JP4983260B2 - 超音波振動子 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波振動子の音響整合手段に関するものである。
従来の超音波振動子9の断面構造を図13に示す。同図は電気信号が加えられることで振動を行う圧電素子10が金属製(ステンレス鋼)のキャップ11と金属製(ステンレス鋼)の蓋12で構成されるケース内にある。圧電素子10の上下面は電極が蒸着されている。圧電素子10はキャップ11に接着されているが、キャップ11と圧電素子10の電極とは電気的に導通している。圧電素子10の下面は、導電性ゴム13を介して、電極14に接続している。電極14と蓋12とは電気的に絶縁されている。電極15と蓋12とは同電位である。
したがって、圧電素子10を振動させる電気信号は、端子15に14間に印加する。また、超音波振動子9が受信した超音波により振動を開始した場合の圧電素子10からの電気信号も端子15と端子14間に出力される。圧電素子10は例えば、500kHz近傍に共振点をもつものを用いており、500kHzの信号を端子14、15にくわえることにより、効率よく振動し、電気信号を機械信号に変換する。反対に圧電素子10は機械振動が与えられた場合、端子14、15に電気信号を発生する。
金属製のキャップ11、金属製の蓋12、圧電素子10、導電性ゴム13、端子15と端子14が振動手段16を構成する。
振動手段16の上部には音響整合手段17が接着されている。音響整合手段17は振動手段16の振動を気体に効率よく伝える役割をする。また、気体から伝播してくる振動を効率よく振動手段16に伝える役割をする。音響整合手段17には、例えば、エポキシ樹脂に軽量な中空のガラス球体を混ぜ合わせて密度を軽減した構造体がよく用いられている。
音響整合手段17の性能は音響インピーダンスZmで表すことができる。音響インピー
ダンスは物体の密度と音速の掛け算で表される。今、振動手段16の音響インピーダンスZpと気体の音響インピーダンスZaを用いると、音響整合手段17の最適な音響インピーダンスZmopは√(Za×Zp)となる。ちなみに、キャップ11の音響インピーダンスと、圧電素子10の音響インピーダンスは近い値を持ち、また、キャップ11は約0.2mmの薄いものなので、音響的にはほぼ無視できるため、振動手段16の音響インピーダンスZpは圧電素子10の音響インピーダンスとおいてもよく、その値は30×10kg/msである。
さらに、気体は空気であるとするとZaは400kg/msである。これらの値を用いると、Zmopは11×10kg/msとなる。このようなZompを実現しようとすると、音響整合手段としては、非常に軽く、音速の遅い物体を選択する必要がある。但し、ゴムのようにやわらかいものであると振動の減衰が大きくなるので、このような物体は適さない。
軽い物体としては多孔体が上げられる。特許文献1には、セラミックス多孔体の製造方法が記載されている。これは難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックススラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成型体を乾燥、脱脂、焼成してセラミックス多孔体を得る製造方法で、開気孔率60%以上のものを得ることが出来ることが記載されている。また、他の多孔体の製造方法が特許文献2に記載されている。これは乾燥ゲルから得られる多孔体に関する製造方法である。このような製造方法を用いると密度が500kg/m以下の乾燥ゲルが得られる。
そして、多孔体を音響整合手段として用いた超音波振動子が、特許文献3に記載されている。これは、アルミナやシリカなどからなる多孔質体を用いたもので、空気面に薄いガラス層を設けて、音の伝播効率を上げる構造が記載されている。また、特許文献4には無機酸化物の乾燥ゲルからなる音響整合層が記載されている。これも多孔体構造であり、孔の大きさがナノメータの単位で形成されることが記載されている。
特許文献5の音響整合手段は、第1層と第2層を有する複合構造で、第1層の音響インピーダンスZ1と第2層の音響インピーダンスZ2とは、Z1>Z2の関係になるようにしており、第2層に無機酸化物の乾燥ゲルを用いている。第1層には同公報の「実施例1」の「(1)多孔質体の形成」に記載されているように、アクリル製微小球とSiO粉とガラスフリットを混合した粉体をプレスした後に、400℃の熱処理でアクリル製微小球除去して空隙を形成し、さらに900℃の熱処理で焼結させる製造方法で得られた多孔質体を、適切な大きさ(同公報では直径12mm、厚さ0.85mm)に研磨して用いることが記載されている。
特開2001−261463号公報 特開2005−8424号公報 特開2003−111195号公報 特開2002−262394号公報 特開2004−45389号公報
しかしながら、従来の超音波振動子は、以下のような課題がある。
音響整合手段を形成する材質は、従来の技術でも述べたとおり、軽くて音速の遅い材質であることが、音響整合の良好な特性を得る上で必要である。音響整合手段を振動手段に取り付けることで、振動手段で発生した振動を気体中へ効率よく伝播させることができるようになる。反対に気体中を伝播してきた振動を効率よく振動手段に伝播させることもで
きるようになる。
しかしながら、振動手段と音響整合手段とは異なる材質で構成されるために、温度によって、それらの伸縮の大きさが異なる。特に「背景の技術」で述べたように、振動手段を金属製のキャップ内に貼り付け、金属ケース外に音響整合手段を貼り付ける場合は、キャップと音響整合手段の温度による伸縮の度合いが大きく異なるので、キャップよりも強度が劣る音響整合手段に破損が生じる可能性がある。
特に、音響整合手段として優れた特性を有する無機乾燥ゲルは、低密度であることから強度が非常に弱く、温度によるキャップの伸縮に追随することができず、割れが生じやすくなるという課題がある。このような亀裂は、小さい場合は超音波振動子の送受信特性に大きな変化を生じないが、亀裂が進行し、欠けが発生することがあると、その欠けの大きさに応じて送受信特性が悪化する。
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波振動子は、異なる複数の材質からなる音響整合手段と、前記音響整合手段に取り付けられた振動手段と、からなり、前記音響整合手段は、セラミック多孔体と、前記セラミック多孔体の空隙に形成された多孔体のシリカ乾燥ゲルと、から構成されるものとし、前記セラミック多孔体は、難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックスラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成型体を、乾燥、脱脂、焼成して得られるものとし、前記シリカ乾燥ゲルは、加水分解性有機基と、非加水分解性有機基が同一のケイ素に直接結合したオルガノシラン化合物を含有するようにする。そして、強度のある材質で骨格を形成し、その骨格で形成される小空間に音響整合を行うために適した材質が存在する構成とする。これにより、音響整合手段を振動手段に取り付けた構成において、振動手段と音響整合手段との温度による伸縮の違いで生じる応力のうち、音響整合を行うために適した材質にかかる応力の大きさを低減することができる。
また、振動手段の伸縮に対して、「強度的に対応できる範囲で音響整合層に適した材質」として、難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックスラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成型体を、乾燥、脱脂、焼成して得られたセラミックとすることにより、得られる骨格で形成される空間の大きさが、音響整合を行うために適した材質を充填するのに適した大きさとすることができるとともに、音響整合手段全体の密度を適切な値にすることができる。
また、「目標とする音響整合を得るために適した材質」に乾燥ゲルを用いて、その材料であるオルガノシラン化合物を、加水分解性有機基と、非加水分解性有機基が同一のケイ素に直接結合したものを含有するようにすることで乾燥ゲルに柔軟性が得られる。柔軟性が得られることで、温度変化による振動手段の伸縮に対して耐久力をさらに向上することができる。
本発明の超音波振動子は、異なる複数の材質からなる音響整合手段と、前記音響整合手段に取り付けられた振動手段と、からなり、前記音響整合手段は、セラミック多孔体と、前記セラミック多孔体の空隙に形成された多孔体のシリカ乾燥ゲルと、から構成されるものとし、前記セラミック多孔体は、難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックスラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成型体を、乾燥、脱脂、焼成して得られるものとし、前記シリカ乾燥ゲルは、加水分解性有機基と、非加水分解性有機基が同一のケイ素に直接結合したオルガノシラン化合物を含有することにより、従来は強度面の問題で単独では使用できなかった「目標とする音響整合を得るために適した材質」を用いることがで
きるようになり、これと「強度的に対応できる範囲で音響整合層に適した材質」とを複合させることで、音響整合層の特性としては、両者の間にある音響インピーダンスを実現することができる。これにより、同一性能の2つの超音波振動子による送受信で得られる受信出力が、従来の超音波振動子の約2倍以上とすることがでるという効果がある。
また、音響整合を行うために適した材質に乾燥ゲルを用いて、その材料であるオルガノシラン化合物を、加水分解性有機基と、非加水分解性有機基が同一のケイ素に直接結合したものを含有するようにすることで乾燥ゲルに柔軟性が得られる。柔軟性が得られることで、温度変化による振動手段の伸縮に対して耐久力をさらに向上することができるという効果がある。
発明は、異なる複数の材質からなる音響整合手段と、前記音響整合手段に取り付けられた振動手段と、からなり、前記音響整合手段は、セラミック多孔体と、前記セラミック多孔体の空隙に形成された多孔体のシリカ乾燥ゲルと、から構成されるものとし、前記セラミック多孔体は、難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックスラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成型体を、乾燥、脱脂、焼成して得られるものとし、前記シリカ乾燥ゲルは、加水分解性有機基と、非加水分解性有機基が同一のケイ素に直接結合したオルガノシラン化合物を含有する構造とした超音波振動子とする。これにより、従来は強度面で弱く使用が困難であった「目標とする音響整合を得るために適した材質」を「強度的に対応できる範囲で音響整合層に適した材質」とを複合させて用いることできるようになり、同一性能の2つの超音波振動子による送受信で得られる受信出力が、従来の超音波振動子の約2倍以上とすることがでるという効果がある。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態において本発明が限定されるものではない。また、必要に応じて以下の式を用いるものとする。
式(1) Si(OR1)4
式(2) R2Si(OR1)3
式(3) (R2)2Si(OR1)2
式(4) HO((R2)2SiO)nH
式(5) CH2=CR3(COOR4)
式(6) CH2=CR3(COOR5)
式(7) CH2=CR3(COOR6)
(実施の形態1)
図1は本発明の超音波振動子20の構成を示す断面図である。同図において、従来の超音波振動子9と共通する構成要素に関しては同じ番号を用いる。また、それらの詳細な説明は省略する。
音響整合手段21は2つの構造体からなる。これら2つの構造体は、それぞれ異なる材質でつくられている。音響整合手段21は振動手段16に接着剤で接合される。音響整合手段21を構成する構造体の一つはセラミック材料を用いて形成された多孔体(以下セラミック多孔体と呼ぶ)で、もう一つは無機乾燥ゲルでシリカを材料としている。
セラミック多孔体24の断面構造を図2に示す。骨格25はセラミックで、空隙26は複数の空隙が連通しているものや、単独で存在するものが見られる。空隙の大きさは500μm以下で、多くは100μmから500μmの間にある。このセラミック多孔体は、特許文献1に記載されている、製造方法で得られるものが適している。これは難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックススラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成
型体を乾燥、脱脂、焼成してセラミックス多孔体を得る製造方法で、我々が製造するものは開気孔率90%以上のものも得ることが出来る。
このような方法で得られたセラミック多孔体は、密度約300kg/m、音速約2400m/s、音響インピーダンス約7.2×10kg/msである。である。また、このセラミック多孔体は、振動手段16が温度−40℃から80℃の間で伸縮する際に生じる応力に対して十分な強度が得られるものである。音響インピーダンスは従来のものに比べて低減することができるが、500kHz程度の超音波に関しては超音波の波長と、空隙の大きさの関係から、空隙の大きさが100μmから500μmであるとその影響が現れ、効率の良い伝播が行われないので、セラミック多孔体単体で音響整合部材を構成することは好ましくない。
そこで、セラミック多孔体の空隙に無機乾燥ゲルを形成することによって複合構造とする。無機乾燥ゲルも多孔体であるが、その空隙の大きさはナノメートルのオーダーであるので、超音波の波長に比べ極めて小さいので、超音波の伝播には影響を及ぼさない。
無機乾燥ゲルは図3に示す工程図に沿って製作する。出発原料はテトラエトキシシラン、水、エタノールで、これに触媒として希塩酸を混ぜることで加水分解させて原料を準備する。この原料に触媒としてアンモニアを添加して得られた溶液を攪拌した後、セラミック多孔体を入れた容器に注入する。注入された溶液はセラミック多孔体の空隙に浸透していく。この状態で溶液のゲル化が始まる。ゲル化で骨格が形成されるが、この骨格は極めて弱く、実使用に耐えないので、骨格を頑丈にする作業が必要となる。
このためにゲル化の次に再び骨格表面を加水分解させるために水、エタノールを加えて、規定時間と規定温度の下で放置し、その後、テトラエトキシシラン、水、エタノールと触媒のアンモニアを注入し、骨格を増強する。規定時間と規定温度の下で放置したのち、溶液をイソプロピルアルコールに置換して、骨格増強の化学反応を停止させる。この後は、疎水化処理をした後に乾燥して、無機酸化物の乾燥ゲルが充填されたセラミック多孔体、すなわち複合構造の音響整合部材が得られる。
このような方法で製造した無機物の乾燥ゲルは、それ単体で密度200kg/m程度、音速500m/s程度である。この無機物の乾燥ゲル単体は、低音速、低密度であるので音響インピーダンスが小さく、振動子と空気などの気体との間の音響整合をとるのに適した材料である。
しかしながら、強度が弱いために、単独で用いた場合には、振動手段16が温度−40℃から80℃の間で伸縮する際に生じる応力に対して耐えることができない。そこで、セラミック多孔体との複合構造にする。セラミック多孔体も振動手段16の伸縮に伴い伸縮するが、若干その伸縮度合いは軽減される。
しかしながら、軽減された伸縮でも、無機物の乾燥ゲルにとっては、さらに軽減されることが望ましい。セラミック多孔体と無機物の乾燥ゲルの複合構造において、セラミック多孔体の小空隙に無機物の乾燥ゲルが存在する構造においては、乾燥ゲルが小区分化されるので、一つの区分に存在する乾燥ゲルにかかる振動手段16の伸縮時の応力は分散され、極小さなものとすることができる。
このように、無機物の乾燥ゲルは出発原料が液体であるため、小さな多数の空隙を有するセラミック多孔体の空隙に容易に乾燥ゲルを形成することができる。また、乾燥ゲルは音響整合手段としてはきわめて優れた特性を有しているため、セラミック多孔体と複合することで、セラミック多孔体単体では得られなかった音響整合手段としての優れた特性を
実現することができる。
ここで、特性についてまとめておく。無機物の乾燥ゲルは、密度約200kg/m、音速約400m/s、音響インピーダンス約8×10kg/msである。難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックススラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成型体を乾燥、脱脂、焼成して得られたセラミックス多孔体は、密度約300kg/m、音速約2400m/s、音響インピーダンス約7.2×10kg/msである。無機物の乾燥ゲルとセラミックス多孔体とを複合して得られた構造体は、密度約500kg/m、音速約1800m/s、音響インピーダンス約9×10kg/msである。また、従来の音響整合部材で、エポキシ樹脂に軽量な中空のガラス球体を混ぜ合わせて密度を軽減した構造体は、密度約560kg/m、音速約2000m/s、音響インピーダンス約11.2×10kg/msで、無機物の乾燥ゲルとセラミックス多孔体とを複合して得られた構造体の音響インピーダンスのほうが小さくなる。
これにより、2つの超音波振動子間の送受信で得られる受信信号の大きさは、無機物の乾燥ゲルとセラミックス多孔体とを複合して得られた構造体を音響整合部材としたほうが、従来のエポキシ樹脂に軽量な中空のガラス球体を混ぜ合わせて密度を軽減した構造体を音響整合部材とした場合に比べ、約2倍の出力を得ることができる。
図4は超音波振動子を用いた気体用の流量計30の構成を示したブロック図である。2つの超音波振動子31、32は対面するように気体が通る流路33に配置されている。超音波振動子31、32は回送信手段34と受信手段35に切換え手段36を介して接続されている。回送信手段34、受信手段35、切換え手段37はIC化された電気回路で構成される。
今、同図の流路33中に示される矢印の向きに気体が流れている場合、超音波振動子31から発振された超音波は気体の流れの影響を受けて減速し伝播時間T2で超音波振動子32に到達する。反対に超音波振動子32から発振された超音波は気体の流れの影響を受けて加速し伝播時間T1で超音波振動子31に到達する。伝播時間T1とT2の逆数差が流量に比例することから、伝播時間を測定することで流量を計算することができる仕組みとなっている。
2つの超音波振動子間の送受信で得られる受信信号の大きさは、音響整合手段の性能で変わるが、前述したように、無機物の乾燥ゲルとセラミックス多孔体とを複合して得られた構造体を音響整合部材としたほうが、従来のエポキシ樹脂に軽量な中空のガラス球体を混ぜ合わせて密度を軽減した構造体を音響整合部材とした場合に比べ、約2倍の出力を得ることができ、この結果、超音波振動子の駆動電圧を1/2の大きさにすることがでる。
このように回路電圧を1/2にできると、IC化された回路の半導体プロセスで使用するシリコンウェハーの電圧仕様を低耐圧化することができ、ICの小型化、低価格化が実現できるようになる。
(実施の形態2)
次に無機物の乾燥ゲルの製造方法について詳しく述べる。無機物としてはシリカを用いたもので、製造方法は音響整合部材としての形ではなく、乾燥ゲル単体の製造方法として記載する。
図5は本発明の第2の実施の形態におけるシリカ乾燥ゲルの断面概念図を示している。
同図に示すように、シリカ乾燥ゲル41はナノメートルサイズの微小な空隙部42を備
える多孔体である。シリカ乾燥ゲル41は、オルガノシラン化合物の加水分解重合によって形成した重合体43がさらに結合して、シリカ乾燥ゲルの骨格を形成している。
以下図6を使ってシリカ乾燥ゲル41の製造方法に関して説明する。同図はシリカ乾燥ゲル41の製造工程フローを示すものである。同図において、シリカ乾燥ゲル41の製造工程は、I原料準備工程44、IIゲル化工程45、III再構築工程46、IV疎水化工程4
7、V乾燥工程48によって形成する。以下各工程に関して詳細に説明する。
(I原料準備工程44)
この工程では、シリカ乾燥ゲルの主原料となるオルガノシラン化合物と、これを加水分解するための水、反応溶媒、触媒を加えて出発原材料である混合溶液を作る工程である。オルガノシラン化合物は、例えば図7に示す分子配置概念図のような構造を有する。同図は非加水分解性有機基50がケイ素51に直接結合したオルガノシラン化合物49を示しており、他のオルガノシラン化合物とは加水分解が行われない。加水分解性有機基52も、直接ケイ素51に結合しており、加水分解によって他のオルガノシラン化合物と加水分解し重合する。このような構造として以下のようなものが例示できる。
式(2)は、非加水分解性有機基50を1つ備え、式(3)は、非加水分解性有機基50を2つ備えた化合物の加水分解重合物からなり、分子量200以上のオルガノシロキサンである。式(4)は、非加水分解性有機基50を2つ備えた直鎖状ポリシロキサンジオールを示している。
式(1)中のRとしては、特に限定はされないが、たとえば、炭素数1〜4のアルキル基を主原料とするものが用いられる。
式(2)、式(3)、式(4)中のRとしては、特に限定はされないが、たとえば、炭素数1〜8の置換または非置換の1価の炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を例示することができる。これらの中でも、合成の容易さ、入手の容易さ、硬度が過度に低下しすぎないという点から、炭素数1〜4のアルキル基およびフェニル基が好ましい。
従って、式(2)のオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。
また、式(3)のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示できる。
これらのオルガノシラン化合物は式(5)、(6)、(7)で表される化合物を含んでいてもよい。
式(5)中のRは置換、もしくは非置換の炭素数1〜9の炭化水素基である。
式(6)中のRはエポキシ基、グリシジル基およびこれらのうちの少なくとも一方を含む炭化水素基(たとえば、γ−グリシドキシプロピル基等)からなる群の中から選ばれる少なくとも1種の基であるものの内の少なくとも1種である。
式(7)中のRはアルコキシシリル基および/またはハロゲン化シリル基を含む炭化水素基、たとえば、トリメトキシシリルプロピル基、ジメトキシメチルシリルプロピル基、モノメトキシジメチルシリルプロピル基、トリエトキシシリルプロピル基、ジエトキシメチルシリルプロピル基、エトキシジメチルシリルプロピル基、トリクロロシリルプロピル基、ジクロロメチルシリルプロピル基、クロロジメチルシリルプロピル基、クロロジメトキシシリルプロピル基、ジクロロメトキシシリルプロピル基等であるものの内の少なくとも1種である。
また、本発明に関わる乾燥ゲルを得るための出発物質は、図8に示す分子配置概念図のように、加水分解性有機基52のみによって構成されたオルガノシラン化合物53であり、式(1)で表される例えばテトラアルコキシシランを含有してもよい。これらの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
以上に例示した、式(2)から式(7)で表される化合物または重合物或いは共重合物はいずれも乾燥ゲルを柔軟化させ、破損を生じさせにくくする成分である。式(2),(3)で表される化合物を分子量200以上となるように重合することで、得られるゲルに対する柔軟化の効果が大きくなる。例えば、式(2)、(3)で表される化合物を用いた場合においても、分子量が小さいモノマー等を用いた場合には、乾燥ゲルを柔軟化する効果が小さい。
式(4)で表される化合物も柔軟化の効果が大きく、特に式(1)で示されるテトラアルコキシシランと同時に用いる場合には、これと共重合(架橋)し易いために、反応速度の制御が容易である。式(5)、(6)、(7)で表される化合物の共重合体は、ゲルの柔軟化に大きな効果がある。式(5)で表される構造部は、共重合体に大きな柔軟性を持たせる効果がある。式(6)で表される構造部は、乾燥ゲルを基材に接着させて用いる場合に被接着層との密着性を向上させる。なお、式(5)、あるいは式(6)で表される構造部とその他のオルガノシランとを架橋させるためには、式(7)で表される構造部が必須の成分である。
なお、式(2)から式(7)で表される化合物または重合物或いは共重合物の乾燥ゲル中に含まれる濃度は特に規定はされないが、0.01重量%〜20重量%であることが好ましい。この成分の濃度が低すぎると乾燥ゲルの割れや剥がれがおこる。逆に高すぎると強度が低下して湿潤ゲルの乾燥の際に収縮を生じる。これらの理由から、この化合物の濃度は0.1重量%〜10重量%であることがさらに好ましい。

触媒としては、一般的な有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基が用いられる。有機酸として、酢酸、クエン酸など、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸など、有機塩基として、ピペリジンなど、無機塩基として、アンモニアなどがある。また、ピペリジン等のイミン系のものを用いれば細孔径が大きくなる効果があるため毛管力低減の観点からより好ましい。 溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の低級アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールのモノあるいはジエーテル、アセトン等の低級ケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の低級エーテルのような水溶性有機溶媒が用いられる。また、第1ゲル原料の加水分解、縮重合でゲルが形成される場合には、加水分解に必要な水も添加される。
以上に示した化合物を、攪拌混合して、原料準備を行う。図9は、このときのオルガノシラン化合物の概念図である。同図において、三角(△)は、非加水分解性有機基50を備えるオルガノシラン化合物49、四角(□)は加水分解性有機基52のみを備えるオルガノシラン化合物53を示しており、同図(a)は、これらのオルガノシラン化合物と、触媒、溶剤が分散したゲル原料溶液54の状態を示している。これらのオルガノシラン化合物が触媒によって加水分解され、重合される。図9(b)は、重合されたオルガノシラン化合物の重合概念図を示している。この図のようにゲル原料溶液54は、重合が進行して湿潤ゲル55を経て、乾燥されシリカ乾燥ゲル41が形成される。
(IIゲル化工程45)
原料準備工程44に引き続きこの工程では、準備された混合溶液に触媒を加えて加水分解重合を促進させることによってゲルの固体骨格が形成させ、ゲルに溶剤を含んだ状態である湿潤ゲルをつくる工程である。ゲル化を促進するため、必要に応じて触媒の添加、溶液温度上昇を行う。触媒は、原料準備工程に例示してあるため省略する。なお、原料準備工程44とゲル化工程45とで触媒を特に分割して添加しなくてもよく、原料準備工程44とゲル化工程45とを1度に行っても良い。
(III再構築工程46)
ゲル化工程45に引き続きこの工程では、ゲル化工程45で形成された湿潤ゲルの固体骨格の一部を分解しながら、新たな固体骨格を形成する。具体的には、まず再構築工程のための再構築原料と、再構築触媒および水と、必要に応じて溶媒を添加混合することによって再構築原料溶液を調製し、これにゲル化工程で得られた湿潤ゲルを浸漬させる。この工程の処理時間、処理温度によって、シリカ乾燥ゲルの密度を調整することができる。再構築工程で用いられる再構築触媒、あるいはオルガノシラン化合物は、ゲル化工程45で例示したものを使用することができるが、特に、ゲル化工程時と同一のものである必要はない。ゲル骨格増強後、反応停止を行う目的で、再構築原料溶液を例えばイソプロピルアルコールに置換することで反応を停止させる。
(IV疎水化工程47)
再構築工程46に引き続きこの工程では、再構築工程46までに得られた湿潤ゲルの表面に、溶媒中に疎水化剤を溶解した疎水化溶液を反応させることで、疎水基を導入する。本発明に用いられる疎水化剤としては、反応性が高い点からシリル化剤が好ましく、例えばシラザン化合物、クロロシラン化合物、アルキルシラノール化合物およびアルキルアルコキシシラン化合物等がある。
これらのシリル化剤は、シラザン化合物、クロロシラン化合物、アルキルアルコキシシラン化合物の場合は、直接あるいは加水分解を受けて、対応するアルキルシラノールになってからゲル表面のシラノール基と反応する。また、アルキルシラノールをシリル化剤として用いれば、そのまま表面のシラノール基と反応する。
これらの中でも、疎水化時の反応性が高いことと入手の容易性から、クロロシラン化合物、シラザン化合物が特に好ましく、入手の容易性及び疎水化時に塩化水素、アンモニア等のガスを発生しないことからはアルキルアルコキシシランが特に好適に用いられる。
具体的には、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシランおよびジメチルジクロロシランなどのクロロシラン化合物、ヘキサメチルジシラザンなどのシラザン化合物、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシランおよびジエトキシジメチルシランなどのアルキルアルコキシシラン化合物、トリメチルシラノールおよびトリエチルシラノールなどのシラノール化合物に代表されるシリル化剤がある。これらを用いれば、湿潤ゲル表面にトリメチルシリル基など
のアルキルシリル基を導入することで疎水化を進行させることができる。
また、疎水化剤として、フッ素化されたシリル化剤を用いれば、疎水性が強くなり非常に効果的である。
また、疎水化剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコールおよびグリセロールなどのアルコール類の他、蟻酸、酢酸、プロピオン酸およびコハク酸などのカルボン酸なども用いることができる。これらは、ゲル表面の水酸基と反応してエーテルまたはエステルを形成することで疎水化を進めるが、反応が比較的遅いため高温の条件が必要である。 疎水化工程は最終的に得られる乾燥ゲルが、吸湿しないようにするための処理で、ゲルを上記疎水化処理剤に投入したのち、溶液を例えばイソプロピルアルコールに置換することで疎水化処理反応を停止させる。
(V乾燥工程48)
この工程では、疎水化工程までに得られた湿潤ゲルから溶媒を除きシリカ乾燥ゲル41を得る。
湿潤ゲルから溶媒を除く乾燥方法としては、(1)自然乾燥法、(2)特殊乾燥法がある。
(1)自然乾燥法は、最も一般的で簡便な乾燥法であり、溶媒を含む湿潤ゲルを放置することで、液体状態の溶媒を気化させて除去するものであり、この乾燥法がコストの観点から最も好ましい。生産性の観点から湿潤ゲルを加熱する加熱乾燥、あるいは湿潤ゲルを大気圧以下に減圧する減圧乾燥も自然乾燥法に含まれる。
加熱する温度は、溶媒が蒸発する温度以上であれば特に限定されない。
乾燥時に、ゲルの密度が低い場合にはゲル中の溶媒の表面張力に比例する毛管力のために、ゲルが一時的に収縮し割れを生じることがある。このため、乾燥時の溶媒は沸点での表面張力が小さい炭化水素系の溶媒が好ましく、特に安価なヘキサン、ペンタンあるいはその混合物が好ましい。一方、安全性の観点からは、イソプロパノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、さらには水と有機溶媒との混合溶媒からの乾燥が好ましい。そのため、目的に応じて上に示した溶剤と、湿潤ゲル形成時に使用した溶剤とを置換することで乾燥時の応力を低減することができ、湿潤ゲルが乾燥時に割れにくくなる。
(2)特殊乾燥法は、超臨界乾燥や凍結乾燥の2つの方法がある。
超臨界乾燥は、溶媒を超臨界状態として液体状態を経ずに取り除くことができるので、気液界面に形成される毛管力の発生がない。このため湿潤ゲルが乾燥時に割れにくくなる。乾燥に用いられる超臨界流体として、水、アルコール、二酸化炭素等がある。最も低温で超臨界状態が得られ、しかも無害である二酸化炭素が多く用いられる。
具体的には、まず耐圧容器中に液化二酸化炭素を導入し、耐圧容器中の湿潤ゲル溶媒を液化二酸化炭素に置換する。次に、圧力と温度を臨界点以上に上げ超臨界状態とし、温度を保ったまま徐々に二酸化炭素を放出して乾燥を完了させる。
凍結乾燥は、湿潤ゲル中の溶媒を凍結させた後に、昇華により溶媒を除く乾燥方法である。液体状態を経ず、ゲル中に気液界面を生じないので毛管力が働かない。このため、乾燥時のゲルの収縮を抑制することができる。
凍結乾燥法に用いられる溶媒は、凝固点での蒸気圧が高いものが好ましく、第3ブタノール、グリセリン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、パラ−キシレン、ベンゼン、フェノールなどが挙げられる。これらのなかでも、融点における蒸気圧が高いという点から、特に第3ブタノール、シクロヘキサンが好ましい。
凍結乾燥時には、湿潤ゲル中の溶媒を、上記の凝固点での蒸気圧が高い溶媒に置換しておくことが効果的である。また、ゲル化時に用いる溶媒を、凝固点での蒸気圧が高い溶媒にしておけば、溶媒置換を省略して効率的な製造が可能となるためより好ましい。
乾燥は、疎水化工程の後に行ってもよいし、疎水化工程の前に行ってもよい。乾燥工程を経た後で疎水化する場合は、乾燥ゲルを溶液中ではなく、疎水化剤の蒸気にさらすことで乾燥ゲル表面に疎水基を導入する。従って、使用する溶媒量を削減することができる。
この時使用する、疎水化剤としては、上述の疎水化剤を用いることができるが、反応性の高さからトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物が最も好ましい。また、クロロシラン化合物以外の疎水化剤を用いる場合は、アンモニアや塩化水素等の気体状態で導入可能な触媒を用いることも有効である。
また、気相で疎水化を行う場合は、溶媒や疎水化剤の沸点に制限を受けずに疎水化時の温度を高めることができる。従って、気相での疎水化は、反応を早めるために有効である。また、湿潤ゲルが薄膜や粉体であれば、疎水化剤蒸気の浸入が容易であり、薄膜の場合は溶媒量削減の効果も大きいためより好ましい。
以上のようにして形成したシリカ乾燥ゲル41は柔軟性が付与されるため、乾燥ゲルを温度変化による膨張収縮の大きい別の物体に取り付け、別の物体が伸縮しても、柔軟性のある乾燥ゲル41が、この伸縮に追随して伸縮することで、自らの破壊を防止することができる。
(実施の形態3)
図10は、本発明第3の実施の形態におけるシリカ乾燥ゲル製造工程のオルガノシラン化合物概念図である。同図において、(a)は、まずI原料調整工程44において加水分解性有機基52のみによって構成されたオルガノシラン化合物53で原料調整し分散させたゲル原料溶液56を示しており、IIゲル化工程45にてゲル化を行う。次に、図10(b)にIII再構築工程46の概念図を示した。図10(b)において、I原料調整工程4
4およびIIゲル化工程45で形成された湿潤ゲル57に、オルガノシラン化合物53およびオルガノシラン化合物49を混合して分散させた再構築溶液58加え加水分解を行い、図10(c)に示した湿潤ゲル59が形成される。用いたオルガノシラン化合物、触媒、溶媒は実施の形態2と同様のため省略する。
以上のようにして形成したシリカ乾燥ゲル42は、オルガノシラン化合物53とオルガノシラン化合物49との混合比を変更することによって、反応速度を制御できるので、生産性に優れ、かつ柔軟性を付与することができる。
(実施の形態4)
図11は、乾燥ゲルの抗折強度測定治具60の断面図を示している。図11において、実施の形態2と同様の方法で作製した円板形のシリカ乾燥ゲル61を抗折強度測定治具60の測定台62に載置して、押圧棒63を一定の速度で垂直に移動し、抗折強度の測定を行った。図12はその結果を示している。
同図の横軸はシリカ乾燥ゲル61サンプルの密度、縦軸は乾燥ゲル61サンプルの抗折強度から算出した弾性係数を示している。同図において、点線64は従来例に記載されている式(1)に記載したオルガノシラン化合物のみで作製したシリカ乾燥ゲルサンプル、実線25はシリカ乾燥ゲルに柔軟性を付与した乾燥ゲルサンプルを示している。従来例に比べ、本発明の乾燥ゲルは、弾性係数が小さく、柔軟性が得られている。この柔軟性は温度変化などによって、乾燥ゲルに生じた内部応力を効果的に分散し、応力に強い乾燥ゲルとすることができる。
本発明は、流体の流量、流速、温度を超音波で測定する計測器に適した超音波振動子を提供する。例えば、一般家庭で使用される都市ガスやLPガスの流量を測定する超音波式流量計への応用ができる。
本発明の超音波振動子20の構成を示す断面図 本発明のセラミック多孔体の断面図 本発明の無機乾燥ゲルの製造工程図 本発明の超音波振動子を用いた流量計の構成を示すブロック図 本発明のシリカ乾燥ゲルの断面概念図 本発明のシリカ乾燥ゲルの製造工程フローチャート 本発明のオルガノシラン化合物の分子配置概念図 本発明のオルガノシラン化合物の分子配置概念図 本発明のシリカ乾燥ゲル製造工程のオルガノシラン化合物概念図 本発明のシリカ乾燥ゲル製造工程のオルガノシラン化合物概念図 本発明の乾燥ゲルの抗折強度測定治具断面図 本発明の乾燥ゲルの抗折強度測定結果を示す特性図 従来の超音波振動子20の構成を示す断面図
16 振動手段
21 音響整合手段
24 セラミック多孔体
41 シリカ乾燥ゲル
49、53 オルガノシラン化合物
50 非加水分解性有機基
51 ケイ素
52 加水分解性有機基

Claims (7)

  1. 異なる複数の材質からなる音響整合手段と、前記音響整合手段に取り付けられた振動手段とからなる超音波振動子において、
    前記音響整合手段は、セラミック多孔体と、前記セラミック多孔体の空隙に形成された多孔体のシリカ乾燥ゲルと、から構成されるものとし、
    前記セラミック多孔体は、難焼結性のセラミックス粉末を有する含気泡セラミックスラリーをゲル化して得たゲル状多孔質成型体を、乾燥、脱脂、焼成して得られるものとし、
    前記シリカ乾燥ゲルは、加水分解性有機基と、非加水分解性有機基が同一のケイ素に直接結合したオルガノシラン化合物を含有するようにした超音波振動子。
  2. オルガノシラン化合物は、式(1)で表される化合物または、式(1)で表される化合物の加水分解重合物を含有する請求項の超音波振動子。
    式(1) Si(OR1)4
  3. オルガノシラン化合物は、式(1)で表される加水分解性有機基がケイ素に直接結合したものとし、その重合体と、加水分解性有機基と、非加水分解性有機基とが同一のケイ素に直接結合した別のオルガノシラン化合物とを重合した請求項記載の超音波振動子。
  4. 加水分解性有機基と、非加水分解性有機基が同一のケイ素に直接結合したオルガノシラン化合物は、式(1)で表される化合物とその加水分解縮重合物の合計に対し、0.1重量%〜10重量%とした請求項記載の超音波振動子。
  5. オルガノシラン化合物およびその重合体は、式(2)または式(3)で表される少なくとも一つを含む化合物を重合させ、分子量200以上とした請求項記載の超音波振動子。
    式(2) R2Si(OR1)3
    式(3) (R2)2Si(OR1)2
  6. オルガノシラン化合物は、式(4)で表される直鎖状ポリシロキサンジオールである請求項記載の超音波振動子。
    式(4) HO((R2)2SiO)nH
  7. オルガノシラン化合物は、式(5)と、式(6)との少なくとも一方と、式(7)で表される化合物との共重合体を含んだ請求項記載の超音波振動子。
    式(5) CH2=CR3(COOR4)
    ここで、R3は水素原子及び/またはメチル基を示す。
    R4は置換もしくは非置換の炭素数1〜9の1価炭化水素基である。
    式(6) CH2=CR3(COOR5)
    ここで、R5はエポキシ基、グリシジル基及びこれらのうち少なくとも一方を含む炭化水素基からなる群の中から選ばれる少なくとも1種の基である。
    式(7) CH2=CR3(COOR6)
    ここで、R6はアルコキシシリル基及び/またはハロゲン化シリル基を含む炭化水素基である。
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