JP3941475B2 - 超音波発生器およびその製造方法 - Google Patents

超音波発生器およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を利用して気体等の被測定体の流量を測定する流量計測装置や、物体との距離を測定する距離測定装置などに用いる超音波発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図8は、従来の超音波発生器の構成を示す断面図である。振動手段1とケース2とはエポキシ系の接着剤9により接着されており、またケース2と整合手段3ともエポキシ系の接着剤8により接着されている。樹脂4には、ケース2と振動手段1および電極5、6とを固定する目的と、振動手段1の振動が整合手段3の反対面に伝搬しないようにするための音の緩衝材の目的がある。
【0003】
振動手段1は約500kHzで振動し、その振動はエポキシ系の接着剤9を介してケース2に伝わり、さらにエポキシ系の接着剤8を介して整合手段3に伝わる。そして、整合手段3の振動は空間7に存在する例えば気体に音波として伝搬する。
【0004】
整合手段3の役割は、振動手段1の振動を効率よく気体に伝搬させることにあり、物質の音速Cと密度ρとで(数1)のように定義される音響インピーダンスZが、振動手段と気体とで大きく異なる。
【0005】
【数1】
Figure 0003941475
【0006】
振動手段1の音響インピーダンスZ1は30×106(kg/m2s)程度で、気体、例えば空気の音響インピーダンスZ2は4.28×102(kg/m2s)であり、さらにケース2を金属製とすると、振動手段1とケースの音響インピーダンスはほぼ等しいので、振動をロス無く伝えることができる。
【0007】
音響インピーダンスの異なる境界面上では、音(振動)の伝搬に反射が生じるようになり、その結果、透過する音の強さが弱くなる。ところが二つの異なる音響インピーダンスの物質の間に別の音響インピーダンスZ3を持つ物質を挿入することにより、音の反射をなくし、ロスを減少させることが一般的に知られている。Z3は(数2)のように定義される。
【0008】
【数2】
Figure 0003941475
【0009】
このZ3の値は、Z1が30×106(kg/m2s)、Z2が4.28×102(kg/m2s)の場合、0.11×106(kg/m2s)となる。この音響インピーダンスを満たす物質は、密度が小さく音速の遅いものであることが要求される。
【0010】
そこで整合手段3は、微小な中空のガラスをエポキシ系の接着剤で固めたものを用いることにより、密度を小さくしている。中空のガラスは、整合手段3を伝わる音の波長よりも十分小さくする必要があるので、100μm以下の大きさのものを用いている。これにより得られる整合手段3の音響インピーダンスは、約1.2×106(kg/m2s)となる。
【0011】
さらに、整合手段3を透過して気体に伝達する音の強さは整合手段3の厚さにも関係する。図9は、簡単にするためにエポキシ系接着剤とケース2とを除き、振動手段1と整合手段3と気体(空気)を有する空間7からなる3つの物質中での音の伝搬を示したもので、振動手段1からの音の波10は透過する音の波11と、整合手段3と気体との境界面で反射する音の波12とに分かれる。反射した波12は整合手段3と振動手段1の境界面で反射し、位相が反転した波13となる。この波の一部が整合手段3と気体との境界面で透過する音の波14となる。波14と波11とが合成されるので、気体に放射される音の強さの透過率Tは(数3)で表される。
【0012】
【数3】
Figure 0003941475
【0013】
但し、Z1は振動手段1の音響インピーダンス、Z2は整合手段3の音響インピーダンス、Z3は気体の音響インピーダンス、Lは整合手段3の距離、k2は(数4)で与えられる。
【0014】
【数4】
Figure 0003941475
【0015】
但し、fは振動の周波数、C2は整合手段3の音速である。(数3)の透過率最大となる距離Lを求めると、L=λ/4となる。中空のガラスを整合手段として用いた場合、その音速は2000m/sなので、音の周波数が500kHzの場合は、波長λが4mmとなる。したがって、整合手段3の厚さは1mmとなる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の超音波発生器では、整合手段3とケース2との接着にエポキシ系の樹脂を用いている。また整合手段を構成する中空のガラスを固めるために、エポキシ系の樹脂を用いている。気体中には水分が含まれていたり、イオウが含まれていたりすることがあり、このような場合、水分により整合手段3とケース2とを接着する接着剤に含まれるエポキシ樹脂が膨潤したり、イオウにより整合手段3とケース2とを接着する接着剤に含まれるエポキシ系樹脂が腐食されたりすることがある。このようになると、整合手段の音響インピーダンスが変化し、整合手段の目的である効率的な音の放射が阻害され、正確な計測に支障を来すことがある。
【0017】
また、整合手段の厚みが1mmと厚いために、整合手段中で音の吸収が起こり、超音波を受けるセンサーへの出力が弱まったり、従来の中空のガラスを用いた整合手段では、精密な膜厚制御ができないので個体差によっては超音波を受けるセンサーへの出力が小さくなるという課題も有していた。
【0018】
本発明は前記従来技術の課題を解決するもので、エポキシ系接着剤を用いずに整合手段を構成し、さらに超音波を受けるセンサーへの出力が高い超音波発生器を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来の課題を解決するために、整合手段にキセロゲルを用いるとしたもので、整合手段を非常に薄くすることができ、そのため整合手段中での音の吸収が起こりにくく、センサーへの出力が大きな超音波発生器が実現できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、整合手段にキセロゲルを用いるとしたもので、特に80%以上の気孔率や0.3g/cm3以下の物性のキセロゲル中での音速が100〜300m/s程度であるため、整合手段を非常に薄くすることができ、そのため整合手段中での音の吸収が起こりにくく、センサーへの出力が大きな超音波発生器が実現できる。
【0021】
また、請求項2記載の発明は、整合手段を、バインダにより少なくともキセロゲル粒子同士を結合あるいは前記キセロゲル粒子とケースを結合させた成形体とすることで、キセロゲル粒子にバインダを混ぜ込むことにより、音速や密度を自由に変化させることができ、整合手段として求める音響インピーダンスを持つ物質が得られる。さらに、バインダにより、キセロゲル粒子とケースを結合することができるため、エポキシ系の接着剤を使わず、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、バインダ粒子で少なくとも前記キセロゲル粒子表面の一部を覆ったもので、予めバインダ粒子をキセロゲル粒子に付着させておくことで、キセロゲル粒子同士を結合させる強度を大きくできるため、整合手段の信頼性が高まり、耐久性のある超音波発生器を実現できる。また、予めバインダ粒子をキセロゲル粒子に付着させておくことで、請求項3、10記載の発明の効率を上げることができる。
【0023】
また、請求項4記載の発明は、バインダ粒子を樹脂粉末としたもので、非常に簡単にキセロゲル成形体を作製することができ、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0024】
また、請求項5記載の発明は、キセロゲル粒子あるいはバインダ粒子と、結着もしくは絡み付くフィラーを用いたもので、キセロゲル粒子同士を結合させる強度を大きくできるため、整合手段の信頼性が高まり、耐久性のある超音波発生器を実現できる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、フィラーが繊維状物質であるもので、キセロゲル粒子同士を結合させる強度をさらに大きくできるため、整合手段の信頼性が高まり、耐久性のある超音波発生器を実現できる。
【0026】
また、請求項8記載の発明は、バインダ粒子により多孔質シリカ粒子同士を結合させ成形体とする成形体作製工程と前記成形体を前記ケースに結合する接着工程とからなり、前記成形体作製工程と前記接着工程とを同時に行う超音波発生器の製造方法としたもので、二つの工程を同時に行うことができるため、作業効率を上げることができ、またバインダにより、多孔質シリカ粒子とケースを結合することができるため、エポキシ系の接着剤を使わず、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0027】
また、請求項9記載の発明は、多孔質シリカ粒子とバインダ粒子との混合物に圧力と温度を加え前記バインダ粒子を軟化させることにより前記多孔質シリカ粒子同士を結合させ、かつ前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子をケースに結合させた成形体を整合手段にするというもので、多孔質シリカ粒子にバインダ粒子を混ぜ込むことにより、音速や密度を自由に変化させることができ、整合手段として求める音響インピーダンスの物質が得られる。さらに、バインダ粒子により、多孔質シリカ粒子とケースを結合することができるため、エポキシ系の接着剤を使わず、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0028】
また、請求項10記載の発明は、多孔質シリカ粒子とバインダ粒子との混合物に静電気を加えケースに付着させた後に温度を加え前記バインダ粒子を軟化させることにより前記多孔質シリカ粒子同士を結合させ、かつ前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子を前記ケースに結合させた成形体を整合手段としたもので、正確に薄膜の厚さを制御できるため、整合手段として求める厚さのものを確実に得ることができ、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0029】
また、請求項11記載の発明は、多孔質シリカ粒子とバインダ粒子との混合物に熱を加え前記バインダ粒子を軟化させた状態でケースに吹き付け前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子同士を結合させ、かつ前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子を前記ケースに結合させた成形体を整合手段としたもので、正確に薄膜の厚さを制御できるため、整合手段として求める厚さのものを確実に得ることができ、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0030】
また、請求項12記載の発明は、疎水性を有する多孔質シリカ粒子と水溶性有機バインダ粒子の混合物に水分を添加し混練した後にケースに付着させ前記水分を除去した成形体を整合手段としたもので、多孔質シリカ粒子にバインダ粒子を混ぜ込むことにより、音速や密度を自由に変化させることができ、整合手段として求める音響インピーダンスの物質が得られる。さらに、バインダにより、多孔質シリカ粒子とケースを結合することができるため、エポキシ系の接着剤を使わず、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0031】
また、請求項7、13記載の発明は、多孔質シリカに、アルコキシシランもしくは水ガラスのいずれか一方に、水または有機溶媒または酸またはアルカリのうち少なくともいずれかを添加することによりゲル化させ、疎水化処理を行い、その後乾燥させる方法で作製したキセロゲルを用いたもので、キセロゲル中での音速が100m/s程度であるため、整合手段をさらに薄くすることができ、そのため整合手段中での音の吸収がさらに起こりにくくなり、センサーへの出力が大きな超音波発生器が実現できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0033】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における超音波発生器の断面図である。20は整合手段、21は金属等からなるケース本体(以下、本実施例ではケースという)、22は同金属等からなるケース21の蓋(以下、本実施例では蓋という)、23は圧電素子等からなる振動手段、24は導電性ゴム、25と26は電極、27は気体である。電極25とケースの蓋22との間には、ガラス29が封入されて、電極25と蓋22との電気的絶縁を行っている。振動手段23はケース21内に納められ、ケース21と振動手段23とは接着剤28で接着されている。電極25と電極26の間には約5Vの交流電圧が加えられる。電極26は蓋22に接続され、さらに蓋22はケース21に溶接されている。これにより、電極26に加えられた電圧は蓋22、ケース21を介して接着剤28に加えられる。もう一方の電極25は導電性のゴムを介して振動手段23に電気的に接続されている。したがって、電極25と26との間に加えられた電圧は、振動手段23と接着剤28とに加わることとなる。電気的に振動手段23と接着剤28とはコンデンサとみなすことができる。
【0034】
振動手段23の共振周波数をおよそ500kHzに設計しているので、電極25、26に500kHzの交流電圧を加えることにより、振動手段23が500kHzで振動するようになる。この振動はケース21に伝播し、これを振動させ、さらにケース21の振動は整合手段20に伝播し、これを振動させる。整合手段20の役割については従来の技術で述べたように、振動手段23の振動を効率よく被測定体である例えば気体27に伝播させることにある。導電性ゴム24は振動手段23の振動が蓋22に伝わるのを防ぎ、振動のエネルギーが効率良く整合手段20に伝わるようにするための、振動の緩衝材としての役割もしている。
【0035】
振動手段23と導電性ゴム24とはケース21に納められているので、ケース21内に気体が入り込むことはない。したがって、接着剤28は気体に含まれる水分で膨潤したり、イオウで腐食されたりすることはない。電極25と蓋22との間にガラスを封入することにより、ケース21内への気体の浸入を確実に阻止することができるようになる。
【0036】
次に、整合手段20とそれに用いる多孔質シリカについて図を用いて説明する。多孔質シリカは、水ガラスや、テトラメトキシシランのようなアルコキシシランを、ある条件下でゲル化させ、内部の溶媒を蒸発乾燥させる方法により作製する。このとき、溶媒で満たされている部分が細孔となるが、普通に熱風乾燥させたものは、溶媒が乾燥するときの表面張力により、収縮してしまい細孔が潰れてしまい、多孔質体とはならない。しかしながら、超臨界乾燥させたもの(エアロゲルと称される)や、ゲル表面を疎水化し、さらに溶媒をトルエンやアセトンやヘキサンなどの溶媒に置換し、熱風乾燥させたものは、表面張力がほとんど働かず、図2に示すように1〜10nm程度の径をもつシリカ一次粒子31が集合し、40〜100nm程度の粒子間距離32をもった集合体となる。したがって、この粒子間距離32が細孔を形成し、多孔質体となる。本実施例では、このような方法で作製したキセロゲルを用いた。また、エアロゲルを用いても同様の効果が得られる。なぜならば、エアロゲルとキセロゲルとでは、乾燥工程の違いのみであり、組織や物性はキセロゲルと等しいからである。
【0037】
粒子間距離32が、40〜100nmが空気分子の平均自由行程と同程度の大きさであるため、キセロゲル内では音速は100m/s程度となる。そして、これら一次粒子の集合体が1μm〜10mm程度の二次粒子を形成させた。これより大きな二次粒子を作製することもできるが、非常に強度が弱いため、本実施例では、1μm〜1mm程度の二次粒子をバインダにより結合させ、成形体として用いた。また、バインダはキセロゲル粒子同士を結合させたり、キセロゲルとケースを結合させたりする効果以外に、キセロゲル成形体中の音速を調整する役割をする。バインダとキセロゲルの混合割合は、特に限定するものではないが、バインダ粒子の量を増やすことで、キセロゲル成形体中の音速を大きくすることができる。また、バインダの量を増やすことで強度も上がる。
【0038】
次に、キセロゲルの成形体作製工程と接着工程について図を用いて説明する。両工程において、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミドなどの樹脂バインダを用いる方法と、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性のセルロース系、アクリル酸、メタクリル酸などの水溶性のアクリル系を用いる方法がある。
【0039】
まず、樹脂バインダを用いる方法について説明する。図3にバインダ粒子36とキセロゲル粒子35が混合した状態を示す。混合方法としては、キセロゲル粒子とバインダ粒子を同じ容器に混合し、ミキサーまたはミックスロータなどを用い、できるだけ均一になるように混合させる。その後、混合物を金型に入れ、加熱することによりバインダ粒子が溶けだし、キセロゲル粒子同士が結合され、成形体となる(本実施例では金型法という)。このとき、金型内にケース21を入れておくことで、溶けだしたバインダ粒子がキセロゲル粒子とケースを結合し、成形体作製工程と接着工程を同時に行うことができる。また、加える圧力を調整することで、得られる成形体の密度を調節することもできる。この方法以外で、以下の二つの方法によりキセロゲル成形体を作製することが可能である。
【0040】
キセロゲル粒子とバインダ粒子の混合物をケース21表面におき、静電気によりケース21に付着させ、その後温度を加えることにより、バインダ粒子が溶けだし、キセロゲル粒子同士が結合され、成形体となる。それと同時に、溶けだしたバインダ粒子がケース21に接着される(本実施例では静電塗装法という)。この方法では、膜厚を5〜10μm程度で制御することができるという利点がある。
【0041】
さらに、キセロゲル粒子とバインダ粒子との混合物に温度を加え、バインダ粒子を半溶融状態にし、ケース21表面へ吹き付けることにより、キセロゲル粒子の成形体をケース21表面に作製することができる(本実施例では溶射法という)。この方法でも、膜厚を5〜10μm程度で制御することができるという利点がある。
【0042】
これらにより作製した成形体の一部を拡大すると、図4または図5のようになっている。予めキセロゲル粒子表面にバインダ粒子を塗り付けておくことにより、金型法、静電塗装法、溶射法用いて図6のような成形体を実現できる。これにより、バインダ同士の接着面積が増えるため接着強度が上がり、強度向上、成形体の均一性などを図ることができる。
【0043】
さらに、金型法、静電塗装法、溶射法を行うとき、ケース表面に予め、他の材料または組成により異なる音響インピーダンスをもつ整合手段を付けておくことにより、整合手段を積層することもできる。
【0044】
次に、水溶性のセルロース系やアクリル系のバインダを用いる方法について説明する。水溶性や溶剤系のバインダは接着力に優れ、手軽に粉末状物質を固形化することができるが、これらのバインダを用いて、キセロゲルの細孔を破壊することなく、固形化することは非常に難しい。これは、濡れやすい溶媒を用いるとキセロゲル中の細孔がつぶれてしまい、濡れにくい溶媒を用いるとキセロゲルが溶媒をはじいてしまい、混合しない。
【0045】
したがって、予めセルロースやアクリル系等の粘性の高い水溶性のバインダ粒子とキセロゲル粒子を均一に混合させておき、濡れにくい溶媒を添加させながら混練することにより、バインダ粒子が溶媒へ溶解し、溶解したバインダの結合力により、キセロゲルは粘土状となるため、自由に形を変化させることができる。その後、溶媒を除去することで、求める成形体を得ることができる。本実施例では、濡れにくい溶媒として水を用いた。
【0046】
混合方法としては、キセロゲル粒子と水溶性のバインダ粒子を同じ容器に混合し、ミキサーまたはミックスロータなどを用い、できるだけ均一になるように混合させる。また、混練方法は、キセロゲル粒子と水溶性のバインダ粒子を練ることができれば、特に限定しない。
【0047】
また、添加する水の量は特に限定しないが、キセロゲルと同じ重量程度がよい。水の量が多すぎると、バインダが不均一となり、バインダの少ないところの強度が弱かったり、水を除去するときに気泡が残り、均一な成形体を得ることができない。
【0048】
フィラーを添加する効果を説明する。フィラーの添加は通常、材料の強度向上や材料の密度調整に用いられる。本発明ではさらに、キセロゲルとバインダとの成形体中の音速を調整する目的にも利用することができる。
【0049】
キセロゲル粒子とバインダ粒子の混合物にフィラーを添加することにより、図7のような状態となる。すなわち、キセロゲルのシリカ二次粒子41同士がバインダ粒子42により結合していなくても、シリカ二次粒子41に結合したバインダ粒子42同士をフィラー43により結合できるので、結果的にキセロゲルのシリカ二次粒子を結合させることができるため、フィラーを加えることにより強度を上げることができる。このときフィラーとしては、バインダ粒子と絡み付くように、繊維状のものが好ましい。繊維状フィラーとしては、ガラス繊維やポリエステル繊維、金属繊維、カイノール繊維、炭素繊維などがある。
【0050】
また、添加するフィラーの量は特に限定するものではない。求める密度や音速が得られるように、フィラーの種類や量で調整することができる。
【0051】
これらから、バインダ粒子によりキセロゲル粒子とケースを結合することができるため、エポキシ系の接着剤を使わず、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0052】
また、キセロゲルとバインダとフィラーにより、密度が0.4(g/cm3)で、音速が300m/sの成形体を作製することができるので、このときの音響インピーダンスは(数1)より、0.12×106(kg/m2s)となり、(数2)から求めた必要とされる音響インピーダンスとほぼ同程度のものを作製できる。このとき、音の周波数を500kHzとすると、(数3)と(数4)より、整合手段の厚さは150μm程度のものであり、これをキセロゲル成形体で実現できる。そしてこれは厚さが非常に薄いため、整合手段中での音の吸収が小さく、センサーへの出力が弱まらない。したがって、センサー出力の高い超音波発生器を実現できる。
【0053】
なお上記実施例において、被測定体としては気体で説明したが液体等であってもよく、この場合は整合手段を撥水剤でコーティングする等しておけばよい。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、請求項1、12記載の発明によると、整合手段に、音速が小さい多孔質シリカ(キセロゲル)を用いるため、整合手段を薄くすることができ、整合手段中での音の吸収が小さく、センサー出力の高い超音波発生器を実現できる。
【0055】
また、請求項2〜4、7〜13記載の発明によれば、バインダ粒子によりキセロゲル粉末とケースを接合することができるため、エポキシ系の接着剤を使わず、正確な計測ができる超音波発生器を実現できる。
【0056】
また、請求項5、6記載の発明によれば、フィラー添加により整合手段の強度を向上させることができ、耐久性の高い超音波発生器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における超音波発生器の構造を示す断面図
【図2】同実施例1におけるシリカキセロゲルの一部を拡大した模式図
【図3】同実施例1におけるキセロゲルとバインダが混合した状態を示す図
【図4】同実施例1におけるキセロゲル成形体の一部を拡大した模式図
【図5】同実施例1におけるキセロゲル成形体の一部を拡大した模式図
【図6】同実施例1におけるキセロゲル成形体の一部を拡大した模式図
【図7】同実施例1におけるキセロゲル成形体の一部を拡大した模式図
【図8】従来の整合手段の構造を示す断面図
【図9】異なる溶質中を伝播する音の説明の概念図
【符号の説明】
20 整合手段
21 ケース
22 蓋
23 振動手段
31 シリカ一次粒子
32 粒子間距離
35 シリカ二次粒子
36 バインダ
41 シリカ二次粒子
42 バインダ
43 フィラー

Claims (12)

  1. 振動手段と、前記振動手段の振動を被測定体に伝える整合手段と、前記振動手段を納めるケースからなり、前記整合手段が、アルコキシシランもしくは水ガラスのいずれか一方に、水または有機溶媒または酸またはアルカリのうち少なくともいずれかを添加することによりゲル化させ、疎水化処理を行い、その後乾燥させる方法で作製したキセロゲルである超音波発生器。
  2. 整合手段は、バインダにより少なくともキセロゲル粒子同士を結合あるいは前記キセロゲル粒子とケースを結合させた成形体である請求項1記載の超音波発生器。
  3. バインダ粒子で少なくとも前記キセロゲル粒子表面の一部を覆った請求項1または2記載の超音波発生器。
  4. バインダが樹脂粉末である請求項1〜3いずれか1項記載の超音波発生器。
  5. キセロゲル粒子あるいはバインダ粒子と、結着もしくは絡み付くフィラーを用いた請求項1〜4いずれか1項記載の超音波発生器。
  6. フィラーが、繊維状物質である請求項5記載の超音波発生器。
  7. 振動手段を納めたケースに整合手段を結合する方法であって、前記整合手段はバインダにより多孔質シリカ粒子同士を結合させ成形体とする成形体作製工程と前記成形体を前記ケースに結合させる接着工程とからなり、前記成形体作製工程と前記接着工程とを同時に行う超音波発生器の製造方法。
  8. 整合手段は、多孔質シリカ粒子とバインダ粒子との混合物に圧力と温度を加え前記バインダ粒子を軟化させることにより前記多孔質シリカ粒子同士を結合させ、かつ前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子をケースに結合させた成形体である請求項記載の超音波発生器の製造方法。
  9. 整合手段は、多孔質シリカ粒子とバインダ粒子との混合物に静電気を加えケースに付着させた後に温度を加え前記バインダ粒子を軟化させることにより前記多孔質シリカ粒子同士を結合させ、かつ前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子を前記ケースに結合させた成形体である請求項記載の超音波発生器の製造方法。
  10. 整合手段は、多孔質シリカ粒子とバインダ粒子との混合物に熱を加え前記バインダ粒子を軟化させた状態でケースに吹き付け前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子同士を結合させ、かつ前記バインダ粒子により前記多孔質シリカ粒子を前記
    ケースに結合させた成形体である請求項記載の超音波発生器の製造方法。
  11. 整合手段は、疎水性を有する多孔質シリカ粒子と水溶性有機バインダ粒子の混合物に水分を添加し混練した後にケースに付着させ前記水分を除去したものである請求項記載の超音波発生器の製造方法。
  12. 多孔質シリカは、アルコキシシランもしくは水ガラスのいずれか一方に、水または有機溶媒または酸またはアルカリのうち少なくともいずれかを添加することによりゲル化させ、疎水化処理を行い、その後乾燥させる方法で作製したキセロゲルである請求項11いずれか1項記載の超音波発生器の製造方法。
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