JP2022152981A - 高分子材料、遮熱材、防曇フィルム及び高分子材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を多数有する高分子材料及びその製造方法、並びに、当該高分子材料を用いた遮熱材及び防曇フィルムを提供する。【解決手段】高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1と、第2のシルセスキオキサンSQ2と、を含むポリシルセスキオキサン骨格と、第1のシルセスキオキサンSQ1を構成するケイ素原子と、第2のシルセスキオキサンSQ2を構成するケイ素原子との間を架橋する架橋鎖SUと、を含み、2つの前記ケイ素原子と、架橋鎖SUと、よりなる架橋構造は、Si-O-Siで示されるシロキサン結合よりも長い分子構造を有する。【選択図】図1
Description
本開示は、高分子材料、該高分子材料よりなる遮熱材、該高分子材料よりなる防曇フィルム及び高分子材料の製造方法に関する。
各種産業機器及び民生機器に種々の目的で適用される高分子材料において、その性能向上のために、分子レベルの構造制御が行われている。
特許文献1には、透明基材上に、少なくとも1種のかご状シルセスキオキサンを含有する膜を有するフィルムが開示されている。そして、ゾル・ゲル法、すなわち金属アルコキシドの加水分解及び縮合反応により、そのようなフィルムを製造することが開示されている。特許文献1の技術は、かご状シルセスキオキサンの分子自体の内部に存在する空隙を分子内空孔として利用するものである。
また、特許文献2には、T8
H構造の籠型シルセスキオキサンがシロキサン結合により重合したポリシロキサンからなり、混合ガスから特定のガスを分離するガス分離膜を有するガス分離フィルタが開示されている。当該ガス分離膜は複数の籠型シルセスキオキサンで囲まれた分子内空孔を有する。そして、そのようなガス分離膜の材料の製造方法として、T8
H構造の籠型シルセスキオキサンと水等とを反応させ、脱水素縮合反応により、Si-O-Si結合等で重合したポリシロキサンを得る方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術において、空隙の数を増やすためにかご状シルセスキオキサンの含有量を増加させると、フィルムの十分な強度及び耐久性が確保できないという問題があった。また、分子の流動性が高い高分子材料の膜において、膜内に存在する分子レベル(ナノオーダー)の空孔はエネルギー的に不安定であり、空孔径が大きくなるほど安定に存在させることが難しくなる。特許文献1のフィルムは、最終的にゾル・ゲル法により形成されるから、その副生成物(水分子等)の生成によりフィルム全体が収縮して分子内の空隙が押し潰されてしまうために、空隙をエネルギー的に安定して維持できないという問題があった。
また、特許文献2の技術においても、T8
H構造の籠型シルセスキオキサンがガス分離膜の材料の主成分であるため、特許文献1の技術と同様に、ガス分離膜の十分な強度及び耐久性が確保できないという問題があった。また、製造方法も脱水素縮合反応によるため、特許文献1の技術と同様に、副生成物により、ガス分離膜内の分子内空孔が押し潰され、分子内空孔をエネルギー的に安定して維持できないという問題があった。
そこで本開示では、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を多数有する高分子材料及びその製造方法、並びに、当該高分子材料を用いた遮熱材及び防曇フィルムを提供する。
上記の課題を解決するために、ここに開示する高分子材料は、第1のシルセスキオキサンと、第2のシルセスキオキサンと、を含むポリシルセスキオキサン骨格と、前記第1のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子と、前記第2のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子との間を架橋する架橋鎖と、を含み、2つの前記ケイ素原子と、前記架橋鎖と、よりなる架橋構造は、Si-O-Siで示されるシロキサン結合よりも長い分子構造を有することを特徴とする。
ポリシルセスキオキサンは、T単位のみからなるポリシロキサン化合物であり、耐熱性に優れる利点がある。しかしながら、Si-O-Siで示されるシロキサン結合だけでは、2つのケイ素原子間の距離が短いため、エネルギー的に安定であり且つナノオーダーの径を有する分子内空孔を多数形成することが難しい。
本構成では、第1のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子と、第2のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子と、これら2つのケイ素原子間を架橋する架橋鎖と、よりなる架橋構造は、シロキサン結合よりも長い分子構造を有している。これにより、ポリシルセスキオキサン骨格内にシロキサン結合よりも長い分子構造が存在するから、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を確実に多数形成及び維持できる。
なお、本明細書において、「ナノオーダーの径を有する分子内空孔」又は「ナノオーダーの分子内空孔」とは、0.1nm以上1000nm以下の径を有する分子内空孔のことをいう。また、本明細書において、「分子内空孔の径」は、後述する[分子内空孔の径について]の項目において記載された方法により算出した径を意味する。すなわち、本明細書において、高分子材料の分子内空孔の径は、0.1nm以上1000nm以下であり、好ましくは0.5nm以上100nm以下、より好ましくは0.75nm以上10nm以下である。
好ましくは、前記架橋鎖は、炭素数2以上の炭素鎖を含む。
本構成によれば、架橋鎖が炭素数2以上の炭素鎖を含むことにより、架橋構造の熱的安定性が確保されるから、分子内空孔を安定して維持できる。
好ましくは、前記第1のシルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサンであり、前記第2のシルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンである。
かご型シルセスキオキサンは、熱的・機械的に安定な構造を有する。
仮に、かご型シルセスキオキサンを構成するケイ素原子と、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子とが酸素原子で架橋されてシロキサン結合を形成している場合を考える。この場合、稠密構造を有するかご型シルセスキオキサンを構成するシロキサン結合と同一の分子構造を有する架橋構造が、かご型シルセスキオキサンの近傍に形成されることになる。そうすると、かご型シルセスキオキサンの周辺に、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を多数確実に形成することは困難である。
これに対し、本構成では、かご型シルセスキオキサンを構成するケイ素原子と、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子とが架橋鎖で架橋され、シロキサン結合より長い架橋構造を形成している。この場合、かご型シルセスキオキサンと、架橋構造と、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンとにより、かご型シルセスキオキサンの周辺にナノオーダーの分子内空孔が形成される。当該分子内空孔は、熱的・機械的に安定なかご型シルセスキオキサンの周辺に位置しているから、構造的に安定化され、維持されやすい。
好ましくは、前記かご型シルセスキオキサンを構成する複数のケイ素原子が、それぞれ前記架橋構造を形成している。
また、好ましくは、前記かご型シルセスキオキサンのシロキサン結合を構成する2つのケイ素原子が、それぞれ前記架橋構造を形成しており、前記シロキサン結合と、2つの前記架橋構造と、前記かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンと、により、前記かご型シルセスキオキサンに隣接する位置に、分子内空孔が形成されている。
上記構成によれば、かご型シルセスキオキサンのシロキサン結合と、該シロキサン結合を形成する2つのケイ素原子の各々が含まれる2つの架橋構造と、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンとにより、かご型シルセスキオキサンに隣接して分子内空孔が形成される。当該分子内空孔は、熱的・機械的に安定なかご型シルセスキオキサンに隣接しているから、構造的に安定化され、維持されやすい。
好ましくは、前記かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンは、ランダム構造のポリシルセスキオキサンである。
本構成によれば、ランダム構造のポリシルセスキオキサンを含むことにより、高分子材料の分子構造全体に柔軟性を付与できるから、高分子材料の強度及び耐久性を向上できる。
好ましくは、前記ポリシルセスキオキサン骨格中における前記第1のシルセスキオキサンの含有量は、5質量%以上50質量%以下である。
ポリシルセスキオキサン骨格中における第1のシルセスキオキサンの含有量を上記範囲とすることにより、多数の分子内空孔を形成、安定して維持しつつ、高分子材料の十分な強度及び耐久性を確保できる。
好ましくは、前記第1のシルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサンであり、前記ポリシルセスキオキサン骨格中における前記かご型シルセスキオキサンの含有量は、5質量%以上20質量%以下である。
ポリシルセスキオキサン骨格中におけるかご型シルセスキオキサンの含有量を上記範囲とすることにより、さらに効果的に、多数の分子内空孔を形成、安定して維持しつつ、高分子材料の十分な強度及び耐久性を確保できる。
好ましくは、前記架橋鎖は下記式(1)で示される分子構造を有する。
(但し、式(1)中、nは整数、R1及びR2は互いに同一又は異なるアルキル基である。)
架橋鎖が上記分子構造を有することにより、架橋構造の熱的安定性が確保されるから、分子内空孔を安定して維持できる。なお、上記式(1)中、nは、好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下の整数である。また、R1及びR2は好ましくは互いに同一又は異なる炭素数5以下のアルキル基である。
架橋鎖が上記分子構造を有することにより、架橋構造の熱的安定性が確保されるから、分子内空孔を安定して維持できる。なお、上記式(1)中、nは、好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下の整数である。また、R1及びR2は好ましくは互いに同一又は異なる炭素数5以下のアルキル基である。
上述の高分子材料は、各種遮熱材として好適に用いることができる。
すなわち、上述の高分子材料は、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を多数有する。従って、上述の高分子材料よりなる遮熱材は、高分子材料の分子内空孔によって熱伝導経路が減少するから、優れた遮熱性能を有する。
また、中空粒子は、粒子内に空孔を有する。従って、上述の高分子材料をバインダとする中空粒子含有遮熱材は、高分子材料の分子内空孔及び中空粒子内の空孔によって熱伝導経路が減少するから、極めて優れた遮熱性能を有する。
上記遮熱材は、各種産業機器及び民生機器に適用される遮熱材として用いることができ、具体的には例えば、自動車等の車両のエンジン燃焼室の壁面に配置され得る。
また、上述の高分子材料は、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を多数有することにより、大気中の水分子の透過性に優れ、高い吸水性能を有する。従って、上述の高分子材料を各種防曇フィルムとして好適に用いることができる。上記高分子材料よりなる防曇フィルムは、例えば建物や車両における鏡や窓等のガラス表面等に配置され得る。
ここに開示する高分子材料の製造方法は、上述の高分子材料を製造する方法であって、前記ケイ素原子上に付加反応性の不飽和炭化水素基を有する前記第1のシルセスキオキサンの前駆体に、前記不飽和炭化水素基に対して付加反応可能な付加反応性置換基を有する前記第2のシルセスキオキサンの前駆体を、付加反応により結合させて、前記架橋鎖を形成することを特徴とする。
第1のシルセスキオキサンの前駆体と、第2のシルセスキオキサンの前駆体とを、例えば脱水縮合等の副生成物(水分子)を生じる反応により結合させた場合、副生成物により、ポリシルセスキオキサン骨格全体が収縮する。そうすると、ポリシルセスキオキサン骨格の分子構造や反応により形成された架橋鎖が分子内空孔の内側に折りたたまれたり、副生成物の分子が分子内空孔に取り込まれたりすることにより、分子内空孔が消滅してしまうおそれがある。
本構成では、副生成物を生じない付加反応により、第1のシルセスキオキサンの前駆体と第2のシルセスキオキサンの前駆体とを結合させて、架橋鎖を形成するから、エネルギー的に安定した分子内空孔を形成及び維持できる。
好ましくは、前記不飽和炭化水素基は、アルケニル基である。
アルケニル基に対する付加反応により架橋鎖を形成すると、架橋鎖には炭素数2以上のアルキル鎖が含まれる。これにより、架橋構造の機械的・熱的安定性が確保されるから、分子内空孔を安定して維持できる。
好ましくは、前記付加反応性置換基は、ヒドロシリル基であり、前記付加反応は、ヒドロシリル化反応である。
ヒドロシリル化反応は、副生成物を生じないため、分子内空孔を確実に形成できる。
好ましくは、前記製造方法は、前記第1のシルセスキオキサンの前駆体として、前記ケイ素原子上にアルケニル基を有するかご型シルセスキオキサンを準備する工程と、加水分解及び脱水縮合によりトリアルコキシアルキルシランからシルセスキオキサンのプレポリマーを生成する工程と、前記第2のシルセスキオキサンの前駆体として、前記プレポリマーの未架橋OH基にジアルキルクロロシランを作用させて、ヒドロシリル基を有するポリシルセスキオキサンのゾルを得る工程と、前記かご型シルセスキオキサンに、ヒドロシリル化反応によって、前記ゾルを結合させる工程と、を含む。
本構成によれば、第1のシルセスキオキサンとしてのかご型シルセスキオキサンと、ヒドロシリル化反応により形成された架橋鎖と、第2のシルセスキオキサンとにより、かご型シルセスキオキサンの周辺に分子内空孔が形成される。当該分子内空孔は、熱的・機械的に安定なかご型シルセスキオキサンの周辺に位置しているから、構造的に安定化され、維持されやすい。
なお、前記かご型シルセスキオキサンに、ヒドロシリル化反応によって、前記ゾルを結合させる前記工程で、前記第1のシルセスキオキサンの前駆体としての、前記ケイ素原子上にアルケニル基を有する前記かご型シルセスキオキサンと、前記第2のシルセスキオキサンの前駆体としての、ヒドロシリル基を有するポリシルセスキオキサンの前記ゾルと、ヒドロシリル化触媒と、を含む硬化性組成物を基材上に塗布し、加熱することにより前記ヒドロシリル化反応を進行させることが好ましい。
本構成によれば、所望の基材上にフィルム状の硬化物を容易に形成できる。
以上述べたように、本開示によると、ポリシルセスキオキサン骨格内にシロキサン結合よりも長い分子構造が存在するから、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を確実に多数形成及び維持できる。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<高分子材料>
図1は、本実施形態に係る高分子材料100の一例の分子構造を模式的に示している。高分子材料100は、主成分として、ポリシルセスキオキサン骨格を有する。ポリシルセスキオキサン骨格は、第1のシルセスキオキサンSQ1と、第2のシルセスキオキサンSQ2と、を含む(なお、図1は、第2のシルセスキオキサンSQ2として、後述するランダム構造のポリシルセスキオキサンを採用した場合を示している)。また、高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1を構成するケイ素原子(以下、「Si原子」ともいう。)と、第2のシルセスキオキサンSQ2を構成するSi原子との間を架橋する架橋鎖SUを含む。高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1と、架橋鎖SUと、第2のシルセスキオキサンSQ2と、により形成された分子内空孔21を有する。
図1は、本実施形態に係る高分子材料100の一例の分子構造を模式的に示している。高分子材料100は、主成分として、ポリシルセスキオキサン骨格を有する。ポリシルセスキオキサン骨格は、第1のシルセスキオキサンSQ1と、第2のシルセスキオキサンSQ2と、を含む(なお、図1は、第2のシルセスキオキサンSQ2として、後述するランダム構造のポリシルセスキオキサンを採用した場合を示している)。また、高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1を構成するケイ素原子(以下、「Si原子」ともいう。)と、第2のシルセスキオキサンSQ2を構成するSi原子との間を架橋する架橋鎖SUを含む。高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1と、架橋鎖SUと、第2のシルセスキオキサンSQ2と、により形成された分子内空孔21を有する。
[シルセスキオキサン]
一般に、主鎖骨格がSi-O-Siで示されるシロキサン結合からなるシロキサン化合物の基本構成単位には、以下の構造式で示す4種類の単位がある。すなわち、Si原子上に、置換基Rを有さないQ単位、1つの置換基Rを有するT単位、2つの置換基Rを有するD単位、及び3つの置換基Rを有するM単位である。
一般に、主鎖骨格がSi-O-Siで示されるシロキサン結合からなるシロキサン化合物の基本構成単位には、以下の構造式で示す4種類の単位がある。すなわち、Si原子上に、置換基Rを有さないQ単位、1つの置換基Rを有するT単位、2つの置換基Rを有するD単位、及び3つの置換基Rを有するM単位である。
シルセスキオキサンは、上記T単位のみからなるシロキサン化合物であり、例えば以下に例示するランダム構造、はしご型、完全かご型及び不完全かご型(本明細書において、完全かご型シルセスキオキサン及び不完全かご型シルセスキオキサンの両者をまとめて「かご型シルセスキオキサン」と称することがある。)等のポリマー又はオリゴマー構造を有する。なお、本明細書において、シルセスキオキサンのポリマーをポリシルセスキオキサンと称することがある。
なお、上記各基本構成単位及び各シルセスキオキサンの構造式において、Rの符号は置換基を示している。置換基Rは、具体的には例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、水素基、ヒドロシリル基、アルコキシシラノール基、アミノアルキル基、チオアルキル基、ヒドロキシアルキル基、エステル基、ポリエーテル基又はこれらの炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換炭化水素基等からなる群から選ばれた置換基である。置換基Rは、各単位内、各単位間、各分子構造内及び各分子構造間において、同一であっても異なっていてもよい。
上記の完全かご型シルセスキオキサンの構造式は、8個のT単位からなるT8構造を示しているが、完全かご型シルセスキオキサンは、T8構造に限られるものではない。完全かご型シルセスキオキサンは、例えば10個のT単位からなるT10構造、12個のT単位からなるT12構造等のT8構造以外の構造を有していてもよい。また、不完全かご型シルセスキオキサンは、例えばT8構造、T10構造、T12構造等の完全かご型シルセスキオキサンの一部が開裂した構造等を有する。
第1のシルセスキオキサンSQ1及び第2のシルセスキオキサンSQ2は、いずれも上記T単位のみからなるシロキサン化合物であり、好ましくは上述のランダム構造、はしご型、完全かご型及び不完全かご型の群から選ばれる少なくとも1種である。第1のシルセスキオキサンSQ1及び第2のシルセスキオキサンSQ2は、互いに同一の分子構造を有していてもよいし、異なる分子構造を有していてもよい。
なお、第1のシルセスキオキサンSQ1は、かご型シルセスキオキサンであることが好ましく、完全かご型シルセスキオキサンであることがより好ましい。
かご型シルセスキオキサン、特に完全かご型シルセスキオキサンは、稠密構造を有し、熱的・機械的に安定である。そのようなかご型シルセスキオキサンの周辺に形成された分子内空孔21は構造的に安定化され、維持されやすい。
また、第2のシルセスキオキサンSQ2は、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンであることが好ましく、ランダム構造のポリシルセスキオキサンであることがより好ましい。
かご型シルセスキオキサンのみでは、高分子材料100は柔軟性が乏しく、ボイドやクラックが生じやすくなるため、高分子材料100の十分な強度及び耐久性を確保することが難しい。従って、第2のシルセスキオキサンSQ2として、ランダム構造のポリシルセスキオキサンを含むことにより、高分子材料100の分子構造全体に柔軟性を付与でき、延いては高分子材料100の強度及び耐久性を向上できる。
[架橋鎖及び架橋構造]
ここに、本実施形態に係る高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1及び第2のシルセスキオキサンSQ2の各々に含まれる2つのSi原子と、当該2つのSi原子を架橋する架橋鎖SUと、よりなる架橋構造が、Si-O-Siで示されるシロキサン結合よりも長い分子構造を有することを特徴とする。
ここに、本実施形態に係る高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1及び第2のシルセスキオキサンSQ2の各々に含まれる2つのSi原子と、当該2つのSi原子を架橋する架橋鎖SUと、よりなる架橋構造が、Si-O-Siで示されるシロキサン結合よりも長い分子構造を有することを特徴とする。
シルセスキオキサンは、耐熱性に優れる利点がある。しかしながら、Si-O-Siで示されるシロキサン結合だけでは、2つのSi原子間の距離が短いため、エネルギー的に安定であり且つナノオーダーの径を有する分子内空孔21を多数形成することが難しい。特に、例えば第1のポリシルセスキオキサンSQ1がかご型シルセスキオキサンである場合、架橋構造は、稠密構造を有するかご型シルセスキオキサンを構成するシロキサン結合と同一の分子構造を有する。このため、かご型シルセスキオキサンの周辺に、エネルギー的に安定であり且つナノオーダーの径を有する分子内空孔21を多数確実に形成することは困難である。
本構成によれば、ポリシルセスキオキサン骨格内にシロキサン結合よりも長い分子構造が存在するから、2つのSi原子間の十分な距離を確保でき、延いてはエネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔21を確実に多数形成及び維持できる。また、例えば第1のポリシルセスキオキサンSQ1が、かご型シルセスキオキサンである場合には、分子内空孔21は、熱的・機械的に安定なかご型シルセスキオキサンの周辺に位置しているから、構造的に安定化され、維持されやすい。
架橋鎖SUにおける2つのSi原子を架橋する主鎖骨格は、2原子以上の分子構造を有する。架橋鎖SUは、上記主鎖骨格として、好ましくは炭素数2以上の炭素鎖、より好ましくは炭素数2以上のアルキル鎖を含むことが望ましい。これにより、架橋構造の熱的安定性が確保されるから、分子内空孔21を安定して維持できる。
架橋鎖SUは、具体的には例えば、下記式(1)で示される分子構造を有し得る。
但し、式(1)中、nは、整数、好ましくは1以上5以下、より好ましくは1以上3以下の整数である。また、R1及びR2は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、フェノール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、水素基、ヒドロシリル基、アルコキシシラノール基、アミノアルキル基、チオアルキル基、ヒドロキシアルキル基、エステル基、ポリエーテル基又はこれらの炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたハロゲン置換炭化水素基等からなる群から選ばれた置換基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。R1及びR2は、好ましくは互いに同一又は異なるアルキル基であり、より好ましくは互いに同一又は異なる炭素数5以下のアルキル基である。なお、式(1)の架橋鎖SUの主鎖骨格は、炭素数n+1のアルキル鎖とSi-O結合とよりなる。すなわち、式(1)の架橋鎖SUは、Si-O結合も含み、当該Si原子は、M単位である。架橋鎖SUが式(1)の分子構造を有することにより、架橋構造の熱的安定性が確保されるから、分子内空孔21を安定して維持できる。
なお、第1のポリシルセスキオキサンSQ1が、かご型シルセスキオキサンである場合、図2に示すように、かご型シルセスキオキサンを構成する複数のSi原子が、それぞれ前記架橋構造を形成していることが望ましい。特に、かご型シルセスキオキサンのシロキサン結合を構成する2つのSi原子が、それぞれ前記架橋構造を形成していることが望ましい。これにより、かご型シルセスキオキサンのシロキサン結合と、2つの架橋構造と、第2のシルセスキオキサンSQ2(図2では、ランダム構造のポリシルセスキオキサン)と、により、かご型シルセスキオキサンに隣接する位置に、分子内空孔21が形成される。当該分子内空孔21は、熱的・機械的に安定なかご型シルセスキオキサンに隣接しているから、構造的に安定化され、維持されやすい。
また、かご型シルセスキオキサンを構成する、好ましくは4以上のSi原子、より好ましくは6以上のSi原子、特に好ましくは8以上のSi原子が架橋構造を形成することが望ましい。特に、かご型シルセスキオキサンの、好ましくは2以上のシロキサン結合、より好ましくは3以上のシロキサン結合、特に好ましくは4以上のシロキサン結合を構成するSi原子の全てがそれぞれ前記架橋構造を形成していることが望ましい。これにより、かご型シルセスキオキサンの周辺により多くの分子内空孔21を形成及び維持できる。
[含有量]
ポリシルセスキオキサン骨格中における第1のシルセスキオキサンSQ1の含有量は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
ポリシルセスキオキサン骨格中における第1のシルセスキオキサンSQ1の含有量は、5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
ポリシルセスキオキサン骨格中における第1のシルセスキオキサンSQ1の含有量を上記範囲とすることにより、多数の分子内空孔21を形成、安定して維持しつつ、高分子材料100の十分な強度及び耐久性を確保できる。第1シルセスキオキサンSQ1の含有量が5質量%未満では、分子内空孔21の数が不十分となるおそれがある。第1シルセスキオキサンSQ1の含有量が50質量%超では、第2のシルセスキオキサンSQ2の含有量が低下し、分子内空孔21の数が不十分となるおそれがある。
特に、第1のシルセスキオキサンが、かご型シルセスキオキサンである場合、ポリシルセスキオキサン骨格中におけるかご型シルセスキオキサンの含有量は、好ましくは5質量%以上20質量%以下、より好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
ポリシルセスキオキサン骨格中におけるかご型シルセスキオキサンの含有量を上記範囲とすることにより、さらに効果的に、多数の分子内空孔21を形成、安定して維持しつつ、高分子材料100の十分な強度及び耐久性を確保できる。特に、かご型シルセスキオキサンの分子は、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサン、溶媒等への分散性が低いため、かご型シルセスキオキサンの含有量が20質量%を超えると、硬化物の十分な強度及び耐久性を確保することが困難となるおそれがある。
なお、ポリシルセスキオキサン骨格中における第1のシルセスキオキサンSQ1及び第2のシルセスキオキサンSQ2の含有量は、製造工程において両者の前駆体の混合割合を調整することにより、調整できる。
<遮熱材>
上述の高分子材料100は、安定なナノオーダーの分子内空孔21を多数有し、当該分子内空孔21によって熱伝導経路が減少するから、優れた遮熱性能を有する。従って、上述の高分子材料100を各種遮熱材として好適に用いることができる。
上述の高分子材料100は、安定なナノオーダーの分子内空孔21を多数有し、当該分子内空孔21によって熱伝導経路が減少するから、優れた遮熱性能を有する。従って、上述の高分子材料100を各種遮熱材として好適に用いることができる。
特に、上述の高分子材料100をバインダとし、中空粒子を含む遮熱材は、高分子材料100の分子内空孔21に加え、中空粒子によって熱伝導経路がさらに減少するから、非常に優れた遮熱性能を有する。
中空粒子として、具体的には例えばシリカバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン、エアロゲルバルーン等のSi系酸化物成分(例えば、シリカ(SiO2))又はAl系酸化物成分(例えば、アルミナ(Al2O3))を含有するセラミック系中空粒子を採用することが好ましい。上記中空粒子は、上記遮熱材中に好ましくは45体積%以上、より好ましくは50体積%以上70体積%以下含まれていることが好ましい。
上述の遮熱材は、各種産業機器及び民生機器に適用される遮熱材として用いることができ、具体的には例えば、自動車等の車両のエンジン燃焼室の壁面に配置され得る。
<防曇フィルム>
上述の高分子材料100は、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔21を多数有することにより、大気中の水分子の透過性に優れるから、高い吸水性能を有する。従って、上述の高分子材料を、例えば建物や車両における鏡や窓等のガラス表面等に配置される防曇フィルムとして好適に用いることができる。
上述の高分子材料100は、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔21を多数有することにより、大気中の水分子の透過性に優れるから、高い吸水性能を有する。従って、上述の高分子材料を、例えば建物や車両における鏡や窓等のガラス表面等に配置される防曇フィルムとして好適に用いることができる。
<高分子材料の製造方法>
高分子材料100は、例えば以下の方法により製造できる。
高分子材料100は、例えば以下の方法により製造できる。
[第1工程]
まず、第1工程S1において、Si原子上に付加反応性の不飽和炭化水素基を有する第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体を準備する。
まず、第1工程S1において、Si原子上に付加反応性の不飽和炭化水素基を有する第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体を準備する。
不飽和炭化水素基は、容易に付加反応可能な付加反応性の置換基である。不飽和炭化水素基は、具体的には例えばビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、及び、エチニル基、プロパルギル基等のアルキニル基であり、特に、アルケニル基であることが好ましい。アルケニル基は、C=C結合を含む主鎖骨格の炭素数が好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。アルケニル基は、ビニル基であることが特に好ましい。アルケニル基に対する付加反応により架橋鎖SUを形成すると、架橋鎖SUの主鎖骨格には炭素数2以上のアルキル鎖が含まれる。これにより、架橋構造の機械的・熱的安定性が確保されるから、分子内空孔21を安定して維持できる。不飽和炭化水素基は、主鎖骨格の炭素鎖に結合する置換基を有していてもよいが、有していない(すなわち、主鎖骨格の炭素鎖には水素基が結合している)ことが好ましい。
[第2工程]
次に、第2工程S2において、付加反応性置換基を有する第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体を準備する。
次に、第2工程S2において、付加反応性置換基を有する第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体を準備する。
付加反応性置換基は、上述の不飽和炭化水素基に対して付加反応可能な置換基であり、具体的には例えばヒドロシリル基である。
シルセスキオキサンにヒドロシリル基を導入する方法としては、特に限定されるものではなく一般的な方法を使用できるが、具体的には例えば、以下の方法が挙げられる。すなわち、トリアルコキシアルキルシランから、加水分解及び脱水縮合により、未架橋OH基を有する各種シルセスキオキサンを生成する。そして、得られたシルセスキオキサンの未架橋OH基にジアルキルクロロシランを作用させて、ヒドロシリル基を有するシルセスキオキサンを得る。
[第3工程]
そして、第3工程S3において、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体及び第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体を、所望の割合で混合し、付加反応により結合させて、架橋鎖SUを形成する。
そして、第3工程S3において、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体及び第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体を、所望の割合で混合し、付加反応により結合させて、架橋鎖SUを形成する。
第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体と、第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体とを、例えば脱水縮合等の副生成物(水分子)を生じる反応により結合させた場合、副生成物により、ポリシルセスキオキサン骨格全体が収縮する。そうすると、ポリシルセスキオキサン骨格の分子構造や反応により形成された架橋鎖SUが分子内空孔21の内側に折りたたまれたり、副生成物の分子が分子内空孔21に取り込まれたりすることにより、分子内空孔21が消滅してしまうおそれがある。
本構成では、副生成物を生じない付加反応により、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体と第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体とを結合させて、架橋鎖SUを形成するから、安定した分子内空孔21を形成及び維持できる。
付加反応は、ヒドロシリル化反応であることが好ましい。ヒドロシリル化反応は、副生成物を生じないため、分子内空孔21を確実に形成することができる。ヒドロシリル化反応は、例えば、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体と、第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体と、ヒドロシリル化触媒と、を混合してなる硬化性組成物を、加熱することにより進行させることができる。
[具体例]
図2は、高分子材料の製造方法の一例を示す。図2の反応では、第1のシルセスキオキサンSQ1としてT8構造の完全かご型シルセスキオキサン(本明細書において、T8構造の完全かご型シルセスキオキサンを「POSS」と称することがある。)、第2のシルセスキオキサンSQ2としてランダム構造のポリシルセスキオキサンを採用し、付加反応としてヒドロシリル化反応を採用している。なお、図2では、理解を容易にするため、ランダム構造のポリシルセスキオキサンを「RPSQ」で示し、ヒドロシリル基を2つのみ記載している。
図2は、高分子材料の製造方法の一例を示す。図2の反応では、第1のシルセスキオキサンSQ1としてT8構造の完全かご型シルセスキオキサン(本明細書において、T8構造の完全かご型シルセスキオキサンを「POSS」と称することがある。)、第2のシルセスキオキサンSQ2としてランダム構造のポリシルセスキオキサンを採用し、付加反応としてヒドロシリル化反応を採用している。なお、図2では、理解を容易にするため、ランダム構造のポリシルセスキオキサンを「RPSQ」で示し、ヒドロシリル基を2つのみ記載している。
第1工程S1で、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体として、下記式に示すSi原子上にビニル基を有するT8構造の完全かご型シルセスキオキサン(本明細書において、Si原子上にビニル基を有するT8構造の完全かご型シルセスキオキサンを「Vinyl-POSS」と称することがある。)を準備する。
Vinyl-POSSは、具体的には例えば、トリアルコキシビニルシランの加水分解及び脱水縮合反応により合成することができる。
第2工程S2で、第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体として、ヒドロシリル基を有するランダム構造のポリシルセスキオキサンを準備する。
具体的には例えば、トリアルコキシアルキルシランから、加水分解及び脱水縮合により、未架橋OH基を有するシルセスキオキサンのプレポリマーを生成する。
そして、プレポリマーの未架橋OH基にジアルキルクロロシランを作用させて、ヒドロシリル基を有するポリシルセスキオキサンのゾルを得る。このゾルが第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体である。
第3工程S3で、Vinyl-POSSに、例えば白金系のヒドロシリル化触媒存在下、ヒドロシリル化反応によって、上記ゾルを結合させる。
本構成によれば、第1のシルセスキオキサンSQ1としてのかご型シルセスキオキサンと、ヒドロシリル化反応により形成された架橋鎖SUと、第2のシルセスキオキサンSQ2としてのランダム構造のポリシルセスキオキサンとにより、かご型シルセスキオキサンの周辺に分子内空孔21が形成される。当該分子内空孔21は、熱的・機械的に安定なかご型シルセスキオキサンの周辺に位置しているから、構造的に安定化され、維持されやすい。
<硬化性組成物及び硬化物>
例えば、高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体と、第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体と、付加反応の進行を促進させる触媒と、を含む硬化性組成物を、加熱等の手段により硬化、すなわち付加反応を進行させてなる硬化物として得られる。この場合、高分子材料100は、当該硬化物の主成分である。
例えば、高分子材料100は、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体と、第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体と、付加反応の進行を促進させる触媒と、を含む硬化性組成物を、加熱等の手段により硬化、すなわち付加反応を進行させてなる硬化物として得られる。この場合、高分子材料100は、当該硬化物の主成分である。
例えば、ヒドロシリル化反応により、高分子材料100を製造する場合には、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体と、第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体と、ヒドロシリル化触媒とを混合してなる硬化性組成物を加熱し、ヒドロシリル化反応を進行させて硬化させる。上述の製造方法の一例では、Vinyl-POSSと、ゾルと、白金系ヒドロシリル化触媒と、を混合してなる硬化性組成物を加熱し、硬化させればよい。
また、例えば、硬化性組成物を所望の基材上に所定の厚みで薄く塗布し、加熱して硬化させることにより、フィルム状の硬化物を得ることができる。
さらに、高分子材料100に、例えば中空粒子等の他の成分を混合させるためには、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体と、第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体と、付加反応の進行を促進させる触媒と、中空粒子等の他の成分と、を混合して上述の硬化性組成物とすればよい。
なお、硬化性組成物中における触媒の量は、付加反応の種類に応じて、一般的に採用される量とすればよい。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
<原料>
原料として、以下に示すMTES-OH、MTES-SiH、及びMTES-Vinyl、並びに、上述のVinyl-POSSを合成した。
原料として、以下に示すMTES-OH、MTES-SiH、及びMTES-Vinyl、並びに、上述のVinyl-POSSを合成した。
MTES-OH、MTES-SiH、及びMTES-Vinylは、いずれもランダム構造のポリシルセスキオキサンである。MTES-OHは、比較例1,2の硬化物の材料、及び、実施例1~6の第2のシルセスキオキサンSQ2のプレポリマーとして使用される。MTES-SiHは、実施例1~6の第2のシルセスキオキサンSQ2の前駆体である上述のゾルとして使用される。MTES-Vinylは、実施例1~3において、第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体として使用される。
また、Vinyl-POSSは、比較例2の硬化物の材料、及び、実施例4~6の第1のシルセスキオキサンSQ1の前駆体として使用される。
[MTES-OH]
トリエトキシメチルシラン(10.698g、60mmol)とTHF(24.33mL、300mmol)を100mLのフラスコに入れ、氷浴下で10分間撹拌した。その後、HCl(6mL、2.188g、12mmol)と水(14.468g、900mmol)を0℃下で5分間かけて滴下し、温度を保ったまま3時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル30mLで抽出し、30mLの水で三回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で10分間乾燥させ、減圧下で蒸発させた。最後に残渣を室温で1時間真空乾燥させてゲル化を防止し、高粘度の生成物であるMTES-OH(4.492g)を得た。
トリエトキシメチルシラン(10.698g、60mmol)とTHF(24.33mL、300mmol)を100mLのフラスコに入れ、氷浴下で10分間撹拌した。その後、HCl(6mL、2.188g、12mmol)と水(14.468g、900mmol)を0℃下で5分間かけて滴下し、温度を保ったまま3時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル30mLで抽出し、30mLの水で三回洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウム上で10分間乾燥させ、減圧下で蒸発させた。最後に残渣を室温で1時間真空乾燥させてゲル化を防止し、高粘度の生成物であるMTES-OH(4.492g)を得た。
[MTES-SiH]
100mLの二口フラスコに4.215gのMTES-OHを入れ、10mLのTHFで溶解させ、0℃下で10分間撹拌した。クロロジメチルシラン(33.33mL、300mmol)を0℃下で1時間かけて滴下し、室温に戻したのち反応混合物を一夜撹拌した。次いで、反応混合物を真空下室温で数時間蒸発させ、THFおよび未反応のクロロジメチルシランを除去した。残渣を細孔径0.45μmのポリフッ化ビニリデン膜フィルタに通し、無色の液体としてMTES-SiH(4.974g)を得た。
100mLの二口フラスコに4.215gのMTES-OHを入れ、10mLのTHFで溶解させ、0℃下で10分間撹拌した。クロロジメチルシラン(33.33mL、300mmol)を0℃下で1時間かけて滴下し、室温に戻したのち反応混合物を一夜撹拌した。次いで、反応混合物を真空下室温で数時間蒸発させ、THFおよび未反応のクロロジメチルシランを除去した。残渣を細孔径0.45μmのポリフッ化ビニリデン膜フィルタに通し、無色の液体としてMTES-SiH(4.974g)を得た。
[MTES-Vinyl]
MTES-OHを4.056g使用するとともに、クロロジメチルシランに代えてクロロジメチルビニルシラン(300mmol)を40.5mL使用した以外は、MTES-SiHと同様の方法により合成した。
MTES-OHを4.056g使用するとともに、クロロジメチルシランに代えてクロロジメチルビニルシラン(300mmol)を40.5mL使用した以外は、MTES-SiHと同様の方法により合成した。
[Vinyl-POSS]
1Lのフラスコにトリメトキシビニルシラン(66.75g、0.45mol)とアセトン(675mL)を加えた。濃塩酸(118mL)と水(130mL)の混合物を滴下し、40℃で2日間撹拌した。反応中に析出する白色固体をろ過によって回収し、エタノールで洗浄後、真空乾燥させた(60℃、12時間)。その後、ジクロロメタンとアセトンの3:1混合液で再結晶させ、白色固体のVinyl-POSS(10.01g、収率28%)を得た。
1Lのフラスコにトリメトキシビニルシラン(66.75g、0.45mol)とアセトン(675mL)を加えた。濃塩酸(118mL)と水(130mL)の混合物を滴下し、40℃で2日間撹拌した。反応中に析出する白色固体をろ過によって回収し、エタノールで洗浄後、真空乾燥させた(60℃、12時間)。その後、ジクロロメタンとアセトンの3:1混合液で再結晶させ、白色固体のVinyl-POSS(10.01g、収率28%)を得た。
[ヒドロシリル化触媒]
市販のカールステッド触媒溶液(白金含有量が約2質量%である、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液)を、トルエンで10倍に希釈して用いた。
市販のカールステッド触媒溶液(白金含有量が約2質量%である、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液)を、トルエンで10倍に希釈して用いた。
<実施例及び比較例>
表1に示す実施例1~6及び比較例1、2のフィルム状硬化物を作製した。
表1に示す実施例1~6及び比較例1、2のフィルム状硬化物を作製した。
[比較例1]
MTES-OHをPFAバイアルに注入し、80℃、120℃、140℃で1時間ずつ加熱した後、160℃で4時間焼成し、得られた硬化物SQ(厚さ約100~300μmのフィルム)をPFAバイアルから取り出した。
MTES-OHをPFAバイアルに注入し、80℃、120℃、140℃で1時間ずつ加熱した後、160℃で4時間焼成し、得られた硬化物SQ(厚さ約100~300μmのフィルム)をPFAバイアルから取り出した。
[実施例1]
MTES-SiH及びMTES-Vinylを表1に示す割合で自転公転真空ミキサー(V-mini300、EME社)に投入し、1600rpmで10分間混合した。得られた混合液に、5質量%のヒドロシリル化触媒(硬化性組成物中における白金含有量が約0.01質量%)を加え、再び自転公転真空ミキサーを用いて1600rpmで10分間混合し、硬化性組成物を得た。
MTES-SiH及びMTES-Vinylを表1に示す割合で自転公転真空ミキサー(V-mini300、EME社)に投入し、1600rpmで10分間混合した。得られた混合液に、5質量%のヒドロシリル化触媒(硬化性組成物中における白金含有量が約0.01質量%)を加え、再び自転公転真空ミキサーを用いて1600rpmで10分間混合し、硬化性組成物を得た。
上記硬化性組成物をPFAバイアルに注入し、比較例1と同様の方法で、実施例1の硬化物bSQ22を得た。
[実施例2]
MTES-SiH及びMTES-Vinylの割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の硬化物bSQ36を得た。
MTES-SiH及びMTES-Vinylの割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の硬化物bSQ36を得た。
[実施例3]
MTES-SiH及びMTES-Vinylの割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の硬化物bSQ53を得た。
MTES-SiH及びMTES-Vinylの割合を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の硬化物bSQ53を得た。
[比較例2]
MTES-OH及びVinyl-POSS(5質量%)を自転公転真空ミキサー(V-mini300、EME社)に投入し、1600rpmで10分間混合した。得られた混合液をPFAバイアルに注入し、80℃、120℃、140℃で1時間ずつ加熱した後、160℃で4時間焼成し、得られた硬化物c-SQ/POSS5(厚さ約100~300μmのフィルム)をPFAバイアルから取り出した。
MTES-OH及びVinyl-POSS(5質量%)を自転公転真空ミキサー(V-mini300、EME社)に投入し、1600rpmで10分間混合した。得られた混合液をPFAバイアルに注入し、80℃、120℃、140℃で1時間ずつ加熱した後、160℃で4時間焼成し、得られた硬化物c-SQ/POSS5(厚さ約100~300μmのフィルム)をPFAバイアルから取り出した。
[実施例4]
MTES-Vinylの代わりにVinyl-POSS(5質量%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の硬化物h-SQ/POSS5を得た。
MTES-Vinylの代わりにVinyl-POSS(5質量%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の硬化物h-SQ/POSS5を得た。
[実施例5]
MTES-Vinylの代わりにVinyl-POSS(10質量%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5の硬化物h-SQ/POSS10を得た。
MTES-Vinylの代わりにVinyl-POSS(10質量%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5の硬化物h-SQ/POSS10を得た。
[実施例6]
MTES-Vinylの代わりにVinyl-POSS(20質量%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6の硬化物h-SQ/POSS20を得た。
MTES-Vinylの代わりにVinyl-POSS(20質量%)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6の硬化物h-SQ/POSS20を得た。
<評価試験>
[熱拡散率測定]
熱拡散率測定は、株式会社日立ハイテクサイエンス製ai-Phase Mobile M3 type1を用いて行った。測定は3回以上行いその平均値を熱拡散率として算出した。図3~図5に、得られた熱拡散率の結果を示す。
[熱拡散率測定]
熱拡散率測定は、株式会社日立ハイテクサイエンス製ai-Phase Mobile M3 type1を用いて行った。測定は3回以上行いその平均値を熱拡散率として算出した。図3~図5に、得られた熱拡散率の結果を示す。
図3に示すように、MTES-OHを脱水縮合により硬化させてなる比較例1の硬化物SQに比べて、MTES-SiH及びMTES-Vinylをヒドロシリル化反応により硬化させてなる実施例1~3の硬化物bSQ22,bSQ36,bSQ53では、熱拡散率が低下し、遮熱性能が向上した。また、実施例1~3では、MTES-Vinylの含有量が増加するにつれて、熱拡散率が低下し、遮熱性能が向上した。
また、図4に示すように、MTES-OHとVinyl-POSSとを混ぜて加熱した比較例2の硬化物c-SQ/POSS5は、MTES-OHのみの比較例1の硬化物SQに比べて、熱拡散率が上昇し、遮熱性能が低下した。一方、MTES-SiHとVinyl-POSSとを、比較例2と同一の割合で混ぜて加熱し、ヒドロシリル化反応により硬化させた実施例4の硬化物h-SQ/POSS5では、MTES-OHのみの比較例1の硬化物SQに比べて、熱拡散率が低下し、遮熱性能が向上した。
なお、図5に示すように、Vinyl-POSSの含有量が異なる実施例4~6の硬化物h-SQ/POSS5,h-SQ/POSS10,h-SQ/POSS20では、Vinyl-POSSの割合が増加するにつれて、熱拡散率が低下し、遮熱性能が向上した。
[陽電子消滅法による空孔評価]
陽電子消滅法による高分子材料内の分子内空孔の直接観測を行った。陽電子消滅法の測定は、22Na源(400kBq)を用いて行った。
陽電子消滅法による高分子材料内の分子内空孔の直接観測を行った。陽電子消滅法の測定は、22Na源(400kBq)を用いて行った。
図6は、試料に打ち込んだ陽電子の寿命の確率密度関数を示す。寿命の長い陽電子が多いほど、材料内部により大きな空孔が存在することを示している。
比較例1に比べて比較例2は陽電子の寿命が短時間方向にシフトしている。この結果から、ランダム構造のポリシルセスキオキサンをPOSSと混合し、加熱するだけでは分子内空孔の数を増加させる効果はなく、むしろ分子内空孔の数が減少することが判った。また、分子内空孔の数が減少したことにより、図4に示すように、比較例2では、比較例1に比べて、熱拡散率が上昇し、遮熱性能が低下したと考えられる。
一方、実施例4は、比較例1,2に比べて、陽電子寿命が長寿命方向にシフトしている。この結果から、POSSとランダム構造のポリシルセスキオキサンとをヒドロシリル反応によって結合させることにより、分子内空孔が増加することが判った。そして、分子内空孔の数が増加したことにより、図4に示すように、実施例4では、比較例1に比べて、熱拡散率が低下し、遮熱性能が向上したと考えられる。
[分子内空孔の径について]
陽電子消滅法の測定により得られた高分子材料の陽電子寿命と、予め得られている陽電子寿命と分子内空孔の径との関係と、に基づいて、高分子材料における分子内空孔の径を算出できる。高分子材料の陽電子寿命は、例えば上記陽電子消滅法の測定により得られた陽電子寿命の確率密度関数のデータにおける中央値等として算出できる。また、予め得られている陽電子寿命と分子内空孔の径との関係は、例えば実験やシミュレーション等で得られた値でもよいし、文献値等でもよい。
陽電子消滅法の測定により得られた高分子材料の陽電子寿命と、予め得られている陽電子寿命と分子内空孔の径との関係と、に基づいて、高分子材料における分子内空孔の径を算出できる。高分子材料の陽電子寿命は、例えば上記陽電子消滅法の測定により得られた陽電子寿命の確率密度関数のデータにおける中央値等として算出できる。また、予め得られている陽電子寿命と分子内空孔の径との関係は、例えば実験やシミュレーション等で得られた値でもよいし、文献値等でもよい。
具体的に、図6に示す実施例4、比較例1及び比較例2の各データの中央値を各例の陽電子寿命とし、公知の文献(Gidley et al.,Phys.Rev.B60,R5157)に記載された陽電子寿命と分子内空孔の径との関係に基づいて、実施例4、比較例1及び比較例2の分子内空孔の径を算出した。その結果、実施例4、比較例1及び比較例2では、分子内空孔の径は、それぞれ0.8nm、0.74nm及び0.7nmであった。
本開示は、エネルギー的に安定なナノオーダーの分子内空孔を多数有する高分子材料及びその製造方法、並びに、当該高分子材料を用いた遮熱材及び防曇フィルムを提供することができるので、極めて有用である。
100 高分子材料
SQ1 第1のシルセスキオキサン
SQ2 第2のシルセスキオキサン
SU 架橋鎖
21 分子内空孔
SQ1 第1のシルセスキオキサン
SQ2 第2のシルセスキオキサン
SU 架橋鎖
21 分子内空孔
Claims (15)
- 第1のシルセスキオキサンと、第2のシルセスキオキサンと、を含むポリシルセスキオキサン骨格と、
前記第1のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子と、前記第2のシルセスキオキサンを構成するケイ素原子との間を架橋する架橋鎖と、を含み、
2つの前記ケイ素原子と、前記架橋鎖と、よりなる架橋構造は、Si-O-Siで示されるシロキサン結合よりも長い分子構造を有する
ことを特徴とする高分子材料。 - 請求項1において、
前記架橋鎖は、炭素数2以上の炭素鎖を含む
ことを特徴とする高分子材料。 - 請求項1又は請求項2において、
前記第1のシルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサンであり、
前記第2のシルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンである
ことを特徴とする高分子材料。 - 請求項3において、
前記かご型シルセスキオキサンのシロキサン結合を構成する2つのケイ素原子が、それぞれ前記架橋構造を形成しており、
前記シロキサン結合と、2つの前記架橋構造と、前記かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンと、により、前記かご型シルセスキオキサンに隣接する位置に、分子内空孔が形成されている
ことを特徴とする高分子材料。 - 請求項3又は請求項4において、
前記かご型シルセスキオキサン以外のシルセスキオキサンは、ランダム構造のポリシルセスキオキサンである
ことを特徴とする高分子材料。 - 請求項1~5のいずれか一において、
前記ポリシルセスキオキサン骨格中における前記第1のシルセスキオキサンの含有量は、5質量%以上50質量%以下である
ことを特徴とする高分子材料。 - 請求項6において、
前記第1のシルセスキオキサンは、かご型シルセスキオキサンであり、
前記ポリシルセスキオキサン骨格中における前記かご型シルセスキオキサンの含有量は、5質量%以上20質量%以下である
ことを特徴とする高分子材料。 - 請求項1~8のいずれか一に記載された高分子材料よりなる遮熱材。
- 請求項1~8のいずれか一に記載された高分子材料をバインダとする中空粒子含有遮熱材。
- 請求項1~8のいずれか一に記載された高分子材料よりなる防曇フィルム。
- 請求項1~8のいずれか一に記載の高分子材料を製造する方法であって、
前記ケイ素原子上に付加反応性の不飽和炭化水素基を有する前記第1のシルセスキオキサンの前駆体に、前記不飽和炭化水素基に対して付加反応可能な付加反応性置換基を有する前記第2のシルセスキオキサンの前駆体を、付加反応により結合させて、前記架橋鎖を形成する
ことを特徴とする高分子材料の製造方法。 - 請求項12において、
前記不飽和炭化水素基は、アルケニル基である
ことを特徴とする高分子材料の製造方法。 - 請求項12又は請求項13において、
前記付加反応性置換基は、ヒドロシリル基であり、
前記付加反応は、ヒドロシリル化反応である
ことを特徴とする高分子材料の製造方法。 - 請求項12~14のいずれか一において、
前記第1のシルセスキオキサンの前駆体として、前記ケイ素原子上にアルケニル基を有するかご型シルセスキオキサンを準備する工程と、
加水分解及び脱水縮合によりトリアルコキシアルキルシランからシルセスキオキサンのプレポリマーを生成する工程と、
前記第2のシルセスキオキサンの前駆体として、前記プレポリマーの未架橋OH基にジアルキルクロロシランを作用させて、ヒドロシリル基を有するポリシルセスキオキサンのゾルを得る工程と、
前記かご型シルセスキオキサンに、ヒドロシリル化反応によって、前記ゾルを結合させる工程と、を含む
ことを特徴とする高分子材料の製造方法。
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JP2021055965A JP2022152981A (ja) | 2021-03-29 | 2021-03-29 | 高分子材料、遮熱材、防曇フィルム及び高分子材料の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023218889A1 (ja) * | 2022-05-13 | 2023-11-16 | Agc株式会社 | 組成物、化合物、表面処理剤、物品、及び物品の製造方法 |
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2021
- 2021-03-29 JP JP2021055965A patent/JP2022152981A/ja active Pending
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