JP4760041B2 - 燃料電池用電解質膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アノード(燃料極)に有機燃料を供給しながら継続的に発電する燃料電池に使用する電解質膜およびその製造方法に関する。
モバイル機器向けの次世代電源として小型燃料電池が注目されており、その中では、ボンベや水素貯蔵合金を用いて水素を燃料とする、高分子電解質膜の両側にアノード(燃料極)およびカソードをそれぞれ接合した固体高分子形燃料電池(PEFC:P 01ymer Electrolyte Fuel Cell)と、メタノールやジメチルエーテルを改質せずに直接アノードに供給して発電する直接形メタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)が有望視されている。いずれも、動作温度が低いため小型化が可能な燃料電池であるからである。
上記DMFCにおいては、アノードでメタノールが水と反応し、生成されたプロトンが固体高分子電解質膜中を移動して、カソードで酸素および電子と結合して水になる。このとき外部回路に電流が取り出される。したがって、メタノールなどの有機燃料を水素リッチなガスに改質するための改質器や水素容器が不用であるためコンパクトであり、また起動が早く、負荷変動応答性も優れており、移動型電源として注目されている。
ここで、DMFCに使用される固体高分子電解質膜は、電解質としての役割と同時に燃料と空気を分離するセパレータとしての役割が求められている。すなわち固体高分子電解質膜には高いプロトン伝導性が求められるとともに、同時にメタノールの遮断性、すなわち燃料用メタノールのアノード側からカソード側への透過(クロスオーバー)の低減が求められている。
該DMFCでリチウムイオン充電池を上回るエネルギー密度を実現するため、つまり、少ない燃料で長時間駆動させるためには、高濃度のメタノールを使わなくてはいけない。しかし、高濃度のメタノールを使うと、電解質膜をメタノールが直接素通りしてしまうメタノールクロスオーバーが発生し、高い出力密度が得づらくなるという欠点がある。
低濃度な希薄メタノール溶液で長時間駆動を行うためには、燃料タンクを大きくしなければならないため、燃料電池の小型化が難しくなる。これを解決するために、高濃度メタノールを発電部に供給する段階で最適な濃度に自動的に希釈調節する方式(特許文献1参照)や高濃度のメタノールを徐々に気化させる方式が提案されている。後者の方式ではメタノールクロスオーバーが出力密度向上の最大のネックとなり、メタノールが素通りしにくい電解質膜が求められている。
電解質膜としては、一般的には、スルホン化されたポリフルオロオレフィン(デュポン社製、商品名ナフィオン)などの水和膜や酸ドープポリベンズイミダゾール(PBI)膜が知られているが、上記課題を解決するため、メタノールのクロスオーバーを抑制する固体高分子電解質膜および無機系プロトン電解質膜の開発が進められている。
例えば、特許文献2においては、イミダゾール環を有する高分子化合物に酸ドープした固体高分子電解質膜でクロスオーバーが抑制されることが開示されている。
また、特許文献3においては、より高いメタノール透過抑制機能を有するゲル状物質を膜状に形成した無機電解質層と、固体高分子電解質からなる層とを積層した電解質膜が開示されている。
また、特許文献4には、金属膜またはケイ素膜を陽極酸化することにより設けられた直径0.01〜150/μm貫通孔を有し、該貫通孔の内壁にプロトン伝導性の官能基を修飾した無機系電解質膜が提案されている。
特開2003−22830号公報 特開2000−38472号公報 特開2002−56857号公報 特開2004−47206号公報 応用物理,69,558(2000) Applied Physics Letters,71,2770 (1997) 資源環境技術総合研究所 NIREニュース http://www.aist.go.jp/NIRE/publica/news−2000/2000−01−3.htm
上記のように、アノード(燃料極)に有機燃料を供給しながら継続的に発電する燃料電池に使用する電解質膜において、一般的に用いられているスルホン化されたポリフルオロオレフィンなどの水和膜を電解質膜として用いる場合には、本質的に水分を必要とするため100°C以上、0°C以下で使用できないという問題があり、有機膜を使用することで電解質膜として強度が不足しているという問題もあり、また、DMFCにおけるメタノールのクロスオーバーの問題が存在する。
したがって、本発明の目的は、上記諸問題を解決した燃料電池用電解質膜およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、アノードおよびカソードにそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に、一端が閉塞した細孔が整列して形成され、その後、該細孔の閉塞している先端部を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔は酸素極側に貫通しており、かつ、該細孔内部を官能基で修飾してプロトン伝導が可能である無機電解質膜を用いることによって、プロトンだけが酸素極側に移動でき、燃料は、細孔を通過できない細孔径とすることで、燃料の対極へのクロスオーバーを確実に阻止できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、閉塞した細孔の先端部が化学的、あるいは物理的にエッチングすることによりカソード側に貫通しており、前記一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径が、0.1nmから0.5nm未満であり、かつ、該細孔内部を官能基で修飾してありプロトン伝導が可能であることを特徴とする燃料電池用電解質膜を提供する。
発明の第の発明は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜の製造方法であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜に、陽極酸化法で、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成され、得られた酸化膜を、最初印加した電圧と逆電圧を印加することで基板金属から剥離し、その後、該酸化膜の細孔の閉塞している先端部バリア層をエッチングすることにより該細孔がカソード側に貫通させ、前記一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径が、0.1nmから0.5nm未満とし、その後、該細孔内部を官能基で修飾してプロトン伝導性を保持させることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法を提供する。
本発明の第の発明は、先端部バリア層を化学的エッチングまたは、且つ、物理的エッチングを使用して除去することを特徴とする第の発明記載の燃料電池用電解質膜の製造方法を提供する。
本発明の燃料電池用電解質膜は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成され、その後、該細孔の閉塞している先端部を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔はカソード側に貫通しており、前記一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径が、0.1nmから0.5nm未満であり、かつ、該細孔内部を官能基で修飾してプロトン伝導が可能であり、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、無機電解質膜を用いることにより強度向上が図られ、燃料のクロスオーバーが無くなり、高濃度のメタノールが使える様になることから、電池の小型化が可能となり携帯機器への応用が現実的となり、同体積のリチウムイオン電池よりも発電容量が大きくなり、有用である。
本発明の燃料電池用電解質膜は、アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成され、その後、該細孔の閉塞している先端部を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔はカソード側に貫通しており、かつ、該細孔内部を官能基で修飾してプロトン伝導が可能である。
図1は燃料電池の断面概略図である。なお、以下の説明では1つのセルのみからなる単セルの燃料電池について説明するが、複数のセルからなる燃料電池についても本発明の思想は同様に適用できる。燃料電池のセルは電解質膜10の両側にアノード(燃料極)21およびカソード(酸素極、空気極)22をそれぞれ接合し、アノード21の、電解質膜とは反対側の側面にアノード側セパレータ31が配置され、カソード22の、電解質膜とは反対側の側面にカソード側セパレータ32が配置されている。
電解質膜10は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成され、その後、該細孔の閉塞している先端部を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔はカソード側に貫通しており、かつ、該細孔内部を官能基で修飾してプロトン伝導が可能である。
アノード21およびカソード22は、貴金属を担持したカーボン粉末とパーフルオロカーボンスルホン酸系樹脂とが混合されて、カーボンペーパ上に膜状に形成されたものである。アノード21には例えば、市販の白金−ルテニウム系触媒をカーボン粉末に担持させた触媒を用いており、カソード22には例えば、市販の白金系触媒をカーボン粉末に担持させた触媒を用いている。
アノード側セパレータ31には、アノード21と対向する面に燃料流路311が形成されており、この燃料流路311に燃料であるメタノール溶液が供給される。カソード側セパレータ32には、カソード22と対向する面に空気流路321が形成され、この空気流路321に酸化剤である空気が供給される。
次に、本発明の電解質膜10の製造方法について説明する。
本発明の電解質膜10は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成され、その後、該細孔の閉塞している先端部を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔はカソード側に貫通しており、かつ、該細孔内部を官能基で修飾してプロトン伝導が可能である。
薄膜としてアルミナ板を用いた場合を例として示す。
(1)陽極酸化
アルミニウム板を陽極に、陰極に例えばカーボンをつなぎ、両電極をシュウ酸等の酸につけた状態で、数Vから数十V程度の電圧を印加すると、アルミニウム板の表面の酸化が促進され、かつ、数十nm径の細孔が自己整列して板面に垂直にmm級の深さでも直線状に孔のあく現象がある(図2、図3および非特許文献1、非特許文献2参照)。
その後、電極を反対にして電圧を印加すると、アルミニウム部と細孔形成部との界面に水素ガスが発生し、酸化皮膜が金属面から容易にはがせる。
(2)エッチング
上記陽極酸化を行った時点では、細孔の先端部は数nmの厚みのバリア層で覆われており、貫通していない(図4で、バリア層を示す)。このままでは、プロトン伝導膜として使えないので、化学的、あるいは物理的にエッチングする必要がある。
物理的には、イオンを衝突させることで表面原子を飛ばしたり、あるいは、ラジカル発生によって表面での化学反応を一部含みながらも、表層部の原子、分子を飛散させる方法で、イオンミリング、イオン衝突、イオンスパッタリング、ドライエッチング、反応性イオンエッチング等々のものがある。あるいは、エキシマレーザ等の紫外線を照射することで、極表面部の原子を薄く飛ばすものも含まれる。
一方、化学的には、酸を用いて、表面部だけを溶かして除去することが可能である。ここでは、化学的なエッチングを用いた例を示す。酸処理(例えば、5wt%−HPO溶液 30°C)で、極短時間、エッチングを行い、バリア層を溶かし、閉塞した細孔の先端部を貫通させる。
上記一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径は、0.1nmから0.5nmであることが好ましい。穴径が0.1nmよりも小さいものは再現性良く作製することができず実用的でない。一方、穴径が0.5nmよりも大きくなると、燃料のクロスオーバーが多くなり改善が認められなくなってしまう。穴径は、作製された陽極酸化された薄膜のバリア層の厚さとエッチング時間によって制御される。
ここで、穴径については以下のような判断から定められる。
図9を参照すると、非特許文献3にあるように、通常の水のクラスタは、正12面体の各頂点20個に水分子があり、カゴの中にさらに1個のH0+イオンが入っている形をとっており、H(H20)21と表される。このクラスタの質量数は360である。
また、正12面体は、12個の5角形で構成されているが、5角形の1辺は、0−H−0の水素結合をしている。この1辺の長さは、通常、0.24nm程度といわれている。これより、クラスタ(正12面体)の外側の全表面積は、
S=12×5×k×tan(54)÷4
である。ここで、kは五角形の1辺の長さである。
これより、全表面積は、1.189nmとなる。また、クラスタの半径をRとすると、全表面積は、4πRともかけるから、上記の値と等しいとおくと、0.5nmよりも大きくなるとR=0.308nmと計算され、従って、水クラスタ球の直径は、0.615nmと見なせる。
水クラスタは、質量数360の場合が最も多いが、質量数300程度もかなり含まれている。300の場合のクラスタの大きさは、表面積比より上記の0.615nmの(300/360)1/2程度であると考えられる。つまり、直径が0.56nm程度となる。これより、プロトンは透過できるが、水クラスタ、メタノールクラスタが透過できないサイズは、0.5nm以下にすればよいと考えられる。
次に、メタノール水の場合のクラスタサイズは、メタノール水濃厚が10%以下の時は、ほとんど、水のクラスタの一部がメタノール分子に置換されたものであるから、水クラスタのサイズを目安としてよい。
陽極酸化した細孔の先端部は陽極酸化直後は閉じている。本発明では、その閉塞部の一部を化学的、あるいは物理的にエッチングして上記の、0.1nmから0.5nmの穴をあけることで、燃料のメタノールが透過せず、プロトンだけが透過する構造を利用したものである。特許文献4は、長さ方向に一様に貫通した穴をそのまま利用しようとするものであり、本発明のように、細孔の先端部が尻すぼみな構造になっているものを利用するというものとは異なるものである。また、本発明では、尻すぼみな構造の先端部穴径を、燃料であるメタノールは透過しない径にしているところが明確に異なっているのである。
(3)細孔面内の修飾
発明者は、陽極酸化を行なって得られた、秩序よく貫通した細孔が並ぶ薄膜の、該細孔面内にOH基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニア基等で修飾すると、特定の条件下で、プロトンが伝導することを以前見出している(特許文献4)。
例えば、アルミナ薄膜の場合、pH=略9を境にして、アニオン、カチオンを修飾することができる。pHが略9以上では、アルミナ膜表面はAlO2−に帯電し、pHが略9を下回る時は、Al3+に帯電する。従って、pHを略9以下にすれば、アルミナ表面にOH基をつけることができる。具体的には、イオン交換水に浸漬し、硝酸を添加してpHを4程度まで下げる。その後、イオン交換水中にアンモニア水を滴下し、pHを7まで戻し、イオン交換水を取り替えて、洗浄する。そうすることによって、アルミナ表面にOH基を修飾できる。しかし、これでは、穴径が数十nmと大きいため、メタンガス、メタノールの対極側への透過が少し見られた(クロスオーバー)。
そこで、今回は、上記のとおり、逆電圧を印加して、酸化膜と金属基板をはがした後、酸によるエッチング時間を制御して、被覆膜除去を0.1nmから0.5nm層までの範囲にすることで、プロトン以外の燃料等の分子構造をもったものの透過を防ぐことができる。
次に、セル100の動作について説明する。アノード側セパレータ31内に設けられている燃料流路311にメタノール溶液が供給され、カソード側セパレータ32内に設けられている空気流路321に空気が供給される。
アノード21においてメタノールが反応し、プロトンが電解質膜10中のイオン交換基を介してカソード22側に移動する。
カソード22においては、移動してきたプロトンと、カソード側セパレータ32内の空気流路321に供給されている空気が反応し水を生成する。
このとき、プロトンとともにアノード側からカソード側に拡散する未反応のメタノールは、電解質膜の細孔貫通穴を透過することは困難である。したがってクロスオーバーが抑制され、安定した出力を保つことが可能となる。なお、本実施形態においてはメタノールを燃料として使用するDMFCを想定しているが、有機燃料としてジメチルエーテルやエタノール等の低級アルコールを用いる燃料電池においても本発明は実施可能である。
以下、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
(実施例1)<酸処理時間と細孔径の関係>
1)陽極酸化での細孔の準備
a)高純度(99.8%)のアルミニウム板(1mm厚)を陽極、カーボンを陰極とし、シュウ酸(濃度0.5M)で、30Vの電圧を、10時間、印加した。その後、電圧を逆転し、酸化膜をアルミニウム部からはがした。細孔が形成された酸化膜の厚みは、約50μmであった。細孔の穴径は、表面で約30nmであった。細孔の間隔は、90nmであった。
b)バリア層の除去
得られた酸化膜サンプルを10分割し、それぞれ5wt%のリン酸に、裏面のバリア層側(細孔の無い側)だけを浸した。5分間隔で、サンプルを順次上げて、洗浄した。
その後、電子顕微鏡(日立製作所製HF−2100)で、貫通した孔径を調べた。結果を図5に示す。エッチング時間が約30分までは指数関数的に穴径を大きくすることができ、30分以上エッチングを行うと、バリア層が除去され、当初陽極酸化で得られたアノード側(表側)の細孔径(50nm)に近づき、アノード側(表側)細孔径に対して、やや大きめに広がった。
上記の結果より、エッチング時間を制御することによって、本試験であれば、およそ3分から18分エッチングすることにより、一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径を、0.1nmから0.5nmとすることができ、エッチング時間によって貫通する穴径を制御できることがわかる。
(実施例2)
上記の結果から、5wt%のリン酸で10分間浸すという方法で、バリア層を除去したもの(電顕で観測した結果とバリア層除去条件の関係から、穴径は約0.1nmと考えられる)を用いて、以下の方法でOH基を修飾した。
得られた薄膜をイオン交換水に浸漬し、硝酸を添加してpHを4まで下げた。その後、イオン交換水中にアンモニア水を滴下し、pHを7まで戻し、イオン交換水を取り替えて、洗浄した。そうすることにより、アルミナ膜表面をOH基で修飾した。乾燥後、Ptを担持した炭素粉を両表面に付着して、触媒層を生成した。
図1と同様の構造をした試験装置(一方をメタノール水、他方を空気を送付する)にセットして発電量をみた。図6に、メタノール濃度を変化させて行った発電試験の結果(電池の電流密度一電池電圧特性)を示す。図6からわかるとおり、メタノールの濃度比率を5%、30%、95%としても正常に発電量を示したことより、本発明の電解質膜は十分に機能し、メタノールの透過はほとんど無いことが分かった。
(実施例3)
基材をチタニウムとし、希硫酸(10wt%)中で、陽極酸化を行った(35V×120分、30°C)。次に、逆電圧をかけて、酸化膜を金属部からはがした後、厚みを計ると、約50μmであった。また細孔径は約60nmで、細孔間隔は、90nmであった。
サンプルを12分割し、それぞれ5wt%のリン酸にバリア層側(細孔の無い側)だけを浸した。5分間隔で、順次サンプルを引き上げて、洗浄した。その後、電子顕微鏡(同上)で貫通した孔径を調べた結果、エッチング時間と貫通した孔径との関係は図7のようになった。エッチング時間を制御することによって、本試験であれば、約3分から約35分エッチングすることにより、一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径を、0.1nmから0.5nmとすることができ、エッチング時間によって貫通する穴径を制御できることがわかる。
(実施例4)
基材をシリコンとし、希硫酸(5wt%)中で、陽極酸化をした(25V×40分、30°C)。逆電圧をかけて、酸化膜を金属からはがした後、厚みを計ると、約50μmであった。また細孔径は約30nmで、細孔間隔は45nmであった。
サンプルを10分割し、それぞれ5wt%のリン酸にバリア層側(細孔の無い側)だけを浸した。5分間隔で、サンプルを順次引き上げて、洗浄した。その後、電子顕微鏡(同上)で貫通した孔径を調べた結果、エッチング時間と貫通した孔径との関係は図8のようになった。エッチング時間を制御することによって、本試験であれば、約3分から約20分エッチングすることにより、一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径を、0.1nmから0.5nmとすることができ、エッチング時間によって貫通する穴径を制御できることがわかった。
作製した細孔の開いている薄膜を真空引きろ過装置のメッシュの上におき、下部を減圧し、上記膜の上から水滴を落としてみたが、水が透過することはなかった。
(実施例5)
高純度(99.8%)のチタン板(1mm厚)を陽極、カーボンを陰極とし、硫酸酸(濃度0.5M)で、50Vの電圧を、10時間、印加した。その後、電圧を逆転し、酸化膜をチタン板からはがした。細孔が形成された酸化膜の厚みは、約50μmであった。細孔の穴径は、表面で約30nmであった。細孔の間隔は、60nmであった。
得られた酸化膜を真空槽に入れ、ガスの導入側(上側)にバリア層側を向けて設置した。ガス(BClとC1;ガス比は、1:1とした)を、圧力が1.0Paを保つように、300scsmの流量でいれた。この真空槽内にECRマイクロ波を入れ、ガスをプラズマ化した。主に、Clプラズマにより、アルミナが除去された。事前に計測したエッチングレート(60nm/分)により、表皮2nmの除去を目的とし、プラズマ発生時間を2秒間とした。その結果を電子顕微鏡で観測したところ、0.1nm程度の穴が一様にあいていることが確認された。
(実施例6)
高純度(99.8%)のインジウム金属板(1mm厚)を陽極、カーボンを陰極とし、硫酸酸(濃度0.5M)で、実施例5と同様に、50Vの電圧で、10時間、印加した。その後、電圧を逆転し、酸化膜をインジウム金属板からはがした。細孔が形成された酸化膜の厚みは、約40μmであった。細孔の穴径は、表面で約20nmであった。細孔の間隔は、100nmであった。
次に、5wt%のリン酸で1分間浸すという方法で、バリア層を除去したものを電子顕微鏡で調べたところ、0.5nm程度の細かな孔があいていることが観測された。
(実施例7)
厚さが1mmの金属セリウム板を陽極、カーボンを陰極とし、シュウ酸(濃度0.5M)で、30Vの電圧を、10分間印加して、表面を陽極酸化した。その後、電圧を逆転し、酸化膜を金属セリウムからはがした。細孔が形成された酸化膜の厚みは、約20μmであった。細孔の穴径は、約20nmであった。細孔の間隔は、90nmであった。
次に、5wt%のリン酸に、裏面のバリア層側(細孔の無い側)だけを浸した。電子顕微鏡で調べたところ、およそ0.1nm程度の細かな孔があいていることが観測された。
燃料電池の単セルの構造を示す概略図。 自己規則化的に形成された陽極酸化ポーラスアルミナの例(非特許文献1)を示 す図、ここで、(a)は硫酸化成(25V)を示し、(b)はシュウ酸化成(40V)を示し、(c)はリン酸化成(200V)を示す。 モールドを用いて作製した理想規則配列ポーラスアルミナの例(非特許文献2)を示す図。 陽極酸化皮膜の模式図。 実施例1の、エッチング時間と貫通した穴径との関係を示す図。 実施例2の、メタノール濃度を変化させて行った発電試験の結果を示す図。 実施例3の、チタニウムを用いて、エッチング時間と貫通した穴径との関係を示す図。 実施例4の、シリコンを用いて、エッチング時間と貫通した穴径との関係を示す図。 陽極酸化被膜の細孔の穴径を説明するための図。
符号の説明
10 電解質膜
21 アノード(燃料極)
22 カソード(酸素極)
31 アノード側セパレータ
32 カソード側セパレータ
100 セル
311 燃料流路
321 空気流路

Claims (3)

  1. アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜であって、前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に細孔が整列して形成され、カソード側は、閉塞した細孔の先端部バリア層をエッチングすることによりカソード側に貫通しており、前記一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径が、0.1nmから0.5nm未満であり、かつ、該細孔内部を官能基で修飾してありプロトン伝導が可能であることを特徴とする燃料電池用電解質膜。
  2. アノード(燃料極)およびカソード(酸素極)にそれぞれ液体有機燃料および気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池に用いられる燃料電池用電解質膜の製造方法であって、
    前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される電解質膜が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウムから選ばれた1種の薄膜に、陽極酸化法で、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成され、得られた酸化膜を、最初印加した電圧と逆電圧を印加することで基板金属から剥離し、その後、該酸化膜の細孔の閉塞している先端部バリア層をエッチングすることにより該細孔がカソード側に貫通させ、前記一端が閉塞した細孔の先端部をエッチングにより貫通させた穴径が、0.1nmから0.5nm未満とし、その後、該細孔内部を官能基で修飾してプロトン伝導性を保持させることを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  3. 先端部バリア層を化学的エッチングまたは、且つ、物理的エッチングを使用して除去することを特徴とする請求項記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
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