JP2008157677A - 流量計測システム、流量計測方法、コンピュータプログラムおよび超音波トランスデューサ - Google Patents

流量計測システム、流量計測方法、コンピュータプログラムおよび超音波トランスデューサ Download PDF

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Abstract

【課題】 気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な超音波流量計測の技術を提供する。
【解決手段】 気体中のトレーサに複数回のバースト波の音波を発振するバースト波発振手段と、 当該トレーサからの反射波を受信する反射波受信手段と、 そ反射波から当該トレーサの位置を算出するトレーサ位置算出手段と、 算出されたトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から相互相関法にて当該トレーサの速度を算出するトレーサ速度算出手段と、 算出された多数のトレーサの位置および速度から流速分布を算出する流速分布算出手段と、 算出された流速分布から流量を算出する流量算出手段とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波による相互相関法を利用した流体、特に気体の流量測定の技術に関する。
より詳しくは、流体の流速分布および流量を測定する超音波流量計に用いる超音波トランスデューサおよび超音波流量測定システムに係る。特に、金属配管の内部を流動する種々の流体の流速分布および流量を非接触にて測定する超音波流速分布計及び流量の計測技術に関する。
反射型の超音波流量計としては、以前から以下の二種類が知られている。
第一に、被測定流体内に超音波を発信し、被測定流体中の反射体(例えば気泡)に反射される超音波を受信し、当該発信と受信との時間差を用いて平均流速、平均流量を測定するドップラ式超音波流量計である。
第二に、被測定流体内に超音波パルスを二度発信し、被測定流体中の反射体(例えば気泡)に反射される超音波を受信する。ある反射体に反射された超音波パルスであれば、二度の反射波とも同一の波形をなしているはずであり、その同一波形の反射波を特定し、その相対時間差から流速を算出するという方法を実現するのが、相互相関法による超音波流量計である。
上述した超音波流速分布計および流量計の一例は、特許文献1に掲載されている。
特開2000−97742号公報
さて、相互相関法による超音波流量計は、流速分布に基づく精密な流量測定が可能である。
微小粒子や気泡等の超音波反射体が存在しないような被測定流体の場合、特許文献1(ドップラ式超音波流量計)に記載された技術よりも、特許文献2(相互相関法による超音波流量計)に記載された技術が向いている。逆に、微小粒子や気泡等の超音波反射体が多数存在するような被測定流体の場合には、特許文献2(相互相関法による超音波流量計)に記載された技術よりも、特許文献1(ドップラ式超音波流量計)に記載された技術が向いている。
いわば、二つの測定技術は、相互に補完関係にある。
特許文献2に記載された技術は、反射体からの反射波の周波数特性を導出し、これの平均値および標準偏差を用いて探索窓を設定することで、時間分解能の向上を目指した技術である。
従来の相互相関法による超音波流量計は、相互相関処理に時間が掛かるために時間分解能を向上させる必要性があることから、特許文献2に技術が提案されている。
特開2005−208068号公報
特許文献2に記載された技術では、統計的な処理によって、変動する探索窓を設定し、その探索窓を用いて相互相関処理の時間を軽減するものである。
さて、ドップラ式超音波流量計に用いる超音波は、水中であれば2480m/sの速度が確保できるが、空気中では340m/sとなり、約1/8の速度となってしまう。すなわち、内径が50cmの流水管の流量測定に相当する空気が流れる配管は、その内径が約4mとなってしまう。被測定流体が流れる配管が大口径であると、測定できる流速の最大値に制限が出てきてしまう。
一方、相互相関法によれば、測定可能な流速の最大値には、理論的には制限がない。
さて、ドップラ式超音波流量計に用いる超音波トランスデューサは、被測定流体が気体である場合、被測定流体が流れる配管の材質や、超音波の発振部位の材質などについて、合理的な選択がなされていない。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な超音波流量計測の技術を提供することである。
請求項1から請求項3に記載の発明が解決すべき課題は、気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な流量計測システムを提供することである。
請求項4に記載の発明が解決すべき課題は、気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な流量計測方法を提供することである。
請求項5に記載の発明が解決すべき課題は、気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な流量計測プログラムを提供することである。
請求項6から請求項7に記載の発明が解決すべき課題は、ドップラ式超音波流量計における被測定流体が気体である場合に適した超音波トランスデューサを提供することである。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、配管内を流れる被測定流体の流量を求めるシステムに係る。
すなわち、気体中のトレーサに複数回のバースト波の音波を発振するバースト波発振手段と、 前記バースト波による当該トレーサからの反射波を受信する反射波受信手段と、 その反射波受信手段が受信した反射波から当該トレーサの位置を算出するトレーサ位置算出手段と、 そのトレーサ位置算出手段が算出したトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から相互相関法にて当該トレーサの速度を算出するトレーサ速度算出手段と、 そのトレーサ速度算出手段および前記トレーサ位置算出手段によって算出した多数のトレーサの位置および速度から流速分布を算出する流速分布算出手段と、 その流速分布算出手段が算出した流速分布から流量を算出する流量算出手段とを備えたことを特徴とする。
(用語説明)
「バースト波」とは、定められた時間だけ持続する単一周波数の波形信号をいう。任意の周波数の超音波を発生させるために用い、パルス波に比べ狭帯域な周波数特性がある。
バースト波について「複数回の」としているのは、相互相関法には反射波の比較が必要だからである。比較のために必要な2回以上を意味するが、3回よりも多い回数は現実的ではないので、実質的に2回または3回である。
「トレーサ速度算出手段」とは、例えば、前記の反射波受信手段が受信した反射波を信号処理する信号処理手段と、 その信号処理手段が信号処理をした後の反射波の信号を解析し、前記バースト波発振手段がバースト波を発振する測定線に沿うトレーサの速度を算出する手段とを備える。
ここで、「信号処理手段」とは、例えば、ADコンバータでデジタル化された超音波エコー信号に、ウォールフィルタにより、クラッタノイズ成分を低減させるフィルタリング処理するためのウォータフィルタ処理部をさらに備える。
更にここで、「ウォールフィルタ処理部」とは、前記バースト波発振手段によって周期的にn回(n>1)連続して発信されたバースト波の反射波であるn系列分の反射波から、各系列の開始時刻からの所定経過時刻毎に反射波の信号レベルを取得し、系列数順に並べ対応時刻エコーレベル信号を構成し、前記対応時刻エコーレベル信号をフーリエ変換して対応時刻エコーレベル信号の周波数相当成分を得るとともに、上記対応時刻エコーレベル信号の周波数相当成分から低周波相当成分を棄却する。そして、上記低周波相当成分が棄却された対応時刻エコーレベル信号の周波数相当成分に対して逆フーリエ変換した後、時系列順に並べ直してデジタル超音波エコー信号を再構築するように形成したものである。
「相互相関法」とは、ある一定の時間間隔をもって得られる2つの反射波(参照波、探索波)の相互相関を計算し、その計算結果から測定線MLに沿う流体の速度分布を導き出す手法である。本手法を用いて流量測定を行なうことにより、従来のドップラ式超音波流量計と比較して、時間分解能を飛躍的に向上させることができる。
相互相関法を実現するための「信号解析手段」は、例えば、以下のような構成とする。
すなわち、前記の信号処理手段にて信号処理されたデジタル超音波エコー信号から測定線に沿う超音波反射体の位置と速度を算出するために、前記参照波及び探索波の相互相関を計算する相互相関計算処理手段と、前記参照波及び探索波の相関値がある一定値以上の場合、同一の超音波反射体からの反射波とみなす位相特定手段と、その位相特定ステップにより特定した参照波及び探索波の位相差を計算する位相差計算手段と、その位相差計算手段により求まる位相差から前記測定線に沿う超音波反射体の位置及び速度を算出する位置・速度算出手段とを備える。
そして、前記した相互相関計算処理手段は、デジタル超音波エコー信号をフーリエ変換して平均周波数f及びRMS値σを算出し、算出した平均周波数f及びRMS値σを用いて、統計学的な周波数帯であるf±3σの範囲に対応する超音波反射体の速度範囲を算出し、算出した超音波反射体の速度範囲を用いて探索窓の大きさを設定する。統計学のいわゆる3σルール(正規分布においては、平均値±3σの範囲に全体の99.7%が包含される)を用い、出現し得る周波数帯を平均周波数fG±3σの範囲とみなし、存在し得る超音波反射体の速度の最小値umin及び最大値umaxをfG+3σ、fG−3σから求めるものである。
(作用)
バースト波発振手段が、気体中のトレーサに対して、複数回のバースト波の音波を発振する。そのバースト波による当該トレーサからの反射波を反射波受信手段が受信する。そして、その反射波受信手段が受信した反射波からトレーサ位置算出手段が当該トレーサの位置を算出する。
そのトレーサ位置算出手段が算出したトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から、トレーサ速度算出手段が相互相関法にて当該トレーサの速度を算出する。
そのトレーサ速度算出手段および前記トレーサ位置算出手段によって算出した多数のトレーサの位置および速度から、流速分布算出手段が流速分布を算出する。そして、その流速分布算出手段が算出した流速分布から流量を算出する。
一般のドップラ式超音波流量計については、比較的遅い流速である被測定流体については、測定可能な配管径などに制限があるが、本請求項に係る発明によれば、流速の遅い被測定流体であっても流量の算出が可能である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の流量計測システムを限定したものであり、
前記被測定流体を気体とし、 前記バースト波発振手段において発振されるバースト波の基本周波数は、20kHzから400kHzであることを特徴とする。
「被測定流体」としては、例えば水蒸気、天然ガス、高温の排気ガスなどがある。
バースト波の基本周波数について、「20kHzから400kHz」としたのは、以下のような理由である。
すなわち、20kHz未満では、波長が長くなると大きなトレーサが必要となり、スリップにより、流れの速さとトレーサの早さの不一致が発生する恐れがあり、望ましくない。また、400kHzより大きいと、空気中でバースト波が減衰してしまうことにより、計測可能な距離に限界があるからである。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の流量計測システムを限定したものである。
すなわち、前記バースト波発振手段および前記反射波受信手段は、バースト波の送受信を兼ねた超音波トランスデューサにて構成し、 その超音波トランスデューサは、前記配管の表面に接する音響整合層と、その音響整合層の内側に接する超音波振動子とを備え、 前記音響整合層は、密度が小さい弾性体を素材としたことを特徴とする。
(用語説明)
「超音波振動子」としては、例えば、板状の圧電体であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の薄膜を成膜したものを用いるのが一般的である。
「音響整合層」は、空中超音波の送受信波の効率を改善するために用いられるものである。例えば、シリコンゴムがある。高温に耐えられる素材であると、用途が広がるので望ましい。
被測定流体が流体である場合には、被測定流体が流れる配管と超音波トランスデューサとの間には、エポキシ樹脂などの素材で形成した「楔(くさび)」を介在させる。しかし、被測定流体が気体である場合にはエポキシ樹脂製の楔が不要となるが、この「音響整合層」が必要となる。
(作用)
バースト波発振手段および前記反射波受信手段を兼用とした超音波トランスデューサを採用したことで、装置の設定作業を簡略化するとともに、装置全体をシンプルにすることに寄与する。
また、密度が小さい弾性体を音響整合層の素材として採用したことにより、音響インピーダンスが被測定流体である気体に近づくので、被測定流体が流れる配管を超音波にて通過させやすい。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、 配管内を流れる被測定流体の流量を求める方法に係る。
すなわち、気体中のトレーサに複数回のバースト波の音波を発振するバースト波発振手順と、 前記バースト波による当該トレーサからの反射波を受信する反射波受信手順と、 その反射波受信手順にて受信した反射波から当該トレーサの位置を算出するトレーサ位置算出手順と、 そのトレーサ位置算出手順にて算出したトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から相互相関法にて当該トレーサの速度を算出するトレーサ速度算出手順と、 そのトレーサ速度算出手順および前記トレーサ位置算出手順によって算出した多数のトレーサの位置および速度から流速分布を算出する流速分布算出手順と、 その流速分布算出手順にて算出した流速分布から流量を算出する流量算出手順とを含むことを特徴とする。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、配管内を流れる被測定流体の流量を求めるシステムに用いるコンピュータプログラムに係る。
そのプログラムは、 気体中のトレーサに複数回のバースト波の音波を発振するバースト波発振手順と、 前記バースト波による当該トレーサからの反射波を受信する反射波受信手順と、 その反射波受信手順にて受信した反射波から当該トレーサの位置を算出するトレーサ位置算出手順と、 そのトレーサ位置算出手順にて算出したトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から相互相関法にて当該トレーサの速度を算出するトレーサ速度算出手順と、 そのトレーサ速度算出手順および前記トレーサ位置算出手順によって算出した多数のトレーサの位置および速度から流速分布を算出する流速分布算出手順と、 その流速分布算出手順にて算出した流速分布から流量を算出する流量算出手順とを、コンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
上記のコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−R、MO(光磁気ディスク)、DVD−R、フラッシュメモリなどである。また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末装置へ伝送することも可能である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、発振した超音波による反射波を用いて配管内を流れる気体の流量を求めるシステムに用いる超音波トランスデューサに係る。
すなわち、前記配管の表面に接する音響整合層と、その音響整合層の内側に接する超音波振動子とを備え、 前記音響整合層は、密度が小さい弾性体を素材としたことを特徴とする。
(作用)
他の請求項に係る流量計測システムに限らず、例えば、ドップラ式超音波流量計を用いて流量を計測する場合において、被測定流体が気体である場合に適した超音波トランスデューサを提供する。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の超音波トランスデューサを限定したものである。
すなわち、前記音響整合層は、母材を金属とした発泡金属にて形成したことを特徴とする。
音響整合層の材質は、音響インピーダンスが、0.05〜0.26×10 Ns/mの範囲にあることが望ましい。この条件を満たす単一素材は現存しないので、金属に微小な気泡を含ませた発泡金属を採用したものである。
発泡金属の母材としては、例えばアルミニウムがある。金属を母材としたことにより、被測定流体の配管表面が高温となる場合にも適用が可能となる。
請求項1から請求項3に記載の発明によれば、気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な流量計測システムを提供することができた。
請求項4に記載の発明によれば、気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な流量計測方法を提供することができた。
請求項5に記載の発明によれば、気体のように超音波の速度が遅い流体においても測定が可能な流量計測プログラムを提供することができた。
請求項6および請求項7に記載の発明によれば、ドップラ式超音波流量計における被測定流体が気体である場合に適した超音波トランスデューサを提供することができた。
以下、本願発明に係る超音波流量計測システムおよび超音波トランスデューサについて、実施形態および図面を用いて、具体的に説明する。
(図1)
図1に示すのは、本実施形態に係る流量計測システムの概略である。
すなわち、配管18内を流れる気体の流量を計測するため、超音波トランスデューサ15を配管に接続し、その超音波トランスデューサ15に接続されたPC11(パーソナルコンピュータ)が、基本処理および測定処理を実行するのである。そしてこのPC11には、基本処理および測定処理を実行するためのコンピュータプログラムが格納されている。
被測定流体である気体には、超音波トランスデューサ15から発振されるバースト波を反射できる反射体、例えば細かな塵などが含まれているものとする。
配管18には、例えば、内径Dが41.2mmφ、肉厚が3.7mmのステンレス管18を使用し、管開始位置(x=0)より管軸方向(x軸方向)にx=19D(内径Dの19倍)の位置に超音波トランスデューサ15を外側から設置する。
(図2)
図2は、本実施形態にて用いる超音波トランスデューサ15のモデル図である。
この超音波トランスデューサ15は、後述するバースト波発振手段および反射波受信手段の機能を兼ね備えた超音波トランスデューサである。図に示すように、前記配管の表面に接する音響整合層と、その音響整合層の内側に接する超音波振動子とを備え、前記音響整合層は、密度が小さい弾性体を素材とを備える。
音響整合層の素材は、シリコンゴムである。高温に耐えられる素材であると、用途が広がるので望ましい。例えば、アルミニウムを母材とした発泡金属の母材とすれば、被測定流体の配管表面が高温となる場合にも適用が可能となる。
超音波振動子は、板状の圧電体であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の薄膜を成膜したものを用いている。
なお、図示は省略するが、超音波トランスデューサ15は、音響インピーダンスを整合させるため、音響カプラを介して金属配管に設置されることが一般的である。
(図3)
図3は、本システム10において、パソコン11がコンピュータプログラムを実行することによりなされる超音波流速分布及び流量測定処理方法を説明する処理フロー図である。
超音波流速分布及び流量測定処理方法は、受信した超音波エコー信号を信号処理する信号処理手順と、信号処理後の超音波エコー信号を信号解析して流体17の流速分布及び流量を得る信号解析手順とを具備する。
信号処理手順は、受信した超音波エコー信号のうち使用した超音波と同じ周波数帯を抽出するBPF処理を行なうBPF処理工程と、超音波エコー信号をAD変換するAD変換工程と、超音波エコー信号に重畳するクラッタノイズ成分を低減するWF処理工程とを備える。
信号解析手順は、測定対象である流体17中の超音波反射体群の位置及び速度を算出する反射体位置・速度算出工程と、反射体位置・速度算出工程で算出した超音波反射体群の位置及び速度から流体の流速分布を算出する流速分布算出工程と、流速分布算出工程で算出した流速分布から流体17の流量を算出する流量算出工程とを備える。
以上のような工程を実現するためのハードウェア構成を、図4に示す。
(図4)
図4には、本実施形態に係る流量計測システムの機能をブロック図にて示している。
本システム10は、エミッショントリガ信号(電気信号)を出力するエミッショントリガ発振手段22と、エミッショントリガ信号を受信して超音波パルスを発振する超音波パルス発振手段23と、超音波パルスの反射波を受信し、受信した超音波パルスの反射波を電気信号に変換する超音波受信手段24と、電気信号の信号処理を行なう信号処理手段25と、受信した信号を解析して超音波流速分布及び流量を算出する信号解析手段26とを具備する。
エミッショントリガとは、PCに内蔵されるCPU等の演算処理手段が内部クロック信号を利用して発振するトリガではなく、CPU等の演算手段と別個に設けられたトリガ発振手段が発振するトリガ(外部トリガ)であり、内部クロックが支配的とならないトリガ発振手段によって発振される。
エミッショントリガ発振手段22は、例えば、トリガ発振機能を有するボード(以下、トリガ発振ボードとする)をPCに内蔵されるマザーボートに接続され、PCにおける前記の基本処理にて機能する。
エミッショントリガ発振手段22は、エミッショントリガ信号(電気信号)を発振して、発振したエミッショントリガ信号(以下、単にトリガ信号とする)を超音波パルス発振手段23及び信号処理手段25へ出力する。超音波パルス発振手段23に入力されるトリガ信号は、超音波パルス発振手段23において超音波を発振する際に使用される。また、信号処理手段25に入力されるトリガ信号は、信号授受のタイミングの制御、すなわち同期をとるために使用される。
エミッショントリガ発振手段22が出力するトリガ信号の出力波形は、測定者が、PCから設定条件を入力操作する等してパソコン11に設定条件を入力することで任意に設定できる。パソコン11に設定条件が入力されると、パソコン11に内蔵されるCPU等の演算処理手段が入力された設定条件を認識し、PCの基本処理を実行して入力された設定条件に合致したトリガ信号を出力する。
超音波パルス発振手段23は、入力されたトリガ信号により所要周波数(基本周波数f0)の電気パルス信号を所定時間(τ)間隔毎に生成する電気パルス信号生成部28と、受信した電気パルス信号の周波数及び時間間隔に応じて超音波パルスを発振する超音波パルス生成部(発振部)29とを備える。
超音波パルス発振手段23の電気パルス信号生成部28は、PCの基本処理にて電気パルス信号生成機能が実現される。
超音波パルス発振手段23がエミッショントリガ発振手段22から出力されたトリガ信号を受信すると、電気パルス信号発振部28は、所要周波数、例えば、1MHz,2MHz,4MHz等の基本周波数f0の電気パルス信号を所定時間τ間隔で生成する。電気パルス信号生成部28は、デジタルシンセサイザを有し、50kHzから20MHzまでの電気パルス信号の出力が可能であり、様々な発振周波数特性を有するトランスデューサ15に対応できる。電気パルス信号生成部28において生成された電気パルス信号は、超音波パルス生成部29へ出力される。
超音波パルス発振部29は、前記超音波トランスデューサにより超音波パルスであるバースト波の生成機能が実現される。すなわち、電気パルス信号発振部28が生成した電気パルス信号を受信すると、受信した電気パルス信号を超音波パルスに変換し、得られた超音波パルスを発信する。
図1に示すように、超音波トランスデューサ15は、配管18に所定の設置角度θをなして外側から設置される。超音波トランスデューサ15から発信された超音波パルスは、測定線MLに沿って、配管18内を流れる流体中に入射され、懸濁する(混在する)超音波反射体により反射される。超音波反射体により反射された反射波は超音波トランスデューサ15に戻る。
超音波パルス発振手段23の超音波パルス生成部29とともに、超音波受信手段24としての機能も担っている。超音波受信手段24は、戻ってきた超音波パルスの反射波を受信して、受信した反射波の大きさに応じた超音波エコー信号(アナログ電気信号)に変換する。変換により得られた超音波エコー信号は、信号処理手段25へ送信される。
信号処理手段25は、受信した超音波エコー信号のうち使用した超音波と同じ周波数帯を抽出するフィルタリング処理(以下、バンドパスフィルタリング処理:BPF処理とする)を実行するBPF処理部31と、超音波エコー信号をアナログ信号からデジタル信号に変換(以下、AD変換とする)するADコンバータ32と、受信した超音波エコー信号に重畳するクラッタノイズ成分を低減するウォールフィルタ(以下、WFとする)によるフィルタリング処理を実行するWF処理部33とを備える。
反射波である超音波エコー信号を信号処理手段25が受信すると、まず、BPF処理部31に超音波エコー信号が入力され、BPF処理がなされることとなる。
BPF処理部31は、例えば、ローパスフィルタ(LPF)及びハイパスフィルタ(HPF)、またはバンドパスフィルタ(BPF)により構成され、超音波反射体からの反射波である超音波エコー信号に対して、測定に使用する超音波パルスの周波数帯のみを抽出する。BPFフィルタリング処理を施すことにより、測定に使用しない周波数成分に含まれるノイズがおよぼす流速分布及び流量測定への悪影響を抑制する。
また、BPF処理部31において、超音波エコー信号のBPF処理が完了すると、次に、超音波エコー信号は、ADコンバータ32に入力される。ADコンバータ32は、受信した超音波エコー信号を高速にデジタルサンプリングしてアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換手段として機能する。AD変換工程は、ステップS1のBPF処理工程でBPF処理後の超音波エコー信号をデジタルサンプリングして時系列データ(例えば、512系列分)を取得する。
なお、ADコンバータ32の解像度は、例えば8bitでサンプリング周波数が500MHzまで可能である。
AD変換後のデジタル信号は、PC11のRAMなどにデジタルデータとして一旦格納される。ADコンバータ32が超音波エコー信号をAD変換すると、次に、超音波エコー信号は、WF処理部33に入力される。WF処理部33は、受信した超音波エコー信号に対してWF処理を実行する。超音波エコー信号に対するWF処理部33のWF処理により、超音波エコー信号に重畳するクラッタノイズを低減され、クラッタノイズがおよぼす流速分布及び流量測定への悪影響を抑制する。
WF処理部33が、超音波エコー信号に対するWF処理を完了すると、信号処理手段25において実施される全ての信号処理は完了する。
信号処理手段25において信号処理された超音波エコー信号は、信号解析手段26に入力され、信号解析手段26が入力された超音波エコー信号を解析する。
信号解析手段26は、流体中の超音波反射体の位置及び速度を算出する反射体位置・速度算出部36と、反射体位置・速度算出部36が算出した多数個の超音波反射体の位置及び速度から流体の流速分布を算出する流速分布算出部37と、流速分布算出部37が算出した流速から流体の流量を算出する流量算出部38とを備える。
反射体位置・速度算出部36は、入力された超音波エコー信号から流体中の反射体の位置及び速度を算出する。超音波反射体の位置および速度の算出は、以下のようにする。すなわち、配管18内を流動する流体中の反射体の場合、測定線ML上の異なる位置をあるピッチ(以下、測定ピッチとする)で算出し、一つの位置に対して反射体の速度を数個算出する。
測定ピッチは、主としてADコンバータ32の分解能(サンプリング周波数)によって決定するため、ADコンバータ32の分解能を考慮しつつ、配管18の内径寸法および流体の種類に応じて測定前に設定する。
流速分布算出部37は、反射体位置・速度算出部36が算出した超音波反射体群の位置及び速度をプロットすることによって速度分布を得る。本システム10において、被測定流体の流速分布のみを表示する場合は、流速分布算出部37が出力した流速分布データをパソコン11のディスプレイ等の表示可能な表示手段に流速分布として表示する。
本システム10において、流速分布及び流量、又は、流量を表示する場合は、流速分布算出部37が算出した流速分布データが流量算出部38に入力される。流量算出部38は、流速分布算出部37が算出した流速分布データを受信し、受信した流速分布データを用いて配管18の内の流速分布を配管18の内部面積に沿う積分演算を実行する。流量算出部38が積分演算処理(流量算出)を完了すると、パソコン11のCPU等の演算処理手段が基本処理PG20を実行し、流量算出部38が算出した流量算出データをパソコン11のディスプレイ等の表示可能な表示手段に流量表示する。
前述したエミッショントリガ発振手段22、超音波パルス発振手段23、超音波受信手段24の電気パルス信号生成部28、信号処理手段25及び信号解析手段26は、必ずしもパソコン11のみをプログラムと協同する構成としなくても良い。例えば、エミッショントリガ発振手段22として、パソコン11の外部にパソコン11から出力される信号によって駆動するトリガ発振ユニットを設けても良い。
(図5)
図3にて示したステップS3のWF処理工程は、各系列のデジタル超音波エコー信号(時系列データ)において、系列数と信号レベルとの関係を得る対応時刻エコーレベル信号取得ステップ(ステップS11)と、対応時刻エコーレベル信号取得ステップで得られた信号をFFT(高速フーリエ変換)処理するFFT処理ステップ(ステップS12)と、FFT処理後の信号の周波数相当成分に対し、S/N比を閾値としたフィルタリング処理を施すクラッタノイズ低減処理ステップ(ステップS13)と、クラッタノイズ低減処理ステップ後の信号を逆FFT処理する逆FFT処理ステップ(ステップS14)とを備える。
ステップS3のWF処理工程では、まず、ステップS11でデジタル超音波エコー信号の各系列において、各系列の開始時刻からの経過時刻τ1等の対応する任意の時刻(以下、「対応時刻」とする)において信号レベルを取得する(以下、取得した信号レベルを系列数1から並べて構成される信号を「対応時刻エコーレベル信号」とする)。
同様にして、τ1以外の対応時刻τ2・・・・τj(jは任意の自然数:上記例では少なくともj≧3)についても各系列の信号レベルを取得する。尚、信号レベルを取得する対応時刻の数は、事前にプログラミングしても良いし、測定開始前に入力設定するようにしても良い。対応時刻エコーレベル信号を得ると、対応時刻エコーレベル信号取得ステップ(ステップS11)は完了し、ステップS12で、FFT処理ステップがなされる。
ステップS12のFFT処理ステップでは、対応時刻エコーレベル信号をFFT処理して対応時刻エコーレベル信号の周波数相当成分を得る。対応時刻エコーレベル信号の周波数相当成分を得ると、FFT処理ステップ(ステップS12)は完了し、続いて、ステップS13で、クラッタノイズ低減処理ステップがなされる。
ステップS13のクラッタノイズ低減処理ステップでは、対応時刻エコーレベル信号の周波数相当成分から低周波相当成分の棄却を行なう。これにより、超音波エコー信号に重畳するクラッタノイズが低減される。なお、クラッタノイズ低減処理ステップにおけるフィルタリング処理の閾値設定は、測定開始以前に入力設定する。
クラッタノイズ低減処理ステップ(ステップS13)が完了したら、続いて、ステップS14で逆FFT処理ステップがなされ、クラッタノイズ低減処理後の対応時刻超音波エコー信号の周波数成分に対して、逆FFT処理を行った後、時系列順に並べ直してデジタル超音波エコー信号(時系列データ)を再構築する。
ステップS14の逆FFT処理ステップを完了してデジタル超音波エコー信号を得ると、ステップS3のWF処理工程が完了する。また、WF処理工程(ステップS3)が完了すると、超音波流速分布及び流量測定処理方法における信号処理手順は、全処理工程を完了する。信号処理手順が完了すると、続いて、図4ともに前述した信号解析手順(ステップS4〜ステップS6)がなされる。
(図6)
図6には、信号解析手順における反射体群位置・速度算出工程(ステップS4)のより詳細な処理ステップを表した処理フロー図を示す。
前述したステップS4の反射体群位置・速度算出工程は、図7に示すように、相互相関計算処理ステップ(ステップS21)と、位相特定ステップ(ステップS22)と、位相差計算ステップ(ステップS23)と、位置・速度算出ステップ(ステップS24)と、探索完了判別ステップ(ステップS25)とを備える。
反射体群位置・速度算出工程は、まず、ステップS21で相互相関計算処理ステップがなされ、相互相関法による参照波45及び探索波46の相互相関を計算し相関値を算出する。相関値の算出は、探索波46の探索窓の大きさを変動探索窓法(詳細は後述する)を用いて設定し、探索波46の探索範囲において、参照波45の参照範囲との相互相関を計算することでなされる。相関値の算出が完了すると、相互相関計算処理ステップ(ステップS21)は完了し、続いて、ステップS22で位相特定ステップがなされる。
ステップS22の位相特定ステップでは、相互相関計算処理ステップ(ステップS21)で得られた相関値が閾値s以上となる関係を有する探索波46の位相が特定される。閾値sは、PG実行前又は実行時に設定する。位相特定ステップ(ステップS22)は完了し、続いて、ステップS23で位相差計算ステップがなされる。
ステップS23の位相差計算ステップでは、特定した探索波46の位相と参照波45の参照した位相との位相差を計算する。位相差の計算が完了すると、位相差計算ステップ(ステップS23)は完了する。
続いて、ステップS24で位置・速度算出ステップが実行される。このステップS24の位置・速度算出ステップでは、計算した位相差から探索波46の探索範囲にある超音波反射体の位置及び速度を算出する。探索波46の探索範囲にある超音波反射体の位置及び速度の算出が完了する。
続いて、ステップS25の探索完了判別ステップが実行される。このステップS25の探索完了判別ステップでは、探索波46において探索する全ての探索範囲について、探索が完了したかを判別する。
全ての探索範囲について探索が完了していない場合(ステップS25で「NO」の場合)には、ステップS21に進み、ステップS21以降の処理ステップを繰り返す。ステップS21以降の処理ステップを繰り返すことで、流体17中を流動する超音波反射体群の位置及び速度が算出される。一方、全ての探索範囲について探索が完了している場合(ステップS25で「YES」の場合)には、反射体群位置・速度算出工程を終了する。
図4に示す信号解析手段26にて反射体群位置・速度算出工程(ステップS4)が完了すると、続いて、流速分布算出工程(ステップS5)がなされる。
ステップS5の流速分布算出工程では、反射体群位置・速度算出工程で算出された反射体群位置及び速度から超音波反射体群の位置と速度との関係、すなわち、流速分布が算出される。流速分布算出の際は、各系列における同じ対応時刻(例えば、対応時刻τ1)において同位置で取得された全ての超音波反射体の速度を加算平均又は2乗平均して算出する。
流速分布が算出されると、流速分布算出工程(ステップS5)を完了し、続いて、流量算出工程(ステップS6)がなされる。ステップS6の流量算出工程では、算出した金属配管18の内の流速分布を金属配管18の内部面積に沿う積分演算することで流量を算出する。流量の算出が完了すると、流量算出工程(ステップS6)は完了し、信号解析手順は全処理工程を完了する。信号解析手順が完了すると、超音波流速分布及び流量測定処理方法における全処理手順を完了する。
(図7)
時刻t=t0において、流体中を、超音波トランスデューサから発振されてビーム状に直進する超音波(バースト波)が捕捉した反射体が、時刻t=t0+Δtにおいて、超音波トランスデューサが捕捉した反射体の流体中の移動量Δxを求める。
流体17の流速分布を測定する際、トランスデューサ15の圧電素子から超音波パルスを測定線MLに沿って発信させると、発信された超音波パルスは、超音波反射体であるトレーサ粒子48の表面で反射し、トランスデューサ15に戻ってくる。この反射波は、ステンレス管18a内の流動場の各所で起こるため、図7に示すような反射波が現れる。
最初に表われる超音波バースト信号(超音波エコー信号)aは、エミッション領域と呼ばれ、超音波の発振直後に圧電素子の振動が残っているために生じる信号である。次に出てきた超音波バースト信号bは管上部によるものであり、水とステンレスの音響インピーダンスの違いから生じる信号であり、管下部による超音波バースト信号cも、信号bと同様である。超音波バースト信号bとcの間にある信号dがステンレス管18a内の流体流速情報を含んでおり、ピークとなって現れる場所に反射体が存在することとなる。
の位置を反射波である超音波バースト信号dから求める。トランスデューサ15からトレーサ粒子48までの距離をx、超音波パルスを発振してから反射波を受信するまでの時間をτ、超音波の速度をcとすると、

Figure 2008157677
の関係が成立する。
ある時間間隔Δt後にもう一度、この超音波パルスの発振と反射波の受信すると、同様の反射波を得ることができるが、超音波パルスの発振間隔Δtの時間間隔の間に流体17が移動すれば、トレーサ粒子48も追従移動する。このため、反射波受信までの時間τも変化する。
この相関関係から流体の流速を測定する測定原理が、相互相関法である。
(図8)
xを超音波トランスデューサ15からの距離、Δxを超音波パルスの発振間隔Δt間に移動したトレーサ粒子48の移動量、τを超音波パルス発射時点からの時間遅れ、Δτを超音波パルスの発振間隔Δt間に変化した超音波パルス発射時点からの時間遅れとすると、ある位置xにおけるx方向速度u(x)は、

Figure 2008157677
にて表される。
超音波パルスの反射は、測定線ML上の各所で起こるため、この測定線ML上における流体の流速計測を同時に行なうことができ、流体の流速分布を得ることができる。
流体の流速分布計測を超音波パルスの発振間隔Δtの時間間隔でn回(但し、n≧2の自然数)連続的にパルス信号を入力して行なった場合、時間分解能Δtの連続流速分布データをn−1枚取得することができる。
ところで、超音波反射体であるトレーサ粒子による反射波は、超音波パルスの発振間隔Δtを、流体の流速変動スケールに対して十分小さくとることにより、その時間間隔(発振間隔)Δtの間でほぼ保存される。
本システム10の信号処理手段25は、入力された反射波のアナログ超音波エコー信号をADコンバータ32で高速サンプリング処理してデジタル信号に変換した後、超音波パルスの発振間隔Δtをもって得られた2つの反射波の相互相関関数を計算する。そして、流体内の同一超音波反射体からの反射であることを識別する目的で、相互相関に設定した最大値に対する閾値、又は相互相関の形状保存性に対する閾値を設定することにより、定量化した数値を基に同一のトレーサ粒子群からの反射であるか否かを判断することができる。
一般的に、相互相関関数(R(ε,τ))は次のように定義される。

Figure 2008157677
τが基準となる時間遅れ、iが参照・探索窓内での位置、εが参照波と探索窓とのずれ、mは超音波パルスの周期分をそれぞれ表している。
この相互相関関数R(ε,τ)を用いて同一のトレーサ粒子群からの反射波かどうかを定量的に判別し、それぞれの時間遅れτを計算し、そこから時間変化量Δτを求める。つまり、最初に得られた反射波(参照波)と、次の反射波(探索波)との時間遅れτを求め、この2つの反射波の時間遅れτの差(時間差)がΔτとなる。
一方、流体の流速分布速度を得るために必要な超音波パルスの発振間隔Δtによる反射波の到達時間差Δτは、デジタルサンプリングされた反射波の相互相関関数を用いることにより得られる。
この相互相関関数R(ε,τ)は反射波のサンプリング時間間隔をもった離散的なもので得られ、超音波パルスの発振間隔Δtの間隔を短くすればするほど、トレーサ粒子群からのパルス反射波の形状は保存されるため、より細分割したメッシュでΔτを求める手法が不可欠である。
そこで超音波パルスの発振間隔Δtの間隔を短くすべく、例えば正規分布近似を利用した補完を行なうことができる。この補完により、より細分割したメッシュで相互相関関数のピークを求めることができ、その結果速度分解能も向上する。
今、離散的に得られた各相関値の最大値をPk、その前後の相関値をそれぞれPk−1,Pk+1とすれば、

Figure 2008157677
となる。本発明に係る超音波流速分布計及び流量計においては、この分布近似を利用した補完を行なって信号処理することにより、速度分解能を格段に向上させることができる。
本発明は、ガスプラントにおけるガスの流量計測、ガス流量計測に関わる制御やソフトウェア開発、ガス流量計測システムのメンテナンス業などにおいて、利用可能性がある。
本実施形態に係る流量計測システムの概略図である。 本実施形態にて用いる超音波トランスデューサのモデル図である。 本実施形態に係る流量計測システムにおいて、パソコンが超音波流速分布及び流量測定PGを実行することによりなされる超音波流速分布及び流量測定処理方法の処理フロー図である。 実施形態に係る流量計測システムの機能ブロック図である。 本発明に係る超音波流速分布計及び流量計においてなされる超音波流速分布及び流量測定処理方法の信号処理手順におけるWF処理工程の処理ステップを表した処理フロー図。 本発明に係る超音波流速分布計及び流量計においてなされる超音波流速分布及び流量測定処理方法の信号解析手順における反射体群位置・速度算出工程の処理ステップを表した処理フロー図。 本発明に係る超音波流速分布計及び流量計のトランスデューサから発振される超音波パルスの反射波である超音波エコー信号について説明する説明図。 相互相関法による流体の流速を測定する測定原理を説明した説明図。
符号の説明
10 本システム 11 PC(パソコン)
14 コネクタケーブル(信号線) 15 超音波トランスデューサ
18 配管 20a ステンレス配管
22 エミッショントリガ発振手段 23 超音波パルス発振手段
24 超音波受信手段 25 信号処理手段
26 信号解析手段 28 電気パルス信号発振部
29 超音波パルス発振部
31 BPF(バンドパスフィルタリング)処理部
32 ADコンバータ
33 WF(ウォールフィルタフィルタリング)処理部
36 反射体位置・速度算出部
37 流速分布算出部
38 流量算出部
48 トレーサ粒子(超音波反射体)

Claims (7)

  1. 配管内を流れる被測定流体の流量を求めるシステムであって、
    気体中のトレーサに複数回のバースト波の音波を発振するバースト波発振手段と、
    前記バースト波による当該トレーサからの反射波を受信する反射波受信手段と、
    その反射波受信手段が受信した反射波から当該トレーサの位置を算出するトレーサ位置算出手段と、
    そのトレーサ位置算出手段が算出したトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から相互相関法にて当該トレーサの速度を算出するトレーサ速度算出手段と、
    そのトレーサ速度算出手段および前記トレーサ位置算出手段によって算出した多数のトレーサの位置および速度から流速分布を算出する流速分布算出手段と、
    その流速分布算出手段が算出した流速分布から流量を算出する流量算出手段とを備えたことを特徴とする流量計測システム。
  2. 前記被測定流体を気体とし、
    前記バースト波発振手段において発振されるバースト波の基本周波数は、20kHzから400kHzであることを特徴とする請求項1に記載の流量計測システム。
  3. 前記バースト波発振手段および前記反射波受信手段は、バースト波の送受信を兼ねた超音波トランスデューサにて構成し、 その超音波トランスデューサは、前記配管の表面に接する音響整合層と、その音響整合層の内側に接する超音波振動子とを備え、 前記音響整合層は、密度が小さい弾性体を素材としたことを特徴とする請求項2に記載の流量計測システム。
  4. 配管内を流れる被測定流体の流量を求める方法であって、
    気体中のトレーサに複数回のバースト波の音波を発振するバースト波発振手順と、
    前記バースト波による当該トレーサからの反射波を受信する反射波受信手順と、
    その反射波受信手順にて受信した反射波から当該トレーサの位置を算出するトレーサ位置算出手順と、
    そのトレーサ位置算出手順にて算出したトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から相互相関法にて当該トレーサの速度を算出するトレーサ速度算出手順と、
    そのトレーサ速度算出手順および前記トレーサ位置算出手順によって算出した多数のトレーサの位置および速度から流速分布を算出する流速分布算出手順と、
    その流速分布算出手順にて算出した流速分布から流量を算出する流量算出手順とを含むことを特徴とする流量計測方法。
  5. 配管内を流れる被測定流体の流量を求めるシステムに用いるコンピュータプログラムであって、
    そのプログラムは、 気体中のトレーサに複数回のバースト波の音波を発振するバースト波発振手順と、
    前記バースト波による当該トレーサからの反射波を受信する反射波受信手順と、
    その反射波受信手順にて受信した反射波から当該トレーサの位置を算出するトレーサ位置算出手順と、
    そのトレーサ位置算出手順にて算出したトレーサの位置と、当該トレーサからの複数回の反射波から相互相関法にて当該トレーサの速度を算出するトレーサ速度算出手順と、
    そのトレーサ速度算出手順および前記トレーサ位置算出手順によって算出した多数のトレーサの位置および速度から流速分布を算出する流速分布算出手順と、
    その流速分布算出手順にて算出した流速分布から流量を算出する流量算出手順とを、コンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラム。
  6. 発振した超音波による反射波を用いて配管内を流れる気体の流量を求めるシステムに用いる超音波トランスデューサであって、
    前記配管の表面に接する音響整合層と、その音響整合層の内側に接する超音波振動子とを備え、
    前記音響整合層は、密度が小さい弾性体を素材としたことを特徴とする超音波トランスデューサ。
  7. 前記音響整合層は、母材を金属とした発泡金属にて形成したことを特徴とする請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
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