実施したエッチング時間)、2(比較例1で実施したエッチング時間の2倍の時間)の場合では、実施例2、比較例2ともにカーボンナノチューブ数は同じであったが、エッチング時間がそれを超える領域で実施例2ではカーボンナノチューブ数が増加していた。これに対して、比較例2ではカーボンナノチューブ数が減少していた。
また、実施例1と同じカーボンナノチューブ分散液、スプレー塗布条件、焼成条件、エッチング条件を用いて、図5に示す微小電子源装置を用いたカソードパネルを作製し、ついでアノードパネルとを組み合わせて平面型表示装置を作製したところ、該平面型表示装置は均一で高輝度の画面表示が可能であった。また、同様のカソードパネルを繰り返し作製したところ、同じ表示性能を有する平面型表示装置を得ることができた。
従来の微小電子源装置の構成を示す断面図である。 従来の微小電子源装置の製造工程図である。 本発明に係る微小電子源装置の第1の実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態の微小電子源装置の製造工程図である。 本発明に係る微小電子源装置の第2の実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態の微小電子源装置の製造工程図(1)である。 本発明の第2の実施の形態の微小電子源装置の製造工程図(2)である。 本発明に係る平面型発光装置の構成を示す断面図である。 本発明に係る平面型表示装置の構成を示す断面図である。 本発明に係る平面型表示装置の構成を示す概略図である。 実施例1のサンプル表面のSEM像である。 比較例1のサンプル表面のSEM像である。 実施例2、比較例2のエッチング時間とカーボンナノチューブ数との関係を示す図である。
符号の説明
1A,1B・・・カソードパネル、2A,2B・・・アノードパネル、10,90・・・基板、11・・・カソード電極、11L,14L・・・導電層、12a,92a・・・カーボンナノチューブ、12b・・・炭素凝集物、12m,92m・・・マトリクス、12L・・・複合層、13・・・絶縁層、13L・・・層間絶縁膜、14・・・ゲート電極、15・・・ゲートホール、15A,15B・・・開口部、16・・・貫通孔、17・・・チップ管、18A,18B・・・カソード電極制御回路、19・・・ゲート電極制御回路、20A,20B・・・アノード電極制御回路、21・・・透明基板、22a,22b,22R,22G,22B・・・蛍光体層、23・・・ブラックマトリクス、24・・・アノード電極、I・・・抵抗層、R1,R2・・・レジスト層

Claims (11)

  1. 一端が炭素材料粒子の凝集物を介して電極に固定され、該電極上に直立したカーボンナノチューブを電子放出源として備えることを特徴とする微小電子源装置。
  2. 前記電極は、支持基板上に設けられたカソード電極であることを特徴する請求項1に記載の微小電子源装置。
  3. 前記カーボンナノチューブは、前記支持基板上にカソード電極、層間絶縁膜、ゲート電極が順に積層されてなり、前記ゲート電極及び層間絶縁膜に形成されたゲートホールの底部である前記カソード電極上に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の微小電子源装置。
  4. 前記電極は、支持基板上にカソード電極、抵抗層が順に積層されたものであることを特徴する請求項1に記載の微小電子源装置。
  5. 前記カーボンナノチューブは、前記支持基板上にカソード電極、抵抗層、層間絶縁膜、ゲート電極が順に積層されてなり、前記ゲート電極及び層間絶縁膜に形成されたゲートホールの底部である前記抵抗層上に固定されていることを特徴とする請求項4に記載の微小電子源装置。
  6. 支持基板に形成された電極上にカーボンナノチューブと炭素材料粒子と結合剤と溶媒とからなるカーボンナノチューブ分散液を塗布する工程と、
    前記カーボンナノチューブ分散液の塗膜を焼成することにより、前記結合剤からなるマトリクス中に一端が前記炭素材料粒子の凝集物を介して電極に固定された前記カーボンナノチューブを含む複合層を形成する工程と、
    前記複合層のマトリクスを除去することにより、前記電極上にカーボンナノチューブを露出させる工程と、
    前記カーボンナノチューブを電極上で直立させる起毛処理を施す工程と
    を有することを特徴とする微小電子源装置の製造方法。
  7. 前記電極は、カソード電極であることを特徴する請求項6に記載の微小電子源装置の製造方法。
  8. 前記電極は、カソード電極、抵抗層が順に積層されたものであることを特徴する請求項6に記載の微小電子源装置の製造方法。
  9. 前記結合剤は、In,Sn,Zn,Alの少なくとも1つを含有する熱分解性有機金属化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の微小電子源装置の製造方法。
  10. 請求項2または4に記載の微小電子源装置が平面上に複数形成されたカソードパネルと、前記微小電子源装置に対向する蛍光体層とアノード電極を有するアノードパネルとを備えることを特徴とする平面型発光装置。
  11. 請求項3または5に記載の微小電子源装置が平面上に複数形成されたカソードパネルと、前記微小電子源装置に対向する蛍光体層とアノード電極を有するアノードパネルとを備えることを特徴とする平面型表示装置。
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