JP2008190073A - 薄葉紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】リントの発生が極めて少なく、しかも嵩高で柔らかい、産業製品等の清拭用途に適する、薄葉用紙を提供する。
【解決手段】
化繊混抄紙層を有する3層以上の薄葉紙であって、JIS P 8113に規定される裂断長が1.0〜8.0kmの表裏面各層10,20と、比容積が3〜30cm3/gの中間層30とを有し、隣接する各層相互が散点状に接合されて一体化されている薄葉紙により解決される。
【選択図】図1

Description

本発明は薄葉紙に関し、特に、産業製品、工業製品やその部品、試験・実験器具等の清拭に用いるワイプとして好適な薄葉紙に関する。
産業製品、工業製品やその部品、試験・実験器具等の清拭用に用いるワイプは、清拭に耐えうる引張り強度があり、リント(紙粉)及びケバ立ちの発生が極めて少ないことが要求される。
特開昭50−14872号公報
従来、この種のワイプには、短繊維の化学繊維とパルプとを湿式抄紙した化繊混抄紙が一般的に用いられている。
しかし、化繊混抄紙は、繊維間の空隙を増加させるとリントが発生し易くなり、パルプ繊維の割合を増加させると、湿潤強度が低下するため、嵩高さ、柔らかさ、吸液性の点で不十分なものが多い。
そこで、本発明の主たる課題は、清拭の際のケバ立ちやリントが発生し難いことはもちろん、さらに嵩高で柔らかく吸液性があり、清拭性に優れる薄葉紙を提供することにある。
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
化学繊維とパルプとを混抄した層を有する3層以上の薄葉紙であって、
JIS P 8113に規定される裂断長が1.0〜8.0kmの表裏面各層と、
比容積が3〜30cm3/gの中間層とを有し、
隣接する各層相互が散点状に接合されて一体化されている、ことを特徴とする薄葉紙。
(作用効果)
本発明の薄葉紙は、表裏面の各層の裂断長を1.0〜8.0kmとすることで、清拭時に十分な強度であり、かつリントの発生の少ないものとなる。
そして、これらの間に介在される中間層の比容積を3〜30cm3/gとすることで、嵩高く、吸液性が向上するとともに、柔らかさが付与される。
そして、これら各層相互を散点状に接合して一体化した。その結果、清拭の際のケバ立ちやリントが発生し難く、さらに嵩高で柔らかさがあり、清拭性に極めて優れるものとなる。
<請求項2記載の発明>
表面層及び裏面層は、熱融着繊維によって構成繊維同士が接着されている、請求項1記載の薄葉紙。
(作用効果)
乾燥強度、湿潤強度が高くなり、リントの発生が少なくなる。
<請求項3記載の発明>
表面層及び裏面層は、熱融着繊維を含み、かつ80〜140℃の範囲中の所定温度又は所定温度範囲にて熱融着機能を発揮する熱融着繊維の配合割合が2〜30質量%である、請求項1又は2記載の薄葉紙。
(作用効果)
本発明は、請求項1及び2に示される強度、リント発生防止の点で極めて優れたものとなり得る。
そして、本発明の構成である場合、製造上、極めて多くの利点を有する。
一般的な抄紙工程におけるドライヤーパートは一般的には80〜140℃の範囲の所定温度又は所定温度範囲で行われる。従って、本発明の構成の薄葉紙は、前記所定温度等で融着機能を発揮する熱融着繊維を乾燥抄紙原料中に2〜30質量%含有せしめておくことで、抄紙工程の乾燥時に熱融着繊維の適当量を溶融又は軟化させて繊維同士を接着させて製造できる。
すなわち、本発明の薄葉紙は、一般的な抄紙工程により簡易に製造でき、特殊な熱融着繊維の溶融等のための工程を新たに行う必要がない。
また、例えば、当該所定温度又は所定温度範囲の上限温度以上で溶融又は軟化する、他の機能を有する熱融着繊維を適宜配合することができるため、機能の相違する複数種の熱融着繊維を含有しつつ、熱融着による効果的な強度、リント発生防止効果を得ることが可能となる。
さらに、抄紙後にヒートシールエンボスや超音波シールなどで各層を熱融着することも容易になる。
<請求項4記載の発明>
一体化は、ヒートシールエンボス加工により行われている請求項1〜3の何れか1項に記載の薄葉紙。
(作用効果)
ヒートシールにより散点状に接着すると、嵩高性(吸水及び吸油性を高める)を確保しながら効果的に各層が接合される。
層相互の一体化にあたり、接着剤を使用することも可能であるが、リント発生を抑える為には表面にも接着剤を塗工する必要が生ずる。この場合柔らかさが低下するので望ましいものではない。
エアレイド法や機械的な交絡法(スパンレース法)によって接合することも可能であるが、剛性が過度に高まるおそれがあり、接合強度も十分とならない場合がある。
これらに対し、熱溶着性を利用するヒートシールによって散点状に各層を接合すれば、リント発生のおそれが格段に小さく、しかも高い接合強度でありながら剛性が過度に高くないものとなる。
<請求項5記載の発明>
一体化は、超音波シールにより行われている請求項1又は2の何れか1項に記載の薄葉紙。
(作用効果)
請求項4と同様の作用効果を奏する。
本発明によれば、清拭に耐えうる引張り強度があり、しかも清拭の際のケバ立ちやリントが発生し難く、さらに嵩高で柔らかさのある薄葉紙が提供される。
以下本発明の実施の形態によってさらに説明する。
本発明は、図1に示すように、表裏面各層10,20と、これらの間に介在される中間層30とを有し、隣接する各層相互が接合されて一体化されている。
各層は、既知の抄紙技術により抄紙して形成することができる。すなわち、後述する層を構成するパルプ、化学繊維及び添加物等を含む抄紙原料を湿紙の状態とした後に、ドライヤーにより乾燥して形成することができる。
必要に応じて、カレンダー処理などの平滑化処理を施してもよい。
表裏面各層は、JIS P 8113に規定される裂断長1.0〜8.0kmの化繊混抄紙で構成される。裂断長が1.0km未満であると、清拭時における繊維の毛羽立ちを十分に防止できず、リントが発生し易く、破れやすくなる。8.0kmを越える場合には、嵩高とすることが困難となるうえ、柔らかさが失われる。特に、短繊維を用いた湿式抄紙で嵩高にするのが極めて困難となる。
表面層10及び裏面層20は、好適に熱融着繊維を含み、この熱融着繊維により構成繊維同士が接着されている。
繊維同士の接着に用いられる熱融着繊維の配合割合は2〜30質量%であるのが望ましい。より好適には5〜15質量%の範囲である。2質量%未満であると熱融着繊維配合によるリント発生の防止効果が十分に発揮されない。30質量%を超えると柔らかさを発現させ難くなる。
表面層及び裏面層において、繊維同士の接着に用いられている熱融着繊維は、好適には80〜140℃の範囲中の所定温度又は所定温度範囲で熱融着機能を発揮するものである。ここで熱融着とは、溶融又は軟化による接着機能のことである。
従って、表面層及び裏面層における、熱融着繊維配合の点で望ましい構成は、80〜140℃の範囲中の所定温度又は所定温度範囲で熱融着機能を発揮する熱融着繊維が2〜30質量%含まれる構成である。
抄紙工程におけるドライヤーパートでは一般的に80〜140℃の温度範囲の中から適宜の温度が選択される。従って、その温度範囲中の所定温度等で溶融等する熱融着繊維を、乾燥抄紙原料中に上記範囲混合しておけば、抄紙工程の特にドライヤーパートで溶融等して繊維間同士が接着され、リント発生防止効果が好適に発現される。
ドライヤーによる乾燥処理など抄紙工程の一連の工程のなかで極めて容易に、適当量の熱融着繊維をバインダーとして機能させることが可能である。
また、後述する各層の接合に当たってヒートシールを採用する場合にも、上記配合割合及び温度範囲とすると、各層接合に寄与するバインダーとしての機能も効果的に発揮される。これら製造上の利点の観点からは、上記範囲よりも熱融着温度が過度に低いと抄紙工程等において過度の溶融等により硬くなり、高すぎるとバインダー効果を発揮せず強度の低いものとなる。
熱融着繊維は、鞘部に芯部より融点の低い樹脂を用いた芯鞘構造の複合バインダー繊維、例えば、芯/鞘=PP(ポリプロピレン)/PP(ポリプロピレン)、PP(ポリプロピレン)/PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)/低融点PET等の複合繊維や、低融点PET繊維、PP繊維などが挙げられる。特にPETの複合繊維が好適である。もちろん、芯鞘構造でない単一成分の熱融着繊維であってもよい。
また、熱融着繊維は、柔らかさ及び強度維持の点から、繊維度1.0〜5.0dtex、繊維長2〜7mmであるのが望ましい。
表面層10及び裏面層20は、上述の熱融着繊維以外の化学繊維(以下、主体繊維ともいう)を好適に含む。主体繊維は15〜50質量%あるのがよい。主体繊維は、繊維長2〜6mm、繊維度0.1〜3dtexであるのがよい。繊維度が小さすぎると抄紙時に絡まりやすく地合が悪化し、繊維度が大きすぎると滑らかさに劣る紙となる。
ここで、主体繊維は、実質的に熱融着性を有さないものが好適であるが、熱融着性を有するものであってもよい。実質的に繊維間の接着に用いられていない繊維は、本発明では主体繊維である。主体繊維として熱融着性のある繊維を含む場合、上述の熱融着繊維よりも、融着機能を発揮する温度が15℃以上高いものであればよい。
従って、先に示した80〜140℃の範囲中の所定温度等で熱融着機能を発揮する熱融着繊維を2〜15質量%含む形態の表裏面各層では、当該所定温度等で熱融着機能を発揮しない化学繊維は、熱融着性の化学繊維であっても本発明では主体繊維である。
他方、表面層10及び裏面層20の化学繊維以外の残部は、パルプで構成されているが好ましい。具体的には、パルプとしては、グランドウッドパルプ(GP)・プレッシャーライズドグランドウッドパルプ(PGW)・サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、セミケミカルパルプ(CP)、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP)・針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)・広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)・広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ、及びデインキングパルプ(DIP)・ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプが例示できる。
上記パルプは、一種または二種以上を選択して用いることができる。
なかでも填料や異物を含まない化学パルプが好適である。より好ましくはNBKPが良い。一般的にLBKPよりもNBKPのほうが、繊維長が長く繊維太さが太いため、NBKPが多いほうが、強度が高く、嵩高となるとともに、表裏面に付着した吸水性や吸油性が良好となり、水分・油分の保持性も良好となる。好適には、層中にNBKPが30〜70質量%含まれるのがよい。
ここで、表面層10と裏面層20とは、必ずしも同様に構成する必要はなく、上記説明の範囲内で適宜異なる構成とすることができる。ただし、熱融着繊維による各層の接着が好適に行えるようになることから、熱融着繊維に関しては、同種又は熱融着温度が同程度のものを用いるのがよい。
他方、表裏面各層は、クレープ加工されていてもよい。クレープ加工によりより柔らかさと嵩高性が付与される。
さらに、表裏面各層には、湿潤紙力剤や、粘剤、分散剤、接着剤、剥離剤等の抄紙用薬品を適宜用いてもよい。
他方、中間層30は、3〜30cm3/gの比容積を有する紙層、不織布層、化繊混抄紙層である。より好適な比容積は6〜20cm3/gである。中間層30の比容積が3cm3/g未満であると、嵩高さと柔らかさが発現しなくなり、30cm3/gを超えると実用的な強度が不足する。
特に、中間層は30クリンプ繊維が配合された化繊混抄紙であるのがよい。嵩高性、柔らかさの点で優れたものとなる。抄紙原料中に配合しておけば上記比容積に容易にすることができる。
クリンプ繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維の長繊維に対して、正逆反対の撚りの繰り返しと熱処理とを繰り返して行うクリンプ加工(仮撚り加工、ウーリー加工とも言われる)を施して形成されるものが適する。
中でもポリエチレンテレフタレート繊維をクリンプ加工して形成されるPETクリンプ繊維が好適である。なお、化学繊維をクリンプ加工して形成される繊維のほか羊毛等の天然のクリンプ繊維をも用い得る。
中間層30においても、熱融着繊維が配合されているのがよい。熱融着繊維は、表裏面各層に含まれるものとして挙げたものと同様のものでよい。すなわち、鞘部に芯部より融点の低い樹脂を用いた芯鞘構造の複合バインダー繊維、例えば、芯/鞘=PET/低融点PET、PP/PP、PP/PE等の複合繊維や、複合繊維でない単一成分の低融点PET繊維、低融点PP繊維などが挙げられ、特にPETの複合繊維が好適である。また、熱融着繊維は、一種のみならず複数種用いることができる。
中間層に用いる熱融着繊維は、特に繊維太さ1.0〜5.0dtex、繊維長2〜6mmのものが適する。なお、必ずしも表裏面層と同種のものが配合されている必要はない。
中間層30における熱融着繊維の割合は、表面層10及び裏面層20よりも少なく、15質量%未満であるのが望ましい。好適には10質量%未満を上限とするのが望ましい。15質量%を超えると、硬くなるおそれが極めて高くなる。
さらに、中間層30についてもクリンプ繊維及びバインダーとして機能する熱融着繊維以外の化学繊維が含まれていてもよい。
他方、中間層30の化学繊維以外の残部も、表裏面各層10,20と同様に、パルプで構成されているのがよい。パルプとしては、グランドウッドパルプ(GP)・プレッシャーライズドグランドウッドパルプ(PGW)・サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、セミケミカルパルプ(CP)、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP)・針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)・広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)・広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ、ならびにデインキングパルプ(DIP)・ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプのうち、一種または二種以上を選択して用いることができる。
特に、填料や異物を含まない化学パルプが好ましく、さらに好ましくはNBKPが適する。一般的にLBKPよりもNBKPのほうが、繊維太さが太いため、NBKPが多いほうが嵩高となるとともに、吸液性及び液保持性が良好となる。好適には、層中にNBKPが30〜70質量%含まれるのがよい。
また、中間層はクレープ加工されているのがよい。柔らかくなり嵩が高まる。
さらに、湿潤紙力剤や、粘剤、分散剤、接着剤、剥離剤等の抄紙用薬品を適宜用いてもよい。
表面層10、裏面層20及び中間層30の合計米坪は、40〜180g/m2が好ましく、より好ましくは70〜150g/m2である。40g/m2未満であると、嵩高となり難く、吸液性も発現し難くなる。180g/m2を越えると柔らかさを発現させ難くなる。
また、合計米坪に対する各層の米坪の割合は、表面層:中間層:裏面層=10〜30:30〜50:10〜30とするのがよい。各々この範囲であれば、薄葉紙全体として、清拭に耐えうる強度を有しつつ、嵩高で柔らかさのあるものが得られる。
他方、各層10〜30の接合一体化は、ヒートシール又は超音波シールにより前記熱融着繊維の熱融着機能を発揮させつつ行われているのが望ましいが、熱融着繊維を溶かす薬液散布や接着剤によって接合一体化されていてもよい。
ヒートシールの態様としては、スチール−ラバー方式やスチール−スチール方式といった公知の技術及び装置を使用することができる。スチール−ラバー方式の場合、ラバー側をテフロン含有の材質とすることで、ラバー自体の熱による溶融を防止すると共に、薄葉紙の各層を接合する際に、所望部分だけにシール(熱融着による封印)することができる。
ヒートシールであれば、散点状に押圧するヒートシールエンボス加工により、部分的にシールされているのが特に望ましい。一つのエンボス凹部Eの形状としては、長方形や正方形、菱形といった多角形、星や花、葉といった図形等とすることができるが、望ましくは直径1〜2mm円形であるのがよい。
エンボスが行なわれている領域は、薄葉紙の一方の面の面積当たり10〜30%であるのがよく、10%未満であると、薄葉紙の各層の接合が不十分になり剥がれ易くなる恐れがある。他方、30%を越えると、薄葉紙自体の嵩が減り、手に持った時に硬い感触となると共に、清拭性、吸水性・吸油性が十分に発揮できない。
超音波シールであれば、散点状の接着部を形成するようにして行うのが特に望ましい。
なお、本発明における散点状とは、多数のドットのほか、多数の格子状、スパイラル状等による部分的な接合態様も含む。
『評価試験』
本発明の実施例及び比較例について、表面強度、柔らかさ、吸水量、吸水速度について試験を行った。試験結果は、下記表1に示す。
実施例及び比較例の物性等、試験の方法及び評価基準は次記のとおりである。
<実施例1>
実施例1は、裂断長が縦1.80km、横1.37kmの表裏面各層と、比容積が7.3cm3/gの中間層とで構成し、各層の接合は、散点状に押圧するヒートシールエンボス加工により行った。
表裏面各層は、0.1dtexアクリル繊維(D122、0.1dtex、6mm、三菱レイヨン製)40質量%、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度130℃、N720H、2.2dtex、5mm、クラレ製)10質量%、NBKP50質量%で構成した。
中間層は、PETクリンプ繊維(TT04、2.2dtex、5mm、テイジンファイバー製)40質量%、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度130℃ N720H クラレ製)10質量%、NBKP50質量%で構成した。
<実施例2>
実施例2は、裂断長が縦1.86km、横1.61kmの表裏面各層と、比容積が7.3cm3/gの中間層とで構成し、各層の接合は、散点状に押圧するヒートシールエンボス加工により行った。
表裏面各層は、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度130℃、N720H、2.2dtex、5mm、クラレ製)40質量%、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度110℃、4080、1.1dtex、5mm、ユニチカファイバー製)10質量%、NBKP50質量%で構成し、抄紙工程の乾燥処理においてドライヤー温度を115℃とし、前記熱融着温度110℃の芯鞘PET/PET繊維を融着させてバインダー効果を発揮させた。
<実施例3>
実施例3は、表裏面層及び中間層の構成は実施例1と同様とし、各層の接合方法は散点状に押圧する超音波シールに変更して製造した。
<実施例4>
実施例4は、表裏面層及び中間層の構成は実施例2と同様とし、各層の接合方法は散点状に押圧する超音波シールに変更して製造した。
<実施例5>
実施例5は、裂断長が縦4.58km、横2.45kmの表裏面各層と、比容積が18.2cm3/gの中間層とで構成し、各層の接合は、散点状に押圧するヒートシールエンボス加工により行った。
表裏面各層は、0.1dtexPET繊維(0.1dtex、5mm、テイジンファイバー製)40質量%、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度130℃、N720H、2.2dtex、5mm、クラレ製)15質量%、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度110℃、4080、1.1dtex、5mm、ユニチカファイバー製)5質量%、NBKP40質量%で構成した。
中間層は、PETクリンプ繊維(TT04、2.2dtex、5mm、テイジンファイバー製)40質量%、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度130℃ N720H クラレ製)5質量%、NBKP55質量%で構成した。
<比較例1>
比較例1は、表裏面層は実施例5と同様とし、比容積2.9cm3/gの中間層とで構成し、各層の接合は、散点状に押圧するヒートシールエンボス加工により行った。
中間層は、芯鞘PET/PET繊維(熱融着温度110℃、4080、1.1dtex、5mm、ユニチカファイバー製)10質量%、NBKP90質量%で構成した。
<比較例2>
比較例1、実施例1の表面層と同様の構成の層を4層積層した構造とした。接合はヒートロールにて全面を接着して一体化することにより行った。
<比較例3>
比較例2は、裂断長が縦0.35km、横0.29kmの表面層と、比容積5.6cm3/gの化繊混抄紙からなる裏面層の2層構造とした。
表面層は、PP繊維(PZ、3.3dtex、5mm、ダイワボウポリテック製)40質量%、芯鞘PP/PE(熱融着温度130℃、インタック、1.7dtex、5mm、ESファイバービジョンズ製)10質量%、NBKP50%で構成した。
表裏面層の接合は、ヒートシールエンボスにより散点状に押圧して一体化して行った。
(表面強度)
リントの発生の有無を評価した。テスター産業製学振式耐摩耗性試験機にて50回摩擦試験を行い、まったく毛羽立ちしないものを◎、若干毛羽が立つが繊維はとられないものを○、絡まった繊維の塊が発生したり、表面が破れたりしたものを×とした。
(吸水速度)
ピペットで300μlの水を試料に載せ、完全にシートに染み込むまでの時間を計測した。染み込んだか否かについては目視にて判断した。
(比吸水量)
10cm四方に裁断した試料を網に載せて、純水の入った容器に静かに沈め、試料に十分に水を浸透させた後に引き上げ、さらに30秒間放置した後の試料の重量を測定する。
その測定された重量から乾燥時の試料の重さを引いた値を、試料1m2当たりに換算し、さらに米坪で割った値を比吸水量とした。評価基準は、4.0以上を○、4.0未満のものを×とした。
(柔らかさ)
柔らかさと表面の滑らかさは官能評価とした。被験者が試料を実際に手にとり、柔らかさと滑らかさについてどのように感じたかにより判断をすることとした。柔らかく滑らかで拭きやすいと感じたものを◎、拭き取るのには十分な柔らかさであるものを○、硬くて拭きにくいものを×とした。
Figure 2008190073
以上詳述のとおり、本発明によれば、清拭に耐えうる引張り強度があり、しかも清拭の際のケバ立ちやリントが発生し難く、さらに嵩高で柔らかさのある薄葉紙が提供される。
本発明は、クッキングペーパーやキッチンペーパー等の油分、水分の拭取り紙にも利用可能である。
本発明の薄葉紙の断面概要図である。
符号の説明
10…表面層、20…裏面層、30…中間層、E…エンボス凹部、X1…薄葉紙。

Claims (5)

  1. 化学繊維とパルプとを混抄した層を有する3層以上の薄葉紙であって、
    JIS P 8113に規定される裂断長が1.0〜8.0kmの表裏面各層と、
    比容積が3〜30cm3/gの中間層とを有し、
    隣接する各層相互が散点状に接合されて一体化されている、ことを特徴とする薄葉紙。
  2. 表面層及び裏面層は、熱融着繊維によって構成繊維同士が接着されている、請求項1記載の薄葉紙。
  3. 表面層及び裏面層は、熱融着繊維を含み、かつ80〜140℃の範囲中の所定温度又は所定温度範囲にて熱融着機能を発揮する熱融着繊維の配合割合が2〜30質量%である、請求項1又は2記載の薄葉紙。
  4. 一体化は、ヒートシールエンボス加工により行われている請求項1〜3の何れか1項に記載の薄葉紙。
  5. 一体化は、超音波シールにより行われている請求項1〜3の何れか1項に記載の薄葉紙。
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