JP2008199020A - リソグラフィ装置およびデバイス製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 設定値変動に対し反復学習制御システムのロバスト性を改善可能にすることである。
【解決手段】 リソグラフィ装置において、制御システムのフィードフォワード伝達関数が、a)所与の設定値信号に対し制御システムのフィードフォワード出力信号を反復学習制御によって反復して学習すること、b)学習されたフィードフォワード出力信号と設定値信号の間の関係を決定すること、c)制御システムのフィードフォワード伝達関数としてこの関係を適用することによって決定される。学習された、1つまたは複数の特定の設定値信号に対してだけ学習されたフィードフォワードは、設定値信号に依存するフィードフォワード出力信号を与えるように適応させることができる。学習されたフィードフォワードは設定値変動に対して一層ロバストにすることができる。
【選択図】 図3A

Description

[0001] 本発明は、リソグラフィ装置における制御システムのフィードフォワード伝達関数を決定する方法、リソグラフィ装置、およびデバイス製造方法に関する。
[0002] リソグラフィ装置は、基板上、通常は基板のターゲット部分の上に所望のパターンを与える機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用できる。その場合、マスクまたはレチクルと二者択一的に呼ばれるパターニングデバイスが、ICの個別の層の上に形成されるべき回路パターンを生成するために使用されてよい。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つまたは複数のダイの一部を含む)の上に転写することができる。パターンの転写は、通常、基板に提供された放射感応性材料(レジスト)層上への結像を介してなされる。一般に、単一の基板は、隣接する、順次パターニングされる網目状のターゲット部分を含むことになる。従来のリソグラフィ装置には、ターゲット部分上に全パターンを一度に露光することによって、各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、放射ビームを横切って所与の方向に(「スキャン」方向)にパターンをスキャンし、同時にこれと同期的に基板をこのスキャン方向と平行に、または非平行にスキャンすることによって、各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとが含まれる。基板上にパターンをインプリントすることによって、パターニングデバイスから基板へパターンを転写することも可能である。
[0003] 例えば、いわゆるステップアンドスキャンリソグラフィ装置では、レチクルステージとウェーハステージが共にナノメータ寸法精度でステップアンドスキャン動作を実行する。処理量のために高い速度と加速度レベルを必要とする。これらの高い加速度レベルは、ステージの動特性により加速度段階の間に励振するので、位置精度に対する要求と相容れない場合がある。振動は、露光が開始できるまでの間の一定の整定時間内に落ち着かせる必要がある。これらの問題に対処するために、緻密な動作制御が使用され、レチクルステージとウェーハステージの両方の機構の6自由度(6DOF)を制御する。フィードバック制御が使用され安定性を損なわないように注意し、外乱の排除を進めると同時に、フィードフォワード制御が使用され所望のトラッキング性能を達成する。
[0004] ここ何年かの間、反復学習制御は、リソグラフィ装置のステージ(基板ステージまたはレチクルステージなど)の位置に関する量(位置、速度、ジャーク等など)を制御する場合にフィードフォワード信号を決定するものと考えられていた。フィードフォワード/フィードバックを組み合わせた制御システムでは、反復学習制御は制御システムに設定値刺激を与えることによりフィードフォワード信号を学習すること、最初のまたは予め決定したフィードフォワード信号を印加すること、ステージの所望の応答とステージの測定されたまたは獲得された応答の間の差を表す誤差信号を測定すること、誤差信号と印加されたフィードフォワード信号から次のまたは後続のフィードフォワード信号を決定することを提供する。このプロセスは、反復の数が達成され、あるいはこのフィードフォワード信号の収束、残存誤差信号等の大きさまたはノルムなどの任意の他の適切な基準が満たされるまで反復して繰り返される可能性がある。したがって反復学習制御では、測定された誤差信号に基づきオフラインでフィードフォワード信号に対し更新がなされる。少ない試行(反復)の後に、安定したILCでは、反復したトラッキング誤差を取り除くか少なくとも減少させることができるようになる、理想的フィードフォワード信号に収束する。
[0005] 反復学習制御の適用によって得られる可能性がある利点にもかかわらず、その制御の制限により、そのような学習された信号だけが、反復学習の間に与えられた設定値である、特定の設定値(例えば、ステージの運動パターンに対応する設定値対時間のパターン)に対して当てはまるという場合がある。この設定値が変わる場合には、システムの動特性も異なるように励振する。変動が非常に大きい場合があるので、ほとんど無数に多くの設定値プロファイルが生じ得るため、生じる可能性のあるあらゆる設定値プロファイルを学習することはあまりに時間を費やすか、ほとんど不可能であると考えられる。この態様は、複数の入力、複数出力システムでさえ、単一入力、単一出力システムに比べて設定値プロファイルにおける種類が増える場合があるのでひどくなる。したがって、一定限度の量の学習された設定値からの、学習情報を用いることが望ましいことになる。
[0006] 設定値変動に対し反復学習制御システムのロバスト性を改善可能にすることが望ましい。
[0007] 本発明の実施形態によれば、リソグラフィ装置において制御システムのフィードフォワード伝達関数を決定する方法が提供されており、その方法は、a)所与の設定値信号に対し制御システムのフィードフォワード出力信号を反復学習制御によって反復して学習すること、b)学習されたフィードフォワード出力信号と設定値信号の間の関係を決定すること、および、c)制御システムのフィードフォワード伝達関数としてこの関係を適用することを含む。
[0008] 本発明の他の実施形態では、制御システムのフィードフォワード伝達関数を決定する処理デバイスを含むリソグラフィ装置が提供されており、その処理デバイスは、a)所与の設定値信号に対し制御システムのフィードフォワード出力信号を反復学習制御によって反復して学習し、b)学習されたフィードフォワード出力信号と設定値信号の間の関係を決定し、c)制御システムのフィードフォワード伝達関数としてこの関係を適用する、プログラム命令を備える。
[0009] 本発明のさらなる実施形態によれば、パターニングデバイスから基板上に照射ビームによってパターンを投影すること、照射された基板を現像すること、現像された基板からデバイスを製造することを含み、パターニングデバイスおよび基板の少なくとも1つがステージによって保持され、ステージの位置がフィードフォワード伝達関数を有する制御システムによって制御され、フィードフォワード伝達関数が、a)所与の設定値信号に対し制御システムのフィードフォワード出力信号を反復学習制御によって反復して学習すること、b)学習されたフィードフォワード出力信号と設定値信号の間の関係を決定すること、c)制御システムのフィードフォワード伝達関数としてこの関係を適用することによって決定されるデバイス製造方法が提供されている。
[0010] 次に、本発明の実施形態が、対応する参照符号が対応する部分を指す添付の概略図面を参照して、単に例として説明されるであろう。
[0021] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に図示する。その装置は、放射ビームB(例えば、UV放射または任意の他の適切な放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するために構成され、一定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1位置決めデバイスPMに接続されるパターニングデバイス支持構造(例えば、マスクテーブルまたはマスク支持体)MTを含む。装置は、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するために構成され、一定のパラメータに従って正確に基板を位置決めするように構成された第2位置決めデバイスPWに接続される基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTも含む。装置は、さらに基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ、または複数のダイを含む)の上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに与えられたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折式投影レンズシステム)PSを含む。
[0022] 照明システムは、放射を誘導し、成形し、または制御する屈折式、反射式、磁気的、電磁気的、静電気的、または他の種類の光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せなどの様々な種類の光学コンポーネントを含んでよい。
[0023] パターニングデバイス支持構造(例えばマスクテーブルまたはマスク支持体)は、パターニングデバイスを支持する、つまりその重量を担う。支持体は、パターニングデバイスの方向、リソグラフィ装置の設計、および、例えばパターニングデバイスが真空環境に維持されるか否かなどの他の条件により決まる方法でパターニングデバイスを保持する。パターニングデバイス支持構造は、パターニングデバイスを保持するために機械的、真空式、静電的、または他のクランプ技法を使用できる。パターニングデバイス支持構造は、例えば、必要に応じて固定することも動かすこともできるフレームまたはテーブルであってよい。パターニングデバイス支持構造は、パターニングデバイスが、例えば投影システムに関して確実に所望の位置にくるようにすることができる。本明細書で用語「レチクル」または「マスク」を用いる場合はどれも、より一般的な用語「パターニングデバイス」と同義と見なされてよい。
[0024] 本明細書で用いられる用語「パターニングデバイス」は、基板のターゲット部分にパターンを生成するために、放射ビームに対してその断面内にパターンを与えるように使用できる任意のデバイスを指すものと広く解釈されるべきである。放射ビームに与えられたパターンは、例えば、パターンが位相シフトフィーチャ、つまりいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合があることに留意されたい。一般に、放射ビームに与えられたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に生成されるデバイス中の特定の機能層に一致することになる。
[0025] パターニングデバイスは、透過型でも反射型でもよい。パターニングデバイスの例には、マスク、プログラマブルミラーアレー、およびプログラマブルLCDパネルを含む。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリ、レベンソン型(Alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(Attenuated)位相シフトなどの種類のマスクならびに様々な種類のハイブリッドマスクを含む。プログラマブルミラーアレーの例は、それぞれが入射してくる放射ビームを別の方向に反射するように個々に傾斜可能である小さなミラーのマトリックス配列を使用する。この傾斜したミラーが、ミラーマトリックスによって反射された放射ビーム内にパターンを与える。
[0026] 本明細書で使用される用語「投影システム」は、屈折式、反射式、反射屈折式、磁気的、電磁気的、および静電的光学システム、あるいは、使用される露光放射に適した、または液浸液を使用するのか、真空を使用するのかなど他の要因に適した、それらの任意の組合せをも含む、どんな種類の投影システムも包含するものと広く解釈されるべきである。本明細書で、用語「投影レンズ」を用いる場合はどれも、より一般的な用語「投影システム」と同義と見なされてよい。
[0027] 本明細書に図示したように、装置は透過型(例えば、透過マスクを使用する)である。代替的に装置は反射型(例えば、上で参照したような型のプログラマブルミラーアレーを使用するか、反射マスクを使用する)でもよい。
[0028] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)、またはそれより多い基板テーブルまたは「基板支持体」(および/または、2つ以上のパターニングデバイステーブルまたは「パターニングデバイス支持体」)を有する形式でもよい。このような「マルチステージ」の機械では追加のテーブルまたは支持体は並行して使用されてよく、つまり、予備的なステップが1つまたは複数のテーブルまたは支持体上で実行され、一方、他の1つまたは複数のテーブルまたは支持体が露光のために使用されてよい。
[0029] リソグラフィ装置は、投影システムと基板の間の空間を満たすために、少なくとも基板の一部分が相対的に高い屈折率を有する液体、例えば水によって覆われることがある形式のものでもよい。液浸液は、リソグラフィ装置内の他の空間、例えばマスクと投影システムの間に与えられてもよい。液浸技法は、投影システムの開口数を増加させるために使用されてよい。本明細書で用いられる用語「液浸」は、一構成、例えば基板が、液体中に浸漬されなければならないことを意味するのでなく、むしろ露光の間に投影システムと基板の間に液体が配置されることだけを意味する。
[0030] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受け取る。光源およびリソグラフィ装置は、例えば光源がエキシマレーザである場合は、別々の要素であってよい。そのような場合は、光源が、リソグラフィ装置の部分を形成すると見なされず、放射ビームは、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って光源SOからイルミネータILへ送達される。他の場合では、例えば、光源が水銀ランプである場合、光源は、一体型リソグラフィ装置の一部であってよい。光源SOおよびイルミネータILは、必要に応じてビームデリバリシステムBDと共に、放射システムと呼ばれてよい。
[0031] イルミネータILは、放射ビームの角度強度分布を調整するように構成されたアジャスタADを含んでよい。一般に、イルミネータの瞳面内での強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ−outer、およびσ−innerと呼ばれる)が調整されてよい。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの種々な他の要素を含んでよい。イルミネータは、その断面内に所望の均一性と強度分布を有するように放射ビームを調整するのに使用されてよい。
[0032] 放射ビームBは、パターニングデバイス支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射し、パターニングデバイスによってパターニングされる。パターニングデバイスMAを横断して、放射ビームBは、基板Wのターゲット部分Cの上にビームを焦点合せする投影システムPSを通過する。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または容量センサ)を使って、基板テーブルWTが、例えば放射ビームBの経路内に別のターゲット部分Cを位置決めするために、正確に移動されてよい。同様に、第1位置決めデバイスPMおよび別の位置センサ(図1には明示されてない)が、例えばマスクライブラリから機械的に検索した後、またはスキャンの間に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めするために使用されてよい。一般に、パターニングデバイステーブルMTの移動は、第1位置決めデバイスPMの部分を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って実現されてよい。同様に、基板テーブルWTまたは「基板支持体」の移動は、第2位置決め装置PWの部分を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを用いて実現することができる。ステッパの場合には(スキャナとは違って)パターニングデバイステーブルMTは、ショートストロークアクチュエータだけに接続され、あるいは固定されてもよい。パターニングデバイスMAと基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と基板アライメントマークP1、P2を用いて位置合せ可能である。図示したように基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占めているが、それらはターゲット部分の間のスペースに配置されてもよい(これらは、スクライブレーンアライメントマークとして既知である)。同様に、パターニングデバイスMA上に複数のダイが提供される場合には、マスクアライメントマークがダイの間に配置されてよい。
[0033] 図示した装置は以下のモードの少なくとも1つで使用されてよい。
[0034] 1.ステップモードでは、パターニングデバイステーブルMTもしくは「パターニングデバイス支持体」および基板テーブルWTもしくは「基板支持体」は本質的に静止状態に維持され、一方、放射ビームに与えられた全パターンが一挙にターゲット部分C上に投影(すなわち、単一静止露光)される。次いで、基板テーブルWTもしくは「基板支持体」が、別のターゲット部分Cが露光可能となるようにXおよび/またはY方向に位置を変えられる。ステップモードでは、露光フィールドの最大寸法が、単一静止露光で像を形成されるターゲット部分Cの寸法を制限する。
[0035] 2.スキャンモードでは、パターニングデバイステーブルMTもしくは「パターニングデバイス支持体」および基板テーブルWTもしくは「基板支持体」は、同期してスキャンされ、一方、放射ビームに与えられたパターンがターゲット部分C上に投影される(すなわち、単一動的露光)。パターニングデバイステーブルMTもしくは「パターニングデバイス」に対する基板テーブルWTもしくは「基板支持体」の速度および方向は、投影システムPSの拡大(縮小)率およびイメージ反転特性によって決定されてよい。スキャンモードでは、露光フィールドの最大寸法が、単一動的露光内のターゲット部分の幅(非スキャン方向の)を制限し、一方、スキャン動作の長さが、ターゲット部分の高さ(スキャン方向の)を決定する。
[0036] 3.別のモードでは、パターニングデバイステーブルMTもしくは「パターニングデバイス支持体」が、プログラマブルパターニングデバイスを本質的に静止状態に保持し続け、基板テーブルWTもしくは「基板支持体」が移動され、またはスキャンされ、一方、放射ビームに与えられたパターンがターゲット部分Cの上に投影される。このモードでは、一般にパルス放射源が使用され、基板テーブルWTもしくは「基板支持体」の各移動後、あるいはスキャンの間の連続する放射パルスの合間に、必要に応じてプログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、上で参照したような型のプログラマブルミラーアレーなど、プログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に利用可能である。
[0037] 前述の使用モードについての組合せ、および/または変形形態、あるいはまったく異なる使用モードが利用されてもよい。
[0038] 次に反復学習制御の動作原理が、単一入力、単一出力(SISO)制御システムのフレームワークの中で説明されることになる。反復学習制御は、以後ILCと略記されることがある。学習構成内にフィードフォワードFおよびILC制御器を有し、ショートストロークパターニングデバイスステージなどのプロセスPを制御するフィードバック制御器Cを含む制御方式が、図2に図示されている。以下でもっと詳細に説明されるように誤差信号eは設定値rと測定された位置yの間の差異として決定される。この誤差eが、フィードバック制御器C内に送り込まれる。この例ではフィードフォワード制御器Fは加速度およびスナップフィードフォワードの組合せからなりフィードフォワード信号fffを提供する。ILC制御器はフィードフォワード出力信号を、この例では前もって測定された誤差に基づいてオフラインで力の信号filcを計算する。動作中に、この力がフィードフォワードFからのフィードフォワード力に加算され、さらに最適化されたフィードフォワード動作になる。学習された力filcは所与の設定値rに対して学習されており、したがって、この学習された設定値に一致する設定値rが印加される場合には、動作の間、望ましいフィードフォワードを提供できる。しかし、別の設定値が印加される場合には、学習されたフィードフォワードは、次善の解を提供できる。
[0039] 次に、図3Aおよび3Bを参照して反復学習制御の原理をもう少し詳しく説明しよう。図3Aは、反復(学習)ドメイン内のいわゆる持上げILC制御器を図示している。ここで、eはk番目の反復の誤差信号に対する行列を表し、Lは学習行列、Z−1は1反復時間遅延演算子、Iはユニタリー行列を表し、Pは、
Figure 2008199020
の形の行列を表す。ここでh、...、hは、いわゆるマルコフ(Markov)パラメータである。行列Pはテプリッツ(Toeplitz)構造を有し、プロセスPのプロセス感度動特性を表し、Sは感度動特性のテプリッツ行列を表す。
[0040] 各反復において、誤差を相殺するようにもっと適切なILC出力信号を学習することによって誤差はさらに低減される。この誤差は、反復ドメイン(試行ドメインとして既知でもある)内の以下の誤差方程式、
k+1=S(r−d)−Pk+1
k+1=S(r−d)−P(f+Le
k+1=e−PLe
k+1=(I−PL)e
により表現できる。上記プロセスは、設定値信号が100で制御システムに印加され、それによってフィードフォワード出力信号として、フィードフォワード出力信号の近似を生じることを示している図3Bに概略的に図示される。したがって110では、制御システムの誤差信号が記録される。次に、120では、フィードフォワード出力信号の誤差信号および近似からフィードフォワード出力信号の次の、または後続の近似が決定される。図3Bにループ100、110および120で示されたように、次の、または次の反復におけるフィードフォワード出力信号の近似として、フィードフォワード出力信号のそれぞれ次の、つまり後続の近似を適用するステップが反復して繰り返されてよい。前もって決定された基準(反復の数、収束基準値または任意の他の適切な基準値など)が満たされた後、その最後の反復で決定された近似がフィードフォワード出力信号として提供される。
[0041] 用語、設定値または設定値プロファイルは、ある時間にわたる設定値、例えば、ある一連の時間の設定値信号値として理解されるべきであることに留意されたい。例えば、制御システムがステージ制御システムを含むこの例では、設定値は例えば、一連の加速度、一定スキャン速度および減速度を含むステップアンドスキャン動作を表すプロファイルを含んでよい。設定値は、位置、速度、加速度等などの複数の関係する量の単一数量を含んでよい。
[0042] 用語フィードフォワード出力信号は、やはり、時間にわたる出力信号、例えば、一連の時間のフィードフォワード信号値として理解されてよい。
[0043] ILCは、特定の設定値に対してフィードフォワード出力信号を収束させるために使用されてよい。したがって学習されたフィードフォワード出力信号は、例えば、学習された設定値に伴って生じた誤差を考慮するように学習された一連の時間のフィードフォワード出力値を形成するので、このフィードフォワード出力信号は、一般に他の設定値に対して最適でない。
[0044] 上記に対処するために、設定値とILC出力信号の間の伝達関数としてフィルタなどの伝達関数の適用が提案される。伝達関数は、学習されたILCフィードフォワード信号と、ILC信号の学習の間に印加された設定値信号から決定されてよい。そのような関係を決定した後は、学習の間に印加された設定値に与えられたフィードフォワードの適用を可能にするだけでなく、他方では、設定値信号と伝達関数からフィードフォワード信号を決定することによって他の設定値信号に対しフィードフォワード信号を適用することを可能にする。それによって、設定値変動に対する感度が低減可能になるのに対し、ILC出力信号の一連の時間を蓄積している、蓄積されたILC出力信号テーブルと比較すればILCの実行も達成できる。
[0045] 例として、この関係は有限インパルス応答フィルタなどのフィルタを含んでよい。
[0046] 他の関係では、自己回帰(ARX)、無限インパルス応答(IIR)、ウェーブレットまたはフーリエ変換タイプであってよい。上記の一例が、その関係として有限インパルス応答フィルタを適用しながら、以下に提供されることになる。
[0047] 一般的に言えば、離散的時間のドメインでは、有限インパルス応答フィルタは複数の係数から構成でき、この係数は、設定値の一連の時間内の異なる順番の所で複数の設定値と連携して所与の時機にフィードフォワード信号値を提供する。
[0048] 離散時間では、上記は
Figure 2008199020
のように書くことができ、ここで、fは(サンプル)時間kでのフィードフォワード出力信号を表し、rk+n1はサンプル時間k+n1での設定値を表し、rk−n2はサンプル時間k−n2での設定値を表し、g−n1はフィルタ係数−n1を表し、さらにgn2はフィルタ係数n2を表す。この例では、fはrk+n1の関数であるので、写像は非因果的であることに留意されたい。この例では、フィルタの非因果的部分はn1であり、それに対し因果的部分はn2である。上の式は、やはり複数の和として、
Figure 2008199020
のように書ける。設定値データを含むToeplitz行列R、学習されたフィードフォワード信号を含むベクトルfおよびフィルタ係数を有するベクトルgを用いる行列形式では、
Figure 2008199020
または、
f=R・g
簡単に言えば、今、一組の方程式が、未知変数より多い数の方程式を与えて、獲得された。これは、種々のサンプル時間での設定値が既知であり、それに対し反復して学習されたフィードフォワード信号もまた既知であるからである。したがって、未知変数、すなわちフィルタ係数が、データ点に含まれるノイズの低減と共にそこから決定できる。
[0049] 行列計算を用い、正規方程式に基づく線形最小自乗近似を用いると上記行列方程式は解くことができる。
g=(RR)−1
係数g(i)が決定されると、設定値rとフィードフォワード出力信号の間の一般的関係が決まってくる。好ましくは、k>>n(kはnより十分大きい)、言い換えると、設定値の離散時間設定値出力値の全体の数は、決定される関係中の係数の数より大きい(好ましくは、もっとずっと大きい)。したがって、上で説明した可能な利点とは別に、実施する視点から有益であり得るデータ量に減らすことが実現可能になる。
[0050] 図5Bを参照すると、説明したプロセスを、所与の設定値信号に対し制御システムのフィードフォワード出力信号を反復学習制御によって反復して学習するステップ(ブロック200)と、学習されたフィードフォワード出力信号と設定値信号の間の関係を決定するステップ(ブロック210)と、制御システムのフィードフォワード伝達関数としてこの関係を適用するステップ(ブロック220)によって要約することができる。
[0051] 設定値信号と学習されたフィードフォワード出力信号の間で決定された関係は、上の例では有限インパルス応答(FIRと略記する)フィルタを形成するが、図4に示したように既知のフィードフォワードFに並列にFIRフィルタFfirを有するフィードフォワード制御器において適用できる。デュアルフィードフォワードを用いると、学習されたフィードフォワードから導かれたFIRフィルタが既知のフィードフォワードから残留誤差を減少させる機能を果たすことになるので、精度が改善できる。FIRフィルタはプログラムするのが容易であり、また本質的に安定であってよい。他の例では、FIRフィルタが単独のフィードフォワードとして使用されてよい。
[0052] FIRフィルタFfirは、1サンプル時間遅延演算子を表すZ−1、その逆、つまり1サンプル時間進め演算子を表すZ、および有限インパルス応答フィルタの係数を表す係数gと共に、図5Aに概略的に示したような構造を含んでよい。
[0053] FIR形式において関係を決定する場合、係数の数の推定は、反復して決定されるフィードフォワード出力信号から時間長さ(つまりサンプル時間の数で表される)を導くことによって行うことができる。反復して学習された出力信号が参照信号の値の変化に応答を示す場合、そこから応答するサンプル時間の数で時間長さが導き出せ、有限インパルス応答フィルタの時間長さとして適用される。離散時間ドメインでは、時間長さは、サンプル時間のサンプル番号の数(したがって図5Aに図示された単位時間遅延演算子の単位遅延時間の数)で表すことができ、係数の数と、したがって有限インパルス応答フィルタなどの関係の時間長さを与える。有限インパルス応答フィルタが非因果的に行われることがある場合、つまり反復して学習されたフィードフォワード出力信号が、設定値信号の変化を予知するように見える場合にも時間長さは決定でき、この予知の非因果的時間長さが、そのような非因果性を表す係数の数を決定するために用いられてよい。例として、設定値信号におけるステップ応答により、結果的に、フィードフォワード出力信号を与える反復して学習されたフィードフォワードが、そのようなステップより前の5サンプル時間にステップ応答に反応し始め、そのステップの後、10サンプル時間アクティブを維持するようになると仮定すると、関係は15係数を持つように規定され、5非因果的および10因果的係数を有するFIRフィルタを形成できる。
[0054] 非因果的フィルタの始動の場合は、過去からの設定値が必要になることになり、それが利用できない場合もある。おそらく未知のまたは入手できない過去からの設定値信号値rに対しゼロを挿入でき、右上三角行列のRにゼロを埋める。
[0055] 非因果的フィルタリングを実行できるためには、設定値rが、前もって数サンプル既知でなければならない。これは、実際に、設定値を数サンプル遅延させることによって、先に数サンプルを制御ループ中に送り込むか、あるいは設定値信号の一連の時間を読み出すことによって、先立って数サンプルを、さらに設定値信号を提供するために遅延させ、また、いくつかのサンプルを後で再度その順序で読み出すことによって実現できる。FIRフィルタは、それによって得られた時間差を非因果的になるように使用することができる。設定値信号の遅延の場合、始動の間に一度このような導入された遅延が生じるだけで、したがって、例えば、このようなフィードフォワードを備えたリソグラフィ装置の処理量に関し負の影響は持たない。
[0056] 一実施形態では、異なる設定値から反復して学習されたフィードフォワード出力信号は、FIRフィルタを決定するために使用できる。
Figure 2008199020
トレーニングデータとして異なる設定値を用いることが、異なる励振にわたる平均を与え、設定値の変動に対してフィルタを一層ロバストにする。
[0057] したがって一実施形態では、それぞれの設定値信号に対しそれぞれ反復して学習された2つ(以上)のフィードフォワード出力信号が用いられてよい。したがって関係が、学習されたフィードフォワード信号とそれぞれの設定値信号から決定される。
[0058] 複数の設定値からフィードフォワードを学習するプロセスと、FIRフィルタをトレーニングするために学習されたデータを使用するステップが例を用いて以下に説明されることになる。この例では、レチクルステージのy方向位置決め制御システムが使用された。変動する速度および変位値を有する3つの異なる設定値が、フィルタをトレーニングするために用いられる。
Figure 2008199020
したがって、フィルタ性能が、適切な確認がもたらされるようにトレーニング設定値から、速度、変位共に異なる設定値の所でテスト動作を用いて評価される。これらの変動は、実際に生じることがある予想される変動をカバーできる。結果は図6に示されている。設定値信号は、この例ではステージの加速度を表し、不連続な線によって表されている。参照として、最初の誤差が標準のフィードフォワードだけを用いてプロットされている。テスト設定値の所で15反復した後の追加的ILCフィードフォワード信号で達成された誤差もまた表示されている。直ちに学習されたフィードフォワードからFIRフィルタが上の手順に従って決定される。フィードフォワードとしてFIRフィルタ適用した後のトラッキング誤差が図15に、「Fir誤差」で表されている。FIRフィルタは性能を実現しており、別の言い方をすれば反復して学習されたフィードフォワード信号で達成できた残留誤差と同程度である残留誤差を提供することが確認でき、フィードフォワード出力信号を計算するために印加されるべき設定値信号がFIRフィルタに送り込まれたので、FIRフィルタが設定値信号の変動に対してフィードフォワードを一層ロバストにすることであってよい。
[0059] トレーニングされたフィルタ係数giが図7にプロットされており、非因果的部分n1=5、因果的部分n2=10を有し、全体で15係数を与える。
[0060] FIRフィルタが、その性能が評価されるのと同じ設定値でトレーニングされる場合、増加しているフィルタ次数がよりよい性能をもたらすことになる。したがって、より高い次数(n番目の)のフィルタはnサンプルのfilcデータを正確に再生することになる。しかし、そのような高次フィルタがトレーニング設定値とは異なる設定値で使用される場合には、フィルタ次数の最適条件が確認されてよい。この最適条件より上では、トレーニングデータはオーバフィットされ、その結果、時間内の遠く離れている設定値のデータが、時間内のある瞬間にフィードフォワードに対し該当して、フィルタ内で考慮されるのでより悪い性能になる。これは、測定された誤差のRMS値がフィルタの次数に対してプロットされている図8からも認めることができる。ここでは、FIRフィルタは3つの設定値からの固定されたデータセットでトレーニングされている。非因果的フィルタの次数は5サンプルに固定されている。因果的フィルタの次数は5〜400まで増やしている。最低の誤差が達成される最適条件は約10サンプルあたりに見える。
[0061] 上記は、設定値が変化する場合、つまりリソグラフィ装置のステージ位置決めの例では、ステージが異なる動きを実行する場合、学習されたデータの使用を可能にする。設定値変動に対してロバスト無しでは、ILCの使用は難しいことになり、それぞれ可能な設定値信号に関しフィードフォワードが学習されなければならなくなる。本明細書で説明した考えから、例えば、従来のフィードフォワード制御器に並列に追加可能な一般的FIRフィルタ付きで設定値の変動に対処する方法を提案する。FIRフィルタの単純な動作のために、実施することは比較的容易であってよい。実験では、ステージのスキャン方向で、実質的に、トラッキング誤差のゼロ整定時間が実現できることを示した。それにより、リソグラフィ装置の処理量が改善できる。
[0062] さらに位置依存の動特性を明らかにするために異なる位置依存のFIRフィルタを使用することが考慮されてよい。フィルタ係数自体は位置の陽関数(g(x,y))になってよい。したがって、すべてのフィルタ係数は各サンプル時間の間に更新され、その結果、位置依存フィルタとなる。限られた量のFIRフィルタの間では補間が可能である。
[0063] 上では、単一入力、単一出力システム(例えば、1次元のステージ位置決め)が説明されていたが、本明細書で説明した考えは、図9に関して図示されているように複数入力、複数出力制御システムに適用されてよい。そのような複数入力、複数出力制御システムでは、多数の(クロス)フィードフォワードが、クロストーク等などのクロス効果に対処するために提供されてよい。それぞれX、Y次元に、SPG−X、SPG−Yなどの設定値信号発生器からの、X、YおよびZ次元用のフィードフォワード信号が、それぞれフィードフォワードKffxx、Kffxy、Kffxz、および、それぞれKffyy、Kffyx、Kffyzによって獲得される。そのような構成は望むだけの多くの変数に拡張でき、それによってクロスフィードフォワードの数も制御されるべき変数(寸法、回転、位置、速度、加速度等)の増加と共に増加する可能性がある。そのようなシステムでは反復学習制御が、そのようなクロス効果を補償するようにフィードフォワードを獲得するための適切な方法を提供することになる。しかし、複数の入力および複数の出力が、さらに多くの対処すべき異なる状況(設定値、出力等の組合せ)を招くことになるため、非常に多くの状況が起こり得る。したがって、そのようなシステムの実施を複雑で難しくする可能性のある、多くの異なる状況を学習しなければならなくなる。設定値変動に対するロバスト性により、本明細書で説明した原理は、ここで適切なフィードフォワード補償を提供できる。
[0064] 図10を参照して説明するようにさらなる実施形態では、2つのフィードフォワード出力信号FF1、FF2が、図5Bのブロック200に従って、それぞれ逆の極性、方向(または、設定値信号の他のパラメータ、それによって例えばステージ位置決めシステムの方向の差異が考慮されてよい)に対して、反復して学習された。図5Bによるブロック210、220に示したプロセスが、フィードフォワード出力信号FF1、FF2の両方に対して実施され、また、それらの設定値信号Rのそれぞれの値が、それによって、設定値信号のそれぞれの極性に対して制御システムのそれぞれのフィードフォワード伝達関数を提供する。極性、方向または設定値信号の他のパラメータにより決まるフィードフォワード信号FF1、FF2のどちらか1つを選択するために、セレクタが提供され、それによって設定値信号の符号/極性により決まる異なるフィルタを提供することができる。別に、両方のフィルタ出力が図10のΣによって示された加算器により加算され、それによってフィルタの入力が切り替えられる(おそらく初期化エラーに帰する)場合に起こることになる、初期化効果が大部分防止できる。したがって、設定値変動に対してロバストであるフィードフォワードが提供でき、一方、異なる設定値信号の極性に対して学習された差異も考慮される。同様にそのような極性は、加速度の微分(ジャーク)の極性により、単一の加速度段階において考慮されることがある。
[0065] 学習されたフィードフォワード信号および対応する設定値信号についてフィルタ関係をフィッティングするプロセスと異なり、フィルタgは別に直接、測定された誤差信号および対応する設定値信号から決定でき、それによって学習プロセスを省略できる。最小自乗法問題はトラッキング誤差により以下のように書き直すことができる。
e=P・R・g
ここで、行列Pはプロセス感度動特性を表すToeplitz行列である。
[0066] 上で概要を述べたように、本明細書で説明したフィードフォワードは、例えば図1を参照して説明したようなリソグラフィ装置において、例えば、それの説明したステップを実行する適切なプログラム命令を備えた処理デバイスを有し、それにより例えば基板ステージWTまたはパターニングデバイステーブルMTなどのステージの位置量(例えば、位置、速度、加速度、および/またはジャーク)を制御する制御システムを提供することによって実施することができる。
[0067] 本発明の実施形態は、半導体デバイス、処理ユニット、集積回路、電子装置等、などのデバイスを製造するためのデバイス製造方法においてさらに実施でき、その方法は、パターニングデバイスMAから基板W上に照射ビームによってパターンを投影するステップと、照射された基板Wを現像するステップと、現像された基板からデバイスを製造するステップとを含み、パターニングデバイスMAおよび基板Wの少なくとも1つがステージ(例えば、それぞれパターニングデバイステーブルMTおよび基板テーブルWT)によって保持され、ステージの位置がフィードフォワード伝達関数を有する制御システムによって制御され、フィードフォワード伝達関数が、a)所与の設定値信号に対し制御システムのフィードフォワード出力信号を反復学習制御によって反復して学習するステップ(200)と、b)学習されたフィードフォワード出力信号と設定値信号の間の関係を決定するステップ(210)と、c)制御システムのフィードフォワード伝達関数としてこの関係を適用するステップ(220)によって決定されるデバイス製造方法が提供されている。
[0068] 本発明の実施形態は、リソグラフィの文脈、および特にステージ位置決めの文脈で上述されたが、任意の他の正確に制御された応用が本明細書で説明した本発明から利益を受けることがある。
[0069] 本明細書では、IC製造でのリソグラフィ装置の使用に対し特定の参照が為されてよいが、本明細書で説明したリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスおよびディテクションパターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造など、他の適用例も有してよいことを理解されたい。そのような代替の適用例の文脈では、本明細書で用語「ウェーハ」または「ダイ」を用いる場合はいずれもより一般的な用語「基板」または「ターゲット部分」とそれぞれ同義と見なされてよいことを当業者は理解されたい。本明細書で言う「基板」は、露光前にまたはその後に、例えばトラック(track)(一般的に基板にレジスト層を付け、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジーツールおよび/またはインスペクションツール内で処理されてよい。適用可能である場合には、本発明の開示は、そのようなおよび他の基板処理ツールに適用されてよい。さらに、基板は2回以上、例えば多層ICを生成するために処理されてよく、したがって本明細書で用いられる用語、基板は、既に複数の処理された層を含む基板を指すこともある。
[0070] 本発明の実施形態の使用に対して、光リソグラフィの文脈で特定の参照が上の方で為されたかもしれないが、本発明は他の適用例、例えばインプリントリソグラフィに使用されることがあり、また文脈が許せば光リソグラフィに限られないことも理解されるであろう。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に生成されるパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィが、基板に供給されたレジスト層中に押し付けられ、基板上のレジストは電磁放射、熱、圧力またはそれらの組合せを加えることによって硬化させられてよい。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、そこにパターンを残してレジストから取り外される。
[0071] 本明細書で用いられる用語「放射」および「ビーム」は、紫外(UV)放射(例えば、それぞれ365nm、248nm、193nm、157nm、もしくは126nmの波長、またはほぼこれらの波長を有する)および極端紫外(EUV)放射(例えば、5nm〜20nmの範囲の波長を有する)ならびにイオンビームまたは電子ビームなどの粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含する。
[0072] 用語「レンズ」は、文脈が許せば、屈折式、反射式、磁気的、電磁気的および静電的光学コンポーネントを含む任意の1つまたは様々な種類の光学コンポーネントの組合せを指すことがある。
[0073] 本発明の特定の実施形態が前述されてきたが、本発明は説明されたのとは別の方法で実施できることを理解されるであろう。例えば、本発明は、上で開示した方法を記述する機械読取可能な1つまたは複数のシーケンスの命令を含むコンピュータプログラム、あるいはそうしたコンピュータプログラムが中に記憶されたデータ記憶媒体(例えば半導体メモリ、磁気または光ディスク)の形をとることがある。
[0074] 前述の説明は、例示を意図したものであって、限定するものでない。したがって、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、説明された本発明に対して変更が為され得ることは当業者には明らかであろう。
[0011]本発明の実施形態によるリソグラフィ装置の図である。 [0012]フィードフォワード出力信号を反復学習する制御システムを表すブロック線図である。 [0013]反復学習制御を説明する制御ブロック線図および流れ図である。 [0013]反復学習制御を説明する制御ブロック線図および流れ図である。 [0014]デュアルフィードフォワード経路を含む制御システムを表すブロック線図である。 [0015]有限インパルス応答フィルタを表すブロック線図および有限インパルス応答または他の関係を決定するアクションを示す流れ図である。 [0015]有限インパルス応答フィルタを表すブロック線図および有限インパルス応答または他の関係を決定するアクションを示す流れ図である。 [0016]ステージ位置決め装置の例の濾過されていない誤差と力の時間に対するグラフである。 [0017]有限インパルス応答フィルタのフィルタ係数の図である。 [0018]残留誤差と有限インパルス応答フィルタの次数の間の関係を示す図である。 [0019]複数入力、複数出力の制御システムのフィードフォワードを示す図である。 [0020]本発明の実施形態の部分を形成するフィードフォワードの極めて概略的な制御ブロック線図である。

Claims (29)

  1. リソグラフィ装置内の制御システムのフィードフォワード伝達関数を決定する方法であって、
    a)所与の設定値信号に対し反復学習制御を用いて前記制御システムのフィードフォワード出力信号を反復して学習すること、
    b)前記学習されたフィードフォワード出力信号と前記設定値信号の間の関係を決定すること、および、
    c)前記制御システムの前記フィードフォワード伝達関数として前記関係を適用すること
    を含む、方法。
  2. a)が、
    a1)前記制御システムに前記設定値信号を印加し、それによって前記フィードフォワード出力信号として前記フィードフォワード出力信号の近似を提供すること、
    a2)前記制御システムの誤差信号を記録すること
    a3)前記誤差信号および前記フィードフォワード出力信号の前記近似から前記フィードフォワード出力信号の後続の近似を決定すること、
    a4)後続の繰返しの中で前記フィードフォワード出力信号の前記近似として前記フィードフォワード出力信号のそれぞれの後続の近似を適用する、a1)、a2)およびa3)を反復して繰り返すこと、および、
    a5)最後の繰返しにおいて決定された前記フィードフォワード出力信号の前記近似を前記フィードフォワード出力信号として提供すること
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記関係が有限インパルス応答フィルタを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記有限インパルス応答フィルタの時間長さが、前記学習されたフィードフォワード出力信号の時間長さから導かれる、請求項3に記載の方法。
  5. a)少なくとも2つのフィードフォワード出力信号が、2つのそれぞれの設定値信号に対して反復して学習され、
    b)前記関係が、前記少なくとも2つの反復して学習されたフィードフォワード信号と前記それぞれの設定値信号から決定される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記関係が非因果的関係を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 2つのフィードフォワード出力信号が、それぞれの反対の極性の前記設定値信号に対してa)において反復して学習され、それぞれの極性の前記設定値信号に対して前記制御システムのそれぞれのフィードフォワード伝達関数を提供するために、b)およびc)が、両方のフィードフォワード出力信号およびそれらのそれぞれの設定値信号に対して実行される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記制御システムがステージ制御システムを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記制御システムが、複数入力複数出力制御システムを含み、前記制御システムの前記フィードフォワード伝達関数が、前記複数入力複数出力制御システム内のクロスフィードフォワード伝達関数を含む、請求項1に記載の方法。
  10. 制御システムのフィードフォワード伝達関数を決定する処理デバイスを含むリソグラフィ装置であって、前記処理デバイスが、
    a)所与の設定値信号に対し反復学習制御を用いて、前記制御システムのフィードフォワード出力信号を反復して学習し、
    b)前記学習されたフィードフォワード出力信号と前記設定値信号の間の関係を決定し、
    c)前記制御システムの前記フィードフォワード伝達関数として前記関係を適用する、プログラム命令を含む、リソグラフィ装置。
  11. 前記処理デバイスが、
    a1)前記制御システムに前記設定値信号を印加し、それによって前記フィードフォワード出力信号として前記フィードフォワード出力信号の近似を提供すること、
    a2)前記制御システムの誤差信号を記録すること
    a3)前記誤差信号および前記フィードフォワード出力信号の前記近似から前記フィードフォワード出力信号の後続の近似を決定すること、
    a4)後続の繰返しの中で前記フィードフォワード出力信号の前記近似として前記フィードフォワード出力信号のそれぞれの次の近似を適用する、a1)、a2)およびa3)を反復して繰り返すこと、ならびに、
    a5)最後の繰返しにおいて決定された前記フィードフォワード出力信号の前記近似を前記フィードフォワード出力信号として提供すること
    を含む方法によりa)が実行されるように構成される、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  12. 前記関係が有限インパルス応答フィルタを含む、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  13. 前記処理デバイスが、前記学習されたフィードフォワード出力信号の時間長さから導かれる前記有限インパルス応答フィルタの時間長さを有するようにプログラムされる、請求項12に記載のリソグラフィ装置。
  14. 前記処理デバイスが、a)において、2つのそれぞれの設定値信号に対して少なくとも2つのフィードフォワード出力信号を反復して学習するように、かつb)において、前記少なくとも2つの反復して学習されたフィードフォワード信号と前記それぞれの設定値信号から前記関係を決定するようにプログラムされる、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  15. 前記関係が非因果的フィルタを含むように前記処理デバイスが構成される、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  16. 前記処理デバイスが、a)においてそれぞれの反対の極性の前記設定値信号に対して反復して学習される2つのフィードフォワード出力信号を有するように構成され、それぞれの極性の前記設定値信号に対して前記制御システムのそれぞれのフィードフォワード伝達関数を提供するために、b)およびc)が両方のフィードフォワード出力信号およびそれらのそれぞれの設定値信号に対して実行される、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  17. 前記制御システムがステージ制御システムを含む、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  18. 前記制御システムが、複数入力複数出力制御システムを含み、前記フィードフォワード伝達関数が、前記複数入力複数出力制御システム内のクロスフィードフォワード伝達関数を含む、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  19. 放射ビームを調整するように構成される照明システムと、
    パターニングされた放射ビームを形成するために前記放射ビームに対してその断面内にパターンを付与可能であるパターニングデバイスを支持するように構成される、パターニングデバイス支持体と、
    基板を保持するように構成される基板支持体と、
    前記基板のターゲット部分上に前記パターニングされた放射ビームを投影するように構成される投影システムと
    をさらに含む、請求項10に記載のリソグラフィ装置。
  20. 前記制御システムがステージの位置量を制御するためのステージ制御システムを含み、前記ステージが前記支持体の1つを含む、請求項19に記載のリソグラフィ装置。
  21. パターニングデバイスを用いて放射ビームをパターニングすること、
    基板上に前記パターニングされた放射ビームを投影すること、
    投影されたパターン付き放射ビームが照射された前記基板を現像すること、および、
    前記現像された基板からデバイスを製造すること
    を含み、
    前記パターニングデバイスまたは前記基板の少なくとも1つがステージによって保持され、前記ステージの位置がフィードフォワード伝達関数を含む制御システムによって制御され、前記フィードフォワード伝達関数が、
    a)所与の設定値信号に対し反復学習制御を用いて前記制御システムのフィードフォワード出力信号を反復して学習すること、
    b)前記学習されたフィードフォワード出力信号と前記設定値信号の間の関係を決定すること、および、
    c)前記制御システムの前記フィードフォワード伝達関数として前記関係を適用することによって決定される、デバイス製造方法。
  22. a)が、
    a1)前記制御システムに前記設定値信号を印加し、それによって前記フィードフォワード出力信号として前記フィードフォワード出力信号の近似を提供すること、
    a2)前記制御信号の誤差信号を記録すること、
    a3)前記誤差信号および前記フィードフォワード出力信号の前記近似から前記フィードフォワード出力信号の後続の近似を決定すること、
    a4)後続の繰返しの中で前記フィードフォワード出力信号の前記近似として前記フィードフォワード出力信号のそれぞれの次の近似を適用する、a1)、a2)およびa3)を反復して繰り返すこと、および、
    a5)最後の繰返しにおいて決定された前記フィードフォワード出力信号の前記近似を前記フィードフォワード出力信号として提供すること
    を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記関係が有限インパルス応答フィルタを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記有限インパルス応答フィルタの時間長さが、前記学習されたフィードフォワード出力信号の時間長さから導かれる、請求項21に記載の方法。
  25. a)において、少なくとも2つのフィードフォワード出力信号が2つのそれぞれの設定値信号に対して反復して学習され、b)において前記関係が、前記少なくとも2つの反復して学習されたフィードフォワード信号と前記それぞれの設定値信号から決定される、請求項21に記載の方法。
  26. 前記関係が非因果的関係を含む、請求項21に記載の方法。
  27. 2つのフィードフォワード出力信号が、a)において、それぞれの反対の極性の前記設定値信号に対して反復して学習されており、それぞれの極性の前記設定値信号に対して前記制御システムのそれぞれのフィードフォワード伝達関数を提供するために、b)およびc)が、両方のフィードフォワード出力信号およびそれらのそれぞれの設定値信号に対して実行される、請求項21に記載の方法。
  28. 前記制御システムがステージ制御システムを含む、請求項21に記載の方法。
  29. 前記制御システムが、複数入力複数出力制御システムを含み、前記フィードフォワード伝達関数が、前記複数入力複数出力制御システム内のクロスフィードフォワード伝達関数を含む、請求項21に記載の方法。
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