JP4474216B2 - キッチン用タオルおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、台所などで使用されるキッチン用タオルに関する。
従来、台所および調理場等で使用されるキッチン用タオルまたはキッチンペーパーに関しては、種々の構成のものが提案され、実用に供されている。例えば、特開2001−146665号公報(特許文献1)には、厚手感、ならびに乾燥・湿潤強度および柔軟性を有するキッチンペーパーとして、天然繊維と、熱可塑性繊維とを含むシートの表面に複数の凸部が形成されており、且つ前記熱可塑性繊維が熱融着されていないものが開示されている。特開平8−176944号公報(特許文献2)には、台所のレンジおよび流し台の汚れ等を拭き取るキッチンペーパーなどの紙ナプキンとして、レーヨンスフおよび熱融着繊維を含む一対の不織布層の間に、パルプまたは該パルプを主体とする吸水性薄層を一体的に積層し、特定範囲の深さおよび個数のエンボスが形成された紙ナプキンが開示されている。特開2002−275752号公報(特許文献3)には、スパンボンド不織布と特定の表面粗さを有する紙シートとの積層体に高圧水柱流を施して製造した複合不織布がキッチンタオルとして使用できることが記載されている。特開平11−89773号公報(特許文献4)には、パルプ繊維と熱可塑性合成繊維とから成る不織布で形成され、特定の面積を有する開孔を有するキッチンタオルが開示されている。特開平11−189959号公報(特許文献5)には、極細の熱可塑性繊維とパルプとで構成され、構成繊維が機械的に交絡した不織布にエンボス加工を施すことにより、当該不織布をキッチンペーパーとして使用できることが記載されている。
特開2001−146665号公報 特開平8−176944号公報 特開2002−275752号公報 特開平11−89773号公報 特開平11−189959号公報
キッチン用タオルは、残り油の油こし、てんぷら等の油切り、魚および野菜の水きり等、様々な用途に使用される。そのため、キッチン用タオルには、(1)乾燥時だけでなく湿潤時にも高い強度を有すること、(2)良好な油こし性(油カスを含む油を通過させる速度(油こし速度)がより大きく、且つこした油の中に油カスが含まれないこと)、(3)高温の油と接触しても変質しない耐油性および耐熱性、(4)毛羽立ちが少ないこと、等の特性が要求される。これら(1)〜(4)の特性をすべて満たすキッチン用タオルを得ることは通常困難である。とりわけ、高い湿潤時強度と良好な油こし性とを両立させることは困難である。
例えば、特許文献1に記載のキッチンペーパーは、代表的には、熱可塑性ウェブの上にパルプ繊維を抄紙したものを重ねてウォータージェット処理を施すことにより製造した不織布であると解される(特許文献1の段落0024参照)。通常、抄紙シートにウォータージェット処理を施すと、繊維が密に交絡して緻密な構造の不織布となる。そのため、特許文献1に記載のキッチンペーパーで油こしすると、油が不織布の厚さ方向を通過するのに時間を要する傾向にある。同様の傾向は、特許文献3および特許文献5に記載のものについても認められる。特許文献4に記載のキッチンタオルは、不織布に開孔を設けることによって、油こし性の向上を図っているものの、不織布そのものが緻密であって、それ自体、油を通過させにくい構造であるため、これに開孔を設けるだけでは十分な油こし性を達成することができない。また、特許文献2に記載のもので高温の油をこす場合には、高温の油によって熱融着繊維が溶解し、その結果、破れが生じる、または溶解した熱融着性繊維の一部がこした油に混在する可能性がある。
このように、油こしに適し、且つ上記の種々の特性を備えたキッチン用タオルは未だ得られていない。本発明は、かかる実情を鑑みてなされたものであり、良好な油こし性を有し、乾燥時および湿潤時強度がともに高いキッチン用タオルを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、少なくとも1つのカードウェブ層と、少なくとも1つのパルプ繊維層とを含み、繊維同士が互いに絡み合って一体化された不織布から成るキッチン用タオルであって、複数の高集積領域と複数の低集積領域とを有し、高集積領域における不織布(即ち、キッチン用タオル)の厚さが低集積領域のそれよりも大きいキッチン用タオルを提供する。
本発明のキッチン用タオルは、少なくとも1つのカードウェブ層と少なくとも1つのパルプ繊維層とを含むことにより、嵩高であって、且つコシを有するものとなる。これに対し、例えば、カードウェブ層のみで構成した不織布から成るキッチン用タオルはコシがないという不都合がある。また、カードウェブ層のみで構成した不織布からなるキッチン用タオルは、高集積領域と低集積領域とにより形成されるパターンが不明りょうとなる傾向にある。また、パルプ繊維層のみで構成した不織布から成るキッチン用タオルは、後述のように高圧水流によって繊維同士を絡合させる場合に、得られる不織布の強度が小さくなるため、実用に供することは実質的に不可能である。
上記の説明を含む本明細書において、「嵩高」とは、単位体積あたりの繊維の質量(即ち、繊維密度)が小さいことをいう。より具体的には、同じ目付のキッチン用タオルを比較したときに、厚さの大きいものほど、嵩高性が高いといえる。また、「コシ」とは、キッチン用タオルが変形しにくい性質をいう。具体的には、例えば、一定寸法のキッチン用タオルの中央を尖った棒状物で下側から支えたときに、シート状物が棒状物から垂れ下がる度合が小さいほど、そのコシは大きいといえる。本発明のキッチン用タオルについては、後述のように、ハンドロオメータで測定する剛軟度に基づいてコシの有無を評価している。
本発明のキッチン用タオルを構成する不織布は、繊維同士が絡合することにより一体化されており、繊維の熱融着またはバインダーを用いなくとも、不織布強度を確保することが可能である。そのため、本発明によれば、安全性の点においても優れたキッチン用タオルを提供できる。
本発明のキッチン用タオルは、複数の低集積領域と複数の高集積領域とを有し、集積量の異なる2つの領域によって、パターンが形成されている。ここで、低集積領域とは、単位面積あたりの繊維の集積量が少ない部分をいい、高集積領域とは、低集積領域と対比して単位面積あたりの繊維の集積量が多い部分をいい、2つの領域の相対的な関係によって規定される。繊維の集積量の大小は、構成繊維の本数の多少から知ることができる。構成繊維が同じである2つの不織布については、目付を比較することによって、集積量の大小を比較できる。また、目視することによっても、透け感の違いから、低集積領域と高集積領域とを容易に把握することができる場合もある。このような構成のキッチン用タオルで油こしをする場合に、低集積領域では油が透過しやすく、また、少ないとはいえ繊維が集積しているので、油カスが当該繊維で捕捉されて、こした油の中に油カスが混在することが有効に抑制される。したがって、本発明のキッチン用タオルは、低集積領域が存在するために、良好な油こし性を示す。一方、本発明のキッチン用タオルにおいて、高集積領域には多くの繊維が存在して多数の微細な空隙が形成されているので、油こしの際に、細かな油カスおよびその他の固形分を捕捉する。また、キッチン用タオルに油および水等を吸収させる必要がある場合には、専ら高集積領域によって、油および水等が吸収され、保持される。
本発明のキッチン用タオルは、低集積領域の厚さが高集積領域のそれよりも小さいものである。即ち、本発明のキッチン用タオルは、エンボス加工されたような凹凸の外観を有し、その凹部において繊維の集積量が小さくなっている構成を有する。かかる構成により、本発明のキッチン用タオルは優れた美観を呈する。また、本発明のキッチン用タオルの上に食品等を載せる場合、食品は高集積領域とのみ接し、両者の接触面積は小さい。そのため、このキッチン用タオルを天ぷらや揚げ物の油切り紙として使用する場合には、接触点から余分な油が高集積領域に吸収され、かつ吸収された油が戻りにくく、優れた油切り機能を発揮する。
本発明のキッチン用タオルにおいては、低集積領域はそれぞれ、1.5〜10mmの範囲内にある面積を有することが好ましい。ここで、1つの低集積領域の面積は、高集積領域に囲まれた領域の面積に相当する。1つの低集積領域の面積が1.5mm未満であると、油こし速度が低下する傾向にあり、10mmを越えると、こした油の中に油カスが混在することがある。
また、低集積領域は、不織布面積の10〜80%を占めることが好ましい。低集積領域の占める割合が10%未満であると、油こし速度が低下する傾向にあり、80%を越えると、こした油の中に油カスが混在することがある。
本発明のキッチン用タオルにおいて、低集積領域の厚さ(t1)に対する高集積領域の厚さ(t2)の比、即ちt2/t1は、1.8〜12であることが好ましい。t2/t1が1.8未満であると、低集積領域における繊維集積量と高集積領域と繊維集積量との差が小さくなり、良好な油こし性を得ることが困難となる傾向にある。t2/t1が12より大きい場合には、不織布の目付にもよるが、低集積領域における繊維集積量が少なくなるために、油カスが低集積領域を通過して、こした油の中に入りやすくなる。より好ましくは、t2/t1は、3.5〜10である。
本発明のキッチン用タオルにおいて、カードウェブ層は、レーヨン繊維、キュプラおよび溶剤紡糸セルロース繊維等から選択される1種または複数の再生繊維を含むことが好ましい。再生繊維は、キッチン用タオルにコシを与える。また、再生繊維は一般に親水性繊維であるため、これを含むキッチン用タオルは、例えば食品の水切り、および台所まわりの拭き取りに適したものとなる。さらに、後述のように高圧水流によって繊維同士を絡合させる場合には、再生繊維同士が良好に絡み合い、また再生繊維がパルプ繊維とも良好に絡み合うため、毛羽立ちの少ないキッチン用タオルを得ることができる。カードウェブ層の好ましい1つの形態は、レーヨン繊維のみで形成されているものである。
カードウェブ層の別の好ましい形態は、溶剤紡糸セルロース繊維を50mass%以上含み、より好ましくは70mass%以上含み、最も好ましくは100mass%含むものである。溶剤紡糸セルロース繊維は濡れても強度が低下しにくいものであるから、これをカードウェブ層に50mass%以上含むキッチン用タオルは、湿潤時強度、コシおよび保水性のいずれにおいても良好となる。また、溶剤紡糸セルロース繊維は、それのみでカードウェブ層を構成した場合でも、キッチン用タオルの嵩高性を高くし得る。さらに、溶剤紡糸セルロース繊維を多く使用すると、後述のように高圧水流の作用によってキッチン用タオルを製造するときに、低集積領域と高集積領域との境界がより明りょうとなり、より三次元的なパターンを得ることができる。そのため、これを前述のように天ぷら等の油切り紙として使用する場合には、天ぷら等との接触点から余分な油が高集積領域に、より吸収されやすく、嵩高性が高くて多くの油を吸収し得る能力と相俟って、より優れた油切り機能を発揮する。
あるいは、カードウェブ層は、合成繊維と再生繊維とが混合されて成っていてもよい。合成繊維は、キッチン用タオルを嵩高なものとし、油こし性をより良好にする。カードウェブ層において、合成繊維の割合は70mass%以下であることが好ましく、より好ましくは10〜40mass%である。
カードウェブ層に含まれる合成繊維は、ポリエステル繊維であることが好ましい。ポリエステル繊維は融点が高く、高温の油等と接触しても変質しないこと、ならびにポリエステル繊維を含む不織布は嵩高性が高くなる(即ち、同じ目付の不織布の厚さを比較したときに厚さが大きい)ことによる。
本発明のキッチン用タオルは、高圧水流の作用により繊維同士を絡み合わせた水流交絡不織布であることが好ましい。水流交絡不織布は、繊維同士が高圧水流の作用によって緊密に絡合しているため、高い湿潤時強度を有する。高い湿潤時強度を有するキッチン用タオルは、食品を包んで絞るようにして水切りまたは油切りを行なう場合に破れにくいものとなる。また、水流交絡不織布は、バインダーを用いなくとも十分な強度を有するので、使用条件等によりバインダーの溶融等が懸念される場合には、バインダーを含まないキッチン用タオルとして提供され得る。
本発明のキッチン用タオルは、少なくとも1つのカードウェブ層と少なくとも1つのパルプ繊維層と重ねあわせた積層体を、織り構造の支持体の上に載せ、高圧水流を積層体に噴射することにより繊維同士を絡合させるとともに、複数の高集積領域と複数の低集積領域とを形成する製造方法によって、製造される。この製造方法によれば、バインダーを使用せずに、且つ繊維同士を熱融着させることなく、2つの繊維層が一体化されると同時に、繊維の集積量の高い領域と低い領域とが容易に形成される。また、この製造方法に従って形成される低集積領域と高集積領域とは明確に区別されて明りょうなパターンを形成する。
本発明のキッチン用タオルには、より薄い低集積領域とより厚い高集積領域とが存在し、少なくとも一方の表面が凹凸を有する。この構成により、本発明のキッチン用タオルは、これを油こしに使用する場合には、油カスを捕集して油のみを速やかに通過させる。また、本発明のキッチン用タオルは、パルプ繊維層を積層した構成としているため、低集積領域を有する構造であるにもかかわらず、湿潤時の強度が大きく、したがって食品等を包んで水分または油分を絞り出す場合にも破れにくい。さらに、本発明のキッチン用タオルは、高圧水流法によって繊維同士を絡合させることを含む方法により製造できるので、バインダーを含まないタオルとして提供され得る。そのようなタオルは、食品衛生上、好ましく使用される。加えて、本発明のキッチン用タオルは、カードウェブ層が溶剤紡糸セルロース繊維を多く含むように構成されることによって、湿潤時強度、コシ、嵩高性および意匠性がより向上したものとなるから、濡れてもより破れにくく、また、天ぷらや揚げ物の油切り紙として使用する際の見栄えおよび油吸収能がより良好なものとなる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1において、(a)は本発明のキッチン用タオルの表面を模式的に示し、(b)は(a)に示すキッチン用タオルの断面を模式的に示し、(c)は斜視図である。図1(b)に示すように、図示した形態のものは、2つのカードウェブ層(4)の間にパルプ繊維層(6)が位置するものであり、三層構造である。但し、キッチン用タオルの全ての箇所が、必ずしも図示したような三層構造をとっているわけではない。キッチン用タオルにおいては、例えばパルプ層(6)が脱落し及び/又は周囲へ分散する等して、パルプ層(6)がカードウェブ層(4)の間に位置しない箇所が存在することもある。図示したキッチン用タオル(100)においては、図1(a)に示すように、大きさの異なる2種類の楕円形の低集積領域(2a)、および高集積領域(2b)がパターンを形成している。
まず、カードウェブ層(4)について説明する。カードウェブ層(4)は、不織布製造において一般的に採用されているカード機を用いて形成される。具体的には、カードウェブ層(4)は、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブ、またはランダムウェブである。カードウェブ層(4)は、2以上のウェブを積層したものであってよい。また、図示した形態のようにカードウェブ層(4)を2以上含む場合において、各カードウェブ層は異なる種類のものであってよい。
カードウェブ層は、繊維長25〜100mmのステープル繊維から成ることが好ましい。繊維長がこの範囲外であると、高圧水流による絡合性に劣るという問題がある。さらに、繊維長が25mm未満であると、不織布強度が不十分となることがある。また、カードウェブ層を構成する繊維は、その繊度が6.6dtex以下であることが好ましい。繊度が6.6dtexを越えると、キッチン用タオル使用時に毛羽立ちが生じ易くなる。より好ましい繊度は、0.9〜5.5dtexであり、さらにより好ましい繊度は、0.9〜3.3dtexである。
カードウェブ層(4)を構成する繊維は、特に限定されない。具体的には、カードウェブ層(4)は、コットン、シルク、およびウール等の天然繊維、ビスコースレーヨン、キュプラ、および溶剤紡糸セルロース繊維(リヨセル)等の再生繊維、ならびに合成繊維から1または複数選択して構成される。溶剤紡糸セルロース繊維は、具体的には、レンチングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標)の名称で上市されている。合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート等のポリエステル繊維、ナイロン6およびナイロン66等のポリアミド系繊維、ならびにアクリル系繊維等を挙げることができる。合成繊維を使用する場合には、キッチン用タオルが高温の油をこすために使用されることを想定して、その融点が少なくとも180℃以上である樹脂から成る繊維を選択して、キッチン用タオルの耐熱性を確保することが好ましい。尤も、キッチン用タオルに耐熱性が要求されない場合には、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維を使用してもよい。
前述のように、カードウェブ層(4)は、再生繊維を含んで成ることが好ましい。再生繊維の1つであるレーヨン繊維のみで構成されているカードウェブ層(4)も好ましく用いられ、また、溶剤紡糸セルロース繊維を70mass%以上含むカードウェブ層(4)がより好ましく用いられる。これらのカードウェブ層を用いることの利点は前述のとおりである。別の好ましいカードウェブ層(4)は、合成繊維と再生繊維とが混合された混合ウェブである。混合ウェブ中の合成繊維の割合は70mass%以下であることが好ましく、10〜40mass%であることがより好ましい。合成繊維が好ましくはポリエステル繊維であることは前述のとおりである。尤も、カードウェブ層(4)は、ポリエステル繊維のみで構成してもよい。カードウェブ層(4)がポリエステル繊維のような合成繊維のみで構成されるとしても、パルプ繊維層(6)によってキッチン用タオルの親水性はある程度確保されるので、かかる構成のものは実用可能である。
パルプ繊維層(6)は、紙を製造するために使用されるパルプ繊維から成る。パルプ繊維は、針葉樹または広葉樹木材を用いて常套の方法で製造されたものを任意に使用できる。パルプ繊維層(6)は、キッチン用タオルの製造に際し(即ち、繊維同士を絡合させる前は)、紙シート(またはティッシュ)として提供される。後述のように、本発明のキッチン用タオルを高圧水流法で製造する場合には、パルプ繊維層(6)を含むことにより、低集積領域と高集積領域との境界が明確である、明りょうなパターンを有する不織布が得られる。これは、パルプ繊維が短く、比較的移動しやすいことによると考えられる。したがって、本発明のキッチン用タオルは、パルプ繊維層(6)を含むことにより、美観に優れ、且つ良好な油こし性を有するものとなる。また、本発明のキッチン用タオルは、パルプ繊維層(6)を含むことにより、高い湿潤時強度を有し、例えば食品を包んで絞るようにして水切りまたは油切りを行なう場合に破れにくい等、優れた取扱い性を有するものとなる。
高圧水流によって繊維同士を絡合させる場合には、パルプ繊維層(6)は針葉樹木材から得られるパルプを多く含んでいることが好ましい。具体的には、パルプ繊維層(6)は、針葉樹パルプを50mass%以上の割合で含むことが好ましく、70mass%以上の割合で含むことがより好ましい。針葉樹パルプを多く含む繊維層を用いると、水流交絡の際に脱落する繊維の量を少なくすることができるとともに、良好な絡合状態が得られる。また、針葉樹パルプを多く使用すると、広葉樹パルプを多く使用する場合と比較して、パルプ繊維層の目付を小さくしても、キッチン用タオルにコシを付与することができ、且つ低集積領域と高集積領域とを明りょうにすることができる。したがって、例えば、下記に示す範囲内でパルプ繊維層の目付を小さくし、カードウェブ層の目付を大きくすることによって、カードウェブ層を構成する繊維の機能をより活用することが可能となる。
カードウェブ層(4)およびパルプ繊維層(6)の目付はそれぞれ、カードウェブ層(4)およびパルプ繊維層(6)の数、ならびに最終的に得ようとするキッチン用タオル全体の目付等に応じて、決定される。図示するような、三層構造のものにおいて、目付35〜70g/mのキッチン用タオルを得るには、各カードウェブ層(4)の目付は10〜40g/mであることが好ましく、10〜25g/mであることがより好ましく、パルプ繊維層(6)の目付は10〜40g/mであることが好ましく、10〜30g/mであることがより好ましい。カードウェブ層(4)の目付が10g/m未満であると、後述のように高圧水流によって繊維同士を絡合させる場合には、パルプ繊維層(6)の脱落が生じ易くなり、得られる不織布の均一性が悪くなり、また強度が低くなる。一方、パルプ繊維層(6)の目付が10g/m未満であると、低集積領域と高集積領域とが明りょうであるパターンを形成することができず、また、コシが出にくい。カードウェブ層(4)またはパルプ繊維層(6)の目付が大きすぎる場合には、他方の層の目付けが小さくなるか、あるいはキッチン用タオル全体の目付が使い勝手が悪くなるほどに大きくなり、好ましくない。本発明のキッチン用タオルを高圧水流法により製造する場合には、パルプ繊維層(6)の一部が高圧水流の作用により脱落するため、当該層の目付は脱落分を見込んで選択することが好ましい。
上述した目付の好ましい範囲は、一例であり、例えば、より目付の大きいキッチン用タオルを得ようとする場合には、各層の目付けをより大きくしてもよい。但し、キッチン用タオルの最終目付および各層の数の如何にかかわらず、キッチン用タオルにおける各カードウェブ層の目付の総量と、各パルプ繊維層の目付の総量とは、20:35〜50:10の範囲内にあることが好ましく、25:30〜40:15の範囲内にあることがより好ましい。この範囲は、カードウェブ層が付与する嵩高性と、パルプ繊維層によるパターン易形成性および親水性等を確保するのに適した範囲である。
本発明のキッチン用タオル(100)において、低集積領域(2a)には少ないながらも繊維が存在し、開孔部となっていない。しかしながら、後述するように、高圧水流法でキッチン用タオルを製造する場合には、水圧のムラ、ならびにカードウェブ層(4)および/またはパルプ繊維層(6)の目付のムラ等によって、不可避的に少数の開孔部が形成されることがある。かかる開孔部を完全に無くすことは困難であること、ならびに開孔部が少数である場合には油こしの際に開孔部を油カスが通過する可能性は小さいことを考慮すれば、そのような開孔部を含むものも本発明の範囲に含まれることに留意すべきである。より具体的には、そのような開孔部は、1つあたりの面積が0.05〜3mm程度であり、全開孔部を合わせた面積が、キッチン用タオルの面積の50%以下を占める。
本発明のキッチン用タオルにおいて、低集積領域の厚さ(t1)は、高集積領域の厚さ(t2)よりも小さい。好ましい厚さの比(t2/t1)は、前述したように、1.8〜12であり、より好ましくは3.5〜10である。一般的な厚み測定機で測定されるキッチン用タオル(即ち、不織布)の厚さは、一定荷重下の高集積領域の厚さ(t2)であり、低集積領域の厚さ(t1)を一般的な厚み測定機で測定することは困難である。そのため、t2/t1は、例えば、キッチン用タオルの断面を顕微鏡で観察することにより求める必要がある。
本発明のキッチン用タオルの断面は、顕微鏡で観察すると、低集積領域は碗状に窪んだ凹部として観察され、その厚さは一定でない。そこで、本明細書において、t1は、低集積領域で最も薄い箇所の厚さとする。顕微鏡によるt1を決定する際には、毛羽等が厚さに含まれないように、低集積領域において実質的に繊維が交絡していると認められる部分の厚さのうち、最も小さい部分を決定する必要がある。また、低集積領域に0.05mm以上の面積を有する開孔部が存在する場合には、その部分を測定対象とせず、開孔部が存在しない低集積領域の厚さを測定する。これは、開孔部が存在する場合に、最も薄い箇所を見つけることは難しいことによる。t1は、好ましくは20cm×20cm程度の領域に含まれる複数箇所の低集積領域において測定した値の平均値とすることが好ましい。さらに、本明細書において、t2は、キッチン用タオル1cmあたり3gの荷重を加えたときの厚さと規定する。これは、不織布自体が有するうねり等の影響を排除して、顕微鏡観察によりt2を決定することが困難であることによる。したがって、t1およびt2は、厳密には同じ条件で測定されたものでない。しかし、t2を荷重を加えたときの厚さと規定しても、t1とt2との間には有意の差があり、t2/t1は本発明のキッチン用タオルの構造を特定するのに有用なパラメータである。
本発明のキッチン用タオルは、ハンドルオメータで測定される剛軟度が、MD方向(不織布製造ラインの機械の配置方向(不織布の進行方向))において、好ましくは15〜60g、より好ましくは20〜50gであり、CD方向(MD方向と直交する方向)において、好ましくは2〜30g、より好ましくは4〜17gである。剛軟度がMDおよびCD方向のそれぞれにおいて上記好ましい上限値を越えると硬くなり、使い勝手が劣る傾向にある。一方、キッチン用タオルはキッチンペーパとも称されことがあるように、紙として使用することがある。そのため、剛軟度がMDおよびCD方向のそれぞれにおいて上記好ましい下限値より小さいと、軟らかすぎるために、紙のようなコシ(例えば、容器内に入れたときに端部が垂れ下がらないような、形くずれしにくい性質)を発揮することが望まれる用途には適さないことがある。
次に本発明のキッチン用タオルを製造する方法を説明する。本発明のキッチン用タオルは、前述のように、高圧水流法により形成することが好ましい。より具体的には、カードウェブ層とパルプ繊維層とを積層した積層体を、高圧水流が通過し得る貫通孔を有し凹凸を有する支持体の上に載せ、高圧水流を噴射して、繊維同士を交絡させるとともに、低集積領域と高集積領域とを形成する。低集積領域は支持体の凸部に対応する領域に形成され、高集積領域は支持体の凹部に対応する領域に形成される。支持体としては、織り構造の支持体が一般的に使用される。それ以外には、例えば、パンチングプレートに凹凸を付与した支持体を使用できる。
織り構造の支持体を使用する場合、低集積領域と高集積領域によって形成されるパターンは、支持体の織り構造によって決定される。例えば、図1に示すようなパターンを有するキッチン用タオルを製造する場合には、織り構造の支持体として、経糸および緯糸がそれぞれ線径0.5〜2mmのモノフィラメントから成り、経糸密度が5〜50本/インチであり、緯糸密度が3〜24本/インチである平織り構造の支持体を用いるとよい。そのような支持体を使用すると、経糸が緯糸の上に浮いている箇所において、繊維が周囲に移動して、低集積領域が形成され、その周囲に高集積領域が形成される。モノフィラメントの線径は、低集積領域1つあたりの面積と関係し、モノフィラメントの線径が細いと、低集積領域1つあたりの面積が小さくなり、モノフィラメントの線径が太いと、低集積領域1つあたりの面積が大きくなる。上記モノフィラメントの線径の範囲は、前述した好ましい範囲の面積を有する低集積面積を形成するのに適した範囲である。また、経糸および緯糸密度が上記範囲の下限よりも小さい場合には、一定面積に形成される低集積領域の数が減り、その結果、キッチン用タオルの油こし性が低下する。経糸および緯糸密度が上記範囲の上限よりも大きい場合には、高集積領域の厚さt2と低集積領域の厚さt1の比t2/t1が小さくなり、やはり油こし性が低下する。
平織り構造の支持体は、線径0.8〜1.5mmのモノフィラメントから成り、経糸密度が5〜16本/インチであり、緯糸密度が5〜16本/インチであることがより好ましい。この線径、経糸密度および緯糸密度を満たす平織り構造の支持体を使用すると、より嵩高性の高いキッチン用タオルを得ることができる。
あるいは、支持体として、杉綾織り構造の支持体を用いてよい。その場合、低集積領域および高集積領域は、図2に示すようなV字型となる。あるいは、支持体として、スパイラル織の支持体を用いてもよい。その場合、低集積領域および高集積領域は、図3に示すような形態となる。図2および図3に示すような形態のキッチン用タオルもまた、油こしに適している。杉綾織りの支持体は、好ましくは経糸の線径が0.1〜2mm、経糸密度が5〜250本/インチ、緯糸の線径が0.1〜2mm、緯糸密度が5〜250本/インチであるものである。スパイラル織の支持体は、好ましくはスパイラル線の線径が0.5〜4mm、スパイラルピッチが2〜20mm、ロット線の線径が1〜4mm、ロットピッチが2〜7mmであるものである。また、図2および図3に示す形態のキッチン用タオルにおいて、低集積領域の幅(d1)は0.2〜3mmであることが好ましく、高集積領域の幅(d2)は0.2〜3mmであることが好ましい。
高圧水流処理の条件は、最終的に得ようとする不織布(即ち、キッチン用タオル)およびt2/t1に応じて設定される。例えば、図1に示す構造のものを、上述した範囲の目付のカードウェブ層およびパルプ繊維層を積層してキッチン用タオルを製造する場合には、孔径0.05〜0.3mmのオリフィスが0.5〜1.5mmの間隔で設けられたノズルから、水圧1〜10MPa、より好ましくは1〜7MPaの柱状水流を積層体の片面または両面にそれぞれ1〜4回ずつ噴射するとよい。
柱状水流を複数回噴射する場合には、積層体を目の細かい(例えば70〜90メッシュ程度の)平織り構造等の支持体に載置して、1回目〜数回目の噴射を実施して専ら繊維同士を絡合させ、最後の1回〜数回の噴射を、積層体を上述の目の粗い平織りまたは杉綾織り構造の支持体に載置して実施してよい。その場合、低集積領域と高集積領域の形成は、最後の1回〜数回の高圧水流の噴射により行なわれる。
以上のように高圧水流処理法を使用すると、繊維同士の絡合により一体化され、バインダーを含まないキッチン用タオルが得られる。したがって、この製造方法によれば、食品衛生上好ましく使用されるキッチン用タオルを得ることができる。また、高圧水流処理法によれば、支持体を適切に選択することによって、繊維同士の絡合と同時に低集積領域および高集積領域を形成することができるから、所望のパターン(凹凸)を有するキッチン用タオルを効率良く製造することができる。
図示した形態は、本発明のキッチン用タオルの一形態であり、他の種々の形態のものが本発明の範囲に含まれる。例えば、本発明のキッチン用タオルは、カードウェブ層とパルプ繊維層の二層から成るものであってよく、あるいは図1に示す形態のものの両方の面にさらにパルプ繊維層とカードウェブ層とを積層して、七層構造としてよい。また、使用中の毛羽立ちを抑制するために、積層数の大小にかかわらず、キッチン用タオルの両方の表面がカードウェブ層の表面となるようにカードウェブ層とパルプ繊維層とを組み合わせることが好ましい。
また、本発明のキッチン用タオルは、さらにバインダーを含み、バインダーで繊維同士を結合させたものであってよく、あるいは熱融着性繊維を使用して繊維同士を熱融着させたものであってよい。そのようなキッチン用タオルは、さらに高い乾燥時および湿潤時強度を与える。バインダーとしては、高温で使用する場合の安全性を考慮すれば、熱硬化性バインダーを使用することが好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例において得たキッチン用タオルの厚さ、引張強さ、伸び率、剛軟度、保水量、および油こし性は以下の方法に従って評価した。
[厚さ]
厚み測定機(商品名 THICKNESS GAUGE モデル CR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cmあたり3gの荷重を加えた状態で測定した。
[t2/t1]
20cm×20cmの試料の低集積領域5ヶ所について、倍率70倍の電子顕微鏡写真からt1を測定し、その平均値を求めた。上記厚み測定機で測定した厚さをt2とし、t1の平均値とから、t2/t1を算出した。
[引張強さ、伸び率]
JIS−L−1913の6.3.1.(乾燥時)および6.3.2(湿潤時)に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を用いて引張速度30cm/分で伸長し、断時の荷重値および伸び率をそれぞれ引張強さ、伸び率とした。
[剛軟度]
ハンドロオメータ(型式HOM−200 (株)大栄科学精器製作所製)を用いて、測定した。より具体的には、20×20cmの試験片を、幅20mmのスリット上にスリットと直角になるようにセットし、試験片の辺から6.7cm(試験幅の1/3)の位置をペネトレーターのブレードにて8mm押しこみ、このときの抵抗値を剛軟度として評価した。
[保水率]
20cm×20cmの試料の質量を測定した後、全体を水に浸し、30秒間放置して吸水させた。それから、試料を取り出し、試料の四隅のうち1つが最も低い位置に位置し、かつ試料の表面が鉛直方向と平行になるとともに、試料の表面が張った状態となるようにして、残りの3つの隅を把持した。この把持状態を、90秒間維持することにより、最も低い位置にある隅から水を滴らせて軽く水切りした。その後、試料の質量を測定し、吸水された水の量(吸水後の試料の質量−吸水前の試料の質量)を吸水前の試料の質量で除して保水率を求めた。
[油こし性]
一定量の油が透過するのに要した時間の長短で油こし性を評価した。より具体的には、20cm×20cmの試料を、内径85mm、高さ95mmの塩化ビニル製の外側リング(内周縁に内側リングを支持する幅5mm程度のフランジを有する)と、内径75mm、高さ85mmの塩化ビニル製の内側リングとの間に挟んで、直径75mmの円形領域において「張った」状態とした。試料を挟んだリングを、トレイの上に固定した2本の針金の上に載せ、続いて、40℃に加熱したサラダ油を100cc、一気に流し込んだ。サラダ油を流し込んでから、目視してサラダ油がサンプル表面から無くなった(即ち、サラダ油が溜まっていない)と認められるまでの時間を測定し、この時間の長短を油こし性として評価した。
[実施例1]
繊度1.45dtex、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(東レ(株)製)を30mass%、繊度1.7dtex、繊維長40mmのレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製)を70mass%を混綿し、パラレルカード機を用いて目付が約15g/mであるパラレルウェブを作製した。次いで、このカードウェブ2枚の間にパルプ繊維層を挟み、三層構造の積層体を得た。この実施例では、パルプ繊維層として、針葉樹パルプを約40mass%、広葉樹パルプを約60mass%の割合で含む目付約30g/mのティッシュ(豊年製紙(株)製)を用意した。積層体を、経糸の線径0.132mm、緯糸の線径0.132mm、メッシュ数が90メッシュの平織り構造の支持体に載置し、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルから、積層体の一方の面(第1表面)に水圧2.5MPaの柱状水流を噴射し、同様の条件にて他方の面(第2表面)にも柱状水流を噴射した。次に、この積層体を経糸の線径1.2mm、緯糸の線径1.2mm、経糸密度12本/インチ、緯糸密度12本/インチの平織り構造の支持体に載置して、同じノズルを使用して水圧2.5MPaの柱状水流を、第2表面に噴射した。高圧水流処理後、積層体を乾燥処理して、キッチン用タオルを得た。
[実施例2]
カードウェブ層におけるPET繊維の割合を90mass%、レーヨン繊維の割合を10mass%としたことを除いては、実施例1と同様にして、キッチン用タオルを得た。
[実施例3]
カードウェブ層をレーヨン繊維のみで作製したことを除いては、実施例1と同様にして、キッチン用タオルを得た。
[実施例4]
カードウェブ層を、繊度1.7dtex、繊維長38mmの溶剤紡糸セルロース繊維(リヨセル、テンセル社製)のみで作製したことを除いては、実施例1と同様にして、キッチン用タオルを得た。
[実施例5]
パラレルカード機を用いて、実施例4で使用したものと同じ溶剤紡糸セルロース繊維のみから成る、目付約17g/mのパラレルウェブを作製した。次いで、このカードウェブ2枚の間にパルプ繊維層を挟み、三層構造の積層体を得た。この実施例では、パルプ繊維層として、針葉樹パルプを約70mass%、広葉樹パルプを約30mass%の割合で含む目付約23g/mのティッシュ(豊年製紙(株)製)を用意した。この積層体を、実施例1と同じ条件にて高圧水流処理に付し、さらに乾燥処理して、キッチン用タオルを得た。
[比較例1]
実施例1で使用したPET繊維およびレーヨン繊維を実施例1と同じ割合で混綿して、パラレルカード機を用いて目付が約60g/mであるパラレルウェブを作製した。次いで、このカードウェブに、実施例1と同様の手順で、高圧水流処理および乾燥処理を施して、キッチン用タオルを得た。
[比較例2]
比較例1で作製したパラレルウェブと同じパラレルウェブを作製した。次いで、このカードウェブを、実施例1で使用したメッシュ数が90メッシュの平織り構造の支持体に載置して、実施例1と同じ条件で一方の面(第1表面)に柱状水流を噴射した後、他方の面(第2表面)に柱状水流を噴射した。それから、積層体を、この90メッシュの平織り構造の支持体の上に積層体を再度載置して、第2表面に実施例1と同じ条件で柱状水流を噴射した後、積層体を乾燥処理して、キッチン用タオルを得た。
[比較例3]
実施例1と同様にして、2つのカードウェブ層とパルプ層とから成る三層構造の積層体を作製した。これを比較例2と同様にして、高圧水流処理に付し、乾燥処理して、キッチン用タオルを得た。
[参考例1および2]
市販のキッチン用タオルについて、実施例および比較例と同様の評価を実施した。参考例1は、ライオン株式会社製のリードクッキングペーパー(商品名)、参考例2は、ユニ・チャーム株式会社製のクックアップ(商品名)である。参考例1は天然パルプをバインダーで結合したタイプのものであり、参考例2はPET繊維とパルプとを含み、繊維同士が絡合して成る不織布である。
実施例1、比較例1および2で得たキッチン用タオル、ならびに参考例1および2の物性および油こし性を表1に示す。
Figure 0004474216
表1に示すように、実施例1〜5のキッチン用タオルは、パルプ繊維層を有しない比較例1および比較例2のものと比較して、乾燥時および湿潤時ともに高い引張強さを示した。実施例1〜5のキッチン用タオルはまた、比較例1および2のものと比較して、高い保水率を示した。これらの結果は、実施例1〜5のものがパルプ繊維層を有していることによると考えられる。また、実施例1および実施例3のものは、剛性が大きくてコシがあった。これは、レーヨン繊維の割合が大きいことによるものと考えられる。さらに、実施例1のものは、同じようにパターンを形成した比較例1のものと比較して、t2/t1が大きく、且つ、良好な油こし性を示した。これは、実施例1においては、パルプ繊維層をカードウェブ層の間に位置させたために、低集積領域と高集積領域とが明りょうなパターンを有するように形成されたことによると考えられる。
実施例4のキッチン用タオルは、レーヨン繊維のみでカードウェブ層を構成した実施例3よりも剛性がより大きくてコシがあり、かつ、カードウェブ層が合成繊維を含まないにもかかわらず、湿潤時の引張強さが大きいものであった。また、外観においても、実施例4は実施例3と比較してt2/t1が大きく、より立体的なパターンを有していた。この傾向は、パルプ層が針葉樹パルプをより多く含む実施例5においてより顕著となり、実施例5のものは総合的に見て最も優れた性能を有していた。
比較例3のキッチン用タオルは、実施例1のものと同じ三層構造を有するにもかかわらず、保水性および油こし性は実施例1のものよりも悪かった。このことは、低集積領域および高集積領域から成るパターンが、良好な保水性と油こし性に寄与していることを示している。さらにまた、表1から、参考例1のものは、油こし性は極めて良いが、湿潤時強力が低く、参考例2のものは、湿潤時強力が高いものの、油こし性に劣っており、市販のものが高い湿潤時強力と良好な油こし性を両立していないことがわかる。
本発明のキッチン用タオルは、高集積領域と低集積領域を有するため、油こし用途に適しており、家庭用および業務用として好ましく用いられる。
(a)は本発明のキッチン用タオルの一形態の表面を模式的に示す平面図であり、(b)は断面図であり、(c)はその斜視図である。 本発明のキッチン用タオルの別の形態の表面を模式的に示す平面図である。 本発明のキッチン用タオルのさらに別の形態の表面を模式的に示す平面図である。
符号の説明
100 キッチン用タオル
2a 低集積領域
2b 高集積領域
4 カードウェブ層
6 パルプ繊維層

Claims (11)

  1. 少なくとも1つのカードウェブ層と、少なくとも1つのパルプ繊維層とを含み、
    高圧水流処理法により繊維同士絡合することにより一体化された不織布から成るキッチン用タオルであって経糸および緯糸がそれぞれ線径0.8〜1.5mmのモノフィラメントから成り、経糸密度が5〜16本/インチであり、緯糸密度が5〜16本/インチである平織り構造の支持体上で少なくとも1回高圧水流を噴射することを含む高圧水流処理法により複数の高集積領域と複数の低集積領域とを形成し、高集積領域において低集積領域よりも大きい厚さを有し、
    各カードウェブ層の目付の総量と各パルプ繊維層の目付の総量とが20:35〜40:15の範囲内にあり、
    低集積領域の厚さに対する高集積領域の厚さの比が3.5〜10である不織布から成るキッチン用タオル。
  2. パルプ繊維層が2つのカードウェブ層の間に位置する三層構造である、請求項1に記載のキッチン用タオル。
  3. 低集積領域が不織布面積の10〜80%を占める請求項1または2に記載のキッチン用タオル。
  4. カードウェブ層が、再生繊維を含む請求項1〜のいずれか1項に記載のキッチン用タオル。
  5. カードウェブ層が、再生繊維および合成繊維を含み、カードウェブ層における合成繊維の割合が70mass%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のキッチン用タオル。
  6. 合成繊維がポリエステル繊維である請求項に記載のキッチン用タオル。
  7. カードウェブ層が溶剤紡糸セルロース繊維を50mass%以上含む請求項に記載のキッチン用タオル。
  8. パルプ繊維層が50mass%以上の針葉樹パルプを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のキッチン用タオル。
  9. 各カードウェブ層の目付が10〜40g/mの範囲内にあり、各パルプ繊維層の目付けが10〜40g/mの範囲内にある請求項1〜のいずれか1項に記載のキッチン用タオル。
  10. 全体の目付が35〜70g/mの範囲内にある請求項1〜のいずれか1項に記載のキッチン用タオル。
  11. 少なくとも1つのカードウェブ層と、少なくとも1つのパルプ繊維層とを積層したものであって、各カードウェブ層の目付の総量と各パルプ繊維層の目付の総量とが20:35〜40:15の範囲内にあるものを、織り構造の支持体の上に載せ、高圧水流を1回または複数回噴射することにより繊維同士を絡合させるキッチン用タオルの製造方法であって、
    少なくとも1回の高圧水流の噴射を、経糸および緯糸がそれぞれ線径0.8〜1.5mmのモノフィラメントから成り、経糸密度が5〜16本/インチであり、緯糸密度が5〜16本/インチである平織り構造の支持体の上で行うことで、複数の高集積領域と、高集積領域よりも厚さの小さい複数の低集積領域とを形成することを含み、
    低集積領域の厚さに対する高集積領域の厚さの比が3.5〜10であるキッチン用タオルの製造方法。
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