JP4338694B2 - 運動システム用自己適応フィードフォワード制御調整、およびそのような運動システムを備えるリソグラフィ装置 - Google Patents

運動システム用自己適応フィードフォワード制御調整、およびそのような運動システムを備えるリソグラフィ装置 Download PDF

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Description

本発明は、リソグラフィ装置に関し、更に具体的には運動システムを備えるリソグラフィ装置に関する。
多くの消費者製品および製造機械では、高精密運動システムを組込んでいるかも知れない。高精密運動システムを備える消費者製品の例は、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、およびテープドライブである。高精密運動システムを備える製造機械の例は、走査リソグラフィステージ、およびピックアンドプレース・ロボットである。
高精密運動システム用典型的コントローラは、フィードバックコントローラとフィードフォワードコントローラから成る。このフィードフォワードコントローラは、この運動システムの開ループレスポンス(フィードバックコントローラ不作動の)が設定値にできるだけよく似るように、フィードフォワードコマンドを創るために位置決め設定値についての知識を使う。異なる種類のフィードフォワード制御を区別することができる。次の段落で、二つの方法:低次フィードフォワード制御と反復学習制御を更に詳しく議論する。
低次フィードフォワード制御(LFC)は、よく知られ、産業界に広く普及している。低次フィードフォワードコントローラは、屡々異なる部分を含む。第1部分は、このコマンドの慣性に関係する部分を創るために、設定値加速度に関係してもよい。第2部分は、このコマンドの減衰に関係するまたは摩擦に関係する部分を創るために、設定値速度に関係してもよい。最も進んだ実現方式では、第3部分がこのコマンドの、この運動システムの弾性変形に関係する部分を創るために、設定値スナップ(ジャークの微分と同一)に関係してもよい。LFCの利点は、その単純性、その実行容易性および実現すべき運動プロファイルの変動に対するその柔軟性である。LFCの欠点は、異なるフィードフォワード部分の係数の手動調整に必要な努力および費やす時間である。LFCのもう一つの欠点は、フィードフォワードコントローラが運動システムの変動、特に遅い変動に適応しないかも知れず、その場合性能が低下するだろうという事実である。
反復学習制御(ILC)は、制御対象システムの所望と現実の動作の間の差が無くなるような方法で反復タスク用制御信号を繰返し更新する方法論である。ILCは、幾つかの用途に成功裏に適用されている。しかし、ILCの主な強さは、その主な弱さでもあり:反復タスク用に、優れたフィードフォワード信号を設計できるのに対して、これらのフィードフォワード信号は、最大変位、速度、加速度のような、特性の異なる運動プロファイルに対して無用である。それで、ILCは、柔軟性を欠き、または、最善の場合でも、異なる運動プロファイルに対して部分的にしか柔軟でないかも知れない。ILCのもう一つの欠点は、それが通常かなり広範なオンライン計算並びに長々しいフィードフォワードテーブルの記憶および更新を必要とすることである。ILCの利点は、運動システムの遅い変動、例えば、このシステムの慣性またはモータ定数の変化に対するその適応能力である。
幾つかの高精密運動システムを含む装置の例は、リソグラフィ装置であり、それを以下に説明する。
リソグラフィ装置は、基板に、通常はこの基板の目標部分上に、所望のパターンを付ける機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使うことができる。その場合、マスクまたはレチクルとも呼ぶ、パターニング装置を使ってこのICの個々の層に作るべき回路パターンを創成してもよい。このパターンを基板(例えば、シリコンウエハ)上の目標部分(例えば、一つまたは幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。このパターンの転写は、典型的には基板上に設けた放射線感応材料(レジスト)の層上への結像による。一般的に、単一基板が、順次パターン化される、隣接目標部分のネットワークを含む。従来のリソグラフィ装置には、全パターンをこの目標部分上に一度に露光することによって各目標部分を照射する、所謂ステッパと、このパターンを投影ビームによって与えられた方向(“走査”方向)に走査することによって各目標部分を照射し、一方、この基板をこの方向と平行または逆平行に同期して走査する、所謂スキャナがある。このパターンを基板上に印写することによってこのパターンをパターニング装置から基板へ転写することも可能である。
リソグラフィ装置で、高精密運動システムは、歩進および走査作業を行うために設けてもよい。
本発明の実施例では、フィードフォワード調整の自動化を可能にする運動制御システムを含む。
本発明の実施例によれば、運動制御システムが、位置プロファイル設定値信号および追加のプロファイル設定値信号を含む1組のプロファイル設定値信号を発生するための運動プロファイル設定値発生器;それぞれの係数を掛けたこれらの追加のプロファイル設定値信号を加算することによってフィードフォワード信号を発生するためのフィードフォワードコントローラを含み;この運動制御システムは:(a)それぞれの係数の初期設定を選択し;(b)運動プロファイルを実行するように、この運動プロファイル設定値発生器に1組のプロファイル設定値信号を発生させ;(c)この位置プロファイルと出力位置信号の間の誤差を測定し;(d)この誤差とそれに対するそれぞれの学習ゲインの積を加えることによってそれぞれの係数を更新するように構成してある。
この発明の実施例によれば、フィードフォワード運動制御のための方法が、位置プロファイル設定値信号および追加のプロファイル設定値信号を含む1組のプロファイル設定値信号を発生する工程と;それぞれの係数を掛けたこれらの追加のプロファイル設定値信号を加算することによってフィードフォワード信号を発生する工程と;そして、これらの係数を:(a)それぞれの係数の初期設定を選択する工程;(b)運動プロファイルを実行するように、1組のプロファイル設定値信号を発生する工程;(c)この位置プロファイルと出力位置信号の間の誤差を測定する工程;および(d)この誤差とそれに対するそれぞれの学習ゲインの積を加えることによってそれぞれの係数を更新する工程、によって決める工程とを含む。
本発明の実施例によれば、パターンをパターニング装置から基板上へ転写するように構成したリソグラフィ装置であって:このパターニング装置と基板の少なくとも一つが運動制御システムによって制御される位置決め装置で配置されるリソグラフィ装置が提供され、この運動制御システムは、位置プロファイル設定値信号および追加のプロファイル設定値信号を含む1組のプロファイル設定値信号を発生するための運動プロファイル設定値発生器;並びにそれぞれの係数を掛けたこれらの追加のプロファイル設定値信号を累和計算することによってフィードフォワード信号を発生するためのフィードフォワードコントローラを含み;この運動制御システムは:(a)それぞれの係数の初期設定を選択し;(b)運動プロファイルを実行するように、この運動プロファイル設定値発生器に1組のプロファイル設定値信号を発生させ;(c)この位置プロファイルと出力位置信号の間の誤差を測定し;(d)この誤差とそれに対するそれぞれの学習ゲインの積を加えることによってそれぞれの係数を更新するように構成してある。
本発明は、運動制御システムの所望と現実の動作の間の差を補償するように低次フィードフォワードコントローラの係数を繰返し更新することに備える。
次に、本発明の実施例を、例としてだけ、添付の概略図を参照して説明し、それらの図面で対応する参照記号は対応する部品を指す。
図1は、本発明の一実施例によるリソグラフィ装置を概略的に描く。この装置は、放射線ビームB(例えば、UV放射線または何か他の種類の適当な放射線)を調整するように構成した照明システム(照明器)ILおよびパターニング装置(例えば、マスク)MAを支持するように構築し、且つこのパターニング装置をあるパラメータに従って正確に位置決めするように構成した第1位置決め装置PMに結合した支持構造体(例えば、マスクテーブル)MTを含む。この装置は、基板(例えば、レジストを塗被したウエハ)Wを保持するように構築し、且つこの基板をあるパラメータに従って正確に位置決めするように構成した第2位置決め装置PWに結合した基板テーブル(例えば、ウエハテーブル)WT、およびパターニング装置MAによって放射線ビームBに与えたパターンを基板Wの目標部分C(例えば、一つ以上のダイを含む)上に投影するように構成した投影システム(例えば、屈折性投影レンズシステム)PSを含む。
この装置に含まれる第1位置決め装置PM、第2位置決め装置PW、および何か他の位置決め装置は、各々この発明による運動制御システムを含んでもよい。そのような運動制御システムを以下に更に詳しく説明する。
この照明システムは、放射線を指向し、成形し、または制御するための、屈折式、反射式、磁気式、電磁式、静電式若しくはその他の種類の光学要素、またはその任意の組合せのような、種々の型式の光学要素も包含してよい。
この支持構造体は、パターニング装置を支持、即ち、その重量を坦持する。それは、パターニング装置を、その向き、リソグラフィ装置の設計、および、例えば、パターニング装置が真空環境に保持されているかどうかのような、その他の条件に依る方法で保持する。この支持構造体は、機械、真空、静電またはその他のクランプ手法を使ってパターニング装置を保持することができる。この支持構造体は、例えば、フレームまたはテーブルでもよく、それらは必要に応じて固定または可動でもよい。この支持構造体は、パターニング装置が、例えば投影システムに関して、所望の位置にあることを保証してもよい。ここで使う“レチクル”または“マスク”という用語のどれも、より一般的な用語“パターニング装置”と同義と考えてもよい。
ここで使う“パターニング装置”という用語は、放射線ビームの断面に、この基板の目標部分に創るようなパターンを与えるために使うことができる手段を指すと広く解釈すべきである。この放射線ビームに与えたパターンは、例えば、もしこのパターンが位相シフト形態または所謂補助形態を含むならば、基板の目標部分の所望のパターンと厳密には対応しないかも知れないことに注目すべきである。一般的に、放射線ビームに与えたパターンは、集積回路のような、この目標部分に創るデバイスの特別の機能層に対応するだろう。
このパターニング装置は、透過性でも反射性でもよい。パターニング装置の例には、マスク、プログラム可能ミラーアレイ、およびプログラム可能LCDパネルがある。マスクは、リソグラフィでよく知られ、二値、交互位相シフト、および減衰位相シフトのようなマスク型、並びに種々のハイブリッドマスク型がある。プログラム可能ミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリックス配置を使用し、入射放射線ビームを異なる方向に反射するようにその各々を個々に傾斜することができる。傾斜したミラーは、このミラーマトリックスによって反射した放射線ビームにパターンを与える。
ここで使う“投影システム”という用語は、使用する露光放射線に対して、または浸漬液の使用または真空の使用のような他の要因に対して適宜、屈折式、反射式、反射屈折式、磁気式、電磁式および静電式光学システム、またはその任意の組合せを含む、あらゆる型式の投影システムを包含するように広く解釈すべきである。ここで使う“投影レンズ”という用語のどれも、より一般的な用語“投影システム”と同義と考えてもよい。
ここに描くように、この装置は、透過型(例えば、透過性のマスクを使用する)である。その代りに、この装置は、反射型(例えば、上に言及した型式のプログラム可能ミラーアレイを使用する、または反射性マスクを使用する)でもよい。
このリソグラフィ装置は、二つ(二段)以上の基板テーブル(および/または二つ以上のマスクテーブル)を有する型式でもよい。そのような“多段”機械では、追加のテーブルを並列に使ってもよく、または準備工程を一つ以上のテーブルで行い、一方他の一つ以上のテーブルを露光用に使ってもよい。
このリソグラフィ装置は、投影システムと基板の間のスペースを埋めるように、この基板の少なくとも一部を比較的屈折率の高い液体、例えば水によって覆う型式でもよい。浸漬液をこのリソグラフィ装置の他のスペース、例えば、マスクと投影システムの間にも加えてよい。浸漬法は、投影システムの開口数を増すためにこの技術でよく知られている。ここで使う“浸漬”という用語は、基板のような、構造体を液体の中に沈めなければならないことを意味するのではなく、それどころか露光中に投影システムと基板の間に液体があることを意味するだけである。
図1を参照して、照明器ILは、放射線源SOから放射線ビームを受ける。この線源とリソグラフィ装置は、例えば、線源がエキシマレーザであるとき、別々の存在であってもよい。そのような場合、この線源がリソグラフィ装置の一部を形成するとは考えられず、放射線ビームは、線源SOから、例えば適当な指向ミラーおよび/またはビーム拡大器を含むビーム送出システムBDを使って、照明器ILへ送られる。他の場合、例えば、線源が水銀灯であるとき、線源がこの装置の一部分であってもよい。この線源SOと照明器ILは、もし必要ならビーム送出システムBDと共に、放射線システムと呼んでもよい。
照明器ILは、放射線ビームの角強度分布を調整するための調整装置AMを含んでもよい。一般的に、この照明器の瞳面での強度分布の少なくとも外側および
/または内側半径方向範囲(普通、それぞれ、σ外側およびσ内側と呼ぶ)を調整できる。その上、照明器ILは、一般的に、インテグレータINおよびコンデンサCOのような、種々の他の部品を含んでもよい。この照明器は、その断面に所望の均一性および強度分布を有するように、この放射線ビームを調節するために使ってもよい。
放射線ビームBは、支持構造体(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニング装置(例えば、マスクMA)に入射し、このパターニング装置によってパターン化される。マスクMAを横断してから、放射線ビームBは、投影システムPSを通過し、それがこのビームを基板Wの目標部分C上に集束する。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計測装置、線形エンコーダまたは容量式センサ)を使って、基板テーブルWTを、例えば、異なる目標部分CをビームBの経路に配置するように、正確に動かすことができる。同様に、例えば、マスクMAをマスクライブラリから機械的に検索してから、または走査中に、第1位置決め装置PMおよびもう一つの位置センサ(図1にはっきりとは図示せず)を使ってマスクMAをビームBの経路に関して正確に配置することができる。一般的に、マスクテーブルMTの移動は、第1位置決め装置PMの一部を形成する、長ストロークモジュール(粗位置決め)および短ストロークモジュール(微細位置決め)を使って実現してもよい。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2位置決め装置PWの一部を形成する、長ストロークモジュール(粗位置決め)および短ストロークモジュール(微細位置決め)を使って実現してもよい。ステッパの場合は(スキャナと違って)、マスクテーブルMTを短ストロークアクチュエータに結合するだけでもよく、または固定してもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスク整列マークM1、M2および基板整列マークP1、P2を使って整列してもよい。図示する基板整列マークは、専用の目標部分を占めるが、それらは目標部分の間のスペースにあってもよい(それらは、スクライブレーン整列マークとして知られる)。同様に、マスクMA上に二つ以上のダイが設けてある場合は、マスク整列マークがダイ間にあってもよい。
図示する装置は、以下のモードの少なくとも一つで使うことができる:
ステップモード:放射線ビームに与えた全パターンを目標部分C上に一度に(即ち、単一静的露光で)投影しながら、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを本質的に固定して保持する。次に基板テーブルWTをXおよび/またはY方向に移動して異なる目標部分Cを露光できるようにする。ステップモードでは、露光領域の最大サイズが単一静的露光で結像する目標部分Cのサイズを制限する。
走査モード:放射線ビームの与えたパターンを目標部分C上に投影(即ち、単一動的露光)しながら、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期して走査する。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮)倍率および像反転特性によって決る。走査モードでは、露光領域の最大サイズが単一動的露光での目標部分の(非走査方向の)幅を制限し、一方走査運動の長さが目標部分の(走査方向の)高さを決める。
もう一つのモード:プログラム可能パターニング装置を保持するマスクテーブルMTを本質的に固定し、放射線ビームに与えたパターンを目標部分C上に投影しながら、基板テーブルWTを動かしまたは走査する。このモードでは、一般的にパルス化した放射線源を使用し、プログラム可能パターニング装置を基板テーブルWTの各運動後または走査中の連続する放射線パルスの間に必要に応じて更新する。この作動モードは、上に言及した型式のプログラム可能ミラーアレイのような、プログラム可能パターニング装置を利用するマスクレス・リソグラフィに容易に適用できる。
上に説明した使用モードの組合せおよび/または変形または全く異なった使用モードも使ってよい。
この発明の実施例による運動制御システムでは、低次フィードフォワードコントローラの係数を、制御対象システムの所望と現実の動作の間の差が無くなるような方法で繰返し更新する。この更新機構は、所謂持上げILCフレームワークで使用する更新機構の基礎を為す理論に基づき、主な差は、ILCがフィードフォワード信号の個々のサンプルを更新するのに対して、この発明の実施例によれば、フィードフォワードコントローラの係数を更新することである。従って、これらの係数を調整し、その後、出来たフィードフォワードコントローラを任意の運動プロファイルに適用することができる。ILC理論から知られる収束証明をこの更新機構の収束性を証明するために使うことができる。この様にして、産業上認められたLFC法(加速度、速度)と強力なILC法の非常に有用な組合せができる。
図2は、フィードバックおよびフィードフォワード制御を備える運動システムのブロック線図を示す。

は設定値のスナップ(ジャークの微分)、

はジャーク、

は加速度、

は速度および

は位置である。

はサーボ誤差、

はプラント入力、

はプラント出力である。

は、スナップ掛ける

、ジャーク掛ける

、加速度掛ける

および速度掛ける

の和に等しい部分から成る、合計フィードフォワード信号である。多くの産業上の用途では、スナップとジャークがフィードフォワード制御のためには利用できないが、本発明のためにはスナップとジャークをより一般的な状況を提示するために含める。しかし、更に一層一般化した状況でも、位置信号と決った関係がある、他のプロファイル設定値信号を定義してもよいことが見られる。例として、速度の符号と同じ符号の一定フィードフォワード信号値を有する、乾燥クーロン摩擦を挙げてもよい。
スナップ、ジャーク、加速度および速度を考慮に入れて、フィードフォワード係数を更新するための以下の反復手順をこの発明の実施例に使ってもよい:


に対しそれぞれ、

で示す初期設定で開始する。反復カウンタ

をセットする。
◆運動プロファイルを実行し、誤差

を測定し、但し、

で使用したサンプルの数である。
◆以下の更新規則に従ってフィードフォワードコントローラの係数を更新する:

但し、

は学習ゲインである。k=k+1にセットし、第2ステップへ戻る。
更に一般的には、これは次のように書ける。
但し:

は、それぞれ、n設定値プロファイル信号のk番目の反復したものの係数であり、

は、それぞれ、n設定値プロファイル信号の(k+1)番目の反復での係数であり、

は、k番目の反復での学習ゲインであり、

は、k番目の反復で使用した運動プロファイルのサンプル数であり、および

は、k番目の反復での誤差である。
上に説明した反復は、このシステム動特性での遅い変化に適応するために絶え間なく繰返すことができる。もし、これらが期待されないならば、ある数の反復後この反復手順を止めることができる。この場合は、この方法を較正として使用する。

を決める幾つかの方法から一つの可能な方法を次に説明する。

は、運動プロファイルに変化がもたらされる度毎に更新しなければならない。もし、この運動プロファイルが全く変化しないかまたは較正中に変化しないならば、オフラインで計算できる、固定学習ゲイン

を使うことができる。

を、それぞれ、試行

でのフィードフォワード信号および実測出力信号とする。



の間のマップとする。

は、上対角線三角マトリックスがゼロに等しく、第1列がプロセス感度

のインパルス応答係数によって与えられるテブリッツ・マトリックスである。以下に、

がどの様にインパルス応答係数[4,3,2,1]および

の運動システムを探すかの例を挙げる。

を得る幾つかの方法がある。一つは、このシステムのインパルス応答を測定することである。もう一つは、プロセス感度の単純なモデルを使用し、それからインパルス応答係数を計算することである。後者のアプローチを後に説明する例で使用する。
試行

でのフィードフォワードパラメータ

の変化とサーボ誤差の対応する変化の間の関係は、すると

は、次の式で与えられる:
各試行で、フィードフォワード係数の更新は、誤差信号の二乗の和を最小化するように計算する。(2)によって与えられる



を最小化することは、以下の更新規則に繋がる:
(3)に基づき、(1)の学習ゲインを次のように定義する。
但し、αは、例えばノイズのような、非反復現象への不感受性に対して収束速度をバランスするために使える学習因子である。
更に一般的には、学習ゲイン

を次のように定義してもよい。
但し:
αは、学習因子であり、

は、それぞれ、k番目の反復でのnの追加のプロファイル設定値信号であり、

は、k番目の反復でのフィードフォワード信号と出力位置信号の間のマップであり、および

は、遷移を表す。
次に、反復の収束性を更に詳しく考える。
一組の実測インパルス応答および学習ゲイン

の設計が与えられると、4×4マトリックスの固有値をチェックすることによって、この反復手順の収束性を容易に調べられる。更新関係(1)を考える。フィードフォワード信号と実システムのための出力の間のマップを

によって与えられるとする。すると、(1)を次のように書換えられる。
式(5)は、状態

の線形、動的システムを提示する。線形システム理論から、もし、状態遷移マトリックス

の固有値が単位円周内にあれば、このシステムは安定で、従って固定解へ収束するだろうことがよく知られている。
もし、

(これは、この実システムのインパルス応答が

の設計に使ったものと等しい場合である)ならば、(4)を(5)に代入すると:
この状態遷移マトリックスの固有値がαに等しいように、

であることが分る。すると、0<α<2ならば、収束性が保証される。
最も正確な位置制御システムでは、フィードフォワード信号のタイミングを位置測定の遅延と組合わせる、遅延補償があってもよい。この遅延は、サブサンプル値を有することができる。この発明の実施例による運動システムは、未知の測定遅延の自己調整またはそれへの適応を容易に組込むことができる。この基本的アイデアは、フィードフォワードコントローラをスナップ、ジャーク、加速度および速度信号とこれらの時間シフト版の線形組合せとしてモデル化することである。
加速度信号に対する遅延補償の使用例を図3に示す。この例では、加速度信号が‘サンプルの半分を超えて戻してある’。元の加速度信号を

で表す。

は、同じ加速度信号であるが、1サンプルを超えて戻してある。0.5サンプル移動した加速度信号は、元の加速度信号

の半分(図3の第2グラフ)を戻した加速度信号

の半分(図3の第1グラフ)に加えることによって作る。出来た加速度信号を図3の第3グラフに示す。
もし、サブサンプル遅延補正を典型的フィードフォワード信号の四つの要素全てに実施するならば、このフィードフォワード信号を次のように構成できる:
図3に示す例では、

の両方が0.5に等しい。
(7)のフィードフォワードコントローラの八つの係数は、(1)に類似する更新関係を使って更新することができる。この更新関係の誘導は省略する。収束後、補償した遅延の予測を次のように得ることができる:
自動化した遅延補償調整の有効性を次の例によって示す。
例として、アクチュエータ柔軟性のある高精密運動システム用フィードフォワード調整へのこの技術の適用を考える。この運動システムの周波数応答関数を図4に表示する。この方法の頑強性を示すために、学習ゲイン

の設計は、この運動システムの非常に簡単な、剛体モデルに基づき、その周波数応答関数も図4に示す。
設計すべきフィードフォワードコントローラは、加速度およびスナップフィードフォワードの組合せから成る。測定遅延は、サンプルのほぼ1/4(サンプル時間は1/4000s)で、やはり予測しなければならない。設定値スナップ、加速度および位置を図5に表示する。ここで、この発明を、固定更新ゲイン

で、調整手順として適用する。
最初に、簡単のために、測定遅延を無視する。この場合、フィードフォワードコントローラは、次のように与えられる:

は、学習因子α=0.8出(5)を使って設計する更新ゲイン

によって更新する。この調整プロセスは、

を使って始める。10回の反復を実行する。10回の反復後の結果誤差を図6に示す。このスナップフィードフォワードを省略したら起る誤差も示す(点線)。10回の反復に亘る

の変化を図7に示す。明らかに、この運動システム動特性とこの

の設計の基礎を為す非常に簡単なモデルとの間のミスマッチにもかかわらず、フィードフォワードパラメータが最適に調整されている。

もし、測定遅延を考慮に入れなければならないなら、フィードフォワードコントローラを次のように使える。
但し、

は、それぞれ、元のスナップおよび加速度プロファイル、並びに

は、時間で1サンプル戻したスナップおよび加速度プロファイルである。結果の誤差を図8に示す。この遅延補償調整の効果を実証するために、遅延補償なし調整の収束誤差を同様に図8に示す(点線)。
フィードフォワード係数

の対応する変化を図9に示す。測定遅延の影響が今度は

の値によって適正に償われている。収束後、

より3倍大きいことに注目すべきである。これは、式(8)によって、サンプルの1/4の遅延補償に従い、それは実際この測定遅延に等しい。
この発明による方法のリアルタイム計算要求は、非常に限られる。せいぜい

乗算と

累和計算をフィードフォワード係数の完全な更新のために各試行毎に行わなければならない。これらの計算は、サンプルに亘って展開することができる。もし、これらの計算を循環的に行うならば、あらゆるサンプルに対して四つの乗算と四つの累和計算を行うだけでよい。
この発明に実施例は、運動制御システム用のフィードフォワード調整の自動化を可能にする。この方法は、既存の運動制御ソフトウェアと組合わせて容易に実行可能であり、手動調整工程を無くする。
この発明は、リソグラフィステージ、PCB組立ロボット、光ディスクドライブ、ハードディスクドライブのシーク制御システム、および設定値追跡を行わなければならない多くの他の運動制御システムに適用することができる。
この本文では、ICの製造でリソグラフィ装置を使用することを具体的に参照するかも知れないが、ここで説明するリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁区メモリ用誘導検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造のような、他の用途があることを理解すべきである。当業者は、そのような代替用途の関係で、ここで使う“ウエハ”または“ダイ”という用語のどれも、それぞれ、より一般的な用語“基板”または“目標部分”と同義と考えてもよいことが分るだろう。ここで言及する基板は、露光の前または後に、例えば、トラック(典型的には基板にレジストの層を付け且つ露光したレジストを現像する器具)、計測器具および/または検査器具で処理してもよい。該当すれば、この開示をそのようなおよび他の基板処理器具に適用してもよい。更に、この基板を、例えば、多層ICを創るために、一度を超えて処理してもよく、それでここで使う基板という用語は既に多重処理した層を含む基板も指すかも知れない。
以上では、この発明の実施例を光リソグラフィの関係で使うことを具体的に参照したかも知れないが、この発明を他の用途、例えば、印写リソグラフィで使ってもよく、従って事情が許せば、光リソグラフィに限定されないことが分るだろう。印写リソグラフィでは、パターニング装置の微細構造が基板上に創るパターンを決める。このパターニング装置の微細構造を基板に供給するレジストの層に押付け、そこで電磁放射線、熱、圧力またはその組合せを加えることによってこのレジストを硬化してもよい。このレジストが硬化してから、パターニング装置をレジストから外へ移動させ、それにパターンを残す。
ここで使用する“放射線”および“ビーム”という用語は、紫外(UV)放射線(例えば、365、248、193、157または126nm位の波長を有する)および超紫外(EUV)放射線(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、並びにイオンビームまたは電子ビームのような、粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射線を包含する。
“レンズ”という用語は、事情が許せば、屈折式、反射式、磁気式、電磁式および静電式光学要素を含む、種々の型式の光学要素の何れかまたは組合せを指してもよい。
この発明の特定の実施例を上に説明したが、この発明を説明したのと別の方法で実施してもよいことが分るだろう。例えば、この発明は、上に開示した方法を記述する機械可読命令の一つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、またはそのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気若しくは光ディスク)を含んでもよい。
上の説明は、例示であることを意図し、限定を意図しない。それで、当業者には、以下に示す請求項の範囲から逸脱することなく、この説明した発明に修正を施すことができることが明白だろう。
本発明の実施例によるリソグラフィ装置を示す。 本発明の実施例による運動制御システムのブロック線図を示す。 時間の関数としての加速度信号の三つのグラフを示す。 本発明の実施例による運動制御システムの周波数応答関数(それぞれ、周波数の関数としての大きさおよび位相)を、そのモデルと共に示す。 図4のシステムに対する、それぞれ、時間の関数としての設定値スナップ、加速度、および位置のタイミングチャートを示す。 測定遅延が無いときの、スナップ調整あり(実線)およびなし(破線)の運動制御誤差のタイミングチャートを示す。 測定遅延が無いときの、それぞれ、加速度計数kfaおよびスナップ係数kfsの何回かの反復に亘る収束性を示す。 測定遅延が無いときの、遅延補償調整あり(実線)およびなし(破線)の運動制御誤差のタイミングチャートを示す。 測定遅延があるときの、それぞれ、加速度係数比kfa/kfaおよびスナップ係数比kfs/kfsの何回かの反復に亘る収束性を示す。
符号の説明
MA パターニング装置
W 基板

Claims (15)

  1. 位置プロファイル設定値信号および追加のプロファイル設定値信号を含む1組のプロファイル設定値信号を発生するように構成した運動プロファイル設定値発生器、および
    それぞれの係数を掛けたこれらの追加のプロファイル設定値信号を加算することによってフィードフォワード信号を発生するように構成したフィードフォワードコントローラ、を含む運動制御システムに於いて、
    (a)それぞれの係数の初期設定を選択し、
    (b)運動プロファイルを実行するように、この運動プロファイル設定値発生器に1組のプロファイル設定値信号を発生させ、
    (c)この位置プロファイルと実測プラント出力位置信号の間の誤差を測定し、および
    (d)この誤差とそれに対するそれぞれの学習ゲインの積を加えることによってそれぞれの係数を更新するように構成してあり、
    それぞれの係数を次の式に従って更新し、


    但し、


    は、それぞれ、n設定値プロファイル信号のk番目の反復をしたそれぞれの係数であり、


    は、それぞれ、n設定値プロファイル信号の(k+1)番目の反復での係数であり、


    は、k番目の反復での学習ゲインであり、


    は、k番目の反復で使用した運動プロファイルのサンプル数であり、および


    は、k番目の反復での誤差であり、
    学習ゲイン


    を次のように定義し、


    但し、
    αは、学習因子であり、


    は、それぞれ、k番目の反復でのnの追加のプロファイル設定値信号であり、


    は、上対角線三角マトリックスがゼロに等しく、第1列がプロセス感度


    のインパルス応答係数によって与えられるテブリッツ・マトリックスであって、k番目の反復でのフィードフォワード信号と実測プラント出力位置信号との間のマップであり、
    そして


    は、遷移を表す、運動制御システム。
  2. 前記追加のプロファイル設定値信号が該位置プロファイル設定値信号の1次および高次微分を含む請求項1に記載された運動制御システム。
  3. 手順(b)−(c)−(d)をk回行うように構成してあり、但しkは正の整数である請求項1に記載された運動制御システム。
  4. 追加のプロファイル設定値信号を、スナップ、ジャーク、加速度および速度から成る信号のグループから選択する請求項1ないし3のいずれか一項に記載された運動制御システム。
  5. 0<α<2である請求項1ないし4のいずれか一項に記載された運動制御システム。
  6. それぞれの係数を、これらの誤差の二乗の和を最小化するように更新する請求項1に記載された運動制御システム。
  7. これらの追加のプロファイル設定値信号の最初のものに遅延補償を実施する請求項1に記載された運動制御システム。
  8. これらの追加のプロファイル設定値信号の元の信号の複製を発生し、前記複製に遅延補償を実施し、そして、遅延補償した追加のプロファイル設定値信号をプロファイル設定値信号の組に加える請求項に記載された運動制御システム。
  9. 運動プロファイル設定値発生器は、位置プロファイル設定値信号、速度プロファイル設定値信号、加速度プロファイル設定値信号、ジャークプロファイル設定値信号、およびスナッププロファイル設定値信号を発生するようになっている請求項1に記載された運動制御システム。
  10. フィードフォワード運動制御のための方法であって、
    位置プロファイル設定値信号および追加のプロファイル設定値信号を含む1組のプロファイル設定値信号を発生する工程と、
    それぞれの係数を掛けたこれらの追加のプロファイル設定値信号を加算することによってフィードフォワード信号を発生する工程と、並びに
    それぞれの係数を、
    (a)それぞれの係数の初期設定を選択する工程、
    (b)運動プロファイルを実行するように、1組のプロファイル設定値信号を発生する工程、
    (c)この位置プロファイルと実測プラント出力位置信号の間の誤差を測定する工程、および
    (d)この誤差とそれに対するそれぞれの学習ゲインの積を加えることによってそれぞれの係数を更新する工程、によって決める工程と、を含み、
    それぞれの係数を次の式に従って更新し、


    但し:


    は、それぞれ、n設定値プロファイル信号のk番目の反復した係数であり、


    は、それぞれ、n設定値プロファイル信号の(k+1)番目の反復での係数であり、


    は、k番目の反復での学習ゲインであり、


    は、k番目の反復で使用した運動プロファイルのサンプル数であり、そして


    は、k番目の反復での誤差である
    学習ゲイン


    を次のように定義し、


    但し、
    αは、学習因子であり、


    は、それぞれ、k番目の反復でのnの追加のプロファイル設定値信号であり、


    は、上対角線三角マトリックスがゼロに等しく、第1列がプロセス感度


    のインパルス応答係数によって与えられるテブリッツ・マトリックスであって、k番目の反復でのフィードフォワード信号と実測プラント出力位置信号との間のマップであり、
    そして


    は、遷移を表す、方法。
  11. 前記追加のプロファイル設定値信号がこの位置プロファイル設定値信号の1次および高次微分を含む請求項10に記載された方法。
  12. 1組のプロファイル設定値信号を発生する工程、測定工程および更新工程をk回行う工程、をさらに含み、但し、kは正の整数である請求項10に記載された方法。
  13. 追加のプロファイル設定値信号を、スナップ、ジャーク、加速度および速度から成る信号のグループから選択する請求項10に記載された方法。
  14. 0<α<2である請求項10に記載された方法。
  15. パターンをパターニング装置から基板上へ転写するように構成したリソグラフィ装置であって、該リソグラフィ装置が、
    パターニング装置または基板を配置するようになっている位置決め装置を制御するように構成した運動制御システムを含み、該運動制御システムが
    位置プロファイル設定値信号および追加のプロファイル設定値信号を含む1組のプロファイル設定値信号を発生するように構成した運動プロファイル設定値発生器、および
    それぞれの係数を掛けたこれらの追加のプロファイル設定値信号を加算することによってフィードフォワード信号を発生するように構成したフィードフォワードコントローラ、を含み、前記運動制御システムが、
    (a)それぞれの係数の初期設定を選択し、
    (b)運動プロファイルを実行するように、この運動プロファイル設定値発生器に1組のプロファイル設定値信号を発生させ、
    (c)この位置プロファイルと実測プラント出力位置信号の間の誤差を測定し、そして
    (d)この誤差とそれに対するそれぞれの学習ゲインの積を加えることによってそれぞれの係数を更新するように構成してあり、
    それぞれの係数を次の式に従って更新し、


    但し、


    は、それぞれ、n設定値プロファイル信号のk番目の反復をしたそれぞれの係数であり、


    は、それぞれ、n設定値プロファイル信号の(k+1)番目の反復での係数であり、


    は、k番目の反復での学習ゲインであり、


    は、k番目の反復で使用した運動プロファイルのサンプル数であり、および


    は、k番目の反復での誤差であり、
    学習ゲイン


    を次のように定義し、


    但し、
    αは、学習因子であり、


    は、それぞれ、k番目の反復でのnの追加のプロファイル設定値信号であり、


    は、上対角線三角マトリックスがゼロに等しく、第1列がプロセス感度


    のインパルス応答係数によって与えられるテブリッツ・マトリックスであって、k番目の反復でのフィードフォワード信号と実測プラント出力位置信号との間のマップであり、
    そして


    は、遷移を表す、リソグラフィ装置。
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