JP2015188710A - ウェットティッシュ、及びウェットティッシュの製造方法 - Google Patents

ウェットティッシュ、及びウェットティッシュの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】湿潤強さと、水解性とを両立するウェットティッシュを提供すること。
【解決手段】第1のシート2及び第2のシート3を備える複層シート4を含む、水解性を有するウェットティッシュ1であって、第1のシート2及び第2のシート3のそれぞれが、親水性繊維と、疎水性繊維とを含み、複層シート4が、複数の接合部5を有し、複数の接合部5の間隔が、第1のシート2の上記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上且つ第2のシート3の上記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上であり、複数の接合部5が、複層シート4に対して、0.5〜12.0%の面積率を有し、複層シート4から分離された第1のシート2及び第2のシート3のそれぞれが、ほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさを有し、複層シート4が、150mm以下の剛軟度を有し、そしてウェットティッシュ1が、幅25mm当たり、1.0N以上の引張強さを有すことを特徴とするウェットティッシュ1。
【選択図】図1

Description

本開示は、ウェットティッシュ、及び当該ウェットティッシュの製造方法に関する。
トイレに流せるタイプのウェットティッシュが開発され、市販されている。トイレに流すためには、ウェットティッシュが、使用の際を考慮した、所定の湿潤強さと、水に流す際を考慮した、所定の水解性とを有する必要がある。当技術分野では、化学系薬剤を添加することにより、使用時の湿潤強さと、水解性とを両立しているものが多い。
例えば、特許文献1には、水溶性高分子(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)と、少なくとも1種の、少なくとも2個の水酸基が置換したベンゼン核を含有する化合物(レゾルシン、ピロカテコール、ピロガロール、フロログルシノール等)とを含有する水解紙、並びに水解性ウェットティッシュが記載されている。
また、特許文献2には、カチオン性樹脂(例えば、カチオン化セルロース、カチオン化デンプン、カチオン化グアーガム、カチオン化デキストリンおよびポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)と、アニオン性樹脂(例えば、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、アルギン酸、キサンタンガムおよびポリメタクリル酸塩)とを含有する樹脂組成物から形成されたイオン性繊維を含む水解性繊維から構成される水解性不織布と、短繊維から形成されている短繊維不織布との少なくとも2種類の不織布が水解可能に積層されていることを特徴とする積層不織布が記載されている。
また、特許文献3には、木材パルプ、生分解性合成繊維、カルボキシル基を有する水溶性バインダ及びカチオン性ポリマーを含有する湿紙に対して高圧水ジェット流処理を施して得た水解紙に、アルカリ土類金属、マンガン、亜鉛、コバルト及びニッケルから選ばれる1種又は2種以上の金属イオン並びに有機溶剤を含有する水性洗浄剤を含浸させてなる水解性清掃物品であって、上記水解紙は、単層紙が2枚以上積層されエンボス加工されてなるマルチプライ構造であり、最外層を構成する単層紙は、それぞれの片面側から高圧水ジェット流処理が施されており、当該処理面が外方を向くように積層されている水解性清掃物品が記載されている。
さらに、特許文献4には、アニオン性接着剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ポリウロン酸ナトリウム等)、及び一般式(1)又は(2)で表されるカチオン性オリゴマーを使用した水解紙が記載されている。
また、化学系薬剤を用いないタイプのウェットティッシュとして、特許文献5には、叩解度が700mL以上の未叩解パルプ(a)、叩解度が400〜650mLの叩解パルプ(b)、叩解度が700mL以上の再生セルロース(c)及び叩解度が0〜400mLのフィブリル化した精製セルロース(d)含む水解性繊維シートが記載されている。
特開2001−3297号公報 特開2001−138424号公報 特開2008−2017号公報 特開2009−52152号公報 特開2010−285718号公報
特許文献1〜4に記載の水解性を有するウェットティッシュは、化学系薬剤の作用により、湿潤強さと、水解性とを両立するものである。しかし、ウェットティッシュが人の肌に触れるものであることを考慮すると、化学系薬剤を含ませずに、湿潤強さと、水解性とを両立するウェットティッシュを開発することが好ましい。
また、特許文献5に記載の水解性繊維シートは、フィブリル化した精製セルロースを添加することにより、湿潤強さと、水解性とを両立しているが、別の手法により、湿潤強さと、水解性とを両立するウェットティッシュを提供することに対する需要がある。
従って、本開示は、湿潤強さと、水解性とを両立するウェットティッシュを提供することを目的とする。
本開示者らは、第1のシート及び第2のシートを備える複層シートを含む、水解性を有するウェットティッシュであって、第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、親水性繊維と、疎水性繊維とを含み、上記複層シートが、第1のシート及び第2のシートを接合し且つ間隔をおいて配置された、複数の接合部を有し、上記複数の接合部の上記間隔が、第1のシートの上記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上且つ第2のシートの上記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上であり、上記複数の接合部が、上記複層シートに対して、0.5〜12.0%の面積率を有し、上記複層シートから分離された第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、ほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさを有し、上記複層シートが、150mm以下の剛軟度を有し、そして上記ウェットティッシュが、幅25mm当たり、1.0N以上の引張強さを有することを特徴とするウェットティッシュを見出した。
本開示のウェットティッシュは、湿潤強さと、水解性とを両立する。
図1は、本開示の実施形態の1つに従うウェットティッシュの平面図である。 図2は、図1のII−II面における断面図である。 図3は、接合部の間隔と、繊維長との関係を説明するための模式図である。 図4は、本開示の別の実施形態に従うウェットティッシュの断面図である。 図5は、本開示の実施形態の1つに従うウェットティッシュの製造方法を説明するための概略図である。 図6は、本開示の実施形態の1つに従うウェットティッシュの製造方法を説明するための概略図である。
[定義]
本開示のウェットティッシュを説明する前に、いくつかの用語について、その定義を説明する。
・「平均繊維長」
本開示では、親水性繊維及び疎水性繊維を含む繊維の平均繊維長は、重さ加重平均繊維長を意味し、メッツォオートメーション(metso automation)社製のカヤーニファイバーラボファイバープロパティーズ(オフライン)[kajaaniFiberLab fiber properties(off−line)]により測定されるL(w)値を意味する。
・「融点」
本開示において、疎水性繊維の「融点」は、示差走査熱量分析計において、昇温速度10℃/分で測定した際の、固形状から液状に変化する際の吸熱ピークのピークトップ温度を意味する。上記示差走査熱量分析計としては、例えば、島津製作所社製のDSC−60型DSC測定装置が挙げられる。
なお、疎水性繊維が、複数の成分を含む場合には、上記融点は、各成分について測定される。
・「搬送方向」及び「直交方向」
本開示において、搬送方向は、製造時の搬送方向を意味し、そして直交方向は、製造時の搬送方向と直交する方向を意味する。
・接合部に関する「間隔」
本明細書では、接合部の「間隔」は、ある接合部と、当該ある接合部から最も近い位置にある接合部とにおいて、それらの内側から内側までの距離(内々の距離)を意味する。図3では、間隔Iは、接合部5dと、接合部5dから最も近い位置にある接合部5eとの間の内々の距離である。
・接合部に関する「ピッチ」
本明細書では、接合部間の「ピッチ」は、ある接合部と、当該ある接合部から最も近い位置にある接合部とにおいて、それらの中心間距離を意味する。図3では、ピッチPは、接合部5dと、接合部5dから最も近い位置にある接合部5eとの中心間距離である。
本開示のウェットティッシュ、並びにウェットティッシュの製造方法について、以下、詳細に説明する。
<ウェットティッシュ>
本開示のウェットティッシュは、水解性を有し、そして第1のシート及び第2のシートを備える複層シートを含む。
本明細書では、「ウェットティッシュ」及び「複層シート」は、「ウェットティッシュ」には薬液が含まれるが、「複層シート」には薬液が含まれない点で異なる。
また、本開示のウェットティッシュでは、図面等において、第2のシートが、第1のシートの上に積み重ねられているように表現される場合があるが、当該表現は、ウェットティッシュの使用面を限定するものではない。すなわち、第1のシートの、第2のシートと反対側の面が、汚れを拭き取ることができ、そして第2のシートの、第1のシートと反対側の面が、汚れを拭き取ることができる。
本開示のウェットティッシュでは、複層シートが、第1のシート及び第2のシートを接合し且つ間隔をおいて配置された、複数の接合部を有する。また、本開示のウェットティッシュでは、複数の接合部の間隔が、第1のシート及び第2のシートの疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上である。さらに、本開示のウェットティッシュでは、複数の接合部が、複層シートに対して、0.5〜12.0%の面積率を有する。これらを、図1〜図3を用いて説明する。
本開示の実施形態の1つに従うウェットティッシュの平面図を、図1に示し、そして図1のII−II面における断面図を、図2に示す。図1及び図2では、複層シート4が、第1のシート2及び第2のシート3を接合する、複数の接合部5を有する。具体的には、図1及び図2では、複層シート4は、第1のシート2及び第2のシート3をエンボスすることにより形成された複数のエンボス部5'を有する。なお、複層シート4では、複数のエンボス部5'が、千鳥状に配置されている。
図1及び図2に示される実施形態では、上記接合部がエンボス部であるが、本開示のウェットティッシュでは、上記接合部はエンボス部に限定されない。本開示の別のいくつかの実施形態に従うウェットティッシュでは、上記接合部は、例えば、接着剤により形成された接着部、粘着剤により形成された粘着部等である。
上記接合部は、第1のシートの表面と、第2のシートの表面とを接合すればよいが、上記接合部は、第1のシート及び第2のシートのいずれか一方の内部において、繊維同士をさらに接合していることが好ましく、そして第1のシート及び第2のシートの両方の内部において、繊維同士をさらに接合していることがより好ましい。ウェットティッシュの湿潤強さの観点からである。
第1のシート及び第2のシートの一方又は両方の内部において、繊維同士を接合させる観点からは、上記接合部は、エンボス部であることが好ましい。上記接合部がエンボス部である場合には、第1のシート及び第2のシートの疎水性繊維は、熱融着性繊維を含むことが好ましく、そして低融点成分と、低融点成分よりも高い融点を有する高融点成分を含む複合繊維から成る熱融着性繊維(以下、「低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維から成る熱融着性繊維」と称する場合がある)を含むことがより好ましい。
上記エンボス部において、第1のシートの熱融着性繊維(の低融点成分)の少なくとも一部が、第2のシートに含まれる繊維、具体的には、第2のシートに含まれる、親水性繊維及び/又は疎水性繊維と融着していることが好ましい。また、上記エンボス部において、第2のシートの熱融着性繊維(の低融点成分)の少なくとも一部が、第1のシートに含まれる繊維、具体的には、第1のシートに含まれる、親水性繊維及び/又は疎水性繊維と融着していることが好ましい。ウェットティッシュの湿潤強さの観点からである。
同様に、湿潤強さの観点から、上記接合部が接着部である場合には、接着剤の粘度を下げることにより、接着剤を、第1のシート及び第2のシートの一方又は両方の内部に染み込ませ、接着剤を、第1のシート及び第2のシートの一方又は両方に含まれる繊維と接合させることが好ましい。上記接合部が粘着部の場合も同様である。
ウェットティッシュが上記接合部を有することにより、ウェットティッシュが、湿潤時には、第1のシートの湿潤強さと、第2のシートの湿潤強さとを合算した湿潤強さを示す傾向があり、そして水解時には、第1のシート及び第2のシートの個々の水解性を示す傾向がある。
例えば、第1のシート及び第2のシートが同一のシートである場合には、本開示のウェットティッシュは、第1のシートの2倍の湿潤強さを示し、そして第1のシートと同一の水解性を示す傾向がある。
本開示のウェットティッシュにおいて、複数の接合部の間隔は、第1のシートの疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上、好ましくは0.7倍以上、より好ましくは0.8倍以上、さらに好ましくは1.0倍以上、さらにいっそう好ましくは1.5倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは2.0倍以上である。
また、本開示のウェットティッシュにおいて、複数の接合部の間隔は、第2のシートの疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上、好ましくは0.7倍以上、より好ましくは0.8倍以上、さらに好ましくは1.0倍以上、さらにいっそう好ましくは1.5倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは2.0倍以上である。
複数の接合部の間隔が、第1のシート及び第2のシートの各疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上であるべき理由を、図3を用いて説明する。
図3は、接合部の間隔と、繊維長との関係を説明するための模式図である。図3は、図1の領域IIIの平面図であり、説明のため、第2のシート3が省略されている。また、図3では、第1のシート2のうち、接合部5a,5b及び5cに接合されている疎水性繊維6a,6b及び6cのみが示されている。
接合部5の間隔Iが、第1のシート2の疎水性繊維6の平均繊維長よりも長いと、例えば、接合部5aに接合された疎水性繊維6aは、隣接する接合部5b(又は5c)に接合された疎水性繊維6b(又は6c)と、交絡点7ab(又は7ac)において交絡することはあっても、隣接する接合部5b(又は5c)に連結されることはない。すなわち、隣接する接合部5a〜5cは、疎水性繊維6a〜6cにより連結されることがない。従って、ウェットティッシュが水洗トイレに廃棄された際に、接合部5a〜5cは、別個の断片に容易に分離するため、ウェットティッシュの水解性が低下しにくい。
上述の接合部の間隔と、繊維長との関係は、第2のシートであっても同様である。
一般に、ウェットティッシュ等の不織布では、不織布を構成する繊維は、直線状では存在せず、他の繊維と交絡し、蛇行している。従って、接合部5の間隔Iは、疎水性繊維6の平均繊維長より短い場合であっても、水洗トイレ等に廃棄された際に、接合部5a〜5cは、別個の断片に分離可能な場合がある。
本願発明者が確認したところ、接合部の間隔が、第1のシート及び第2のシートの各疎水性繊維と上述の関係を有すれば、ほぐれやすさ試験において100秒以下のほぐれやすさを有しうることが確認された。
以上より、水解性を考慮すると、複数の接合部は、第1のシート及び第2のシートの各疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上の間隔を有するべきである。
同様の理由から、本開示のウェットティッシュにおいて、複数の接合部の間隔は、第1のシート及び第2のシートのそれぞれの親水性繊維の平均繊維長の、好ましくは0.6倍以上、より好ましくは0.7倍以上、さらに好ましくは0.8倍以上、さらにいっそう好ましくは1.0倍以上、さらにいっそう好ましくは1.5倍以上、そしてさらにいっそう好ましくは2.0倍以上である。
なお、上記親水性繊維は、他の繊維、特に他の親水性繊維と水素結合により接合していることから、水洗トイレ等に廃棄されると、他の繊維との水素結合による接合点が消失しやすい。従って、上記親水性繊維の平均繊維長は、合成繊維の平均繊維長と比較して、特に上記接合部がエンボス部である場合において、ウェットティッシュの水解性に与える影響は少ない。
本開示のウェットティッシュにおいて、接合部の、複層シートに対する面積率の下限は、個々の接合部の面積等によっても変化するが、一般的には0.5%以上、好ましくは1.0%以上、より好ましくは1.2%以上、そしてさらに好ましくは1.5%以上である。上記面積率が0.5%を下回ると、第1のシート及び第2のシートの接合が不十分であり、ひいてはウェットティッシュの湿潤強さが低下し、ウェットティッシュが、使用時に破断する場合がある。
上記面積率の上限は、個々の接合部の面積、接合部の個数密度等によっても変化するが、一般的には12%以下、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、そしてさらに好ましくは5.0%以下である。上記面積率が12.0%を超えると、第1のシート及び第2のシートの接合が強く、湿潤強さは向上するものの、ウェットティッシュが水洗トイレに廃棄された際に、第1のシート及び第2のシートが分離しにくくなり、ウェットティッシュの水解性が低下する場合があり、そしてウェットティッシュの剛軟度が高くなる(ウェットティッシュが硬くなる)傾向がある。
上記上限は、接合部の個数密度が低い場合、例えば、接合部が、好ましくは10〜1,000個/m2、より好ましくは50〜500個/m2の個数密度を有する場合に好ましい。
上記接合部の個数密度が低い場合としては、例えば、接合部が、線状の接合部である実施形態が挙げられる。
上記接合部の個数密度が高い場合、例えば、接合部が、1,000〜100,000個/m2、より好ましくは10,000〜70,000個/m2の個数密度を有する場合には、上記面積率の上限は、好ましくは5.0%以下、より好ましくは4.5%以下、さらに好ましくは4.0%以下、そしてさらに好ましくは3.8%以下である。上記接合部の個数密度が高い場合としては、接合部が、点状の接合部である実施形態が挙げられる。
接合部の面積率は、以下の式によって算出される。
接合部の面積率(%)
=100×(接合部の総面積,mm2)/(複層シートの面積,mm2
また、接合部の個数密度は、複層シート1m2当たりの接合部の個数を意味する。
上記接合部の形状は、特に制限されず、上記接合部として、例えば、点状の接合部、例えば、円形、楕円形、矩形、三角形、星形、ハート形、任意のキャラクターの形状、記号形状等の接合部が挙げられる。
また、上記点状の接合部は、その間隔が、第1のシート及び第2のシートに含まれる繊維の平均繊維長と所定の関係にあるものであれば特に制限されずに複層シートに配置されることができ、上記点状の接合部は、例えば、千鳥状、例えば、角千鳥状、60°千鳥状等の配置で配置される。
上記接合部はまた、線状の接合部、例えば、直線状の接合部、非直線状の接合部、例えば、曲線状の接合部であってもよい。
上記線状の接合部は、例えば、並行して、又は並行せずに配置されうる。
本開示のウェットティッシュにおいて、接合部1つ当たりの面積は、接合部の面積率、接合部の形状、接合部の形状等によっても変化するが、上記接合部が点状の接合部である場合には、上記接合部は、1つ当たり、好ましくは0.4〜9.0mm2、より好ましくは0.4〜7.0mm2、そしてさらに好ましくは、1.0〜5.0mm2の面積を有する。上記面積が0.4mm2を下回ると、第1のシートと、第2のシートとの接合が不十分になる場合があり、そして上記面積が9.0mm2を上回ると、ウェットティッシュの湿潤強さが低下する傾向がある。
また、上記接合部がエンボス部である場合には、上記面積が0.4mm2を下回ると、エンボス部を形成するためのエンボスロールの突起が鋭角になり、ウェットティッシュに穴があく場合があり、そして湿潤強さを高くするためにエンボス部の量を増やすと、エンボス部の間隔を確保しにくくなり、そして上記面積が9.0mm2を上回ると、ユーザーの肌がエンボス部の硬さを感じやすくなる傾向がある。
上記接合部が線状の接合部である場合には、上記接合部は、好ましくは0.3〜3.0mm、より好ましくは0.5〜2.5mm、そしてさらに好ましくは1.0〜2.0mmの幅を有する。上記幅が0.3mmを下回ると、第1のシートと、第2のシートとの接合が不十分であり、ウェットティッシュの湿潤強さが不十分となる場合がある。上記幅が3.0mmを上回ると、ウェットティッシュの湿潤強さが高くなるが、ウェットティッシュの水解性が低下する傾向がある。
また、上記接合部がエンボス部である場合には、上記幅が0.3mmを下回ると、エンボス部を形成するためのエンボスロールの突起が鋭角になり、ウェットティッシュに穴があく場合がある。
本開示のウェットティッシュにおいて、第1のシート及び第2のシートのそれぞれは、親水性繊維と、疎水性繊維とを含む。
なお、本明細書では、単に「繊維」と称する場合には、第1のシート又は第2のシートに含まれる全ての繊維種が含まれる。
上記親水性繊維は、親水性を有し、その表面又は内部に水を保持できる繊維であれば特に制限されない。上記親水性繊維として、例えば、セルロース系繊維が挙げられ、上記セルロース系繊維としては、例えば、パルプ及び再生セルロース繊維が挙げられる。
上記パルプとしては、例えば、木材パルプ及び非木材パルプが挙げられる。上記木材パルプとしては、例えば、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプが挙げられる。上記非木材パルプとしては、例えば、ワラパルプ、バガスパルプ、ヨシパルプ、ケナフパルプ、クワパルプ、竹パルプ、麻パルプ、綿パルプ(例えば、コットンリンター)等が挙げられる。
さらに、上記パルプは、叩解処理を受けていない非叩解パルプ、叩解処理を受けた叩解パルプ、又はそれらの組み合わせであることができる。
上記非叩解パルプは、700mL以上のカナダ標準ろ水度を有することが好ましい。
なお、カナダ標準ろ水度は、カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)を意味し、JIS P 8121−222012,パルプ−炉水試験方法−第2部:カナダ標準ろ水度法に従って測定される。
上記非叩解パルプの平均繊維長は、特に制限されないが、一般的には2〜4mmであることが、経済性及び生産性の観点から好ましい。
上記叩解パルプは、非叩解パルプを、遊離状叩解、粘状叩解等の方法により叩解させたパルプであり、本体部分と、当該本体部分から延びるマイクロファイバー部分とを有する。ウェットティッシュが叩解パルプを含むことにより、ウェットティッシュの湿潤強さと、乾燥強さとが向上する。
上記叩解パルプは、400〜650mLのカナダ標準ろ水度を有することが好ましく、そして400〜600mLのカナダ標準ろ水度を有することがより好ましい。
上記再生セルロース繊維としては、レーヨン、例えば、ビスコースから得られるビスコースレーヨン,ポリノジック及びモダール、セルロースの銅アンモニア塩溶液から得られる銅アンモニアレーヨン(「キュプラ」とも称される);有機化合物及び水の混合溶液である有機溶剤を用いた有機溶剤紡糸法によって得られ、セルロース誘導体を経ないリヨセル、例えば、テンセル(商標)等が挙げられる。
上記再生セルロース繊維としては、吸水性、第1のシート及び第2のシートの形成のしやすさ、並びに経済性の観点から、レーヨン、特にビスコースレーヨンが好ましい。
さらに、上記セルロース系繊維としては、例えば、半合成セルロース繊維、例えば、アセテート繊維、例えば、トリアセテート繊維及びジアセテート繊維が挙げられる。
上記疎水性繊維としては、当技術分野で通常用いられるものが挙げられ、合成繊維であることが好ましい。上記合成繊維としては、単一の成分を含むもの、例えば、単一繊維、又は複数の成分を含むもの、例えば、複合繊維が挙げられる。
上記成分としては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン;ポリエステル系ポリマー、例えば、テレフタラート系ポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET),ポリブチレンテレフタラート,ポリペンチレンテレフタラート;ポリアミド系ポリマー、例えば、ナイロン6及びナイロン6,6;アクリル系ポリマー;ポリアクリロニトリル系ポリマー;及びそれらの変性物が挙げられる。
上記接合部がエンボス部である場合には、上記疎水性繊維は、熱融着性繊維を含むことが好ましく、そして低融点成分と、低融点成分よりも高い融点を有する高融点成分を含む複合繊維から成る熱融着性繊維を含むことがより好ましい。
上記熱融着性繊維において、低融点成分は、好ましくは120〜180℃、より好ましくは130〜170℃、そしてさらに好ましくは140〜160℃の融点を有する。上記融点が120℃を下回ると、第1のシート及び/又は第2のシートの乾燥温度を、低融点成分の融着を防ぐため、低融点成分の融点未満に下げる必要があり、ウェットティッシュの生産性が低下する傾向がある。
上記熱融着性繊維において、高融点成分は、好ましくは170〜300℃、より好ましくは180〜290℃、さらに好ましくは200〜270℃、そしてさらにいっそう好ましくは220〜260℃の融点を有する。上記融点が170℃を下回ると、エンボス工程の際に、低融点成分だけでなく、高融点成分も溶融し、エンボス部が固くなり、ウェットテッシュの肌触りが低下する場合がある。上記融点が300℃を上回ると、経済性の観点から好ましくない。
上記熱融着性繊維において、低融点成分と、高融点成分とは、好ましくは50〜110℃、より好ましくは60〜100℃、そしてさらに好ましくは70〜90℃の融点差を有する。上記融点差が50℃を下回ると、エンボス工程において、低融点成分のみを溶融させることが難しくなる傾向があり、そして上記融点差が110℃を上回ると、低融点成分の融点が低くなり、第1のシート及び/又は第2のシートの乾燥時に高融点成分が溶融する場合があるか、又は高融点成分の融点が高くなり、経済性の観点から好ましくない。
上記低融点成分及び高融点成分は、特に制限されず、上記疎水性合成繊維として列挙されるポリマーの中から選択されうる。
上記低融点成分は、PETよりも融点の低いテレフタラート系ポリマーであることが好ましく、そして高融点成分は、PETであることが好ましい。
上記複合繊維としては、例えば、芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、サイドバイサイドタイプの繊維が挙げられる。
第1のシートは、上記親水性繊維及び疎水性繊維を、上記親水性繊維及び疎水性繊維の総量に基づいて、それぞれ、好ましくは82〜95質量及び5〜18質量%、より好ましくは85〜95質量%及び5〜15質量%、さらに好ましくは88〜95質量%及び5〜12質量%、そしてさらにいっそう好ましくは90〜94質量%及び6〜10質量%の比率で含む。
上記疎水性繊維の比率が5質量%を下回ると、ウェットティッシュの湿潤強さが低下する傾向があり、そして上記疎水性繊維の比率が18質量%を上回ると、水解性が低下する傾向にある。
また、上記疎水性繊維が熱融着性繊維であり且つ上記接合部がエンボス部である場合には、疎水性繊維の比率が5質量%を下回ると、エンボス部による第1のシート及び第2のシートの接合力が低下し、ウェットテッシュの水解性は向上するものの、湿潤強さが低下し、使用時に破断する傾向があり、そして剛軟度も低下する(柔らかくなる)傾向がある。また、上記疎水性繊維が熱融着性繊維であり且つ上記接合部がエンボス部である場合には、疎水性繊維の比率が18質量%を上回ると、第1のシート及び第2のシートの接合力が高くなり、ウェットテッシュの湿潤強さは向上するものの、水解性に劣る傾向があり、そして剛軟度が高くなる(硬くなる)傾向がある。
なお、第2のシートにおいて、上記親水性繊維及び疎水性繊維の好ましい比率は、第1のシートと同様である。
本開示のウェットティッシュでは、第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、親水性繊維と、疎水性繊維とを含むことが好ましく、そして第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、親水性繊維と、疎水性繊維とを、同一の比率で含むことがさらに好ましい。ウェットティッシュの水解性、湿潤強さ、拭き取り性等に偏りを生じにくくさせる観点からである。
本開示のウェットティッシュでは、複層シートから分離した第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、水解性の指標であるほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさを有し、好ましくは90秒以下、より好ましくは80秒以下、そしてさらに好ましくは70秒以下のほぐれやすさを有する。上記ほぐれやすさが100秒を超えると、トイレの配管等の太さによっては、配管が詰まる場合がある。上記ほぐれやすさに特に下限はない。
なお、JIS P 4501:1993,トイレットペーパーの「2.品質」の表1には、トイレットペーパーは、100秒以内のほぐれやすさの規格を満たすべきことが記載されており、本開示のウェットティッシュは、水洗トイレに廃棄することを考慮すると、トイレットペーパーと同等のほぐれやすさを有することが好ましい。
本開示において、複層シートから分離された第1のシート及び第2のシートの水解性を対象とするのは、ウェットティッシュが水洗トイレに廃棄されると、水流により、比較的早い段階で第1のシート及び第2のシート、次いでそれらの断片に引きはがされることが多いためである。
なお、JIS P 4501:1993,トイレットペーパーの「2.品質」の表1には、2枚以上重ねて巻き取ったものについては、それぞれ1枚ごとに上述のほぐれやすさの規格が適用されることが記載されている。
なお、上記複層シートは、ウェットティッシュを、20±5℃,65±5%RHの条件下で24時間乾燥させ、ウェットティッシュから薬液を蒸発させることにより得る。
本開示のウェットティッシュは、水流が弱い等、水洗トイレに廃棄された際に、第1のシート及び第2のシートに分離しない場合を想定すると、ウェットティッシュそのものが、ほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさをさらに有することが好ましい。
なお、本明細書において、ほぐれやすさ試験は、JIS P 4501:1993,トイレットペーパーの「4.5 ほぐれやすさ」に従って測定する。具体的には、以下の通りである。
水300mL(水温20℃±5℃)を入れた300mLのビーカーををマグネチックスターラーに載せ、回転子(直径35mm,厚さ12mmの円盤状のもの)の回転数を600±10回転/分になるように調整する。ビーカーに一辺が114±2mmの試験片を投入し、ストップウォッチを押す。回転子の回転数は試験片の抵抗によって、いったん約500回転に下降し、試験片がほぐれるに従い回転数は上昇し、540回転までに回復した時点でストップウォッチを止め、その時間を1秒単位で測定する。ほぐれやすさの結果は、試験を5回行い、その平均値で表す。
本開示のウェットティッシュにおいて、薬液を含浸させる前のもの、すなわち、複層シートが、150mm以下の剛軟度を有し、好ましくは145mm以下、より好ましくは140mm以下の剛軟度を有し、そしてさらに好ましくは135mm以下の剛軟度を有する。上記剛軟度が150mmを超えると、ユーザーがウェットティッシュに硬さを感じる傾向がある。なお、上記剛軟度には、特に下限はないが、一般的には、20mm以上である。
本明細書では、上記剛軟度は、試験片の長さを「(25±1)mm×(250±1)mm」から『(25±1)mm×(200±1)mm』に変更した以外は、JIS L 1913:2010,一般不織布試験方法の「6.7.3 41.5 カンチレバー法」に従って測定する。
なお、上記剛軟度は、複層シートの任意の方向において、例えば、上述のJISに記載されるたて方向及びよこ方向の両方において、例えば、第1のシート及び第2のシートの製造時の搬送方向及び直交方向の両方において、上述の範囲にあることが好ましい。
本開示のウェットティッシュは、幅25mm当たり、1.0N以上、そして好ましくは1.1N以上の引張強さを有する。上記引張強さが、幅25mm当たり1.0Nを下回ると、ウェットティッシュを取り出す際に、ウェットティッシュが破断する恐れがある。
本明細書において、ウェットティッシュの引張強さを、ウェットティッシュの「湿潤強さ」と称する場合があり、そしてウェットティッシュの幅25mm当たりの引張強さの単位を「N/25mm」で表わす場合がある。
なお、上記引張強さは、ウェットティッシュの任意の方向において、例えば、第1のシート及び第2のシートの製造時の搬送方向及び直交方向の両方において、上述の範囲にあることが好ましい。
上記引張強さは、下記相違点を除いて、JIS P 8135:1998,紙及び板紙−湿潤引張強さ試験方法の「7.1 一般法」に従って測定する。
複層シートを幅25mm×長さ150mmに裁断して試料を作成し、当該試料を、質量比で250質量%の蒸留水に浸漬させ、次いで試料を金網の上で1分間静置する。次いで、20℃及び相対湿度65%雰囲気の条件下で、テンシロン型引張試験機に、上記試料を、チャック間隔100mmでセットし、上記試料を引張速度100mm/分で引張試験し、試料の破断時の引張強さ(N)を測定する。
上述のように、複層シートは、ウェットティッシュを、20±5℃,65±5%RHの条件下で24時間乾燥させ、ウェットティッシュから薬液を蒸発させることにより得る。
本開示のウェットティッシュでは、第1のシート及び第2のシートに含まれる繊維、例えば、疎水性繊維及び親水性繊維の平均繊維長は、上記複層シートに形成される接合部の間隔と上述の条件を満たすものであれば特に制限されないが、疎水性繊維の平均繊維長及び親水性繊維の平均繊維長のそれぞれが、好ましくは6.5mm以下、より好ましくは6.0mm以下、そしてさらに好ましくは5.5mm以下である。上記平均繊維長が6.5mmを超えると、第1のシート及び第2のシートに含まれる繊維の交絡点の絶対数が増えるため、水解性が低下する傾向がある。
なお、上記平均繊維長が長くなると、繊維同士の交絡点の絶対数が増えるため、水解性が低下し、湿潤強さが向上する傾向がある。
本開示のウェットティッシュでは、第1のシート及び第2のシートに含まれる繊維、例えば、疎水性繊維、及び親水性繊維(好ましくはパルプ以外の親水性繊維)のそれぞれが、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.5mm以上、そしてさらに好ましくは3.0mm以上の平均繊維長を有する。上記平均繊維長が2.0mmを下回ると、第1のシート及び第2のシートの湿潤強さが低下し、使用時にウェットティッシュが破れる場合がある。
本開示のウェットティッシュにおいて、複層シートは、好ましくは20〜80g/m2、より好ましくは30〜70g/m2、さらに好ましくは40〜60g/m2、そしてさらにいっそう好ましくは46〜54g/m2の坪量を有する。上記坪量が20g/m2を下回ると、水解性は向上するが、湿潤強さが低下する傾向があり、そして剛軟度が低くなる傾向がある。上記坪量が80g/m2を超えると、湿潤強さが向上するが、水解性が低下する傾向があり、そして剛軟度が高くなる傾向がある。
本開示のウェットティッシュにおいて、第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、薬液を含まない状態で、好ましくは10〜40g/m2、より好ましくは15〜35g/m2、さらに好ましくは20〜30g/m2、そしてさらにいっそう好ましくは23〜27g/m2の坪量を有する。上記坪量が10g/m2を下回ると、水解性は向上するが、湿潤強さが低下する傾向があり、そして剛軟度が低くなる傾向がある。上記坪量が40g/m2を超えると、湿潤強さが向上するが、水解性が低下する傾向があり、そして剛軟度が高くなる傾向がある。
本開示のウェットティッシュにおいて、複層シートは、好ましくは0.10〜0.80mm、より好ましくは0.15〜0.70mm,さらに好ましくは0.20〜0.60mm、そしてさらにいっそう好ましくは0.25〜0.50mmの厚さを有する。上記厚さが0.10mmを下回ると、ウェットティッシュの水解性は向上するが、湿潤強さが低下する傾向があり、そして剛軟度が低くなる傾向がある。上記厚さが0.80mmを超えると、ウェットティッシュの湿潤強さが向上するが、水解性が低下する傾向があり、そして剛軟度が高くなる傾向がある。
上記複層シートの厚さは、複層シートのうち、接合部の存在しない領域の厚さを意味する。
本開示のウェットティッシュにおいて、第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、乾燥状態において、好ましくは0.05〜0.40mm、より好ましくは0.07〜0.35mm,さらに好ましくは0.10〜0.30mm、そしてさらにいっそう好ましくは0.12〜0.25mmの厚さを有する。上記厚さが0.05mmを下回ると、ウェットティッシュの水解性が向上するが、湿潤強さが低下する傾向があり、そして剛軟度が低くなる傾向がある。上記厚さが0.40mmを超えると、ウェットティッシュの湿潤強さが向上するが、水解性が低下する傾向があり、そして剛軟度が高くなる傾向がある。
なお、第1のシート及び第2のシートの厚さは、それらのうち、接合部の存在しない領域の厚さを意味する。
上述のように、複層シートは、ウェットティッシュを、20±5℃,65±5%RHの条件下で24時間乾燥させ、ウェットティッシュから薬液を蒸発させることにより得る。また、第1のシート及び第2のシートは、複層シートから、第1のシート及び第2のシートを剥離させることにより得る。
また、第1のシート及び第2のシート、並びに複層シートの厚さは、株式会社大栄科学精器製作所製のFS−60DSを用い、測定子:15cm2,測定荷重:3gf/cm2の条件の下で測定する。
本開示の別の実施形態に従うウェットティッシュでは、第1のシートが、第2のシートと反対側の面に、高圧水流により形成された畝部及び溝部を有し、そして/又は第2のシートが、第1のシートと反対側の面に、高圧水流により形成された畝部及び溝部を有する。
図4は、上記実施形態を示す図であり、図1のII−II面における断面図に相当する。図4に示されるウェットティッシュ1では、第1のシート2が、第2のシート3と反対側の面に、高圧水流により形成された、複数の畝部8と、複数の溝部9とを有し、そして第2のシート3が、第1のシート2と反対側の面に、高圧水流により形成された、複数の畝部8と、複数の溝部9とを含む畝溝構造を有する。ウェットティッシュが、図4に示すような畝溝構造を有することにより、ウェットティッシュの両面において、汚れの除去性が向上する。
本開示のウェットティッシュにおいて、畝部(溝部)のピッチは、高圧水流を噴射するノズルのピッチにより自由に調整することができるが、形成のしやすさ、ウェットティッシュの強度及び拭取性等を考慮すると、畝部(溝部)のピッチは、0.3〜1.0mmであることが好ましい。
また、畝部の頂部の高さと、溝部の底部の高さとは、ノズルから噴射される高圧水流の圧力等により、任意に調整することができるが、拭取り性の観点から、好ましくは0.05〜0.10mmであり、より好ましくは0.06〜0.09mmであり、そしてさらに好ましくは0.07〜0.08mmである。
なお、第1のシート及び/又は第2のシートに畝部及び溝部を形成する工程は、「ウェットティッシュの製造方法」の箇所で説明する。
本開示のさらに別の実施形態に従うウェットティッシュは、第1のシート及び/又は第2のシートをクレープ処理することにより形成されたひだ構造を有する。ひだ構造を有することにより、ウェットティッシュの肌触りが向上し、そして汚れの除去性が向上する。
なお、ウェットティッシュにひだ構造を形成する工程は、「ウェットティッシュの製造方法」の箇所で説明する。
本開示のウェットティッシュにおいて、複層シートが含浸しうる薬液としては、当技術分野でウェットテッシュ用の薬液として用いられているものが特に制限なく挙げられるが、例えば、抗菌剤、界面活性剤、防腐剤等を含む水溶液が挙げられ、そして上記薬液は、蒸留水であってもよい。
<ウェットティッシュの製造方法>
本開示のウェットティッシュの製造方法は、以下の工程を含む。
(1)第1のシートを形成する工程
(2)第2のシートを形成する工程
(3)第2のシートを、第1のシートの上に積み重ね、積み重ねシートを形成するとともに、上記積み重ねシートを接合することにより、複数の接合部を有する複層シートを形成する工程
以下、上記(1)〜(3)の工程を、それぞれ、工程(1)〜工程(3)と称する場合がある。
工程(1)は、以下の複数の工程にさらに分けられる。
(1a)第1のシートの原料の水分散液を支持体上に供給し、支持体上に、第1のシート用のウェブを形成する工程
(1b)高圧水流ノズルから、支持体上の第1のシート用のウェブに高圧水流を噴射して、第1のシート用のウェブ内の繊維を交絡させ、第1のシートを形成する工程
(1c)第1のシートを乾燥する工程
以下、上記(1a)〜(1c)の工程を、それぞれ、工程(1a)〜工程(1c)と称する場合がある。
工程(2)は、以下の複数の工程にさらに分けられる。
(2a)第2のシートの原料の水分散液を支持体上に供給し、支持体上に、第2のシート用のウェブを形成する工程
(2b)高圧水流ノズルから、支持体上の第2のシート用のウェブに高圧水流を噴射して、第2のシート用のウェブ内の繊維を交絡させ、第2のシートを形成する工程
(2c)第2のシートを乾燥する工程
以下、上記(2a)〜(2c)の工程を、それぞれ、工程(2a)〜工程(2c)と称する場合がある。
工程(1a)及び工程(2a)は、当技術分野で公知の方法に従って、それぞれ、第1のシート及び第2のシートの原料の水分散液を支持体上に供給し、支持体上に、それぞれ、第1のシート及び第2のシート用のウェブを形成する。
工程(1b)及び工程(2b)において、第1のシート用のウェブ及び第2のシート用のウェブのそれぞれは、高圧水流ノズルから放出される高圧水流から、好ましくは0.03〜0.25kW/m2、より好ましくは0.04〜0.20kW/m2、さらに好ましくは0.05〜0.15kW/m2、さらにいっそう好ましくは0.06〜0.12kW/m2、そしてさらにいっそう好ましくは0.07〜0.10kW/m2のエネルギーを受ける。
上記エネルギーが0.03kW/m2を下回ると、第1のシート及び第2のシートにおいて、繊維の交絡度が不十分となり、湿潤強さが低下する傾向がある。また、上記エネルギーが0.25kW/m2を上回ると、第1のシート及び第2のシートの繊維の交絡が進行し、湿潤強さは向上するが、水解性が低下する傾向があり、そして剛軟度が高くなる傾向がある。
なお、高圧水流エネルギーは、下記の式から算出される。
高圧水流エネルギー(kW/m2
=1.63×噴射圧力(kg/cm2)×噴射流量(m3/分)/搬送速度(M/分)/60
ここで、噴射流量(m3/分)は、以下の式から算出される。
噴射流量(m3/分)
=750×オリフィス開孔総面積(m2)×噴射圧力(kg/cm20.495
なお、噴射圧力は、高圧水流ノズルから噴射された時点のノズル内部の圧力を意味し、噴射流量は、高圧水流ノズルから噴射される高圧水流の1分間の総量を意味し、そしてオリフィス開孔総面積は、高圧水流ノズルのノズル面積の総和を意味する。
上記高圧水流ノズルは、70〜130μmの穴径を有することが好ましい。上記穴径が70μmよりも小さいと、ノズルが詰まりやすい傾向があり、そして上記穴径が130μmよりも大きいと、繊維を交絡させる効率が低下する傾向がある。
高圧水流ノズルのピッチは、一般的には、0.3〜1.0mmの範囲にある。
高圧水流ノズルは、好ましくは0.5〜3.0cm、より好ましくは0.5〜2.0cm、そしてさらに好ましくは0.5〜1.0cmの距離から、ウェブに高圧水流を吹付ける。上記間隔が0.5cm未満であると、シートが破れる場合があり、そして上記間隔が3.0cm超であると、ウェブに含まれる繊維の交絡が不十分となる傾向がある。
工程(1c)では、第1のシートは、好ましくは第1のシートの疎水性繊維の融点よりも低い温度、より好ましくは10℃以上低い温度、さらに好ましくは20℃以上低い温度、そしてさらにいっそう好ましくは30℃以上低い温度で乾燥される。乾燥温度が疎水性繊維の融点に近いと、乾燥の際に疎水性繊維が溶融し、疎水性繊維が、他の繊維と融着し、ウェットティッシュの水解性が低下する場合がある。
なお、疎水性繊維が複数の成分を含む場合には、上記融点は、複数の成分の融点のうち、最も低いものを意味する。
第1のシートが、疎水性繊維として、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維から成る熱融着性繊維を含む場合には、工程(1c)では、第1のシートは、好ましくは第1のシートに含まれる低融点成分の融点よりも低い温度、より好ましくは10℃以上低い温度、さらに好ましくは20℃以上低い温度、そしてさらにいっそう好ましくは30℃以上低い温度で乾燥される。乾燥温度が低融点成分の融点に近いと、乾燥の際に低融点成分が溶融して、熱融着性繊維が、他の繊維と融着し、ウェットティッシュの水解性が低下する場合がある。
工程(2c)において、好ましい乾燥の温度は、工程(1c)に関して記載されるものと同一である。
工程(3)では、当技術分野で公知の方法により、第2のシートを、第1のシートの上に積み重ねることにより積み重ねシートを形成するとともに、積み重ねシートを接合することにより、複数の接合部を有する複層シートを形成する。
例えば、上記接合部がエンボス部であり、且つ上記疎水性繊維が、低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維から成る熱融着性繊維である実施形態では、低融点成分の融点以上且つ高融点成分の融点未満で積み重ねシートをエンボスすることが好ましく、低融点成分の融点より10℃以上高く且つ高融点成分の融点より10℃超低い温度で積み重ねシートをエンボスすることがより好ましく、低融点成分の融点より20℃以上高く且つ高融点成分の融点より20℃超低い温度で積み重ねシートをエンボスすることがさらに好ましく、そして低融点成分の融点より30℃以上高く且つ高融点成分の融点より30℃超低い温度で積み重ねシートをエンボスすることがさらにいっそう好ましい。
エンボスの温度が、低融点成分の融点に近いと、低融点成分の溶融が不十分となり、第1のシート及び第2のシートの接合が不十分となるか、又はエンボス工程の時間が長くなる傾向がある。エンボスの温度が高融点成分の融点に近いと、高融点成分が溶融し、エンボス部が硬くなる場合がある。
例えば、上記接合部が接着部又は粘着部である場合には、接着剤又は粘着剤を、第1のシート及び/又は第2のシートに塗工し、第1のシートに第2のシートを積み重ね、そして第1のシート及び第2のシートを接合させることにより、複層シートを形成することができる。
本開示のウェットティッシュの製造方法は、工程(3)の次に、次の工程:
(4)複層シートに薬液を含浸させる工程
を含むことができる。
以下、上記(4)の工程を、工程(4)と称する場合がある。
工程(4)では、当技術分野で公知の方法に従って、複層シートに薬液を含浸させる。
次に、図面を用いて、本開示のウェットティッシュの製造方法を説明する。
図5は、本開示の実施形態の1つに従うウェットティッシュの製造方法、具体的には、工程(1)及び工程(2)を説明するための概略図である。
図5に示される製造装置101では、原料供給ヘッド102から、第1のシートの原料の水分散液を支持体103の上に供給し、支持体103上に第1のシート用のウェブ104を形成する。
次いで、ウェブ104を、吸引ボックス107によって脱水し、そしてウェブ104を、支持体103上に配置された2台の高圧水流ノズル105と、支持体103を間に挟んで高圧水流ノズル105に対向する位置に配置された、高圧水流ノズル105から噴射された水を回収する2台の吸引ボックス107との間を通過させる。通過の際、ウェブ104は、高圧水流ノズル105から高圧水流を受け、繊維同士が交絡し、水分を含む、第1のシート106が形成される。
なお、高圧水流ノズル105の間隔、高圧水流から受けるエネルギー等によっては、第1のシート106の高圧水流ノズル105側の面に畝部及び溝部が形成される場合がある。
次いで、第1のシート106は、吸引ピックアップ108によって搬送コンベア109に転写される。次いで、第1のシート106は、搬送コンベア110に転写され、乾燥ドライヤー111に転写される。乾燥ドライヤー111としては、例えば、ヤンキードライヤーが挙げられる。次いで、乾燥した、第1のシート106を、巻き取りロール112に巻き取る。
第2のシートは、第1のシートと同様に、図5に示される製造装置101を用いて製造されうるため、説明は省略する。なお、製造に当たっては、原料の組成、原料の供給量を調整することにより、第2のシートの繊維組成、坪量等を調整することができる。
図6は、本開示の実施形態の1つに従うウェットティッシュの製造方法、具体的には、工程(3)及び工程(4)を説明するための概略図である。
図6に示される製造装置101'では、巻き取りロール112から巻き出された第1のシート106の上に、巻き取りロール113から巻き出された第2のシート114を積み重ね、積み重ねシート115を形成する。次いで、積み重ねシート115を、加熱されている一対のエンボスロール116の間に通し、複数のエンボス部(図示せず)を有する複層シート117を形成する。
次いで、複層シート117を所望のサイズにカットし、カットされたシートを折り重ね、薬液を含浸させることにより、ウェットティッシュが完成する。
本開示の別の実施形態に従うウェットティッシュの製造方法では、工程(3)において、第2のシートを、第2のシートの、高圧水流の噴射されていない面と、第1のシートの、高圧水流の噴射されていない面とを向かい合わせて、第1のシートの上に積み重ねる。
当該実施形態では、図4に示されるように、第1のシート2が、第2のシート3と反対側の面に、高圧水流により形成された、複数の畝部8と、複数の溝部9とを有し、そして第2のシート3が、第1のシート2と反対側の面に、高圧水流により形成された、複数の畝部8と、複数の溝部9とを有するウェットティッシュ1が形成される場合がある。ウェットティッシュが、図4に示すような畝部及び溝部を有することにより、ウェットティッシュの両面において、汚れの除去性が向上する。
本開示のさらに別の実施形態に従うウェットティッシュの製造方法は、第1のシート及び/又は第2のシートをクレープ処理する工程をさらに含む。クレープ処理することにより、ウェットティッシュが、ひだ構造を有し、汚れの除去性の向上、肌触りの向上等の効果を有する。
第1のシートをクレープ処理する工程は、工程(1c)の後に実施されることが好ましい。また、第2のシートをクレープ処理する工程は、工程(2c)の後に実施されることが好ましい。
上記クレープ処理は、例えば、図5において、乾燥ドライヤー111において、乾燥ドライヤー111の表面に付着している第1のシート106を、ドクター刃を用いて上記表面から引き離すことにより実施される。
なお、本開示のウェットティッシュはまた、従来公知の工程、例えば、特開2012−202004号明細書、特開2012−20211号明細書、特開2013−76196号明細書等に記載の工程を組み合わせて製造することができる。
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[原材料]
[親水性繊維]
・非叩解パルプ
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、CSF:740mL)を準備した。
・叩解パルプ
上記針葉樹晒クラフトパルプをミキサーにかけ、CSFが600mLの叩解パルプを得た。
・レーヨン(A)
ダイワボウレーヨン(株)製のコロナ(平均繊維長5mm,0.7dtex)を準備した。
・レーヨン(B)
オーミケンシ製のレーヨン(平均繊維長7mm、0.7dtex)を準備した。
[疎水性繊維]
・熱融着性繊維
帝人(株)製の芯鞘型複合繊維(商標名:テピルス,タイプ:TJ04BN,カット長5mm,2.2dtex)を準備した。芯は融点265℃のPETであり、そして鞘は融点が150℃のテレフタラート系繊維であった。
[製造例1]
叩解パルプ45質量部と、非叩解パルプ32質量部と、レーヨン(A)15質量部と、熱融着性繊維8質量部とを含む第1のシートの原料の水分散液No.1を準備した。図5に示される製造装置において、原料供給ヘッドから、第1のシートの原料の水分散液No.1を、支持体(日本フィルコン(株)製 OS80)の上に供給し、吸引ボックスから脱水して、第1のシート用のウェブNo.1を形成した。
次いで、第1のシート用のウェブNo.1に、支持体の下面から水をサクションで吸引しながら、高圧水流ノズルから高圧水流を噴射し、第1のシートNo.1を得た。なお、高圧水流ノズルは、第1のシート用のウェブNo.1の上方、約2cmの距離に配置され、92μmの穴径と、0.5mmの穴ピッチとを有していた。また、高圧水流から受けたエネルギーは、0.088(KW/m2)であった。
次いで、第1のシートNo.1を、120℃に保持されたヤンキードライヤーで、約4秒間乾燥した。
第2のシートNo.1を、第1のシートNo.1と同一の製法により得た。
第1のシートNo.1の上に、第2のシートNo.1を積み重ねて、積み重ねシートNo.1を形成し、次いで積み重ねシートNo.1を、160℃に加熱された、一対のエンボスロールに通し、複数のエンボス部を有する複層シートNo.1を形成した。なお、一対のエンボスロールは、搬送方向と直交する方向に回転軸線を有し、上側のロールの外周面に、直径2.2mmの突起が、搬送方向に20mm、直交方向に20mmのピッチで角千鳥状に配置され、下側のロールの表面は、フラットであった。
複層シートNo.1には、直径2.2mmのエンボス部(面積約3.8mm2)が、搬送方向に20mm、直交方向に20mmのピッチで角千鳥状に配置され、エンボス部の間隔は約12mmであり、そしてエンボス部は、複層シートに対して、1.7%の面積率を有していた。
複層シートNo.1を、約20cm×約13cmにカットし、薬液に含浸させて、ウェットティッシュNo.1を製造した。
[製造例2]
一対のエンボスロールの上側のロールを、直径0.88mmの突起が、直交方向に4.5mmのピッチで、60°千鳥状に配置されているものに変更した以外は、製造例1と同様にして、第1のシートNo.2,第2のシートNo.2,複層シートNo.2及びウェットティッシュNo.2を製造した。
複層シートNo.2には、直径0.88mmのエンボス部(面積約0.6mm2)が、直交方向に4.5mmのピッチで60°千鳥状に配置され、エンボス部の間隔は約3.6mmであり、そしてエンボス部は、複層シートに対して、3.4%の面積率を有していた。
[製造例3]
非叩解パルプを25質量部に変更し、そして熱融着性繊維を15質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、第1のシートNo.3,第2のシートNo.3,複層シートNo.3及びウェットティッシュNo.3を製造した。
[参考製造例1]
非叩解パルプを40質量部に変更し、そして熱融着性繊維を0質量部に変更した以外は、製造例1と同様にして、第1のシートNo.4,第2のシートNo.4,複層シートNo.4及びウェットティッシュNo.4を製造した。
[参考製造例2]
上側のロールを、その外周面に、回転軸線と直交する方向に突出する幅1.5mmの突状部が、10mmのピッチで連続して配置されているものに変更した以外は、製造例1と同様にして、第1のシートNo.5,第2のシートNo.5,複層シートNo.5及びウェットティッシュNo.5を製造した。
複層シートNo.5には、搬送方向に延びる幅1.5mmのエンボス部が、直交方向に10mmのピッチでストライプ状に配置され、エンボス部間の間隔は8.5mmであり、そしてエンボス部は、複層シートに対して、15%の面積率を有していた。
[比較製造例1]
特許文献5に記載の方法に準拠して、ウェットティッシュを製造した。具体的には、叩解パルプ(CSF:600mL)26質量部、非叩解パルプ(CSF:740mL)50質量部、レーヨン(B)21質量部、及びフィルリル化セルロース繊維3質量部を、水と共に混合し、角型シートマシーンを用いて、湿式抄紙法により繊維ウェブを製造した。
当該繊維ウェブを、100メッシュのプラスチック製ネットに乗せ、下面から水をサクションで吸引しながら、高圧水流ノズル(ノズル径92μ、0.5mmピッチ)から、高圧水流を、上記繊維ウェブに噴射し、次いでロータリードライヤーで乾燥してシートNo.6を得た。シートNo.6に薬液を含浸させることにより、ウェットティッシュNo.6を得た。なお、上記高圧水流から受けたエネルギーは、0.285(KW/m2)であった。
なお、フィブリル化セルロース繊維は、テンセル(レンチング社(オーストリア)、商品名、平均繊維長3mm、1.7dtex)を、バッチ式離解機(相川鉄工製、パルパー)及び連続式離解機(相川鉄工(株)製、B型トップファイナー)により粘状叩解することにより準備し、フィブリル化セルロースの、重さ加重平均繊維長分布のピークにおける繊維長は3mmであり、マイクロファイバー部分の質量は1.54質量%であり、カナダ標準ろ水度は200mLであった。
[実施例1〜3,参考例1及び2,並びに比較例1]
製造例1〜3,参考製造例1及び2,並びに比較製造例1において製造された、第1のシート、第2のシート、複層シート、ウェットティッシュの物性を評価した。
結果を、表1に示す。
[参考例3]
製造例1で製造された、第1のシートNo.1(すなわち、エンボス部を形成する前のもの)の物性を評価した。結果を表1に示す。
表1において、「坪量」は、シートの質量を、面積で除することにより算出した。
「厚さ」は、株式会社大栄科学精器製作所製のFS−60DS(測定子:15cm2,測定荷重:3gf/cm2)を用いて測定し、3カ所の厚さの平均値を採用した。
「湿潤強さ」は、ウェットティッシュに関しては、本明細書に記載の方法に従って測定し、そして第1のシート及び第2のシートに関しては、シートに、その250質量%の蒸留水を吸収させた後に、ウェットティッシュと同様に測定した。なお、引張強さは、島津製作所株式会社製のオートグラフ,AGS−1kNGを用いて測定した。
「ほぐれやすさ」は、本明細書に記載の方法に従って測定した。第1のシート及び第2のシートの場合には、一度、複層シートにエンボスを形成した後に、第1のシート及び第2のシートに分離し、ほぐれやすさ試験に供した。ウェットティッシュの場合には、そのままほぐれやすさ試験に供した。なお、ほぐれやすさは、アズワン株式会社製のペーパーほぐれやすさ試験用スターラーTTPを用いて測定した。
「剛軟度」は、本明細書に記載の方法に従って測定した。
なお、表1では、「湿潤」と記載されるものは、薬液又は蒸留水を含む状態で測定されたものであり、そして「乾燥」と記載されるものは、薬液又は蒸留水を含まない状態で測定されたものである。
Figure 2015188710
表1より、実施例1〜3では、ウェットティッシュの搬送方向及び直交方向の引張強さが、1.0N/25mm以上であり、そして第1のシート及び第2のシートのほぐれやすさが100秒未満であり、湿潤強さと、水解性とを両立していることが分かる。
実施例1と、参考例1及び参考例2とを比較すると、エンボス部を形成することにより、湿潤強さが向上するが、水解性は概ね変化しないことが分かる。
比較例1から、エンボス部の面積率が高くなると、水解性が低下することが分かる。
実施例1〜3と、比較例2との比較から、実施例1〜3のウェットティッシュは、参考例1と同等の湿潤強さを有し、水解性が高いことが分かる。
具体的には、本開示は以下のJ1〜J17に関する。
[J1]
第1のシート及び第2のシートを備える複層シートを含む、水解性を有するウェットティッシュであって、
第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、親水性繊維と、疎水性繊維とを含み、
上記複層シートが、第1のシート及び第2のシートを接合し且つ間隔をおいて配置された、複数の接合部を有し、
上記複数の接合部の上記間隔が、第1のシートの上記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上且つ第2のシートの上記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上であり、
上記複数の接合部が、上記複層シートに対して、0.5〜12.0%の面積率を有し、
上記複層シートから分離された第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、ほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさを有し、
上記複層シートが、150mm以下の剛軟度を有し、そして
上記ウェットティッシュが、幅25mm当たり、1.0N以上の引張強さを有する、
ことを特徴とする、上記ウェットティッシュ。
[J2]
第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、上記疎水性繊維として、低融点成分と、当該低融点成分よりも高い融点を有する高融点成分とを含む複合繊維から成る熱融着性繊維を含む、J1に記載のウェットティッシュ。
[J3]
上記接合部がエンボス部であり、上記エンボス部において、第1のシートの疎水性繊維の低融点成分の少なくとも一部が、第2のシートに含まれる繊維と融着しており、そして/又は第2のシートの疎水性繊維の低融点成分の少なくとも一部が、第1のシートに含まれる繊維と融着している、J2に記載のウェットティッシュ。
[J4]
第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、上記親水性繊維及び上記疎水性繊維を、それらの総量に基づいて、それぞれ、82〜95質量%及び5〜18質量%の比率で含む、J1〜J3のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
[J5]
第1のシートの疎水性繊維及び/又は第2のシートの疎水性繊維が、6.5mm以下の平均繊維長を有する、J1〜J4のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
[J6]
上記複数の接合部が、1つ当たり、0.4〜9mm2の面積を有する、J1〜J5のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
[J7]
第1のシート及び第2のシートの少なくとも一方において、上記親水性繊維が、パルプ及び再生セルロースを含む、J1〜J6のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
[J8]
上記ウェットティッシュが、ほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさを有する、J1〜J7のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
[J9]
上記ウェットティッシュが、第1のシート及び/又は第2のシートをクレープ処理することにより形成されたひだ構造を有する、J1〜J8のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
[J10]
J1〜J9のいずれか一項に記載のウェットティッシュの製造方法であって、
次の各ステップ、
(1)下記を含む、第1のシートを形成するステップ、
(1a)第1のシートの原料の水分散液を支持体上に供給し、上記支持体上に、第1のシート用のウェブを形成するステップ、
(1b)高圧水流ノズルから、上記支持体上の第1のシート用のウェブに高圧水流を噴射して、第1のシート用のウェブ内の繊維を交絡させ、第1のシートを形成するステップ、
(1c)第1のシートを乾燥するステップ、
(2)下記を含む、第2のシートを形成するステップ、
(2a)第2のシートの原料の水分散液を支持体上に供給し、上記支持体上に、第2のシート用のウェブを形成するステップ、
(2b)高圧水流ノズルから、上記支持体上の第2のシート用のウェブに高圧水流を噴射して、第2のシート用のウェブ内の繊維を交絡させ、第2のシートを形成するステップ、
(2c)第2のシートを乾燥するステップ、及び
(3)第2のシートを、第1のシートの上に積み重ねることにより積み重ねシートを形成するとともに、上記積み重ねシートを接合することにより、複数の接合部を有する複層シートを形成するステップ、
を含むことを特徴とする、上記方法。
[J11]
第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、上記疎水性繊維として、低融点成分と、当該低融点成分よりも高い融点を有する高融点成分とを含む複合繊維から成る熱融着性繊維を含み、ステップ(1c)において、第1のシートを、第1のシートの上記低融点成分の融点よりも低い温度で乾燥し、そしてステップ(2c)において、第2のシートを、第2のシートの上記低融点成分の融点よりも低い温度で乾燥する、J10に記載の方法。
[J12]
ステップ(3)において、上記積み重ねシートを、第1のシートの上記低融点成分及び第2のシートの上記低融点成分の融点以上且つ第1のシートの上記高融点成分及び第2のシートの上記高融点成分の融点未満の温度でエンボスすることにより、複数の接合部を有する複層シートを形成する、J11に記載の方法。
[J13]
ステップ(3)において、第2のシートを、第2のシートの高圧水流の噴射されていない面と、第1のシートの高圧水流の噴射されていない面とを向かい合わせて、第1のシートの上に積み重ねることにより積み重ねシートを形成する、J10〜J12のいずれか一項に記載の方法。
[J14]
ステップ(1c)の後に、第1のシートをクレープ処理するステップをさらに含み、そして/又はステップ(2c)の後に、第2のシートをクレープ処理するステップをさらに含む、J10〜J13のいずれか一項に記載の方法。
1 ウェットティッシュ
2 第1のシート
3 第2のシート
4 複層シート
5 接合部
6 疎水性繊維
7 交絡点
8 畝部
9 溝部
101 製造装置
102 原料供給ヘッド
103 支持体
104 第1のシート用のウェブ
105 高圧水流ノズル
106 第1のシート
107 吸引ボックス
108 吸引ピックアップ
109,110 搬送コンベア
111 乾燥ドライヤー
112,113 巻き取りロール
114 第2のシート
115 積み重ねシート
116 エンボスロール
117 複層シート

Claims (14)

  1. 第1のシート及び第2のシートを備える複層シートを含む、水解性を有するウェットティッシュであって、
    第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、親水性繊維と、疎水性繊維とを含み、
    前記複層シートが、第1のシート及び第2のシートを接合し且つ間隔をおいて配置された、複数の接合部を有し、
    前記複数の接合部の前記間隔が、第1のシートの前記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上且つ第2のシートの前記疎水性繊維の平均繊維長の0.6倍以上であり、
    前記複数の接合部が、前記複層シートに対して、0.5〜12.0%の面積率を有し、
    前記複層シートから分離された第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、ほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさを有し、
    前記複層シートが、150mm以下の剛軟度を有し、そして
    前記ウェットティッシュが、幅25mm当たり、1.0N以上の引張強さを有する、
    ことを特徴とする、前記ウェットティッシュ。
  2. 第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、前記疎水性繊維として、低融点成分と、当該低融点成分よりも高い融点を有する高融点成分とを含む複合繊維から成る熱融着性繊維を含む、請求項1に記載のウェットティッシュ。
  3. 前記接合部がエンボス部であり、前記エンボス部において、第1のシートの疎水性繊維の低融点成分の少なくとも一部が、第2のシートに含まれる繊維と融着しており、そして/又は第2のシートの疎水性繊維の低融点成分の少なくとも一部が、第1のシートに含まれる繊維と融着している、請求項2に記載のウェットティッシュ。
  4. 第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、前記親水性繊維及び前記疎水性繊維を、それらの総量に基づいて、それぞれ、82〜95質量%及び5〜18質量%の比率で含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  5. 第1のシートの疎水性繊維及び/又は第2のシートの疎水性繊維が、6.5mm以下の平均繊維長を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  6. 前記複数の接合部が、1つ当たり、0.4〜9mm2の面積を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  7. 第1のシート及び第2のシートの少なくとも一方において、前記親水性繊維が、パルプ及び再生セルロースを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  8. 前記ウェットティッシュが、ほぐれやすさ試験において、100秒以下のほぐれやすさを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  9. 前記ウェットティッシュが、第1のシート及び/又は第2のシートをクレープ処理することにより形成されたひだ構造を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のウェットティッシュ。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のウェットティッシュの製造方法であって、
    次の各ステップ、
    (1)下記を含む、第1のシートを形成するステップ、
    (1a)第1のシートの原料の水分散液を支持体上に供給し、前記支持体上に、第1のシート用のウェブを形成するステップ、
    (1b)高圧水流ノズルから、前記支持体上の第1のシート用のウェブに高圧水流を噴射して、第1のシート用のウェブ内の繊維を交絡させ、第1のシートを形成するステップ、
    (1c)第1のシートを乾燥するステップ、
    (2)下記を含む、第2のシートを形成するステップ、
    (2a)第2のシートの原料の水分散液を支持体上に供給し、前記支持体上に、第2のシート用のウェブを形成するステップ、
    (2b)高圧水流ノズルから、前記支持体上の第2のシート用のウェブに高圧水流を噴射して、第2のシート用のウェブ内の繊維を交絡させ、第2のシートを形成するステップ、
    (2c)第2のシートを乾燥するステップ、及び
    (3)第2のシートを、第1のシートの上に積み重ねることにより積み重ねシートを形成するとともに、前記積み重ねシートを接合することにより、複数の接合部を有する複層シートを形成するステップ、
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  11. 第1のシート及び第2のシートのそれぞれが、前記疎水性繊維として、低融点成分と、当該低融点成分よりも高い融点を有する高融点成分とを含む複合繊維から成る熱融着性繊維を含み、ステップ(1c)において、第1のシートを、第1のシートの前記低融点成分の融点よりも低い温度で乾燥し、そしてステップ(2c)において、第2のシートを、第2のシートの前記低融点成分の融点よりも低い温度で乾燥する、請求項10に記載の方法。
  12. ステップ(3)において、前記積み重ねシートを、第1のシートの前記低融点成分及び第2のシートの前記低融点成分の融点以上且つ第1のシートの前記高融点成分及び第2のシートの前記高融点成分の融点未満の温度でエンボスすることにより、複数の接合部を有する複層シートを形成する、請求項11に記載の方法。
  13. ステップ(3)において、第2のシートを、第2のシートの高圧水流の噴射されていない面と、第1のシートの高圧水流の噴射されていない面とを向かい合わせて、第1のシートの上に積み重ねることにより積み重ねシートを形成する、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. ステップ(1c)の後に、第1のシートをクレープ処理するステップをさらに含み、そして/又はステップ(2c)の後に、第2のシートをクレープ処理するステップをさらに含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
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