JP2006261074A - 電界放出物質の塗布方法および電界放出素子 - Google Patents

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Keisuke Fujita
敬祐 藤田
Kazuhiro Fukushima
和宏 福島
Fumiyasu Nomura
文保 野村
Yuji Ozeki
雄治 尾関
Jun Tsukamoto
遵 塚本
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Abstract

【課題】カーボンナノチューブ等の電界放出物質を基板上に垂直方向に配向させ、且つカソード電極に確実に固着できる電界放出物質の塗布方法を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブと有機添加剤を含むペースト等の液体をカソード電極101上に塗布し電界放出物質層を形成させ、低圧条件下において電界を印加しながら前記液体を乾燥又は固化することにより、カーボンナノチューブがカソード電極に確実に固着され、且つカソード電極に対して垂直方向或いは垂直に近い方向に配向させることができる。
【選択図】図14

Description

本発明は、電子を電界放出する物質と有機添加剤を含む液体を基板に塗布し、電界を印加しながら乾燥又は固化することを特徴とする電界放出物質の塗布方法およびこの方法により電界放出物質を塗布した電界放出素子に関する。
パソコンモニターやテレビ受像機などを代表する情報伝達媒体の表示装置としては、熱電子放出を利用するカラー陰極線管(CRT:Cathode Ray Tube)が従来主流であったが、近年では薄型化、軽量化、大画面化、高輝度化、高精細化及び省電力化が要望されてきている。
上記要求を満たすディスプレイデバイスとして、平面型(フラットパネルディスプレイ)の表示装置が急速に開発されている。平面型の表示装置としては、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED)などがある。中でも液晶表示装置やプラズマ表示装置は現在広く普及しているが、前者は高輝度化や大型化に課題があり、後者においても省電力化などの諸問題について未だ解決されていない。
一般に、電界(電気力線)は導体面から垂直に出ており、電界放出源の突起部では電界が集中し、比較的低い電圧においても電子を放出する現象を、電界放出の原理としている。FED用の電界放出素子においては、上記原理を利用し、放出された電子を正極の蛍光体に衝突させて所定の画像を具現する表示素子であり、高輝度及び低消費電力の点から注目を集めている。
このような電界放出素子の電子放出源としては、主にモリブデン(Mo)、タングステン(W)などの金属やSiなどの半導体物質からなり先端が尖ったスピント(Spindt)タイプのエミッタと、主にDLC(Diammond−LikeCarbon),カーボンファイバー,カーボンナノチューブ(CNT;Carbon Nanotube)などのカーボン系列の物質からなるエミッタがある。
電界放出素子は、先端が鋭利であるほど印加される電界強度が高くなることが知られているため、スピントタイプで用いられるマイクロチップは先端を鋭利に加工することが必要となる。この加工は容易ではなく、大規模な装置が必要になるため高価になる。また、前記マイクロチップは、10−8Torr以上の高真空の維持が必要であり、雰囲気ガス及び不均一な電界による寿命の短縮、比較的高い仕事関数など、多くの課題がある。また、前記ガスイオンや電子が衝突することによって前記蛍光体を構成する粒子が落ちてマイクロチップが汚染され、前記電子放出源の性能を低減させる場合もある。
これを克服するための物質として、カーボンナノチューブ(以下、CNTという)を電子放出源として使用する電界放出アレイ(FieldEmission Array:FEA)が開発されている。電子放出源の材料として優れているダイアモンド薄膜から電子を放出させることが可能な電界が約10V/μm程度であるのに対して、CNTでは1V/μm以下の電界でも電子を容易に放出させることができ、このような特性を有するCNTは次世代の電子放出源材料として注目されている。CNTは細い直径と、長さ対直径の比(アスペクト比)が非常に大きく、低い電圧でも電子を放出する。このようなCNTは、優秀な電子放出特性、化学的、機械的耐久性を有しており、その物性及び応用性について急速に研究されてきている。CNTを使用する電界放出素子は広視野角、高解像度、低消費電力及び温度安定性などにおいて長所を有する。
CNT等のナノチューブを利用した電子放出素子、およびそれを用いた自発光型平面表示装置は数多く報告されている。前記「非特許文献1」には印刷で形成したカーボンナノチューブ電子源で公称4.5インチの自発光型平面表示装置を作成した例が開示されている。
一般的に、電界放出素子はペースト状にしたCNTを基板にスクリーン印刷法等で塗布することで形成される。特許文献1には電子放出物質混合ペーストを利用した電界放出アレイ及び製造方法について開示され、特許文献2には成長法によって得られたCNTをエミッタとして利用する電界放出アレイ及びその製造方法が開示されている。一般的にエミッタを成長法によって形成するより、ペーストを利用して形成する方が容易であるので、前者の方法が主に選好される。
図1に、ペーストを利用した一般的な電界放出素子の製造方法を簡略に述べる。
図示されたように、ソーダライムガラスなどからなる背面板11上に陰極12を形成し、前記陰極12上にゲート絶縁層13を形成し、さらにゲート電極14を形成する。ゲート絶縁層13及びゲート電極14は、陰極12が部分的に露出されるホール13A及びゲートホール14Aをそれぞれ有する。前記陰極12上及びゲートホール14A内には、例えばCNT又はナノ粒子を含む感光性ペーストをフォトリソグラフィ法によりパターニングしたエミッタ層15が形成されている。前面板21は、前記背面板11から一定の間隔で対向して配置されており、前記前面板21の背面板に対する面には陽極22が形成され、さらに蛍光膜23が形成されている。エミッタ層15に電界が印加されると、矢印の方向に電子を放出し、放出された電子は蛍光膜23に衝突して蛍光膜23を発光させることによって,所定の画像を具現するようになる。
一般的に、冷陰極電子源は、ペースト状にしたCNTを基板に印刷することで形成される。しかし、通常のペーストでは、焼成した際にCNTの配向が不規則になることや、またガラスフリット等に埋没してしまい、電子放出開始電圧が高くなったり、均一な電子放出及び画像が得られないといった問題がある。この状態では、基板の面に対して垂直方向の電界が印加されても、電子放出部であるCNTの先端部が殆ど露出されておらず、僅かな露出したCNT先端部も基板と平行に配向しているため電界が集中しにくくなる。
そこで、ペースト中のCNTを露出させる方法として、種種の提案がされている。特許文献3では、印刷されたCNTのペースト層に刃で筋を入れ、筋の壁部からCNTを露出させることでエミッタを形成する内容が開示されている。レーザー照射によりCNTを露出させる方法(特許文献4)、ドライアイス等でクレーターを作りCNTを露出させる方法(特許文献5)等も提案されている。
また、電界が集中しやすくなるようなCNTの配列方法も提案されている。CNTを混合・分散した可塑性物質を延伸してその延伸方向に揃える方法(特許文献6)、磁界を印加してCNTを電極上に垂直に配列させるもの(特許文献7,8)など種種の方法が提案されている。
さらに、CNTの配向制御に電界を印加する方法も報告されている。特許文献9では、導電性ペーストにCNTの分散液を散布し電圧を印加して乾燥させる方法が示されている。また、特許文献10では、電極基板にペーストを塗布しておき、別の基板に分散させたCNTを付着させ転写させた後、電圧を印加し乾燥させる方法が提案されている。
米国特許第6339281号公報 米国特許第6440761号公報 特開2001−43792号公報 特開2004−199888号公報 特開2005−5079号公報 特開2001―176378号公報 特開2004―259667号公報 特開2004―281308号公報 特開2000―294119号公報 特開2001―76651号公報 SID 99 Digest pp.1134−1137
一般的に、冷陰極電子源は、ペースト状にしたCNTを基板に印刷することで形成される。しかし、通常のペーストでは、焼成した際にCNTの配向が不規則になることや、またガラスフリット等に埋没してしまい、電子放出開始電圧が高くなったり、均一な電子放出及び画像が得られないといった問題がある。この状態では、基板の面に対して垂直方向の電界が印加されても、電子放出部であるCNTの先端部が殆ど露出されておらず、僅かな露出したCNT先端部も基板と平行に配向しているため電界が集中しにくくなる。従来は、印刷面に寝ているナノチューブを起毛させるために、印刷面を機械的に研磨する方法が多く用いられている。しかしながら、印刷面の表面には凹凸があり、上記のような研磨では窪んだ部分にあるナノチューブを起毛させることが困難である。また、ナノチューブを電子源とした自発光型平面表示装置では、電子源に対して電子取り出し制御を行うためのゲート電極を設ける必要がある。そのため、ナノチューブはゲート電極よりも下層の窪み構造の底部に存在するのが一般的であり、このような構造を形成後に非接触でナノチューブを研磨し、起毛させることは困難である。
上記特許文献3乃至5の方法では、CNTが露出されるものの、配列が不規則で電界が集中し難い。また、レーザーやドライアイス等でCNTを一部破壊してしまい、CNTの電界放出寿命が短命となる可能性が高い。また、特許文献7はCNTを配向させるために非常に大きい磁界が必要であり、特許文献8では低融点金属上にCNTを均一に塗布する方法に課題が残る。さらに、特許文献9,10では、予め塗布しておいた導電性ペースト上にCNTを散布させるため、ペーストに確実に被着されなかったCNTが剥離する可能性がある。また、常圧条件下で電圧を印加するため、放電によりCNTが破壊される可能性が高い。
本発明は、カソード電極上に電子を電界放出する物質と有機添加剤を分散させた液体を印刷法等により塗布し、直流電界を印加しながら乾燥又は固化することにより、アノード電極方向に略垂直に配向した電界放出物質をカソード電極上に固着させた状態で形成することができる。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)電子を電界放出する物質と有機添加剤を含む液体を基板に塗布し、電界を印加しながら乾燥又は固化することを特徴とする電界放出物質の塗布方法。
(2)前記電子を電界放出する物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする(1)記載の電界放出物質の塗布方法。
(3)前記カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、30本以上が10層以下のカーボンナノチューブであることを特徴とする(1)または(2)記載の電界放出物質の塗布方法。
(4)前記カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の10層以下のカーボンナノチューブ中、30本以上が2層カーボンナノチューブであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(5)前記2層カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の2層カーボンナノチューブ中、80本以上がその外径が1.5から4.0nmの範囲内にあることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(6)前記2層カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した2層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が100nm以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(7)前記2層カーボンナノチューブが、共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(8)前記カーボンナノチューブ含有組成物が、元素分析による金属含有率が1重量%以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(9)前記乾燥または固化は、60〜800℃で行うことを特徴とする(1)〜(8)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(10)前記乾燥または固化は、空気又は不活性ガスを含む雰囲気で行われることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(11)前記乾燥または固化は、1Pa〜1×10−8Pの圧力条件下で行われることを特徴とする(1)〜(10)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(12)前記電界は、基板に相対するアノード電極から、カソード電極となる基板の方向に0.1〜10V/μmとなるように印加することを特徴とする(1)〜(11)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(13)基板が、背面基板上にカソード電極、カソード電極を一部露出させるホールを有するゲート絶縁層、前記ホールに対応するゲートホールを有するゲート電極が順に積層され、前記ホール及びゲートホールを通してカソード電極が部分的に露出した基板であり、電界を、前記カソード電極に対して略垂直方向に印加することを特徴とする(1)〜(12)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(14)前記電界は、ゲート電極および/又はアノード電極からカソード電極方向に0.1〜10V/μmとなるように印加することを特徴とする(13)記載の電界放出物質の塗布方法。
(15)電子を電界放出する物質と有機添加剤を含む液体を基板に塗布し、電界を印加しながら溶媒を乾燥させ、フォトリソグラフィ法により所定のパターニングを有する電界放出物質層を形成した後、電界を印加しながら前記電界放出物質層を固化することを特徴とする(1)〜(14)のいずれか記載の電界放出物質の塗布方法。
(16)背面基板上にカソード電極、カソード電極を一部露出させるホールを有するゲート絶縁層、前記ホールに対応するゲートホールを有するゲート電極が順に積層され、前記ホール及びゲートホールを通してカソード電極が部分的に露出した基板上に、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本中50本以上のカーボンナノチューブの先端100nmの部分が、前記カソード電極に対して45°〜135°の角度を有して前記ゲート電極及び/又はアノード電極方向に配向していることを特徴とする電界放出素子。
(17)(1)〜(15)のいずれかの方法で電界放出物質を塗布した基板または(16)記載の電界放出素子を備えたことを特徴とする蛍光表示ディスプレイ。
カソード電極上に電子を電界放出する物質と有機添加剤を分散させた液体を印刷法等により塗布した後、直流電界を印加しながら乾燥又は固化することにより、電界放出物質が陽極に配向し埋没しない状態で固着可能となる。本発明の塗布方法を用いることにより、低電圧で電子を放出し且つ大電流値が得られ、安定性の高い電界放出素子を製造できる。
以下に本発明を詳細に記載する。本発明は、電界放出源を分散させた有機添加剤を含む液体をカソード電極となる基板に塗布し、直流電界を印加しながら電界放出源を含んだ分散液体を焼成することにより、電界放出源が埋没しない状態でカソードに固着されアノード電極に配向していることを特徴とする電界放出物質の塗布方法であり、また前記塗布方法を用いた電界放出素子の製造方法及び電界放出素子である。
本発明で使用するカソード電極となる基板は、導電性物質層から成る電極基板、或いはソーダライムガラス、石英、セラミックス、アルミナ等からなる絶縁基板上に導電性物質層を形成した電極基板などが使用できる。前記導電性物質層は、銀、銅、金、クロム、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化アンチモン錫、などの金属及び金属酸化物などから成る。前記絶縁基板とは、抵抗器により測定した時の抵抗値が1MΩ以上/cmの物質を示し、好ましくはソーダライムガラスを用いる。また、導電性物質とは、抵抗器により測定した時の抵抗値が1MΩ/cm未満の物質を示し、好ましくは1kΩ/cm未満の物質、さらに好ましくは100Ω/cm未満の物質である。本発明で用いるカソード電極用の導電性物質層としては、空気下高温焼成処理を行っても酸化せず、高導電性が保持される銀が好ましい。また、前記導電性物質層は、スクリーン印刷法、スラリー法、蒸着法、スパッタリング、スピンコーティング、スリットダイコーター等の成膜技術で成膜されたものが好ましい。成膜後、所望のパターンに形成された膜の一部を除去することによって所定のパターンを有する電極を形成し、成膜技術の中でも所望の高精細パターニングが可能なフォトリソグラフィ法を用いることが好ましい。
電界放出素子を製造する際には、前記カソード電極上にゲート絶縁層及びゲート電極を形成する。ゲート絶縁層は、酸化ケイ素系ガラスなどの絶縁物質から成り、スクリーン印刷法又は、絶縁物質の蒸着及びパターニング過程などを伴う様々な公知の方法によって形成されうる。ゲート絶縁層は、カソード電極が一部露出される井戸型のホールを有する。
また、ゲート電極は、前記カソード電極同様の導電物質から成り、銀、銅、金、クロム、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化アンチモン錫、などの金属及び金属酸化物などから成り、好ましくは、銀、アルミニウム、クロムを使用する。
ゲート電極は、前記ホールに対応するゲートホールを有し、薄膜固定の金属物質の蒸着及びパターニング、又は厚膜工程の金属ペーストのスクリーン印刷によって形成される。
本発明で使用する電界放出源を分散させた液体とは、ペースト、インク、スラリー、ゾルゲル、有機溶媒などを示し、これらを成膜技術により基板上に膜形成する。成膜技術としては、スクリーン印刷法、スラリー法、スピンコーティング、スリットダイコーター等を用いることができる。高精細のパターニング技術が使用可能なペースト又はインクが好ましく、ペーストについては印刷やスリットダイコーターを用いて膜形成し、インクについてはインクジェット法により、電極面にパターニングを形成させる方法が使用できる。本発明では、大画面化、量産化、低コスト化に優れたスクリーン印刷法による成膜が可能なペーストが好適である。
本研究で使用するペーストとは、粘度測定器において回転数を変化させた場合に粘度が変化するようなチクソトロピック(thixotropic)性を有しており、溶媒、バインダー等からなる材料の総称である。電界放出源をカソード電極に固着させるガラスフリットを含むことが好ましく、さらにカソード電極に印加した電圧・電流を効率的に電界放出源に伝達するための導電性粒子を含むことが好ましい。ペーストは、スクリーン印刷、スリットダイコーター等の厚膜技術でカソード電極上に塗布される。塗布方法はスクリーン印刷法が好ましく、印刷に適した1万〜10万cpsの範囲の粘度を有することが好ましく、さらに好ましくはフォトリソグラフィ法により高精細にパターニングを形成させる方法を用いる。ここでいう粘度とは、流動している流体の応力とひずみ速度の比であり、外からひずみを与え、せん断粘性率を測定することで定量できる。粘度の測定は、例えば 粘度計(BROOKFIELD社製、MODEL DV-II+)を用いて3rpmの速度で5分間回転させた条件で求めることができる。
電界放出素子の電子放出源とは、量子力学的なトンネリング効果を利用して電子を放出する材料のことであり、DLC,カーボンファイバー,カーボンナノチューブなどのカーボン系列の物質や、モリブデン、タングステン、チタン、ニオブ、タンタル、クロムなどの金属微粒子、シリコンなどの半導体物質などから成る群から選択される少なくとも1種類の材料から成る。中でも、アスペクト比が大きく電界集中が起こりやすいカーボンナノチューブ、カーボンファイバーなどが好ましく、さらに好ましくはカーボンナノチューブである。用いるカーボンナノチューブは1〜100nmの直径を有しており、好ましくは1〜10nmの直径であり、さらに好ましくは1〜5nmの直径を有するカーボンナノチューブを用いる。また、用いるカーボンナノチューブは、一層からなる単層カーボンナノチューブと二層以上の層数からなる多層カーボンナノチューブを使用でき、好ましくは単層から10層のカーボンナノチューブを用い、さらに好ましくは二層から七層のカーボンナノチューブを用いる。上記電界放出源は、本発明で使用する液体に対して、0.0001〜30重量部含まれた組成とすることが好ましく、さらに好ましくは0.001〜10重量部含まれた組成とする。
本発明で使用する有機添加剤を含む液体には、バインダー、感光性樹脂、開始剤などを含むものが好ましい。前記バインダーとしては、カルボキシル基を有する化合物と、ヒドロキシル基を有する化合物と、カルボニル基を有する化合物と、前記カルボキシル基又はヒドロキシル基を除く酸性の官能基を有する化合物と、エステル化合物のうち少なくとも1つを含有する物質が好ましく、さらに好ましくはヒドロキシル基を有する化合物である。バインダーの液体中含有量は、液体全体に対して10〜90重量部であり、好ましくは40〜60重量部である。
感光性樹脂としては、紫外線、X線、電子線などの光照射により、溶解度、接着性、軟化点などの物理的、化学的性質の変化を示す樹脂を用いることができ、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ノボラック樹脂等がある。感光性樹脂の液体中含有量は、液体全体に対して10〜90重量部であり、好ましくは20〜60重量部である。
開始剤としては、熱分解性のアクリル酸化合物、ベンゾフェノン類化合物、アセトフェノン類化合物のモノマーなどを使用することができ、好ましくはアクリル酸化合物を使用する。開始剤の液体中含有量は、液体全体に対して1〜80重量部であり、好ましくは1〜50重量部である。
本発明で使用する電界放出源を分散させた液体には、電界放出源への効果的な電流供給のための導電物質が含まれていることが好ましい。導電物質としては金属や金属酸化物があり、金属としては、銀、銅、金、チタン、モリブデン、タングステン、ニオブ、クロム、アルミニウム等が使用でき、金属酸化物としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化アンチモン錫が使用できる。好ましくは、高温空気下焼成においても導電性が維持でき、且つ汎用性の高い、銀や酸化インジウム錫を用いることが好ましい。上記金属及び金属酸化物の粒径は10μm以下であり、好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。また、上記金属及び金属酸化物の液体中含有量は0.1〜90重量部であり、好ましくは10〜70重量部であり、さらに好ましくは30〜50重量部である。
本発明で使用する電界放出源を分散させた液体には、上記カソード電極に電界放出源を固着可能するためのガラスフリット及び低融点金属等の粒子が含まれていることが好ましい。前記低融点金属は、インジウム、錫、鉛、亜鉛等を用いることができ、好ましくは融点が低いインジウムを用いる。前記ガラスフリット及び低融点金属粒子は、それぞれ液体に対して1〜500重量部含み、好ましくは1〜100重量部含む。
本発明で使用する電界放出源を分散させた液体の粘度調整用の有機溶媒としては、テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、トルエン、テキサノールを使用するのが好ましく、より好ましくはテルピネオールを用いる。上記有機溶媒の液体中含有量は、液体全体に対して1〜30重量部であり、好ましくは10〜20重量部である。
有機添加剤を含む液体としては、例えば、カーボンナノチューブ0.1〜10重量部、バインダー40〜60重量部、感光性樹脂20〜40重量部、ガラスフリット10〜50重量部の組成で、上記測定法により測定された粘度が1万〜10万cpsになるように有機溶媒を添加したものが好ましい。
本発明の塗布方法は、空気又は不活性ガス雰囲気下で行われるのが好ましく、不活性ガスとは窒素、アルゴン、ネオン、キセノンを示し、さらに好ましくはアルゴン雰囲気下で行う。
本発明の塗布方法は、所定の圧力条件下で行うことが好ましい。所定の圧力条件とは、大気圧101.325kPa未満の状態を示し、バラトロン、ピラニーゲージ及びイオンゲージ等の真空度測定装置により真空度を測定できる。所望の真空度を達成するためには、ロータリーポンプ、ディフュージョンポンプ及びターボ分子ポンプ等の真空排気装置にて低圧状態をつくり、維持する。本発明で使用する低圧条件は、1Paから1×10−8Paの真空度が好ましく、1×10−4Paから1×10−8Paの低圧条件がさらに好ましい。
上記液体を乾燥又は固化させる温度条件としては、使用する溶媒や樹脂の気化・分解温度に適合させ室温から800℃の範囲で行うことができる。上記電界放出物質としてCNTを用い、且つ空気雰囲気下で乾燥又は固化する際は、室温から700℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは室温から500℃の範囲とする。
本研究で用いる感光性樹脂とは、光照射により溶解度、接着性、軟化点などの物理的、化学的性質の変化を示す樹脂である。光源としては紫外線、X線、電子線等を用い、使用する樹脂により使い分ける。
上記液体を固化又は乾燥中に印加する電界は、アノード電極及び/又はゲート電極からカソード電極方向に0.1〜10V/μmとなるように調節し、好ましくは1〜5V/μmとなるように調節する。
電子を放出する電界放出源として用いられるカーボンナノチューブを主成分とするカーボンナノチューブ組成物は、以下の要件を満たしているものが好ましく使用できる。
すなわち、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、30本以上が10層以下のカーボンナノチューブである。その測定方法は、例えば、透過型電子顕微鏡で100万倍で観察し、150nm四方の視野の中で視野面積の10%以上がカーボンナノチューブで、かつ複数の視野中から任意に抽出した100本のカーボンナノチューブ中の30本以上が10層以下のカーボンナノチューブであり、上記測定を10箇所について行った平均値で評価する。
さらに本発明では、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の10層以下のカーボンナノチューブ中、30本以上が2層カーボンナノチューブである。その測定方法は、例えば、透過型電子顕微鏡で100万倍で観察し、複数の視野中から任意に抽出した100本の10層以下のカーボンナノチューブ中の30本以上が2層カーボンナノチューブであり、上記測定を10箇所について行った平均値で評価する。
また、本発明では、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の2層カーボンナノチューブ中、80本以上がその外径が1.5から4.0nmの範囲内にある。その測定方法は、例えば、透過型電子顕微鏡で100万倍で観察し、複数の視野中から任意に抽出した100本の2層カーボンナノチューブの外径を測定し、80本以上がその外径が1.5から4.0nmの範囲内にあり、上記測定を10箇所について行った平均値で評価する。また、本発明では、下記(1)〜(5)の要件全てを満たしているカーボンナノチューブ含有組成物を使用することが特に好ましい。
(1)過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、30本以上が10層以下のカーボンナノチューブであること。
(2)過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の10層以下のカーボンナノチューブ中、30本以上が2層カーボンナノチューブであること。
(3) 透過型電子顕微鏡で任意に選択した2層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が100nm以上であること。
(4) 共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であること。
(5) 元素分析による金属含有率が1重量%以下であること。
ここで、2層カーボンナノチューブ中の屈曲部とは、カーボンナノチューブのグラファイト構造中に炭素5員環と7員環が存在することによる屈曲を言い、高分解能透過型電子顕微鏡写真で図15の通りカーボンナノチューブが折れ曲がって観察される部分のことを言う。本発明で用いられる2層カーボンナノチューブでは、高分解能透過型電子顕微鏡で選んだ任意の2層カーボンナノチューブについて屈曲部から屈曲部までの距離の平均を求め、それを10本以上の2層カーボンナノチューブについて平均した結果が、100nm以上である。屈曲部から屈曲部までの距離が長ければ長いほど、2層カーボンナノチューブの直線性は向上し、導電性、熱伝導性が高い2層カーボンナノチューブとなる。屈曲部間距離は長いほど好ましいため、300nm以上がより好ましく、500nm以上がさらに好ましく、1μm以上が最も好ましい。
また、本発明で電界放出物質として用いられる2層カーボンナノチューブ含有組成物は、ラマン分光法により評価が可能である。ラマンスペクトルにおいて1590cm−1付近に見られるラマンシフトはグラファイト由来のGバンドと呼ばれ、1350cm−1付近に見られるラマンシフトはアモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンドと呼ばれる。このG/D比が高いほどグラファイト化度が高く、高品質なカーボンナノチューブを意味する。本発明にある2層カーボンナノチューブは、そのG/D比が10以上である。より好ましくは15以上、最も好ましくは20以上である。
また、本発明で電界放出物質として用いられるカーボンナノチューブ含有組成物は、元素分析による金属含有率が1重量%以下であるものが好ましい。金属含有率は低いほど好ましく、より好ましくは0.5重量%以下、最も好ましくは0.1重量%以下である。
上記のようなカーボンナノチューブを主成分とするカーボンナノチューブ組成物を電界放出源として用いることにより、上記塗布方法において、液体を乾燥及び固化させる際に、印加する電界が小さく済むため、高電圧を印加させることが必要ない。また、前記カーボンナノチューブ組成物を電界放出物質として製造された電界放出素子は、容易に電子を放出するため、低電圧で大電流を得られる。
本発明では、このようなカーボンナノチューブ組成物を電界放出物質として使用するが、このようなカーボンナノチューブ組成物を使用して基板に塗布した電界放出素子はカーボンナノチューブがゲート電極および/またはアノード電極方向に配向していることが特徴である。ここでいう配向とは、カーボンナノチューブが電極に対してほぼ垂直方向に向いている状態をいう。
電界放出素子において、カーボンナノチューブの配向の程度は、電子顕微鏡により確認できる。例えば、透過型電子顕微鏡で10万倍の倍率で観察し、任意に選択したカーボンナノチューブ100本のうち50本以上の先端100nmの部分が、カソード電極に対して45°以上135°以下の角度を有しているとき、配向しているといえる。
上記電界放出源の塗布方法は、電界放出型ディスプレイ(FED)の電界放出素子製造工程における電界放出物質層形成の部分において利用できる。本発明の塗布方法を用いることにより、低電圧で電子を放出し且つ大電流値が得られ、安定性の高い電界放出素子を製造できる。
以下、図2乃至図14を用いて、本発明の好ましい態様を説明する。図2乃至図8は、CNTを電子源とした電界放出素子の製造方法及び前記電界放出素子を使用した発光型表示器を説明するための部分的な断面図である。尚、以下の説明及び添付図において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付することにより、重複説明を省略する。
(基板上に電界放出物質を塗布する場合の好ましい態様)
図2は、基板100上にカソード電極101を形成した電極基板の断面図を示している。先ず、ソーダライムガラスからなる絶縁基板100上に、酸化インジウム錫(ITO)を蒸着及びフォトリソグラフィ法によりパターニングし、カソード電極101を形成する。
図3に示すように、カソード電極101の上に、感光性樹脂(図示なし)、カーボンナノチューブ1041、銀粒子1042、ガラスフリット1043を含むペーストをスクリーン印刷法により塗布し、電子放出物質層104を形成する。本発明は、この電子放出物質層104の形成方法について限定するものではなく、前記したような従来公知の各種の形成方法を適宜用いることができる。
図4に示すように、感光性樹脂を含む前記電子放出物質層をフォトリソグラフィ法により所望のパターニングを行う。露光は所望のパターニングを有するマスクを通して紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、図5のように他の部分を除去する。
図6に示すように、カソード電極101に対して略平行に1mmだけ離間させて電界印加用のアルミニウムからなるアノード電極105を配置する。次に、系全体をアルゴンガスで置換した後、ロータリーポンプとターボ分子ポンプから成るポンプユニット106により真空排気を行い、1×10−5Paまで減圧する。アノード電極105を正電位として、アノード電極105とカソード電極101との間に、カソード電極に対して略垂直な方向に5kVの電圧を印加して、カーボンナノチューブ1041を略垂直方向に配向させると共に、基板を加温し120℃で10分間液体を乾燥させ、溶媒を気化させる。
図7に示すように、低圧状態、電圧印加を保持した状態で、基板をさらに昇温し、430℃でガラスフリットを溶融させる。溶融したガラスを降温して固化させることにより、CNT及び銀粒子とを相互接着させ、カソード電極に固着させる。
以上の工程により、カソード電極上に基板に対して垂直方向或いは垂直に近い方向に配向したCNTから成る膜が形成される。
(ゲート絶縁層にホールを有する場合の好ましい態様)
本発明の塗布方法を電界放出素子に適用した場合の上記実施例における図2に示されたカソード電極上に、図8に示されたように、前記カソード電極101上にゲート絶縁層102を形成する。酸化ケイ素から成るゲート絶縁層102はスクリーン印刷法により形成され、カソード電極101が部分的に露出されるホール102Aを有する。
図9に示されたように、前記ゲート絶縁層102上にゲート電極103を形成する。このゲート電極103は、ホール102Aに対応するゲートホール103Aを有しており、銀ペーストのスクリーン印刷により形成される。
図2、図8及び図9に示す製造工程は従来公知のものであり、本発明では、種々の形態に適宜変形して適用することが可能である。以下に示す製造工程は、前記した図2、図8及び図9に示す製造工程に続くものであり、本発明を特徴づける工程を含む。
図10に示すように、前記ホール102A及びゲートホール103Aの底部に露出したカソード電極101の上に、感光性樹脂(図示なし)、カーボンナノチューブ1041、銀粒子1042、ガラスフリット1043を含むペーストをスクリーン印刷法により塗布し、電子放出物質層104を形成する。本発明は、この電子放出物質層104の形成方法について限定するものではなく、前記したような従来公知の各種の形成方法を適宜用いることができる。
図11に示すように、感光性樹脂を含む前記電子放出物質層をフォトリソグラフィ法により所望のパターニングを行う。露光は所望のパターニングを有するマスクを通して紫外線を照射して樹脂を硬化させた後、図12のように他の部分を除去する。
図13に示すように、カソード電極101に対して略平行に1mmだけ離間させて電界印加用のアルミニウムからなるアノード電極105を配置する。次に、系全体をアルゴンガスで置換した後、ロータリーポンプとターボ分子ポンプから成るポンプユニット106により真空排気を行い、1×10−5Paまで減圧する。アノード電極105を正電位として、アノード電極105とカソード電極101との間に、カソード電極に対して略垂直な方向に5kVの電圧を印加して、カーボンナノチューブ1041を略垂直方向に配向させると共に、基板を加温し120℃で10分間液体を乾燥させ、溶媒を気化させる。
図7に示すように、低圧状態、電圧印加を保持した状態で、基板をさらに昇温し、430℃でガラスフリットを溶融させる。溶融したガラスを降温して固化させることにより、CNT及び銀粒子とを相互接着させ、カソード電極に固着させる。
以上の工程により、カソード電極上に基板に対して垂直方向或いは垂直に近い方向に配向したCNTから成る膜が形成される。
本発明は図面に示された実施例を参考に説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者であれば、これより多様な変形及び均等な他の実施例が可能であることが理解できるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲に限って定められなければならない。
(カーボンナノチューブの物性分析)
本実施例で使用するカーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で観察したところ、図16に示すように、カーボンナノチューブはきれいなグラファイト層で構成されており、層数が10層以下のカーボンナノチューブが50%以上であった。カーボンナノチューブ以外の炭素不純物(フラーレン、ナノパーティクル、アモルファスカーボン等)はほとんど観察されなかった。
また、カーボンナノチューブを主成分とするカーボンナノチューブ含有組成物を共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)で測定し、G/D比を求めた結果、14と高品質2層カーボンナノチューブであることがわかった
上記カーボンナノチューブを用いて下記のように基板に塗布するため、得られる素子に含まれるCNTについても同様の特性を持っている。
(電界放出物質と有機添加剤を含む液体の調整)
電界放出物質として、特開2004−352512号実施例に記載の方法で得たカーボンナノチューブを30mg量りとり、溶媒としてテルピネオール(和光純薬工業)に10cpのエチルセルロース15重量部となるように混合し、前記カーボンナノチューブをこれに加え、電界放出物質を含む液体を20g調製した。
(基板への塗布)
厚さ2.8mmのソーダガラスにITOをスパッタ法により塗布した基板をカソード電極として、電極上にスクリーン印刷法で上記液体を塗布した。塗布する際は大気雰囲気下で行った。
(液体の固化)
上記液体を塗布したカソード電極に対して、SUS304から成るアノード電極を平行に1mm離して設置し、カソード電極側からアノード電極側に5kVの電圧を印加しながら450℃、圧力1×10−5Paの条件で、20分間液体を固化した。
(電界放出素子の観察)
得られた電界放出素子について、断面から走査型電子顕微鏡で観察したところ、カソード電極及び基板に対して、先端100nmが45°以上の角度でアノード電極方向に配向しているカーボンナノチューブが50本以上であった。
(電界放出素子の性能評価)
厚さ2.8mmのソーダガラスにITOをスパッタ法により塗布してアノード電極を作製する。CRT用緑色蛍光体P22(化成オプトニクス)のペーストを作成後、アノード電極上にスクリーン印刷法で上記ペーストを塗布し、大気雰囲気下で乾燥及び焼成を行い、蛍光板を作製した。カソード電極とアノード電極との間に300μmのジルコニアビーズ(トレセラム、東レ株式会社)をギャップとして配置し、真空チャンバー中で両電極を固定した。真空チャンバー内をベーキングにより1.0×10−5Paまで減圧し、アノード電極側にプラスの電圧を1000V印加した。電流値は0.1mA/cm以上を達成し、発光点も多数観察された。
<比較例>
上記実施例と同様に、CNTペーストを基板に塗布した後、電界の印加をせずに大気圧下で焼成した。得られた電界放出素子について、断面から走査型電子顕微鏡で観察したところ、カソード電極及び基板に対して、先端100nmが45°以上の角度でアノード電極方向に配向しているカーボンナノチューブは10本未満であった。また、電界放出素子の性能評価を行ったが、電流値は低く、発光点も数点しか観察されなかった。
以上記載したように、本発明は、電子を電界放出する物質と有機添加剤を含む液体を基板に塗布し、電界を印加しながら乾燥又は固化することを特徴とする電界放出物質の塗布方法である。本発明記載の塗布方法を用いて得られた電界放出素子では、電界放出源がカソード電極に対して垂直方向或いはこれに近い方向に傾斜して配向し且つカソード電極に確実に固着しているので、低電圧で高効率な電子放出を可能にすると共に、素子の寿命が延命する効果が得られる。
前記本発明による電界放出素子は、低電圧で均一性が高い等の電子放出特性の優れた電子放出源を提供することが可能であり、電子放出が要求する素子、例えば、ディスプレイ素子に適用することができる。
従来のカーボンナノチューブを用いた電界放出素子の概略的な垂直断面図である。 電極基板の断面図である。 カソード電極上にCNT、銀粒子、ガラスフリット、感光性樹脂を含むペーストを塗布した状態の断面図である。 CNT、銀粒子、ガラスフリット、感光性樹脂を含む電子放出物質層にマスクを通して紫外線を照射する際の略図である。 感光性樹脂の未硬化部分を除去した状態を示す図である。 真空チャンバー内で電界を印加し、電界放出物質層内のCNTがアノード電極方向に配向した状態を示す図である。 真空チャンバー内で減圧後電界を印加し、電界放出物質層内のCNTがアノード電極方向に配向した状態で、電界放出物質層を乾燥・固化させた状態を示す図である。 カソード電極基板上にホールを有するゲート絶縁層を形成した図である。 カソード電極基板上にホールに対応したゲートホールを有するゲート電極を形成した図である。 カソード電極、ゲート絶縁層、ゲート電極が順に積層された基板上に、CNT、銀粒子、ガラスフリット、感光性樹脂を含むペーストを塗布した状態の断面図である。 CNT、銀粒子、ガラスフリット、感光性樹脂を含む電子放出物質層にマスクを通して紫外線を照射する際の略図である。 感光性樹脂の未硬化部分を除去した状態を示す図である。 真空チャンバー内で減圧後電界を印加し、電界放出物質層内のCNTがアノード電極又は/及びゲート電極方向に配向した状態を示す図である。 真空チャンバー内で減圧後電界を印加し、電界放出物質層内のCNTがアノード電極又は/及びゲート電極方向に配向した状態で、電界放出物質層を乾燥・固化させた状態を示す図である。 カーボンナノチューブの屈曲部の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。 カーボンナノチューブ含有組成物の高分解能透過型電子顕微鏡写真図である。
符号の説明
11 背面板
12 陰極
13 ゲート絶縁層
13A ホール
14 ゲート電極
14A ゲートホール
15 エミッタ層
21 前面板
22 陽極
23 蛍光体
100 絶縁基板
101 カソード電極
102 ゲート絶縁層
102A ホール
103 ゲート電極
103A ゲートホール
104 電界放出物質層
1041 カーボンナノチューブ
1042 銀粒子
1043 ガラスフリット
105 マスク
106 アノード電極
107 ポンプユニット

Claims (17)

  1. 電子を電界放出する物質と有機添加剤を含む液体を基板に塗布し、電界を印加しながら乾燥又は固化することを特徴とする電界放出物質の塗布方法。
  2. 前記電子を電界放出する物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の電界放出物質の塗布方法。
  3. 前記カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本のカーボンナノチューブ中、30本以上が10層以下のカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1又は2記載の電界放出物質の塗布方法。
  4. 前記カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の10層以下のカーボンナノチューブ中、30本以上が2層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  5. 前記2層カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本の2層カーボンナノチューブ中、80本以上がその外径が1.5から4.0nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  6. 前記2層カーボンナノチューブが、透過型電子顕微鏡で任意に選択した2層カーボンナノチューブ中の屈曲部間距離の平均が100nm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  7. 前記2層カーボンナノチューブが、共鳴ラマン散乱測定により、1560〜1600cm−1の範囲内で最大のピーク強度をG、1310〜1350cm−1の範囲内で最大のピーク強度をDとしたとき、G/Dの比が10以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  8. 前記カーボンナノチューブ含有組成物が、元素分析による金属含有率が1重量%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  9. 前記乾燥または固化は、60〜800℃で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  10. 前記乾燥または固化は、空気又は不活性ガスを含む雰囲気で行われることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  11. 前記乾燥または固化は、1Pa〜1×10−8Pの圧力条件下で行われることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  12. 前記電界は、基板に相対するアノード電極から、カソード電極となる基板の方向に0.1〜10V/μmとなるように印加することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  13. 基板が、背面基板上にカソード電極、カソード電極を一部露出させるホールを有するゲート絶縁層、前記ホールに対応するゲートホールを有するゲート電極が順に積層され、前記ホール及びゲートホールを通してカソード電極が部分的に露出した基板であり、電界を、前記カソード電極に対して略垂直方向に印加することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  14. 前記電界は、ゲート電極および/又はアノード電極からカソード電極方向に0.1〜10V/μmとなるように印加することを特徴とする請求項13記載の電界放出物質の塗布方法。
  15. 電子を電界放出する物質と有機添加剤を含む液体を基板に塗布し、電界を印加しながら溶媒を乾燥させ、フォトリソグラフィ法により所定のパターニングを有する電界放出物質層を形成した後、電界を印加しながら前記電界放出物質層を固化することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の電界放出物質の塗布方法。
  16. 背面基板上にカソード電極、カソード電極を一部露出させるホールを有するゲート絶縁層、前記ホールに対応するゲートホールを有するゲート電極が順に積層され、前記ホール及びゲートホールを通してカソード電極が部分的に露出した基板上に、透過型電子顕微鏡で任意に選択した100本中50本以上のカーボンナノチューブの先端100nmの部分が、前記カソード電極に対して45°〜135°の角度を有して前記ゲート電極及び/又はアノード電極方向に配向していることを特徴とする電界放出素子。
  17. 請求項1から15のいずれか1項の方法で電界放出物質を塗布した基板または請求項16記載の電界放出素子を備えたことを特徴とする蛍光表示ディスプレイ。
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