JP2005322720A - ステージ制御装置及び方法、露光装置及び方法、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ステージの駆動条件又は負荷条件が変動してもフィードフォワード制御に係るパラメータを最適化することで、整定時間を短縮することができるステージ制御装置等を提供する。
【解決手段】 制御装置33に設けられた加速度FFコントローラ62は、レチクルステージRSについて加速度フィードフォワード制御する。更新部64は、基準信号R2とレーザ干渉計IFの帰還信号FS2との差である誤差信号ES2に基づいて、加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータを更新する。具体的には、レチクルステージRSの走査毎の整定時間内における位置誤差の総和に応じてパラメータを更新し、又は走査中において位置誤差ES2を時間微分して得られる速度追従誤差に応じてパラメータを更新する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、マスク(レチクル)、基板(プレート)等の移動対象物を載置した状態で移動可能に構成されたステージの動作を制御するステージ制御装置及び方法、当該装置及び方法を用いる露光装置及び露光方法、並びに当該露光装置及び方法を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
半導体素子、液晶表示素子、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子、薄膜磁気ヘッド、その他の各種デバイスの製造工程の1つとして設けられるフォトリソグラフィ工程では、マスク又はレチクルに形成されたパターンを、投影光学系を介してフォトレジストが塗布されたガラスプレート又はウェハ等の基板に転写する露光装置が用いられている。従来から種々の露光装置が案出されているが、近年においては、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(ステッパー)又はステップ・アンド・スキャン方式の露光装置が用いられることが多くなっている。
ステッパーは、レチクルに形成されたパターンを基板上に設定された各ショット領域に一括して縮小投影し、1つのショット領域に対するパターンの転写が終了すると基板をステップ移動させて他のショット領域へのパターン転写を行う露光装置である。また、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置は、スリット状の露光光をレチクルに照射している状態で、レチクルと基板とを投影光学系に対して互いに同期移動させつつレチクルに形成されたパターンの一部を基板のショット領域に逐次転写し、1つのショット領域に対するパターンの転写が終了すると基板をステップ移動させて他のショット領域へのパターン転写を行う露光装置である。
上記のステップ・アンド・スキャン方式の露光装置において、スループット(単位時間当たり露光処理することができる基板の枚数)を向上させるためには、レチクルを載置するレチクルステージ及び基板を載置する基板ステージ各々の加速を終えてから各ステージの振動(目標位置に対する位置誤差)が収まって各々の速度が一定になるまでに要する時間(整定時間)を短縮する必要がある。また、基板ステージをステップ移動させる場合の整定時間を短縮する必要もある。
ステージ各々の位置情報をフィードバックして制御する制御方式では整定時間の短縮に限界があるため、近年においては上記のフィードバック制御とフィードフォワード制御とを組み合わせた制御が用いられている。尚、フィードフォワード制御にも種々の制御方法があるが、ステージの加速度に関してフィードフォワード制御を行う場合が多い。従来のフィードフォワード制御については、例えば以下の特許文献1を参照されたい。
特開2002−073111号公報
ところで、従来のフィードフォワード制御においては、予め一定の条件の下で試験的にレチクルステージ及び基板ステージを移動させて調整されたパラメータを用いてフィードフォワード制御を行っている。このフィードフォワード制御に係るパラメータは、露光装置の立ち上げ時に一度決定されると、定期又は不定期のメンテナンス時等に変更されない限りは固定的なものである。
上記のフィードフォワード制御に係るパラメータは、上記の一定の条件下においては最適であるが、ステージの駆動条件又は負荷条件が変動すると最適なものではなくなる。これらの変動は、例えばステージの機械的特性の変化によって数ヶ月〜数年程度の時間間隔で生ずる長期的なものと、例えばステージに接続されるケーブル等の張力の変化によってパターン転写の最中に生ずる短期的なものがある。フィードフォワード制御は、端的にいうとある操作量を与えたときの応答量を予め予測して行う制御であるため、フィードフォワード制御に係るパラメータが最適でない場合には、目標位置に対する位置合わせ精度の悪化を招いてしまい整定時間を短縮することができないという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ステージの駆動条件又は負荷条件が変動してもフィードフォワード制御に係るパラメータを最適化することで、整定時間を短縮することができるステージ制御装置及び方法、当該装置又は方法を用いる露光装置及び方法、並びに当該露光装置又は方法を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のステージ制御装置は、物体(R)を保持した状態で移動可能に構成されたステージ(RS、RFS)を制御するステージ制御装置(33)であって、前記ステージの目標位置に基づいて前記ステージの加速度をフィードフォワード制御する加速度制御部(62)と、前記ステージの移動毎に、前記ステージの目標位置に対する前記ステージの位置誤差の積分値に基づいて、前記加速度制御部におけるフィードフォワード制御に係るパラメータを所定の関数に基づいて更新する更新部(64)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、ステージが移動される毎に、加速度制御部におけるフィードフォワード制御に係るパラメータが、ステージの目標位置に対するステージの位置誤差の積分値に基づき所定の関数により更新される。
また、本発明のステージ制御方法は、物体(R)を保持した状態で移動可能に構成されたステージ(RS、RFS)を制御するステージ制御方法であって、少なくとも前記ステージの加速度をフィードフォワード制御しつつ前記ステージを移動させる第1ステップ(S12)と、前記ステージを移動させる度に、前記ステージの目標位置に対する前記ステージの位置誤差の積分値を求める第2ステップ(S13)と、前記第2ステップの結果に基づいて前記フィードフォワード制御に係るパラメータを更新する第3ステップ(S14)とを含むことを特徴としている。
この発明によると、ステージを移動させる度に、ステージの目標位置に対するステージの位置誤差の積分値が求められ、この結果に基づいてフィードフォワード制御に係るパラメータが更新される。
また、本発明の露光装置は、マスク(R)のパターンを基板(P)上に露光する露光手段(14、30)と、前記マスクを保持するマスクステージ(RS、RFS)と、前記基板を保持する基板ステージ(PS)とを備える露光装置であって、前記基板ステージ及び前記マスクステージの少なくとも一方を前記ステージとして制御する上記のステージ制御装置を備えることを特徴としている。
この発明によると、マスクを保持するマスクステージと基板を保持する基板ステージとの少なくとも一方が上記のステージ装置の制御の下で走査される。
また、本発明の露光方法は、マスクステージ(RS、RFS)上に保持されたマスク(R)のパターンを、基板ステージ(PS)上に保持された基板上に露光する露光方法であって、上記のステージ制御方法を用いて、前記基板ステージ及び前記マスクステージの少なくとも一方を前記ステージとして制御するステップを含むことを特徴としている。
この発明によると、マスクを保持するマスクステージと基板を保持する基板ステージとの少なくとも一方が上記のステージ方法を用いて制御される。
また、本発明のデバイス製造方法は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、前記リソグラフィ工程において上記の露光装置又は上記の露光方法を用いて露光を行う露光工程(S1、S26)を含むことを特徴としている。
本発明によれば、加速度制御部におけるフィードフォワード制御に係るパラメータを、ステージの目標位置に対するステージの位置誤差の積分値に基づき所定の関数により更新しているため、ステージの駆動条件又は負荷条件が変動してもフィードフォワード制御に係るパラメータを最適化され、これによりステージの整定時間を短縮することができる。その結果として、デバイスを高スループットで効率的に製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるステージ制御装置及び方法、露光装置及び方法、並びにデバイス製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置の構成を示す正面図である。図1に示す露光装置は、液晶表示素子を製造するための露光装置であり、プレートPとレチクルRとを同期移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンを逐次プレートP上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影型の露光装置である。
尚、以下の説明においては、必要であれば図中にXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系は、X軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、Y軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、露光時におけるプレートP及びレチクルRの同期移動方向(走査方向)はX方向に設定されているものとする。
図1において、設置面11の上に4つ(図1では2つのみを図示)の防振装置(除振機構)12を介してベース部材(ベース又は定盤)13が設けられている。防振装置12は、ベース部材13の4隅付近にそれぞれ配置されており、特に限定はされないが、例えば空気式ダンパやダンピング液中に圧縮コイルバネを入れた機械式ダンパ等からなるパッシブ型のもの、ベース部材に設けられた不図示の振動検出器による検出信号に基づいて該振動を抑制するように変位されるアクチュエータを備えたアクティブ型のもの、或いはこれらの双方を備えたもの等が用いられる。ベース部材13は、石、セラミックス或いは鉄等の高剛性の部材から構成される。
ベース部材13の上には、その上部に投影光学系14を保持した第1コラム15が設けられており、第1コラム15の上には第2コラム(ベース又は定盤)16が設けられている。第2コラム16上にはパターンが形成されたマスクとしてのレチクルRを移動するための粗動ステージとしてのレチクル粗動ステージRCS及び微動ステージとしてのレチクル微動ステージRFSが設けられている。
また、ベース部材13上には、基板としてのプレートPを移動するための基板ステージとしてのプレートステージPSが設けられている。これにより、レチクルR及びプレートPは、投影光学系14の光軸に沿う方向(図1中のZ方向)の位置が互いに異なる面であって、この光軸に直交する面内で2次元方向(X方向及びY方向)に移動可能となっている。
本実施形態では露光装置の走査方向はX方向に設定してあるため、主としてレチクルR及びプレートPのX方向に関する駆動制御について説明する。レチクルR及びプレートPのY方向の位置決め制御並びにZ軸回りの回転方向(θ方向)及びXY平面に対する傾斜角の調節については通常通り容易に実施することができるので、その説明は省略する。
プレートステージPSは、固定子17と、固定子17に対してX方向に移動可能な可動子18と、可動子18上に取り付けられたステージ(プレートホルダ)19とを備えている。固定子17及びこれと協働する可動子18は、リニアモータにより提供され得る。特に、本実施形態では、固定子17はエアベアリング等によるスライド機構20によってベース部材13上でX方向に移動可能に設けられている。固定子17はベース部材13上に固定されていても良い。上面に感光剤が塗布されたプレートPは、例えばその裏面全体を吸引吸着されることによりステージ19上に保持される。尚、図1においては、可動子18及びステージ19が別の部材として図示されているが、これらは共通の部材により提供されても良い。
レチクル粗動ステージRCSは、固定子21と、固定子21に対してX方向に移動可能な可動子22と、可動子22上に取り付けられたステージ23とを備えている。固定子21及びこれと協働する可動子22は、リニアモータによって提供され得る。特に、この実施形態では、固定子21は、エアベアリング等を有するスライド機構24によって第2コラム16上でX方向に移動可能に設けられている。固定子21は第2コラム16上に固定されていても良い。尚、図1においては、可動子22及びステージ23が別部材として図示されているが、これらは共通の部材により提供されても良い。
レチクル微動ステージRFSは、レチクル粗動ステージRCSのステージ23上に設けられている。レチクル微動ステージRFSは、固定子25と、固定子25に対してX方向に移動可能に設けられた可動子26と、可動子26上に取り付けられたステージ(レチクルホルダ)27とを備えている。固定子25及びこれと協働する可動子26はリニアモータによって提供され得る。この実施形態では、固定子25はレチクル粗動ステージRCSのステージ23上に固定されている。
また、図1においては、可動子26及びステージ27が別部材として図示されているが、これらは共通の部材により提供されても良い。ステージ27は、その表面に転写すべきパターンが形成されたレチクルRをそのパターン形成面を下に向けた状態でその周辺部近傍を吸着保持する機能を有している。尚、上記レチクル粗動ステージRCS及びレチクル微動ステージRFSは、本発明にいうマスクステージに相当する。第2コラム16上には第3コラム29が設けられており、第3コラム29には、不図示のエキシマレーザ等の光源から射出された光を所定の照明光に変換してレチクルRに導くための照明光学系30が取り付けられている。尚、照明光学系30及び投影光学系14は、本発明にいう露光手段に相当するものである。
プレートPを保持するステージ19上の一端には移動鏡31が取り付けられており、第1コラム15には移動鏡31に対応するように位置検出装置であるレーザ干渉計32が設けられている。レーザ干渉計32及び移動鏡31によってステージ19のX方向の位置が所定の分解能(例えば、数nm程度)で計測される。その計測値はコンピュータのハードウェア及びソフトウェアによって提供され得る制御装置33に供給されて、計測値に基づいてプレートステージPSが制御されることにより、ステージ19の加速、減速、及び走査に際しての移動並びに位置決めが実行される。
レチクル微動ステージRFSのためのステージ23上には移動鏡34が取り付けられており、第3コラム29には移動鏡34に対応するように位置検出装置であるレーザ干渉計35が取り付けられている。レーザ干渉計35及び移動鏡34によってステージ23のX方向の位置が所定の分解能(例えば、数nm程度)で計測される。その計測値は制御装置33に供給されて、計測値に基づいてレチクル粗動ステージRCSが制御されることにより、ステージ23の加速、減速、及び走査に際しての移動並びに位置決めが実行される。
レチクルRを保持するステージ27上には移動鏡36が取り付けらてれおり、第3コラム29には移動鏡36に対応するように位置検出装置であるレーザ干渉計37が設けられている。レーザ干渉計37及び移動鏡36によってステージ27のX方向の位置が所定の分解能(例えば、数nm程度)で計測される。その計測値は制御装置33に供給されて、計測値に基づいてレチクル微動ステージRFSが制御されることにより、ステージ27の加速、減速、及び走査に際しての移動並びに位置決めが実行される。
尚、図1においては図示を簡略化しているが、移動鏡31,34,36はX方向に沿って延びる移動鏡とY方向の沿って延びる移動鏡とから構成され、レーザ干渉計32、レーザ干渉計35、及びレーザ干渉計37はそれぞれ各移動鏡の複数点における位置を検出している。例えば、レーザ干渉計32はY方向に延びる移動鏡の2点にレーザを照射しており、各点の計測結果の平均値からステージ19のX方向の座標値が求められ、各点の計測結果の差からステージ19のZ軸周りの回転量θが求められる。
照明光学系30は、レチクルRの矩形のパターン領域を、走査露光時の走査方向(X方向)と直交した方向(Y方向)に断面スリット状(矩形状)に伸びた照明光で上から照射する。このY方向に直線的なスリット状照明光のレチクルR上での照明領域は、投影光学系14の光軸と垂直な物体面側の円形視野の中央に位置し、所定の縮小倍率β(本実施形態では1/4とする)の投影光学系14を介して、その照明領域内のレチクルRのパターンの一部の像が、所定の解像度でプレートP上に投影される。この投影光学系14としては、レチクルRのパターン面に形成されたパターンの縮小倒立像をプレートP上に投影するものが用いられる。
走査露光時においては、制御装置33からプレートステージPS、レチクル粗動ステージRCS、及びレチクル微動ステージRFSに露光開始のコマンドが送出され、これに応じてレチクルRは+X方向に速度Vmで走査移動するとともに、これと同期して、プレートPは−X方向に速度Vw(=β・Vm)で走査移動する。尚、同様の速度比でレチクルRを−X方向に移動させると共にプレートPを+X方向に移動させても良い。
このとき、レチクル粗動ステージRCSに着目すると、可動子22及びステージ23の加速又は減速に伴い、その反力が固定子21に作用し、固定子21はこの実施形態ではスライド機構24により第2コラム16に対して移動可能にされているので、固定子21は可動子22の移動方向に対して反対方向に移動しようとする。それにより生じる反力の影響を防止するために、リアクションフレーム機構が採用されている。
リアクションフレーム機構は、第2コラム16(従って、ベース部材13)とは独立して設けられたリアクションフレーム38と、リアクションフレーム38に配設されステージ23の移動により固定子21に作用する反力を相殺する力を発生する反力装置とを備えている。特にこの実施形態では、パッシブ型のリアクションフレーム機構が採用され、反力装置は、固定子21とリアクションフレーム28とを接続する弾性体或いは剛体からなるリアクションバー39によって提供されている。
これにより、ステージ23の加速又は減速に伴う反力はリアクションバー39及びリアクションフレーム38を介して設置面11に逃がされ、一定の露光精度が確保されるようになっている。尚、リアクションバー39の途中にその伸縮を電気的に制御可能なアクチュエータを設ける等によりアクティブ型のリアクションフレーム機構を構成しても良い。また、同様にして、プレートステージPSにリアクションフレーム機構を適用しても良い。
図2は、図1に示した露光装置に適用可能なリニアモータの断面図である。このリニアモータは固定子Sと固定子Sに対して移動する可動子Mとを有している。このリニアモータがレチクル粗動ステージRCS(図1参照)に適用される場合には、固定子Sは図1に示した固定子21の一部を構成し、可動子Mは図1に示した可動子22の一部を構成する。固定子Sは、フレーム40と、フレーム40に対して固定されたコイル41と、フレーム40に固定されコイル41を覆う金属板からなるカバー42とを備えている。可動子Mはコイル41と協働して推力を得るための永久磁石を含んでいる。
プレートステージPSの駆動力及びレチクル粗動ステージRCSの駆動力は図2に示したほぼ同様の構成のリニアモータによって提供される。本実施形態では、かかる同様の特性を有するリニアモータの特徴を考慮して制御装置33がプレートステージPSとレチクル粗動ステージRCS及びレチクル微動ステージRFSとの同期誤差を迅速且つ高精度に解消する制御を行っている。
次に、本発明の一実施形態によるステージ制御装置としての制御装置33について説明する。図3は、本発明の一実施形態によるステージ制御装置の主要部をなす制御装置33の構成を示すブロック図である。図3に示す通り、制御装置33は、プレートP又はプレートステージPSのステージ19(図1参照)の目標位置を与える基準信号R1を発生する目標位置発生器50と、目標位置発生器50から出力される基準信号R1に基づいてプレートステージPSとレチクル粗動ステージRCS及びレチクル微動ステージRFS(以下、これらを総称する場合には、レチクルステージRSという)との同期を取りつつ駆動するコントローラ部とを含んで構成される。尚、本実施形態においては、説明の簡単のために、レチクル粗動ステージRCSとレチクル微動ステージRFSとをまとめてレチクルステージRSとして説明する。
上記のコントローラ部は、プレートステージPSの動作を制御するプレートステージ制御部PCと、レチクルステージRSの動作を制御するレチクルステージ制御部RCとから構成される。プレートステージ制御部PCは、演算部51、PID(比例積分微分)コントローラ52、演算部53、及びFF(Feed-Forward)コントローラ54を含んで構成される。また、レチクルステージ制御部RCは、座標系変換部55、座標変換部56、演算部57、ゲイン調整部58、PIDコントローラ59、座標変換部60、演算部61、加速度FFコントローラ62、速度FFコントローラ63、及び更新部64を含んで構成される。
プレートステージ制御部PCの一部をなす演算部51は、目標位置発生器50から出力される基準信号R1と、レーザ干渉計32から出力される帰還信号FS1との差分に応じた偏差信号ES1を出力する。ここで、偏差信号ES1は、目標位置に対するプレートステージPSの実際の位置のずれ量であるため、プレートステージPSの追従誤差であるということができる。尚、プレートステージPSに含まれるステージ19の位置はレーザ干渉計32(図1参照)により検出され、その結果が帰還信号FS1としてレーザ干渉計32から出力される。
PIDコントローラ52は、演算部51から出力される偏差信号ES1に基づいて、プレートステージPSに推力を与える制御信号CS1を生成する。PIDコントローラ52は、P(比例)制御、I(積分)制御、及びD(微分)制御の何れか一つ又は複数を組み合わせた制御を行う。FFコントローラ54は、目標位置発生器50から出力される基準信号R1に基づいて、プレートステージPSに推力を与える制御信号DS1を出力してフィードフォワード制御する。ここで、FFコントローラ54を用いてプレートステージPSをフィードフォワード制御するのは、プレートステージPSの位置決めに要する時間及び設定速度に達する時間を仕様で定められた時間内に収めるため、及び同期精度を仕様で定められた同期精度内に収めるためである。
演算部53は、PIDコントローラ54から出力される制御信号CS1とFFコントローラ54から出力される制御信号DS1とを加算してプレートステージPSに設けられた駆動部PDに供給する制御信号CS10を生成する。ここで、駆動部PDは制御信号CS10を所定の増幅率で増幅するアンプ及びリニアモータ装置を含んで構成され、制御信号CS10に応じた推力を発生するものである。
レチクルステージ制御部RCの一部をなす座標系変換部55は、レーザ干渉計32から出力される帰還信号FS1で示される座標値をレチクルステージRSが目標とする座標値に変換する。図3に示す通り、本実施形態ではプレートステージPSの座標値(レーザ干渉計32の計測値)に基づいてレチクルステージRSを制御することで、プレートPに対してレチクルRを追従させるマスター・スレーブ方式の制御を行っている。
このマスター・スレーブ方式の制御を行う上でレチクルステージRSの目標値を得るため、プレートステージPSに設定された座標系で計測された座標値を座標系変換部55によって変換している。尚、レーザ干渉計32は、プレートステージPSの重心位置を計測するように設定されるため、座標系変換部55で求められる座標値はレチクルステージRSの重心位置の座標値である。
座標変換部56は、座標系変換部55で変換されたレチクルステージRSの座標値(重心位置)を、レーザ干渉計35,37(以下、これらを総称する場合にはレーザ干渉計IFという)で用いられる座標系の座標値に変換した基準信号R2を出力する。レチクルステージRSの制御は、レーザ干渉計IFの計測値を用いて行われるため、座標系変換部55から出力される座標値をレーザ干渉計35,37で用いられる座標系の座標値に変換する処理が行われる。
演算部57は、座標変換部56から出力される基準信号R2と、レーザ干渉計IFから出力される帰還信号FS2との差分に応じた偏差信号ES2を出力する。ここで、偏差信号ES2は、レーザ干渉計32から出力される帰還信号FS1に基づいて得られた基準信号R2に対するレチクルステージRSの実際の位置のずれ量であるため、プレートステージPSに対するレチクルステージRSの追従誤差(同期誤差)であるということができる。
ゲイン調整部58は、レチクルステージRSの位置に応じて誤差信号ES2に対するゲイン(利得)を調整するものである。レチクルステージRSに対する最適ゲインは一定ではなく、レチクルステージRSの位置に応じて変化する。このため、レチクルステージRSの位置に拘わらずレチクルステージRSに対する最適ゲインを確保するために、ゲイン調整部58が設けられている。このゲイン調整部58は、例えばヤコビ行列により与えられ、演算部57から出力される誤差信号ES2をレチクルステージRSの位置に応じたゲインで増幅する。
PIDコントローラ59は、ゲイン調整部58で増幅された誤差信号に基づいて、レチクルステージRSに推力を与える制御信号CS2を生成する。PIDコントローラ59は、P(比例)制御、I(積分)制御、及びD(微分)制御の何れか一つ又は複数を組み合わせた制御を行う。座標変換部60は、レチクルステージRSの重心位置と、レチクルステージRSに設けられる駆動部(リニアモータ)との位置関係を考慮して、PIDコントローラ59から出力される制御信号CS2を変換するものである。
レチクルステージRSの制御はレチクルステージRSの重心の位置が目標位置に達するよう行われるが、レチクルステージRSを実際に駆動するのは重心位置とは異なる位置に設けられた駆動部(リニアモータ)である。従って、PIDコントローラ59からの制御信号CS2をそのまま駆動部RDに入力しても、レチクルステージRSが目標位置に移動しないことがある。いま、図4に示すレチクルステージRSを考える。図4は、レチクルステージRSの概略構成を示す上面図である。図4に示す通り、レチクルステージRSには2つのリニアモータLM1,LM2が設けられているとする。
これら2つのリニアモータLM1,LM2のX方向(走査方向)の駆動量及び駆動方向が等しい場合にはレチクルステージRSはX方向に並進する。一方、X方向の駆動量は等しいが駆動方向が反対の場合には、レチクルステージRSはZ軸の周りに微小回転する。いま、微小回転がレチクルステージRSの重心CG周りで行われるとすると、その回転量はレチクルステージRSの重心位置CGから各々のリニアモータLM1,LM2までの距離L1,L2に依存する。このため、レチクルステージRSの重心の位置を目標位置に配置すべく、座標変換部60はレチクルステージRSの重心位置と駆動部(リニアモータ)との位置関係を考慮して、レチクルステージRSの重心位置を目標位置に移動させるために制御信号CS2の変換を行っている。
加速度FFコントローラ62は、座標系変換部55から出力される座標値に基づいてレチクルステージRSに推力を与える制御信号DS2を上述した座標変換部60に出力し、レチクルステージRSの加速度に関するフィードフォワード制御を行う。ここで、加速度FFコントローラ62で用いられるフィードフォワード制御に係るパラメータは、例えばレチクルステージRSの機械的特性の変化又はステージに接続されるケーブル等の張力の変化によってレチクルステージRSの駆動条件又は負荷条件が変動した場合であっても最適な制御が行えるよう更新部64によって更新される。詳細は後述するが、フィードフォワード制御に係るパラメータは、レチクルステージRS及びプレートステージPSを走査したときの整定期間における追従誤差の総和に応じて更新され、又は走査中における速度追従誤差に応じて更新される。
ここで、加速度に関するフィードフォワード制御を行うための制御信号DS2(X方向の加速度A、y方向の加速度A、及びZ軸周りの回転加速度Aを得るための信号を含む)は、原理的には、以下の(1)式から求められる。
Figure 2005322720
但し、上記(1)式において、mはレチクルステージRSの質量、Iはイナーシャ(回転慣性質量)である。即ち、制御信号DS2はレチクルステージRSのX座標、Y座標、及びZ軸周りの回転θを2階微分することにより得られる。
しかしながら、実際上は上記の微分演算時における演算誤差、駆動部RDの応答遅れ、ステージの駆動条件又は負荷条件の変動によりずれが生ずる。そこで、このずれを補正するための補正係数C,C,Cを導入し、これらを行列式にすると以下の(2)式が得られる。
Figure 2005322720
上記の更新部64は、上記(2)式中の補正係数C,C,Cを更新し、レチクルステージRSの駆動条件又は負荷条件が変動した場合の最適化を行っている。
速度FFコントローラ63は、座標系変換部55から出力される座標値に基づいてレチクルステージRSに推力を与える制御信号DS3を出力し、レチクルステージRSの速度に関するフィードフォワード制御を行う。ここで、速度に関するフィードフォワード制御を行うための制御信号DS3(リニアモータLM1のX方向の速度V、リニアモータLM2のX方向の速度V、リニアモータLM1,LM2のY方向の速度Vを得るための信号を含む)は、原理的にはマスクステージRSの重心CSの速度を駆動点(リニアモータLM1,LM2の位置)での速度に変換した値とリニアモータLM1,LM2の粘性抵抗係数とから求められ、以下の(3)式で表される。
Figure 2005322720
但し、上記(3)式において、DはリニアモータL1のX方向の移動に伴う粘性抵抗係数、DはリニアモータL2のX方向の移動に伴う粘性抵抗係数、DはリニアモータL1,L2のY方向の移動に伴う粘性抵抗係数である。
しかしながら、実際上は上記の微分演算時における演算誤差、駆動部RDの応答遅れ、ステージの駆動条件又は負荷条件の変動によりずれが生ずる。そこで、このずれを補正するための補正係数C,C,Cを導入し、これらを行列式にすると以下の(4)式が得られる。
Figure 2005322720
上記の更新部64は、上記(4)式中の補正係数C,C,Cを更新し、レチクルステージRSの駆動条件又は負荷条件が変動した場合の最適化を行っている。
速度FFコントローラ63からの制御信号DS3は演算部61に出力される、演算部61は、制御信号DS3と、座標変換部60から出力される制御信号とを加算してレチクルステージRSに設けられた駆動部RDに供給する制御信号CS11を生成する。ここで、駆動部RDは、上記の駆動部PDと同様の構成であり、制御信号CS11を所定の増幅率で増幅するアンプ及びリニアモータ装置を含んで構成され、制御信号CS11に応じた推力を発生する。
更新部64は、演算部57から出力される誤差信号ES2に基づいて、加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータ(上記(2)式中の補正係数C,C,C)の更新を行う。ここで、更新部64は、逐次パラメータ推定により加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータの更新を行う。逐次パラメータ推定アルゴリズムは、一般的に以下の(5)式で表される。
Figure 2005322720
上記(5)式中の変数Θ(k)、g(k)、e(k)の意味は以下の通りである。
Θ(k):時刻kにおけるパラメータ推定値
g(k):時刻kにおけるパラメータ更新ゲイン
e(k):時刻kにおけるパラメータ推定誤差
更新部64は、上記(5)式を応用した以下の(6)式を用いて加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータの更新を行っている。尚、本実施形態においては、レチクルステージRS及びプレートステージPSを走査したときの整定期間における追従誤差の総和に応じてパラメータを更新し、又は走査中における速度追従誤差に応じてパラメータを更新している。以下の(6)式は前者の更新を行うときに用いられる式である。
Figure 2005322720
上記(6)式中の変数C1(k)、Lg、Σe(k)の意味は、以下の通りである。
C1(k):第k回目の走査における加速度フィードフォワード補正係数の推定値
Lg :パラメータ更新ゲイン
Σe(k) :第k回目の走査の整定期間中における追従誤差の総和(積分値)
上記(6)式を参照すると、第k−1回目の走査の予測値C1(k−1)に対し、第k回目の走査におけるパラメータ更新ゲインと第k回目の走査における追従誤差の総和との積を加算したものが第k回目の走査における予測値C1(k)となることが分かる。上記(6)式中のパラメータ更新ゲインLgは、現在の予測誤差をパラメータの推定値の更新にどれ位影響させるかを決定する変数であり、アルゴリズムの安定性及び収束性を左右する重要なパラメータである。
本実施形態では、上記のパラメータ更新ゲインLgの値を例えば「10」に固定し、走査を行う度に整定期間(レチクルステージRSの加速を終えてから十分の数秒程度)の追従誤差を積分した追従誤差の総和を上記(6)式に代入し、算出された値をもって更新部64が加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータの更新を行う。尚、以下においては、便宜上、上記(6)式を用いたパラメータの更新を「学習制御」という。
また、上記(5)式は、加速度FFコントローラ62の適応制御、即ちレチクルステージRS及びプレートステージPSの走査中における速度追従誤差に応じてパラメータを更新する制御を行う場合にも応用することができる。更新部64は、以下の以下の(7)式を用いて加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータの更新を行っている。
Figure 2005322720
上記(7)式中の変数C2(j)、Ag、Ve(k)の意味は、以下の通りである。
C2(j):走査中の時刻jにおける加速度フィードフォワード補正係数の推定値
Ag :パラメータ更新ゲイン
Ve(k) :走査中の時刻jにおける速度追従誤差
上記(7)式を参照すると、現在時刻(j−1)の予測値C2(j−1)に対し、時刻jにおけるパラメータ更新ゲインと時刻jにおける追従誤差との積を加算したものが時刻jにおける予測値C2(j)となることが分かる。上記(7)式中におけるパラメータ更新ゲインAgも、現在の予測誤差をパラメータの推定値の更新にどれ位影響させるかを決定する変数であり、アルゴリズムの安定性及び収束性を左右する重要なパラメータである。尚、以下においては、便宜上、上記(7)式を用いたパラメータの更新を「適応制御」という。
本実施形態では、上記のパラメータ更新ゲインAgの値を例えば「100」に固定し、プレートステージPSとレチクルステージRSとを同期移動(走査)させ、走査中の速度追従誤差を上記(7)式に代入し、更新部54が加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータの最適値を推定する。尚、速度追従誤差は、更新部64が演算部57から出力される誤差信号ES2を時間微分して求める。
次に、加速度FFコントローラ62のフィードフォワード制御に係るパラメータの算出方法について説明する。本実施形態では、このパラメータを求めるために上記の(6)式を用いた学習制御による更新と(7)式を用いた適応制御によるパラメータの更新とを組み合わせ、以下の手順により算出している。図5は、フィードフォワード制御に係るパラメータの算出方法を示すフローチャートである。
まず、適応制御によって加速度フィードフォワード制御に係るパラメータが更新されないよう適応制御をオフに設定する(ステップS11)。具体的には、更新部64で用いられる上記(7)式中の予測値C2(j)の値を常に「1」に設定する処理が行われる。以上の設定が終了すると、制御装置33は目標位置発生器50から基準信号R1を出力してレチクルステージRSとプレートステージPSとの移動を開始させ、フィードバック制御並びに加速度フィードフォワード制御及び速度フィードフォワード制御によりレチクルステージRSとプレートステージPSとを走査する(ステップS12)。
目標位置発生器50から基準信号R1が出力されると、レチクルステージRS及びプレートステージPSは加速されて速度が徐々に上昇する。加速期間が終了すると整定期間において加速に伴うレチクルステージRS及びプレートステージPSの振動(目標位置に対する位置誤差)が収束し、両ステージの速度は一定になる。レチクルステージRS及びプレートステージPSを一定の速度で移動させる走査期間が終了すると、両ステージを減速させ、これによりレチクルステージRS及びプレートステージPSは停止する。
レチクルステージRS及びプレートステージPSの走査を行っている間、更新部64は、演算部57から出力される誤差信号ES2を常時モニタしており、整定期間が経過した後で整定期間における誤差信号ES2を積分した追従誤差の総和を算出する(ステップS13)。次に、この算出結果を上記の(6)式に代入して加速度フィードフォワード補正係数の推定値を求め、加速度FFコントローラ62の加速度フィードフォワード制御に係るパラメータの更新を行う(ステップS14)。
続いて、制御装置33は、更新部64で算出された上記ステップS13の積分値が予め設定された所定値以下であるか否かを判断し(ステップS15)、所定値よりも大であると判断した場合には、ステップS12に戻って再度レチクルステージRSとプレートステージPSとの走査を行って学習制御を行う。即ち、積分値が所定値以下になるまで、学習制御が繰り返される。
他方、ステップS15において、ステップS13で算出された積分値が上記の所定値以下であると判断した場合(判断結果が「YES」の場合)には、適応制御をオンに設定する(ステップS16)。具体的には、更新部64で算出される誤差信号ES2の微分値に基づいて上記(7)式中の予測値C2(j)の値が更新可能な状態にする処理が行われる。
以上の設定処理が終了すると、制御装置33は目標位置発生器50から基準信号R1を出力してレチクルステージRSとプレートステージPSとの移動を開始させ、レチクルステージRSとプレートステージPSとを走査する(ステップS17)。両ステージの走査が開始されると、更新部64は演算部57から出力される誤差信号ES2を一定の周期(例えば、数百μsec)毎にサンプリングしてその時間微分を演算して速度追従誤差を求め、得られた速度追従誤差を上記(7)式に代入して加速度フィードフォワード補正係数の推定値を求め、加速度FFコントローラ62の加速度フィードフォワード制御に係るパラメータを逐次更新する処理を行う(ステップS18)。この処理では、レチクルステージRSとプレートステージPSが停止状態から加速して減速停止までの一連の動作毎に行われる。
加速度FFコントローラ62で最終的に用いられるパラメータは、上記の学習制御により更新されたパラメータ(このパラメータをCとする)と、適応制御により更新されたパラメータ(このパラメータをCとする)とを考慮したものとなり、C×Cで表される。以上の手順を経て、加速度FFコントローラ62で用いられるパラメータの更新処理が行われる。尚、以上の処理は、露光装置を組み上げた後で性能を追い込む時点、定期若しくは不定期のメンテナンス時点、又は露光処理と露光処理との間(例えば、ロット交換中)の時点において行われる。
次に、フィードフォワード制御に係るパラメータを更新したときのレチクルステージRSの位置誤差の変化を示すシミュレーション結果について説明する。図6は、フィードフォワード制御に係るパラメータの更新回数を変えたときの走査中における位置誤差の変化を示すシミュレーション結果を表す図である。また、図7は、フィードフォワード制御に係るパラメータの更新回数と補正係数及び誤差の総和との関係を示すシミュレーション結果を表す図である。
まず、レチクルステージRSが移動を開始すると、図6(a)に示す通り、レチクルステージRSは徐々に速度が上昇して所定時間経過後一定速度になる。尚、図6(a)においては、加速開始時点を「0」にするとともに加速終了時点を「1」として、この加速期間Taを単位として横軸の時間経過を表している。加速期間Taが終了してから加速期間Taの半分の時間が経過するまでが整定期間Tsである。この整定期間Ts中においては加速に伴うレチクルステージRSの振動(目標位置に対する位置誤差)が生じるが、振動は整定時間Ts中において徐々に収束する。この振動に伴う速度変化は速度全体からみると値が小さいため図6(a)には明示されていない。尚、図6(a)においては、整定期間Ts終了後のレチクルステージRSの速度を「1」として正規化を行っている。
図6(b)は、走査中におけるレチクルステージRSの目標位置に対する位置誤差、即ち図3中の誤差信号ES2の変化を示す図である。尚、図6(b)においては縦軸を適当に正規化している。図6(b)において、符号E0を付した曲線は、上述したパラメータの更新を何ら行わないでレチクルステージRSを走査したときの位置誤差の変化を表す曲線であり、誤差が大きいため一部の図示が省略されている。また、曲線ER1〜ER3は上述した学習制御により加速度FFコントローラ62で用いられる加速度フィードフォワード制御に係るパラメータを更新した後でレチクルステージRSを走査したときの位置誤差の変化を表す曲線であって、曲線ER1はパラメータの更新を1度行い、曲線ER2はパラメータの更新を2度行い、曲線ER3はパラメータの更新を3度行ってからレチクルステージRSを走査したときの位置誤差の変化を表す曲線である。
図6(b)を参照すると、パラメータの更新を何ら行わないでレチクルステージRSを走査したときの位置誤差の変化を示す曲線ER0は極めて大きな変化をする。加速期間Ta及び整定期間Ts中のみならず、整定期間Tsが終了した以降(横軸の時間が「1.5」になった後)においても位置誤差は大きいことが分かる。これに対し、学習制御によりパラメータの更新を行うと、曲線ER1〜ER3に示す通り、劇的に位置誤差が小さくなっていることが分かる。また、位置誤差は学習制御によるパラメータの更新回数を増やすことによって徐々に小さくなることが分かる。
図6(c)は、適応制御の有無による誤差信号ES2の変化を示す図である。尚、図6(c)においても縦軸を適当に正規化している。図6(c)おいて、符号ER01を付した曲線は、学習制御によるパラメータの更新を行わずに、適応制御をしながらレチクルステージRSを走査したときの位置誤差の変化を表す曲線である。また、符号ER31を付した曲線は学習制御によりパラメータの更新を3回行った上で、適応制御をしながらレチクルステージRSを走査したときの位置誤差の変化を表す曲線である。
ここで、曲線ER0と曲線ER01とを比較すると、学習制御によるパラメータの更新を行わずに適応制御のみでも位置誤差は大幅に改善されることが分かる。しかしながら、曲線RE01で示される位置誤差は、学習制御によりパラメータの更新を3回行った曲線ER3で示される位置誤差よりも大きいことが分かる。次に、曲線ER3と曲線ER31とを比較すると、学習制御を用いてパラメータの更新を3回行った上で適応制御を行うと、整定期間Tsの経過後のみならず加速期間Ta及び整定時間Tsにおける位置誤差までも極めて小さくなっているのが分かる。
次に、学習制御を繰り返したときの補正係数及び誤差の総和の変化について説明する。図7は、学習制御によるパラメータの更新回数の変化による補正係数及び位置誤差の総和の変化を示すシミュレーション結果を表す図である。尚、本シミュレーションにおいては、学習制御に用いる補正値(推定値C1(0))の初期値を「1.2」に設定している。また、図7において、繰り返し回数が「4」のときには学習制御に替えて適応制御を行っている。
図7(a)を参照すると、本シミュレーションでは1度目の学習制御により補正係数が「1.2」から「1.0」まで大幅に低下するが、2度目の学習制御によって補正係数は僅かに上昇する。3度目の学習制御を行うと補正係数は僅かに低下するものの、2度目の学習制御によって得られる補正係数とほぼ同じ値を有する補正係数となることが分かる。また、学習制御を3回行った後で適応制御を行っても、補正係数は学習制御を3回行ったときに得られたものと殆ど同じであることが分かる。
また、図7(b)を参照すると、誤差の総和(上記(6)式中のΣe(k))も図7(a)に示す補正係数と同様の変化を示すことが分かる。つまり、本シミュレーションでは1度目の学習制御により誤差の総和が「20」から「−3」程度まで大幅に低下するが、2度目の学習制御によって補正係数は僅かに上昇してほぼ「0」になる。3度目の学習制御を行うと補正係数は僅かに低下するものの、2度目の学習制御によって得られる補正係数とほぼ同じ値を有する補正係数となることが分かる。また、学習制御を3回行った後で適応制御を行っても、補正係数は学習制御を3回行ったときに得られたものと殆ど同じであり、誤差の総和はほぼ「0」になることが分かる。
このように、本実施形態においては、レチクルステージRSとプレートステージPSとを数回走査させるだけで、加速度FFコントローラ52のフィードフォワード制御に係るパラメータを最適化することができる。このように、パラメータの最適化にはさほど時間を要しないため、例えばロット交換による露光装置の休止中にパラメータの最適化を行うことができ、露光装置の稼働率を低下させることはない。
上記の学習制御は、例えば機械的特性の変化によって数ヶ月〜数年程度の時間間隔に亘って変化するレチクルステージRSの駆動条件又は負荷条件の変動に対して加速度フィードフォワード制御に係るパラメータを最適化するのに適している。また、適応制御は、例えばパターン転写時におけるケーブル等の張力の変化によって短時間で変化するレチクルステージRSの駆動条件又は負荷条件の変動に対して加速度フィードフォワード制御に係るパラメータを最適化するのに適している。本実施形態では、学習制御と適応制御とを組み合わせることにより、ステージの駆動条件又は負荷条件の長期的な変動及び短期的変動の何れの変動に対してもフィードフォワード制御に係るパラメータを最適化することができる。これによって整定時間を短縮することができ、液晶表示素子を高スループットで効率的に製造することができる。
以上、本発明の一実施形態よるステージ制御装置及び方法、露光装置、並びにシミュレーション結果について説明したが、次に露光時の動作、即ち露光方法について図3を参照して簡単に説明する。露光開始のコマンドが送出されると、制御装置33に設けられた目標位置発生器50は、予め設定されたレシピに従った基準信号R1を出力する。ここで、レシピとは露光装置の露光動作を規定する制御情報、例えば照明条件、使用するレチクルR、プレートPの種類、プレートP上に設定されたショット領域の配列等の情報を含むものである。
目標位置発生器50から基準信号R1が出力されると、演算部51において基準信号R1及び帰還信号FS1から誤差信号ES1が演算され、この誤差信号ES1に基づいてPIDコントローラ52が制御信号CS1を生成する。また、FFコントローラ54は基準信号R1に基づいて制御信号DS1を生成する。一方、レーザ干渉計32からの帰還信号FS1は座標系変換部55及び座標変換部56において座標変換されて基準信号R2とされる。演算部57において基準信号R2と帰還信号FS2から誤差信号ES2が演算され、この誤差信号ES2はゲイン調整部58でゲインが調整された後でPIDコントローラ59に入力し、PIDコントローラ59において制御信号CS2が生成される。また、加速度FFコントローラ62及び速度FFコントローラ63は、座標系変換部55で変化された信号に基づいて制御信号DS2,DS3をそれぞれ生成する。
PIDコントローラ52で生成された制御信号CS1及びFFコントローラ54で生成された制御信号DS1は演算部53において演算され、制御信号CS10が生成される。他方、PIDコントローラ59で生成された制御信号CS2及び加速度FFコントローラ62で生成された制御信号DS2は、座標変換部60で座標変換された後、演算部61において制御信号DS3とともに演算され、制御信号CS11が生成される。尚、加速度FFコントローラ62において加速度フィードフォワード制御に用いられるパラメータは既に学習制御により更新されているものとする。
演算部53で生成された制御信号CS10及び演算部61で生成された制御信号CS11は駆動部PD,RDにそれぞれ出力され、制御信号CS10,CS11に応じた推力がそれぞれ発生する。ここで、プレートステージPS及びレチクルステージRSが走査されている間は、レーザ干渉計IFからの帰還信号FS2に基づいて演算部57において誤差信号ES2が生成されている。この誤差信号ES2は更新部64に入力されて適応制御により加速度FFコントローラ62の加速度フィードフォワード制御に係るパラメータを逐次更新している。
以上の処理が繰り返されつつ、プレートステージPSは−X方向に加速され、レチクルステージRSは+X方向に加速される。プレートステージPS及びレチクルステージRSの加速が終了すると、図6に示した整定期間Ta内においてプレートステージPS及びレチクルステージRSの速度が一定の速度になる。整定時間Taが経過すると、制御装置33はスリット状の照明光をレチクルRに照射しつつ、プレートステージPSを−X方向に速度Vp(=β・Vm)で走査移動するとともに、レチクルステージRSを+X方向に速度Vmで走査移動しつつ、レチクルに形成されたパターンを、投影光学系14を介してプレートP上に設定されたショット領域に転写する。レチクルのパターンの転写が終了すると、制御装置33はプレートステージPS及びレチクルステージユニットを減速して停止させる。以上の動作はプレートP上の他のショットに対しても同様に行われる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。以上説明した実施形態ではレチクルRを保持するステージがレチクル粗動ステージRCSとレチクル微動ステージRFSとから構成されていたが、本発明の実施形態ではレチクルステージが1つのステージから構成されている。図8は、本発明の他の実施形態による露光装置の構成を示す正面図である。尚、図8において、図1に示す露光装置と同様の部材については同一の符号を付してある。
図8に示す通り、本実施形態においては、図1に示したレチクル粗動ステージRCSとレチクル微動ステージRFSに代えて、レチクルステージ70が設けられている。レチクルステージ70は、固定子71と、固定子71に対してX方向に移動可能に設けられた可動子72と、可動子72上に取り付けられたステージ(レチクルホルダ)73とを含んで構成される。ステージ73上の端部には移動鏡74が取り付けられており、この移動鏡74に対応するようにレーザ干渉計35が取り付けられている。上記の固定子71及びこれと協働する可動子72はリニアモータによって提供され得る。
このレチクルステージ70は、図3に示す構成と同様の構成を有する制御装置33により制御される。つまり、図3中におけるレチクルステージRSの伝達関数をレチクルステージ70の伝達関数に置き替えるとともに、駆動部RDの伝達関数を固定子71と可動子72とから構成され得るリニアモータの伝達関数に置き替え、更にレーザ干渉計IFをレーザ干渉計35に置き替えれば、前述した実施形態の制御と同様の制御方法を用いてレチクルステージ70の制御を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、説明の簡単のために、レチクル粗動ステージRCSとレチクル微動ステージRFSとをまとめてレチクルステージRSとして説明したが、例えばレチクル微動ステージRFSの駆動のみに上記実施形態の制御方法を適用しても良い。
かかる制御を行うときには、レチクル微動ステージRFSに対しては図3に示すレチクルステージ制御部RCを設けるとともに、レチクル粗動ステージRCSに対しては図3に示すプレートステージ制御部PCとほぼ同様の制御部を設けた構成とする。そして、目標位置発生器50から出力される基準信号を所定倍(例えば、投影光学系14の投影倍率の逆数)した信号をレチクル粗動ステージRCSに対して設けられた制御部に与えてレチクル粗動ステージRCSのフィードバック制御及びフィードフォワード制御を行えばよい。
また、上記実施形態ではレチクルステージRSに本発明を適用した場合について説明したが、プレートステージPSにも適用することができ、更にはレチクルステージRSとプレートステージPSの両ステージに適用することも可能である。尚、プレートステージPSに適用した場合、制御信号DS2は、目標位置発生器のプレートステージ目標位置(X,Y,θ)を各々2階微分することにより得られる。また、上記実施形態では、整定期間における位置誤差の積分値を算出して上記(6)式から加速度フィードフォワード補正係数の推定値を求めていた。しかしながら、(6)式中のΣe(k)は整定時間中の位置誤差の積分値に限られることはなく、レチクルステージRS及びプレートステージPSの移動を開始してから停止するまでの間の一部の期間又は全部の期間を用いることができる。例えば、加速期間又は走査期間(整定期間と減速期間との間)の位置誤差の積分値を用いるようにしても良い。
また、光源としては、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)等のエキシマレーザに限らず、超高圧水銀ランプから射出されるg線(436nm)及びi線(365nm)、Fレーザ(157nm)から射出されるレーザ光、Krレーザ(146nm)から射出されるレーザ光、Arレーザ(126nm)から射出されるレーザ光、更には、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。
また、上記実施形態においては、露光装置に設けられる制御装置33を個別に設計する場合を例に挙げたが、複数の露光装置をオンラインで接続し、各々の露光装置に設けられた制御装置33のパラメータをステージの動作状況に応じて変更することができるように構成しても良い。かかる構成にすることで、露光装置の個体差を一括して把握することができ、新規の露光装置の開発に役立てることもできる。
更に、本発明は、図3に示す制御装置33の機能をハードウェアで構成することも可能であり、ソフトウェアで実現することも可能である。ソフトウェアで実現する場合には、制御装置33のハードウェア構成を、CPU(中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、通信インタフェース、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等の外部記憶装置等から構成し、上述した制御を行うプログラムを通信回線を介して制御装置33に読み込ませ、又は記録媒体に記憶させたプログラムを外部記憶装置を用いて制御装置33に読み込ませる。
次に、本発明の一実施形態による露光装置を用いた液晶表示素子の製造方法について説明する。図9は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する製造工程の一部を示すフローチャートである。図9中のパターン形成工程S1では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンをプレートP上に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、プレートP上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光されたプレートPは、現像工程、エッチング工程、剥離工程等の各工程を経ることによって、プレートP上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S2に移行する。
カラーフィルタ形成工程S2では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列され、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S2の後に、セル組み立て工程S3が実行される。このセル組み立て工程S3では、パターン形成工程S1にて得られた所定パターンを有するプレートP、及びカラーフィルタ形成工程S2にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
セル組み立て工程S3では、例えば、パターン形成工程S1にて得られた所定パターンを有するプレートPとカラーフィルタ形成工程S2にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S4にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
本発明の一実施形態による露光装置は、液晶表示素子を製造する露光装置のみならず、半導体素子を製造する露光装置、CCDを製造する露光装置、薄膜磁気ヘッドを製造する露光装置等の各種のデバイスを製造する露光装置に適用することができる。次に、本発明の実施形態による露光装置を半導体素子を製造する露光装置に適用し、この露光装置を用いて半導体素子を製造する方法について説明する。
図10は、マイクロデバイスとしての半導体素子を製造する製造工程の一部を示すフローチャートである。図10に示す通り、まず、ステップS10(設計ステップ)において、半導体素子の機能・性能設計を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計したパターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウェハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
次に、ステップS13(ウェハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウェハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウェハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウェハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
図11は、図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。図11において、ステップS21(酸化ステップ)においてはウェハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においてはウェハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においてはウェハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においてはウェハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウェハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウェハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウェハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光工程)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクのパターンをウェハに転写する。次に、ステップS27(現像工程)においては露光されたウェハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウェハ上に多重にパターンが形成される。
以上説明した本実施形態のマイクロデバイス製造方法を用いれば、パターン形成工程(ステップS1)又は露光工程(ステップS26)において上記の露光装置及び露光方法が用いられてレチクル(マスク)を保持するステージとプレート(ウェハ)を保持するステージとが走査される。このため、レチクル(マスク)とプレート(ウェハ)との重ね合わせ精度を高めることができるため、微細なデバイスを歩留まり良く生産することができる。
また、液晶表示素子又は半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウェハ等ヘパターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウェハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
本発明の一実施形態による露光装置の構成を示す正面図である。 図1に示した露光装置に適用可能なリニアモータの断面図である。 本発明の一実施形態によるステージ制御装置の主要部をなす制御装置33の構成を示すブロック図である。 レチクルステージRSの概略構成を示す上面図である。 フィードフォワード制御に係るパラメータの算出方法を示すフローチャートである。 フィードフォワード制御に係るパラメータの更新回数を変えたときの走査中における位置誤差の変化を示すシミュレーション結果を表す図である。 フィードフォワード制御に係るパラメータの更新回数と補正係数及び誤差の総和との関係を示すシミュレーション結果を表す図である。 本発明の他の実施形態による露光装置の構成を示す正面図である。 マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する製造工程の一部を示すフローチャートである。 マイクロデバイスとしての半導体素子を製造する製造工程の一部を示すフローチャートである。 図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。
符号の説明
14 投影光学系(露光手段)
30 照明光学系(露光手段)
33 ステージ制御装置(制御装置)
58 ゲイン調整部(フィードバック制御部)
59 PIDコントローラ(フィードバック制御部)
62 加速度FFコントローラ(加速度制御部)
63 速度FFコントローラ(速度制御部)
64 更新部
70 レチクルステージ
ES2 誤差信号(位置誤差)
P プレート(基板)
PS プレートステージ(基板ステージ)
R レチクル(物体、マスク)
RFS レチクル微動ステージ(ステージ)
RS レチクルステージ(ステージ)

Claims (15)

  1. 物体を保持した状態で移動可能に構成されたステージを制御するステージ制御装置であって、
    前記ステージの目標位置に基づいて前記ステージの加速度をフィードフォワード制御する加速度制御部と、
    前記ステージの移動毎に、前記ステージの目標位置に対する前記ステージの位置誤差の積分値に基づいて、前記加速度制御部におけるフィードフォワード制御に係るパラメータを所定の関数に基づいて更新する更新部と
    を備えることを特徴とするステージ制御装置。
  2. 前記更新部は、前記ステージが停止状態から加速して減速停止までの一連の動作毎に前記パラメータを更新することを特徴とする請求項1記載のステージ制御装置。
  3. 前記更新部は、前記ステージの加速期間終了後における整定時間内の位置誤差の積分値に基づいて、前記パラメータを更新することを特徴とする請求項1記載のステージ制御装置。
  4. 前記更新部は、前記ステージの移動中における目標速度に対する前記ステージの速度誤差に基づいて、前記フィードフォワード制御に係るパラメータを逐次更新することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のステージ制御装置。
  5. 前記加速度制御部は、前記更新部により更新されたパラメータに基づいて、前記ステージの適応制御を行うことを特徴とする請求項4記載のステージ制御装置。
  6. 前記ステージの目標位置に基づいて、前記ステージの速度をフィードフォワード制御する速度制御部を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のステージ制御装置。
  7. 前記ステージの目標位置に対する前記ステージの位置誤差に基づいて、前記ステージをフィードバック制御するフィードバック制御部を備えることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載のステージ制御装置。
  8. 物体を保持した状態で移動可能に構成されたステージを制御するステージ制御方法であって、
    少なくとも前記ステージの加速度をフィードフォワード制御しつつ前記ステージを移動させる第1ステップと、
    前記ステージを移動させる度に、前記ステージの目標位置に対する前記ステージの位置誤差の積分値を求める第2ステップと、
    前記第2ステップの結果に基づいて前記フィードフォワード制御に係るパラメータを更新する第3ステップと
    を含むことを特徴とするステージ制御方法。
  9. 前記第2ステップは、前記ステージの加速終了後における整定時間内の位置誤差に基づいて、前記積分値を求めることを特徴とする請求項8記載のステージ制御方法。
  10. 前記更新を行った後に、前記ステージの移動中における目標速度に対する前記ステージの速度誤差に基づいて、前記フィードフォワード制御に係るパラメータを逐次更新して前記ステージの適応制御を行う第4ステップを含むことを特徴とする請求項8又は請求項9記載のステージ制御方法。
  11. 前記第1ステップは、前記ステージの加速度のフィードフォワード制御に加えて、前記ステージの速度のフィードフォワード制御を行うことを特徴とする請求項8から請求項10の何れか一項に記載のステージ制御方法。
  12. 前記第1ステップは、前記ステージのフィードバック制御を含む制御を行うことを特徴とする請求項11記載のステージ制御方法。
  13. マスクのパターンを基板上に露光する露光手段と、前記マスクを保持するマスクステージと、前記基板を保持する基板ステージとを備える露光装置であって、
    前記基板ステージ及び前記マスクステージの少なくとも一方を前記ステージとして制御する請求項1から請求項7の何れか一項に記載のステージ制御装置を備えることを特徴とする露光装置。
  14. マスクステージ上に保持されたマスクのパターンを、基板ステージ上に保持された基板上に露光する露光方法であって、
    請求項8から請求項12の何れか一項に記載のステージ制御方法を用いて、前記基板ステージ及び前記マスクステージの少なくとも一方を前記ステージとして制御するステップを含むことを特徴とする露光方法。
  15. リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程において請求項13記載の露光装置又は請求項14記載の露光方法を用いて露光を行う露光工程を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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