JP2006012578A - 表示装置の製造方法 - Google Patents

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貴郎 八木
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Abstract

【課題】カーボンナノチューブの高さのばらつきによる電子放出特性の不均一性を改善することができる表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】カソード電極5、ゲート電極7及び電子放出部9を有し且つ電子放出部9をカーボンナノチューブ11を用いて形成してなるカソードパネル1と、アノード電極15を有するアノードパネル2とを実際に組み付ける前に、それらのパネル1,2を真空中で対向状態に配置して、カソード電極5、ゲート電極7及びアノード電極15の各電極間に、実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い所定の電圧を印加するコンディショニング工程を行う。
【選択図】図7

Description

本発明は、カソードパネルとアノードパネルとを用いて表示パネルを構成してなる表示装置の製造方法に関する。
真空中におかれた金属等の導体あるいは半導体の表面に、ある閾値以上の電界を与えると、トンネル効果によって電子が障壁を通過し、常温時においても真空中に電子が放出される。この現象は電界放出(Field Emission)と呼ばれ、これによって電子を放出する素子は電界放出型素子(Field Emission Device)と呼ばれている。近年では、電界放出型の電子放出素子をエミッタとして用いたFED(Field Emission Display)が注目されている。FEDは、多数の電子放出素子が半導体加工技術等を駆使して形成された表示パネルを備えるフラットディスプレイ装置(平面型表示装置)である。このFEDでは、電気的に選択(アドレッシング)された電子放出素子から電界の集中によって電子を放出させるとともに、この電子をアノードパネル側の蛍光体に衝突させて、蛍光体の励起・発光により画像を表示している。
このような電界放出型の表示装置であるFEDの中には、アノード電極と対向する位置にカソード電極とゲート電極とを有するものがある。この種のFEDでは、アノード電極に高圧のアノード電圧(HV)を印加するとともに、カソード電極にカソード電圧を、ゲート電極にゲート電圧をそれぞれ印加することにより、各々の電極間に所定の電位差を生じさせて電子放出部からの電子の放出を制御している。
また近年では、電子放出素子のエミッタ材料としてカーボンナノチューブが注目されている。カーボンナノチューブは、高いアスペクト比を有し、先端の曲率半径も非常に小さいため、高い発光効率を実現するエミッタ材料として有望視されている。また、カーボンナノチューブは非常に細かい微粒子(粉末)であるため、カーボンナノチューブを用いてエミッタを形成する場合は、カーボンナノチューブを基板に固着する必要がある。一般に、カーボンナノチューブの固着には、銀ペーストやITO(Indium Tin Oxide)溶液などのように導電性の高いバインダ材料が用いられる。具体的には、バインダ材料にカーボンナノチューブを混入してペースト状(又はスラリー状、あるいはインク状)とし、これを印刷法、スプレー法、ダイコーター法等の手法で基板の表面に塗布することにより、バインダ材料の接着性を利用して基板上にカーボンナノチューブを固着する。
このような方法でカーボンナノチューブを基板上に固着した場合、カーボンナノチューブ自体はバインダ材料の中に埋め込まれたかたちとなるため、そのままの状態では十分な電子放出特性を得ることができない。また、高い電子放出特性を実現するには、より多くのカーボンナノチューブを露出させ、かつカーボンナノチューブを基板に対して垂直に配向させる必要がある。
そこで従来においては、カーボンナノチューブを含む層の表面に粘着テープを貼り付け、その後、粘着テープを剥離することによりカーボンナノチューブを露出させる方法や、カーボンナノチューブを含む層の表面をエッチングすることにより、カーボンナノチューブを露出させる方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
しかしながら、上記の方法では、個々のカーボンナノチューブの長さにバラツキがあるため、カーボンナノチューブの高さが不揃いになる。そうすると、実際にゲート電極にゲート電圧を印加して電子を放出させようとした場合に、高さの高いカーボンナノチューブほど高い電界が加わり、その部分での電子放出が支配的となる。したがって、例えば、画面全体を白で表示する「白表示」を行うためにゲート電極に所定のゲート電圧を加えたときに、高さのバラツキの中で最大高さに近い高さを有するカーボンナノチューブだけしか電子を放出せず、電子放出特性が不均一なものとなってしまう。ちなみに、カーボンナノチューブの高さとは、カソードパネルの厚み方向において、カソード電極の表面をゼロ基準としたとき、カーボンナノチューブの先端部(上端部)までの垂直距離をいう。
また従来においては、表示装置の製造過程において、装置の構成要素に付着した異物を除去するために、カソードパネルとアノードパネルとの間の空間を排気しながら、アノード電極に電圧を印加し、この電圧を徐々に上昇させて、ゲート電極とアノード電極との間に放電を発生させてコンディショニングを行う方法が知られている(特許文献3参照)。
特開2001−35360号公報(段落0028) 特開2001−35361号公報(段落0018,0019) 特開2002−343254号公報(段落0008,0009)
しかしながら、上記従来のコンディショニングの方法は、エミッタ材料にカーボンナノチューブを用いた表示装置を対象にしたものではなく、カーボンナノチューブの高さのばらつきによる電子放出特性の不均一性を改善するのに有効な方法でもない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、エミッタ材料にカーボンナノチューブ等を用いた場合に、エミッタ材料の高さのばらつきによる電子放出特性の不均一性を改善することができる表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明に係る表示装置の製造方法は、カソード電極、ゲート電極及び電子放出部を有し且つ当該電子放出部を繊維状のエミッタ材料を用いて形成してなるカソードパネルと、アノード電極を有するアノードパネルとを真空中で対向状態に配置し、カソード電極、ゲート電極及びアノード電極の各電極間に、実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い所定の電圧を印加するコンディショニング工程を備えるものである。
本発明に係る表示装置の製造方法においては、カソードパネルとアノードパネルとを真空中で対向状態に配置し、この状態でカソード電極、ゲート電極及びアノード電極の各電極間に、実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い所定の電圧を印加すると、高さが一定以上に高いエミッタ材料はジュール熱で焼き切られ、それよりも高さが低いエミッタ材料の一部はジュール熱で電子放出特性が活性化される。
本発明によれば、エミッタ材料にカーボンナノチューブ等を用いる場合、仮にカソードパネルの製造段階でエミッタ材料の高さにばらつきがあっても、コンディショニング工程を行うことで電子放出特性を均一化することができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される表示装置のパネル構造の一例を示す断面図であり、図2はその分解斜視図である。図1及び図2においては、カソードパネル(カソード基板)1とアノードパネル(アノード基板)2とを所定の間隙を介して対向状態に配置するとともに、それらのパネル1,2を枠体3によって一体的に組み付けることにより、画像表示のための一つのパネル構体(表示パネル)が構成されている。
カソードパネル1上には複数の電子放出素子が形成されている。これら複数の電子放出素子は、カソードパネル1の有効領域(実際に表示部分として機能する領域)に2次元マトリックス状に多数形成されている。各々の電子放出素子は、カソードパネル1のベースとなる絶縁性の支持基板(例えば、ガラス基板)4と、この支持基板4上に積層状態で順に形成されたカソード電極5、絶縁層6及びゲート電極7と、ゲート電極7及び絶縁層6に形成されたゲートホール8と、このゲートホール8の底部に形成された電子放出部9とによって構成されている。
カソード電極5は、複数のカソードラインを形成するようにストライプ状に形成されている。ゲート電極7は、各々のカソードラインと交差(直交)する複数のゲートラインを形成するようにストライプ状に形成されている。ゲートホール8は、ゲート電極7に形成された第1の開口部8Aと、この第1の開口部8Aに連通する状態で絶縁層6に形成された第2の開口部8Bとから構成されている。電子放出部9は、主として繊維状のエミッタ材料とバインダ材料(マトリックス)とを含むエミッタ層10によって形成されている。エミッタ層10の表面には繊維状のエミッタ材料となる複数のカーボンナノチューブ11が配置されている。各々のカーボンナノチューブ11は、一端側がエミッタ層10の表面から垂直に突出し、他端側はエミッタ層10のバインダ材料中に埋め込まれた状態となっている。
一方、アノードパネル2は、ベースとなる透明基板12と、この透明基板12上に形成された蛍光体層13及びブラックマトリックス14と、これら蛍光体層13及びブラックマトリックス14を覆う状態で透明基板12上に形成されたアノード電極15とを備えて構成されている。蛍光体層13は、赤色発光用の蛍光体層13Rと、緑色発光用の蛍光体層13Gと、青色発光用の蛍光体層13Bとから構成されている。ブラックマトリックス14は、各色発光用の蛍光体層13R,13G,13Bの間に形成されている。アノード電極15は、カソードパネル1の電子放出素子と対向するように、アノードパネル2の有効領域の全域に積層状態で形成されている。
これらのカソードパネル1とアノードパネル2とは、それぞれの外周部(周縁部)で枠体3を介して接合されている。また、カソードパネル1の無効領域(有効領域の外側の領域で、実際に表示部分として機能しない領域)には真空排気用の貫通孔16が設けられている。貫通孔16には、真空排気後に封じ切られるチップ管17が接続されている。ただし、図1は表示装置の組み立て完了状態を示しているため、チップ管17は既に封じ切られた状態となっている。また、図1及び図2においては、各々のパネル1,2間のギャップ部分に介装される耐圧用の支持体(スペーサ)の表示を省略している。
上記構成のパネル構造を有する表示装置においては、カソード電極5に相対的な負電圧がカソード電極制御回路18から印加され、ゲート電極7には相対的な正電圧がゲート電極制御回路19から印加され、アノード電極15にはゲート電極7よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路20から印加される。かかる表示装置において、実際に画像の表示を行う場合は、例えば、カソード電極5にカソード電極制御回路18から走査信号を入力し、ゲート電極7にゲート電極制御回路19からビデオ信号を入力する。あるいは又、カソード電極5にカソード電極制御回路18からビデオ信号を入力し、ゲート電極7にゲート電極制御回路19から走査信号を入力する。
これにより、カソード電極5とゲート電極7との間に電圧が印加され、これによって電子放出部9の先鋭部(カーボンナノチューブ11の先端部)に電界が集中することにより、量子トンネル効果によって電子がエネルギー障壁を突き抜けて電子放出部9から真空中へと放出される。こうして放出された電子はアノード電極15に引き付けられてアノードパネル2側に移動し、透明基板12上の蛍光体層13(13R,13G,13B)に衝突する。その結果、蛍光体層13が電子の衝突により励起されて発光するため、この発光位置を画素単位で制御することにより、表示パネル上に所望の画像を表示することができる。
続いて、本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法について説明する。かかる製造方法は、カソードパネルを製造する工程(以下、カソードパネル製造工程)と、アノードパネルを製造する工程(以下、アノードパネル製造工程)と、それらのパネルを組み合わせる工程(以下、パネル組み立て工程)とを含む。
[カソードパネル製造工程]
先ず、図3(A)に示すように、カソードパネル1のベースとなる支持基板4上にカソード電極形成用の導電材料を用いてカソード電極(導電層)5を形成する。このカソード電極5は、例えばスパッタリング法により形成される厚さ約0.2μmのクロム層によって形成される。
次に、支持基板4の全面に例えばスパッタリング法によりSiCN膜を成膜することにより、図3(B)に示すように、カソード電極5を覆う状態でSiCN膜からなる厚さ約0.2μmの抵抗層21を形成する。この抵抗層21は、エミッタへの放電電流が大きくなった場合に、抵抗による電圧降下の増大によってエミッタに作用する実効電圧を減少させ、逆にエミッタへの放電電流が小さくなった場合はエミッタに作用する実効電圧を増加させることにより、放電電流を安定化させる役目を果たすものである。抵抗層21は必要に応じて形成される。
次に、抵抗層21の上(抵抗層21を形成しない場合はカソード電極5の上)に、エミッタ材料となるカーボンナノチューブ11を配置するための処理を行う。具体的には、バインダ材料として熱分解性有機金属である有機スズ及び有機インジウムを用いるとともに、エミッタ材料としてカーボンナノチューブの粉末を用い、これらを以下の条件で揮発性溶液、例えば酢酸ブチル中に分散させた混合溶液を得る。その際、カーボンナノチューブの分散性を向上させるために超音波処理を行ってもよい。希釈剤は水系でも非水系でもかまわないが、どちらを使用するかによって分散剤も変わることを前提とする。また、他の添加剤を混ぜることも可能である。カーボンナノチューブは、例えば平均直径1nm、平均長さ1μmといった非常に細長いチューブ構造(繊維状)を有するものを用いる。
(混合溶液の生成条件)
有機スズ及び有機インジウム:10〜50質量%
酢酸ブチル:30〜80質量%
分散剤(例えば、ドデチル硫酸ナトリウム):0.1〜5質量%
カーボンナノチューブ:0.001〜20質量%
なお、エミッタ材料としては、カーボンナノチューブ以外にも、カーボンナノファイバを用いることが可能である。また、バインダ材料としては、上述した熱分解性有機金属以外にも、例えば塩化スズ、塩化インジウムなどの金属塩を用いることが可能である。
続いて、上記の混合溶液をスプレー法等により支持基板4上に塗布することにより、図3(C)に示すように、カーボンナノチューブとバインダ材料とを含むエミッタ層(複合体層)10を形成する。このエミッタ層10は印刷法を用いて形成することも可能である。
その後、エミッタ層10を以下の条件で焼成する。これにより、有機成分の蒸発によってバインダ材料中(マトリックス中)にカーボンナノチューブが埋め込まれた状態の固体化したエミッタ層10が得られる。
(焼成条件)
雰囲気:窒素(N2)ガス雰囲気中
焼成温度:500℃
焼成時間:30分
次いで、エミッタ層10をストライプ状に加工する。具体的には、レジスト材料(フォトレジスト)をスピンコート法によって塗布することにより、エミッタ層10を覆うレジスト膜を形成するとともに、このレジスト膜をフォトリソグラフィ技術によってパターニングすることにより、エッチングマスクとなるレジストパターンをエミッタ層10上に形成する。次に、レジストパターンで被覆されたエミッタ層10を除く部分を、例えば以下の条件に基づくウェットエッチングで除去することにより、図3(D)に示すように、支持基板4上でエミッタ層10をストライプ状に形成する。
(ウェットエッチング条件)
エッチング液:塩酸(HCL)
エッチング時間:10秒〜30分
エッチング温度:10〜60℃
このとき、所望の領域以外にカーボンナノチューブが存在する場合は、この不要なカーボンナノチューブを、酸素プラズマ又は酸化溶液を使用して以下の条件でエッチングにより除去する。
(酸素プラズマエッチングの条件)
装置:RIE(reactive ion etching)装置
導入ガス:酸素を含むガス
プラズマ励起パワー:500W
バイアスパワー:0〜150W(DCでもRFでもよいが、RFが好ましい)
エッチング時間:10秒以上
(酸化溶液エッチングの条件)
溶液:KMnO4
エッチング温度:20〜80℃
エッチング時間:10秒〜20分
続いて、周知のリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング法(RIE法)により、抵抗層21及びカソード電極5をパターニングすることにより、図3(E)に示すように、支持基板4上でカソード電極5をストライプ状に形成する。この時点で支持基板4上に複数本のカソードラインが形成される。
次に、図4(A)に示すように、支持基板4上において、カソード電極5、抵抗層21及びエミッタ層10の積層部を覆うように絶縁層6を形成し、さらにその絶縁層6の上に、図4(B)に示すように、ゲート電極形成用の導電材料を用いてゲート電極(導電層)7を形成する。具体的には、TEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとして使用するCVD法により、支持基板4の全面に例えばSiO2からなる厚さ約5μmの絶縁層6を形成し、次いで、絶縁層6の上にクロムからなるゲート電極7をスパッタリング法によって形成する。
次に、ゲート電極7の上に図示しないエッチングマスクを形成し、このエッチングマスクを用いてゲート電極7の所定部位をエッチングすることにより、図4(C)に示すように、絶縁層6上でゲート電極7をストライプ状に形成するとともに、このゲート電極7を貫通する第1の開口部8Aを形成する。このとき、ストライプ状のゲート電極7は、カソード電極5とほぼ直角に交差(直交)する状態で形成される。これにより、支持基板4上に上記カソードラインに直交する複数本のゲートラインが形成される。
次に、ゲート電極7の第1の開口部8Aを通して絶縁層6を例えばRIE法でエッチングすることにより、図5(A)に示すように、エミッタ層10の表面を露出する状態で第2の開口部8Bを形成する。これにより、第1,第2の開口部8A,8Bからなるゲートホール8が得られる。このゲートホール8は、例えば直径20μmの円形に形成される。また、ゲートホール8は、1画素当たり複数個(例えば、数十個)形成される。
次に、ゲートホール8を通してエミッタ層10の上層部のバインダ材料(マトリックス)を除去することにより、図5(B)に示すように、ゲートホール8の開口部分でエミッタ層10の表面にカーボンナノチューブ11を露出させる。エミッタ層10の上層部でバインダ材料を除去する際の手法としては、ウェットエッチングやドライエッチングなどのエッチング法(ハーフエッチング)を好ましく用いることができる。一例として、ウェットエッチングを適用する場合の条件を以下に示す。このエッチングによりエミッタ層10の上層部でバインダ材料を選択的に除去することにより、エミッタ層10の表面に多数のカーボンナノチューブ11を露出させることができる。
(ウェットエッチング条件)
エッチング液:塩酸 10%
エッチング温度:10〜60℃
エッチング時間:5〜60秒
なお、バインダ材料を除去する際の手法としては、上述したエッチング法に限らず、例えば、ラッピングテープなどを用いた機械的な研磨によって除去する方法や、サンドブラストなどのように粒子の衝突によって除去する方法などを適用することも可能である。
その後、図5(C)に示すように、エミッタ層10の表面で各々のカーボンナノチューブ11が一様にほぼ垂直に起立するように、カーボンナノチューブ11の配向処理を行う。具体的には、例えば支持基板4上で図示しない粘着テープをゲート電極7の上から貼り付けた後、粘着テープを引き剥がすことにより、支持基板4に対してカーボンナノチューブ11をほぼ垂直に配向させる。カーボンナノチューブ11を配向させる際の方向は、支持基板4の面方向に対してほぼ垂直な方向とする。
なお、カーボンナノチューブ11の配向処理方法としては、上述した粘着テープの貼り付け及び引き剥がしによる方法以外にも、例えば、熱硬化型や紫外線硬化型の樹脂等からなるフィルム状、ゲル状又は液状の粘着材をエミッタ層10の表面に付着させた後、この粘着材を紫外線照射処理や加熱処理によって体積収縮させることにより、多孔質化したバインダ材料を剥離してカーボンナノチューブ11を垂直に配向させることも可能である。
[アノードパネル製造工程]
まず、図6(A)に示すように、アノードパネル2のベースとなる透明基板12上にブラックマトリックス14のパターンを形成する。次に、図6(B)に示すように、赤,緑,青の各色の蛍光体層13R,13G,13Bからなる蛍光体層13を形成する。次いで、図6(C)に示すように、蛍光体層13とブラックマトリックス14とを覆う状態で透明基板12上にアルミニウム等の金属薄膜を蒸着することにより、アノード電極15を形成する。
[パネル組み立て工程]
このパネル組み立て工程では、実際にカソードパネル1とアノードパネル2とを組み付ける前に、コンディショニング工程を実行する。コンディショニング工程では、図7に示すように、カソードパネル1とアノードパネル2とを真空チャンバ内で対向状態に配置する。真空チャンバ内は真空状態(例えば、1×10-2〜1×10-10Paの真空度)とする。また、真空チャンバ内では、カソードパネル1とアノードパネル2との間に、実際のパネル組み立てで使用される支持体(スペーサ)を介在させるか、支持体に代わるスペーサ治具を介在させることにより、最終製品形態と同等の隙間(例えば、0.1〜10mm)をパネル間に確保するとともに、双方のパネルを互いに平行に配置する。そして、この配置状態のもとで、カソード電極5、ゲート電極7及びアノード電極15の各電極間に、実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い所定の電圧を印加する。
実駆動時の最大ピーク電圧とは、最終製品として組み立てられた表示装置を実際に駆動して表示パネルに画像を表示するときに、カソード電極5、ゲート電極7及びアノード電極15に印加される電圧(カソード電圧、ゲート電圧、アノード電圧)のうち、各電極間で最も大きな電位差が得られる電圧(換言すると、白表示を行うときに印加される電圧)をいう。具体例として、実駆動時におけるカソード電極5の電位レベルをグランド電位(GND)とし、このグランド電位を基準として実駆動時にゲート電極7とアノード電極15に印加される単位長さ当たりの最大ピーク電圧を6V/μmに設定すると、実際にゲート電極7に印加される最大ピーク電圧の値は絶縁層6の厚み寸法に依存し、アノード電極15に印加される最大ピーク電圧の値は、カソード電極5とアノード電極15との離間距離Lに依存したものとなる。すなわち、絶縁層6の厚み寸法を5μmとすると、ゲート電極7に印加される最大ピーク電圧の値は30Vとなる。また、離間距離Lを2mmとすると、アノード電極15に印加される最大ピーク電圧の値は12kVとなる。
そこで、ゲート電極7に対しては実駆動時の最大ピーク電圧となる30Vよりも高い電圧Vgを印加し、アノード電極15に対しても実駆動時の最大ピーク電圧となる12kVよりも高い電圧Vaを印加する。例えば、上述のように実駆動時の最大ピーク電圧が6V/μmに設定されていたとすると、それよりも1.3倍ほど高い8V/μmの設定でゲート電極7とアノード電極15にそれぞれ所定の電圧を印加する。具体的には、絶縁層6の厚み寸法を5μmとするとゲート電極7には40Vの電圧を印加し、上記離間距離Lを2mmとするとアノード電極15には16kVの電圧を印加する。
この場合、アノード電極15に対してのみ、実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い電圧Vaを印加すると、ゲートホール8内の電界分布がバスタブ型の電界となり、エミッタ層10から突出する各々のカーボンナノチューブ11に均一に電界を加えることができなくなる。これに対して、ゲート電極7とアノード電極15の両方に、それぞれ実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い電圧Vg,vaを印加すれば、ゲートホール8内の電界分布が平行電界となるため、エミッタ層10から突出する各々のカーボンナノチューブ11に均一に電界を加えることができる。
このように実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い電圧を印加すると、ゲートホール8内に実駆動時よりも強い電界が発生するとともに、この電界が高さの高いカーボンナノチューブ11に集中的に加わる。そうすると、高さの高いカーボンナノチューブ11の先端から電界の集中によって電子が放出されるとともに、これに伴う放出電流がカーボンナノチューブ11に流れてジュール熱が発生する。ジュール熱は電流の2乗に比例する。そのため、高さが高くて電界が集中しやすいカーボンナノチューブ11ほど多量のジュール熱を発生し、このジュール熱によってカーボンナノチューブ11が加熱される。また、ここでは実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い電圧を印加するため、実駆動時にはジュール熱で過度に加熱されずに継続的に電子を放出するカーボンナノチューブ11であっても、高さが一定以上に高いカーボンナノチューブ11になると、高電圧の印加に伴うジュール熱の発生によって過度に加熱される。
その結果、カソードパネル製造工程でエミッタ層10の表面から突出させたカーボンナノチューブ11の高さが図8(A)に示すようにばらついていたとすると、図8(B)に示すように高さが一定以上(図中一点鎖線で示す高さ以上)に高いカーボンナノチューブ11は、ジュール熱の発生による過度の加熱によって焼き切れる。その際、カーボンナノチューブ11の先端だけ焼き切れる場合と、カーボンナノチューブ11の先端から根元までの一部又は全部が焼き切れる場合があるが、いずれの場合もカーボンナノチューブ11の高さは低くなる。そのため、カーボンナノチューブ11の高さは、ジュール熱によるトリミング効果によって図8(C)のように平均化される。
したがって、カソードパネル製造工程でカーボンナノチューブ11の高さが図9に示すような分布(例えば、正規分布)でばらつくものとすると、上記高電圧の印加によって最初に電子を放出するカーボンナノチューブ11、すなわち高さのばらつきのなかで、最大高さに近い高さを有するカーボンナノチューブ11は、ジュール熱による過度の加熱により焼き切れてその高さが低くなる。したがって、電子放出に寄与するカーボンナノチューブ11の高さの範囲がH1からH2、つまり相対度数が高い側に遷移する。その結果、実駆動時に電子放出に寄与するカーボンナノチューブ11の本数が大幅に増加する。
また、実駆動時の最大ピーク電圧と同じ電圧を印加したときには高さ不足によって電子放出に寄与しないカーボンナノチューブ11でも、実駆動時より印加電圧を上げることで電子を放出し、これに伴うジュール熱の発生によって電子放出特性が改善される。すなわち、電子放出によるジュール熱の発生によってカーボンナノチューブ11が加熱されると、カーボンナノチューブ11の表面に吸着しているガス(電子放出を阻害するガス成分)が離脱し、カーボンナノチューブ11の電子放出特性が活性化される。そのため、実駆動時には、より多くのカーボンナノチューブ11から電子を放出させることができる。
ここで、コンディショニング工程で適用される所定の電圧は、実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い条件で設定されるため、コンディションニング工程を行う前の電流電圧特性を図10の実線で示すものとすると、コンディショニング工程を行った後の電流電圧特性は図10の破線で示すように劣化する。この理由は、コンディショニング工程で各電極間に所定の電圧を印加したときに、ジュール熱の発生により、高さの高いカーボンナノチューブ11が焼き切れて、カーボンナノチューブ11全体の高さが相対的に低くなるためである。ただし、電子放出に寄与するカーボンナノチューブ11の本数はコンディショニング工程の実行によって大幅に増えるため、当該工程で適用される所定の電圧を適切な範囲内で設定することにより、電流電圧特性の劣化を最小限に抑えることができる。具体的には、実駆動時の最大ピーク電圧の1.1〜2.0倍の範囲内で上記所定の電圧を設定することが望ましい。また、コンディショニング工程での電圧印加時間は1秒〜10分の範囲内で適宜設定することが望ましい。
また、コンディショニング工程で各電極間に所定の電圧を印加するときに、電子放出部9又はこれを含むカソードパネル1全体を常温よりも高い所定の温度に加熱すると、熱励起によって放電電流が増加するとともに、ジュール熱が相対的に高くなる。そのため、コンディショニング工程で適用される印加電圧の設定値を低く抑えつつ所望のコンディショニング効果を得ることができる。加熱のための所定の温度は、下限温度が常温よりも高い温度で、上限温度がカーボンナノチューブ11が消失しない温度の範囲内であればよく、好ましくは50〜800℃の範囲内に設定するとよい。また、加熱するタイミングは、電圧印加の前後でもよいし、電圧印加と同時でもよい。
このようなコンディショニング工程を行った後は、カソードパネル1とアノードパネル2との間に、スペーサと呼ばれる支持体(不図示)を介装してパネル同士を対向状態に張り合わせ、この状態でパネル外周部をフリットシールで接合した後、パネル内部を真空排気して封止する。
以上のような方法で表示装置の表示パネルを製造することにより、コンディショニング工程での電圧の印加により、カーボンナノチューブ11の高さを平均化することができるとともに、カーボンナノチューブ11の電子放出特性を活性化することができる。そのため、カソードパネル1上に設けられた複数の電子放出部9の間で、電子放出特性を均一化することができる。
また、エミッタ層10から突出する各々のカーボンナノチューブ11のなかに、高さが極端に高いカーボンナノチューブ11が存在すると、画面全体を黒表示したときに、そのカーボンナノチューブ11から電子が放出されてストレー(輝点欠陥)となるが、上記コンディショニング工程を行えば、そのように高さの高いカーボンナノチューブ11が存在しなくなるため、ストレーの発生を未然に防止することができる。
本発明が適用される表示装置のパネル構造の一例を示す断面図である。 本発明が適用される表示装置のパネル構造の一例を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法に含まれるカソードパネル製造工程を説明する図(その1)である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法に含まれるカソードパネル製造工程を説明する図(その2)である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法に含まれるカソードパネル製造工程を説明する図(その3)である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法に含まれるアノードパネル製造工程を説明する図である。 本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法に含まれるパネル組み立て工程で適用されるコンディショニング工程を説明する図である。 コンディショニング工程でのカーボンナノチューブの状態変化を説明する図である。 カーボンナノチューブの高さのばらつきを示す図である。 コンディショニング前後の電流電圧特性の変化を示す図である。
符号の説明
1…カソードパネル、2…アノードパネル、5…カソード電極、6…絶縁層、7…ゲート電極、8…ゲートホール、9…電子放出部、10…エミッタ層、11…カーボンナノチューブ(エミッタ材料)

Claims (5)

  1. カソード電極、ゲート電極及び電子放出部を有し且つ当該電子放出部を繊維状のエミッタ材料を用いて形成してなるカソードパネルと、アノード電極を有するアノードパネルとを真空中で対向状態に配置し、前記カソード電極、前記ゲート電極及び前記アノード電極の各電極間に、実駆動時の最大ピーク電圧よりも高い所定の電圧を印加するコンディショニング工程を備える
    ことを特徴とする表示装置の製造方法。
  2. 前記コンディショニング工程において、前記電子放出部又は前記カソードパネルを常温よりも高い所定の温度に加熱した状態で、前記所定の電圧を印加する
    ことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
  3. 前記コンディショニング工程において、前記所定の電圧を前記最大ピーク電圧の1.1〜2.0倍の範囲内に設定する
    ことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
  4. 前記エミッタ材料にカーボンナノチューブを用いる
    ことを特徴とする請求項1記載の表示装置の製造方法。
  5. 前記コンディショニング工程において、前記所定の温度を50〜800℃の範囲内に設定する
    ことを特徴とする請求項2記載の表示装置の製造方法。


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