JP4456610B2 - 衛生薄葉紙 - Google Patents
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Description
このようにさまざまな性能が要求される衛生薄葉紙としては、フィルム状の層の片面又は両面に繊維層を備えた不織布の提案が参考になる(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この不織布は、衛生薄葉紙を対象とするものではないため、リントの発生が解決されない。また、フィルム状の層を有するため、柔らかさに欠ける。
また、この種の衛生薄葉紙としては、パルプ層の両面に、繊維太さ、繊維長、繊維の種類、繊維の配合割合等が特定された繊維ウェブ層を備えたクッキングペーパーが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、このように単に構成繊維の物性を特定しても、リントの発生を少なくしながら、柔らかさを保つのは、困難である。
さらに、この種の衛生薄葉紙としては、繊維ウェブを局部的に圧縮し、繊維密度が高い領域と繊維密度が低い領域とを形成した清掃用シートが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、このように単に局部的に圧縮した場合、ダスト類の捕集性は向上するとしても、リントの発生は少なくならない。また、圧縮範囲、圧縮率等によっては、柔らかさが損なわれる。
また、この種の衛生薄葉紙としては、平面シートとエンボスシートとを備え、このエンボスシートの裏面側の各凸部と平面シートとが接着された拭き取りシートが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この拭き取りシートにおいて、エンボスシート表面側の各凸部は、中空状のものが圧潰された皺付与凸部となっている。しかしながら、この形態は、エンボスシートの裏面側の各凸部と平面シートとを接着したものであるため、ダスト類の捕集性は向上するとしても、層相互の一体性が著しく弱く、また、リントの発生が少なくならない。
〔請求項1記載の発明〕
熱融着性繊維を含む中間層と、化学繊維及びパルプを含み熱融着性繊維が混抄された一方の外層と、他方の外層とを有し、
前記一方の外層側から深いエンボス群とそれらの間の浅いエンボス群とによって熱圧着がされ、
前記一方の外層は、
前記深いエンボス群によって前記中間層に食い込まされた状態で、前記中間層に接合され、かつ前記浅いエンボス群によって前記中間層に達しない表面エンボス群が構成されている、ことを特徴とする衛生薄葉紙。
「吸水性及び吸油性」
○ 本発明の衛生薄葉紙は、一方の外層が、化学繊維及びパルプを含むため、吸水性及び吸油性に優れる。
○ 本発明の衛生薄葉紙は、中間層、一方の外層及び他方の外層からなる積層構造であるため、嵩だかとなり、単位面積あたりの吸水性及び吸油性に優れる。
「リントの発生」
○ 本発明の衛生薄葉紙は、一方の外層に、化学繊維及びパルプのほか、熱融着性繊維が混抄されているため、リントの発生が少ない。
○ 本発明の衛生薄葉紙は、一方の外層に、熱融着性繊維が混抄され、かつ浅いエンボス群によって中間層に達しない表面エンボス群が構成されているため、表面強度が高く、リントの発生が一段と少ない。
「層相互の一体性」
○ 衛生薄葉紙を積層構造とする場合、層相互の一体化は、エアレイド法や機械的交絡法(スパンレース法)によって行うこともできる。しかしながら、これらの方法によると、衛生薄葉紙の剛性が過度に高まったり(柔らかさの低下)、一体性が不十分となったりするおそれがある。特に、いずれかの層がパルプを含む場合は、一体性が一段と不十分になりやすい。これに対し、本発明の衛生薄葉紙は、中間層及び一方の外層に熱融着性繊維を含み、かつ熱圧着すること、これに加えて、一方の外層が部分的に深いエンボス群によって中間層に食い込まされた状態とされること、によって一体化されたものであるため、剛性が過度に高まったり、一体性が不十分となったりするおそれがない。
なお、中間層及び一方の外層に熱融着性繊維を含み、かつ熱圧着することのみによって一体化する場合は、ある程度の強い圧力を加える必要があるため、剛性が高まりやすい。また、一方の外層が深いエンボス群によって中間層に食い込まされた状態とされることのみによって一体化する場合は、深いエンボス群の数が少なければ一体性が不十分となりやすく、他方、深いエンボス群の数が多ければ剛性が高まりやすい。さらに、深いエンボス群により空隙が少なくなり吸液性が低下するため、その数を増やすのは好ましくない。
「安全性」
○ 化学繊維及びパルプを混抄する場合、両者は、水素結合しないため、接着剤によって結合させるのが一般的である。しかしながら、衛生薄葉紙は、例えば、食品等と接触させて使用する場合もあるため、接着剤の使用は望ましいものではない。これに対し、本発明の衛生薄葉紙は、熱融着性繊維によって結合させるため、かかる問題を有しない。
○ 衛生薄葉紙を積層構造とする場合、層相互の一体化は、接着剤によって行うこともできる。しかしながら、前述したように、接着剤の使用は望ましいものではない。これに対し、本発明の衛生薄葉紙は、前述したように、接着剤によるものではないため、かかる問題を有しない。
熱融着性繊維を含む中間層と、化学繊維及びパルプを含み熱融着性繊維が混抄された一方の外層と、化学繊維及びパルプを含み熱融着性繊維が混抄された他方の外層とを有し、
前記両方の外層側からそれぞれ深いエンボス群とそれらの間の浅いエンボス群とによって熱圧着がされ、
前記両方の外層は、
前記深いエンボス群によって前記中間層に食い込まされた状態で、前記中間層に接合され、かつ前記浅いエンボス群によって前記中間層に達しない表面エンボス群が構成されている、ことを特徴とする衛生薄葉紙。
本発明の衛生薄葉紙は、他方の外層についても、請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏し、したがって表裏を問わないで使用することができる。
前記両方の外層相互間で、前記深いエンボス群の位置が一致している、請求項2記載の衛生薄葉紙。
本発明の衛生薄葉紙は、一致した深いエンボス群部分において、層相互の一体性が優れるため、衛生薄葉紙全面における層相互の一体性も優れる。
前記両方の外層は、前記パルプを30〜80質量%含み、かつ坪量(JIS P 8124:1998)が10〜40g/m2である、請求項2又は請求項3記載の衛生薄葉紙。
この作用効果は、後述する。
前記中間層及び前記両方の外層の合計坪量(JIS P 8124:1998)が40〜180g/m2で、
かつ前記深いエンボス群部分において50〜90%圧縮され、前記浅いエンボス郡部分において10〜30%圧縮されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
この作用効果は、後述する。
前記深いエンボス群部分の面積率が5〜25%、前記浅いエンボス群部分の面積率が5〜25%、前記深いエンボス群部分の面積/前記浅いエンボス群部分の面積が0.3〜1.2とされている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
この作用効果は、後述する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の衛生薄葉紙は、熱融着性繊維を含む中間層30と、化学繊維及びパルプを含み熱融着性繊維が混抄された一方の外層(第1外層)10と、他方の外層(第2外層)20とを有する。そして、第1外層10側から深いエンボスE1群とそれらの間の浅いエンボスE2群とによって熱圧着がされている。また、第1外層10は、深いエンボスE1群によって中間層30に食い込まされた状態で、中間層30に接合され、かつ浅いエンボスE2群によって中間層30に達しない表面エンボス(E2)群が構成されている。
また、芯鞘構造の複合繊維も用いることができる。
エンボスを付与する際はエンボスロールを100〜180℃に加熱することが好ましく、熱融着繊維を熱融着させる温度が必要である。
またエンボスを付与する際のニップ圧は線圧60〜220kgf/cmが好ましい。
まず、表1に示す原材料を用いて、第1外層、中間層及び第2外層を製作し、図4に示す状態に積層した。次いで、この積層シートに対して、両面にスチール・ラバー方式によって、エンボスを付与した。このエンボス付与は、スチールロールを130℃に加熱して行った。得られた試験片について、各種試験を行った。試験片の物性及び評価を、表1及び表2に示した。なお、物性や評価方法に関する詳細は、次のとおりである。
(原材料等)
表中の「A」はアクリル繊維(繊維太さ0.1dtex、繊維長6mm、ボンネル〔三菱レイヨン社製〕)、「B1」はPETバインダー繊維(繊維太さ2.2dtex、繊維長5mm、N720H(芯鞘構造)〔クラレ社製〕)、「B2」はPETバインダー繊維(繊維太さ1.1dtex、繊維長5mm、4080(芯鞘構造)〔ユニチカ社製〕)、「N」NBKP〔大王製紙社製〕、「C」はPETクリンプ繊維(繊維太さ2.2dtex、繊維長5mm、TT04〔テイジン社製〕)、「F」はエアスルー不織布である。
(坪量)
JIS P 8124:1998に基づいて測定した。
(厚さ)
尾崎製作所製ピーコックにて測定した。
(比容積)
上記のように測定した厚さと坪量から、1g当たりの容積(cm3/g)を算出した。
(吸水速度)
試験片にピペットで300μLの水を載せ、この水が試験片に完全に染み込むまでの時間を計測した。染み込んだか否の判断は、目視によった。なお、拭取り用途では、吸水速度が10秒未満であると望ましいとされる。
(吸水量)
10cm四方に裁断した試験片を網に載せ、この網ごと水の入った容器に浮かせ、試験片に十分に水が浸透した後に引き上げ、30秒間放置した後の試験片の質量を測定した。この測定質量から乾燥時の質量を引き100倍し、1m2当たりの吸水量とした。なお、拭取り用途では、吸水量が300g/m2以上であると望ましいとされる。
(表面強度)
リントの発生を評価するために、表面強度について、試験した。テスター産業製の学振式耐摩耗性試験機で50回摩擦試験を行った。全く毛羽立ちしなかった場合を◎、若干毛羽立ったが繊維はとられなかった場合を○、絡まった繊維の塊が発生したり、表面が破れたりした場合を×とした。
(層間強度)
拭き取り動作を行ったり、手で揉んだりしたときに層間剥離が起こらないものを○、層間剥離が起こったものを×とした。
(柔らかさ)
官能試験を行った。非常に柔らかく拭きやすいと感じたものを◎、柔らかい感じた場合を○、硬いと感じた場合を×とした。
(総合)
吸水性、吸油性があり柔らかく拭き取りやすい場合を○、硬くて拭き取りにくい場合を×とした。
(各比較例)
比較例においては、実施例と異なり、各層相互の一体化(接合)は、加熱したカレンダーロールを使用して圧着面積率100%で行ったほか、エンボスなし、深いエンボスのみ、浅いエンボスのみで一体化を行った。
Claims (6)
- 熱融着性繊維を含む中間層と、化学繊維及びパルプを含み熱融着性繊維が混抄された一方の外層と、他方の外層とを有し、
前記一方の外層側から深いエンボス群とそれらの間の浅いエンボス群とによって熱圧着がされ、
前記一方の外層は、
前記深いエンボス群によって前記中間層に食い込まされた状態で、前記中間層に接合され、かつ前記浅いエンボス群によって前記中間層に達しない表面エンボス群が構成されている、ことを特徴とする衛生薄葉紙。 - 熱融着性繊維を含む中間層と、化学繊維及びパルプを含み熱融着性繊維が混抄された一方の外層と、化学繊維及びパルプを含み熱融着性繊維が混抄された他方の外層とを有し、
前記両方の外層側からそれぞれ深いエンボス群とそれらの間の浅いエンボス群とによって熱圧着がされ、
前記両方の外層は、
前記深いエンボス群によって前記中間層に食い込まされた状態で、前記中間層に接合され、かつ前記浅いエンボス群によって前記中間層に達しない表面エンボス群が構成されている、ことを特徴とする衛生薄葉紙。 - 前記両方の外層相互間で、前記深いエンボス群の位置が一致している、請求項2記載の衛生薄葉紙。
- 前記両方の外層は、前記パルプを30〜80質量%含み、かつ坪量(JIS P 8124:1998)が10〜40g/m2である、請求項2又は請求項3記載の衛生薄葉紙。
- 前記中間層及び前記両方の外層の合計坪量(JIS P 8124:1998)が40〜180g/m2で、
かつ前記深いエンボス群部分において50〜90%圧縮され、前記浅いエンボス郡部分において10〜30%圧縮されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。 - 前記深いエンボス群部分の面積率が5〜25%、前記浅いエンボス群部分の面積率が5〜25%、前記深いエンボス群部分の面積/前記浅いエンボス群部分の面積が0.3〜1.2とされている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
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