JP2017116500A - 超音波送受信器および超音波流量計 - Google Patents

超音波送受信器および超音波流量計 Download PDF

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【課題】優れた音響特性および耐久性を有する音響整合層を備えた、超音波送受波器およびそれを用いた超音波流量計を提供する。【解決手段】超音波送受信器は、超音波を送信可能であり、かつ、超音波を受信可能である超音波送受信器であって、圧電体21と、天板22aを有し、天板の内側に圧電体21が接して配置されたケース22と、ケース22の天板22aの外側に接して配置された音響整合層26とを備え、音響整合層26は、Rを非加水分解性の有機基として、(RSiO1.5)で示される単位骨格を有するシリカ粒子の集合体である。【選択図】図2

Description

本願は、超音波送受信器および超音波流量計に関する。
近年、超音波が伝搬路伝達する時間を計測し、流体の移動速度を測定して流量を計測する超音波流量計がガスメータ等に利用されつつある。超音波流量計は、一般に圧電振動子を備え、圧電振動子によって超音波を検出する。流体が気体である場合、気体と圧電振動子との間の音響インピーダンスの差が大きいため、気体を伝搬する超音波は圧電振動子との界面で反射されやすい。このため、超音波を圧電振動子に効率よく入射させるため、圧電振動子と気体との界面に音響整合層が設けられる場合がある。
特許文献1、2は、音響整合層として用いることのできる多孔体を開示している。
特開2005−8424号公報 特開2005−350519号公報
一般に音響整合層に適した材料は、低密度で空孔率が大きいため、機械的な強度が弱く脆い。このため、音響整合層には高い機械的強度および耐久性が求められる。
本開示は、優れた音響特性および耐久性を有する音響整合層を備えた、超音波送受波器およびそれを用いた超音波流量計を提供する。
本開示の超音波送受信器は、超音波を送信可能であり、かつ、超音波を受信可能である超音波送受信器であって、圧電体と、天板を有し、前記天板の内側に前記圧電体が接して配置されたケースと、前記ケースの前記天板の外側に接して配置された音響整合層とを備え、前記音響整合層は、Rを非加水分解性の有機基として、(RSiO1.5)で示される単位骨格を有するシリカ粒子の集合体である。
本開示の超音波流量計は、三官能性アルコキシシランを単独で原料に用いて加水分解、重縮合させることで、材料均質性を高め、かつ、低音響インピーダンスと耐久性を両立する多孔構造を有する多孔体からなる音響整合層を備える。このため、耐久性に優れ、高感度な超音波送受波器、およびそれを用いた超音波流量計を得ることができる。
実施形態の超音波流量計の一例を概略的に示す図である。 実施形態の超音波送受信器の一例を示す断面図である。 実施形態の多孔体の構造を示す図である。 実施例1の多孔体のSEM像を示す写真である。 実施例1の多孔体の水銀ポロシメータによる細孔径分布を示すグラフである。 実施例1の多孔体の29Si−NMRチャートの一例である。 実施例2の多孔体のSEM像を示す写真である。 実施例3の多孔体のSEM像を示す写真である。 実施例4の多孔体のSEM像を示す写真である。
本願発明者は、圧電振動子を備えた超音波流量計に適した音響整合層の材料について詳細に検討した。音響整合層には、上述したように一般に低密度の材料が適しており、例えば、無機酸化物多孔体の乾燥ゲルが好適に用いられる。しかしながら、密度を低くするためには、空孔率の高い構造が必要になり、多孔体を合成する際、収縮や破壊という強度面の課題が生じる。
この課題に対し、例えば、一旦乾燥ゲルを合成した後、その骨格の一部を分解しながら強固な骨格を再構築することが考えられる。しかし、再構築する工程で空孔率が低下し、音響インピーダンスが増加したり、再構築する工程に10〜24時間ほどさらに時間を要するという新たな課題が生じる。さらに、四官能性アルコキシシランを加水分解、重縮合させて多孔体の骨格を形成する際に、有機基をもつ二官能性アルコキシシランを混合することによって骨格を有機変性させ、耐湿性・耐溶剤性・耐衝撃性を高める提案もされているが、二種類の原料を用いるために加水分解、重縮合の反応速度に差が生じ、構造形成や骨格内の有機基の配置が不均一になるおそれがあった。
本開示の超音波送受波器および超音波流量計の概要は以下の通りである。
[項目1]
超音波を送信可能であり、かつ、超音波を受信可能である超音波送受信器であって、
圧電体と、
天板を有し、前記天板の内側に前記圧電体が接して配置されたケースと、
前記ケースの前記天板の外側に接して配置された音響整合層と、
を備え、
前記音響整合層は、Rを非加水分解性の有機基として、(RSiO1.5)で示される単位骨格を有するシリカ粒子の集合体である、
超音波送受信器。
[項目2]
Rがメチル基である、項目1に記載の超音波送受信器。
[項目3]
音響インピーダンスが0.5×105kg/m2/s以上2.0×105kg/m2/s以下の範囲である、項目1または2に記載の超音波送受信器。
[項目4]
前記シリカ粒子は、0.1μm以上10μm以下の平均粒子径を有する、項目1から3のいずれかに記載の超音波送受信器。
[項目5]
前記音響整合層は空隙を有し、前記音響整合層の空隙率は、75%以上95%以下である、項目1から4のいずれかに記載の超音波送受信器。
[項目6]
前記空隙は孔径状を有し、平均孔径が0.1μm以上50μm以下である、項目5に記載の超音波送受信器。
[項目7]
前記音響整合層の音速が500m/s以下である、項目1から6のいずれかに記載の超音波送受信器。
[項目8]
前記音響整合層の密度が500kg/m3以下である、項目1から7のいずれかに記載の超音波送受信器。
[項目9]
被測定流体の流量を計測する超音波流量計であって、被測定流体が流れる流量計測部と、
項目1から8のいずれかに記載された超音波送受信器であって、前記被測定流体の流れに沿って配置された第1の超音波送受信器と、
項目1から8のいずれかに記載された超音波送受信器であって、前記被測定流体を挟んで前記第1の超音波送受信器と超音波送受信可能な位置であって、かつ、前記第1の超音波送受信器よりも下流側に配置された第2の超音波送受信器と、
前記第1及び第2の超音波送受信器の間の超音波伝搬時間を計測する時間計測部と、前記伝搬時間に基づき前記被測定流体の流量を演算する演算部と、
を有する超音波流量計。
[項目10]
前記被測定流体が水素ガスである、項目9に記載の超音波流量計。
以下、本実施形態の超音波送受波器および超音波流量計の一例を詳細に説明する。
[超音波流量計の測定原理]
図1は超音波流量計の測定原理を示す。図1に示すように、管壁13によって規定される流量計測部には流体が流速Vにて図に示す方向に流れている。管壁13には、一対の超音波送受波器(第1および第2の超音波送受波器)11、12が相対して設置されている。超音波送受波器11、12は、電気エネルギー/機械エネルギー変換素子として、圧電セラミック等の圧電振動子を用いて構成されていて、圧電ブザー、圧電発振子と同様に共振特性を示す。ここでは超音波送受波器11を超音波送波器として用い、超音波送受波器12を超音波受波器として用いる。超音波送受波器11の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印加すると、超音波送受波器11は管内の流体中に同図中のL1で示す伝搬経路に沿って超音波を放射する。超音波送受波器12は流体中を伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。続いて、反対に超音波送受波器12を超音波送波器として用い、超音波送受波器11を超音波受波器として用いる。超音波送受波器12の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印加することにより、超音波送受波器12は管内の流体中に同図中のL2で示す伝搬経路に沿って超音波を放射し、超音波送受波器11は伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。このように、超音波送受波器11、12 は、受波器としての役目と送波器としての役目を果たすので、一般に超音波送受波器と呼ばれる。
このような超音波流量計では、連続的に交流電圧を印加すると超音波送受波器から連続的に超音波が放射されて伝搬時間を測定することが困難になるので、通常はパルス信号を搬送波とするバースト電圧信号を駆動電圧として用いる。以下、測定原理についてさらに詳細な説明を行う。駆動用のバースト電圧信号を超音波送受波器11に印加して超音波送受波器11から超音波バースト信号を放射すると、この超音波バースト信号は距離がLの伝搬経路L1を伝搬してt時間後に超音波送受波器12に到達する。超音波送受波器12では、伝達して来た超音波バースト信号のみを高いS/N比で電気バースト信号に変換することができる。この電気バースト信号を電気的に増幅して、再び超音波送受波器11に印加して超音波バースト信号を放射する。この装置をシング・アラウンド装置と呼び、超音波パルスが超音波送受波器11から放射され伝搬路を伝搬して超音波送受波器12に到達するのに要する時間をシング・アラウンド周期といい、その逆数をシング・アラウンド周波数という。図1において、管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。超音波送受波器11を送波器、超音波送受波器12を受波器として用いたときに、超音波送受波器11から出た超音波パルスが超音波送受波器12に到達する超音波伝搬時間であるシング・アラウンド周期をt1、シング・アラウンド周波数f1とすれば、次式(1)が成立する。
f1=1/t1=(C+Vcosθ)/L・・・(1)
逆に、超音波送受波器12を送波器として、超音波送受波器11を受波器として用いたときの超音波伝搬時間であるシング・アラウンド周期をt2、シング・アラウンド周波数f2とすれば、次式(2)の関係が成立する。
f2=1/t2=(C−Vcosθ)/L・・・(2)
したがって、両シング・アラウンド周波数の周波数差Δfは、次式(3)となり、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfから流体の流速Vを求めることができる。
Δf=f1−f2=2Vcosθ/L・・・(3)
すなわち、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfから流体の流速Vを求めることができ、その流速Vから流量を調べることができる。
超音波流量計は、時間計測部31および演算部32を備える。時間計測部31は、超音波伝搬時間であるシング・アラウンド周期t1、t2を求める。演算部32は、求めたシング・アラウンド周期t1、t2と式(3)の関係から、流体の流速および流量を算出する。時間計測部31および演算部32は、例えば、マイコンおよびメモリに記憶され、上述した演算を行う手順を規定したプログラムによって構成される。時間計測部31および演算部32の一部は、電子回路等によって構成されていてもよい。
このような超音波流量計では、計測精度が要求され、精度を向上させるためには、気体に超音波を送波、または気体を伝搬して来た超音波を受波する超音波送受波器を構成している圧電振動子における超音波の送受波面に形成される音響整合層の音響インピーダンスが重要となる。超音波振動を発生する圧電振動子の音響インピーダンスは約30×106kg/m2/s程度であり、空気の音響インピーダンスは400kg/m2/s程度である。圧電振動子および気体の音響インピーダンスをZ1、Z2とし、音響整合層に求められる理想的な音響インピーダンスをZ3とすると、Z3=√(Z1・Z2)で求められる。上述した数値をこの式に代入すると、Z3=0.11×106(kg/m2/s)と求められる。また、音響インピーダンスは次式(4)で定義される。
音響インピーダンス=(密度)×(音速)・・・(4)
したがって、音響インピーダンスを低く抑えるのに音響整合層には密度が小さな材料、例えばガラスバルーンやプラスチックバルーンを樹脂材料で固めた材料や、中空ガラス球を熱圧縮あるいは溶融材料を発泡させる等の方法が使用されている。また、無機酸化物多孔体の乾燥ゲルを音響整合層として利用する例もある。無機酸化物としてシリカを採用し、四官能性のアルコキシシランをゾル―ゲル法により加水分解させ、シリカを骨格とする湿潤ゲルを形成させ、乾燥工程を経て乾燥ゲルを得ている。これは、例えば特許第3552054号公報等で知ることができる。
以下において詳細に説明するよう、本開示の超音波流量計は、シリカ多孔体からなる音響整合層を備える。
[超音波送受信器]
図2は、本開示の超音波流量計に用いる超音波送受信器の一例を示す断面図である。圧電体21は、超音波振動を発生するもので、圧電セラミックスや圧電単結晶からなり、厚さ方向に分極され、上下面に電極を有している。ケース22は、天板22aを有する筒形状を備え、導電材料、例えば外部の流体に対して信頼性が確保できる金属等の材料で形成されている。圧電体21は、ケース22内において、天板22aの内側に貼り付けられている。ケース22の下面は、同じく金属等の導電材料で作られている蓋板23で覆われて完全に封止され、ケース22は蓋板23と共に気体遮蔽性容器として作られている。また、蓋板23には駆動端子24a、24bが取り付けられている。2つの駆動端子24a、24bのうち、一方の駆動端子24aは蓋板23およびケース22を介して圧電体21の上面電極に電気的に接続されている。他方の駆動端子24bは、絶縁材25で蓋板23と電気的に絶縁されているとともに、ケース22内で圧電体21の下面電極に電気的に接続されている。
音響整合層26は、気体に超音波を送波、または気体を伝搬してきた超音波を受波するためのもので、駆動交流電圧により励振される圧電体21の機械的振動が外部の媒体に対して超音波として効率よく出ていき、到来した超音波が効率よく電圧に変換される役目を有する。音響整合層26はケース22の天板22aの外側に貼り付けられている。また、音響整合層26は、500kg/m3以下の密度および500m/s以下の音速を有する。音響整合層は、シリカ多孔体の乾燥ゲルで形成されている。音響整合層26は、特に、流体が気体である場合に圧電振動子に高効率で超音波が入射するように設計されている。具体的には、気体は、都市ガス(メタンガスを主成分とする混合ガス)、プロパンガス、水素ガスなどである。この多孔体については、後に詳述する。
[多孔体]
本開示の音響整合層に用いる多孔体は、シリカからなる粒子の集合体である。より具体的には、多孔体は、シリカからなる粒子が網目状に連なった固体骨格を構成している乾燥ゲルである。固体骨格で囲まれた空孔は互いに連続的に空間がつながった連続空孔を形成している。このような多孔体の固体骨格構造は、後述するゾルゲル法に由来するゲル構造に起因するものであり、乾燥ゲルからなる多孔体に特徴的な構造である。
本開示のシリカは、(RSiO1.5)で示される単位骨格を有する。ここで、Rは非加水分解性の有機基である。非加水分解性を有する限り、Rに特に制限はないが、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基などであることが好ましく、均質性の高い乾燥ゲルを得るためにはメチル基であることがさらに好ましい。図3において破線で示すように、各単位骨格は、ケイ素原子と、ケイ素原子の3つの結合手に結合し、隣接する3つのケイ素とそれぞれさらに結合している3つの酸素原子と、ケイ素原子の他の1つの結合手に結合したRとを含んでいる。
以下において説明するように、本開示の多孔体は、1種類の原料のみを用いて合成される。このため、シリカ中、単位骨格とは異なる構造および異なる原子配置を有するケイ素原子は少なく、組成及び構造の均一性が高い。(RSiO1.5)はシリカの平均組成式である。
本開示のシリカによれば、組成式がSiO2で示されるシリカのケイ素中1つの結合手が、Rで置換されている。Rは他のケイ素と結合しないため、シリカにRを導入することによって、3次元の網目構造が制限され、適度な空隙を形成することが可能となる。また、導入される置換基Rが1つであるため、組成の制御性が良好であり、均一な組成分布のシリカが実現する。これは、シリカにおける構造の均一性に寄与し、従来に比べて、安定で、比較的機械的強度が高い構造を実現する。
また、疎水性を発現するRを構造中に含むため、吸湿しにくく、別途、疎水処理を行わなくても、適度な疎水性を有する。
本開示のシリカにおいて、固体骨格を形成する粒子の平均粒径は0.1μm以上10μm以下である。この範囲よりも小さい粒子が生成されると、乾燥工程で割れや亀裂が発生し、この範囲よりも大きい粒子が生成されるとマクロな相分離を起こして所望の湿潤ゲルが得られない。また、骨格粒子間に存在する空孔の平均粒径は0.1μm以上50μm以下である。この範囲よりも空孔が小さいと、乾燥工程で割れや亀裂が発生しやすくなるなど構造を保持することが難しく、この範囲よりも空孔が大きいと、空孔内での音波の減衰が大きくなり音響整合層として適当でない。
本開示の多孔体は、例えば次のような方法で製造することができる。
(1)原料の準備
(2)シリコンアルコキシドのゾル化およびゲル化
(3)湿潤ゲルの乾燥
以下、各工程を詳細に説明する。
(1)原料の準備
原料を用意する。原料としてシリコンアルコキシドを用意する。加水分解および重縮合して、(RSiO1.5)で示される骨格構造を形成するため、三官能性のアルキルトリアルコキシシランを用意する。アルコキシ基は、特に限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基などであることが好ましく、安定した加水分解、重縮合反応を進行させるためにはメトキシ基であることがさらに好ましい。また、Rは非加水分解性有機基であり、特に限定されるものではないが、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基などであることが好ましく、均質性の高い乾燥ゲルを得るためにはメチル基であることがさらに好ましい。
溶媒としては原料が溶解すればよく、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、トルエン、ヘキサンなどの一般的な有機溶媒を単独または混合して用いることができる。シリコンアルコキシシドが加水分解されて反応溶液中にアルコールが生成するため、溶媒としてはアルコールを用いることが好ましく、加水分解されるアルコキシ基と同じ炭素数および構造のアルコールを用いることがさらに好ましい。
原料の加水分解およびゾル生成に用いる触媒は、一般的なゾル―ゲル法では水、酸、塩基を用いる。本実施形態では、特に塩基を触媒として用いる。塩基による加水分解は、水酸化物イオンがケイ素原子を直接攻撃する求核反応によって起こる。水酸化物イオンは非常に負の電荷が強く、アルコキシ基も負に帯電しているため立体障害を起こすため反応性は低い。しかし、多量の水酸化物イオンが周囲を取り囲むことにより、確率的ではあるが反応が開始し、ケイ素原子と水酸基の結合が生成する代わりに、アルコキシ基が脱離してアルコールが生成する。水酸基は非常に短い側鎖で構成されているため、立体障害が軽減され、他の水酸化物イオンの攻撃を容易に受ける。また、攻撃されるケイ素原子の量は減少することはないため、反応速度は急激に増加し、一気に加水分解されSi(OH)4となる。Si(OH)4の全ての水酸基は重縮合することが可能であるため、三次元性と密度が高いゲルを形成する。
塩基触媒としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムなどを用いることができる。ゲル化後に揮発し、湿潤ゲル洗浄工程を短縮するまたは省略することが可能となるため、アンモニアを好ましく用いることができる。
ゲル原料の加水分解に用いられる水は、塩基触媒の溶媒として混合される。混合される水の総モル数は、ゲル原料に含まれるアルコキシ基の総モル数以下となることが好ましい。
(2)シリコンアルコキシドのゾル化およびゲル化
容器に原料となるシリコンアルコキシドまたはシリコンアルコキシド重縮合物と溶媒と、塩基触媒とを混合し、撹拌後、20℃以上100℃以下の温度で、2時間以上48時間以下の時間、静置する。これにより、シリコンアルコキシドまたはシリコンアルコキシド重縮合物が加水分解し、さらに脱水縮合反応を行わせて、湿潤ゲルを得る。この段階で、(RSiO1.5)で示される単位骨格を有するシリカは得られているが、溶媒を構造中に含む湿潤ゲルを形成している。
(3)湿潤ゲルの乾燥
得られた湿潤ゲルを溶媒で洗浄し、未反応の原料および塩基触媒を除去する。その後、溶媒を除去することによって湿潤ゲルを乾燥させ、乾燥ゲルを得る。
湿潤ゲルを乾燥させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥の通常乾燥法や、超臨界乾燥法、凍結乾燥法などを用いることができる。本実施形態の多孔体を合成する場合、得られた湿潤ゲルは、得られる構造が安定で、適度な機械的強度を有するため、超臨界乾燥法を用いず、通常乾燥法を用いても、亀裂や破壊を起こさず乾燥ゲルを得ることが可能である。通常乾燥を用いることが可能であるため、超臨界乾燥法に必要なオートクレーブや凍結乾燥法に必要な冷凍機等の大型設備が不要となり、エネルギーや時間、製造コストの削減という効果を有する。さらに、通常乾燥時に湿潤ゲルに加わる毛管力が非常に小さいため、ゲル化の際に用いた溶媒を蒸発させて乾燥ゲルを得ることが可能である。
ただし、未反応の原料および溶媒等の除去を効果的に行うため、まず、反応に用いた溶媒と同じ溶媒で未反応の原料等を除去し、その後、極性の小さい溶媒で置換してもよい。
これより、超臨界乾燥法または凍結乾燥法に必要な大型設備および大型設備に必要な電力を省略することができ、エネルギーおよび製造コストを低減できる。また、オートクレーブ等の特殊な容器の使用という制約がないため、大きな成型体を容易に作製することが可能である。
(実施例)
種々の条件で本開示の多孔体を作製し、特性を測定した結果を説明する。
(実施例1)
フッ素樹脂容器内で、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メタノール、0.1mol/Lアンモニア水を混合し、室温において1分間撹拌した。溶液の組成比は、MTMS:CH3OH:NH3:H2O=1:3:0.0072:4、の物質量比で行った。混合溶液を恒温槽に入れて80℃において24時間静置した。得られた湿潤ゲルをメタノール中で30分浸漬することを2回繰り返し、未反応物を洗浄した。さらに、ペンタン中で30分浸漬することを2回繰り返し、固体中の溶媒を置換した。その後、室温、空気中で一晩静置してペンタンを揮発させ、実施例1の多孔体(乾燥ゲル)を得た。
得られた多孔体は白色であり、表面の亀裂や内部の破壊は見られなかった。5〜10μmの粒子が網目状に連結した骨格を有していることが、電子顕微鏡観察により示された(図4参照)。
また、水銀ポロシメータによる細孔評価により、得られた多孔体が20〜40μmの空孔を有していることが示された(図5参照)。
得られた多孔体の質量測定と水中置換による体積測定によって密度を測定したところ、330kg/m3であった。空隙を含めない真密度が1600kg/m3であったことから、空隙率は79%と算出された。また、500kHzの超音波を用いた音速測定を行ったところ、多孔体の音速は230m/sであった。密度および音速から計算される音響インピーダンスは、0.76×105kg/m2/sであった。
多孔体の29Si−NMR測定を行った。図6に結果を示す。化学シフトδ=−56ppm、−65ppmにそれぞれT2、T3環境のSi原子に由来するシグナルを観測した。ここで、Tn環境のSi原子とは、3つのO原子と結合し、さらにそのO原子がn個のSi原子と結合しているものを示す(n=1〜3)。一般に二官能性のSi原子および四官能性のSi原子は、約0ppmおよび−120ppm付近にシグナルを有するため、実施例1の多孔体は、これら、二官能性のSi原子および四官能性のSi原子は含んでいないことが分かる。つまり、Si原子が三官能性のT環境のみであることから、三官能性アルコキシシランのMTMSが加水分解、重縮合して、(CH3SiO1.5)を単位構造とする均一な乾燥ゲルを形成していることが示された。これは、非加水分解性有機基のメチル基が構造中に均一に配置されていることも示しており、有機基に由来する疎水性、柔軟性などに偏りがない乾燥ゲルが得られていることが示された。
圧電体が接着された金属ケースに、得られた多孔体を音響整合層として接着し、超音波送受信器を作製した。
(実施例2)
アンモニア水の濃度を1mol/Lとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の多孔体を得た。反応溶液の組成比は、MTMS:CH3OH:NH3:H2O=1:3:0.072:3.9、の物質量比であった。
実施例1と同様に、白色で表面亀裂や内部破壊のない多孔体が得られ、2〜5μmの粒子が網目状に連結した骨格を有していることが、電子顕微鏡観察により示された(図7参照)。
また、得られた多孔体の密度は290kg/m3、音速は300m/s、音響インピーダンスは0.87×105kg/m2/sであった。
(実施例3)
アンモニア水の濃度を10mol/Lとした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の多孔体を得た。反応溶液の組成比は、MTMS:CH3OH:NH3:H2O=1:3:0.72:3.7、の物質量比であった。
実施例1と同様に、白色で表面亀裂や内部破壊のない多孔体が得られ、0.1〜0.2μmの粒子が網目状に連結した骨格を有していることが、電子顕微鏡観察により示された(図8参照)。
また、得られた多孔体の密度は320kg/m3、音速は390m/s、音響インピーダンスは1.2×105kg/m2/sであった。
実施例1から実施例2および3における特性の変化は、触媒濃度を上昇させたことで加水分解速度が速くなり、核発生に消費されるMTMSの割合が、核成長に消費される割合よりも多くなったため、骨格を形成する粒子の粒子径が小さくなったことに起因していると考えられる。
(実施例4)
溶媒であるメタノールに、エタノールを混合して用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の多孔体を得た。溶液の組成比は、MTMS:CH3OH:C25OH:NH3:H2O=1:2.7:0.3:0.0072:4、の物質量比で行った。
実施例1と同様に、白色で表面亀裂や内部破壊のない多孔体が得られ、0.2〜0.5μmの粒子が網目状に連結した骨格を有していることが、電子顕微鏡観察により示された(図9参照)。
また、得られた乾燥ゲルの密度は350kg/m3、音速は490m/s、音響インピーダンスは1.7×105kg/m2/sであった。
(比較例1)
シリカ源であるアルコキシシランとして、MTMSの他に、非加水分解性有機基のRを構造中にもたない4官能性アルコキシシランである、テトラメトキシシラン(TMOS)を混合して用いた以外は、実施例1と同様にして、乾燥ゲルを得た。溶液の組成比は、MTMS:TMOS:CH3OH:NH3:H2O=0.75:0.25:3:0.0072:4、の物質量比で行った。湿潤ゲルを室温、大気中での乾燥中、速やかにゲル全体に亀裂が発生し、多数の数mm程度の小片に破壊された。生成物は、音響整合層として超音波送受信器に搭載するには不適当であった。
(比較例2)
シリカ源であるアルコキシシランとして、MTMSの他に、非加水分解性有機基のRを構造中に2つもつ2官能性アルコキシシランである、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)を混合して用いた以外は、実施例1と同様にして、合成を行った。溶液の組成比は、MTMS:DMDMS:CH3OH:NH3:H2O=0.75:0.25:3:0.0072:4、の物質量比で行った。混合溶液を恒温槽に入れて80℃において24時間静置しても湿潤ゲルは得られず、48時間まで静置時間を延長しても湿潤ゲルは得られなかった。
本開示の超音波送受波器および超音波流量計は、種々の流体の測定に好適に用いられ、特に気体の流量の測定や流速の測定に好適に用いられる。
11、12 超音波送波器
13 管壁
21 圧電体
22 ケース
22a 天板
23 蓋板
24a、24b 駆動端子
25 絶縁材
26 音響整合層
31 時間計測部
32 演算部

Claims (10)

  1. 超音波を送信可能であり、かつ、超音波を受信可能である超音波送受信器であって、
    圧電体と、
    天板を有し、前記天板の内側に前記圧電体が接して配置されたケースと、
    前記ケースの前記天板の外側に接して配置された音響整合層と、
    を備え、
    前記音響整合層は、Rを非加水分解性の有機基として、(RSiO1.5)で示される単位骨格を有するシリカ粒子の集合体である、
    超音波送受信器。
  2. Rがメチル基である、請求項1に記載の超音波送受信器。
  3. 音響インピーダンスが0.5×105kg/m2/s以上2.0×105kg/m2/s以下の範囲である、請求項1または2に記載の超音波送受信器。
  4. 前記シリカ粒子は、0.1μm以上10μm以下の平均粒子径を有する、請求項1から3のいずれかに記載の超音波送受信器。
  5. 前記音響整合層は空隙を有し、前記音響整合層の空隙率は、75%以上95%以下である、
    請求項1から4のいずれかに記載の超音波送受信器。
  6. 前記空隙は孔径状を有し、平均孔径が0.1μm以上50μm以下である、請求項5に記載の超音波送受信器。
  7. 前記音響整合層の音速が500m/s以下である、請求項1から6のいずれかに記載の超音波送受信器。
  8. 前記音響整合層の密度が500kg/m3以下である、請求項1から7のいずれかに記載の超音波送受信器。
  9. 被測定流体の流量を計測する超音波流量計であって、被測定流体が流れる流量計測部と、
    請求項1から8のいずれかに記載された超音波送受信器であって、前記被測定流体の流れに沿って配置された第1の超音波送受信器と、
    請求項1から8のいずれかに記載された超音波送受信器であって、前記被測定流体を挟んで前記第1の超音波送受信器と超音波送受信可能な位置であって、かつ、前記第1の超音波送受信器よりも下流側に配置された第2の超音波送受信器と、
    前記第1及び第2の超音波送受信器の間の超音波の伝搬時間を計測する時間計測部と、前記伝搬時間に基づき前記被測定流体の流量を演算する演算部と、
    を有する超音波流量計。
  10. 前記被測定流体が水素ガスである、請求項9に記載の超音波流量計。
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