JP2008193290A - 音響整合部材、超音波送受波器、および超音波流量計 - Google Patents

音響整合部材、超音波送受波器、および超音波流量計 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の構成では、乾燥ゲルの製造過程や熱衝撃試験で音響整合部材のクラックや、割れ、剥離が起こることもあり、音波の送受信効率低下が起こるという課題を有していた。
【解決手段】本発明の音響整合部材15は、圧電振動子11を備え、超音波を送信または受信する超音波送受波器に組み込むための音響整合部材15であって、保持体2と前記保持体の孔部4に前記保持体2よりも小さい孔径を備える乾燥ゲル3を形成した音響整合部材15とすることにより、乾燥ゲル3は保持体2によって保持され、ゲルの乾燥工程あるいは熱衝撃試験時の歪に対する耐性が向上するので、音響整合部材のクラック、割れ、剥離などの破壊が起こりにくく、故障しにくい音響整合部材、超音波送受波器、超音波流量計を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波を利用して気体の流量を計測する流量計測装置や、物体との距離を測定する距離計測装置に用いる超音波送受波器に関するもので、特に振動子の音響インピーダンスと被測定流体の音響インピーダンスとの整合をとる音響整合部材、さらにはこれを用いた超音波送受波器および超音波流量計に関するものである。
近年、超音波が流量計測部を伝搬する時間を計測し、流体の移動速度を測定して流量を計測する超音波流量計がガスメータ等に利用されつつある。図9は超音波流量計の測定原理を示したものである。図9に示すように、流量計測部17を具備した測定管の管内には流体が速度Vにて図に示す方向に流れている。
流量計測部17には、一対の超音波送受波器18、19が相対して設置されている。超音波送受波器18、19は、電気エネルギー/機械エネルギー変換素子として圧電セラミック等の圧電振動子を用いて構成されていて、圧電ブザー、圧電発振子と同様に共振特性を示す。ここでは超音波送受波器18を超音波送波器として用い、超音波送受波器19を超音波受波器として用いる。
その動作は、超音波送受波器18の共振周波数近傍の周波数を交流電圧で圧電振動子に印加すると、超音波送受波器18は超音波送波器として働いて、管内を流れる流体中に同図中のL1で示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波送受波器19が伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。続いて、反対に超音波送受波器19を超音波送波器として用い、超音波送受波器18を超音波受波器として用いる。
超音波送受波器19の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印加することにより、超音波送受波器19は管内を流れる流体中に図9のL2で示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波送受波器18は伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。このように、超音波送受波器18、19は、受波器としての役目と送波器としての役目を果たすので、一般に超音波送受波器と呼ばれる。
また、このような超音波流量計では、連続的に交流電圧を印加すると超音波送受波器から連続的に超音波が放射されて伝搬時間を測定することが困難になるので、通常はパルス信号を搬送波とするバースト電圧信号を駆動電圧として用いる。
以下、測定原理についてさらに詳細な説明を行う。駆動用のバースト電圧信号を超音波送受波器18に印加して超音波送受波器18から超音波バースト信号を放射すると、この超音波バースト信号は距離がLの伝搬経路L1を伝搬してt時間後に超音波送受波器19に到達する。超音波送受波器19では伝達して来た超音波バースト信号のみを高いS/N比で電気バースト信号に変換することができる。この電気バースト信号を電気的に増幅して、再び超音波送受波器18に印加して超音波バースト信号を放射する。この装置をシング・アラウンド装置と呼び、超音波パルスが超音波送受波器18から放射され伝搬路を伝搬して超音波送受波器19に到達するのに要する時間をシング・アラウンド周期といい、その逆数をシング・アラウンド周波数という。
図9において、管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC(図示せず)、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。超音波送受波器18を超音波送波器、超音波送受波器19を超音波受波器として用いたときに、超音波送受波
器18から出た超音波パルスが超音波送受波器19に到達する伝搬時間t1は、
t1=L/(C+Vcosθ) (1)
で示される。
次に、超音波送受波器19から出た超音波パルスが超音波送受波器18に到達する伝搬時間t2は、
t2=L/(C−Vcosθ) (2)
で示される。
そして、(1)と(2)の式から流体の音速Cを消去すると、
V=L/2cosθ((1/t1)−(1/t2)) (3)
の式が得られる。
Lとθとが既知なら、計測回路20にてt1とt2とを測定すれば、流速Vが求められる。必要に応じて、この流速Vに流量計測部17の断面積Sと補正係数Kを乗じれば、流量Qを求めることができる。演算手段21は、上記Q=KSVを演算するものである。
このような超音波流量計では精度が要求され、その精度を向上させるために、気体に超音波を送波、または気体を伝搬して来た超音波を受波する超音波送受波器を構成している圧電振動子における超音波の送受波面に形成される音響整合部材の音響インピーダンスが重要となる。
物質中の音速Cと密度ρとで式(4)のように音響インピーダンスZが定義される。
Z=ρ×C (4)
音響インピーダンスは振動手段である圧電振動子と超音波の放射媒体である気体とでは大きく異なる。例えば、一般的な圧電振動子であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等のピエゾセラミックスの音響インピーダンス(Z0)は30×106kg/m/s程度である。また、放射媒体である気体、例えば空気の音響インピーダンス(Z3)は400kg/m/s程度である。このような音響インピーダンスの異なる境界面上では音波の伝搬に反射を生じて、透過する音波の強さが弱くなる。これを解決する方法として、振動手段である圧電振動子と超音波の放射媒体である気体のそれぞれの音響インピーダンスZ0とZ3に対して、両者の間に式(5)の関係を有する音響インピーダンスを持つ物質を挿入することによって、音の反射を軽減して音波の透過する強度を高める方法が一般に知られている。
Z=(Z0×Z3)(1/2) (5)
この条件を満たす音響インピーダンスが整合した時の最適な値は、11×104kg/m/s程度となる。この音響インピーダンスを満たす物質は、式(4)からわかるように固体で密度が小さく音速の遅いものであることが要求される。
音響整合層に使われる固体で密度が小さく音速の遅い材料の1つとして、乾燥ゲルが知られている。「乾燥ゲル」とは、ゾルゲル反応によって形成される多孔体であり、その製造工程は、ゲル化工程、疎水化工程、乾燥工程の順に行われる。まず、ゲル化工程では、ゲル原料液の反応によって固体骨格が溶媒を含んで構成された湿潤ゲルが形成される。乾燥ゲル以外のフィラー等の添加や、連通フォーム等の連通孔体との複合化は、この工程にて実施することができる。次に、必要に応じて疎水化工程を行う。ここでは、疎水化剤を湿潤ゲル表面に反応させて、ゲルに疎水性を付与する。最後の乾燥工程では、湿潤ゲル中の溶媒を乾燥処理によって除いて乾燥ゲルを得ることで乾燥ゲルを含む多孔体が得られる。
湿潤ゲルや乾燥ゲルの細孔径が小さいため、乾燥ゲルの製造過程で湿潤ゲルから溶媒を除いて乾燥する際に、あるいは製造後に乾燥ゲルが有機溶媒に接触した際に、細孔中に形成される気液界面に起因し、細孔径に反比例する巨大な毛管力が発生する。この毛管力のために、ゲルは収縮し、その際乾燥ゲルは、そのストレスによりクラックや割れを生じることもある。
乾燥ゲルの製造過程で上述の問題が生じると、所望の低密度の乾燥ゲルが得られないことになり、クラックや割れによる送受信効率の低下、あるいは熱衝撃試験などによる音響整合部材の剥離が起こり、大幅な送受信効率の低下が起こる。
しかしながら、従来この種の音響整合部材としては、乾燥ゲルだけを用いて音響整合部材としているものもあるし、乾燥ゲルを取り囲むようにして形成した保護部で乾燥ゲルを保護する構造としているものもある。例えば、図10は従来の超音波送受波器22の構成を示す断面図である。圧電振動子25と、圧電振動子25上に設けられた音響整合部材24と音響整合部材24の側面の少なくとも一部に接触し、圧電振動子4に対して固定された位置に設けられている保護部23とを備えている。
特開2004−184423号公報
しかしながら、前記従来の構成では、乾燥ゲルの製造過程や熱衝撃試験で音響整合部材24のクラックや、割れ、剥離が起こることもあり、音波の送受信効率低下が起こるという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、圧電振動子を備え、超音波を送信または受信する超音波送受波器に組み込むための音響整合部材であって、音響整合部材のクラック、割れ、剥離などの破壊が起こりにくく、故障しにくい音響整合部材、超音波送受波器、超音波流量計を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の音響整合部材は、圧電振動子を備え、超音波を送信または受信する超音波送受波器に組み込むための音響整合部材であって、保持体と前記保持体の孔部に前記保持体よりも小さい孔径を備える乾燥ゲルを形成した音響整合部材としたものである。
これによって、乾燥ゲルは保持体によって支えられることによって強度が確保され、乾燥時あるいは熱衝撃試験時の歪に対する耐性が向上し、より低密度の乾燥ゲルが使用可能になり、音響整合部材のクラック、割れ、剥離などの破壊が起こりにくく、故障しにくい音響整合部材、超音波送受波器、超音波流量計を提供することができる。
本発明の、音響整合部材は、乾燥時あるいは熱衝撃試験時の歪に対する耐性が向上し、より低密度の乾燥ゲルが使用することができる。
第1の発明は、圧電振動子を備え、超音波を送信または受信する超音波送受波器に組み込むための音響整合部材であって、保持体と前記保持体の孔部に前記保持体よりも小さい孔径を備える乾燥ゲルを形成した音響整合部材とすることにより、乾燥ゲルが保持体に保持されることになり、乾燥ゲルの乾燥時、あるいは熱衝撃試験時の歪に対する耐性が向上
する。
第2の発明は、保持体の密度ρ1と乾燥ゲルの密度ρ2との関係が、ρ1>ρ2なる関係とした請求項1に記載の音響整合部材とすることにより、乾燥ゲルが保持体に保持されることになり、乾燥ゲルが乾燥時あるいは熱衝撃試験時の歪に対する耐性が向上する。
第3の発明は、保持体のヤング率E1と乾燥ゲルのヤング率E2との関係が、E1>E2なる関係とした請求項1または2に記載の音響整合部材とすることにより、乾燥ゲルをより硬い保持体で保持することにより、乾燥ゲルが乾燥ゲルより硬い保持体に保持されることになり、乾燥ゲルの乾燥時あるいは熱衝撃試験時の歪に対する耐性がより向上する。
第4の発明は、保持体の厚さは、乾燥ゲルの厚さに略等しい請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響整合部材とすることにより、製造時、乾燥ゲルと保持体を同時に加工することができ工程が簡略化できる。
第5の発明は、保持体の密度ρ1が200kg/m以上400kg/m未満とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響整合部材とすることにより、音響整合層の密度を相対的に軽くすることになり、音波の送受信感度が向上する。
第6の発明は、保持体の孔径は500μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の音響整合部材とすることにより、乾燥ゲルを、より小さい容積で支えることになり、乾燥ゲルが乾燥時あるいは熱衝撃試験時の歪に対する耐性が向上する。
第7の発明は、保持体の気孔率を60%以上90%以下とした項1〜6のいずれか1項に記載の音響整合部材とすることにより、音響整合部材を軽くすることになり、音波の送受信感度が向上する。
第8の発明は、保持体はセラミックスを含む材料で形成した請求項1〜7のいずれか1項に記載の音響整合部材とすることにより、音響整合部材を軽くすることになり音波の送受信感度が向上する。
第9の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の音響整合部材と圧電振動子とを備えた、超音波を送信または受信する超音波送受波器とすることにより、使用環境で想定される温度変化による歪に対する耐性が向上し、長期にわたって使用することができる。
第10の発明は、前記圧電振動子が密閉容器の内面に配置されてなり、前記音響整合部材部材が密閉容器の前記圧電振動子の配置位置に対向した外面に配置されている請求項9に記載の超音波送受波器とすることにより、大気より圧電振動子を保護する構成となっているため、信頼性の高い超音波振動子とすることができる。
第11の発明は、前記密閉容器が金属材料である請求項10に記載の超音波送受波器とすることにより、金属材料自体が電気信号を伝えかつ、大気より圧電振動子を保護する構成となっているため、信頼性の高い超音波振動子とすることができる。
第12の発明は、請求項9〜11のいずれかに記載の超音波送受波器を具備する超音波流量計であって、被測定流体が流れる流量計測部と、前記流量計測部に、前記被測定流体の流れの上流側と下流側とに、対向させて配置した一対の前記超音波送受波器と、前記一対の超音波送受波器間の超音波伝搬時間計測回路と、前記伝搬時間に基づき、前記被測定流体の流量を算出する演算手段とを具備する超音波流量計とすることにより、使用環境で想定される温度変化による歪に対する耐性が向上し、長期にわたって流量を計測すること
ができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明第1の実施の形態における音響整合部材の断面拡大図を示すものである。
図1において、音響整合部材1は、保持体2と前記保持体2の孔部に、前記保持体2よりも小さい孔径を備える乾燥ゲル3を形成したもので、乾燥ゲル3を保持するように配置されている。本発明の音響整合部材1の保持体2は次のように形成するのが好ましい。
保持体2は、少なくとも、酸化物系、非酸化物系のセラミックスや、粘土鉱物等で構成される。酸化物系セラミックスとしては、アルミナ系、ムライト系、ジルコニア系等を挙げることができ、非酸化物系セラミックスとしては、炭化ケイ素系、窒化ケイ素系、窒化系アルミニウム系、窒化ホウ素系、グラファイト等を挙げることができる。
保持体2は、難焼成セラミックスで構成されることが好ましく、より好ましくはチタン酸アルミニウム、コーデュライト、およびリシア・アルミナ・シリカ系化合物から選択される酸化物材料であるガラスセラミックで構成される。保持体2がガラスセラミックスで構成されていると、熱膨張係数が小さいため、保持体の超音波送受信器の音響整合部材として使用した場合には、広い温度範囲において安定に音波を送受信できるという点で好ましい。
保持体2の製造は、これらの難焼結性セラミックスを粉砕する工程と、セラミックの粉末に添加剤を加えスラリー化し、気泡を導入する工程と、スラリーを型に流し込み成型する工程と、焼成する工程よりなる。以下詳細に説明する。
(難焼結性セラミックス粉砕工程)
セラミックスの粉砕は、ボールミルやポットミル等で混合、粉砕等することにより得られる。セラミック粉の平均粒径は特に限定しないが、好ましくは、10μm以下である。この範囲の平均粒径のセラミックスを用いると、スラリー中での粉末分散性が向上されるとともに、焼結性も向上されるからである。
(セラミックの粉末のスラリー化工程)
セラミックススラリーにおいて、セラミックス粉末を懸濁する媒体は、水、有機溶媒、これらの混合溶媒等を使用することができる。好ましくは水を使用する。セラミックススラリー中に、セラミックス粉末を均一に含有させるためには、適当な分散剤を使用することが好ましい。分散剤として、ポリカルボン酸系分散剤(アニオン系分散剤)を使用でき、具体的には、ポリカルボン酸アンモニウムやポリカルボン酸ナトリウムを使用できる。好ましくは、分散剤の添加量に伴うスラリー粘度変化が大きい分散剤を使用する。分散剤の使用量は、好ましくは、セラミックス粉末の重量に対して5重量%以下であり、より好ましくは、1重量%以下である。
セラミックススラリーは、セラミックススラリー気泡導入前に脱法し、スラリーを攪拌しながら気泡を導入する。セラミックススラリーに気泡を導入する際に、目的の形状に成型するため、ゲル化剤や、モノマーと重合開始剤とからなる重合性材料を加える。ゲル化剤を使用すると、温度制御やpH制御等によってスラリーをゲル化することになる。ゲル化剤としては、ゼラチン、アガロース、寒天、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
重合性材料を用いる場合は、重合性材料のモノマーを用いる。具体的には、1または2以上のビニル基やアリル基等を備えたモノマーを挙げることができる。スラリーが水あるいは水性溶媒にて構成される場合には、1または2官能基性の重合性モノマーを用いることが好ましい。また、スラリーが、有機溶媒にて構成される場合には、2官能基性の重合性モノマーであることが好ましい。特に、スラリーにおいて水を溶媒として調製する場合には、好ましくは、少なくとも1種の1官能基性の(メタ)アクリル酸アミドと、少なくとも1種の2官能基性の(メタ)アクリル酸アミドとを組み合わせて使用する。また、スラリーを有機溶媒で調製する場合には、好ましくは、少なくとも2種の2官能基性の(メタ)アクリル酸を組み合わせて使用する。
1官能基性モノマーや2官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、過硫酸アンモニウムや過硫化カリウム等である。また、2以上の官能基を有する官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、有機過酸化物や過酸化水素化合物や、アゾあるいはジアゾ化合物を使用する。具体的には、過酸化ベンゾイルである。
導入したガスは、界面活性剤等によって気泡としてスラリー中に保持するようにするのが好ましい。界面活性剤は、当該気泡導入工程において、攪拌等による気泡の導入前にセラミックススラリーに添加することが好ましい。界面活性剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸等の陰イオン性界面活剤や、高級アルキルアミノ酸等の陽イオン界面活性剤を例示できる。具体的には、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びこれらのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができる。また、トリエタノールアミンラウリルエーテル等及びこれらのハロゲン化塩や、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩等を挙げることができる。また、ジエチルヘキシルコハク酸及びそのアルカリ金属塩等を挙げることができる。
(気泡導入工程)
以上のようにして作製したスラリーに気泡を導入する。この気泡導入工程において、ゲル化材料として重合性材料を用いる場合には、重合性材料とともに、重合開始剤、あるいは重合開始剤と重合触媒とを添加することが好ましい。重合触媒を添加すれば、ゲル化温度やその添加量によりゲル化工程の時間を調整することができる。通常、重合触媒を添加すると、室温付近で速やかにゲル化(重合)が開始される。したがって、気泡導入方法や気泡導入量等を考慮して、重合触媒の使用や種類が選択される。重合触媒としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等を挙げることができる。
(スラリー成型工程)
このようにして調製した含気泡セラミックススラリーを、成形型等に注入して、ゲル化させ、ゲル状多孔質成形体を形成する。含気泡セラミックススラリー円筒状の型に流し込み、重合反応あるいはゲル化反応を行って、固化させる。スラリーが固化すると、スラリー中に存在していた気泡も、ゲル状体中に保存される。この結果、固化体が多孔質となり、ゲル状多孔質成形体が得られる。これを脱型して、乾燥、脱脂、焼成する。乾燥は、ゲル状多孔質成形体中に含まれている水、溶媒を蒸発させるように行う。乾燥条件(温度、湿度、時間等)は、スラリー調製に用いた溶媒の種類とゲル状多孔質成形体の骨格部分を構成する成分(ゲル化剤あるいは重合体)によって適宜調整する。通常は、20℃以上であり、好ましくは、25℃以上80℃以下であり、より好ましくは、25℃以上40℃以下である。
(焼成工程)
つぎに、乾燥体から有機分を除去するために、さらに高温で加熱する。脱脂のための温
度と時間は、使用した有機分の量および種類によって調整する。例えば、ゲル化のための材料としてメタクリルアミドとN,N−メチレンビスアクリルアミドを用いたスラリーから調製したゲル状多孔質成形体の場合、700℃で2日間脱脂する。
脱脂後には、焼成工程を実施する。焼成のための条件は、使用したセラミックス材料の種類等を考慮して設定される。このような工程により、本発明の保持体2を得ることができる。
図2は本発明第1の実施の形態における音響整合部材1の構成部材である保持体2の断面図を示すものである。
保持体2は、多孔体であり、複数の孔部4が存在している。孔部4は保持体2に分散して存在することが好ましい。孔部4は、独立して存在する場合もあり、他の孔部4と連続して存在し、外部と連通している場合もある。本音響整合部材1では、孔部が連続して存在するほうが好ましい。
保持体2は、全体として、60%以上90%以下の気孔率(ここでは開気孔及び閉気孔を含む全気孔率を意味する)を有していることが好ましい。より好ましくは、80%以上90%以下である。全気孔率は、以下に示す計算式(6)によって求められる。
全気孔率(%)=(1−かさ密度/真密度)×100 (6)
ただし、かさ密度=試料の重量/試料のかさ体積である。真密度は、例えば、極めて微粉化した試料の任意量をピクノメータに投入し、所定の容積に至るまで水を注入して煮沸等してボイドを排除した上で、その重さと容積との関係から求めることができる。前記効率が、60%以下では、音響整合部材1の密度ρ1が大きくなり孔径90%を超えると機械的強度の低下が著しいからである。開気孔率は、より好ましくは、65%以上であり、また、85%以下である。以上の材料、および製造条件を最適化し、本発明の実施の形態における音響整合部材1の保持体2の密度を200kg/m以上400kg/m未満で調整することで密度の低く強度の大きい保持体2を実現することができた。
図3は、本発明第1の実施の形態における音響整合部材の製造工程断面図を示すものである。図3を使って保持体2の孔部4に乾燥ゲル3を形成する工程を説明する。
図3(a)は、音響整合部材1と同様の形状に加工し、適当な溶媒で超音波洗浄を行った保持体2を示している。洗浄は加工時の油の除去、および加工時の加工粉を除去することを目的とする。溶媒は、アセトンあるいは、エタノールなどいずれの溶媒でも良い。
図3(b)は、ゲル形成溶液5を満たした反応容器6に、保持体2を保持体固定治具7に固定した状態で治具ごと浸漬する。この工程において乾燥ゲル3が溶剤を含んだ状態である湿潤ゲル8が形成され、図3(c)のように、湿潤ゲルから溶媒を除いて乾燥させたものが乾燥ゲル3となる。
本発明の乾燥ゲルを供える音響整合部材の乾燥ゲルは、ゾルゲル法により形成され、材質は特に限定されない。
以下に、さらに詳しく図3(b)に示したゲルを生成する実施の形態について詳細に説明する。
(第1ゲル化工程)
本実施形態では、まず、いわゆるゾルゲル法により第1湿潤ゲルを作製する。その際、
第1ゲル原料に第1触媒(ゲル化触媒)を加えてゲル化を進行させる。
本実施形態の製造方法で用いられるゲル原料としては、ゾルゲル法に用いられる一般的な原料が用いられる。例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン等の酸化物微粒子や対応するアルコキシド等がある。この中でも金属としてケイ素を含有する化合物が、入手の容易性から好ましい。また、金属アルコキシドの場合、既に述べたように、反応制御の容易性の観点からもケイ素が好ましい。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランおよびトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン等のケイ素アルコキシドが用いられる。
ここで、ジアルコキシシランは単独では、ゲルを形成し難いため、他のゲル原料と混合して用いられる。さらに、これらのオリゴマーをゲル原料として用いれば、ゲル原料の沸点が下がるために、製造時の安全性が高くなる効果を奏する。その他、コロイダルシリカ、水ガラス、水ガラスから電気透析により得られるケイ酸水溶液等は価格が低いために好適に用いられる。
ゲル化触媒としては、一般的な有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基が用いられる。有機酸として、酢酸、クエン酸など、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸など、有機塩基として、ピペリジンなど、無機塩基として、アンモニアなどがある。また、ピペリジン等のイミン系のものを用いれば細孔径が大きくなる効果があるため毛管力低減の観点からより好ましい。
第1溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の低級アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールのモノあるいはジエーテル、アセトン等の低級ケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の低級エーテルのような水溶性有機溶媒が用いられる。また、第1ゲル原料の加水分解、縮重合でゲルが形成される場合には、加水分解に必要な水も添加される。
(再構築工程)
第1ゲル化工程に引き続き、再構築工程が実施される。
尚、第1ゲル化工程時に、保持体固定治具7の中で第1湿潤ゲルが形成された場合は、第1湿潤ゲルが再構築原料溶液に触れるように、保持体固定治具7の少なくとも一部を開放するか、保持体固定治具7から取り出して再構築処理を行う。
再構築工程では、第1ゲル化工程で形成された第1湿潤ゲルの固体骨格の一部を分解しながら、新たな固体骨格(第2固体骨格)を形成する。具体的には、まず再構築工程のための再構築原料と、再構築触媒および水と、必要に応じて溶媒を添加混合することによって再構築原料溶液を調製し、これに第1ゲル化工程で得られた第1湿潤ゲルを浸漬させる。
上記の再構築触媒の添加は重合を進め、新たな固体骨格の成長を加速する。また、水および再構築触媒の添加は、加水分解により第1湿潤ゲルの固体骨格を構成する微粒子の分解(溶解)を進め、第1湿潤ゲルの微細な細孔構造を崩すように作用する。さらに、この加水分解は上記の再構築触媒によっても加速される。このように、古い固体骨格(第1固体骨格)を崩す速度と、新たな固体骨格(第2固体骨格)を形成する速度が共に非常に大きいために、大幅な細孔構造の変化を伴う固体骨格の再構築が可能になると考えられる。
再構築工程で用いられる再構築触媒としては、第1ゲル化工程で用いられるゲル化触媒
群の中のものを使用することができるが、特に、第1ゲル化工程時のゲル化触媒と同一のものである必要はない。
また、再構築工程で用いられる再構築ゲル原料としては、第1ゲル化工程で用いられるゲル原料が用いられ、第1ゲル原料と再構築ゲル原料との関係は、特に制限を受けない。例えば、第1ゲル化工程で、ゲル原料としてアルコキシシランであるテトラエトキシシランが用いられた場合には、再構築工程では、再構築ゲル原料としてテトラエトキシシランを用いることができる他、ゲル原料が溶解する溶媒を選べば、他の金属アルコキシドや、ケイ酸水溶液等も用いることも可能である。
この工程で用いられる溶媒は、上で述べたように再構築ゲル原料、再構築触媒が溶解すれば特に制限を受けない。
(疎水化工程)
再構築工程に続き、疎水化工程を実施する。この工程では、再構築工程までに得られた湿潤ゲルの表面に、溶媒中に溶解した疎水化剤を反応させることで、疎水基を導入する。疎水化剤は、後述するクロロシラン等の場合は、水と反応して湿潤ゲル表面との反応性が低下するため、疎水化の前に、水溶性の溶媒により洗浄することで、あるいは水と共沸する溶媒を用いて留去することで水を除くことが好ましい。
本発明に用いられる疎水化剤としては、反応性が高い点からシリル化剤が好ましく、例えばシラザン化合物、クロロシラン化合物、アルキルシラノール化合物およびアルキルアルコキシシラン化合物等がある。
これらのシリル化剤は、シラザン化合物、クロロシラン化合物、アルキルアルコキシシラン化合物の場合は、直接あるいは加水分解を受けて、対応するアルキルシラノールになってからゲル表面のシラノール基と反応する。また、アルキルシラノールをシリル化剤として用いれば、そのまま表面のシラノール基と反応する。
これらの中でも、疎水化時の反応性が高いことと入手の容易性から、クロロシラン化合物、シラザン化合物が特に好ましく、入手の容易性及び疎水化時に塩化水素、アンモニア等のガスを発生しないことからはアルキルアルコキシシランが特に好適に用いられる。
具体的には、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシランおよびジメチルジクロロシランなどのクロロシラン化合物、ヘキサメチルジシラザンなどのシラザン化合物、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシランおよびジエトキシジメチルシランなどのアルキルアルコキシシラン化合物、トリメチルシラノールおよびトリエチルシラノールなどのシラノール化合物に代表されるシリル化剤がある。これらを用いれば、湿潤ゲル表面にトリメチルシリル基などのアルキルシリル基を導入することで疎水化を進行させることができる。
また、疎水化剤として、フッ素化されたシリル化剤を用いれば、疎水性が強くなり非常に効果的である。
また、疎水化剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコールおよびグリセロールなどのアルコール類の他、蟻酸、酢酸、プロピオン酸およびコハク酸などのカルボン酸なども用いることができる。これらは、ゲル表面の水酸基と反応してエーテルまたはエステルを形成することで疎水化を進めるが、反応が比較的遅いため高温の条件が必要である。
(乾燥工程)
疎水化工程に続き、乾燥工程を実施する。この工程では、疎水化工程までに得られた湿潤ゲルから溶媒を除くことにより、乾燥ゲルを得る。
湿潤ゲルから溶媒を除く乾燥方法としては、(1)加熱乾燥法(2)超臨界乾燥法(3)凍結乾燥法の3つの方法がある。加熱乾燥法は、最も一般的で簡便な乾燥法であり、溶媒を含む湿潤ゲルを加熱することで、液体状態の溶媒を気化させて除去するものであり、この乾燥によることがコストの観点から最も好ましい。なお、ここでいう「加熱乾燥」は、上記の加熱の程度が極端に低い場合として、加熱を行わずに放置して乾燥する自然乾燥も含むものとする。
乾燥時に、ゲルの密度が低い場合にはゲル中の溶媒の表面張力に比例する毛管力のために、ゲルが一時的に収縮し割れを生じることがある。このため、乾燥時の溶媒は沸点での表面張力が小さい炭化水素系の溶媒が好ましく、特に安価なヘキサン、ペンタンあるいはその混合物が好ましい。一方、安全性の観点からは、イソプロパノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、さらに水あるいは水と有機溶媒との混合溶媒からの乾燥が好ましい。本実施の形態では湿潤ゲルが、保持体2によって全体的に保持されているため、アルコール類、水をはじめとする多くの溶媒からの乾燥によっても割れ、収縮が抑制される。
超臨界乾燥法では、溶媒は超臨界状態から液体状態を経ずに取り除かれるため、気液界面の形成により始めて生じる毛管力の発生がない。乾燥に用いられる超臨界流体として、水、アルコール、二酸化炭素等の超臨界状態があるが、最も低温で超臨界状態が得られ、しかも無害である二酸化炭素が好適に用いられる。
具体的には、まず耐圧容器中に液化二酸化炭素を導入することで、耐圧容器中の湿潤ゲル中の溶媒を液化二酸化炭素に置換する。次に、圧力と温度を臨界点以上に上げることで超臨界状態とし、温度を保ったまま徐々に二酸化炭素を放出して乾燥を完了させる。
凍結乾燥法は、湿潤ゲル中の溶媒を凍結させた後に、昇華により溶媒を除く乾燥方法である。液体状態を経ず、ゲル中に気液界面を生じず毛管力が働かないために乾燥時のゲルの収縮を抑制することができる。
凍結乾燥法に用いられる溶媒は、凝固点での蒸気圧が高いものが好ましく、第3ブタノール、グリセリン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、パラ−キシレン、ベンゼン、フェノールなどが挙げられる。これらのなかでも、融点における蒸気圧が高いという点から、特に第3ブタノール、シクロヘキサンが好ましい。
凍結乾燥時には、湿潤ゲル中の溶媒を、上記の凝固点での蒸気圧が高い溶媒に置換しておくことが効果的である。また、ゲル化時に用いる溶媒を、凝固点での蒸気圧が高い溶媒にしておけば、溶媒置換を省略して効率的な製造が可能となるためより好ましい。
乾燥は、疎水化工程の後に行ってもよいし、疎水化工程の前に行ってもよい。乾燥工程を経た後で疎水化する場合は、乾燥ゲルを溶液中ではなく、疎水化剤の蒸気にさらすことで乾燥ゲル表面に疎水基を導入する。従って、使用する溶媒量が減少するという効果を奏する。
この時使用する、疎水化剤としては、上述の疎水化剤を用いることができるが、反応性の高さからトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物が最も好ましい。また、クロロシラン化合物以外の疎水化剤を用いる場合は、アンモニアや
塩化水素等の気体状態で導入可能な触媒を用いることも有効である。
また、気相で疎水化を行う場合は、溶媒や疎水化剤の沸点に制限を受けずに疎水化時の温度を高めることができる。従って、気相での疎水化は、反応を早めるために有効である。また、湿潤ゲルが薄膜や粉体であれば、疎水化剤蒸気の浸入が容易であり、薄膜の場合は溶媒量削減の効果も大きいためより好ましい。
また、再構築工程と疎水化工程とを同時に行うことも可能である。この場合二つの工程を同時に進めるために、短時間で乾燥ゲルからなる多孔体が得られるという効果が得られる。
再構築工程兼疎水化工程は、具体的には、第1ゲル化工程で得られた湿潤ゲルを、再構築工程で用いる再構築ゲル原料溶液と疎水化剤とを混合した処理液に浸漬することで実施する。こうすることで、ゲルの再構築と疎水化が同時に進行する。再構築原料、疎水化時の疎水化剤は、上述のものと同じものを用いることが可能である。例えば、水ガラスから電気透析により得られるケイ酸水溶液から第1ゲル化を行った後、得られた湿潤ゲルを、水溶性溶媒を用いること等により、ゲル原料であるアルコキシシランと、疎水化剤であるシラザン化合物等とを溶解させた溶液中で、再構築と疎水化とが同時に行われる。
上記のように再構築工程と疎水化工程とを同時に行う場合、溶解性等を満たせば特にこれらのゲル原料や疎水化剤の組み合わせに制限されるものではない。また、疎水化剤として、アルキル基を有する、多官能のアルキルアルコキシシラン、クロロシラン、アルキルシラノールを用いると、アルキル基がゲル骨格の中に導入されるため、ゲルに柔軟性が付与され、脆さが改善されるという効果も奏する。このとき、ゲル骨格の中心部は堅く、周辺部は柔軟性を有した特徴的な構造を有することになる。
以上のようにして形成した、乾燥ゲルの密度ρ2は、100kg/m以上250kg/m未満で形成し、保持体2の密度ρ1は、250kg/m以上400kg/m未満で形成した。
音響整合部材1の厚さL調整は、伝搬する超音波の波長の1/4とし、研磨紙♯1500で行った。このとき、乾燥ゲル3と保持体2を同時に研磨し、いずれの厚みも略等しい。
以上のように、本実施の形態の音響整合部材1を作製することによって、製造時のストレスあるいは、使用時の熱ストレスに強く、取り扱いが容易な音響整合部材1を提供することが可能となった。また、保持体2のヤング率E1と乾燥ゲルE2のヤング率との関係がE1>E2となり、すべての面を金属製のピンセットや、組み立て自動機などで支持しても破壊する事無く、取り扱いを煩雑に行っても破壊しない音響整合部材1とすることができる。
なお、保持体2の孔径を500μm以下とすることによって、音響整合部材1研磨時にゲル体3が保持体2より剥離する事無く厚み調整をすることができ、さらに孔径を小さくすることでより良好に厚み調整することができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明第2の実施の形態における超音波送受波器の製造方法を示す工程断面図である。以下超音波送受波器15の製造工程に関して説明する。工程(a)は音響整合部材1を形成する工程であり、実施の形態1と同様のため省略する。工程(b)は、密閉容器9である有天筒状の金属ケースの天面外壁部10および、上下に銀電極備えた圧電振動
子11の上面12に接着剤をスクリーン印刷する工程である。金属ケースは、鉄、真鍮、銅、アルミ、あるいは、これらの合金、あるいはこれらの金属の表面にめっきを施した金属など何でも良く、限定されるものではない。
接着剤の印刷後、音響整合部材1と密閉容器9と圧電振動子11とをはり合わせ、加圧しながら、接着剤を硬化する。接着剤は、エポキシ接着剤で行い、主剤と硬化剤を印刷直前に混合する、二液性接着剤あるいは、主剤と硬化剤があらかじめ混合されている一液性接着剤いずれでもよく、生産性の観点から一液性接着剤のほうが好ましい。接着剤によって接合したものの密閉容器9の開口部に導電手段13を挿入した端子板14を溶接によって接合する。溶接時に、密閉容器9と端子板14とで形成した密閉空間内部に不活性ガスを注入し超音波送受信器15を製造した。
不活性ガスは、ヘリウムガスおよび窒素ガスなどを用いた。以上のように作製した超音波送受波器15は、溶接時に密閉容器9内に不活性ガスを挿入することによって銀電極を備えた圧電振動子11は外部環境から隔離され、長期にわたって電気的接続は安定化し、長期信頼性が確保される。また、電気信号送受信時に、圧電振動子11には電荷が蓄えられるため、発火の原因となるが、圧電振動子11を密閉容器9で隔離することによって、可燃性ガスを測定においての安全性の高い超音波流量計に用いる超音波振動子として使うことができる。
(実施の形態3)
図5は、本発明第3の実施の形態における保持体2の断面写真を示すものであり、(a)は孔径が相対的に大きく、(b)は相対的に小さい。
これらの保持体2の孔径測定は、三谷商事(株)製Win ROOF Ver.2.3で行った。請求の範囲に記載した孔径は求めた孔系の平均孔径を示している。以下、平均孔径を孔系と略記する。図5(a)の孔径は、250μm、図5(b)の孔径は550μmであった。
これらの保持体(a)および(b)を、前記(実施例1)に記載した方法で乾燥ゲル3を形成し、前記(実施例2)に記載した方法で超音波送受信器15としたときの超音波送受信特性を評価する。超音波送受信特性の評価は図6、7を用いて説明する。
図6は、超音波送受波器の送受信効率を評価する方法についての説明図を示している。図6において、超音波送受波器15と、超音波を反射する反射板16とは、両者の間に空気を介して、一定の距離(距離:16cm)を保ち、相対して配置されている。評価する超音波送受波器15に周波数500kHz、電圧±10Vの送信信号を超音波送受波器15に加え、超音波を空気中に送信させる。送信された超音波は反射板で反射され、反射された超音波を同一の超音波送受波器15で受信する。同一の送信信号を超音波送受波器15に加えた際、受信波形の一定部位の電圧を出力電圧とし、この出力電圧が大きいものを超音波送受信効率が良いとして評価した。
図7は、送信信号波形と受信信号波形の一例を示す模式図である。図7において、受信波形のA部分の電圧が大きいものを超音波の送受信効率が良いとした。なお、図7における送信および受信の波形はその波形形状の模式図であって、グラフ軸のスケールには特別意味はない。
以下、図5(a),(b)に示した保持体2に、前記乾燥ゲルを(実施の形態1)に記載した方法で形成し、(実施の形態2)に記載した方法で超音波送受信器15としたときの超音波送受信特性を表1に示した。
(表1)における出力電圧および平均孔径の結果から判るように、本発明の超音波送受波器15は、保持体2の孔径は、超音波を送受信する効率に影響を与え、孔径略500μm以下で、超音波の送受信効率が向上させることができる。表2に、保持体孔径と超音波送受信効率との関係を示した。
保持体の孔径が500μm以上では、超音波の送受信効率が悪く、300〜500μmにおいても安定した送受信効率が得られなかった。しかしながら、孔径を100〜300μm、さらには10〜100μmと微細化することによって、安定した送受信効率が得られた。
これは、孔径を微細化することによって、超音波を送受信する面において超音波が均一に音波を送受信するためであると考えられる。孔径10μm以下は保持体の密度が大きくなり、超音波送受信効率が低下する結果となった。
図8は、本発明の第3の実施の形態における超音波送受信器15の熱衝撃試験結果を示している。
熱衝撃試験の温度範囲は、―40度から80度で各30分ずつ行い、1サイクル1時間とした。従来構造である、乾燥ゲルが単独で存在する音響整合部材24は、熱衝撃試験2000サイクルで感度が7%程度低下しているのに対し、本発明の実施の形態3における超音波送受信器15は、保持体2の孔径を500μm以下とすることによって熱衝撃試験2000サイクルで感度低下を3%程度に抑えることができた。
超音波流量計の動作原理は従来例と同様のため省略する。
なお、前記までの実施例では、密閉容器9を備える超音波送受波器の例を示したが、密閉容器9を備えない超音波送受波器に適用してもかまわない。超音波の送受信向上の意味において、前記密閉容器がない超音波送受波器の場合においても、同様な効果作用が得られる。
以上のように、本発明にかかる音響整合部材、超音波送受波器、超音波流量計は音響特性の優れた乾燥ゲルを保持体で保持することにより、製造時のストレスあるいは、使用時の熱ストレスに強く、長期にわたって安定に動作する音響整合部材を提供することが可能なるので、超音波を利用して気体の流量を計測する流量計測装置や、物体との距離を測定する距離計測装置に用いる超音波送受波器等にも適用できる。
本発明の実施の形態1における音響整合部材の断面拡大図 本発明の実施の形態1における保持体の断面図 本発明の実施の形態1における音響整合部材の製造工程断面図 本発明の実施の形態2における超音波送受波器の製造方法を示す工程断面図 本発明の実施の形態3における保持体2の断面を撮影した顕微鏡写真 超音波送受波器の送受信効率を評価する方法についての説明図 送信信号波形と受信信号波形の一例を示す模式図 本発明の実施の形態3における超音波送受信器の熱衝撃試験結果を示す特性図 超音波流量計の原理説明図 従来の超音波送受波器の説明模式図
符号の説明
1 音響整合部材
2 保持体
3 乾燥ゲル
4 孔部
9 密閉容器
11 圧電振動子
15、20 超音波送受信器
17 流量計測部
18 計測回路
19 演算手段

Claims (12)

  1. 圧電振動子を備え、超音波を送信または受信する超音波送受波器に組み込むための音響整合部材であって、保持体と前記保持体の孔部に前記保持体よりも小さい孔径を備える乾燥ゲルを形成した音響整合部材。
  2. 保持体の密度ρ1と乾燥ゲルの密度ρ2との関係が、ρ1>ρ2なる関係とした請求項1に記載の音響整合部材。
  3. 保持体のヤング率E1と乾燥ゲルのヤング率E2との関係が、E1>E2なる関係とした請求項1または2に記載の音響整合部材。
  4. 保持体の厚さは、乾燥ゲルの厚さに略等しい請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響整合部材。
  5. 保持体の密度ρ1が200kg/m以上400kg/m未満とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響整合部材。
  6. 保持体の孔径は500μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の音響整合部材。
  7. 保持体の気孔率を60%以上90%以下とした項1〜6のいずれか1項に記載の音響整合部材。
  8. 保持体はセラミックスを含む材料で形成した請求項1〜7のいずれか1項に記載の音響整合部材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の音響整合部材と圧電振動子とを備えた、超音波を送信または受信する超音波送受波器。
  10. 圧電振動子が密閉容器の内面に配置されてなり、音響整合部材が密閉容器の前記圧電振動子の配置位置に対向した外面に配置されている請求項9に記載の超音波送受波器。
  11. 密閉容器が金属材料である請求項10に記載の超音波送受波器。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の超音波送受波器を具備する超音波流量計であって、被測定流体が流れる流量計測部と、前記流量計測部に、前記被測定流体の流れの上流側と下流側とに、対向させて配置した一対の前記超音波送受波器と、前記一対の超音波送受波器間の超音波伝搬時間計測回路と、前記伝搬時間に基づき、前記被測定流体の流量を算出する演算手段とを具備する超音波流量計。
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