JP4271600B2 - クッキングペーパーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、吸水性、吸油性、引張強度に優れるクッキングペーパーの製造方法に関する。
クッキングペーパーは、食材や食器についた水分、油分の拭取り、飛散した調味料の拭取り、揚げ物などの過剰油分の吸い取り、使用後の油こし等に用いられる。このような用途においては、水分、油分を素早く吸収して保持すること、水分等の保持量が多いこと、乾燥時および吸水、吸油状態における引張強度が高いことが要求される。また、例えば豆腐、野菜等の柔らかな食材の水切り、複雑な形状の食器あるいは調理場の拭取りに対応できるように、柔らかさも非常に重要である。
従来、クッキングペーパーは、解繊した繊維を空気流により集めてウェブを形成するエアレイド法によりウェブを形成し、このようにして形成されたウェブを一枚あるいは数枚重ねて熱融着あるいは接着剤により接着して製造するのが一般的である。
他方、特開平11−089773に開示されるように、パルプ繊維と熱可塑性合成繊維とをバインダーを使用せずに機械的に交絡したクッキングペーパー、キッチンタオルが開示されている。
特開平11−089773
しかしながら、エアレイド法による前者の従来クッキングペーパーは、熱融着により繊維が接着されているため、接着部分の剛性が高く柔らかさにかける。複雑な形状の食器や柔らかな食材等の水分や油分を十分に拭取ることができないことがある。また、接着部分の吸水性等が悪いという欠点がある。
一方、特開11−089773に開示されるクッキングペーパー、キッチンタオルは、パルプ繊維を混合することで、吸水性、吸油性等を高めているが更なる改善の余地がある。すなわち、パルプと熱可塑性繊維を混合した湿潤状態のシートに対して機械的交絡を行って製造されるので、表面層に露出するパルプ繊維が、吸水、吸油時に離脱して食品等に付着するおそれがあるほか、吸水状態における引張強度が十分でなく、破断するおそれがある。
そこで、本発明の主たる課題は、吸水性、吸油性等をさらに向上させるとともに、吸水時等における引張り強度を高め、調理場等における使用感をより高めたクッキングペーパーを提供することにある。
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
食材や食器についた水分、油分の拭取り、飛散した調味料の拭取り、揚げ物などの過剰油分の吸い取り、使用後の油こし等に用いられるクッキングペーパーの製造方法において、
乾燥状態において米坪が1〜60g/m2となり、かつ、
繊維太さ1.0〜6.5dtex、繊維長25〜55mmのレーヨン繊維90〜97重量%と、繊維太さ1.0〜6.5dtex、繊維長25〜55mmのポリエチレンテレフタレート繊維3〜10重量%とからなる、
乾式法又はエアレイド法により形成されていない湿潤状態のシート状の繊維ウェブ層の間に、
乾燥状態において米坪15〜50g/m2となり、かつ、
填料を含まない純パルプで構成され、NBKP:LBKPが50:50〜100:0であり、前記LBKPが繊維長0.8〜1.8mm、繊維太さ1.0〜2.0dtexであり、前記NBKPが繊維長2.5〜4.5mm、繊維太さ3.0〜4.0dtexである、湿潤状態のパルプ層を、
複数のワイヤー部から流れてくる湿紙を重ねる多層式抄紙機を用いて介在させて3層構造の湿潤状態の積層ウェブとし、
その後にこの3層構造の湿潤状態の積層ウェブを所定の網形状の厚みパターン上に配置し、
その後に、前記積層ウェブに高圧水流をあてて、前記3層積層ウェブを機械的に交絡一体化させるとともに、所定の網形状の厚みパターンに対応する、谷部の繊維密度が山部の繊維密度よりも低い厚みパターンを付与し、かつ、
熱融着を行なわないことを特徴とするクッキングペーパーの製造方法。
本発明によれば、繊維ウェブ層間にパルプ層を介在させて3層を機械的に交絡一体化したので、パルプ層の存在により吸水性、吸油性に優れるようになるとともに、水分・油分の吸収量が多いものとなる。しかも、表裏面においてパルプより高い引張強度を示す繊維ウェブ由来の繊維の存在率が高くなり、湿潤時および乾燥時の引張強度が強くなる。また、一旦表裏面層を通してパルプ層に吸収された油分・水分は、繊維太さが太くバルキーであるため油分・水分の保持性が良好となり、しかも繊維ウェブは繊維長が長く交絡し易いので、パルプ層中に閉じ込めた油分・水分を外に出さないようになる観点からも、油分・水分の保持性に優れたものとなる。
本発明の繊維ウェブ層に用いる繊維としては、柔らかく肌触り感に優れしかも親水性を示すレーヨン繊維を主体としたものとする。レーヨン繊維としては、繊維太さ1.0〜6.5dtex、繊維長25〜55mmとし、レーヨン繊維は繊維ウェブ層中に50〜100重量%、好ましくは85〜100重量%含有せしめたので、柔軟性に富み、吸水性が良好なものとなる。
また、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維を50重量%未満、望ましくは15重量%未満の範囲で含ませることで、PETの有する親油性により、油分の吸収性がさらに向上するとともに、一旦、パルプ層に保持された水分・油分が再度の外に染み出しづらくなり水分・油分保持性が向上する。
さらに、PET繊維、パルプ、レーヨン繊維で構成されることから、180℃程度の高温の油分と接触しても、溶融することがなく揚げ物などの過剰油分の吸収、高温の油の油こしも好適に行える。
本発明のクッキングペーパーの製造においては、3層の積層ウェブに対して高速ジェット水流を噴射して、3層積層ウェブを水流交絡法(スパンレース法)により機械的に交絡一体化させるので、熱融着等で生ずる剛質部位がなく、柔らかなものとなるとともに、水分、油分の吸収性に優れたものとなる。
また、厚みパターンを付与するにあたっては、所定の網目形状のスクリーン上に、3層積層ウェブを配置し、これに高速ジェット水流を噴射して前記所定の網形状に対応したパターンを付与する、または、3層を機械的に交絡一体化させた状態の湿潤状態のウェブを所定の網目形状のスクリーン上に配置して同様に高速ジェット水流を噴射して、前記所定の網形状に対応したパターンを付与する。
厚みパターン付与の形態としてよく採用されるエンボスロールによるエンボス付与形態を採る場合には、谷部においてパルプと繊維とが双方圧縮されるために谷部における柔らかさの向上が少ない。また、山部分と谷部分のパルプ存在率がほぼ同様となり、嵩高感がでにくい。
しかしながら、上記の本発明の厚みパターン付与の形態では、高速ジェット水流が積層ウェブに当たったときに繊維、パルプの移動が生じて、山部でのパルプの割合が高くなる。従って、谷部における引張強度が繊維により担保されつつ、柔らかさに格段に優れるものとなる。しかも、山部にパルプが集まる傾向にあるので嵩高感に優れたものとなるとともに、吸水性、吸油性、水分・油分の保持性が良好なものとなる。この結果、豆腐、野菜などの柔らかな食材を絞って水きりすることにも好適に用いることができる。
前記パルプ層を構成するパルプは、LBKP(L材あるいは広葉樹パルプともいわれる。)よりもNBKP(N材あるいは針葉樹パルプともいわれる。)を多く含むものを用いる。
一般的にLBKPよりもNBKPのほうが、繊維太さが太いため、NBKPが多いほうが嵩高となるとともに、ウェブ層の表裏面に付着した吸水性や吸油性が良好となり、水分・油分の保持性も良好となる。特には、前記LBKPの繊維長を0.8〜1.8mm、繊維太さを1.0〜2.0dtexに調整し、かつ、前記NBKPの繊維長を2.5〜4.5mm、繊維太さを3.0〜4.0dtexに調整したパルプを原料とするパルプ層とすると嵩高であるとともに柔らかくなり、しかも吸水性、吸油性、保持性がより良好なものとなる。
本発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
本発明のクッキングペーパーは、レーヨン繊維を主体とし、望ましくはポリエチレンテレフタレート繊維を含む繊維ウェブ層の間にパルプ層が介在され、3層が交絡一体化されてなるものである。
前記繊維ウェブ層は、レーヨン繊維を50〜100重量%、好適には85〜100重量%、より好適には90〜100重量%、特に好適には95〜100重量%、PET繊維を0〜50重量%、好適には0〜15重量%含むものである。最適には、レーヨン繊維90〜97重量%、PET繊維3〜10重量%である。
ちなみに、繊維太さ1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維と、繊維太さ1.4dtex、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート繊維との混合割合を変化させて、それぞれ、米坪60g/m2のシートについて、吸油量及び吸水量を測定したところ、表1に示す結果を得た。
Figure 0004271600
表1の結果からも判るように、繊維ウェブ中のレーヨン繊維の含有量が上記範囲未満であると、吸水性、水分保持性に劣るようになる。また、PET繊維を含有させた場合には、PET繊維が親油性であることにより吸油性および油分保持性が向上する。ただし、PET繊維はレーヨン繊維と比較して剛性が高くまた吸水性には優れないため、上記範囲を超えて含有させるのは望ましくない。上記範囲を超えて含有させると交絡が不十分となり吸水性に劣るようになるとともに強度が低下する。PET繊維の含有量は好適には3〜10重量%、特に好適には5〜8重量%程度含有させる。
前記レーヨン繊維の繊維太さは、1.0〜6.5dtex、好適には1.5〜6.0dtex、特に好適には2.0〜5.5dtexとする。レーヨン繊維の太さが1.0dtex未満であると、乾燥時および湿潤時の引張強度が不足する。反対に6.5dtexを超えると剛性が高くなり交絡しにくくなる。
前記レーヨン繊維の繊維長は、25〜55mm、好適には30〜50mm、特に好適には35〜45mmとする。レーヨン繊維の繊維長が、繊維長25mm未満であるとパルプ層やレーヨン繊維同士の交絡が不十分となりやすく引張強度が不足する。反対に繊維長さが55mmを超えると、繊維ウェブ層とパルプ層との交絡が進みすぎて嵩がでにくくなる。
前記PET繊維の繊維太さは、1.0〜6.5dtex、好適には1.5〜6.0dtex、特に好適には2.0〜5.5dtexとする。PET繊維の太さが1.0dtex未満であると、乾燥時および湿潤時の引張強度が不足する。反対に6.5dtexを超えると剛性が高くなり交絡しにくくなる。
前記PET繊維の繊維長は、25〜55mm、好適には30〜50mm、特に好適には35〜45mmとする。PET繊維の繊維長が、繊維長25mm未満であるとPET繊維同士あるいはパルプ、レーヨン繊維との交絡が不十分となり引張強度が不足する。反対に繊維長さが55mmを超えると、繊維ウェブ層とパルプ層との交絡が不十分となり各層が分離しやすくなるとともに、剛性が高くなり柔らかさにかけるようになる。
繊維ウェブ層の米坪は、一層あたり15〜60g/m2とするのが望ましい。好適には、20〜50g/m2である。15g/m2未満であると吸水および吸油性が良好となりづらく、60g/m2を越えると柔らかさが発現しづらくなる。
パルプ層の米坪は乾燥状態において12〜50g/m2、好適には15〜35g/m2、特に好適には、20〜30g/m2とする。12g/m2未満であると、吸水性、吸油性、水分保持性、油分保持性に劣るようになる。反対に50g/m2を越えると柔らかさにかけるとともに表裏面へのパルプの露出が増加しやすくなりパルプ繊維の離脱が生じやすくなる。
パルプ層を構成するパルプとしては限定されないが、填料を含まない純パルプとするのが望ましい。特に、パルプ層を構成するパルプは、LBKPよりもNBKPを多く含むものを用いる。
すなわち、NBKP:LBKPの割合を50:50〜100:0にする。好適には、70:30〜100:0とする。LBKPよりもNBKPのほうが、繊維太さが太い傾向にあるため、NBKPが多いほうが嵩高となる。そして、ウェブ層の表裏面に付着した水分や油分の吸収速度が早くなるとともに、保持量も多くなる。
特に、前記LBKPの繊維長を0.8〜1.8mm、繊維太さを1.0〜2.0dtexとし、かつ、前記NBKPの繊維長を2.5〜4.5mm、繊維太さを3.0〜4.0dtexとしたパルプを用いるのが好適である。
NBKPの繊維長を2.5〜4.5mmとすると、繊維長25〜55mmのウェブ層を構成する繊維との交絡具合が良好となる。そして、NBKPの繊維太さを3.0〜4.0dtexとすると嵩高となるとともに吸水速度および吸油速度がより向上する。
また、LBKPの繊維長を0.8〜1.8mm、繊維太さを1.0〜2.0dtexとすると、NBKPおよびウェブ層形成繊維と適度に交絡するとともにNBKPおよびウェブ形成繊維の間隙を埋めるように配置され、柔らかさと肌触り感が良好なものとなるとともに水分、油分の保持力がより良好となる。
他方、本発明のクッキングペーパーでは、上記の厚みパターン加工がなされているものとするのが好適である。厚みパターン加工を施した場合には、柔らかさを担保しつつ嵩高にでき、そして、嵩高であることにより、吸水性、吸油性が高まるからである。ここで、厚みパターンの網目形状は特に限定されない。
次いで、クッキングペーパーの製造方法に関してさらに詳述する。
前記繊維ウェブ層は、繊維を湿式法にシート状にして形成するのが望ましい。本発明では、たとえば図1に示すように、繊維ウェブ層4、4間にパルプ層5を介在させ、高速ジェット水流1を噴射して交絡一体化を行う(スパンレース法ともよばれる)。したがって、繊維ウェブ層の形成に際して、エアレイド法等に代表される乾式法によるウェブ形成は後段の交絡処理の際に各層の交絡が不十分となるので適さない。
繊維ウェブ層間にパルプ層を挟みこむ方法に関しては、複数のワイヤー部から流れてくる湿紙あるいは乾燥紙を重ねることが可能な多層式抄紙機を用いることができる。また、パルプ層については水分により容易に溶解する乾燥状態のティシュペーパー等の乾燥紙とすることができ、必ずしも湿潤状態であることを要しない。
厚みパターン加工は、図1に示すように、3層が機械的交絡した後にあるいは3層を機械的交絡処理するとともに、湿潤状態の積層ウェブあるいは交絡一体化ウェブCを、所定の網目形状のスクリーン3上に配置して適当な高圧水流2をあてることにより行う。前記所定の網目形状を通って水流が流れる部位に凹部が形成されて厚みパターンが付与される。すなわち、前記網目形状に対応する模様が付与される。なお、場所によっては貫通孔が形成される場合もあるが、そのように貫通孔が形成される部位があってもかまわない。繊維ウェブ由来の繊維より引張強度が担保される。水圧に関してはウェブ厚などを考慮して適宜定める。
このように湿潤状態の積層ウェブ等にスクリーンを介して高圧水流を当ててパターン付与すると、水流が当たる部位において繊維、パルプの移動が生ずる。そして得られるクッキングペーパーの谷部分は、パルプ、繊維の移動により山部分と比較して低密度となるが、繊維ウェブ由来の繊維が存在することになり引張強度が担保される。一方、山部分ではパルプ密度が高くなり嵩高感がでる。すなわち、このような厚みパターン付与によって、山部分において嵩高感が得られ、谷部分において柔らかさが得られるとともにレーヨン等の繊維ウェブ由来の繊維の存在により引張強度の低下が少ないものとなる。
厚みパターンを付与した後は、従来既知の技術に従って、乾燥しクッキングペーパーとする。
試験例1
次いで、本発明の試験例1を示す。
試験は、参考例、比較例、従来例(エアレイド法により製造されたクッキングペーパー)について、引張強度、柔らかさ、吸水量、吸油量、吸水速度、吸油速度の試験を行った。参考例、比較例、従来例についての物性等の詳細は、各試験の結果とともに表2に示す。試験項目および評価基準は下記のとおりである。
(引張強度)
JIS L 1076に従って、縦方向および横方向について測定した。試料は50mm巾×長さ15cmの短冊状とし、長さ方向に対して引っ張って測定した。クッキングペーパー用途では、縦方向45N/50mm以上、横方向13N/50mm以上が好ましいことから、縦方向45N/50mm以上のものを○、45N/50mm未満のものを×、横方向13N/50mm以上のものを○、13N/50mm未満のものを×と評価した。
(柔らかさ)
剛度を測定する試験機(自動化純曲げ試験機、KESFB2−AUTO−A:カトーテック社製、)を用いて測定した。評価は、単位幅当たりの曲げ剛性を指数10−2・gfcm2/cmで表して基準とした。クッキングペーパー用途では、縦方向15未満、横方向で25以上が好ましいことから、縦方向で15未満のものを○、15以上のものを×、横方向で25以上のものを○、25未満のものを×と評価した。
(吸水速度)
試料にピペットで10cc水を載せ、完全にシートに染み込むまでの時間を計測した。染み込んだか否かについては目視で判断した。クッキングペーパー用途では、吸水速度が、1.5秒未満であることが望ましいことから、1.5秒未満を○、1.5秒以上を×と評価した。
(吸油速度)
試料にピペットで10ccサラダオイルを載せ、完全にシートに染み込むまでの時間を計測した。染み込んだか否かについては目視で判断した。クッキングペーパー用途では、吸油速度が、8.5秒未満であることが望ましいことから、8.5秒未満を○、8.5秒以上を×と評価した。
(吸水量)
網に10cm四方に裁断した試料を載せ、網ごと水の入った容器に試料を浮かせ、十分に水が浸透した後に引き上げ、30秒間放置した後試料の重量を測定する。その測定された重量から乾燥時の試料の重さ引いた値を吸水量とする。クッキングペーパーの用途においては、620g以上の吸水量が好ましいことから、620g以上のものを○、620g未満のものを×と評価した。
(吸油量)
網に10cm四方に裁断した試料を載せ、網ごとサラダオイルの入った容器に試料を浮かせ、十分にサラダオイルが浸透した後に引き上げ、30秒間放置した後試料の重量を測定する。その測定された重量から乾燥時の試料の重さ引いた値を吸油量とする。クッキングペーパーの用途においては、620g以上の吸油量が好ましいことから、620g以上のものを○、620g未満のものを×と評価した。
Figure 0004271600
表2をみてみると、参考例については、すべての試験項目で良好な結果(○)となっているのに対して、比較例1および2については、吸水量、吸油量の点で不十分(×)との結果となった。また、エアレイド法による従来例は、吸水性、吸油性、吸水速度、吸油速度の点では優れるが、湿潤時の引張強度と、柔らかさについては、格段に劣る結果(×)となった。
試験例2
次いで、パルプ層の構成を規定することによる効果を検討するために、試験例2を行った。試験は、参考例、比較例について、引張強度、柔らかさ、吸水量、吸油量、吸水速度、吸油速度の試験を行った。試験項目および評価基準は、試験例1と同様である。
参考例、比較例、従来例についての物性等の詳細は、各試験の結果とともに表3に示す。
Figure 0004271600
表3より、パルプ層の原料パルプをNBKPよりLBKPを多くすると引張強度が低下する傾向にあり、各パルプの繊維長さおよび繊維太さを参考例の範囲を下回ると吸収速度および吸収量が低下する傾向にあることがわかる。
以上詳述のとおり、本発明によれば、吸水性、吸油性、吸水・吸油の保持性、吸水時等における引張り強度に優れ、調理場等における使用感をより高めたクッキングペーパーが提供される。
本発明は、クッキングペーパーやキッチンペーパー等の油分、水分の拭取り紙に利用することができる。
本実施の形態にかかるクッキングペーパーの製造方法の概略を示す図である。
1…水流A、2…水流B、3…スクリーン、4…繊維ウェブ層、5…パルプ層、C…交絡一体化ウェブ。

Claims (1)

  1. 食材や食器についた水分、油分の拭取り、飛散した調味料の拭取り、揚げ物などの過剰油分の吸い取り、使用後の油こし等に用いられるクッキングペーパーの製造方法において、
    乾燥状態において米坪が1〜60g/m2となり、かつ、
    繊維太さ1.0〜6.5dtex、繊維長25〜55mmのレーヨン繊維90〜97重量%と、繊維太さ1.0〜6.5dtex、繊維長25〜55mmのポリエチレンテレフタレート繊維3〜10重量%とからなる、
    乾式法又はエアレイド法により形成されていない湿潤状態のシート状の繊維ウェブ層の間に、
    乾燥状態において米坪15〜50g/m2となり、かつ、
    填料を含まない純パルプで構成され、NBKP:LBKPが50:50〜100:0であり、前記LBKPが繊維長0.8〜1.8mm、繊維太さ1.0〜2.0dtexであり、前記NBKPが繊維長2.5〜4.5mm、繊維太さ3.0〜4.0dtexである、湿潤状態のパルプ層を、
    複数のワイヤー部から流れてくる湿紙を重ねる多層式抄紙機を用いて介在させて3層構造の湿潤状態の積層ウェブとし、
    その後にこの3層構造の湿潤状態の積層ウェブを所定の網形状の厚みパターン上に配置し、
    その後に、前記積層ウェブに高圧水流をあてて、前記3層積層ウェブを機械的に交絡一体化させるとともに、所定の網形状の厚みパターンに対応する、谷部の繊維密度が山部の繊維密度よりも低い厚みパターンを付与し、かつ、
    熱融着を行なわないことを特徴とするクッキングペーパーの製造方法。
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