JP4983282B2 - 音響整合部材 - Google Patents

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Description

本発明は、気体、液体等流体中に超音波を送信、または、流体中を伝搬する超音波を受信する超音波送受波器に用いる音響整合部材とそれを用いた超音波送受波器、超音波流速流量計に関するものである。
従来のこの種の超音波送受波器50は、図15に示すような構成である。同図において、超音波送受波器50は音響整合部材51と圧電体52とリード線53、54で構成されている。音響整合部材51と圧電体52とは接合手段55を介して接合されている。圧電体52の電極56、57とリード線53、54とは電気的に接続された構成となっている。この圧電体52で発生した振動が気体へ効率よく伝搬されるには、音響インピーダンスを考慮する必要がある。
物体の音響インピーダンスZは音速Cと、密度ρとで、式(1)のように定義される。
Z=ρ×C (1)
振動発生手段である圧電体52の音響インピーダンスZは、30×106kg/(ms)であり、超音波の放射媒体である気体、例えば空気の音響インピーダンスZは400kg/(ms)程度であり大きく異なる。このような音響インピーダンスの異なる境界面上では超音波は反射し、透過する超音波の強さが弱くなり、効率よく伝搬されない。
これを、解決するために用いるのが音響整合部材51であり、圧電体52と放射媒体との間に形成する。音響整合部材51の音響インピーダンスZは、次式(2)の関係満たすことで、超音波が放射媒体へ効率よく伝搬する。
=(Z×Z(1/2) (2)
この最適な値は、11×10kg/(ms)程度となる。式(2)からわかるように、音響整合部材51は、固体で密度が小さく音速の遅いものが要求される。従来、音響整合部材51を軽量化するため、多孔体が用いられる。例えば特許文献1に記載されているように、多孔体が、セラミックもしくはセラミックとガラスとの混合物の焼結多孔体とした構成となっている。
特開2004−45389号公報
しかしながら、前記従来の構成では、音響整合部材51を密度が小さく音速の遅いものとするために用いた多孔体が衝撃、摩擦などの外部応力に対し脆弱であるため、音響整合部材より一部剥離し発塵する。そのため超音波流速流量計に用いた場合、計測系を汚染するという課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、計測系の汚染しない音響整合部材、およびそれを用いた超音波送受波器、超音波流速流量計を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波送受波器は、構成部材である音響整合部材の外周部に防塵層を備える構造としたものである。
これによって、防塵層が音響整合部材より発生した剥離粒子などによる発塵性解決し、計測系の汚染を防止することができる。
本発明の超音波送受波器は、音響整合部材の発塵性を解決し、計測系を汚染せず、高精度な流速流量計測を実現する超音波送受波器、超音波流速流量計とすることができる。
第1の発明は、音響整合体の外周部に防塵層を備えた音響整合部材であって、前記音響整合体の天部外壁面の前記防塵層は側壁部より薄く、前記音響整合体は多孔体であり、前記多孔体は第一の多孔体の空隙部に第二の多孔体を形成し、前記第一の多孔体はセラミック材料であり、前記第二の多孔体は多孔質有機ガラスであり、前記多孔質有機ガラスはオルガノシラン化合物を重合させると共に乾燥してなるシリカ乾燥ゲルであり、前記防塵層は前記音響整合体より密度が高く、前記第一の多孔体と同一材料であり、熱によって収縮する部材である音響整合部材とすることにより、防塵層が音響整合部材より発生した剥離粒子などによる発塵性解決し、超音波流速流量計とした場合、高精度な流速流量計測を実現する超音波送受波器、超音波流速流量計とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明第1の実施の形態における防塵層2を備えた音響整合部材3の断面図、図2は本発明第1の実施の形態における超音波送受波器4の断面図を示している。
図1において、音響整合体1の外周部に防塵層2が形成された音響整合部材3となっている。図2において、超音波送受波器4は、前記防塵層2を備えた音響整合部材3と圧電体5とを接合手段6で接合した構成となっている。圧電体5は対向した電極7を備え、電極7とリード線8、9とは電気的に接合され、前記リード線8、9を介して電気信号が伝えられる。
以上のように構成された超音波送受波器4について、以下その動作、作用を説明する。
まず、超音波送受波器4は、リード線8、9を介して圧電体5に200〜600kHzの矩形波、あるいは、正弦波に調整した電気信号を与えることで、圧電体4が振動する。その振動に対し、防塵層2を備えた音響整合部材3はあらかじめ音響整合部材3を伝搬する超音波波長(λ)の4分の1の厚さに調整しており、圧電体5の振動に音響整合部材3が共振し、流速あるいは流量を計測する気体に対し超音波が伝搬する。音響整合部材3は、式(1)、(2)から分かるように、固体であって、密度が小さく音速の遅いものが要
求される。
通常このような要求を満たすには、例えば、1)ガラスの中空体を密に充填した隙間に熱硬化性のエポキシ樹脂を流し込んだ音響整合部材や、2)セラミック多孔体の空隙部に多孔質有機ガラスを形成した音響整合部材、あるいは、3)セラミック多孔体を音響整合部材とし、超音波放射面に表面緻密層を形成した音響整合部材などが用いられる。これらの音響整合部材は、特性向上のため軽量化されると、外部応力に対し脆弱になり、音響整合部材より剥離する粒子によって発塵して測定系が汚染され、計測精度の低下、あるいは測定流体の流れ遮断時に漏れが生じるという課題があった。
このような音響整合体1の外周部に防塵層2を備える音響整合体1は、たとえ音響整合体1より粒子などが剥離したとしても防塵層2によって測定系へ飛散することがなくなり、計測精度が低下することなく、高性能の超音波送受波器を計測に使用することができるようになる。そのため、防塵層2は、音響整合体1より剥離する粒子などよりも緻密であり、通常は音響整合部材よりも高密度の材料で形成する。
例えば、前記1)ガラスの中空体を密に充填した空隙部に熱硬化性樹脂を流し込んだ音響整合部材においては、熱硬化性樹脂単独の層を防塵層2として外周部に形成することできる。このとき、熱硬化性樹脂は、中空球体の空隙部に充填した樹脂と同種であるほうが好ましい。この防塵層2は例えば、スプレーによる塗布、スクリーン印刷、グラビア印刷、メタルマスク印刷、転写、ポッティングなど多くの印刷方法を用いることが可能である。
防塵層の材料としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミン樹脂、ケトン樹脂、ポリイミド、シリコン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂と、硬化剤を混合し、先ほど示した形成方法で塗布しその後、加熱することで防塵層2を形成する。ここで、形成方法によって粘度調整のために希釈溶剤などを用いてもよい。通常、熱硬化性樹脂を選択する場合が多いが、超音波送受波器とした場合の最高使用温度である60℃以上にガラス点移転を持つ熱可塑性樹脂であれば、使用可能である。
そのほか防塵層2の形成方法として、熱収縮チューブなど熱よって収縮するチューブの中に、厚みを調整した音響整合部材3を配置し、加熱することで形成する。防塵層2は、またシリコンなどの弾性体でも形成可能で、この場合には、超音波送受波器4としたときの不要振動を抑制する働きをも備える。
前記2)セラミック多孔体の空隙部に多孔質有機ガラスを形成した音響整合部材、あるいは、3)セラミック多孔体を音響整合部材とし、超音波放射面に表面緻密層を形成した音響整合部材においても以上に示した熱硬化性の樹脂を塗布する方法は有効であり、防塵層2を形成することは可能である。
以下、前記2)セラミック多孔体の空隙部に多孔質有機ガラスを形成した音響整合部材に関して説明する。
図3は、本発明第1の実施の形態における、セラミック多孔体11の空隙部に多孔質有機ガラス12を形成した音響整合体10の断面拡大図を示すものである。
図3において、音響整合体10は、セラミック多孔体11と前記セラミック多孔体11の孔部に、前記セラミック多孔体11よりも小さい孔径を備える多孔質有機ガラス12を形成したもので、多孔質有機ガラス12を保持するように配置されている。
本発明の音響整合体10のセラミック多孔体11は次のように形成するのが好ましい。
セラミック多孔体11は、少なくとも、酸化物系、非酸化物系のセラミックや、粘土鉱物等で構成される。酸化物系セラミックとしては、アルミナ系、ムライト系、ジルコニア系等を挙げることができ、非酸化物系セラミックとしては、炭化ケイ素系、窒化ケイ素系、窒化系アルミニウム系、窒化ホウ素系、グラファイト等を挙げることができる。セラミック多孔体11は、難焼成セラミックで構成されることが好ましく、より好ましくはチタン酸アルミニウム、コーデュライト、およびリシア・アルミナ・シリカ系化合物から選択される酸化物材料であるガラスセラミックで構成される。セラミック多孔体11がガラスセラミックで構成されていると、熱膨張係数が小さいため、セラミック多孔体11の超音波送受信器の音響整合部材として使用した場合には、広い温度範囲において安定に音波を送受信できるという点で好ましい。
図4は、セラミック多孔体11の製造工程フローを示している。難焼結性セラミックを粉砕する工程と、セラミックの粉末に添加剤を加えスラリー化し、気泡を導入する工程と、スラリーを型に流し込み成型する工程と、焼成する工程よりなる。以下詳細に説明する。
(難焼結性セラミック粉砕工程)
セラミックの粉砕は、ボールミルやポットミル等で混合、粉砕等することにより得られる。セラミック粉の平均粒径は特に限定しないが、好ましくは、10μm以下である。この範囲の平均粒径のセラミックを用いると、スラリー中での粉末分散性が向上されるとともに、焼結性も向上されるからである。
(セラミックの粉末のスラリー化工程)
セラミックスラリーにおいて、セラミック粉末を懸濁する媒体は、水、有機溶媒、これらの混合溶媒等を使用することができる。好ましくは水を使用する。セラミックスラリー中に、セラミック粉末を均一に含有させるためには、適当な分散剤を使用することが好ましい。分散剤として、ポリカルボン酸系分散剤(アニオン系分散剤)を使用でき、具体的には、ポリカルボン酸アンモニウムやポリカルボン酸ナトリウムを使用できる。好ましくは、分散剤の添加量に伴うスラリー粘度変化が大きい分散剤を使用する。分散剤の使用量は、好ましくは、セラミック粉末の重量に対して5重量%以下であり、より好ましくは、1重量%以下である。
セラミックスラリーは、セラミックスラリー気泡導入前に脱法し、スラリーを攪拌しながら気泡を導入する。セラミックスラリーに気泡を導入する際に、目的の形状に成型するため、ゲル化剤や、モノマーと重合開始剤とからなる重合性材料を加える。ゲル化剤を使用すると、温度制御やpH制御等によってスラリーをゲル化することになる。ゲル化剤としては、ゼラチン、アガロース、寒天、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
重合性材料を用いる場合は、重合性材料のモノマーを用いる。具体的には、1または2以上のビニル基やアリル基等を備えたモノマーを挙げることができる。スラリーが水あるいは水性溶媒にて構成される場合には、1または2官能基性の重合性モノマーを用いることが好ましい。また、スラリーが、有機溶媒にて構成される場合には、2官能基性の重合性モノマーであることが好ましい。特に、スラリーにおいて水を溶媒として調製する場合には、好ましくは、少なくとも1種の1官能基性の(メタ)アクリル酸アミドと、少なくとも1種の2官能基性の(メタ)アクリル酸アミドとを組み合わせて使用する。また、スラリーを有機溶媒で調製する場合には、好ましくは、少なくとも2種の2官能基性の(メタ)アクリル酸を組み合わせて使用する。
1官能基性モノマーや2官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、過硫酸アンモニウムや過硫化カリウム等である。また、2以上の官能基を有する官能基性モノマーを使用する場合には、好ましくは、有機過酸化物や過酸化水素化合物や、アゾあるいはジアゾ化合物を使用する。具体的には、過酸化ベンゾイルである。
導入したガスは、界面活性剤等によって気泡としてスラリー中に保持するようにするのが好ましい。界面活性剤は、当該気泡導入工程において、攪拌等による気泡の導入前にセラミックスラリーに添加することが好ましい。界面活性剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸等の陰イオン性界面活剤や、高級アルキルアミノ酸等の陽イオン界面活性剤を例示できる。具体的には、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル及びこれらのナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができる。また、トリエタノールアミンラウリルエーテル等及びこれらのハロゲン化塩や、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩等を挙げることができる。また、ジエチルヘキシルコハク酸及びそのアルカリ金属塩等を挙げることができる。
(気泡導入工程)
以上のようにして作製したスラリーに気泡を導入する。この気泡導入工程において、ゲル化材料として重合性材料を用いる場合には、重合性材料とともに、重合開始剤、あるいは重合開始剤と重合触媒とを添加することが好ましい。重合触媒を添加すれば、ゲル化温度やその添加量によりゲル化工程の時間を調整することができる。通常、重合触媒を添加すると、室温付近で速やかにゲル化(重合)が開始される。
したがって、気泡導入方法や気泡導入量等を考慮して、重合触媒の使用や種類が選択される。重合触媒としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等を挙げることができる。
(スラリー成型工程)
このようにして調製した含気泡セラミックスラリーを、成形型等に注入して、ゲル化させ、ゲル状多孔質成形体を形成する。含気泡セラミックスラリー円筒状の型に流し込み、重合反応あるいはゲル化反応を行って、固化させる。スラリーが固化すると、スラリー中に存在していた気泡も、ゲル状体中に保存される。
この結果、固化体が多孔質となり、ゲル状多孔質成形体が得られる。これを脱型して、乾燥、脱脂、焼成する。乾燥は、ゲル状多孔質成形体中に含まれている水、溶媒を蒸発させるように行う。乾燥条件(温度、湿度、時間等)は、スラリー調製に用いた溶媒の種類とゲル状多孔質成形体の骨格部分を構成する成分(ゲル化剤あるいは重合体)によって適宜調整する。通常は、20℃以上であり、好ましくは、25℃以上80℃以下であり、より好ましくは、25℃以上40℃以下である。
(焼成工程)
つぎに、乾燥体から有機分を除去するために、さらに高温で加熱する。脱脂のための温度と時間は、使用した有機分の量および種類によって調整する。例えば、ゲル化のための材料としてメタクリルアミドとN,N−メチレンビスアクリルアミドを用いたスラリーから調製したゲル状多孔質成形体の場合、700℃で2日間脱脂する。
脱脂後には、焼成工程を実施する。焼成のための条件は、使用したセラミック材料の種類等を考慮して設定される。このような工程により、本発明のセラミック多孔体11を得ることができる。
セラミック多孔体11は、多孔体であり、複数の空隙が存在している。空隙はセラミック多孔体11に分散して存在することが好ましい。空隙は、独立して存在する場合もあり、他の空隙と連続して存在し、外部と連通している場合もある。本音響整合体10では、孔部が連続して存在するほうが好ましい。
セラミック多孔体11は、全体として、60%以上90%以下の気孔率(ここでは開気孔及び閉気孔を含む全気孔率を意味する。)を有していることが好ましい。より好ましくは、80%以上90%以下である。全気孔率は、以下に示す計算式(3)によって求められる。
全気孔率(%)=(1−かさ密度/真密度)×100 (3)
ただし、かさ密度=試料の重量/試料のかさ体積である。真密度は、例えば、極めて微粉化した試料の任意量をピクノメータに投入し、所定の容積に至るまで水を注入して煮沸等してボイドを排除した上で、その重さと容積との関係から求めることができる。
全気孔率が、60%以下では、音響整合体1の密度ρ1が大きくなり孔径90%を超えると機械的強度の低下が著しいからである。開気孔率は、より好ましくは、65%以上であり、また、85%以下である。以上の材料、および製造条件を最適化し、本発明の実施の形態における音響整合体1のセラミック多孔体11の密度を200kg/m以上400kg/m未満で調整することで密度の低く強度の大きいセラミック多孔体11を実現することができた。本発明の音響整合体10の多孔質有機ガラス12は次のように形成するのが好ましい。
図5は、本発明第1の実施の形態における多孔質有機ガラスとして用いたシリカ乾燥ゲルの製造工程フローを示すものである。
図5において、シリカ乾燥ゲルの製造工程は、I原料準備工程13、IIゲル化工程14、III再構築工程15、IV疎水化工程16、V乾燥工程17によって形成する。以下各工程に関して詳細に説明する。
(I原料準備工程13)
この工程では、シリカ乾燥ゲルの主原料となるオルガノシラン化合物と、これを加水分解するための水、反応溶媒、触媒を加えて出発原材料である混合溶液を作る工程である。オルガノシラン化合物は、例えば図6、7に示す分子配置概念図のような構造を有する。図7に示した分子は、非加水分解性有機基19がケイ素20に直接結合しており、他のオルガノシラン化合物とは加水分解が行われない。加水分解性有機基21も、直接ケイ素20に結合しており、加水分解によって他のオルガノシラン化合物と加水分解し重合する。図6、7に示したオルガノシラン化合物18、22は、個々の原料を単一あるいは複数混合して用いても良い。
非加水分解有機基は、特に限定はされないが、例えば、炭素数1〜8の置換または非置換の1価の炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基のようなアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を例示することができる。これらの中でも、合成の容易
さ、入手の容易さ、硬度が過度に低下しすぎないという点から、炭素数1〜4のアルキル基およびフェニル基が好ましい。
従って、式(2)のオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。
また、式(3)のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示できる。
また、本発明に関わる乾燥ゲルを得るための出発物質は、図7に示す分子配置概念図のように、加水分解性有機基21のみによって構成された、式(1)で表される例えばテトラアルコキシシランを含有してもよい。これらの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。
以上に例示した、図6の分子概念図に該当する分子はいずれも乾燥ゲルを柔軟化させ、破損を生じさせにくくする成分である。
触媒としては、一般的な有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基が用いられる。有機酸として、酢酸、クエン酸など、無機酸として、硫酸、塩酸、硝酸など、有機塩基として、ピペリジンなど、無機塩基として、アンモニアなどがある。また、ピペリジン等のイミン系のものを用いれば細孔径が大きくなる効果があるため毛管力低減の観点からより好ましい。
溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の低級アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールのモノあるいはジエーテル、アセトン等の低級ケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の低級エーテルのような水溶性有機溶媒が用いられる。また、第1ゲル原料の加水分解、縮重合でゲルが形成される場合には、加水分解に必要な水も添加される。
以上に示した化合物を、攪拌混合して、原料準備を行う。これらのオルガノシラン化合物が触媒によって加水分解され、重合される。
(IIゲル化工程14)
原料準備工程13に引き続きこの工程では、準備された混合溶液に触媒を加えて加水分解重合を促進させることによってゲルの固体骨格が形成させ、ゲルに溶剤を含んだ状態である湿潤ゲルをつくる工程である。ゲル化を促進するため、必要に応じて触媒の添加、溶液温度上昇を行う。触媒は、原料準備工程において例示してあるため省略する。
なお、原料準備工程13とゲル化工程14とで触媒を特に分割して添加しなくてもよく、原料準備工程13とゲル化工程14とを1度に行っても良い。
(III再構築工程15)
ゲル化工程14に引き続きこの工程では、ゲル化工程14で形成された湿潤ゲルの固体骨格の一部を分解しながら、新たな固体骨格を形成する。具体的には、まず再構築工程のための再構築原料と、再構築触媒および水と、必要に応じて溶媒を添加混合することによって再構築原料溶液を調製し、これにゲル化工程で得られた湿潤ゲルを浸漬させる。この
工程の処理時間、処理温度によって、シリカ乾燥ゲルの密度を調整することができる。
再構築工程で用いられる再構築触媒、あるいはオルガノシラン化合物は、原料調整工程13で例示したものを使用することができるが、特に、ゲル化工程時と同一のものである必要はない。ゲル骨格増強後、反応停止を行う目的で、再構築原料溶液を例えばイソプロピルアルコールに置換すること反応を停止させる。
(IV疎水化工程16)
再構築工程15に引き続きこの工程では、再構築工程15までに得られた湿潤ゲルの表面に、溶媒中に疎水化剤を溶解した疎水化溶液を反応させることで、疎水基を導入する。
本発明に用いられる疎水化剤としては、反応性が高い点からシリル化剤が好ましく、例えばシラザン化合物、クロロシラン化合物、アルキルシラノール化合物およびアルキルアルコキシシラン化合物等がある。
これらのシリル化剤は、シラザン化合物、クロロシラン化合物、アルキルアルコキシシラン化合物の場合は、直接あるいは加水分解を受けて、対応するアルキルシラノールになってからゲル表面のシラノール基と反応する。また、アルキルシラノールをシリル化剤として用いれば、そのまま表面のシラノール基と反応する。
これらの中でも、疎水化時の反応性が高いことと入手の容易性から、クロロシラン化合物、シラザン化合物が特に好ましく、入手の容易性及び疎水化時に塩化水素、アンモニア等のガスを発生しないことからはアルキルアルコキシシランが特に好適に用いられる。
具体的には、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシランおよびジメチルジクロロシランなどのクロロシラン化合物、ヘキサメチルジシラザンなどのシラザン化合物、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシランおよびジエトキシジメチルシランなどのアルキルアルコキシシラン化合物、トリメチルシラノールおよびトリエチルシラノールなどのシラノール化合物に代表されるシリル化剤がある。これらを用いれば、湿潤ゲル表面にトリメチルシリル基などのアルキルシリル基を導入することで疎水化を進行させることができる。
また、疎水化剤として、フッ素化されたシリル化剤を用いれば、疎水性が強くなり非常に効果的である。
また、疎水化剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、エチレングリコールおよびグリセロールなどのアルコール類の他、蟻酸、酢酸、プロピオン酸およびコハク酸などのカルボン酸なども用いることができる。これらは、ゲル表面の水酸基と反応してエーテルまたはエステルを形成することで疎水化を進めるが、反応が比較的遅いため高温の条件が必要である。
疎水化工程は最終的に得られる乾燥ゲルが、吸湿しないようにするための処理で、ゲルをシランカップリング処理液に投入したのち、溶液を例えばイソプロピルアルコールに置換することでシラン処理反応を停止させる。
(V乾燥工程17)
この工程では、疎水化工程までに得られた湿潤ゲルから溶媒を除き多孔質有機ガラスであるシリカ乾燥ゲルを得る。
湿潤ゲルから溶媒を除く乾燥方法としては、(1)自然乾燥法、(2)特殊乾燥法があ
る。
(1)自然乾燥法は、最も一般的で簡便な乾燥法であり、溶媒を含む湿潤ゲルを放置することで、液体状態の溶媒を気化させて除去するものであり、この乾燥法がコストの観点から最も好ましい。生産性の観点から湿潤ゲルを加熱する加熱乾燥、あるいは湿潤ゲルを大気圧以下に減圧する減圧乾燥も自然乾燥法に含むものとする。
加熱する温度は、溶媒が蒸発する温度であれば特に限定されない。
乾燥時に、ゲルの密度が低い場合にはゲル中の溶媒の表面張力に比例する毛管力のために、ゲルが一時的に収縮し割れを生じることがある。このため、乾燥時の溶媒は沸点での表面張力が小さい炭化水素系の溶媒が好ましく、特に安価なヘキサン、ペンタンあるいはその混合物が好ましい。一方、安全性の観点からは、イソプロパノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、さらには水と有機溶媒との混合溶媒からの乾燥が好ましい。そのため、目的に応じて上に示した溶剤と、湿潤ゲル形成時に使用した溶剤とを置換することで乾燥時の応力を低減することができ、湿潤ゲルが乾燥時に割れにくくなる。
(2)特殊乾燥法は、超臨界乾燥や凍結乾燥の2つの方法がある。
超臨界乾燥は、溶媒を超臨界状態として液体状態を経ずに取り除くことができるので、気液界面の形成される毛管力の発生がない。このため湿潤ゲルが乾燥時に割れにくくなる。乾燥に用いられる超臨界流体として、水、アルコール、二酸化炭素等がある。最も低温で超臨界状態が得られ、しかも無害である二酸化炭素が多く用いられる。
具体的には、まず耐圧容器中に液化二酸化炭素を導入し、耐圧容器中の湿潤ゲル溶媒を液化二酸化炭素に置換する。次に、圧力と温度を臨界点以上に上げ超臨界状態とし、温度を保ったまま徐々に二酸化炭素を放出して乾燥を完了させる。
凍結乾燥は、湿潤ゲル中の溶媒を凍結させた後に、昇華により溶媒を除く乾燥方法である。液体状態を経ず、ゲル中に気液界面を生じないので毛管力が働かない。このため、乾燥時のゲルの収縮を抑制することができる。
凍結乾燥法に用いられる溶媒は、凝固点での蒸気圧が高いものが好ましく、第3ブタノール、グリセリン、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、パラ−キシレン、ベンゼン、フェノールなどが挙げられる。これらのなかでも、融点における蒸気圧が高いという点から、特に第3ブタノール、シクロヘキサンが好ましい。
凍結乾燥時には、湿潤ゲル中の溶媒を、上記の凝固点での蒸気圧が高い溶媒に置換しておくことが効果的である。また、ゲル化時に用いる溶媒を、凝固点での蒸気圧が高い溶媒にしておけば、溶媒置換を省略して効率的な製造が可能となるためより好ましい。
乾燥は、疎水化工程の後に行ってもよいし、疎水化工程の前に行ってもよい。乾燥工程を経た後で疎水化する場合は、乾燥ゲルを溶液中ではなく、疎水化剤の蒸気にさらすことで乾燥ゲル表面に疎水基を導入する。従って、使用する溶媒量を削減することができる。
この時使用する、疎水化剤としては、上述の疎水化剤を用いることができるが、反応性の高さからトリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のクロロシラン化合物が最も好ましい。また、クロロシラン化合物以外の疎水化剤を用いる場合は、アンモニアや塩化水素等の気体状態で導入可能な触媒を用いることも有効である。
また、気相で疎水化を行う場合は、溶媒や疎水化剤の沸点に制限を受けずに疎水化時の温度を高めることができる。従って、気相での疎水化は、反応を早めるために有効である。また、湿潤ゲルが薄膜や粉体であれば、疎水化剤蒸気の浸入が容易であり、薄膜の場合は溶媒量削減の効果も大きいためより好ましい。
以上のようにして形成したシリカ乾燥ゲルを含む音響整合体が得られる。
前記3)セラミック多孔体を音響整合体10とし、超音波放射面に表面緻密層を形成した音響整合部材の製造方法は、特許文献1と同様のため省略する。
以上に示したセラミック多孔体11の一部を音響整合体10とした場合、防塵層2は、熱硬化性樹脂を塗布、硬化する形成方法に関して述べたが、この場合は、セラミック多孔体11と有機材料との熱膨張係数が異なるため、セラミック多孔体11と同種の無機材料を形成する方法が好ましい。
セラミック多孔体11を音響整合体10とした場合、音響整合体10と同種の材料を含有するスラリーを作製し防塵層2を形成することが好ましく、防塵層2とセラミック多孔体11との親和性が良いことで形成しやすく、同種の材料を使用することで線膨張係数が同じであることで、広範囲の温度領域において安定して防塵性を実現できる。以下、防塵層2として形成するセラミック材料に関して説明する。
防塵層2として用いるセラミック材料は、通常、セラミックラリーを作製し塗布、焼結し形成する。用いるセラミック粉末は、例えば、公知酸化物系または非酸化物系セラミックや、粘土鉱物等で構成される。酸化物系セラミックとしては、アルミナ系、ムライト系、ジルコニア系等を挙げることができ、非酸化物系セラミックとしては、炭化ケイ素系、窒化ケイ素系、窒化アルミニウム系、窒化ホウ素系、グラファイト等を挙げることができる。セラミック粉末の平均粒径特に限定はしないが、好ましくは、10μm以下である。この領域のセラミック粉末を用いるとスラリー中でのセラミック粉末の分散性が向上する。
セラミックラリーにおいて、セラミック粉末を懸濁する溶媒は、水、有機溶媒、これらの混合物を使用する。セラミック粉末を均一に分散させるために分散剤を添加しても良い。例えば、ポリカルボン酸アンモニウムやポリカルボン酸ナトリウムなどが上げられる。
また、滑剤や増粘剤を加えることもできる。例えば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、サッカロース、糖蜜等を例示できる。
セラミックラリーはこれらの例示した材料をボールミルやポットミル等で混合・粉砕することで得られる。得られたスラリーに、音響整合体1を浸漬処理、あるいはメタルマスク印刷、スクリーン印刷、スプレーによる塗布、ポッティングなどで形成し、焼成することで防塵層2が形成でき、発塵性を効果的に抑制することができる。
以上に示した防塵層2に関する形成厚みに関して説明する。
防塵層2の厚みは、超音波の放射面に相当する天部23の厚みは、防塵性能と、超音波特性によって限定される。表1は音響整合体天部外壁面の防塵層厚みと防塵性能および超音波特性との関係を示している。いくつかの種類の音響整合体1に防塵層2を形成し、防塵性と超音波特性を評価した。防塵性はアルコール中に防塵層2を形成した音響整合部材3を浸漬し、超音波を加えたときの前後の重量減少で評価し、超音波特性は、図8に示したように超音波送受波器4を金属製の平板24に対向するように配置し、図9に示した電
気信号を超音波送受波器4に加え、そのときの反射した超音波を超音波送受波器4で受信した信号波形の受信出力Aの大きさで評価した。その結果、伝搬する超音波波長(λ)の五百分の一から五十分の一としたときに、防塵性と超音波特性を満たすことができた。
(表1)は、音響整合体天部の防塵層厚みと防塵性能および超音波特性との関係を示すものである。
本発明第1の実施の形態においては、以上のように、防塵層2を形成することによって、たとえ音響整合体1より剥離した粒子なども防塵層2によって測定系へ飛散することがなくなり、計測精度が低下することなく、高性能の超音波送受波器を計測に使用することができるようになる。
また、本実施の形態では、すべて多孔体で形成された音響整合体1を用いた場合、圧電体5との接合時において、これまで接着剤が音響整合体1に浸透し、その浸透具合によって超音波特性がバラツキいたが、接着前に形成した接着面の防塵層2厚みが安定して形成することで、超音波特性が安定化することもできる。
(実施の形態2)
図10は、本発明第2の実施の形態における超音波送受波器29の断面図である。
図10において、超音波送受波器29は、防塵層2を備えた音響整合部材3と圧電体5とを接合手段6で接合した構成となっている。圧電体5は対向した電極7を備え、リード線8、9と電気的に接合され、前記リード線8、9を介して電極7に電気信号が伝えられる。
以上のように構成された超音波送受波器29について、以下その動作は本発明実施の形態1と同様のため、作用に関してのみ説明する。
図6は、本実施の形態2における超音波送受波器11の製造工程断面図である。図6(a)においてまず、圧電体5に接着剤6を塗布形成し、音響整合部材3を貼り付け、図6(b)において加熱加圧硬化し接合する。図6(c)において、スプレーあるいは印刷などによって防塵層2を形成し、図6(d)においてリード線を形成する。このような製造プロセスで作製することで、防塵層形成プロセスのみ異なるため、現状の製造工程を使用することができる。
本発明第2の実施の形態においては、以上のように、防塵層2を形成することによって、たとえ音響整合体1より剥離した粒子なども防塵層2によって測定系へ飛散することがなくなり、計測精度が低下することなく、高性能の超音波送受波器を計測に使用することができるようになる。
(実施の形態3)
図12は、本発明第3の実施の形態における超音波送受波器30の断面図を示しており、図13は超音波送受波器30の製造工程図である。以下超音波送受波器30の製造工程に関して説明する。工程(a)は防塵層2を備えた音響整合部材3を形成する工程であり、実施の形態1、2と同様のため省略する。工程(b)は、圧電体5の焼き付け銀で形成した電極32表面と、有天筒状金属ケース33の天部外壁面とに接合部材34、35として用いた接着剤を印刷する工程である。印刷は、スクリーン印刷、グラビア印刷、転写など接着剤を所定の厚さに印刷できれば限定されるものではない。前記有天筒状金属ケース33は、鉄、真鍮、銅、アルミ、ステンレスあるいは、これらの合金、あるいはこれらの金属の表面にめっきを施した金属など導電性を有す材料であれば良い。
接合部材34である接着剤を印刷した圧電体5を、有天筒状金属ケース33天部内壁面に、天部外壁面に防塵層2を備えた音響整合部材3を圧電体5と対向するように貼り付ける。このような状態で、加圧しながら加熱し接着剤を硬化する。接着剤は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シアノアクリレート樹脂など熱硬化性樹脂であれば特に限定されない。場合によっては、熱可塑性樹脂であっても、ガラス点移転が高温使用温である70℃以下であれば接着剤として使用できる。
工程(c)は、接着剤によって接合した有天筒状金属ケース33と、導電手段36を挿入した端子板37とを溶接によって接合する。端子板37は電極端子38と電極端子39とを備え、端子板絶縁部40によって電気的に絶縁されている。導電手段36は、シリコンゴム、ブタジエンゴム、エラストマーなどの弾性体と、導電体とで構成され、電極33と電極端子39とを電気的に接続する。電極32と電極端子38とは有天筒状金属ケース33を介して電気的に接続されている。
有天筒状金属ケース33と端子板37との溶接時に、有天筒状金属ケース33と端子板37とで形成した密閉空間41内部に不活性ガスを注入し超音波送受波器30を製造した。不活性ガスは、ヘリウムガスおよび窒素ガスなど銀電極と反応しない気体であれば限定されるものではない。溶接時に有天筒状金属ケース33内に不活性ガスを挿入することによって銀電極を備えた圧電体5は外部環境から隔離され、長期にわたって電気的接続は安定化し、長期信頼性が確保される。
以上のように構成した超音波送受波器30は、防塵層2を備えた音響整合部材3を備えるため、たとえ音響整合体1より剥離した粒子などが生じても、防塵層2によって測定系へ飛散することがなくなり、計測精度が低下することなく、高性能の超音波送受波器を計測に使用することができるようになる。
(実施の形態4)
図14は、本発明第4の実施の形態における超音波流速・流量計の断面図を示すものである。
図14において、流体の流れる流量計測部42に防塵層2を備えた音響整合部材3を有する超音波送受波器43、44が一対斜めに配置された構成となっている。L1は、上流側に配置された超音波送受波器43から伝搬する超音波の伝搬経路を示しており、L2は下流側に配置された超音波送受波器44の超音波の伝搬経路を示している。
管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC(図示せず)、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。超音波送受波器43を超音波送波器、超音波送受波器44を超音波受波器として用いたときに、超音波送受波器43から出た超音波パルスが超音波送受波器44に到達する伝搬時間t1は、
t1=L/(C+Vcosθ) (4)
で示される。
次に超音波送受波器44から出た超音波パルスが超音波送受波器43に到達する伝搬時間t2は、
t2=L/(C−Vcosθ) (5)
で示される。
そして、(1)と(2)の式から流体の音速Cを消去すると、
V=(L/2cosθ)((1/t1)−(1/t2)) (6)
の式が得られる。
Lとθが既知なら、計測回路45にてt1とt2とを測定すれば流速Vが求められる。必要に応じて、この流速Vに流量計測部42の断面積Sと補正係数Kを乗じれば、流量Qを求めることができる。演算手段46は、上記Q=KSVを演算するものである。
以上のように構成した超音波送受波器43、44は、防塵層を備えた音響整合部材3を備えるため、たとえ音響整合体1より剥離した粒子なども防塵層2によって測定系へ飛散することがなくなり、計測精度が低下することなく、高性能の超音波送受波器を計測に使用することができるようになる。
以上のように、本発明にかかる防塵層を備えた音響整合部材とそれを用いた超音波送受波器、超音波流速流量計は、計測系の汚染しない、高性能な音響整合部材および超音波送受波器とすることができるので、計測系を汚染せず高精度な計測を行うことができ、長期信頼性を要求される家庭用ガスメ−タなどの用途の適用できる。
本発明の実施の形態1における防塵層を備えた音響整合部材断面図 本発明の実施の形態1における超音波送受波器断面図 本発明の実施の形態1におけるセラミック多孔体の空隙部に多孔質有機ガラスを形成した音響整合部材の断面拡大図 本発明の実施の形態1におけるセラミック多孔体の製造工程プロセス図 本発明の実施の形態1における多孔質有機ガラスの形成プロセス図 本発明の実施の形態1におけるシリカ乾燥ゲル製造工程のオルガノシラン化合物概念図 本発明の実施の形態1におけるシリカ乾燥ゲル製造工程のオルガノシラン化合物概念図 本発明の実施の形態1における超音波送受波器特性評価模式図 本発明の実施の形態1における超音波送受波器特性評価説明図 本発明の実施の形態2における超音波送受波器断面図 本発明の実施の形態2における超音波送受波器の製造方法を示す工程図 本発明の実施の形態3における超音波送受波器断面図 本発明の実施の形態3における超音波送受波器断面図 本発明の実施の形態4における超音波流速流量計断面図 従来の超音波送受波器の断面図
符号の説明
1 音響整合部材
2 防塵層
3 防塵層を備えた音響整合部材3
42 流量計測部
43、44 超音波送受波器
45 計測回路
46 演算手段

Claims (1)

  1. 音響整合体の外周部に防塵層を備えた音響整合部材であって、
    前記音響整合体の天部外壁面の前記防塵層は側壁部より薄く、
    前記音響整合体は多孔体であり、
    前記多孔体は第一の多孔体の空隙部に第二の多孔体を形成し、
    前記第一の多孔体はセラミック材料であり、
    前記第二の多孔体は多孔質有機ガラスであり、
    前記多孔質有機ガラスはオルガノシラン化合物を重合させると共に乾燥してなるシリカ乾燥ゲルであり、
    前記防塵層は前記音響整合体より密度が高く、前記第一の多孔体と同一材料であり、熱によって収縮する部材である音響整合部材。
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