JP2004085579A - 超音波流量計 - Google Patents

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橋本 和彦
Taku Hashida
橋田 卓
Masaaki Suzuki
鈴木 正明
Masahiko Hashimoto
橋本 雅彦
Hidetomo Nagahara
永原 英知
Seigo Shiraishi
白石 誠吾
▲高▼原 範久
Norihisa Takahara
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Abstract

【課題】 従来よりも特性のばらつきが低減された音響整合層を備える超音波流量計を提供する。
【解決手段】 被測定流体が流れる流量測定部と、流量測定部に設けられ超音波信号を送受信する一対の超音波送受波器と、超音波送受波器間の超音波伝搬時間を計測する計測回路と、計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算回路とを備える超音波流量計であって、一対の超音波送受波器のそれぞれは、圧電体層と、圧電体層上に設けられた音響整合層とを備え、音響整合層3Aは、乾燥ゲルの粉末3aを含む。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、音響インピーダンスを整合(マッチング)するために用いられる音響整合層、超音波の送受信を行う超音波送受波器、およびこれらの製造方法、ならびにこれらを用いた超音波流量計に関するものである。
  図10は、従来の超音波発生器(「圧電振動子」ということもある。)10の構成を模式的に示す断面図である。超音波発生器10は、ケース1、圧電体層(振動手段)2と、音響インピーダンス整合層(整合手段、以下、「音響整合層」という。)である。ケース1と圧電体層2とは接着剤(例えばエポキシ系)からなる接着層を用いて接着されている。ケース1と音響整合層100とは、同様に接着剤を用いて接続されている。圧電体層は約500kHzで振動し、その振動は接着層(不図示)を介してケース1に伝わり、さらに接着層を介して音響整合層100に伝わる。音響整合層100の振動は空間に存在する気体に音波として伝搬する。なお、簡単のために説明を省略するが、圧電体層2を厚さ方向に分極させるための一対の電極(不図示)が圧電体層2の両面に設けられており、超音波発生器10は、圧電体層2によって、電気エネルギーと機械エネルギーとを相互に変換することができる。ケース1は、圧電体層2を内包する凹部を形成する上板1aと、凹部内の空間を密閉するように配置される底板1bとを有し、圧電体層2は凹部内に密閉されている。圧電体層2の一対の主面に形成されている電極の一方は、ケース1を介して端子5aに接続され、他方は端子5bに接続されている。従って、ケース1は、一般に導電性を有する金属から形成される。
 音響整合層100の役割は圧電体層2の振動を効率良く気体に伝搬させることにある。物質の音速Cと密度ρとで(1)式のように定義される音響インピーダンスZが圧電体層2と気体とで大きく異なる。
 Z=ρ×C・・・(1)
 圧電体層2を構成する圧電体の音響インピーダンスZ1は30×106(kg/s・m2)で気体、例えば空気の音響インピーダンスZ3は4.28×102(kg/s・m2)である。圧電体と金属の音響インピーダンスはほぼ等しい。このように音響インピーダンスの異なる境界面上では音(振動)の伝搬に反射が生じるようになり、その結果、透過する音の強さが弱くなる。ところが、2つの異なる音響インピーダンスの物質の間に別の音響インピーダンスを持つ物質を挿入することによって、音の反射を軽減することができる。
 圧電体層2と空間(音波が放出される側の気体媒体)との間に下記(2)式の関係を満たす音響インピーダンスZ2を持つ物質を挿入することにより音の反射をなくせることが一般に知られている。
 Z2=(Z1・Z3)1/2・・・(2)
 上述のZ1=30×106(kg/s・m2)およびZ3=4.28×102(kg/s・m2)を用いると、このZ2の値は0.11×106(kg/s・m2)となる。この音響インピーダンスを満たす物質は、固体で密度が小さく音速の遅いものであることが要求される。
 PZT等の圧電体を用いた気体用超音波発生器においても、一般に、PZTで発生した超音波を伝搬媒体である気体(空気)に効率良く放射するため、その振動面に空気との音響インピーダンスを整合するための整合層が設けられる。PZTで発生した超音波を空気中に放射する超音波トランスデューサでは、空気(気体)の音響インピーダンスZ1(約400kg/s・m2)がPZT(固体)の音響インピーダンスZ3(約30×105kg/s・m2)に対して略10万分の1と桁違いに小さいため、超音波を効率良く放射するためには、音響整合層の音響インピーダンスが極めて重要になる。
 従来、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電セラミックスから構成された圧電体層(「超音波振動子」ということもある。)の振動面に設けられる音響整合層として、図11に示すように、ガラスバルーン(中空の微小なガラス球)110が混入されたエポキシ樹脂112からなる音響整合層100が知られている。音響整合層100は微小なガラスバルーン110をエポキシ樹脂112で固めたものを用いて密度を小さくしている。ガラスバルーン110は音響整合層を伝わる音の波長よりも十分小さくする必要があるので、直径が100μm以下のものを用いている。
 音響整合層100を透過して気体に伝達する音の強さは音響整合層100の厚さ(音響整合層中を音波が伝播する距離)にも関係する。圧電体層2からの音の波は透過する波と、音響整合層100と気体との境界面で反射する波とに分かれる。反射した波は音響整合層100と圧電体層2との境界面で反射し、この場合、位相が反転した波となる。この波の一部が音響整合層100と気体との境界面で透過する波となる。これらの波が合成されることによって、透過率Tが最大となる厚さtを求めると、t=λ/4となる。
 ガラスバルーン110を含む音響整合層100を用いた場合、その音速は2000m/sなので、音の周波数が500kHzの場合は、音響整合層100中を伝播する音の波長λは4mmとなる。従って音響整合層100の厚さtは1mmが最適値となる。
 超音波振動子の振動面に音響整合層を設けた場合の超音波振動子から外部伝搬媒体への超音波エネルギー透過率Tを求める理論式は、音響整合層の厚さtをλ/4の整数倍に設定すると下記(3)式のように簡素化されて表される。
 T=4・Z1・Z3・Z22/(Z1・Z3+Z222・・・(3)
 従来のガラスバルーン入りエポキシ樹脂を用いた音響整合層100において、空気に対する超音波エネルギー透過率Tと音響整合層100の音響インピーダンスZ2との関係を検討すると、ガラスバルーン入りエポキシ樹脂の音響インピーダンスはおよそ1.2×106kg/s・m2で、Z22≒1.44×1012となるのに対し、上述の例ではZ1・Z3はZ1・Z3=400×1.2×106=4.8×108で、Z1・Z3≪Z22となるので上記(3)式は、更にT≒4・Z1・Z3/Z22に近似され、超音波エネルギー透過率Tは音響整合層100の音響インピーダンスZ2の2乗に反比例することがわかる。すなわち、音響整合層100の音響インピーダンスZ2は小さい程、超音波エネルギー透過率Tは向上する。
 また、図9は上述した超音波発生器10を備える超音波流量計の構成を模式的に示す図である。ここでは、一対の超音波発生器10を一対の超音波送受波器101および102として用いている。
 一対の超音波発生器101および102は、図9に示すように、気体の流路51を規定する管(管壁)52の内部に配置される。超音波送受波器101または102が割れると気体が管52の外部に漏れるので、超音波送受波器101および102のケース(図9のケース1)の材料にはセラミックや樹脂などの割れやすい材質を選択することが困難である。従って、ケースの材料にはステンレス、鉄などの金属材料が用いられる。
 今、図9に示すように、流路51に流体が速度Vにて、流路に沿って太線矢印で示す方向に流れているとする。管壁52の内側には、一対の超音波送受波器101および102が互いに相対して設置されている。超音波送受波器101および102は、電気エネルギー/機械エネルギー変換素子として、圧電セラミック等の圧電振動子を用いて構成されていて、圧電ブザー、圧電発振子と同様に共振特性を示す。ここでは、例えば、超音波送受波器101を超音波送波器として用い、超音波送受波器102を超音波受波器として用いる。また、超音波送波器101と超音波受波器102には、これらの送受信を切り替える切替回路55を介して、超音波送受波器101,102を駆動する駆動回路54と、超音波パルスを検知する受信検知回路56、超音波パルスの伝搬時間を計測するタイマ57、タイマ57の出力より流量を演算によって求める演算部58、駆動回路54とタイマ57に制御信号を出力する制御部59が接続されている。
 超音波流量計の動作を以下に説明する。
 まず、共振周波数近傍の周波数の交流電圧を超音波送波器101の圧電体層に印加すると、超音波送波器101は外部の流体中に同図中のLで示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波受波器102が伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。
 続いて、反対に超音波送受波器102を超音波送波器として用い、超音波送受波器101を超音波受波器として用いる。共振周波数近傍の周波数の交流電圧を超音波送波器102の圧電体層に印加することにより、超音波送波器102は外部の流体中に同図中のLで示す伝搬経路に超音波を放射し、超音波受波器101は伝搬してきた超音波を受けて電圧に変換する。このように、超音波送波器101および102は、受波器としての役目と送波器としての役目を果たすので、一般に超音波送受波器と呼ばれる。伝播経路L内の超音波の伝播方向は、伝播経路L内に示した矢印(双方向)である。
 図9において、管52の中を流れる流体の流速をV、流体中の超音波の速度をC、流体の流れる方向(太線矢印)と超音波パルスの伝搬方向(L内の矢印)の角度をθとする。超音波送受波器101を送波器、超音波送受波器102を受波器として用いたときに、超音波送受波器101から出た超音波パルスが超音波送受波器102に到達する時間であるシング・アラウンド周期をt1、シング・アラウンド周波数f1とすれば、次式(4)が成立する。
 f1=1/t1=(C+Vcosθ)/L・・・(4)
 逆に、超音波送受波器102を送波器として、超音波送受波器101を受波器として用いたときのシング・アラウンド周期をt2、シング・アラウンド周波数f2とすれば、次式(5)の関係が成立する。
 f2=1/t2=(C−Vcosθ)/L ・・・(5)
 従って、両シング・アラウンド周波数の周波数差Δfは、次式(6)となり、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfから流体の流速Vを求めることができる。
 Δf=f1−f2=2Vcosθ/L ・・・(6)
 すなわち、超音波の伝搬経路の距離Lと周波数差Δfから流体の流速Vを求めることができ、その流速Vから流量を調べることができる。
 従来の超音波発生器においては、音響整合層の音響インピーダンスを低く抑えるために、密度が小さな材料、例えばガラスバルーンやプラスチックバルーンを樹脂材料などで固めた材料を用いて音響整合層を形成していた。また、ガラスバルーンを熱圧縮する方法、あるいは、溶融材料を発泡させる等の方法によって音響整合層を形成していた。これらの方法は、例えば特許第2559144号公報等に開示されている。
 従来の音響整合層は、エポキシ樹脂に超音波の波長に比べて粒径の小さいガラスバルーンを混入することにより(すなわち、エポキシ樹脂内に超音波を乱反射させないような音響インピーダンスの小さい空気の隙間を散在させることにより)音響整合層の音響インピーダンスZ2を低下させるものであるから、エポキシ樹脂に対するガラスバルーンの混合比率を高めて音響インピーダンスの一層の低下を図ることも考えられるが、ガラスバルーンの混合比率を高くすると、ガラスバルーン入りのエポキシ樹脂剤の粘度が高くなり、ガラスバルーンとエポキシ樹脂剤とを均―に混合することが困難となるので、エポキシ樹脂剤に対するガラスバルーンの混合比率を高めるには一定の限界がある。従って、ガラスバルーン入リエポキシ樹脂でより一層、音響インピーダンスの低い音響整合層を製造することは困難である。
 また、上記従来のガラスバルーン入リエポキシ樹脂からなる音響整合層の音響インピーダンスはおよそ1.2×106kg/s・m2であり、エポキシ樹脂のみからなる音響整合層の音響インピーダンスに対して略2/3であり、エポキシ樹脂のみからなる音響整合層を用いたものに比べると、超音波エネルギー透過率Tは9/4倍に改善される。
 しかし、それでも上記(3)式よリガラスバルーン入リエポキシ樹脂からなる音響整合層を用いた場合の超音波エネルギー透過率Tを算出すると、T≒3%であるから、十分でないことが分かる。
 また、超音波流量計に使用している従来の超音波送受波器に使用している音響整合層は、上述したようにガラスバルーンを熱圧縮したり、溶融材料を発泡する等の方法が採られていた。このため、圧力によるガラス球の破損、圧力不足による分離、剥離溶融材料の発泡等の原因によって媒質が不均質になり易く、音響整合層内で特性にバラツキが生じ、これが機器精度のバラツキを発生させているという問題があった。
 さらに、上記従来のガラスバルーン入リエポキシ樹脂からなる音響整合層の製造工程においては、ガラスバルーン入りエポキシ樹脂の硬化物を所望の大きさおよび/または厚さにするために、切断および/または表面研磨などの機械加工を施していたため、音響整合層の厚さが好ましい値からずれたり、または厚さが不均一となったり、あるいは表面に凹凸が形成されるという問題があり、超音波送受波器としての十分な性能を得ることができなかった。
 一方、本出願人は、特願2001−56501号(出願日:2001年2月28日)に、乾燥ゲルを用いて音響整合層を形成することによって、従来のガラスバルーン入リエポキシ樹脂を用いる場合よりも、例えば音響整合層内の特性のばらつきを低減できることを記載している。
 しかしながら、例えば、超音波流量計などのさらな高性能化のために、乾燥ゲルを用いた音響整合層の特性のばらつきをさらに低減することが望まれている。
 本発明者が検討した結果によると、音響整合層の厚さのばらつきは、従来よりも小さいものの、乾燥ゲルを用いた場合にも発生する。また、湿潤ゲルを乾燥させることによって乾燥ゲルを形成すると、乾燥過程の不均一さに起因する特性のばらつきがあることがわかった。
 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、従来よりも特性のばらつきが低減された音響整合層を提供すること、およびそのような音響整合層を備える超音波送受波器ならびに超音波流量計を提供することにある。また、そのような音響整合層および超音波送受波器の製造方法を提供することにある。
 本発明の第1の局面による音響整合層は乾燥ゲルの粉末を含む。
 ある実施形態において、前記乾燥ゲルの密度が500kg/m3以下であり、平均細孔直径が100nm以下である。
 ある実施形態において、前記乾燥ゲルの粉末の平均粒径が1μm以上100μm以下の範囲内にある。
 ある実施形態において、前記乾燥ゲルの固体骨格部が、無機酸化物を含む。前記固体骨格部は疎水化されていることが好ましい。
 ある実施形態において、前記無機酸化物は、酸化ケイ素または酸化アルミニウムである。
 ある実施形態において、熱結着性高分子の粉末を全体の40質量%以下含む。
 ある実施形態において、前記熱結着性高分子の粉末は、平均粒径が0.1μm以上50μm以下の範囲内にある。
 ある実施形態において、音響インピーダンスが5×104kg/s・m2以上20×104kg/s・m2以下の範囲内にある。
 ある実施形態において、25℃以上70℃以下の範囲内における音響インピーダンスの温度変化率が、−0.04%/℃以下(絶対値が0.04%/℃以下)である。
 ある実施形態において、前記音響整合層中を伝播する音波の波長λの約4分の1の厚さを有する。
 本発明の第1の局面による超音波送受波器は、圧電体層と、前記圧電体層上に設けられた上記のいずれかの音響整合層とを備える。
 ある実施形態において、前記音響整合層が前記圧電体層上に直接結合されている。
 ある実施形態において、前記圧電体層を内包する凹部を形成する上板と、前記凹部内の空間を密閉するように配置される底板とを有するケースをさらに有し、前記圧電体層は前記ケースの前記上板の内面に接着されており、前記音響整合層は、前記上板を介して前記圧電体層に対向するように前記上板の上面に直接結合されている。
 本発明の第1の局面による超音波流量計は、被測定流体が流れる流量測定部と、前記流量測定部に設けられ超音波信号を送受信する一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器間の超音波伝搬時間を計測する計測回路と、前記計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算回路とを備える超音波流量計であって、前記一対の超音波送受波器のそれぞれは、上記のいずれかに記載の超音波送受波器で構成されている。
 本発明の第1の局面による音響整合層の製造方法は、乾燥ゲルの粉末と熱結着性高分子の粉末との混合粉末を用意する工程と、前記混合粉末を加圧成形する工程とを包含する。
 ある実施形態において、前記混合粉末を用意する工程は、前記乾燥ゲルを用意する工程と、前記熱結着性高分子の粉末を用意する工程と、前記乾燥ゲルと前記熱結着性高分子の粉末とを混合しながら粉砕する工程とを包含する。
 ある実施形態において、前記混合粉末を加圧成形する工程は、前記混合粉末を加熱する工程を包含する。
 ある実施形態において、前記混合粉末を加圧成形する工程は、加圧成形によって得られる前記混合粉末の成形体の厚さを所定の厚さに制御する工程を包含する。
 ある実施形態において、前記混合粉末を加圧成形する工程は、下側成形面上に所定量の前記混合粉末を供給する工程と、前記下側成形面上に供給された前記混合粉末が形成する層の上面を平坦化する工程とを包含する。
 本発明の第1の局面による超音波送受波器の製造方法は、圧電体層と、前記圧電体層上に設けられた音響整合層とを備えた超音波送受波器の製造方法であって、前記音響整合層を上記のいずれかの製造方法によって形成する工程を包含する。
 ある実施形態において、前記音響整合層は前記圧電体層上に直接接合される。
 ある実施形態において、前記超音波送受波器は、前記圧電体層を内包する凹部を形成する上板と、前記凹部内の空間を密閉するように配置される底板とを有するケースをさらに有し、前記音響整合層は前記ケースの前記上板の上面に直接接合される。
 本発明の第2の局面による超音波送受波器の製造方法は、圧電体層と、前記圧電体層上に設けられた音響整合層とを備えた超音波送受波器の製造方法であって、前記音響整合層を形成するプロセスが、(a)ゲル原料液を調製する工程と、(b)前記音響整合層が形成される面上に、所定の高さを有する厚さ規制部材を設ける工程と、(c)前記面上に前記ゲル原料液を付与する工程と、(d)前記面上に付与された前記ゲル原料液が形成する液層の厚さを前記厚さ規制部材の高さに略一致させる工程と、(e)前記ゲル原料液から湿潤ゲルを形成する固体化工程と、(f)前記湿潤ゲルに含まれる溶媒を除去することによって乾燥ゲルを形成する乾燥工程とを包含する。第2の局面の超音波送受波器の製造方法によると、音響整合層の厚さが所定の厚さに制御されるので、厚さのばらつきに起因する特性のばらつきが抑制される。
 ある実施形態において、前記音響整合層は、前記圧電体層側に配置された第1音響整合層と、前記第1音響整合層上に設けられた第2音響整合層を有し、前記第2音響整合層を形成するプロセスが、前記工程(a)〜(f)を包含する。
 ある実施形態において、前記厚さ規制部材の高さは、対応する音響整合層中を伝播する音波の波長λの約4分の1である。
 本発明による音響整合層に用いられる乾燥ゲルは、無機酸化物を固体骨格部とする乾燥ゲルであっても良いし、有機高分子を固体骨格部とする乾燥ゲルであっても良い。
 本発明の第1の局面による音響整合層は、乾燥ゲルの粉末を含むので、湿潤ゲルの乾燥過程の不均一さに起因する特性のばらつきが抑制される。
 本発明の第2の局面によると、音響整合層の製造プロセスにおいて、音響整合層の厚さが制御される。従って、音響整合層の厚さのばらつきや表面の凹凸に起因する特性のばらつきが抑制される。
 さらに、無機酸化物または有機高分子の乾燥ゲルの形成時に、圧電体表面または容器(ケース)表面のOH基と原料の成分が反応して化学的に結合されて貼り付けられるので、接着層の無い、いわゆる接着層レスの超音波送受波器が得られるという優れた効果も得られる。
 また、従来の音響整合層の上層に、この厚さ精度の高い、無機酸化物または有機高分子の乾燥ゲルからなる音響整合層を形成することによって、さらに高感度な超音波送受波器が得られる。
 本発明の第1の局面による音響整合層は、乾燥ゲルの粉末を含む。音響整合層を乾燥ゲルの粉末を用いて形成することによって、湿潤ゲルの乾燥過程の不均一さに起因する特性のばらつきが抑制される。
 図1(a)および(b)に、本発明の第1の局面による実施形態の音響製造層の構造を模式的に示す。
 図1(a)に示す音響整合層3Aは、乾燥ゲルの粉末(以下、「粉末乾燥ゲル」ということもある。)3aと、添加剤3bとで構成されている。
 本明細書における「乾燥ゲル」とは、ゾルゲル反応によって形成される多孔体であり、ゲル原料液の反応によって固体化した固体骨格部が溶媒を含んで構成された湿潤ゲルを経て、乾燥して溶媒除去することで形成されるものである。
 乾燥ゲルを得るために、湿潤ゲルから溶媒除去して乾燥する方法としては、超臨界乾燥、凍結乾燥などの特別な条件の乾燥方法や、加熱乾燥、減圧乾燥、自然放置乾燥などの通常の乾燥方法を用いることができる。
 超臨界乾燥は、溶媒をその臨界点以上の温度、圧力条件にした超臨界状態で除去する方法であり、気液界面がなくゲルの固体骨格部に乾燥ストレスを与えることがないため収縮したりすること無く、非常に低密度の乾燥ゲルを得ることができる。その反面、超臨界乾燥で得た乾燥ゲルは、使用環境におけるストレス、例えば結露や熱ストレス、薬品ストレス、機械ストレス等の影響を受けることもある。
 それに対して、通常の乾燥方法によって得られる乾燥ゲルは、乾燥ストレスに耐え得るために、その後の使用環境におけるストレスに対しても耐久性が高いという特徴がある。このような通常の乾燥方法で低密度の乾燥ゲルを得るためには、乾燥する前に湿潤ゲルの段階で、固体骨格部がストレスに耐え得るようにしておく必要がある。例えば、固体骨格部を熟成して強度を増したり、疎水化する際に固体骨格部を補強するように温度条件や重合しやすい多官能の疎水化剤を適用したり、細孔の大きさを制御したりすることで実現することができる。特に、気体の流量を計測する際には、いろいろな環境で使用されることがあるために、通常の乾燥方法で作製した乾燥ゲルで音響整合層を得るのが好ましい。また、通常の乾燥方法を適用する場合には、超臨界乾燥のような高圧のプロセスではないために、設備が簡易になり、取扱いも行いやすいなどの利点もある。
 上述の方法で得られる乾燥ゲルは、ナノメートルサイズの固体骨格部によって平均細孔直径が1nmから100nmの範囲内にある連続気孔が形成されているナノ多孔体ある。そのため、密度が500kg/m3以下、好ましくは400kg/m3以下の低密度な状態では、乾燥ゲルの有する特異な網目状骨格を形成している固体部分を伝搬する音速が極端に小さくなるとともに、細孔によって多孔体内の気体部分を伝搬する音速も極端に小さくなるという性質を有する。そのため、音速として500m/s以下の非常に遅い値を示し、低い音響インピーダンスを得ることができるという特徴を有する。
 また、ナノメートルサイズの細孔部では、細孔サイズが気体分子の平均自由行程と同程度以下となっており、気体の圧損が大きいために音響整合層として用いた場合に、音波を高い音圧で放射できるという特徴も有する。
 粉末乾燥ゲルの平均粒径は1μm以上100μm以下であることが好ましい。この下限値よりも小さいと粉末中の細孔数が減少して乾燥ゲルの特徴的な効果が低減されるとともに、成形する際の添加剤の必要量が増加するため低密度の音響整合層を得ることが難しくなることがある。粉末乾燥ゲルの平均粒径が上限値よりも大きいと、音響整合層の厚さ制御が難しくなり、厚さの均一性および表面の平坦性が十分な音響整合層を形成することが難しくなることがある。
 乾燥ゲルの固体骨格部は、無機酸化物または有機高分子であってもよい。また、固体骨格部が疎水化されていることが好ましい。疎水化することによって、例えば、計測対象の気体中に水分や不純物が存在した場合に、それらの吸着や付着の影響を受けにくくできるので、より信頼性の高い音響整合層を得ることができる。
 無機酸化物の乾燥ゲルの固体骨格部の疎水化は、例えばシランカップリング剤などの表面処理剤を用いて行う。表面処理剤としては、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、エチルトリクロルシランなどのハロゲン系シラン処理剤、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシランなどのアルコキシ系シラン処理剤、ヘキサメチルジシロキサン、ジメチルシロキサンオリゴマーなどのシリコーン系シラン処理剤、ヘキサメチルジシラザンなどのアミン系シラン処理剤、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクタノール、デカノールなどのアルコール系処理剤などを用いることができる。
 また、これらの処理剤の有するアルキル基の水素が一部または全てがフッ素に置換したフッ素化処理剤を用いれば、疎水化(撥水性)に加えて、撥油性、防汚性などのさらに優れた効果が得られるものである。
 なお、無機酸化物の乾燥ゲルの固体骨格部は、少なくとも酸化ケイ素(シリカ)または酸化アルミニウム(アルミナ)を成分とするものを好適に用いることができる。また、有機高分子の乾燥ゲルの固体骨格部は、一般的な熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂により構成することができる。例えば、ポリウレタン、ポリウレア、フェノール硬化樹脂、ポリアクリルアミド、ポリメタクリル酸メチルなどを適用することもできる。
 特に、無機酸化物の固体骨格部を有する乾燥ゲルは、耐湿信頼性や、耐化学薬品性に優れると共に、音響インピーダンスの温度特性に優れる。すなわち、無機酸化物の乾燥ゲルを用いると、25℃以上70℃以下の範囲内における音響インピーダンスの温度変化率が、−0.04%/℃以下(絶対値が0.04%/℃以下という意味)の音響整合層を得ることができる。これに対し、従来のエポキシ/ガラスバルーン系や、有機高分子ゲルを用いると、上記音響インピーダンスの温度変化率の絶対値を0.04%/℃以下とすることは難しい。
 音響インピーダンスの温度変化率が小さいと、例えば後述する超音波流量計に用いた場合、広い温度範囲に亘って高い測定精度を得ることができる。
 粉末乾燥ゲル3aを互いに結合し、音響整合層3Aの機械的な強度を向上するための添加剤(バインダ)3bとしては、熱結着性を有する高分子粉末を好適に用いることができる。液状の材料を用いると、乾燥ゲルの細孔内部に浸透し、音響特性を変えてしまったり、成形性を低下させることがあるので、固形材料、特に粉末を用いることが好ましい。
 ここで、「熱結着性高分子」とは、室温において固形で、加熱によって溶融または軟化し、その後固化する高分子を指す。熱結着性高分子は、一般的な熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのエンジニアリングプラスチック)だけでなく、例えば室温においては固形で加熱によって一旦軟化し、その後、架橋硬化する熱硬化性樹脂(例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂)を用いることができる。また、熱硬化性樹脂が主剤と硬化剤とを含む場合、それぞれを別粉末として添加しても良い。もちろん、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して用いても良い。熱結着性高分子粉末の溶融(軟化)温度は80℃以上250℃以下の範囲にあることが好ましい。
 添加剤として熱結着性高分子を用いると、典型的には、後述するように、粉末乾燥ゲル3aと添加剤との混合粉末を加熱しながら加圧成形する際に、溶融(軟化)した添加剤が、冷却に伴って固化することにより、および/または、架橋硬化することにより、粉末乾燥ゲル3a同士を接合する役割を果たす。
 熱結着性高分子粉末の平均粒径は0.1μm以上50μm以下であることが好ましい。この下限値よりも小さいと粉末乾燥ゲルの細孔径に近くなるため、結着性が低下したり、成形性が低下することがある。また上限値よりも大きいと、成形に必要な添加量が増加するため、低密度の音響整合層を得ることが難しくなることがある。
 また、熱結着性高分子粉末の添加量は全体の40質量%以下であることが好ましい。全体の40質量%を超えると、成形した際の密度が高くなってしまうことがある。また、十分な機械強度を得るためには、例えば、全体の5質量%以上添加することが好ましい。
 上記の添加剤(「添加剤A」ということがある。)と粉末乾燥ゲルとの接合を強化するために、図1(b)に模式的に示した音響整合層3Bのように、繊維(無機繊維(例えはグラスウール)や有機繊維)やウィスカなどをさらに添加しても良い(「添加剤B」ということがある。)。図1(b)の音響整合層3Bにおいて、添加剤3bは上記と同じ熱結着性高分子の粉末であり、添加剤3cは短繊維である。短繊維の好適な直径の範囲は上記の熱結着性高分子粉末の平均粒径と同程度であり、繊維の長さは数μm〜数mm程度であることが好ましい。
 2種類の添加剤の添加量は、全体に対して、40質量%以下であることが好ましく、配合比率は、必要に応じて適宜設定される。
 本発明の粉末乾燥ゲルを用いた音響整合層は、音響インピーダンスを調整しやすいという利点をさらに有している。例えば、互いに異なる密度を有する複数の種類の粉末乾燥ゲルを混合することによって、音響インピーダンスを調整することができる。さらに、上記の添加剤A(必要に応じて添加剤B)の量を調節することによって、音響インピーダンスを調整することができる。勿論、添加剤AおよびBの添加量は、成形性などを考慮して上記の範囲内とすることが好ましい。
 なお、音響整合層3Aおよび3Bの厚さは、それぞれの音響整合層中を伝播する音波の波長λの約4分の1の厚さとすることが好ましい。
 本発明の第2の局面による実施形態の超音波送受波器の製造方法は、圧電体層と、圧電体層上に設けられた音響整合層とを備えた超音波送受波器の製造方法であって、音響整合層を形成するプロセスが、(a)ゲル原料液を調製する工程と、(b)音響整合層が形成される面上に、所定の高さを有する厚さ規制部材を設ける工程と、(c)面上に前記ゲル原料液を付与する工程と、(d)面上に付与されたゲル原料液が形成する液層の厚さを厚さ規制部材の高さに略一致させる工程と、(e)ゲル原料液から湿潤ゲルを形成する固体化工程と、(f)湿潤ゲルに含まれる溶媒を除去することによって乾燥ゲルを形成する乾燥工程とを包含する。従って、音響整合層の厚さが所定の厚さに制御されるので、厚さのばらつきに起因する特性のばらつきが抑制される。
 勿論、音響整合層を上記の粉末乾燥ゲルを用いて形成することによって、更に特性のばらつきが抑制されることは言うまでもない。また、粉末乾燥ゲルを用いると、予め粉末乾燥ゲルを作製しておくことができるので、超音波送受波器の生産性を向上することができるという利点も得られる。すなわち、上述した超音波送受波器の製造プロセスにおいて、ゲル原料液を固体化して湿潤ゲルを得る工程およびこれを乾燥する工程を予め実行しておくことができるので、超音波送受波器の製造のスループットを向上できる。
 以下、本発明のより具体的な実施形態を説明する。なお、音響整合層およびその接合構造を除く、超音波送受波器の基本的な構成は図10に示した従来の超音波送受波器10と同じであるので、重複する説明は省略する。
 次に、図2から図7を用いて、図8に示した音響整合層100を製造し、それを圧電体層2あるいはケース1に貼り付け超音波送受波器を製造する方法の実施の形態について説明する。
 (第1の実施の形態)
 図2は本発明の第1の実施の形態の音響整合層を備えた超音波送受波器の製造方法を説明する工程図である。この図を工程1〜工程4の順に説明する。
 ・工程1:多孔体からなる低密度の粉末乾燥ゲル(密度約200kg/m3〜400kg/m3)と10質量%程度(全体に対して)の添加剤Aと添加剤Bとを用意する。ここで用意する乾燥ゲルは粉末である必要は必ずしもない。ブロック状でもよい。乾燥ゲルは例えば平均細孔径が20nmのシリカ乾燥ゲルであり、添加剤Aはポリプロピレン粉末であり、添加剤Bは繊維径が10μm程度のグラスウールである。
 ・工程2:これらを同一容器内に入れ、混合粉砕し、微細な紛末を作製する。典型的にはミルを用いて実行される。ここで、上述した所望の平均粒径の粉末乾燥ゲルが得られるように、粉砕条件を調整する。また、必要に応じて分級してもよい。もちろん、乾燥ゲルの粉砕工程と、混合工程とを別に行っても良い。
 ・工程3:低密度の粉末乾燥ゲルと添加剤Aと添加剤Bとからなる混合粉末を所望の量秤量し、圧電体層2が接着されたケース1の上に供給する。
 ・工程4:この上から混合粉末3の成形体の厚さを制御し、約λ/4の厚さになるようにするために厚さ規制部材(制御部)4を設置し、加熱加圧成型する。そうすると、添加剤Aが一旦溶融し、その後冷却固化することによって、低密度の粉末乾燥ゲルが固定化される。また、添加剤Bは、添加剤Aが粉末乾燥ゲル同士の結合強度をさらに高めるに作用し、硬い音響整合層を得ることができる。
 また、このようにすることによって、粉末乾燥ゲルと添加剤Aと添加剤Bとからなる音響整合層3は、接着剤を使用せずにケース1に接着することができる。
 もちろん、上述したように粉末乾燥ゲルを用いて音響整合層を形成する過程で、音響整合層の厚さを制御することが好ましいが、粉末乾燥ゲルを用いるだけでも、従来よりも特性のばらつきの小さい音響整合を得ることができる。また、上述の方法を用いると、接着剤を用いることなく、音響整合層3をケース1に直接接合することができるので、従来のようにエポキシ系の接着剤を必要とせず、化学的な安定性(例えば硫黄Sを含むガスに対する安定性)が向上する。しかしながら、用途などによっては、予め形成した音響整合層を接着剤を用いてケースに接合しても良い。
 また、この時、圧電体は粉末乾燥ゲルからなる音響整合層を形成する加圧加熱成型時に同時に接着させてもよい。
 本実施形態によると、低密度で、硬い、音響インピーダンスの低い、厚さ精度の高い、高精度な音響整合層を形成することができ、これを用いることによって高感度な信頼性の高い安定な超音波送受波器を得ることができる。
 なお、ここでは、圧電体層2を内包する凹部を形成する上板1aと、凹部内の空間を密閉するように配置される底板1bとを有するケース1を用いた例を示したが、これに限られない。例えば、圧電体層2上に音響整合層3を直接接合したものを円筒状のケース内に密閉してもよい。
 (第2の実施の形態)
 図3は本発明の第2の実施の形態の音響整合層を備えた超音波送受波器の製造方法を説明する工程図である。この図を工程1〜工程5の順に説明する。
 ・工程1:多孔体からなる低密度の粉末乾燥ゲルと、10質量%程度の添加剤Aとを用意する。ここで、添加剤Aとして、エポキシ樹脂(主剤)の粉末(添加剤A1)と、このエポキシ樹脂の硬化剤となるポリアミド樹脂の粉末(添加剤A2)とを用いる。
 ・工程2:これらを同一容器内に入れ、混合粉砕し、微細な紛末を作製する。
 ・工程3:低密度の粉末乾燥ゲルと添加剤A1と添加剤A2とからなる混合粉末を所望の量秤量し、圧電体層2が接着されたケース1の上に供給する。
 この工程までは、上記の実施形態1と同様に実行することができる。
 ・工程4:この混合粉末3の投入されたケース1を加震器等により振動を加え、投入された混合粉末3の層の平坦化を行う。
 ・工程5:この上から混合粉末3の成形体の厚さを制御し、約λ/4の厚さになるようにするために厚さ規制部材(制御部)4を設置し、加熱加圧成型する。そうすると、添加剤A1と添加剤A2とが架橋硬化反応を起こし、低密度の粉末乾燥ゲルが固定化され、硬い(機械強度の優れた)音響整合層を得ることができる。
 このようにすることによって、粉末乾燥ゲルと添加剤A1と添加剤A2とからなる音響整合層は、接着剤を使用せずにケース1に接着することができる。
 また、この時、圧電体は粉末乾燥ゲルからなる音響整合層を形成する加圧加熱成型時に同時に接着させてもよい。
 本実施形態によると、加圧成形によって混合粉末の成形体を形成する前に、混合粉末の層の上面を平坦化する工程をさらに包含しているので、実施形態1で得られる音響整合層よりもさらに特性のばらつきが小さい。
 (第3の実施の形態)
 図4は本発明の第3の実施の形態の音響整合層を備えた超音波送受波器の製造方法を説明する工程図である。この図を工程1〜工程4の順に説明する。
 ・工程1:ケース1に圧電体層2を接着する。接着は公知の接着剤などを用いて行うことができる。
 ・工程2:このケース1の上に音響整合層の厚さを制御し、約λ/4の厚さになるようにするために厚さ規制部材(制御部)として有機膜等からなるO−リング31を設置する。
 ・工程3:このO−リング31が設置されたケース1の上に、ゾル溶液としてpH9〜10のケイ酸水溶液を滴下し、ケイ酸水溶液のpHを5.5に調整する。その後、上から平板32で押え、湿潤ゲル33を形成する。このケイ酸水溶液がゲル化するときに、ケース1の表面のOH基と原料のシラノール基が反応して化学結合し、ケース1の表面に湿潤ゲル膜が形成される。
 ・工程4:得られた湿潤ゲルをトリメチルクロルシラン(TMSC)のアセトン溶液にて疎水化し、脱水処理を行う。また、ヘキサンに溶媒置換後、100℃に維持した容器中で乾燥し、酸化ケイ素のシリカ乾燥ゲル膜34を形成する。そうすると、低密度の乾燥ゲル膜が固定化され、音響整合層を得ることができる。
 このようにすることによって、乾燥ゲルからなる音響整合層は、接着剤を使用せずにケース1に接着することができる。
 なお、この時、圧電体は乾燥ゲルからなる音響整合層を形成した後に接着させてもよい。
 以上により、低密度で、音響インピーダンスの低い、厚さ精度の高い、高精度な音響整合層を形成することができ、これを用いることによって高感度な信頼性の高い安定な超音波送受波器を得ることができる。
 (第4の実施の形態)
 図5は本発明の第4の実施の形態の音響整合層を備えた超音波送受波器の製造方法を説明する工程図である。この図を工程1〜工程4の順に説明する。
 ・工程1:ケース1に圧電体層2を接着させる。
 ・工程2:このケース1の上に音響整合層の厚さを制御し、約λ/4の厚さになるようにするために厚さ規制部材(制御部)として金属等からなるワイア41を設置する。
 ・工程3:このワイア41が設置されたケース1の上に、ゾル溶液としてpH9〜10のケイ酸水溶液を滴下し、ケイ酸水溶液のpHを5.5に調整する。その後、上から平板32で押え、湿潤ゲル33を形成する。このケイ酸水溶液がゲル化するときに、ケース1の表面のOH基と原料のシラノール基が反応して化学結合し、ケース1の表面に湿潤ゲル膜が形成される。
 ・工程4:得られた湿潤ゲルをトリメチルクロルシラン(TMSC)のアセトン溶液にて疎水化し、脱水処理を行う。また、ヘキサンに溶媒置換後、100℃に維持した容器中で乾燥し、酸化ケイ素のシリカ乾燥ゲル膜34を形成する。そうすると、低密度の乾燥ゲル膜が固定化され、音響整合層を得ることができる。
 このようにすることによって、乾燥ゲルからなる音響整合層は、接着剤を使用せずにケース1に接着することができる。
 また、この時、圧電体は乾燥ゲルからなる音響整合層を形成した後に接着させてもよい。
 以上により、低密度で、音響インピーダンスの低い、厚さ精度の高い、高精度な音響整合層を形成することができ、これを用いることによって高感度な信頼性の高い安定な超音波送受波器を得ることができる。
 (第5の実施の形態)
 図6は本発明の第5の実施の形態の音響整合層を備えた超音波送受波器の製造方法を説明する工程図である。この図を工程1〜工程4の順に説明する。
 ・工程1:ケース1に圧電体層2を接着させる。
 ・工程2:このケース1の上に音響整合層の厚さを制御しλ/4の厚さになるようにするために厚さ制御部としてビーズ51を設置する。ビーズ51としては、例えば、後工程の処理において、溶けたり、変質しないものであればよく、ガラスなどの無機材料や架橋された高分子などの有機材料などから形成されたビーズを用いることができる。
 ・工程3:このビーズ51が設置されたケース1の上に、ゾル溶液としてpH9〜10のケイ酸水溶液を滴下し、ケイ酸水溶液のpHを5.5に調整する。その後、上から平板32で押え、湿潤ゲル33を形成する。このケイ酸水溶液がゲル化するときに、ケース1の表面のOH基と原料のシラノール基が反応して化学結合し、ケース1の表面に湿潤ゲル膜が形成される。
 ・工程4:得られた湿潤ゲルをジメチルジメトキシシランのアセトン溶液にて疎水化し、脱水処理を行う。また、ヘキサンに溶媒置換後、100℃に維持した容器中で乾燥し、酸化ケイ素のシリカ乾燥ゲル膜34を形成する。そうすると、低密度の乾燥ゲル膜が固定化され、音響整合層を得ることができる。
 このようにすることによって、乾燥ゲルからなる音響整合層は、接着剤を使用せずにケース1に接着することができる。
 また、この時、圧電体は乾燥ゲルからなる音響整合層を形成した後に接着させてもよい。
 以上により、低密度で、音響インピーダンスの低い、厚さ精度の高い、高精度な音響整合層を形成することができ、これを用いることによって高感度な信頼性の高い安定な超音波送受波器を得ることができる。
 (第6の実施の形態)
 図7は本発明の第6の実施の形態の音響整合層を備えた超音波送受波器の製造方法を説明する工程図である。この図を工程1〜工程4の順に説明する。
 ・工程1:ケース1に圧電体層2およびセラミック61を接着させる。セラミック61は第1の音響整合層として機能する。例えば、セラミック61としては、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどを好適に用いることができる。
 ・工程2:このケース1の上のセラミック61上の周辺に音響整合層の厚さを制御し、約λ/4の厚さになるようにするために厚さ規制部材(制御部)として有機膜等からなるO−リング31を設置する。
 ・工程3:このO−リング31が設置されたセラミック61上に、ゾル溶液としてpH9〜10のケイ酸水溶液を滴下し、ケイ酸水溶液のpHを5.5に調整する。その後、上から平板32で押え、湿潤ゲル33を形成する。このケイ酸水溶液がゲル化するときに、ケース1の表面のOH基と原料のシラノール基が反応して化学結合し、ケース1の表面に湿潤ゲル膜が形成される。
 ・工程4:得られた湿潤ゲルをトリメチルクロルシラン(TMSC)のアセトン溶液にて疎水化し、脱水処理を行う。さらに、50℃に維持した容器中で乾燥し、酸化ケイ素のシリカ乾燥ゲル膜34を形成する。そうすると、低密度の乾燥ゲル膜が固定化され、音響整合層を得ることができる。その後、ケース1の底板(蓋板)、駆動端子等を組み付けると圧電振動子10が出来上がる。
 このようにすることによって、乾燥ゲルからなる音響整合層は、接着剤を使用せずにセラミック61に接着することができ、さらに2層音響整合層による高感度化を達成することができる。
 また、この時、圧電体は乾燥ゲルからなる音響整合層を形成した後に接着させてもよい。
 2層構造の音響整合層(圧電体層側を第1音響整合層、気体側を第2音響整合層とする)を採用する場合、第2音響整合層の音響インピーダンスZbが第1音響整合層の音響インピーダンスZaよりも小さいことが好ましい。また、第1音響整合層の密度が400kg/m3以上1500kg/m3以下の範囲内にあり、第2音響整合層の密度が50kg/m3以上500kg/m3以下の範囲内にあり、かつ第2音響整合層の密度が第1音響整合層の密度よりも小さいことが好ましい。例えば、第1音響整合層の密度が400kg/m3超800kg/m3以下の範囲内にあり、第2音響整合層の密度が50kg/m3以上400kg/m3以下の範囲内にある。
 第1音響整合層は、ここで例示したセラミックスや、無機材料の繊維体、焼結多孔体、ガラスバルーンやプラスチックバルーンを樹脂マトリクスで固めた材料などの公知の材料を用いて形成することができる。一方、乾燥ゲルを用いることによって上記の条件を満足する第2音響整合層を得ることができる。
 本実施形態によると、低密度で、音響インピーダンスの低い、厚さ精度の高い第2音響整合層を形成することができるので、2層構造の音響整合層の特性をさらに向上することができる。従って、本実施形態の音響整合層を用いることによって、高感度な信頼性の高い安定な超音波送受波器を得ることができる。
 (第7の実施の形態)
 図8は本発明の超音波流量計に用いる超音波送受波器の圧電振動子の断面図である。この図において、電気−超音波相互変換を行う圧電振動子10は、圧電体層2と音響整合層100で構成されている。圧電体層2は、超音波振動を発生するもので、圧電セラミックや圧電単結晶等からなり、厚さ方向に分極され、上下面に電極を有している。音響整合層100は、気体に超音波を送波、または気体を伝搬して来た超音波を受波するためのもので、駆動交流電圧により励振される圧電体層2の機械的振動が外部の媒体に超音波として効率よく放射され、到来した超音波が効率よく電圧に変換される役目を有し、上記実施の形態を用いて形成され、圧電体層2における超音波の送受波面を形成する状態にしてケース1の外側に化学結合により貼り合わされている。
 さらに、厚さ制御部101によって音響整合層100の厚さが厳密に規定されることによって表面凹凸も存在しない。
 このように構成されている超音波送受波器では、駆動端子に超音波送受波器の共振周波数近傍の周波数の交流信号成分を持つバースト信号電圧を印加すると、圧電振動子10は厚さ振動モードで振動し、気体または液体中等の流体中にバースト状の超音波を放射することになる。
(a)および(b)は、本発明の実施形態による音響製造層の構造を模式的に示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態の超音波送受波器における製造方法を説明する工程図である。 本発明の第2の実施の形態の超音波送受波器における製造方法を説明する工程図である。 本発明の第3の実施の形態の超音波送受波器における製造方法を説明する工程図である。 本発明の第4の実施の形態の超音波送受波器における製造方法を説明する工程図である。 本発明の第5の実施の形態の超音波送受波器における製造方法を説明する工程図である。 本発明の第6の実施の形態の超音波送受波器における製造方法を説明する工程図である。 本発明の超音波送受波器の断面図である。 従来の超音波送受波器を用いた超音波流量計の構成を模式的に示すブロック図である。 従来の超音波受波器の構成を模式的に示す断面図である。 (a)および(b)は、従来の超音波受波器の音響整合層の構成を模式的に示す図であり、(a)は断面図、(b)は上から見た図である。

Claims (12)

  1.  被測定流体が流れる流量測定部と、前記流量測定部に設けられ超音波信号を送受信する一対の超音波送受波器と、前記超音波送受波器間の超音波伝搬時間を計測する計測回路と、前記計測回路からの信号に基づいて流量を算出する流量演算回路とを備える超音波流量計であって、
     前記一対の超音波送受波器のそれぞれは、圧電体層と、前記圧電体層上に設けられた音響整合層とを備え、
     前記音響整合層は、乾燥ゲルの粉末を含む、超音波流量計。
  2.  前記乾燥ゲルの密度が500kg/m3以下であり、平均細孔直径が100nm以下である、請求項1に記載の超音波流量計。
  3.  前記乾燥ゲルの粉末の平均粒径が1μm以上100μm以下の範囲内にある、請求項1または2に記載の超音波流量計。
  4.  前記乾燥ゲルの固体骨格部が、無機酸化物を含む、請求項1から3のいずれかに記載の超音波流量計。
  5.  前記無機酸化物は、酸化ケイ素または酸化アルミニウムである、請求項3に記載の超音波流量計。
  6.  熱結着性高分子の粉末を全体の40質量%以下含む、請求項1から5のいずれかに記載の超音波流量計。
  7.  前記熱結着性高分子の粉末は、平均粒径が0.1μm以上50μm以下の範囲内にある、請求項6に記載の超音波流量計。
  8.  前記音響整合層の音響インピーダンスが5×104kg/s・m2以上20×104kg/s・m2以下の範囲内にある、請求項1から7のいずれかに記載の超音波流量計。
  9.  前記音響整合層の25℃以上70℃以下の範囲内における音響インピーダンスの温度変化率が、−0.04%/℃以下である、請求項1から8のいずれかに記載の超音波流量計。
  10.  前記音響整合層は、前記音響整合層中を伝播する音波の波長λの約4分の1の厚さを有する、請求項1から9のいずれかに記載の超音波流量計。
  11.  前記音響整合層が前記圧電体層上に直接結合されている、請求項1から10のいずれかに記載の超音波流量計。
  12.  前記一対の超音波送受波器のそれぞれは、前記圧電体層を内包する凹部を形成する上板と、前記凹部内の空間を密閉するように配置される底板とを有するケースをさらに有し、
     前記圧電体層は前記ケースの前記上板の内面に接着されており、
     前記音響整合層は、前記上板を介して前記圧電体層に対向するように前記上板の上面に直接結合されている、請求項1から11のいずれかに記載の超音波流量計。


      
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