JP5190747B2 - 燃料電池用電解質膜及びその製造方法 - Google Patents

燃料電池用電解質膜及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5190747B2
JP5190747B2 JP2006030434A JP2006030434A JP5190747B2 JP 5190747 B2 JP5190747 B2 JP 5190747B2 JP 2006030434 A JP2006030434 A JP 2006030434A JP 2006030434 A JP2006030434 A JP 2006030434A JP 5190747 B2 JP5190747 B2 JP 5190747B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrolyte membrane
metal oxide
fuel cell
pores
nanoporous metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006030434A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007213876A (ja
Inventor
雅宏 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2006030434A priority Critical patent/JP5190747B2/ja
Publication of JP2007213876A publication Critical patent/JP2007213876A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5190747B2 publication Critical patent/JP5190747B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

本発明は、アノード(燃料極)に有機燃料を供給しながら継続的に発電する燃料電池に使用する燃料電池用電解質膜およびその製造方法に関する。
モバイル機器向けの次世代電源として小型燃料電池が注目されており、その中では、ボンベや水素貯蔵合金を用いて水素を燃料とする、高分子電解質膜の両側にアノード(燃料極)およびカソードをそれぞれ接合した固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)と、メタノールやジメチルエーテルを改質せずに直接アノードに供給して発電する直接形メタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)が有望視されている。いずれも、動作温度が低いため小型化が可能な燃料電池であるからである。
上記DMFCにおいては、アノードでメタノールが水と反応し、生成されたプロトンが固体高分子電解質膜中を移動して、カソードで酸素および電子と結合して水になる。このとき外部回路に電流が取り出される。したがって、メタノールなどの有機燃料を水素リッチなガスに改質するための改質器や水素容器が不用であるためコンパクトであり、また起動が早く、負荷変動応答性も優れており、移動型電源として注目されている。
ここで、DMFCに使用される固体高分子電解質膜は、燃料と空気を分離するセパレータとしての役割と同時に電解質としての役割が求められている。すなわち、メタノールの遮断性、すなわち燃料用メタノールのアノード側からカソード側への透過(クロスオーバー)の低減が求められるとともに、同時に固体高分子電解質膜には高いプロトン伝導性が求められている。
電解質膜として、従来のPEFC用の電解質膜、例えばDu Pont社のNafion(商標)膜、Dow Chemical社のDow膜等を使用して、かつ燃料としてメタノールを使用した場合(DMFCという)には、メタノールが膜を透過してしまい、直接酸化されるため、起電力が低下すること、および触媒活性を上げるために温度を上げると摂氏130度付近で膜が融解(クリーピング)してしまうこと、という二つの大きな問題が発生する。これらの問題を同時に解決する電解質膜は現在存在しないが、この問題を解決すれば電気自動車への応用が一気に進む可能性がある。また、上記電解質膜は、スルホン酸基を介してプロトン伝導しているため、水分の存在が必須であり、そのことにより、0°C以下の低温、100°C以上の高温での使用が難しくなっている。
上記課題を解決するため、無機材料で電解質膜を作ることが望まれているが、プロトン伝導度の大きな材料がなかなか無いのが現状である。
この課題を解決することを目的として、特許文献1には、金属膜またはケイ素膜を陽極酸化することにより設けられた直径0.01〜150μmの貫通孔を有し、該貫通孔の内壁にプロトン伝導性の官能基を修飾した無機系電解質膜が提案されている。
また、特許文献2には、有機溶媒および水に対して実質的に膨潤しない耐熱性多孔性基材の細孔に、プロトン伝導性を有するポリマーを充填することにより、プロトン伝導性は細孔中に埋め込んだ電解質により確保し、高温化における形状維持、膨潤抑制および耐熱性は多孔性基材のマトリックスにより達成する電解質膜を開示している。ガラス、又はアルミナもしくはシリカなどのセラミックス等の無機材料、あるいは、テフロン(商標)、ポリイミド等の多孔性基材の細孔表面をプラズマ、紫外線、電子線、ガンマ線等のエネルギーにより活性化した後、その表面上にイオン交換基を持つモノマーを接触させ、または塗布し、基材表面上および細孔内部においてグラフト重合反応を生じさせ、細孔内部を実質的に重合ポリマーで充填し、高温下でも基材の骨格が膜の構造を維持するという知見に基づいている。
無機材料で大きなプロトン伝導を得るには、界面や表面でのプロトンの2次元伝導を利用することが鍵であることが指摘されている(非特許文献1参照)。プロトン伝導面に相当する単位面積あたりのプロトン伝導度の値は、バルク内のプロトン伝導度よりは桁違いに大きい。陽極酸化で生成した多孔質アルミナの場合、表面積は、約40m/g程度でありかなり大きいが、これをさらに大きくできるならば、プロトンの伝導度はそれだけ大きくできることが期待される。つまり、伝導面積を大きくすることができるかが2次元伝導の場合の鍵となる。そこで、細孔径は小さくかつ、できるだけ細孔だけの構造にすることが望まれる
特開2004−47206号公報 国際公開WO00/54351号公報 特開2003−277062号公報 Nature Materials vol.3、May(2004) 337〜341 読売新聞 2004年4月13日
上記のように、アノード(燃料極)に有機燃料を供給しながら継続的に発電する燃料電池に使用する電解質膜において、一般的に用いられているスルホン化されたポリフルオロオレフィンなどの水和膜を電解質膜として用いる場合には、本質的に水分を必要とするため100°C以上、0°C以下で使用できないという問題があり、有機膜を使用することで電解質膜として強度が不足しているという問題もある。また、DMFCにおけるメタノールのクロスオーバーの問題が存在する。これらを解決するため、無機材料で電解質膜を作ることが望まれているが、プロトン伝導度の大きな材料が無いのが現状である。
したがって、本発明の目的は、上記諸問題を解決した、無機材料でプロトン伝導度の大きな燃料電池用電解質膜およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜であって、電解質膜は、ほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記電解質膜は、無機多孔質薄膜の細孔内に、該無機多孔質薄膜とは異なるナノポーラス金属酸化物を埋設し、該細孔内に、膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、除去した鋳型のあった場所に、ナノポーラス金属酸化物を埋設し、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記ナノポーラス金属酸化物の極細孔内壁に、官能基を修飾していることによって、プロトン伝導性を向上できることから、高効率の燃料電池用電解質膜が可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明は、アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜であって、電解質膜は、ほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記電解質膜は、前記無機多孔質薄膜の細孔内に、該無機多孔質薄膜とは異なるナノポーラス金属酸化物を埋設し、該細孔内に、膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、除去した鋳型のあった場所に、ナノポーラス金属酸化物を埋設し、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記ナノポーラス金属酸化物の極細孔内壁に、官能基を修飾していることを特徴とする。
また、本発明は、アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜の製造方法において、鋳型として、膜厚方向に延びた細孔が面方向に並置、整列して形成された無機多孔質薄膜を形成し、無機多孔質薄膜の細孔内に、該無機多孔質薄膜とは異なるナノポーラス金属酸化物を埋設し該細孔内に、膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、除去した鋳型のあった場所に、ナノポーラス金属酸化物を埋設し、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物を形成前記ナノポーラス金属酸化物の極細孔内壁に、官能基を修飾することを特徴とするものである。
本発明は、アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜であって、電解質膜は、ほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記電解質膜は、前記無機多孔質薄膜の細孔内に、該無機多孔質薄膜とは異なるナノポーラス金属酸化物を埋設し、該細孔内に、膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、除去した鋳型のあった場所に、ナノポーラス金属酸化物を埋設し、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記ナノポーラス金属酸化物の極細孔内壁に、官能基を修飾していることを特徴とするものである。この構造を採ることによって、飛躍的に表面積を増大させ、プロトンの伝導度を大きくした燃料電池用電解質膜が得られ、多くの用途に適応した大容量の燃料電池を提供できるので工業的に有用である。
また、本発明は、アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜の製造方法において、鋳型として、膜厚方向に延びた細孔が面方向に並置、整列して形成された無機多孔質薄膜を形成し、無機多孔質薄膜の細孔内に、該無機多孔質薄膜とは異なるナノポーラス金属酸化物を埋設し該細孔内に、膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、除去した鋳型のあった場所に、ナノポーラス金属酸化物を埋設し、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物を形成前記ナノポーラス金属酸化物の極細孔内壁に、官能基を修飾することを特徴とするものである。この製造方法において、内径がナノサイズの細孔を持ち、細孔が膜厚方向に概平行に揃った構造をもち、かつ、細孔構造のみで電解質膜を構成することができ、飛躍的に表面積を増大させ、プロトンの伝導度を大きくした燃料電池用電解質膜を製造できる。
図1は燃料電池の断面概略図である。なお、以下の説明では1つのセルのみからなる単セルの燃料電池について説明するが、複数のセルからなる燃料電池についても本発明の思想は同様に適用できる。燃料電池のセルは電解質膜10の両側にアノード(燃料極)21およびカソード(酸素極、空気極)22をそれぞれ接合し、アノード21の、電解質膜とは反対側の側面にアノード側セパレータ31が配置され、カソード22の、電解質膜とは反対側の側面にカソード側セパレータ32が配置されている。
電解質膜10は、膜厚方向に細孔が整列して形成され、そのカソード側では、該細孔がカソード側に貫通している多孔質薄膜であることが必要である。
アノード21およびカソード22は、貴金属を担持したカーボン粉末とパーフルオロカーボンスルホン酸系樹脂とが混合されて、カーボンペーパ上に膜状に形成されたものである。アノード21には例えば、市販の白金−ルテニウム系触媒をカーボン粉末に担持させた触媒を用いており、カソード22には例えば、市販の白金系触媒をカーボン粉末に担持させた触媒を用いている。
アノード側セパレータ31には、アノード21と対向する面に燃料流路311が形成されており、この燃料流路311に燃料であるメタノール溶液が供給される。カソード側セパレータ32には、カソード22と対抗する面に空気流路321が形成され、この空気流路321に酸化剤である空気が供給される。
1.燃料電池用電解質膜
本発明の燃料電池用電解質膜は、アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜であって、電解質膜は、ほぼ全領域にわたって膜厚方向に極細孔が整列して形成されているナノポーラス金属酸化物であり、下記の工程によって製造される。
すなわち、
鋳型として、膜厚方向に細孔が整列して形成された無機多孔質薄膜を形成し、
前記無機電池用電解質膜の細孔内に、該無機多孔質膜とは異なる金属酸化物を埋設して該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、
前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、
除去した鋳型のあった場所にナノポーラス金属酸化物を成長させて、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に極細孔が整列して形成されているナノポーラス金属酸化物を形成するものである。
本発明の燃料電池用電解質膜の製造方法をより詳細に説明すると、
a)本発明の燃料電池用電解質膜は、いわゆる鋳型として、例えばアルミニウムを陽極酸化による細孔群を有する無機多孔質薄膜を用いる。該無機多孔質薄膜は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化錫、酸化ニッケルから選ばれた1種の薄膜であり、該薄膜は、金属薄膜を陽極酸化することによって、膜厚方向に細孔が整列して形成された金属酸化物多孔質薄膜であり、カソード側は、閉塞した細孔の先端部バリア層をエッチングすることによりカソード側に貫通されたものである。
b)上記の細孔をもつ無機多孔質薄膜を鋳型材料として利用することにより、該無機多孔質薄膜の細孔よりはるかに小さな極細孔を有するナノポーラス金属酸化物は、無機多孔質薄膜の膜厚方向に平行な細孔の向きに平行に形成され、ナノポーラス金属酸化物の極細孔は、無機多孔質薄膜の膜厚方向に平行して配置される。
c)そこで細孔内に埋設した形で形成されるナノポーラス金属酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、酸化インジウム、ジルコニアから選ばれた少なくとも1種の素材からなる金属酸化物である。また、極細孔を有する炭素構造物も用いることができる。ナノポーラス金属酸化物をアルミナとする場合は、鋳型材料としてアルミナは使用できない。鋳型材料となる無機多孔質薄膜とその細孔を埋める極細孔を有するナノポーラス金属酸化物とは異ならなければならない。
d)鋳型材料となる無機多孔質薄膜の細孔をナノポーラス金属酸化物で埋設する前に、あるいは同時に、該無機多孔質薄膜とは異なり、埋設する素材と同等あるいは異なる材料を基板となる構造材として、接着させることが必要である。これは、ナノポーラス金属酸化物材料同士がつながるようにするためである。
e)基板となる構造材及び細孔内に埋設した極細孔群を有するナノポーラス金属酸化物が残るように、鋳型材料となる無機多孔質薄膜のみを酸等で溶解し除去する。これによって、無機多孔質薄膜の細孔を埋めていた極細孔群を有するナノポーラス金属酸化物のみ剣山のような形をして、構造材上に残ることとなる。
f)極細孔群を作ったときと同様のプロセスで、剣山状の極細孔群の細孔の向きに平行に極細孔群を太らせて、ついには剣山状になっていた空間部分を極細孔群を有するナノポーラス金属酸化物で全て埋め尽くす。
g)その後、上記基板として形成した構造材を酸等で除去する。基板と極細孔群は異なる方が除去は容易であるが、接着剤に相当するもので構成されていれば、該接着剤部のみ除去できれば良いので、同じ種類の材料でも使用可能である。これにより、最終的に、極細孔群を有するナノポーラス金属酸化物で構成された電解質膜が得られる。
h)得られた電解質膜の極細孔の内壁にプロトンの伝導し易い官能基を修飾することができる。これにより、単位面積あたりでもプロトンを伝導し易い構造で、かつ、プロトン伝導面積が大きいので、大きなプロトン伝導度が可能となり、したがって、これを燃料電池用電解質膜として好適に用いることができる。
以上の説明は図2のように概略図示できる。図2aに示すように、無機多孔質薄膜の鋳型材料100が基板104上に形成され、その細孔100aにナノポーラス金属酸化物102が埋設された状態で形成される。次に、図2bに示すように、鋳型材料100が溶解され除去される。次に、図2cに示すように、ナノポーラス金属酸化物102の間の空間部分にナノポーラス金属酸化物102で埋め尽くし、図2dに示すように、電解質膜のほぼ全領域に極細孔群を有するナノポーラス金属酸化物形成し、基板104を除去する。
鋳型となる母材である無機多孔質薄膜は、具体的には、上記したように、アルミナ、TiO、SnO、CeO、SiO、NiOから選ばれた1種の薄膜である。該薄膜は、陽極酸化法で、膜厚方向に、カソード側が閉塞した細孔が整列して形成され、その後、該細孔の閉塞している先端部バリア層を少量だけ化学的、あるいは物理的にエッチングすることにより該細孔はカソード側に貫通しており、かつ、該細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたナノポーラス金属酸化物が埋設されている。
本発明では、上記細孔をもつ無機多孔質薄膜を鋳型材料として利用することにより、該無機多孔質薄膜の細孔よりはるかに小さな極細孔を有するナノポーラス金属酸化物は、無機多孔質薄膜の膜厚方向に平行な細孔の向きに平行に形成され、ナノポーラス金属酸化物の極細孔は、無機多孔質薄膜の膜厚方向に平行して配置される。
一例として、鋳型材料となる無機多孔質薄膜としてアルミナ板を用いた場合を示す。
(1)陽極酸化膜の形成
高純度(99.9%)のアルミニウム板(1mm厚)を陽極に、カーボンを陰極とし、シュウ酸(濃度0.5M)中で、数Vから数十V程度の電圧を10時間程度印加すると、アルミニウム板の表面の酸化が促進され、かつ、数十nm径の細孔が自己整列して板面に垂直にmm級の深さでも直線状に孔があく。その後、電極を反対にして電圧を印加すると、アルミニウム部と細孔形成部との界面に水素ガスが発生し、酸化皮膜を金属面から容易に剥がすことができる。
(2)エッチング
上記陽極酸化を行った時点では、無機多孔質薄膜の細孔の先端部は数nmの厚みのバリア層で覆われており、貫通していない。このままでは、プロトン伝導性を有する電解質膜を得るために使用できないので、化学的、あるいは物理的にエッチングする必要がある。
物理的には、イオンを衝突させることで表面原子を飛ばしたり、あるいは、ラジカル発生によって表面で化学反応を一部起こさせることも含み、表層部の原子、分子を飛散させる方法で、イオンミリング、イオン衝突、イオンスパッタリング、ドライエッチング、反応性イオンエッチング等々のものがある。あるいは、エキシマレーザ等の紫外線を照射することで、極表面部の原子を薄く飛ばすものも含まれる。
一方、化学的には、酸を用いて、表面部だけを溶かして除去することが可能である。例えば、化学的なエッチングを用いた例では、酸処理(例えば、20wt%−希硝酸溶液 30°C)で、数分間エッチングを行うと、バリア層を溶かし、閉塞した細孔の先端部を貫通させることができる。
(3)無機多孔質薄膜の細孔をナノポーラス金属酸化物で埋設する場合
ナノポーラス金属酸化物の例として、ナノポーラスシリカを用いる場合で以下説明する。他のナノポーラス金属酸化物でも同様な方法で実施することができる。
ナノポーラスシリカは、TEOS(テトラエトキシシラン)やTMOS(テトラメチルオルソシリケート)、NaHSi・3HO等のシリカ原料と界面活性剤の混合液を、平面基板上にスピンコートすると、基板表面に平行に形成できる。円筒状のナノポーラスシリカのシリカナノチャンネルは、平板に平行ではあるが、基板面全体にわたって一方向を向いていないという問題がある。また、特許文献3のように、ブロック高分子をエタノール等の有機溶媒にとかしてミセル状態にし、金属アルコキシドを混合し、ゲル化させた後、ブロック高分子を高温で除去することで、多孔質化するというものはあるが、これも、細孔の向きはランダムであるという問題がある。
上記材料の混合液を、上記アルミニウムを陽極酸化して得られた無機多孔質薄膜の、一方向にそろった細孔内に導入すると、該細孔に平行にナノポーラスシリカのナノチャンネルが育成されることが開示されている(非特許文献1、2)。
本発明においても同様の方法により、陽極酸化法で得られた細孔内に、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたナノポーラスシリカが埋設される。得られる無機多孔質薄膜の模式図を図3に示す。
例えば、テトラメチルオルソシリケートを原料に用いた場合について概略を以下に記す。
まず、テトラメチルオルソシリケート(TMOS、濃度98%)を酸性状態(HCl、濃度36.5〜38%)で、加水分解する。そこに、メタノール(濃度99.8%)を室温で加える。さらに、界面活性剤であるCTACl(cetyltrimethylammonium Chloride:塩化セチル・トリメチル・アンモニム、25%)を加え、該混合溶液を室温で24時間程度保持し、反応を十分に起こさせ、界面活性剤とシリカ源の混合液内で、ミセル(界面活性剤の分子またはイオンの集合体)を形成させる。
陽極酸化法で作製した50μm厚の細孔を有するアルミナ膜を、ろ過器中のろ紙(メッシュ1μm)の上に置き、下側を若干の負圧にして、上記で得られた溶液を加え、吸引して、細孔内に導入する。このとき、該アルミナ膜より小さい円形をくりぬいて作った治具を利用して、該アルミナ膜の端から液が漏れないように工夫をする必要がある。細孔内に十分溶液が導入されたところで、上からの溶液が残っている状態で、溶液を数分ほど透過させ、減圧状態を止める。
次に、溶液を細孔に含む該アルミナ膜を100°Cほどで1時間程度予備乾燥し、その後、予備乾燥した膜を、400〜500°Cで10〜15時間程度焼成する。
上記操作により、陽極酸化法で得られた細孔の該細孔内に、上記ミセルを鋳型としてシリカナノ細孔が形成され、さらにシリカナノ細孔集合体であるナノポーラスシリカが形成され、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたナノポーラスシリカが埋設された状態で得られる。
電子顕微鏡で確認すれば、上部開孔径が30〜50nmの陽極酸化細孔内に、内径2nm弱の極細孔を有するメゾポーラスシリカが約100個ほど密集しているのが確認される。
(4)構造材基板への接着
鋳型材料となる無機多孔質薄膜の細孔をナノポーラス金属酸化物で埋設する前か後に、あるいは同時に、該無機多孔質薄膜とは異なり、埋設する素材と同等あるいは異なる材料を基板となる構造材として、接着させることが必要である。これは、ナノポーラス金属酸化物同士がつながるようにするためである。
例えば、無機多孔質薄膜の細孔内にナノポーラス金属酸化物を埋設した後、構造材(例えばシリコン基板)に有機系接着剤で接着する。
次に、希硝酸(10%)等で、鋳型材料である多孔質薄膜のみを溶解できる溶剤でアルミナを溶解する。すると、図4に示すように、構造材上に剣山状にナノポーラス金属酸化物が構造材上に配置された状態で得られる。
(5)ナノポーラス金属酸化物の成長
その後、極細孔群を作ったときと同様のプロセスで、剣山状の極細孔群の細孔の向きに平行に極細孔群を太らせて、ついには剣山状になっていた空間部分を極細孔群を有するナノポーラス金属酸化物で全て埋め尽くす。
たとえば、上記の陽極酸化で作製した多孔質薄膜と全く同じ手法で、シリカの源である例えばTMOSと界面活性剤の混合液に、上記の剣山状のものを浸漬せしめて、剣山状の隙間にメゾポーラスシリカのパイプを作る。
(6)基板の除去
その後、上記基板として形成した構造材を酸等で除去する。基板と極細孔群は異なる方が除去は容易であるが、接着剤に相当するもので構成されていれば、該接着剤部のみ除去できれば良いので、同じ種類の材料でも使用可能である。これにより、最終的に、極細孔群を有するからなるナノポーラス金属酸化物で構成された電解質膜が得られる。
例えば、構造材に金属酸化物が接着している状態で、300°C以上で熱処理をすればよい。接着に用いられている有機系接着剤が熱分解し、また、ナノポーラス材料が焼き固められ、基板と分離できる。
(7)ナノポーラス金属酸化物表面の修飾
得られた電解質膜の極細孔の内壁にプロトンの伝導し易い官能基を修飾することができる。これにより、単位面積あたりでもプロトンを伝導し易い構造で、かつ、プロトン伝導面積が大きいので、大きなプロトン伝導度が可能となり、したがって、これを燃料電池用電解質膜として好適に用いることができる。
本発明の燃料電池用電解質膜は、膜厚方向に極細孔が整列して形成されたメゾポーラスシリカを埋設した後、さらに、該メゾポーラスシリカ極細孔に、官能基を修飾し、プロトン伝導性を向上させることが好ましい。
修飾する官能基は、OH基、炭素と水素を含む官能基、窒素と水素を含む官能基、あるいは、イオウと水素を含む官能基が望ましい。
これらの官能基は、プロトンを含み、かつ親水性で、プロトンの向きの自由度が大きい可能性があり、官能基同士の間で水素結合をし易いので、伝導性が向上する。さらに、官能基を修飾することで、細孔の内径がさらに小さくなり、燃料、水等の望まれない透過を減らす、あるいは、無くすことができる。
発明者は、陽極酸化を行って得られた、秩序よく貫通した細孔が並ぶ多孔質薄膜の、該細孔面内にOH基、炭素―水素―酸素を含む官能基(例えば、カルボキシル基)、窒素―水素を含む官能基(アミノ基,アンモニア基)等で修飾すると、特定の条件下で、プロトンが伝導することを以前見出している(特許文献1)。
例えば、シリカ系薄膜の場合、pH=略9を境にして、アニオン、カチオンを修飾することができる。pHが略6以上では、シリカ膜表面はSiO2+に帯電し、pHが略6を下回る時は、Si4+に帯電する。従って、pHを略6以下にすれば、シリカ表面にOH基をつけることができる。
本発明の燃料電池用電解質膜では、例えば、イオン交換水に浸漬し、硝酸を添加してpHを4程度まで下げる。その後、イオン交換水中にアンモニア水を滴下し、pHを7まで戻し、イオン交換水を取り替えて洗浄する。そうすることによって、メゾポーラスシリカ表面にOH基を修飾できる。
(8)充填膜の形成
上記のようにして得られた、ナノポーラス金属酸化物の極細孔内に、更に充填膜を付加して穴を小さくすることができる。この方法により、プロトンの伝導する界面(表面)の面積、つまりプロトン伝導路を増やすことができ、かつ、燃料、水分の透過を防ぐことができる。
充填膜として、カーボンナノチューブ(以下CNTとも記す)、β―アルミナを充填した構造とすることが好ましい。前者は、プロトン伝導しやすい種々の官能基をつけ易くなるためである。また、後者は、もともとプロトン伝導度の大きな材料であり、それを、プロトンの流れ易い方向を、流れるべき方向(つまり、メンブレインの面に垂直方向)に成長しやすいからである。
上記充填したCNT層の更に内壁に、α―ジケトン基、ケトン基、フェノール基、カルボキシル基、カルビノール基、o−ヒドロキノイド基、ラクトン基の少なくとも一種の官能基を修飾した構造とすることもできる。
(実施例1)
金属チタンを陽極に用い、希硝酸中で陽極酸化してチタニア多孔質材料を作った。その多孔質中に上記製法と同じように、ナノポーラスシリカによる細孔群を埋設した。
その後、得られたナノポーラスシリカによる細孔群を埋設したチタニア多孔質材料を有機系接着材(東亜合成製 商品名“アロンアルファ”(商標))でガラス基板に接着した。
その後、希硝酸(20%濃度)でTiOを溶解した。
その後、最初にナノポーラスシリカを埋設した時と同様に、溶液に、上記チタニア多孔質材料を浸漬して、ナノポーラスシリカの剣山状柱群の隙間をナノポーラスシリカで埋めつくすことで、ナノポーラスシリカのみで構成される電解質膜を作った。その後、温度350°Cで熱処理を行い、基板から剥がされたナノポーラスシリカのみからなる膜(厚みは、約70μm)が得られた。
(実施例2、3)
金属スズ(実施例2)、セリウム(実施例3)をそれぞれ陽極に用い、上記実施例1と同様に、希硝酸中で陽極酸化して各多孔質材料を作った。その多孔質中に上記製法と同じように、ナノポーラスシリカによる細孔群を埋設した。
その後、有機系接着材(東亜合成製 商品名“アロンアルファ” (商標))でガラス基板に接着した。その後、希硝酸(20%濃度)でTiOを溶解した。
その後、最初にナノポーラスシリカを埋設した時と同様に、溶液に、上記TiO膜を浸漬して、ナノポーラスシリカの剣山状柱群の隙間をナノポーラスシリカで埋めつくすことで、ナノポーラスシリカのみで構成される膜を作った。その後、温度350°Cで熱処理を行い、基板からはがされたシリカのみからなる膜(厚みは、約60μm)が得られた。
(実施例4)
シリコンを陽極に用い、上記実施例1と同様に、希硝酸中で陽極酸化してシリコン多孔質材料を作った。その多孔質中に、ブロック高分子をエタノールに溶かしてミセルを形成し、それにチタン系のアルコキシドであるテトライソプロピルチタンTi(OCとトリエチルリン酸 PO(OCを添加し、さらに塩酸HClを加え、細孔に中に充満させた。するとミセルの鋳型の上に加水・縮重合が起き、ゾルゲル反応により、ゲル化した。約70°Cで3日間放置した後、空気中で、400°Cで4時間熱処理をした。これにより、ブロック高分子が除去され、それ自身、多孔質であるTiOが埋設された、シリカ系の膜が得られた。その後、有機接着剤でガラスへ接着した後、アルカリ溶液(NaOH溶液)中で、母材であるシリカを溶出させ、TiOだけの剣山状構造を作製した。
その後、先のプロセスと同様に、チタン系アルコキシドに浸漬して、隙間を埋めた。同様にゲル化した後、350°Cで熱処理をすると、TiO単相になると同時に、ガラス基板から膜が剥がれた。その後、電子顕微鏡で、細孔の内径をみると、平均2nm、細孔の肉厚1nm弱のナノ細孔だけからなる膜が確認された。
(実施例5)
アルミ金属を陽極にして、シュウ酸中で陽極酸化をして、その後、電極を逆転して、細孔径が約40nm、厚み約50μmの多孔質アルミナ膜が得られた。
その多孔質中に、ブロック高分子をエタノールに溶かしてミセルを形成し、それにチタン系のアルコキシドであるテトライソプロピルチタンTi(OCとトリエチルリン酸 PO(OCを添加し、さらに塩酸HClを加え、細孔に中に充満させた。
また、他に、ジルコニア系アルコキシドであるテトライソブチルオキシジルコニウムZr(OCに、トリエチルリン酸 PO(OCを添加しさらに塩酸HClを加え、細孔に中に充満させる。
これらは、同様に、約70°Cで3日間放置してゲル化させた。その後、空気中で、400°Cで4時間熱処理をした。それにより、ブロック高分子が除去され、それ自身、多孔質である前者の場合、多孔質TiOが埋設された、アルミナ膜が得られた。後者の場合、多孔質ZrOが埋設されたアルミナ膜が得られた。
その後、これらをそれぞれ、有機接着剤でガラスへ接着した後、希硝酸中で、母材であるアルミナを溶出させ、TiOだけ、あるいは、ZrOだけの剣山状構造を作製した。その後、先のプロセスと同様に、チタン系アルコキシド、あるいはジルコニア系アルコキシドに浸漬して、隙間を埋めた。同様にゲル化した後、350°Cで熱処理をすると、TiO単相、あるいはZrO単層になると同時に、ガラス基板から膜が剥がれて、ナノポーラス多孔質からなるTiO膜、あるいはZrO膜が得られた。
(実施例6)
金属Niを陽極にして陽極酸化をして細孔をあけ、かつ、金属基板より酸化膜をはがした後、
a)アルミニウム系アルコキシド:Al(O−i−CHに、トリエチルリン酸 PO(OCを添加しさらに塩酸HClを加え、細孔に中に充満させる。
b)スズ系アルコキシド:Sn(O−i−CHに、トリエチルリン酸 PO(OCを添加しさらに塩酸HClを加え、細孔に中に充満させる。
上記a)、b)も同様に、約70°Cで3日間放置してゲル化させた。その後、空気中で、400°Cで4時間熱処理をした。それにより、ブロック高分子が除去された。
a)の場合、膜厚方向に細孔が概平行となった、多孔質Alが埋設された、NiO膜が得られた。
b)の場合、膜厚方向に細孔が概平行となった、多孔質SnOが埋設された、NiO膜が得られた。
その後、これらをそれぞれ、有機接着剤でガラスへ接着した後、希硝酸中で、母材であるアルミナを溶出させ、Alだけ、あるいは、SnOだけの剣山状構造を作製した。その後、先のプロセスと同様に、a)アルミニウム系アルコキシド、あるいはb)スズ系アルコキシドに浸漬して、隙間を埋めた。同様にゲル化した後、350°Cで熱処理をすると、Al単相、あるいはSnO単層になると同時に、ガラス基板から膜が剥がれて、ナノポーラス多孔質からなるa)Al膜、あるいはb)SnO膜が得られた。
(実施例7)
アルミニウムを陽極にして陽極酸化を行い、その後、電極を反転して、多孔質アルミナ膜を得た。その後、
a)セリウム系アルコキシド:Ce(O−i−CHに、トリエチルリン酸PO(OCを添加しさらに塩酸HClを加え、細孔に中に充満させた。
b)ニッケル系アルコキシド:Ni(O−i−CHに、トリエチルリン酸PO(OCを添加しさらに塩酸HClを加え、細孔に中に充満させた。
上記a)、b)も同様に、約70°Cで3日間放置してゲル化させた。その後、空気中で、400°Cで4時間熱処理をした。それにより、ブロック高分子が除去された。
a)の場合、膜厚方向に細孔が概平行となった、多孔質CeOが埋設された、アルミナ膜が得られた。
b)の場合、膜厚方向に細孔が概平行となった、多孔質NiOが埋設された、アルミナ膜が得られた。
その後、これらをそれぞれ、有機接着剤でガラスへ接着した後、希硝酸中で、母材であるアルミナを溶出させ、CeOだけ、あるいは、NiOだけの剣山状構造を作る。その後、先のプロセスと同様に、a)セリウム系アルコキシド、あるいは、b)ニッケル系アルコキシドに浸漬して、隙間を埋める。同様にゲル化した後、350°Cで熱処理をすると、CeO単相、あるいはNiO単層になると同時に、ガラス基板から膜が剥がれて、ナノポーラス多孔質からなるa)CeO膜、あるいはb)NiO膜が得られた。
(実施例8)
上記実施例5と同様にして、得られたナノポーラスTiOのみからなる多孔質膜を用いて、以下のようにカーボンからなる内張りを行った。
反応管内にサンプルを設置した後、反応管を800°Cに加熱して、約2時間、Nガスに2.5%のプロピレンガスを混合したガスを、200cm/分程度流した。これにより、メゾポーラスTiO極細孔の内壁に、グラッフェンシートが内張りするように成膜された。それは、直径が、1〜2nm程度のカーボンナノチューブから構成されていることが分かった。このCNTはほとんど単層であった。
(実施例9)
材料として多孔質アルミナを用い、上記実施例のように、シリカ系のアルコシキドを用いて、アルミナ細孔中にナノポーラスシリカを埋設した後、アルミナを酸で除去し、その後、シリカ系細孔を再度シリカ系のアルコシキドを用いて成長させてナノポーラスシリカ系のみで構成される膜を作った。ナノポーラスシリカには、その製造過程で、OH基が多数修飾されていた。そこで、交流インピーダンス法で、プロトン伝導度を室温で計測した。
その結果、σ=3×10−2S/cmというナフィオン並みの伝導度が計測された。これは、OH基が多数付いていることと、表面積が大きいことが効いていると思われる。
(実施例10)
上記実施例6と同様に作ったナノポーラスTiOの細孔内に、カーボンを内張りした。その後、以下の官能基を修飾して、プロトン伝導度を計測した。その結果を下記の表1に記載する。
燃料電池の単セルの構造を示す概略図 製造工程を説明するための概略図 無機多孔質薄膜の模式図 鋳型材料である多孔質薄膜のみを溶解して得られた、構造材上に剣山状にナノポーラス金属酸化物を示す該略図
符号の説明
10 電解質膜
21 アノード(燃料極)
22 カソード(空気極)
31、32 セパレータ
100 鋳型材料としての無機多孔質薄膜
102 ナノポーラス金属酸化物
104 基板






Claims (17)

  1. アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜であって、電解質膜は、ほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記電解質膜は、
    無機多孔質薄膜の細孔内に、該無機多孔質薄膜とは異なるナノポーラス金属酸化物を埋設し、該細孔内に、膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、
    前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、
    除去した鋳型のあった場所に、ナノポーラス金属酸化物を埋設し、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物からなり、前記ナノポーラス金属酸化物の極細孔内壁に、官能基を修飾していることを特徴とする燃料電池用電解質膜。
  2. 修飾した官能基が、OH基、炭素と水素を含む官能基、窒素と水素を含む官能基、あるいは、イオウと水素を含む官能基であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。
  3. ナノポーラス金属酸化物の極細孔内に更に充填材を配置したことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電解質膜。
  4. 充填材が、カーボンナノチューブあるいは/及びβ―アルミナを内張りしたものであることを特徴とする請求項3記載の燃料電池用電解質膜。
  5. 充填したカーボンナノチューブ層の更に内壁に、酸素、炭素、水素から構成される官能基であるα―ジケトン基、ケトン基、フェノール基、カルボキシル基、カルビノール基、o−ヒドロキノイド基、ラクトン基の少なくとも一種の官能基を修飾したことを特徴とする請求項4記載の燃料電池用電解質膜。
  6. ナノポーラス金属酸化物が、SiOであることを特徴とする請求項1、3のいずれか1つに記載の燃料電池用電解質膜。
  7. ナノポーラス金属酸化物が、TiO、SnO、CeO、ZrO、Al、あるいはNiOであることを特徴とする請求項1、3のいずれか1つに記載の燃料電池用電解質膜。
  8. 無機多孔質薄膜がアルミニウムを陽極酸化して作った多孔質アルミナであることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電解質膜。
  9. アノードに水素ガス、炭化水素ガス、あるいは液体有機燃料を供給し、カソードに気体酸化剤を供給することによって継続的に発電可能な燃料電池において前記アノードと前記カソードの間に介在して使用される燃料電池用電解質膜の製造方法において、
    鋳型として、膜厚方向に延びた細孔が面方向に並置、整列して形成された無機多孔質薄膜を形成し、
    無機多孔質薄膜の細孔内に、該無機多孔質薄膜とは異なるナノポーラス金属酸化物を埋設し、該細孔内に、膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されるナノポーラス金属酸化物を形成し、
    前記ナノポーラス金属酸化物だけを残し前記無機多孔質薄膜の鋳型を除去し、
    除去した鋳型のあった場所に、ナノポーラス金属酸化物を埋設し、電解質膜のほぼ全領域にわたって膜厚方向に延びた極細孔が面方向に並置、整列して形成されているナノポーラス金属酸化物を形成し、
    前記ナノポーラス金属酸化物の極細孔内壁に、官能基を修飾する
    ことを特徴とする燃料電池用電解質膜の製造方法。
  10. 無機多孔質薄膜がアルミニウムを陽極酸化して作った多孔質アルミナであることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  11. 無機多孔質薄膜がTiO、SnO、CeO、SiO2、あるいはNiOであることを特徴とする請求項記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  12. 修飾した官能基が、OH基、炭素と水素を含む官能基、窒素と水素を含む官能基、あるいは、イオウと水素を含む官能基であることを特徴とする請求項9記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  13. ナノポーラス金属酸化物の極細孔内に更に充填材を配置したことを特徴とする請求項9記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  14. 充填材が、カーボンナノチューブあるいは/及びβ―アルミナを内張りしたものであることを特徴とする請求項13記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  15. 充填したカーボンナノチューブ層の更に内壁に、酸素、炭素、水素から構成される官能基であるα―ジケトン基、ケトン基、フェノール基、カルボキシル基、カルビノール基、o−ヒドロキノイド基、ラクトン基の少なくとも一種の官能基を修飾したことを特徴とする請求項14記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  16. ナノポーラス金属酸化物が、SiOであることを特徴とする請求項9、13のいずれか1つに記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
  17. ナノポーラス金属酸化物が、TiO、SnO、CeO、ZrO、Al、あるいはNiOであることを特徴とする請求項9、13のいずれか1つに記載の燃料電池用電解質膜の製造方法。
JP2006030434A 2006-02-08 2006-02-08 燃料電池用電解質膜及びその製造方法 Expired - Fee Related JP5190747B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006030434A JP5190747B2 (ja) 2006-02-08 2006-02-08 燃料電池用電解質膜及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006030434A JP5190747B2 (ja) 2006-02-08 2006-02-08 燃料電池用電解質膜及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007213876A JP2007213876A (ja) 2007-08-23
JP5190747B2 true JP5190747B2 (ja) 2013-04-24

Family

ID=38492128

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006030434A Expired - Fee Related JP5190747B2 (ja) 2006-02-08 2006-02-08 燃料電池用電解質膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5190747B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009140701A (ja) * 2007-12-05 2009-06-25 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 燃料電池用無機電解質膜
WO2010107503A1 (en) 2009-03-19 2010-09-23 Millipore Corporation Removal of microorganisms from fluid samples using nanofiber filtration media
EP2237357B1 (en) * 2009-03-23 2013-10-23 Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. Ionic electrolyte membrane structure, method for its production and solid oxide fuel cell making use of ionic electrolyte membrane structure
US9336958B2 (en) 2010-12-21 2016-05-10 Tohuku University Nanoporous ceramic composite metal
EP2694196B1 (en) 2011-04-01 2021-07-21 EMD Millipore Corporation Nanofiber containing composite structures
KR20160134792A (ko) 2014-06-26 2016-11-23 이엠디 밀리포어 코포레이션 개선된 먼지 포집 능력을 갖는 필터 구조

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3932549B2 (ja) * 2002-07-10 2007-06-20 住友金属鉱山株式会社 燃料電池用電解質膜
JP4795626B2 (ja) * 2003-03-04 2011-10-19 紀夫 寺前 多孔体膜並びに薄膜の作製方法
US20060263660A1 (en) * 2003-09-12 2006-11-23 Masaki Takaoka Proton conductive membrane, method for producing same, and fuel cell comprising same

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007213876A (ja) 2007-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5374500B2 (ja) 窒化ホウ素の活性化方法
Jiang Functionalized mesoporous structured inorganic materials as high temperature proton exchange membranes for fuel cells
JP5108240B2 (ja) 燃料電池及び燃料電池の製造方法
JP4297850B2 (ja) 高分子ナノ複合膜及びこれを採用した燃料電池
Zhang et al. An interface-strengthened cross-linked graphene oxide/Nafion212 composite membrane for vanadium flow batteries
JP5190747B2 (ja) 燃料電池用電解質膜及びその製造方法
JP5383015B2 (ja) 炭化水素系燃料を使用する直接酸化型燃料電池用膜−電極接合体とその製造方法及びこれを含む燃料電池システム
WO2000054351A1 (fr) Membrane electrolytique pour pile a combustible et son procede de fabrication, et pile a combustible et son procede de fabrication
JP2002083612A (ja) 電解質膜及びその製造方法、並びに燃料電池及びその製造方法
JP4697378B2 (ja) ガス拡散性電極とその製造方法および導電性イオン伝導体並びに電気化学デバイス
JP2013503436A (ja) 燃料電池用の高分子電解質膜及びその製造方法
CN1707832A (zh) 燃料电池的膜电极组件及其制备方法以及包含它的燃料电池
JP4419550B2 (ja) プロトン伝導性電解質膜の製造方法とプロトン伝導性電解質膜、及びプロトン伝導性電解質膜を用いた燃料電池
JP2007005308A (ja) 燃料電池用高分子電解質膜、その製造方法及びそれを含む燃料電池システム
KR20160041309A (ko) 공기극 구조체, 이를 포함하는 연료 전지, 상기 연료 전지를 포함하는 전지 모듈 및 공기극 구조체의 제조방법
JP2007044675A (ja) 構造体の製造方法、構造体、及び該構造体を利用した燃料電池
WO2002050338A1 (fr) Appareil de production d'hydrogene, dispositif electrochimique, procede de production d'hydrogene et procede de generation d'energie electrochimique
JP4958395B2 (ja) プロトン伝導性膜、これを用いた燃料電池およびその製造方法
JP5115681B2 (ja) 燃料電池用電解質膜及び燃料電池用電解質膜の製造方法
WO2006080159A1 (ja) プロトン伝導性電解質膜とその製造方法、及び該プロトン伝導性電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池
JP4844799B2 (ja) 燃料電池用電解質膜およびその製造方法
JP2005197209A (ja) 高分子ナノ複合膜とその製造方法ならびにそれを用いた膜−電極接合体および燃料電池
JP2004192808A (ja) プロトン伝導体及びその製造方法、並びに電気化学デバイス
JP2010027605A (ja) イオン伝導性構造体、イオン伝導性高分子複合膜、膜電極接合体、燃料電池、イオン伝導性構造体の製造方法およびイオン伝導性高分子複合膜の製造方法
JPWO2005027250A1 (ja) プロトン伝導性膜、その製造方法およびこれを用いた燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110720

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120615

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121031

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5190747

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160208

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees