JP3581296B2 - 冷陰極及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷陰極ランプ、蛍光表示管、液晶デバイス用のバックライト、フィールドエミッションディスプレイ等に用いられる冷陰極及びその製造方法に関し、詳細には、大画面フィールドエミッションディスプレイに用いられる、大面積冷陰極を形成可能な構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷陰極を用いたフラットパネルディスプレイ(FPD)として、フィールドエミッションディスプレイ(FED)が精力的に研究、開発されている。このFEDは、その原理がCRTと同様の電子励起発光であることから、CRTと同等、又は、それ以上の高画質を有するFPDとして大きな期待が持たれている。このようなFEDに用いられる従来の冷陰極は、スピント型エミッタと呼ばれる、モリブデン等の高融点金属材料から形成される、コーン状の金属エミッタである。
【0003】
一方、円筒状に巻いたグラファイト層が入れ子状になった形状を有するカーボンナノチューブ(CNT)が飯島ら(S.Iijima,Nature,354,56.1991)によって発見され、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン等と同様に、炭素系の電子デバイス材料として期待されている。
【0004】
このようなCNTを用いた電子デバイスとしては、例えば特開平10−12124号公報、WO99/25652等で開示されたものがある。従来のCNTを用いた電子デバイスの一例として、特開平10−12124号公報に記載の冷陰極構造について説明する。
【0005】
図6は、従来のカーボンナノチューブを用いた冷陰極構造を示す図である。図6に示すように、ガラス基板100上にアルミニウム層101を介してアルミナの陽極酸化皮膜102を有し、この陽極酸化皮膜102の細孔103中にCVD法でCNTを選択成長させることで、3極管構成の電界放出電子源104を形成している。このようにCNTを秩序高い細孔中に充填することにより、エミッション電流の時間的な安定性を確保する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の高融点金属材料で構成されるスピント型エミッタを用いたFEDは、動作駆動電圧が高く、動作真空度が高く、またイオン衝撃耐性が弱いため、エミッション特性、信頼性の確保が課題であった。
【0007】
また、従来のスピント型金属エミッタを用いたFEDは、エミッタ形状バラツキ制御が困難であり、均一性、再現性、安定性の確保が課題であった。また、20インチを越えるようなパネルサイズのFEDの構築は、蒸着等の真空装置に制約があり、事実上不可能であった。
【0008】
更に、従来の炭素系材料、特にCNTを用いたFEDは、動作駆動電圧、動作真空度が低減され、イオン衝撃耐性が強いものの、電子放出領域のパターニングが難しかった。また、配向制御が十分にできないため、エミッション電流の均一性が課題であった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、動作駆動電圧、動作真空度が低減可能な電界放出電子源を配向制御することができ、所望の形状にパターニングできる大面積冷陰極構造の構築を可能にする冷陰極及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷陰極は、カソード電極上に電子放出領域が形成された冷陰極において、多数の電界放出電子源と、前記多数の電界放出電子源を分散して、それぞれを電気的に絶縁する絶縁材料とからなる二次元的な平面構造を有する複合体微粒子を有し、前記複合体微粒子の電界放出電子源が接着層を介して電気的に前記カソード電極に接続され、前記複合体微粒子の被覆により前記電子放出領域が形成される構造を特徴とするものであることで、電子放出領域をパターニングして、大面積デバイスが構築可能になる。
【0011】
また、前記複合体微粒子は、二次元的な平面構造の一方の面から他方の面へ貫通する多数の貫通孔を有する絶縁材料と、前記貫通孔に充填された電界放出電子源とからなることで、電界放出電子が高密度に、高配向制御することが可能になる。
【0012】
また、好ましい具体的な態様としては、前記電子放出材料が、コバルト、ニッケル、すず、タングステン、銀、テルル、セレン、マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、クロム、鉄等の金属材料のいずれかを含有するものであることで、微細な先端形状を有する電界放出微粒子の形状バラツキを低減可能にし、デバイス面内及び電子放出領域内のエミッション電流の均一性が向上可能になる。
【0013】
また、好ましい具体的な態様としては、前記電子放出材料が、カーボンナノチューブ、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン、グラファイト等の炭素材料のいずれかを含有するものであることで、動作駆動電圧、動作真空度が低減し、イオン衝撃耐性が優れると共に、電子放出材料を所望の形状にパターニングして、配向制御が可能になる。
また、前記絶縁材料が、アルミナであることで、自発的に細孔が形成され、半導体プロセスで用いられるような微細加工技術を不要にし、製造コストが低減可能になる。
【0014】
本発明の冷陰極の製造方法は、支持基板上にカソード電極を形成する工程と、前記カソード電極上に接着層を形成する工程と、前記接着層上に多数の電子放出電子源と、前記多数の電界放出電子源を分散して、それぞれを電気的に絶縁する絶縁材料とからなる二次元的な平面構造を有する複合体微粒子を散布する工程と、前記複合体微粒子を前記カソード電極上に固着する工程と、ゲート絶縁層及びゲート電極を形成する工程と、を含むことを特徴とするもので、大面積デバイス構築可能な冷陰極を製造することができる。
【0015】
また、前記複合体微粒子は、金属材料を電解研磨する工程と、前記電解研磨した金属材料上に酸化皮膜を形成する工程と、前記酸化皮膜を前記金属材料から剥離する工程と、前記剥離した酸化皮膜に電子放出材料を充填する工程と、前記酸化皮膜の表面部分を除去して前記電子放出材料を露出する工程と、前記電子放出材料が露出した酸化皮膜を破砕する工程と、を経て製造することで、半導体プロセスで用いられるような微細加工技術を不要にし、製造コスト低減可能な冷陰極の製造方法を提供する。
【0016】
また、前記剥離した酸化皮膜に電子放出材料を充填する工程が、金属材料の電気化学的堆積法、又は、炭素材料の気相炭素化法であることで、金属材料の電気化学的堆積法を用いた場合には、微細な先端形状を有する電界放出微粒子の形状バラツキを低減可能にし、デバイス面内及び電子放出領域内のエミッション電流の均一性を向上可能な冷陰極の製造方法を提供できる。また、炭素材料の気相炭素化法を用いた場合には、動作駆動電圧、動作真空度が低減し、イオン衝撃耐性が優れる冷陰極のパターニング、配向制御可能な製造方法を提供できる。
また、前記接着層上に電子放出材料を含有する複合体の微粒子を散布する工程が、乾燥した窒素ガス、又は、空気を用いて散布されることで、大面積を均一に散布可能な冷陰極の製造方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態の冷陰極構造の斜視図であり、図2は、本実施の形態の電子放出材料と絶縁材料とからなる複合体の微粒子の斜視図である。本実施の形態の冷陰極線構造は、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDという)に適用した例である。このようなFEDの基本構成は、冷陰極ランプ、液晶デバイスのバックライト、及び蛍光表示管と同様である。すなわち、冷陰極ランプは電子放出領域(画素)をアドレスする必要がなく、ゲート電極及びカソード電極が単純な平板でよい。また、液晶デバイスのバックライト及びFEDはゲート電極及びカソード電極をラインに分割してアドレスする必要があると共に、FEDはゲート電極とカソード電極を直交するように配設する。更に、蛍光表示管はセグメントに対応したゲート電極及びカソード電極を配設する。本発明の冷陰極線構造は、これらすべての電子デバイスに利用可能である。
【0018】
図1において、1はバックプレートの背面側より、フェイスプレートを支持する支持基板であり、支持基板1上にカソード電極(配線)2が形成される。支持基板1は、ガラス基板、セラミック基板等が用いられる。支持基板1としては、これらに限定されるものではなく、真空環境でのデガス、真空封止の際のベークに対する基板ダメージにそれぞれ問題ないようであれば、自由に選択できる。また、従来の気相炭素化法で炭素材料の電子放出材料を形成する冷陰極の場合、プロセス温度が1000℃前後と高温度処理を必要とするため、支持基板にダメージを与えるが、本実施の形態の構成によれば、このような問題はない。
【0019】
カソード電極(配線)2は、材料を限定するものではなく、金、白金、銀、銅、クロム、アルミニウム等が用いられる。カソード電極(配線)2上には接着層3を形成する。この場合、接着層3とカソード電極(配線)2との層間に、電流制限するための抵抗層を挿入し、エミッションの均一性、信頼性を向上する構造を設けても構わない。接着層3は、電界放出電子源5と絶縁材料4とからなる複合体6を固着するためのものであり、一般にペーストとして知られている材料が用いられる。用いられるペーストとしては、低融点ガラスと有機化合物からなるバインダーを含有するものが好ましい。このようなペーストは、低融点ガラスをメルトすることにより、カソード電極(配線)2上に散布された複合体6を容易に固着する。
【0020】
電界放出電子源5(電子放出材料)と絶縁材料4とから構成される複合体6は、どのような材料の組合せでも構わない。複合体6が、例えば電界放出電子源5の微粒子のように、電界放出電子源5だけで構成されていても構わない。複合体6の形状は、以下に述べるような形状であることが好ましい。すなわち、複合体6中の絶縁材料4は、電界放出電子源5を分散して、それそれを電気的に絶縁するものであり、気相中で散布された場合、空気抵抗を十分受けられる構造であることが好ましい。空気抵抗を十分受けられる構造とは、二次元状の構造を示すものであり、このような構造を有することにより、表面方向を上下方向、厚さ方向を左右方向に向けた配向方向で、接着層3表面に散布される。
【0021】
図2は、このような二次元構造の複合体6を示す一例であり、本実施の形態を説明するために好ましい形状を有する。図2に示す複合体6の絶縁材料4は、例えばアルミナで形成する。アルミナはアルミニウムの陽極酸化で形成することが好ましく、陽極酸化により、数十nm程度の直径を有する微細な細孔が形成され、この細孔に電子放出材料を充填することにより、それぞれの電界放出電子源5が電気的に絶縁される。また、複合体6の形状は絶縁材料4で決定され、図2に示すように二次元的な形状を有する。このような絶縁材料4の形状はアルミナを破砕することで容易に形成される。例えば、一例としてカーボンナノチューブからなる電界放出電子源5とアルミナ陽極酸化膜からなる絶縁材料4とからなる複合体6の破砕について説明する。複合体6としては、電界放出電子源5の機械強度が絶縁材料4の機械強度よりも大きい組み合わせであれば、どのような組み合わせでも構わない。カーボンナノチューブとアルミナ陽極酸化膜からなる複合体6を破砕すると、アルミナ陽極酸化膜は容易に粉砕されるが、カーボンナノチューブはほとんど粉砕されなかった。粉砕は、数十μm程度の粒子を得るものであり、一般的に市販されている乳鉢(ボールミール)、スタンプミル、自動乳鉢を用いることができる。
【0022】
また、図2に示す複合体6は、細孔に電界放出電子源5を充填し、絶縁材料4表面を一部エッチング除去している。このようなエッチング除去によって電界放出電子源5の先端露出することにより、先端部の電界集中を高めている。
一方、電界放出電子源5は、絶縁材料4の空隙(アルミナを用いた場合、細孔)に充填され、絶縁材料4の厚さ方向に大きさを有する。すなわち、電界放出電子源5は、絶縁材料4の厚さ方向に配向制御されている。このような構造を有することが、本実施の形態で重要な意味を示すものであり、接着層3上に複合体6を散布することにより、自発的に垂直方向に配向制御した構造が形成でき、このような配向制御された構造は、1m角程度の支持基板上に対しても、均一性良く構築することができるようになる。電子放出材料としては、コバルト、ニッケル、すず、タングステン、銀、テルル、セレン、マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、クロム、鉄等の金属材料、又は、カーボンナノチューブ、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン、グラファイト等の炭素材料等が用いられる。
特に、カーボンナノチューブのように円筒形状を有する電界放出電子源5は、本実施の形態で説明する複合体形成に好都合な形状を有する。
【0023】
以上のような構造を構築することにより、カソード電極2とアノード電極により構成される、いわゆる2極管冷陰極構造が形成され、冷陰極ランプ等のXYアドレス不要のデバイスに適用できる。アノード電極とカソード電極(配線)2との間に、1V/μm程度の電界を印加すると、10mA/cm2程度のエミッション電流が観測され、アノード電極上に蛍光体を設けると、蛍光体が発光し、10000cd/m2程度の発光輝度が得られた。
【0024】
3極管冷陰極構造は、ゲート電極(配線)8と、ゲート電極(配線)8とカソード電極(配線)2とを電気的に絶縁するゲート絶縁層7を設けることにより、構築される。ゲート電極(配線)8と、カソード電極(配線)2とが直交する領域に、電子放出領域(画素)9を配設する。この電子放出領域(画素)9は、接着層3の形状に依存するものであり、任意に変更可能である。また、電子放出領域(画素)9には、電界放出電子源5を含有する複合体6が多数固着している。
【0025】
以上のような3極管冷陰極構造のデバイスを試作し、ビデオ信号を与え、画像表示を試みた。デバイスサイズは対角5インチ程度で、画素数は320×240である。静止画像表示、動画像表示を共に確認した。
次に、本実施の形態の冷陰極の製造方法を図3乃至図5の工程断面図に基づいて説明する。
【0026】
図3は絶縁材料4と電界放出電子源5との複合体6の製造方法を示す工程断面図であり、図4及び図5は本実施の形態の3極管冷陰極構造の製造方法を示す工程断面図である。
まず、図3(a)〜(c)を用い、複合体6の製造方法を説明する。
【0027】
図3(a)において、絶縁材料4と電界放出電子源5との複合体6を形成する。本実施の形態においては、絶縁材料4としてアルミナ陽極酸化膜を用い、電界放出電子源5としてカーボンナノチューブを用いた。図3(a)に示すように、アルミニウム地金(膜厚:0.5mm)を氷水浴中の20%硫酸溶液中、電圧:20Vで陽極酸化した。その後、10分間電極に逆電圧を印加し、アルミニウム地金表面に形成した陽極酸化膜4を剥離した。更に、前記硫酸溶液中に静置し、バリア層を除去した。このような陽極酸化膜4は、細孔径が約30nm程度、膜厚が約5μm程度であった。次に、気相炭素化法で陽極酸化膜4の細孔にカーボンナノチューブ5を形成する。原料ガスとしてプロピレンを用い、800℃で炭素化した。このような気相炭素化により、陽極酸化膜4の細孔にカーボンナノチューブ5が形成すると共に、陽極酸化膜4の表面にカーボン10が堆積した。
【0028】
次に、図3(b)において、陽極酸化膜4の表面に堆積したカーボン10を除去する。このような表面カーボン10は、RIE(反応性イオンエッチング)装置を用い、酸素プラズマエッチングで除去した。本実施の形態によれば、パワー:500W、圧力:10Pa、酸素流量:100sccmで、約10分程度で除去できた。表面カーボン10を除去すると、電界放出電子源5が露出すると共に、陽極酸化膜4の表面11が露出した。
【0029】
次に、図3(c)に示すように、陽極酸化膜4の表面11を除去し、電界放出電子源5の先端部分12を露出させる。陽極酸化膜4の表面11除去は、リン酸系エッチャント、アルカリエッチャント等を用いることができる。本実施の形態においては、アルカリエッチャントとして水酸化ナトリウム水溶液を用い、150℃で、2時間、カーボンナノチューブが形成したアルミナ陽極酸化膜を処理した。このような処理を行うと、カーボンナノチューブ5がアルミナ陽極酸化膜表面から露出した構造が得られ、このような構造を有する複合体6は、図4(c)で後述する工程で接着層3上に散布して固着され、冷陰極構造を形成するために用いられる。
【0030】
次に、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(b)を用い、本実施の形態の冷陰極構造の製造方法を説明する。
まず、図4(a)において、支持基板1上にカソード電極2を形成する。支持基板1は一般に市販されているガラス基板を用い、カソード電極2は、スクリーン印刷法を用い、300μmピッチのライン/スペースを形成して得た。カソード電極2材料には、銅を用いた。
【0031】
次に、図4(b)に示すように、カソード配線2上に接着層3を形成する。接着層3は、スクリーン印刷法を用い、カソード電極2の所望の位置に300×300μmのパターンを形成して得た。この接着層3は、電子放出領域(画素)の形状、配設位置にパターニングするものであり、当業者のデバイス設計により決められる。接着層3材料は、蛍光表示管に用いられるフリットガラス系のペースト材料を用いた。この接着層3材料は、真空中でデガスが少ないこと、デバイスを真空封止の際のベークに耐えられること等により選択されるものであり、一般に市販される銀ペーストでも使用可能である。
【0032】
次に、図4(c)に示すように、電界放出電子源5を含有する複合体6の微粒子をデバイス表面上に散布する。複合体6の微粒子は、図3(a)〜(c)で説明した複合体6を微粒子化して用いる。また、複合体6の微粒子の散布は、従来の液晶デバイスのスペーサー散布プロセスで行った。実験的に液相中で試みたが、気相中と比較すると、散布後の均一性が劣化していた。本実施の形態においては、複合体6を乳鉢で機械的に粉砕し、50μm程度(膜厚方向と垂直な長軸方向)の微粒子を得た。微粒子の粒径は、陽極酸化膜の膜厚と密接に関連する。すなわち、複合体6の形状は「木の葉」のような二次元的構造が好ましく、実験的に検証したところ、長軸方向の長さ(陽極酸化膜の膜厚方向と垂直、以下、単に長さという)と短軸方向の長さ(陽極酸化膜の膜厚方向と平行、以下、単に厚さという)との比が10以上であることが好ましい。
【0033】
この長さと厚さの比が10以上の場合、「木の葉」が地表に堆積するように、複合体6表面が接着層3に接触して堆積する。この場合、複合体6表面の表裏が対象なため、複合体6の表、裏は拘らない。複合体6の微粒子は、図4(c)に示すように接着層3上に多重に堆積する。
【0034】
次に、図5(a)に示すように、電界放出電子源5を含有する複合体6の微粒子を接着層3上に固着する。接着方法は接着層3のガラス成分の溶融で行い、400〜500℃程度の加熱を行った。このような加熱処理により、接着層3中のガラスが溶解し、冷却に伴う凝固で複合体6微粒子が接着層3に固着する。次に、多重に堆積した不要な微粒子を窒素ブロー等で除去することにより、1層に相当する微粒子のみをカソード電極2と電気的に接続した。
【0035】
最後に、図5(b)に示すように、ゲート電極8、ゲート絶縁層7を形成し、3極管冷陰極構造を製造する。電子放出領域(画素)9を開口部とし、ゲート電極8とゲート絶縁層7を形成する。ゲート電極8とゲート絶縁層7の形成は、スクリーン印刷法を用いて形成した。ゲート絶縁層としては、粒子が緻密なフリットガラスを用い、リブ形状を形成した。更に、ゲート電極8としては、ゲート絶縁層7上に、高融点金属、例えばニオブを形成した。なお、ゲート電極8の形成は、スクリーン印刷法、直接描画法で形成可能である。ゲート電極8材料としては、モリブデン、ニオブ等の従来から用いられている材料を用いることができる。
【0036】
このようにして本実施の形態の3極管冷陰極構造が製造されるが、本実施の形態の冷陰極構造の優れる点は、電界放出電子源5が多種多様な材料種に拡張可能であることである。すなわち、上述のような製造方法により、カーボンナノチューブだけではなく、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン、グラファイト等の炭素材料からなる電界放出電子源5が形成できる。
【0037】
また、陽極酸化膜4の細孔への電界放出電子源5の充填方法を電気化学的堆積法、すなわち電解メッキ法で行うと、炭素材料以外に金属材料からなる電界放出電子源5が得られた。具体的には、コバルト、ニッケル、すず、タングステン、銀、テルル、セレン、マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、クロム、鉄等の金属材料が電解メッキ可能であり、3極管冷陰極構造の形成が可能であった。
【0038】
以上に説明したように、本実施の形態の冷陰極構造は、電界放出電子源5と電界放出電子源5を電気的に絶縁する絶縁材料4とからなる二次元的な平面構造を有する複合体6と、複合体6の電界放出電子源5が接着層3を介して電気的に接続されたカソード電極2とを有し、電子放出領域9が複合体6の被覆により形成される。また、複合体6は、絶縁材料4に細孔を設け、この細孔に電界放出電子源6を充填する。また、冷陰極の製造方法は、支持基板1上にカソード電極2を形成する工程と、カソード電極2上に接着層3を形成する工程と、接着層3上に電子放出材料を含有する複合体6の微粒子を散布する工程と、複合体6微粒子をカソード電極2上に固着する工程と、ゲート絶縁層及びゲート電極8を形成する工程と、を含むようにしたので、動作駆動電圧、動作真空度が低減可能な電界放出電子源を配向制御することができ、所望の形状にパターニングした冷陰極構造が可能になり、大面積冷陰極構造の構築が実現可能となる。
【0039】
また、電子放出材料がコバルト、ニッケル、すず、タングステン、銀、テルル、セレン、マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、クロム、鉄等の金属材料のいずれかを含有することにより、微細な先端形状を有する電界放出電子源の形状バラツキを低減することができ、デバイス面内及び電子放出領域内のエミッション電流の均一化した冷陰極構造を実現することができる。
【0040】
また、電子放出材料がカーボンナノチューブ、ダイアモンド、ダイアモンドライクカーボン、グラファイト等の炭素材料のいずれかを含有することにより、動作駆動電圧、動作真空度を低減することができ、イオン衝撃耐性が優れた冷陰極構造を実現することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1記載の発明によれば、電界放出電子源と絶縁材料からなる二次元構造の複合体微粒子を電子放出領域(画素)に被覆するように構成したので、大面積デバイスに展開可能な冷陰極構造を実現することができる。
【0042】
請求項2記載の発明によれば、複合体を形成する絶縁材料に細孔を形成すると共に、片面からもう一方の片側へ貫通する貫通孔とし、この貫通孔に電界放出電子源を充填する構成としたので、電界放出電子源形状が直線状に高集積化でき、高密度に、高配向制御された電界放出電子源を用いた冷陰極構造を実現することができる。
【0043】
請求項3記載の発明によれば、アルミナ陽極酸化膜を複合体の絶縁材料として用いているので、高密度に、高配向制御された電界放出電子源形成を実現可能にすると共に、半導体プロセスで用いられるような微細加工技術を不要にし、製造コスト低減可能な冷陰極構造を実現することができる。
【0044】
請求項4記載の発明によれば、支持基板上に形成したカソード電極上の接着層に対して、接着層上に電子放出材料を含有する複合体の微粒子を散布し、カソード電極上に固着する工程を含むことにより、大面積デバイス構築可能にした冷陰極構造の製造方法を実現することができる。
【0045】
請求項5記載の発明によれば、陽極酸化法で細孔を形成し、細孔に電界放出電子源を充填する工程を含むことにより、半導体プロセスで用いられるような微細加工技術を不要にし、製造コストを低減可能な冷陰極構造の製造方法を実現することができる。
【0046】
請求項6記載の発明によれば、剥離した酸化皮膜に電子放出材料を充填する工程が金属材料の電気化学的堆積法を含むことにより、微細な先端形状を有する電界放出微粒子の形状バラツキを低減可能にし、デバイス面内及び電子放出領域内のエミッション電流の均一性を向上可能な冷陰極構造の製造方法を実現することができる。また、剥離した酸化皮膜に電子放出材料を充填する工程が炭素材料の気相炭素化法を含むことにより、動作駆動電圧、動作真空度が低減し、イオン衝撃耐性が優れる冷陰極めパターニング、配向制御可能な製造方法を実現することができる。
【0047】
請求項7記載の発明によれば、接着層上に電子放出材料を含有する複合体の微粒子を散布する工程が、乾燥した窒素ガス、又は、空気中で散布されることにより、電界放出電子源の複合体微粒子を大面積に対して均一に散布可能な冷陰極構造の製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の冷陰極構造の斜視図である。
【図2】本実施の形態の電子放出材料と絶縁材料とからなる複合体の微粒子の斜視図である。
【図3】本実施の形態の絶縁材料と電界放出電子源との複合体の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】本実施の形態の3極管冷陰極構造の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】本実施の形態の3極管冷陰極構造の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】従来のカーボンナノチューブを用いた冷陰極の断面図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 カソード電極(配線)
3 接着層
4 複合体を形成する絶縁材料
5 電界放出電子源(電子放出材料)
6 電界放出電子源と絶縁材料からなる複合体
7 ゲート絶縁層
8 ゲート電極(配線)
9 電子放出領域(画素)
Claims (7)
- カソード電極上に電子放出領域が形成された冷陰極において、
多数の電界放出電子源と、前記多数の電界放出電子源を分散して、それぞれを電気的に絶縁する絶縁材料とからなる二次元的な平面構造を有する複合体微粒子を有し、
前記複合体微粒子の電界放出電子源が接着層を介して電気的に前記カソード電極に接続され、
前記複合体微粒子の被覆により前記電子放出領域が形成される構造を備えることを特徴とする冷陰極。 - 前記複合体微粒子は、二次元的な平面構造の一方の面から他方の面へ貫通する多数の貫通孔を有する絶縁材料と、前記貫通孔に充填された電界放出電子源とからなることを特徴とする請求項1記載の冷陰極。
- 前記絶縁材料が、アルミナであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の冷陰極。
- 支持基板上にカソード電極を形成する工程と、
前記カソード電極上に接着層を形成する工程と、
前記接着層上に多数の電子放出電子源と、前記多数の電界放出電子源を分散して、それぞれを電気的に絶縁する絶縁材料とからなる二次元的な平面構造を有する複合体微粒子を散布する工程と、
前記複合体微粒子を前記カソード電極上に固着する工程と、
ゲート絶縁層及びゲート電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする冷陰極の製造方法。 - 前記複合体微粒子は、金属材料を電解研磨する工程と、前記電解研磨した金属材料上に酸化皮膜を形成する工程と、前記酸化皮膜を前記金属材料から剥離する工程と、前記剥離した酸化皮膜に電子放出材料を充填する工程と、前記酸化皮膜の表面部分を除去して前記電子放出材料を露出する工程と、前記電子放出材料が露出した酸化皮膜を破砕する工程と、を経て製造することを特徴とする請求項4記載の冷陰極の製造方法。
- 前記剥離した酸化皮膜に電子放出材料を充填する工程が、金属材料の電気化学的堆積法、又は、炭素材料の気相炭素化法であることを特徴とする請求項5記載の冷陰極の製造方法。
- 前記接着層上に電子放出材料を含有する複合体の微粒子を散布する工程が、乾燥した窒素ガス、又は、空気を用いて散布されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の冷陰極の製造方法。
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