JP3552054B2 - 音響整合層および超音波送受波器 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、超音波センサの音響整合層に用いられる音響整合層と、超音波の送受信を行う超音波送受波器、並びに該超音波送受波器の製造方法及び該超音波送受波器を使用した超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、超音波が伝搬路を伝達する時間を計測し、流体の移動速度を測定して流量を計測する超音波流量計がガスメータ等に利用されつつある。
【0003】
図12は超音波流量計の測定原理を示したものである。図12に示すように、管内には流体が速度Vにて図に示す方向に流れている。管壁103には、一対の超音波送受波器101、102が相対して設置されている。超音波送受波器101、102は、電気エネルギー/機械エネルギー変換素子として圧電セラミック等の圧電体を用いて構成されていて、圧電ブザー、圧電発振子と同様に共振特性を示す。ここでは超音波送受波器101を超音波送波器として用い、超音波送受波器102を超音波受波器として用いる。
【0004】
その動作は、超音波送受波器101の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印加すると、超音波送受波器101は超音波送波器として働いて、外部の流体中に同図中のL1で示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波送受波器102が伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。続いて、反対に超音波送受波器102を超音波送波器として用い、超音波送受波器101を超音波受波器として用いる。超音波送受波器102の共振周波数近傍の周波数の交流電圧を圧電振動子に印加することにより、超音波送受波器102は外部の流体中に同図中のL2で示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波送受波器101は伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。このように、超音波送受波器101、102は、受波器としての役目と送波器としての役目を果たすので、一般に超音波送受波器と呼ばれる。
【0005】
また、このような超音波流量計では、連続的に交流電圧を印加すると超音波送受波器から連続的に超音波が放射されて伝搬時間を測定することが困難になるので、通常はパルス信号を搬送波とするバースト電圧信号を駆動電圧として用いる。以下、測定原理についてさらに詳細な説明を行う。
【0006】
駆動用のバースト電圧信号を超音波送受波器101に印加して超音波送受波器101から超音波バースト信号を放射すると、この超音波バースト信号は距離がLの伝搬経路L1を伝搬してt時間後に超音波送受波器102に到達する。超音波送受波器102では伝達して来た超音波バースト信号のみを高いS/N比で電気バースト信号に変換することができる。この電気バースト信号を電気的に増幅して、再び超音波送受波器101に印加して超音波バースト信号を放射する。この装置をシング・アラウンド装置と呼び、超音波パルスが超音波送受波器101から放射され伝搬路を伝搬して超音波送受波器102に到達するのに要する時間をシング・アラウンド周期といい、その逆数をシング・アラウンド周波数という。
【0007】
図12において、管の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC、流体の流れる方向と超音波パルスの伝搬方向の角度をθとする。超音波送受波器101を超音波送波器、超音波送受波器102を超音波受波器として用いたときに、超音波送受波器101から出た超音波パルスが超音波送受波器102に到達する時間であるシング・アラウンド周期をt1、シング・アラウンド周波数f1とすれば、次式(1)が成立する。
【0008】
f1=1/t1=(C+Vcosθ)/L ・・・(1)
【0009】
逆に、超音波送受波器102を超音波送波器として、超音波送受波器101を超音波受波器として用いたときのシング・アラウンド周期をt2、シング・アラウンド周波数f2とすれば、次式(2)の関係が成立する。
【0010】
f2=1/t2=(C−Vcosθ)/L ・・・(2)
【0011】
したがって、両シング・アラウンド周波数の周波数差Δfは、 次式(3)となり、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfから流体の流速Vを求めることができる。
【0012】
Δf=f1−f2=2Vcosθ/L ・・・(3)
【0013】
すなわち、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfから流体の流速Vを求めることができ、その流速Vから流量を調べることができる。
【0014】
このような超音波流量計では精度が要求され、その精度を向上させるために、気体に超音波を送波、または気体を伝搬して来た超音波を受波する超音波送受波器を構成している圧電振動子における超音波の送受波面に形成される音響整合層の音響インピーダンスが重要となる。
【0015】
図10は従来の超音波送受波器10'の構成を示す断面図である。超音波送受波器10'は、圧電体層(振動手段)4と、音響インピーダンス整合層(音響整合手段、以下、「音響整合層」という。)1と、ケース5とを有している。ケース5と音響整合層1'およびケース5と圧電体層4は接着剤(例えばエポキシ系)からなる接着層を用いて接着されている。圧電体層4で振動された超音波は特定の周波数(例えば500kHz)で振動し、その振動は接着層(不図示)を介してケースに伝わり、さらに接着層を介して音響整合層1に伝わる。整合した振動は空間に存在する媒体である気体に音波として伝搬する。
【0016】
この音響整合層1'の役割は圧電体層4の振動を効率良く気体に伝搬させることにある。物質中の音速Cと密度ρとで式(4)のように音響インピーダンスZが定義される。
【0017】
Z=ρ×C ・・・(4)
【0018】
音響インピーダンスは圧電体層4と超音波の放射媒体である気体とでは大きく異なる。例えば、圧電体層2を構成する一般的な圧電体であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミックスの音響インピーダンスZ1は30×106kg/s・m2程度である。また、放射媒体である気体、例えば空気の音響インピーダンスZ3は400kg/s・m2程度である。このような音響インピーダンスの異なる境界面上では音波の伝搬に反射を生じて、透過する音波の強さが弱くなる。これを解決する方法として、圧電体と気体のそれぞれの音響インピーダンスZ1とZ3に対して、両者の間に式(5)の関係を有する音響インピーダンスを持つ物質を挿入することによって、音の反射を軽減して音波の透過する強度を高める方法が一般に知られている。
【0019】
Z2=(Z1×Z3)(1/2) ・・・(5)
【0020】
この条件を満たす音響インピーダンスが整合した時の最適な値は、11×104kg/s・m2程度となる。この音響インピーダンスを満たす物質は、式(4)からわかるように固体で密度が小さく音速の遅いものであることが要求される。一般的に用いられている材料として、ガラスバルーン(中空の微小なガラス球)やプラスチックバルーンを樹脂材料で固めた材料を圧電体層(「超音波振動子」ともいう。)の振動面に形成して使用されている。また、ガラスバルーンを熱圧縮する方法、あるいは、溶融材料を発泡させる等の方法も使用されている。これは、例えば特許第2559144号公報等で開示されている。
【0021】
しかし、これらの材料の音響インピーダンスは、50×104kg/s・m2より大きい値であり、さらに気体との整合を取り高感度を得るためには音響インピーダンスがさらに小さい材料が必要である。
【0022】
本出願人は、特願2001−56501号(出願日:2001年2月28日)に、乾燥ゲルを用いて音響整合層を形成することによって、従来のガラスバルーン入リエポキシ樹脂系よりもさらに音響インピーダンスを低下させられること、および乾燥ゲルを疎水化することによって耐久性を向上できることを開示している。
【0023】
上述したように、音響整合層の音響インピーダンスを小さくして超音波の放射媒体である気体との整合を高めると、超音波送受波器としての感度が非常に高くなる。しかしながら、流量計において超音波により伝搬時間を計測する場合のように、パルス信号を搬送波として超音波を送受信すると、信号の立ち上り応答性が悪くなってしまい、到達時間の判定が難しくなる。すなわち、通常は、超音波の受信信号に対して、ある到達検出レベル以上になった波頭の信号を検出して到達の判定を行っている。そのため、信号出力の立ち上りが良いと超音波の波頭の差が大きく、到達判定する波頭の信号を良好に認識することができ、到達判定を誤差なく行うことができる。それに対して、超音波の受信信号の立ち上りが良くないと、受信超音波出力の波頭の差が小さくなるために到達判定する波頭の識別が難しくなり、検出に誤差を生じやすくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、音響インピーダンスが十分に小さく超音波の放射媒体である気体に整合して高感度な超音波送受波できるとともに、信号の立ち上り応答性を良くできる超音波送受波器用の音響整合層を提供することを主な目的とする。さらに、それを適用した超音波送受波器、およびそれを用いた流量計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の音響整合層は、圧電体層と気体との音響インピーダンスを整合させる音響整合層であって、密度が50kg/m3以上500kg/m3以下の範囲内にある第1音響整合層と、密度が400kg/m3以上1500kg/m3以下の範囲内にある第2音響整合層とを有し、かつ、前記第1音響整合層の密度は前記第2音響整合層の密度よりも小さい。
【0026】
ある実施形態において、前記第1音響整合層の密度は50kg/m3以上400kg/m3以下の範囲内にあり、前記第2音響整合層の密度は400kg/m3超800kg/m3以下の範囲内にある。
【0027】
ある実施形態において、前記第1音響整合層の音響インピーダンスZaと前記第2音響整合層の音響インピーダンスZbとの関係が、Za<Zbである。
【0028】
ある実施形態において、前記第1音響整合層の厚さが、前記第1音響整合層中を伝播する音波の波長λの略四分の一である。
【0029】
ある実施形態において、前記第1音響整合層の音響インピーダンスが5×104kg/s・m2以上20×104kg/s・m2以下の範囲内にある。
【0030】
ある実施形態において、前記第2音響整合層の厚さが、前記第2音響整合層中を伝播する音波の波長λの略四分の一である。
【0031】
ある実施形態において、前記第1音響整合層と前記第2音響整合層がともに無機酸化物を含む。
【0032】
ある実施形態において、前記第1音響整合層は乾燥ゲルを含む。
【0033】
ある実施形態において、前記第1音響整合層は乾燥ゲルの粉末を含む。
【0034】
ある実施形態において、前記乾燥ゲルの固体骨格部が無機酸化物を含む。
【0035】
ある実施形態において、前記無機酸化物は酸化ケイ素である。
【0036】
ある実施形態において、前記無機酸化物の固体骨格部が疎水化されている。
【0037】
ある実施形態において、前記第1音響整合層と前記第2音響整合層とが直接結合されている。
【0038】
ある実施形態において、前記第1音響整合層と前記第2音響整合層との間に構造支持層をさらに有し、前記構造支持層の密度が1000kg/m3以上であり、前記構造支持層の厚さが前記構造支持層中を伝播する音波の波長λの八分の一未満である。
【0039】
本発明の超音波送受波器は、圧電体層と、前記圧電体層上に設けられた上記のいずれかの音響整合層とを備え、前記第2音響整合層が前記圧電体層側に配置されている。
【0040】
ある実施形態において、前記音響整合層が前記圧電体層上に直接結合されている。
【0041】
ある実施形態において、前記圧電体層を内包する凹部を形成する上板と、前記凹部内の空間を密閉するように配置される底板とを有するケースをさらに有し、前記圧電体層は前記ケースの前記上板の内面に接着されており、前記音響整合層は、前記上板を介して前記圧電体層に対向するように前記上板の上面に結合されている。
【0042】
ある実施形態において、前記ケースが金属材料から形成されている。
【0043】
ある実施形態において、前記ケースの前記上板が前記第2音響整合層と一体に形成されている。
【0044】
本発明の超音波送受波器の製造方法は、上記のいずれか超音波送受波器の製造方法であって、前記圧電体層上または前記圧電体層を前記内面に接合した前記上板上に前記第2音響整合層を形成する工程と、その後で、前記第2音響整合層上に乾燥ゲルからなる前記第1音響整合層を形成する工程とを包含する。あるいは、前記第2音響整合層上に、乾燥ゲルからなる前記第1音響整合層を形成し、前記音響整合層を得る工程と、前記圧電体層上または前記圧電体層を前記内面に接合した前記上板上に前記音響整合層を接合する工程とを包含する。
【発明の効果】
【0045】
本発明の超音波流量計は、被測定流体が流れる流量測定部と、前記流量測定部に設けられ超音波信号を送受信する一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器間の超音波伝搬時間を計測する計測回路と、前記計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算回路とを備える超音波流量計であって、前記一対の超音波送受波器のそれぞれは上記のいずれかの超音波送受波器で構成されている。
【0046】
本発明によると、密度が小さく音速の遅い第1音響整合層と、それよりも密度が高く音速の速い第2音響整合層とを積層して構成された音響整合層が提供される。それを超音波送受波器へ適用し、超音波の放射媒体と音響インピーダンス整合した第1音響整合層を放射媒体側に配置することで、音響インピーダンスが十分に小さく超音波の放射媒体である気体に整合して高感度な超音波送受波できるとともに、信号の立ち上り応答性の良い優れた超音波送受波器を得られる。
【0047】
また、本発明の製造方法を用いて得られる超音波送受波器は、低音響インピーダンスの音響整合層により高感度化ならびに特性の安定化を図ることができる。
【0048】
さらに、本発明の超音波流量計は、本発明の超音波送受波器が高感度および特性バラツキが少ないことから流量計測の安定性の向上が図れる。また、音響整合層を無機酸化物で構成することで流量計測の温度特性が優れた特性が得られるともに、音響整合層を疎水化することによって耐湿性に優れた信頼性の高い超音波流量計を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0050】
本発明による実施形態の音響整合層1は、図1に示すように、密度が小さく音速の遅い第1音響整合層2と、それよりも密度が高く音速の速い第2音響整合層3とを備える。第1音響整合層2の密度は50kg/m3以上500kg/m3以下の範囲内にあり、第2音響整合層3の密度は400kg/m3以上1500kg/m3以下の範囲内にあり、かつ、第1音響整合層2の密度は第2音響整合層3の密度よりも小さい。例えば、第1音響整合層2の密度は50kg/m3以上400kg/m3以下であり、第2音響整合層3の密度は400kg/m3超800kg/m3以下である。
【0051】
本発明による実施形態の圧電振動子8においては、図2に示すように、第1音響整合層2を放射媒体側に、第2音響整合層3を圧電体層4側に配置される。このように本発明による音響整合層1を備える圧電振動子8を用いることによって、超音波送受波器を高感度化することができる。
【0052】
例えば、図3に示す本発明の実施形態による超音波送受波器10Aは、図10に示した従来の超音波送受波器10'の音響整合層1'に代えて、図1に示した本発明の実施形態の音響整合層1を有している。超音波の放射媒体と音響インピーダンス整合した第1音響整合層2を放射媒体側に配置してある。この構成にすることで、音響インピーダンスが十分に小さく超音波の放射媒体である気体に整合して高感度な超音波送受波できるとともに、信号の立ち上り応答性の良い優れた超音波送受波器を得られる。
【0053】
以下に、図8(a)から(c)および図9(a)から(c)を用いて本発明による実施形態の超音波送受波器の構成により得られる効果について詳細に説明する。
【0054】
図8(a)から(c)は超音波送受波器の超音波の受信出力特性を示したもので、各音響整合層における受信波形を示したものである。
【0055】
図8(a)および図8(b)は、音響整合層が単層である図10に示した従来構成の超音波送受波器10'を用いたものである。図8(a)は、ガラスバルーン/エポキシ系の音響整合層(厚さ1.25mm、音速2500m/s、密度500kg/m3)を用いた場合を示し、図8(b)は、シリカ乾燥ゲルの音響整合層(厚さ90μm、音速180m/s、密度200kg/m3)を用いた場合を示している。
【0056】
図8(c)は、図3に示した本発明による実施形態の超音波送受波器10Aの特性を示す図である。第1音響整合層2として、シリカ乾燥ゲルの音響整合層(厚さ90μm、音速180m/s、密度200kg/m3)を用い、第2音響整合層3として、シリカ多孔体の音響整合層(厚さ750μm、音速1500m/s、密度570kg/m3)を用いた場合を示している。
【0057】
まず、図8(a)と(b)との比較から、低密度な乾燥ゲルを音響整合層として用いることで、従来から一般的に用いられているガラスバルーン/エポキシ系を用いた場合よりも、受信出力電圧の振幅最大幅(ピークトゥピーク電圧)が大きくなっており、感度が向上していることがわかる。
【0058】
しかしながら、図8(b)では、図8(a)に比べて受信信号の立ち上りが鈍くなっていることがわかる。さらに、立ち上りにおける500kHz超音波信号の各波頭とその前後の波頭との出力値の差が小さくなっているため、到達検出レベルによる伝搬時間検知の許容幅が小さくて誤差検知を生じやすくなり検知が難しくなっている。このことから、音響整合層としてシリカ乾燥ゲルを用いた超音波送受波器では、高感度になるが、立ち上り特性の向上が必要である。
【0059】
図8(c)のように、シリカ乾燥ゲルと酸化ケイ素を焼成して作製したシリカ多孔体とからなる2層構造の音響整合層を用いることによって、ピークトゥピーク電圧が大きく感度が高くなるとともに、立ち上り特性も良好な特性が得られている。これは、気体側に配置した密度が小さく音速の遅い第1音響整合層によって、超音波の放射媒体である気体との音響インピーダンス整合をとって高感度化を図ることができた上に、圧電体側に配置した密度が高く音速の速い第2音響整合層による良好な立ち上り特性が確保されているためであると考える。
【0060】
このような良好な特性が得られた理由についてさらに図9(a)から(c)を用いて説明する。図9(a)から(c)はそれぞれ図8(a)から(c)に対応する超音波送受波器の振動変位周波数特性を示す図である。
【0061】
図9(a)のように従来のガラスバルーン/エポキシ系の音響整合層では、まだ気体との音響インピーダンスの整合が十分ではないために、2極特性を示し周波数帯域が広い。そのために、超音波のパルス信号に対する応答が良く立ち上り特性がよくなる。それに対して、図9(b)に示すシリカ乾燥ゲルの音響整合層においては、気体との音響インピーダンスが整合するために1極特性を示し狭帯域化する。そのために、高感度にはなるが、共振周波数よりも速い変化に応答しにくいためにパルス信号に対する立ち上り特性が悪くなる。
【0062】
これらの単層での音響整合層に対して、図9(c)に示す本発明の音響整合層の構成にすると、第1音響整合層と第2音響整合層との2層構造であるために、振動変位の周波数特性は3極特性を示すことになり、帯域が広がる。そのために、立ち上りの応答が速くなる上に、放射媒体である気体との音響インピーダンスの整合をそれに面する第1音響整合層によって取っているために減衰が少なく感度が高くなるものである。
【0063】
本発明による実施形態の2層構造を有する音響整合層を用いることによって、気体へ超音波を放射して計測等を行う際に用いる超音波送受波器において、従来の単層の音響整合層では達成できなかった高感度でかつ応答性の良い超音波の送信と受信を行うことができる。さらに、このような超音波送受波器を用いることによって、高感度でかつ特性バラツキが少ないことから流量計測の安定性の向上を図れる超音波流量計を得ることができる。なお、本発明による実施形態の音響整合層は、典型的には2層構造であるが、圧電体層に近いほど音響整合層の密度を高くなり、放射媒体側の表面に近いほど音響整合層の密度が低くなるように、3以上の音響整合層を配置してもよい。
【0064】
以下に、本発明の具体的な実施の形態について図を用いて説明する。
【0065】
(実施の形態1)
図1に、本発明による実施形態の音響整合層1の構成を模式的に示す。
【0066】
音響整合層1は、密度が50kg/m3から500kg/m3の範囲内にある第1音響整合層2と、密度が400kg/m3から1500kg/m3の範囲内にある第2音響整合層3とが積層された構造を有している。なお、第1音響整合層2の密度よりも第2音響整合層3の密度の方が高い。
【0067】
第1音響整合層2は、超音波の放射媒体である気体に対して音響インピーダンスの整合を行って高感度化を図る役割である。このとき、第1音響整合層2の音響インピーダンスZaと第2音響整合層3の音響インピーダンスZbとの関係がZa<Zbであることが好ましい。この第1音響整合層2の音響インピーダンスの値としては、例えば空気とセラミック圧電体との音響インピーダンスの整合を取るための値である略11×104kg/s・m2程度が好ましい。しかし、他の気体として可燃性ガスの流量計測に本発明の音響整合層を用いた超音波送受波器を用いる場合を例にすると、第1音響整合層の音響インピーダンスとしては、例えば水素に対する5×104kg/s・m2程度の値からプロパンに対する12×104kg/s・m2程度の値までを有することが好ましい。また、その他のガスや混合ガスなども考えたときには、5×104kg/s・m2以上20×104kg/s・m2以下の範囲内にあるのが特に好ましい。また、対象の気体に対する音響インピーダンスの整合を若干ずらした状態でも、第1音響整合層2で得られる音響インピーダンスの領域では高い感度が得られるため、50×104kg/s・m2以下、好ましくは0.5×104kg/s・m2以上50×104kg/s・m2以下の範囲である。
【0068】
第1音響整合層2が上述の音響インピーダンスを得るためには、密度が50kg/m3以上500kg/m3以下の範囲内でかつ音速が500m/s未満であるものを使用する。このときに、第2音響整合層3は密度が400kg/m3以上1500kg/m3以下の範囲内でかつ音速が500m/s以上であるのが好ましい。ただし、Za<Zbの関係が成り立つように設定する。なお、第2音響整合層3の音響インピーダンスZbは、超音波を発信する圧電体層の音響インピーダンスよりも小さいことが好ましい。
【0069】
また、音響インピーダンスを整合して感度を向上するには、音響整合層の厚さにも関係する。音響整合層を透過する超音波が音響整合層と超音波の放射媒体との境界面および音響整合層と超音波振動子との境界面での反射係数を考慮して求めた超音波の反射率がもっとも小さくなる条件の時、すなわち、音響整合層の厚さが超音波発振波長の四分の一の時に透過強度が最大となる。したがって、第1音響整合層2の厚さが、その音響整合層中を通過する超音波発振波長の略四分の一である構成にすることが高感度化に効果がある。さらに、第2音響整合層3の厚さが、その音響整合層中を通過する超音波発振波長の略四分の一である構成にすることも効果があり、第1音響整合層2及び第2音響整合層3をともに略四分の一波長となるようにするのが最も効果がある。なお、超音波の発振波長の略四分の一とは、八分の一波長から八分の三波長の範囲程度である。つまり、それ以上に小さいと音響整合層として働かなくなり、それより大きいと反射率が極大になる二分の一波長に近づくため感度が逆に低下してしまう。
【0070】
本発明の音響整合層1の材料としては、第1音響整合層2は密度が50kg/m3以上500kg/m3以下の範囲内であり、音速が500m/s未満である条件の材料が好ましい。さらに、第2音響整合層3は密度が400kg/m3以上1500kg/m3以下の範囲内であり、音速が500m/s以上である条件の材料が好ましい。
【0071】
第1音響整合層2の具体的な材料としては、有機高分子、無機材料の繊維体、フォーム体、焼結多孔体、乾燥ゲルなどが候補としてあるが、特に乾燥ゲルを用いるのが好ましい。
【0072】
ここで、「乾燥ゲル」とは、ゾルゲル反応によって形成される多孔体であり、ゲル原料液の反応によって固体化した固体骨格部が溶媒を含んで構成された湿潤ゲルを経て、乾燥して溶媒除去することで形成されるものである。
【0073】
乾燥ゲルを得るために、湿潤ゲルから溶媒除去して乾燥する方法としては、超臨界乾燥、凍結乾燥などの特別な条件の乾燥方法や、加熱乾燥、減圧乾燥、自然放置乾燥などの通常の乾燥方法を用いることができる。
【0074】
超臨界乾燥は、溶媒をその臨界点以上の温度、圧力条件にした超臨界状態で除去する方法であり、気液界面がなくゲルの固体骨格部に乾燥ストレスを与えることがないため収縮したりすること無く、非常に低密度の乾燥ゲルを得ることができる。その反面、超臨界乾燥で得た乾燥ゲルは、使用環境におけるストレス、例えば結露や熱ストレス、薬品ストレス、機械ストレス等の影響を受けることもある。
【0075】
それに対して、通常の乾燥方法によって得られる乾燥ゲルは、乾燥ストレスに耐え得るために、その後の使用環境におけるストレスに対しても耐久性が高いという特徴がある。このような通常の乾燥方法で低密度の乾燥ゲルを得るためには、乾燥する前に湿潤ゲルの段階で、固体骨格部がストレスに耐え得るようにしておく必要がある。例えば、固体骨格部を熟成して強度を増したり、疎水化する際に固体骨格部を補強するように温度条件や重合しやすい多官能の疎水化剤を適用したり、細孔の大きさを制御したりすることで実現することができる。特に、気体の流量を計測する際には、いろいろな環境で使用されることがあるために、通常の乾燥方法で作製した乾燥ゲルで音響整合層を得るのが好ましい。また、通常の乾燥方法を適用する場合には、超臨界乾燥のような高圧のプロセスではないために、設備が簡易になり、取扱いも行いやすいなどの利点もある。
【0076】
上述の方法で得られる乾燥ゲルは、ナノメートルサイズの固体骨格部によって平均細孔直径が1nmから100nmの範囲内にある連続気孔が形成されているナノ多孔体である。そのため、密度が500kg/m3以下、好ましくは400kg/m3以下の低密度な状態では、乾燥ゲルの有する特異な網目状骨格を形成している固体部分を伝搬する音速が極端に小さくなるとともに、細孔によって多孔体内の気体部分を伝搬する音速も極端に小さくなるという性質を有する。そのため、音速として500m/s以下の非常に遅い値を示し、低い音響インピーダンスを得ることができるという特徴を有する。
【0077】
また、ナノメートルサイズの細孔部では、細孔サイズが気体分子の平均自由行程と同程度以下となっており、気体の圧損が大きいために音響整合層として用いた場合に、音波を高い音圧で放射できるという特徴も有する。
【0078】
なお、乾燥ゲルの材料としては、無機材料、有機高分子材料などを用いることができる。無機酸化物の乾燥ゲルの固体骨格部は、酸化ケイ素(シリカ)または酸化アルミニウム(アルミナ)などゾルゲル反応で得られる一般的なセラミックスを成分として適用することができる。また、有機高分子の乾燥ゲルの固体骨格部としては、一般的な熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂により構成することができる。例えば、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール硬化樹脂、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチルなどを適用することができる。
【0079】
また、これらの乾燥ゲルを粉砕することによって得られる粉末(粉末乾燥ゲル)を用いてもよい。
【0080】
第2音響整合層3の材料としては、有機高分子、無機材料の繊維体、フォーム体、焼結多孔体、ガラスバルーンやプラスチックバルーンを樹脂材料で固めた材料、ガラスバルーンを熱圧縮した材料などを用いることができる。
【0081】
第2音響整合層3は、第1音響整合層2よりも密度が高く、音速が速くなり音響インピーダンスが大きくなるものがよい。より具体的には、密度が400kg/m3以上1500kg/m3以下の範囲内にあるものを用いる。この範囲の密度は、超音波の放射媒体である気体に対する音響インピーダンスの整合を大きくずらすことなく超音波の送受波するのに十分な感度を得ることができるとともに、応答性にも優れた特性を得ることができる。これ以上の密度になると圧電体の音響インピーダンスに近くなる傾向であるために、本発明の音響整合層の構成にしている効果が低下してしまうために、感度向上と応答性を両立した特性が得られにくくなる。第2音響整合層3の密度の上限は800kg/m3であってもよい。
【0082】
第2音響整合層3として、例えば、ガラスバルーンを熱硬化樹脂で成型した音響整合層や、酸化ケイ素原料と高分子ビーズを混合して焼成して高分子除去した酸化ケイ素多孔体音響整合層、ガラスバルーンを熱結着(熱圧縮)して成型した音響整合層などを好適に用いることができる。
【0083】
第2音響整合層3が連続気孔構造を有する場合には、乾燥ゲルからなる第1音響整合層2を形成するときに特に原料液の浸透が生じることがある。この場合には、浸透を生じたまま第1音響整合層2を形成することもできるが、その浸透を避けるために第2音響整合層3の表面に構造支持層を形成してもよい。ただし、第1音響整合層2が第2音響整合層3に部分的に浸透した場合には両者の密着性が上がるという効果もある。したがって、第1音響整合層2と第2音響整合層3の組合せによって構成は決定すればよい。
【0084】
第1音響整合層2と第2音響整合層3がともに無機酸化物である場合には、耐湿信頼性や、耐化学薬品性に優れるとともに、音響インピーダンスの温度特性に優れる。すなわち、無機酸化物の乾燥ゲルを用いると、25℃以上70℃以下の範囲内における音響インピーダンスの温度変化率が、−0.04%/℃以下(絶対値が0.04%/℃以下という意味)の音響整合層を得ることができる。これに対し、従来のエポキシ/ガラスバルーン系や、有機高分子ゲルを用いると、上記音響インピーダンスの温度変化率の絶対値を0.04%/℃以下とすることは難しい。
【0085】
音響インピーダンスの温度変化率が小さいと、例えば後述する超音波流量計に用いた場合、広い温度範囲に亘って高い測定精度を得ることができる。
【0086】
また、本発明における第1音響整合層と第2音響整合層が化学結合してなる構成にするのが好ましい。これによって、超音波振動に対する密着性の確保や、取り扱いの容易さや、超音波送受波器の使用時の振動に対する耐久性などに対して有効になる。この際に、第1音響整合層の乾燥ゲルの無機酸化物が酸化ケイ素である場合には、ゾルゲル反応による音響整合層の形成がしやすいために好ましい。さらに、第2音響整合層3も酸化ケイ素を用いると材質の違いによる特性への影響が低減できると思われる。この構成のときには、第2音響整合層3の酸化ケイ素の表面水酸基は、第1音響整合層2をゾルゲル反応で形成する際に存在するシラノール基と化学結合しやすいために、好ましい効果が得られる。
【0087】
また、無機酸化物を用いて音響整合層を形成すると、吸湿による耐湿性の課題が懸念されるために、無機酸化物の固体骨格部が疎水化(撥水化)されていることが好ましい。疎水化することによって、例えば、計測対象の気体中に水分や不純物が存在した場合に、それらの吸着や付着の影響を受けにくくできるので、より信頼性の高い音響整合層を得ることができる。
【0088】
無機酸化物の固体骨格部の疎水化は、例えばシランカップリング剤などの表面処理剤を用いて行う。表面処理剤としては、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、エチルトリクロルシランなどのハロゲン系シラン処理剤、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどのアルコキシ系シラン処理剤、ヘキサメチルジシロキサン、ジメチルシロキサンオリゴマーなどのシリコーン系シラン処理剤、ヘキサメチルジシラザンなどのアミン系シラン処理剤、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクタノール、デカノールなどのアルコール系処理剤などを用いることができる。
【0089】
また、これらの処理剤の有するアルキル基の水素が一部または全てがフッ素に置換したフッ素化処理剤を用いれば、疎水化(撥水性)に加えて、撥油性、防汚性などのさらに優れた効果が得られるものである。
【0090】
(実施の形態2)
図2に、本発明による実施形態の超音波送受波器に用いられる圧電振動子8の断面構造を模式的に示す。圧電振動子8は、超音波流量計の超音波送受波器に用いられる。
【0091】
電気−超音波相互変換を行う圧電振動子8は、圧電体層4と実施の形態1で説明した音響整合層1で構成されている。圧電体層4は、超音波振動を発生するもので、圧電セラミックや圧電単結晶等からなり、厚さ方向に分極され、上下面に電極(不図示)を有している。音響整合層1は、前述したように気体に超音波を送波、または気体を伝搬して来た超音波を受波するためのもので、駆動交流電圧により励振される圧電体層4の機械的振動が外部の媒体に超音波として効率よく放射され、到来した超音波が効率よく電圧に変換される役目を有し、圧電体層4における超音波の送受波面を形成する状態にして圧電体層4の片側に形成されている。
【0092】
音響整合層の機械的な強度を向上し、取り扱いを容易にするために、音響整合層1の第1音響整合層2と第2音響整合層3との間に構造支持層を設けても良い。構造支持層としては、密度が800kg/m3以上、好ましくは1000kg/m3以上であり、その構造支持層の厚さが構造支持層中を伝播する音波の波長λの八分の一未満であることが好ましい。すなわち、構造支持材層は密度が高く音速が速いことによって、その厚さが超音波発振波長よりも十分に小さいときには、超音波の送受波には影響が極めて小さくなる。構造支持層を形成する材料としては、金属材料や、セラミック、ガラスなどの無機シート、プラスチックシートなどの保護コートを用いることができる。第1音響整合層2と第2音響整合層3とを接着層(接着剤または接着シート)を介して接合した場合、接着層が構造支持層として機能する。
【0093】
圧電体層4をケースの内面に接着し、ケースの外面に音響整合層1を接着する構成を採用する場合、圧電体層4と音響整合層1との間に存在するケースを構成する上板が構造支持層として機能する。
【0094】
さらに、第1音響整合層2の表面(気体側)に構造支持層を形成してもよい。密度の高い材料で支持されるために、音響整合層1の取り扱い性が向上し、密着性が向上することによって耐久性も向上するという好ましい効果が得られる。
【0095】
(実施の形態3)
図3に、本発明による実施形態の超音波送受波器の模式的な断面図を示す。
【0096】
図3に示す超音波送受波器10Aは、実施形態1の音響整合層1と圧電体層4とを用いて圧電振動子を構成した超音波送受波器である。
【0097】
超音波送受波器10Aは、圧電体層4を内包する凹部を形成する上板5aと、凹部内の空間を密閉するように配置される底板5bとを有するケース(密閉容器)5をさらに有している。圧電体層4はケース5の上板5aの内面に結合(接着)されており、音響整合層1は、上板5aを介して圧電体層4に対向する位置に上板5aの上面に結合(接着)されている。
【0098】
圧電体層4と音響整合層1との間に存在する上板5aは、構造支持層としても機能する。上板5aの厚さは、超音波発振波長よりも十分に小さいことが好ましく、上板5a中を伝播する音波の波長λの八分の一未満であることが好ましい。また、上板5aの密度は800kg/m3以上であることが好ましく、1000kg/m3以上であることがさらに好ましい。
【0099】
ケース5を導電性材料(例えば、金属材料)で作ることによって、ケース5は構造支持部材として機能するとともに、圧電体層4を発振、または受信した超音波を検知するための電極(配線)の働きもする。圧電体層4の一対の主面に形成されている電極(不図示)は、ケース5を介して一方の端子7に接続され、他方はワイヤなどによって他方の端子7に接続されている。従って、ケース5は、一般に導電性を有する金属から形成される。なお、他方の端子7は絶縁体6によってケース5から絶縁されている。
【0100】
圧電体層4にケース5の上板5aを介して対向するように配置された音響整合層1は、圧電体層4側から超音波を放射する媒体に向かって第2音響整合層3と第1音響整合層2とをこの順で積層されている。音響整合層1をこのように配置することによって、図8(c)および図9(c)を参照しながら上述したように、感度が高く、応答性の良い超音波送受波器10が得られる。
【0101】
可燃性ガスを検知対象とする場合は、圧電体層4をケース5内に収容することで、圧電体層4をガスと隔離することができる。ケース5の内部(凹部)は窒素などの不活性ガスでパージしておくのが好ましい。このようにすると、可燃性ガスを対象とした超音波流量計に用いた場合に、安全性が高いという利点が得られる。また、可燃性ガスに接触する音響整合層の構成材料も、ガスと反応したり、燃焼したりしないものが好ましい。この観点からも、音響整合層を無機酸化物で構成することが好ましい。
【0102】
このように構成されている超音波送受波器10Aでは、駆動端子7に超音波送受波器の共振周波数近傍の周波数の交流信号成分を持つバースト信号電圧を印加すると、圧電体層4は厚さ振動モードで振動し、気体または液体中等の流体中にバースト状の超音波を放射することになる。
【0103】
(実施の形態4)
図4に、本発明の一実施の形態における超音波送受波器の断面図を示す。
【0104】
図4に示す超音波送受波器10Bは、ケース15の一部が第2音響整合層13で形成されており、圧電体層4がそのケース15の第2音響整合層13の内面に配置され、第1音響整合層12がその第2音響整合層13の圧電体層4の配置位置に対向した外面に配置されている。第2音響整合層13が構造支持層としての役割も果たしている。そのため、第2音響整合層13は比較的密度が高い材料で構成することが好ましく、第2音響整合層13だけでは超音波の放射媒体である気体との音響インピーダンスの整合は取りにくい。しかしながら、図4のように、第2音響整合層13上に第1音響整合層12をさらに積層した構成とすることによって、気体との音響インピーダンスの整合をとり、高感度化することができる。
【0105】
(実施の形態5)
図5に、本発明による実施形態の超音波送受波器の製造方法の説明図を示す。
【0106】
本実施形態の超音波送受波器の製造方法は、圧電体層または圧電体層を内面に配置したケースに第2音響整合層を形成した後に、乾燥ゲルからなる第1音響整合層を積層する工程を含む方法である。
【0107】
工程(a):第2音響整合層3を用意する。
【0108】
工程(b):圧電体層4およびケース5を用意する。
【0109】
工程(c):圧電体層4と第2音響整合層3をケース5に接着剤などを用いて接合する。
【0110】
工程(d):第2音響整合層3上に、乾燥ゲルからなる第1音響整合層を形成する。
【0111】
工程(e):電極、端子板(ケース5の底板)5bを取りつけて超音波送受波器を得る。
【0112】
第1音響整合層2を形成する工程(d)は、第2音響整合層3の上に、ゲル原料液を塗布する成膜工程、そのゲル原料液より湿潤ゲルを得る固体化工程、得られた湿潤ゲル層中の溶媒を除去して乾燥ゲルの層を得る乾燥工程とを含む。また、予め乾燥ゲルからなる第1音響整合層2を形成しておき、接着剤などを用いて第2音響整合層3上に接合してもよいが、上述した方法によると、第1音響整合層2と第2音響整合層3とを直接結合(接着層を介さず結合)できるので好ましい。
【0113】
第1音響整合層2と第2音響整合層3の積層構造の耐久性を向上するために、第1音響整合層2と第2音響整合層3とを化学結合させることもできる。例えば、第1音響整合層2を無機酸化物で構成し、第2音響整合層3を洗浄等によって表面に水酸基が存在するように処理しておくと、第1音響整合層2を無機酸化物の乾燥ゲルで形成する際に、化学結合を形成することが出来る。表面に水酸基を生成する処理方法としては、酸またはアルカリによる洗浄、水洗、紫外線照射、オゾン処理、酸素プラズマ処理などを用いて行うことができる。
【0114】
また、第2音響整合層3が連続気孔体であるときは、第1音響整合層2を形成するためのゲル原液が浸透し、さらに強固な化学結合が形成され得る。このとき、第1音響整合層2と第2音響整合層3とを同じ無機酸化物で形成することが好ましい。第1音響整合層2と第2音響整合層3とが化学的に結合することにより、音響的な結合が強くなり感度が向上するとともに、特性の安定性や信頼性が向上するので好ましい。
【0115】
(実施の形態6)
図6に、本発明による他の実施形態の超音波送受波器の製造方法の説明図を示す。
【0116】
本実施形態の超音波送受波器の製造方法は、第2音響整合層3の一方の面に、乾燥ゲルからなる第1音響整合層2を積層した音響整合層1を形成した後に、圧電体層4または圧電体層4を内面に配置したケース5に音響整合層1を貼り合わせる工程を含む製造方法である。
【0117】
工程(a):第2音響整合層3を用意する。
【0118】
工程(b):第2音響整合層3の片面に、第1音響整合層2を積層する。この積層方法は、第2音響整合層3の上に、ゲル原料液を塗布する成膜工程、そのゲル原料液より湿潤ゲルを得る固体化工程、得られた湿潤ゲル層中の溶媒を除去して乾燥ゲルの層を得る乾燥工程とを含む。また、予め乾燥ゲルからなる第1音響整合層2を形成しておき、接着剤などを用いて第2音響整合層3上に接合してもよいが、上述した方法によると、第1音響整合層2と第2音響整合層3とを直接結合(接着層を介さず結合)できるので好ましい。また、第1音響整合層と第2音響整合層の積層構造の耐久性を向上するために、実施形態6と同様の方法を用いることができる。
【0119】
工程(c):圧電体層4およびケース5を用意する。
【0120】
工程(d):第1音響整合層2と第2音響整合層3を積層した音響整合層1と、圧電体層4とケース5(c)を接着剤等によって、接合する。
【0121】
工程(e):電極、端子板(ケース5の底板)5bを取りつけて超音波送受波器を得る。
【0122】
(実施の形態7)
第1音響整合層2を乾燥ゲルの粉末を用いて形成することもできる。図7(a)に示す第1音響整合層2Aは、乾燥ゲルの粉末(以下、「粉末乾燥ゲル」ということもある。)2aと、添加剤2bとで構成されている。第1音響整合層2Aを乾燥ゲルの粉末を用いて形成することによって、湿潤ゲルの乾燥過程の不均一さに起因する特性のばらつきが抑制される。また、粉末乾燥ゲル2aを用いると、予め粉末乾燥ゲル2aを作製しておくことができるので、超音波送受波器の生産性を向上することができるという利点も得られる。すなわち、上述した超音波送受波器の製造プロセスにおいて、ゲル原料液を固体化して湿潤ゲルを得る工程およびこれを乾燥する工程を予め実行しておくことができるので、超音波送受波器の製造のスループットを向上できる。
【0123】
粉末乾燥ゲル2aの平均粒径は1μm以上100μm以下であることが好ましい。この下限値よりも小さいと粉末中の細孔数が減少して乾燥ゲルの特徴的に効果が低減されるとともに、成形する際の添加剤の必要量が増加するため低密度の音響整合層を得ることが難しくなることがある。粉末乾燥ゲル2aの平均粒径が上限値よりも大きいと、音響整合層の厚さ制御が難しくなり、厚さの均一性および表面の平坦性が十分な音響整合層を形成することが難しくなることがある。
【0124】
粉末乾燥ゲル2aを互いに結合し、音響整合層2Aの機械的な強度を向上するための添加剤(バインダ)2bとしては、熱結着性を有する高分子粉末を好適に用いることができる。液状の材料を用いると、乾燥ゲルの細孔内部に浸透し、音響特性を変えてしまったり、成形性を低下させることがあるので、固形材料、特に粉末を用いることが好ましい。
【0125】
ここで、「熱結着性高分子」とは、室温において固形で、加熱によって溶融または軟化し、その後固化する高分子を指す。熱結着性高分子は、一般的な熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのエンジニアリングプラスチック)だけでなく、例えば室温においては固形で加熱によって一旦軟化し、その後、架橋硬化する熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂)を用いることができる。また、熱硬化性樹脂が主剤と硬化剤とを含む場合、それぞれを別粉末として添加しても良い。もちろん、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して用いても良い。熱結着性高分子粉末の溶融(軟化)温度は80℃以上250℃以下の範囲にあることが好ましい。
【0126】
添加剤として熱結着性高分子を用いると、典型的には、後述するように、粉末乾燥ゲル2aと添加剤との混合粉末を加熱しながら加圧成形する際に、溶融(軟化)した添加剤が、冷却に伴って固化することにより、および/または、架橋硬化することにより、粉末乾燥ゲル2a同士を接合する役割を果たす。
【0127】
熱結着性高分子粉末の平均粒径は0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。この下限値よりも小さいと粉末乾燥ゲルの細孔径に近くなるため、結着性が低下したり、成形性が低下することがある。また上限値よりも大きいと、成形に必要な添加量が増加するため、低密度の音響整合層を得ることが難しくなることがある。
【0128】
また、熱結着性高分子粉末の添加量は全体の40質量%以下であることが好ましい。全体の40質量%を超えると、成形した際の密度が高くなってしまうことがある。また、十分な機械強度を得るためには、例えば、全体の5質量%以上添加することが好ましい。
【0129】
上記の添加剤(「添加剤A」ということがある。)と粉末乾燥ゲルとの接合を強化するために、図7(b)に模式的に示した音響整合層2Bのように、繊維(無機繊維(例えはグラスウール)や有機繊維)やウィスカなどをさらに添加しても良い(「添加剤B」ということがある。)。図7(b)の音響整合層2Bにおいて、添加剤2bは上記と同じ熱結着性高分子の粉末であり、添加剤2cは短繊維である。短繊維の好適な直径の範囲は上記の熱結着性高分子粉末の平均粒径と同程度であり、繊維の長さは数μm〜数mm程度であることが好ましい。
【0130】
2種類の添加剤の添加量は、全体に対して、40質量%以下であることが好ましく、配合比率は、必要に応じて適宜設定される。
【0131】
粉末乾燥ゲルを用いた音響整合層は、音響インピーダンスを調整しやすいという利点をさらに有している。例えば、互いに異なる密度を有する複数の種類の粉末乾燥ゲルを混合することによって、音響インピーダンスを調整することができる。さらに、上記の添加剤A(必要に応じて添加剤B)の量を調節することによって、音響インピーダンスを調整することができる。勿論、添加剤AおよびBの添加量は、成形性などを考慮して上記の範囲内とすることが好ましい。
【0132】
粉末乾燥ゲルを含む第1音響整合層2Bは、例えば、以下の方法で形成することができる。
【0133】
工程(a):多孔体からなる低密度の粉末乾燥ゲル(密度約200kg/m3〜400kg/m3)と10質量%程度(全体に対して)の添加剤Aと添加剤Bとを用意する。ここで用意する乾燥ゲルは粉末である必要は必ずしもない。ブロック状でもよい。乾燥ゲルは例えば平均細孔径が20nmのシリカ乾燥ゲルであり、添加剤Aはポリプロピレン粉末であり、添加剤Bは繊維径が10μm程度のグラスウールである。
【0134】
工程(b):これらを同一容器内に入れ、混合粉砕し、微細な紛末を作製する。典型的にはミルを用いて実行される。ここで、上述した所望の平均粒径の粉末乾燥ゲルが得られるように、粉砕条件を調整する。また、必要に応じて分級してもよい。もちろん、乾燥ゲルの粉砕工程と、混合工程とを別に行っても良い。
【0135】
工程(c):低密度の粉末乾燥ゲルと添加剤Aと添加剤Bとからなる混合粉末を所望の量秤量し、加熱しながら加圧成形する。このとき、第2音響整合層3の表面に直接加圧成形することによって、第1音響整合層2を第2音響整合層3に直接結合させることができる。
【0136】
また、粉末乾燥ゲルと添加剤AおよびBとの混合粉末とを加圧成形する前に、混合粉末の層に振動を加えるなどして、混合粉末の層の上面を平坦にすることが好ましい。このようにすることによって、得られる第1音響整合層2Aの特性をさらに均一にすることができる。
【0137】
(実施の形態8)
図11に、本発明による実施形態の超音波送受波器を用いた超音波流量計のブロック図を示す。
【0138】
図11における超音波流量計は、流量測定部51である管内を被測定流体が速度Vにて図に示す方向に流れるようにして設置される。その流量測定部51の管壁52には、本発明の超音波送受波器としての圧電振動子101および102が相対して配置されている。ここでは、圧電振動子101を超音波送波器として用い、圧電振動子102を超音波受波器として用いている。また、超音波送波器101と超音波受波器102には、これらの送受信を切り替える切替回路55を介して、超音波送受波器101および102を駆動する駆動回路54と、超音波パルスを検知する受信検知回路56、超音波パルスの伝搬時間を計測するタイマ57、タイマ57の出力より流量を演算する演算回路58、駆動回路54とタイマ57に制御信号を出力する制御回路59が接続されている。
【0139】
このように構成された超音波流量計の動作を次に説明する。被測定流体を、例えばLPガス、超音波送受波器101および102の駆動周波数を約500kHzとする。制御回路59では駆動回路54に送信開始信号を出力すると同時に、タイマ57の時間計測を開始させる。駆動回路54は送信開始信号を受けると超音波送受波器101を駆動し、超音波パルスを送信する。送信された超音波パルスは流量測定部内を伝搬し、超音波送受波器102で受信される。受信された超音波パルスは超音波送受波器102で電気信号に変換され、受信検知回路56に出力される。受信検知回路56では受信信号の受信タイミングを決定し、タイマ57を停止させ、演算回路58で伝搬時間t1を演算する。
【0140】
引き続き、切替回路55で駆動部54と受信検知回路56に接続する超音波送受波器101および102を切り替え、再び制御回路59では駆動回路54に送信開始信号を出力すると同時に、タイマ57の時間計測を開始させる。伝搬時間t1の測定と逆に、超音波送受波器102で超音波パルスを送信し、超音波送受波器101で受信し、演算回路58で伝搬時間t2を演算する。
【0141】
ここで、超音波送受波器101と超音渡送受波器102の中心を結ぶ距離をL、LPガスの無風状態での音速をC、流量測定部51内での流速をV、被測定流体の流れの方向と超音波送受波器101および102の中心を結ぶ線との角度をθとすると、伝搬時間t1、t2はそれぞれ求められる。また、距離Lは既知であるので時間t1とt2を測定すれば流速Vが求められ、その流速Vから流量を調べることができることとなる。
【0142】
[実施例]
以下に、本発明の具体的な実施例について述べる。
【0143】
(実施例1)
本発明の超音波送受波器の製造を以下のように行った。
【0144】
(a)第2音響整合層(ガラスエポキシ)の製造
治具にガラスバルーンを充填した後にエポキシ溶液を含浸させて、120℃で熱硬化させた。この硬化成型体を超音波発振波長の四分の一の厚さとなるように切削した。
【0145】
なお、超音波約500kHzに対して、音速2500m/s、密度500kg/m3、厚さ1.25mmであった。
【0146】
(b)第2音響整合層と圧電体およびケースとの接合
ケースの天面の両側に接着剤を印刷し、圧電体層の片面および第2音響整合層の片面に接着剤を印刷した。この状態で圧電体と第2音響整合層とケースを合わせて加圧しながら加熱して硬化接合した。
【0147】
(c)第1音響整合層の積層
まず、ケイ酸ソーダの電気透析を行い、pH9〜10のケイ酸水溶液(水溶液中のシリカ成分濃度14重量%)を作る。そのケイ酸水溶液のpHを5.5に調整したのちに、予め紫外線照射によって水酸基を表面に形成するように洗浄した第2音響整合層上に、厚さ90μmとなるように塗布を行った。この後に塗膜がゲル化して固体化したシリカ湿潤ゲル層を得た。この容器を二酸化炭素を使用して12MPa、50℃で超臨界乾燥させることで、シリカ乾燥ゲル第1音響整合層とガラスエポキシ第2音響整合層とを積層した音響整合層を形成した圧電振動子ケースを得た。
【0148】
なお、シリカ乾燥ゲルからなる第1音響整合層は、超音波約500kHzに対して、音速180m/s、密度200kg/m3であった。
【0149】
(d)超音波送受波器の形成
音響整合層を形成したケースに蓋板、駆動端子等を組み付けて超音波送受波器を得た。
【0150】
(実施例2)
本発明の超音波送受波器の製造を以下のように行った。
【0151】
(a)第2音響整合層(シリカ多孔体)の製造
数十μm径の球状アクリル樹脂と径1μm以下の焼結シリカ粉末を混合した後に加圧成型を行った。この成型体を乾燥した後に、900℃で焼成してシリカ多孔体を形成した。その後に厚さが超音波発振波長の四分の一になるように調製した。
【0152】
なお、超音波約500kHzに対して、音速1500m/s、密度570kg/m3、厚さ750μmであった。
【0153】
(b)第2音響整合層と第1音響整合層の積層
テトラメトキシシランとエタノールとアンモニア水溶液(0.1規定)をモル比で1対3対4になるように調製したゲル原料液を、予めプラズマクリーニングによって水酸基を表面に形成するように洗浄した第2音響整合層上に、厚さ90μmとなるように塗布を行った。この後に塗膜がゲル化して固体化したシリカ湿潤ゲル層を得た。
【0154】
このシリカ湿潤ゲル層を形成した第2音響整合層をトリメチルエトキシシランの5重量%ヘキサン溶液中で疎水化処理を行った後に、二酸化炭素による超臨界乾燥(12MPa、50℃)を行って、シリカ乾燥ゲルと第2音響整合層が積層した音響整合層を得た。
【0155】
なお、第2音響整合層上の水酸基とテトラメトキシシランのアルコキシ基が反応して化学結合をしているため、密着性の良い音響整合層を提供できる。
【0156】
なお、シリカ乾燥ゲルからなる第1音響整合層は、超音波約500kHzに対して、音速180m/s、密度200kg/m3であった。
【0157】
(c)音響整合層とケース、圧電体層との接合
ケースの天面の両側にエポキシ系接着シートを仮結着したのちに、圧電体の片面および第2音響整合層面とケースを合わせて加圧しながら加熱して硬化接合した。
【0158】
(d)超音波送受波器の形成
ケースに蓋板、駆動端子等を組み付けて超音波送受波器を得た。
【0159】
(実施例3)
本発明の超音波送受波器の製造を以下のように行った。
【0160】
(a)第2音響整合層(シリカ多孔体)の製造
粒径が数μmから数十μmの焼結シリカ粉末を成型し、得られた成型体を900℃で焼成して、厚さが超音波発振波長の約四分の一のシリカ多孔体を形成した。なお、このシリカ多孔体からなる第2音響整合層は、超音波(約500kHz)に対して、音速が約4000m/s、密度が約1200kg/m3、厚さが約2mmであった。
【0161】
この第2音響整合層(シリカ多孔体)の片面に構造支持層として、厚さ3μmのガラス層(密度約3000kg/m3)を形成した。このガラス層の音速はおおよそ5000m/s以上であるため、超音波約500kHzに対して伝搬する音波の波長は1cmより大きくなる。形成したガラス層の厚さは波長の八分の一よりも十分に小さいために、音響整合に関しては影響がない。
【0162】
(b)第2音響整合層と第1音響整合層の積層
(a)で形成したシリカ多孔体のガラス層面に,実施例2と同様に形成したシリカ湿潤ゲルを40℃から70℃に加熱しながら疎水化したのちに、窒素気流下で80℃にて加熱乾燥して、シリカ乾燥ゲルからなる第1音響整合層を第2音響整合層に積層した音響整合層を得た。
【0163】
なお、シリカ乾燥ゲルからなる第1音響整合層は、超音波約500kHzに対して、音速180m/s、密度200kg/m3であった。
【0164】
(c)音響整合層とケース、圧電体との接合
ケースの天面の両側にエポキシ系接着シートを仮結着したのちに、圧電体の片面および第2音響整合層面とケースを合わせて加圧しながら加熱して硬化接合した。
【0165】
(d)超音波送受波器の形成
ケースに蓋板、駆動端子等を組み付けて超音波送受波器を得た。
【0166】
(比較例1)
実施例1で作製した第2音響整合層(ガラスエポキシ)のみの超音波送受波器を形成した。
【0167】
(比較例2)
実施例1に記載した方法で圧電振動子のケース上にシリカ乾燥ゲルのみを音響整合層として作製した超音波送受波器を得た。
【0168】
以下に、上述の実施例1から3、および比較例1と2の超音波500kHzでの送受波特性を比較した。それぞれの実施例、比較例で作製した超音波送受波器を一対対向して超音波流量計を形成した。そのときに、一方の超音波送受波器から発信した音波を他の超音波送受波器で受信したときの出力波形にて評価を行った。
【0169】
なお、図8(a)から(c)は、その一例(比較例1、比較例2、実施例2)を示したものである。
【0170】
感度:(実施例2)≒(実施例3)>(実施例1)>(比較例2)≫(比較例1)
立ち上り応答性:(実施例1)≒(実施例2)≒(実施例3)≧(比較例1)≫(比較例2)
【0171】
上記のように、感度に関しては、従来から一般に用いられている比較例1の音響整合層に対して、実施例1では約10倍、実施例2および実施例3では約20倍の優れた特性を示した。また、立ち上り応答性に関しては、従来から一般に用いられている比較例1の音響整合層に対して、実施例1、2および3では同等か、それより若干良い特性であった。すなわち、図8(a)の比較例1では超音波の波頭が5波目でピークになるのに対して、図8(c)の実施例2では超音波の波頭が4波目でピークになっていた。したがって、実施例で作製した本発明の超音波送受波器では、感度および立ち上り応答性がともに従来よりも優れた特性が得られることがわかった。
【0172】
(実施例4)
本発明の超音波送受波器の製造を以下のように行った。
【0173】
(a)第2音響整合層(シリカ多孔体)の製造
実施例3と同様に数μm径から数十μm径の焼結シリカ粉末を成型し、得られた成型体を900℃で焼成して、厚さが超音波発振波長の約四分の一のシリカ多孔体を形成した。なお、このシリカ多孔体からなる第2音響整合層は、超音波約500kHzに対して、音速が約4000m/s、密度が約1200kg/m3、厚さが約2mmであった。
【0174】
(b)第2音響整合層と第1音響整合層の積層
(a)で形成したシリカ多孔体に、テトラエトキシシランのシリコーンオリゴマーを原料として、イソプロピルアルコール溶媒中、アンモニア触媒でシリカ湿潤ゲルを形成した。70℃で湿潤ゲルを熟成した後に、ジメチルジメトキシシランによる疎水化処理を行った。その後に、自然放置で溶媒を乾燥除去して、シリカ乾燥ゲルからなる第1音響整合層を第2音響整合層に積層した音響整合層を得た。
【0175】
なお、シリカ乾燥ゲルからなる第1音響整合層は、超音波(約500kHz)に対して、音速が約300m/s、密度が約420kg/m3であった。この第1音響整合層の部分を厚さ150μmに加工して、最終的な音響整合層とした。
【0176】
(c)音響整合層とケース、圧電体層との接合
凹構造のケースの上板の両側にエポキシ系接着剤を塗布した後に、圧電体層の片面および音響整合層の第2音響整合層側の面を接着剤層を介してケースの上板に貼り合わせ、加圧しながら接着剤を加熱して硬化することによって、音響整合層および圧電体層をケースの上板に接合した。
【0177】
(d)超音波送受波器の形成
ケースの蓋板(底板)、駆動端子等を組み付けて超音波送受波器を得た。
【0178】
このように作製した超音波送受波器についても、1対で送受信特性を評価したところ、感度、立上り応答性についても、比較例1、比較例2よりも優れた特性が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明による実施形態の音響整合層の模式的な断面図である。
【図2】本発明による実施形態の圧電振動子の模式的な断面図である。
【図3】本発明の第3の形態として示す超音波送受波器の断面図である。
【図4】本発明の第4の形態として示す超音波送受波器の断面図である。
【図5】本発明による実施形態の超音波送受波器の製造方法における工程(a)から(e)を模式的に示す図である。
【図6】本発明による他の実施形態の超音波送受波器の製造方法における工程(a)から(e)を模式的に示す図である。
【図7】(a)および(b)は、本発明の実施形態の音響整合層に好適に用いられる粉末乾燥ゲルを含む第1音響整合層の構造を模式的に示す図である。
【図8】(a)から(c)は、本発明で用いた超音波送受波器の受信出力特性を示す図であり、(a)は単一音響整合層(ガラスエポキシ)を用いた場合の特性図、(b)は単一音響整合層(シリカ乾燥ゲル)を用いた場合の特性図、(c)は2層音響整合層(シリカ乾燥ゲル、シリカ多孔体)を用いた場合の特性図である。
【図9】(a)から(c)は、本発明で用いた超音波送受波器の振動変位周波数特性を示す図であり、(a)は単一音響整合層(ガラスバルーン/エポキシ系)を用いた場合の特性図、(b)は単一音響整合層(シリカ乾燥ゲル)を用いた場合の特性図、(c)は2層音響整合層(シリカ乾燥ゲル、シリカ多孔体)を用いた場合の特性図である。
【図10】従来の超音波送受波器の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の超音波送受波器を用いた超音波流量計を示すブロック図である。
【図12】一般的な超音波流量計の測定原理を説明するための断面図である。
Claims (21)
- 圧電体層と気体との音響インピーダンスを整合させる音響整合層であって、
密度が50kg/m3以上500kg/m3以下の範囲内にある第1音響整合層と、
密度が400kg/m3以上1500kg/m3以下の範囲内にある第2音響整合層と、を有し、かつ、前記第1音響整合層の密度は前記第2音響整合層の密度よりも小さい、音響整合層。 - 前記第1音響整合層の密度は50kg/m3以上400kg/m3以下の範囲内にあり、前記第2音響整合層の密度は400kg/m3超800kg/m3以下の範囲内にある、請求項1に記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層の音響インピーダンスZaと前記第2音響整合層の音響インピーダンスZbとの関係が、Za<Zbである請求項1または2に記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層の厚さが、前記第1音響整合層中を伝播する音波の波長λの略四分の一である請求項1から3のいずれかに記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層の音響インピーダンスが5×104kg/s・m2以上20×104kg/s・m2以下の範囲内にある請求項1から4のいずれかに記載の音響整合層。
- 前記第2音響整合層の厚さが、前記第2音響整合層中を伝播する音波の波長λの略四分の一である請求項1から5のいずれかに記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層と前記第2音響整合層がともに無機酸化物を含む、請求項1から6のいずれかに記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層は乾燥ゲルを含む、請求項1から7のいずれかに記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層は乾燥ゲルの粉末を含む、請求項8に記載の音響整合層。
- 前記乾燥ゲルの固体骨格部が無機酸化物を含む、請求項8または9に記載の音響整合層。
- 前記無機酸化物が酸化ケイ素である請求項10に記載の音響整合層。
- 前記無機酸化物の固体骨格部が疎水化されている、請求項10または11に記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層と前記第2音響整合層とが直接結合されている請求項1から12のいずれかに記載の音響整合層。
- 前記第1音響整合層と前記第2音響整合層との間に構造支持層をさらに有し、
前記構造支持層の密度が1000kg/m3以上であり、前記構造支持層の厚さが前記構造支持層中を伝播する音波の波長λの八分の一未満である請求項1から12のいずれかに記載の音響整合層。 - 圧電体層と、前記圧電体層上に設けられた請求項1から14のいずれかに記載の音響整合層とを備え、前記第2音響整合層が前記圧電体層側に配置されている、超音波送受波器。
- 前記音響整合層が前記圧電体層上に直接結合されている、請求項15に記載の超音波送受波器。
- 前記圧電体層を内包する凹部を形成する上板と、前記凹部内の空間を密閉するように配置される底板とを有するケースをさらに有し、
前記圧電体層は前記ケースの前記上板の内面に接着されており、
前記音響整合層は、前記上板を介して前記圧電体層に対向するように前記上板の上面に結合されている、請求項15に記載の超音波送受波器。 - 前記ケースが金属材料から形成されている請求項17に記載の超音波送受波器。
- 前記ケースの前記上板が前記第2音響整合層と一体に形成されている、請求項17に記載の超音波送受波器。
- 請求項15から19のいずれかに記載の超音波送受波器の製造方法であって、
前記圧電体層上または前記圧電体層を前記内面に接合した前記上板上に前記第2音響整合層を形成する工程と、
その後で、前記第2音響整合層上に乾燥ゲルからなる前記第1音響整合層を形成する工程と、
を包含する超音波送受波器の製造方法。 - 請求項15から19のいずれかに記載の超音波送受波器の製造方法であって、
前記第2音響整合層上に、乾燥ゲルからなる前記第1音響整合層を形成し、前記音響整合層を得る工程と、
前記圧電体層上または前記圧電体層を前記内面に接合した前記上板上に前記音響整合層を接合する工程と、
を包含する超音波送受波器の製造方法。
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