JP2007049056A - ステージ制御方法及び装置、ステージ制御プログラム、露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

ステージ制御方法及び装置、ステージ制御プログラム、露光装置、並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高いロバスト性を確保しつつステージの同期精度及びスループットの向上を実現することができるステージ制御方法及び装置等を提供する。
【解決手段】 補償器63は、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの同期誤差を補償する補償信号MS1を生成する。外乱推定器71は、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSを1つのステージとみなし、このステージに加わる外乱を推定する。演算部73は、補償信号MS1から推定外乱を除いた外乱補償信号MS2を生成する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、マスク(レチクル)、ウエハ等の移動対象物を載置した状態で移動可能に構成されたステージの動作を制御するステージ制御方法及び装置、ステージ制御プログラム、当該方法及びプログラムを用い、当該装置を備える露光装置、並びに当該露光装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法に関する。
液晶ディスプレイ及び半導体デバイス等のマイクロデバイスの製造工程の1つとして設けられるフォトリソグラフィ工程では、マスク又はレチクルに形成された回路パターンを、投影光学系を介してフォトレジストが塗布されたガラスプレート又はウエハ等の基板に投影する露光装置が用いられている。従来から各種の露光装置が案出されているが、近年においては、ステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(ステッパー)及びステップ・アンド・スキャン方式の露光装置が用いられることが多くなっている。
ステッパーは、レチクルに形成されたパターンを基板上に設定された各ショット領域に一括して縮小投影するようにした露光装置である。また、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置は、レチクルにスリット状の照明光を照射してレチクルと基板とを同期移動させつつレチクルに形成されたパターンを順次基板に転写する露光装置である。
従来のステップ・アンド・スキャン方式の露光装置は、ウエハを載置するウエハステージとレチクルを載置するレチクルステージとの同期を取るために、ウエハステージの位置情報を用いてレチクルステージを制御する所謂マスター・スレーブのステージ制御装置を備えているものがあった。また、以下の特許文献1には、目標値に対するウエハステージの追従誤差及び目標値に対するレチクルステージの追従誤差をそれぞれ求めるとともに各々の追従誤差からウエハステージとレチクルステージとの同期誤差を求め、これら追従誤差、同期誤差、及び同期誤差の時間積分値の全てが所定値に収束するようウエハステージ及びレチクルステージを制御するステージ制御装置を備えた露光装置が開示されている。
特開2005−51197号公報
ところで、露光装置は通常クリーンルーム内に設置されるが、その設置環境は様々であるため、ウエハステージ等に加わる外乱は設置環境に応じて様々な原因に起因して生ずる。このため、露光装置が備えるステージ制御装置の設計においては、設置環境に余り左右されず、各制御装置のモデリング誤差等に対して高いロバスト性(制御対象の特性がある程度変化しても安定動作が補償されること)を有するステージ制御装置を設計する必要がある。
また、近年においては、スループット、即ち単位時間に露光処理を行うことができるウエハの枚数を向上させることが要求されており、露光処理の効率を益々向上させる必要がある。更に、近年では露光すべきパターンが微細化しているため、露光効率の向上とともにウエハステージとレチクルステージとの同期精度を高める必要もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高いロバスト性を確保しつつステージの同期精度及びスループットの向上を実現することができるステージ制御方法及び装置、ステージ制御プログラム、当該方法及びプログラムを用い、当該装置を備える露光装置、並びに当該露光装置を用いてデバイスを製造するデバイス製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、実施の形態に示す各図に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
上記課題を解決するために、本発明のステージ制御方法は、複数のステージ(RFS、WS)を同期をとりつつ移動制御するステージ制御方法において、前記複数のステージ間の同期誤差(SS1)を算出する同期誤差算出ステップと、前記複数のステージを1つのステージとみなし、当該ステージに加わる全ての外乱を推定する外乱推定ステップと、前記外乱推定ステップで求められた推定外乱に基づいて、前記同期誤差算出ステップで求められた前記同期誤差から前記推定外乱を補償した外乱補償信号(MS2)を生成する外乱補償信号生成ステップと、前記外乱補償信号生成ステップで求められた前記外乱補償信号を用いて前記複数のステージを制御する制御ステップとを含むことを特徴としている。
この発明によると、複数のステージが1つのステージとみなされてこのステージに加わる全ての外乱が推定され、複数のステージの同期誤差から推定外乱を補償した外乱補償信号が生成され、この外乱補償信号を用いて複数のステージが制御される。
上記目的を達成するために、本発明のステージ制御プログラムは、上記の何れかに記載のステージ制御方法を実行することを特徴としている。
上記目的を達成するために、本発明のステージ制御装置は、複数のステージ(RFS、WS)を同期をとりつつ移動制御するステージ制御装置(33)において、前記複数のステージ間の同期誤差を算出する同期誤差算出部(53、58、62)と、前記複数のステージを1つのステージとみなし、当該ステージに加わる全ての外乱を推定する外乱推定部(71)と、前記外乱推定部で求められた推定外乱に基づいて、前記同期誤差算出部で求められた前記同期誤差から前記推定外乱を補償した外乱補償信号を生成して前記複数のステージを制御する同期制御部(51)とを含むことを特徴としている。
この発明によると、同期誤差算出部で複数のステージ間の同期誤差が算出され、外乱推定部で複数のステージを1つのステージとみなしたときに加わる全ての外乱が推定され、同期制御部で上記の外乱(推定外乱)に基づいて同期誤差算出部で求められた同期誤差から推定外乱を補償した外乱補償信号が生成されて複数のステージが制御される。
本発明の第1の観点による露光装置は、光学系(14)を介してマスク(R)のパターンを基板(W)上に露光する露光手段と、前記マスクを移動させるマスクステージ(RCS、RFS)と、前記基板を移動させる基板ステージ(WS)とを備える露光装置であって、前記基板ステージ及び前記マスクステージは、上記の何れかに記載のステージ制御方法を用いて前記第1ステージ及び前記第2ステージとしてそれぞれ制御されることを特徴としている。
本発明の第2の観点による露光装置は、光学系(14)を介してマスク(R)のパターンを基板(W)上に露光する露光手段と、前記マスクを移動させるマスクステージ(RCS、RFS)と、前記基板を移動させる基板ステージ(WS)とを備える露光装置であって、前記基板ステージを前記第1ステージとして制御し、前記マスクステージを前記第2ステージとして制御する上記の何れかに記載のステージ制御装置(33)を備えることを特徴としている。
本発明のデバイス製造方法は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、前記リソグラフィ工程において上記の露光装置を用いて露光を行う露光工程(S26)を含むことを特徴としている。
本発明によれば、複数のステージに外乱が加わっても、高いロバスト性を確保することができ、ステージの同期精度を向上させることができるという効果がある。また、同期精度の向上によりスループットの向上を実現することができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるステージ制御方法及び装置、ステージ制御プログラム、露光装置、並びにデバイス製造方法について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による露光装置の構成を示す正面図である。図1に示す露光装置は、ウエハWとレチクルRとを同期移動させつつ、レチクルRに形成されたパターンを逐次ウエハW上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影型の露光装置である。
尚、以下の説明においては、図1中に示したようにXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、Y軸及びZ軸が紙面に対して平行となるよう設定され、X軸が紙面に対して垂直となる方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。
図1において、設置面11の上に4つ(図1では2つのみを図示)の防振装置(除振機構)12を介してベース部材(ベース又は定盤)13が設けられている。防振装置12は、ベース部材13の4隅付近にそれぞれ配置されており、特に限定はされないが、例えば空気式ダンパやダンピング液中に圧縮コイルバネを入れた機械式ダンパ等からなるパッシブ型のもの、ベース部材に設けられた不図示の振動検出器による検出信号に基づいて該振動を抑制するように変位されるアクチュエータを備えたアクティブ型のもの、あるいはこれらの双方を備えたもの等が用いられる。ベース部材13は、石、セラミックスあるいは鉄等の高剛性の部材から構成される。
ベース部材13の上には、その上部に投影光学系14を保持した第1コラム15が設けられており、第1コラム15の上には第2コラム(ベース又は定盤)16が設けられている。第2コラム16上には回路パターンが形成されたマスクとしてのレチクルRを移動するための粗動ステージとしてのレチクル粗動ステージRCS及び微動ステージとしてのレチクル微動ステージRFSが設けられている。
また、ベース部材13上には、基板としてのウエハWを移動するための第1ステージとしてのウエハステージWSが設けられている。これにより、レチクルR及びウエハWは、投影光学系14の光軸に沿う方向(図1中のZ方向)の位置が互いに異なる面であって、この光軸に直交する面内で2次元方向(X方向及びY方向)に移動可能となっている。
本実施形態では露光装置の走査方向はY方向に設定してあるため、主としてレチクルR及びウエハWのY方向に関する駆動制御について説明する。レチクルR及びウエハWのX方向の位置決め制御並びにZ軸回りの回転方向(θ方向)及びXY平面に対する傾斜角の調節については通常通り容易に実施することができるので、その説明は省略する。
ウエハステージWSは、固定子17と、固定子17に対してY方向に移動可能な移動子18と、移動子18上に取り付けられたステージ(ウエハホルダ)19とを備えている。固定子17及びこれと協働する移動子18は、リニアモータにより提供され得る。特に、本実施形態では、固定子17はエアベアリング等によるスライド機構20によってベース部材13上でY方向に移動可能に設けられている。固定子17はベース部材13上に固定されていても良い。上面に感光剤が塗布されたウエハWは、例えばその裏面全体を吸引吸着されることによりステージ19上に保持される。尚、図1においては、移動子18及びステージ19が別の部材として図示されているが、これらは共通の部材により提供されても良い。
レチクル粗動ステージRCSは、固定子21と、固定子21に対してY方向に移動可能な移動子22と、移動子22上に取り付けられたステージ23とを備えている。固定子21及びこれと協働する移動子22は、リニアモータによって提供され得る。特に、この実施形態では、固定子21は、エアベアリング等を有するスライド機構24によって第2コラム16上でY方向に移動可能に設けられている。固定子21は第2コラム16上に固定されていても良い。尚、図1においては、移動子22及びステージ23が別部材として図示されているが、これらは共通の部材により提供されても良い。
レチクル微動ステージRFSは、レチクル粗動ステージRCSのステージ23上に設けられている。レチクル微動ステージRFSは、固定子25と、固定子25に対してY方向に移動可能に設けられた移動子26と、移動子26上に取り付けられたステージ(レチクルホルダ)27とを備えている。固定子25及びこれと協働する移動子26はリニアモータによって提供され得る。この実施形態では、固定子25はステージ23上に固定されている。
また、図1においては、移動子26及びステージ27が別部材として図示されているが、これらは共通の部材により提供されても良い。ステージ27は、その表面に転写すべきパターンが形成されたレチクルRをそのパターン形成面を下に向けた状態でその周辺部近傍を吸着保持する機能を有している。尚、上記レチクル微動ステージRFSは、本発明にいうマスクステージ及び第2ステージに相当する。
第2コラム16上には第3コラム29が設けられており、第3コラム29には、不図示のエキシマレーザ等の光源から射出された光を所定の照明光に変換してレチクルRに導くための照明光学系30が取り付けられている。
ウエハWを保持するステージ19上の一端には移動鏡31が取り付けられており、第1コラム15には移動鏡31に対応するように位置検出装置であるレーザ干渉計32が設けられている。レーザ干渉計32及び移動鏡31によってステージ19のY方向の位置が所定の分解能(例えば0.001μm程度)で計測される。その計測値はコンピュータのハードウェア及びソフトウェアによって提供され得る制御装置33に供給されて、計測値に基づいてウエハステージWSが制御されることにより、ステージ19の加速、減速、及び走査に際しての移動並びに位置決めが実行される。
レチクル微動ステージRFSのためのステージ23上には移動鏡34が取り付けられており、第3コラム29には移動鏡34に対応するように位置検出装置であるレーザ干渉計35が取り付けられている。レーザ干渉計35及び移動鏡34によってステージ23のY方向の位置が所定の分解能(例えば0.001μm程度)で計測される。その計測値は制御装置33に供給されて、計測値に基づいてレチクル粗動ステージRCSが制御されることにより、ステージ23の加速、減速、及び走査に際しての移動並びに位置決めが実行される。
レチクルRを保持するステージ27上には移動鏡36が取り付けらてれおり、第3コラム29には移動鏡36に対応するように位置検出装置であるレーザ干渉計37が設けられている。レーザ干渉計37及び移動鏡36によってステージ27のY方向の位置が所定の分解能(例えば0.001μm程度)で計測される。その計測値は制御装置33に供給されて、計測値に基づいてレチクル微動ステージRFSが制御されることにより、ステー
ジ27の加速、減速、及び走査に際しての移動並びに位置決めが実行される。
照明光学系30は、レチクルRの矩形のパターン領域を、走査露光時の走査方向(Y方向)と直交した方向(X方向)に断面スリット状(矩形状)に伸びた照明光で上から照射する。このX方向に直線的なスリット状照明光のレチクルR上での照明領域は、投影光学系14の光軸と垂直な物体面側の円形視野の中央に位置し、所定の縮小倍率β(本実施形態では1/4)の投影光学系14を介して、その照明領域内のレチクルRのパターンの一部の像が、所定の解像度でウエハW上に投影される。この投影光学系14としては、レチクルRのパターン面に形成されたパターンの縮小倒立像をウエハW上に投影するものが用いられる。
走査露光時においては、制御装置33からウエハステージWS、レチクル粗動ステージRCS、及びレチクル微動ステージRFSに露光開始のコマンドが送出され、これに応じてレチクルRは+Y方向に速度Vmで走査移動させられると共に、これと同期して、ウエハWは−Y方向に速度Vw(=β・Vm)で走査移動させられる。尚、同様の速度比でレチクルRを−Y方向に移動させると共にウエハWを+Y方向に移動させても良い。
このとき、レチクル粗動ステージRCSに着目すると、移動子22及びステージ23の加速又は減速に伴い、その反力が固定子21に作用し、固定子21はこの実施形態ではスライド機構24により第2コラム16に対して移動可能にされているので、固定子21は移動子22の移動方向に対して反対方向に移動しようとする。それにより生じる反力の影響を防止するために、リアクションフレーム機構が採用されている。
リアクションフレーム機構は、第2コラム16(従って、ベース部材13)とは独立して設けられたリアクションフレーム38と、リアクションフレーム38に配設されステージ23の移動により固定子21に作用する反力を相殺する力を発生する反力装置とを備えている。特にこの実施形態では、パッシブ型のリアクションフレーム機構が採用され、反力装置は、固定子21とリアクションフレーム28とを接続する弾性体あるいは剛体からなるリアクションバー39によって提供されている。
これにより、ステージ23の加速又は減速に伴う反力はリアクションバー39及びリアクションフレーム38を介して設置面11に逃がされ、一定の露光精度が確保されるようになっている。尚、リアクションバー39の途中にその伸縮を電気的に制御可能なアクチュエータを設ける等によりアクティブ型のリアクションフレーム機構を構成しても良い。また、同様にして、ウエハステージWSにリアクションフレーム機構を適用しても良い。
図2は、図1に示した露光装置に適用可能なリニアモータの断面図である。このリニアモータは固定子Sと固定子Sに対して移動する移動子Mとを有している。このリニアモータがレチクル粗動ステージRCS(図1参照)に適用される場合には、固定子Sは図1に示した固定子21の一部を構成し、移動子Mは図1に示した移動子22の一部を構成する。固定子Sは、フレーム40と、フレーム40に対して固定されたコイル41と、フレーム40に固定されコイル41を覆う金属板からなるカバー42とを備えている。移動子Mはコイル41と協働して推力を得るための永久磁石を含んでいる。
ウエハステージWSの駆動力及びレチクル粗動ステージRCSの駆動力は図2に示したほぼ同様の構成のリニアモータによって提供される。本実施形態では、かかる同様の特性を有するリニアモータの特徴を考慮して制御装置33がウエハステージWSとレチクル粗動ステージRCS及びレチクル微動ステージRFSとの同期誤差を迅速且つ高精度に解消する制御を行っている。
次に、本発明の一実施形態によるステージ制御装置としての制御装置33について説明する。図3は、本発明の一実施形態によるステージ制御装置の主要部をなす制御装置33の構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御装置33は、ウエハW又はウエハステージWSのステージ19(図1参照)の目標位置を与える基準信号RS1を発生する目標位置発生器50と、目標位置発生器50から出力される基準信号RS1に基づいてウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとを同期を取りつつ駆動する同期コントローラ51と、基準信号RS1を用いてレチクル粗動ステージRCSを駆動するレチクル粗動ステージ制御部52とを含んで構成される。
同期コントローラ51は、演算部53、コントローラ54、演算部55、及びFF(Feed-Forward)コントローラ56からなるウエハステージ制御部と、変換部57、演算部58、コントローラ59、演算部60、及びFFコントローラ61からなるレチクル微動ステージ制御部と、演算部62及び補償器63からなる補償部と、外乱推定器71、ローパスフィルタ(LPF)72、及び演算部73からなる外乱補償制御部とを含んで構成される。
上記ウエハステージ制御部の一部をなす演算部53は、目標位置発生器50から出力される基準信号RS1と、レーザ干渉計32から出力される帰還信号FS1との差分に応じた偏差信号ES1を出力する。ここで、偏差信号ES1は、目標位置に対するウエハステージWSの実際の位置のずれ量であるため、ウエハステージWSの追従誤差であるということができる。尚、ウエハステージWSに含まれるステージ19の位置はレーザ干渉計32(図1参照)により検出され、その結果が帰還信号FS1としてレーザ干渉計32から出力される。
コントローラ54は、入力される偏差信号ES1に基づいてウエハステージWSの推力に関する第1制御信号としての制御信号CS1を生成する。コントローラ54は、P(比例)制御、I(積分)制御、及びD(微分)制御の何れか一つ又は複数を組み合わせた制御を行う。FFコントローラ56は、目標位置発生器50から出力される基準信号RS1に基づいて、ウエハステージWSの推力に関する制御信号DS1を出力してフィードフォワード制御する。ここで、FFコントローラ56を用いてフィードフォワード制御するのは、ウエハステージWSの位置決めに要する時間及び設定速度に達する時間を仕様で定められた時間内に収めるため、及び同期精度を仕様で定められた同期精度内に収めるためである。
また、上記レチクル微動ステージ制御部の一部をなす変換部57は、基準信号RS1を所定の規則に従って変換して基準信号RS2を出力する。例えば、変換部57は、投影光学系14(図1参照)の投影倍率の逆数に応じた4倍の比例演算を提供する。演算部58は、変換部57から出力される基準信号RS2と、演算部69から出力される帰還信号FS4との差分に応じた偏差信号ES2を出力する。ここで、偏差信号ES2は、目標位置に対するレチクル微動ステージRFSの実際の位置のずれ量であるため、レチクル微動ステージRFSの追従誤差であるということができる。
尚、演算部69は、レーザ干渉計37(図1参照)により検出したレチクル微動ステージRFSのステージ27の位置を示す帰還信号FS2と、レーザ干渉計35(図1参照)により検出したレチクル粗動ステージRCSのステージ23の位置を示す帰還信号FS3とを演算して帰還信号FS4を求める。
コントローラ59は、演算部58から出力される偏差信号ES2に基づいてレチクル微動ステージRFSの推力に関する第2制御信号としての制御信号CS2を生成する。コントローラ59は、コントローラ54と同様に、P(比例)制御、I(積分)制御、及びD(微分)制御の何れか一つ又は複数を組み合わせた制御を行う。FFコントローラ61は、変換部57から出力される基準信号RS2に基づいて、ウエハステージWSの推力に関する制御信号DS2を出力してフィードフォワード制御する。ここで、FFコントローラ61を設ける理由は、FFコントローラ56を設ける理由と同様の理由である。
演算部62は、目標位置としての基準信号RS1に対するウエハステージWSの追従誤差を示す偏差信号ES1と、目標位置としての基準信号RS2に対するレチクル微動ステージRFSの追従誤差を示す偏差信号ES2との差、即ちウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとの同期誤差を求めて同期誤差信号SS1を出力する。補償器63は、演算部62から出力される同期誤差信号SS1に基づいて、ウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとの同期誤差を所定値(例えば、零)に収束させる補償信号MS1を出力する。
補償器63から出力される補償信号MS1は上述した外乱補償制御部の一部をなす演算部73に入力される。外乱補償制御部に設けられる外乱補償制御部71は、ウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとを1つのステージとみなし、このステージに加わる全ての外乱を推定し、推定した外乱(推定外乱)を示す信号を出力する。具体的には、同期誤差信号SS1と演算部73から出力される外乱補償信号MS2とを入力とし、制御対象であるウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの逆伝達関数を用いて上記のステージに加わる外乱を推定する。この外乱推定器71は、一般的に外乱オブザーバと呼ばれるものである。尚、外乱推定器71の設計方法の詳細については後述する。
ローパスフィルタ72は、外乱推定器71から出力される外乱(推定外乱)を示す信号から抑制したい高周波成分を除いた信号を出力する。尚、ローパスフィルタで高周波成分を除くことにより制御系の安定性が確保される。演算部73は、補償器63から出力される補償信号MS1から、ローパスフィルタ72から出力される信号を減算した外乱補償信号MS2を求める。この外乱補償信号MS2は、ウエハステージ制御部の一部をなす演算部55、及びレチクル微動ステージ制御部の一部をなす演算部60にそれぞれ入力される。
演算部55は、コントローラ54から出力される制御信号CS1、FFコントローラ56から出力される制御信号DS1、及び外乱補償信号MS2を加算してウエハステージWSに与える推力に関する制御信号CS10を出力する。同様に、演算部60は、コントローラ59から出力される制御信号CS2、FFコントローラ61から出力される制御信号DS2、及び外乱補償信号MS2を加算してレチクル微動ステージRFSに与える推力に関する制御信号CS20を出力する。
つまり、本実施形態では、補償器63によってウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとの同期誤差を所定値(例えば、零)に収束させる補償信号MS1求めるとともに、外乱推定器71によってウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの少なくとも一方に加わる外乱を推定している。そして、推定外乱(正確にはローパスフィルタ72から出力される信号)によって補償信号MS1を補償した外乱補償信号MS2を得てウエハステージ制御部の一部をなす演算部55、及びレチクル微動ステージ制御部の一部をなす演算部60にそれぞれ入力している。
このため、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの少なくとも一方に外乱が加わってウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSの同期誤差に影響があったとしても、推定外乱により同期誤差が補償される。これにより、あたかもウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの少なくとも一方に加わる外乱による同期誤差がなかったかのように、制御対象(ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFS)を制御することが可能となる。この結果として、例えば配管配線のケーブルテンション、三相リニアモータの推力リップル、ステージの位置に依存する外乱、ステージ間の干渉等の外乱をシステムの状態の一部として推定し、この推定した外乱を制御的に相殺することができる。
以上説明した通り、同期コントローラ51はウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの制御を行っているが、その制御方法は従来のマスター・スレーブ方式ではなく、ウエハステージ制御部でウエハステージWSを制御し、レチクル微動ステージ制御部でレチクル微動ステージRFSを制御する、いわば並列方式である。これに加えて、本実施形態ではウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとの同期誤差を補償する補償部(演算部62、補償器63)を設け、ウエハステージ制御部で生成された制御信号及びレチクル微動ステージ制御部で生成された制御信号を補償することで、ウエハステージWSの追従誤差、レチクル微動ステージRFSの追従誤差、並びにウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとの同期誤差及びその時間積分値の全てが所定値(例えば、零)に収束するよう制御している。更に、本実施形態では、外乱推定器71、ローパスフィルタ(LPF)72、及び演算部73からなる外乱補償制御部を設けて外乱に起因する同期誤差を補償している。
ここで、同期コントローラ51に含まれるコントローラ54,59は、上述したように、その設計段階において何れの制御を行うかは固定されていない。これは、同期コントローラ51が、コントローラ54,59及び補償器63等を含めて1つの制御系とみなして上記の追従誤差、同期誤差、及びその時間積分値が所定値に収束するように設計されるためである。従って、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの特性に応じて、例えばコントローラ54がPID制御を行うように設計され、又はD制御のみを行うように設計されることがあり得る。尚、同期コントローラ51の設計手法の詳細については、特開2005−51197号公報に開示されているため、ここでの詳細な説明は省略する。尚、本実施形態の同期コントローラ51は、上記の公報に開示されている通り、最適LQ型制御及びH∞外乱抑制型制御の何れをも用いて設計することが可能である。
また、上記レチクル粗動ステージ制御部52は、変換部64、演算部65、コントローラ66、演算部67、及びFFコントローラ68を含んで構成される。変換部64は目標位置発生器50から出力される基準信号RS1を所定の規則に従って変換して基準信号RS3を出力する。例えば、変換部64は、投影光学系14(図1参照)の投影倍率に応じた4倍の比例演算を提供する。演算部65は、変換部64から出力される基準信号RS3と、レーザ干渉計35から出力される帰還信号FS3との差分に応じた偏差信号ES3を出力する。
ここで、基準信号RS2,RS3は目標位置発生器50から出力される基準信号RS1を同様の変換規則に基づいて変換したものであって等価であるため、レチクル粗動ステージRCSの目標値とレチクル微動ステージRFSの目標値とは同じ値となる。このため、偏差信号ES3は、レチクル粗動ステージRCS及びレチクル微動ステージRFSを含めたレチクルステージの目標位置に対するレチクル粗動ステージRCSの実際の位置のずれ量であり、レチクル粗動ステージRCSの追従誤差であるということができる。尚、レチクル粗動ステージRCSのステージ23の位置はレーザ干渉計35(図1参照)により検出され、その結果として帰還信号FS3が生成される。
コントローラ66は、入力される偏差信号ES3に基づいて、レチクル粗動ステージRCSの推力に関する制御信号CS3を生成する。ここで、コントローラ66は、特定の制御方式(例えばPID制御)に固定しても良い。FFコントローラ68は、変換部64から出力される基準信号RS3に基づいて、レチクル粗動ステージRCSの推力に関する制御信号DS3を出力してフィードフォワード制御する。
ここで、FFコントローラ68を用いてフィードフォワード制御するのは、FFコントローラ56を設ける理由と同様である。演算部67は、コントローラ66から出力される制御信号CS3とFFコントローラ68から出力される制御信号DS3とを加算してレチクル粗動ステージRCSに与える推力に関する制御信号CS30を出力する。このように、レチクル粗動ステージRCSに関しては従来と同様な構成を有するレチクル粗動ステージ制御部52で制御を行っている。
つまり、本実施形態においては、レチクル粗動ステージRCSについては従来通り、目標位置発生器50から出力される基準信号RS1を所定の変換規則に基づいて変換して得られる基準信号RS3を目標値としてサーボ制御を行い、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSについては基準信号RS1,RD2にそれぞれ追従させながら、補償器63によってこれらのステージの追従誤差、ウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとの同期誤差及びその時間積分値の全てが所定値(例えば、零)に収束するよう制御を行っている。
次に、外乱推定器71の設計方法について詳細に説明する。図4は、図3に示す制御装置33に設けられる同期コントローラ51と等価な回路を示すブロック図である。尚、図4においては、図3に示す構成に相当するものには同一の符号を付してある。図4において、ブロックB1は図3中のコントローラ54及びFFコントローラ56に相当するものであり、ブロックB2は図3中のウエハステージWSに相当するものである。また、ブロックB3は図3中のコントローラ59及びFFコントローラ61に相当するものであり、ブロックB4は図3中のレチクル微動ステージRFSに相当するものである。更に、破線で示すブロックB5は、図3中の補償器63、外乱推定器71、及びローパスフィルタ72に相当するものである。
図4に示す通り、ブロックB1の伝達関数をkc1、ブロックB2の伝達関数をP(s)、ブロックB3の伝達関数をkc2、ブロックB4の伝達関数をP(s)とする。尚、図4には図示していないが、ブロックB5中の補償器63の伝達関数をkとする。また、図4においては、図3に示す目標位置発生器50から出力される基準信号RS1をrとし、演算部53,58で演算される誤差信号ES1,ES2をそれぞれe,eとし、演算部62で演算される同期誤差信号SS1をeとし、演算部73で演算される外乱補償信号MS2をuとし、レーザ干渉計32,37から出力される帰還信号FS1,FS2をそれぞれy,yとしている。更に、ウエハステージWSに加わる外乱をdとし、レチクル微動ステージRFSに加わる外乱をdとしている。また更に、図4においては図示していないが、外乱補償信号uから同期化誤差信号eまでの伝達関数をP(s)とする。
ここで、図4に示す誤差信号e,e、及び誤差信号はeは以下の(1)〜(3)式で表される。
Figure 2007049056
また、帰還信号y,yは、以下の(4),(5)式で表される。尚、以下では、ブロックB2の伝達関数P(s)及びブロックB4の伝達関数P(s)をそれぞれP,Pと簡略化して表記する。
Figure 2007049056
従って、上記の(4),(5)式をそれぞれ上記の(1),(2)式に代入すると、誤差信号e,eは、それぞれ以下の(6),(7)式となる。
Figure 2007049056
また、上記(6),(7)式を上記の(3)式に代入すると、同期誤差eは以下の(8)式となる。
Figure 2007049056
上記(8)式を参照すると、同期誤差eは、外乱補償信号uに係る関数となっており、右辺第1項の括弧内を図4中の外乱補償信号uから同期化誤差信号eまでの伝達関数P(s)とみなし、右辺の残りの項をウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとを1つのステージとみなしたときに、このステージに加わる外乱d(=d,d)とみなせば、上記の(8)式を以下の(9)式で表すことができる。
Figure 2007049056
但し、上記(9)式中のP(s),dは、それぞれ以下の(10),(11)式で表される。
Figure 2007049056
上記(9)式で表される関係を図5に図示する。図5は、外乱補償信号uと同期誤差信号をeとの関係を示す回路である。図5を参照すると、図4中のブロックB5から出力される外乱補償信号uに対して外乱d(=d,d)が加わり、これらが伝達関数P(s)を介することによって同期誤差信号eが得られていることが分かる。図5に示す等価回路に加わる外乱dを補償するために、外乱オブザーバを加えた構成とすると、図6に示す回路とすることができる。
図6は、図5の等価回路に対して外乱オブザーバを加えた回路を示す図である。尚、図6においては、図3に示す構成に相当するものには同一の符号を付してある。前述した通り、図4中のブロックB5は図3中の補償器63、外乱推定器71、及びローパスフィルタ72に相当するものであるため、図5に示した等価回路に対して補償器63、外乱オブザーバとしての外乱推定器71、及びローパスフィルタ72が付加されている。
図6に示す通り、外乱推定器71は、外乱補償信号uから同期化誤差信号eまでの伝達関数P(s)の逆モデル(伝達関数P(s))等を用いて構成されている。図6に示す回路を、同期誤差信号eを入力とし、外乱補償信号uを出力する関係に変形した回路を図7に示す。図7は、図4に示すブロックB5の等価回路である。ここで、外乱推定器71から出力される推定外乱(正確にはローパスフィルタ72から出力される信号)をd^とすると、推定外乱d^は以下の(12)式で表される。尚、本明細書では表記の都合上、記号「d」の上部にハット記号「^」が付された記号を「d^」と記載している。また、以下では、伝達関数P(s)をPと簡略化し、ローパスフィルタ72の伝達関数Q(s)をQと簡略化して表記している。
Figure 2007049056
図7を参照すると、外乱補償信号uは、推定外乱d^を用いて以下の(13)式で表すことができる。この(13)式を上記の(12)式を用いて変形すると以下の(14)式となる。尚、以下では、補償器63の伝達関数k(s)をkと簡略化して表記している。
Figure 2007049056
上記の(14)式から図4中のブロックB5の伝達関数(同期化誤差信号eから外乱補償信号uまでの伝達関数)が得られる。以上の設計方法により外乱推定器71を設計することができる。
次に、以上の方法を用いて設計された制御装置33のシミュレーション結果について説明する。図8は外乱オブザーバを備える制御装置33のシミュレーション結果であり、図9は外乱オブザーバを有しない制御装置のシミュレーション結果である。尚、図8,図9に示すシミュレーション結果は、図3に示すコントローラ54,59によってPI制御によりウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSを制御したときのウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSの同期誤差信号SS1の時間変化を示すシミュレーション結果である。
また、図8,図9においては、横軸に示す時刻が1秒のときにウエハステージWSとレチクル微動ステージRFS(更には、レチクル粗動ステージRCS)の加速を開始し、時刻が5秒のときにこれらのステージを停止させている。ステージの加速は時刻が1.5秒程度になるまで行っており、ステージの減速は時刻が4.5秒程度になったときに行っている。
図8に示す通り、図3に示す制御装置33により制御を行った場合には、加速期間の開始直後における同期誤差が一時的に大きくなることが分かる。これに対し、図9を参照すると、外乱オブザーバとしての制御装置を備えない制御装置により制御を行った場合には、加速期間の同期誤差がさほど大きくはなっていないことが分かる。しかしながら、図8と図9とを比較すると、加速期間終了後の同期期間(ウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとが一定の速度で移動する期間(時刻が1.5秒〜4.5秒の期間))の同期誤差は図9よりも図8の方が小さいことが分かる。
図8及び図9を参照すると、何れの制御を行った場合にも同期期間における同期誤差の変化の幅は同程度である。しかしながら、図9を参照すると、同期期間における同期誤差は同期期間の全体に亘って偏差して、この偏差量(−3〜−2程度)を中心として変化していることが分かる。これは、同期期間の全体に亘って、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSのうちの一方が他方に対して遅れていることを意味する。これに対し、図8を参照すると、同期期間における同期誤差は同期期間の全体に亘って零を中心として変化していることが分かる。これは、ウエハステージWSとレチクル微動ステージRFSとの間に上記の遅れが生じていないことを意味する。
このように、本実施形態の制御装置33は、ウエハステージWSとウエハレチクル微動ステージRFSとの同期誤差SS1を算出し、この同期誤差に基づいて同期誤差を補償する補償信号MS1を生成するとともに、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSを1つのステージとみなし、このステージに加わる全ての外乱を推定している。そして、補償信号MS1から推定外乱を除外した外乱補償信号MS2を求めている。このためウエハステージWS又はウエハレチクル微動ステージRFSに外乱が加わっても、高いロバスト性を確保することができ、ステージの同期精度を向上させることができる。また、同期精度の向上によりスループットの向上を実現することができる。
以上、本発明のステージ制御装置としての制御装置33の構成及びシミュレーション結果について説明したが、次に露光時の動作について簡単に説明する。露光開始のコマンドが送出されると、制御装置33に設けられた目標位置発生器50は、予め設定されたレシピに従った基準信号RS1を出力する。ここで、レシピとは露光装置の露光動作を規定する制御情報、例えば照明条件、使用するレチクルR、ウエハWの種類、ウエハW上に設定されたショット領域の配列等の情報を含むものである。
目標位置発生器50から基準信号RS1が出力されると、演算部53において基準信号RS1及び帰還信号FS1から誤差信号ES1が演算され(第1追従誤差算出ステップ)、この誤差信号ES1に基づいてコントローラ54が制御信号CS1を生成する(第1制御信号生成ステップ)。また、FFコントローラ56は基準信号RS1に基づいて制御信号DS1を生成する。
また、目標位置発生器50から出力された基準信号RS1は変換部57において4倍されて基準信号RS2とされ、演算部58において基準信号RS2及び帰還信号FS4から誤差信号ES2が演算され(第2追従誤差算出ステップ)、この誤差信号ES2に基づいてコントローラ59が制御信号CS2を生成する(第2制御信号生成ステップ)。また、FFコントローラ61は基準信号RS2に基づいて制御信号DS2を生成する。
また、演算部62は、誤差信号ES1,ES2から同期誤差信号SS1を演算し(同期誤差算出ステップ)、補償器63は同期誤差信号SS1に基づいて補償信号MS1を生成する(補償信号生成ステップ)。生成された補償信号MS1は演算部73に出力される。また、外乱推定器71は、同期誤差信号SS1と補償信号MS2とから外乱を推定する(外乱推定ステップ)。この外乱推定器71から出力された推定外乱はローパスフィルタ72でフィルタリングされて演算部73に出力される。演算部73は、補償信号MS1からローパスフィルタ72からの推定外乱を減算して外乱補償信号MS2を生成する(外乱補償信号生成ステップ)。
コントローラ54で生成された制御信号CS1、FFコントローラ56で生成された制御信号DS1、及び演算部73で生成された外乱補償信号MS2は演算部55において演算され、制御信号CS10が生成される。同様に、コントローラ59で生成された制御信号CS2、FFコントローラ61で生成された制御信号DS2、及び演算部73で生成された外乱補償信号MS2は演算部60において演算され、制御信号CS20が生成される。生成された制御信号CS10,CS20はウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSにそれぞれ出力され、制御信号CS10,CS20に応じた推力がそれぞれ発生する(制御ステップ)。
尚、目標位置発生器50から出力された基準信号RS1は変換部64において4倍されて基準信号RS3とされ、演算部65において基準信号RS3及び帰還信号RS3から誤差信号ES3が演算され、この誤差信号ES3に基づいてコントローラ66が制御信号CS3を生成する。また、FFコントローラ68が基準信号RS3に基づいて制御信号DS3を生成する。演算部67は制御信号CS3と制御信号DS3とを演算して制御信号CS30を生成してレチクル粗動ステージRCSに出力し、制御信号CS30に応じた推力を発生させる(制御ステップ)。
ここで、補償器63は、例えば最適LQ型制御又はH∞外乱抑制型制御により、同期誤差の平均値又はピーク値を所定値(例えば、0)に収束するよう設計されており、同期コントローラ51は1つの制御系として追従誤差、同期誤差、及びその時間積分値が所定値(例えば、0)に収束するように設計されるため、ウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSはこれらが全て所定値に収束するよう制御される。
以上の処理が繰り返されつつ、ウエハステージWSは−Y方向に加速され、レチクル微動ステージRFS及びレチクル粗動ステージRCSは+Y方向に加速される。ウエハステージWS並びにレチクル微動ステージRFS及びレチクル粗動ステージRCSの加速が終了すると、所定の整定期間を経た後でウエハステージWS及びレチクル微動ステージRFSの速度が一定の速度になる。整定期間が経過すると、スリット状の照明光をレチクルRに照射しつつ、ウエハステージWSを−Y方向に速度Vw(=β・Vm)で走査移動するとともに、レチクルステージユニットを+Y方向に速度Vmで走査移動しつつ、レチクルに形成されたパターンを、投影光学系14を介してウエハW上に設定されたショット領域に転写する。レチクルのパターンの転写が終了すると、制御装置33はウエハステージWS及びレチクルステージユニットを減速して停止させる。以上の動作はウエハW上の他のショットに対しても同様に行われる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、レチクルステージがレチクル微動ステージRFSとレチクル粗動ステージRCSとからなる場合を例に挙げて説明したが、レチクルステージが1つのステージのみからなる場合についても本発明を適用することができる。
また、ウエハステージWSが、レチクル微動ステージRFS及びレチクル粗動ステージRCSのように複数のステージからなる場合にも本発明を適用することができる。この場合において、レチクルステージは1つのステージからなるものであっても良く、複数のステージからなるものであっても良い。尚、ウエハステージWS及びレチクルステージが共に複数のステージを備える場合には、ウエハWを保持するステージ(微動ステージ)とレチクルRを保持するレチクル微動ステージRFSとを対象として外乱推定器33の設計を行うのが望ましい。
また、光源としては、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)等のエキシマレーザに限らず、超高圧水銀ランプから射出されるg線(436nm)及びi線(365nm)、Fレーザ(157nm)から射出されるレーザ光、Krレーザ(146nm)から射出されるレーザ光、Arレーザ(126nm)から射出されるレーザ光、更には、X線や電子線などの荷電粒子線を用いることができる。
また、上記実施形態においては、露光装置に設けられる制御装置33を個別に設計する場合を例に挙げたが、複数の露光装置をオンラインで接続し、各々の露光装置に設けられた制御装置33のパラメータを、ステージの動作状況に応じて変更することができるようにすれば、実際の露光装置の設置条件に対応することができ、ロバスト性を高める上で好適となる。
更に、本発明は、図3に示す制御装置33の機能をハードウェアで構成することも可能であり、ソフトウェアで実現することも可能である。ソフトウェアで実現する場合には、制御装置33のハードウェア構成を、CPU(中央処理装置)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、通信インタフェース、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等の外部記憶装置とうから構成し、上述した制御を行うプログラムを通信回線を介して制御装置33に読み込ませ、又は記録媒体に記憶させたプログラムを外部記憶装置を用いて制御装置33に読み込ませる。
次に、本発明の実施形態による露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について簡単に説明する。図10は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図10に示すように、まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップS13(ウエハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
図11は、半導体デバイスの場合における、図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。図11において、ステップS21(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップS22(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップS21〜ステップS24のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS25(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS26(露光工程)において、上で説明したリソグラフィシステム(露光装置)及び露光方法によってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップS27(現像工程)においては露光されたウエハを現像し、ステップS28(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS29(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のマイクロデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS26)において上記の露光装置及び上で説明した露光方法が用いられ、真空紫外域の照明光により解像力の向上が可能となり、しかも露光量制御を高精度に行うことができるので、結果的に最小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留まり良く生産することができる。
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
本発明の一実施形態による露光装置の構成を示す正面図である。 図1に示した露光装置に適用可能なリニアモータの断面図である。 本発明の一実施形態によるステージ制御装置の主要部をなす制御装置33の構成を示すブロック図である。 図3に示す制御装置33に設けられる同期コントローラ51と等価な回路を示すブロック図である。 外乱補償信号uと同期誤差信号をeとの関係を示す回路である。 図5の等価回路に対して外乱オブザーバを加えた回路を示す図である。 図4に示すブロックB5の等価回路である。 外乱オブザーバを備える制御装置33のシミュレーション結果である。 図9は外乱オブザーバを有しない制御装置のシミュレーション結果である。 マイクロデバイスの製造例のフローチャートを示す図である。 半導体デバイスの場合における、図10のステップS13の詳細なフローの一例を示す図である。
符号の説明
14 投影光学系(光学系)
33 ステージ制御装置
51 同期コントローラ(同期制御部)
53 演算部(同期誤差算出部、第1追従誤差算出部)
54 コントローラ(第1制御部)
55 演算部(補償部)
56 FFコントローラ(第1制御部、フィードフォワード制御部)
58 演算部(同期誤差算出部、第2追従誤差算出部)
59 コントローラ(第2制御部)
60 演算部(補償部)
61 FFコントローラ(第2制御部、フィードフォワード制御部)
62 演算部(同期誤差算出部、誤差算出部)
63 補償器(補償信号生成部)
71 外乱推定器(外乱推定部)
CS1 制御信号(第1制御信号)
CS2 制御信号(第2制御信号)
ES1 偏差信号(第1ステージの追従誤差)
ES2 偏差信号(第2ステージの追従誤差)
MS1 補償信号
MS2 外乱補償信号
R レチクル(マスク)
RCS レチクル粗動ステージ(マスクステージ)
RFS レチクル微動ステージ(ステージ、第2ステージ、マスクステージ)
SS1 同期誤差信号(同期誤差)
W ウエハ(基板)
WS ウエハステージ(ステージ、第1ステージ、基板ステージ)

Claims (14)

  1. 複数のステージを同期をとりつつ移動制御するステージ制御方法において、
    前記複数のステージ間の同期誤差を算出する同期誤差算出ステップと、
    前記複数のステージを1つのステージとみなし、当該ステージに加わる全ての外乱を推定する外乱推定ステップと、
    前記外乱推定ステップで求められた推定外乱に基づいて、前記同期誤差算出ステップで求められた前記同期誤差から前記推定外乱を補償した外乱補償信号を生成する外乱補償信号生成ステップと、
    前記外乱補償信号生成ステップで求められた前記外乱補償信号を用いて前記複数のステージを制御する制御ステップと
    を含むことを特徴とするステージ制御方法。
  2. 前記複数のステージは、第1ステージ及び第2ステージを含み、
    前記同期誤差算出ステップは、前記第1ステージの目標値に対する前記第1ステージの追従誤差を算出する第1追従誤差算出ステップと、
    前記第2ステージの目標値に対する前記第2ステージの追従誤差を算出する第2追従誤差算出ステップと、
    前記第1,第2追従誤差算出ステップで得られた追従誤差から前記第1ステージと前記第2ステージとの同期誤差を算出するステップと
    を含むことを特徴とする請求項1記載のステージ制御方法。
  3. 前記第1追従誤差算出ステップで得られた追従誤差に基づいて前記第1ステージの推力を示す第1制御信号を生成する第1制御信号生成ステップと、
    前記第2追従誤差算出ステップで得られた追従誤差に基づいて前記第2ステージの推力を示す第2制御信号を生成する第2制御信号生成ステップと、
    前記同期誤差に基づいて前記第1制御信号及び前記第2制御信号を補償する補償信号を生成する補償信号生成ステップと
    を含むことを特徴とする請求項2記載のステージ制御方法。
  4. 前記制御ステップは、前記第1制御信号と前記補償信号及び前記外乱補償信号と用いて前記第1ステージを制御し、
    前記第2制御信号と前記補償信号及び前記外乱補償信号と用いて前記第2ステージを制御する
    ことを特徴とする請求項3記載のステージ制御方法。
  5. 前記目標値は、前記第1,第2ステージの目標位置及び目標速度を含むことを特徴とする請求項2から請求項4の何れか一項に記載のステージ制御方法。
  6. 請求項1から請求項5の何れか一項に記載のステージ制御方法を実行することを特徴とするステージ制御プログラム。
  7. 複数のステージを同期をとりつつ移動制御するステージ制御装置において、
    前記複数のステージ間の同期誤差を算出する同期誤差算出部と、
    前記複数のステージを1つのステージとみなし、当該ステージに加わる全ての外乱を推定する外乱推定部と、
    前記外乱推定部で求められた推定外乱に基づいて、前記同期誤差算出部で求められた前記同期誤差から前記推定外乱を補償した外乱補償信号を生成して前記複数のステージを制御する同期制御部と
    を含むことを特徴とするステージ制御装置。
  8. 前記複数のステージは、第1ステージ及び第2ステージを含み、
    前記同期誤差算出部は、前記第1ステージの目標値に対する前記第1ステージの追従誤差を算出する第1追従誤差算出部と、
    前記第2ステージの目標値に対する前記第2ステージの追従誤差を算出する第2追従誤差算出部と、
    前記第1,第2追従誤差算出部で得られた追従誤差から前記第1ステージと前記第2ステージとの同期誤差を算出する誤差算出部と
    を含むことを特徴とする請求項7記載のステージ制御装置。
  9. 前記同期制御部は、前記第1追従誤差算出部で得られた追従誤差に基づいて前記第1ステージの推力を示す第1制御信号を生成する第1制御部と、
    前記第2追従誤差算出部で得られた追従誤差に基づいて前記第2ステージの推力を示す第2制御信号を生成する第2制御部と、
    前記誤差誤差算出部で得られた同期誤差に基づいて前記第1制御信号及び前記第2制御信号を補償する補償信号を生成する補償信号生成部と、
    前記補償信号生成部で生成された前記補償信号と前記外乱補償信号とを用いて前記第1制御信号及び前記第2制御信号を補償する補償部と
    を含むことを特徴とする請求項8記載のステージ制御装置。
  10. 前記目標値は、前記第1,第2ステージの目標位置及び目標速度を含むことを特徴とする請求項8又は請求項9記載のステージ制御装置。
  11. 前記第1制御部及び前記第2制御部は、前記目標値の各々から前記第1,第2ステージの推力信号を生成するフィードフォワード制御部を含むことを特徴とする請求項9記載のステージ制御装置。
  12. 光学系を介してマスクのパターンを基板上に露光する露光手段と、前記マスクを移動させるマスクステージと、前記基板を移動させる基板ステージとを備える露光装置であって、
    前記基板ステージ及び前記マスクステージは、請求項2から請求項5の何れか一項に記載のステージ制御方法を用いて前記第1ステージ及び前記第2ステージとしてそれぞれ制御されることを特徴とする露光装置。
  13. 光学系を介してマスクのパターンを基板上に露光する露光手段と、前記マスクを移動させるマスクステージと、前記基板を移動させる基板ステージとを備える露光装置であって、
    前記基板ステージを前記第1ステージとして制御し、前記マスクステージを前記第2ステージとして制御する請求項8から請求項11の何れか一項に記載のステージ制御装置を備えることを特徴とする露光装置。
  14. リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法であって、
    前記リソグラフィ工程において請求項12又は請求項13記載の露光装置を用いて露光を行う露光工程を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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