JP5586903B2 - ペーパータオル - Google Patents
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Description
これに対して、ドライクレープを付与された薄葉紙は、ウエットクレープを付与された薄葉紙と比べて、乾燥効率が良いため生産コストが低いという利点や、柔らかくて使用者の手に優しいという利点などを有している。そこで、これらの利点を活かすべく、薄葉紙にエンボス凹部を形成することで、吸水スピードを改善したペーパータオルが提案されている(例えば特許文献3)。
<請求項1記載の発明>
古紙パルプを原料とし、ドライクレープが付与された単層の薄葉紙からなり、
前記薄葉紙は、米坪が35.0〜39.0g/m2、厚みが250〜320μmであり、
前記薄葉紙は、格子状をなして配置された格子エンボス凹部を有しており、
前記格子エンボス凹部は、幅が0.5〜2.0mm、深さ110〜160μmであり、
前記格子状エンボス凹部によって囲まれてなる各区画の面積が、9〜49mm2であり、
前記格子状エンボス凹部の格子線と、前記薄葉紙のMD方向との角度が、35〜55度である、
ことを特徴とするペーパータオル。
本請求項に係る発明は、幅が0.5〜2.0mm、深さ110〜160μmである格子エンボス凹部が付与されていることから、手拭き時において吸水スピードに優れている。また、これと共に、本請求項に係る発明では、格子状エンボス凹部によって囲まれてなる各区画の面積が9〜49mm2であり、且つ、格子状エンボス凹部の格子線と、前記薄葉紙のMD方向との角度が35〜55度とされているため、古紙パルプを原料とし、一般的な米坪及び厚みとされ、且つドライクレープが付与された薄葉紙からなっているにも関わらず、格子状エンボス凹部を形成しても、エンボス凹部形成時や使用時にディスペンサーから一枚ずつシートを取り出しても破断しにくいペーパータオルを提供することができる。さらに、米坪が35.0〜39.0g/m2であり、且つ、エンボス凹部が格子状であると、表面がゴツゴツせず、尚かつふんわり感が得られるため、手拭き時の肌触りが良い。
本請求項に係る発明は、単層であることから、プライ剥がれが生じず使用が容易であり、厚みが250〜320μmであることから、使用時に頼りなく感じる恐れもなく、柔軟性に劣り、折り畳みの際に抵抗となる恐れもない。
吸水スピードが、420sec/100μl以下であり、縦湿潤引張強度が、540cN〜1000cNであり、横湿潤引張強度が、120cN〜700cNである、請求項1記載のペーパータオル。
<薄葉紙>
薄葉紙2の米坪は適宜定めることができるが、米坪としては32.0〜49.0g/m2、特に35.0〜39.0g/m2にするのがより好適である。
米坪が32.0g/m2未満の場合、手拭き時に薄葉紙2が手についた水分を拭き取れず使用枚数が増える恐れがある。一方、米坪が49.0g/m2超の場合、手拭用途では米坪過多であり柔軟性に劣る。
厚みTが180μm未満の場合、厚み感がなく、使用時に頼りなく感じる恐れがある。一方、厚みTが400μm超の場合、薄葉紙2の剛性が高まり、柔軟性に劣り、折り畳みの際に抵抗となる恐れがある。
また、図1、2には、単層からなる薄葉紙2を図示してある。2層、3層からなる薄葉紙2とすることも可能ではあるが、プライ剥がれが生じ使用しにくいことから、単層であることが好ましい。
図3には、薄葉紙2にドライクレープを付与するダブルフェルト抄紙機の主要部分を図示している。薄葉紙2に加工される湿紙10(米坪32.0〜49.0g/m2、水分率70〜90%)は、ボトムフェルト11に載せられて移送された後、トップフェルト12とボトムフェルト11に挟持されたまま、トップロール13とボトムロール14との間に挿通され搾水される。
搾水後の湿紙10(水分率45〜65%)は、トップフェルト12に載せられ移送された後、タッチロール15を介しヤンキードライヤー16の表面に付着される。そして、湿紙10は、ヤンキードライヤー16により乾燥され、乾燥紙21となりドクターブレード17により引き剥がされながらドライクレープが付与される。
そこで、ダブルフェルト抄紙機には、トップフェルト12の表面に移行した薬品、パルプの短繊維を除去するために、トップフェルト12の表面に洗浄水を吹き付ける高圧水洗浄シャワー18や、洗浄した水の除去のためのサクションボックス19、スクイズロール20が備え付けられている。
薄葉紙2には、薄葉紙2の表面側から裏面側に向かい格子状エンボス凹部3が形成されている。図1に示されるような格子状エンボス凹部3を形成した場合、薄葉紙の強度が低下しすぎることなくエンボスを付与することができ、吸水スピードとのバランスがよい。また、エンボス凹部が格子状であると、表面がゴツゴツせずにふんわり感が得られるため、手拭き時の肌触りが良い。
深さDが110μm未満の場合、水分等の吸収スピードが著しく遅くなる。一方、深さDが160μm超の場合、薄葉紙2の引張強度、特に、湿潤引張強度が低く、水分等が付着した手で薄葉紙2をディスペンサーから取り出す際に、薄葉紙2が破断する恐れがある。
また、一対のエンボスロールに関しては、格子状エンボス凹部3が刻印された金属ロールと弾性ロールとの組み合せにより行う。この場合、弾性ロールは、その表面のショア硬度(Shore hardness)が、A30〜A90であるのが好適である。ショア硬度がA30未満の場合、つまり弾性ロール表面がやわらかい場合、薄葉紙2が破断するおそれがあり、A90以上の場合、つまり弾性ロール表面が硬い場合、格子状エンボス凹部3を薄葉紙2に形成できない恐れがある。
実施例、比較例とも試験片を構成する基材紙の原料には、古紙100%を使用した。また、実施例、比較例ともに、評価については、JIS P 8111に規定される調湿及び試験のための標準状態で実施した。
<吸水スピード>
試験片(幅100mm×奥行き100mm)を裁断し、乾燥状態で純水100μlを滴下し、紙試料に接触した瞬間から、純水が完全に吸収されて紙表面の反射が消えるまでの時間[sec]を吸水スピードとした。
<吸水量>
試験片(幅100mm×奥行き100mm)を裁断し、乾燥状態の紙試料の重量を測定したのち紙試料を純水中に十分に浸漬させ、次いで、純水中から引き上げて30秒後の重量を測定し、その測定値から乾燥状態時の重量を引いた値を吸水量[g/m2]とした。
<乾燥引張強度>
長手方向長さ150mm、短手方向長さ25mmの短冊形状に裁断した試験片を、JIS P 8113に準拠して測定した測定値[cN]であり、縦方向(繊維の配向と平行方向)と横方向(繊維の配向に直角方向)をそれぞれ測定した。
<湿潤引張強度>
長手方向長さ150mm、短手方向長さ25mmの短冊形状に試料を裁断し、この試験片に水に1秒間浸した筆(あかしや(紅葉AS−50))を用いて、長手方向中央部に、縦方向に沿ってなでることで約10mm幅に水分を付与した後、JIS P 8113に基づいて引張り強さ(kN/m)を測定し、100分の1のcN単位に換算した換算値[cN]であり、縦方向(繊維の配向と平行方向)と横方向(繊維の配向に直角方向)をそれぞれ測定した。
<拭き取り性>
拭き取り性を確認するため、無作為に選択した男性・女性それぞれ15名に、実施例1,2、参考例3,4及び比較例1〜12の各シート(170×220mm)を手洗い後に使用させ、拭き取り性について評価させた。各人の評価について、水がよく拭き取れたものについては「A」、水が普通に拭き取れたものについては「B」、少量の水が拭き取れず残るものについては「C」とさせ、他方、拭き取り性の総合評価について、「A」の評価が最も多かったものについては「○」、「B」の評価が最も多かったものについては「△」、「C」の評価が最も多かったものについては「×」とした。
<肌触り>
製品の肌触りを確認するため、無作為に選択した男性・女性それぞれ15名について、実施例1,2、参考例3,4及び比較例1〜12の各シート(170×220mm)を手洗い後に使用させ、拭き取り性について評価させた。各人の評価について、手になじんで拭き取りやすく感じたものについては「A」、拭き取り時にざらざらした感じがし、手になじみにくく感じたものについては「C」、どちらでもないものについては「B」とさせ、他方、肌触りの総合評価について、「A」の評価が最も多かったものについては「○」、「B」の評価が最も多かったものについては「△」、「C」の評価が最も多かったものについては「×」とした。
<ディスペンサーからの取り出し性>
エリエールディスペンサー小判Lに600枚(1枚当たりのシート寸法:170×220mm)をポップアップ式に下からシートを1枚ずつ引き出し取り出せるよう装填し、手洗い後、シートを全て手が濡れた状態でディスペンサーから引き出し、破れが生じた枚数をカウントした。
なお、1枚も破れなかったものについては「○」、1〜20枚破れたものについては「△」、21枚以上破れたものについては×」とした。
ピン状エンボスを形成した比較例1では、吸水スピードは良好であるが、十分な湿潤引張強度が得られなかったため、ディスペンサーからの取出し性が不良であった。
厚みが薄く、且つ、強度を得るためにエンボス深さ及び幅を小さくした比較例2では、湿潤引張強度はある程度得られたものの、良好な吸水スピードは得られなかった。
湿潤引張強度を得るために深さが小さいピン状エンボスを形成した比較例3では、良好な吸水スピードを得られなかった。
エンボス深さ及び幅を小さくした比較例4では、吸水スピードは良好であるが、格子線と薄葉紙のMD方向との角度が90度であることから十分な湿潤引張強度が得られず、エンボス形成時にシートの破断が生じるため、ディスペンサーからの取出し性が不良であった。
花柄状エンボスを形成した比較例5では、良好な吸水スピードを得ることができなかった。
ヘリボン状エンボスを形成した比較例6では、吸水スピード及び湿潤引張強度共に不良であった。
ディンプル形状エンボスを形成した比較例7では、吸水スピードは良好であるが、十分な湿潤引張強度が得られず、ディスペンサーからの取出し性が不良であった。
エンボスが形成されていない比較例8では、良好な吸水スピードを得ることができなかった。
ウエットクレープを付与され、格子状エンボスが設けられていない比較例9では、吸水スピード及び湿潤引張強度が良好であったが、ウエットクレープであるため生産性が悪く、また、ごわついているため肌触りが格子状エンボスを設けられたものと比べて劣っていた。
米坪が大きい比較例10では、吸水スピードが非常に良好であるものの、ごわついて肌触りが良くなかった。
米坪が小さい比較例11及び比較例12では、吸水スピードが高く、湿潤引張強度が低いため、拭き取り性及びディスペンサーからの取出し性が不良であった。また、米坪が低いため、格子状エンボス凹部を付与しても、ふんわり感が得られず、肌触りが向上しなかった。
2…薄葉紙
3…格子状エンボス凹部
4…区画
10…湿紙
11…ボトムフェルト
12…トップフェルト
13…トップロール
14…ボトムロール
15…タッチロール
16…ヤンキードライヤー
17…ドクターブレード
18…高圧水洗浄シャワー
19…サクションボックス
20…スクイズロール
21…乾燥紙
Claims (2)
- 古紙パルプを原料とし、ドライクレープが付与された単層の薄葉紙からなり、
前記薄葉紙は、米坪が35.0〜39.0g/m2、厚みが250〜320μmであり、
前記薄葉紙は、格子状をなして配置された格子エンボス凹部を有しており、
前記格子エンボス凹部は、幅が0.5〜2.0mm、深さ110〜160μmであり、
前記格子状エンボス凹部によって囲まれてなる各区画の面積が、9〜49mm2であり、
前記格子状エンボス凹部の格子線と、前記薄葉紙のMD方向との角度が、35〜55度である、
ことを特徴とするペーパータオル。 - 吸水スピードが、420sec/100μl以下であり、縦湿潤引張強度が、540cN〜1000cNであり、横湿潤引張強度が、120cN〜700cNである、請求項1記載のペーパータオル。
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