JP5313411B1 - シリカ多孔体および光マイクロフォン - Google Patents

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Abstract

本願に開示されたシリカ多孔体は、複数のシリカ粒子2が3次元的につながったシリカ多孔体であって、密度が220kg/m3より小さく、シリカ粒子2の粒子径が、3.5nm以上であり、水分含有量が8wt%以下である。

Description

本願は、音響伝搬媒質として用いられるシリカ多孔体および光マイクロフォンに関する。
光マイクロフォンは、光を用いて音波を検出する装置である。具体的には、音波を透明な光音響媒質中に取り込むことによって、光音響媒質中を伝搬する粗密波に変換し、レーザドプラ振動計(Laser Doppler Vibrometer:LDV)などの測長・振動計測用光学システムを利用して、粗密波を光学長の時間変動として音波を検出する。したがって、良好な特性を有する光マイクロフォンを実現するためには、音波を効率よく光学特性変動に変換する光音響媒質を開発することが極めて重要である。
このような光音響伝搬媒質として、特許文献1は、シリカより構成されるシリカ多孔体およびこれを用いた光マイクロフォンを開示している。以下、特許文献1に開示される光マイクロフォンの構造および動作を説明し、光マイクロフォンにおける光音響伝搬媒質の機能および重要性について説明する。
図25は、特許文献1に開示された従来の光マイクロフォンの構成を示す概略図である。従来のマイクロフォン101は、受信部120と検出部121と換算部110とを備える。
受信部120は、受信部120の周囲の環境を伝搬する音波を取り込み、音波を光学特性の変動に変換する。このために、受信部120は、凹部103aを有するベース103と、凹部103aの開口を覆うように支持された透明支持板107とを含む。ベース103の凹部103aと透明支持板107によって形成される空間には、シリカ多孔体からなる光音響伝搬媒質部102が配置されている。また、凹部103aには、光音響伝搬媒質部102の上面102aによって一面が規定される音響導波路106が設けられている。ベース103には音響導波路106へ音波を入射させるための開口104が設けられている。
検出部121は、受信部120で生じた光学特性の変動を、光を用いて検出する。検出部121はレーザドプラ振動計(LDVと略す)であり、ヘッド108と、演算部109とを含む。
空気中を伝搬してきた音波は、音波伝搬方向105に沿って、開口部104から音響導波路106内に伝搬する。音響導波路106を伝搬する音波は、その伝搬に伴って、光音響伝搬媒質部102の上面102aから光音響伝搬媒質部102を構成するシリカ多孔体の中に入射し、光音響伝搬媒質部102を伝搬する。
ヘッド108から光音響伝搬媒質部102向けて照射されたレーザ光100は、透明支持板107および光音響伝搬媒質部102を透過し、ベース103の凹部103aの底面103cにおいて反射する。反射したレーザ光100は、再び光音響伝搬媒質部102の中を透過し、光音響伝搬媒質部102から出射し、ヘッド108に受光される。レーザ光100が、光音響伝搬媒質部102中を通過する際、音波の伝搬に伴う光音響伝搬媒質部102を構成するシリカ多孔体の密度および屈折率が変化し、レーザ光100は、これらの変化による変調を受ける。
ヘッド108に受光されたレーザ光100は、電気信号に変換された後、演算部109へ出力される。演算部109は、電気信号を処理し、レーザ光100に含まれる変調成分を検出信号として換算部110へ出力する。換算部110は、検出信号を音圧に換算し、受信信号を出力する。換算部110における算は以下の通りである。
光音響伝搬媒質部102の内部を伝搬する音波の音圧により、光音響伝搬媒質部を構成するシリカ多孔体の体積Vは伸縮し、体積変化ΔVが生じる。体積変化ΔVにより、シリカ多孔体102の屈折率nはΔnだけ変化する。これらの関係は、式(1)で表される。
Figure 0005313411
また、シリカ多孔体の内部において、音波は音響平面波として伝搬しているため、体積変化ΔVは音波の進行方向の変位に限られる。このため、式(2)が成立する。
Figure 0005313411
ここで、lはシリカ多孔体の音波伝搬方向の長さであり、Δlは音波の伝搬によるシリカ多孔体の音波伝搬方向における変位であり、Sは音波伝搬方向におけるシリカ多孔体のひずみを示す。シリカ多孔体の内部の音圧Pは、ひずみSとシリカ多孔体の弾性定数Eにより式(3)で表すことができる。
Figure 0005313411
また、弾性定数Eは、シリカ多孔体の密度ρおよび音速Cを用いて、式(4)で表すことができる。
Figure 0005313411
式(1)から(4)より、シリカ多孔体の内部の音圧Pは、シリカ多孔体の密度ρ、音速Cおよび屈折率nと、ヘッド108から出力される電気信号である変位出力ΔLあるいは演算部109の出力である速度出力vとによって、式(5)で表すことができる。
Figure 0005313411
したがって、演算部109より出力される速度出力vを用いれば、音圧Pを計測することができる。
非特許文献1は、このような用途に適したシリカ多孔体の中でも特に弾性率が小さい材料として、シリカエアロゲルを開示している。非特許文献1は、このシリカエアロゲルの密度が0.03〜0.3g/cm3と極めて小さく、光マイクロフォン用の光音響伝搬媒質として有用であると記載している。
従来の光マイクロフォンに用いられるシリカ多孔体の構造とその製造方法を次に説明する。一般にシリカエアロゲルと称される低密度のシリカ多孔体は、多くの細孔を有し、体積の90%以上が空孔で構成される。また、骨格は、数nmから数十nm程度の球状のシリカ微粒子がつながって構成されている。
シリカ多孔体は、一般的には、珪素のアルコキシドを含むゾル液を加水分解および重合反応させることにより湿潤ゲルを生成させ、湿潤ゲル中の溶液を気体に置換することによって作製される。溶液を気体で置換する、つまり、乾燥させる際、細孔内に残存している溶液の表面張力に基づく引っ張り応力がゲルの強さより大きくなると、ゲル構造が破壊される。これを防ぐため、湿潤ゲルを乾燥させる工程には、超臨界乾燥を用いることが多い。また、ゲルに疎水化処理を施すことにより、経時劣化が極めて少ないシリカ多孔体を得ることができる。非特許文献1は疎水化処理として、加水分解し、縮重合した後に残留している水酸基を疎水性の改質基に置換する方法を開示している。
特開2009−85868号公報
作花済夫著「ゾルーゲル法の応用」アグネ承風社出版、1997年7月31日(P44−45)
光マイクロフォンの感度を高めるためには、音波をより効率よく光学特性変動に変換する光音響媒質が求められる。本願の限定的ではない、例示的なある実施形態は、光マイクロフォンの感度を高め得るシリカ多孔体およびこのシリカ多孔体を用いた光マイクロフォンを提供する。
本願に開示されたシリカ多孔体は、複数のシリカ粒子が3次元的につながったシリカ多孔体であって、密度が220kg/m3より小さく、前記シリカ粒子の粒子径が、3.5nm以上であり、水分含有量が8wt%以下である。
本願に開示されたシリカ多孔体によれば、密度が220kg/m3より小さく、シリカ粒子の粒子径が3.5nm以上であり、水分含有量が8wt%以下である。このため、弾性率が低いシリカ多孔体を実現することができる。また、このシリカ多孔体を用いることによって、高感度な光マイクロフォンを実現することができる。
シリカ多孔体の実施形態における密度と音速との関係を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における密度と弾性率との関係を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態のSEM像を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態の構造を示す模式図である。 シリカ多孔体の実施形態における細孔の断面を示す模式図である。 シリカ多孔体の実施形態におけるシリカ粒子の結合モデルを示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における水分量と音速との関係を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における粒子径の−1.5乗と音速との関係を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における粒子径の−1.5乗と音速との関係を示す他の図である。 シリカ多孔体の実施形態の物性を調べるための実験例に用いた非接触音速測定系の構成を示す図である。 図10に示す構成において、音速測定したシリカ多孔体の範囲を示す図である。 図10に示す構成において、オシロスコープより観察される波形の一例を示す図である。 図10に示す構成によって得られた測定結果であって、最大振幅値を表示したマップの一例を示す図である。 図10に示す構成によって得られた測定結果であって、最大振幅値の時間を表示したマップの一例を示す図である。 図10に示す構成によって得られた測定結果であって、音速を求めるグラフの一例を示す図である。 図10に示す構成によって得られた測定結果であって、感度を求めるグラフの一例を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における密度と感度との関係を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における窒素吸着等温線を示す図である。 図18に示す窒素吸着等温線A線からBJH法で計算した結果を示す図である。 図18に示す窒素吸着等温線B線からBJH法で計算した結果を示す図である。 本発明によるシリカ多孔体の実施形態における粒子径の−1.5乗と音速との関係を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における音速と感度との関係を示す図である。 シリカ多孔体の実施形態における水分量と感度との関係を示す図である。 本発明による光マイクロフォンの一実施形態を示す構成図である。 従来の光マイクロフォンの構成を示す図である。 実験的に求められたシリカ多孔体の屈折率nと密度ρとの関係を示す図である。 従来の光マイクロフォンに用いられているシリカ多孔体の密度と音速との関係を示す図である。
本願発明者は、より感度の高い光マイクロフォンを実現するため、光マイクロフォン用の光音響伝搬媒質として適したシリカ多孔体の研究を行った。
上述の式(5)から分かるように、音圧Pが一定である場合、(C2×ρ)が小さくなれば、速度vは大きくなる。したがって、速度vを大きくし、感度良く計測することによって、音圧の計測感度を向上させるためには、C2×ρ、つまり、シリカ多孔体の弾性率Eを下げればよい。式(5)の比例乗数にはC2×ρ以外にシリカ多孔体の屈折率nに依存する項がある。シリカ多孔体の屈折率nと密度ρとは、図26に示す関係があることが実験的に分かっている。このため、屈折率nは、切片が空気の屈折率(1.0003)をもつ密度ρの一次直線で近似することができる。すなわち、屈折率nの項は、密度の項に置き換えることができる。また、式(4)から分かるように、シリカ多孔体の弾性率Eを下げるためにはシリカ多孔体の音速Cと密度ρとを下げる必要がある。
シリカ多孔体の音速Cと密度ρとの関係は例えば、Hidetomo Nagahara, Takashi Hashida, Masa-aki Suzuki, Masahiko Hashimoto, "Development of High-Sensitivity Ultrasonic Transducer in Air with Nanofoam Material," Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 44, No. 6B, pp. 4485-4489, 2005.に開示されている。図27は、従来の光マイクロフォンに用いられているシリカ多孔体の密度ρと音響信号の音速Cとの関係を示している。図27より、シリカ多孔体の音速Cは密度ρに比例していると推察され、シリカ多孔体の密度ρを小さくすれば、より音速Cも小さくなると考えられる。したがって、式(4)より、弾性率Eは、密度ρの3乗に比例して小さくなると考えられる。このことから、光マイクロフォンの感度を向上させるためには、低密度のシリカ多孔体を開発することが重要であると考えられる。
しかし、本願発明者が、シリカ多孔体の構造と物性について詳細に研究、検討を行ったところ、シリカ多孔体の密度を小さくしても、図27から推察される傾向通りには弾性率が小さくならない場合があることを見出した。
具体的には、シリカ多孔体の合成条件を変えることにより、密度の異なるシリカ多孔体を作製し、物性を調べた。図1は、作製した種々の密度を有するシリカ多孔体とそのシリカ多孔体中を伝搬音波の速度との関係を示している。以下、「シリカ多孔体の音速」とは、シリカ多孔体中を伝搬する音波の速度を示す。図1において、横軸はシリカ多孔体の密度を示し、縦軸は音速を示している。図1から分かるように、密度が300kg/m3から100kg/m3の範囲では、密度と音速はほぼ比例しているのに対し、密度が100kg/m3よりも小さくなると、音速は逆に増大する傾向にある。このような傾向は図27に示した密度と音速との関係と異なっている。図2は、測定した音速および密度を用いて弾性率を算出し、横軸にシリカ多孔体の密度をとり、縦軸に密度をとったグラフである。図1に示す結果と同様、密度が100kg/m3よりも小さくなっても弾性率は小さくならないことが示されている。このように音速が密度に比例して低下しないため、弾性率も小さくならず、式(5)から、音波の計測感度向上が困難となることが分かった。
シリカ多孔体の音速が、空気の音速(室温で340m/s)よりもずいぶん小さいことは公知である。しかし、その原因については究明されていない。例えば、非特許文献1では、エアロゲルの音速特性について、「奇妙な性質」として紹介されるにとどまっている。シリカ多孔体が空気とシリカ骨格(Si−O構造)により構成されていることから、シリカ多孔体の音速は、シリカ骨格の音速と空気の音速との平均的な値をとるのではないかとも推測される。しかし、シリカ骨格の代表物質であるガラスの音速は3000m/sから5000m/sであり、空気の音速よりも大きい。このため、上述した推測は正しくない。つまり、シリカ多孔体の音速を決める因子は公知ではなく、また公知の事実に基づく推測もできない。
なお、シリカ多孔体と同様の組成を有する材料としてシリカゲルが知られている。シリカ多孔体とシリカゲルとはシリカを主成分とするという点では類似しているが、粒子の構造および物性の点では互いに全く異なる。シリカゲルは、例えば吸湿材として用いられ、典型的には10nm以下の直径の細孔および数百μmから数mmの粒径を有するシリカ粒子である。シリカゲルの密度は、2200kg/cm3程度である。
シリカゲルはこのような構造を有するため、音波はシリカ粒子内を伝搬する。このため、シリカゲルの音速は、上述したガラスの音速と同程度である。また、音速および密度がシリカゲルではシリカ多孔体に比べて大きいため、音速と密度の積で表される固有音響インピーダンスは、シリカ多孔体の1000倍程度の値(1×107Pas/m)となる。よって、空気の音響インピーダンス(4×102Pas/m)との差が大きく、空気から入射した音波はシリカ粒子内に入射することができず、ほとんど反射される。
本願発明者は、このように明らかでないシリカ多孔体の音速を決める因子について詳細に研究を行った結果、シリカ多孔体の水分含有量およびシリカ多孔体を構成するシリカ粒子の粒子径が音速に大きな影響を与えていることを見出し、本願発明に至った。本発明による一態様の概要は以下のとおりである。
本発明の一態様であるシリカ多孔体は、複数のシリカ粒子が3次元的につながったシリカ多孔体であって、密度が220kg/m3より小さく、前記シリカ粒子の粒子径が、3.5nm以上であり、水分含有量が8wt%以下である。
前記複数のシリカ粒子の粒子径が、3.5nm以上20nm以下である。
前記複数のシリカ粒子の粒子径が、8nm以上20nm以下である。
前記複数のシリカ粒子間に複数の細孔が設けられており、前記細孔は、複数の空洞部と、前記複数の空洞部の間に位置するくびれ部とを含み、前記くびれ部の内径は、前記空洞部の内径よりも小さく、かつ、空気の平均自由行程より小さい。
前記複数のシリカ粒子は二次粒子を構成せず、前記シリカ多孔体の骨格を構成している。
前記密度が57kg/m3以上であり、かつ、220kg/m3より小さい。
前記水分含有量が0.79wt%以上8wt%以下である。
また、本発明の一態様である光マイクロフォンは、上記いずれかに記載のシリカ多孔体によって構成される光音響伝搬媒質部を含む受信部であって、前記受信部の周囲の空間から音波が入射し、前記光音響伝搬媒質部を伝搬する受信部と、前記シリカ多孔体を透過する波長の光を出射し、前記音波が伝搬している光音響伝搬媒質部を透過することにより、前記音波による変調を受けた光を検出し、検出信号を出力する検出部と、前記検出信号を音圧に換算し、受信信号を出力する換算部とを備える。
前記検出部は、レーザドプラ振動計である。
以下、本発明のシリカ多孔体および光マイクロフォンの実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
本発明のシリカ多孔体の一実施形態を説明する。図3は、本実施形態のシリカ多孔体の一例を示すSEM像である。また、図4は、シリカ多孔体の一部を拡大して示す模式図である。図3および図4に示すように、本発明によるシリカ多孔体1は、複数のシリカ粒子2が互いに3次元的につながった構造を備える。このため、シリカ多孔体1は3次元等方弾性体とみなされ、伝搬する音波に指向性は生じない。シリカ多孔体1には空隙6が形成されている。空隙6は連なっており、複数の細孔を形成している。シリカ多孔体1が空隙6を含むことにより、シリカ多孔体1の密度が一般的な物質に比べて小さくなっている。また、空隙6が形成されているため、音圧によってシリカ粒子2の位置が変位し、その変位がシリカ多孔体1内を伝搬し得る。
シリカ多孔体1の密度は、220kg/m3より小さいことが好ましい。以下において詳細に説明するように、密度が220kg/m3以上である場合、シリカ粒子2の粒径が小さくなり、シリカ多孔体1内において、シリカ粒子が密に充填される結果、シリカ粒子間の空隙が小さくなる。このため、シリカ多孔体は、上述した特異な小さい音速を示す音波が伝搬する構造とは異なる構造によって構成されると考えられ、弾性率の小さいシリカ多孔体を得ることができなくなる。
また、密度が大きくなり、シリカの真密度に近いシリカ多孔体では、シリカ粒子内を音が伝搬するため、シリカの物性で決まる音速(約3000m/s)を示すようになる。シリカ粒子内を音が伝搬する材料においては、水分含有量が変化しても、物性である音速は影響をほとんど受けない。なお、真密度とは、物質自身が占める体積だけを密度算定用の体積とする密度と定義する。シリカの真密度は上述したように約2200kg/m3である。
密度が、220kg/m3より小さいことは、空隙6が大きいことを意味し、シリカ粒子2の位置が変位し、その変位がシリカ多孔体1内を伝搬し得ることを意味する。
上述したように、光音響伝搬媒質部としてシリカ多孔体では、弾性率が小さいことが重要であり、弾性率は音速および密度に依存する。本発明のシリカ多孔体1は、音速を低下させるために、シリカ多孔体1における水分含有量を8wt%以下に制限している。また、シリカ粒子2の粒子径は大きい方が好ましい。具体的には、空気より小さい音速を実現するために、シリカ粒子2の粒子径は3.5nm以上であること好ましく、100m/s以下の音速を備えるためには、シリカ粒子2の粒子径は8nm以上であることが好ましい。また、光音響伝搬媒質部としてシリカ多孔体1を用いる場合には、光の透過性の観点から、シリカ粒子2の粒子径は20nm以下であることが好ましい。
本願明細書において、「密度」とは、シリカ多孔体の質量と、シリカ多孔体の体積との比である。シリカ多孔体の体積には、開気孔、閉気孔を問わず細孔を含む。「粒子径」は、X線小角散乱(株式会社リガク製・試料水平型強力X線回折装置 RINT-TTR III)を用いて透過法により測定し、解析ソフトウェアNANO-Solverを用いて求めた平均サイズである。解析ソフトウェアNANO-Solverでのモデルは、散乱体モデルを球とし、粒子をSiO2とし、マトリックスをAirとした。また、「水分含有量」は、シリカ多孔体に含有された水分の重量を、シリカ多孔体の重量で割った水分含有量の割合(wt%)である。シリカ多孔体に含有された水分の重量は、株式会社リガク製示差熱天秤Thermo plus TG-DTAのTG−8120を用いて測定を行った。シリカ多孔体を7mgから10mg程度採取し、粗く粉状にしたものを、アルミカップに入れ、TG−8120にセットした。TG−8120用いて、大気中で室温から1分毎に10度昇温し、200度まで加熱したときに減少した重量が含有されていた水分の重量であるとした。
以下、シリカ多孔体1の構造的特徴および物性を詳細に説明する。図5は、シリカ多孔体1の細孔の一部を示す模式的断面図である。空隙を構成する細孔は、複数の空洞部3と、複数の空洞部3の間に位置するくびれ部4とを含む。くびれ部4は細孔の平均的な内径よりも相対的に狭い部分であり、図5に示すように、くびれ部4の内径L2は、空洞部3の内径L1よりも小さい。好ましくは、くびれ部4の内径L2は空気の平均自由行程より小さい。くびれ部4の内径L2が空気の平均自由行程より小さい場合、シリカ多孔体1の細孔を満たしている空気中を音波は伝搬することはできないと考えられる。このため、このような細孔を有するシリカ多孔体1では、細孔を満たしている空気を伝搬することなくシリカ粒子によって構成される骨格を音波が伝搬すると考えられる。
空気の平均自由行程は圧力および温度に依存する。ここで、「くびれ部4の内径L2は空気の平均自由行程より小さい」とは、シリカ多孔体1が使用される温度および圧力において、「くびれ部4の内径L2は空気の平均自由行程より小さい」ことを意味する。例えば、シリカ多孔体1が常温常圧で使用される場合、空気の平均自由行程は、約68nmである。したがって、くびれ部4の内径L2は、68nmより小さいことが好ましい。実用上、本実施形態のシリカ多孔体1を用いた光マイクロフォンが50000Pa以上120000Pa以下の圧力および−20℃以上200℃以下の温度範囲で使用されるとした場合、これらの圧力および温度範囲において、空気の平均自由行程は、約50nm以上180nm以下である。このため、くびれ部4の内径L2は50nm以下であれば、これらの温度および圧力範囲において使用可能である。
細孔の大きさつまり、上述の内径L1、L2は、シリカ多孔体1の製造方法やシリカ粒子2の大きさに依存する。シリカ多孔体1をゾル−ゲル法で作製し、シリカ粒子2の粒子径が20nm以下である場合、概ね上述した温度範囲および圧力範囲においてL2は50nm以下となる。
上述したようにシリカ多孔体1において、細孔を満たしている空気は音波の伝搬媒体とはならず、音波はシリカ多孔体1の骨格を伝搬すると考えられる。しかし、シリカ粒子内を伝搬する音波の音速は、約3000m/s以上であり、シリカ多孔体1の音速より遅いという事実と一致しない。このことから、シリカ多孔体1における音波の伝搬は、シリカ粒子2内を音波が伝搬するのではなく、音圧によりシリカ粒子2の位置が動き、その変位がシリカ粒子間を伝搬することによって、音波が伝搬すると考えられる。
このような考察から、図6に示すように、シリカ多孔体1において、シリカ粒子2は隣接するシリカ粒子2と所定の結合エネルギを有する結合5で結合されていると考えられる。以下において説明するように、水分含有量がシリカ多孔体1の音速に影響を与えるため、この結合5は、共有結合(50〜200kcal/mol)やイオン結合が支配的ではなく、水素結合(3〜7kcal/mol)が支配的であると考えられる。
音の波長に比べてシリカ粒子2間の距離は非常に小さいので、シリカ多孔体1は連続体として扱うことができる。例えば、音速50m/sのシリカ多孔体1中で、40kHzの音の波長は1.25mmであるのに対し、シリカ粒子間の距離はおよそ60nmである。このため、シリカ多孔体1を平均場近似することができる。つまり、シリカ粒子2は、ポテンシャル中に束縛された質点として扱うことができる。このモデルに従えばシリカ粒子2の速度vは、式(6)で表される。式(6)において、Mはシリカ粒子2の重さ、kはシリカ粒子のポテンシャル(結合エネルギー)を決める定数である。
Figure 0005313411
シリカ粒子2の重さMはその体積と比例する。シリカ粒子2の体積はシリカ粒子の直径rで表すことができ、シリカ粒子2の重さMとシリカ粒子2の直径rとの関係は式(7)で示される。
Figure 0005313411
シリカ粒子2の速度は、シリカ多孔体1中の音波の伝搬速度と言い換えることができる。つまり、シリカ多孔体1中の速度vは、式(6)および(7)より、式(8)で表すことができる。
Figure 0005313411
結合エネルギkが一定であれば、速度vは、シリカ粒子径rの−1.5乗に比例する。本発明によるシリカ多孔体1の特徴の1つは、シリカ多孔体1における水分含有量が8wt%以下である点にある。図7は、粒子径が約12nmのシリカ粒子によって構成されるシリカ多孔体における、水分含有量と音速との関係を示している。図7に示すように、水分含有量が8wt%以下である場合、音速は50m/s程度である。これに対し、水分含有量が8wt%より大きくなると音速は著しく大きくなる。
図8は、密度が220kg/m3より小さい、種々の粒子径のシリカ粒子によって構成され水分含有量が8wt%以下となるように調整したシリカ多孔体1の粒子径rの−1.5乗と音速との関係を黒丸で示している。比較のために水分含有量が10wt%および12wt%(図7にも示している)のシリカ多孔体の粒子径rの−1.5乗と音速との関係をそれぞれ白三角および白丸で示している。さらに、図8中、×印は、図1において、密度が220kg/cm3および270kg/cm3であるデータを示している。
図8から分かるように、黒丸で示すデータでは、粒子径rの−1.5乗と音速とはほぼ比例しており、式(8)の関係が成立している。つまり、本実施形態のシリカ多孔体1は、上述したシリカ粒子の結合モデルで表される構造を備えていると推定される。
この場合において、水分がシリカ粒子に含まれているのであれば、式(6)から、水分含有量の増加に伴ってシリカ粒子の質量Mが増大し、音速は低下すると考えられる。
しかし、実際には、白三角および白丸で示されるように、水分含有量の増加に伴って音速も増大する。これは、含有された水分がシリカ粒子内ではなく、シリカ粒子2間に介在し、粒子表面間が水素結合することによって、粒子間の結合5の結合エネルギkを増大させているからであると考えられる。式(6)に示されるように、結合エネルギkが増大すれば、音速vも増大する。水分含有量と音速とが図7に示す関係にあるということは、シリカ粒子2には水分を含有するような微細孔が形成されていないと推定される。
また、×印で示されるデータは、上述した黒丸で示すデータの近似直線上にはのっていない。このことから、密度が220kg/cm3以上のシリカ多孔体は、黒丸で示すデータのシリカ多孔体1とは異なる構造を有していると推定される。
なお、非特許文献1には、アルカリ性条件下でテトラメトキシシランを加水分解することにより得られるシリカエアロゲルでは、緻密な1nmの一次粒子が基本となり、この粒子がいくつか集まって直径2nm程度のクラスターをつくり多孔性の二次粒子を形成すると記載されている。この構造によれば、二次粒子は微細孔を有しているため、本発明によるシリカ多孔体と、非特許文献1に開示されたシリカエアロゲルとは構造が異なっていると考えられる。また、このような構造の差異は、本実施形態のシリカ多孔体が、低密度化するために少量のアルコキシドでゆっくりゲル化させて作製されていることによると考えられる。
このように本発明のシリカ多孔体1では、水分含有量が8wt%以下であるため、含有した水分がシリカ粒子2間の結合エネルギkの増大を抑制し、シリカ多孔体1音速を小さくすることができる。
図8に示すように、水分含有量を8wt%以下に制御する限り、式(8)における結合エネルギkはほぼ一定となり、シリカ多孔体1の音速は、粒子径rの−1.5乗に比例すると推定される。したがって、水分含有量が8wt%以下であり、粒子径rの−1.5乗が小さいほど、つまり、粒子径が大きいほど、シリカ多孔体1の音速は小さくなると考えられる。
図9は、水分含有量が8wt%以下のシリカ多孔体における、粒子径rの−1.5乗と音速との関係を外挿したグラフである。図9に示すように、水分含有量を8wt%以下に制御した状態で、空気よりも小さい音速のシリカ多孔体1を得るためには、粒子径rの−1.5乗は0.15以下にすればよい。このとき、粒子径rは3.5nm以上であればよい。また、100m/s以下の音速を得るためには、粒子径rの−1.5乗は0.05以下にすればよく、粒子径rは8nm以上であればよい。つまり、空気における音速よりも小さい音速を備えたシリカ多孔体1を得るためには、シリカ粒子の粒子径は3.5nm以上であることが好ましく、100m/s以下の音速を備えたシリカ多孔体1を得るためには、シリカ粒子の粒子径は8nm以上であることが好ましい。
上述したように、シリカ粒子の粒子径が大きくなるほどシリカ多孔体1の音速は小さくなると考えられるので、上述のシリカ粒子の粒子径の上限はなく、製造が可能な範囲においてシリカ粒子の粒子径は大きくてもよい。ただし、シリカ多孔体1を特に光マイクロフォンの光音響媒質として用いる場合、粒子径が大きくなるとミー散乱の影響が無視できなくなり、シリカ多孔体1の透光性が低下する。このため、シリカ多孔体1はレイリー散乱が主たる散乱となる範囲であることが好ましい。散乱係数αと波長λおよび散乱粒子の粒子直径Dとの関係を示す下記式(9)において、αが1より小さければレイリー散乱が支配的である。
Figure 0005313411
ここで、光音響媒質として使用する場合において、計測に用いる光の波長を600nmとし、αを0.1とすれば、Dは約20nmとなる。したがって、シリカ多孔体1を特に光マイクロフォンの光音響媒質として用いる場合、シリカ粒子2の粒子径は20nm以下であればよい。
このような特徴を備えるシリカ多孔体1は、非特許文献1に開示されているような公知のゾルーゲル法によって製造することが可能である。シリカ多孔体1の水分含有量は、シリカ粒子の表面に疎水化処理を施すことによって水分の含有を抑制する公知の疎水化処理によって制御できる。また、作製したシリカ多孔体1を加熱などの方法で乾燥させることによって、水分含有量を調節することも可能である。
シリカ多孔体を構成するシリカ粒子の粒子径は、湿潤ゲルを生成する際の反応条件によって制御可能である。具体的には、ゲル化時の反応温度(保持温度)や触媒の濃度を調整することによってシリカ粒子の粒子径を制御することができる。シリカ多孔体1の製造法の例および水分含有量の制御方法の例は、以下の実験例において説明する。
このように本実施形態のシリカ多孔体は、シリカ粒子が3次元的につながった構造を有し、その密度が非常に低い。このため、シリカ粒子間に、音圧によりシリカ粒子の位置が変位し、その変位が伝搬できる空隙、特に貫通孔が形成されている。この貫通孔は空気の平均自由行程より小さいくびれをもつ細孔であるため、音波が直接空隙を満たす空気を伝搬することできない。
本願発明者は、このようなシリカ多孔体において、シリカ多孔体の音速が水分含有量によって変化することを見出し、水分含有量を8wt%以下に制御することによって音速が小さく、弾性率が小さいシリカ多孔体を実現することを明らかにした。水分含有量が上述した範囲であるため、シリカ粒子間が弱い結合によって相互作用を及ぼす構造をとり、シリカ粒子の変位による音波の伝搬が実現する。
また、本実施形態のシリカ多孔体によれば、水分含有量が一定、特に、水分含有量が8wt%以下に制御した状態では、シリカ多孔体の音速は、シリカ粒子の粒子径rの−1.5乗に比例するため、シリカ粒子の粒子径を調整することによって、音速を制御することが可能となる。したがって、所望の音速を有するシリカ多孔体を実現することも可能となる。
(実験例)
シリカ多孔体の音速が水分含有量およびシリカ粒子の粒子径によって変化することを検証した。また、本実施形態のシリカ多孔体を作製し、その物性を測定した。
1.シリカ多孔体の作製
縦10mm×横10mm×厚み5mm大きさのシリカ多孔体を作製した。このシリカ多孔体は、珪素(Si)のアルコキシドとして、テトラメトキシシラン(Tetramethoxysilane:TMOS)を主な原料として用いた。テトラメトキシシラン以外に、例えばジイソブチルジメトキシシランを混合する場合もある。ジイソブチルジメトキシシランを混合することで、音速を下げる効果がある。また、溶媒としてエタノールを用いた。
アルコキシドとエタノールとをよく混合した後に、加水分解と縮重合反応のために水を加えた。このとき、触媒効果を得るために水の代わりにアンモニア水を用いた。シリカ多孔体の調合条件(質量比)の一例を以下の表1に示す。シリカ多孔体の密度は、エタノールとアルコキシドの比率により決まる。つまり、エタノールとアルコキシドとの比率を調整することにより、シリカ多孔体の密度を変化させることができる。
Figure 0005313411
アンモニア水の濃度は0.01N〜1Nである。濃度が一定でない理由は、低密度を目指す調合条件のゾル液ほどゲル化に時間を要するため、触媒濃度を変えることにより、ゲル化時間を概ね一致させているからである。また、ゾル液は、調合後、40℃の恒温槽内で24時間熟成させた。その24時間以内にゲル化が完了するように触媒濃度を調整した。触媒濃度を濃くするほど、ゲル化の時間は早くなる。
また、テトラメトキシシランは、アルコールには可溶であるが、水には不溶である。このため、エタノールは、密度調整以外に、テトラメトキシシランと水とを均一に混合する働きをする。表1に示すように、密度を大きくするためには、エタノールの比率を小さくする。密度を300kg/m3よりも高くすると、エタノールの比率が非常に小さくなり、水が均一に混合せず、均一なゲル作製が困難になる。また、弾性率を下げるという本願発明の目的にも合わなくなるため、密度は300kg/m3より低いことが望ましい。
40度の恒温槽内で24時間熟成することにより、ゾル液を加水分解および重合反応させる、湿潤ゲルを作製した。
その後、湿潤ゲルをエタノールに約24時間浸すことで、アンモニア水や反応物であるメタノールなどを洗浄し除去を行った。次に、疎水化処理を行った。疎水化処理液は、ジメチルジメトキシシラン38gに対して、エタノールを38g、水を2.05gと、触媒として1Nのアンモニア水5.55gを混合して作製した。作製した疎水化処理液に湿潤ゲルを浸し、70度で一晩反応させた。疎水化処理後は、処理液を捨て、新しいエタノールに24時間浸して洗浄を行った。その後、二酸化炭素の超臨界乾燥を17MPa・80度の条件で行い、乾燥ゲルであるシリカ多孔体を得た。
シリカ粒子の大きさの異なるシリカ多孔体は、ゲル化時間を変えることで作製する。ゲル化時間が長いとシリカ粒子は大きくなり、ゲル化時間が短いと、シリカ粒子が小さくなる。ゲル化時間は、ゾル液の密度、ゲル化するときの熟成温度、触媒濃度、その他様々な要因により変えることができる。
2.作製したシリカ多孔体を伝搬する音波の音速測定
作製したシリカ多孔体の音速を測定した。まず、音速測定の方法について説明する。図10は、LDVを用いた非接触音速測定系の構成図である。図10に示すように、作製したシリカ多孔体10を、音波が入射する面以外の対向する2面において、透光性の透明アクリル板11および鏡面を有する支持体12によって挟み、保持した。透明アクリル板11側に配置したLDV14のヘッド14b(Polytec社製:OFV353)から出射したレーザ光はシリカ多孔体10を透過し、支持体12の鏡面で反射され、再びシリカ多孔体10を透過してヘッド14bへ戻る。ヘッド14bは、シリカ多孔体の測定点にあわせて、任意に移動させることができる。ヘッド14bは、LDV14の演算部14a(Polytec社製:OFV3001)に接続されている。LDV14の演算部14aから得られる信号をオシロスコープ15(Tektronix社製:TDS744A)によって観測した。
ファンクションジェネレータ16(NF社製:1930)によって、周波数が40kHzの正弦波1波からなるバースト信号を発生させ、生成した信号を送信アンプ17(Pioneer製:M−10X)で増幅し、ツイータ18(Pioneer社製:PT−R4)からバースト信号による音波を発振させた。ツイータ18は、シリカ多孔体10における音波が入射する面から約210mm離して配置した。
ファンクションジェネレータ16から生成したバースト信号をトリガとして、オシロスコープ15にも入力した。
図11は、図3で示した非接触音速測定系の測定範囲を示す。図11は、図10において、ヘッド14b側からシリカ多孔体10を見た図である。
シリカ多孔体10の音波入射中心点19は、シリカ多孔体10の音波入射面の中心点である。音波入射中心点19を原点にとって、音波の伝搬方向と平行な方向をx方向とする。また、音波の伝搬方向と垂直な方向をy方向とする。音波入射中心点19から、x方向に10mm、y方向に±2mmの範囲を0.2mmピッチで測定を行った。
音波入射面の中心部を測定する理由は、シリカ多孔体10と透明アクリル11との境界から、他の部位よりも離れているからである。シリカ多孔体10内を伝搬する波は、透明アクリル11で反射する。このため、シリカ多孔体10と透明アクリル11の境界付近では、伝搬波と反射波が混在する。
図12は、パルス状の音波信号を入力した場合において、シリカ多孔体10の任意の1点において、LDVにより測定された出力時間波形をオシロスコープ15で観測した結果を示す。図12において、横軸はオシロスコープ15の測定時間を示し、縦軸は検出した信号の振幅(50回平均値)を示している。観測した信号の最大振幅の到達時間から、ツイータ18からバースト波が発振されてからの時間を算出することができ、ヘッド14bが測定した音波の速度vに換算することができる。また縦軸は、音波の振幅に換算できる。
図13は、測定範囲内を0.2mmピッチで測定した各測定点での最大振幅値をマップ化した図である。図13において、矢印方向から音波が入射している。色の濃淡により、最大振幅値の大きさを表している。色が濃い部分は振幅値が大きく、色の薄い部分は振幅値が小さい。図13から、色の濃淡が測定点(位置)に依存せず、分布していることが分かる。
図14は、各測定点での最大振幅値が得られた時間をマップ化した図である。図14から、最大振幅値を測定した時間が、y軸方向においてはほぼ一定であり、x軸方向においては、ツイータ18から離れるにしたがって、変化している。このことから、y軸方向に平行に音波が伝搬していることが分かる。
図13および図14から、シリカ多孔体10に入射した音波は、測定した範囲内においては指向性がほとんどな状態でシリカ多孔体を伝搬していることが分かる。
図15は、音波入射中心点19からx方向に10mmの直線上を0.2mmピッチで測定した結果であり、縦軸は音波入射中心点19から測定点までの距離を示し、横軸は最大振幅値が得られた時間を示している。このグラフの傾きが音速になる。図15は、密度140kg/m3のシリカ多孔体について行った測定結果を示している、測定結果を直線で近似し、傾きを求めた。傾きから音速は約67m/sであることが分かる。
図16は、図15と同様、音波入射中心点19からx方向に10mmの直線上を0.2mmピッチで測定した結果であり、縦軸は最大振幅値(速度v)から式(5)を用いて算出した変位量ΔLを示し、横軸は音波入射中心点19から測定点までの距離を示している。図16は、音波入射中心点19から測定点までの距離が長くなるにつれて、シリカ多孔体10内を伝搬する音波が徐々に減衰することを示している。
光マイクロフォンの感度は、決められた基準の大きさの音を与えた時にどれくらいの信号電圧が得られるかで表記される。言い換えると、音圧1Paがシリカ多孔体に入力したときの音波入射中心点19での単位長さあたりの変位量(ΔL/L)で決まる。
音波入射中心点19での変位量ΔLは、図16に示す測定結果を指数関数y=a・ebxで近似した場合における、距離x=0のときのyの値、つまり、係数aである。
図16に示す測定結果の場合、係数aは、6.1×10-9mである。また、Lはレーザ光の光路長であるから、Lは、シリカ多孔体10の厚さ(5×10-3m)の2倍であり、10-2mである。入射音圧は、音波入射中心点19での音圧を標準マイク(Bruel&Kjaer社製 タイプ4939)を用いて測定行い求めた。
このようにして求めた、種々の密度のシリカ多孔体と音速との関係を図1に示す。すでに説明したように、密度が300kg/m3から100kg/m3の範囲では、密度と音速はほぼ比例しているのに対し、密度が100kg/m3よりも小さくなると、音速は逆に増大する傾向にある。ただし、上述したように、密度が220kg/m3以上の範囲においては、シリカ多孔体は、本実施例のシリカ多孔体が有する構造とは異なる構造を備えていると考えられる。密度と弾性率との関係は、図2に示す通りである。弾性率が密度に比例しないのは、音速が増大していることを示している。
また、図17は、上述の方法によって求めた密度と光マイクロフォンとしての感度との関係を示している。図17に示す結果から、シリカ多孔体の密度を低下させていっても、密度が100kg/m3よりも小さくなると、感度は高くならないことが分かる。なお、図17では、図1や図2に示す結果に比べて、データのばらつきが大きくなっている。これは、感度の値が、図16に示す測定データに基づいて計算されており、変位量ΔLの値を算出するために用いるLDV振動計の出力値(最大値)が、シリカ多孔体の表面生じた傷や汚れなどに影響され易いからである。これに対し、図1や図2に示す音速や弾性率は、音波の到達時間に基づくため、誤差は生じにくい。
図17から、密度が220kg/m3以上のシリカ多孔体を用いた光マイクロフォンの感度は、密度への依存量が小さくなる。このことから、密度が220kg/m3よりも小さい場合に、よりマイクロフォンの感度は、シリカ多孔体の弾性率の影響を受けることが分かる。よって、弾性率を小さくすることで、光マイクロフォンの感度が向上する本願発明の効果は、密度が220kg/m3よりも小さい場合により顕著になる。つまり、シリカ多孔体の密度は220kg/m3よりも小さいことが好ましい。また、密度が50kg/m3よりも小さくなると、非常にもろく壊れやすくなるため、50kg/m3よりも大きい方が好ましい。本実施例における密度の下限値は、57kg/m3であった。
3.シリカ多孔体構造の推定
作製したシリカ多孔体をSEMを用いて観察し、得られたシリカ多孔体は、図3に示すように、複数のシリカ粒子2が互いに3次元的につながった構造を有していることを確認した。
さらに、詳細なシリカ多孔体の構造を検討するため、まず、シリカ多孔体の細孔構造に着目した。図18は、密度が約150kg/m3のシリカ多孔体の77Kにおける窒素吸着等温線である。窒素吸着等温線とは、材料を一定温度(本実験では77K)にし、圧力と吸着量の変化を測定したグラフである。図18の横軸は、平衡圧力を飽和蒸気圧で割った相対圧(P/P0)を示し、0〜1の値である。P/P0≒1では、吸着ガスは試料管内で凝縮することを意味する。すなわち、吸着等温線は飽和蒸気圧よりも低い圧力で固体と吸着分子の相互作用力が働き、吸着、凝縮が始まり、気相よりも高い吸着質密度を測定したものである。また図18の縦軸は吸着量を示し、標準状態(0℃、1気圧)における気体の体積V/cm3(STP)g-1で表す。シリカ多孔体を真空下で110℃に加熱した後、株式会社日本ベル製BELSORP-miniIIを用いて窒素吸着等温線の測定を行った。
図18中のA線は、窒素ガスの細孔への毛管凝縮過程で評価した測定値であり、B線は、細孔に凝縮した液体窒素の蒸発過程で評価した測定値である。この吸脱着ヒステリシスは、一般に異なる径の細孔が連結していることを示唆している。
このことから、図5に示すように、シリカ多孔体の細孔は、空洞部3とくびれ部4とが連結している瓢箪型の構造を有しているとことが確認できた。吸着過程においては、空洞部3から窒素吸着が始まることにより、空洞部3の内径L1が吸着過程を支配する。また、蒸発過程においては、くびれ部4から脱離が始まることにより、くびれ部4の内径L2が蒸発過程を支配すると考えられる。
図18に示すA、Bの窒素吸着等温線から、それぞれの細孔分布をBJH法で計算した。BJH法は、1951年にBarrett、JoynerおよびHalenda により提案された、一般に広く用いられている細孔分布の解析手法である。図18のA線から求めるBJH法による計算の結果を図19に、図18のB線から求めるBJH法による計算の結果を図20に示す。図19、図20の横軸は、細孔半径を示し、縦軸は、細孔体積を示す。BJH法による計算の結果、A線から求まる細孔半径は約30nmを中心とした分布をもつ。B線から求まる細孔半径は約12nmを中心とした分布をもつ。すなわち、空洞部3は、約60nmを中心とした分布を備えた直径(内径)を有する細孔であり、空洞部3につながるくびれ部4は、約25nmを中心とした分布備えた直径(内径)を有する細孔であることが確認できた。
これらの結果から、シリカ多孔体の細孔は、細孔であるものの、空気の平均自由行程よりも小さい細孔径のくびれで断続的に区切られていること、および音波細孔中の空気をほとんど伝搬しないことが確認できた。つまり、シリカ多孔体中の音波は主にシリカ骨格を伝搬することが確認できた。
また、本発明のシリカ多孔体を構成するシリカ粒子は、図18に示す窒素吸着等温線から無孔粒であると推定される。一般に、窒素吸着等温線の横軸・相対圧0.2以下は細孔径0.7nmから2nmの孔(以下マイクロ孔と称す)に相当する。もしシリカ粒子にマイクロ孔が存在すれば、相対圧0.2以下で窒素吸着が急激に進むはずである。しかし、図18の窒素吸着等温線では相対圧0.2以下においてほぼ単分子吸着相当の増加しかみられない。このため、本願発明のシリカ多孔体にはマイクロ孔がないと推定される。シリカ多孔体を構成するシリカ粒子には、このようなマイクロ孔はないので、このことは、シリカ粒子が、0.7nmから2nmのマイクロ孔を有するような二次粒子を構成していないと推測される。
4.シリカ骨格中における音波の伝搬の確認、および、シリカ粒子の粒子径と音速との関係の確認
図6に示すように、シリカ多孔体において、シリカ粒子は隣接するシリカ粒子と所定の結合エネルギを有する結合で結合されているとモデル化できることを確認するために、シリカ粒子の直径を測定した。測定は、X線小角散乱により行った。X線小角散乱は、株式会社リガク製多目的X線回折装置RINT−TTR IIIを用いた。
図21はシリカ粒子径rの−1.5乗と音速との関係を示している。図21において、横軸は粒子径rの−1.5乗を示し、縦軸は音速を示している。図1と同じ測定データを用いて図21を作成している。図21から、図1において密度と音速が切片をゼロとする線形関係をもつシリカ多孔体(図1において、密度が100kg/m3以上のデータ)も、密度と音速が切片をゼロとする線形関係をもたないシリカ多孔体(図1において、密度が100kg/m3以下のデータ)も、原点を通る同じ比例直線に則った関係を得た。つまり、音速の小さいシリカ多孔体ほど、シリカ粒子は粒子径が大きく重い。式(8)の関係が成立し、図6に示すモデルによりシリカ多孔体中を音波が伝搬することが推定される。また、式(8)より、シリカ粒子の結合エネルギは、図21において破線で示す近似直線の傾きに比例する。このため、シリカ粒子の結合エネルギが小さくなると音速が下がることが分かる。シリカ粒子の結合エネルギは、共有結合などによるゲル化時の架橋に由来すると考えられる。
低密度のシリカ多孔体のシリカ粒子が重くなる理由は、以下のように考えられる。低密度なゾル液は、シリカ粒子になる核の数が少ないため、ゲル化に時間がかかる。ゆっくりゲル化する間に、シリカ粒子はより大きく成長し、粒子同士がつながることによって、ゲル化する。このため、低密度なシリカ多孔体ほどシリカ粒子が重くなる。また、より低密度なシリカ多孔体は、およそ24時間以内でゲル化させるため、触媒濃度を濃くするなどして、ゲル化のスピードを調整している。個々のシリカ多孔体が24時間以内のどの時点でゲル化しているかは分からないが、密度100kg/m3より大きいシリカ多孔体は、密度が下がるにしたがってゲル化時間が遅くなり、密度100kg/m3より小さいシリカ多孔体は、密度が下がるにしたがってゲル化時間が早くなっていると推測される。つまり、密度100kg/m3近傍でゲル化反応のメカニズムが変わるのではないかと推察される。
このように、密度や触媒濃度等のプロセス条件で決まるゲル化時間が粒子の重さを決めていると推測されるため、ゲル化時の環境温度を変えたり、滴下する触媒濃度を変更することによって、よりシリカ粒子の粒子径が大きい、シリカ多孔体を作製することができる。
シリカ粒子の粒子径が大きくなるほど音速は小さくなると考えられるため、図9を参照して説明したように、空気の音速(340m/s)より、低音速を実現するためには、シリカ粒子径rは約3.5nmより大きい必要があることが分かる。
図22は、音速と感度の関係を示すグラフである。横軸はシリカ多孔体の音速を示し、縦軸は感度を示している。図22から、音速が100m/sより低下すると、光マイクロフォンの感度が急激に向上することが分かる。音速が100m/sよりも低いシリカ多孔体を実現するためには、シリカ粒子直径が8nmよりも大きくなるとよいことが、図9から分かる。すなわち、光マイクロフォンの感度をより飛躍的に向上するためには、シリカ粒子直径が8nmより大きいことが望ましい。また、図1から、密度220kg/m3よりも小さいシリカ多孔体は、音速が100m/sよりも小さくなることが分かるので、密度は220kg/m3よりも小さいことが望ましい。
5.シリカ多孔体の水分含有量の音速との関係の確認
シリカ多孔体の水分含有量を変化させて音速の測定を行った。
一般に疎水化処理をしていないシリカ多孔体に水を含有させると、シリカ粒子表面の水酸基と水が反応し、シリカ多孔体が白濁する。また、水の含有、蒸発を繰り返すと、蒸発時の水の表面張力により構造破壊が発生し、ひびが入ったり、崩れたりする変化が起きる。以上の経時変化を考慮して、実験を行った。
以下の4種類の試料S1からS5を用意した。
試料S1は、シリカ多孔体を作製後、疎水化処理を行った。試料S2は、シリカ多孔体を作製後、疎水化処理を行わず、乾燥した100度の恒温槽に保管した。試料S3は、シリカ多孔体を作製後、疎水化処理を行わず24時間大気中に保管した。試料S4は、シリカ多孔体を作製後、疎水化処理を行わず、80%の湿度および40度の恒温槽に24時間保管した。試料S5は、シリカ多孔体を作製後、疎水化処理を行わず、80%の湿度および40度の恒温槽に48時間保管した。
このように、シリカ多孔体に疎水化処理を行うかどうか、および、シリカ多孔体を所定の湿度で保管することによって、シリカ多孔体の水分含有量を調節することができる。
試料作製後、S1からS5のシリカ多孔体において、目視上、透明度に大きな変化はなかった。また、一旦含有された水分が蒸発することにより、構造が壊れるのを防ぐため、試料作製後、すぐに音速測定を行った。音速測定は、図10に示す測定系を用いた。音速測定後も、目視上、各試料に変化はなかった。このため、水が蒸発することによるサンプルの構造変化は生じていなかったと考えられる。
音速測定後、含有水分量を測定した。含有水分量は、株式会社リガク製示差熱天秤Thermo plus TG-DTAのTG−8120を用いて測定を行った。試料S1からS5をそれぞれ7mgから10mg程度採取し、粗く粉状にしたものを、アルミカップに入れ、TG−8120にセットした。TG−8120を用いて、大気中で室温から1分毎に10度昇温し、200度まで加熱したときに減少した重量が含有水分重量であるとした。
得られた結果を、以下の表2および図7に示す。横軸は、含有水分重量を加熱前の各試料の重量で割った水分含有量の割合(wt%)を示し、縦軸は、音速を示している。試料S2〜S5の粒子径は測定しなかったが、S1と同じ、つまり、11.8nm程度であると推定した。試料S1と試料S2〜S5と製造方法の差異は、疎水化処理の有無だけであり、疎水化処理は試料の粒径に影響を与えないからである。これらの結果から水分含有量が10wt%以上になると音速が増大することを確認した。
Figure 0005313411
図23は、水分含有量と感度との関係を示している。図7と同様、横軸は、含有水分重量を加熱前の各試料の重量で割った水分含有量の割合(wt%)を示し、縦軸は感度を示している。図23に示すように、水分含有量が8wt%を超えると感度が大きく低下している。したがって、シリカ多孔体の水分含有量を8wt%に制御することによって、高い感度を有する光マイクロフォンを実現するのに適したシリカ多孔体が得られることが分かる。本実験例では、水分含有量の下限値は0.79wt%であった。
図8は、密度が220kg/m3より小さく、水分含有量が8wt%以下である、種々の粒子径のシリカ粒子と音速との関係を示している。以下の表3は各試料の物性を示している。表3中、●で示される試料の水分含有量は、0.79wt%程度であると推定した。□で示される試料(S1)と同じ条件、具体的には、疎水化処理によって、水分含有量を調整したからである。また、×で示される試料の粒子径は、80%の湿度および40度の恒温槽に24時間保管するという△で示される試料(S4)と同条件で水分含有量を調整した。このため、×で示される試料の水分含有量は、試料S4と同じである10.11wt%程度であると推定した。△および○で示される試料の粒子径は、表2を参照して説明したように、11.8nm程度であると推定した。上述したように図8に示す結果を外挿することによって、図9に示す水分含有量が8wt%以下のシリカ多孔体における、粒子径rの−1.5乗と音速との関係が得られた。
Figure 0005313411
以上の実験結果、特に、図7、図8および図9に示す結果から、密度が220kg/m3よりも小さく、シリカ粒子の粒径が、3.5nm以上であり、水分含有量が8wt%以下であれば、音速が低下し、弾性率が低いシリカ多孔体を実現することができことが確認できた。上述したように、シリカ多孔体の密度は、エタノールとテトラメトキシシランとの比率を調整することにより調整が可能である。シリカ粒子の粒子径は、ゲル化時間を変えることによって調整が可能である。シリカ多孔体水分量は、シリカ多孔体への疎水化処理、および/または、シリカ多孔体を所定の湿度雰囲気で保管することによって調整することができる。
また、実験例に示した方法によって作製したシリカ多孔体が、複数のシリカ粒子が3次元的につながった構造を備えていることが確認できた。作製したシリカ多孔体が、図4、5、6を参照して説明した微細構造を備えていると推定されることを確認した。
(第2の実施形態)
本発明による光マイクロフォンの一実施形態を説明する。
図24は、本発明による光マイクロフォンの実施形態の構成を示す概略図である。図24に示す光マイクロフォン50は、受信部120と、検出部121と、換算部110とを備える。
受信部120は、受信部120の周囲の空間を伝搬する音波が入射し、音波を光学特性の変動に変換する。このために、受信部120は、凹部103aを有するベース103と、凹部103aの開口を覆うように支持された透明支持板107とを含む。ベース103の凹部103aと透明支持板107によって形成される空間には、第1の実施形態のシリカ多孔体1からなる光音響伝搬媒質部102が配置されている。また、凹部103aには、光音響伝搬媒質部102の上面102aによって一面が規定される音響導波路106が設けられている。ベース103には音響導波路106へ音波を入射させるための開口104が設けられている。
検出部121は、受信部120で生じた光学特性の変動を光を用いて検出する。具体的には、シリカ多孔体1を透過する波長の光を出射し、音波が伝搬している光音響伝搬媒質部102を透過することにより、音波による変調を受けた光を検出する。検出部121は、例えば、レーザドプラ振動計(LDVと略す)であり、ヘッド108と、演算部109とを含む。
空気中を伝搬してきた音波は、音波伝搬方向105に沿って、開口部104から音響導波路106内に伝搬する。音響導波路106を伝搬する音波は、その伝搬に伴って、光音響伝搬媒質部102の上面102aから光音響伝搬媒質部102を構成するシリカ多孔体の中に入射し、光音響伝搬媒質部102を伝搬する。
ヘッド108から光音響伝搬媒質部102向けて照射されたレーザ光100は、透明支持板107および光音響伝搬媒質部102を透過し、ベース103の凹部103aの底面103cにおいて反射する。反射したレーザ光100は、再び光音響伝搬媒質部102の中を透過し、光音響伝搬媒質部102から出射し、ヘッド108に受光される。レーザ光100が、光音響伝搬媒質部102中を通過する際、音波の伝搬に伴う光音響伝搬媒質部102を構成するシリカ多孔体1の密度および屈折率が変化し、レーザ光100は、これらの変化による変調を受ける。
ヘッド108に受光されたレーザ光100は、電気信号に変換された後、演算部109へ出力される。演算部109は、電気信号を処理し、レーザ光100に含まれる変調成分を検出信号として換算部110へ出力する。換算部110は、検出信号を音圧に換算し、受信信号を出力する。換算部110における算は、例えば、背景技術において、式(1)から式(5)を参照して説明した方法によって行うことができる。
本実施形態の光マイクロフォンによれば、第1の実施形態のシリカ多孔体を光音響伝搬媒質部として備えているため、光音響伝搬媒質部の音速および密度が小さい。このため、音波が光音響伝搬媒質部を伝搬する際に生じる音圧の変化が大きくなり、検出部によって検出される光の変調成分の振幅も大きくなる。このため、音波を高い感度で検出することができる。
なお、本実施形態では、検出部121としてレーザドプラ振動計を用いたが、光音響伝搬媒質部を透過することによって、光音響伝搬媒質部に生じた光学的変動を検出する他の検出装置、例えば、レーザ干渉計などを用いて、光に含まれる変調成分を検出してもよい。また、受信部の構造は図24に示す構造に限られない。
また、第1の実施形態で説明したシリカ多孔体は、空気よりも音速の小さい固体であるため、音響装置の音響伝搬媒質としても好適に用いられる。例えば、超音波を用いる音響装置の音響整合層などにも好適に用いることができる。
本願に開示されたシリカ多孔体は、種々の音響装置や光音響装置の音響伝搬媒質として好適に用いられる。特に、光マイクロフォンの光音響伝搬媒質等として有用である。
1、10 シリカ多孔体
2 シリカ粒子
3 空洞部
4 くびれ部
5 結合
6 空隙
11 透明アクリル
12 支持体
14a 演算部
14b ヘッド
14 レーザドプラ振動計
15 オシロスコープ
16 ファンクションジェネレータ
17 送信アンプ
18 ツイータ
19 音波入射中心点
50 光マイクロフォン
100 レーザ光
101 従来のマイクロフォン
102 光音響伝搬媒質部
102a 上面
103 ベース
103a 凹部
103c 底面
104 開口部
105 音波伝搬方向
106 音響導波路
107 透明支持板
108 ヘッド
109 演算部
110 換算部
120 受信部
121 検出部

Claims (9)

  1. 複数のシリカ粒子が3次元的につながったシリカ多孔体であって、
    密度が220kg/m3より小さく、
    前記シリカ粒子の粒子径が、3.5nm以上であり、
    水分含有量が8wt%以下であるシリカ多孔体。
  2. 前記複数のシリカ粒子の粒子径が、3.5nm以上20nm以下である請求項1に記載のシリカ多孔体。
  3. 前記複数のシリカ粒子の粒子径が、8nm以上20nm以下である請求項2に記載のシリカ多孔体。
  4. 前記複数のシリカ粒子間に複数の細孔が設けられており、前記細孔は、複数の空洞部と、前記複数の空洞部の間に位置するくびれ部とを含み、
    前記くびれ部の内径は、前記空洞部の内径よりも小さく、かつ、空気の平均自由行程より小さい請求項3に記載のシリカ多孔体。
  5. 前記複数のシリカ粒子は二次粒子を構成せず、前記シリカ多孔体の骨格を構成している請求項4に記載のシリカ多孔体。
  6. 前記密度が57kg/m3以上であり、かつ、220kg/m3より小さい請求項1に記載のシリカ多孔体。
  7. 前記水分含有量が0.79wt%以上8wt%以下である請求項6に記載のシリカ多孔体。
  8. 請求項1から7に記載のシリカ多孔体によって構成される光音響伝搬媒質部を含む受信部であって、前記受信部の周囲の空間から音波が入射し、前記光音響伝搬媒質部を伝搬する受信部と、
    前記シリカ多孔体を透過する波長の光を出射し、前記音波が伝搬している光音響伝搬媒質部を透過することにより、前記音波による変調を受けた光を検出し、検出信号を出力する検出部と、
    前記検出信号を音圧に換算し、受信信号を出力する換算部と、
    を備えた光マイクロフォン。
  9. 前記検出部は、レーザドップラ振動計である請求項8に記載の光マイクロフォン。
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